説明

ダブルパターン形成方法

【課題】高集積化、高速度化が進むLSIを生産する際、極めて微細なパターンルールを加工する技術として、簡便で工程管理に有用なダブルパターン形成方法を提供する。
【解決手段】被加工基板上に第1ポジ型レジスト材料を塗布し、高エネルギー線をパターン照射し、アルカリ現像して第1ポジ型パターンを得る工程、得られたポジ型パターンを第2レジスト材料の溶剤に対して不溶化並びに第2レジスト材料をパターニングする際の不溶化させる工程として高温加熱及び/又は高エネルギー線の照射工程を含み、次いで、第2レジスト材料を第1レジストパターン上に塗布し、高エネルギー線をパターン照射、現像して、第2レジストパターンを得る工程を含むダブルパターン形成方法で、該第1レジスト材料含有の樹脂が式(1)の繰り返し単位を有するダブルパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に露光と現像によってポジ型パターンを形成し、熱又は高エネルギー線と熱とによって該パターンを有機溶剤不溶かつアルカリ不溶にし、更にその上へ第2のレジスト材料を塗布し、第2のレジスト膜へ露光、ベーク、現像することで、第2のレジストパターンを得る、第1のポジ型パターンと第2のレジストパターンを同時に重ねて形成するダブルパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFエキシマリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスの検討が行われている。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの先送りと、ArF液浸リソグラフィーの早期導入が提唱された(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 4690 xxix)。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいて、投影レンズとウエハーの間に水を含浸させることが提案されている。193nmにおける水の屈折率は1.44であり、NA(開口数)1.0以上のレンズを使ってもパターン形成が可能で、理論上はNAを1.44近くにまで上げることができる。当初、水温変化に伴う屈折率変化による解像性の劣化やフォーカスのシフトが指摘された。水温を1/100℃以内にコントロールすることと、露光によるレジスト膜からの発熱による影響もほぼ心配ないことが確認され、屈折率変化の問題が解決された。水中のマイクロバブルがパターン転写されることも危惧されたが、水の脱気を十分に行うことと、露光によるレジスト膜からのバブル発生の心配がないことが確認された。1980年代の液浸リソグラフィーの初期段階では、ステージを全て水に浸ける方式が提案されていたが、高速スキャナーの動作に対応するために投影レンズとウエハーの間のみに水を挿入し、水の給排水ノズルを備えたパーシャルフィル方式が採用された。水を用いた液浸によって原理的にはNAが1以上のレンズ設計が可能になったが、従来の屈折率系による光学系では巨大なレンズになってしまい、レンズが自身の自重によって変形してしまう問題が生じた。よりコンパクトなレンズ設計のために反射屈折(Catadioptric)光学系が提案され、NA1.0以上のレンズ設計が加速された。NA1.2以上のレンズと強い超解像技術の組み合わせで45nmノードの可能性が示され(非特許文献2:Proc. SPIE Vol. 5040 p724)、更にはNA1.35のレンズの開発も行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低ラインエッジラフネス(LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
NA1.35レンズを使った水液浸リソグラフィーの最高NAで到達できる解像度は40〜38nmであり、32nmには到達できない。そこで更にNAを高めるための高屈折率材料の開発が行われている。レンズのNAの限界を決めるのは投影レンズ、液体、レジスト膜の中で最小の屈折率である。水液浸の場合、投影レンズ(合成石英で屈折率1.5)、レジスト膜(従来のメタクリレート系で屈折率1.7)に比べて水の屈折率が最も低く、水の屈折率によって投影レンズのNAが決まっていた。最近、屈折率1.65の高透明な液体が開発されてきている。この場合、合成石英による投影レンズの屈折率が最も低く、屈折率の高い投影レンズ材料を開発する必要がある。LUAG(Lu3Al512)ガーネットは屈折率が2以上であり、最も期待される材料ではあるが、複屈折率と吸収が大きい問題を持っている。また、屈折率1.8以上の投影レンズ材料が開発されたとしても屈折率1.65の液体ではNAは1.55止まりであり、35nmを解像できるが、32nmは解像できない。32nmを解像するには屈折率1.8以上の液体と屈折率1.8以上のレジスト膜及び保護膜が必要である。屈折率1.8以上の材料で最も問題なのは高屈折率液体であり、今のところ吸収と屈折率がトレードオフの関係にあり、このような材料は未だ見つかっていない。アルカン系化合物の場合、屈折率を上げるためには直鎖状よりは有橋環式化合物の方が好ましいが、環式化合物は粘度が高いために露光装置ステージの高速スキャンに追随できない問題も孕んでいる。また、屈折率1.8の液体が開発された場合、屈折率の最小がレジスト膜になるために、レジスト膜も1.8以上に高屈折率化する必要がある。
【0006】
ここで最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである(非特許文献3:Proc. SPIE Vol. 5754 p1508(2005))。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工する。その後、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分へフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成し、ハードマスクをドライエッチングで加工して、最初のパターンピッチの半分に相当するラインアンドスペースパターンを形成する方法である。
【0007】
もうひとつの工程例として、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、もう一度その上にフォトレジスト膜を塗布し、ハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。
【0008】
これら工程のいずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。前者、後者の方法においても、基板加工のエッチングは2回必要なため、スループットの低下と2回のエッチングによるパターンの変形や位置ずれが生じる問題がある。
【0009】
エッチングを1回で済ませるために、1回目の露光でネガ型レジスト材料を用い、2回目の露光でポジ型レジスト材料を用いる方法がある。1回目の露光でポジ型レジスト材料を用い、2回目のレジスト材料としてポジ型レジスト材料を溶解しない炭素数4以上の高級アルコールに溶解させたネガ型レジスト材料を用いる方法もある。これらの場合、解像性が低いネガ型レジスト材料を使うため解像性の劣化が生じる。
【0010】
1回目の露光と2回目の露光の間にPEB(post−exposure bake)、現像を行わない方法は、最もシンプルでスループットが高い方法である。この場合、1回目の露光を行い、位置をずらしたパターンが描画されたマスクに交換して2回目の露光を行い、PEB、現像、ドライエッチングを行う。しかしながら、1回目の露光の光のエネルギーと2回目の露光の光のエネルギーが相殺されるために、コントラストが0になってパターンが形成されなくなる。この場合、2光子吸収の酸発生剤やコントラスト増強膜(CEL)を使って酸発生を非線形にすることでハーフピッチだけずらした露光でもエネルギーの相殺が比較的小さく、低いコントラストながらもずらした分だけピッチが半分になったパターンが形成できることが報告されている(非特許文献4:Jpn. J. App. Phys. Vol.33(1994)p 6874−6877、Part 1, No.12B, December 1994)。この時、1回の露光毎にマスクを交換するとスループットが非常に低下するので、ある程度まとめて1回目の露光を行った後に2回目の露光を行う。但しこの場合、1回目の露光と2回目の露光との間の放置時間による酸の拡散による寸法変動等へのケアは必要になる。
【0011】
ダブルパターニングに限らず、細いスペースパターンやホールパターンを形成する技術としては、前述のネガ型レジスト材料を用いる方法や、サーマルフロー法、RELACS法が挙げられるが、ネガ型レジスト材料は前述したようにレジスト膜自身の解像性が低い問題点がある。一方、微細なスペースパターンを得る方法としてサーマルフロー法が挙げられる。形成したスペースパターンをレジストパターンのTg.(ガラス転移点)より高い温度で加熱することによって、パターンがフローすることでスペースを狭くする技術である。もう一方で、微細なスペースパターンを得る方法として挙げられるRELACS法は、スペースパターンへレジストパターンを溶解しない溶剤に溶解した組成物を塗布し、ケミカルアタッチメントを熱によって付加することで、スペースを狭くできる方法として知られている。
【0012】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 4690 xxix
【非特許文献2】Proc. SPIE Vol. 5040 p724
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 5754 p1508(2005)
【非特許文献4】Jpn. J. App. Phys. Vol.33(1994)p 6874−6877、Part 1, No.12B, December 1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
高集積化、高速度化が進むLSIを生産する際、極めて微細なパターンルールを加工する技術として、ダブルパターニングが提案、報告されているが、その方法は簡便でなく、1回目のリソグラフィー後、次いでエッチングを行い、その後2回目のリソグラフィー後、更にエッチングを行う(2リソ、2エッチ)工程など煩雑であった。少なくとも、2回のリソグラフィーによるパターニング後、1回のエッチングで加工する技術の開発が望まれた。しかしながら、1回目のパターンを2回目のレジスト材料に用いられる有機溶剤に不溶にする技術やその第1レジスト解像性能の向上、第2レジスト膜の解像性能の向上も重要な解決課題としてあった。
【0014】
ダブルパターニングに限らず、微細なスペースを加工することは非常に重要であって、ネガ型レジスト材料を用いる方法や、サーマルフロー法、RELACS法が挙げられる。しかしながら、ネガ型レジスト材料を用いる方法は、レジスト膜自身の解像性が低い問題点がある。一方、微細なスペースパターンを得る方法としてサーマルフロー法が挙げられる。しかしながら、サーマルフロー法は微細化が進むとともに、フローさせるパターンの量が少なくなることから、十分なフロー量を稼ぐことが困難になりつつある。また、高解像性能を示すレジスト材料のTg.(ガラス転移点)は高いことが一般的で、工程中、適当な加熱温度では十分なフローを得ない事実もあり、サーマルフローによる微細化に限界が観えてきたとする考えもある。更に微細なスペースパターンを得る方法として挙げられるRELACS法は、スペースパターンへケミカルアタッチメントを熱によって付加し、スペースを狭く加工する方法として知られているが、スペースを形成したレジスト材料のタイプによってアタッチメント量が異なったり、熱による寸法シュリンク時にバラツキが生じたりする問題があった。また、パターン欠陥を生じやすい問題もはらんでいることも否めない。
【0015】
従って、本発明は、高集積化、高速度化が進むLSIを生産する際、要求されている極めて微細なパターンルールを加工する技術として、煩雑な工程を踏まず、簡便で工程管理に有用なダブルパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明者らは種々の検討を鋭意行った結果、第1の化学増幅ポジ型レジスト用樹脂中において、架橋化処理を行うことによって、必要な有機溶剤耐性、即ち第2のレジスト材料を塗布する際に必要な第2の化学増幅レジスト材料に用いられる有機溶剤に対する耐性を第1のポジ型レジストパターンに具現させ、かつ第2のレジスト材料をパターニングする際の現像に用いるアルカリ現像液に不溶化でき、第1のポジ型レジストパターンを第2のレジスト膜のパターニングにおいても崩壊や溶解することなく、保持することができることから、第1のレジストパターンと第2のレジストパターンを合わせたダブルパターン形成が可能な方法を見出した。このダブルパターン形成方法は、第1のレジストパターニング後、パターンの下の被加工基板をエッチングする工程を必要とせず、第1レジストパターニング直後、第2のレジスト材料を塗布、パターニングする工程に進むことが可能となることから、簡便で有用である。
【0017】
本発明は、下記のパターン形成方法を提供する。
即ち、本発明は、第1に、被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造の繰り返し単位を有する樹脂と酸発生剤とを含有する第1の化学増幅ポジ型レジスト材料を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって酸発生剤から発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に得られた該ポジ型パターンを次いで塗布される第2のレジスト材料の溶剤に対して不溶化、並びに第2のレジスト材料をパターニングする際に施されるアルカリ現像に対して不溶化させる工程として、高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程を含み、次いで、第2の化学増幅レジスト材料が第1レジストパターン上に塗布され、第2の化学増幅レジスト材料の溶剤をプリベークにより除去した後、該第2のレジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、アルカリ現像液で現像して、第2のレジストパターンを得る工程を含むダブルパターン形成方法であって、該第1のレジスト材料に含有される樹脂が下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とするダブルパターン形成方法。
【化1】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。m=1もしくは2、n=0もしくは1であり、aは該繰り返し単位の樹脂中における存在比を示し、0.01≦a<1である。)(請求項1)
【0018】
本発明者らは第1レジスト材料のポジ型パターンを構成する樹脂を架橋させることによって、必要な有機溶剤耐性、即ち第2のレジスト材料を塗布する際に必要な第2の化学増幅レジスト材料に用いられる有機溶剤に対する耐性を第1のポジ型レジストパターンに具現させ、かつ第2レジスト材料をパターニングする際の現像に用いるアルカリ現像液に不溶化できることを案出した。第1のポジ型レジストパターンを第2のレジスト膜のパターニングにおいても崩壊や溶解することなく、保持することができることから、第1のレジストパターンと第2のレジストパターンを合わせたダブルパターン形成が可能な方法を見出した。これは、上記一般式(1)で示される繰り返し単位の下記のような特徴による架橋反応が、本発明のダブルパターン形成方法を可能にしたものと考えられる。
【0019】
なお、第2のレジスト材料がポジ型の場合、ダブルパターンは、被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造の繰り返し単位を有する樹脂と酸発生剤とを含有する第1の化学増幅ポジ型レジスト材料を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって酸発生剤から発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に得られた該ポジ型パターンを次いで塗布される第2のレジスト材料の溶剤に対して不溶化、並びに第2のレジスト材料をパターニングする際に施されるアルカリ現像に対して不溶化させる工程として、高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程を含み、次いで、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造の繰り返し単位を有する樹脂と酸発生剤とを含有する第2の化学増幅レジスト材料が第1レジストパターン上に塗布され、第2の化学増幅レジスト材料の溶剤をプリベークにより除去した後、該第2のレジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって酸発生剤から発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ現像液で現像して、第2のポジ型レジストパターンを得る工程を含むものである。
【0020】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位には、求核性に富む一級のアルコールを含有しており、この一級のアルコールが架橋反応に与るものとされる。即ち、第1のポジ型レジストパターンを架橋し、有機溶剤やアルカリ現像液に対して不溶化せしめる高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程において、第1のポジ型パターンの樹脂中に残存する未反応の酸不安定基は、露光部からの拡散した酸や残存する酸による脱離、熱による脱離や、更には該樹脂が、高エネルギー線照射によって第1レジストパターンに残存する未反応の酸発生剤から酸を発生することによって生じる酸不安定基の脱離反応によってカルボン酸に変化し、第1レジストパターンはアルカリ現像液に対して可溶に転じてしまうが、このアルカリ可溶性のカルボン酸に対して、上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含有される一級のアルコールが作用し、エステル化反応が進行することによって、アルカリ可溶性を封止することが可能となる。
【0021】
一方、上述の上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含有した一級のアルコールと酸不安定基の脱離反応によって生じるカルボン酸のエステル化反応は、第1レジスト材料中の樹脂において、分子内、分子間で起こりうる。樹脂中分子間でエステル化反応が進行した場合、それは樹脂間の架橋反応に匹敵することから、樹脂の分子量が大きく増大し、一般的に用いられるレジスト材料の有機溶剤に不溶となるものと考えられる。
【0022】
従って、第1レジストパターニング直後に第2のレジスト材料を塗布しパターニングする本発明のダブルパターン形成方法において、第1レジストパターンを有機溶剤に対して不溶化、アルカリ現像液に対して不溶化させる手段として、上記一般式(1)で示される繰り返し単位が必須であって、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を第1の化学増幅ポジ型レジスト材料の樹脂に含有させることで、本発明の目的が達成できたのである。
【0023】
一方、本発明における、第1レジストパターニング直後に施される第2の化学増幅レジスト材料はポジ型であってもよく、更に一方で、第2の化学増幅レジスト材料はネガ型であってもよい。即ち、これは、第2のレジスト材料がポジ型、ネガ型のいずれであっても、広くレジスト材料に用いられる有機溶剤に対して第1のレジストパターンを不溶化させることが可能となったことが成せるものである。
【0024】
更に本発明の、第1レジスト膜のパターン形成を行うためには、第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂において、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造単位の繰り返し単位が下記一般式(2)で示されることを特徴とし、かつ上記樹脂が下記一般式(3)で示される繰り返し単位を含有することで良好な結果を得ることができる。
【0025】
【化2】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R2は酸不安定基を示す。R3はラクトン構造を有する基を示す。b、cはそれぞれ各繰り返し単位の存在比を示し、0.01≦b<1、0.01≦c<1であって、0.3≦a+b+c≦1である。)(請求項2)
【0026】
第1レジストパターニング直後に第2のレジスト材料を塗布し、パターニングする本発明のダブルパターン形成方法において、第1レジストパターンを有機溶剤に対して不溶化、アルカリ現像液に対して不溶化させる手段として、第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂において、下記一般式(4)、(5)、(6)のいずれかで示される7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位を含有させることも有用である。即ち、下記一般式(4)、(5)、(6)のいずれかで示される7−オキサノルボルナン環構造は、有機溶剤やアルカリ現像液に対して不溶化せしめる高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程において、露光部からの拡散した酸や残存する酸、更には高エネルギー線照射によって第1レジストパターンに残存する未反応の酸発生剤から発生する酸を触媒として、開環、架橋反応が進行するので、第1レジストパターンを有機溶剤に対して不溶化、アルカリ現像液に対して不溶化させる反応を補うことが可能である。
【0027】
【化3】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R4は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステルに連結した炭素原子は一級又は二級である。R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であって、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、もしくは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環状アルキル基を形成してもよく、又は−CO211である。ここで、R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。0≦d≦0.5の範囲であって、0.3≦a+b+c+d≦1である。)(請求項3)
【0028】
第1ポジ型レジスト材料の樹脂へ導入される上記7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位自身、開環、架橋反応が進行することで、第1レジストパターンは、第2レジスト材料の溶剤に対して不溶となり、かつ第2レジスト膜のパターニングを施す際のアルカリ現像液に対して不溶となることを効果的に高めることができる。このとき、該第1レジスト材料に含有される樹脂は上記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有することから、上記一般式(1)の第一級のアルコールが積極的に上記7−オキサノルボルナン環構造に求核攻撃すると考えられ、上記7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位の開環、架橋反応が更に効率的に進行すると考えられ、効果的に第2レジスト材料の有機溶剤に対し不溶、パターニングの際のアルカリ現像液に対して不溶となることを与え、極めて好適である。
【0029】
得られた第1のポジ型パターンを次いで塗布される第2のレジスト材料の溶剤に対して不溶化、並びに第2のレジスト膜をパターニングする際に施されるアルカリ現像に対して不溶化させる高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程において、それぞれの不溶化を促進させる目的で、高エネルギー線によって酸を発生する化合物及び/又は熱によって酸を発生する化合物を添加することも好ましい(請求項4)。これは、上述の上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含有する一級のアルコールと第1レジストパターン系中の酸不安定基が脱離することで発生するカルボン酸の分子間架橋ともとれるエステル化反応の酸触媒を補う目的と、加えて、上記一般式(4)、(5)、(6)で示される7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位の開環、架橋反応を促進するための酸を補うことの目的を担う。
【0030】
一方、本発明は、第1の化学増幅レジスト材料のパターニングに際し、更には、第2の化学増幅レジスト材料のパターニングにおいて、極めて微細なパターンの加工が必要となる場合、それぞれのレジスト膜に高エネルギー線をパターン露光する際に、屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光にて行うことが可能である(請求項5)。
【0031】
更に、第1、第2それぞれのレジスト膜に高エネルギー線をパターン露光する際に、屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光を行う場合は、第1、第2のレジスト膜を塗布した後にそれぞれのレジスト膜上に保護膜を施すことも好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、液浸露光を行い、微細なパターンを加工することも可能であって、更にダブルパターニングが可能となることで、更に微細なパターンを簡便に加工できる方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明で克服しなければならない課題は、形成された第1レジストパターンに第2レジスト材料を塗布する際に用いる第2レジスト材料の溶剤に対して、不溶化させなければならない点がある。
【0034】
また、本発明で克服しなければならない課題のもう一点は、特に重要であって、形成された第1レジストパターンを、第2レジスト膜をパターニングする際のアルカリ現像液に対して、完全に不溶化させなければならないことにある。完全に不溶化とは、形成された第1レジストパターンが第2レジスト膜のパターニング工程のいずれにおいても、変形や崩壊することなく、アルカリ現像液に触れた場合においても溶解、パターンの形状、サイズの大きな変動がないまま、保持されることを指す。例えば、第1レジスト膜がアルカリ現像液に不溶化した場合であっても、実際の第1レジスト膜の微細パターンは、保持されることがなく、崩壊したり、膨潤をともなって変形したり、消失したりしてしまうことが実際ある。そこで、本発明者らは、鋭意、検討した結果、第2レジスト膜のパターニング工程において、第1レジストパターンが崩壊することなく不溶化することのできる、第1化学増幅ポジ型レジスト材料の樹脂を見出すに至った。
【0035】
更に、本発明で具現するダブルパターン形成方法は、第1のレジストパターンに架橋反応を進行せしめ、有機溶剤不溶、アルカリ現像液不溶にする工程直後に、第2レジスト材料を塗布、パターニング工程へ移るような、工程の利便性を求めなければならない。第1レジスト膜のパターニングと第2レジスト膜のパターニングの間に、エッチング工程を導入し、第1レジストパターンを被加工基板へ転写した後に第2レジスト材料を塗布、パターニングする工程は、煩雑で、工程時間も長くなって効率的とはいえない。できれば、単純な工程によって第1レジストパターンの有機溶剤不溶化、アルカリ現像液不溶化を行いたい。
【0036】
第1レジストパターン表面に対して、不溶化を促進するような材料を付着させるような特殊な工程は用いたくない。それは、不溶化を促進する材料を第1レジストパターン上に付着させるために、第1レジストパターン上へその不溶化促進材料を塗布する工程、不溶化反応を行う加熱する工程、不要で余った不溶化促進材料の除去工程といった、いくつもの工程を必要とし、効率的なダブルパターン形成方法とはいい難い。更に、不溶化促進の材料を用いた場合、余った不溶化促進材料の除去が不十分であった場合、パターン欠陥となるため、デバイス製造の歩留まりを大きく低減しかねない。また、第1レジストパターン上に付着した不溶化促進材料が、例えば形状の劣化、パターンサイズの変動といった第2レジスト材料への悪影響を及ぼすことも危惧される。できれば、第1レジストパターン自らが、架橋、不溶化する特徴を具備していることが好ましい。
【0037】
同じように、第1レジストパターンを不溶化させるために特殊な装置を導入することも避けるべきであると考えた。即ち、第1レジストパターンの不溶化のために第1レジストパターン表面へSi化合物などを蒸着する方法も検討されたが、蒸着させる装置の導入は、非常に高価であって好ましくない。できれば、半導体製造の中のリソグラフィー工程周辺にある、例えば加熱工程に用いられるホットプレートや、パターン露光に用いる露光機を用いることに留めたいと考えた。
【0038】
次に、本発明を具現化するに当たって、克服しなければならない課題と、他に注意しなければならなかった点があったので記載する。
まず、一点は、第1レジストパターンを有機溶剤不溶、アルカリ現像液不溶とせしめる高温加熱工程において、不溶化のための架橋反応を促進するために、その温度は高温が好ましく、第1レジスト膜の塗布のプリベーク、露光後のベーク(Post Exposure Bake;PEB)工程の温度より高温であることが望ましいことが挙げられる。即ち、架橋反応を施す温度が第1レジスト膜の塗布プリベークやパターン露光後のベーク(PEB)に近い場合、第1レジスト膜のパターニング中に架橋反応が進行する危険があり、第1レジストパターンのリソグラフィー特性を著しく劣化させることを拭い去ることができない。また、第1レジストパターンのTg.(ガラス転移点)よりも高い温度で第1パターンを加熱した場合、第1レジストパターンはサーマルフローを引き起こし、パターンサイズが増大してしまい、微細な加工が困難となる。また、サーマルフローが生じた場合、レジストパターンの高さも低くなる。
【0039】
第1レジストパターンのアルカリ可溶性の発現、第2レジスト材料の塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化する架橋反応を施すための高温加熱する温度の最適は、150℃以上が好ましく、更に好ましい範囲は180〜220℃がよい。化学増幅レジスト材料に必須な光酸発生剤や塩基性化合物は一般的に可塑剤として働き、レジストパターンのTg.を低下させ、サーマルフローが始まる温度が低温となってしまう。光酸発生剤や塩基性化合物は化学増幅レジスト材料に通常配合される成分であるから、その添加、可塑の効果を鑑みて、レジストベース樹脂自身のTg.を上げておく必要がある。従って、レジストベース樹脂のTg.の最適は、150℃以上、好ましくは180℃以上である。架橋反応を施す高温加熱の温度が220℃より高い場合、第1レジストパターンのサーマルシュリンクが著しかったり、熱的ダメージが著しかったりする。架橋反応を施す加熱工程が150℃未満の場合、十分な架橋反応は進行し難い。
【0040】
ところで、第1レジストパターンの露光部から拡散し、パターン中に残存した若干の酸、もしくは第1レジストパターンを有機溶剤に対する耐性の具現化やアルカリ現像液に不溶化する高温による加熱工程、もしくは高エネルギー線を照射する工程において、第1レジストパターン中に残存するレジスト材料の酸発生剤が分解することによって発生する酸が、第1レジストパターンの架橋反応を促進する触媒として働くが、このような第1レジストパターン中の酸を補う目的で、第1レジスト材料に熱によって酸を発生することのできる熱酸発生剤を積極的に添加する方法が案出された。ところが、第1レジスト材料へ過剰に添加した熱酸発生剤は、第1レジスト膜をパターニングする際にその解像性能やプロセスマージンを劣化させることを知見した。例えば、熱酸発生剤は酸のアンモニウム塩等が用いられるが、レジスト材料の光酸発生剤に用いられるオニウム塩とアニオン交換が系中で起こると推察され、所望の解像性能が得られないことがある。例えば、熱酸発生剤を添加することでレジスト膜中で酸不安定基に作用する酸の拡散が大きくなるような振る舞いが観察される。酸拡散の増大は、形成するべくレジストパターンの露光裕度(Exposure Latitude)、マスクエラーファクター(Mask Error Factor; MEF)といったプロセスマージンを劣化する。
【0041】
また、熱酸発生剤の添加は後述する第1レジストパターンの熱特性を劣化させることも判明した。即ち、添加した熱酸発生剤が、第1レジストパターンを架橋することで第2レジスト材料の溶剤に対する耐性を持たせ、アルカリ現像液へ不溶化する高温加熱工程において、可塑剤として振る舞い、第1レジストパターンがこの高温加熱工程でサーマルフローを起こしてしまう弊害が発生する。
【0042】
このように第1レジスト材料へ熱酸発生剤を添加することは、第1レジストパターンの第2レジスト材料の塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化、アルカリ現像液へ不溶化する架橋反応が促進することで好ましいが、過剰の添加はいくつかの弊害を引き起こす。熱酸発生剤の添加は、第1レジスト膜のパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジストパターンの熱特性に影響を与えない程度の添加量が好ましく、その添加量は第1レジスト材料のベースとなる樹脂の質量に対して5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましい添加範囲は、1〜0.01%である。
【0043】
このように、本発明を具現化するに当たり、第1のポジ型レジストパターンに有機溶剤耐性を持たせる課題、アルカリ現像液に完全に不溶化させる課題を更に具現化するに当たってクリアにしなければならない注意点を、鋭意検討、考察を重ね、解決し、本態様に係るダブルパターン形成方法を完成するに至った。
【0044】
更に、本発明の詳細を説明する。
本態様に係るパターン形成方法に用いられる第1のポジ型レジスト材料のベース樹脂に使用される高分子化合物としては、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする。
【化4】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。m=1もしくは2、n=0もしくは1であり、aは該繰り返し単位の樹脂中における存在比を示し、0.01≦a<1である。)
【0045】
本発明のダブルパターン形成方法において、第1ポジ型レジスト材料のベース樹脂として、第1のレジストパターン自らが架橋し、第2レジスト材料の有機溶剤に不溶となり、第2レジストパターンを形成するそれぞれの工程において、そして特にアルカリ現像工程において、第1レジストパターンが崩壊したり、膨潤をともなって変形したり、溶解消失したりしてしまうことがない、完全に不溶化することが可能となる特徴を与える上記一般式(1)示される繰り返し単位を含有する樹脂を用いる。これは、上述したように、上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含まれる求核性に富む一級のアルコールが架橋反応にあずかるものとされる。即ち、第1のポジ型レジストパターンを架橋し、有機溶剤やアルカリ現像液に対して不溶化せしめる高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程において、第1のポジ型レジストパターン中に残存する未反応の酸不安定基は、露光部からの拡散した酸や残存する酸による脱離、熱による脱離や、更には高エネルギー線照射によって第1レジストパターンに残存する未反応の酸発生剤から発生した酸によって生じる酸不安定基の脱離反応によって、後述する酸不安定基含有繰り返し単位がカルボン酸の繰り返し単位に変化し、第1レジストパターンはアルカリ現像液に対して可溶に転じてしまうが、このアルカリ可溶性のカルボン酸に対して、上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含有される一級のアルコールが作用し、エステル化反応が進行することによって、アルカリ可溶性を封止することが可能となる。
【0046】
第1レジストパターンに対し系中架橋反応を施し、有機溶剤に不溶、更にアルカリ現像液に不溶化を図るため、種々の架橋反応が採用できるが、上述したように架橋反応を進行させる高温加熱や高エネルギー線照射工程において、第1レジストパターン中に残存した酸不安定基が脱離してアルカリ可溶性のカルボン酸へ転じてしまう反応も同時に進行してしまうため、実は、アルカリ現像液に対して完全に不溶化することは困難であった。アルカリ現像液に対して完全に不溶化できないと、第1レジストパターンは、第2レジストパターン形成後、膨潤をともなった形状の変化が生じたり、中途半端に溶解したようなパターンが観察されたり、溶解消失することがあったりする。
【0047】
しかしながら、本発明のダブルパターン形成方法において、第1レジスト材料に用いる樹脂中、上記一般式(1)で示される繰り返し単位に含有した一級のアルコールは、酸不安定基の脱離反応によって生じるカルボン酸をエステル化反応によって封止することができるので、アルカリ現像液に対して第1レジストパターンを完全に不溶化できるものである。
【0048】
有機溶剤に対する不溶化に関しては、第1レジスト材料中の樹脂において、分子内、分子間で起こりうる。樹脂中分子間でエステル化反応が進行した場合、それは樹脂間の架橋反応に匹敵することから、樹脂の分子量が大きく増大し、一般的に用いられるレジスト材料の有機溶剤に不溶となるものと考えられる。
【0049】
上記一般式(1)で示される単位は、具体的には以下のものである。なお、Meはメチル基を示す。
【化5】

【0050】
更に第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂は、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造単位の繰り返し単位が下記一般式(2)で示されることを特徴とし、かつ下記一般式(3)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とするが、まず、一般式(2)に関して、詳細に説明する。
【化6】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R2は酸不安定基を示す。R3はラクトン構造を有する基を示す。b、cはそれぞれ各繰り返し単位の存在比を示し、0.01≦b<1、0.01≦c<1であって、0.3≦a+b+c≦1である。)
【0051】
2の酸不安定基としては、種々用いることができ、第1レジスト材料は化学増幅型レジスト材料であって、後述する光酸発生剤から発生する酸によって脱保護される基であり、従来からレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料において使用される公知のいずれの酸不安定基であってもよいが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0052】
【化7】

【0053】
ここで、破線は結合手を示す。式(L1)において、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基としては上記RL01、RL02と同様のものが例示でき、置換アルキル基としては下記の基等が例示できる。
【0054】
【化8】

【0055】
L01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0056】
式(L2)において、RL04は炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)プロパン−2−イル基、2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル、3−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル、3−エチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0057】
式(L3)において、RL05は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの、又はこれらのメチレン基の一部が酸素原子又は硫黄原子に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。式(L3)において、mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0058】
式(L4)において、RL06は炭素数1〜10の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的には水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16はその2種が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0059】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【0060】
【化9】

【0061】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0062】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0063】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシブチル)シクロペンチル、1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−(7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、1−メチル−2−シクロペンテニル、1−エチル−2−シクロペンテニル、1−メチル−2−シクロヘキセニル、1−エチル−2−シクロヘキセニル等が例示できる。
【0064】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【0065】
【化10】

【0066】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0067】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)には、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在しえるが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0068】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【0069】
【化11】

【0070】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【0071】
【化12】

【0072】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
なお、式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)、及び式(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する三級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【0073】
【化13】

【0074】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【0075】
【化14】

【0076】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0077】
3のラクトン構造を有する基としては、5員環ラクトン構造又は6員環ラクトン構造を有する基であることが好ましく、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化15】

【0079】
a、b、cはそれぞれ各繰り返し単位の存在比を示し、a、b、cは0.01以上1未満であり、0.3≦a+b+c≦1である。各存在比の好ましい範囲は、以下のとおりである。
0.01≦a≦0.5、より好ましくは0.01≦a≦0.4
0.05≦b≦0.6、より好ましくは0.1≦b≦0.5
0.01≦c≦0.7、より好ましくは0.05≦c≦0.6
なお、0.3≦a+b+c≦1とは、繰り返し単位a、b、cを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して30〜100モル%であることを示す。
【0080】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物には、存在比a、b、cで示される繰り返し単位に加え、更に下記の繰り返し単位等を導入してもよい。
【0081】
即ち、上記第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂において、更に下記一般式(4)、(5)、(6)のいずれかで示される7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位を有することが好ましく、これら繰り返し単位は、有機溶剤に対して不溶化、アルカリ現像液に対して不溶化する架橋反応を補う目的で含有させる。
【化16】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R4は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステルに連結した炭素原子は一級又は二級である。R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であって、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、もしくは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環状アルキル基を形成してもよく、又は−CO211であって、R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。0≦d≦0.5の範囲であって、0.3≦a+b+c+d≦1である。)
【0082】
ここで、炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、シクロペンチレン基、n−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0083】
また、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0084】
一般式(4)、(5)、(6)で示される7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位として、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0085】
【化17】

【0086】
【化18】

【0087】
【化19】

【0088】
【化20】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。)
【0089】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する高分子化合物には、存在比a、b、c、dで示される繰り返し単位に加え、更に下記の繰り返し単位等を全繰り返し単位の0〜50モル%の割合で導入してもよい。
【0090】
【化21】

【0091】
【化22】

【0092】
第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に用いることのできる樹脂において、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
【化23】

【0094】
【化24】

【0095】
【化25】

【0096】
【化26】

【0097】
【化27】

【0098】
【化28】

【0099】
【化29】

【0100】
【化30】

【0101】
本発明に係る樹脂成分(A)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値で1,000〜50,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。
【0102】
なお、第1レジストである化学増幅ポジ型レジスト材料に用いることのできる樹脂成分は、各繰り返し単位に対応する(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーをラジカル重合法等の公知の方法に従って共重合することによって得ることができ、後述する実施例の高分子化合物は、いずれも所用の(メタ)アクリル酸エステル誘導体モノマーをラジカル重合の常法に従って合成したものである。
【0103】
本発明のパターン形成方法に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料は、上述したベース樹脂(高分子化合物)に加え、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解阻止剤、塩基性化合物、界面活性剤、その他の成分を含有することができる。
【0104】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に使用される有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチルラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0105】
なお、有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対し、200〜3,000部、特に400〜2,000部とすることが好ましい。
【0106】
本発明パターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料に使用される酸発生剤としては、
i.下記一般式(P1a−1),(P1a−2),(P1a−3)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体
等が挙げられる。
【0107】
【化31】

(式中、R101a、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。また、R101bとR101cとは互いに結合してこれらが結合する硫黄原子又はヨウ素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101b、R101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとは互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。)
【0108】
上記式(P1a−1),(P1a−2),(P1a−3)で示されるオニウム塩中、式(P1a−1)は光酸発生剤として機能し、式(P1a−2)は熱酸発生剤として機能し、式(P1a−3)は光酸発生剤、熱酸発生剤の両方の機能がある。式(P1a−1)と(P1a−2)を組み合わせると、露光で式(P1a−1)から発生した酸でパターン形成を行い、現像後の高温の加熱によって式(P1a−2)から発生した酸で架橋を効率よく行うことができる。
【0109】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド等のメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0110】
【化32】

【0111】
上記一般式(K−1)中、R102aは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。上記一般式(K−2)中、R102bは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0112】
上記R101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。オキソアルケニル基としては、2−オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート等が挙げられる。
【0113】
【化33】

(式中、R102a、R102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R104a、R104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K-は非求核性対向イオンを表す。)
【0114】
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
【0115】
【化34】

(式中、R105、R106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0116】
105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。R105、R106のアリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。R105、R106のハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。R105、R106のアラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0117】
【化35】

(式中、R107、R108、R109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R108、R109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R108、R109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。)
【0118】
107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0119】
【化36】

(式中、R101a、R101bは前記と同様である。)
【0120】
【化37】

(式中、R110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基、又はフェニル基で置換されていてもよい。R111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基、フェニル基、又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基;炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基;炭素数3〜5のヘテロ芳香族基;又は塩素原子もしくはフッ素原子で置換されていてもよい。)
【0121】
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
【0122】
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
【0123】
上記で例示した酸発生剤として、具体的には下記のものが挙げられる。
オニウム塩としては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩を挙げることができる。
【0124】
ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体を挙げることができる。
【0125】
グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体を挙げることができる。
【0126】
ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体を挙げることができる。
【0127】
β−ケトスルホン酸誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン酸誘導体を挙げることができる。
【0128】
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
【0129】
ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
【0130】
スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。
【0131】
N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0132】
特に、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
更に、国際公開第2004/074242号パンフレットで示されるオキシムタイプの酸発生剤を添加することもできる。
【0133】
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0134】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜20部である。更に好ましくは、1〜10部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。また、第1レジストパターンを有機溶剤不溶、アルカリ現像液不溶とする架橋反応は高温加熱条件で施されることから、この工程において、第1レジスト材料に添加される酸発生剤は、可塑剤として働くことがあり、第1レジストパターンがサーマルフローを引き起こすことがあるので、その添加に制限がある。従って、更に好ましい添加の上限はベース樹脂100部に対して酸発生剤10部までである。
【0135】
なお、上記式(P1a−1)と式(P1a−2)とを併用する場合、(P1a−2)は熱酸発生剤としてのみ機能するので、その併用割合は、式(P1a−1)1部に対して式(P1a−2)を0.001〜1部とすることが好ましい、もしくは、熱酸発生剤(P1a−2)の添加は、第1レジスト膜のパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジスト膜の熱特性に影響を与えない程度、第2レジスト膜へ影響を与えない程度の添加量が好ましいため、ベース樹脂100部に対して好ましくは0.01〜1部が好ましい。
【0136】
次に、本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料に配合される溶解阻止剤としては、重量平均分子量が100〜1,000、好ましくは150〜800で、かつ分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物の該フェノール性水酸基の水素原子を酸不安定基により全体として平均0〜100モル%の割合で置換した化合物又は分子内にカルボキシ基を有する化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基により全体として平均50〜100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。
【0137】
なお、フェノール性水酸基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でフェノール性水酸基全体の0モル%以上、好ましくは30モル%以上であり、その上限は100モル%、より好ましくは80モル%である。カルボキシ基の水素原子の酸不安定基による置換率は、平均でカルボキシ基全体の50モル%以上、好ましくは70モル%以上であり、その上限は100モル%である。
この場合、かかるフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物又はカルボキシ基を有する化合物として下記式(D1)〜(D14)で示されるものが好ましい。
【0138】
【化38】

【0139】
但し、式中R201、R202はそれぞれ水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R203は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R207hCOOHを示す。R204は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R205は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R206は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はそれぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R207は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R208は水素原子又は水酸基を示す。jは0〜5の整数である。u、hは0又は1である。s、t、s’、t’、s’’、t’’はそれぞれs+t=8、s’+t’=5、s’’+t’’=4を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。αは式(D8)、(D9)の化合物の分子量を100〜1,000とする数である。
【0140】
溶解阻止剤の配合量は、ベース樹脂100部に対して0〜50部、好ましくは5〜50部、より好ましくは5〜30部であり、単独又は2種以上を混合して使用できる。配合量が少ないと解像性の向上がない場合があり、多すぎるとパターンの膜減りが生じ、解像度が低下する傾向がある。また、加えて注意しなければならない点は、溶解阻止剤も可塑剤として働くことがあるので、第1レジストパターンを不溶化する工程において施される加熱工程で第1レジストパターンがサーマルフローしないように、添加には制限があって、より好ましくは5〜30部である。
【0141】
更に、本発明におけるポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、塩基性化合物を配合することができる。
塩基性化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0142】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0143】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0144】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0145】
芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0146】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0147】
アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0148】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子もしくは直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよい。)
【0149】
【化39】

【0150】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1個あるいは複数個含んでいてもよい。
【0151】
上記一般式(B)−1で表される化合物は、具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0152】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化40】

(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0153】
上記式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル等を挙げることができる。
【0154】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化41】

(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0155】
シアノ基を含む塩基性化合物として具体的には、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0156】
アミノ基とフルオロアルキル基を繰り返し単位として有する高分子化合物を添加することもできる。この高分子化合物は、塗布後のレジスト表面に配向することによって、現像後のレジストパターンの膜減りを防止し、矩形性を高めることができる。下記高分子化合物の添加は有効である。
【化42】

(式中、R01、R04、R07はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。X1、Y1、Y2はそれぞれ独立に単結合、−O−R09−、−C(=O)−O−R09−又は−C(=O)−NH−R09−、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はフェニレン基である。R09は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。nは1又は2であり、n=1の場合、Y1は単結合、−O−R09−、−C(=O)−O−R09−又は−C(=O)−NH−R09−、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はフェニレン基であり、R09は上記の通りである。n=2の場合、Y1は−O−R101=、−C(=O)−O−R101=又は−C(=O)−NH−R101=、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基から更に水素原子が1個脱離した基、又はフェニレン基から更に水素原子が1個脱離した基であり、R101は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基より更に水素原子が1個脱離した基であり、エステル基又はエーテル基を有していてもよい。R02、R03は同一又は異種の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数2〜20のアルケニル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミノ基、2重結合、又はハロゲン原子を有していてもよく、又は炭素数6〜10のアリール基であり、R02とR03が結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数3〜20の環を形成してもよい。R05は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、R06は水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基、又はR05と結合してR05、R06及びこれらが結合する炭素原子とで炭素数2〜12の脂環を形成してもよく、環の中にエーテル基、フッ素で置換されたアルキレン基又はトリフルオロメチル基を有していてもよい。R08は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、少なくとも1個のフッ素原子で置換されていて、エーテル基、エステル基、又はスルホンアミド基を有していてもよい。0<a<1.0、0≦(b−1)<1.0、0≦(b−2)<1.0、0<(b−1)+(b−2)<1.0、0.5≦a+(b−1)+(b−2)≦1.0である。)
【0157】
なお、塩基性化合物の配合量は、ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果が少なく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0158】
本発明のパターン形成方法に用いられるポジ型レジスト材料に添加することができる分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物としては、例えば下記[I群]及び[II群]から選ばれる1種又は2種以上の化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。本成分の配合により、レジストのPED(Post Exposure Delay)安定性が向上し、窒化膜基板上でのエッジラフネスが改善される。
【0159】
[I群]
下記一般式(A1)〜(A10)で示される化合物のフェノール性水酸基の水素原子の一部又は全部を−R401−COOH(R401は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基)により置換してなり、かつ分子中のフェノール性水酸基(C)と≡C−COOHで示される基(D)とのモル比率がC/(C+D)=0.1〜1.0である化合物。
【0160】
【化43】

(式中、R408は水素原子又はメチル基を示す。R402、R403はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。R404は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基、あるいは−(R409h−COOR’基(R’は水素原子又は−R409−COOH)を示す。R405は−(CH2i−(i=2〜10)、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す、R406は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜10のアリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子又は硫黄原子を示す。R407は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基、それぞれ水酸基で置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。R409は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R410は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基又は−R411−COOH基を示す。R411は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。hは1〜4の整数である。jは0〜3、s1〜s4、t1〜t4はそれぞれs1+t1=8、s2+t2=5、s3+t3=4、s4+t4=6を満足し、かつ各フェニル骨格中に少なくとも1つの水酸基を有するような数である。uは1〜4の整数である。κは式(A6)の化合物を重量平均分子量1,000〜5,000とする数である。λは式(A7)の化合物を重量平均分子量1,000〜10,000とする数である。)
【0161】
[II群]
下記一般式(A11)〜(A15)で示される化合物。
【化44】

(式中、R402、R403、R411は上記と同様の意味を示す。R412は水素原子又は水酸基を示す。s5、t5は、s5≧0、t5≧0で、s5+t5=5を満足する数である。h’は0又は1である。)
【0162】
本成分として具体的には、下記一般式(AI−1)〜(AI−14)及び(AII−1)〜(AII−10)で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
【化45】

(式中、R’’は水素原子又は−CH2COOH基を示し、各化合物においてR’’の10〜100モル%は−CH2COOH基である。κ、λは上記と同様の意味を示す。)
【0164】
【化46】

【0165】
なお、上記分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物の添加量は、ベース樹脂100部に対して0〜5部、好ましくは0.1〜5部、より好ましくは0.1〜3部、更に好ましくは0.1〜2部である。5部より多いとレジスト材料の解像度が低下する場合がある。また、第1レジストをアルカリ現像液に不溶化させたいのにも関わらず、上記分子内に≡C−COOHで示される基を有する化合物の添加量が多いと、十分な不溶化までに至らないことがある。また、これら化合物も可塑剤として働くことを留意する必要がある。
【0166】
本発明のパターン形成に用いられるポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0167】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171、F172、F173、R08、R30、R90、R94(DIC(株)製)、フロラードFC−430、FC−431、FC−4430、FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、S−386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、また、下記構造式(surf−1)の部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤も好ましく用いられる。
【0168】
【化47】

ここで、R、Rf、A、B、C、m’、n’は、上述の界面活性剤以外の記載に拘わらず、上記式(surf−1)のみに適用される。Rは2〜4価の炭素数2〜5の脂肪族基を示し、具体的には2価のものとしてエチレン、1,4−ブチレン、1,2−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレンが挙げられ、3又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化48】

(式中、破線は結合手を示し、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
これらの中で好ましく用いられるのは、1,4−ブチレン又は2,2−ジメチル−1,3−プロピレンである。
【0169】
Rfはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。m’は0〜3の整数、n’は1〜4の整数であり、m’とn’の和はRの価数を示し2〜4の整数である。Aは1、Bは2〜25の整数、Cは0〜10の整数を示す。好ましくはBは4〜20の整数を示し、Cは0又は1である。また、上記構造の各構成単位はその並びを規定したものではなくブロック的でもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては米国特許第5,650,483号明細書などに詳しい。
【0170】
上記界面活性剤の中でもFC−4430、サーフロンS−381、KH−20、KH−30、及び上記構造式(surf−1)にて示したオキセタン開環重合物が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0171】
本発明のパターン形成方法に用いられる化学増幅ポジ型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し2部以下、好ましくは1部以下であり、配合する場合は0.01部以上とすることが好ましい。
【0172】
一方、本態様に係るダブルパターン形成方法に用いられる第2のレジスト材料に関して記述する。
第2のレジスト材料は、ポジ型レジスト材料、ネガ型レジスト材料のいずれであってもよい。
【0173】
本態様に係るダブルパターン形成に用いられるレジスト材料としてポジ型レジスト材料が選ばれる場合、第1のレジスト材料と同じであってもよい利点がある。それは、第1のレジスト材料と同じ材料が第2レジスト材料である場合、レジスト材料を塗布する工程において、レジスト材料を吐出するノズルをひとつにすることができるからである。第2のレジスト材料が第1のレジスト材料と同じである場合の第2レジスト材料の詳細は、割愛する。
【0174】
更に、第2レジスト材料が、第1レジスト材料と異なるポジ型レジスト材料である場合は、公知のポジ型レジスト材料を用いることができる。この場合、本発明のパターン形成方法は、第1のレジストパターン現像後に架橋反応を行うことで、第2レジスト材料の有機溶剤に対して不溶化、更にアルカリ現像液に対して不溶化と成すことを特徴としているが、第2のレジストパターンの現像後においては、架橋反応は特に必要ではない。従って、第2のレジストパターンを形成するためのレジスト材料として、一般式(1)に示される構造単位は必須ではなく、従来からの、公知のいずれの化学増幅ポジ型レジスト材料をも使用し得る。
【0175】
次いで、第2レジスト材料が、ネガ型レジスト材料である場合を記述する。
相応しい第2のネガ型レジストの例として、公知のものを用いることができる(公知文献1〜17)。
公知文献1;国際公開2204−074936公報
公知文献2;特開2006−215067公報
公知文献3;特開2006−301289公報
公知文献4;特開2006−317803公報
公知文献5;特開2006−350198公報
公知文献6;特開2004−4794公報
公知文献7;特開2004−252146公報
公知文献8;特開2004−294638公報
公知文献9;特開2004−318080公報
公知文献10;特開2004−341432公報
公知文献11;特開2005−3862公報
公知文献12;特開2005−3863公報
公知文献13;特開2005−336452公報
公知文献14;特開2006−145788公報
公知文献15;特開2006−160−3066公報
公知文献16;特開2006−195050公報
公知文献17;特開2006−145775公報
【0176】
本発明に係るダブルパターニング方法は、上記第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成する。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層を介してポジ型レジスト材料による第1レジスト膜30を形成するが、第1レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃、更に好ましくは80〜120℃で、10〜300秒間、特に15〜200秒間、更に30〜120秒間行うことが好ましい。
【0177】
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0178】
2層レジストとして使用する際の、被加工基板上で、形成されたダブルパターニングの下層膜である有機膜材料は、公知のものが多数あり、これらは何れも使用できる。有機膜について若干の説明を加えると、基本的には芳香族系の樹脂が好ましく、また、本発明のレジスト材料を塗布、成膜する際にインターミキシングが起こらないよう、成膜時に架橋されるものが好ましい。
【0179】
芳香族系の樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリヒドロスチレン系の樹脂等があり、この有機膜にパターン転写した後に基板をエッチング加工する際のエッチング耐性を上げるため、フルオレン骨格や、インデン骨格を含有するものが有効に使用することができる。また、この有機膜上に反射防止膜を形成し、その上に本発明のレジスト膜を形成してもよいが、有機膜が反射防止機能を有していれば、工程をより簡便にすることができ、好ましい。この反射防止機能を与えるためにアントラセン骨格やナフタレン骨格、また共役不飽和結合を有するベンゼン骨格を持った樹脂を使用することが好ましい。
【0180】
架橋の形成は、熱硬化樹脂や、ネガ型レジスト材料で使用される架橋法により形成することができ、フェノールやアルコキシフェニル、アルコールあるいはカルボン酸等の官能基を有する樹脂に対し、熱で分解して酸を発生する物質と、ヘキサアルコキシメチルメラミンをはじめとする上記官能基と酸触媒により架橋を形成する架橋剤を加えた組成物溶液を被加工基板上に塗布し、加熱によって酸を発生させ、架橋形成をさせる方法が一般的である。
【0181】
上記第1のポジ型レジスト材料を基板上に塗布してレジスト膜を形成し、露光前加熱(プリベーク)を施した後、次いで、第1レジスト膜の露光を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、その中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶媒として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【0182】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度、更に好ましくは10〜50mJ/cm2となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、30秒〜5分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜3分間ポストエクスポージュアベーク(PEB)する。
【0183】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のレジストパターン30aが形成される(図1(B)参照)。
【0184】
上記パターニング方法によって得られる第1レジスト膜のラインとラインの間のスペース部に、第2レジスト膜のラインパターンが形成される。第1レジスト膜の上記パターン30aを形成する際、高エネルギー線の露光量を大きくすることで第1レジストパターンのラインを細く仕上げることができ、即ち、第1レジストパターンのスペースが広くなり、第2レジストパターンのライン形成に有利になる。第1レジスト膜の過露光によって、ラインサイズが小さくなった図例を(図1(B−1))に示す。例えば、第1レジストパターンのラインとスペースの形成において、それぞれが1:3の比率で形成し、次いで第2レジストのパターン形成において、第1レジストラインパターンの間、中央へ、第2レジストラインパターンを先の比率1のサイズで形成するならば、第1のレジストパターンと第2のレジストパターンを合せ、1:1のライン&スペースを形成でき、1回のパターン形成では不可能な微細な繰り返しパターンを得ることができるようになる(後述する図2(E−2)、(E−4))。
【0185】
次いで、第1レジストパターンを第2レジスト材料の有機溶剤に対して不溶、第2レジストパターン形成時に行うアルカリ現像の現像液に対して不溶とせしめる高温加熱を施す。不溶化のための架橋反応を促進するためにその温度は、前述の通り、高温が好ましく、第1レジスト膜の塗布のプリベーク、露光後のベーク(Post Exposure Bake;PEB)工程の温度より高温であることが望ましい。また、その最適温度は、150℃以上が好ましく、更に好ましい範囲は180〜220℃がよい。レジスト材料の光酸発生剤や塩基性化合物は一般的に可塑剤として働き、レジストパターンのTgを低下させ、サーマルフローが始まる温度が低温となってしまう。光酸発生剤や塩基性化合物はレジスト材料に通常配合される成分であるから、その添加、可塑の効果を鑑みて、レジストベース樹脂自身のTgを上げておく必要がある。従って、レジストベース樹脂のTgの最適温度は、150℃以上、好ましくは180℃以上である。架橋反応を施す高温加熱の温度が220℃より高い場合、第1レジストパターンのサーマルシュリンクが著しかったり、熱的ダメージが著しかったりすることがある。前述した通り、架橋反応を施す加熱工程が150℃未満の場合、十分な架橋反応は進行し難い。
【0186】
更に、第1レジストパターンを有機溶剤不溶、アルカリ現像液不溶とせしめる加熱工程において、積極的に第1レジストパターン系中に酸を発生させ、その酸を触媒として架橋反応を促すことが重要である。
【0187】
即ち、積極的に第1レジストパターン系中へ酸を発生させるには、現像後のウエハー(パターン)のフラッド露光(全面露光)によって光酸発生剤の分解を行う方法がある。フラッド露光の露光波長は波長180〜400nmで、露光量10mJ/cm2〜1J/cm2の範囲である。波長180nm未満、特には172nm、146nm、122nmのエキシマレーザーや、エキシマランプの照射は、光酸発生剤からの酸の発生だけでなく、光照射による架橋反応を促進させ、過剰な架橋によってアルカリ溶解速度が低下するために好ましくない。フラッド露光の波長は193nmより長波長のArFエキシマレーザー、222nmのKrClエキシマランプ、248nmのKrFエキシマレーザー、254nmの中心の低圧水銀ランプ、308nmのXeClエキシマランプ、365nmのi線が好ましく用いられる。
【0188】
しかしながら、フラッド露光を施す装置を半導体デバイスの生産ラインへ組み込むことは、その装置が高価であること、工程数が増加することによるスループットの低下等の弊害もあって、用いることを避けたい。
【0189】
また、積極的に第1レジストパターン系中へ酸を発生させるため、熱酸発生剤を第1レジスト材料へ添加してもよい。
【0190】
例えば、ポジ型レジスト材料にアンモニウム塩の熱酸発生剤を添加しておいて、加熱によって酸を発生させることもできる。この場合、酸の発生と架橋反応は同時に進行する。加熱の条件は180〜220℃の温度範囲で、10〜300秒、特に30〜60秒の範囲が好ましい。第2レジスト溶媒に不溶、アルカリ現像液に対して不溶の架橋レジストパターンが形成される。
【0191】
なお、上記アンモニウム塩の熱酸発生剤としては、具体的に下記のものを挙げることができる。第1レジスト材料へ熱酸発生剤を添加することは、第2レジスト材料塗布に用いられる有機溶剤に対する耐性を具現化、第2レジストパターン形成のアルカリ現像液に対して不溶を具現化する架橋反応を促進することで好ましいが、過剰の添加はいくつかの弊害を引き起こす。熱酸発生剤の添加は、第1レジスト膜のパターニングにおけるリソグラフィーに影響を与えない程度、第1レジストパターンの熱特性に影響を与えない程度、第2レジスト膜へ影響を与えない程度の添加量が好ましく、その添加量は第1レジスト材料のベースとなる樹脂の質量に対して10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましい添加範囲は、3〜0.01%である。
【0192】
【化49】

(式中、K-はα位の少なくとも1つがフッ素化されたスルホン酸、又はパーフルオロアルキルイミド酸もしくはパーフルオロアルキルメチド酸である。R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基によって置換されていてもよい。R101dとR101e、R101dとR101eとR101fとはこれらが結合してこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e及びR101dとR101eとR101fは炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。)
【0193】
-として具体的には、トリフレート、ノナフレート等のパーフルオロアルカンスルホン酸、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチド等のメチド酸、更には下記一般式(K−1)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネート、下記一般式(K−2)に示されるα位がフルオロ置換されたスルホネートが挙げられる。
【0194】
【化50】

【0195】
上記一般式(K−1)中、R102aは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアシル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基又はアリーロキシ基であり、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はラクトン環を有していてもよく、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。上記一般式(K−2)中、R102bは水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
【0196】
ところで、フラッド露光を施さずとも、もしくは積極的に第1レジストパターン中へ酸を発生するために用いる熱酸発生剤を添加しなくとも、実は、第1レジストパターン中露光部から拡散し、残存した微量の酸によって、架橋反応が進行し、溶剤耐性を持たせることが可能となる例がある。しかしながら、この酸が第1レジストパターンの酸不安定基を加熱工程において脱離させるので、アルカリ現像液可溶性となることは避けられない。そのため、アルカリ現像液可溶性を回避するだけの架橋反応が必要となるので、第1レジストパターンの中には、積極的に酸を発生させ得る方法を講じなければならない。
【0197】
図1(c)は、第1レジストパターンが加熱工程後、架橋したところを示す。
【0198】
第1レジストパターンは、加熱工程において、架橋反応が進行したことにより、第2レジスト材料の有機溶剤に対して不溶となったことから、第2レジスト材料を第1レジスト材料の上に塗布することが可能となる(図2(D))。もし、本発明にあるような架橋反応を経ない場合、第1レジスト材料と第2レジスト材料に用いる有機溶剤は同じ、もしくは同じような溶解特性を有した有機溶剤であることがほとんどであるため、第1レジストパターンは第2レジスト材料の溶剤に溶解し、残存できないことはいうまでもない。
【0199】
前述した通り、第1レジストパターンのラインパターンをライン&スペース1:3で形成し、その第1レジストパターンのラインパターン間の中央にラインを上記ラインの比率の1に相当するように第2レジスト膜へ露光を施すと、第1レジストパターンと第2レジストパターンを合わせた、1:1の繰り返しの微細ライン&スペースのダブルパターンが形成される。第2レジスト材料がポジ型である場合、第1レジストパターンの間の中央に、第2レジストのラインを形成するように露光するためには、図2(E−1)にあるように第1レジストパターン間の中央を遮光するように露光を施せばよい。一方、第2レジスト材料がネガ型である場合、第1レジストのラインパターン間の中央へ露光することによって、ラインパターンが形成される(図2(E−3))。このように、第1レジストのラインの間に第2レジストのラインを形成することによって、1度の露光、パターニングでは不可能な微細な繰り返しのライン&スペースを得ることができる(第2レジスト膜;ポジ型(図2(E−2))、第2レジスト膜;ネガ型(図2(E−4)))。
【0200】
その他のダブルパターンの形成例として、下記を挙げることができる。まず、第1レジストパターンのライン&スペースを形成した後、加熱工程、架橋反応を施し、有機溶剤不溶、アルカリ現像液不溶化を経て、第2レジスト材料を塗布し、その後、第2レジスト膜へ露光、パターニングを施すが、このとき第1レジストパターンに対して直交するようにライン&スペースを形成させる(図3(E−5))第2レジスト膜の現像を終えると、第1、第2のレジストパターンそれぞれのライン&スペースが直交していることから、スペースはコンタクトホールとして見てとれる。1度の露光、パターン形成では不可能な微細なコンタクトホールをダブルパターン形成方法によって成し得る例である。図3(E−6)で示す形成方法は、第2レジスト膜がポジ型である場合を示している。
【0201】
更に、図2(E−2),(E−4)、図3(E−6)に示したように、得られたダブルパターンをマスクとして、ハードマスク等の中間介在層がある場合はこの中間介在層をエッチングし、更に被加工基板20のエッチングを行う。この場合、ハードマスク等の中間介在層のエッチングは、フロン系、ハロゲン系のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができ、被加工基板のエッチングは、ハードマスクとのエッチング選択比をとるためのエッチングガス及び条件を適宜選択することができ、フロン系、ハロゲン系、酸素、水素等のガスを用いてドライエッチングすることによって行うことができる。次いで、架橋レジスト膜、第2レジスト膜を除去するが、これらの除去は、ハードマスク等の中間介在層のエッチング後に行ってもよい。なお、架橋レジスト膜の除去は、酸素、ラジカル等のドライエッチングによって行うことができ、第2レジスト膜の除去は上記と同様に、あるいはアミン系、又は硫酸/過酸化水素水等の有機溶媒等の剥離液によって行うことができる。
【実施例】
【0202】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本態様を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。また、下記においてMeはメチル基、Etはエチル基を示す。
【0203】
[合成例]
第1レジスト材料に用いる高分子化合物、第2レジスト材料に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてテトラヒドロフラン溶媒下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜10、比較レジストポリマー11〜13)を得た。モノマーのフェノール基はアセトキシ基で置換し、重合後のアルカリ加水分解によってフェノール基にした。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0204】
レジストポリマー1(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.74
【化51】

【0205】
レジストポリマー2(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,250
分散度(Mw/Mn)=1.68
【化52】

【0206】
レジストポリマー3(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.70
【化53】

【0207】
レジストポリマー4(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化54】

【0208】
レジストポリマー5(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,000
分散度(Mw/Mn)=1.71
【化55】

【0209】
レジストポリマー6(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.67
【化56】

【0210】
レジストポリマー7(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化57】

【0211】
レジストポリマー8(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=6,400
分散度(Mw/Mn)=1.70
【化58】

【0212】
レジストポリマー9(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=1.82
【化59】

【0213】
レジストポリマー10(第1レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=7,000
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化60】

【0214】
レジストポリマー11(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=7,100
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化61】

【0215】
レジストポリマー12(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=6,800
分散度(Mw/Mn)=1.79
【化62】

【0216】
レジストポリマー13(第1レジスト材料用/比較高分子化合物)
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化63】

【0217】
[実施例1〜20、比較例1〜6]
次に上述した高分子化合物を用いて、光酸発生剤、塩基性化合物、熱酸発生剤、有機溶剤を更に添加した各第1レジスト組成物を用いた配合例を示す。なお、溶剤はすべて界面活性剤としてKH−20(旭硝子(株)製)を0.005質量%含むものを用いた。
【0218】
光酸発生剤:PAG1(下記構造式参照)
【化64】

【0219】
塩基性化合物:Quencher1(下記構造式参照)
【化65】


熱酸発生剤:TAG1(下記構造式参照)
【化66】

【0220】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0221】
第1レジスト材料、比較第1レジスト材料のフォーミュレーション例を表1に示す。
第1レジスト材料のパターニングの実施例を示す。また、第1レジスト材料のパターニング比較例を示す(表2)。
表1に示す組成で調製したレジスト材料を孔径0.2μmのフィルターを用いてろ過し、ポジ型レジスト膜形成用塗布液を調製した。
シリコンウエハーにARC−29A(日産化学工業(株)製)を90nmの膜厚で成膜した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて各レジストに適正な温度で60秒間プリベークし、レジスト膜の厚みを1,200Åとした。適正なベーク温度とは、パターニング後、評価するパターンプロファイルをTop Down SEM(上空走査電子線顕微鏡)S9320 (株)日立製作所製)を用いて観察した際に矩形性が高く、ブリッジ等が発生せず、パターンエッジが欠けることのない、良好なプロファイルを得る温度を指す。適正なプリベーク温度を表2に示した。
【0222】
更に成膜した第1レジスト膜をArFスキャナー((株)ニコン製、S−307E)、NA0.85、σ 0.93−0.62、Dipoleの条件で、パターン露光を施した。用いたマスクは、6%HT−PSMを用い、マスク上ライン&スペースのデザインはライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)を使用した。最良なフォーカスを選択し、露光量を低露光量から高露光量まで変化させ、レジスト膜に照射した。
【0223】
露光後、ホットプレートでベークを行った(Post Exposure Bake=PEB)。各レジスト材料に相応しいPEB温度も表2に記載した。相応しいPEB温度は、それぞれのレジストのプロセスマージンが広く観察される温度を指す。PEBを60秒施した。PEB後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液で30秒間現像を行って、ポジ型のパターンを得た。
【0224】
【表1】

表中( )内は、質量部を示す。
【0225】
【表2】

【0226】
表2には、マスク上ライン&スペースのデザインのライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)ラインが40nmに仕上がる最適露光量を示した。
【0227】
次いで、実施例1〜10、比較例1〜3において得られた、マスク上ライン&スペースのデザインのライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)がライン40nmに仕上がったパターンに対して、ArFスキャナーを用いてArF露光50mJのフラッド露光を施し、更にホットプレートにおいて、200℃,60秒の加熱処理を行った。
【0228】
一方、実施例11〜20、比較例4〜6においては、熱酸発生剤を添加したことから、フラッド露光を施さず、ホットプレートにて200℃,60秒の加熱処理を行った。
【0229】
上記のフラッド露光や加熱工程は、第1レジストのパターン中架橋反応を生じさせ、第2レジストの塗布における有機溶剤耐性を発現させる目的と、第2レジストパターンを形成する際のアルカリ現像工程の現像液耐性を発現させる目的がある。上記フラッド露光や加熱工程を施した後、実施例1〜20、比較例1〜6のラインパターンに対して、第2レジストで用いられる溶剤;PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)5mLをコーターにおいて成膜した基板を回転しながら降りかけた。その後のパターンの変化を確認した。結果を表3に示す。更に、第2レジストのパターニングに相当する露光の50mJを実施例1〜20、比較例1〜6で得られたラインパターンに対し行い、その後、第2レジストのPEBに相当する100℃,60秒の加熱処理を行い、最終工程としてアルカリ現像液(TMAH2.38質量%)を用いた現像を30秒施した。その後のパターン変化の観察を行った。その結果も表3に記載した。
【0230】
【表3】

【0231】
表3の中において、実施例1〜10及び11〜20は、第2レジストを塗布する際の有機溶剤であるPGMEAに対して不溶となり、パターンを保持した。加えて、第2レジストのパターニングの際施される露光、PEB、現像工程後においてもパターンは保持され、アルカリ現像液に対して不溶化していることを示した。一方、比較例1,2及び4,5においては、第2レジスト塗布相当のPGMEAには不溶であったが、アルカリ現像液耐性は発現できず、第2レジストパターニング相当のアルカリ現像液に対して、パターンは消失してしまった。また、一方、比較例3及び6においては、第2レジスト塗布相当のPGMEAに対しても不溶化とはならなかった。アルカリ現像液耐性も発現できなかった。
【0232】
[実施例21]
第1レジスト材料として、上記実施例7に挙げた(Formulation F007)を用いて、上記に挙げたパターニング方法にて、マスク上ライン&スペースのデザインのライン70nm、ピッチ160nm(レジストパターンサイズ相当)ラインが40nmに仕上がるラインパターンを形成した[基板;ARC−29A(日産化学工業(株)製)90nm、Formulation F007、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;41mJ]。
次いで、同スキャナーを用いて、50mJのフラッド露光を行い、加熱処理200℃×60sec.を施した。
第2レジスト材料として、同じFormulation F007を得られた第1レジストパターンに上記条件にて塗布し、同じ条件で第2レジスト膜のパターニングを行った。第2レジスト膜のパターニングは、第1レジストラインパターンの間へライン形成できるように露光を施した。即ち、第1レジストのラインパターンの間に遮光するように露光を施す。第2レジスト膜露光後、PEB(同条件100℃×60sec.)、現像を行った結果、第1レジストの40nmライン、160nmピッチのライン&スペース(ライン:スペース=1:3)と第2レジストの同パターン40nmライン、160nmピッチのライン&スペース(ライン:スペース=1:3)の重なり合った、ダブルパターンが形成され、そのライン&スペースは40nmライン、80nmピッチの矩形で良好な1:1パターンが観察できた。
【0233】
[実施例22]
第1のレジスト材料に実施例10で用いた(Formulation F010)を選び、最適な条件で40nmライン、160nmピッチのパターンを形成した[基板;ARC−29A(日産化学工業(株)製)90nm、Formulation F010、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;39mJ]。
第1レジストパターニング後、上記と同じ条件でフラッド露光並びに加熱処理を実施した。
第2のレジスト材料として、比較例2で用いたF012を選択し、第1レジストパターン上へFormulation F012を塗布し、パターニングを施した[Formulation F012、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;40mJ]。第2レジストパターニング後、得られたライン&スペースは40nmライン、80nmピッチの矩形で良好な1:1パターンとして観察できた。
【0234】
[実施例23]
第1のレジスト材料に実施例20で用いた(Formulation F020)を選び、最適な条件で40nmライン、160nmピッチのパターンを形成した[基板;ARC−29A(日産化学工業(株)製)90nm、Formulation F020、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;40mJ]。
第1レジストパターニング後、フラッド露光は施さず、加熱処理;200℃×60sec.のみを実施した。
第2のレジスト材料として、比較例2で用いたF012を選択し、第1レジストパターン上へFormulation F012を塗布し、パターニングを施した[Formulation F012、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;40mJ]。第2レジストパターニング後、得られたライン&スペースは40nmライン、80nmピッチの矩形で良好な1:1パターンとして観察できた。
【0235】
第2レジスト材料にネガ型のレジスト材料を用いた例を記載する。
ネガ型レジスト材料のベースポリマーとして下記を合成した。
【0236】
レジストポリマー14(第2ネガ型レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.80
【化67】

【0237】
レジストポリマー15(第2レジスト材料用高分子化合物)
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化68】

【0238】
光酸発生剤:PAG2(下記構造式参照)
【化69】

【0239】
塩基性化合物:Quencher2(下記構造式参照)
【化70】

【0240】
酸架橋性剤:CL(下記構造式参照)
【化71】

【0241】
有機溶剤:2−Me−1−Butanol(2−メチル−1−ブタノール)
【0242】
下記表4に示す組成で調製したレジスト材料を孔径0.2μmのフィルターを用いてろ過し、ネガ型レジスト材料を調製した。このネガ型レジスト材料は、第2レジストとして用いる。
【0243】
【表4】

【0244】
[実施例24]
第1のレジスト材料に実施例10で用いた(Formulation F010)を選び、最適な条件で40nmライン、160nmピッチのパターンを形成した[基板;ARC−29A(日産化学工業(株)製)90nm、Formulation F010、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;39mJ]。
第1レジストパターニング後、上記と同じ条件でフラッド露光(50mJ)並びに加熱処理(200℃×60sec.)を実施した。
第2のレジスト材料として、上記表4で調製したネガ型レジスト材料F027を選択し、第1レジスト上へFormulation F027を塗布し、パターニングを施した[Formulation F027、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;80℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;28mJ]。第2レジスト材料がネガ型であることから、第2レジスト材料がポジ型のときとは異なり、露光部がラインとなるので、第1レジストのラインパターンの間へ露光を施した。第2レジストパターニング後、得られたライン&スペースは40nmライン、80nmピッチの矩形で良好な1:1パターンとして観察できた。
【0245】
[実施例25]
第1のレジスト材料に実施例20で用いた(Formulation F020)を選び、最適な条件で40nmライン、160nmピッチのパターンを形成した[基板;ARC−29A(日産化学工業(株)製)90nm、Formulation F020、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;100℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;40mJ]。
第1レジストパターニング後、フラッド露光は施さず、加熱処理;200℃×60sec.のみを実施した。
第2のレジスト材料として、上記表4で調製したネガ型レジスト材料F028を選択し、第1レジスト上へFormulation F028を塗布し、パターニングを施した[Formulation F028、塗布膜厚1,200Å、プリベーク100℃×60sec.、PEB;80℃×60sec.((株)ニコン製S−307E、NA=0.85、σ=0.93−0.62、Dipole条件)、40nmライン仕上げ最適露光量;36mJ]。第2レジストパターニング後、得られたライン&スペースは40nmライン、80nmピッチの矩形で良好な1:1パターンとして観察できた。
【0246】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】本発明のパターン形成方法を説明する断面図であり、(A)は、基板上に被加工基板、第1レジスト膜を形成した状態、(B)は、第1レジスト膜を露光、現像した状態、(B−1)は、現像した後、更にレジスト膜を過露光によってラインサイズを細く仕上げた状態、(C)は、レジストパターンをフラッド露光や加熱処理して、架橋した状態である。
【図2】更に、第2レジスト材料を塗布した以降の断面図であり、(D)は、第2レジスト材料を塗布した状態、(E−1)は、第2レジスト材料がポジ型レジスト材料であって、第2レジストパターンのラインを、第1レジストパターンのラインパターンの間に形成できるように、遮光して露光した図、(E−2)は、(E−1)で第2レジスト膜を露光した後、PEB、アルカリ現像液を用いて現像を施し、第2レジスト膜のパターニングを行い、保持された第1レジストパターンのラインと第2レジストパターンのラインを形成した状態(ダブルパターン形成)、(E−3)は、第2レジスト材料がネガ型レジスト材料であって、第2レジストパターンのラインを、第1レジストパターンのラインパターンの間に形成できるように、露光した図、(E−4)は、(E−1)で第2レジスト膜を露光した後、PEB、アルカリ現像液を用いて現像を施し、第2レジスト膜のパターニングを行い、保持された第1レジストパターンのラインと第2レジストパターンのラインを形成した状態(ダブルパターン形成)を示す。
【図3】ダブルパターンの他の形成例を示す断面図であり、(E−5)は、第2レジスト材料がポジ型レジスト材料であるが、第2レジストパターンのラインを、第1レジストパターンのラインパターンに対して直交するように露光した図、(E−6)は、(E−5)において、第2レジスト膜を露光した後、PEB、アルカリ現像液を用いて現像を施し、第2レジスト膜のパターニングを行い、保持された第1レジストパターンのラインと第2レジストパターンのラインを形成した状態であって、第1レジストラインパターンと第2レジストラインパターンが直交していることから、コンタクトホールと同じパターンを形成できる(ダブルパターン形成)ことを示す。
【符号の説明】
【0248】
10 基板
20 被加工基板
30 第1レジスト膜
30a 第1レジストパターン
30b 架橋レジストパターン
40 第2レジスト膜
40a 第2ポジ型レジスト膜、
40b 第2ネガ型レジスト膜、
50 露光部
51 非露光部
60a 保持された第1レジストパターン
60b 第2ポジ型レジストパターン
60c 第2ネガ型レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工基板上に、酸によって脱離する酸不安定基によって保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造の繰り返し単位を有する樹脂と酸発生剤とを含有する第1の化学増幅ポジ型レジスト材料を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって酸発生剤から発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程、更に得られた該ポジ型パターンを次いで塗布される第2のレジスト材料の溶剤に対して不溶化、並びに第2のレジスト材料をパターニングする際に施されるアルカリ現像に対して不溶化させる工程として、高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程を含み、次いで、第2の化学増幅レジスト材料が第1レジストパターン上に塗布され、第2の化学増幅レジスト材料の溶剤をプリベークにより除去した後、該第2のレジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、アルカリ現像液で現像して、第2のレジストパターンを得る工程を含むダブルパターン形成方法であって、該第1のレジスト材料に含有される樹脂が下記一般式(1)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とするダブルパターン形成方法。
【化1】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。m=1もしくは2、n=0もしくは1であり、aは該繰り返し単位の樹脂中における存在比を示し、0.01≦a<1である。)
【請求項2】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂において、酸によって脱離する酸不安定基で保護されたアルカリ可溶性基を持つ構造単位の繰り返し単位が下記一般式(2)で示されることを特徴とし、かつ上記樹脂が更に下記一般式(3)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする請求項1記載のダブルパターン形成方法。
【化2】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R2は酸不安定基を示す。R3はラクトン構造を有する基を示す。b、cはそれぞれ各繰り返し単位の存在比を示し、0.01≦b<1、0.01≦c<1であって、0.3≦a+b+c≦1である。)
【請求項3】
上記第1の化学増幅ポジ型レジスト材料に含有される樹脂において、更に下記一般式(4)、(5)、(6)のいずれかで示される7−オキサノルボルナン環構造を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項2記載のダブルパターン形成方法。
【化3】

(式中、R1はそれぞれ独立に水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示す。R4は単結合、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル結合又はエステル結合を有していてもよいが、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基の場合、式中のエステルに連結した炭素原子は一級又は二級である。R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であって、R9、R10はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、もしくは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環状アルキル基を形成してもよく、又は−CO211である。ここで、R11は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。0≦d≦0.5の範囲であって、0.3≦a+b+c+d≦1である。)
【請求項4】
第1のポジ型レジスト材料を被加工基板上に塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得た後、得られた該ポジ型パターンを次いで塗布される第2のレジスト材料の溶剤に対して不溶化、並びに第2のレジスト材料をパターニングする際に施されるアルカリ現像に対して不溶化させる高温加熱工程及び/又は高エネルギー線を照射する工程において、それぞれの不溶化を促進させる目的で、高エネルギー線によって酸を発生する化合物及び/又は熱によって酸を発生する化合物を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項5】
第1のポジ型レジスト材料を被加工基板上に塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程において、前記露光を屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光にて行うこと、更に第2の化学増幅レジスト材料が第1レジストパターン上に塗布され、第2の化学増幅レジスト材料の溶剤をプリベークにより除去し、該第2のレジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ現像液で現像して、第2のレジストパターンを得る工程おいて、露光工程で屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光にて行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項6】
第1のポジ型レジスト材料を被加工基板上に塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成する工程、該レジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせてアルカリ可溶とした後、アルカリ現像液で現像して第1のポジ型パターンを得る工程において、第1のレジスト塗布膜上に保護膜を塗布し、前記露光を屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光にて行うこと、更に第2の化学増幅レジスト材料が第1レジストパターン上に塗布され、第2の化学増幅レジスト材料の溶剤をプリベークにより除去し、該第2のレジスト膜に高エネルギー線をパターン照射し、露光後加熱により露光によって発生した酸を酸不安定基に作用させ、露光部の樹脂の酸不安定基に脱離反応を行わせた後、アルカリ現像液で現像して、第2のレジストパターンを得る工程において、第2のレジスト塗布膜上に保護膜を塗布し、次いで露光工程において屈折率1.0以上の高屈折率液体をレジスト塗布膜と投影レンズとの間に介在させて液浸露光にて行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項7】
第2の化学増幅レジスト材料がポジ型レジスト材料であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。
【請求項8】
第2の化学増幅レジスト材料がネガ型レジスト材料であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のダブルパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−60954(P2010−60954A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227775(P2008−227775)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】