説明

ナビゲーションシステム

【課題】ナビゲーションシステムにおいて、複数の移動体をグループ化して移動する場合に、グループ化の手間を低減するとともに、ナビゲーション情報の共有を容易にする。
【解決手段】親機・子機決定部50が、通信装置90を通じて探索情報を送信させ、これによって所定の距離範囲内における他の車両300,400,…に搭載されたナビゲーション100の有無を探索し、他のナビゲーションシステム100が探索されたときは、自己のナビゲーションシステム100を自動的に子機に指定し、他の車両300,400,…に搭載されたナビゲーション100が探索されなかったときは、自車200のナビゲーションシステム100を自動的に親機に指定し、ナビゲーション情報共有部40が、グループ内で共有されるナビゲーション情報を、親機で設定されたナビゲーション情報に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関し、詳細には、特定のグループに属する複数の移動体間で情報を共有するナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS等によって得られた車両の現在位置を、地図画像上の所定位置に対応させて、この地図画像とともに車両を表すマーカを重ねて表示するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
ところで、例えば複数の車両で特定のグループを形成し、このグループで同じ目的地に向かって走行する場合、グループ内の各車両の乗員は、それぞれに搭載された自車のナビゲーション装置を用いて、目的地の入力操作を行い、そして各ナビゲーション装置が目的地までの経路を設定している。
【0004】
しかし、各ナビゲーション装置によって設定された経路は、それぞれ他から独立して独自に設定されるため、グループ内の全てのナビゲーション装置によりそれぞれ設定された経路が同一になるとは限らず、互いに異なる経路になる場合もある。
【0005】
そして、このように互いに異なる経路が設定されて、グループ内の各車両がそれぞれ自車のナビゲーション装置による経路にしたがって走行すると、途中でグループ内の車両が離散してしまい、グループで一体的に走行することができない場合がある。
【0006】
一方、各車両がナビゲーション装置で経路の設定を行わずに、他車両を目視で確認しながら走行する場合、グループの一体性は確保できるが、目視での確認ができなくなった場合は、経路が分からないため、再度合流するのが困難となる。
【0007】
そこで、グループ内の各車両については、通信装置を用いて他車両のナビゲーション装置と通信を行うことで、他車両の現在位置を取得し、自車のナビゲーション装置のモニタに、自車のマーカとともに他車のマーカも同時に表示して、自車と他車との位置関係を、ナビゲーション装置のモニタ上で常に把握可能にし、これによってグループの一体性を確保する技術が提案されている(特許文献1)。
【0008】
また、一つのナビゲーション装置で設定された経路等のナビゲーション情報を複数のナビゲーション装置で共有することで、入力操作の手間を省略したり、経路の共通化を実現する技術も提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−062192号公報
【特許文献2】特開平8−115494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した複数の移動体をグループ化する場合、そのグループごとに付与されるグループコードや各移動体にそれぞれ対応したナビゲーション装置ごとの固有の識別情報(固有IDなど)を逐一入力操作する必要があり、グループ化に手間取るという問題がある。
【0010】
また、ナビゲーション情報を共有するに際しても、複数のナビゲーション装置のうちいずれのナビゲーション装置が設定したナビゲーション情報を共有の対象とするか、またそのような共有の対象の選択をどのように行うか、について具体的に開示するものではなく、実用的ではなかった。
【0011】
なお、ナビゲーション装置は車両に搭載されているものとして説明したが、ナビゲーション装置は、車両だけでなく人など広く移動体に搭載乃至携帯(以下、単に搭載という。)されるものもある。
【0012】
そして、上述した問題、すなわち複数の移動体で特定のグループを形成して一体的に移動する場合の問題は、移動体が車両であるか人等であるかに拘わらず生じうるものである。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、複数の移動体をグループ化して移動する場合にも、グループ化に要する入力操作の手間を低減するとともに、共有化する対象のナビゲーション情報を容易に特定することができるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、親機・子機決定部が通信装置を通じて探索情報を送信させて、これによって所定の距離範囲内における他の移動体の有無を探索し、他の移動体が探索されたときは、自己のナビゲーションシステムを自動的に子機とし、他の移動体が探索されなかったときは、自己のナビゲーションシステムを自動的に親機とし、グループ内で共有されるナビゲーション情報は、親機で設定されたナビゲーション情報とするため、共有されるナビゲーション情報の特定を容易にするとともに、共有されるナビゲーション情報を逐次選択する必要がない。
【0015】
また、グループ化に際しては、識別情報を含む探索情報を送信することで、自己の移動体の近く(所定の距離範囲内)にある他の移動体との間で、識別情報に、特定のグループを自動的に対応付けてグループを構成するため、グループ化に要する入力操作の手間を低減することができる。
【0016】
すなわち、本発明に係るナビゲーションシステムは、移動体に搭載されて、前記移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、地図画像上における前記現在位置に対応した位置に前記移動体を表す移動体マーカを重ね合わせて表示する表示手段とを有し、固有の識別情報が付与されたナビゲーション装置、および前記移動体に搭載されて、他の移動体との間で相互にナビゲーション情報を送受信する通信装置、を備えたナビゲーションシステムにおいて、前記ナビゲーション装置は、他の移動体に搭載されたナビゲーション装置との間で前記ナビゲーション情報を共有しようとする範囲として形成される所定のグループを表すグループ情報と前記他の移動体に搭載されたナビゲーション装置ごとの識別情報とを対応付けて記憶するグループ記憶部と、前記グループ記憶部に記憶され前記グループ情報に対応付けられた識別情報に基づいて、他のナビゲーション装置との間で、前記通信装置による通信の許可または不許可を制御するネットワーク制御部と、前記ナビゲーション情報の共有に先立って、所定の距離範囲内において、前記グループ情報に対応付けられた識別情報を有するナビゲーション装置が搭載された他の移動体の有無を探索する探索情報を、前記通信装置により送信し、前記探索情報に応じて前記通信装置により受信した応答に基づいて、前記グループ情報に対応した他の移動体の有無を判定し、前記グループ情報に対応した移動体が無いと判定したときは自己を親機に指定し、前記グループ情報に対応した移動体が有ると判定したときは自己を子機に指定する、親機・子機決定部と、前記親機・子機決定部による指定が親機の場合は、この親機であるナビゲーション装置によって設定されたナビゲーション情報を、子機である他のナビゲーション装置との間で共有させるように、前記通信装置を通じて、前記ナビゲーション情報を前記他のナビゲーション装置に送信させ、前記親機・子機決定部による指定が子機の場合は、親機として指定された他のナビゲーション装置によって設定されたナビゲーション情報を、この親機との間で共有させるように、前記通信装置を通じて、前記ナビゲーション情報を前記他のナビゲーション装置から受信させ、前記ナビゲーション装置の動作を、前記共有されるナビゲーション情報に基づいて制御するナビゲーション情報共有部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
ここで、上記移動体には、車両(自動車、自動二輪車、軽車両(自転車)等)の他、人なども含む。
【0018】
また、上記搭載には、携帯も含む意であり、したがって上記移動体が人の場合は、その人が携帯するナビゲーションシステムも、移動体に搭載されるナビゲーションシステムとされ、本発明に係るナビゲーションシステムの対象となる。
【0019】
位置検出手段としては、GPSの他、公知の自律航法に用いられるジャイロセンサおよび車速センサなどからなるものも適用することができる。
【0020】
表示手段が表示する地図画像は、ナビゲーション装置が備える記憶領域に予め記憶されているものであってもよいし、または、ナビゲーション装置外の、地図画像が記憶されているサーバから、必要な一部分のみを随時、通信装置を介して受信するものであってもよい。
【0021】
移動体マーカは、移動体を模式的に表したマークや単なる記号などを適用することができる。この場合、移動体自身と他の移動体とを視覚的に容易に区別できるように、色彩や形状などの異なる複数種類の移動体マーカを備えていることが好ましい。
【0022】
ナビゲーション装置に付与された固有の識別情報は、ナビゲーション装置ごとに付与された番号等のID(Identification)情報である。したがって、任意の識別情報に基づいて1つのナビゲーション装置を特定することができる。
【0023】
通信装置は、無線で送信および受信を行う装置であり、その無線に用いられる電磁波の種類(周波数帯域)は如何なるものであってもよい。
【0024】
ナビゲーション情報は、ナビゲーション装置に入力され、またはナビゲーション装置によって検出もしくは設定される情報であり、例えば、目的地、経由地、ナビゲーション装置(識別情報)ごとの現在位置、目的地までの経路や距離、到着予定時刻などの全部または一部を表す情報である。
【0025】
また、所定のグループを表すグループ情報とは、ナビゲーション情報を共有しようとする複数の移動体からなるグループを、数字や記号などによって特定するための情報であり、端的にはグループ名(ID)のようなものである。
【0026】
したがって、グループ記憶部は、複数のナビゲーション装置の識別情報と1つのグループ情報とがを対応付けられて記憶されているため、ネットワーク制御部が、このグループ記憶部を参照することで、通信装置を介して入力されたナビゲーション情報のうちの識別情報に基づいて、その識別情報を有するナビゲーション装置がグループを構成するものか否かを判定することができ、この判定の結果に応じて、ネットワーク制御部は、そのナビゲーション装置との間で通信の許可または不許可を制御することができる。
【0027】
すなわち、その識別情報を有するナビゲーション装置がグループを構成するものであると判定したときは、そのナビゲーション装置との間で通信装置を介した通信を許可し、その識別情報を有するナビゲーション装置がグループを構成するものでないと判定したときは、そのナビゲーション装置との間で通信装置を介した通信を不許可とする。
【0028】
親機・子機決定部が指定する親機とは、グループ内で共有するナビゲーション情報(特に、ナビゲーション装置が設定した経路など。)を提供する側のナビゲーション装置であり、子機とは、グループ内で共有されるナビゲーション情報の提供を受ける側のナビゲーション装置である。
【0029】
そして、親機・子機決定部による親機の指定または子機の指定は、端的には、最初に探索情報を発信したナビゲーション装置を親機に指定し、その後に探索情報を発信したナビゲーション装置を子機に指定するものである。
【0030】
所定の距離範囲内における他の移動体の有無は、通信装置を介して所定の距離範囲まで探索情報が送信されたときに、その探索情報に対する応答の有無で判定される。
【0031】
すなわち、所定の距離範囲に他の移動体(他のナビゲーション装置を搭載した移動体)が存在しないときは、探索情報に対して応答が無いため、親機・子機決定部は、その探索情報を送信した移動体のナビゲーション装置を親機として設定する。
【0032】
このとき、グループ記憶部は、1つのグループ情報を生成して、そのグループ情報に、自己のナビゲーション装置の識別情報を対応付けるとともに、この識別情報を親機として対応付ける。
【0033】
一方、所定の距離範囲に他の移動体が存在するときは、探索情報に対して当該他の移動体から応答が有り、この応答を受信した移動体における親機・子機決定部は、その探索情報を送信した移動体のナビゲーション装置を子機として設定する。
【0034】
親機に設定されるのは、最初に探索情報を送信したナビゲーション装置であるが、子機となるナビゲーション装置は、親機のグループ記憶部に記憶されているグループ情報およびこのグループ情報に対応付けられた親機の識別情報を得、このグループ情報に自己のナビゲーション装置の識別情報を子機としてさらに対応付けて、グループ記憶部に記憶される。
【0035】
親機のナビゲーション装置も、そのグループ記憶部に記憶されたグループ情報および親機の識別情報に、子機の識別情報をさらに対応付けて記憶する。
【0036】
ナビゲーション情報共有部は、親機・子機決定部で決定された親機または子機の別に応じて、ナビゲーション装置の動作を制御する。具体的には、親機に指定されたナビゲーション装置は、自機によるナビゲーション情報(自機に入力された情報(目的地等)、自機により検出または設定された情報)に基づいた動作を行い、子機に指定されたナビゲーション装置は、自機によるナビゲーション情報に基づいた動作を行う。
【0037】
このように構成された本発明に係るナビゲーションシステムによれば、ナビゲーション情報の共有に先立って、親機・子機決定部が、グループ情報に対応付けられる識別情報を有するナビゲーション装置が搭載された、所定の距離範囲内における他の移動体の有無を探索する探索情報を通信装置により送信させ、この探索情報に応じて通信装置により受信した応答に基づいて、グループ情報に対応した他の移動体の有無を判定し、グループ情報に対応した移動体が無いと判定したときは自己を親機に指定し、グループ情報に対応した移動体が有ると判定したときは自己を子機に指定する。
【0038】
自己が親機として指定されたときは、このナビゲーション装置は、グループ内において時系列的に最初に探索情報を発したこととなるため、グループ記憶部がグループ情報を任意に設定し、この設定されたグループ情報に、自己を表すナビゲーション装置の識別情報を親機として対応付け、この対応付けられたグループ情報および識別情報をグループ記憶部が記憶する。
【0039】
このように親機が最初に決まった後に、同じグループに属するものとなる他の移動体が所定の距離範囲内で、2番目に探索情報を送信したときは、親機が、その移動体(他の移動体)に対して、応答を返す。
【0040】
この応答は、グループ記憶部に記憶されているグループ情報およびこのグループ情報に対応付けられた親機であるナビゲーション装置の識別情報を、通信装置を通じて送信することで行われる。
【0041】
2番目に探索情報を送信したナビゲーション装置がこの応答を受信すると、このナビゲーション装置は、すでにグループおよびそのグループにおける親機の存在を認識するため、このナビゲーション装置は新たにグループ情報を生成することなく、応答に含まれているグループ情報に、子機として、自己のナビゲーション装置の識別情報を対応付け、自己のグループ記憶部に、この対応付けられたグループ情報、親機の識別情報および子機(自己)の識別情報を記憶する。3番目以後に探索情報を送信したナビゲーション装置についても同様である。
【0042】
一方、親機は、グループ記憶部に既に記憶されているグループ情報に、他の移動体から受けた探索情報に含まれているその他の移動体のナビゲーション装置の識別情報を、子機としてさらに対応付けて記憶する。
【0043】
これによって、親機、子機ともに、共通のグループとして対応付けられ、ネットワーク制御部は、このグループに対応付けられている識別情報を有するナビゲーション装置との間だけで、通信装置を通じた送受信を許可し、グループに対応付けられていない識別情報を有するナビゲーション装置との間では、通信装置を通じた送受信を許可しない。なお、ナビゲーション情報の共有のための通信に先立つ探索情報については、その送受信を常に許可している。
【0044】
このように、本発明のナビゲーションシステムによれば、乗員が識別情報やグループ情報を逐一入力操作する手間を掛けずに、探索情報の送信操作という簡単な操作だけで、ナビゲーション情報を共有しようとする複数のナビゲーション装置を1つのグループに対応付けることができる。
【0045】
また、1つのグループに対応付けられているナビゲーション装置とだけ通信を行うため、無関係な移動体に搭載されたナビゲーション装置との間で、無駄な通信を行う必要がない 。
【0046】
そして、そのナビゲーション装置が親機に指定されているときは、ナビゲーション情報共有部が、その親機であるナビゲーション装置のナビゲーション情報を用いてナビゲーション装置の動作を制御し、一方、そのナビゲーション装置が子機に指定されているときは、ナビゲーション情報共有部が、親機であるナビゲーション装置から受信したナビゲーション情報を用いて、その子機のナビゲーション装置の動作を制御する。
【0047】
これにより、グループ内の移動体は、共通のナビゲーション情報を利用するものとなる。
【0048】
以上の通り、本発明に係るナビゲーションシステムによれば、複数の移動体をグループ化して移動する場合にも、グループ化に要する入力操作の手間を低減するとともに、共有化する対象のナビゲーション情報を容易に特定することができる。
【0049】
なお、子機のナビゲーション装置の動作の具体的な制御内容としては、少なくとも親機で設定された経路情報を表示手段に表示し、この経路情報に従った自己(子機搭載)の誘導を行うものであればよく、これらに加えてさらなる制御(親機を搭載した移動体が目的地に到着する予想時刻の表示など)を行うこともできる。
【0050】
本発明に係るナビゲーションシステムにおいては、前記ナビゲーション情報には、出発地から目的地に至る経路情報を含み、前記ナビゲーション情報共有部は、前記親機が設定した前記経路情報が変更されたときは、前記変更された後の前記経路情報を、前記親機から前記子機に、前記通信装置を通じて送信することが好ましい。
【0051】
ここで、親機が設定した前記経路情報が変更されたときに、変更された後の経路情報を、親機から子機に送信するタイミングとしては、その経路情報が変更された直後であることが好ましい。
【0052】
移動体が自動車のように移動速度が相当程度速いものの場合は、送信タイミングの僅かな遅れにより、親機で設定された経路情報にしたがったナビゲーション装置の動作制御を行うことができなくなる虞が生じうるのに対して、経路情報が変更された直後のタイミングで、親機から子機に送信されれば、そのような懸念を低減できるからである。
【0053】
本発明に係るナビゲーションシステムにおいては、前記ナビゲーション情報には、前記グループに対応した他の移動体の現在位置を含み、前記通信装置は、前記他の移動体の現在位置を送受信し、前記表示手段は、前記地図画像上における前記他の移動体の現在位置に対応した位置に、前記他の移動体を表す他の移動体マーカを重ね合わせて表示することが好ましい。
【0054】
このように好ましく構成された本発明に係るナビゲーションシステムによれば、グループ内の他の移動体も、自己の移動体マーカとともに、他移動体マーカとして表示手段に表示されるため、表示手段を見ることで、他の移動体との位置関係について常に注意を払うことができ、グループに対応付けられた複数の移動体間の距離が過度に広がるのを抑制することができる。
【0055】
本発明に係るナビゲーションシステムにおいては、前記ナビゲーション装置は、前記子機の現在位置と前記親機の現在位置との間の距離を、前記子機の現在位置と前記親機の現在位置とに基づいて算出する距離算出手段と、前記距離算出手段によって算出された前記距離が、予め設定された距離を超えたとき、所定の警告を出力する警告手段と、を備えたことが好ましい。
【0056】
このように好ましく構成された本発明に係るナビゲーションシステムによれば、他の移動体との間の距離が過度に広がったときに、警告手段が警告を発するため、他の移動体との間の位置関係について表示手段で常に確認している必要が無く、利便性を向上させることができる。
【0057】
このとき、距離算出手段は、他の移動体との距離を、親機を基準として算出するため、グループ全体の中での離間距離を、親機を中心とした範囲にとどめることができ、任意の子機間での距離で規制する場合よりも、グループ全体の広がりを小さい範囲に抑制することができる。
【0058】
本発明に係るナビゲーションシステムにおいては、前記親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を超えたとき、前記ナビゲーション装置が、前記親機である前記他のビゲーション装置から受信されたナビゲーション情報に基づくのではなく、自機が設定したナビゲーション情報に基づいて動作するように、前記ナビゲーション装置の動作が切り替えられることが好ましい。
【0059】
このように好ましく構成された本発明に係るナビゲーションシステムによれば、親機から大きく隔たった場合にまで親機の設定した経路情報等ナビゲーション情報に従った動作制御を行うと、ナビゲーション装置による誘導が却って不適切になる虞もあり、このような場合は、自己機での独立した誘導を行うのが適切だからである。
【0060】
本発明に係るナビゲーションシステムにおいては、前記親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を下回ったとき、前記ナビゲーション装置が、自機が設定したナビゲーション情報に基づくのではなく、前記親機である前記他のナビゲーション装置から受信されたナビゲーション情報に基づいて動作するように、前記ナビゲーション装置の動作が切り替えられることが好ましい。
【0061】
このように好ましく構成された本発明に係るナビゲーションシステムによれば、親機から一旦は大きく隔たって、自己機による独自の誘導がなされた場合であっても、親機との間の距離が縮まって予め設定された距離以内となったときは、親機のナビゲーション情報に再度従う動作を行うことで、グループでの一体的な誘導に復帰させることができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明に係るナビゲーションシステムによれば、複数の移動体をグループ化して移動する場合にも、グループ化に要する入力操作の手間を低減するとともに、共有化する対象のナビゲーション情報を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、本発明に係るナビゲーションシステムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0064】
図1は、本発明の実施形態に係るナビゲーションシステム100の構成を示すブロック図、図2は図1に示したナビゲーションシステム100をより具体的な装置構成に展開したブロック図、図3は本実施形態のナビゲーションシステム100が利用される状況の典型的な例を示す模式図であって、ナビゲーションシステム100が移動体としての車両200に搭載されることを示している。
【0065】
図示のナビゲーションシステム100は、車両200(移動体)に搭載されて、車両200の現在位置を検出する位置検出手段30と、地図画像上における現在位置に対応した位置にこの車両200を表す自車マーカM(移動体マーカ)を重ね合わせて表示する表示手段20とを有し、固有の識別情報(ID)が付与されたナビゲーション装置10、および同じ車両200に搭載されて、他の車両300,400,…との間で相互にナビゲーション情報を送受信する通信装置90、を備えている。
【0066】
そして、ナビゲーション装置10は、他の車両300,400,…に搭載されたナビゲーション装置10との間でナビゲーション情報を共有しようとする範囲として形成される所定のグループを表すグループ情報Grと他の車両300,400,…にそれぞれ搭載されたナビゲーション装置10ごとの識別情報(ID)とを対応付けて記憶するグループ記憶部70と、グループ記憶部70に記憶されグループ情報Grに対応付けられたIDに基づいて、他のナビゲーション装置10,10,…との間で、通信装置90による通信の許可または不許可を制御するネットワーク制御部60と、ナビゲーション情報の共有に先立って、所定の距離範囲内においてグループ情報Grに対応付けられたIDを有するナビゲーション装置10が搭載された他の車両300,400,…の有無を探索する探索情報を、通信装置90により送信し、探索情報に応じて通信装置90により受信した応答に基づいて、グループ情報Grに対応した他の車両300,400,…の有無を判定し、グループ情報Grに対応した他の車両3000,400,…が無いと判定したときは自己(車両200のナビゲーション装置10)を親機(オーナー機)に指定し、グループ情報Grに対応した他のいずれかの車両300,400,…が有ると判定したときは自己(車両200のナビゲーション装置10)を子機に指定する親機・子機決定部50と、親機・子機決定部50による指定が親機の場合は、この親機であるナビゲーション装置10によって設定されたナビゲーション情報を、子機である他の車両300,400,…のナビゲーション装置10,10,…との間で共有させるように、通信装置90を通じて、ナビゲーション情報を他の車両300,400,…のナビゲーション装置10,10,…に送信させ、親機・子機決定部50による指定が子機の場合は、親機として指定された他のいずれかの車両300,400,…のナビゲーション装置10によって設定されたナビゲーション情報を、この親機との間で共有させるように、通信装置90を通じて、ナビゲーション情報を他のナビゲーション装置10(親機に指定されているナビゲーション装置10)から受信させ、自己のナビゲーション装置10の動作を、共有されるナビゲーション情報に基づいて制御するナビゲーション情報共有部40と、を備えている。
【0067】
また、このナビゲーション装置10は、子機となる他車両300,400,…に搭載されたナビゲーション装置10,10,…の各現在位置と親機となる自車200に搭載されたナビゲーション装置10の現在位置との間の各距離を、子機の現在位置と親機の現在位置とに基づいて算出し、あるいは、子機となる自車200に搭載されたナビゲーション装置10の現在位置と親機となるいずれかの他車両300,400,…に搭載されたナビゲーション装置10の現在位置との間の距離を、子機の現在位置と親機の現在位置とに基づいて算出する距離算出手段80と、距離算出手段80によって算出された親機と子機との間の距離(直線距離であっても、経路に沿った距離であってもよい。)が、予め設定された距離を超えたとき、所定の警告を出力する警告手段85と、を備えている。
【0068】
図2に示すナビゲーションシステム100は、図1に示したものよりも具体的な装置構成に展開したものであり、ナビゲーション用センサ部130と、タッチ機能付き表示パネル121と、表示制御部120と、記憶デバイス部170と、マイク187と、スピーカ186と、ユーザインターフェース制御部185と、ナビゲーション制御部110と、ナビゲーション用外部通信部190と、ネットワーク制御部160と、テレビ制御部111とを備えた構成である。
【0069】
ここで、ナビゲーション用センサ部130は、GPSやジャイロセンサ、車速センサ等を有し、図1における位置検出手段30に相当する。
【0070】
タッチ機能付き表示パネル121は、タッチセンサ付のいわゆるディスプレイであり、画像等を表示し、この表示パネル121と表示制御部120とが、図1における表示手段20に相当する。なお、この表示パネル121に表示される地図情報および自車マーカMは、記憶デバイス170に記憶されている。
【0071】
ここで、記憶デバイス170には、上述した自車マーカMの他に、グループ内の他車300,400,…をそれぞれ表す他車マーカm1,m2,…も記憶されていて、グループ内の車両であると判定されたときは、表示パネル121に、地図情報および自車マーカMの他に、他車マーカm1,m2,…も重畳表示するように、後述するナビゲーション制御部110が表示制御部120を制御する。
【0072】
ナビゲーション用外部通信部190は、図1における通信装置90に相当し、他の車両300,400,…に搭載されたナビゲーションシステム100のナビゲーション用外部通信部190,190,…と送受信を行うことでナビゲーション情報のやりとりを可能にしている。
【0073】
ネットワーク制御部160は、図1におけるネットワーク制御部60に相当する。
【0074】
テレビ制御部111は、表示パネル121にテレビ放送番組を表示し又は非表示にする切替えの制御や表示する場合の各種制御を行う機能を奏する部分であり、例えば走行中は、非表示にする制御などを行う。
【0075】
スピーカ186は、このナビゲーションシステム100が乗員に対して、車両200の誘導動作を促す音声を出力するものであるとともに、図1における警告手段85も兼用している。なお、マイク187は、乗員が音声を入力し、その入力された音声に応じてナビゲーション制御部(後述)を制御するためのインターフェースであるが、詳細な説明は省略する。
【0076】
これらスピーカ186やマイク187は、ユーザインタフェース制御部185を介して、ナビゲーション制御部110に接続されている。
【0077】
ナビゲーション制御部110は、ナビゲーション用センサ部130から取得した車両200の現在位置に基づいて、この現在位置の周辺の地図情報を表示パネル121に表示させるとともに、この地図情報における、車両200の現在位置に対応した位置に、自車マーカMを重畳させて表示させる制御を行う。
【0078】
また、このナビゲーション制御部110は、例えば表示パネル121に設けられたタッチ機能を用いて乗員から入力された目的地等の情報と車両200の現在位置に基づいて、目的地までの経路を探索するなどの制御を行う。
【0079】
なお、本実施形態において、ナビゲーション情報とは、この目的地までの経路を表す経路情報や、入力された目的地や経由地に表す情報、自車200の現在位置を表す情報、他の車両300,400,…の現在位置を表す情報、目的地への到達予想時刻などである。
【0080】
また、このナビゲーション制御部110は、前述した図1におけるナビゲーション情報共有部40、親機・子機決定部50および距離算出手段80にも相当し、これらの機能を発揮するように構成されている。
【0081】
ここで、ナビゲーション制御部110またはネットワーク制御部160には、このナビゲーションシステム100ごとに固有のIDが記憶されており、この固有IDは、後述するグループ化の際およびグループ内での親機または子機の判別のために用いられる。
【0082】
なお、機器固有でナビゲーションシステムを個別に判断できる情報(ナビゲーションシステムを識別して特定することができる情報)が有れば、その情報を上記固有IDの代わりに使用してもよい。
【0083】
次に、本実施形態のナビゲーションシステム100の作用について、図3に示したフローチャートを参照して説明する。
【0084】
なお、このナビゲーションシステム100がそれぞれ搭載された複数の車両200,300,400,…によって所定のグループを構成し、これら複数の車両200,300,400,…が集合している現在位置から、任意の目的地に向けて、グループとして略一体的に走行する場合について説明する。
【0085】
グループで一体的に行動しようとする場合、グループを構成する複数の車両200,300,400,…の一部であっても、グループから離脱しないことが求められる。
【0086】
以下の説明では、ナビゲーションシステム100が搭載された任意の車両200を中心にして説明する。
【0087】
まず、一体的に走行しようとするグループを特定するグループ情報Grと、このグループに属することとなる複数の車両200,300,400,…とを対応付ける処理を行う。
【0088】
この対応付けの処理は、各車両200,300,400,…にそれぞれ搭載されたナビゲーションシステム100における固有のIDを、グループ情報Grに対応付けることで実現される。
【0089】
すなわち、車両200に搭載されているナビゲーションシステム100における表示パネル121に表示されている接続ボタンが乗員によって押下されると(図3において、ステップ11(S11))、この押下されたことがユーザインターフェース制御部185を介してナビゲーション制御部110に伝達される。
【0090】
ナビゲーション制御部110は、この入力を受けて、親機・子機決定部50として動作し、この車両200に搭載されたナビゲーションシステム100から所定の距離範囲内において、そのIDがグループ情報Grに対応付けられた他のナビゲーションシステム100を搭載した他の車両300,400,…が存在するか否かを探索する探索情報を、ネットワーク制御部160を介してナビゲーション用外部通信部190から送信させ、そのIDがグループ情報Grに既に対応付けられた他のナビゲーションシステム100を搭載した他の車両300,400,…の存在有無を判定する(S12)。
【0091】
親機・子機決定部50は、そのIDがグループ情報Grに対応付けられた他のナビゲーションシステム100からの応答を受けたときは、自機を子機に指定し(S13)、一方、そのIDがグループ情報Grに対応付けられた他のナビゲーションシステム100からの応答を得ないときは、自機を親機(オーナー機)に指定し(S16)、いずれの場合も、自機のIDをそのグループ情報Grに対応付けてグループ記憶部70としての記憶デバイス170に記憶させる(S14)。
【0092】
ここで、グループ記憶部70に、そのIDがグループ情報Grに対応付けられて記憶されている任意のナビゲーションシステム100は、他のナビゲーションシステム100から探索情報の送信を受けたとき、既にそのグループ情報GrにIDが対応付けられていることを応答する。これによって、探索情報に対する応答がなされ、後から探索情報の送信を行ったナビシステム100は、子機として指定される。
【0093】
一方、そのIDがグループ情報Grに対応付けられてグループ記憶部70に記憶されている他のナビゲーションシステム100が、所定の距離範囲に存在しないときは、探索情報対して応答するナビゲーションシステムは無いため、探索情報を送信したナビゲーションシステム100は、グループを形成しようとした最初のナビゲーションシステムということになり、このナビゲーションシステム100が親機に指定される。
【0094】
自機が子機に指定された場合(S13)、その子機とされたナビゲーションシステム100は、自機のIDを、親機から送信されたグループ情報Grおよびこのグループ情報Grに既に対応付けられているその親機のIDに、さらに対応付けてグループ記憶部70に記憶させる(S14)。
【0095】
そして、このグループ記憶部70に記憶されているIDの範囲(グループ情報Grに対応付けられている複数のID(親機および自機(子機))が、グループとしてナビゲーション情報を共有する範囲となるネットワークを確立し、ネットワーク制御部160による通信の許可範囲となる(S15)。
【0096】
自機が親機として指定された場合(S16)、他に子機が存在するか否かを判定するが(S17)、最初は当然ながら子機は存在しないため、親機として指定された自機のナビゲーションシステム100の表示パネル121に表示されている接続ボタンが乗員によって押下され続けているか否かを判定する(S19)。
【0097】
そして、親機の接続ボタンが押下され続けている期間中は、親機・子機決定部50は、少なくとも1台の子機の存在を探索し続ける(S17→S19→S17の繰り返し)。
【0098】
接続ボタンが押下され続けている間に、他のナビゲーションシステム100から探索情報が送信されて、そのナビゲーションシステム100が子機として指定されると、少なくとも1台の子機の有無が確認され(S17)、自機を親機、他機を子機として、ネットワーク制御部160がこれら親機と子機との間でネゴシエーションを行い(S18)、共通のグループ情報Gr(S14)によってネットワークを確立し、ネットワーク制御部160による通信の許可範囲となる(S15)。
【0099】
一方、接続ボタンが押下され続けている間に、他のナビゲーションシステム100から探索情報が送信されず、他のナビゲーションシステム100が子機として指定されないまま、接続ボタンの押下が解除されると(S19)、親機とネットワークを確立する相手が1台も無いため、ネットワーク制御部160は、ネットワーク確立のためのネゴシエーション処理を中止し(S20)、ネットワーク確立の処理を終了する。
【0100】
以上の処理により、グループとして略一体的に移動することとなる複数台のナビゲーションシステム100,100,…は、前述したように、グループ記憶部70すなわち記憶デバイス部170に、1つのグループ情報Grに各ナビゲーションシステム100,100,…のIDが対応付けられて記憶され、以後は、このグループ情報Grに対応付けられたIDを有するナビゲーションシステム100,100,…間でのみ、ナビゲーション用外部通信部190による通信が可能となるように、ネットワーク制御部160が制御を行う。
【0101】
ナビゲーション情報共有部40としてのナビゲーション制御部110は、自機が親機であるときは、自機に入力され、または自機で設定したナビゲーション情報(入力された目的地や経由地、設定された経路などの情報)に基づいて、表示パネル121への経路表示や現在位置の表示、スピーカ186からの音声による案内などのナビゲーション動作を行わせる。
【0102】
一方、ナビゲーション情報共有部40としてのナビゲーション制御部110は、自機が子機であるときは、親機に入力され、または親機で設定されたナビゲーション情報(入力された目的地や経由地、設定された経路などの情報)が、親機のネットワーク制御部160およびナビゲーション用外部通信部190、並びに子機である自機のネットワーク制御部160およびナビゲーション用外部通信部190を介して、自機のナビゲーション情報共有部40に入力され、自機のナビゲーション情報共有部40であるナビゲーション制御部110は、自機の表示パネル121への経路表示や親機および子機(自機)の現在位置の表示、スピーカ186からの音声による案内などのナビゲーション動作を行わせる。
【0103】
これにより、グループ内の各車両200,300,400,…にそれぞれ搭載された各ナビゲーションシステム100,100,100,…は、親機のナビゲーションシステム100によるナビゲーション情報を共有し、各ナビゲーションシステム100は、この共有されたナビゲーション情報に基づいて制御されるため、グループ内の各車両200,300,400,…は、共通のナビゲーション情報に含まれた単一の経路情報等に基づいて誘導され、これにより、各ナビゲーションシステム100がそれぞれ独自に設定した経路にしたがって走行する場合に比べて、グループ内の車両200,300,400,…が離散するのを抑制することができる。
【0104】
以上のようにナビゲーション情報が共有された各ナビゲーションシステム100には、所定の時間間隔でグループ内の他のナビゲーションシステム100からそれぞれ自機の現在位置を表す情報が、各機のIDが対応付けられて、ナビゲーション用外部通信部190を通じて送信されてくる。
【0105】
そして、各ナビゲーションシステム100は、送信されてきた各他機の現在位置を表す情報およびそれに対応付けられたIDを、自機のナビゲーション用外部通信部190を通じて受信するが、このとき、ネットワーク制御部160が、送信されてきた現在位置を表す情報に付されたIDを、記憶デバイス部170に記憶されているID(グループ情報Grに対応づけられているID)と照合し、記憶デバイス部170に記憶されているIDと一致した場合は、同じグループ内のナビゲーションシステム100からの送信であると判定して通信を許可し、ナビゲーション制御部110は、この送信されてきた他機の現在位置を表す情報を受け取り、この他機の現在位置に対応する地図上の位置に、他車マーカm1,m2,…を重畳表示する。
【0106】
なお、この他車マーカm1,m2,…は、それぞれ互いに視覚的な差異(色や外観形状または付記される記号(例えばID)等による差異)が与えられており、特に、親機については、目立つ色彩や大きさなどによって明確な差異が与えられている。
【0107】
これにより、各ナビゲーションシステム100,100,…の表示パネル121には、図4に示すように、地図画像Pに、自車マーカMおよび他車マーカm1,m2,…も重畳表示される。
【0108】
したがって、各車両200,300,400,の乗員は、自車200と他車300,400,…との位置関係を、表示パネル121上で常に確認することができるため、自車200がグループ内の他車300,400,…から離れて孤立していないか否かを、乗員に容易に判断させることができ、この観点からも、グループで一体的な走行を維持させ易くすることができる。
【0109】
なお、自車200のナビゲーションシステム100や他車300,400,…のナビゲーションシステム100がそれぞれ送信する各車の現在位置に関する情報の送信間隔としては、例えば1秒間毎などの間隔・頻度であればよい。
【0110】
また、親機が、最初に設定された経路から逸脱した走行を行うなどして、目的地までの経路が変更(更新)されたときは、親機のナビゲーション情報共有部40が、その経路の変更直後、略リアルタイムに、ネットワーク制御部160およびナビゲーション用外部通信部190を通じて、その変更された後の経路情報を各子機に向けて送信させ、各子機のナビゲーション情報共有部40は、親機から送信されていた最初の経路情報を、この更新後の経路情報に書き換え、子機のナビゲーションシステム100は、この書き換えられた経路情報に基づいて、誘導・案内を行う。
【0111】
本実施形態のナビゲーションシステム100は、距離算出手段80としてのナビゲーション制御部110が、子機となる他車両300,400,…に搭載されたナビゲーションシステム100,100,…の各現在位置と親機となる自車200に搭載されたナビゲーションシステム100の現在位置との間の各距離(直線距離または経路に沿った距離)を、子機の現在位置と親機の現在位置とに基づいて算出する。
【0112】
なお、自車が子機であるときも、ナビゲーション制御部110が、子機となる自車200に搭載されたナビゲーションシステム100の現在位置と、親機となるいずれかの他車両300,400,…に搭載されたナビゲーションシステム100の現在位置との間の距離を、子機の現在位置と親機の現在位置とに基づいて算出する。
【0113】
そして、親機と子機との間の距離が予め設定された距離(例えば、記憶デバイス部170に記憶されているものとする。)を超えたとき、ナビゲーション制御部110は、ユーザインターフェース制御部185を介して、警告手段85であるスピーカ186から、距離が離れすぎた旨の音声を出力させる。
【0114】
このように、自車200と他車300,400,…(特に親機)との間の距離が過度に広がったときに、スピーカ186から、音声での警告が発せられるため、他車300,400,…との間の位置関係について表示パネル121の表示を常に視認しておく必要が無く、使用者の利便性を向上させることができる。
【0115】
また、距離算出手段80は、自車200と他車300,400,…との間の距離を、親機を基準として算出するため、グループ全体の中での離間距離を、親機を中心とした範囲にとどめることができ、任意の子機間での距離で規制する場合よりも、グループ全体の広がりを小さい範囲に抑制することができる。
【0116】
本実施形態のナビゲーションシステム100はさらに、上述した親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を超えたとき、ナビゲーション制御部110が、親機である他のナビゲーションシステム100から受信されたナビゲーション情報(特に経路情報)に基づくのではなく、子機である自機が設定したナビゲーション情報に基づいて動作するように、ナビゲーションシステム100の動作を切り替える。
【0117】
これとは反対に、親機との距離が予め設定されていた所定の距離を上回っていた場合であっても、親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を下回る位置まで親機に近付いたときは、ナビゲーション制御部110は、子機である自機が設定したナビゲーション情報(特に経路情報)に基づくのではなく、親機である他のナビゲーションシステムから受信されたナビゲーション情報に基づいて動作するように、ナビゲーションシステム100の動作を切り替える。
【0118】
このナビゲーション制御部110の作用について、図5に示したフローチャートを参照して説明する。
【0119】
まず、前述したように、グループ内の他車300,400,…にそれぞれ搭載されたナビゲーションシステム100からは、それぞれの現在位置が送信されて、グループ内の各ナビゲーションシステム100は、それぞれ互いの現在位置を取得する(S31)。
【0120】
次いで、子機である自機のナビゲーションシステム100の現在位置と親機に指定されているナビゲーションシステム100の現在位置とに基づいて、前述した距離算出手段80が親機と自機との間の距離を算出し、ナビゲーション制御部110は、この算出された距離が予め記憶デバイス部170に記憶されている所定の距離を上回っているか否かを判定し(S32)、所定の距離を上回っている場合、すなわち、自機が親機よりも相当程度離れてしまっている場合は、この子機は自機のナビゲーション制御部110により独自に設定された経路等のナビゲーション情報にしたがって動作するように、ナビゲーション制御部110はナビゲーション情報共有部40を制御する。
【0121】
これにより、親機から相当程度の距離が離れてしまった子機は、自機で設定されたナビゲーション情報に従って誘導されるものとなる(S34)。
【0122】
このように、親機から大きく隔たった場合にまで親機の設定した経路情報等ナビゲーション情報に従った動作制御を行うと、ナビゲーションシステム100による経路の誘導が却って不適切になる虞もあるところ、本実施形態のナビゲーションシステム100によれば、親機から大きく隔たった場合には、自機での独立した誘導を行うことができるため、その時点で最適な誘導情報を得ることができる。
【0123】
なお、自機のナビゲーション情報に従うのに先だって、グループ内の各ナビゲーションシステム100,100,…に対して、親機から所定距離以上離れた旨の通知を、自機のIDとともに、ナビゲーション用外部通信部190から送信する(S33)。
【0124】
この通知を受けた各ナビゲーション100は、記憶デバイス部170に記憶されたグループ情報Grとの対応付けにおいて、その通知してきたナビゲーションシステム100のIDを記憶しておく。
【0125】
自機で設定したナビゲーション情報に従った誘導となる子機のナビゲーションシステム100は、その後も、親機のナビゲーションシステム100との距離を距離算出手段80により逐次算出し、この距離が上述した所定の距離を下回ったか否かを監視し続ける。
【0126】
そして、上述の所定の距離を上回っている期間中は、この子機は自機のナビゲーション制御部110により独自に設定された経路等のナビゲーション情報にしたがって動作し続け(S35→S34)、一方、上述した所定の距離を下回ったときは、グループ内の各ナビゲーションシステム100,100,…に対して、親機から所定距離以内に近付いた旨の通知を、自機のIDとともに、ナビゲーション用外部通信部190から送信し(S35→S36)、この子機は、上述した所定の距離を下回っている期間中、親機が設定したナビゲーション情報に従って動作する(S37)。
【0127】
このように、親機から一旦は大きく隔たって、自機による独自の誘導がなされた場合であっても、親機との間の距離が縮まって予め設定された所定距離以内となったときは、親機のナビゲーション情報に従う動作に切り替えることで、グループでの一体的な誘導に復帰させることができる。
【0128】
子機のナビゲーションシステム100が、親機の設定したナビゲーション情報にしたがって動作している期間中に、親機のナビゲーション情報が変更される場合もあるが、この場合(S38)、親機のナビゲーション情報共有部40が、その経路の変更直後、略リアルタイムに、ネットワーク制御部160およびナビゲーション用外部通信部190を通じて、その変更された後の経路情報を各子機のナビゲーションシステム100,100,…に向けて送信させ(S39)、各子機のナビゲーション共有部40は、親機から送信されていた最初の経路情報を、この更新後の経路情報(リルート)に書き換え、子機のナビゲーションシステム100は、この書き換えられた経路情報に基づいて、誘導・案内を行う(S40)。
【0129】
これにより、親機の設定した経路情報が変更になった場合にも、グループ内の子機のナビゲーションシステム100,100,…は、この変更後の経路情報を共有することができ、グループとして一体的な移動を維持することができる。
【0130】
なお、上述した実施形態においては、本発明に係るナビゲーションシステムが搭載される移動体として、車両200,300,400,…を適用したが、本発明に係るナビゲーションシステムはこの態様に限定されるものではなく、移動体として、人などを適用するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したナビゲーションシステムを具体的な構成に展開したブロック図である。
【図3】親機または子機の別を決定する処理を説明するフローチャートである。
【図4】表示パネルに重畳的に表示された地図情報、自車および他車を示す模式図である。
【図5】親機のナビゲーション情報と子機のナビゲーション情報とを切り替えて動作させる処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0132】
10 ナビゲーション装置
40 ナビゲーション情報共有部
50 親機・子機決定部
90 通信装置
100 ナビゲーションシステム
200 自車(自己の車両)
300,400 他車(他の車両)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて、前記移動体の現在位置を検出する位置検出手段と、地図画像上における前記現在位置に対応した位置に前記移動体を表す移動体マーカを重ね合わせて表示する表示手段とを有し、固有の識別情報が付与されたナビゲーション装置、および前記移動体に搭載されて、他の移動体との間で相互にナビゲーション情報を送受信する通信装置、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
他の移動体に搭載されたナビゲーション装置との間で前記ナビゲーション情報を共有しようとする範囲として形成される所定のグループを表すグループ情報を、前記他の移動体に搭載されたナビゲーション装置ごとの識別情報で対応付けて記憶するグループ記憶部と、
前記グループ記憶部に記憶され前記所定のグループ情報に対応付けられた識別情報に基づいて、他のナビゲーション装置との間で、前記通信装置による通信の許可または不許可を制御するネットワーク制御部と、
前記ナビゲーション情報の共有に先立って、所定の距離範囲内において、前記グループ情報に対応付けられた識別情報を有するナビゲーション装置が搭載された他の移動体の有無を探索する探索情報を、前記通信装置により送信し、前記探索情報に応じて前記通信装置により受信した応答に基づいて、前記グループ情報に対応した他の移動体の有無を判定し、前記グループ情報に対応した移動体が無いと判定したときは自己を親機に指定し、前記グループ情報に対応した移動体が有ると判定したときは自己を子機に指定する、親機・子機決定部と、
前記親機・子機決定部による指定が親機の場合は、この親機であるナビゲーション装置によって設定されたナビゲーション情報を、子機である他のナビゲーション装置との間で共有させるように、前記通信装置を通じて、前記ナビゲーション情報を前記他のナビゲーション装置に送信させ、前記親機・子機決定部による指定が子機の場合は、親機として指定された他のナビゲーション装置によって設定されたナビゲーション情報を、この親機との間で共有させるように、前記通信装置を通じて、前記ナビゲーション情報を前記他のナビゲーション装置から受信させ、前記ナビゲーション装置の動作を、前記共有されるナビゲーション情報に基づいて制御するナビゲーション情報共有部と、を備えことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーション情報には、出発地から目的地に至る経路情報を含み、
前記ナビゲーション情報共有部は、前記親機が設定した前記経路情報が変更されたときは、前記変更された後の前記経路情報を、前記親機から前記子機に、前記通信装置を通じて送信することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記ナビゲーション情報には、前記グループに対応した他の移動体の現在位置を含み、
前記通信装置は、前記他の移動体の現在位置を送受信し、
前記表示手段は、前記地図画像上における前記他の移動体の現在位置に対応した位置に、前記他の移動体を表す他の移動体マーカを重ね合わせて表示することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置は、
前記子機の現在位置と前記親機の現在位置との間の距離を、前記子機の現在位置と前記親機の現在位置とに基づいて算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段によって算出された前記距離が、予め設定された距離を超えたとき、所定の警告を出力する警告手段と、を備えたことを特徴とする請求項3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を超えたとき、前記ナビゲーション装置が、前記親機である前記他のビゲーション装置から受信されたナビゲーション情報に基づくのではなく、自機が設定したナビゲーション情報に基づいて動作するように、前記ナビゲーション装置の動作が切り替えられることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記親機の現在位置からの距離が予め設定された距離を下回ったとき、前記ナビゲーション装置が、自機が設定したナビゲーション情報に基づくのではなく、前記親機である前記他のビゲーション装置から受信されたナビゲーション情報に基づいて動作するように、前記ナビゲーション装置の動作が切り替えられることを特徴とする請求項5に記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−133899(P2010−133899A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312428(P2008−312428)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】