説明

ナビゲーション装置

【課題】鉄道線路、高速道路又は河川にできる限り接近した経路を探索して鉄道線路、高速道路又は河川に沿ってナビゲーションすること。
【解決手段】ナビゲーション装置1において、道路地図が表示される表示画面を有する表示装置9と、道路地図を表示するための地図データ21及び鉄道線路用側道データ22、高速道路用側道データ23及び河川用側道データ24が保存されたRAM又はメモリ7と、現在位置を検出する位置検出措置3と、前記地図データに基づいて前記現在位置周辺の道路地図を前記表示画面に表示させる制御回路2とを備える。制御回路2は、表示画面に表示させた道路地図上に側道経路データに基づいて、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに沿って移動するための側道経路L1を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図を表示した表示画面に経路を表示して目的地までナビゲーションするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路又は鉄道線路の高架橋等は、それぞれの構造物を保守管理する管理者が当該構造物の状況を定期的に調査確認しており、所定震度以上の地震が発生した場合は、その都度、破損等が生じていないか状況を確認している。また、ある程度の規模の河川についても定期的に又は台風等が通過した後等に調査員が河川に沿って状況を調査確認している。
【0003】
高速道路、鉄道線路又は河川は長い距離に渡りライン状に存在するため、調査員は自動車等の乗物に搭乗して高架橋等又は河川に沿った道路を移動しながら必要箇所の状況を1箇所ずつ確認して記録する作業を行っている。高架橋等又は河川に沿って移動する場合、調査員はできるだけ高架橋等又は河川に沿って造られている側道を移動し、側道が存在しない領域では高架橋等又は河川から遠ざからないような経路を探しながら移動することになる。高速道路、鉄道線路又は河川は、必ずしも既存の道路に沿って造られているわけではないので、その地域の道路事情に精通していない調査員にとって高架橋等又は河川に沿った側道を見つけながら移動することは困難である。
【0004】
一方、最近は、現地の地理に不案内な運転者に対して目的地まで経路案内を行うものとしてナビゲーション装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。ナビゲーション装置は、予め走行前に目的地を入力すると、出発地から目的地までの経路を自動探索して設定し、その設定経路に従ってナビゲーションを行うものである。一般に出発地から目的地までの間に複数の経路が存在するので、最短時間或いは最短距離の経路を探索する経路探索手法が採用される。
【特許文献1】特開平1-173297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のナビゲーション装置を用い高架橋等又は河川に沿った道路を経路探索して目的地までナビゲーションできれば、高速道路、鉄道線路又は河川等を管理する管理者の負担が軽減されると予想される。
【0006】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの複数の経路から最短時間或いは最短距離の経路を探索するものであることから、鉄道線路、高速道路又は河川にできる限り接近した経路を探索してナビゲーションすることはできなかった。
【0007】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、鉄道線路、高速道路又は河川の側道及び非側道区間では接近道路に沿って目的地までナビゲーションすることのできるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のナビゲーション装置は、道路地図を表示する表示手段と、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに沿って移動するための側道経路データが保存された側道データ保存手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記側道データ保存手段から現在位置周辺の側道経路データを読み出して道路地図上に重ねて表示し側道経路に基づいて目的地まで案内を行う制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに沿って移動するための側道経路が表示画面に表示されるので、その地域の道路事情に精通した調査員ではなくても、表示画面に表示された側道経路に従って容易に移動することができ、側道を探す労力を軽減でき、作業効率の改善を図ることができる。
【0010】
また本発明は、上記ナビゲーション装置において、道路地図に基づいて目的地まで経路案内する通常モードと、前記道路地図に重ねて表示させた側道経路に基づいて目的地まで案内を行う側道案内モードとを切替え可能に構成されたことを特徴とする
【0011】
これにより、目的地まで経路案内する通常モードと側道経路案内を行う側道案内モードとを切替え可能に構成したので、鉄道線路、高速道路又は河川に沿って移動する必要性がある調査時等にだけ側道案内モードに切り替えてナビゲーションを受けることができる。
【0012】
また、前記側道経路データは、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに隣接して設けられた側道が存在しない非側道区間では、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかから可能な限り離れない道路が側道経路の一部となることが望ましい。
【0013】
本発明の側道案内機能付き移動調査システムは、上記ナビゲーション装置と、鉄道線路に沿って移動しながら該鉄道線路の状況を入力する移動調査端末とを具備したシステムであって、前記位置検出手段は、経緯度座標系座標で表された測位データを出力するGPS受信機で構成され、前記移動調査端末は、鉄道車両が走行する線区の軌道に沿って設定された各基準点について、当該線区における起点からの距離を示すキロ程と各基準点の経緯度座標系座標とが登録されたデータベースと、前記GPS受信機から出力される測位データを入力して前記線区における調査位置を示すキロ程を出力するキロ程変換手段と、調査員から入力される該鉄道線路の状況報告に前記キロ程変換手段から出力されるキロ程を調査位置として設定する報告作成手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
このように構成された移動調査システムによれば、調査員から入力される鉄道線路の状況報告にキロ程変換手段から出力されるキロ程が調査位置として設定されるので、調査員が状況報告を入力した位置が、鉄道線路の位置を管理するために用いられているキロ程へ自動的に変換されて状況報告に設定されるので、調査員が手作業で調査位置を入力する手間及びキロ程への変換作業を省略することができる。
【0015】
また本発明は、上記側道案内機能付き移動調査システムにおいて、前記キロ程変換手段は、前記測位データの経緯度座標系座標に最も近接した2つの基準点の経緯度座標系座標を前記データベースから取り出し、前記測位データの経緯度座標系座標から前記2つの基準点の経緯度座標系座標までの距離をそれぞれ求め、この求めた前記各基準点までの距離に応じて前記測位データで示された調査位置を当該2つの基準点の間に割り付け、当該割付け位置のキロ程を調査位置として出力することを特徴とする。
【0016】
これにより、調査員が鉄道線路から離れた非側道区間において状況報告を入力した場合であっても、測位データで示された調査位置を最寄りの2つの基準点の間に割り付け、当該割付け位置のキロ程が調査位置として扱かわれるので、鉄道線路の調査位置を正確に状況報告に記述することができる。
【0017】
また、本発明の管理支援システムは、鉄道線路周辺の注目物と当該注目物の当該線区での位置を示す位置情報とが登録された管理台帳を備えたセンタシステムと、先頭車両に搭載されカメラによる撮影が可能な車両搭載装置と、上記ナビゲーション装置とを連携させてなる管理支援システムであって、前記センタシステムにおいて前記管理台帳に登録された注目物の位置情報を取り出して、注目物の撮影ポイント情報として前記車両搭載装置へ送り、前記車両搭載装置においてGPS測位データと前記撮影ポイント情報とを比較して車両が撮影ポイントに来る度に前記カメラに撮影トリガを与えて撮影し、撮影画像及び撮影地点の位置情報を前記センタシステムへ送り、前記センタシステムで前記車両搭載装置から送られて来る撮影画像及び撮影地点を表示し、当該撮影画像によって現地対応が必要であると判断された撮影地点が前記ナビゲーション装置に目的地として設定され、前記ナビゲーション装置が、現地対応が必要であると判断された撮影地点まで側道経路に沿って走行するように案内を行うことを特徴とする。
【0018】
これにより、センタシステムから管理台帳にしたがって取得した撮影ポイントを列車側へ送り込み、列車の先頭車両に搭載されたカメラで撮影ポイントを自動撮影して、撮影した画像をセンタシステム側で見て判断し、現地対応が必要だと判断したら現場要員に出動を命令することができる。このとき、現場要員が搭乗する自動車にナビゲーション装置を搭載しておけば、現場要員はできるだけ鉄道線路に沿った側道を利用して目的地まで巡視しながら移動できる。
【0019】
また本発明は、上記管理支援システムにおいて、前記ナビゲーション装置において、現地対応が必要であると判断された撮影地点まで側道経路に沿って走行した場合の目的地到着時刻を計算し、計算した目的地到着時刻を当該ナビゲーション装置から前記センタシステムへ無線送信することを特徴とする。
【0020】
これにより、センタ側において、現地要員が目的地である現場までどの程度の時間で到達できるかをリアルタイムで知ることができ、復旧までに要する時間を高い精度で予測することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、鉄道線路、高速道路又は河川に対しできる限り接近した経路を探索して、鉄道線路、高速道路又は河川に沿ってスタート地点から終了地点までナビゲーションすることができ、高速道路又は鉄道線路又は河川を保守管理する管理者の移動に要する作業効率を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の機能ブロック図である。本実施の形態に係るナビゲーション装置1は、制御回路2と、現在位置を検出するための位置検出装置3と、外部から地図データを入力するための地図データ取得部4と、側道経路探索のための検索条件等を入力するための操作スイッチ群5とを備える。また、制御回路2に対して、ナビゲーションのための音声ガイダンスを出力する音声出力部6、各種データを保存するメモリ7、道路交通情報を取得するためのVICS受信機8、各種ガイダンス画面及び地図上に探索経路を重ねて又は分割して表示する表示装置9を備える。
【0023】
制御回路2は、カーナビゲーション装置1の動作全般を制御する機能を有しており、マイクロコンピュータで構成することができる。例えば、制御回路2は、CPU、ROM、RAMおよびこれらを接続するバスなど備えて構成されている。ROMにはカーナビゲーション装置1を動作させるための実行プログラムが格納され、RAMにはプログラム実行時のデータや取得した地図データ、側道データ、交通情報などが一時的に格納される。
【0024】
位置検出装置3は、ジヤイロスコープ11、距離センサ12及びGPS受信機13を備えた構成となっている。これらのセンサ11〜13を組み合わせることにより、互いに検出誤差を補正して精度の高い位置検出を行なうことができる。なお、要求される検出精度によっては、すべてのセンサ11〜13を備える必要はない。
【0025】
地図データ取得部4は、例えばCD−ROMやDVD−ROMなどの情報記録媒体から地図データを読み取る読取装置から構成されている。地図データ取得部4によって地図データ、後述する側道データ、経路を音声で案内するためのデータ、住所・地名等から地図上の位置を検索する検索データなどを情報記録媒体から読み取り、制御回路2に入力する。
【0026】
VICS受信機8は、外部情報源であるVICSから送信される道路交通情報を受信して制御回路2に入力する。制御回路2は、VICS受信機8から入力された道路交通情報により、渋滞区間、渋滞通過に要する時間、目的地までの所要時間などを計算する。
【0027】
表示装置9は、例えばカラー液晶ディスプレイなどの表示画面を備えて構成されており、その表示画面に地図データや側道データなどを表示できるようになっている。操作スイッチ群5は、検索条件等を入力するためのもので、例えば表示画面の表面に設けられたタッチパネル或いはメカニカルスイッチなどの各種の操作スイッチから構成されている。
【0028】
制御回路2は、位置検出装置3から入力される情報に基づき車両の現在位置を演算して、地図データに基づいてその現在位置周辺の道路地図を表示装置9の表示画面に表示すると共に、その表示画面の道路地図に重ねて現在位置および進行方向を示すマークを表示する。この表示画面に表示される道路地図の縮尺は操作スイッチ群5の操作によって変更することができる。
【0029】
本実施の形態では、既に知られている経路設定機能及び経路案内機能に加えて、経路設定機能の拡張機能として鉄道線路、高速道路又は河川に沿った側道経路を探索し、鉄道線路等に沿った側道等を通って目的地までナビゲーションを行う側道案内機能を有する。経路設定機能及び経路案内機能により、通常モードでは、操作スイッチ群5を操作して目的地、或いは通過点を入力すると、現在位置から目的地までの最適経路を目的地経路として自動設定すると共に、その目的地経路を表示装置9の表示画面に表示されている道路地図上に強調表示する。そして、制御回路2は、目的地経路に従って進行方向を音声で案内する。
【0030】
一方、側道案内モードでは、側道案内機能により、操作スイッチ群5を操作して、目的地点を入力すると共に、側道探索対象となる鉄道線路名称、高速道路名称又は河川名称の入力を要求し、スタート地点から終了地点までの鉄道線路、高速道路又は河川にできる限り近い側道経路を探索して自動設定すると共に、その側道経路を表示装置9の表示画面に表示されている道路地図上に強調表示する。また、側道経路に従って進行方向を音声で案内する。なお、側道案内モードにおいて、鉄道線路名称、高速道路名称又は河川名称の入力要求に対して、鉄道線路名称等の個々の固有名称の代わりに、予め決められた鉄道線路等の識別番号を入力して指定するように構成してもよい。
【0031】
次に、地図データ取得部4から取り込む地図データ及び側道データについて説明する。
図2は制御回路2のRAMに格納された地図データ21、鉄道線路用側道データ22、高速道路用側道データ23、河川用側道データ24の概念図である。なお、本実施例では3種類の側道データ22〜24を格納しているが、必要な種類の側道データだけを格納するようにしても良い。また制御回路2のRAMではなくメモリ7に格納するようにしても良い。本発明は、予め作成した側道データ(22〜24)又は検索条件にしたがって地図データから作成した側道データが保存される場所が地図データ保存手段となるが、地図データ保存手段は1つの記憶媒体で構成される必要はなく、制御回路2内のRAMと外部のメモリ7とを組合わせて構成しても良い。
【0032】
地図データ21は、表示画面に地図を表示するためのデータで、リンク情報、ノード情報などを備えている。具体的には、図3に示すように、地図上の道路を交差点、分岐点、合流点、所定角度以上のカーブなどの屈曲点を示すノード(M1〜M6…)により複数に分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定し、それらリンクを接続することによって地図を構成する。ノード情報は、各ノード(M1〜M6…)について、ノードの識別情報、経度緯度の座標情報などからなる。リンク情報は、各リンクについて、リンクの識別情報、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端の座標、リンクの道路幅などから構成される。
【0033】
鉄道線路用側道データ22は、地図データ21と同様にリンク情報、ノード情報などから構成することができる。図3に、ある区間の鉄道線路(例えば新幹線高架)Rに沿って移動する場合の側道経路の具体例が点線L1で示されている。同図に示す側道経路L1は、当該側道経路L1における交差点、分岐点、合流点、屈曲点に相当するノードN1からノードN10と、当該側道経路L1に沿って隣接するノード間をそれぞれ結ぶ複数のリンクとで構成されている。リンクは、側道経路L1において隣接しているノード間の距離を示すリンク長、隣接するノード間に存在する道路の始端及び終端を示す始端・終端座標、道路幅などで構成される。
【0034】
なお、図3に例示するように、ノードN1からN2、ノードN5からN6及びノードN9からN10は鉄道線路Rのすぐ脇に側道が設けられている側道区間であるが、ノードN3からN4、ノードN7からN8は鉄道線路Rのすぐ脇に側道が設けられていない非側道区間である。非側道区間では、可能な限り鉄道線路Rから離れない道路が側道として選ばれている。
【0035】
以上のような鉄道線路用側道データ22が鉄道線路(例えば新幹線)Rの全長又は必要区間に渡って予め作成されている。また、鉄道線路用側道データ22は鉄道線路単位で作成されている。
【0036】
高速道路及び河川についても鉄道線路Rと同様に、高速道路単位及び河川単位でノード情報及びリンク情報からなる高速道路用側道データ23及び河川用側道データ24が作成されている。
【0037】
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
電源が投入されると、制御回路2が位置検出装置3によって検出された現在位置に基づいて地図データ21から現在位置を中心とした地図データを取り出して所定縮尺地図を表示装置9に表示する。
【0038】
一方、操作スイッチ群5を操作することによって側道案内モードが選択されると、図4(a)に示すような検索対象となる鉄道線路、高速道路又は河川を選択するための検索条件入力画面へ遷移する(ステップS1)。鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかの名称を入力することにより、図4(b)に示すようにスタート地点と終了地点とを入力する検索条件入力画面へ遷移する(ステップS2)。スタート地点と終了地点の入力は、表示画面に表示した地図上から選択できるようにしても良いし、鉄道線路であれば駅名又はキロ程を入力するようにしても良い。高速道路であれば、インターチェンジ名又は住所を入力することができる。河川の場合は、住所、河口からの距離又は橋の名称を入力するようにしても良い。また、位置検出装置3によって検出された現在位置をスタート地点として選択するようにしても良い。操作スイッチ群5を操作して検索条件の確定操作が行われると、表示画面は側道経路探索中であることを示す画面へ遷移させる(ステップS3)。
【0039】
例えば、鉄道線路の側道経路検索を行う場合は、図4(a)の検索条件入力画面で線路名称が入力された鉄道線路の鉄道線路用側道データ22を取出す(ステップS4)。この取り出された鉄道線路用側道データ22から、さらに図4(b)の検索条件入力画面で入力されたスタート地点と終了地点との間に存在する鉄道線路区間に対する側道データを抽出する(ステップS5)。
【0040】
次に、表示装置9の表示画面に現在表示している地図の縮尺に合わせて抽出側道データの縮尺を決定し、この抽出した側道経路を現在の道路地図上に強調表示する(ステップS6)。図3では強調表示の一例として側道経路の横に点線L1を表示した例を示しているが、このような表現に限定されるものではない。例えば、側道経路自体をカラー強調表示したり、線幅を太くして強調表示したりするようにしても良い。そして、現在位置を側道経路上に表示すると共に、現在位置と側道経路とを逐次比較して、側道経路上を移動するように音声ガイダンスによるナビゲーションを行うことが望ましい。
【0041】
調査員は、本ナビゲーション装置によってナビゲーションを受けながら所望の鉄道線路区間において鉄道線路に沿った側道経路を移動して、当該鉄道線路区間の各所における状況を調査確認する。調査結果は移動調査端末側に保存し又はリアルタイムで指令センタ側へ無線送信する。
【0042】
例えば、調査員が調査結果を入力するパーソナルコンピュータ等の移動調査端末と、本ナビゲーション装置とで側道案内機能付き移動調査システムを構成する。本ナビゲーション装置と移動調査端末との間はデータ通信可能にケーブルを介して接続し、又は近距離無線通信を介して回線接続する。又は、本ナビゲーション装置と移動調査端末とを1つの筐体内に収容して一体化してバス又はシリアル信号線で接続する。
【0043】
移動調査端末に本ナビゲーション装置から現在位置を取り込み、状況報告となる調査結果と当該調査位置となる現在位置とを対応させて記憶する。これにより、調査員は状況報告を作成するたびに調査位置データを入力する手間を省くことができる。
【0044】
ところで、図5に示すように、側道区間(A1からA3)では側道上での現在位置と当該現在位置から状況調査される鉄道線路(高速道路又は河川も同様)の位置とはほぼ一致している。一方、非側道経路(B1,B2)では鉄道線路(高速道路又は河川も同様)から離れた場所から調査対象の状況を調査確認し又は目視確認不可能な場合は調査しないことになる。この非側道経路(B1,B2)を移動している期間に位置検出装置3から取り込まれる現在位置は、調査員が状況確認している又は確認できていない鉄道線路(高速道路又は河川)上の各状況調査位置とは一致しないことになる。
【0045】
そこで、本実施の形態では、非側道経路(B1,B2)を移動中であっても現在位置が正確に鉄道線路(高速道路又は河川)上の位置を表すように、位置検出装置3で検出される現在位置に対して鉄道線路(高速道路又は河川)上へ合わせ込む処理を行う。
【0046】
以下、鉄道線路上への合わせ込み処理を例にして説明する。
図6は移動調査端末における合わせ込み処理に関する部分の機能ブロック図である。移動調査端末30は、本ナビゲーション装置のGPS受信機13から出力されるGPS測位データを取り込んでキロ程に変換するキロ程変換処理部31と、鉄道線路の状況確認した場所で調査員から入力される報告データに対して、キロ程変換処理部31から出力されるキロ程を調査位置情報として付加する報告作成部32と、報告作成部32で作成された報告データ(調査位置情報を含む)を指令センタ等へ無線通信する無線モジュール33と、軌道情報管理データベース34とを備えている。なお、報告作成部32で作成された報告データ(調査位置情報を含む)を内蔵する記憶媒体に保存するように構成しても良い。
【0047】
キロ程変換処理部31は、軌道管理情報DB34を参照して、移動調査端末に最寄りの2つの基準点と移動調査端末のGPS測位点とから、当該GPS測位点を線路中心線上となる2つの基準点の間に割り付けて当該割付け位置のキロ程を求める。なお、線区の軌道に沿って設定された標識、踏切保安設備、信号機、距離ポスト、その他の地上設備が基準点となる。
【0048】
軌道管理情報DB34は、基準点を識別するための基準点識別番号34a、線区における起点から各基準点までの距離を示すキロ程34b、各基準点における経緯度座標系座標34cが登録されたデータベースである。
【0049】
次に、移動調査端末のGPS測位点を近接する2つの基準点の間にすり合わせてその位置をキロ程に換算する手法について説明する。基準点間隔は実用上直線と見做せる程度の距離であるものとし、そのために生じる誤差は累積しない。
【0050】
図7に示す符号Rは鉄道車両が走行する軌道となる鉄道線路の中心線を示している。移動調査端末が距離ポストであるAポストとBポストとの間の線路区間に沿った側道又は非側道を移動している。このとき、GPS受信機13のGPS測位データがGPS測位点P1を示したものとする。GPS測位点P1から最も近い基準点がAポストとBポストであったとする。
【0051】
本実施の形態では、経緯度座標系においてGPS測位点P1をAポストとBポストとの間の所定位置にすりつける(割り付け)。直角座標系(x、y)において、GPS測位点P1、Aポスト及びBポストの座標は、GPS測位点P1=(X,Y)、Aポスト((X,Y)、Bポスト=(X,Y)とする。これらの座標位置から次式(1)に基づいて係数tを求める。
t=−{(X-X)(X-X)−(Y-Y)(Y-Y)}
/{(X-X+(Y-Y} …(1)
但し、(X-X)はAポストとGPS測位点P1とのx軸方向の距離
(X-X)はBポストとAポストとのx軸方向の距離
(Y-Y)はAポストとGPS測位点P1とのy軸方向の距離
(Y-Y)はBポストとAポストとのy軸方向の距離
そして、0≦t≦1.0において、次式(2)に基づいて、AポストとBポストとの間に割り付けられた点P11から起点よりのポストAまでの距離Cを求める。
C=L×t …(2)
但し、LはAポストとBポストとの間の距離である。
その結果、GPS測位点P1が一方の基準点であるAポストから他方の基準点であるBポストに向かって距離Cの位置P11に割り付けられる。
【0052】
図7に示す具体例のようにAポストのキロ程=34k200m、Bポストのキロ程=34k300mであれば、L=100mとなり、距離Cは(1)(2)式より計算することができる。
【0053】
上記説明では直角座標系に基づいてキロ程変換を行っているが、GPS測位点及び基準点は経緯度座標系で示される。しかし、キロ程変換に必要な2点間距離は実現値として数十メートル〜100m程度であるので、日本近辺の緯度では経緯度座標系でも直角座標系の式で計算しても誤差は非常に小さく(0.03%程度)、経緯度座標系で示される座標値から上記(1)(2)式に従って計算しても実用上問題ない。したがって、本明細書では直角座標系に基づいたキロ程変換を経緯度座標系でのキロ程変換であると見做している。
【0054】
キロ程変換処理部31では、以上のようにして移動調査端末のGPS測位点を近接する2つの基準点の間に割り付けたキロ程変換データが計算される。キロ程変換処理部31で計算されたキロ程変換データは鉄道線路上における調査位置データとして報告作成部32で入力される。報告作成部32では、キーボードなどの入力インターフェースを介して調査員から現在位置から鉄道線路の高架橋等の状況を確認した報告データが入力される。かかる報告データの一部をなす調査位置データとして現在位置においてキロ程変換処理部31から入力されたキロ程変換データを設定する。このようにして、ある場所から鉄道線路の高架橋等の状況を確認した報告データに調査位置データが組み込まれた状態で指令センタ等に無線送信される。
【0055】
以上の説明では、鉄道線路の調査を対象としているためGPS測位データを鉄道線路上での位置情報として扱いが容易なキロ程に変換しているが、調査対象が高速道路であれば高速道路上での位置確認に容易なデータ形式へ変換し、調査対象が河川であれば河川上での位置確認に容易なデータ形式へ変換することが望ましい。例えば、高速道に一定間隔で設定されている指標を基準点として上記同様の高速道路の中心線上への合わせ込みを行うことができる。河川についても同様に、河川に掛かる橋、合流点、その他のポイントの座標を登録しておき、GPS測位データを例えば河口からの距離に変換することができる。
【0056】
以上のように本実施の形態によれば、所望の鉄道線路、高速道路又は河川を選択して目標地点を入力するだけで、スタート地点から目標地点までの区間における鉄道線路、高速道路又は河川の側道及び可能な限りそれらに近い道路を経路としたナビゲーションを行うことができ、高速道路又は鉄道線路又は河川を保守管理する管理者の作業効率を改善することができる。
【0057】
以上の説明では鉄道線路用側道データ22等を予め作成して地図データ取得部4から読み込んでいるが、鉄道線路名(又は高速道路名、河川名)、スタート地点及び終了地点といった検索条件に基づいて、既に読み込まれている地図データから作成するようにしても良い。
【0058】
また、以上の説明では、本ナビゲーション装置と移動調査端末とをケーブル接続等する構成を例示しているが、本ナビゲーション装置と移動調査端末とを一体化した情報端末とすることもできる。
【0059】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る管理支援システムは、列車の先頭車両に搭載されたカメラ付きの車両搭載装置と、車両搭載装置から送られて来る撮影画像を監視して電車運転手、駅事務員等に指令を発するセンタシステムと、鉄道線路の側道に沿って目的地までナビゲーションするナビゲーション装置とを連携させたシステムである。
【0060】
図8は本実施の形態に係る管理支援システムの概念図である。この管理支援システムは、列車の先頭車両40に搭載された車両搭載装置41と、指令センタ50に設置された監視装置51及び各種管理台帳52と、現地要員が現場へ移動するための自動車60に搭載されたナビゲーション装置61とから構成されている。なお、技術センタ70は、指令センタ50から現地への出動要請を受け取る部署である。技術センタ70から出動要請を受けた現場要員が自動車60に登場して指令センタ50から指示された現地へ向かうことになる。指令センタ50と技術センタ70は物理的に別々の建屋に配置されているが、双方のシステムをオンラインで結んで1つのセンタシステムとして構築することも可能である。自動車60のナビゲーション装置61に設定する目的地は、端末71又は監視装置51からナビゲーション装置61へ無線通信で通知するようにしても良い。
【0061】
図9は車両搭載装置41の機能ブロック図である。先頭車両40の前方窓から見える状況(線路、架線、及びその周辺)を撮影するカメラ42を備える。カメラ42は、静止画及び動画を撮影可能であり、制御部43のコントロール下で撮影動作が実行される。撮影ポイント情報が経緯度座標系座標の形式で撮影ポイント情報記憶部44に保存されている。先頭車両40の現在位置はGPS測位システム等を利用して位置検出装置45により経緯度座標系座標の形式で検出している。制御部43は位置検出装置45から得られる現在位置(経緯度座標系座標)と撮影ポイント情報記憶部44に保存された撮影ポイントとが一致した場所でカメラ42に対して撮影トリガを与える。カメラ42が撮影した撮影画像は画像メモリ46に記憶され、通信部47から通信網48を経由して指令センタ50へ送信される。また、制御部43は、指令センタ50から送られて来る撮影ポイント情報を撮影ポイント情報記憶部44に保存する。制御部43は、非常制動検出信号を装置外の車両システムから受信した場合も撮影トリガをカメラ42に与えて撮影を行わせる。非常制動検出信号は、車両側のシステムが加速度計又は操作レバーの動きなどから非常制動検出した場合に出力される信号である。
【0062】
図10は、指令センタ50における主に監視装置51のシステム構成を示す機能ブロック図である。撮影ポイント情報を得るための管理台帳52として、倒木台帳52a、鉄道林台帳52b、構造物管理台帳52cを備えた例が示されている。倒木台帳52aは、倒木による被害の防止を目的として作成され、倒木すれば線路又は架線に影響が及ぶ可能性のある周辺樹木を登録した台帳である。登録樹木の位置がキロ程で記されている。鉄道林台帳52bは、線路を風や雪、飛砂から守るために植林した鉄道林を登録した台帳であり、鉄道林の位置(ある程度の範囲がある)がキロ程で記されている。また、構造物管理台帳52cは、鉄道運行上関連性の高い周辺建物・施設を管理する台帳であり、管理対象となる周辺建物・施設の位置がキロ程で記されている。これらの管理台帳52に登録されている登録樹木等の状況は指令センタ50において監視できることが望ましい。例えば、台風の通過直後にこれらの樹木の状況を指令センタ50において確認できれば迅速に適切な対策を取ることができる。また、駅ホームの状況が指令センタ50において確認できれば、イベント終了後などで混雑している駅ホームの状況を確認でき誘導員の緊急配備などの指示を駅員に通知することができる。
【0063】
撮影ポイント情報作成部53は、読出し部53aが上記管理台帳52から対象路線に関する登録樹木等のキロ程を読み出し、経緯度変換部53bがキロ程を経緯度座標系座標に変換する。管理台帳52に登録された対象路線における全ての周辺樹木、鉄道林、管理建物を撮影ポイントとしても良いし、予め選択した周辺樹木、駅ホーム等のみを撮影ポイントとしても良い。
【0064】
配信部54は、撮影ポイント情報作成部53により作製された撮影ポイント情報を、対象路線を走行する該当列車の車両搭載装置41へ送信する。
【0065】
受信部55は、通信網48経由で車両搭載装置41から送られて来る撮影画像及び撮影位置情報を受信する。受信した撮影画像及び撮影位置情報を、キロ程変換装置56を介して監視制御装置57へ入力する。キロ程変換装置56は、キロ程変換処理部56aがデータベース56bを参照して経緯度座標系座標の撮影ポイント情報をキロ程に変換する。経緯度座標系座標の撮影ポイント情報をキロ程に変換する手法としては、前述したキロ程変換処理部31及び軌道管理情報DB34と同様の処理方法を採用することができる。
【0066】
監視制御部57は、撮影画像を路線図に関連付けて表示部58に表示させると共に、ナビゲーション装置61から送られて来る現在位置情報及び現地までの到着予定時刻を表示部58に表示させる処理を実行する。
【0067】
なお、ナビゲーション装置61は、前述した図1に示すナビゲーション装置1の構成に加え、指令センタ50の監視装置51と無線通信する無線通信部を備えている。すなわち、ナビゲーション装置61に倒木場所などを目的地として設定すれば、当該目的地まで鉄道線路の側道に沿ってナビゲーションすることができる。
【0068】
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
指令センタ50において、倒木台帳52a、鉄道林台帳52b及び構造物管理台帳52cから周辺樹木、鉄道林、駅ホーム等の撮影ポイントとなる場所のキロ程情報が読出し部53aによって路線を区別して読み出される。管理台帳52から読み出されたある路線のキロ程情報は経緯度変換部53bにおいて経緯度座標系座標に変換される。そして、当該路線を走行することになる列車の先頭車両40に搭載された車両搭載装置41へ通信網48を経由して送信する。
【0069】
列車の車両搭載装置41では、指令センタ50から送信された経緯度座標系で表されたキロ程情報を通信部47が受信すると、制御部43が受信したキロ程情報を撮影ポイント情報として撮影ポイント情報記憶部44へ保存する。
【0070】
車両搭載装置41では、制御部43が撮影ポイント情報記憶部44から走行中の路線において次の撮影ポイント情報を取り出し、位置検出装置45から入力する現在位置情報と比較する。このとき、管理台帳52に登録された周辺樹木等のキロ程から変換された経緯度座標系座標をそのまま撮影ポイントとしたのでは、実際の撮影タイミングが遅れて撮影画像中に目的の樹木等が写らない可能性がある。そこで、キロ程から変換された経緯度座標系座標と現在位置とを比較し、両者の距離がカメラ視野に応じた所定範囲内に入ったならば、その時点でカメラ42に撮影トリガを与える。
【0071】
カメラ42で撮影された静止画又は動画からなる撮影画像は画像メモリ46に一時的に格納される。制御部43は、画像メモリ46から撮影ポイントの撮影画像を読出し、撮影トリガを与えた時刻に位置検出装置45から取得した現在位置情報を付加して、通信部47から指令センタ50を宛先にして送信する。例えば、通信部47から携帯電話網(48)にアクセスして指令センタ50の監視装置51に接続し、撮影画像情報及び撮影場所の位置情報を送信する。
【0072】
また、列車の運転員が非常制動操作を行った場合、その際に出力される非常制動検出信号が撮影トリガとなりその時の先頭車両の前方窓からの状況が撮影される。非常制動時の撮影画像とその場所の位置情報とが指令センタ50へ送られる。
【0073】
このように、列車の車両搭載装置41では、指令センタ50から送られたキロ程情報にしたがって倒木台帳52a等に登録された周辺樹木等の撮影ポイントで順次撮影が実行され、また非常制動時にも撮影が行われ、それらの撮影画像と撮影位置情報とが指令センタ50へ送られる。
【0074】
指令センタ50では、キロ程変換処理部56aにより撮影位置情報がキロ程に変換される。そして、監視制御部57が撮影画像と撮影ポイントのキロ程とを表示部58に表示させる。このようにして、指令センタ50の監視画面となる表示部58には、線路周辺の登録樹木、鉄道林、駅ホーム等の撮影画像が順に表示される。又は非常制動操作時における車外の状況を撮影した画像が表示される。
【0075】
指令センタ50では、表示部58に表示された撮影画像から現場の状況を把握することができる。例えば、線路上の架線に木の枝が接触していたり、架線に障害物が引っ掛かっていたりする場合は、現地要員を現地に急行させて対応に当たるように指令センタ50から技術センタ70に出動要請を出す。現地の撮影画像及び現地の位置情報はオンラインで、監視装置51から技術センタ70の端末71へ送信する。
【0076】
現地に向かう現地要員は、自動車60に搭載したナビゲーション装置61に目的地として現地位置を設定する。ナビゲーション装置61に対する目的地設定方法は種々の方式が考えられる。目的地の設定は現地要員が手動で現場の経緯度情報を入力して設定しても良いが、端末71または監視装置51から目的地情報を送信して、ナビゲーション装置61の制御回路2が認識して自動的に目的地設定するようにしても良い。又は、監視装置51から送信した現地の経緯度座標系座標を端末71で受けて可搬型の記憶媒体に記録し、その記録媒体をナビゲーション装置61に接続して読み取らせて設定することも可能である。
【0077】
ナビゲーション装置61を前述した側道案内モードに設定しておくことで、現地(目的地)までは鉄道線路の側道に沿ってナビゲーションされる。したがって、現地要員はできる限り鉄道線路に沿った道を走行して巡視を行いながら目的地の現地に到達することができる。例えば、台風の翌日等に司令センタ50から指示された倒木危険箇所(現地)に向かいながら、できるだけ線路にそって道々巡視しながら向かうことができる。
【0078】
現地要員が自動車60で現地に向かっている間、ナビゲーション装置61は目的地(現地)までの到着予定時間を常に計算している。このとき、経路は既に側道経路で決定しているので、VICS受信機8から交通情報を取得し、側道経路と渋滞情報とから目的地までの到着時刻を正確に計算する。到着時刻及び現在位置情報はナビゲーション装置61の無線通信部から指令センタ50の監視装置51へ所定周期で送られる。
【0079】
監視装置51では、図11に示すように監視画面81の路線図中に現地要員(ナビゲーション装置61)に現在位置マーク82を表示すると共に巡視した経路を軌跡で示し、さらに到着予定時刻83を表示する。なお、図11に示す表示例では撮影画像84と路線名85及び撮影場所のキロ程86が一緒に表示されている。
【0080】
このように本実施の形態によれば、列車の先頭車両40に搭載されたカメラ42を管理台帳52から作成した撮影ポイントで順次撮影して指令センタ50で監視画面にて見て判断でき、さらに現地対応が必要だと判断した場合には、現場要員が乗った自動車60のナビゲーション装置61で線路に沿った道を利用して巡視しながら現地へ向かうようにすることができる。
【0081】
なお、以上の実施の形態において車両搭載装置41として携帯電話機を用いることも可能である。携帯電話機に装備された通信機能、カメラ機能、GPS測位機能、アプリケーション対応機能を利用することで、低コストで車両搭載装置41を実現することができる。
【0082】
本発明は上述した実施の形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、鉄道線路、高速道路又は河川の側道に沿って移動する移動体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の機能ブロック図
【図2】上記実施の形態1に係るナビゲーション装置に読み込まれた地図データ、各種側道データの概念図
【図3】上記実施の形態1における地図データ及び側データの構成を説明すると共に側道経路を説明するための説明図
【図4】(a)上記実施の形態1において鉄道線路名等の検索条件を入力する画面構成を示す図、(b)上記実施の形態1においてスタート地点及び終了地点を入力する画面構成を示す図
【図5】高架橋周辺における側道区間及び非側道区間を説明するための説明図
【図6】移動調査端末の概略的な構成を示す機能ブロック図
【図7】移動調査端末におけるキロ程換算計算を説明するための説明図
【図8】本発明の実施の形態2に係る管理支援システムの概念図
【図9】上記実施の形態2における車両搭載装置の機能ブロック図
【図10】上記実施の形態2における指令センタの機能ブロック図
【図11】監視画面の表示例を示す図
【符号の説明】
【0085】
1…ナビゲーション装置、2…制御回路、3…位置検出装置、4…地図データ取得部、5…操作スイッチ群、6…音声出力部、7…メモリ、8…VICS受信機、9…表示装置、13…GPS受信機、21…地図データ、22…鉄道線路用側道データ、23…高速道路用側道データ、24…河川用側道データ、M1〜M6…ノード(道路)、N1〜N10…ノード(側道経路)、R…鉄道線路、L1…側道経路、40…先頭車両、41…車両搭載装置、42…カメラ、43…制御部、44…撮影ポイント情報記憶部、45…位置検出装置、46…画像メモリ、47…通信部、50…指令センタ、51…監視装置、52…管理台帳、53…撮影ポイント情報作成部、57…監視制御部、58…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図を表示する表示手段と、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに沿って移動するための側道経路データが保存された側道データ保存手段と、現在位置を検出する位置検出手段と、前記側道データ保存手段から現在位置周辺の側道経路データを読み出して道路地図上に重ねて表示し側道経路に基づいて目的地まで案内を行う制御手段と、を具備することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
道路地図に基づいて目的地まで経路案内する通常モードと、前記道路地図に重ねて表示させた側道経路に基づいて目的地まで案内を行う側道案内モードとを切替え可能に構成されたことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記側道経路データは、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかに隣接して設けられた側道が存在しない非側道区間では、鉄道線路、高速道路又は河川のいずれかから可能な限り離れない道路が側道経路の一部となることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置と、鉄道線路に沿って移動しながら該鉄道線路の状況を入力する移動調査端末とを具備したシステムであって、
前記位置検出手段は、経緯度座標系座標で表された測位データを出力するGPS受信機で構成され、
前記移動調査端末は、鉄道車両が走行する線区の軌道に沿って設定された各基準点について、当該線区における起点からの距離を示すキロ程と各基準点の経緯度座標系座標とが登録されたデータベースと、前記GPS受信機から出力される測位データを入力して前記線区における調査位置を示すキロ程を出力するキロ程変換手段と、調査員から入力される該鉄道線路の状況報告に前記キロ程変換手段から出力されるキロ程を調査位置として設定する報告作成手段とを備えたことを特徴とする側道案内機能付き移動調査システム。
【請求項5】
前記キロ程変換手段は、前記測位データの経緯度座標系座標に最も近接した2つの基準点の経緯度座標系座標を前記データベースから取り出し、前記測位データの経緯度座標系座標から前記2つの基準点の経緯度座標系座標までの距離をそれぞれ求め、この求めた前記各基準点までの距離に応じて前記測位データで示された調査位置を当該2つの基準点の間に割り付け、当該割付け位置のキロ程を調査位置として出力することを特徴とする請求項4記載の側道案内機能付き移動調査システム。
【請求項6】
鉄道線路周辺の注目物と当該注目物の当該線区での位置を示す位置情報とが登録された管理台帳を備えたセンタシステムと、先頭車両に搭載されカメラによる撮影が可能な車両搭載装置と、請求項1から請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置とを連携させてなる管理支援システムであって、
前記センタシステムにおいて前記管理台帳に登録された注目物の位置情報を取り出して、注目物の撮影ポイント情報として前記車両搭載装置へ送り、
前記車両搭載装置においてGPS測位データと前記撮影ポイント情報とを比較して車両が撮影ポイントに来る度に前記カメラに撮影トリガを与えて撮影し、撮影画像及び撮影地点の位置情報を前記センタシステムへ送り、
前記センタシステムで前記車両搭載装置から送られて来る撮影画像及び撮影地点を表示し、当該撮影画像によって現地対応が必要であると判断された撮影地点が前記ナビゲーション装置に目的地として設定され、
前記ナビゲーション装置が、現地対応が必要であると判断された撮影地点まで側道経路に沿って走行するように案内を行うことを特徴とする管理支援システム。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置において、現地対応が必要であると判断された撮影地点まで側道経路に沿って走行した場合の目的地到着時刻を計算し、計算した目的地到着時刻を当該ナビゲーション装置から前記センタシステムへ無線送信することを特徴とする請求項6記載の管理支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−292291(P2008−292291A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137944(P2007−137944)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(592145268)ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 (53)
【Fターム(参考)】