説明

ナビゲーション装置

【課題】所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を正確に表示することが可能なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示の場合には、渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の渋滞情報を抽出して、この抽出された各渋滞情報の渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する。そして、この重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化して、各グループ毎に重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成し、この等渋滞度領域の渋滞度に対応する表示色で液晶ディスプレイ15に描画する(S14〜S15)。また、渋滞度が「渋滞」、「渋滞無し」の各渋滞情報についても同様にそれぞれ等渋滞度領域を作成して、各渋滞度に対応する表示色で液晶ディスプレイ15に描画後、表示縮尺に対応した道路種別の各道路を描画する(S16〜S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を表示すると共にこの地図上に目的地までの誘導経路を表示するナビゲーション装置に関し、特に、受信した道路交通情報に基づいて渋滞情報を案内するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。このナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、受信した道路交通情報に基づいて渋滞情報を案内するナビゲーション装置が種々提案されている。
例えば、自動車の位置に応じた地図をディスプレイ画面に描画すると共に、外部より道路の混雑情報を受信し、地図上に道路混雑状況を表示するナビゲーション装置において、外部より予め区分された各領域(メッシュ)内の監視道路の渋滞距離、渋滞程度を示す道路混雑情報を受信し、領域毎に領域内の監視道路の全長、渋滞距離、渋滞程度を考慮して該領域内における道路混雑度を算出し、道路混雑度が識別可能となるように該領域の地図画像の色相あるいは明暗階調度を制御するように構成されたナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−283589号公報(段落(0007)〜(0020)、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、各領域(メッシュ)単位で平均的な道路の混雑度、即ち、平均的な渋滞度を識別表示するため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示(例えば、都心全体を把握できる縮尺の広域表示である。)になった場合には、各領域(メッシュ)内には多くの道路が省略されて表示されることから、各領域(メッシュ)内において、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを正確に判断することが難しく、また、道路の混雑度が平均化されるため、表示されている道路の混雑度が正確でないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を正確に表示することが可能となり、ユーザが、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを正確に判断することが可能なナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、渋滞情報を含む交通情報を受信する受信手段(17)と、前記交通情報に基づいて地図情報の表示領域に関する渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段(13、23)と、前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報から所定渋滞度の渋滞情報群を抽出する渋滞情報抽出手段(13)と、前記渋滞情報群の各渋滞情報に含まれる道路リンクに基づいて該道路リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する重複判定領域作成手段(13)と、前記重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化するグループ化手段(13)と、前記グループ化手段によってグループ化された各渋滞情報に対応する重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成する等渋滞度領域作成手段(13)と、前記等渋滞度領域を前記地図情報の表示領域に重ね合わせて識別可能に表示するように制御する表示制御手段(13)と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置(1)において、前記渋滞情報抽出手段(13)は、複数種類の渋滞度のそれぞれについて渋滞情報群を順次抽出し、前記等渋滞度領域作成手段(13)は、該渋滞情報抽出手段によって抽出された各渋滞情報群に対応する複数種類の等渋滞度領域を作成し、前記表示制御手段(13)は、該複数種類の等渋滞度領域を前記地図情報の表示領域に重ね合わせて互いに識別可能に表示するように制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項2に記載のナビゲーション装置(1)において、前記表示制御手段(13)は、前記複数種類の等渋滞度領域の表示色を互いに異ならせて前記地図情報の表示領域に重ね合わせて表示するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置(1)において、前記等渋滞度領域作成手段(13)は、前記重複判定領域が重ならない渋滞情報に含まれる各道路リンクが道路ネットワーク上直接つながっている場合には、該各道路リンクをつなぐ仮想リンクを作成する仮想リンク作成手段(13)と、前記仮想リンクに基づいて該仮想リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した連結用重複判定領域を作成する連結用重複判定領域作成手段(13)と、を有し、該等渋滞度領域作成手段(13)は、前記連結用重複判定領域と該連結用重複判定領域に重なる重複判定領域とを連結して等渋滞度領域を作成することを特徴とする。
【0010】
更に、請求項5に係るナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置(1)において、前記表示制御手段(13)は、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合に前記等渋滞度領域を該地図情報の表示領域に重ね合わせて表示するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、受信した道路交通情報に基づいて、地図情報の表示領域に関する渋滞情報を取得後、この渋滞情報から所定渋滞度の渋滞情報群を抽出する。そして、この渋滞情報群の各渋滞情報に含まれる道路リンクに基づいて該道路リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張して作成した重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化する。続いてグループ化された各渋滞情報に対応する重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成し、この等渋滞度領域を地図情報の表示領域に重ね合わせて識別可能に表示する。
【0012】
これにより、等渋滞度領域は、所定渋滞度の渋滞情報群の各渋滞情報に含まれる道路リンクに基づいて該道路リンクを幅方向及び長手方向に拡張して作成した重複判定領域が連結されて構成されたものであるため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示される道路に沿った形に形成され、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを瞬時に認識することが可能となり、地図情報からこの渋滞を迂回する迂回経路を容易に決定することが可能となる。また、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報の道路リンクに対応する重複判定領域が連結されて等渋滞度領域が形成されるため、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を該表示が省略された道路に沿った形で表示することが可能となり、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかをより正確に判断することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、複数種類の渋滞度のそれぞれについて等渋滞度領域を作成して、該複数種類の等渋滞度領域を地図情報の表示領域に重ね合わせて互いに識別可能に表示するため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、各渋滞度に対応する等渋滞度領域が互いに識別可能に表示される。
これにより、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を詳細に表示することが可能となと共に、渋滞度の分布状態を表示することが可能となり、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを更に正確に判断することが可能となる。
【0014】
また、請求項3に係るナビゲーション装置では、複数種類の等渋滞度領域の表示色を互いに異ならせて地図情報の表示領域に重ね合わせて表示するため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、ユーザは、表示された各等渋滞度領域を瞬時に識別して認識することが可能となり、地図情報からこの渋滞を迂回する迂回経路を更に容易に決定することが可能となる。
【0015】
また、請求項4に係るナビゲーション装置では、重複判定領域が重ならない渋滞情報に含まれる各道路リンクが道路ネットワーク上つながっている場合には、該各道路リンクをつなぐ仮想リンク設け、この仮想リンクに基づいて該仮想リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した連結用重複判定領域を間に作成して重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成することによって、段差(凹み)やゆがみ等のない等渋滞度領域を表示することが可能となる。
【0016】
更に、請求項5に係るナビゲーション装置では、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合に等渋滞度領域が該地図情報の表示領域に重ね合わせて表示されるため、表示が省略された道路が多くなった場合でも、この表示が省略された道路の位置にある渋滞情報が正確に表示されて、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを正確に判断することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。図2は、ナビゲーション装置1と道路交通情報センタ(VICS)3との通信を説明する説明図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内や後述の交通規制情報と渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、道路交通情報センタ(VICS)3等の情報センタとの間で通信を行う通信装置17と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0020】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置1は、ネットワーク2を介して道路交通情報センタ(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)3が接続されている。そして、ナビゲーション装置1は、ネットワーク2を介して道路交通情報センタ(VICS)3から警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
【0021】
また、ネットワーク2としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0022】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について図1に基づいて説明する。図1に示すように、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0023】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0024】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0025】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0026】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された交通情報DB22、地図情報DB25、及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0027】
また、交通情報DB22には、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、渋滞中の車速、旅行時間、渋滞車線の進行方向、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報23が格納されている。また、この交通情報DB22には、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報24が格納されている。
【0028】
また、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した各道路交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報とともに、VICSリンクIDが含まれる。該VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記道路交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0029】
ここで、地図情報DB25に記憶される道路(リンク)とVICSリンクとは同一のものではない(一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。)。そこで、交通情報DB22には、各道路(道路リンク)に識別番号として付与されるリンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応するリンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション装置1は、道路交通情報センタ(VICS)3からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の道路交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。そして、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて渋滞情報23として格納される。また、道路交通情報センタ(VICS)3から受信した交通規制情報等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて交通規制情報24として格納される。
【0030】
また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。ここで、ナビ地図情報26には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(道路リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、地図情報DB25の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0031】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0032】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0033】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各道路リンク(以下、「リンク」という。)に関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0034】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された誘導経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0035】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記地図情報DB25には、所定の情報をナビゲーション装置1のスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0036】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや後述の渋滞情報が存在するリンクID等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の地図情報の表示領域が所定縮尺以上(例えば、10万分の1の縮尺以上である。)の広域表示(例えば、都心全体の領域表示である。)の場合に、渋滞情報を案内表示する渋滞情報表示処理プログラム(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0037】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部12に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0038】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0039】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0040】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0041】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、渋滞情報を案内する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先、渋滞が3km程度あります。」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0042】
そして、通信装置17は、情報センタ、例えば、道路交通情報センタ(VICS)3等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信装置17は、ネットワーク2としてLAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信装置17は道路交通情報センタ(VICS)3からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0043】
次に、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する地図情報の表示領域が所定縮尺以上(例えば、10万分の1の縮尺以上である。)の広域表示(例えば、都心全体の領域表示である。)の場合に、渋滞情報を表示する渋滞情報表示処理について図3乃至図9に基づき説明する。
【0044】
図3は本実施例に係るナビゲーション装置1が実行する地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示の場合に、渋滞情報を表示する渋滞情報表示処理を示すメインフローチャートである。図4及び図5は「領域情報描画処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。図6は図5のステップ115乃至ステップ116の直進の場合の処理内容を説明するイメージ図である。図7は図5のステップ116乃至ステップ117の直進の場合の処理内容を説明するイメージ図である。図8は図5のステップ115乃至ステップ117の右左折の場合の処理内容を説明するイメージ図である。図9は図5のステップ126で実行される16万分の1の縮尺の広域表示(16万図)の表示画面及び渋滞情報表示の一例を示す図である。
尚、以下の図3乃至図5にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0045】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)10において、CPU41は、地図情報の表示領域が所定縮尺以上(例えば、10万分の1の縮尺以上である。)の広域表示(例えば、都心全体の領域表示である。)か否かを判定する判定処理を実行する。そして、地図情報の表示領域が所定縮尺未満(例えば、8万分の1の縮尺である。)の場合には(S10:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の場合には(S10:YES)、CPU41は、S11の処理に移行する。S11において、CPU41は、操作部14を介して指示された液晶ディスプレイ15に表示する地図情報の表示領域を決定する。
また、S12において、CPU41は、上記S11で決定した表示領域に対応する渋滞情報を交通情報DB22の渋滞情報23から読み出し、RAM42に記憶する。
【0046】
そして、S13において、RAM42から上記S12で記憶した渋滞情報を再度読み出し、地図情報の表示領域の縮尺が大きくなるに従って、即ち、液晶ディスプレイ15に表示される表示範囲が広くなるに従って省略される道路種別順に該渋滞情報をソートして、再度RAM42に記憶する。
例えば、細街路に関する渋滞情報を1番目に配置し、次に、県道に関する渋滞情報を2番目に配置し、国道に関する渋滞情報を3番目に配置し、一般有料道路に関する渋滞情報を4番目に配置し、都市高速道路に関する渋滞情報を5番目に配置し、高速自動車国道に関する渋滞情報を6番目に配置するようにソートして、再度RAM42に記憶する。
【0047】
続いて、S14において、CPU41は、渋滞情報をグループ化するグループ化条件を、「渋滞もしくは混雑」に設定する。即ち、「渋滞」又は「混雑」の渋滞度が付与された渋滞情報をグループ化して、渋滞の最大分布領域(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速0km〜20km未満になる領域である。また、都市高速道路では、車速が時速0km〜40km未満になる領域である。また、高速自動車国道では、車速が時速0km〜60km未満になる領域である。)を表す等渋滞度領域61A(図9参照)を作成して表示する旨を決定する。
そして、S15において、CPU41は、渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の領域を表す等渋滞度領域61Aを所定表示色(例えば、橙色である。)で液晶ディスプレイ15に表示する後述の「領域情報描画処理」のサブ処理(図4及び図5参照)を実行する。
【0048】
その後、S16において、CPU41は、渋滞情報をグループ化するグループ化条件を、「渋滞」に設定する。即ち、「渋滞」の渋滞度が付与された渋滞情報をグループ化して、渋滞の中心分布領域(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速0km〜10km未満になる領域である。また、都市高速道路では、車速が時速0km〜20km未満になる領域である。また、高速自動車国道では、車速が時速0km〜40km未満になる領域である。)を表す等渋滞度領域61B(図9参照)を作成して表示する旨を決定する。
そしてまた、S17において、CPU41は、渋滞度が「渋滞」の領域を表す等渋滞度領域61Bを所定表示色(例えば、赤色である。)で液晶ディスプレイ15に表示する後述の「領域情報描画処理」のサブ処理(図4及び図5参照)を実行する。これにより、例えば、橙色の等渋滞度領域61Aの上側に赤色の等渋滞度領域61Bが重ねられて表示され、「渋滞」と「混雑」との渋滞度の分布状態が表示される。
【0049】
続いて、S18において、CPU41は、渋滞情報をグループ化するグループ化条件を、「渋滞なし」に設定する。即ち、「渋滞なし」の渋滞度が付与された渋滞情報をグループ化して、渋滞がほぼない領域(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速20km〜30km未満になる領域である。また、都市高速道路では、車速が時速40km〜50km未満になる領域である。また、高速自動車国道では、車速が時速60km〜70km未満になる領域である。)を表す等渋滞度領域61C(図9参照)を作成して表示する旨を決定する。
そしてまた、S19において、CPU41は、渋滞度が「渋滞なし」の領域を表す等渋滞度領域61Cを所定表示色(例えば、青色である。)で液晶ディスプレイ15に表示する後述の「領域情報描画処理」のサブ処理(図4及び図5参照)を実行する。
その後、S20において、CPU41は、表示領域の縮尺に対応して表示される道路種別の各道路の地図情報を地図情報DB25から読み出し、液晶ディスプレイ15に表示後、当該処理を終了する。
【0050】
次に、上記S15、S17、S19で実行する「領域情報描画処理」のサブ処理について図4及び図5に基づいて説明する。
図4及び図5に示すように、先ず、S101において、CPU41は、グループ化条件として設定された渋滞度の渋滞情報を上記S13でソートされた順番に従ってRAM42から順次読み出し、グループ化条件として設定された渋滞度(例えば、S15では、「渋滞もしくは混雑」の渋滞度である。また、S17では、「渋滞」の渋滞度である。また、S19では、「渋滞なし」の渋滞度である。)の渋滞情報群を抽出してRAM42に記憶する。そして、CPU41は、この抽出した渋滞情報群を構成する各渋滞情報(例えば、S15では、「渋滞」又は「混雑」の渋滞度の各渋滞情報である。また、S17では、「渋滞」の渋滞度の各渋滞情報である。また、S19では、「渋滞なし」の渋滞度の各渋滞情報である。)をRAM42から順次読み出して、該各渋滞情報のリンク(以下、「渋滞リンク」という。)を幅方向及び長手方向に所定長さ(例えば、約300m〜700mである。)拡張した重複判定領域を作成し、各渋滞情報に対応させてRAM42に記憶する。
【0051】
例えば、図6に示すように、CPU41は、グループ化条件として設定された渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の渋滞情報群を構成する渋滞情報J1の渋滞リンクR1を幅方向及び長手方向に約500m拡張した重複判定領域P1を作成して、該渋滞情報J1に対応させてRAM42に記憶する。また同様に、CPU41は、この渋滞情報群を構成する渋滞情報J2の渋滞リンクR2を幅方向及び長手方向に約500m拡張した重複判定領域P2を作成して、該渋滞情報J2に対応させてRAM42に記憶する。また同様に、CPU41は、この渋滞情報群を構成する渋滞情報J3の渋滞リンクR3を幅方向及び長手方向に約500m拡張した重複判定領域P3を作成して、該渋滞情報J3に対応させてRAM42に記憶する。
【0052】
ここで、各渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ(例えば、約500mである。)拡張して重複判定領域を作成したが、以下のようにしてもよい。これにより、更に交通実情にあった重複判定領域を作成することが可能となる。
(1)道なりの道路(左右方向約15度未満の曲がり角度であるほぼまっすぐな道路である。)の渋滞情報の場合には、各渋滞リンクの長手方向、即ち、道路方向の拡張長さを幅方向の所定長さよりも長くするように設定して(例えば、幅方向は、約500mで、長手方向は約800m拡張する。)、重複判定領域を作成してもよい。
【0053】
(2)道路ネットワーク上、接続している道路方向の重複判定領域をより長く拡張してもよい。例えば、国道1号線と国道2号線との接続点では、各渋滞リンクを道路方向により長く拡張するようにしてもよい。
(3)道路種別(都市間高速道路、都市高速道路、一般有料道路、国道、県道等)によって、各渋滞リンクの幅方向及び長手方向の拡張長さを変えて重複判定領域を作成してもよい。例えば、都市高速道路では、渋滞リンクを幅方向及び長手方向に700m拡張して重複判定領域を作成し、国道では、渋滞リンクを幅方向及び長手方向に500m拡張して重複判定領域を作成し、県道では、渋滞リンクを幅方向及び長手方向に300m拡張して重複判定領域を作成するようにしてもよい。
【0054】
(4)渋滞情報の渋滞度別に各渋滞リンクの幅方向及び長手方向の拡張長さを変えて重複判定領域を作成してもよい。例えば、渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の場合には、拡張長さを500mに設定し、渋滞度が「渋滞」の場合には、拡張長さを800mに設定してもよい。
(5)反対車線の道路の渋滞度に応じて重複判定領域を拡張又は縮小してもよい。例えば、反対車線の道路の渋滞度が「渋滞」で、進行方向の車線の渋滞が無い場合には、渋滞リンクの幅方向及び長手方向の拡張長さを2分の1にしてもよい。
【0055】
(6)地図情報の表示領域の縮尺に応じて各渋滞リンクの幅方向及び長手方向の拡張長さを変えて重複判定領域を作成してもよい。例えば、10万分の1の縮尺の場合には、渋滞リンクを幅方向及び長手方向に500m拡張して重複判定領域を作成し、25万分の1の縮尺の場合には、渋滞リンクを幅方向及び長手方向に1000m拡張して重複判定領域を作成してもよい。
(7)自車位置から目的地までダイクストラ法による経路探索を行って、各ノードに対してコスト付を行った場合には、該各ノードに接続する各リンク毎に自車位置から目的地方向へ向かう方向付けがなされる。そして、この方向付けされた方向と一致する渋滞リンクの車線の渋滞情報に従って各渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張して重複判定領域を作成し、方向付けされた方向と反対方向の渋滞リンクの車線の渋滞情報については、重複判定領域を作成しないようにしてもよい。これにより、自車の目的地へと向かう渋滞情報だけを液晶ディスプレイ15に表示することが可能となる。
【0056】
そして、S102において、CPU41は、先ず、RAM42から上記S101で記憶した渋滞情報群の第1番目の渋滞情報を読み出し、この渋滞情報に格納されたグループ識別コード(以下、「グループID」という。)を読み込んで、RAM42に記憶する。尚、起動時には、各渋滞情報には、グループIDとして該グループIDが付与されていないことを表す「00」のデータが格納されている。
続いて、S103において、CPU41は、このグループIDをRAM42から読み出し、グループIDが未設定か否か、即ち、グループIDが「00」か否かを判定する判定処理を実行する。
【0057】
そして、グループIDが未設定の場合、即ち、グループIDが「00」の場合には(S103:YES)、CPU41は、S104の処理に移行する。S104において、CPU41は、このグループIDが未設定の渋滞情報にグループIDを付与後、S105の処理に移行する。即ち、この渋滞情報のグループIDに、第1グループに属することを表す「01」のデータを格納する。尚、CPU41は、各渋滞情報に付与したグループIDの種類をRAM42に順次記憶している。
一方、グループIDが設定済みの場合、即ち、グループIDが「00」でない場合には(S103:NO)、CPU41は、S105の処理に移行する。
【0058】
続いて、S105において、CPU41は、上記S102で読み出した渋滞情報に対応する重複判定領域をRAM42から読み出すと共に、この重複判定領域に重なった重複判定領域を検索する。
例えば、図6に示すように、CPU41は、渋滞情報J1の重複判定領域P1に重なった重複判定領域P2を検索する。
【0059】
そして、S106において、CPU41は、上記S105で検索した重複判定領域に対応する渋滞情報に同じ第1グループのグループIDのデータ「01」を格納する。
例えば、図6に示すように、CPU41は、重複判定領域P2に対応する渋滞情報J2のグループIDに、第1グループに属することを表す「01」を格納する。
尚、渋滞情報の渋滞の実際の長さ、渋滞度(渋滞無し/混雑/渋滞の別等)、旅行時間によりフィルタし、渋滞の実際の長さが100m未満の長さ等の場合には、グループIDのデータ「01」を格納しないようにしてもよい。即ち、グループ化から除外してもよい。これにより、センサの測定ミス等による渋滞情報を除去することができる。
【0060】
続いてまた、S107において、CPU41は、上記S101で記憶した渋滞情報群からグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報で、且つ、上記S104及びS106でグループIDが格納された各渋滞情報に対応する重複判定領域に重なる重複判定領域の渋滞情報があるか否かを判定する判定処理を実行する。
例えば、CPU41は、「00」のグループIDが格納された渋滞情報で、且つ、図6に示される第1グループのグループIDのデータ「01」が格納された各渋滞情報J1、J2の各重複判定領域P1、P2に重なる重複判定領域の渋滞情報があるか否かを判定する。
【0061】
そして、上記S101で記憶した渋滞情報群からグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報で、且つ、上記S104及びS106でグループIDが格納された各渋滞情報に対応する重複判定領域に重なる次の重複判定領域に対応する渋滞情報がある場合には(S107:YES)、S108において、CPU41は、この次の重複判定領域の渋滞情報をRAM42から読み出し、S106以降の処理を再度、実行する。これにより、上記S104でグループIDが格納された渋滞情報に対応する重複判定領域に順次重なって連続する各重複判定領域の渋滞情報に同一のグループIDが格納される。
例えば、図6に示される第1グループのグループIDのデータ「01」が格納された各渋滞情報J1、J2の各重複判定領域P1、P2に重なる重複判定領域の渋滞情報に第1グループに属することを表す「01」のグループIDが格納される。
【0062】
一方、上記S101で記憶した渋滞情報群からグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報で、且つ、上記S104及びS106でグループIDが格納された各渋滞情報に対応する重複判定領域に重なる次の重複判定領域に対応する渋滞情報がない場合には(S107:NO)、CPU41は、S109の処理に移行する。
S109において、CPU41は、上記S101で記憶した渋滞情報群にグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報があるか否かを判定する判定処理を実行する。
【0063】
そして、上記S101で記憶した渋滞情報群にグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報がある場合には(S109:YES)、S110において、CPU41は、この渋滞情報群のグループIDが未設定の第1番目の渋滞情報を読み出して、RAM42に記憶後、再度、S102の処理に移行して、この記憶した渋滞情報を読み出し、この渋滞情報に格納されたグループIDを読み込んで、RAM42に記憶する。
その後、CPU41は、再度S103以降の処理を実行する。尚、S104において、CPU41は、前回付与したグループIDのデータに「1」加算したデータをグループIDとして、渋滞情報に格納する。
【0064】
また一方、上記S101で記憶した渋滞情報群にグループIDが未設定の渋滞情報、即ち、「00」のグループIDが格納された渋滞情報がない場合には(S109:YES)、CPU41は、S111の処理に移行する。これにより、CPU41は、等渋滞度領域(例えば、等渋滞度領域61A(図9参照)である。)を各グループ毎に順次作成する処理に移行する。
S111において、CPU41は、最初のグループを設定する、即ち、処理対象とする渋滞情報に格納されているグループIDのデータとして「01」を「処理グループID」としてRAM42に記憶する。
【0065】
そして、S112において、CPU41は、処理グループIDを再度RAMから読み出し、上記S101で記憶した渋滞情報群の渋滞情報からグループIDとして該処理グループIDが格納された最初の渋滞情報を読み出す。
続いて、S113において、CPU41は、S112で読み出した渋滞情報の重複判定領域に重なる重複判定領域に対応する各渋滞情報の渋滞リンクを読み込み、「重複渋滞リンク」としてRAM42に記憶する。
例えば、図6に示すように、CPU41は、重なった各重複判定領域P1、P2等の各渋滞情報J1、J2等から各渋滞リンクR1、R2等を順番に読み出し、「重複渋滞リンク」としてRAM42に順次記憶する。
【0066】
そしてまた、S114において、CPU41は、RAM42に記憶された「重複渋滞リンク」のうち最初に記憶された「重複渋滞リンク」を読み出す。
続いて、S115において、CPU41は、この読み出した「重複渋滞リンク」が、RAM42に記憶された次の順番の「重複渋滞リンク」に道路ネットワーク上つながっているか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、読み出した「重複渋滞リンク」が、RAM42に記憶された次の順番の「重複渋滞リンク」に道路ネットワーク上つながっていない場合には(S115:NO)、CPU41は、S118の処理に移行する。
【0067】
一方、読み出した「重複渋滞リンク」が、RAM42に記憶された次の順番の「重複渋滞リンク」に道路ネットワーク上つながっている場合には(S115:YES)、CPU41は、S116の処理に移行する。S116において、CPU41は、道路ネットワーク上つながっている各「重複渋滞リンク」に対応する各渋滞情報がつながっていないか否か、即ち、各渋滞情報の渋滞リンクがつながっていないか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、道路ネットワーク上つながっている各「重複渋滞リンク」に対応する各渋滞情報がつながっている場合、即ち、各渋滞情報の渋滞リンクがつながっている場合には(S116:NO)、CPU41は、S118の処理に移行する。
【0068】
また一方、道路ネットワーク上つながっている各「重複渋滞リンク」に対応する各渋滞情報がつながっていない場合、即ち、各渋滞情報の渋滞リンクがつながっていない場合には(S116:YES)、CPU41は、S117の処理に移行する。S117において、CPU41は、このつながっていない各渋滞情報の重複渋滞リンクをつなぐ「仮想渋滞リンク」を有する「仮想渋滞情報」を作成してRAM42に記憶すると共に、この「仮想渋滞リンク」を幅方向及び長手方向に所定長さ(例えば、約300m〜700mである。)拡張した「連結用重複判定領域」を作成し、該「仮想渋滞情報」に対応させてRAM42に記憶する。また、CPU41は、この「仮想渋滞情報」のグループIDには、この連結用重複判定領域がつながる各渋滞情報のグループIDを格納してRAM42に記憶後、S118の処理に移行する。
【0069】
ここで、各渋滞情報の渋滞リンクが道路ネットワーク上つながっており、渋滞情報が同一グループとして判定されたにもかかわらず、渋滞情報の渋滞リンクが連続してつながっていない場合には、道なりの道路(左右方向約15度未満の曲がり角度であるほぼまっすぐな道路である。)の渋滞情報では、各重複判定領域をそのまま連結して後述の各等渋滞度領域61A、61B、61Cを作成して表示すると、段差(凹み)が発生する。また、渋滞情報の渋滞リンクが連続してつながっていない場合には、右左折の道路の渋滞情報では、そのまま各重複判定領域を連結して後述の各等渋滞度領域61A、61B、61Cを作成して表示すると、ゆがみが発生する。
しかしながら、S116乃至S117において、「仮想渋滞リンク」を有する「仮想渋滞情報」を作成してRAM42に記憶すると共に、この「仮想渋滞リンク」を幅方向及び長手方向に所定長さ(例えば、約300m〜700mである。)拡張した連結用重複判定領域を作成し、該「仮想渋滞情報」に対応させてRAM42に記憶することによって、各重複判定領域が連結用重複判定領域を介して滑らかに連結され、後述の各等渋滞度領域61A、61B、61C(図9参照)を作成して表示した場合に、段差(凹み)やゆがみの発生を防止することができる。
【0070】
例えば、図7に示すように、各重複判定領域P1、P2に対応する各渋滞情報J1、J2の各重複渋滞リンクR1、R2は、つながっていないが、道路ネットワーク上、道なりの道路でつながっている場合には、各重複渋滞リンクR1、R2をつなぐ仮想渋滞リンクR100を有する仮想渋滞情報J100を作成してRAM42に記憶する。また、この仮想渋滞リンクR100を幅方向及び長手方向に約500m拡張した連結用重複判定領域P100を作成して、該仮想渋滞情報J100に対応させてRAM42に記憶する。
【0071】
つまり、各重複判定領域P1、P2に対応する各渋滞情報J1、J2の各重複渋滞リンクR1、R2は、つながっていないため、各重複判定領域P1、P2をつなぐと段差(凹み)が発生するが、各重複渋滞リンクR1、R2をつなぐ仮想渋滞リンクR100を有する仮想渋滞情報J100を作成し、また、この仮想渋滞リンクR100を幅方向及び長手方向に約500m拡張した連結用重複判定領域P100を作成することによって、各重複判定領域P1、P2が連結用重複判定領域P100を介して滑らかに連結される。
【0072】
また、例えば、図8に示すように、各重複判定領域P10、P12に対応する各渋滞情報J10、J12の各重複渋滞リンクR10、R12は、つながっていないが、道路ネットワーク上、右折の道路でつながっている場合には、各重複渋滞リンクR10、R12をつなぐ仮想渋滞リンクR200を有する仮想渋滞情報J200を作成してRAM42に記憶する。また、この仮想渋滞リンクR200を幅方向及び長手方向に約500m拡張した連結用重複判定領域P200を作成して、該仮想渋滞情報J200に対応させてRAM42に記憶する。
【0073】
つまり、各重複判定領域P10、P12に対応する各渋滞情報J10、J12の各重複渋滞リンクR10、R12は、つながっていないが、道路ネットワーク上、右折の道路でつながっているため、渋滞リンクR10の先頭を中心とした略楕円形の右折の拡張重複判定領域P50を作成して、該拡張重複判定領域P50と重複判定領域P12とが重なるか否かを判定する。そして、拡張重複判定領域P50と重複判定領域P12とが重なることから、各重複判定領域P10、P12を拡張重複判定領域P50で、そのままつなぐとコーナ部分が外側に飛び出し、ゆがみが生じる。このため、各重複渋滞リンクR10、R12をつなぐ仮想渋滞リンクR200を有する仮想渋滞情報J200を作成し、また、この仮想渋滞リンクR200を幅方向及び長手方向に約500m拡張した連結用重複判定領域P200を作成して、各重複判定領域P10、P12を連結用重複判定領域P200を介して滑らかに連結する。
【0074】
続いて、S118において、CPU41は、次につながる重複渋滞リンクがあるか否か、即ち、連続して重なる重複判定領域があるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、次につながる重複渋滞リンクがある場合、即ち、連続して重なる重複判定領域がある場合には(S118:YES)、CPU41は、S119の処理に移行する。S119において、CPU41は、この連続して重なる重複判定領域の「重複渋滞リンク」を読み出した後、再度S115以降の処理を実行する。これにより、S114で設定した最初の重複渋滞リンクに対応する重複判定領域に順次重なった各重複判定領域を滑らかにつなぐための各仮想渋滞情報、各仮想渋滞リンク及び各仮想渋滞情報に対応する連結用重複判定領域が作成される。
【0075】
一方、次につながる重複渋滞リンクがない場合、即ち、次に連続して重なる重複判定領域がない場合には(S118:NO)、CPU41は、S120の処理に移行する。S120において、CPU41は、処理グループIDを再度RAMから読み出し、グループIDとして該処理グループIDが格納された渋滞情報の中で、上記S113乃至S119の処理がなされていない渋滞情報があるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、処理グループIDが格納された渋滞情報の中で、上記S113乃至S119の処理がなされていない渋滞情報がある場合には(S120:YES)、S121において、CPU41は、処理グループIDが格納された渋滞情報の中で、上記S113乃至S119の処理がなされていない最も早い順番の渋滞情報を読み出した後、再度、S113以降の処理を実行する。これにより、同一グループIDが格納された各渋滞情報の重複渋滞リンクに対応する各重複判定領域を滑らかにつなぐための各仮想渋滞情報、各仮想渋滞リンク及び各仮想渋滞情報に対応する連結用重複判定領域が作成される。
【0076】
一方、処理グループIDが格納された渋滞情報の中で、上記S113乃至S119の処理がなされていない渋滞情報がない場合には(S120:NO)、CPU41は、S122の処理に移行する。S122において、CPU41は、処理グループIDを再度読み出し、該処理グループIDが格納された渋滞情報及び仮想渋滞情報に対応する各重複判定領域及び各連結用重複判定領域をRAM42から読み出し、該各重複判定領域及び各連結用重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成して、RAM42に記憶する。これにより、当該「処理グループID」が格納された渋滞情報のグループに対応する等渋滞度領域が作成される。
尚、各重複判定領域及び各連結用重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成する場合に、B−スプライン曲線、ベジェ曲線等を用いて等渋滞度領域の周縁部に形成される角をスムーズ化してもよい。
【0077】
例えば、図7に示すように、渋滞度が「渋滞」又は「混雑」の各渋滞情報J1、J2に対応する各重複判定領域P1、P2及び仮想渋滞情報J100に対応する連結用重複判定領域P100等が連結されて等渋滞度領域61Aが作成される。
また、図8に示すように、渋滞度が「渋滞」又は「混雑」の各渋滞情報J10、J12に対応する各重複判定領域P10、P12及び仮想渋滞情報J200に対応する連結用重複判定領域P200等が連結されて等渋滞度領域61Aが作成される。尚、各重複判定領域P10、P12と連結用重複判定領域P200とを連結した等渋滞度領域61Aの各内側角部をB−スプライン曲線、ベジェ曲線等を用いてスムーズ化してもよい。
【0078】
そして、S123において、CPU41は、グループ化条件として設定された渋滞度に対応する表示色をこの作成した等渋滞度領域を液晶ディスプレイ15に表示する表示色として決定して、RAM42に記憶する。
例えば、S15では、グループ化条件として設定された渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の場合には、等渋滞度領域を液晶ディスプレイ15に表示する表示色として「橙色」を決定して、RAM42に記憶する。また、S17では、グループ化条件として設定された渋滞度が「渋滞」の場合には、等渋滞度領域を液晶ディスプレイ15に表示する表示色として「赤色」を決定して、RAM42に記憶する。また、S19では、グループ化条件として設定された渋滞度が「渋滞なし」の場合には、等渋滞度領域を液晶ディスプレイ15に表示する表示色として「青色」を決定して、RAM42に記憶する。
【0079】
続いて、S124において、CPU41は、RAM42から「処理グループID」を読み出し、この処理グループIDのデータに「1」加算したグループIDが格納された渋滞情報が、上記S101で記憶した渋滞情報群の渋滞情報の中にあるか否か、即ち、未処理の次のグループの渋滞情報があるか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、未処理の次のグループの渋滞情報がある場合には(S124:YES)、S125において、CPU41は、「処理グループID」を読み出し、この処理グループIDのデータに「1」加算して、再度「処理グループID」としてRAM42に記憶後、S112以降の処理を実行する。例えば、CPU41は、RAM42から「処理グループID」のデータが「01」の場合には、この「01」に「1」加算した「02」を「処理グループID」のデータとしてRAM42に記憶後、S112以降の処理を実行する。
これにより、残りの渋滞情報の各グループに対応する等渋滞度領域が順番に作成されると共に、この作成された各等渋滞度領域の表示色がグループ化条件として設定された渋滞度に対応して決定される。
【0080】
一方、未処理の次のグループの渋滞情報がない場合には(S124:NO)、CPU41は、S126の処理に移行する。S126において、CPU41は、各等渋滞度領域と該各等渋滞度領域の表示色をRAM42から順番に読み出して、液晶ディスプレイ15に表示後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻る。
【0081】
ここで、16万分の1の縮尺の広域表示(16万図)における渋滞情報の表示画面の一例を図9に基づいて説明する。
図9の上側に示すように、液晶ディスプレイ15の8万分の1の縮尺の地図画像(8万図)では、8万図で表示される道路種別(例えば、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、国道、県道、細街路である。)の各道路が表示され、画面下方の中央部に自車位置を表す車両位置マーク51が表示されている。また、車両位置マーク51の左右及び上側に、渋滞度が「混雑」(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速0km〜20km未満の区間、また、都市高速道路では、車速が時速0km〜40km未満の区間、また、高速自動車国道では、車速が時速0km〜60km未満の区間)である渋滞情報を表す「橙色」の各矢印X1〜X4が、各道路に沿って表示されている。また、橙色の各矢印X3、X4の左右には、渋滞度が「渋滞」(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速0km〜10km未満の区間、また、都市高速道路では、車速が時速0km〜20km未満の区間、また、高速自動車国道では、車速が時速0km〜40km未満の区間)である渋滞情報を表す「赤色」の各矢印Y1〜Y6が、各道路に沿って表示されている。更に、橙色の各矢印X3、X4の上側には、渋滞度が「渋滞なし」(例えば、国道、県道等の一般道では、車速が時速20km〜30km未満の区間、また、都市高速道路では、車速が時速40km〜50km未満の区間、また、高速自動車国道では、車速が時速60km〜70km未満の区間)である渋滞情報を表す「青色」の各矢印Z1〜Z2が、各道路に沿って表示されている。尚、各渋滞区間における車速が遅くなるに従って、各矢印X1〜X4、Y1〜Y6、Z1〜Z2は、幅寸法が大きくなるように表示される。
【0082】
また、図9の下側に示すように、ユーザが操作部14を操作して、この8万図を16万分の1の縮尺の広域表示(16万図)に変更した場合には、液晶ディスプレイ15の中央部に8万図が縮小表示される。そして、上記各矢印X1〜X4、Y1〜Y6、Z1〜Z2に替えて、先ず、渋滞度が「渋滞」又は「混雑」の各渋滞情報及び仮想渋滞情報に対応する各重複判定領域及び各連結用重複判定領域が連結されて作成された「橙色」の等渋滞度領域61A、即ち、渋滞度が「渋滞もしくは混雑」である「橙色」の等渋滞度領域61Aが各道路に沿った形で描画される。続いて、渋滞度が「渋滞」の各渋滞情報及び仮想渋滞情報に対応する各重複判定領域及び各連結用重複判定領域が連結されて作成された「赤色」の等渋滞度領域61B、即ち、渋滞度が「渋滞」である「赤色」の等渋滞度領域61Bが各道路に沿った形で等渋滞度領域61Aの上側に重ねられて描画される。次に、渋滞度が「渋滞なし」の各渋滞情報及び仮想渋滞情報に対応する各重複判定領域及び各連結用重複判定領域が連結されて作成された「青色」の等渋滞度領域61C、即ち、渋滞度が「渋滞なし」である「青色」の等渋滞度領域61Cが各道路に沿った形で描画される。その後、16万図で表示される道路種別(例えば、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、国道である。従って、県道、細街路等の一般道は、表示されない。)の各道路が各等渋滞度領域61A、61B、61Cの上側に重ねられて描画され、更に、車両位置マーク51が画面中央部に表示される。
【0083】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、地図情報の表示領域が所定縮尺以上(例えば、10万分の1の縮尺以上である。)の広域表示(例えば、都心全体の領域表示である。)の場合には、先ず、CPU41は、液晶ディスプレイ15に表示するように決定された地図情報の表示領域に対応する渋滞情報から、渋滞度が「渋滞もしくは混雑」の渋滞情報を抽出して、この抽出された各渋滞情報の渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する(S101)。そして、CPU41は、この重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化して、各グループ毎に重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成し、この等渋滞度領域を渋滞度が「渋滞もしくは混雑」に対応する表示色(例えば、橙色)で液晶ディスプレイ15に描画する(S14〜S15)。次に、CPU41は、液晶ディスプレイ15に表示するように決定された地図情報の表示領域に対応する渋滞情報から、渋滞度が「渋滞」の渋滞情報を抽出して、この抽出された各渋滞情報の渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する(S101)。そして、CPU41は、この重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化して、各グループ毎に重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成し、この等渋滞度領域を渋滞度が「渋滞」に対応する表示色(例えば、赤色)で液晶ディスプレイ15に描画する(S16〜S17)。また続いて、CPU41は、液晶ディスプレイ15に表示するように決定された地図情報の表示領域に対応する渋滞情報から、渋滞度が「渋滞なし」の渋滞情報を抽出して、この抽出された各渋滞情報の渋滞リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する(S101)。そして、CPU41は、この重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化して、各グループ毎に重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成し、この等渋滞度領域を渋滞度が「渋滞なし」に対応する表示色(例えば、青色)で液晶ディスプレイ15に描画する(S18〜S19)。その後、CPU41は、表示領域の縮尺に対応して表示される道路種別の各道路の地図情報を地図情報DB25から読み出し、液晶ディスプレイ15に表示する(S20)。
【0084】
従って、等渋滞度領域は、各渋滞情報に含まれる渋滞リンクに基づいて該渋滞リンクを幅方向及び長手方向に拡張して作成した重複判定領域がグループ毎に連結されて構成されたものであるため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示される道路に沿った形に形成され、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを瞬時に認識することが可能となり、地図情報からこの渋滞を迂回する迂回経路を容易に決定することが可能となる。また、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報の渋滞リンクに対応する重複判定領域がグループ毎に連結されて等渋滞度領域が形成されるため、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を該表示が省略された道路に沿った形で詳細に表示することが可能となり、ユーザは、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを更に正確に判断することが可能となる。
【0085】
また、「渋滞もしくは混雑」、「渋滞」、「渋滞無し」の各等渋滞度領域は、表示色を変えて重ねて表示されるため、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合においても、表示が省略された道路の位置にある渋滞情報を詳細に表示することが可能となると共に、渋滞度の分布状態を表示することが可能となり、ユーザは、表示された各等渋滞度領域を瞬時に認識して、どの道路、どの地域が混雑・渋滞しているのかを更に正確に判断することが可能となり、地図情報からこの渋滞を迂回する迂回経路を更に容易に決定することが可能となる。
更に、重複判定領域が重ならない渋滞情報に含まれる各重複渋滞リンクが道路ネットワーク上つながっている場合には、該重複渋滞リンクをつなぐ仮想リンクを有する仮想渋滞情報を設け、この仮想リンクに基づいて該仮想リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した連結用重複判定領域を間に作成して、各重複判定領域と連結用重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成することによって、段差やゆがみ等のない渋滞度領域を表示することが可能となる。
【0086】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0087】
(A)前記実施例では、「渋滞もしくは混雑」、「渋滞」、「渋滞無し」の各等渋滞度領域をそれぞれ単一の表示色(例えば、橙色、赤色、青色である。)で表示したが、各等渋滞度領域の渋滞度が大きくなるに従って、高さが高くなるように立体的に表示するようにしてもよい。
【0088】
(B)前記実施例では、「渋滞もしくは混雑」、「渋滞」、「渋滞無し」の各等渋滞度領域をそれぞれ単一の表示色(例えば、橙色、赤色、青色である。)で表示したが、各等渋滞度領域の境界部分をグラデーションによって境界線が不鮮明になるようにしてもよい。
【0089】
(C)前記実施例では、各等渋滞度領域の表示色を「渋滞もしくは混雑」、「渋滞」、「渋滞無し」の各渋滞度に基づいて決定したが、旅行時間を含めて表示色を決定するようにしてもよい。
【0090】
(D)前記実施例では、各等渋滞度領域を表示後、各道路の地図情報を地図情報DB25から読み出し、液晶ディスプレイ15に描画したが、道路種別に応じて描画順序を入れ替えてもよい。例えば、最初に県道の地図情報を地図情報DB25から読み出し、液晶ディスプレイ15に描画後、各等渋滞度領域を描画し、その後、都市高速道路の地図情報を地図情報DB25から読み出し、液晶ディスプレイ15に描画するようにしてもよい。
【0091】
(E)前記実施例では、CPU41は、「渋滞もしくは混雑」、「渋滞」の各渋滞度のそれぞれについて渋滞情報をグループ化し、この各グループ毎に等渋滞度領域を作成後、各等渋滞度領域をそれぞれの渋滞度に対応する単一の表示色(例えば、「渋滞もしくは混雑」の等渋滞度領域の表示色を「橙色」にし、「渋滞」の等渋滞度領域の表示色を「赤色」にする。)で重ね合わせて表示して、「渋滞」と「混雑」の渋滞度の分布状態を示したが(S14〜S17)、例えば、次のようにしてもよい。
【0092】
CPU41は、「渋滞もしくは混雑」のみの渋滞度について渋滞情報をグループ化し、この各グループ毎に等渋滞度領域を作成すると共に、各等渋滞度領域の渋滞状況に合わせて表示色を決定する。その後、各等渋滞度領域を液晶ディスプレイ15に表示する。即ち、CPU41は、上記S101〜S126の処理を実行する。但し、上記S123の処理に替えて、CPU41は、以下の「表示色決定処理」を実行する。
【0093】
先ず、CPU41は、上記S122で作成した等渋滞度領域を構成する渋滞度が「渋滞」の全渋滞情報のそれぞれの「渋滞の長さ」を合計した「全渋滞長」を算出する。また、CPU41は、この等渋滞度領域を構成する渋滞度が「混雑」の全渋滞情報のそれぞれの「渋滞の長さ」を合計した「全混雑長」を算出する。続いて、CPU41は、「全渋滞長」に予めROM43に記憶する「渋滞係数」(例えば、「4」等である。)を積算した値と、「全混雑長」に予めROM43に記憶する「混雑係数」(例えば、「2」等である。)を積算した値とを合計して「全道路混雑長」を算出する。そして、CPU41は、この「全道路混雑長」を「全渋滞長」で除算した値が、予めROM43に記憶する「閾値」(例えば、「3」等である。)以上の場合には、上記S122で作成した等渋滞度領域の表示色を予めROM43に記憶する第1の色(例えば、「赤色」である。)に決定してRAM42に記憶する。また、CPU41は、この「全道路混雑長」を「全渋滞長」で除算した値が、予めROM43に記憶する「閾値」(例えば、「3」等である。)未満の場合には、上記S122で作成した等渋滞度領域の表示色を予めROM43に記憶する第2の色(例えば、「橙色」である。)に決定してRAM42に記憶する。
これにより、「渋滞もしくは混雑」のみの渋滞度について渋滞情報をグループ化し、この各グループ毎に等渋滞度領域を作成後、各等渋滞度領域毎に渋滞状況を示す表示色を決定し、上記S126の処理を実行することによって、「渋滞」と「混雑」の渋滞度の分布状態を液晶ディスプレイ15に一度に表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置と道路交通情報センタ(VICS)との通信を説明する説明図である。
【図3】ナビゲーション装置が実行する地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示の場合に、渋滞情報を表示する渋滞情報表示処理を示すメインフローチャートである。
【図4】図3の領域情報描画処理のサブ処理示すサブフローチャートである。
【図5】図3の領域情報描画処理のサブ処理示すサブフローチャートである。
【図6】図5のステップ115乃至ステップ116の直進の場合の処理内容を説明するイメージ図である。
【図7】図5のステップ116乃至ステップ117の直進の場合の処理内容を説明するイメージ図である。
【図8】図5のステップ115乃至ステップ117の右左折の場合の処理内容を説明するイメージ図である。
【図9】図5のステップ126で実行される16万分の1の縮尺の広域表示(16万図)の表示画面及び渋滞情報表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 ナビゲーション装置
2 ネットワーク
3 道路交通情報センタ(VICS)
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
15 液晶ディスプレイ
17 通信装置
22 交通情報DB
23 渋滞情報
25 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
61A、61B、61C 等渋滞度領域
J1〜J3、J10〜J12 渋滞情報
J100、J200 仮想渋滞情報
P1〜P3、P10〜P12 重複判定領域
P100、P200 連結用重複判定領域
R1〜R3、R10〜R12 渋滞リンク
R100、R200 仮想渋滞リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
渋滞情報を含む交通情報を受信する受信手段と、
前記交通情報に基づいて地図情報の表示領域に関する渋滞情報を取得する渋滞情報取得手段と、
前記渋滞情報取得手段によって取得された渋滞情報から所定渋滞度の渋滞情報群を抽出する渋滞情報抽出手段と、
前記渋滞情報群の各渋滞情報に含まれる道路リンクに基づいて該道路リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した重複判定領域を作成する重複判定領域作成手段と、
前記重複判定領域が重なる渋滞情報をグループ化するグループ化手段と、
前記グループ化手段によってグループ化された各渋滞情報に対応する重複判定領域を連結して等渋滞度領域を作成する等渋滞度領域作成手段と、
前記等渋滞度領域を前記地図情報の表示領域に重ね合わせて識別可能に表示するように制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記渋滞情報抽出手段は、複数種類の渋滞度のそれぞれについて渋滞情報群を順次抽出し、
前記等渋滞度領域作成手段は、該渋滞情報抽出手段によって抽出された各渋滞情報群に対応する複数種類の等渋滞度領域を作成し、
前記表示制御手段は、該複数種類の等渋滞度領域を前記地図情報の表示領域に重ね合わせて互いに識別可能に表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記複数種類の等渋滞度領域の表示色を互いに異ならせて前記地図情報の表示領域に重ね合わせて表示するように制御することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記等渋滞度領域作成手段は、
前記重複判定領域が重ならない渋滞情報に含まれる各道路リンクが道路ネットワーク上直接つながっている場合には、該各道路リンクをつなぐ仮想リンクを作成する仮想リンク作成手段と、
前記仮想リンクに基づいて該仮想リンクを幅方向及び長手方向に所定長さ拡張した連結用重複判定領域を作成する連結用重複判定領域作成手段と、
を有し、
該等渋滞度領域作成手段は、前記連結用重複判定領域と該連結用重複判定領域に重なる重複判定領域とを連結して等渋滞度領域を作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、地図情報の表示領域が所定縮尺以上の広域表示になった場合に前記等渋滞度領域を該地図情報の表示領域に重ね合わせて表示するように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−232427(P2007−232427A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51636(P2006−51636)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】