説明

ナビゲーションシステム

【課題】地図データの被表示領域を遷移させた場合であっても、その被表示領域の内容をユーザが効果的に認識できるようにするナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】自車位置情報を取得する測位部2と、地図データを記憶する記憶部3と、記憶部3から読み出した地図データを測位部2が取得した自車位置情報と共に表示画面に表示させる表示制御手段11と、表示画面に表示させる地図データの被表示領域を遷移させる操作を受け付ける入力部4と、を備えるナビゲーションシステム100は、自車が走行する可能性の高い道路を推定する道路推定手段13と、道路推定手段13が推定した道路を強調表示させる強調表示手段14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面が表示する地図データの領域(以下、「被表示領域」とする。)を遷移させて自車位置を表すマークを表示画面から逸脱させた場合であっても、その被表示領域の内容をユーザが効果的に認識できるようにするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、探索した経路を強調表示させるナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−145395号公報
【0003】
このナビゲーションシステムは、目的地となる施設のジャンルが選択されると、そのジャンルに合致する施設のうち現在位置からの距離が最も小さい施設を検索し、検索した施設までの推奨経路を強調表示させる。
【0004】
これにより、このナビゲーションシステムは、地図上で目的地を探索させたり、煩雑なメニュー画面で目的地を選択させたりすることなく、所望のジャンルに合致する施設のうちの最も近いものまで迅速にユーザを案内することができる。
【0005】
また、このナビゲーションシステムは、ユーザが現在位置周辺の道路のつながり、渋滞状況又は周辺施設の位置を確認するために表示画面をスクロールさせ自車位置を表すマークを表示画面から逸脱させた場合であっても、目的地までの推奨経路を強調表示させているため、表示画面にその推奨経路が表示されている限り、被表示領域と現在位置との関係をユーザに認識させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のナビゲーションシステムは、自車位置を表すマークと強調表示される推奨経路とを何れも表示画面から逸脱させた場合や、経路探索を未だ実行していない状態で自車位置を表すマークを表示画面から逸脱させた場合、最早、被表示領域と現在位置との関係をユーザに認識させることができない。
【0007】
上述の点に鑑み、本発明は、地図データの被表示領域を遷移させた場合であっても、その被表示領域の内容をユーザが効果的に認識できるようにするナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るナビゲーションシステムは、自車位置を取得する測位部と、地図データを記憶する記憶部と、該記憶部から読み出した地図データを該測位部が取得した自車位置を表すマークと共に表示画面に表示させる表示制御手段と、該表示画面に表示させる地図データの被表示領域を遷移させる操作を受け付ける入力部と、を備えるナビゲーションシステムであって、自車が走行する可能性の高い道路を推定する道路推定手段と、前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させる強調表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第二の発明は、第一の発明に係るナビゲーションシステムであって、前記強調表示手段は、被表示領域を遷移させる操作を前記入力部が受け付けた場合に、前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させることを特徴とする。
【0010】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るナビゲーションシステムであって、前記強調表示手段は、自車位置を表すマークを表示画面から逸脱させた場合に、前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させることを特徴とする。
【0011】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係るナビゲーションシステムであって、前記道路推定手段は、自車が現在走行する道路を、自車が走行する可能性の高い道路として推定することを特徴とする。
【0012】
また、第五の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係るナビゲーションシステムであって、前記道路推定手段は、利用頻度が高い道路を、自車が走行する可能性の高い道路として推定することを特徴とする。
【0013】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係るナビゲーションシステムであって、前記表示制御手段は、前記道路推定手段が推定した道路の関連情報を表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述の手段により、本発明は、地図データの被表示領域を遷移させた場合であっても、地図データの被表示領域の内容をユーザが効果的に認識できるようにするナビゲーションシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例】
【0016】
図1は、本発明に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。図1のナビゲーションシステム100は、GPS(Global Positioning System)等を介して取得される自車の位置情報と、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等に記憶された地図データとに基づいて目的地までの経路を示しながら車両を誘導するためのシステムであり、制御部1、測位部2、記憶部3、入力部4、通信部5及び表示部6から構成される。
【0017】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、経路探索手段10、表示制御手段11、走行履歴記録手段12、道路推定手段13及び強調表示手段14のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。なお、各種手段の詳細については後述する。
【0018】
測位部2は、車両の位置を測定するための装置であり、例えば、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信し、受信した信号に基づいて自車位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0019】
測位部2による測定は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよいが、好ましくは精度の高い相対測位が用いられる。この際、自車位置は、舵角センサ、車速センサ、ジャイロセンサ等の各種センサの出力や、ビーコン受信機又はFM多重受信機を介して受信される各種情報に基づいて補正されてもよい。
【0020】
記憶部3は、各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD等の記憶媒体であって、地図データ及び施設データ等を格納する。
【0021】
地図データは、交差点、インターチェンジ等のノード位置、リンク(ノード間を接続する要素)の距離、リンクコスト(リンクを通過するために要する時間、費用等の度合いをいう。)等を体系的に記憶するデータベースであり、また、施設データは、施設位置(緯度、経度、高度)、施設名称、施設関連情報(例えば、営業時間、定休日等である。)等を体系的に記憶するデータベースである。
【0022】
入力部4は、ナビゲーションシステム100に各種情報を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、ジョイスティック、リモートコントローラ、エスカッションボタン等であって、目的地入力、地図縮尺変更、スクロール操作等の入力に利用される。
【0023】
通信部5は、外部との通信を制御するための装置であり、例えば、3メディアVICS(Vehicle Information and Communication System)情報受信ユニットであって、光ビーコン、電波ビーコン又はFM多重放送局が配信する渋滞情報、駐車場情報、事象規制情報等を受信する。
【0024】
また、通信部5は、携帯電話周波数や特定小電力無線周波数を用いて通信センタが配信する気象情報、渋滞情報、道路規制情報、プローブ交通情報、最新スポット情報等を受信する受信機であってもよく、外部の送信機に対して各種情報の配信を求める信号を発信する送信機能を備える装置であってもよい。
【0025】
表示部6は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、ダッシュボード上やインストルメントパネル内に設置されるディスプレイであって、地図データ、自車位置情報、渋滞情報、駐車場情報、事象規制情報等の各種情報を表示する。
【0026】
次に、制御部1が有する各種手段について説明する。
【0027】
経路探索手段10は、測位部2が測定した自車位置(緯度、経度、高度)と記憶部3に記憶された地図データと入力部4を介して入力された目的地の位置情報(緯度、経度、高度)とに基づいて、現在位置から目的地に至るまでの経路(以下、「推奨経路」とする。)を導き出すための手段であり、例えば、最短経路探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い最短経路を推奨経路として探索する。なお、最短経路の他、最も早く目的地に到達できる最速経路や高速道路を利用しない経路等を推奨経路として探索してもよい。
【0028】
表示制御手段11は、表示部6の表示画面に表示させる画像の内容を制御する手段であり、例えば、経路探索手段10が探索した推奨経路を他の道路から識別できるように強調表示させ、操作者が推奨経路を容易に識別できるようにする。
【0029】
また、表示制御手段11は、測位部2が測定した自車位置情報(緯度、経度、高度)と記憶部3に記憶された地図データとに基づいて、マップマッチング技術を用いながら自車位置を最寄りの道路に対応付けて表示する。道路のない位置に自車位置を表すマークを表示させないようにするためである。
【0030】
また、表示制御手段11は、測位部2が測定した自車位置情報(緯度、経度、高度)に基づいて、記憶部3に記憶された施設データから所定の施設(例えば、ガソリンスタンド、レストラン、ホテル等、予め登録しておいたジャンルに含まれる施設である。)を検索し、自車位置から所定範囲内にある施設に関する情報を表示させるようにしてもよい。
【0031】
更に、表示制御手段11は、通信部5を介して取得した渋滞情報、道路規制情報等に基づいて渋滞状況や道路規制状況をテキスト表示させたり、グラフィック表示させたりしてもよい。
【0032】
走行履歴記録手段12は、自車の走行履歴を記憶部3に記録するための手段であり、例えば、リンク毎に走行回数を記録し、制御部1が過去の所定期間におけるリンク通行回数を、時間帯毎、曜日毎、月毎又は季節毎等で導出できるようにする。
【0033】
また、走行履歴記録手段12は、進行方向(上り又は下りを意味する。)、又は、一つ前のリンクの識別番号(何れのリンクから進入したかを意味する。)を区別しながら走行履歴を記録する。
【0034】
更に、走行履歴記録手段12は、走行履歴に関連付けて気象情報、渋滞情報、道路規制情報等を記録しておき、制御部1が過去の所定期間におけるリンク通行回数を天候毎に導出する等、より詳細な分類が可能となるようにしてもよい。
【0035】
道路推定手段13は、自車が走行する可能性が高い道路を推定するための手段であり、例えば、自車位置と走行履歴記録手段12が記録した走行履歴とに基づいて、自車による利用頻度が最も高い道路(以下、「最頻道路」とする。)を、近い将来(例えば、数分後)、自車が走行する可能性が高い道路(以下、「走行予定道路」とする。)として推定する。
【0036】
なお、道路推定手段13は、経路探索手段10によって既に推奨経路が探索されている場合には、その推奨経路を除く道路から走行予定道路を推定するようにする。
【0037】
また、道路推定手段13は、自車が現在走行している道路を、走行予定道路として推定するようにしてもよい。自車が現在走行している道路が国道、自動車専用道等の主要道路である場合、その主要道路をそのまま通行する可能性が高いからである。
【0038】
また、道路推定手段13は、現在の進行方向に沿う道路のうち最も道路幅の大きな道路を、走行予定道路として推定するようにしてもよい。自車が現在走行している道路が農道、林道等の非主要道路である場合、より大きな道路に移行する可能性が高いからである。
【0039】
更に、道路推定手段13は、過去の所定時間(例えば、1時間である。)内に通過した道路(以下、「通過道路」とする。)を走行予定道路として推定するようにしてもよい。ユーザが既に精通している道路と考えられるからである。
【0040】
強調表示手段14は、所定の情報を強調表示させるための手段であり、例えば、道路推定手段13が推定した走行予定道路を強調表示させ、他の道路から走行予定道路を識別できるようにする。
【0041】
ここで、「強調表示」とは、表示色の変更、輝度の変更、点滅表示、又は、線種の変更等を含むものとする。
【0042】
また、強調表示手段14は、スクロール操作やジャンプ操作(現在表示されている地図データ上の領域に接していない領域を瞬時に表示させる操作をいう。)等のユーザ操作が実行された場合に、走行予定道路を強調表示させるようにしてもよく、更には、ユーザ操作の結果、自車位置を表すマークや経路探索手段10によって探索された推奨経路が表示画面から逸脱した場合に、走行予定道路を強調表示させるようにしてもよい。
【0043】
なお、スクロール操作は、例えば、タッチパネル上を指でなぞったり、方向指示ボタンや十字キーを操作したりすることで実行され、ジャンプ操作は、例えば、地図データ上にポップアップ表示される施設名称や住所等を示すソフトウェアボタンを押下することで実行される。
【0044】
また、強調表示手段14は、表示部6の表示画面に表示される通過道路を走行予定道路とは区別して強調表示させるようにしてもよく、表示部6の表示画面に表示される被表示領域内における局所的な最頻道路を走行予定道路とは区別して強調表示させるようにしてもよい。通過道路、走行予定道路又は最頻道路等の特定の道路の位置に基づいて、被表示領域の内容をユーザが認識できるようにするためである。
【0045】
ここで、図2〜図12を参照しながら、ユーザ操作に応じて被表示領域を遷移させた場合に特定の道路を強調表示させる処理(以下、「強調表示処理」とする。)について説明する。なお、図2は、記憶部3に記憶される地図データの一部領域を示し、一点鎖線で区切られる領域R1は、表示部6の表示画面に表示される被表示領域を示す。また、図3は、領域R1を表示させた表示部6の表示画面を示し、自車位置マーク20は、自車の現在位置を表すマークである。
【0046】
制御部1は、図3に示すように、表示制御手段11により、測位部2が測定した自車位置情報(緯度、経度、高度)と記憶部3に記憶された地図データとに基づいて、マップマッチング技術を用いながら自車位置を表す自車位置マーク20を最寄りの道路に対応付けて表示させる。
【0047】
図4は、図2で示したものと同じ地図データ領域を示しながら、その地図データ領域における被表示領域R1〜R5の位置関係を示す。ここで、領域R1は、ユーザ操作前の被表示領域を示し、領域R2〜R5は、ユーザ操作後の四通りの被表示領域を示す。なお、領域T1は、領域R4を表示させる前に一時的に表示される被表示領域を示し、領域T1と領域R4との関係は後述される。
【0048】
図5は、領域R2を表示させた表示部6の表示画面を示し、追加表示MK1は、スクロール操作中であることを表すマークであり、追加表示MK2は、渋滞状況を表す矢印である。
【0049】
なお、ナビゲーションシステム100は、被表示領域内の全ての道路について渋滞状況を表示させるが、走行予定道路等の特定の道路についてのみ渋滞状況を表示させるようにしてもよい。表示の複雑化を避け、重要とされる特定の情報をユーザに確実に伝えられるようにするためである。
【0050】
また、追加表示MK3は、強調表示手段14により強調表示された走行予定道路であり、追加表示MK4、MK5は、表示制御手段11により強調表示された施設であって、追加表示MK6、MK7は、それら施設に関する最新情報(例えば、過去の所定期間内に通信部5を介して取得された情報をいう。)の吹き出し表示である。
【0051】
なお、ナビゲーションシステム100は、被表示領域内の施設のうち、予め選択されたジャンルに含まれる施設のみを表示制御手段11により強調表示させるようにしてもよく、最新情報を有する全ての施設を表示制御手段11により強調表示させるようにしてもよい。
【0052】
或いは、ナビゲーションシステム100は、走行予定道路等の特定の道路に沿った施設に関する情報のみを表示させるようにしてもよい。表示の複雑化を避け、特定の情報をユーザに確実に伝えられるようにするためである。
【0053】
図6は、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における強調表示処理の流れを示すフローチャートであり、ナビゲーションシステム100は、所定間隔(例えば、1秒刻み)で繰り返し強調表示処理を実行するものとする。
【0054】
最初に、ナビゲーションシステム100の制御部1は、入力部4の出力を監視しながらスクロール操作が実行されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0055】
スクロール操作が実行されていないと判定した場合(ステップS1のNO)、制御部1は、強調表示処理を終了させる。被表示領域の遷移が発生しておらず、自車位置マーク20が表示画面内に表示されたままとなるため、ユーザが被表示領域の内容を容易に認識することができるからである。
【0056】
一方、スクロール操作が実行されたと判定した場合(ステップS1のYES)、制御部1は、現在の縮尺を維持したまま被表示領域を遷移させ、道路推定手段13により自車が現在走行する道路を走行予定道路として推定し(ステップS2)、推定した走行予定道路を図5に示すように強調表示させる(ステップS3)。
【0057】
これにより、ナビゲーションシステム100は、スクロール操作等のユーザ操作により被表示領域が遷移した場合であっても、そのユーザ操作後の被表示領域にある道路や施設等と走行予定道路との間の位置関係をユーザに提示することができる。
【0058】
その結果、ユーザは、経路探索手段10により推奨経路を未だ探索しておらず、推奨経路を強調表示させていない場合であっても、そのユーザ操作後の被表示領域における内容を強調表示された走行予定道路の位置に基づいて容易に認識することができる。
【0059】
次に、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における別の強調表示処理について説明する。なお、図7は、その強調表示処理の流れを示すフローチャートを示し、その強調表示処理は、図6に示す処理と比較すると、ステップS12において相違するが他のステップは共通する。従って、ステップS12における処理を重点的に説明することとする。
【0060】
スクロール操作が実行されたと判定した場合(ステップS11のYES)、制御部1は、測位部2が測定した自車位置情報(緯度、経度、高度)と記憶部3に記憶された地図データとに基づいて自車位置マーク20が表示画面から逸脱したか否かを判定する(ステップS12)。
【0061】
自車位置マーク20が表示画面から逸脱していないと判定した場合(ステップS12のNO)、制御部1は、強調表示処理を終了させる。被表示領域内に自車位置マーク20が表示されたままであり、ユーザは、自車位置マーク20に基づいて被表示領域の内容を容易に認識できるからである。
【0062】
一方、自車位置マーク20が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS12のYES)、制御部1は、道路推定手段13により、自車が現在走行する道路を走行予定道路として推定し(ステップS13)、推定した走行予定道路を図5に示すように強調表示させる(ステップS14)。
【0063】
これにより、ナビゲーションシステム100は、スクロール操作等のユーザ操作により被表示領域が遷移し、かつ、自車位置マーク20が表示画面から逸脱した場合に限り走行予定道路を強調表示させるので、そのユーザ操作後の被表示領域における内容を容易に認識させられるようにしながらも、自車位置マーク20が表示されているにも関わらず走行予定道路を強調表示させ表示内容を複雑化することで却ってユーザを困惑させてしまうのを防止することができる。
【0064】
次に、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における更に別の強調表示処理について説明する。なお、図8は、その強調表示処理の流れを示すフローチャートを示し、その強調表示処理は、図7に示す処理と比較すると、ステップS23において相違するが他のステップは共通する。従って、ステップS23における処理を重点的に説明することとする。
【0065】
自車位置マーク20が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS22のYES)、制御部1は、経路探索手段10によって探索された推奨経路が表示画面から逸脱したか否かを判定する(ステップS23)。
【0066】
推奨経路が表示画面から逸脱していないと判定した場合(ステップS23のNO)、制御部1は、強調表示処理を終了させる。被表示領域内に推奨経路の一部が強調表示されており、ユーザは、その強調表示された推奨経路との位置関係から被表示領域の内容を容易に認識できるからである。
【0067】
一方、推奨経路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS23のYES)、制御部1は、道路推定手段13により、自車が現在走行する道路を走行予定道路として推定し(ステップS24)、推定した走行予定道路を図5に示すように強調表示させる(ステップS25)。
【0068】
これにより、ナビゲーションシステム100は、スクロール操作等のユーザ操作により被表示領域が遷移し、自車位置マーク20が表示画面から逸脱し、かつ、推奨経路が表示画面から逸脱した場合に限り走行予定道路を強調表示させるので、そのユーザ操作後の被表示領域における内容を容易に認識させられるようにしながらも、推奨道路を強調表示させているにも関わらず更に走行予定道路をも強調表示させ表示内容を複雑化することで却ってユーザを困惑させてしまうのを防止することができる。
【0069】
次に、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における更に別の強調表示処理について説明する。
【0070】
ここで、図9は、進行方向後方にある領域R3を表示させた表示部6の表示画面を示し、追加表示MK8は、強調表示手段14により強調表示された通過道路である。
【0071】
また、図10は、その強調表示処理の流れを示すフローチャートを示し、その強調表示処理は、図8に示す処理と比較すると、ステップS34及びS35において相違するが他のステップは共通する。従って、ステップS34及びS35における処理を重点的に説明することとする。
【0072】
推奨経路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS33のYES)、制御部1は、過去の所定期間内に通過した通過道路が表示画面から逸脱したか否かを判定する(ステップS34)。
【0073】
通過道路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS34のYES)、制御部1は、道路推定手段13により、自車が現在走行する道路を走行予定道路として推定し(ステップS36)、推定した走行予定道路を強調表示させる(ステップS37)。
【0074】
一方、通過道路が表示画面から逸脱していないと判定した場合(ステップS34のNO)、制御部1は、走行予定道路を推定することなく、その通過道路を図9に示すように強調表示させる(ステップS35)。被表示領域内に通過道路の一部が強調表示されており、ユーザは、その強調表示された通過道路との位置関係から被表示領域の内容を容易に認識できるからである。
【0075】
これにより、ナビゲーションシステム100は、スクロール操作等のユーザ操作により被表示領域が遷移した場合であっても、通過道路が表示されている間はその通過道路の一部を強調表示させるので、そのユーザ操作後の被表示領域における内容を容易に認識させられるようにしながらも、通過道路を強調表示させているにも関わらず更に走行予定道路をも強調表示させ表示内容を複雑化することで却ってユーザを困惑させてしまうのを防止することができる。
【0076】
次に、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における更に別の強調表示処理について説明する。
【0077】
ここで、図11は、領域R4を表示させた表示部6の表示画面である。また、図12は、その強調表示処理の流れを示すフローチャートを示し、その強調表示処理は、図8に示す処理と比較すると、ステップS45及びS46において相違するが他のステップは共通する。従って、ステップS45及びS46における処理を重点的に説明することとする。
【0078】
推奨経路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS43のYES)、制御部1は、道路推定手段13により、自車が現在走行する道路を走行予定道路として推定し(ステップS44)、推定した走行予定道路が表示画面から逸脱したか否かを判定する(ステップS45)。
【0079】
走行予定道路が表示画面から逸脱していないと判定した場合(ステップS45のNO)、制御部1は、推定した走行予定道路を強調表示させる(ステップS47)。
【0080】
一方、走行予定道路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS45のYES)、制御部1は、被表示領域の縮尺を変更し(ステップS46)、その上で、推定した走行予定道路を強調表示させる(ステップS47)。
【0081】
縮尺を変えることなく被表示領域を領域R1から領域T1へ遷移させた場合、被表示領域(領域T1)に走行予定道路が含まれないため(図4参照。)、ユーザは、被表示領域の内容を認識することに困難を感じてしまうこととなる。
【0082】
この場合、制御部1は、被表示領域の縮尺を段階的に変更し、例えば、被表示領域を領域T1から領域R4まで拡大して、被表示領域に走行予定道路が含まれるようにする。その走行予定道路との位置関係から被表示領域の内容をユーザが容易に認識できるようにするためである。
【0083】
これにより、ナビゲーションシステム100は、被表示領域を遷移させた後の表示画面に走行予定道路が含まれない場合、縮尺を変更して走行予定道路を含めるようにするので、その被表示領域における内容をユーザに容易に認識させることができる。
【0084】
なお、ナビゲーションシステム100は、走行予定道路に限らず、自車位置マーク20、推奨経路又は通過経路の何れかが被表示領域に含まれるようになった時点で縮尺の変更を停止させるようにしてもよい。
【0085】
次に、スクロール操作に応じて被表示領域を遷移させた場合における更に別の強調表示処理について説明する。
【0086】
ここで、図13は、領域R5を表示させた表示部6の表示画面であり、追加表示MK9は、領域R5における最頻道路を示し、追加表示MK10は、被表示領域と自車位置との間の関係を表すポップアップ情報を示す。
【0087】
ナビゲーションシステム100は、自車位置から見た被表示領域の方角と自車位置から被表示領域に至るまでに要する時間とをポップアップ情報として表示する。
【0088】
なお、ナビゲーションシステム100は、自車位置と被表示領域との間の距離、又は、自車位置から被表示領域を経由して自車位置若しくは元の道路(推奨経路又は走行予定道路)に戻るのに要する時間等をポップアップ情報として表示するようにしてもよい。
【0089】
図14は、その強調表示処理の流れを示すフローチャートを示し、その強調表示処理は、図12に示す処理と比較すると、ステップS56及びS57において相違するが他のステップは共通する。従って、ステップS56及びS57における処理を重点的に説明することとする。
【0090】
走行予定道路が表示画面から逸脱したと判定した場合(ステップS55のYES)、制御部1は、走行履歴記録手段12が記録した走行履歴に基づいて被表示領域内における局所的な最頻道路を取得し(ステップS56)、図13に示すように、その最頻道路を走行予定道路とは区別して強調表示させる(ステップS57)。強調表示された道路が走行予定道路ではなく最頻道路であることをユーザに伝えるためである。
【0091】
これにより、ナビゲーションシステム100は、被表示領域を遷移させた後の表示画面に走行予定道路が含まれない場合、その被表示領域における最頻道路を代わりに強調表示させるので、その被表示領域における内容をユーザに容易に認識させることができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0093】
例えば、上述の実施例において、ナビゲーションシステム100は、経路探索を未だ実行していない状態で被表示領域を遷移させ表示画面から自車位置マーク20を逸脱させた場合に、走行予定道路、通過道路又は最頻道路を強調表示させるが、経路探索を実行し推奨経路を強調表示させた状態で、走行予定道路、通過道路又は最頻道路を強調表示させるようにしてもよい。
【0094】
また、上述の実施例において、ナビゲーションシステム100は、推奨経路、走行予定道路、通過道路又は最頻道路の何れかを強調表示させ、被表示領域の内容を認識させられるようにしながらも表示の複雑化を避けるようにするが、同じ表示画面内で推奨経路、走行予定道路、通過道路及び最頻道路を区別しながら同時に強調表示させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明に係るナビゲーションシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】地図データの一部領域を示す図である。
【図3】スクロール操作前の表示画面を示す図である。
【図4】地図データにおける被表示領域の位置関係を示す図である。
【図5】スクロール操作後の表示画面を示す図(その1)である。
【図6】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図7】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図8】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その3)である。
【図9】スクロール操作後の表示画面を示す図(その2)である。
【図10】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その4)である。
【図11】スクロール操作後の表示画面を示す図(その3)である。
【図12】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その5)である。
【図13】スクロール操作後の表示画面を示す図(その4)である。
【図14】強調表示処理の流れを示すフローチャート(その6)である。
【符号の説明】
【0096】
1 制御部
2 測位部
3 記憶部
4 入力部
5 通信部
6 表示部
10 経路探索手段
11 表示制御手段
12 走行履歴記録手段
13 道路推定手段
14 強調表示手段
20 自車位置マーク
100 ナビゲーションシステム
MK1〜MK10 追加表示
R1〜R5 被表示領域
T1 一時的被表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を取得する測位部と、地図データを記憶する記憶部と、該記憶部から読み出した地図データを該測位部が取得した自車位置を表すマークと共に表示画面に表示させる表示制御手段と、該表示画面に表示させる地図データの被表示領域を遷移させる操作を受け付ける入力部と、を備えるナビゲーションシステムであって、
自車が走行する可能性の高い道路を推定する道路推定手段と、
前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させる強調表示手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記強調表示手段は、被表示領域を遷移させる操作を前記入力部が受け付けた場合に、前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記強調表示手段は、自車位置を表すマークを表示画面から逸脱させた場合に、前記道路推定手段が推定した道路を強調表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記道路推定手段は、自車が現在走行する道路を、自車が走行する可能性の高い道路として推定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記道路推定手段は、利用頻度が高い道路を、自車が走行する可能性の高い道路として推定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記道路推定手段が推定した道路の関連情報を表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−103537(P2009−103537A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274471(P2007−274471)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】