マイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置及びマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法
【課題】 微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合すること。
【解決手段】 液体A及び液体Bの各々において、流量制御装置50のデータ設定部59に所望の目標流量値58を設定する。これによって流量制御装置50において、各マイクロポンプから微小流路を介して輸送される液体A,Bの流量が設定目標流量値58となるように、圧電素子11a,11bを振動させるための印加電圧値68A,68Bが求められ、これらの印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加される。
【解決手段】 液体A及び液体Bの各々において、流量制御装置50のデータ設定部59に所望の目標流量値58を設定する。これによって流量制御装置50において、各マイクロポンプから微小流路を介して輸送される液体A,Bの流量が設定目標流量値58となるように、圧電素子11a,11bを振動させるための印加電圧値68A,68Bが求められ、これらの印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された微小な流路を用いて、微小容量の液体の混合・反応・分離・精製・抽出・分析などを行うためのマイクロポンプ及びマイクロミキサの双方の機能を備え、マイクロポンプによってマイクロミキサへ輸送される液体の流量を制御するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置及びマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシニング技術を用いてシリコンやガラス、プラスチックなどの基板上に微小流路(マイクロチャンネル)を形成し、この流路に蓋をすることによって形成される微小空間を、各種液体の混合・反応・分離・精製・抽出・分析などの場に利用する試みが注目されている。
これらの分野に供されるデバイスや装置は、その使用目的に応じて、マイクロポンプ、マイクロミキサ、マイクロリアクタ、μTAS(マイクロトータルアナリシスシステム)等と呼ばれている。
【0003】
このようなマイクロポンプ及びマイクロミキサにおいては、通常、反応流路の等価直径(流路の断面を円に換算したときの直径)が500μmよりも小さいものが微小流路とされている。このように、流路のスケールが微小化してくると、単位体積当たりの表面積が非常に大きくなるという特徴が得られる。
この特長によって、温度、圧力、濃度などの勾配が大きくなるため、熱伝導、物質移動拡散などの効率が向上し、反応系での反応時間の短縮、反応速度の向上等の利点が得られることになる。更に、微小反応で適量合成が可能であり、高い再現性も得られるので、薬品や触媒試薬類などの使用量を大幅に低減することができ、経済的にも有効である。
【0004】
このようなマイクロポンプ及びマイクロミキサの構造に関する従来技術として、次のような各種の構造が提案されている。
図8(a)〜(c)に示すような、Y型と呼ばれるマイクロミキサが知られている。
図8は、Y型のマイクロミキサの構成部材を示し、(a)は蓋板、(b)は基板の平面図、(c)は(a)に示す蓋板と(b)に示す基板とを接合して形成したマイクロミキサを(b)に示すC1−C2矢示線に沿って切断した断面図である。
【0005】
このマイクロミキサ19は、蓋板1と基板2より構成されており、(b)に示すように、基板2に双方でY字状となる微小流路6及び混合流路7が形成されている。また、(a)に示すように、蓋板1には、微小流路6の先端部に連結する位置に、各種の溶液、薬品、試薬等を微小流路6に供給するための供給口3,4が設けられ、更に、混合流路7の先端部に連結する位置には、混合又は反応した流体を取り出すための流出口5が形成されている。
【0006】
そして、(c)に示すように、蓋板1と基板2が接合され、供給口3,4から供給された各種液体は、混合流路7で混合され、流出口5から外部に取り出すことができるように、微小流路6及び混合流路7による連続流路が形成されている。
このようなマイクロミキサ19を利用した混合に関する従来技術として、次のような第1及び第2の構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置が提案されている。
【0007】
図9に示すように、第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、市販のポンプである例えばシリンジポンプ21a,21bとマイクロミキサ19の各供給口3,4とをチューブ22a,22bで接続して構成されている。
このような構成において、各シリンジポンプ21a,21bに充填された互いに異なる液体A,Bを各チューブ22a,22bを介してマイクロミキサ19の供給口3,4へ輸送する。このようにマイクロミキサ19の適用を混合機能のみに限定した構成が知られている。
【0008】
また、この種のY型のマイクロミキサとシリンジポンプを組み合わせた装置が、特許文献1に開示されている。
第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、本出願人による特許文献2に記載のものである。このマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を、図10(a)及び(b)を参照して説明する。図10は、従来の第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示し、(a)は基板の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)に示すD1−D2矢示線に沿って切断した断面図である。
【0009】
図10に示すマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、既に説明済みの図8に示したマイクロミキサ19の各微粒子検出部3の合流部を拡張して混合エリア部9を形成し、また、各微小流路6の途中に概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した基板15を備える。更に、各マイクロポンプ部10a,10bの上方の蓋板1の上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載すると共に、混合エリア部9の上方の蓋板1上に、ミキサ機能用の圧電素子12を搭載して構成されている。そして、各圧電素子11a,11b,12の振動によって各液体A,Bの混合を促進するようになっている。
【0010】
更に、この種の従来のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置として、特許文献2に記載のものがある。
【特許文献1】特開2004−122107号公報(段落番号0077)
【特許文献2】特開2003−410812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置において次のような問題がある。
第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置においては、混合速度が拡散に支配されるため、混合の効率化に限界があり、混合に多くの時間を要していた。更に、市販のポンプの液体充填部分並びに当該ポンプとマイクロミキサ間を接続するチューブによる流路の等価直径が大きく、言い換えればマイクロミキサのような等価直径の極小さな微小流路でないため、その等価直径の大きい流路をマイクロミキサの微小流路に接続すると、本来マイクロミキサの微小流路で得られるはずの試薬量の低減の効果が殆ど得られなくなる。
【0012】
第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置においては、各液体の粘度が異なる場合、各液体の輸送バランスが崩れ、両液体を同時に輸送することが困難となる。このため、粘度が同等の液体同士の混合にしか適用できないという制約があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置及びマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、任意の値の目標流量値を設定すれば、ポンプ部から流路を介して輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能とした。ここで、マイクロポンプ・ミキサ一体化装置のポンプ部が2つであるとした場合に、2つのポンプ部により輸送される粘度の異なる液体A,Bの輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合される流量を、実際の計測によって求めておく。これを目標流量値として流量制御装置に設定すれば、各ポンプ部により輸送される粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合されることになる。これは、流路が微小流路であっても同様に実現できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、基板に液体を流入する入口と、流出する出口とを形成し、その入口と出口とを基板内に形成した流路で連通し、その流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けたポンプと、基板に液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口とを形成したミキサとを用い、複数のポンプの出口とミキサの各入口とを管路で接続して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、前記ポンプの入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプの背圧と当該ポンプで輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、2つのポンプとミキサとを管路で接続した構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置であっても、請求項1と同様な作用を得ることができる。即ち、任意の値の目標流量値を設定すれば、各ポンプから管路を介してミキサへ輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能となる。従って、ポンプにより輸送される粘度の異なる液体A,Bを、輸送バランスが崩れないように同時に輸送して混合することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、請求項2において、前記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置の管路が、柔軟性のあるチューブであることを特徴とする。
この構成によれば、ポンプの圧電素子の振動をチューブで吸収し、その振動をミキサに伝搬させないようにすることが可能なので、各ポンプから輸送される粘度の異なる液体を輸送バランスが崩れないように同時に輸送し、ミキサの混合流路において、双方の液体を相流状態に流すことが可能となる。
【0018】
また、本発明の請求項4によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法は、基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法において、前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する第1のステップと、液体の目標流量値を設定する第2のステップと、前記第1のステップで記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記第2のステップで設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第4のステップと、前記第1のステップで記憶された複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を、前記第4のステップで求められた目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第5のステップと、前記第5のステップで求められた電圧−流量特性値と、前記第1のステップで設定された目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第6のステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、所望の目標流量値を設定することによって、ポンプから流路を介して輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能となる。これによって、各ポンプから粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合されることになる。これは、流路が微小流路であっても同様に実現できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置の構成を示すブロック図である。
この図1に示すマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の流量制御装置50は、各種の液体の粘度51、流路形状特性値52及び背圧−流量特性値53を記憶するデータ記憶部56と、所望の目標流量値58が利用者によって設定されるデータ設定部59と、目標流量時背圧演算部(第1の演算手段)61と、電圧−流量特性演算部(第2の演算手段)62と、印加電圧演算部(第3の演算手段)63と、電圧発生部64とを備えて構成されている。
【0022】
この流量制御装置50が適用されるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の構成を図2に示す。図2(a)はマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の基板15の平面図、(b)は(a)に示す基板15に蓋板1を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30を(a)のE1−E2矢示線に沿って切断した断面図である。
このマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30は、既に説明済みの図8に示したマイクロミキサ19の各微小流路6の途中に、概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した構成の基板15を備え、それらのマイクロポンプ部10a,10bの上方の蓋板1の上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載して構成されている。
【0023】
なお、マイクロポンプ部10a,10bは概略円形状でなく微小流路6と同形状であっても、それら上方の蓋板1の上に圧電素子11a,11bを搭載してあれば、ポンプ機能を果たす。
これら圧電素子11a,11bに、流量制御部12の電圧発生部64から各々に適したレベルの電圧EA,EBが印加され、これによって当該圧電素子11a,11bが振動して各液体A,Bが輸送されるようになっている。
【0024】
それら電圧EA,EBのレベルは、各マイクロポンプ部10a,10bにより混合流路7へ輸送する粘度の異なる液体A,Bを、当該液体A,Bの輸送バランスが崩れないように同時に輸送して混合を促進可能とする流量(目標流量)を得るためのレベルである。
つまり、流量制御部12は、各々の液体A,Bを目標流量とするためのレベルの電圧EA,EBを電圧発生部64から発生させ、これら電圧EA,EBを該当の圧電素子11a,11bへ印加する制御を行うものである。この流量制御部12の構成要素について説明する。
【0025】
データ記憶部56には、予め、液体の粘度51と、流路形状特性値52と、背圧−流量特性値53とが記憶されている。
粘度51は、混合対象となる各種液体の粘度である。本実施の形態では2つの液体A,Bを対象とするので、それらの粘度の値が記憶されているものとする。但し、区別のため、液体Aのものを粘度51A、液体Bのものを粘度51Bとする。
【0026】
流路形状特性値52は、マイクロポンプ・ミキサ一体化装置30において液体A,Bが流れる流路の形状の特性値である。ここで、液体Aのものを流路形状特性値52A、液体Bのものを流路形状特性値52Bとする。
背圧−流量特性値53は、各マイクロポンプ部10a,10bの背圧(kPa)と液体A,Bの流量(μL/分)との関係を示す特性値であり、これを、図3(a)及び(b)を参照して説明する。
【0027】
図3(a)は、液体Aに係わる背圧−流量特性図であり、同図に示す53A1は第1の背圧−流量特性値、53A2は第2の背圧−流量特性値、53A3は第3の背圧−流量特性値である。
図3(b)は、液体Bに係わる背圧−流量特性図であり、同図に示す53B1は第1の背圧−流量特性値、53B2は第2の背圧−流量特性値、53B3は第3の背圧−流量特性値である。
【0028】
まず、液体Aに係わる構成について説明する。
第1の背圧−流量特性値53A1は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E1を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E1の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E1を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0029】
但し、本実施の形態では、一次曲線(一次関数値)としているが、実際は二次以上の曲線(二次以上の関数値)で示される場合もある。これは、後述においても同様である。
第2の背圧−流量特性値53A2は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E1よりも高いレベルの電圧E2を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E2の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E2を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0030】
第3の背圧−流量特性値53A3は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E2よりも高いレベルの電圧E3を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E3の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E3を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0031】
また、図3(a)に、x軸と平行な直線によって液体Aの目標流量値58Aを示す。これは上述した目標流量の値であり、この例では液体A,B共に100(μL/分)とした。この目標流量値58Aは、データ設定部59に利用者によって任意に設定される。ここでは、データ設定部59には、液体Aの目標流量値58Aと、液体Bの目標流量値58Bとが設定されるものとする。
【0032】
更に、図3(a)には、x軸上に△で示す目標流量時背圧値66Aを通るy軸と平行な直線67Aが引いてある。その目標流量時背圧値66Aは、目標流量時背圧演算部61で演算される。
つまり、目標流量時背圧演算部61は、粘度51Aと、流路形状特性値52Aと、目標流量値58Aとを用いた所定の演算によって、目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値66Aを求めるものである。
【0033】
また、図3(a)の直線67Aと、各背圧−流量特性値53A1〜53A3との3つの交点●は、マイクロポンプ部10aが目標流量時背圧値66Aの背圧時に、圧電素子11aへの印加電圧をE1,E2,E3とした際の当該電圧と流量との関係を示す値となる。これら値●に基づく一次曲線が電圧−流量特性値67Aとなる。この電圧−流量特性値67Aは、判り易くは図3(c)の電圧−流量特性図のように示され、電圧−流量特性演算部62で演算される。
【0034】
つまり、電圧−流量特性演算部62は、各々の背圧−流量特性値53A1〜53A3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Aとした際の流量と電圧との相関関係から一次曲線である電圧−流量特性値67Aを求め、印加電圧演算部63へ出力するものである。
印加電圧演算部63は、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Aと目標流量値58Aとの交点を演算で求めることによって印加電圧値68Aを求め、これを電圧発生部64へ出力するものである。
電圧発生部64は、その印加電圧値68Aの電圧EAを発生して圧電素子11aへ印加するものである。
【0035】
次に、液体Bに係わる構成について説明する。
第1の背圧−流量特性値53B1は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E1を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E1の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E1を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0036】
第2の背圧−流量特性値53B2は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E1よりも高いレベルの電圧E2を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E2の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E2を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0037】
第3の背圧−流量特性値53B3は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E2よりも高いレベルの電圧E3を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E3の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E3を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0038】
また、図3(b)に、x軸と平行な直線によって液体Bの目標流量値58Bを示す。これは上述した目標流量の値である。
更に、x軸上に△で示す目標流量時背圧値66Bを通るy軸と平行な直線67Bが引いてある。その目標流量時背圧値66Bは、目標流量時背圧演算部61で演算される。
つまり、目標流量時背圧演算部61は、粘度51Bと、流路形状特性値52Bと、目標流量値58Bとを用いた所定の演算によって、目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値66Bを求めるものである。
【0039】
また、図3(a)の直線67Bと、各背圧−流量特性値53B1〜53B3との3つの交点●は、マイクロポンプ部10bが目標流量時背圧値66Bの背圧時に、圧電素子11bへの印加電圧をE1,E2,E3とした際の当該電圧と流量との関係を示す値となる。これら値●に基づく一次曲線が電圧−流量特性値67Bとなる。この電圧−流量特性値67Bは、判り易くは図3(c)の電圧−流量特性図のように示され、電圧−流量特性演算部62で演算される。
【0040】
つまり、電圧−流量特性演算部62は、各々の背圧−流量特性値53B1〜53B3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Bとした際の流量と電圧との相関関係から一次曲線である電圧−流量特性値67Bを求め、印加電圧演算部63へ出力するものである。
印加電圧演算部63は、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Bと目標流量値58Bとの交点を演算で求めることによって印加電圧値68Bを求め、これを電圧発生部64へ出力するものである。
電圧発生部64は、その印加電圧値68Bの電圧EBを発生して圧電素子11bへ印加するものである。
【0041】
次に、このような構成の流量制御装置50によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の液体A,Bの流量制御の動作を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1において、利用者によりデータ設定部59に目標流量値58A,58Bが設定される。
この設定後、ステップS2において、目標流量時背圧演算部61にて、データ記憶部56に記憶された液体Aに係わる粘度51Aと、流路形状特性値52Aと、目標流量値58Aとを用いた所定の演算によって、図3(a)に示す目標流量時背圧値66Aが求められる。
同様に、目標流量時背圧演算部61にて、液体Bに係わる粘度51Bと、流路形状特性値52Bと、目標流量値58Bとを用いた所定の演算によって、図3(b)に示す目標流量時背圧値66Bが求められる。
【0042】
ステップS3において、電圧−流量特性演算部62にて、図3(a)に示す各々の背圧−流量特性値53A1〜53A3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Aとした際の流量と電圧との相関関係から図3(c)に示す一次曲線である電圧−流量特性値67Aが求められる。
同様に、電圧−流量特性演算部62にて、図3(b)に示す各々の背圧−流量特性値53B1〜53B3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Bとした際の流量と電圧との相関関係から図3(c)に示す一次曲線である電圧−流量特性値67Bが求められる。
【0043】
ステップS4において、印加電圧演算部63にて、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Aと目標流量値58Aとの交点が求められることによって印加電圧値68Aが求められる。同様に、印加電圧演算部63にて、電圧−流量特性値67Bと目標流量値58Bとの交点が求められることによって印加電圧値68Bが求められる。
ステップS5において、電圧発生部64にて、その印加電圧値68Aの電圧EAが発生されて圧電素子11aへ印加されると共に、印加電圧値68Bの電圧EBが発生されて圧電素子11bへ印加される。
【0044】
これによって、各圧電素子11a,11bが振動して各供給口3,4から供給された液体A,Bがマイクロポンプ部10a,10bから微小流路6を介して混合流路7へ輸送され、ここで混合されて流路口5から流出される。
このような実施の形態のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の流量制御装置50によれば、液体A及び液体Bの各々において、データ設定部59に所望の目標流量値58を設定すれば、各マイクロポンプ部10a,10bから微小流路6を介して輸送される液体A,Bの流量が設定目標流量値58となるように、圧電素子11a,11bを振動させるための印加電圧値68A,68Bが求められ、これらの印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加されるようにした。
【0045】
ここで、各マイクロポンプ部10a,10bにより粘度の異なる液体A,Bが輸送される際に、それらの輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合される流量を、実際の計測によって求めておく。これを目標流量値58としてデータ設定部59に設定すれば、この目標流量値58に応じた印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加されるので、図5に示すように、各マイクロポンプ部10a,10bにより輸送される粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合A+Bされる。これは本発明者の実験によって検証済みである。
【0046】
また、このように粘度の異なる液体A,Bを微小流路6,7にて輸送できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体A,Bを迅速に混合することができる。
この他、本流量制御装置50によれば、図10に示した構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置であっても、同様に微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体A,Bを迅速に混合することができる。
更に、本流量制御装置50を、図6に示す構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置70に適用することもできる。
【0047】
マイクロポンプ・ミキサ一体化装置70は、図8に示した構成のマイクロミキサ19と、2つのマイクロポンプ71,72とを、チューブ73,74で接続して構成したものである。各マイクロポンプ71,72は、一方を代表して説明すると、供給口3aと流出口3bとを接続する微小流路6aの途中に、概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した構成の基板と、マイクロポンプ部10a,10bの上方の基板上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載して構成されている。また、チューブ73は、マイクロポンプ71の流出口3bと、マイクロミキサ19の供給口3とを接続している。他方のチューブ74も同様である。
【0048】
このようなマイクロポンプ・ミキサ一体化装置70に、上述同様に流量制御装置50を適用した場合、各マイクロポンプ71,72により輸送される粘度の異なる液体A,Bが、該当チューブ73,74を介して輸送バランスが崩れないように同時にマイクロミキサ19へ輸送される。そして、マイクロミキサ19において各微小流路6を介して混合流路7へ輸送され、流路口5から流出される。
【0049】
この際に、混合流路7で上記同様に各液体A,Bを混合させることも可能であるが、各マイクロポンプ71,72とマイクロミキサ19とをチューブ73,74で接続しているので、次のような作用効果も得ることが可能となる。
つまり、各マイクロポンプ71,72の圧電素子11a,11bの振動を柔軟性のあるチューブ73,74で吸収することによって、その振動をマイクロミキサ19に伝搬させないようにする。
このようにした場合、図7に示すように、マイクロミキサ19の混合流路7を双方の液体A,Bが相流となって流れ、流路口5から排出されることになる。つまり、このような状態に液体A,Bを流す用途に用いることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の基板15の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)のE1−E2矢示線に沿って切断した断面図である。
【図3】(a)は、液体Aに係わる背圧−流量特性図、(b)は、液体Bに係わる背圧−流量特性図である。
【図4】上記流量制御装置によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の液体A,Bの流量制御の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】上記流量制御の作用効果を説明するための図である。
【図6】上記流量制御装置によって流量制御が行われる他のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示す平面図である。
【図7】上記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置のマイクロミキサにおいて2つの液体A,Bが相流となった状態を表す図である。
【図8】従来のY型マイクロミキサの構成を示し、(a)は蓋板、(b)は基板の平面図、(c)は(a)に示す蓋板と(b)に示す基板とを接合して形成したマイクロミキサを(b)に示すC1−C2矢示線に沿って切断した断面図である。
【図9】従来の第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示す平面図である。
【図10】従来の第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示し、(a)は基板の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)に示すD1−D2矢示線に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋板
2,15 基板
3,4,3a,4a 供給口
5,3b,4b 流出口
6 微小流路
7 混合流路
10a,10b マイクロポンプ部
11a,11b ポンプ機能用の圧電素子
12 ミキサ機能用の圧電素子
30,70 マイクロポンプ・ミキサ一体化装置
50 流量制御装置
51 液体の粘度
52 流路形状特性値
53 背圧−流量特性値
56 データ記憶部
58 目標流量値
59 データ設定部
61 目標流量時背圧演算部
62 電圧−流量特性演算部
63 印加電圧演算部
64 電圧発生部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された微小な流路を用いて、微小容量の液体の混合・反応・分離・精製・抽出・分析などを行うためのマイクロポンプ及びマイクロミキサの双方の機能を備え、マイクロポンプによってマイクロミキサへ輸送される液体の流量を制御するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置及びマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシニング技術を用いてシリコンやガラス、プラスチックなどの基板上に微小流路(マイクロチャンネル)を形成し、この流路に蓋をすることによって形成される微小空間を、各種液体の混合・反応・分離・精製・抽出・分析などの場に利用する試みが注目されている。
これらの分野に供されるデバイスや装置は、その使用目的に応じて、マイクロポンプ、マイクロミキサ、マイクロリアクタ、μTAS(マイクロトータルアナリシスシステム)等と呼ばれている。
【0003】
このようなマイクロポンプ及びマイクロミキサにおいては、通常、反応流路の等価直径(流路の断面を円に換算したときの直径)が500μmよりも小さいものが微小流路とされている。このように、流路のスケールが微小化してくると、単位体積当たりの表面積が非常に大きくなるという特徴が得られる。
この特長によって、温度、圧力、濃度などの勾配が大きくなるため、熱伝導、物質移動拡散などの効率が向上し、反応系での反応時間の短縮、反応速度の向上等の利点が得られることになる。更に、微小反応で適量合成が可能であり、高い再現性も得られるので、薬品や触媒試薬類などの使用量を大幅に低減することができ、経済的にも有効である。
【0004】
このようなマイクロポンプ及びマイクロミキサの構造に関する従来技術として、次のような各種の構造が提案されている。
図8(a)〜(c)に示すような、Y型と呼ばれるマイクロミキサが知られている。
図8は、Y型のマイクロミキサの構成部材を示し、(a)は蓋板、(b)は基板の平面図、(c)は(a)に示す蓋板と(b)に示す基板とを接合して形成したマイクロミキサを(b)に示すC1−C2矢示線に沿って切断した断面図である。
【0005】
このマイクロミキサ19は、蓋板1と基板2より構成されており、(b)に示すように、基板2に双方でY字状となる微小流路6及び混合流路7が形成されている。また、(a)に示すように、蓋板1には、微小流路6の先端部に連結する位置に、各種の溶液、薬品、試薬等を微小流路6に供給するための供給口3,4が設けられ、更に、混合流路7の先端部に連結する位置には、混合又は反応した流体を取り出すための流出口5が形成されている。
【0006】
そして、(c)に示すように、蓋板1と基板2が接合され、供給口3,4から供給された各種液体は、混合流路7で混合され、流出口5から外部に取り出すことができるように、微小流路6及び混合流路7による連続流路が形成されている。
このようなマイクロミキサ19を利用した混合に関する従来技術として、次のような第1及び第2の構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置が提案されている。
【0007】
図9に示すように、第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、市販のポンプである例えばシリンジポンプ21a,21bとマイクロミキサ19の各供給口3,4とをチューブ22a,22bで接続して構成されている。
このような構成において、各シリンジポンプ21a,21bに充填された互いに異なる液体A,Bを各チューブ22a,22bを介してマイクロミキサ19の供給口3,4へ輸送する。このようにマイクロミキサ19の適用を混合機能のみに限定した構成が知られている。
【0008】
また、この種のY型のマイクロミキサとシリンジポンプを組み合わせた装置が、特許文献1に開示されている。
第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、本出願人による特許文献2に記載のものである。このマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を、図10(a)及び(b)を参照して説明する。図10は、従来の第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示し、(a)は基板の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)に示すD1−D2矢示線に沿って切断した断面図である。
【0009】
図10に示すマイクロポンプ・ミキサ一体化装置は、既に説明済みの図8に示したマイクロミキサ19の各微粒子検出部3の合流部を拡張して混合エリア部9を形成し、また、各微小流路6の途中に概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した基板15を備える。更に、各マイクロポンプ部10a,10bの上方の蓋板1の上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載すると共に、混合エリア部9の上方の蓋板1上に、ミキサ機能用の圧電素子12を搭載して構成されている。そして、各圧電素子11a,11b,12の振動によって各液体A,Bの混合を促進するようになっている。
【0010】
更に、この種の従来のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置として、特許文献2に記載のものがある。
【特許文献1】特開2004−122107号公報(段落番号0077)
【特許文献2】特開2003−410812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置において次のような問題がある。
第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置においては、混合速度が拡散に支配されるため、混合の効率化に限界があり、混合に多くの時間を要していた。更に、市販のポンプの液体充填部分並びに当該ポンプとマイクロミキサ間を接続するチューブによる流路の等価直径が大きく、言い換えればマイクロミキサのような等価直径の極小さな微小流路でないため、その等価直径の大きい流路をマイクロミキサの微小流路に接続すると、本来マイクロミキサの微小流路で得られるはずの試薬量の低減の効果が殆ど得られなくなる。
【0012】
第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置においては、各液体の粘度が異なる場合、各液体の輸送バランスが崩れ、両液体を同時に輸送することが困難となる。このため、粘度が同等の液体同士の混合にしか適用できないという制約があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置及びマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、任意の値の目標流量値を設定すれば、ポンプ部から流路を介して輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能とした。ここで、マイクロポンプ・ミキサ一体化装置のポンプ部が2つであるとした場合に、2つのポンプ部により輸送される粘度の異なる液体A,Bの輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合される流量を、実際の計測によって求めておく。これを目標流量値として流量制御装置に設定すれば、各ポンプ部により輸送される粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合されることになる。これは、流路が微小流路であっても同様に実現できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができる。
【0015】
また、本発明の請求項2によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、基板に液体を流入する入口と、流出する出口とを形成し、その入口と出口とを基板内に形成した流路で連通し、その流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けたポンプと、基板に液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口とを形成したミキサとを用い、複数のポンプの出口とミキサの各入口とを管路で接続して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、前記ポンプの入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプの背圧と当該ポンプで輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、2つのポンプとミキサとを管路で接続した構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置であっても、請求項1と同様な作用を得ることができる。即ち、任意の値の目標流量値を設定すれば、各ポンプから管路を介してミキサへ輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能となる。従って、ポンプにより輸送される粘度の異なる液体A,Bを、輸送バランスが崩れないように同時に輸送して混合することができる。
【0017】
また、本発明の請求項3によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置は、請求項2において、前記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置の管路が、柔軟性のあるチューブであることを特徴とする。
この構成によれば、ポンプの圧電素子の振動をチューブで吸収し、その振動をミキサに伝搬させないようにすることが可能なので、各ポンプから輸送される粘度の異なる液体を輸送バランスが崩れないように同時に輸送し、ミキサの混合流路において、双方の液体を相流状態に流すことが可能となる。
【0018】
また、本発明の請求項4によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法は、基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法において、前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する第1のステップと、液体の目標流量値を設定する第2のステップと、前記第1のステップで記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記第2のステップで設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第4のステップと、前記第1のステップで記憶された複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を、前記第4のステップで求められた目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第5のステップと、前記第5のステップで求められた電圧−流量特性値と、前記第1のステップで設定された目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第6のステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、所望の目標流量値を設定することによって、ポンプから流路を介して輸送される液体の流量が設定目標流量値となるように、圧電素子を振動させるための印加電圧値を求め、この印加電圧値の電圧が該当圧電素子へ印加されるように制御可能となる。これによって、各ポンプから粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合されることになる。これは、流路が微小流路であっても同様に実現できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体を混合することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置の構成を示すブロック図である。
この図1に示すマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の流量制御装置50は、各種の液体の粘度51、流路形状特性値52及び背圧−流量特性値53を記憶するデータ記憶部56と、所望の目標流量値58が利用者によって設定されるデータ設定部59と、目標流量時背圧演算部(第1の演算手段)61と、電圧−流量特性演算部(第2の演算手段)62と、印加電圧演算部(第3の演算手段)63と、電圧発生部64とを備えて構成されている。
【0022】
この流量制御装置50が適用されるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の構成を図2に示す。図2(a)はマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の基板15の平面図、(b)は(a)に示す基板15に蓋板1を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30を(a)のE1−E2矢示線に沿って切断した断面図である。
このマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30は、既に説明済みの図8に示したマイクロミキサ19の各微小流路6の途中に、概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した構成の基板15を備え、それらのマイクロポンプ部10a,10bの上方の蓋板1の上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載して構成されている。
【0023】
なお、マイクロポンプ部10a,10bは概略円形状でなく微小流路6と同形状であっても、それら上方の蓋板1の上に圧電素子11a,11bを搭載してあれば、ポンプ機能を果たす。
これら圧電素子11a,11bに、流量制御部12の電圧発生部64から各々に適したレベルの電圧EA,EBが印加され、これによって当該圧電素子11a,11bが振動して各液体A,Bが輸送されるようになっている。
【0024】
それら電圧EA,EBのレベルは、各マイクロポンプ部10a,10bにより混合流路7へ輸送する粘度の異なる液体A,Bを、当該液体A,Bの輸送バランスが崩れないように同時に輸送して混合を促進可能とする流量(目標流量)を得るためのレベルである。
つまり、流量制御部12は、各々の液体A,Bを目標流量とするためのレベルの電圧EA,EBを電圧発生部64から発生させ、これら電圧EA,EBを該当の圧電素子11a,11bへ印加する制御を行うものである。この流量制御部12の構成要素について説明する。
【0025】
データ記憶部56には、予め、液体の粘度51と、流路形状特性値52と、背圧−流量特性値53とが記憶されている。
粘度51は、混合対象となる各種液体の粘度である。本実施の形態では2つの液体A,Bを対象とするので、それらの粘度の値が記憶されているものとする。但し、区別のため、液体Aのものを粘度51A、液体Bのものを粘度51Bとする。
【0026】
流路形状特性値52は、マイクロポンプ・ミキサ一体化装置30において液体A,Bが流れる流路の形状の特性値である。ここで、液体Aのものを流路形状特性値52A、液体Bのものを流路形状特性値52Bとする。
背圧−流量特性値53は、各マイクロポンプ部10a,10bの背圧(kPa)と液体A,Bの流量(μL/分)との関係を示す特性値であり、これを、図3(a)及び(b)を参照して説明する。
【0027】
図3(a)は、液体Aに係わる背圧−流量特性図であり、同図に示す53A1は第1の背圧−流量特性値、53A2は第2の背圧−流量特性値、53A3は第3の背圧−流量特性値である。
図3(b)は、液体Bに係わる背圧−流量特性図であり、同図に示す53B1は第1の背圧−流量特性値、53B2は第2の背圧−流量特性値、53B3は第3の背圧−流量特性値である。
【0028】
まず、液体Aに係わる構成について説明する。
第1の背圧−流量特性値53A1は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E1を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E1の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E1を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0029】
但し、本実施の形態では、一次曲線(一次関数値)としているが、実際は二次以上の曲線(二次以上の関数値)で示される場合もある。これは、後述においても同様である。
第2の背圧−流量特性値53A2は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E1よりも高いレベルの電圧E2を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E2の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E2を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0030】
第3の背圧−流量特性値53A3は、液体Aを輸送するマイクロポンプ部10aの圧電素子11aに電圧E2よりも高いレベルの電圧E3を印加した際の当該マイクロポンプ部10aの限界背圧×と、同電圧E3の印加時に同マイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Aの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E3を圧電素子11aに印加した状態でマイクロポンプ部10aの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0031】
また、図3(a)に、x軸と平行な直線によって液体Aの目標流量値58Aを示す。これは上述した目標流量の値であり、この例では液体A,B共に100(μL/分)とした。この目標流量値58Aは、データ設定部59に利用者によって任意に設定される。ここでは、データ設定部59には、液体Aの目標流量値58Aと、液体Bの目標流量値58Bとが設定されるものとする。
【0032】
更に、図3(a)には、x軸上に△で示す目標流量時背圧値66Aを通るy軸と平行な直線67Aが引いてある。その目標流量時背圧値66Aは、目標流量時背圧演算部61で演算される。
つまり、目標流量時背圧演算部61は、粘度51Aと、流路形状特性値52Aと、目標流量値58Aとを用いた所定の演算によって、目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値66Aを求めるものである。
【0033】
また、図3(a)の直線67Aと、各背圧−流量特性値53A1〜53A3との3つの交点●は、マイクロポンプ部10aが目標流量時背圧値66Aの背圧時に、圧電素子11aへの印加電圧をE1,E2,E3とした際の当該電圧と流量との関係を示す値となる。これら値●に基づく一次曲線が電圧−流量特性値67Aとなる。この電圧−流量特性値67Aは、判り易くは図3(c)の電圧−流量特性図のように示され、電圧−流量特性演算部62で演算される。
【0034】
つまり、電圧−流量特性演算部62は、各々の背圧−流量特性値53A1〜53A3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Aとした際の流量と電圧との相関関係から一次曲線である電圧−流量特性値67Aを求め、印加電圧演算部63へ出力するものである。
印加電圧演算部63は、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Aと目標流量値58Aとの交点を演算で求めることによって印加電圧値68Aを求め、これを電圧発生部64へ出力するものである。
電圧発生部64は、その印加電圧値68Aの電圧EAを発生して圧電素子11aへ印加するものである。
【0035】
次に、液体Bに係わる構成について説明する。
第1の背圧−流量特性値53B1は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E1を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E1の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E1を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0036】
第2の背圧−流量特性値53B2は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E1よりも高いレベルの電圧E2を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E2の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E2を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0037】
第3の背圧−流量特性値53B3は、液体Bを輸送するマイクロポンプ部10bの圧電素子11bに電圧E2よりも高いレベルの電圧E3を印加した際の当該マイクロポンプ部10bの限界背圧×と、同電圧E3の印加時に同マイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)とした際に輸送される液体Bの流量○とを直線で接続した一次曲線で示される値である。つまり、電圧E3を圧電素子11bに印加した状態でマイクロポンプ部10bの背圧を0(kPa)から徐々に限界背圧まで変化させた際に得られる一次関数値である。
【0038】
また、図3(b)に、x軸と平行な直線によって液体Bの目標流量値58Bを示す。これは上述した目標流量の値である。
更に、x軸上に△で示す目標流量時背圧値66Bを通るy軸と平行な直線67Bが引いてある。その目標流量時背圧値66Bは、目標流量時背圧演算部61で演算される。
つまり、目標流量時背圧演算部61は、粘度51Bと、流路形状特性値52Bと、目標流量値58Bとを用いた所定の演算によって、目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値66Bを求めるものである。
【0039】
また、図3(a)の直線67Bと、各背圧−流量特性値53B1〜53B3との3つの交点●は、マイクロポンプ部10bが目標流量時背圧値66Bの背圧時に、圧電素子11bへの印加電圧をE1,E2,E3とした際の当該電圧と流量との関係を示す値となる。これら値●に基づく一次曲線が電圧−流量特性値67Bとなる。この電圧−流量特性値67Bは、判り易くは図3(c)の電圧−流量特性図のように示され、電圧−流量特性演算部62で演算される。
【0040】
つまり、電圧−流量特性演算部62は、各々の背圧−流量特性値53B1〜53B3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Bとした際の流量と電圧との相関関係から一次曲線である電圧−流量特性値67Bを求め、印加電圧演算部63へ出力するものである。
印加電圧演算部63は、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Bと目標流量値58Bとの交点を演算で求めることによって印加電圧値68Bを求め、これを電圧発生部64へ出力するものである。
電圧発生部64は、その印加電圧値68Bの電圧EBを発生して圧電素子11bへ印加するものである。
【0041】
次に、このような構成の流量制御装置50によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の液体A,Bの流量制御の動作を、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS1において、利用者によりデータ設定部59に目標流量値58A,58Bが設定される。
この設定後、ステップS2において、目標流量時背圧演算部61にて、データ記憶部56に記憶された液体Aに係わる粘度51Aと、流路形状特性値52Aと、目標流量値58Aとを用いた所定の演算によって、図3(a)に示す目標流量時背圧値66Aが求められる。
同様に、目標流量時背圧演算部61にて、液体Bに係わる粘度51Bと、流路形状特性値52Bと、目標流量値58Bとを用いた所定の演算によって、図3(b)に示す目標流量時背圧値66Bが求められる。
【0042】
ステップS3において、電圧−流量特性演算部62にて、図3(a)に示す各々の背圧−流量特性値53A1〜53A3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Aとした際の流量と電圧との相関関係から図3(c)に示す一次曲線である電圧−流量特性値67Aが求められる。
同様に、電圧−流量特性演算部62にて、図3(b)に示す各々の背圧−流量特性値53B1〜53B3に表される背圧値を目標流量時背圧値66Bとした際の流量と電圧との相関関係から図3(c)に示す一次曲線である電圧−流量特性値67Bが求められる。
【0043】
ステップS4において、印加電圧演算部63にて、図3(c)に示す電圧−流量特性値67Aと目標流量値58Aとの交点が求められることによって印加電圧値68Aが求められる。同様に、印加電圧演算部63にて、電圧−流量特性値67Bと目標流量値58Bとの交点が求められることによって印加電圧値68Bが求められる。
ステップS5において、電圧発生部64にて、その印加電圧値68Aの電圧EAが発生されて圧電素子11aへ印加されると共に、印加電圧値68Bの電圧EBが発生されて圧電素子11bへ印加される。
【0044】
これによって、各圧電素子11a,11bが振動して各供給口3,4から供給された液体A,Bがマイクロポンプ部10a,10bから微小流路6を介して混合流路7へ輸送され、ここで混合されて流路口5から流出される。
このような実施の形態のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の流量制御装置50によれば、液体A及び液体Bの各々において、データ設定部59に所望の目標流量値58を設定すれば、各マイクロポンプ部10a,10bから微小流路6を介して輸送される液体A,Bの流量が設定目標流量値58となるように、圧電素子11a,11bを振動させるための印加電圧値68A,68Bが求められ、これらの印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加されるようにした。
【0045】
ここで、各マイクロポンプ部10a,10bにより粘度の異なる液体A,Bが輸送される際に、それらの輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合される流量を、実際の計測によって求めておく。これを目標流量値58としてデータ設定部59に設定すれば、この目標流量値58に応じた印加電圧値68A,68Bの電圧EA,EBが該当圧電素子11a,11bに印加されるので、図5に示すように、各マイクロポンプ部10a,10bにより輸送される粘度の異なる液体A,Bが、輸送バランスが崩れないように同時に輸送されて混合A+Bされる。これは本発明者の実験によって検証済みである。
【0046】
また、このように粘度の異なる液体A,Bを微小流路6,7にて輸送できるので、微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体A,Bを迅速に混合することができる。
この他、本流量制御装置50によれば、図10に示した構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置であっても、同様に微小流路の試薬量低減などの効果を維持しながら、粘度の異なる液体A,Bを迅速に混合することができる。
更に、本流量制御装置50を、図6に示す構成のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置70に適用することもできる。
【0047】
マイクロポンプ・ミキサ一体化装置70は、図8に示した構成のマイクロミキサ19と、2つのマイクロポンプ71,72とを、チューブ73,74で接続して構成したものである。各マイクロポンプ71,72は、一方を代表して説明すると、供給口3aと流出口3bとを接続する微小流路6aの途中に、概略円形状のマイクロポンプ部10a,10bを形成した構成の基板と、マイクロポンプ部10a,10bの上方の基板上に、ポンプ機能用の圧電素子11a,11bを搭載して構成されている。また、チューブ73は、マイクロポンプ71の流出口3bと、マイクロミキサ19の供給口3とを接続している。他方のチューブ74も同様である。
【0048】
このようなマイクロポンプ・ミキサ一体化装置70に、上述同様に流量制御装置50を適用した場合、各マイクロポンプ71,72により輸送される粘度の異なる液体A,Bが、該当チューブ73,74を介して輸送バランスが崩れないように同時にマイクロミキサ19へ輸送される。そして、マイクロミキサ19において各微小流路6を介して混合流路7へ輸送され、流路口5から流出される。
【0049】
この際に、混合流路7で上記同様に各液体A,Bを混合させることも可能であるが、各マイクロポンプ71,72とマイクロミキサ19とをチューブ73,74で接続しているので、次のような作用効果も得ることが可能となる。
つまり、各マイクロポンプ71,72の圧電素子11a,11bの振動を柔軟性のあるチューブ73,74で吸収することによって、その振動をマイクロミキサ19に伝搬させないようにする。
このようにした場合、図7に示すように、マイクロミキサ19の混合流路7を双方の液体A,Bが相流となって流れ、流路口5から排出されることになる。つまり、このような状態に液体A,Bを流す用途に用いることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)はマイクロポンプ・ミキサ一体化装置30の基板15の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)のE1−E2矢示線に沿って切断した断面図である。
【図3】(a)は、液体Aに係わる背圧−流量特性図、(b)は、液体Bに係わる背圧−流量特性図である。
【図4】上記流量制御装置によるマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の液体A,Bの流量制御の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】上記流量制御の作用効果を説明するための図である。
【図6】上記流量制御装置によって流量制御が行われる他のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示す平面図である。
【図7】上記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置のマイクロミキサにおいて2つの液体A,Bが相流となった状態を表す図である。
【図8】従来のY型マイクロミキサの構成を示し、(a)は蓋板、(b)は基板の平面図、(c)は(a)に示す蓋板と(b)に示す基板とを接合して形成したマイクロミキサを(b)に示すC1−C2矢示線に沿って切断した断面図である。
【図9】従来の第1のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示す平面図である。
【図10】従来の第2のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の構成を示し、(a)は基板の平面図、(b)は(a)に示す基板に蓋板を接合して形成したマイクロポンプ・ミキサ一体化装置を(a)に示すD1−D2矢示線に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋板
2,15 基板
3,4,3a,4a 供給口
5,3b,4b 流出口
6 微小流路
7 混合流路
10a,10b マイクロポンプ部
11a,11b ポンプ機能用の圧電素子
12 ミキサ機能用の圧電素子
30,70 マイクロポンプ・ミキサ一体化装置
50 流量制御装置
51 液体の粘度
52 流路形状特性値
53 背圧−流量特性値
56 データ記憶部
58 目標流量値
59 データ設定部
61 目標流量時背圧演算部
62 電圧−流量特性演算部
63 印加電圧演算部
64 電圧発生部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、
前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、
液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、
前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、
前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、
前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段と
を備えたことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項2】
基板に液体を流入する入口と、流出する出口とを形成し、その入口と出口とを基板内に形成した流路で連通し、その流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けたポンプと、基板に液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口とを形成したミキサとを用い、複数のポンプの出口とミキサの各入口とを管路で接続して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、
前記ポンプの入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプの背圧と当該ポンプで輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、
液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、
前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、
前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、
前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段と
を備えたことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項3】
前記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置の管路が、柔軟性のあるチューブである
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項4】
基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法において、
前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する第1のステップと、
液体の目標流量値を設定する第2のステップと、
前記第1のステップで記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記第2のステップで設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第4のステップと、
前記第1のステップで記憶された複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を、前記第4のステップで求められた目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第5のステップと、
前記第5のステップで求められた電圧−流量特性値と、前記第1のステップで設定された目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第6のステップと
を含むことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法。
【請求項1】
基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、
前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、
液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、
前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、
前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、
前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段と
を備えたことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項2】
基板に液体を流入する入口と、流出する出口とを形成し、その入口と出口とを基板内に形成した流路で連通し、その流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けたポンプと、基板に液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口とを形成したミキサとを用い、複数のポンプの出口とミキサの各入口とを管路で接続して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置において、
前記ポンプの入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプの背圧と当該ポンプで輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する記憶手段と、
液体の目標流量値が任意に設定される設定手段と、
前記記憶手段に記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記設定手段に設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第1の演算手段と、
前記複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を前記目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第2の演算手段と、
前記電圧−流量特性値と前記目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第3の演算手段と
を備えたことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項3】
前記マイクロポンプ・ミキサ一体化装置の管路が、柔軟性のあるチューブである
ことを特徴とする請求項2に記載のマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御装置。
【請求項4】
基板に、液体を流入する複数の入口と、各入口から流入された液体が流れて途中で混合する形状の流路と、この流路で混合された液体を流出する出口と、各入口に連通する流路毎に当該流路に振動が付与される状態で圧電素子を取付けた複数のポンプ部とを形成して成るマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の各圧電素子に電圧を印加して振動させることにより液体を輸送するマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法において、
前記入口から流入される各種異なる液体の粘度と、前記流路の形状の特性を示す流路形状特性値と、前記ポンプ部の背圧と当該ポンプ部で輸送される液体の流量との相関特性を示す背圧−流量特性値であって前記電圧のレベルを任意間隔で可変した際に同一液体で得られる複数の背圧−流量特性値とを記憶する第1のステップと、
液体の目標流量値を設定する第2のステップと、
前記第1のステップで記憶された粘度及び流路形状特性値と、前記第2のステップで設定された目標流量値とを用い、当該目標流量時の背圧値である目標流量時背圧値を求める演算を行う第4のステップと、
前記第1のステップで記憶された複数の背圧−流量特性値に表される背圧値を、前記第4のステップで求められた目標流量時背圧値とした際の流量と前記電圧との相関特性を示す電圧−流量特性値を求める演算を行う第5のステップと、
前記第5のステップで求められた電圧−流量特性値と、前記第1のステップで設定された目標流量値との交点から前記圧電素子への印加電圧値を求める演算を行う第6のステップと
を含むことを特徴とするマイクロポンプ・ミキサ一体化装置の流量制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−161717(P2006−161717A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355434(P2004−355434)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(800000080)タマティーエルオー株式会社 (255)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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