説明

カーナビゲーションシステム

【課題】文字データを含む放送を受信することができるものにあって、受信した文字データを、カーナビゲーションの機能に有効に利用する。
【解決手段】カーナビゲーションシステム1において、ユーザが周辺施設検索(目的地設定)を行う方法の一つとして、文字データを含むテレビ放送を受信した際に表示装置7の画面に表示されている文字データのなかから、所望の文字列をキーワードとして指定する方法がある。この場合、ユーザは、タッチパネル5bの操作により表示されている文字のなかからキーワードを指定することができる。文字列の指定の後、指定したキーワードの意味付けを行うための属性をユーザが選択する。制御回路2は、指定されたキーワード及び選択された属性に基づいて、地図データベース4の施設データから施設を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地となる施設に関する情報を記憶するデータベースと、キーワードに基づいて前記データベースから施設の検索を行う検索手段とを含んで構成されるカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムは、一般に、自車両の現在位置を検出しディスプレイに地図と重ね合わせて表示するロケーション機能や、ユーザが指定した目的地までの推奨する経路を探索し、案内するルートガイダンス機能、周辺施設検索機能等を備えている。前記周辺施設検索機能は、ユーザが指定した施設ジャンル等のキーワード(例えば、レジャー施設、コンビニエンス・ストア、ガソリンスタンド、レストラン等)に基づいて、周辺に存在する指定された施設をデータベースから検索し、ディスプレイに表示させるというものである。
【0003】
また、この種のカーナビゲーションシステムにおいては、ラジオ放送やCD等の音楽を車内で楽しむためのカーオーディオ装置や、TV放送を車内で楽しむためのTVチューナ等を組込んで構成されるものも多く、この場合、マイコンを含む制御部、操作スイッチ部、スピーカ、ディスプレイ等のハードウエアが共用されるようになっている。
【0004】
さらに、VICS受信機により、FM多重放送を利用してVICSセンターから道路交通情報(渋滞情報や交通規制など)を受信し、受信したデータを、ディスプレイに表示したり、経路探索に利用したりすることも行われている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1には、データ放送により放送されるコンテンツのなかから、ユーザが希望したコンテンツのみを取得し、ディスプレイに表示させるようにしたカーナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−264089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、テレビ、ラジオ放送において、衛星デジタル放送や、地上波デジタル放送といったデジタル方式での放送サービスが本格化されてきている。このようなデジタル放送では、映像データや音声データに加えて、当該番組に関連する文字データ(字幕データ等)が提供されるようになっている。また、それ以外のデータ放送として、インターネットを通じたデータ放送や、音声放送の番組(アナログ方式)に多重化させて文字列データを放送する「見えるラジオ」なども実用化されている。これにより、車内のディスプレイに受信した文字データを表示することによって、ユーザに対し、ニュースや娯楽等の様々な種類の番組に関連した情報をより判りやすく提供することができる。
【0006】
しかしながら、上記従来ものでは、受信した文字データを車内のディスプレイに表示するに止まり、カーナビゲーションの機能との直接的な連携はないため、受信した情報をより有効に利用するといった観点からは、改善の余地が残されている。具体例をあげると、ユーザ(運転者)がTV番組で紹介されているラーメン店の店舗に行きたいと考えた場合、字幕によってラーメン店の名称は判るが、その店舗を検索する場合、一旦その店舗名を覚えておいて、例えば五十音キーの操作によってその店舗名を入力し、検索を実行させるといった手間のかかる作業が必要となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、文字データを含む放送を受信することができるものにあって、受信した文字データを、カーナビゲーションの機能に有効に利用することができるカーナビゲーションシステムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカーナビゲーションシステムは、データベースから施設を検索する機能を備えるものであって、車両に搭載され文字データを含む放送を受信する受信手段と、この受信手段により受信した文字データを表示する表示手段と、この表示手段に表示された文字データのなかから検索手段による検索のキーワードとしたい文字列を指定するための指定手段と、この指定手段により指定された文字列の意味する属性を選択するための属性選択手段とを備えるところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0009】
これによれば、受信手段により文字データを含む放送を受信してその放送に含まれる文字データを表示手段に表示させることができるのであるが、その状態で、ユーザは、指定手段により、その文字データに含まれている文字列を、検索用のキーワードとして指定することができる。そして、検索手段により、その指定された文字列をキーワードとして、データベースから施設検索を実行させることができる。これにより、文字データを含む放送を受信する機能と、ナビゲーションの機能とをいわば連携させることが可能となり、受信した文字データ放送をより有効に利用することが可能となる。
【0010】
このとき、文字列が指定されているだけでは、その文字列が、施設名称なのか、地域名であるのか、商品名であるのか等が容易には判断できない事情がある。指定手段により指定された文字列が、何を意味しているのか(どのカテゴリに属する語句であるか)が不明である場合には、検索に時間がかかったり、検索結果のデータ量が膨大なものとなったりする虞がある。ところが、属性選択手段により属性が選択されることにより、文字列にいわば意味付けがなされ、その分、検索条件を絞り込むことができるので、検索の精度を高め、検索時間を短縮することが可能となる。
【0011】
本発明においては、上記指定手段及び属性選択手段を、表示手段の画面上に設けられたタッチパネルから構成することができる(請求項2の発明)。これによれば、ユーザは、表示手段の画面を直接的にタッチ操作することにより、表示された文字のなかから所望の文字列を指定することが可能となり、文字列の指定の操作を判り易く簡単に行うことができる。尚、この際の文字列の指定の手法としては、ユーザが、文字列の始端部及び終端部を指示操作する、必要な文字列部分をドラッグ操作する等、様々な形態が考えられる。
【0012】
ところで、例えばTVやラジオといった放送には、商品やイベントを紹介する番組やコマーシャルなども多く、ユーザは、そのような商品やイベントに興味を持つこともある。そこで、本発明においては、前記データベースに、商品やイベントに関する情報を、該商品やイベントを提供可能な施設と関連付けて記憶させると共に、前記検索手段を、キーワードに基づいて商品やイベントの検索を行うことが可能に構成することができる(請求項3の発明)。これにより、ユーザは、放送で紹介された商品をそのままキーワードとして指定して、その商品を購入できる店舗を検索したり、スポーツ、音楽、演劇、映画などのイベントをキーワードとして指定して、そのイベントが行われる施設を検索したりすることを、容易に行うことができる。
【0013】
本発明においては、上記データベース及び検索手段を、外部の情報センタのサーバに設け、そのサーバとの間での通信を行う通信手段を車両側に設ける構成としても良い(請求項4の発明)。これによれば、車両側におけるデータベースが不要となるので、車両側の構成の簡単化を図ることができると共に、外部の情報センタにおいては、最新の情報を含んだ充実したデータベースを構築することが可能となり、施設検索の信頼性の高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、車両(自動車)に組込まれる本実施例に係るカーナビゲーションシステム1の構成を概略的に示している。このカーナビゲーションシステム1は、システム全体を制御するための制御回路2を備えている。この制御回路2は、CPU,ROM,RAM,I/O等からなるマイコンを主体として構成されており、後述するように検索手段として機能するようになっている。
【0015】
前記制御回路2には、自車位置検出器3、データベースとしての地図データベース4、指定手段及び属性選択手段として機能する操作入力機器5、各種データを記憶するための外部メモリ6、表示手段としての表示装置7、外部情報入出力装置8、音声出力装置9、受信手段としてのTVチューナ10等が接続されている。尚、図2に示すように、前記表示装置7は、制御回路2、地図データベース4、操作入力機器5、TVチューナ10等と共にケースに組込まれてカーナビゲーション装置本体部15としてユニット化され、車室内の例えばインストルメントパネルの中央部に設けられるようになっている。
【0016】
前記自車位置検出器3は、周知構成の、地磁気センサ11、ジャイロスコープ12、距離センサ13、GPS衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機14を有している。前記制御回路2は、位置検出器3の各センサ11〜14が性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されており、それらからの入力に基づいて、自車両の現在位置、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。尚、精度によっては、上記したセンサ11〜14のうちの一部を省略して構成しても良く、上記以外に、ステアリングの回転センサや、各転動輪の車輪センサ等を採用することも可能である。
【0017】
前記地図データベース4は、道路地図データやそれに付随する施設データ(目的地データ)などの各種データを記憶した地図データ記録メディア及びそのデータを読出すためのドライブ装置からなり、その地図データ記録メディアとしては、例えばDVDやハードディスク等の大容量記憶媒体が用いられる。前記道路地図データは、道路形状、道路幅、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むと共に、その道路地図を表示装置7の画面上に再生するためのデータを含んでいる。
【0018】
また、前記施設データは、駅や空港等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなる。この施設データにはそれらの電話番号や住所、緯度及び経度等のデータが含まれると共に、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。この場合、後述する周辺施設検索機能を実現するために、前記施設データは、各施設が、レジャー施設、コンビニエンス・ストア、ガソリンスタンド、レストラン、銀行(ATMコーナー)等の複数の種類(ジャンル)毎に分類され、その種類や、名称、取扱商品、特色、住所(エリア)、電話番号等から検索できるように構成されている。
【0019】
前記表示装置7は、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり、その画面には、ナビゲーション画面や、後述するTV放送の映像、DVD再生映像等が表示されるようになっている。このとき、後述するように、文字データを含んだTV放送を受信しているときには、表示装置7の画面には、映像に併せて受信した文字データが表示されるようになっている(図4(a)参照)。そして、ユーザが、表示された文字データから施設検索を行う際には、検索用の属性選択画面等が表示されるようになっている(図4(b)〜(d)参照)。
【0020】
図示はしないが、前記ナビゲーション画面においては、周知のように、表示装置7の画面に、各種縮尺の道路地図が表示されると共に、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置及び進行方向を示すポインタが表示されるようになっている。また、目的地までの案内を行なうルートガイダンス機能の実行時には、道路地図に重ね合わせて進むべき経路等が表示される。さらには、ユーザが目的地などを入力するための各種の入力用画面や、各種のメッセージ等も表示されるようになっている。
【0021】
前記操作入力機器5は、図2にも示すように、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチ5aや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネル5bを含んでいる。ユーザ(ドライバ)は、それら操作入力機器5を用いて、目的地の指定や道路地図の縮尺の選択等の各種のコマンドを入力することができると共に、TV放送やラジオ放送の受信設定操作を行うことができる。またこのとき、表示装置7に表示される画面を、ナビゲーション画面からTV映像の画面等に切替えることができるようになっている。さらに、ユーザは、操作入力機器5(タッチパネル5b)の操作により、後述する周辺施設検索のための指定や選択等も行うようになっている。
【0022】
前記外部情報入出力装置8は、外部との間で無線通信により情報の送受信を行うためのもので、例えば、VICSシステムからの情報(道路交通情報等)を受信するVICS受信機や、無線基地局を介してインターネット等の外部ネットワークと接続可能な移動体通信機(携帯電話機)などから構成される。前記音声出力装置9は、スピーカから、TV放送やラジオ放送の音声、音楽CDや映像DVDの音声を出力したり、ナビゲーションにおいて必要な各種メッセージを合成音声により出力したりするように構成されている。
【0023】
前記TVチューナ10は、図2に示すように、この場合、デジタルテレビ放送用衛星16(放送局)からの衛星テレビ放送の電波を受信するアンテナ17、及び、地上波デジタルテレビ放送局18からの地上波テレビ放送の電波を受信するアンテナ19を備え、それらテレビ局16,18からのデジタル方式のテレビ放送を受信する受信手段として機能する。このとき、それらデジタル放送では、映像データや音声データに加えて、当該番組に関連する文字データ(字幕データ等)が提供されるようになっている。
【0024】
これにて、制御回路2は、テレビ局16,18から受信した映像データを表示装置7の画面に表示すると共に、音声データを音声出力装置9(スピーカ)から出力し、さらに、表示装置7の画面に、受信した文字データを表示することによって、ユーザに対し、ニュースや娯楽等の様々な種類の番組に関連した情報をより判りやすく提供するようになっている。
【0025】
前記制御回路2は、そのソフトウエア的構成(プログラムの実行)により、車両の現在地(自車位置)を知るロケーション機能を実現すると共に、指定された目的地までの経路を探索し、案内するルートガイダンス機能を実現するようになっている。そして、自車位置周辺における指定された施設を探索しユーザに知らせる周辺施設検索機能を実現するようになっている。
【0026】
そのうちロケーション機能は、上述のように、地図データベース4からの地図データに基づいて表示装置7に道路地図を表示させると共に、自車位置検出器3の検出に基づいて車両の現在地及び進行方向を示す現在地マークを表示させるものである。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動すると共に、地図は車両の位置に応じてスクロール表示されるようになる。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行なわれる。
【0027】
また、前記ルートガイダンス機能は、車両の出発地(現在地)からユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路(ルート)を、例えば周知のダイクストラ法を用いて自動的に計算し、求められた目的地までのルートを案内するものである。このルート案内においては、表示装置7の画面に、道路地図に重ね合せて、車両の現在地(現在地マーク)と共に走行すべきルートが目立つ色で表示され、またこれと併せて、例えば交差点近くに来た時に、音声出力装置9により、「200m先の交差点を左です」といった合成音声による案内が行なわれるようになっている。
【0028】
そして、前記制御回路2は、ユーザの操作入力機器5の操作により、周辺施設検索の実行が指示されると、表示装置7に例えばキーワード入力用の画面(或いはジャンル指定用の画面)を表示させてユーザに検索すべき施設のキーワードを指定させ、その指定に基づいて、地図データベース4の施設データから自車位置の周辺の所定範囲(指定範囲)に存在する該当する施設を検索(抽出)するようになっている。従って、制御回路2が検索手段として機能する。
【0029】
その後、検索された施設(一般に複数個が抽出される)を、例えば距離が近い順のリストとして表示装置7に表示させたり、地図上にランドマークを用いて表示装置7に表示させたりするようになっており、以て、周辺施設検索機能が実現されるのである。尚、この周辺施設検索に引続き、検索された施設を目的地としてルートガイダンスを実行させることができる。
【0030】
さて、後の作用説明でも述べるように、本実施例では、ユーザが上記の周辺施設検索(或いは目的地設定)を行う方法の一つとして、上記テレビ放送を受信した際に表示装置7の画面に表示されている文字データのなかから、ユーザが所望の文字列をキーワードとして指定する方法がある。この場合、図4(a)に示すように、表示装置7にテレビ放送の画像が表示されている状態では、その画面の下縁部(タッチパネル5b上)に、常に、「施設を検索」のアイコン(キー)が設定(表示)されており、ユーザは、この「施設を検索」のアイコンをタッチ操作した上で、表示されている文字のなかからキーワードを指定することができる。
【0031】
このときのユーザによるキーワードの指定は、例えば、画面(タッチパネル5b)上の指定したい文字列部分をドラッグ操作することにより行うことができる。またこのとき、指定された文字列が白黒反転される。そして、文字列の指定が行われると、図4(b)に示すように、指定されたキーワード(文字列)の意味する属性をユーザが選択するための、属性選択画面がウインドウの形態で表示される。このとき、属性とは、指定された文字列が、何を意味しているのか(どのカテゴリに属する語句であるか)の意味付けを行うものであり、施設名称、施設住所、施設種類、商品、イベント等に分類される。従って、本実施例では、タッチパネル5bが指定手段及び属性選択手段として機能する。
【0032】
前記制御回路2は、このような周辺施設検索を実現するために、ユーザによるタッチパネル5bの操作に基づいて、上記のように表示装置7の画面表示を制御すると共に、指定されたキーワード及び選択された属性に基づいて、地図データベース4の施設データから施設を検索する。この場合、キーワードそのものは勿論、キーワードに類似した語句(単語)についても(例えばキーワードが漢字の場合同じ読みの漢字など)、検索が行われる。但し、検索結果には信頼度が付与されるようになっており、キーワードそのものの語句から外れるほど信頼度は低くなる。
【0033】
そして、制御回路2は、検索された施設のリストを信頼度の高い順に表示装置7の画面に表示させるようになっている(図4(c)参照)。この後、ユーザは、タッチパネル5bの操作により、リスト中のいずれかの施設を選択することにより(図4(d)参照)、その施設を地図上に表示させたり、目的地として設定したりすることができるようになっている。尚、キーワードとして、商品や、イベント(スポーツ、音楽、演劇、映画など)が指定された場合には、その商品を購入できる店舗や、そのイベントが行われる施設が検索される。また、複数のキーワードが指定された場合、OR条件(或いはAND条件)で検索が行われる。
【0034】
次に、上記構成の作用について、図3及び図4も参照して述べる。上記のように、本実施例のカーナビゲーションシステム1においては、TVチューナ10により、テレビ局16,18から受信した映像データを表示装置7の画面に表示させることにより、ユーザは、車内でTV番組を楽しむことができる。この場合、放送において提供される文字データを、表示装置7の画面に表示させることができる。図4(a)は、文字データを含んだ放送を受信している際の画面の具体例を示している。
【0035】
ここでは、例えば、美味しいラーメン店を紹介しているようないわゆるグルメ情報番組を受信しており、表示装置7の画面には、ラーメンの映像が表示されていると共に、その店舗の情報(店舗名(施設名称)や商品(ラーメン)の特色)が文字表示されている。今、その店舗に比較的近い位置を走行している車両内でその番組を見ているユーザが、そのラーメン店に行きたい(或いは場所を知りたい)と思った場合には、以下のようにして、周辺施設検索を実行させることができる。
【0036】
即ち、ユーザは、表示装置7の画面(タッチパネル5b)の下辺部に位置している「施設を検索」のアイコンをタッチ操作する。すると、図示はしないが、表示装置7の画面に、「検索キーワードを指定してください」のメッセージが表示されるので、ユーザは、引続き、画面中のキーワードとなる文字列を指定する。この場合、ユーザが、「らぁめん 睡蓮」の文字列部分をドラッグ操作することにより、キーワードの指定を行うことができる。キーワードの指定が行われると、図4(b)に示すように、表示送致7の画面において、指定されたキーワード部分が反転表示されると共に、属性選択画面がウインドウの形態で表示され、さらに「属性を選択してください」のメッセージが表示される。
【0037】
そこで、ユーザは、指定したキーワードが、何を意味している語句であるのか(施設名称、施設住所(エリア)、施設種類、商品検索、イベント検索等のどの属性に属しているか)を、タッチ操作により選択するようにする。上記の「らぁめん 睡蓮」のキーワードの場合、属性選択画面の「施設名称」を選択するようにする。この選択後、ユーザは、画面の下辺部の、「検索開始」のアイコンをタッチ操作する。図3のフローチャートは、検索開始が指示された際に、制御回路2が実行する検索の処理手順を示している。
【0038】
図3のフローチャートにおいて、まず、ステップS1では、施設名称を意味する文字列が指定されているかどうかが判断される。「施設名称」以外の属性が選択されている場合には(ステップS1にてNo)、ステップS5に進む。これに対し、「施設名称」の属性が選択されている場合には(ステップS1にてYes)、次のステップS2にて、指定された文字列が単語に分解され、ステップS3にて、各単語に基づいて、地図データベース4の施設データから該当する施設名称の検索が行われる。ステップS4では、施設検索の結果(検索された各施設)に、その信頼度(名称の類似度)が付加されて記憶される。
【0039】
ステップS5では、住所、エリア等の位置を意味する文字列が指定されているかどうかが判断される。「施設住所」以外の属性が選択されている場合には(ステップS5にてNo)、ステップS9に進む。これに対し、「施設住所」の属性が選択されている場合には(ステップS5にてYes)、次のステップS6にて、指定された文字列から代表座標が決定され、ステップS7にて、地図データベース4の施設データから前記代表座標に近い施設の検索が行われる。ステップS8では、施設検索の結果(検索された各施設)に、その信頼度(代表座標からの近接度)が付加されて記憶される。
【0040】
ステップS9では、施設種類を意味する文字列が指定されているかどうかが判断される。「施設種類」以外の属性が選択されている場合には(ステップS9にてNo)、ステップS13に進む。これに対し、「施設種類」の属性が選択されている場合には(ステップS9にてYes)、次のステップS10にて、指定された文字列から施設種類が決定され、ステップS11にて、地図データベース4の施設データから該当する種類の施設の検索が行われる。ステップS12では、施設検索の結果(検索された各施設)に、その信頼度(優先度)が付加されて記憶される。
【0041】
ステップS13では、施設検索の結果が出たか(施設が検索されたか)どうかが判断される。結果がある場合には(ステップS13にてYes)、ステップS14にて、検索結果が、信頼度が高い順のリストとして、表示装置7に表示される。一方、検索結果がでなかった場合には(ステップS13にてNo)、ステップS15にて、表示送致7の画面にエラー表示が行われ、処理が終了する。
【0042】
図4の例では、図4(c)に示すように、「らぁめん 睡蓮」のキーワードにおける検索結果のリストが、表示装置7の画面に表示される。ここで、ユーザは、リストのうち「らぁめん 睡蓮」をタッチ操作すると、図4(d)に示すように、「らぁめん 睡蓮」の施設検索の詳細情報(名称や住所等)が表示されるようになる。この画面においては、「地図表示」及び「目的地設定」のアイコンが表示されており、ユーザがそれらアイコンをタッチ操作することにより、その施設を地図上に表示させたり、目的地として設定したりすることができる。
【0043】
尚、上記図3には図示していないが、表示装置7の画面に商品(例えばブランド物のバッグ等)の情報が文字表示されている際に、その商品名をキーワードとして指定し、属性として「商品検索」を選択すると、その商品を販売している施設(店舗)を検索することができる。また、イベント(例えば映画)の情報が文字表示されている際に、その映画の題名をキーワードとして指定し、属性として「イベント検索」を選択すると、その映画を上映している施設(映画館)或いは前売りチケットを販売している施設を検索することができる。
【0044】
このように本実施例のカーナビゲーションシステム1によれば、TVチューナ10により文字データを含むテレビ放送を受信してその放送に含まれる文字データを表示装置7の画面に表示させることができるものにあって、ユーザは、タッチパネル5bのタッチ操作によって、その文字データに含まれている文字列を、検索用のキーワードとして指定することができる。そして、その指定された文字列をキーワードとして、地図データベース4から施設検索を実行させることができる。これにより、文字データを含む放送を受信する機能と、ナビゲーションの機能とをいわば連携させることが可能となり、受信した文字データ放送をより有効に利用することが可能となる。
【0045】
このとき、文字列が指定されているだけでは、制御回路2は、その文字列が、施設名称なのか、地域名であるのか、商品名であるのか等が容易には判断できない事情がある。ところが、ユーザにその文字列の意味する属性を選択させるように構成したことにより、文字列にいわば意味付けがなされ、その分、検索条件を絞り込むことができるので、検索の精度を高め、検索時間を短縮することが可能となる。また、本実施例では、表示装置7の画面上に設けられたタッチパネル5bの操作により、キーワードの指定や属性の選択を行うようにしたので、ユーザは、文字列の指定の操作や属性選択の操作を判り易く簡単に行うことができるといったメリットも得ることができる。
【0046】
尚、本発明は上記した実施例に限定されず、様々な拡張、変更が可能である。例えば、上記実施例では、施設検索用のデータベース(地図データベース4)を車両に設けるようにしたが、データベース及び検索手段を、外部の情報センタのサーバに設け、そのサーバとの間での通信を行う通信手段を車両側に設ける構成のシステムとすることもできる。
【0047】
即ち、図示はしないが、車両側には、ナビゲーション装置本体と、通信手段たる通信装置とが設けられ、ナビゲーション装置本体の制御回路は、前記通信装置により、例えば、無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、情報センタとの間で通信を行うことを可能とする。通信装置としては、携帯電話機、DSRC、無線RANなど様々なものを採用することができる。この場合、ユーザの操作入力機器の操作に基づいて、情報センタに対し、キーワードや属性のデータ、更には車両の現在地のデータ等を通信装置により送信し、また、情報センタから送信されたデータを通信装置により取得(受信)することが可能となる。
【0048】
これに対し、前記情報センタのサーバは、外部との間で通信を行う通信手段、データベース、マイコンを主体として構成される演算処理装置などを備えて構成される。このとき、サーバは、車両側から、キーワードや属性のデータ、更には現在地のデータを受信することにより、キーワード及び属性に基づいて、施設検索を行い、その検索結果のデータを車両側に送信するようになっている。これによれば、車両側におけるデータベースが不要となるので、車両側の構成の簡単化を図ることができると共に、外部の情報センタにおいては、最新の情報を含んだ充実したデータベースを構築することが可能となり、施設検索の信頼性の高いものとなる。
【0049】
また、上記実施例では、放送として、文字データを含むデジタルテレビ放送を受信する場合を例としたが、音声放送(デジタル方式)と同時に文字データ放送を送信する衛星デジタルラジオ放送、音声放送(アナログ方式)に多重化させて文字列データを放送する「見えるラジオ」のラジオ放送、インターネットを通じたデータ放送や、テレビ番組とは独立した文字放送などを受信する場合でも、表示装置に文字データを表示させることにより、上記実施例と同様に実施することができる。
【0050】
更に、キーワード(文字列)の指定の手法としても、文字列部分をドラッグ操作するものに限らず、例えば、ユーザが、文字列の始端部及び終端部を指示操作する、必要な文字列部分を枠で囲むように指示する等、様々な形態が考えられる。その他、カーナビゲーションシステムのハードウエア構成等についても、種々の変形例が考えられる等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】テレビ放送を受信する様子を示す図
【図3】制御回路が実行するキーワード指定時の施設検索の処理手順を示すフローチャート
【図4】キーワード指定時における表示装置の画面の変化の様子を示す図
【符号の説明】
【0052】
図面中、1はカーナビゲーションシステム、2は制御回路(検索手段)、4は地図データベース(データベース)、5bはタッチパネル(指定手段、属性選択手段)、7は表示装置(表示手段)、10はTVチューナ(受信手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に関する情報を記憶するデータベースと、キーワードに基づいて前記データベースから施設の検索を行う検索手段とを含んで構成されるカーナビゲーションシステムであって、
車両に搭載され文字データを含む放送を受信する受信手段と、
この受信手段により受信した文字データを表示する表示手段と、
この表示手段に表示された文字データのなかから前記検索手段による検索のキーワードとしたい文字列を指定するための指定手段と、
この指定手段により指定された文字列の意味する属性を選択するための属性選択手段とを備えることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記指定手段及び属性選択手段は、前記表示手段の画面上に設けられたタッチパネルから構成されることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記データベースには、商品やイベントに関する情報が該商品やイベントを提供可能な施設と関連付けて記憶されると共に、前記検索手段は、キーワードに基づいて商品やイベントの検索を行うことが可能とされていることを特徴とする請求項1又は2記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記データベース及び検索手段は、外部の情報センタのサーバに設けられ、車両側には、前記サーバとの間での通信を行う通信手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−98067(P2009−98067A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271432(P2007−271432)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】