説明

ナビゲーション装置、および避難経路の案内方法

【課題】トンネル内で事故等に遭遇した場合、現在位置と、避難経路との関係を運転手に迅速に告知できるようにする。
【解決手段】各トンネルに設けられた非常口の位置を対応付けたトンネル情報を含む地図データを記憶する記憶装置3を有するナビゲーション装置の演算処理部1に、現在位置を算出する手段と、算出した現在位置、および地図データを用いて、地図上に現在位置を示した画像を表示する表示手段と、算出された現在位置および地図データを用いて、車両のトンネルへの進入およびトンネルからの退出を判定する手段と、を設ける。表示手段は、車両がトンネルに進入してから退出したと判定されるまでの間に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、現在位置およびトンネルデータを用いて、現在位置と、現在位置から非常口までの距離および方向を示すデータとを含む避難経路案内を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のナビゲーション装置の技術に関し、特に、トンネル内で事故や災害が発生した際、ユーザに非常口や出入口の位置を告知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トンネル内で発生した事故や火災の被害を最小限にとどめるために、種々のシステムが開発されている。例えば、特許文献1には、トンネル内で撮影した画像を、トンネルの手前を走行している車両に搭載されたナビゲーション装置に送信し、ユーザにトンネル内部の状況を知らせるシステムが開示されている。特許文献1によれば、トンネル内で事故や火災が発生している場合、トンネル手前を走行している車両の運転手に、トンネル内の事故の状況等を知らせることができる。そのため、特許文献1によれば、トンネル内で事故が発生した場合、後続車がトンネル内へ進入することを防ぐことができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−243578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トンネル内部で火災などの災害や事故等に遭遇した場合、車両の前方(進行方向)に避難すればよいのか、後方(進行方向と反対方向)に避難すればよいのかが分らないことがある。運転手は、トンネルの内部において、車両の現在位置と、非常口やトンネルの出入口との位置関係が把握できないことがあるためである(最寄りの非常口までの距離や出入口までの距離が把握できないことがある)。例えば、事故等に遭遇したときに、現在位置付近に非常口を案内する誘導表示板がなかったり、すぐに誘導表示板を見つけられないようなことがある。そのため、トンネル内部で事故や災害に遭遇した場合、現在位置と、非常口等の避難経路との関係を車両の運転手に迅速に告知できるシステムがあれば、被害が拡大することを防ぐことができると考えられる。
【0005】
上記特許文献1の技術は、トンネルの外を走行している後続車に、トンネル内部の事故を知らせ、トンネル内への進入を防ぐものである。しかしながら、特許文献1は、トンネル内部で事故に遭遇した車両の運転手に、迅速に避難経路を案内することを考慮したものではない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ナビゲーション装置において、トンネル内で事故や災害に遭遇した場合に、現在位置と、非常口等の避難経路との関係を車両の運転手に迅速に告知できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、地図上の道路を構成する各リンクのデータを含む地図データを利用して、ユーザを案内するナビゲーション装置に適用される。ここで、前記地図データに含まれるリンクのうち、トンネルを構成するリンクには、各トンネルを識別するための識別情報が関連付けられていて、さらに、前記地図データには、前記識別情報に、該識別情報により特定されるトンネルに設けられている非常口の位置情報を対応付けたトンネル情報が含まれている。
【0008】
そして、前記ナビゲーション装置は、所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、前記現在位置算出手段が順次算出する現在位置、および前記地図データを用いて、地図上に現在位置を示した地図画像を表示する表示手段と、前記算出された現在位置および前記地図データを用いて、車両のトンネルへの進入およびトンネルからの退出を判定する手段と、を備え、前記表示手段は、前記車両がトンネルに進入してから退出したと判定されるまでの間に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、前記現在位置および前記進入したトンネルのトンネルデータを用いて、前記現在位置から前記非常口までの距離を求め、前記地図画像に代えて、該現在位置と、該現在位置から前記非常口までの距離および該非常口のある方向を示すデータとが含まれる避難経路案内画像を表示する。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明では、トンネル内を走行している際に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、現在位置と、現在位置から各非常口までの距離および該非常口のある方向を示したデータとが含まれる避難経路案内画像を表示するようにしている。
【0010】
したがって、事故や災害の際にユーザが所定の操作を行うようにすれば、トンネル内で事故や災害に遭遇した場合に、ユーザは、現在位置と、非常口等の避難経路との関係を迅速に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
最初に、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置(以下、単に「ナビゲーション装置」という)の概略構成図である。
【0014】
図示するように、ナビゲーション装置は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、地図データ等が記憶された記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車速センサ6と、ジャイロ7と、GPS(Global Positioning System)受信装置8とを有する。
【0015】
演算処理部1は、ナビゲーション装置がユーザに提供する各種情報を処理するための中心的ユニットである。例えば、各種センサ6〜7やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在位置を算出する。演算処理部1は、算出した現在位置の周辺の地図データを記憶装置3から読み出して、その読み出した地図データをグラフィックス展開し、地図上に現在位置を示すマーク2000を重ねた地図画像2001をディスプレイ2に表示する。
【0016】
さらに、演算処理部1は、車両がトンネルを走行している際に、ユーザから所定の操作を受け付けたり、或いは、事故の発生を検知したりすると(例えば、エアバックの動作を検知すると)、現在位置と、トンネル内部にある非常口までの距離を求め、地図上に現在位置を表示している地図画像2001に代えて、現在位置と、現在位置から各非常口までの距離および方向を示したデータとが含まれる避難経路案内画像(図6参照)を表示する。
【0017】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成された画像データを表示するユニットで、CRTや液晶ディスプレイ等により構成される。また、演算処理部1とディスプレイ2との間の信号S1は、RGB信号やNTSC(National TV Standards Committee)信号で接続するのが一般的である。
【0018】
記憶装置3は、地図データ310(図2参照)等を記憶するユニットである。なお、記憶装置3には、例えば、DVD装置やハードディスク装置を用いることができる。
【0019】
ここで地図データの構成を説明する。
【0020】
図2は、記憶装置3に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【0021】
図示するように、地図データ310は、地図を複数に分割することで得られるメッシュ領域毎に分類されている。地図データ310は、メッシュ領域を識別するためのメッシュID311、および、そのメッシュ領域に含まれる道路を構成する各リンクのリンクデータ312を有する。
【0022】
リンクデータ312は、リンクを識別するためのリンクID3121、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報3122、リンクが属する道路の種別(一般道路、トンネル等)を示すリンク種別3123、リンクの長さを示すリンク長情報3124、リンクの旅行時間(或いは移動時間)情報3125、および2つのノード(開始ノード、終了ノード)にそれぞれ接続するリンクのリンクID(接続リンクID)3126などを有する。なお、リンク種別3123がトンネルのリンクデータ312には、そのトンネルを識別するトンネル識別情報(トンネル名等)が含まれている。
【0023】
また、地図データ310には、トンネル識別情報毎に、そのトンネル識別情報により特定されるトンネル内部にある非常口の位置を示す位置情報と、そのトンネルの出入口の位置を示す情報とを対応付けたトンネルデータ(図示せず)が含まれている。
【0024】
図1に戻り、説明を続ける。音声入出力装置4は、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換して出力すると共に、ユーザが発した音声を認識し、認識した内容を演算処理部1に転送する。
【0025】
入力装置5は、ナビゲーション装置の各種機能選択、目的地設定等のユーザからの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイステック、ディスプレイ2上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0026】
センサ6〜7およびGPS受信装置8は、ナビゲーション装置が現在位置を算出するために使用するものである。車速センサ6は、車輪の円周と計測される車輪の回転数から距離を測定し、さらに対となる車輪の回転数から移動体が曲がった角度を計測する。ジャイロ7は、光ファイバジャイロや振動ジャイロで構成され、車両が回転した角度を検出する。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号(GPS信号)を受信し移動体とGSP衛星間の距離および距離の変化率を3個以上の衛星に対して測定することで移動体の現在位置、進行方向および進行方位を測定する。
【0027】
続いて、上述したナビゲーション装置の演算処理部1が有する特徴的な機能について図3を用いて説明する。
【0028】
図3は、本実施形態の演算処理部1の機能ブロック図である。
【0029】
図示するように、演算処理部1は、UI(User Interface)制御部100、現在位置算出部110、表示処理部120、および経路探索部130を有する。
【0030】
UI制御部100は、入力装置5或いは音声入出力装置4に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求された内容に対応する処理が実行されるように演算処理部1を制御する。また、UI制御部100は、各種操作を誘導するための画像データを生成して、ディスプレイ2に表示する。また、UI制御部100は、表示処理部120が生成した地図上に現在位置を示した地図画像2001(図1参照)や、避難経路案内画像(図6参照)をディスプレイ2に表示する。
【0031】
現在位置算出部110は、車速センサ6で計測される距離パルスデータS5およびジャイロセンサ7で計測される角速度データS6を各々積分した結果得られる距離データおよび角度データを用いて、そのデータを時間軸で積分していくことにより、初期値(X,Y)から自車走行後の位置である現在位置(X´,Y´)を定期的に(所定走行間隔毎に)演算する。現在位置算出部110は、定期的に算出した現在位置および車両の進行方向を表示処理部120に出力する。
【0032】
また、現在位置算出部110は、車速センサ6のデータS5およびジャイロ7のデータS6を各々積分していくと、誤差が蓄積するため、ある時間でGPS受信装置8から得られた位置データS7をもとに蓄積した誤差をキャンセルする処理を施し、現在位置を求める。
【0033】
表示処理部120は、ディスプレイ2に表示が要求される領域にある地図データ310を記憶装置3から読み出す。また、表示処理部120は、経路探索部130から探索した推奨経路を受け取ると共に、現在位置算出部110から現在位置を受け取る。そして、表示処理部120は、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、および経路誘導のための矢印といったマーク等をディスプレイ2の画面に表示する画像データを生成し、UI制御部100に出力する。UI制御部100は、表示処理部120が生成した画像データをディスプレイ2に表示する。
【0034】
また、表示処理部120は、エアバック(図示しない)からの信号を受け付け可能に構成されている。なお、エアバックは、動作するとその旨を示す信号を表示処理部120に出力する。
【0035】
また、表示処理部120は、現在位置算出部110が算出した現在位置、および地図データ310を用いて、車両のトンネルへの進入およびトンネルからの退出を判定する。表示処理部120は、車両がトンネルを走行していると判定された場合、ユーザから所定の操作を受け付けたり、或いは、エアバックからの信号を検知すると、現在位置と、トンネル内部にある非常口までの距離を求め、地図上に現在位置を表示している地図画像2001に代えて、現在位置と、現在位置から各非常口までの距離および方向を示したデータとが含まれる避難経路案内画像(図6参照)を表示する。
【0036】
経路探索部130は、ユーザからの出発地および目的地の指定を受け付け、ダイクストラ法等を用いて、ユーザから指定された2地点(出発地、および目的地)を最適なコストで結ぶ推奨経路を探索する。経路探索130は、探索された推奨経路を表示処理部120に出力する。
【0037】
続いて、本実施形態の演算処理部1のハードウェア構成を説明する。
【0038】
図4は、演算処理部1のハードウェア構成図である。
【0039】
図示するように、演算処理部1は、CPU(中央演算処理装置)21と、CPU21が実行するプログラムや各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)22と、上記の各部(UI制御部100、現在位置算出部110、表示処理部120、および経路探索部130)の機能を実行するためのプログラムが予め記憶されているROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータを転送するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィック描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上に載せるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31とを有する。
【0040】
そして、UI制御部100、現在位置算出部110、表示処理部120、および経路探索部130の機能は、CPU21が、ROM23に記憶されている上記の各部の機能を実行するためのプログラムをRAM22にロードして実行することにより実現される。
【0041】
続いて、本実施形態のナビゲーション装置が行う、トンネル内における表示処理について、図5および図6を用いて説明する。
【0042】
図5は、本発明の実施形態のナビゲーション装置が行うトンネル内での表示処理のフローチャートである。図6は、本実施形態のナビゲーション装置が表示する避難経路案内画像の一例を示した図である。
【0043】
なお、図5で説明するフローは、ナビゲーション装置の表示処理部120が、車両がトンネルに進入したと判定した場合に開始される。具体的には、表示処理部120は、地図上に現在位置を示した地図画像2001を表示している際、現在位置算出部110が算出した現在位置、および地図データ310を用いて、車両がトンネルに進入したか否かを判定している。そして、表示処理部120は、車両がトンネルに進入したと判定すると、図示する処理ステップを行う。
【0044】
先ず、表示処理部120は、事故や災害が発生したか、或いは、ユーザからの所定操作を受け付けたか否かを判定する(S10)。そして、表示処理部120は、事故や災害が発生したと判定した場合、およびユーザからの所定の操作を受け付けた場合、S11の処理に進む。一方、表示処理部120は、事故や災害が発生したと判定しなかった場合、およびユーザからの所定の操作を受け付けなかった場合、S20の処理に進む。
【0045】
なお、事故や災害が発生したことを判定する方法については特に限定しない。本実施形態では、表示処理部120が、エアバックの動作を検知した場合に事故や災害が発生したものと判定する場合を例にする。例えば、エアバックは、動作した際、表示処理部120に、動作した旨を示す信号を送信する。そして、表示処理部120は、エアバックからの信号を受信すると、事故や災害が発生したと判定する。
【0046】
また、ユーザから所定の操作を受け付けたか否かを判定するための手順について特に限定しない。例えば、以下のように判定するとよい。すなわち、入力装置5に、避難経路案内画像の表示の指示を受け付けるためのスイッチ(説明の便宜上「非常用スイッチ」とよぶ)を設けておく。入力装置5は、非常用スイッチが操作されると(押下されると)、非常用スイッチが押下されたことを示す信号を表示処理部120に出力する。そして、表示処理部120は、非常用スイッチが押下されたことを示す信号を受信した場合、ユーザからの所定操作を受け付けたと判定する。
【0047】
続いて、S10において、事故や災害が発生したと判定しなかった場合、およびユーザからの所定の操作を受け付けなかった場合に進むS20の処理を説明する。
【0048】
S20では、表示処理部120は、車両がトンネルから出たか否かを判定する。具体的には、表示処理部120は、現在位置算出部110が定期的に算出する現在位置および地図データ310を用いて、車両がトンネルから出たか否かを判定する。表示処理部120は、車両がトンネルから出ていないと判定した場合には、S10の処理に戻る。一方、表示処理部120は、トンネルから出たと判定した場合、トンネル内における表示処理を終了し、通常の現在位置表示処理に戻る。
【0049】
続いて、S10において、事故や災害が発生したと判定した場合、およびユーザからの所定の操作を受け付けた場合に進むS11以降の処理を説明する。
【0050】
S11では、表示処理部120は、現在走行しているトンネル内にある非常口およびトンネルの出入口と、現在位置との距離を算出する。具体的には、表示処理部120は、地図データ310の中に含まれる、現在走行しているトンネルのトンネルデータ(非常口およびトンネルの出入口の位置を示す情報)と、現在位置算出部110が算出した現在位置とを用いて、現在位置から各非常口までの距離と、現在位置から入口までの距離と、現在位置から出口までの距離とを求める。
【0051】
つぎに、表示処理部120は、ディスプレイ2に、地図画像2100に代えて、図6に例示しているような避難経路案内画像600を表示して(S12)、S13の処理に進む。具体的には、表示処理部120は、S11で求めた距離と、現在位置算出部110から取得した進行方向および現在位置とを用いて、少なくとも、現在位置と非常口までの距離と、現在位置からトンネルの出入口までの距離とを示した避難経路案内画像600を表示するための画像データを生成する。表示処理部120は、生成した避難経路案内画像600を表示するための画像データを用いて、ディスプレイ2に避難経路案内画像600を表示する(UI制御部100を介して表示する)。
【0052】
ここで、図6を用いて、避難経路案内画像600について説明する。図示するように、避難経路案内画像600には、車両の現在位置および進行方向を示すマーク2000と、現在位置のから非常口までの距離および
非常口のある方向を表示したマーク610と、出入口までの距離を示すデータ620、630とが含まれている。マーク610では、現在位置の前後(進行方向を前とする)の非常口までの距離および方向を示している。すなわち、マーク610では、現在位置の前方にある非常口の中の一番近くの距離にある非常口までの距離と、現在位置の後方にある非常口の中の一番近くの距離にある非常口までの距離とを示している。なお、現在位置の前方(或いは後方)にしか非常口がないような場合、マーク610には、現在位置の前方(或いは後方)の非常口までの距離および方向だけを示すようにする。
【0053】
このように、トンネル内で事故や災害が発生した場合に、避難経路案内画像600を表示するようにしておけば、トンネル内で事故や災害に遭遇した場合に、ユーザは、現在位置と、非常口等の避難経路との関係を迅速に確認することができるようになる。
【0054】
図5に戻り、説明を続ける。S13では、表示処理部120は、S20と同様の手順にしたがい、車両がトンネルから出たか否かを判定する。そして、表示処理部120は、車両がトンネルから出たと判定した場合には、トンネル内における表示処理を終了して通常の現在位置表示処理に戻る。一方、表示処理部120は、トンネルから出ていないと判定した場合には、S11〜13の処理を繰返す。
【0055】
このように、本実施形態によれば、トンネル内を走行している際に、事故や災害を検知すると(本実施形態ではエアバックが動作すると)、或いは、ユーザからの所定の操作を受け付けると(本実施形態では非常用スイッチが押下されると)、通常の地図画像2001(図1参照)に代えて、避難経路案内画像600を表示するようにしている。すなわち、本実施形態によれば、トンネル内で事故や災害等に遭遇した際、ナビゲーション装置が、走行しているトンネル内の避難経路の位置を車両の現在位置との関係を踏まえた上で、表示するようにしている。
【0056】
したがって、本実施形態によれば、トンネル内部で火災などの災害や事故等に遭遇した場合、車両の現在位置と、非常口やトンネルの出入口との位置関係を素早く把握することができるようになる。その結果、トンネル内部で事故や災害に遭遇したときに、被害が拡大することを防ぐことができる。
【0057】
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0058】
例えば、上記実施形態では、エアバックが動作したことを検知した場合に、事故或いは災害が発生したと判定する場合を例示したが、他の手法により事故或いは災害の発生を検知するようにしてもよい。例えば、表示処理部120は、ハザードランプが動作していることを検知した場合に、事故或いは災害が発生したと判定してS11〜13の処理を行うようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態の説明では、現在位置の前後の非常口までの距離と、現在位置からトンネルの出入口までの距離とを示した避難経路案内画像600を表示するようにしているが、これは例示に過ぎない。例えば、現在位置から非常口までの距離だけを表示するようにしてもよい。また、現在位置からトンネルの出入口までの距離だけを表示するようにしてもよい。或いは、トンネル内に非常口が複数ある場合、避難経路案内画像600の中に車両の現在位置地と、各非常口までの距離および方向を示すようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、S10で受け付ける所定の操作について、入力装置5に設けられた非常用スイッチにより受け付けるようにしているがこれは例示に過ぎない。例えば、音声入出力装置4が、ユーザの発話した所定の音声を受け付けることにより、避難経路案内画像600の表示指示を受け付けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態の記憶装置3に記憶されている地図データのデータ構造を模擬的に示した図である。
【図3】本発明の実施形態の演算処理部1の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の演算処理部1のハードウェア構成図である。
【図5】本発明の実施形態のナビゲーション装置が行うトンネル内での表示処理のフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態のナビゲーション装置が表示する避難経路案内画面の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1…演算処理部、2…ディスプレイ、3…記憶装置、4…音声入出力装置、5…入力装置、6…車速センサ、7…ジャイロ、8…GPS受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ、100…UI制御部、110…現在位置算出部、120…表示処理部、130…経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の道路を構成する各リンクのデータを含む地図データを利用して、ユーザを案内するナビゲーション装置であって、
前記地図データに含まれるリンクのうち、トンネルを構成するリンクには、各トンネルを識別するための識別情報が関連付けられていて、さらに、前記地図データには、前記識別情報に、該識別情報により特定されるトンネルに設けられている非常口の位置情報を対応付けたトンネル情報が含まれていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置算出手段が順次算出する現在位置、および前記地図データを用いて、地図上に現在位置を示した地図画像を表示する表示手段と、
前記算出された現在位置および前記地図データを用いて、車両のトンネルへの進入およびトンネルからの退出を判定する手段と、を備え、
前記表示手段は、
前記車両がトンネルに進入してから退出したと判定されるまでの間に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、前記現在位置および前記進入したトンネルのトンネルデータを用いて、前記現在位置から前記非常口までの距離を求め、前記地図画像に代えて、該現在位置と、該現在位置から前記非常口までの距離および該非常口のある方向を示すデータとが含まれる避難経路案内画像を表示すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記トンネル情報には、該トンネルの入口および出口の位置を示すデータが含まれていて、
前記表示手段は、前記車両がトンネルに進入してから退出したと判定されるまでの間に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、さらに、前記現在位置から前記入口までの距離、および前記出口までの距離を求め、前記避難経路案内画像に、前記現在位置から該入口までの距離および出口までの距離を含めて表示すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
エアバックの動作を検出する手段を有し、
前記表示手段は、前記ユーザから所定の操作に代えて、前記エアバックの動作を検出した場合に、前記避難経路案内画像を表示すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
ハザードランプの動作を検出する手段を有し、
前記表示手段は、前記ユーザから所定の操作に代えて、前記ハザードランプの動作を検出した場合に、前記避難経路案内画像を表示すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置であって、
ユーザから避難経路案内画像の表示要求を受け付ける入力手段を備え、
前記所定の操作とは、前記入力手段が受け付ける避難経路案内画像の表示
要求であること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
地図上の道路を構成する各リンクのデータを含む地図データを利用して、ユーザを案内するナビゲーション装置が行う、避難経路の案内方法であって、
前記地図データに含まれるリンクのうち、トンネルを構成するリンクには、各トンネルを識別するための識別情報が関連付けられていて、さらに、前記地図データには、前記識別情報に、該識別情報により特定されるトンネルに設けられている非常口の位置情報を対応付けたトンネル情報が含まれていて、
所定のタイミングで現在位置を順次算出するステップと、
前記現在位置算出手段が順次算出する現在位置、および前記地図データを用いて、地図上に現在位置を示した地図画像を表示するステップと、
前記算出された現在位置および前記地図データを用いて、車両のトンネルへの進入およびトンネルからの退出を判定するステップと、を有し、
前記表示するステップは、
前記車両がトンネルに進入してから退出したと判定されるまでの間に、ユーザからの所定の操作を受け付けると、前記現在位置および前記進入したトンネルのトンネルデータを用いて、前記現在位置から前記非常口までの距離を求め、前記地図画像に代えて、該現在位置と、該現在位置から前記非常口までの距離および該非常口のある方向を示すデータとが含まれる避難経路案内画像を表示すること
を特徴とする避難経路の案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−96346(P2008−96346A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279995(P2006−279995)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】