説明

ベアリングユニット、フリーボールベアリング、支持テーブル、搬送設備、ターンテーブル

【課題】フリーボールベアリングからチャンバ内への粉塵の飛散を防止することができ、しかも受け球を押さえ込んで主球の回転抵抗を増大させるための受け球押さえリングの移動抵抗を、グリスを使用しないノングリス方式にて低く抑えることができる技術の提供。
【解決手段】本体20の球受け部23の半球状凹面21と主球42との間に挿入して受け球42を押さえ込むことで主球42の回転抵抗を増大させるリング状の押さえ片55を有する受け球押さえリング50を内蔵するフリーボールベアリング110を台板89aに固定し、受け球押さえリング50に固定されたロッド62を移動して受け球押さえリング50を待機位置から受け球押さえ位置に移動する押さえ用駆動装置70が台板89aの裏面側に設けられているベアリングユニット、フリーボールベアリング110、支持テーブル、搬送設備、ターンテーブルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)のディスプレイ用マザーガラス等のガラス基板、半導体素子や半導体パッケージ等の電子部品用のシリコン基板(ウェハ)などといった基板の処理(成膜、レジスト塗布、露光、エッチング等)を行う真空装置の処理室(処理チャンバ)や、真空装置の入口付近に基板の位置決めを行うために設置されるロードロックチャンバといった真空チャンバ(真空室)に設置することで、ワーク(物品)の搬送、支持、位置決めに好適に用いることができるベアリングユニット、フリーボールベアリング、これを用いた支持テーブル、搬送設備、ターンテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
全方向に回転自在な1個のボール(主球)が突出された構造のフリーボールベアリングを用いた搬送テーブルや位置決め用テーブルは、任意の方向への移動ないし姿勢転換が可能であるとともに、搬送物に対する摩擦抵抗が極めて小さいことから、厳格な傷付き防止あるいは高い位置決め精度の確保を必要とする製造ライン、例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)のディスプレイ用マザーガラス等のガラス基板、半導体素子や半導体パッケージ等の電子部品用のシリコン基板(ウェハ)などといった基板の加工ラインに採用されている(例えば特許文献1)。
【0003】
ところで、フリーボールベアリングを用いた搬送テーブルは、例えば、鋼板の製造ラインや加工ライン、建材の製造ライン、段ボール詰めされた搬送物の搬送ライン等にも広く用いられている。このような搬送設備にあっては、搬送中の物品の移動を停止あるいは減速させるために、フリーボールベアリングとは別に、物品を衝突させるストッパ、クッション、物品を接触させるガイド部材などを設けた構成のものがあるが、近年、フリーボールベアリング自体が搬送中の物品に制動力を与えることが可能な構成となっているものが提案されている(例えば特許文献2)。このようなフリーボールベアリングを用いた搬送設備は、ストッパ、クッション、ガイド部材等の設置を不要にできる利点がある。
【0004】
上述の特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)は、多数の副球を介して凹球面に主球を回転自在に支持した凹球面部材と、前記主球の上部が突出する内孔を有する蓋部材とを備え、前記内孔の縁部が前記主球との間に微小間隙をもって接近した主球の自由転動状態と、前記内孔の縁部が前記主球に押圧接触した主球の制動状態とが切り換え可能になっている。
また、特許文献2の図2(a)、(b)には、環状の副球接触部を有する加圧部材を駆動手段(具体的には電磁線輪によって構成した電磁石34)によって昇降させ、前記加圧部材の下降時に前記副球接触部を副球群の上縁部に接触させることで副球の転動を拘束して主球の回転に制動作用を与える構成のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−322894号公報
【特許文献2】特開2004−19877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ディスプレイ用マザーガラス等のガラス基板、シリコン基板(ウェハ)などといった基板の処理(成膜、レジスト塗布、露光、エッチング等)を行う処理チャンバ等の真空チャンバ(真空室。いわゆるロードロックチャンバ等も含む。以下、単にチャンバとも言う)を有する真空装置内に設置される搬送テーブルや位置決め用テーブルに用いられるフリーボールベアリングとして、特許文献2の図1(a)、(b)、図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)のように主球の回転を抑制(あるいは停止)できる構成のものを採用する場合、パーティクルの飛散抑制が問題となる。
例えば、上述の特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)では蓋部材の主球との接触によって生じたパーティクルの飛散、特許文献2の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)では蓋部材(特許文献2において符号5a)と凹球面部材との間にて昇降する加圧部材と該加圧部材の昇降を案内する脚状部との接触によって生じたパーティクルの飛散が生じやすい。このためパーティクルを飛散を抑制して、パーティクルによる基板の汚染を抑えることができる技術の開発が求められる。
【0007】
また、特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)は、主球及び副球を回転自在に支持した凹球面部材の外周面に沿ってスライド移動する筒状体(特許文献2の図1(a)、(b)記載の発明にあっては流体圧シリンダ12)をエア圧等の流体圧によって駆動する構成になっている。
特許文献2の図1(a)、(b)記載の技術は、凹球面部材の外周面と筒状部との間のシール性を高めるために凹球面部材の外周にOリングを設けている。しかしながら、このように、Oリングを使用して、エア圧等の流体圧を駆動源として駆動する機構は、通常、可動部材(特許文献2の図1にあっては流体圧シリンダ12)の移動抵抗の低減のためにグリスを用いる必要がある。また、このような機構をチャンバ内にて使用する場合、駆動用の流体が流入する圧力室の周囲のシール性確保の点で、Oリングと可動部材との接触箇所にグリスを使用することが広く行われているが、グリスから発生するアウトガスがチャンバ内の汚染の原因となるといった問題がある。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みて、パーティクルの飛散による基板の汚染を抑制することができ、しかも、グリスを使用しないノングリス方式の構成により、グリスから発生するアウトガスによるチャンバ内の汚染を解消できるベアリングユニット、フリーボールベアリング、これを用いた支持テーブル、搬送設備、ターンテーブルの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室内あるいは前記真空室の外壁の一部として前記真空室に設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、前記フリーボールベアリングの前記ハウジングにおける前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部を介して前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための駆動力を通電によって発生する押さえ用駆動装置と、前記ハウジングの前記底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して前記複合壁部の表面側及び裏面側に突出するように設けられ、前記フリーボールベアリングの内側空間のうち前記球受け部の外周面と前記ハウジングの前記外周壁の内周面との間に位置する環状空間部内に配置された先端部から前記受け球押さえリングの外周部に前記押さえ用駆動装置の駆動力を伝達してベアリング基端側への変位力を与える駆動力伝達ロッドと、前記押さえ用駆動装置と前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部とを一括して覆いこれらを取り囲むように複合壁部にシール固定して設けられたカバー部材と、前記押さえ用駆動装置及び前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部を覆った前記カバー部材と前記複合壁部とによって取り囲まれた内側の収納空間内あるいは前記フリーボールベアリングの前記環状空間部内に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニットを提供する。
第2の発明は、前記駆動力伝達ロッドは前記先端部が前記受け球押さえリングに連結されており、前記押さえ用駆動装置が前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部をベアリング基端側に移動するロッド移動装置であることを特徴とする第1の発明のベアリングユニットを提供する。
第3の発明は、前記駆動力伝達ロッドが、前記環状空間部内に配置された先端部に、前記受け球押さえリングの外周部に設けられたギア係合歯に噛み合わせた駆動力伝達ギアが固定されているギア付きロッドであり、前記押さえ用駆動装置が、電動モータの駆動力によって前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部に回転駆動力を与えて前記ギア付きロッドを軸回り回転させる回転駆動装置であり、この回転駆動装置は前記ギア付きロッドの回転方向の正逆反転が可能であり、該回転駆動装置によって前記ギア付きロッドをその回転方向を選択して回転することにより前記受け球押さえリングの配置位置を前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能であり、前記回転駆動装置が復帰手段を兼ねることを特徴とする第1の発明のベアリングユニットを提供する。
第4の発明は、前記カバー部材の外面に、前記押さえ用駆動装置への給電用の電気回路を接続するための給電用接続端子が設けられ、前記給電用接続端子は前記カバー部材内にて前記押さえ用駆動装置と電気的に接続されていることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第5の発明は、真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、前記受け球押さえリングに連結して該受け球押さえリングから前記ベアリング先端側とは反対のベアリング基端側へ延出された棒状の部材であり、前記ハウジングにおいて前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して、前記底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部の前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に突出された駆動力伝達ロッドと、この駆動力伝達ロッドの前記複合壁部の裏面側に突出された部分である裏面側突出部を収納して覆うベローズであり、その片端の全周を前記複合壁部の裏面にシール固定して設けられているとともに、前記複合壁部に固定された固定端とは反対の可動閉塞端に前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部が連結された突出部収納ベローズと、前記複合壁部の裏面側にて前記突出部収納ベローズの外側に配置され、前記突出部収納ベローズの可動閉塞端に前記複合壁部から離隔させる方向の力を与えて前記突出部収納ベローズを引き伸ばした状態とすることで、前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための押さえ用駆動装置と、前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドあるいは前記突出部収納ベローズの可動閉塞端にベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニットを提供する。
第6の発明は、真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、前記受け球押さえリングに連結して該受け球押さえリングから前記ベアリング先端側とは反対のベアリング基端側へ延出された棒状の部材であり、前記ハウジングにおいて前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して、前記底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部の前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に突出された駆動力伝達ロッドと、この駆動力伝達ロッドの前記複合壁部の裏面側に突出された部分である裏面側突出部を取り囲むように複合壁部にシール固定され、前記複合壁部との間に前記裏面側突出部をベアリング高さ方向に移動可能に収納する空間を確保して前記裏面側突出部を覆う突出部カバー部材と、前記複合壁部の裏面側にて前記突出部カバー部材の外側に配置され、磁性材料あるいは永久磁石が設けられて磁気吸引可能に構成された前記裏面側突出部を非磁性材からなる前記突出部カバー部材の外側から磁気吸引することにより前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記押さえ片による受け球の押さえ込みを実現する電磁石である押さえ用駆動装置と、前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニットを提供する。
第7の発明は、第5又は6の発明のベアリングユニットであって、第5の発明のベアリングユニットに係る前記突出部収納ベローズ、あるいは第6の発明のベアリングユニットの突出部カバー部材として機能するベローズである裏面側ベローズを前記押さえ用駆動装置から前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部に与えるベアリング基端側への変位力によって引き伸ばすことで前記受け球押さえリングを前記待機位置から受け球押さえ位置へ移動可能、かつ、前記押さえ用駆動装置による駆動力発生の停止時に、前記裏面側ベローズが該裏面側ベローズ自体の弾性及び/又は前記真空室内外の気圧差によって前記受け球押さえリングが前記受け球押さえ位置にあるときに比べて押し縮められた状態となり前記受け球押さえリングが前記待機位置に配置されるように構成され、前記裏面側ベローズが前記復帰手段として機能することを特徴とするベアリングユニットを提供する。
第8の発明は、前記フリーボールベアリングは、前記環状空間部内に、前記駆動力伝達ロッドにおける前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板貫通孔の前記環状空間部側の開口部を覆う内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられ、前記復帰手段は前記内部ベローズの内側あるいは前記複合壁部の裏面側に配置されていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第9の発明は、真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、前記フリーボールベアリングの前記ハウジングにおける前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部を介して前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための駆動力を発生する押さえ用駆動装置と、前記ハウジングの前記底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して前記複合壁部の表面側及び裏面側に突出するように設けられ、前記フリーボールベアリングの内側空間のうち前記球受け部の外周面と前記ハウジングの前記外周壁の内周面との間に位置する環状空間部内に配置された先端部から前記受け球押さえリングの外周部に前記押さえ用駆動装置の駆動力を伝達してベアリング基端側への変位力を与える駆動力伝達ロッドと、前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされ、前記フリーボールベアリングは、前記環状空間部内に、前記駆動力伝達ロッドにおける前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板貫通孔の前記環状空間部側の開口部を覆うベローズである内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とするベアリングユニットを提供する。
第10の発明は、前記フリーボールベアリングとして、前記環状空間部内にて前記内部ベローズの内側に前記復帰手段が設けられているものを用いていることを特徴とする第8又は9の発明のベアリングユニットを提供する。
第11の発明は、前記内部ベローズが前記駆動力伝達ロッドをベアリング先端側へ弾性付勢するスプリングとして機能し、前記復帰手段を兼ねることを特徴とする第9〜10のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第12の発明は、前記復帰手段として、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドをベアリング先端側へ弾性付勢するスプリングを具備することを特徴とする第1〜11のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第13の発明は、前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接した位置が前記待機位置とされ、該待機位置にあるときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されるように構成され、前記受け球押さえリングのベアリング基端側への変位力を発生するための駆動力が前記駆動力伝達ロッドから前記基端側リング部に作用するように構成されていることを特徴とする第1〜12のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第14の発明は、前記本体は前記球受け部とこの球受け部のベアリング基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記ハウジングは、前記ねじ軸に螺着して前記ねじ軸に垂直に設けられた前記底板を有するリング状の底側ハウジング部材と、前記主球突出用開口部が開口されているリング状のキャップとを、前記キャップ及び前記底側ハウジング部材のそれぞれの外周部に設けられた結合部を互いに結合して組み立てられていることを特徴とする第1〜13のいずれかの発明のベアリングユニットを提供する。
第15の発明は、フリーボールベアリングであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、前記本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して前記球受け部に回転自在に支持された1つの主球と、前記主球の一部を突出させるための主球突出用開口部を確保して前記球受け部を取り囲むように設けられ前記主球突出用開口部から前記主球の一部を突出させるとともに前記主球の飛び出しを防止するハウジングと、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設され前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられ、前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置と前記受け球押さえ位置から前記ベアリング先端側に離隔した待機位置とに配置位置が変更可能である受け球押さえリングと、前記ハウジングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部が突出されている側であるベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から内面側に前記ベアリング高さ方向に垂直に延出する底板に形成された底板貫通孔に通して前記底板を介して前記ベアリング高さ方向の両側に突出するように設けられ、前記受け球押さえリングをベアリング高さ方向に移動するための駆動力を前記ハウジングの外部から前記受け球押さえリングに伝達する駆動力伝達ロッドとを具備することを特徴とするフリーボールベアリングを提供する。
第16の発明は、前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成し該受け球押さえリングの前記外周部として機能する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接したときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されることを特徴とする第15の発明のフリーボールベアリングを提供する。
第17の発明は、前記内側空間の前記環状空間部内に、前記受け球押さえリングをベアリング先端側に弾性付勢するスプリングが設けられ、このスプリングの弾性によって前記受け球押さえリングの前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの前記突壁部に当接する位置が前記待機位置とされていることを特徴とする第16の発明のフリーボールベアリングを提供する。
第18の発明は、前記内側空間の前記環状空間部内に、前記棒状部材における前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板の前記内側空間に臨む面における底板貫通孔の開口部を覆う内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とする第15〜17のいずれかの発明のフリーボールベアリングを提供する。
第19の発明は、前記駆動力伝達ロッドはその先端部が前記受け球押さえリングの外周部に連結されており、前記受け球押さえリングと一体的にベアリング高さ方向に移動することを特徴とする第15〜18のいずれかの発明のフリーボールベアリングを提供する。
第20の発明は、フリーボールベアリングであって、半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、前記本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して前記球受け部に回転自在に支持された1つの主球と、前記主球の一部を突出させるための主球突出用開口部を確保して前記球受け部を取り囲むように設けられ前記主球突出用開口部から前記主球の一部を突出させるとともに前記主球の飛び出しを防止するハウジングと、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設され前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられた受け球押さえリングと、前記ベアリング高さ方向において前記主球が前記ハウジングから突出されている側であるベアリング先端側とは反対のベアリング基端側への変位力を前記受け球押さえリングに与えて前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込むための駆動力を通電によって発生する押さえ用駆動装置と、前記受け球押さえリングにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを具備し、前記押さえ用駆動装置及び前記復帰手段は、前記内側空間のうち前記球受け部の外周面と該外周面に対面するハウジングの内周面との間に位置する環状空間部に設けられ、前記受け球押さえリングの外周部に前記ベアリング高さ方向の変位力を与えるように構成され、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされていることを特徴とするフリーボールベアリングを提供する。
第21の発明は、前記受け球押さえリングとして前記環状空間部に配置される外周部が磁性材料あるいは永久磁石が設けられて磁気吸引可能に構成されたものを用い、前記押さえ用駆動装置が通電により前記受け球押さえリングを磁気吸引可能してベアリング基端側への変位力を与える電磁石であり、前記復帰手段がスプリングであることを特徴とする第20の発明のフリーボールベアリングを提供する。
第22の発明は、前記押さえ用駆動装置が、前記受け球押さえリングの前記外周部に設けられたギア係合歯に噛み合わせた駆動力伝達ギアを回転させる電動モータであり、前記電動モータは前記駆動力伝達ギアの回転方向の正逆反転が可能であり、該電動モータによる前記駆動力伝達ギアの回転方向を変更して前記駆動力伝達ギアを回転させることにより前記受け球押さえリングの配置位置を前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされ、前記電動モータが復帰手段を兼ねることを特徴とする第20の発明のフリーボールベアリングを提供する。
第23の発明は、前記本体は前記球受け部とこの球受け部のベアリング基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記押さえ用駆動装置が前記本体に埋め込まれた給電用導電部材と電気的に接続され、前記ねじ軸の前記球受け部からの突出先端に前記給電用導電部材に電源を接続するための給電用接続端子が設けられていることを特徴とする第20〜22のいずれかの発明のフリーボールベアリングを提供する。
第24の発明は、前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成し該受け球押さえリングの外周部として機能する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接した位置が前記待機位置とされ、該待機位置にあるときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されることを特徴とする第20〜23のいずれかの発明のフリーボールベアリングを提供する。
第25の発明は、前記ハウジングはその内周面のベアリング基端側端部から前記ベアリング高さ方向に垂直に延出する底板を有し、前記環状空間部に、前記押さえ用駆動装置及び復帰手段のうち少なくとも押さえ用駆動装置を収納して覆うベローズが設けられ、前記ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とする第20〜24のいずれかの発明のフリーボールベアリングを提供する。
第26の発明は、第20〜25のいずれかの発明のフリーボールベアリングが台板の複数箇所に該台板上に突出状態に取り付けられていることを特徴とする支持テーブルを提供する。
第27の発明は、第1〜14のいずれかの発明のベアリングユニット及び/又は第26の発明の支持テーブルを具備することを特徴とする搬送設備を提供する。
第28の発明は、第1〜14のいずれかの発明のベアリングユニット及び/又は第26の発明の支持テーブルからなるベース部材と、このベース部材上に回転可能に設置された回転テーブルとを有することを特徴とするターンテーブルを提供する。
【0010】
本発明に係るベアリングユニットは、例えば基板処理(ガラス基板やシリコン基板への成膜、レジスト塗布、露光、エッチング等)用の処理チャンバやロードロックチャンバといった真空チャンバ(真空室。以下、単にチャンバとも言う)にて、該チャンバ内に搬入された基板(例えばマザーガラス等のガラス基板、シリコンウェハ等のシリコン基板)等のワークの搬送用の搬送テーブル、支持テーブル、位置決め用テーブル等として用いることができる。搬送テーブル、支持テーブル、位置決め用テーブルは、本発明に係るベアリングユニットのベアリング取付板をテーブルの台板として用い(例えばベアリング取付板が水平の向きで使用する)、ベアリング取付板の複数箇所(3以上の多数カ所)にてベアリング取付板上に突出状態に設けられたフリーボールベアリングのベアリング先端側にてハウジング外側に突出されている主球上に前記基板等のワークを支持するものである。但し、本発明に係るベアリングユニットはこのようなテーブル(搬送テーブル、支持テーブル、位置決め用テーブル)としての用途に限定されず、例えば搬送設備の一部、ワーク位置決め装置の一部等として、ハウジング外側に突出されている主球がワークの側面に接触される使用形態(ベアリング高さ方向が上下方向ではなく横向き(水平あるいは水平に近い向き)になっている使用形態)も採用可能である。
なお、本明細書において、搬送テーブル、位置決め用テーブルは、「支持テーブル」の一種であるものとして扱う。
【0011】
本発明に係るベアリングユニット、フリーボールベアリングは、真空室内での基板の搬送、支持、位置決め等に用いる場合、特許文献2記載の移動用球体支持装置に比べてパーティクルの飛散抑制に有利である。
まず、本発明に係るベアリングユニット、フリーボールベアリングは、受け球押さえリングによって受け球を押さえ込むことで主球に制動力を与える(回転抵抗を増大させる)構成である点で、特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)に比べてパーティクルの飛散抑制に有利である。
基板等のワークに接触される主球を多数の受け球を介して本体に形成された半球状凹面に回転自在に支持した構成のフリーボールベアリングにあっては、主球の回転は半球状凹面に沿った多数の受け球の転動、半球状凹面内側での受け球の循環によってなされる。主球を回転させると、これに伴い該主球に接触している受け球が主球に従動回転するため、該主球は半球状凹面を転動し移動する。その結果、半球状凹面内側にて受け球の循環が生じる。本発明に係るフリーボールベアリングにおいて、受け球押さえリングを受け球を押さえ込む受け球押さえ位置から離隔した待機位置に移動したときには、主球の回転に伴う受け球の循環が可能であり主球の回転も可能であるが、受け球押さえリングを受け球押さえ位置に配置して受け球を押さえ込み受け球の循環を規制すると、主球の回転抵抗が増大して主球の回転が抑制あるいは回転できないように拘束される。
【0012】
特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)のように主球に蓋部材を直接接触させて制動力を作用させる構成では、主球を傷付けやすく、それによにパーティクルが発生する。また、特許文献2のように、蓋部材と主球との接触は、蓋部材から主球の一部を突出させるための円孔(特許文献2において符号11)の内面で生じるものであり、ここで生じたパーティクルが円孔から飛散しやすい。
これに対して、本発明のように、受け球を押さえ込んでその循環を規制することで主球の回転抵抗を増大して主球の回転を抑制あるいは回転できないように拘束する構成は、主球に蓋部材を直接接触させて制動力を作用させる構成に比べて主球の傷付きが生じにくく、受け球の循環を規制するだけで主球に制動力を与えることができることから、パーティクルの発生抑制の点で有利である。
【0013】
また、本発明では、受け球を押さえ込んでその循環を規制する受け球押さえリングの押さえ片と受け球との接触位置は、球受け部を取り囲むように設けられたハウジングの内側である。このため、特許文献2の図1(a)、(b)記載のフリーボールベアリングのように蓋部材の円孔内面と主球との接触位置からパーティクルが発生する構成に比べて、受け球押さえリングと受け球との接触によって生じたパーティクルの飛散が生じにくい。
【0014】
特許文献2の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)は、受け球(副球)を加圧部材によって押さえ込むことで受け球の循環を規制し、これにより主球に制動力を与える構成であるが、加圧部材を上下動させる機構が蓋部材と凹球面部材(特許文献2において符号2a)との間に設けられた構成であり、加圧部材と該加圧部材の昇降を案内する脚状部との接触で生じたパーティクルが加圧部材の昇降によって放出、飛散しやすい構造になっている。
これに対して、本発明に係るベアリングユニットのフリーボールベアリング、第15〜19の発明のフリーボールベアリングは、ハウジングのベアリング基端側端部から突出された駆動力伝達ロッドを介して、ハウジングの外側(ベアリング基端側)から受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を作用させるための駆動力を与えることができる構成であり、第20〜25の発明のフリーボールベアリングは、ハウジング内側の環状空間部内に設けられた押さえ用駆動装置の駆動力によって受け球押さえリングの外周部にベアリング基端側への変位力を与えることができる構成である。つまり、本発明にあっては、フリーボールベアリングの受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えるための押さえ用駆動装置をハウジングの主球突出用開口部から離隔した位置に配置できるため、押さえ用駆動装置から発生するパーティクルの飛散抑制の点で有利である。
【0015】
本発明に係るベアリングユニットは、フリーボールベアリングのハウジングの底板とベアリング取付板とによって構成される複合壁部を介してフリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に押さえ用駆動装置を配置した構成になっている。押さえ用駆動装置をハウジングの主球突出用開口部から離隔した位置に配置できるため、特許文献2の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)に比べて、押さえ用駆動装置から発生するパーティクルの飛散の抑制、防止を容易に実現できる。
電動モータ等の駆動装置(押さえ用駆動装置)は一般に作動による若干のパーティクルの発生が避けられないが、本発明では、上述のように押さえ用駆動装置の駆動力が駆動力伝達ロッドを介して受け球押さえリングに伝達される構成により、押さえ用駆動装置を複合壁部の裏面側に配置できるため、押さえ用駆動装置から発生したパーティクルが主球突出用開口部から真空室内に飛散することを抑えることができる。
【0016】
前記押さえ用装置の他、押さえ用駆動装置の駆動力を押さえ用駆動装置から受け球押さえリングの外周部へ伝達する駆動力伝達系(駆動力伝達ロッド等の駆動力伝達用の部材と受け球押さえリングの外周部との接触点を含む)もパーティクルの発生源として挙げることができるが、本発明に係るベアリングユニットのフリーボールベアリング内にあっては、ハウジングの主球突出用開口部から離隔されている環状空間部内に、駆動力伝達ロッド等の駆動力伝達用の部材や、該部材と受け球押さえリングの外周部との接触点が配置されるため、ハウジングの主球突出用開口部から真空室内へのパーティクルの飛散を抑える点で有利である。
【0017】
第5〜7の発明のベアリングユニットは、押さえ用駆動装置を真空室の外側の突出部収納ベローズあるいは突出部カバー部材の外側に配置した構成であるため、押さえ用駆動装置や駆動伝達系から発生するパーティクルの真空室内への飛散を確実に防ぐことができる。また、第8、9の発明のベアリングユニットは、複合壁部裏面側の押さえ用駆動装置や駆動伝達系から発生するパーティクルの真空室内への飛散をフリーボールベアリング内の内部ベローズによって確実に防ぐことができる。第5〜9のベアリングユニットの場合は、押さえ用駆動装置の構成の制約が少ない(例えば、通電によって駆動力を発生するものに限定されない)といった利点がある。
また、第18の発明のフリーボールベアリングは、第8、9の発明のベアリングユニットの組み立てに用いることができるものであり(後述)、第8、9の発明のベアリングユニットの組み立てに用いることで、複合壁部裏面側の押さえ用駆動装置や駆動伝達系から発生するパーティクルの真空室内への飛散防止に有効に寄与する。
第25の発明のフリーボールベアリングはその内部に設けたベローズ内に押さえ用駆動装置を収納した構成により、押さえ用駆動装置や駆動伝達系から発生したパーティクルが主球突出用開口部から真空室内へ飛散することを前記ベローズによって防ぐことができる。
【0018】
なお、本発明に係るベアリングユニットは、第15〜19のいずれかの発明のフリーボールベアリングを用いて組み立てることも可能である。本発明に係るベアリングユニットのフリーボールベアリングとしては駆動力伝達ロッドが該フリーボールベアリングの一部である構成も採用可能である。第15〜19の発明のフリーボールベアリングは駆動力伝達ロッドを具備する構成であるため、駆動力伝達ロッドをベアリング取付板の取付板貫通孔に通して、このフリーボールボールベアリングをベアリング支持体のベアリング取付板に取り付けることで、ベアリングユニットの組み立てに用いることができる。この場合、フリーボールベアリングをベアリング取付板に設けるだけで、本発明に係るベアリングユニットのフリーボールベアリングと駆動力伝達ロッドとがベアリング取付板に設けられることになり、別途、駆動力伝達ロッドを設ける必要が無く、ベアリングユニットの組み立てを簡単に行うことができる。
【0019】
本発明に係るフリーボールベアリング(ベアリングユニットのフリーボールベアリング、及び第15〜25の発明のフリーボールベアリング)は、受け球押さえリングの設けられている押さえ片によって受け球を押さえ込む構成となっている。
前記押さえ片は、球受け部の球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入されて、前記受け球を押さえ込む。したがって、この押さえ片が受け球を押さえ込む位置(受け球押さえ位置)は、球受け用凹所の開口部から球受け用凹所の底部側の位置であるため、この受け球押さえ位置にて押さえ片と受け球との接触によって生じたパーティクルの球受け用凹所からの飛散は生じにくい。また、本発明では、受け球押さえリングが待機位置にあるとき、その押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されるようにする。このため、半球状凹面と主球との間の狭隘な溝状の空間内にてパーティクルが生じても、押さえ片が半球状凹面と主球との間の溝状の空間からのパーティクルの飛散を抑える機能を果たす。
したがって、本発明に係るフリーボールベアリング(ベアリングユニットのフリーボールベアリング、及び第15〜25の発明のフリーボールベアリング)は、特許文献2の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリングに比べてパーティクルの飛散抑制の点で有利であり、飛散したパーティクルによる基板の汚染抑制に有効な構成となっている。
【0020】
第1〜4の発明のベアリングユニットのカバー部材(駆動力伝達ロッドの複合壁部裏面側に突出された部分と押さえ用駆動装置とを一括して覆うカバー部材)は、ベアリングユニットが真空室内に設置して使用されるものである場合は、押さえ用駆動装置や、押さえ用駆動装置の駆動力を駆動力伝達ロッドに伝達する部材(以下、駆動力出力部材とも言う)と駆動力伝達ロッドとの接触部から発生するパーティクルの複合壁部裏面側での飛散を抑えることができるものであれば良く、強度は要求されず、様々な構成のものを採用できる。
【0021】
一方、ベアリングユニットが真空室の外壁の一部として用いられる場合、つまり複合壁部の裏面が真空室外壁面の一部となる場合(ベアリング取付板が真空室外壁の一部となる場合)は、カバー部材として、真空室内外の気圧差に鑑みて変形を生じない充分な強度を有する容器状の構造体や、ベローズ等の特定方向のみに伸縮変形可能な筒状構造体を用いることが適切である。このことは、第6の発明の突出部カバー部材(複合壁部にシール固定して、駆動力伝達ロッドの複合壁部裏面側に突出された部分を覆うカバー部材)についても同様である。
なお、本明細書において、真空室の外壁の一部として用いられるベアリングユニットの複合壁部の裏面側に設けられるカバー部材、ベローズ(第5の発明に係る突出部収納ベローズ、第7の発明に係る裏面側ベローズ)、突出部カバー部材について、裏面側耐圧カバー部材と称して説明する場合がある。
【0022】
真空室内にて使用するベアリングユニットにおいて、裏面側耐圧カバー部材であるカバー部材やベローズの設置スペースの確保が容易であるため、複合壁部の裏面側に押さえ用駆動装置が配置されている押さえ用駆動装置や駆動力出力部材と駆動力伝達ロッドとの接触部を裏面側耐圧カバー部材によって覆うことで、押さえ用駆動装置や駆動力出力部材と駆動力伝達ロッドとの接触部から発生したパーティクルの複合壁部裏面側での飛散防止を実現することは容易である。
【0023】
既述の特許文献2の図1(a)、(b)記載のように主球とその制動用の蓋部材との接触によってパーティクルが生じる構成や、特許文献2の図2(a)、(b)記載のように昇降する加圧部材と該加圧部材の昇降を案内する脚状部との接触によってパーティクルが生じる構成では、その構造上、パーティクルの発生場所をベローズ等を用いて覆ってパーティクルの飛散を防ぐ対策を採ることが容易でない。特許文献2の図1(a)、(b)記載の移送用球体支持装置の主球とその制動用の蓋部材との接触部分を容器状の構造体やベローズを用いて覆うことは不可能に近い。特許文献2の図2(a)、(b)記載の移送用球体支持装置の加圧部材と該加圧部材の昇降を案内する脚状部との接触部分は、例えば脚状部を収納して覆うベローズを加圧部材の上下に設けるといった対策によってパーティクルの飛散を防止することが考えられるが、例えば主球外径が10mm以下の場合にはベローズを用いて脚状部を収納することが困難であるか、特殊で高価な小型のベローズを用いる必要がある。
これに対して、本発明に係るベアリングユニットは、複合壁部の裏面側に押さえ用駆動装置が配置されている構成であるため、裏面側耐圧カバー部材によって押さえ用駆動装置や駆動力出力部材と駆動力伝達ロッドとの接触部を覆うこと等により、パーティクルの飛散抑制を容易に実現できる。
【0024】
第8、9の発明のベアリングユニットのフリーボールベアリング、第18、25の発明のフリーボールベアリングは、その内側空間に確保した環状空間部にベローズ(内部ベローズ)を収納した構成であり、特許文献2の図2(a)、(b)記載の移送用球体支持装置のに脚状部を収納して覆うベローズを加圧部材の上下に設ける場合に比べてベローズの設置スペースの確保が容易であり、サイズが大きいベローズの使用が可能となる。したがって、パーティクルの飛散抑制、飛散防止を容易に実現できる。
【0025】
なお、前記ベアリングユニットのフリーボールベアリング、第18の発明のフリーボールベアリングの環状空間部に設けるベローズ(内部ベローズ)は、駆動力伝達ロッドをその周囲を取り囲むようにして覆う管状体をなすものの他、例えば、内ベローズと外ベローズとからなる二重管(二重ベローズ)であり、フリーボールベアリングの球受け部の周囲を囲繞するように環状空間部に設けて内ベローズと外ベローズとの間に駆動力伝達ロッドを収納して覆う構成のものも採用可能である。
二重ベローズは、第25の発明のフリーボールベアリングに適用することで、押さえ用駆動装置の収納を容易に実現できる。また、押さえ用駆動装置とともに、押さえ用駆動装置の駆動力を伝達する部材と受け球押さえリングの外周部との接触点をも収納することも容易に実現できる。
【0026】
第9の発明のベアリングユニットは、前記内部ベローズが、ベアリング取付板の取付板貫通孔から真空室内への外気の流入を防ぐ機能を果たす。このベアリングユニットでは、複合壁部の裏面側に設置されている押さえ用駆動装置のみならず、駆動力伝達ロッドの複合壁部裏面側に突出された部分をもカバー部材等によって覆う必要が無く、露出したままの状態とすることが可能になるため、メンテナンス性の向上の点で有利である。真空室のベアリング取付板裏面側の構造の簡略化、ベアリング取付板の加工(ねじ穴の加工等)箇所の削減の点でも有利である。
【0027】
また、本発明に係るベアリングユニットは、受け球押さえリングに押さえ用駆動装置からベアリング基端側への変位力が与えられていないときに復帰手段によって受け球押さえリングを配置し、複合壁部の裏面側に配置された押さえ用駆動装置が発生した駆動力を伝達することで待機位置に配置されていた受け球押さえリングを受け球押さえ位置に移動する構成であり、特許文献2の図1(a)、(b)記載の移送用球体支持装置のように流体圧を使用するものとは異なり、グリスを使用しないノングリス方式の構成を容易に実現できる。したがって、グリスから発生するアウトガスが基板処理の障害になるといった問題を回避できる。
【0028】
真空室の外壁の一部として用いられるベアリングユニットの場合、裏面側耐圧カバー部材及び/又は内部ベローズの使用によって、駆動力伝達ロッドを通したベアリング取付板の取付板貫通孔に気密シールを実現するシール部(駆動力伝達ロッドの移動や回転を許容して気密シールを実現するシール部。以下、気密シール部とも言う)を設ける必要が無くなる。このため、前記気密シール部に設けたグリスから発生するアウトガスが基板を汚染するといった問題は生じない。また、前記気密シール部がある構成に比べてベアリングユニット全体の構造の単純化に有利であり、メンテナンス性の向上の点でも好ましい。
【0029】
第19〜25の発明の、押さえ用駆動装置及び復帰手段をハウジング内側に内蔵したフリーボールベアリングは、駆動力伝達ロッドを具備していない構成であり、該フリーボールベアリングを取り付けるベアリング取付板に取付板貫通孔を確保する必要が無く、取付板貫通孔の気密シールのための気密シール部を設けることを回避できることから、ノングリス方式の構成を容易に実現できるものである。
本発明に係るフリーボールベアリング、ベアリングユニットは、いずれもノングリス方式の構成を容易に実現できるものであり、グリスを使用した場合のアウトガスの問題を解消できる。
【0030】
また、前記内部ベローズを具備するフリーボールベアリングを用い、さらに裏面側耐圧カバー部材によって駆動力伝達ロッドの裏面側突出部を覆った構成とすると、裏面側耐圧カバー部材とフリーボールベアリングの内部ベローズとの間に確保される空間内に、押さえ用駆動装置及び該押さえ用駆動装置から受け球押さえリングまでの駆動力伝達系の全体を収納できる。このため、押さえ用駆動装置及び該押さえ用駆動装置から受け球押さえリングまでの駆動力伝達系全体にて発生するパーティクルの真空室内への飛散を確実に防止できる。また、真空室内にて使用するベアリングユニットである場合に、押さえ用駆動装置から発生するアウトガスの真空室内への放散も防ぐことができるといった利点もある。
ベアリングユニットが真空室の外壁の一部として使用するものである場合は、裏面側耐圧カバー部材の外面側(外側。大気側)、フリーボールベアリング内の内側ベローズから真空室外側(大気側)に押さえ用駆動装置が配置されることで、押さえ用駆動装置から発生するアウトガスの真空室内への放散の問題を回避できることは言うまでも無い。
【0031】
本発明に係るベアリングユニット、フリーボールベアリングでは、受け球押さえリングとして、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接したときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されているものを用いることがより好ましい。
【0032】
受け球押さえリングの基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接したときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置される構成であれば、例えば受け球押さえリングのリング状天板部がハウジングの天板部に当接したときに受け球押さえリングがベアリング先端側への移動限界位置となる構成と比べて、ハウジングにおける受け球押さえリングのベアリング先端側への移動限界位置を設定する部位と受け球押さえリングとの当接位置のハウジングの主球突出用開口部からの距離を大きくできる。これによりハウジングに対する受け球押さえリングの当接によりパーティクルが生じても、このパーティクルが主球突出用開口部から真空室内に飛散しにくくなる。
【0033】
また、上述の受け球押さえリングを用いたベアリングユニットのフリーボールベアリング、第19〜25の発明のフリーボールベアリングは、受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えるための押さえ用駆動装置の駆動力が、前記駆動力伝達ロッドを介してあるいはハウジングに内蔵の押さえ用駆動装置から、受け球押さえリングの前記基端側リング部に作用するように構成されていることが好ましい。この構成は、押さえ用駆動装置の駆動力を受け球押さえリングに伝達する駆動力伝達系(駆動力伝達ロッドと受け球押さえリングとの接触点を含む)のハウジング内における設置位置をハウジングの主球突出用開口部を離隔させることに有利であり、この駆動力伝達系から生じるパーティクルの主球突出用開口部から真空室内への飛散を抑える点で有効である。また、第19〜25の発明のフリーボールベアリングのハウジング内に設置される押さえ用駆動装置)の設置位置を主球突出用開口部から離隔した位置とすることにも有利である。
【0034】
なお、押さえ用駆動装置から受け球押さえリングまでの駆動力伝達系に存在するパーティクルの発生源の削減に鑑みて、例えば、押さえ用駆動装置によってベアリング高さ方向に移動される駆動力伝達ロッドは、受け球押さえリングの外周部(例えば基端側リング部)に固定して受け球押さえリングと一体的に移動する構成とすることが好ましい。
【0035】
復帰手段としては、前記受け球押さえリング、前記駆動力伝達ロッド、前記突出部収納ベローズの可動閉塞端のいずれかを弾性付勢してベアリング先端側への変位力を与えるスプリング、前記複合壁部の裏面側に設けられて裏面側ベローズの外側から前記可動閉塞端にベアリング先端側への変位力を与える可動閉塞端移動機構、受け球押さえリングにベアリング先端側への変位力を与えるための駆動力を発生可能な押さえ用駆動装置、前記裏面側ベローズ自体の弾性及び/又は前記真空室内外の気圧差によって前記可動閉塞端にベアリング先端側への変位力を与える構成を挙げることができる。
スプリングとしては、コイルスプリングの他、板ばね等も採用可能である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、パーティクルの飛散による基板の汚染を抑制することができ、しかも、グリスを使用しないノングリス方式の構成により、グリスから発生するアウトガスがチャンバ内を汚染したり基板処理に影響を与えるといった不都合を解消することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る第1実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図2】図1のベアリングユニットの押さえ用駆動装置付近を示す拡大断面図である。
【図3】本発明に係るベアリングユニットを基板位置決め用テーブルとして適用した真空装置の一例を説明する平面図である。
【図4】図3の基板処理設備の支持テーブル(位置決め用テーブル)を説明する正面図である。
【図5】図3の基板処理設備の支持テーブル(位置決め用テーブル)を説明する平面図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図9】本発明に係る第5実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図10】本発明に係る第6実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図11】本発明に係る第7実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図12】本発明に係る第8実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図13】本発明に係る第9実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図14】本発明に係る第10実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図15】本発明に係る第11実施形態のベアリングユニットの構成を示す図であって、フリーボールベアリング付近を示す部分断面図である。
【図16】図14、図15のフリーボールベアリングに用いられる通電用リングの構成を示す部分断面図である。
【図17】本発明に係るターンテーブル(第12実施形態)示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0039】
(第1実施形態)
まず、図1等を参照して、本発明に係るベアリングユニット、フリーボールベアリング、支持テーブルの第1実施形態を説明する。
なお、図1において、このベアリングユニット100、フリーボールベアリング110、支持テーブル89について、上側を上、下側を下として説明する。また、図4についても、上側を上、下側を下として説明する。
【0040】
ここで説明するベアリングユニット100は、図3、図4、図5に示すように、ディスプレイ用マザーガラス、シリコン基板(ウェハ)などといった基板1を精密に位置決めするための基板位置決め用テーブル89(支持テーブル。以下、単に位置決め用テーブルとも言う)の台板89aにフリーボールベアリング110、押さえ用駆動装置70(図1参照)、カバー部材120を設けて組み立てたものである。
前記ベアリングユニット100は、位置決め用テーブル89の水平な台板89aの複数箇所にフリーボールベアリング110、押さえ用駆動装置70、カバー部材120を取り付けて組み立てたものである。台板89a上(図4において台板89aの上側)の複数箇所にフリーボールベアリング110が突設されている。
【0041】
前記位置決め用テーブル89は、図4に示すプロセス設備80を構成する真空装置81に設けられているロードロックチャンバ82、トランスファーチャンバ83、処理室といった真空チャンバ(真空室)内に設置されるものである。本実施形態においては、一例として、位置決め用テーブル89がロードロックチャンバ82内に設置される場合について説明する。
【0042】
前記真空装置81は、前記基板1に膜付け、レジスト塗布、露光、エッチングといった処理を行うための複数(図示例では3つ)の処理室84a、84b、84c(処理チャンバ)と、前記ロードロックチャンバ82と、トランスファーチャンバ83とを具備して構成されている。
符号85aはロードロックチャンバ82に設けられている大気ゲート、符号85bはロードロックチャンバ82とトランスファーチャンバ83との間を開閉するゲート(以下、中間ゲートとも言う)、85c、85d、85eは、第1〜3処理室84a、84b、84cとトランスファーチャンバ83との間を開閉するゲート(以下、処理チャンバゲートとも言う)である。トランスファーチャンバ83内には、基板1を移動するためのロボット86(基板移送装置。以下、真空ロボットとも言う)が設置されており、ロードロックチャンバ82内の位置決め用テーブル89と処理室84a、84b、84cとの間の基板1の移送は、この真空ロボット86によって行われる。
ロードロックチャンバ82、トランスファーチャンバ83、処理室84a、84b、84cは、本発明に係る真空室に相当する。また、真空装置81全体も本発明に係る真空室に相当する。
【0043】
プロセス設備80は、真空装置81の外に設置されているカセット87及びロボット88(基板移送装置。以下、大気ロボットとも言う)と、上述の真空装置81とを具備して構成されている。
大気ロボット88は、ここでは基板1をXYZ方向に移動可能な可動アーム88aによって搬送する構成のものであるが、これに限定されず、真空装置にて使用される周知のものを採用できる。また、真空装置81内の真空ロボット86も真空装置にて使用される周知のものを採用できる。
【0044】
大気ロボット88は、カセット87から取り出した基板1の真空装置81への搬入、及び真空装置81での処理の完了した基板81の真空装置81からの搬出を行う。
大気ロボット88による真空装置81への基板1の搬入は、真空装置81における基板1の搬入出口を開閉する大気ゲート85aを開放し(中間ゲート85bは閉じておく)、基板1をロードロックチャンバ82内の位置決め用テーブル89上に載せることで行う。
【0045】
位置決め用テーブル89の台板89a上に搬入された基板1は、台板89a上の多数箇所に突設されているフリーボールベアリング110の上部に突出している主球42(図1参照。後述)上に載置された状態で水平支持される。そして、この状態にて、図5に示すように、基板位置決め用テーブル89に設けられている位置決め装置のL字形の一対の位置決め部材89bが、矩形板状の基板1の4隅の角部のうち対角線上に位置するひと組の角部に当接して、基板1を両側から挟み込むことで基板1の位置決めがなされる。
図5中矢印Gに示すように、前記一対の位置決め部材89bは、位置決め装置に設けられている駆動装置によって移動されて互いの間隔方向の距離が可変になっており、基板1を両側から挟み込んで位置決めした後、互いに離隔するように移動されて、基板1の次の搬送動作の障害にならない位置に待避される。
なお、位置決め装置としては、上述のようなL字形の一対の位置決め部材89bの押し当てによって基板を位置決めする構成のものに限定されず、例えば、2本の平行板の間に基板を挟み込む第1位置決め装置と、この第1位置決め装置とは向きが90度異なる2本の平行板の間に基板を挟み込む第2位置決め装置とからなる構成のもの等、周知のものを採用できる。
【0046】
大気ロボット88が位置決め用テーブル89上に基板1が載置された後、大気ゲート85aを閉じてロードロックチャンバ82内を減圧するとともに、位置決め用テーブル89上での基板1の位置決めを行う。そして減圧完了後に中間ゲート85bを開放して、位置決め用テーブル89上にて位置決め完了済みの基板1を真空ロボット86によって複数の処理室84a〜84cのいずれかに搬入して処理を行う。なお、ロードロックチャンバ82内の減圧開始は、位置決め用テーブル89上における基板1の位置決め開始の前、位置決め完了後、位置決め動作中のいずれのタイミングであっても良い。中間ゲート85bはロードロックチャンバ82とトランスファーチャンバ83との間での基板1の移送時のみ開放する。
【0047】
基板1の処理は、膜付け等の処理工程に従い、処理室から取り出した基板1を別の処理室に搬入(あるいは、元の処理室に搬入する)して進行させる。基板1の処理室に対する搬入出は真空ロボット86によって行う。
なお、処理室から取り出した基板1を別の処理室に搬入(あるいは、元の処理室に搬入)する場合、処理室から取り出した基板1を、一旦、位置決め用テーブル89での位置決めを経てから、別の処理室に入れるようにする。
処理工程が完了したら、真空ロボット86が基板1を処理室から取り出してロードロックチャンバ82内の位置決め用テーブル89上に載置し(このとき中間ゲート85bは開放し、大気ゲート85aは閉じておく)、中間ゲート85bを閉じてロードロックチャンバ82内の大気圧への昇圧及び位置決め用テーブル89上での基板1の位置決めを行った後、大気ゲート85aを開放して大気ロボット88によって基板1を真空装置81外に搬出する。
【0048】
図4、図5に示すように、位置決め用テーブル89は、台板89a上の多数箇所に突設されているフリーボールベアリング110の上部に突出している回転自在の主球42(図1参照。後述)上に載置された状態で基板1を水平支持する構成であり、基板1に対する摩擦抵抗が極めて小さいことから、多数のフリーボールベアリング110の主球42上に支持した基板1の位置決め装置による位置決めを円滑に行うことができる。
【0049】
次に、ベアリングユニット100について説明する。
図1に示すように、このベアリングユニット100は、位置決め用テーブル89の台板89a(ベアリング取付板、ベアリング支持体)の複数箇所に取り付けられた前記フリーボールベアリング110と、前記台板89aを介して前記フリーボールベアリング110のハウジング30が設けられている上面89c側(表面側。図1上側)とは反対の下面89d(裏面)側に設置された押さえ用駆動装置70と、前記台板89aの裏面89dに取り付けられて、前記フリーボールベアリング110の駆動力伝達ロッド62(後述)の台板89aの裏面89d側に突出された部分(裏面側突出部62a)及び該駆動力伝達ロッド62を前記台板89aの裏面89d側への突出寸法が増大するように移動させるための前記押さえ用駆動装置70を一括して覆うカバー部材120とを具備している。
【0050】
図1に示すように、ここで説明するフリーボールベアリング110は、半球状凹面21を内面とする球受け用凹所22が形成されたブロック状(具体的には円柱状)の球受け部23及び該球受け部23の前記球受け用凹所22の開口部とは反対側(基端側)の端部から突出されたねじ軸24を有する本体20と、この本体20の前記球受け部23を取り囲むように設けられたハウジング30と、前記球受け部23の前記半球状凹面21に配された多数の受け球41と、この受け球41よりも大径に形成され前記受け球41を介して前記半球状凹面21に回転自在に支持された主球42と、前記球受け部23と前記ハウジング30との間に確保された内側空間11内に前記球受け用凹所22の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向(図1において上下方向)に移動可能に設けられた受け球押さえリング50と、前記ハウジング30の内側に組み込まれて前記受け球押さえリング50を前記ベアリング高さ方向において前記内側空間の基端側とは反対の方向に弾性付勢するスプリング61(復帰手段)とを具備し、前記ハウジング30に形成された主球突出用開口部31から前記主球42の一部を突出させているとともに前記ハウジング30によって前記主球42の飛び出しを防止して構成されている。
【0051】
なお、本明細書において、フリーボールベアリング110のハウジング30から主球42の一部が突出されている側をベアリング先端側(図1において上側。単に先端側とも言う)、該ベアリング先端側とは反対の側(図1において下側)をベアリング基端側(単に基端側とも言う)として扱う。
【0052】
前記ハウジング30の主球突出用開口部31の内径は主球42の外径よりも小さいが、この主球突出用開口部31の内径は、図1に示すように主球42が本体20の球受け部23の半球状凹面21に接触した多数の受け球41に支持され前記受け球41からの浮き上がりが無い状態において、主球突出用開口部31の内周面と主球42との間に主球42の遊動を可能にするクリアランスCが確保される大きさとなっている。
【0053】
図1において符号20aで示す仮想線は、前記本体20のねじ軸24の中心軸線である。前記本体20の前記球受け用凹所22の開口部の中央及び前記球受け用凹所22の最深部は前記中心軸線20a上に位置している。以下、前記中心軸線20aを本体軸線とも言う。
【0054】
図1において、このフリーボールベアリング110は、基板位置決め用テーブル89の台板89aにねじ軸24をねじ込んで球受け用凹所22の開口部が球受け部23の上部に位置するように本体軸線20aが台板89aに垂直(台板89aの上面89cに垂直)の向きで固定している。
但し、このフリーボールベアリング110は、球受け用凹所22の開口部が球受け部23の上側に位置し本体軸線20aが傾斜する向きで使用することも可能であり、また、ベアリング高さ方向が水平となる向きでも使用可能である。
例えば、ベアリング高さ方向が水平となる向きで使用した場合も、主球42は受け球41によって支持されて全方向に回転可能であり、後述のように受け球押さえリング50によって受け球41の押さえ込みを行わない限り、主球42の回転抵抗は小さく、主球42は軽い力で円滑に回転できる。
【0055】
図1において、本発明に係るフリーボールベアリング110の本体20、ハウジング30、受け球41及び主球42、受け球押さえリング50としては、金属製のもの、プラスチック製のもの等を採用できる。
また、基板1が主球42に接触したときに基板1に帯電している静電気によるスパークの発生を防止する点で、主球42として103〜1010Ω/□の表面抵抗率を持つように導電性(狭義の導電性)ないし半導電性樹脂で構成したものを採用し、さらに、この主球42と接するグランド用通電部を有する構成とすることが好ましい。
【0056】
例えば、上述の103〜1010Ω/□の表面抵抗率を持つ主球42を採用し、ステンレス等の導電性金属で形成した受け球41を採用し、さらに、本体20としてその全体をステンレス等の導電性金属で形成したもの、あるいはプラスチック等の絶縁材料からなる母材に受け球41と接して電気導通を確保する導電性金属製の接触部材(半球状凹面が形成された部材)と該接触部材に電気的に接続して設けられたグランド用配線部とを設けた構成のものを採用することで、受け球41と本体20とからなるグランド用通電部を有する構成のフリーボールベアリングが得られる。グランド用通電部を、フリーボールベアリングの外部のグランド用回路と接続し接地することで、基板1が主球ボール42に接したときのスパークの発生を防ぐことができる。スパークの発生は、基板1の損傷の原因になるため、上述の構成のフリーボールベアリング110を採用することで、スパークに起因する基板1の損傷を防止でき、製品歩留まりの向上等を実現できる。
受け球41、本体20は、半導電性樹脂で構成することもできる。
【0057】
また、図示例のフリーボールベアリング110は、本体20に取付部としてのねじ軸24を一体成形している。したがって、ねじ軸24は本体20と同じ導電性ないし半導電性樹脂であるが、ねじ軸を別体で構成することも可能である。その場合には、ねじ軸の部分を、導電性の金属で構成することも可能である。
【0058】
主球ボール42を形成する導電性樹脂材料としては、ベース樹脂に導電性金属フィラーを分散混入したものや、ベース樹脂に帯電防止ポリマーを添加したものなどを採用でき、このような材料によって、103〜1010Ω/□の表面抵抗率を持つようにする。ベース樹脂としては、POM(ポリアセタール)、PAI(ポリアミドイミド)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、メラミン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂(アラミド樹脂)等を採用できる。また、LCP(液晶ポリマー)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、その他の樹脂も用いることができる。真空装置内の環境に対する特性安定性等の点で、ベスペル(芳香族ポリアミド樹脂であるデュポン社の登録商標)やPBIが好適である。
本体20やハウジング30、受け球押さえリング50についても同様の導電性樹脂材料によって形成したものを採用可能である。
【0059】
なお、導電性樹脂とは、絶縁性樹脂と対比した広義の意味であり、いわゆる半導電性樹脂と狭義の導電性樹脂とを含む。
一般に体積抵抗率が1013Ωcm程度以下の合成樹脂は、絶縁性樹脂と対比させた広義には導電性樹脂ということができる。その中で体積抵抗率が105〜1013Ωcm程度のものは半導電性樹脂ということができ、さらに、体積抵抗率が105〜1010Ωcm程度のものは、静電気障害を制御するのに適した半導電性樹脂として制電性樹脂とも呼ばれる。この意味で、本発明のフリーボールベアリングにおいて主球等を構成する導電性樹脂(導電性樹脂成形品)は、導電性ないし制電性樹脂ということもできる。
また、本発明に係るフリーボールベアリングの本体20、ハウジング30、受け球41及び主球42、受け球押さえリング50としては、導電性、半導電性を有していない材質(例えば、金属、プラスチック等)によって形成されたものを採用することも可能である。
【0060】
図1に示すように、本体20のねじ軸24は、ブロック状(具体的には円柱状)の球受け部23の基端側の端面(底面23a)から突出されている。
換言すれば、前記本体20は、ねじ軸24の片端に、該ねじ軸24よりも太い外観円柱状の球受け部23を突設した構成になっている。
【0061】
図示例のフリーボールベアリング110において、前記ハウジング30は、具体的には、前記本体20の前記ねじ軸24に螺着されたリング状の基端側ハウジング部材32の外周部に、前記主球突出用開口部31が形成されているリング状のキャップ33を嵌合して一体化して構成されたものである。
【0062】
前記基端側ハウジング部材32は、リング状の底板32aの外周に該底板32aの片面側に突出する周壁部32bが周設された構成になっている。そして、この基端側ハウジング部材32は、前記底板32aの中央部を貫通する雌ねじ穴32cによって前記ねじ軸24の外側に螺着して取り付けられて、その周壁部32bが本体20の球受け部23の周囲を取り囲むように配置されている。また、図1において、基端側ハウジング部材32は、その底板32aが、球受け部23の底面23aに当接されている。
【0063】
一方、キャップ33は、前記主球突出用開口部31が形成されているリング状の蓋板部33aの外周に該蓋板部33aの片面側に突出する側壁部33bが周設された構成であり、前記側壁部33bの内周側に周設された係合突起33cを、基端側ハウジング部材32の周壁部32bの外周側に周設された係合突起32dの基端側に入り込ませるようにして係合させることで前記基端側ハウジング部材32に嵌合して、蓋板部33aによって前記本体20の球受け部23の球受け用凹所22の開口部の周囲の端面(先端面23b)を覆うようにして設けられている。
前記基端側ハウジング部材32の係合突起32d及び前記キャップ33の係合突起33cは、基端側ハウジング部材32にキャップ33を嵌合(結合)させて一体化するための結合部として機能する。
【0064】
図1に示すように、受け球押さえリング50は、本体20の球受け部23に外挿するようにして前記球受け部23とハウジング30との間の内側空間11にベアリング高さ方向に沿って移動可能に収納されたリング状の部材である。
この受け球押さえリング50は、キャップ33の蓋板部33aと球受け部23の先端面23bとの間(内側空間11の先端側空間部11a)に配置されたリング状天板部51及び該リング状天板部51の外周の全周にわたってリング状天板部51の片面側にリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間11のうち球受け部23の外周面23cと該外周面23cに対面するハウジング30の内周面34との間に確保された部分である環状空間部11bに配置された円筒部52からなる本体リング53と、この本体リング53の円筒部52側の端部(円筒部52のベアリング基端側の端部)から延出されて前記環状空間部11bに配置された基端側リング部54と、前記本体リング53のリング状天板部51の内周端の全周にわたってリブ状に突設され前記本体20の前記半球状凹面21と前記主球42との間に挿入して前記受け球41を押さえ込むためのリング状の押さえ片55とを具備して構成されている。
【0065】
このフリーボールベアリング110は、前記受け球押さえリング50の外周部(具体的には基端側リング部54)に固定されて該受け球押さえリング50からベアリング基端側に延出する駆動力伝達ロッド62(以下、単にロッドとも言う)、ロッド62の前記ハウジング30の底板32からハウジング30外側に突出された部分に設けられたロッド駆動用プレート63も具備している。この実施形態において、ロッド62及びロッド駆動用プレート63は、押さえ用駆動装置70が発生する駆動力を受け球押さえリングに伝達するための駆動力伝達部材として機能する。
【0066】
前記ロッド62が取り付けられた受け球押さえリング50を、以下、駆動ロッド付き押さえリングとも言う。
図示例の駆動ロッド付き押さえリングは、受け球押さえリング50の基端側リング部54にその基端側の端面54cに開口するように形成された雌ねじ孔54dにロッド62の一端の雄ねじ部62bをねじ込むことで受け球押さえリング50にロッド62を固定して構成されている。ロッド62は、雌ねじ孔54dに対するねじ込み方向とは逆向きに回転することで基端側リング部54から離脱させることも可能である。
【0067】
但し、ロッド62としては、ロッド駆動用プレート63の抜け止めのために、該ロッド62の他端側に設けられて該ロッド62の外周にフランジ状に突出する抜け止め部62c(後述)が、ロッド62の一部を太く形成した部分である構成と、前記抜け止め部62cがロッド62における抜け止め部62c以外の部分(棒状のロッド本体)に螺着して固定されている構成とを採用できる。
後者の構成の場合、受け球押さえリング50にロッド62(ロッド本体)を固定するための手法としては、上述のねじ込みに限定されず、例えば合成樹脂製の受け球押さえリング50の樹脂成形時における金属製のロッド62の一端の基端側リング部54への埋め込み固定(インサートモールド成形)や、金属製の受け球押さえリング50の基端側リング部54に対する金属製のロッド62の溶接等も採用可能である。
【0068】
図1において、フリーボールベアリング110は、ハウジング30の前記内周面34を形成する外周壁の外周(具体的には基端側ハウジング部材32の周壁部32bの外周)に突設されたフランジ部36を台板89aの上面89cに当接させた状態で台板89aにシール固定して、ハウジング32の底板32aを、前記台板89aに前記底板32aに対応する大きさに形成された貫通孔(以下、取付板貫通孔89e)に位置合わせした状態で台板89aに取り付けられている。図中符号37は、フランジ部36を台板89aに固定するためのねじである。
【0069】
図示例のフリーボールベアリング110において、前記ハウジング32のフランジ部36は、前記底板32aを基端側ハウジング部材32の周壁部32bの外側に延長した突片になっている。
但し、この構成に限定されず、例えば前記フランジ部36が前記底板32aよりもベアリング先端側に位置しており、ハウジング30のうち前記フランジ部36からベアリング基端側に位置する部分を台板89aの取付板貫通孔89eに挿入して前記フリーボールベアリング110を台板89aに取り付ける構成等も採用可能である。
【0070】
なお、台板89aに対するハウジング32のシール固定は、前記台板89aにおける前記取付板貫通孔89eの周囲に位置する部分に固定した前記ハウジング32(本実施形態においてはフランジ部36)によって前記取付板貫通孔89eの周囲を密封して実現する。これにより、前記底板32aと台板89aとによって構成される複合壁部130の前記フリーボールベアリング110のベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側にて、ロッド駆動用プレート63とロッド62との接触(後述)によって生じるパーティクルが、前記カバー部材120の内側の空間(押さえ用駆動装置70、駆動力伝達ロッド62の裏面側突出部62aを収納する収納空間)から台板89aとハウジング32との間を通って複合壁部130の表面側に飛散することを阻止できる。
また、台板89aに対するハウジング32のシール固定はグリスを使用せず、グリスから発生するアウトガスによるチャンバ(ここではロードロックチャンバ82)内の汚染を回避する。また、必要に応じてOリング(図示略)等を用いても良いが、Oリングとしてはゴム製のものよりも金属製のものを用いることが好ましい。
【0071】
前記カバー部材120は、前記駆動力伝達ロッド62の裏面側突出部62a及び前記押さえ用駆動装置70を収納する容器状に形成されており、その口縁部を台板89aの裏面89dにシール固定(必要に応じてOリング(図示略)等を用いる)して台板89aに取り付けられている。このカバー部材120は、その口縁部を、前記台板89aにおける前記取付板貫通孔89eの周囲に位置する部分にシール固定して、押さえ用駆動装置70、駆動力伝達ロッド62の裏面側突出部62aとを覆って設けられる。押さえ用駆動装置70、駆動力伝達ロッド62の裏面側突出部62aは、カバー部材120と複合壁部130とによって取り囲まれる内側の収納空間内に収納されている。
図中符号121は、カバー部材120の口縁部外周に突設されているフランジ部を台板89aに固定するねじである。
なお、カバー部材120の台板89aに対するシール固定はグリスを使用せず、グリスから発生するアウトガスによるチャンバ(ここではロードロックチャンバ82)内の汚染を回避する。また、Oリングとしては、ゴム製のものよりも金属製のものを用いることが好ましい。
【0072】
前記ロッド62は、前記ハウジング32の底板32aに形成された底板貫通孔32eに通して、前記受け球押さえリング50に固定された一端(先端)側とは反対の他端(基端)側が、前記底板32aと台板89aとによって構成される複合壁部130の前記フリーボールベアリング110のベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に突出するように設けられている。
【0073】
底板貫通孔32eは、その内周面とロッド62外周面との間にクリアランスを確保できるように、その断面サイズ(その中心軸線方向に直交する断面の大きさ)がロッド62の断面サイズよりも若干大きい程度とし、断面サイズが大きすぎないようにすることが好ましい。底板貫通孔32eとしては、例えば、ロッド62外径よりも若干大きい内径の丸孔を採用できる。
底板貫通孔32eの断面サイズがその内周面とロッド62外周面との間にクリアランスを確保できる大きさであれば、底板貫通孔32e内面とロッド62との接触によるパーティクルの発生を抑制あるいは解消することができる。また、底板貫通孔32eの断面サイズが大きすぎないように抑えることで、複合壁部130裏面側のロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部等から発生したパーティクルのフリーボールベアリング110の内側空間11(詳細には環状空間部11b)への移動が生じにくくなり、その結果、ハウジング30の主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与するといった利点がある。
【0074】
前記押さえ用駆動装置70は前記複合壁部130の裏面側に配置されており、前記ロッド62の台板89aの前記複合壁部130裏面側に突出された部分である裏面側突出部62aに、複合壁部130の裏面側におけるロッド62の突出寸法を増大させる方向の変位力を与えることができる。
図1に例示したベアリングユニット100の押さえ用駆動装置70は、具体的には、電磁石であり、以下、この押さえ用駆動装置を電磁石とも言う。
この電磁石70は、フリーボールハウジング110のハウジング30の底板32の外周にその外面側(裏面側。ベアリング基端側。内側空間11とは反対の側)にリング状に突設されて前記取付板貫通孔89eに挿入された裏面側突部32fに固定して前記複合壁部130の裏面側に配置されている。
【0075】
この電磁石70は、ベアリングユニット100から離隔した位置に設けられた通電装置140と電気的に接続されており、この通電装置140によって通電されることで、ロッド62の裏面側突出部62aに設けられた前記ロッド駆動用プレート63に固定されている永久磁石63aとの間に磁気反発力を発生して、ロッド62に複合壁部130から裏面側への突出寸法を増大させる方向の変位力を与えるようになっている。
なお、カバー部材120内には、前記ロッド62及びロッド駆動用プレート63の移動を可能とする大きさの空間(収納空間)が確保されている。
【0076】
前記ロッド62は、受け球押さえリング50の外周部の周方向の3以上の複数箇所(具体的には4箇所。図2参照)に均等配置するようにして取り付けられ、互いに平行に設けられている。
図2に示すように、各ロッド62は、前記ロッド駆動用プレート63に形成された貫通孔であるロッド挿通孔63bに内挿されている。前記ロッド駆動用プレート63は、駆動ロッド付き押さえリングの複数本のロッド62によって案内されて、各ロッド62の基端(図1において下端)に該ロッド62の外周に張り出すように突設された抜け止め部62cと前記電磁石70との間にてベアリング高さ方向に移動可能となっている。
【0077】
そして、このベアリングユニット100にあっては、前記電磁石70が通電されると、前記磁気反発力によって前記ロッド駆動用プレート63が各ロッド62cの抜け止め部62cを押圧することによりロッド62に複合壁部130から裏面側への突出寸法を増大させる方向の変位力が与えられる。
前記ロッド駆動用プレート63に前記永久磁石63aを取り付けてなる磁石付き駆動用プレートは、電磁石70を介して複合壁部130とは反対の側に配置されており、電磁石70への通電によって磁気反発力が作用すると複合壁部130からの距離が増大する方向の変位力が与えられ、これによりロッド62に複合壁部130から裏面側への突出寸法を増大させる方向の変位力を与えることとなる。この変位力は、複数本のロッド62cに、ひとつのロッド駆動用プレート63から与えることができる。これにより、受け球押さえリング50にベアリング基端側への変位力を作用させることができ、前記受け球押さえリング50をその押さえ片55によって受け球41を押さえ込む受け球押さえ位置(図1中、仮想線で示す受け球押さえリング50の位置)に配置でき、受け球41の押さえ込みを実現できる。
【0078】
押さえ用駆動装置70によって受け球押さえリング50に前記ベアリング基端側への変位力を作用させていないとき(電磁石70に通電していないとき)には、図1実線に示すように、フリーボールベアリング110の受け球押さえリング50はスプリング61の弾性によって、押さえ片55が球受け部23の受け球41を受け球押さえ位置からキャップ33の蓋板部33aの側(内側空間11の開放端側)に離隔した位置(待機位置。図1(a)に示す位置)に配置されている。
【0079】
図示例のフリーボールベアリング110にあっては、受け球押さえリング50の本体リング53と該本体リング53に対してその外周側に若干ずれて位置する基端側リング部54との間の段差部分に形成された当接面56(基端側リング部54の本体リング側の端面)が、キャップ33の側壁部33bの内周側に張り出されている突壁部35に、スプリング61の弾性によって内側空間11の基端側から当接された位置が、受け球押さえリング50の待機位置となっている。
【0080】
受け球押さえリング50が待機位置にあるとき、そのリング状天板部51はキャップ33の蓋板部33aに当接せず、キャップ33の蓋板部33aとリング状天板部51との間に僅かな隙間が確保される。この構成であれば、受け球押さえリング50が受け球押さえ位置からスプリング61の弾性によって待機位置に復帰したときに、キャップ33の蓋板部33aとリング状天板部51との接触によるパーティクルの発生が無いため、フリーボールベアリングにおけるパーティクルの発生抑制、フリーボールベアリングにて発生したパーティクルの真空室(ここではロードロックチャンバ)内への飛散量の抑制に有効に寄与する。
【0081】
受け球押さえリング50の前記基端側リング部54の内径は、前記基端側リング部54の内周面54aと球受け部23の外周面23cとの間に僅かなクリアランスを確保できるように、球受け部23の外径(円筒面状の外周面23cの直径)よりも若干大きく設定されている。また、前記基端側リング部54の外径は、前記基端側リング部54の外周面54bとハウジング30の内周面34との間には僅かなクリアランスを確保できるように、ハウジング30の外周壁の内径(具体的にはキャップ33の側壁部33bの突壁部35以外の部分の内径。なお、ハウジング30の内周面34は突壁部35が形成されている箇所を含まない)よりも若干小さく設定されている。
【0082】
基端側リング部54内径と球受け部23外径との差、基端側リング部54外径とハウジング30の外周壁内径との差は同じであっても良いが、この実施形態では、基端側リング部54内径と球受け部23外径との差よりも、基端側リング部54外径とハウジング30の外周壁内径との差の方が大きくしてあり、前記基端側リング部54の内周面54aと球受け部23の外周面23cとの間のクリアランスの範囲で受け球押さえリング50の揺動が生じても、前記基端側リング部54がハウジング30の内周面34に接触しないようになっている。
この構成であれば、受け球押さえリング50がベアリング高さ方向に移動する際に、前記基端側リング部54の球受け部23に対する接触を少なく抑えることができる。このため、例えば基端側リング部54の内周面54aが球受け部23の外周面23cに面接触して摺動する構成に比べてパーティクルの発生抑制の点で有利である。
なお、本発明においては、基端側リング部54内径と球受け部23外径との差に比べて、基端側リング部54外径とハウジング30の外周壁内径との差の方を小さくした構成も採用可能である。
【0083】
また、本発明において、基端側リング部54内径と球受け部23外径との差(内外径差)、及び基端側リング部54外径とハウジング30の外周壁内径との差(内外径差)の少なくとも一方は、受け球押さえリング50に球受け部23に対してベアリング高さ方向に垂直の方向に若干の遊動(微動)を許容し、受け球押さえリング50が大きく傾動しない範囲で設定する。このように前記内外径差を小さく抑えることで、複合壁部130裏面側のロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部等から発生したパーティクルの、フリーボールベアリング110内の環状空間部11bから先端側空間部11aへの移動が生じにくくなり、ハウジング30の主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与するといった利点がある。
【0084】
基端側リング部54と球受け部23の外周面23cとの間、基端側リング部54とハウジング30の内周面34との間には、受け球押さえリング50の移動抵抗を低減する潤滑用のグリスは設けない。これは、グリスから放出されるアウトガスによるチャンバ内の汚染を回避するためである。
【0085】
押さえ用駆動装置70による前記ベアリング基端側への変位力をフリーボールベアリング110の受け球押さえリング50に作用させておらず、受け球押さえリング50が図1に示す待機位置にある状態で、押さえ用駆動装置70からロッド62を介して前記ベアリング基端側への変位力を受け球押さえリング50に作用させると、図1仮想線に示すように、受け球押さえリング50が前記待機位置から前記受け球押さえ位置へ移動され、該受け球押さえリング50の押さえ片55が球受け部23の受け球41を押さえ込む。この結果、球受け部23における受け球41の回転が抑制されて、内側空間11の基端側への変位力が与えられていないときに比べて、主球42の回転抵抗が増大する。
【0086】
図1に示すように、前記受け球押さえリング50の押さえ片55の外径は球受け用凹所22の開口部の内径よりも若干小さく、受け球押さえリング50が受け球押さえ位置にあるとき、押さえ片55は球受け用凹所22の半球状凹面21に接触しないようになっている。また、受け球押さえリング50が受け球押さえ位置にあるとき、押さえ片55は主球42にも接触しない。また、このとき、受け球押さえリング50のリング状天板部51は球受け部23(詳細にはその先端面23b)に接触しない。
受け球押さえリング50は、前記基端側リング部54の内周面54aと球受け部23の外周面23cとの間のクリアランスの範囲で揺動可能であるが、このクリアランスの大きさ、すなわち基端側リング部54内径と球受け部23外径との差は、受け球押さえリング50が受け球押さえ位置にあるときに押さえ片55が球受け用凹所22の半球状凹面21に接触せず、主球42にも接触しないように設定されている。
この構成であれば、押さえ片55と球受け部23との接触、押さえ片55と主球42との接触、リング状天板部51と球受け部23との接触が生じず、パーティクルが発生しないことから、主球突出用開口部31からハウジング30外側へのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与する。
【0087】
また、受け球押さえリング50の基端側リング部54内径と球受け部23外径との差は、受け球押さえリング50が待機位置にあるときにも、押さえ片55と球受け部23との接触や押さえ片55と主球42との接触が生じないように設定されている。
【0088】
前記押さえ片55は、球受け部23の球受け用凹所22の開口部側から前記半球状凹面21と前記主球42との間に挿入されて、前記受け球41を押さえ込む。したがって、この押さえ片55が受け球41を押さえ込む位置(受け球押さえ位置)は、球受け用凹所22の開口部から該球受け用凹所22の底部側の位置である上、球受け用凹所22の開口部付近の内面と前記主球42との間を押さえ片55がほぼ塞いだ状態になっているため、この受け球押さえ位置にて押さえ片55と受け球41との接触によって生じたパーティクルの球受け用凹所22からの飛散は生じにくい。
また、本発明では、受け球押さえリング50が待機位置にあるとき、押さえ片55が前記球受け用凹所22からの受け球41の飛び出しを防止可能な位置に配置される。このため、受け球押さえリング50が待機位置にあるときにも、球受け用凹所22の開口部付近の内面と前記主球42との間を押さえ片55がほぼ塞いだ状態が維持されることとなり、押さえ片55が球受け用凹所22からのパーティクルの飛散を抑える機能を果たす。
【0089】
図4に示すように、位置決め用テーブル89は、台板89aにフリーボールベアリング110と押さえ用駆動装置70とカバー部材120とを設けて組み立てたベアリング組立体部150を前記台板89aの複数箇所(多数箇所)に有する構成のベアリングユニット100を、台板89aを支持する脚部材89f上に設けた構造になっている。
そして、この位置決め用テーブル89は、前記ベアリングユニット100上に載置される基板1を各ベアリング組立体部150のフリーボールベアリング110のベアリング先端側(上端側)に突出されている主球42上に支持した状態で位置決め装置によって位置決めする。
なお、前記ベアリング組立体部150は、これ自体も本発明に係るベアリングユニットとして機能し得る。
また、ベアリングユニット100は、これ自体も、本発明に係る支持テーブルとして機能し得る。
【0090】
図4に例示した位置決め用テーブル89にあっては、ベアリングユニット100の各ベアリング組立体部150の押さえ用駆動装置70(押さえ用駆動装置70は図1を参照)がひとつの通電装置140に電気的に接続されており、ひとつの通電装置140によって全てのベアリング組立体部150の同期駆動が可能である。すなわち、押さえ用駆動装置70への通電による受け球押さえリング50(図1参照)の待機位置から受け球押さえ位置への移動、及び押さえ用駆動装置70への通電によって受け球押さえリング50を受け球押さえ位置に配置した状態における押さえ用駆動装置70への通電停止による受け球押さえリング50の待機位置への復帰(スプリング61の弾性による復帰)、をひとつの通電装置140によって同時に同期して行える。
【0091】
図1に示すように、図示例のベアリングユニット100(ベアリング組立体部150)にあっては、カバー部材120の外面に、電磁石70への給電用の外部電気回路141(カバー部材120の外側の電気回路)を接続するための給電用接続端子71を設け、前記給電用接続端子71を前記カバー部材120内に設けた導電回路72を介して前記電磁石70と電気的に接続した構成を採用している。なお、図1中符号142は、外部電気回路141を給電用接続端子71に接離可能に接続するために外部電気回路141端末に設けたコネクタである。
この構成であれば、例えばカバー部材120の内外に貫通させた給電線を介して真空室外側に設置された通電装置140を電磁石70に接続する構成に比べて、カバー部材120のシール性の確保が容易であり、カバー部材120の内側にて発生したパーティクルの複合壁部130裏面側での飛散防止の点で好適である。
【0092】
なお、外部電気回路141としては、真空室内でのアウトガスの発生を抑えるために、金属裸線や、導電性金属からなる棒状、板状等の金属部材(例えば基板位置決め用テーブル89の構成部材)等を利用することが好ましい。また、コネクタ142としても、例えばセラミックス製のハウジングを用いた構成のものや、アウトガスの発生が少ないプラスチック製ハウジングを用いた構成のもの等を使用することが好適である。また、金属裸線や導電性金属製の部材等を利用して構成した外部電気回路141を、コネクタ142を使用せずにカバー部材120の給電用接続端子71に半田付け等によって直接、電気的に接続した構成も採用可能である。
カバー部材120内の導電回路72としても、例えば金属裸線や、導電性金属からなる棒状、板状等の金属部材等を用いることが、アウトガスの発生抑制(あるいは削減)の点で好ましい。
【0093】
図4、図5に示すように、基板位置決め用テーブル89にあっては、各フリーボールベアリング110の受け球押さえリング50が待機位置にある状態にて、台板89a上に基板1が搬入される。そして、位置決め装置のL字形の一対の位置決め部材89bによる基板1の位置決め動作(一対の位置決め部材89bによって基板1を挟み込む)の後に、各フリーボールベアリング110に対応して設けられている押さえ用駆動装置70を駆動(電磁石70への通電)して受け球押さえリング50によって受け球41を押さえ込んで受け球41及び主球42の回転を抑制した状態としてから、位置決め装置の一対の位置決め部材89bによる基板1の挟み込みを解除する。
真空ロボット86(図3参照)あるいは大気ロボット88による位置決め用テーブル89上からの基板1の搬出は、一対の位置決め部材89bによる基板1の挟み込みを解除した後に行う。
【0094】
基板1(特にサイズが大きい基板。例えば第7世代サイズ(1870×2200mm)あるいはそれよりも大型のFPD用ガラス基板)は、台板89a上に載置したときに微小な撓みが存在しているときがあり、複数の位置決め部材89bによって挟み込んで位置決めしたときにも前記撓みが解消されないことが多々ある。そして、このような撓みが残った状態にて、位置決め部材同士の間を離隔して基板1の挟み込みを解除すると、前記撓みの影響で若干の位置ずれが生じることがある。基板位置決め用テーブル89上での基板1の位置ずれが大きく、真空ロボット86(図3参照)等の真空装置81内の基板搬送装置(処理室内搬送装置)によって処理室内に搬入した後にも解消されないと、処理室内にて行う処理プロセスにも影響を与えるため、基板位置決め用テーブル89上での基板1の位置ずれを縮小あるいは解消することは、基板1の加工等の処理精度の確保の点でも好ましい。
【0095】
従来、基板位置決め用テーブルに用いられるフリーボールベアリングとしては主球の回転抵抗が出来るだけ小さいものが求められていた。しかしながら、このように主球の回転抵抗が非常に小さいと、基板を挟み込んで位置決めした位置決め部材同士の間を離隔して基板1の挟み込みを解除したときに、基板1の撓みに起因する位置ずれが大きくなる傾向があることが判明した。
【0096】
本発明者は、既述のように、受け球押さえリング50によって受け球41を押さえ込んで受け球41及び主球42の回転を抑制した状態としてから、位置決め装置の一対の位置決め部材89bによる基板1の挟み込みを解除することで、位置決め部材による基板1の挟み込みを解除した後の基板1の位置ずれを抑制あるいは解消できることを見出した。
また、受け球押さえリング50によって受け球41を押さえ込むことによる受け球41及び主球42の回転抑制は、位置決め部材による基板1の挟み込みを解除した後に主球42が回転しないように固定するよりも、基板1の微動に対する主球42の追従回転を許容し、主球42の回転抵抗によって基板1の変位を抑えるようにすることが、基板1の撓み解消や、撓み等による基板のストレス(応力)緩和に有利であり、また、位置決め部材による挟み込み解除後の基板1全体の位置ずれ抑制効果も充分に得られる点で好ましいことが判明した。
【0097】
このため、受け球押さえリング50による受け球41の押さえ込みは、受け球41が回転しないように受け球41を固定するものである必要はなく、受け球41の回転を抑制し、その結果、主球42の回転も抑制できるものであれば良い。
したがって、受け球41の押さえ込みに要する受け球押さえリング50に作用させる押圧力(換言すればベアリング基端側への変位力)は、主球42を回転しないように固定できる強い力である必要はない。
【0098】
フリーボールベアリング110の受け球押さえリング50による受け球41の回転抑制時(押さえ込み時)には解放時(受け球押さえリング50を待機位置に配置したとき)に比べて格段に高い摩擦係数が得られるため、抑制時に主球を回転しないように固定する使用方法も可能であることは言うまでも無い。
【0099】
このベアリングユニット100によれば、特許文献2の図2(a)、(b)記載のフリーボールベアリング(移送用球体支持装置)のように蓋部材(特許文献2において符号5a)と凹球面部材との間にて昇降する加圧部材と該加圧部材の昇降を案内する脚状部との接触によって生じたパーティクルの飛散が生じやすい構成とは異なり、パーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)を容易に実現できる、といった効果が得られる。
【0100】
受け球押さえリング50をベアリング高さ方向に移動するための駆動装置(押さえ用駆動装置)、及びこの押さえ用駆動装置の駆動力を受け球押さえリング50に取り付けられているロッド62に伝達するための部材であるロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部は複合壁部130の裏面側に配置されカバー部材120によって覆われているため、押さえ用駆動装置やロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部からパーティクルが発生してもこのパーティクルが複合壁部130の裏面側にて飛散することはない。しかも、押さえ用駆動装置やロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部はハウジング30の主球突出用開口部31から離隔した位置にあることから、押さえ用駆動装置やロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部にて生じたパーティクルはハウジング30の主球突出用開口部31に到達しにくく、主球突出用開口部31からの飛散が生じにくい。したがって、主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与する。
【0101】
また、このベアリングユニット100では、既述のように、受け球押さえリング50のリング状天板部51とキャップ33の蓋板部33aとの接触、押さえ片55と球受け部23との接触、押さえ片55と主球42との接触、リング状天板部51と球受け部23との接触が生じないことも、フリーボールベアリング110のハウジング30の主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与する。
【0102】
押さえ用駆動装置としては、通電により受け球押さえリング50にベアリング基端側への変位力を与えるための駆動力を発生するものであれば良く、この点、電磁石に限定されず、例えば電動モータ等を採用することも可能である。
また、押さえ用駆動装置としては、例えば、図6に示すように、一部又は全体が磁性体とされたロッド駆動用プレート63(あるいは磁性体を取り付けたロッド駆動用プレート63)を、該ロッド駆動用プレート63を介して複合壁部130とは反対の側から磁気吸引する電磁石73であっても良い(第2実施形態)。
【0103】
以下、第1実施形態以外の実施形態について説明している。
なお、図6〜図17においては、上側を上、下側を下として説明する。
【0104】
(第2実施形態)
図6に示すように、この実施形態のベアリングユニット200は、既述の通り、押さえ用駆動装置として、一部又は全体が磁性体とされたロッド駆動用プレート63(あるいは磁性体を取り付けたロッド駆動用プレート63)を、該ロッド駆動用プレート63を介して複合壁部130とは反対の側から磁気吸引する電磁石73を用いるものである。
図6に示す電磁石73は、フリーボールベアリング110の本体20のねじ軸24に螺着した電磁石支持部材74に固定して、ロッド駆動用プレート63を介して複合壁部130とは反対の側に設置されており、通電装置140からの通電によってロッド駆動用プレート63を磁気吸引することで、ロッド62に複合壁部130から裏面側への突出寸法を増大させる方向の変位力を与え、待機位置にある受け球押さえリング50を受け球押さえ位置に移動させることができる。
【0105】
この実施形態においては、ロッド駆動用プレート63に、磁気反発力を発生するための永久磁石63aを設ける必要は無く、図6では前記永久磁石63aの設置を省略したロッド駆動用プレート63を用いた構成を例示している。
この実施形態のベアリングユニット200、ベアリング組立体部250の構成は、電磁石73の位置、電磁石支持部材74の使用、永久磁石63aの設置を省略したロッド駆動用プレート63の使用が第1実施形態と異なり、他の構成は第1実施形態と同様になっている。
【0106】
なお、電磁石73をロッド駆動用プレート63を介して複合壁部130とは反対の側に支持するための支持部材(電磁石支持部材)としては、上述のフリーボールベアリング110の本体20のねじ軸24に螺着した電磁石支持部材74に限定されず、例えば、フリーボールベアリング110のハウジング30あるいは台板89aに突設した部材や、カバー部材120に突設した部材、カバー部材120自体なども採用可能である。
【0107】
また、上述の第1、第2実施形態では、フリーボールベアリング110に押さえ用駆動装置(電磁石)を取り付けた駆動装置付きベアリングを台板89aに取り付けるだけで、フリーボールベアリング110及び押さえ用駆動装置(電磁石)の台板89aに対する取り付けを簡単に行えるといった利点もある。
【0108】
(第3実施形態)
次に、図7を参照して、本発明に係る第3実施形態を説明する。
図7に示すように、この実施形態のベアリングユニット300は、押さえ用駆動装置として電動モータ370(回転駆動装置)を採用したものであり、位置決め用テーブル89の台板89aの複数箇所に、台板89aにフリーボールベアリング310、前記電動モータ370、カバー部材120を設けてなるベアリング組立体部350を有する構成になっている。
【0109】
前記フリーボールベアリング310は、既述の第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110の受け球押さえリング50、ハウジング30、駆動力伝達ロッド62にかえて、前記受け球押さえリング50の基端側リング部54の外周面54bに前記電動モータ370に取り付けられる駆動力伝達軸371(駆動力伝達ロッド)の先端に固定されたウォーム372(駆動力伝達ギア)と噛み合わされるギア係合歯54eを形成してなる係合歯付きリング部354(基端側リング部)を有する構成の受け球押さえリング50A、前記駆動出力軸371を通すための底板貫通孔332eが形成されているハウジング330、このハウジング330内に設けられた前記ウォーム372と固定された前記駆動力伝達軸371を用い、スプリング61を設けていない点が、既述の第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110と異なり、他の構成は第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110と同様になっているものである。
【0110】
前記駆動力伝達軸371は電動モータ370の駆動軸への差し込み等によって前記駆動軸に一体回転可能に取り付けられており、電動モータ370によって回転駆動される。前記ウォーム372は駆動軸伝達軸371に固定されており、前記駆動力伝達軸371が電動モータ370によって回転されることで、駆動力伝達軸371と同軸に駆動力伝達軸371と一体回転する。
【0111】
なお、図7に例示した受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354は、図1に例示した受け球押さえリング50の基端側リング部54に比べてベアリング高さ方向の寸法を短くしてあるが、この係合歯付きリング部354のベアリング高さ方向の寸法は適宜設定可能であり、第1実施形態の受け球押さえリング50の基端側リング部54と同様の寸法することも可能であることは言うまでも無い。
【0112】
前記ハウジング330は、具体的には、前記本体20の前記ねじ軸24に螺着されたリング状の基端側ハウジング部材332の外周部に、前記主球突出用開口部31が形成されているリング状のキャップ333を嵌合して一体化して構成されたものであり、本体20の球受け部23を収納するようにして設けられている。
このハウジング330は、底板貫通孔332eが形成された基端側ハウジング部材332を用い、本体20の球受け部23の外周面23cと該外周面23cに対面する該ハウジング330の内周面334(具体的には基端側ハウジング部材332の周壁部32b)との間に前記ウォーム372を収納できる環状空間部311bを確保可能なサイズに形成されている点が、第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110のハウジング30と異なっており、他の構成は、第1実施形態のフリーボールベアリング110のハウジング30と同様になっている。図7中、第1実施形態のフリーボールベアリング110のハウジング30と同様の構成部分には共通の符号を付している。
【0113】
前記基端側ハウジング部材332は、リング状の底板332aの外周にキャップ333と係合するための係合突起33cが周設された、全体としてプレート状の部材に構成されている。そして、この基端側ハウジング部材332は、前記底板332aの中央部を貫通する雌ねじ穴32cによって前記ねじ軸24の外側に螺着して、ベアリング高さ方向に垂直(本体20の中心軸線20aに垂直)に取り付けられている。また、図1において、基端側ハウジング部材332の底板332aは、球受け部23の底面23aに当接されている。
【0114】
一方、キャップ333は、前記主球突出用開口部31が形成されているリング状の蓋板部33aの外周に該蓋板部33aの片面側に突出する側壁部33bが周設された構成であり、前記側壁部33bの内周側に周設された係合突起33cを、基端側ハウジング部材332の外周部に周設された係合突起32dの基端側に入り込ませるようにして係合させることで前記基端側ハウジング部材332に嵌合して、蓋板部33aによって前記本体20の球受け部23の球受け用凹所22の開口部の周囲の端面(先端面23b)を覆うようにして設けられている。
【0115】
キャップ333の蓋板部33aと前記球受け部23との間に先端側空間部11aが確保されていることは、既述の第1実施形態と同様である。
ハウジング330と球受け部23との間には、前記先端側空間部11aと該先端側空間部11aの外周部に連通する前記環状空間部311bとからなる内側空間311が確保されている。
なお、前記環状空間部311bのベアリング先端側(図7において上側)は、キャップ33の側壁部33bの内周側に張り出されている突壁部35によって該突壁部35よりもベアリング基端側(図7において下側)に比べて狭くなっている。
【0116】
前記フリーボールベアリング310は、本体20のねじ軸24を台板89aに形成した貫通孔であるベアリング本体挿通孔89iに挿入しており、該ねじ軸24の台板89a裏面側に突出させた部分に螺着したナット89jの締め付けによって、ハウジング330の底板332aを台板89aに当接させて台板89aに固定して取り付けている。なお、図7中符号89kはワッシャである。
また、底板332aにひとつだけ形成した底板貫通孔332eを、台板89aに形成した貫通孔89h(取付板貫通孔。以下、軸挿通孔とも言う)に位置合わせして連通させている。
前記軸挿通孔89hは底板貫通孔332eと略同等の内径に形成されている。
【0117】
なお、図7において、台板89aの前記雌ねじ孔89gは、台板89aを貫通する貫通孔になっているが、この雌ねじ孔89aは台板89aを貫通しない非貫通孔になっていても良い。
【0118】
前記電動モータ370は台板89aの裏面側(図7において下面。フリーボールベアリング310のハウジング330の底板332aと該底板332aが重ね合わされた台板89aとからなる複合壁部351の裏面側)に配置され、台板89aに固定して設けられている。
また、このベアリングユニット300、ベアリング組立体部350にあっては、フリーボールベアリング310の前記駆動力伝達軸371の、ハウジング330の底板332aの底板貫通孔332eからハウジング330の外側(ベアリング基端側)に突出された部分を台板89aの軸挿通孔89hに貫通させて、そのウォーム372が固定されている先端部とは反対の基端部を台板89aの裏面側の前記電動モータ370の出力軸に取り付けてある。前記ウォーム372はフリーボールベアリング310の環状空間部311b内に配置され、受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354のギア係合歯54eに噛み合わされている。そして、電動モータ370によって駆動力伝達軸371を回転駆動させることで受け球押さえリング50Aをベアリング高さ方向に移動できるように構成されている。つまり、受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354がウォームホイールとして機能して、ウォーム372が固定されている駆動力伝達軸371の回転駆動により、受け球押さえリング50Aがベアリング高さ方向に移動される。
【0119】
前記電動モータ370は、複合壁部351の裏面に取り付けたカバー部材120によって覆われている。この電動モータ370には、カバー部材120に設けられている給電用接続端子71、カバー部材120内の導電回路72を介して、ベアリングユニット300から離隔して配置されている通電装置140が電気的に接続されており、前記電動モータ370は前記通電装置140からの給電により前記駆動力伝達軸371を回転駆動する。
前記通電装置140は前記電動モータ370の駆動を制御する制御装置としても機能する。電動モータ370は、前記通電装置140の制御により、駆動力伝達軸371の回転方向の正逆を切り換え可能である。これにより、このベアリングユニット300、ベアリング組立体部350にあっては、受け球押さえリング50Aの待機位置から受け球押さえ位置への移動、及び受け球押さえ位置から待機位置への移動が可能である。
【0120】
この実施形態において、押さえ用駆動装置(電動モータ370)は複合壁部351の裏面側に配置され、ハウジング330の主球突出用開口部31から離隔されているため、押さえ用駆動装置から発生したパーティクルがハウジング330の主球突出用開口部31に到達しにくく、主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与する。
また、前記ウォーム372は、受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354とハウジング330の内周面334(環状空間部311bを介して球受け部23の外周面に対面するハウジング内面)との間に配置されており、ウォーム372と受け球押さえリング50Aのギア係合歯54eとの接触点は、ハウジング330の主球突出用開口部31から離隔されている。このため、ウォーム372と受け球押さえリング50Aのギア係合歯54eとの接触点からパーティクルが発生したとしても、このパーティクルが主球突出用開口部31に到達しにくく、主球突出用開口部31からのパーティクルの飛散抑制(飛散量の削減)に有効に寄与する。
なお、受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354と球受け部23の外周面との間の距離は第1実施形態と同様に小さく抑えることが好ましい。
このことは、本発明に係る他の実施形態でも同様である。
【0121】
また、図示例では、受け球押さえリング50Aのギア係合歯54eに噛み合わせたウォーム372の回転駆動によって受け球押さえリング50Aをベアリング高さ方向に移動する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば受け球押さえリング50の基端側リング部の外周面に形成したラックに噛み合わせたピニオンギアを電動モータによって回転駆動する構成とすることも可能である。
【0122】
(第4実施形態)
次に、図8を参照して本発明に係る第4実施形態を説明する。
この実施形態では、押さえ用駆動装置を内蔵したフリーボールベアリングを用いる。
図8に例示したベアリングユニット400は、押さえ用駆動装置として電動モータ470を内蔵したフリーボールベアリング410を台板89aに取り付けた構成になっている。
【0123】
前記フリーボールベアリング410は、既述の第3実施形態のフリーボールベアリング310のハウジング330の基端側ハウジング部材332に底板貫通孔332eの形成を省略した構成の基端側ハウジング部材432、すなわち、底板貫通孔が形成されていないリング状の底板432a(雌ねじ穴32cは形成されている)の外周に係合突起32dが突設されている構成の基端側ハウジング部材432に、既述の第3実施形態のフリーボールベアリング310のハウジング330のキャップ333と同様の構成のキャップ433を嵌合して一体化した構成のプラスチック製のハウジング430を用いている。
【0124】
また、このフリーボールベアリング410は、受け球41及び主球42を回転自在に支持する本体として、プラスチック等の絶縁材料(電気絶縁性材料)からなる母材425に、ステンレス等の導電性金属からなり球受け部23の先端部(ベアリング先端側の部分。ねじ軸24とは反対側の端部)を形成する球受け部金属部材429を一体化した構造の本体420を採用している。
この本体420の外形は既述の第1実施形態のフリーボールベアリング110の本体20と同様である。図8中符号420aはこの本体420の中心軸線である。この中心軸線420aは、ねじ軸24の中心軸線と一致しており、球受け部23の半球状凹所22の最深部及びハウジング430の主球突出用開口部31の中央を通っている。
【0125】
球受け部23の球受け用凹所22は前記球受け部金属部材429に形成されている。
また、この球受け部金属部材429は、例えば、インサートモールド成形、ねじ止め等によって母材425に一体化される。
【0126】
本体420の前記母材425には、前記球受け部金属部材429に電気的に接続されたグランド用配線部426と、押さえ用駆動装置(ここでは電動モータ470)への給電用の給電用配線部427とが該母材425を貫通するように設けられている。
前記グランド用配線部426は、本体420の中心軸線420a(ベアリング高さ方向)に沿って延在形成されており、一端が前記球受け部金属部材429に電気的に接続され、他端が前記ねじ軸24の前記球受け部23とは反対側の端面(基端面24a)に達している。ステンレス等の導電性金属製の受け球41と、この受け球41に接する導電性金属製の球受け部金属部材429と、前記グランド用配線部426とは、基板1が主球42に接触したときに基板1に帯電している静電気によるスパークの発生を防止するグランド用通電部を構成する。このグランド用通電部は、グランド用配線部426の前記ねじ軸24の基端面24aに達している端部にフリーボールベアリングの外部のグランド用回路143と接続することで、このグランド用回路143を介して接地される。
【0127】
一方、前記給電用配線部427は、前記ねじ軸24の基端面24a(以下、ねじ軸基端面とも言う)から母材425内を通って球受け部23の外周面23c(以下、球受け部外周面とも言う)に達するように設けられている。この給電用配線部427は、その球受け部外周面23c側の端部が、フリーボールベアリング410の環状空間部311b内に設けられた内部通電回路428を介して電動モータ470と電気的に接続されている。そして、この給電用配線部427のねじ軸基端面側の端部(以下、ベアリング外側端部とも言う)に外部電気回路141を電気的に接続することで、給電用配線部427、内部通電回路428を介して、例えば既述の通電装置140等の電源装置を電動モータ470に電気的に接続できる。
なお、給電用配線部427は本体420の母材425に2本設けられている。
前記内部空転回路428はここでは導電性の金属裸線であるが、これに限定されず、例えば導電性金属製の棒状あるいは板状の部材であっても良い。
【0128】
グランド用配線部426及び給電用配線部427は、ここでは、本体420の母材425に形成した細孔に導電性ペーストを充填し加熱固化したもの、あるいは、はんだ、バイメタル等の低融点の導電性合金を加熱溶融状態で前記細孔に充填し冷却固化して形成したものである。
但し、グランド用配線部426及び給電用配線部427としては、これに限定されず、例えば母材425の成形時に埋め込んだ導電性金属線、成形後の母材425に形成した細孔内に挿入した導電性金属線等からなるものであっても良い。
【0129】
図8中、符号426aはグランド用配線部426のねじ軸基端面端部に設けた接続端子、427aは給電用配線部427のベアリング外側端部に設けた接続端子、427bは給電用配線部427の球受け部外周面側端部に設けた接続端子である。
これら接続端子426a、427a、427bは、いずれも、グランド用配線部426、給電用配線部427を形成する導電性ペーストあるいは低融点導電性合金を本体420の外面に肉盛りして形成したものである。符号426aの接続端子はグランド用配線426の一部、符号427a、427bの接続端子は給電用配線部427の一部である。
【0130】
このフリーボールベアリング410は、既述の第3実施形態のフリーボールベアリング310のハウジング330、本体20を、上述のハウジング430、本体420に変更し、既述の第3実施形態のフリーボールベアリング310と同様の受け球41、主球42、受け球押さえリング50Aを用い、ハウジング430と球受け部23との間に確保された内側空間411の内、前記環状空間部411bに前記電動モータ470を収納した構成になっている。
【0131】
前記内側空間411は、第3実施形態のフリーボールベアリング310と同様に先端側空間部11aと環状空間部411bとからなる。
前記電動モータ470は、前記環状空間部411b内に収納して基端側ハウジング部材432に固定してある。
【0132】
そして、前記フリーボールベアリング410は、前記電動モータ470の駆動力出力軸471の先端に固定したウォーム472の正逆回転によって、受け球押さえリング50Aの待機位置から受け球押さえ位置への移動、及び受け球押さえ位置から待機位置への移動が可能となっている。
【0133】
この実施形態にあっては、台板89aに取付板貫通孔を形成する必要が無く、フリーボールベアリング410を台板89aに取り付け(図示例では台板89aの雌ねじ孔89gへのねじ軸24のねじ込みによる螺着)るだけでベアリングユニット400を簡単に組み立てることができる。前記ねじ軸24は、台板89aの雌ねじ孔89gにねじ込んで、台板89aの前記フリーボールベアリング410のベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側(図8下側)に突出させる。
また、この実施形態では、第1実施形態のようにカバー部材120を用いる必要が無い。本体420の給電用接続端子428には、本体420の給電用配線部427と通電装置140とを電気的に接続するための外部電気回路141が直接接続される。
【0134】
(第5実施形態)
次に、図9を参照して本発明に係る第5実施形態を説明する。
この実施形態では、第4実施形態のフリーボールベアリング410の内部(内側空間411。詳細には環状空間部411b)に、受け球押さえリング50A、電動モータ470にかえて、押さえ用駆動装置として電磁石570、この電磁石570によって磁気吸引可能な基端側リング部554を有する受け球押さえリング50B、復帰手段としてのスプリング561を収納した構成のフリーボールベアリング510を用いる。
図9に例示したベアリングユニット500は、前記フリーボールベアリング510を台板89aに取り付けた構成になっている。台板89aに対するフリーボールベアリング510の取り付けは、第4実施形態と同様に、台板89aの雌ねじ孔89gへの本体420のねじ軸24のねじ込みによる螺着によって行っており、前記ねじ軸24を台板89aの裏面側(図9下側)に突出させている。
【0135】
前記電磁石570は、前記本体20の球受け部23を囲繞するリング状に形成されており、ハウジング430の基端側ハウジング部材432の底板432aに固定して環状空間部411b内に設けられている。
前記スプリング561は、前記本体20の球受け部23を囲繞するリング状に形成されたコイルスプリングであり環状空間部411b内に収納されている。
【0136】
前記受け球押さえリング50Bは、電磁石570によって磁気吸引可能な基端側リング部554を有する点以外は、既述の第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110の受け球押さえリング50と同様の構成になっている。
この受け球押さえリング50Bは、少なくとも基端側リング部554が、例えば鉄、ステンレス(例えばSUS430)等の金属製磁性体によって形成されたものである構成、あるいは金属製磁性体を内蔵して磁気吸引可能とされた構成、あるいは金属製磁性体からなる部材又は永久磁石の取り付けによって前記電磁石570によって磁気吸引可能とされた構成、となっているものである。
【0137】
前記受け球押さえリング50Bは、本体420の給電用配線部427を介して通電装置140と電気的に接続されている電磁石570への給電を行っていないときに、スプリング561の弾性によって待機位置(基端側リング部554がハウジング430の突壁部35に当接する受け球押さえリング50Bの位置)に配置される。
そして、ベアリングユニット500は、前記電磁石570への通電によって受け球押さえリング50Bの待機位置から受け球押さえ位置への移動を行え、電磁石570への通電によって前記受け球押さえリング50Bが受け球押さえ位置に配置された状態にて前記電磁石570への通電を停止することでスプリング561の弾性によって前記受け球押さえリング50Bを待機位置へ復帰させることができる。
【0138】
この実施形態にあっても、台板89aに取付板貫通孔を形成する必要が無く、フリーボールベアリング410を台板89aに取り付け(図示例では台板89aの雌ねじ孔89gへのねじ軸24のねじ込みによる螺着)るだけでベアリングユニット400を簡単に組み立てることができる。台板89aにカバー部材120を取り付ける必要も無い。
【0139】
第1〜5実施形態では、真空室(ここではロードロックチャンバ)内に設置される位置決め用テーブルに適用されるベアリングユニットを例示したが、これに限定されず、既述のように、トランスファーチャンバ、処理室(処理チャンバ)に設置される位置決め用テーブルに適用しても良い。また、第1〜5実施形態のベアリングユニットは、ロードロックチャンバ、トランスファーチャンバ、処理室(処理チャンバ)といった真空室(真空チャンバ)内に設置される搬送テーブル、支持テーブル(位置決め機能が無い支持テーブル)に適用しても良い。
また、第1〜5実施形態のベアリングユニットは、ロードロックチャンバ、トランスファーチャンバ、処理室(処理チャンバ)といった真空室(真空チャンバ)の外壁の一部をベアリング取付板として組み立てて、真空室内に搬入された基板等のワークの支持、位置決め、搬送等に用いること、すなわち、搬送テーブル、位置決め用テーブル、支持テーブルとして用いることも可能である。この場合、前記ベアリングユニットは、台板89aの表面が真空室内側、裏面が真空室外側となる向きで設置する。
【0140】
(第6実施形態)
次に、図10を参照して本発明に係る第6実施形態を説明する。
図10に例示したベアリングユニット600は、真空室の外壁(ここでは底壁811)と、この底壁811に該底壁811から真空室内側(図10において上側)に突出するに取り付けたフリーボールベアリング(ここでは第1実施形態にて説明したフリーボールベアリング110)と、前記底壁811の前記真空室内側に臨む表面とは反対の裏面に取り付けられて、前記フリーボールベアリング110から突出されているロッド62を通すために前記底壁811に形成された貫通孔(取付板貫通孔812)及び前記ロッド62の前記取付板貫通孔812から前記底壁811の裏面側(フリーボールベアリング110のハウジング30の底板32aと底壁811とからなる複合壁部160の裏面側)に突出させた部分を覆うベローズ601(突出部収納ベローズ、突出部カバー部材)と、前記フリーボールベアリング110のロッド62に前記ベローズ601の外側から変位力を与えて前記フリーボールベアリング110の受け球押さえリング50を待機位置から受け球押さえ位置に移動させるための押さえ用駆動装置670とを有して構成されている。
【0141】
このベアリングユニット600は、前記底壁811をベアリング取付板、ベアリング支持体として用いて、前記底壁811にフリーボールベアリング110、ベローズ601を設けてなるベアリング組立体部650を、前記底壁811の複数箇所に有する構成になっており、真空室内に搬入された基板の搬送テーブル、支持テーブル、位置決め用テーブルとして用いることができる。
【0142】
前記取付板貫通孔812は、フリーボールベアリング110のハウジング30の底板32aに略同等のサイズに形成されている。
前記ベローズ601は、前記底壁811の裏面に固定された固定端とは反対の端部が閉塞端(可動閉塞端602)とされた容器状に構成されており、前記可動閉塞端602に、フリーボールベアリング110のロッド駆動用プレート63が連結部材603を介して連結されている。ロッド駆動用プレート63は、連結部材603を介して前記可動閉塞端602に固定されている。
【0143】
前記押さえ用駆動装置670は、前記複合壁部160の裏面側にて大気中に設置されている。この押さえ用駆動装置670は、例えば固定部品等を用いて、底壁811あるいは真空室外の部材に固定して設置される。
前記押さえ用駆動装置670は、ここでは通電装置140と電気的に接続された電磁石である。この電磁石670は、通電装置140の作動によって通電されることで、前記ベローズ601の前記可動閉塞端602に固定されている磁性体604を磁気吸引して前記可動閉塞端602を複合壁部160から離隔させる方向に移動させる。
これによって、前記ベローズ601の前記可動閉塞端602、連結部材603、ロッド駆動用プレート63、ロッド62を介して受け球押さえリング50にベアリング基端側への変位力を与えることができ、受け球押さえリング50を待機位置から受け球押さえ位置に移動させることができる。
なお、ベローズ601としては、前記磁性体604にかえて電磁石670によって磁気吸引される永久磁石を設けても良く、また、可動閉塞端602自体が磁性体からなる構成(この場合は、磁性体604や永久磁石の設置を省略できる)であっても良い。
【0144】
このベアリングユニット600にあっては、前記電磁石670への通電によって受け球押さえリング50の待機位置から受け球押さえ位置への移動を行え、電磁石670への通電によって前記受け球押さえリング50が受け球押さえ位置に配置された状態にて前記電磁石670への通電を停止することでスプリング61の弾性によって前記受け球押さえリング50を待機位置へ復帰させることができる。つまり、電磁石670への通電のオン・オフ切り換えによって、受け球押さえリング50の位置を受け球押さえ位置と待機位置とに切り換えることができる。
【0145】
このベアリングユニット600にあっては、押さえ用駆動装置670が前記複合壁部160の裏面側にて大気中に設置されるため、押さえ用駆動装置670としてはベローズ601の可動閉塞端602を複合壁部160から離隔させる方向に移動できるものであれば良く、前記電磁石に限定されず、様々な構成のものを採用できる。例えば、エアシリンダ等の流体圧シリンダを用いることも可能である。
また、押さえ用駆動装置から発生するパーティクルやアウトガスが真空室内を汚染することが無く、真空室内の清浄度の維持の点でも好適である。
【0146】
なお、上述の第6実施形態では、受け球押さえリング50の受け球押さえ位置から待機位置への移動をスプリング61によって行う構成を例示したが、上述のように突出部カバー部材としてベローズ601を用いた構成であればベローズ601自体を、受け球押さえリング50の受け球押さえ位置から待機位置への移動を実現するための復帰手段として用いる構成とすることも可能ある。
この場合、例えば、フリーボールベアリング110のロッド62をロッド駆動用プレート63あるいは前記連結部材603にねじ止め、溶接等によって固定しておくことで、押さえ用駆動装置670が、ベローズ601を引き伸ばすようにして、ベローズ601の可動閉塞端602を、受け球押さえリング50を受け球押さえ位置に配置させる位置(押さえ時閉塞端位置)に位置させた状態にて、押さえ用駆動装置670からの変位力の付与を停止したときに、ベローズ601自体の弾性及び/又は真空室内外の圧力差によってベローズ601が押し縮められることで、受け球押さえリング50の受け球押さえ位置から待機位置への移動を実現できる構成とすることが可能である。
【0147】
(第7実施形態)
次に、図11を参照して本発明の第7実施形態を説明する。
図11に示すように、この実施形態のベアリングユニット700は、既述の第1実施形態のベアリングユニットにおいて、フリーボールベアリング110内に内部ベローズ64を設けた構成のフリーボールベアリング710を用いた構成である。
この実施形態のベアリングユニット700は、真空室外壁に組み立てる真空室内に設置される支持テーブル(搬送テーブル、位置決め用テーブル、支持テーブル(位置決め機能を有していない支持テーブル))に適用されるものであるが、台板89aにかえて真空室外壁に組み立てることも可能である。
なお、このフリーボールベアリング710を用いて構成されたベアリング組立体部に図中符号750を付す。
【0148】
前記フリーボールベアリング710は、内部ベローズ64の取り付けのために、既述の第1実施形態のベアリングユニットのフリーボールベアリング110の受け球押さえリング50の基端側リング部54を加工した構造の基端側リング部54’を具備する受け球押さえリング501を採用している。受け球押さえリング501の基端側リング部54’以外の構成は第1実施形態にて説明した受け球押さえリング50の構成と同様である。
図11に示すように、前記内部ベローズ64は、内ベローズ641と外ベローズ642とからなる二重管構造となっており、内ベローズ641及び外ベローズ642を球受け部23を囲繞するようにして同心円状に配置して環状空間部11bに設けられ、前記ロッド62における前記ハウジング30の前記底板32と前記受け球押さえリング50の基端側リング部54との間に位置する部分及び該部分に外挿されたコイルスプリングである前記スプリング61を収納して覆っている。
内ベローズ641は、その一端を前記受け球押さえリング501の基端側リング部54’の基端側端面にシール固定し、他端をハウジング30(基端側ハウジング32)の底板32aにシール固定している。
前記外ベローズ642は、その一端の内周に張り出すフランジ部を、前記受け球押さえリング501の基端側リング部54’の先端側端部(本体リング53側の端部)の外周部に形成されたベローズ取付面34aにベアリング先端側から重ね合わせてシール固定し、他端の外周に張り出されたフランジ部を底板32aにシール固定して設けられている。この外ベローズ642は、基端側リング部54’の外側に該基端側リング部54’を囲繞するように設けられる。
また、底板32に形成されている全ての底板貫通孔32eの環状空間部11b側の開口部は、内ベローズ641と外ベローズ642との間に位置する。
前記スプリング61は、前記底板32における前記底板貫通孔32eの周囲に位置する部分(但し底板32における内ベローズ641及び外ベローズ642をシール固定した部位の内側)と、受け球押さえリング501の基端側リング部54’との間に設けられて、受け球押さえリング501にベアリング先端側への付勢力を作用させている。
【0149】
前記ハウジング30の底板32、前記受け球押さえリング501の基端側リング部54’に対して内部ベローズ64をシール固定するための構造としては特に限定は無く、例えば超音波溶着、ねじ止め等を採用できる。例えば、内部ベローズ64の底板32へのねじ止めは、底板32を貫通し前記底板32の裏面(環状空間部11bとは反対側の面)側から回転操作可能なねじを用いて内部ベローズ64の端部を底板32に締め付け固定しても良い。また、前記底板32又は前記受け球押さえリング501の基端側リング部54’にリング状のベローズ取付部を突設し、このベローズの外側あるいは内側のねじ部に内部ベローズの端部をその内周面側あるいは外周面側に形成したねじ部によって螺着する構造等も採用可能である。
また、シール性の確保のため、必要に応じてOリングを使用することも可能である。但し、前記ハウジング30の底板32、前記受け球押さえリング501の基端側リング部54’に対する内部ベローズ64のシール固定はグリスを使用せず、グリスから発生するアウトガスによるチャンバ(ここではロードロックチャンバ82)内の汚染を回避する。また、Oリングとしては、ゴム製のものよりも金属製のものを用いることが好ましい。
【0150】
なお、内部ベローズ64自体を受け球押さえリング501をベアリング先端側に弾性付勢する復帰手段(スプリング)として機能させることも可能である。この場合は、別途、スプリング61を設けなくても良く、前記スプリング61を省略することも可能である。
【0151】
この構成であれば、複合壁部130裏面側にて押さえ用駆動機構70によって移動されるロッド駆動用プレート63とロッド62との接触部等から発生するパーティクル(すなわちカバー部材120の内側のパーティクル発生源から発生するパーティクル)が、ハウジング30の底板貫通孔32eを介して複合壁部130表面側に移動してハウジング30の主球突出用開口部31から飛散することを、フリーボールベアリング110内の内部ベローズ64によって確実に防ぐことができる。
内部ベローズ64を内蔵するフリーボールベアリング110の使用は、カバー部材120の内側にパーティクル発生源やアウトガス発生源が存在していても、内部ベローズ64とカバー部材120とによってパーティクル発生源やアウトガス発生源を真空室内の減圧環境から遮断して収納する空間を画成できる。このため、カバー部材120の内側にパーティクル発生源やアウトガス発生源が存在していても、カバー部材120の内側にパーティクル発生源から生じたパーティクルやアウトガス発生源から生じたアウトガスの真空室内への放出を確実に防止できる。
【0152】
なお、図11では、内部ベローズとして、1本のロッド62(及びスプリング61)に1本のベローズを使用して覆う構成のものを用いても良い。
【0153】
(第8、9,10実施形態)
図12は第8実施形態、図13は第9実施形態、図14は第10実施形態を説明する図である。
第8〜第10実施形態は、第3〜5実施形態の変形例であり、一対のベローズ(内ベローズと外ベローズ)を内蔵した構造のフリーボールベアリングを採用した例を示す。なお、ベローズはいずれもフリーボールベアリングの環状空間部に設けられている。一対のベローズ(内ベローズ641及び外ベローズ642)は、本発明に係る内部ベローズを構成する。外ベローズ642は、受け球押さえリングの外側に該受け球押さえリングを囲繞するように設けられる。
【0154】
図12に示す第8実施形態のベアリングユニット800は、図7を参照して説明した第3実施形態の変形例であり、内ベローズ641及び外ベローズ642を収納した構成のフリーボールベアリング810を採用した点が既述の第3実施形態と異なる。
前記フリーボールベアリング810は、既述のようにその内部に内ベローズ641及び外ベローズ642を有し、さらに第3実施形態にて説明したフリーボールベアリング310の受け球押さえリング50Aにかえて、前記受け球押さえリング50Aの係合歯付きリング部354の外周側に前記外ベローズ642の端部をシール固定するための張出壁356を突設した構成の受け球押さえリング50A’を用いた構成となっている。他の構成は第3実施形態にて説明したフリーボールベアリング310と同様である。
図中符号850はこの実施形態のベアリング組立体部を示す。
【0155】
内ベローズ641は、その一端を前記受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354の基端側端面にシール固定し、他端をハウジング330(基端側ハウジング332)の底板332aにシール固定している。
前記外ベローズ642は、その一端の内周に張り出すフランジ部を、前記受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354の先端側端部(本体リング53側の端部)からフランジ状に張り出された前記張出壁356に重ね合わせてシール固定し、他端の外周に張り出されたフランジ部を底板332aにシール固定して設けられている。
【0156】
図示例のフリーボールベアリング810において、内ベローズ641及び外ベローズ642のハウジング330の底板332aに対するシール固定は、前記底板332aに貫通させたねじ65を環状空間部311bに配置したナット66にねじ込んでベローズ端部の外周に張り出すフランジ部を締結固定することによって行っている。前記ねじ65は、前記底板32の裏面(環状空間部311bとは反対側の面)側から回転操作可能であり、固定作業を効率良く行うことができる。
このように底板32裏面側から回転操作するねじ65を用いてベローズ641、642の端部を底板32に締め付け固定する固定構造は、既述の第7実施形態、後述の第9、第10実施形態でも同様に採用可能である。
【0157】
一方、受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354に対する内ベローズ641のシール固定及び前記張出壁356に対する外ベローズ642のシール固定は、図12ではねじ止めを例示している。
なお、内ベローズ641及び外ベローズ642のハウジング330の底板332aに対する固定、内ベローズ641の係合歯付きリング部354に対するシール固定、外ベローズ642の前記張出壁356に対するシール固定は、前記ねじ止めに限定されず、例えば溶接(係合歯付きリング部354及び張出壁356が金属製の場合)、超音波溶着等も採用可能である。
【0158】
内ベローズ641及び外ベローズ642のハウジング330の底板332aに対する固定位置は、底板貫通孔332eの環状空間部311b側の開口部が内ベローズ641及び外ベローズ642の間に位置するように設定してある。
この実施形態では、フリーボールベアリング810の内部に設けた内ベローズ641及び外ベローズ642と、受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354及び張出壁356とが、いわば、受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354とウォーム372との接触点を収納して覆うカバーを構成する。したがって、前記接触点にてパーティクルが生じても、これがハウジング330の主球突出用開口部31から飛散することは無い。また、電動モータ370から生じたパーティクルがハウジング330の主球突出用開口部31に到達することも確実に阻止できる。
【0159】
図13に示す第9実施形態のベアリングユニット900は図8を参照して説明した第4実施形態の変形例、図14に示す第10実施形態のベアリングユニット1000は図9を参照して説明した第5実施形態の変形例である。
第9、第10実施形態のベアリングユニット900、1000は、内ベローズ641及び外ベローズ642を収納した構成のフリーボールベアリングを採用した点が既述の第4、5実施形態と異なる。
【0160】
図13に示す第9実施形態のベアリングユニット900は、内ベローズ641及び外ベローズ642を収納し、第8実施形態にて説明した受け球押さえリング50’を用いた構成のフリーボールベアリング910を採用した点が既述の第4実施形態と異なる。
内ベローズ641は、その一端を前記受け球押さえリング50A’の係合歯付きリング部354の基端側端面にシール固定し、他端をハウジング430の底板432aにシール固定して前記係合歯付きリング部354と底板432aとの間に設けられている。外ベローズ642は、その一端を前記張出壁356の前記リブ状壁356bの基端側端面にシール固定し、他端を底板432aにシール固定して設けられている。そして、このフリーボールベアリング910にあっては、内ベローズ641と外ベローズ642との間に押さえ用駆動装置(電動モータ470)を収納している。
受け球押さえリング50’の係合歯付きリング部354及び張出壁356、底板432aに対してベローズ641、642を固定する手法としては、既述の第8実施形態と同様のものを採用できる。
【0161】
また、このフリーボールベアリング910にあっては、ハウジング430の底板432aと内ベローズ641の端部との間に挟み込んだ通電用リング67を介して、本体420の給電用配線部427と押さえ用駆動装置(ここでは電動モータ470)との間の電気導通を確保している。
図16に示すように、前記通電用リング67は、例えば電気絶縁性のプラスチック、ガラス、セラミックス等の電気絶縁性材料によって形成された一対の絶縁材層67a、67bの間に導体回路層67cを挟み込んだ3層構造になっている。一対の絶縁材層67a、67bの一方(ここでは符号67aの絶縁材層。以下、ベース絶縁材層とも言う)は、その内径が他方の絶縁材層67bの内径よりも小さくかつ外径が他方の絶縁材層67b(以下、カバー絶縁材層とも言う)の外径よりも大きく、カバー絶縁材層67bの内周側及び外周側に張り出されている。前記導体回路層67cは例えば導電性金属板によって形成されたものであり、導体回路層67cのうち、前記ベース絶縁材層67aのカバー絶縁材層67bの内周側に張り出された部分に形成されて露出されている部分(内周側端子部67c1)、及び前記ベース絶縁材層67aのカバー絶縁材層67bの外周側に張り出された部分に形成されて露出されている部分(外周側端子部67c2)を有する。また、この導体回路層67cは複数の導電性金属板を用いることによって、本体420の給電用配線部427と押さえ用駆動装置(ここでは電動モータ470)との間に設ける電気回路の構成に対応して、複数の接続導体部(内周側端子部67c1に接続された電気回路と、外周側端子部67c2に接続された電気回路とを接続する導電体)を有する構成となっている。
なお、前記導体回路層67cとしては、ベース絶縁材層67aへの導電性ペーストの塗布等によって形成した接続導体部を複数有する構成等も採用可能である。
【0162】
図13に示すように、内ベローズ641は、その端部を通電用リング67のカバー絶縁材層67bに当接させて、通電用リング67をハウジング430の底板432aとの間に挟み込むようにして前記底板432aに固定され、前記通電用リング67の内周側端子部67c1が内ベローズ641からその内周側、外周側端子部67c2が内ベローズ641からその外周側に位置するように配置されている。
なお、通電用リング67は、ねじ64を通すためのねじ穴を予め形成したものを使用することが好ましい。
【0163】
通電用リング67の前記導体回路層67cは、内周側端子部67c1に半田付け等によって接続された内部電気回路428a(例えば金属裸線)を介して本体420の給電用配線部427のベアリング内側端部(球受け部外周面に露出する端部)と電気的に接続され、外周側端子部67c2に半田付け等によって接続された内部電気回路428b(例えば金属裸線)を介して押さえ用駆動装置(ここでは電動モータ470)と電気的に接続されている。したがって、本体420の給電用配線部427のベアリング外側端部に給電用の外部電気回路141を接続することで、通電装置140等の電源装置を、給電用配線部427、通電用リング67の前記導体回路層67c、内部電気回路428a、428bを介して押さえ用駆動装置と電気的に接続できる。
【0164】
図14に示す第10実施形態のベアリングユニット1000のフリーボールベアリング1010は、第5実施形態の受け球押さえリング50Bの基端側リング部554とハウジング430の底板432aとの間に内ベローズ641及び外ベローズ642を設けた点が、第5実施形態のフリーボールベアリング510と異なる。他の構成は、第5実施形態のフリーボールベアリング510と同様である。
内ベローズ641は、その一端を受け球押さえリング50Bの基端側リング部554の基端側端面にシール固定し、他端をハウジング430の底板432aにシール固定して、前記基端側リング部554と底板432aとの間に設けられている。外ベローズ642も、その一端を受け球押さえリング50Bの基端側リング部554の基端側端面にシール固定し、他端をハウジング430の底板432aにシール固定して、前記基端側リング部554と底板432aとの間に設けられている。そして、このフリーボールベアリング1010にあっては、内ベローズ641と外ベローズ642との間に押さえ用駆動装置(電磁石570)およびスプリング561を収納した構成となっている。
また、通電用リング67を用いており、この通電用リング67の導体回路層67cを介して、電磁石570に給電用の外部電気回路141を電気的に接続可能となっている。
【0165】
第8、9、10実施形態のベアリングユニットにおける受け球押さえリング、ハウジングの底板に対するベローズ(ベローズ64、内ベローズ641、外ベローズ642)のシール固定は、グリスを使用せず、グリスから発生するアウトガスによるチャンバ(真空室)内の汚染を回避する。また、このシール固定には必要に応じてOリングを用いてもよい。但し、Oリングとしては、ゴム製のものよりも金属製のものを用いることがより好ましい。
【0166】
第8、9,10実施形態のベアリングユニットは、ベアリング取付板として台板89aにかえて真空室外壁を用いて構成することも可能である。この場合、フリーボールベアリングのベアリング先端側端部が真空室内側となるように構成する。
【0167】
(第11実施形態)
図16に示すベアリングユニット1100は、真空室外壁の一部として用いられるものである。このベアリングユニット1100は、図11のベアリングユニットのベアリング組立体部からカバー部材を省略した構成のベアリング組立体部1150が真空室(チャンバ)底壁811の複数箇所に設けられた構成になっている。このベアリングユニット1100にあっては、内部ベローズ64によって真空室(チャンバ)内への大気の流入を阻止することができ、複合壁部160の裏面側から真空室内へのパーティクルの侵入も内部ベローズ64によって確実に防止できる。
【0168】
(第12実施形態)
図17は、本発明に係るフリーボールベアリング110、複数のフリーボールベアリング110、構成したターンテーブル90を示す。
このターンテーブル90は、板状のベース部材91と、このベース部材91に取り付けて該ベース部材91上に突設された複数(3以上)のフリーボールベアリング110によって回転可能に支持された回転テーブル93と、この回転テーブル93を回転させる回転駆動装置92(モータ)とを有している。図示を略すがベース部材91には押さえ用駆動装置、カバー部材も設けられており、第1実施形態のベアリングユニットと同様の構成のベアリングユニットを構成している。回転テーブル93はフリーボールベアリング110の主球42に接触して支持される。
【0169】
このターンテーブルは、ベース部材をフリーボールベアリングを取り付けるためのベアリング取付板として機能させ、このベース部材にフリーボールベアリングを取り付けて、例えば既述の第2〜11実施形態のベアリングユニットのいずれかを組み立て、このベアリングユニットのフリーボールベアリングによって回転テーブルを支持する構成としても良い。
【0170】
本発明に係るベアリングユニット、支持テーブルとしては、真空装置における基板やその他の物品の搬送のための搬送装置の一部として使用することも可能である。
また、本発明に係るベアリングユニットは、台板、真空室外壁が水平である構成に限定されず、ベアリング取付板が水平から傾斜した向き(鉛直も含む)になっている構成も含む。この場合、例えば基板の外周の端面等、ワークの側面にフリーボールベアリングの主球を接触させる使用形態を採用できる。ベアリングユニットとしては、例えば、真空室内に立設された支柱状のベアリング支持体やリング状のベアリング支持体に設けられているベアリング取付板にフリーボールベアリングを取り付けた構成とすることも可能である。
基板以外の物品としては、例えば精密加工された湾曲板、管体、リング等の部材を挙げることができ、本発明に係るベアリングユニット、支持テーブルは、このような部材に真空装置における膜付けや表面処理等を行う際の真空装置内での搬送、支持、位置決めにも適用可能である。
なお、本発明に係るベアリングユニットは、ベアリング支持体のベアリング取付板にフリーボールベアリングがひとつだけ設けられている構成も含む。
また、本発明では、例えば図11において、カバー部材120として非磁性体(例えばSUS304等)からなるものを採用して、その外部(複合壁部裏面側)に配置した電磁石(押さえ用駆動装置)によって磁性体によって形成したロッド駆動用プレート63あるいは磁性体によって形成したロッド62自体をカバー部材120の外側から磁気吸引して、受け球押さえリングを待機位置から受け球押さえ位置に移動可能とした構成等も採用可能である。
【符号の説明】
【0171】
1…基板、20…本体、23…球受け部、30…ハウジング、41…受け球、42…主球、50、50A、50A’、50B、501…受け球押さえリング、61…復帰手段(スプリング)、63a…押さえ用駆動装置(電磁石)、64…内部ベローズ、641…内部ベローズ(内ベローズ)、642…内部ベローズ(外ベローズ)、70…押さえ用駆動装置(電磁石)、81…真空装置、82…真空室(ロードロックチャンバ)、83…真空室(トランスファーチャンバ)、84…真空室(処理室)、89…支持テーブル(基板位置決め用テーブル)、89a…ベアリング取付板(台板)、
100…ベアリングユニット、110…フリーボールベアリング、120…カバー部材、
200…ベアリングユニット、210…フリーボールベアリング、
300…ベアリングユニット、310…フリーボールベアリング、330…ハウジング、370…押さえ用駆動装置、復帰手段(電動モータ)、
400…ベアリングユニット、410…フリーボールベアリング、420…本体、430…ハウジング、470…押さえ用駆動装置、復帰手段(電動モータ)、
500…ベアリングユニット、510…フリーボールベアリング、570…押さえ用駆動装置(電磁石)、561…復帰手段(スプリング)
600…ベアリングユニット、601…突出部収納ベローズ、裏面側ベローズ、
700…ベアリングユニット、710…フリーボールベアリング、
800…ベアリングユニット、810…フリーボールベアリング、811…ベアリング取付板(真空室外壁)
900…ベアリングユニット、910…フリーボールベアリング、
1000…ベアリングユニット、1010…フリーボールベアリング、
1100…ベアリングユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室内あるいは前記真空室の外壁の一部として前記真空室に設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、
前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、
前記フリーボールベアリングの前記ハウジングにおける前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部を介して前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための駆動力を通電によって発生する押さえ用駆動装置と、
前記ハウジングの前記底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して前記複合壁部の表面側及び裏面側に突出するように設けられ、前記フリーボールベアリングの内側空間のうち前記球受け部の外周面と前記ハウジングの前記外周壁の内周面との間に位置する環状空間部内に配置された先端部から前記受け球押さえリングの外周部に前記押さえ用駆動装置の駆動力を伝達してベアリング基端側への変位力を与える駆動力伝達ロッドと、
前記押さえ用駆動装置と前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部とを一括して覆いこれらを取り囲むように複合壁部にシール固定して設けられたカバー部材と、
前記押さえ用駆動装置及び前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部を覆った前記カバー部材と前記複合壁部とによって取り囲まれた内側の収納空間内あるいは前記フリーボールベアリングの前記環状空間部内に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、
前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニット。
【請求項2】
前記駆動力伝達ロッドは前記先端部が前記受け球押さえリングに連結されており、
前記押さえ用駆動装置が前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部をベアリング基端側に移動するロッド移動装置であることを特徴とする請求項1記載のベアリングユニット。
【請求項3】
前記駆動力伝達ロッドが、前記環状空間部内に配置された先端部に、前記受け球押さえリングの外周部に設けられたギア係合歯に噛み合わせた駆動力伝達ギアが固定されているギア付きロッドであり、
前記押さえ用駆動装置が、電動モータの駆動力によって前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部に回転駆動力を与えて前記ギア付きロッドを軸回り回転させる回転駆動装置であり、この回転駆動装置は前記ギア付きロッドの回転方向の正逆反転が可能であり、該回転駆動装置によって前記ギア付きロッドをその回転方向を選択して回転することにより前記受け球押さえリングの配置位置を前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能であり、前記回転駆動装置が復帰手段を兼ねることを特徴とする請求項1記載のベアリングユニット。
【請求項4】
前記カバー部材の外面に、前記押さえ用駆動装置への給電用の電気回路を接続するための給電用接続端子が設けられ、前記給電用接続端子は前記カバー部材内にて前記押さえ用駆動装置と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項5】
真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、
前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、
前記受け球押さえリングに連結して該受け球押さえリングから前記ベアリング先端側とは反対のベアリング基端側へ延出された棒状の部材であり、前記ハウジングにおいて前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して、前記底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部の前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に突出された駆動力伝達ロッドと、
この駆動力伝達ロッドの前記複合壁部の裏面側に突出された部分である裏面側突出部を収納して覆うベローズであり、その片端の全周を前記複合壁部の裏面にシール固定して設けられているとともに、前記複合壁部に固定された固定端とは反対の可動閉塞端に前記駆動力伝達ロッドの前記裏面側突出部が連結された突出部収納ベローズと、
前記複合壁部の裏面側にて前記突出部収納ベローズの外側に配置され、前記突出部収納ベローズの可動閉塞端に前記複合壁部から離隔させる方向の力を与えて前記突出部収納ベローズを引き伸ばした状態とすることで、前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための押さえ用駆動装置と、
前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドあるいは前記突出部収納ベローズの可動閉塞端にベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、
前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニット。
【請求項6】
真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、
前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、
前記受け球押さえリングに連結して該受け球押さえリングから前記ベアリング先端側とは反対のベアリング基端側へ延出された棒状の部材であり、前記ハウジングにおいて前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して、前記底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部の前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に突出された駆動力伝達ロッドと、
この駆動力伝達ロッドの前記複合壁部の裏面側に突出された部分である裏面側突出部を取り囲むように複合壁部にシール固定され、前記複合壁部との間に前記裏面側突出部をベアリング高さ方向に移動可能に収納する空間を確保して前記裏面側突出部を覆う突出部カバー部材と、
前記複合壁部の裏面側にて前記突出部カバー部材の外側に配置され、磁性材料あるいは永久磁石が設けられて磁気吸引可能に構成された前記裏面側突出部を非磁性材からなる前記突出部カバー部材の外側から磁気吸引することにより前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記押さえ片による受け球の押さえ込みを実現する電磁石である押さえ用駆動装置と、
前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、
前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更されることを特徴とするベアリングユニット。
【請求項7】
請求項5又は6記載のベアリングユニットであって、
請求項5記載のベアリングユニットに係る前記突出部収納ベローズ、あるいは請求項6記載のベアリングユニットの突出部カバー部材として機能するベローズである裏面側ベローズを前記押さえ用駆動装置から前記駆動力伝達ロッドの裏面側突出部に与えるベアリング基端側への変位力によって引き伸ばすことで前記受け球押さえリングを前記待機位置から受け球押さえ位置へ移動可能、かつ、前記押さえ用駆動装置による駆動力発生の停止時に、前記裏面側ベローズが該裏面側ベローズ自体の弾性及び/又は前記真空室内外の気圧差によって前記受け球押さえリングが前記受け球押さえ位置にあるときに比べて押し縮められた状態となり前記受け球押さえリングが前記待機位置に配置されるように構成され、前記裏面側ベローズが前記復帰手段として機能することを特徴とするベアリングユニット。
【請求項8】
前記フリーボールベアリングは、前記環状空間部内に、前記駆動力伝達ロッドにおける前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板貫通孔の前記環状空間部側の開口部を覆う内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられ、前記復帰手段は前記内部ベローズの内側あるいは前記複合壁部の裏面側に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項9】
真空プロセス用の処理室を有する真空装置の真空室の外壁の一部として設けられて、前記真空室内におけるワークの搬送又は支持又は位置決めに使用されるベアリングユニットであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体の前記球受け部に前記半球状凹面に配された多数の受け球を介して該受け球よりも大径の1つの主球を回転自在に支持し、前記球受け部を取り囲むように設けられたハウジングに形成された主球突出用開口部から前記主球の一部が前記ハウジング外側に突出させるとともに前記ハウジングによって前記主球の飛び出しを防止し、前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設された受け球押さえリングが前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられてなるフリーボールベアリングと、
前記フリーボールベアリングがその前記本体及び/又は該本体と一体化された前記ハウジングを固定して取り付けられたベアリング取付板を有し、フリーボールベアリングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部がハウジング外側に突出しているベアリング先端側が前記ベアリング取付板の片面側に突出されたベアリング支持体と、
前記フリーボールベアリングの前記ハウジングにおける前記球受け部の外周面に沿って延在された外周壁のベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から前記本体に向かって延出する底板と前記ベアリング支持体の前記ベアリング取付板とによって構成される複合壁部を介して前記フリーボールベアリングのベアリング先端側が突出されている表面側とは反対の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングにベアリング基端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって受け球を押さえ込む受け球押さえ位置に配置するための駆動力を発生する押さえ用駆動装置と、
前記ハウジングの前記底板に形成され前記ベアリング取付板を貫通する取付板貫通孔に連通させた底板貫通孔に通して前記複合壁部の表面側及び裏面側に突出するように設けられ、前記フリーボールベアリングの内側空間のうち前記球受け部の外周面と前記ハウジングの前記外周壁の内周面との間に位置する環状空間部内に配置された先端部から前記受け球押さえリングの外周部に前記押さえ用駆動装置の駆動力を伝達してベアリング基端側への変位力を与える駆動力伝達ロッドと、
前記内側空間の前記環状空間部あるいは前記複合壁部の裏面側に配置され、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを有し、
前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされ、
前記フリーボールベアリングは、前記環状空間部内に、前記駆動力伝達ロッドにおける前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板貫通孔の前記環状空間部側の開口部を覆うベローズである内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とするベアリングユニット。
【請求項10】
前記フリーボールベアリングとして、前記環状空間部内にて前記内部ベローズの内側に前記復帰手段が設けられているものを用いていることを特徴とする請求項8又は9記載のベアリングユニット。
【請求項11】
前記内部ベローズが前記駆動力伝達ロッドをベアリング先端側へ弾性付勢するスプリングとして機能し、前記復帰手段を兼ねることを特徴とする請求項9〜10のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項12】
前記復帰手段として、前記受け球押さえリングあるいは前記駆動力伝達ロッドをベアリング先端側へ弾性付勢するスプリングを具備することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項13】
前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接した位置が前記待機位置とされ、該待機位置にあるときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されるように構成され、
前記受け球押さえリングのベアリング基端側への変位力を発生するための駆動力が前記駆動力伝達ロッドから前記基端側リング部に作用するように構成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項14】
前記本体は前記球受け部とこの球受け部のベアリング基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記ハウジングは、前記ねじ軸に螺着して前記ねじ軸に垂直に設けられた前記底板を有するリング状の底側ハウジング部材と、前記主球突出用開口部が開口されているリング状のキャップとを、前記キャップ及び前記底側ハウジング部材のそれぞれの外周部に設けられた結合部を互いに結合して組み立てられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のベアリングユニット。
【請求項15】
フリーボールベアリングであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、
前記本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して前記球受け部に回転自在に支持された1つの主球と、
前記主球の一部を突出させるための主球突出用開口部を確保して前記球受け部を取り囲むように設けられ前記主球突出用開口部から前記主球の一部を突出させるとともに前記主球の飛び出しを防止するハウジングと、
前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設され前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられ、前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置と前記受け球押さえ位置から前記ベアリング先端側に離隔した待機位置とに配置位置が変更可能である受け球押さえリングと、
前記ハウジングの前記ベアリング高さ方向において前記主球の一部が突出されている側であるベアリング先端側とは反対のベアリング基端側端部から内面側に前記ベアリング高さ方向に垂直に延出する底板に形成された底板貫通孔に通して前記底板を介して前記ベアリング高さ方向の両側に突出するように設けられ、前記受け球押さえリングをベアリング高さ方向に移動するための駆動力を前記ハウジングの外部から前記受け球押さえリングに伝達する駆動力伝達ロッドとを具備することを特徴とするフリーボールベアリング。
【請求項16】
前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成し該受け球押さえリングの前記外周部として機能する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、
前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接したときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されることを特徴とする請求項15記載のフリーボールベアリング。
【請求項17】
前記内側空間の前記環状空間部内に、前記受け球押さえリングをベアリング先端側に弾性付勢するスプリングが設けられ、このスプリングの弾性によって前記受け球押さえリングの前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの前記突壁部に当接する位置が前記待機位置とされていることを特徴とする請求項16記載のフリーボールベアリング。
【請求項18】
前記内側空間の前記環状空間部内に、前記棒状部材における前記ハウジングの前記底板と前記受け球押さえリングとの間に位置する部分及び前記底板の前記内側空間に臨む面における底板貫通孔の開口部を覆う内部ベローズを有し、前記内部ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
【請求項19】
前記駆動力伝達ロッドはその先端部が前記受け球押さえリングの外周部に連結されており、前記受け球押さえリングと一体的にベアリング高さ方向に移動することを特徴とする請求項15〜18のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
【請求項20】
フリーボールベアリングであって、
半球状凹面を内面とする球受け用凹所が形成された球受け部を有する本体と、
前記本体の前記半球状凹面に配された多数の受け球及び該受け球よりも大径に形成され前記受け球を介して前記球受け部に回転自在に支持された1つの主球と、
前記主球の一部を突出させるための主球突出用開口部を確保して前記球受け部を取り囲むように設けられ前記主球突出用開口部から前記主球の一部を突出させるとともに前記主球の飛び出しを防止するハウジングと、
前記球受け部の前記球受け用凹所の開口部側から前記半球状凹面と前記主球との間に挿入して前記受け球を押さえ込むためのリング状の押さえ片が突設され前記球受け部と前記ハウジングとの間に確保した内側空間内に前記球受け用凹所の深さ方向に一致する方向であるベアリング高さ方向に移動可能に設けられた受け球押さえリングと、
前記ベアリング高さ方向において前記主球が前記ハウジングから突出されている側であるベアリング先端側とは反対のベアリング基端側への変位力を前記受け球押さえリングに与えて前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込むための駆動力を通電によって発生する押さえ用駆動装置と、
前記受け球押さえリングにベアリング先端側への変位力を与えて前記受け球押さえリングを前記押さえ片によって前記受け球を押さえ込む受け球押さえ位置からベアリング先端側に離隔した待機位置に配置するための復帰手段とを具備し、
前記押さえ用駆動装置及び前記復帰手段は、前記内側空間のうち前記球受け部の外周面と該外周面に対面するハウジングの内周面との間に位置する環状空間部に設けられ、前記受け球押さえリングの外周部に前記ベアリング高さ方向の変位力を与えるように構成され、前記押さえ用駆動装置と前記復帰手段とによって前記受け球押さえリングの配置位置が前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされていることを特徴とするフリーボールベアリング。
【請求項21】
前記受け球押さえリングとして前記環状空間部に配置される外周部が磁性材料あるいは永久磁石が設けられて磁気吸引可能に構成されたものを用い、前記押さえ用駆動装置が通電により前記受け球押さえリングを磁気吸引可能してベアリング基端側への変位力を与える電磁石であり、前記復帰手段がスプリングであることを特徴とする請求項20記載のフリーボールベアリング。
【請求項22】
前記押さえ用駆動装置が、前記受け球押さえリングの前記外周部に設けられたギア係合歯に噛み合わせた駆動力伝達ギアを回転させる電動モータであり、前記電動モータは前記駆動力伝達ギアの回転方向の正逆反転が可能であり、該電動モータによる前記駆動力伝達ギアの回転方向を変更して前記駆動力伝達ギアを回転させることにより前記受け球押さえリングの配置位置を前記受け球押さえ位置と前記待機位置とに変更可能とされ、前記電動モータが復帰手段を兼ねることを特徴とする請求項20記載のフリーボールベアリング。
【請求項23】
前記本体は前記球受け部とこの球受け部のベアリング基端側に突設されたねじ軸とを具備し、前記押さえ用駆動装置が前記本体に埋め込まれた給電用導電部材と電気的に接続され、前記ねじ軸の前記球受け部からの突出先端に前記給電用導電部材に電源を接続するための給電用接続端子が設けられていることを特徴とする請求項20〜22のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
【請求項24】
前記受け球押さえリングは、前記球受け部のベアリング先端側の端面と該端面に前記内側空間を介して対面する前記ハウジングの天板部との間に配置されたリング状天板部及び該リング状天板部の外周の全周にわたってリブ状に突設されそのベアリング基端側の端部が前記内側空間の前記環状空間部に配置されている円筒部からなる本体リングと、この本体リングの前記円筒部のベアリング基端側の端部から延出して前記環状空間部に配置され前記円筒部の外周側に張り出す張出部を形成し該受け球押さえリングの外周部として機能する基端側リング部と、前記リング状天板部の内周端の全周にわたってリブ状に突設された前記押さえ片とを具備し、
前記基端側リング部の前記張出部が前記ハウジングの内周面から張り出す突壁部にベアリング基端側から当接した位置が前記待機位置とされ、該待機位置にあるときに前記リング状天板部が前記ハウジングの天板部から離隔した位置に配置され、前記押さえ片が前記球受け用凹所からの受け球の飛び出しを防止可能な位置に配置されることを特徴とする請求項20〜23のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
【請求項25】
前記ハウジングはその内周面のベアリング基端側端部から前記ベアリング高さ方向に垂直に延出する底板を有し、前記環状空間部に、前記押さえ用駆動装置及び復帰手段のうち少なくとも押さえ用駆動装置を収納して覆うベローズが設けられ、前記ベローズはその一端の全周を前記底板にシール固定し、他端の全周を前記受け球押さえリングにシール固定して設けられていることを特徴とする請求項20〜24のいずれかに記載のフリーボールベアリング。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれかに記載のフリーボールベアリングが台板の複数箇所に該台板上に突出状態に取り付けられていることを特徴とする支持テーブル。
【請求項27】
請求項1〜14のいずれかに記載のベアリングユニット及び/又は請求項26記載の支持テーブルを具備することを特徴とする搬送設備。
【請求項28】
請求項1〜14のいずれかに記載のベアリングユニット及び/又は請求項26記載の支持テーブルからなるベース部材と、このベース部材上に回転可能に設置された回転テーブルとを有することを特徴とするターンテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−265095(P2010−265095A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119285(P2009−119285)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(599012765)株式会社井口機工製作所 (9)
【Fターム(参考)】