説明

ナビゲーションシステム、車載端末、サーバ

【課題】車載端末のコストを低減可能なナビゲーションシステム等を提供すること。
【解決手段】相互に通信するサーバ13と車載端末15とを有するナビゲーションシステム100において、車載端末15は、車載端末15が搭載された車両200の位置を検出する位置検出手段41と、車両の走行状況を取得する走行状況取得手段42、43と、位置の位置情報、及び、走行状況を示す走行状況情報をサーバに送信する第1の送信手段44と、車両用ナビゲーションのナビゲーション画像情報をサーバ13から受信する第1の受信手段44と、ナビゲーション画像を表示する表示手段49、52と、を有し、サーバ13は、位置情報及び走行状況情報を受信する第2の受信手段25と、位置情報及び走行状況情報に基づきナビゲーション画像を生成する画像生成手段31と、ナビゲーション画像情報を車載端末15に送信する第2の送信手段25と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のナビゲーションシステム等に関し、特に、サーバから車両にナビゲーション画像情報を送信するナビゲーションシステム、車載端末及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
地図データを電子的に処理して、例えばユーザの現在位置周辺の地図や目的地周辺の地図をディスプレイに表示する技術が知られている。このような地図データは、ユーザ側で保持する形態とサーバ側で保持してユーザ側に送信する形態がある。ユーザ側で保持する形態ではユーザ側が地図データを受信する必要がないためユーザ側で地図データの表示処理を完結できるが、その反面、ユーザ側で地図データを管理したり更新する必要が生じる。
【0003】
これに対し、サーバ側で地図データを保持する形態では、ユーザ側で更新することなく、最新の地図データを利用できるという利点がある反面、ディスプレイに地図データを表示するにはサーバから地図データを受信する処理が発生する。
【0004】
そこで、サーバから地図データを受信するカーナビゲーションシステムにおいて、地図データのデータ量を効率的に削減するカーナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1記載のカーナビゲーションシステムは、目的地までの経路上の交差点の位置、および、経路の道路種別のうち、少なくとも1つを反映して表示する経路周辺地図の範囲を設定することで、地図データを削減する。
【特許文献1】特開2004−125449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、カーナビゲーションシステムでは、GPS(Global Positioning System)等により検出した自車位置を、自律航法やマップマッチングにより補正してより高精度に推定している。特許文献1記載のカーナビゲーションシステムでは、受信した地図データに対するマップマッチングによる自車位置の推定を車両で行うため、カーナビゲーションシステムにマップマッチングするための手段を搭載する必要がありコスト増となるという問題がある。
【0007】
また、ユーザ側で地図データを保持する形態であっても、車載可能な地図データのデータ容量の制約から、経路案内等においてディスプレイに表示可能な情報量には制約がある。この制約は、上記のように地図データをサーバから受信する形態ではさらに大きいとされているため、地図データをサーバ側で保持する形態では経路案内等において詳細な情報を表示することは困難であった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、サーバ側で地図データを保持するナビゲーションシステム等において、車載端末のコストを低減可能なナビゲーションシステム、車載端末及びサーバを提供することを目的とする。また、サーバ側で地図データを保持するナビゲーションシステム等において、より詳細な案内情報を車両に提供可能なナビゲーションシステム、車載端末及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、車両に搭載される車載端末において、車両の位置を検出する位置検出手段と、車両の走行状況を取得する走行状況取得手段と、位置の位置情報、及び、走行状況を示す走行状況情報をサーバに送信する送信手段と、車両用ナビゲーションのナビゲーション画像情報をサーバから受信する受信手段と、ナビゲーション画像情報に基づきナビゲーション画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、車載端末ではナビゲーション画像を生成する処理が不要なので、車載端末のコストを低減することができる。
【0011】
また、本発明の一形態において、走行状況情報は、車速取得手段により取得された車速の車速情報、又は、進行方向取得手段により取得された進行方向の進行方向情報の少なくとも一方を含む、ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、車載端末では自車位置を精度よく推定又は補正する処理が不要なので、車載端末のコストを低減することができる。
【0013】
また、本発明の一形態において、受信手段は、サーバから動画配信されるナビゲーション画像情報を受信する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、動画配信により所定の帯域内で高精細なナビゲーション画像情報を受信することができる。
【0015】
また、本発明の一形態において、車両の目的地情報を入力する入力手段、を有し、送信手段は、目的地情報をサーバに送信する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、サーバが車両の目的地から経路を検索できるので、車載端末では経路の検索処理が不要となり、車載端末のコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
サーバ側で地図データを保持するナビゲーションシステム等において、車載端末のコストを低減可能なナビゲーションシステム、車載端末及びサーバを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、ナビゲーションシステム100の全体構成図の一例を示す。ナビゲーションクライアント(以下、ナビクライアントという)15を備えた車両200は基地局14に接続し、LANやインターネットなどのネットワーク12を介してサーバ13と通信する。
【0019】
ナビクライアント15は車両データをサーバ13に送信し、サーバ13は車両データに基づき生成したナビデータを車両200に送信する。本実施形態のナビゲーションシステム100では、車両データに進行方向と車速を含めることとし、サーバ13では自律航法及びマップマッチングにより自車位置を高精度に推定又は補正する。したがって、サーバ13において車両200の位置が高精度に決定でき、車両200のナビクライアント15では自律航法及びマップマッチングによる推定及び補正が必要ないので、ナビクライアント15のコストを低減することができる。また、ナビ音声とナビ画像を含むナビデータを動画配信することで、限られた帯域で詳細な案内情報を車両200に提供することを可能とする。
【0020】
車両200は、ネットワーク12と接続された基地局14と無線又は有線で通信可能に構成されている。基地局14は、例えば、携帯電話の基地局や無線LANのアクセスポイントである。基地局14に到達した電波はデジタルデータに復調され、交換機及び携帯電話会社等の通信サーバを経てサーバ13に到達する。なお、通信方式は、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、無線LAN、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等、いずれであってもよい。また、デジタルデータの送受信には、例えばTCP(Transmission Control Protocol )/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)等のプロトコルが使用される。
【0021】
図2は、サーバ13とナビクライアント15の機能ブロック図を示す。ナビクライアント15は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェイスを有するナビECU45により制御される。ナビECU45は、CAN(Controller Area Network)等の車内LANや専用線を介してGPS受信機41、ジャイロセンサ42、車速センサ43、通信ユニット44、入力装置46、映像処理部49、音声処理部50及び記憶装置51と接続されている。
【0022】
GPS受信機41は、地球の周りを周回する4つ以上のGPS衛星を補足して、各GPS衛星からの電波の到達時間を計算し、到達時間と光速cから各GPS衛星までの距離を算出する。そして、距離に応じて定まるパラメータを用いて所定の連立方程式を解き(例えば3つのGPS衛星を中心とする3つの球の表面の交点を求めることと等価)、GPS衛星の電波から測位される自車両の位置(緯度・経度・標高)を決定する。
【0023】
ジャイロセンサ42は、光ファイバージャイロ、震動片型ジャイロ等のヨーレートセンサであり、車両200が路面に対し水平に回転する時の角速度を検知して検知結果を積分することで角度、すなわち進行方向に変換する。3次元上の方向を推定するためジャイロセンサ42は3軸方向の進行方向が検出可能であることが望ましい。
【0024】
車速センサ43は、例えば、車両200の各輪に備えられたロータの円周上に定間隔で設置された凸部が通過する際の磁束の変化をパルスとして計測して、単位時間あたりのパルス数に基づき各輪毎に車輪速を計測する。車輪速にタイヤの外径を乗じれば車速が得られる。
【0025】
通信ユニット44は、基地局14に接続すると共に、車両データを所定のパケットに分解しそれぞれにサーバ13のIPアドレスとパケット番号を付して送信する。これにより、車両データはネットワーク12を介してサーバ13に送信される。
【0026】
入力装置46は、車両200の乗員がナビクライアント15を操作する操作情報を入力するユーザインターフェイスとなる。例えば、押しボタン式のキーボード47、乗員の発した音声を入力するマイク48、ディスプレイ52に形成されたタッチパネル等である。
【0027】
キーボード47が操作された場合、入力装置46はキーに応じたマニュアル操作情報を生成する。また、入力装置46は、マイク48が集音した音声を電気信号に変換し所定時間ごとに標本化し、電気信号をA-D変換して数値化(量子化)することで、操作音声を生成する。また、入力装置46はマイク48が集音した音声から音響的な特徴を取り出し、それを予め学習した学習辞書と照らし合わせ、最も確からしい言語系列を認識結果とすることで、音声コマンドを生成する。
【0028】
操作音声と音声コマンドのいずれをサーバ13に送信してもよいが、操作音声の場合、サーバ13で負荷の大きい音声コマンドの生成処理を実行できるので、ナビクライアント15のコストを低減することができる。本実施形態では操作音声を送信するものとするが、以下では、操作音声と音声コマンドを区別せず音声操作情報という。
【0029】
記憶装置51は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発メモリであり、サーバ13から送信されたナビデータを記憶している。後述のようにこのナビデータは、映像用のナビ画像情報と音声用のナビ音声情報とを含む。
【0030】
映像処理部49は、記憶装置51に記憶されたナビ画像情報からナビ画像を生成しディスプレイ52に表示するよう要求する。後述するようにナビ画像は圧縮されているので、映像処理部49はそれを伸長しディスプレイ52(例えば、480×640画素)の1フレームを構成する画素値をVRAM(Video RAM)に記憶する。画素値はディスプレイ52の1画素毎にRGB各色のビット数を有し1画素毎に表示色を決定する情報となる。
【0031】
ディスプレイ52は、水平同期信号及び垂直同期信号、又は、1画素を区切る信号と共に、VRAMから送信される画素値を受信し、所定のリフレッシュレートでナビ画像を表示する。
【0032】
音声処理部50は記憶装置51に記憶されたナビ音声を、圧縮されている場合には伸長してスピーカ53から出力する。
【0033】
図3(a)は車両データが含む情報の一例を示す図である。車両データは、車両200の車両識別情報、ナビクライアント15が検出した位置情報、車速情報、方向情報、マニュアル操作情報、音声操作情報、を有する。車両識別情報は、車両200を一意に識別できる情報であればよく例えば車台番号等である。位置情報は、GPS受信機41が検出した緯度・経度・標高からなる座標を含む情報である。速度情報は、車速センサ43が検出した車両200の車速を示す情報である。方向情報はジャイロセンサ42が検出した車両200の進行方向を示す情報である。マニュアル操作情報は、車両200の乗員がキーボード47やタッチパネルを操作して入力された、目的地、経路検索等のナビクライアント15を操作する情報である。音声操作情報は、車両200の乗員がマイク48から入力した、目的地、経路検索等のナビクライアント15を操作する情報を含む情報である。なお、この他、前進又は後退の別を示す情報を含めてもよい。
【0034】
車両データは常に車両識別情報を含むが、図3(a)の全てを含んでいる必要はなく、マニュアル操作情報及び音声操作情報、は乗員が入力装置46を操作した時に送信され、位置情報、車速情報及び方向情報は、所定のサイクル時間(好ましくは1秒未満)毎に送信される。
【0035】
図3(b)は、ナビデータが含む情報の一例を示す。ナビデータは、ナビクライアント15のディスプレイ52に表示されるナビ画像と、スピーカ53から出力されるナビ音声とを含む。これらについては後述する。
【0036】
図2に戻り、サーバ13は、操作検出部21、音声認識部22、音声合成部23、制御部24、通信装置25及び記憶装置26を有し、制御部24により制御される。制御部24は、CPU、ROM、RAM及び入出力インターフェイスを有するコンピュータである。CPUが記憶装置26からプログラム28を読み出し実行することで、サーバ13が有する操作検出部21等を制御し、また、ルート検索部29、画像生成部31、メッセージ生成部32、位置推定部33、及び、マップマッチング部34のアプリケーション機能が実現される。なお、操作検出部21、音声認識部22及び音声合成部23のいずれか又は全てをソフトウェアで実装してもよく、アプリケーション機能を論理回路等のハードウェアで実装してもよい。
【0037】
通信装置25は例えばNIC(Network Interface Card)であり、ネットワーク12に接続してTCP/IPなどのプロトコル処理を実行し車両データを受信すると共に、ナビデータを車両200に送信する。なお、制御部24は、通信装置25が受信した車両データを例えば車両200毎に記憶装置26に順次記憶していく。したがって、サーバ13は過去の所定時間内の車両データを参照することができる。
【0038】
操作検出部21は、記憶装置26に記憶された車両データからマニュアル操作情報を抽出して乗員の操作を検出し、例えば制御コマンドに置き換えて制御部24に送出する。音声認識部22は、音声操作情報が音声コマンドの場合にはそれを制御コマンドに置き換えて制御部24に送出し、音声操作情報が操作音声の場合には操作音声に音声認識処理を施し制御コマンドを生成して制御部24に送出する。
【0039】
音声合成部23は、メッセージ生成部32が生成したメッセージ(文字列)を、単語に分解し単語に発音記号を割り当て、発音記号に従い音声の波形を出力する。そして、この波形を所定時間ごとに標本化し、電気信号をA-D変換して数値化(量子化)して、ナビ音声を生成する。メッセージ生成部32が生成するメッセージは、例えば右折又は左折を案内する文字列である。
【0040】
記憶装置26は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの不揮発メモリであり、地図データ27及びプログラム28を記憶していると共に、車両200から送信された車両データを記憶する。
【0041】
地図データ27には、道路網や交差点などの道路地図情報が、緯度・経度に対応づけて格納されている。地図データ27は、実際の道路網に対応したノード(道路と道路が交差する点、例えば交差点)と、リンク(ノードとノードを接続する道路)とを対応づけたテーブル状のデータベースである。
【0042】
ノードテーブルは、ノードの番号、座標、そのノードから流出するリンク数及びそれらのリンク番号を有する。また、リンクテーブルは、リンクの番号、リンクを構成する始点ノードと終点ノード、リンク長、ノードに対する方位を有する。ノード番号及びリンク番号は、互いに重複しないように定められており、ノード番号とリンク番号をそれぞれ辿ることで道路網が形成される。なお、地図データ27には、各道路毎に一般道、高速道路等の道路種別、及び、ガソリンスタンド等の施設が記憶されている。
【0043】
アプリケーション機能について説明する。ルート検索部29は、車両データが含む位置情報(現在位置)及び目的地に基づき、現在位置から目的地までの経路を検索する。経路検索には、例えばダイクストラ法を用いる。ダイクストラ法では、リンク長や右左折、幅員、通行規制等をコストに置き換え、これらのコストの積算値が最も小さくなる経路を選択する。
【0044】
位置推定部33は、車両データの位置情報又はマップマッチング部34により補正された位置情報を起点にして、車両データの方向情報の方向に車速情報による走行距離を累積し、車両200の現在の位置を推定する(以下、推定位置という)。
【0045】
また、過去の所定距離において、推定された車両200の推定位置を記憶装置26に記憶する。これにより、車両200の走行軌跡が得られる。
【0046】
マップマッチング部34は、車両200は道路上を走行する可能性が高いとの前提の下、車両200の周囲の道路地図を利用して、推定位置に対し最も確からしい道路に車両200の位置を補正する(以下、マップマッチングされた位置を補正位置という)。マップマッチングにはいくつか方法があるが、例えば方向情報の方向と最も角度が近い方向のリンクに推定位置から降ろした垂線が交差する地点を補正位置としてもよいし、車両200の走行軌跡と地図データ27の道路地図のパターンを比較して、その一致度から近接しているリンクを抽出し、リンク上の相当する位置を車両200の補正位置としてもよい。
【0047】
図4は、道路地図上に特定される車両200の補正位置の一例を示す。図4では車両200は補正位置である位置Sを走行している。また、目的地Eが設定されており、ルート検索部29により目的地Eまでの経路60が検索されている。
【0048】
画像生成部31は、位置Sを含む描画範囲(例えば数km四方)のナビ画像を生成する。描画範囲は、マニュアル操作情報又は音声操作情報を用いて乗員により設定されているか、予めサーバ13に設定されている。
【0049】
図5は、画像生成部31が生成するナビ画像の一例を示す。画像生成部31は、補正位置に基づき決定された描画範囲の道路地図を地図データ27から抽出し、リンク長、リンク間の接続方向、幅員等に従い、道路網を形成する。そして、道路種別に応じて各リンクの色を設定すると共に、道路以外の市街地、河、海、山などに所定の色を設定し、また、学校アイコン61、銀行アイコン62、郵便局アイコン63、警察アイコン64又は公園アイコン65等の施設に、予め形状や色が登録されているアイコンを配置する。また、図4の位置Sに、予め登録された比較的目立つ現在位置アイコン66を配置する。ルート検索部29により目的地Eまでの経路60が検索されている場合には、経路60に所定の色を設定する。
【0050】
このような処理により1フレームのナビ画像が生成され、画像生成部31は例えば車両データが送信される度にナビ画像の生成を繰り返す。したがって、車両200が進行した道路(例えば経路60)を包皮する範囲の道路地図のナビ画像が次々に生成される。なお、画像生成部31は、ナビ画像の全面を走査して1画素毎に例えばRGB各色の画素値を取得する。
【0051】
また、図4に示したようにルート検索部29により目的地Eまでの経路60が検索されている場合、メッセージ生成部32は、右折又は左折する交差点n1〜n5の手前でメッセージを生成する。このメッセージは例えば「前方200m先、右折出です」等の文字列である。音声合成部23はメッセージ生成部32が生成したメッセージのナビ音声を生成する。
【0052】
そして、動画データ生成部35は、次々に生成されるナビ画像から動画データを生成すると共に、ナビ音声が生成された場合はナビ音声を付加して動画データを生成する。ナビ画像とナビ音声は時間的に並行して生成されるので、ナビ画像とナビ音声が同期した動画データを生成できる。
【0053】
動画データ生成部35は、例えば、次々と生成されるナビ画像の差分を取り出して圧縮するMPEG2、MPEG4、FLASH又はH.264等の規格でナビ画像を圧縮し、また、ナビ音声をAAC(Advanced Audio Coding)等で圧縮し両者を含むナビデータを生成する。なお、ナビ音声は、MP3、WMA(Windows(登録商標) Media Audio)等どのような規格で圧縮してもよい。
【0054】
また、本実施形態ではナビデータを動画形式のフォーマットにて生成するが、ナビ画像をJPEGで圧縮する等、ナビ画像を静止画のまま送信してもよい。この場合、ナビ画像とナビ音声は別々のファイルに格納される。
【0055】
サーバ13の通信装置25は、作成された動画データを車両200を配信先とするユニキャストでライブ配信する。したがって、車両200はリアルタイムでナビ画像とナビ音声を受信できる。
【0056】
従来の地図データ27は、データ容量の制約から比較的少ない数の有向線分(ベクトルデータ)の集まりで構成することがあるが、サーバ13では地図データ27のデータ容量の制約が少ないので、数多くの有向線分を利用して極めて高精細な表現や高精細な3D表示が可能となる。また、従来は車両200に搭載される地図データ27をラスターデータで構成することは困難であったが、サーバ13では様々な縮尺のラスターデータを予め記憶しておくことができるので、ラスターデータに補正位置に応じた現在位置アイコン66を配置するだけで、表現力の豊かな道路地図を提供することができる。
【0057】
また、動画データはナビ画像が高精細か否かよりも記憶したナビ画像の時間長により影響されるので、高精細な表現、3D表示又はラスタデータからナビ画像を生成してもほぼ一定の大きさに納めることができ、所定の帯域が確保できれば通信速度が不足するおそれもない。
【0058】
図6は、ナビECU45が車両データをサーバ13に送信する手順を示すフローチャート図である。図6の処理は例えばイグニッションオンによりスタートし、イグニッションオフになるまで繰り返される。
【0059】
ナビECU45は、GPS受信機41が検出する位置、車速センサ43が検出する車速、ジャイロセンサ42が検出する方向を、それぞれ所定のタイミングで取得する(S10)。取得のタイミングは例えば1秒未満である。
【0060】
ついで、ナビECU45は、位置から位置情報を、車速から車速情報を、方向から方向情報をそれぞれ生成する(S20)。なお、位置、車速及び方向が検出されるタイミングが異なる場合は、それぞれのタイミングで位置情報、車速情報及び方向情報を生成する。
【0061】
また、ナビECU45は入力装置46からの割り込みを監視しており、乗員による入力装置46の操作が検出されるか否かを判定する(S30)。
【0062】
操作が検出された場合(S30のYes)、キーボード47が操作された場合はマニュアル操作情報を、マイク48から音声により操作された場合は音声操作情報を、それぞれ生成する(S40)。
【0063】
そして、ナビECU45は、位置情報、車速情報、方向情報、マニュアル操作情報及び音声操作情報の一部又は全てから車両データを作成しサーバ13へ送信する(S50)。以上の処理により車両データが繰り返しサーバ13に送信される。
【0064】
図7は、サーバ13の制御部24が車両データから生成した動画データを車両200に送信する手順を示すフローチャート図である。図7の処理はサーバ13と通信する車両200がある限り繰り返される。
【0065】
サーバ13の制御部24は車両200から送信される車両データを受信する(S110)。そして、車両データにマニュアル操作情報又は音声操作情報が含まれるか否か判定する(S120)。
【0066】
マニュアル操作情報又は音声操作情報が含まれている場合(S120のYes)、操作検出部21はマニュアル操作情報から制御コマンドを、音声認識部22は音声操作情報から制御コマンドをそれぞれ生成する(S130)。
【0067】
ついで、画像生成部31はナビ画像を生成し、メッセージ生成部32はナビ音声を生成する(S140)。まず、位置推定部33は、直前の推定位置を記憶装置26から読み出し、推定位置を起点にして方向情報の方向に車速情報による走行距離を累積し車両200の現在の推定位置を推定する。そして、マップマッチング部34は、車両200の周囲の道路地図を利用して、車両データの推定位置に対し最も確からしい道路に車両200の位置を補正する。これにより車両200の位置が高精度に補正された補正位置が得られる。
【0068】
そして、画像生成部31は車両200の補正位置に対応する現在位置アイコン66と共に、所定の描画範囲のナビ画像を生成する。なお、ステップS130で生成した制御コマンドが、ナビ画像の縮尺や表示範囲、北方向の指定など、ナビ画像を変更するものである場合、変更後のナビ画像に現在地位アイコン66を配置する。
【0069】
ついで、動画データ生成部35は、ナビ画像から、ナビ音声がある場合はナビ画像及びナビ音声から動画データを生成する(S150)。
【0070】
通信装置25は、動画データを含むナビデータを車両200に送信する(S160)。すなわち、通信装置25は、動画データをパケットに分解し車両200のIPアドレスをそれぞれのパケットに付与して送信する。以上の処理によりナビデータが繰り返し車両200に送信される。
【0071】
図8は、ナビECU45がナビ画像を表示し、また、ナビ音声を出力する手順を示すフローチャート図である。図8の処理は例えばイグニッションオンによりスタートし、イグニッションオフになるまで繰り返される。
【0072】
ナビクライアント15の通信ユニット44はサーバ13から送信されるナビデータを受信する(S210)。映像処理部49は、1画面分のパケットデータが受信されるまで記憶装置51のバッファーメモリにパケットデータを記憶し、1画面分のパケットデータが受信されるとナビ画像を表示する(S220)。また、ナビデータにナビ音声が含まれている場合は、音声処理部50はナビ音声を伸長しスピーカ53から出力する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーションシステム100によれば、サーバ13において車両200の位置が高精度に補正するため、車両200のナビクライアント15のコストを低減することができる。また、ナビデータ(ナビ画像)を動画データとすることで、データ容量をほぼ一定に抑制しながら、極めて高精細なナビ画像を提供することができる。
【0074】
〔ナビ画像生成の変形例〕
車両200のGPS受信機41が検出した位置は車両200の現在の位置であるが、サーバ13で生成されたナビ画像を車両200で表示する時には既に車両200は現在位置アイコン66で示される位置よりも進行方向に進んでいる。GPS受信機41が位置を検出してから車両200でナビ画像を表示するまでのタイムラグを例えば1秒程度とすると、時速60km/hの車両200は約17m進行することになる。したがって、タイムラグ中に進行してしまう距離は描画範囲(例えば500m四方)に対し大きくはなく、実際の走行位置と現在位置アイコン66で示される位置とが大きく乖離しているとの印象を乗員に与えるおそれはない。
【0075】
しかしながら、サーバ13がタイムラグ経過後の車両200の位置を予測してナビ画像を生成すれば、実際の走行位置と現在位置アイコン66で示される位置とがさらに精度よく一致することになる。そこで、画像生成部31がタイムラグ経過後の車両200の位置を予測してナビ画像を生成するナビゲーションシステム100について説明する。
【0076】
図9はGPS受信機41により検出された位置とタイムラグ経過後の予測位置の関係を示す図である。予測位置は位置推定部33が予測するものとする。位置推定部33は、車両データの車速情報及び方向情報からタイムラグ経過後の予測位置を予測する。タイムラグは、GPS受信機41が位置を検出してからナビ画像を車両200で表示するまでのおよその時間であり予め既知である。位置推定部33は、方向情報にかかる方向に車速とタイムラグの積から算出される距離を延長し予測位置を予測する。なお、過去の車速情報から車両200の加減速度を算出し、予測位置の予測に用いてもよい。
【0077】
そして、画像生成部31は予測位置を含む描画範囲のナビ画像を生成する。したがって、実際の走行位置と現在位置アイコン66で示される位置との差異を低減できる。予測位置は、車両データを受信するサイクルよりも短いサイクル時間毎に予測できるので、予測位置までのナビ画面を複数作成することで、動画データとして配信されるナビデータをよりスムースな動画とすることができる。
【0078】
また、交差点等の手前では方向情報の方向に進行するか否か予測困難な場合がある。この場合、交差点の手前で速度が低下した場合には、位置推定部33は進行方向が変わると予測し予測位置の推定を行わず、交差点の手前で速度が低下しない場合には上記のように予測位置を予測する。速度が低下した場合、実際の走行位置と現在位置アイコン66で示される位置との差異は小さくなるので、予測位置の推定を行わなくても影響は少ない。したがって、単に信号待ちで速度が低下しても実際に右折又は左折しても同様に処理することができる。
【0079】
このように予測の是非を判定することで、現在位置アイコン66を誤ってナビ画像に配置することを防止できる。なお、目的地までの経路60が検索されている場合、経路60に沿って予測位置を予測してもよい。
【0080】
本変形例によれば、実際の走行位置と現在位置アイコン66で示される位置とをさらに精度よく一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】ナビゲーションシステムの全体構成図の一例である。
【図2】サーバとナビクライアントの機能ブロック図の一例である。
【図3】車両データ及びナビデータが含む情報の一例を示す図である。
【図4】道路地図上に特定される車両の補正位置の一例を示す図である。
【図5】画像生成部が生成するナビ画像の一例を示す図である。
【図6】ナビECUが車両データをサーバに送信する手順を示すフローチャート図である。
【図7】サーバの制御部が車両データから生成した動画データを車両に送信する手順を示すフローチャート図である。
【図8】ナビECUがナビ画像を表示し、また、ナビ音声を出力する手順を示すフローチャート図である。
【図9】GPS受信機により検出された位置とタイムラグ経過後の予測位置の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
13 サーバ
14 基地局
15 ナビクライアント
27 地図データ
28 プログラム
29 ルート検索部
31 画像生成部
32 メッセージ生成部
33 位置推定部
34 マップマッチング部
35 動画データ生成部
41 GPS受信機
42 ジャイロセンサ
43 車速センサ
100 ナビゲーションシステム











【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に通信するサーバと車載端末とを有するナビゲーションシステムにおいて、
前記車載端末は、
当該車載端末が搭載された車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の走行状況を取得する走行状況取得手段と、
前記位置の位置情報、及び、前記走行状況を示す走行状況情報を前記サーバに送信する第1の送信手段と、
車両用ナビゲーションのナビゲーション画像情報を前記サーバから受信する第1の受信手段と、
前記ナビゲーション画像情報に基づきナビゲーション画像を表示する表示手段と、を有し、
前記サーバは、
前記位置情報及び前記走行状況情報を受信する第2の受信手段と、
前記位置情報及び前記走行状況情報に基づき前記ナビゲーション画像を生成する画像生成手段と、
前記ナビゲーション画像情報を前記車載端末に送信する第2の送信手段と、を有する、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記走行状況情報は、
車速取得手段により取得された車速を示す車速情報、又は、進行方向取得手段により取得された進行方向を示す進行方向情報の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両に搭載される車載端末において、
前記車両の位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の走行状況を取得する走行状況取得手段と、
前記位置の位置情報、及び、前記走行状況を示す走行状況情報をサーバに送信する送信手段と、
車両用ナビゲーションのナビゲーション画像情報を前記サーバから受信する受信手段と、
前記ナビゲーション画像情報に基づきナビゲーション画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする車載端末。
【請求項4】
前記走行状況情報は、
車速取得手段により取得された車速を示す車速情報、又は、進行方向取得手段により取得された進行方向を示す進行方向情報の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項3記載の車載端末。
【請求項5】
前記受信手段は、前記サーバから動画配信される前記ナビゲーション画像情報を受信する、
ことを特徴とする請求項3又は4記載の車載端末。
【請求項6】
前記車両の目的地情報を入力する入力手段、を有し、
前記送信手段は、前記目的地情報を前記サーバに送信する、
ことを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の車載端末。
【請求項7】
車両用ナビゲーションのサーバにおいて、
車両の位置を示す位置情報及び走行状況を示す走行状況情報を受信する受信手段と、
前記位置情報及び前記走行状況情報に基づきナビゲーション画像を生成する画像生成手段と、
前記ナビゲーション画像情報を前記車載端末に送信する送信手段と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項8】
前記走行状況情報は、
車速取得手段により取得された車速の車速情報、又は、進行方向取得手段により取得された進行方向の進行方向情報の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする請求項7記載のサーバ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−121879(P2009−121879A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−294361(P2007−294361)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】