説明

マルチコーデックカメラシステムおよび画像取得プログラム

【課題】マルチコーデックカメラを用いて複数の圧縮率から成る画像データを取得するシステムで、効率的な運用を実現すること。
【解決手段】本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラ10と、マルチコーデックカメラ10によって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う映像取得ルール判断モジュール25とを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、映像取得ルール判断モジュール25は、マルチコーデックカメラ10によって取得した映像から所定の対象物を検知した場合、その対象物を検知した大きさに応じた圧縮率の画像データを選択するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラを利用して各種条件に応じた最適な画像データをクライアントに提供できるマルチコーデックカメラシステムおよび画像取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して映像を取得するネットワークカメラシステムにおいては、ネットワークに接続されたカメラにおいて取得した画像データのコーデック(例えば、MPEG:Moving Picture Experts Group、JPEG:Joint Photographic Experts Group)を選択して、いずれかの画像データをサーバーやクライアントに転送している(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
一方、近年では複数のコーデックに対応したマルチコーデックカメラも実現されており、このカメラを用いることで異なるコーデックの画像データを取り扱うシステムを構築することが可能となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−204518号公報
【特許文献2】特開2004−146959号公報
【特許文献3】特開2005−136613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マルチコーデックカメラを用いたシステムでは、ネットワークを介して同時に複数のコーデックで同じ映像を取得することはできるものの、これらの画像を有効に利用できるシステムは未だ実現されていない。つまり、取得した映像やネットワークの負荷など、各種の条件に応じて配信に最適な画像データを取り扱うシステムは実現されておらず、マルチコーデックカメラによる映像取得の利便性を十分に生かしているシステムにはなっていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、判断モジュールは、マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知した場合、その対象物を検知した大きさに応じた圧縮率の画像データを選択するものである。
【0007】
このような本発明では、マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検出し、その検出した対象物の大きさに応じた圧縮率の画像データを選択することから、検出した対象物の大きさとの関係で最適な圧縮率の画像データをサーバーやクライアントに転送できるようになる。
【0008】
ここで、検出した対象物が予め決められた大きさより大きい場合は第1の圧縮率(例えば、MPEG)から成る画像データを選択し、小さい場合は第1の圧縮率より低い第2の圧縮率(例えば、JPEG)から成る画像データを選択する。すなわち、検出した対象物が小さいほど高画質が要求されることから圧縮率を低くし、反対に大きいほど高画質は要求されないことから圧縮率を高くして転送速度を優先するようにしている。
【0009】
また、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、サーバーの前記判断モジュールは、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データから、ネットワークの負荷状況に応じた圧縮率の画像データを選択するものである。
【0010】
このような本発明では、ネットワークの負荷状況との関係で最適な圧縮率の画像データを選択するため、逐次変化するネットワークの負荷状況に対して最適な圧縮率から成る画像データをサーバーやクライアントに転送できるようになる。
【0011】
ここで、判断モジュールは、ネットワークの負荷状況が所定の基準値より多い場合は第1の圧縮率(例えば、MPEG)から成る画像データ、少ない場合は第1の圧縮率より低い第2の圧縮率(例えば、JPEG)から成る画像データを選択する。すなわち、ネットワークに多くの負荷がかかっているほど圧縮率の高い画像データを用いるようにして、ネットワークにかける負荷を軽減できるようになる。
【0012】
また、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーと、ネットワークに接続されるクライアントとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、サーバーは、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データを保存し、クライアントは、サーバーに保存された画像データのうち、取得したい画像データの検索を行う際には第1の圧縮率から成る画像データを利用し、検索した画像データをサーバーから取得する際には第1の圧縮率より高い第2の圧縮率から成る画像データを取得するものである。
【0013】
このような本発明では、サーバー内に複数種類の圧縮率から成る画像データが同時に保存されており、クライアントがサーバーに保存された画像データを検索する際には例えば静止画として取り込んだ圧縮率の低い画像データを利用するため迅速な検索が実現でき、検索した画像データをクライアントがサーバーから取得する際には動画として取り込んだ圧縮率の高い画像データを効率良く転送できるようになる。
【0014】
また、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、判断モジュールにおけるプログラム処理として、マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知するステップと、対象物を検知した大きさに応じた圧縮率の画像データを選択するステップとを有するものである。
【0015】
このような本発明では、マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検出し、その検出した対象物の大きさに応じた圧縮率の画像データを選択することから、検出した対象物の大きさとの関係で最適な圧縮率の画像データをサーバーやクライアントに転送できるようになる。
【0016】
また、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、サーバーの判断モジュールにおけるプログラム処理として、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データから、ネットワークの負荷状況に応じた圧縮率の画像データを選択するステップを有するものである。
【0017】
このような本発明では、ネットワークの負荷状況との関係で最適な圧縮率の画像データを選択するため、逐次変化するネットワークの負荷状況に対して最適な圧縮率から成る画像データをサーバーやクライアントに転送できるようになる。
【0018】
また、本発明は、映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーと、ネットワークに接続されるクライアントとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、サーバーにおけるプログラム処理として、マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データを保存するステップを有し、クライアントにおけるプログラム処理として、サーバーに保存された画像データのうち、取得したい画像データの検索を行う際には第1の圧縮率から成る画像データを利用し、検索した画像データを前記サーバーから取得する際には第1の圧縮率より低い第2の圧縮率から成る画像データを取得するステップを有するものである。
【0019】
このような本発明では、サーバー内に複数種類の圧縮率から成る画像データが同時に保存されており、クライアントがサーバーに保存された画像データを検索する際には例えば静止画として取り込んだ圧縮率の低い画像データを利用するため迅速な検索が実現でき、検索した画像データをクライアントがサーバーから取得する際には動画として取り込んだ圧縮率の高い画像データを効率良く転送できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
したがって、本発明によれば次のような効果がる。すなわち、マルチコーデックカメラを用いたシステムにおいて、システムが状況に応じて最適なコーデックを選択することから、ネットワーク負荷や使用者の要求に合致した最適な画像データを迅速に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。
【0022】
<本実施形態のベースとなる環境>
図1は本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムの概略構成図(その1)、図2は本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムの概略構成図(その2)である。すなわち、図1に示すように、本実施形態のベースとなる環境は、1台もしくは複数台のマルチコーデックカメラ10を管理することが出来るシステムで、マルチコーデックカメラ10と、その映像を取得、映像を解析、保存するサーバー20と、リモートでサーバー20をコントロール、映像を閲覧するクライアント30と、それらを結ぶネットワークNとで構成され、クライアント30、サーバー20にはマルチコーデックカメラ10の映像取得、撮影した画像のコーデックの切り替え、または同時取得をリモートからネットワークNを介して制御する機能が搭載されている。
【0023】
ここで、マルチコーデックカメラ10とは、複数種類の圧縮率から成る画像データを取り込むことができる画像入力装置であり、本実施形態では、例えば高圧縮率のMPEG−4(Moving Picture Experts Group phase 4)および低圧縮率のJPEGから成る画像データの両方を取り込むことができるものを用いている。
【0024】
また、クライアント30にはサーバー20の設定の変更機能、サーバー20で蓄積された映像と映像解析結果取得機能、マルチコーデックカメラ10から直接映像を取得するモードとの切り替え機能が搭載されている。
【0025】
また、図2に示すように、サーバー機能とクライアント機能とを併せ持つ管理クライアント30aと、複数のマルチコーデックカメラ10とで構成されるシステムでも本実施形態は適用可能である。また、各マルチコーデックカメラ10がサーバーのもつ判断モジュールをもち、ネットワークを介さないで動作する場合でも適用可能である。
【0026】
<本実施形態に必要なシステム>
図3は、本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムで必要なモジュール構成図である。すなわち、サーバー20にはクライアント30に映像や映像解析結果、サーバー20の持つ映像を配信する「クライアント配信モジュール21」と、サーバー20の現在の負荷を調査する「サーバー負荷解析モジュール22」と、ネットワークの現在の状態を調査する「ネットワーク状況解析モジュール23」と、マルチコーデックカメラ10から取得した映像をあらかじめ設定されたルールを基に保存する「映像保存モジュール24」と、サーバー20の状態やネットワークの状態やアラートの種類から映像取得ルールを決める「映像取得ルール判断モジュール25」と、マルチコーデックカメラ10から複数のコーデックの映像を同時に取得可能な「映像取得モジュール26」と、映像から動体や不動体を検知することが可能な「映像解析モジュール27」と、マルチコーデックカメラ10や「映像解析モジュール27」からアラートを受信することが可能な「アラート受信モジュール28」と、映像解析結果を保存する「映像解析結果DB(データベース)29a」と映像を保存する「映像DB29b」を搭載する。
【0027】
クライアント30は、サーバー20からの映像や映像解析結果、サーバー20の状態などを受信可能な「クライアント受信モジュール31」と、受信した結果に基づいて映像取得方法を判断する「映像取得モード切り替えモジュール32」と、マルチコーデックカメラ10から映像を取得することを可能とする「映像取得モジュール33」と、検索画面を表示するための[検索画面モジュール34]と、サーバー20の蓄積画像を再生するための[再生モジュール35]と、撮影結果をクライアント30で表示する「クライアント表示モジュール36」を搭載する。
【0028】
また、マルチコーデックの設定に関して、手動での優先順位の設定が可能であり、この設定を行うためのGUI(Graphical User Interface)の例を図4に示す。このGUIの例では、上から、どちらのコーデック(例えば、MPEG4もしくはJPEG)を優先するか、保存するコーデックはどのコーデックか、それぞれのコーデックのフレームレート、解像度、圧縮レベル、カラーレベルを設定することが可能となる。なお、本実施形態では、状況に応じて自動で設定される。
【0029】
上記各モジュールはコンピュータから成るサーバー20およびクライアント30によって実行されるプログラム処理として実現されている。以下、本実施形態で適用される各モジュールの具体例、役割を説明する。
【0030】
[映像取得モジュール]
マルチコーデックカメラ10からの映像を取得するモジュールである。
【0031】
[クライアント配信モジュール]
クライアント30へ映像や映像の解析結果、サーバー20の状態、クライアント30への命令などを配信するモジュールである。
【0032】
[サーバー負荷解析モジュール]
サーバー20のCPU(中央演算ユニット)、ディスクアクセスの状態を解析するモジュールである。
【0033】
[ネットワーク状況解析モジュール]
マルチコーデックカメラ10から受信する予定のフレームレートと、実際に受信可能なフレームレート、マルチコーデックカメラ10やクライアント30との通信のレスポンス時間(Ping)などから、ネットワークの負荷状況を解析するモジュールである。
【0034】
[映像解析モジュール]
映像から動体や不動体の検知を行い、その検知物の大きさなどを解析するモジュールである。
【0035】
[映像保存モジュール]
あらかじめ指定されたコーデックで各マルチコーデックカメラ10の映像をデータベースに保存するモジュールである。
【0036】
[アラート受信モジュール]
マルチコーデックカメラ10、もしくは映像解析モジュールからのアラートを受信して[映像取得ルール判断モジュール]にその内容を通知するモジュールである。
【0037】
[映像取得ルール判断モジュール]
サーバー20の負荷とネットワークの通信状況とアラート情報から、現在どのコーデックで映像をマルチコーデックカメラ10から取得して、どのコーデックでクライアント30に配信するのかを判断するモジュールである。
【0038】
[映像解析結果DB]
映像の解析結果を保存するデータベースである。クライアント30で保存した映像の再生を行うときに保存したデータが呼び出される。
【0039】
[映像DB]
映像を保存するデータベースである。クライアント30で保存した映像の再生を行うときに保存したデータが呼び出される。
【0040】
[クライアント受信モジュール]
サーバー20からの映像、映像解析結果、命令、サーバー20の状態を受け取るモジュールである。
【0041】
[映像取得モード切り替えモジュール]
サーバー20からの命令によっては直接マルチコーデックカメラ10へ表示用の映像を取得するようにクライアント30の映像取得モードを切り替えるモジュールである。
【0042】
[検索画面モジュール]
クライアント30に検索画面を表示するために必要な情報をサーバー20から取得するモジュールである。
【0043】
[再生モジュール]
クライアント30にサーバー20で蓄積した映像を表示するために必要な情報をサーバー20から取得するモジュールである。
【0044】
[クライアント表示モジュール]
サーバー20、もしくはマルチコーデックカメラ10から取得した映像、映像解析結果を表示するモジュールである。
【0045】
図5は、各モジュールの関係を示すソフトウェアモジュール相関図である。以下、この相関図を用いて動作の説明を行う。
【0046】
<動作の説明>
(1)ある大きさ(予め設定された基準)以上の動体を検知した時(近くの動体)、ある大きさ以下の動体を検知した時(遠くの動体)、カメラからアラート情報を受信した時に、コーデックを切り替える動作。以下、(1-1)〜(1-6)に動作の流れを示す。
【0047】
(1-1)…[映像取得モジュール26]がマルチコーデックカメラからあらかじめ指定した優先順位の高いコーデック、もしくは複数のコーデックで映像を取得する。
(1-2)…[映像解析モジュール27]が映像を基に動体、もしくは不動体を検知する。
(1-3)…[映像解析モジュール27]が[アラート受信モジュール28]に動体のサイズ、もしくは不動体のサイズを通知する。マルチコーデックカメラ10からアラートを受け取った場合も[アラート受信モジュール28]がそのアラート内容(動体検知、不動体検知、音検知など)を取得する。
(1-4)…[アラート受信モジュール28]が[映像取得ルール判断モジュール25]にアラート内容を通知する。
(1-5)…[映像取得ルール判断モジュール25]が通知内容に応じて[映像取得モジュール26]に映像取得方法の変更命令を出す。
ここで、映像取得方法の切り替えとしては、ある大きさより大きな動体、もしくは動体(もしくは不動体)を検知したとき、またはマルチコーデックカメラ10からの音検知を受信した場合はMPEG、ある大きさより小さな動体(もしくは不動体)を検知したときはJPEGから成る映像をクライアントに配信するコーデックとして、また、サーバーの[映像DB29b]に保存するコーデックとして切り替えを行う。なお、これらの設定は事前に登録しておくことも可能である。
(1-6)…[映像取得モジュール26]は、必要があればマルチコーデックカメラ10から取得する映像のコーデックを変更する。
【0048】
(2)ネットワークの負荷状況、もしくはサーバーの負荷状況が悪くなったときにコーデックを切り替える動作。以下、(2-1)〜(2-7)に動作の流れを示す。
【0049】
(2-1)…[映像取得モジュール26]がマルチコーデックカメラからあらかじめ指定した優先順位の高いコーデック、もしくは複数のコーデックで映像を取得する。
(2-2)…[ネットワーク状況解析モジュール23]が設定されたフレームレート、現在受信可能なフレームレート、ネットワーク負荷確認コマンドの結果を基に、ネットワーク負荷状態を判断する。ここで所定の閾値を超えたら[映像取得ルール判断モジュール25]にネットワーク状況を通知する。
(2-3)…[映像取得ルール判断モジュール25]は[ネットワーク状況解析モジュール23]からの通知内容に応じて[映像取得モジュール26]に映像取得方法の変更命令を出す。
ここで、映像取得方法の切り替えとしては、ネットワーク通信負荷が全くない(もしくはごく少ない)場合は、JPEGとMPEGの双方で受信し、ネットワーク通信負荷がある閾値より低い場合で現在アラート通知から音声を要求されていない場合はJPEG(要求がある場合にはMPEG)で受信し、JPEG画像取得のフレームレートが設定値よりも低い、またはネットワーク通信負荷がある閾値より高い場合はMPEGで受信し、さらにそれ以上に通信負荷が高く、ある閾値を超えた場合はH264のコーデックでマルチコーデックカメラ10から映像を取得する。なお、これらの設定は事前に登録しておくことも可能である。
(2-4)… [サーバー負荷解析モジュール22]において、サーバーの負荷が高いと判断した場合は、[サーバー負荷解析モジュール22]が[クライアント配信モジュール21]経由でクライアントに表示用のコーデック取得命令を出す。
(2-5)…クライアントの[クライアント受信モジュール31]は、サーバーの[クライアント配信モジュール21]から送られたコーデック取得命令を受け取るとそれを[映像取得モード切り替えモジュール32]に通知し、クライアントに搭載された[映像取得モジュール33]はマルチコーデックカメラ10から直接表示映像の取得を開始する(図5の破線矢印参照)。
(2-6)… [クライアント表示モジュール36]はその映像と[クライアント受信モジュール31]から取得した映像解析結果をマージして利用者に映像を表示する。
(2-7)…ネットワーク負荷が下がった場合は[ネットワーク状況解析モジュール23]が[映像取得ルール判断モジュール25]に改善されたネットワーク状況を通知して、[映像取得ルール判断モジュール25]が再度映像取得方法を切り替える。
【0050】
(3)サーバーでJPEG画像を検索用に保存、クライアントで検索に用いる時の動作。以下、(3-1)〜(3-4)に動作の流れを示す。
【0051】
(3-1)…[映像取得モジュール26]がマルチコーデックカメラ10からMPEG、JPEGの両方のコーデックで映像を取得する。
(3-2)…[映像保存モジュール24]はクライアントが検索時に使用するサムネイル画像としてJPEG画像を定期的、もしくは動体検知ごとに保存する。また、MPEGの映像は常時録画する。
(3-3)…クライアントが検索画面の表示要求を出すと、[検索画面モジュール34]がサーバーからサムネイル画像を取得して、[クライアント表示モジュール36]により検索画面を表示する。
(3-4)…クライアントがサムネイル画像を選択すると、そのサムネイル画像と一緒に記録された撮影時間を基に[再生モジュール35]がサーバーからMPEGの映像を取得して、[クライアント表示モジュール36]が再生を開始する。
【0052】
このような本実施形態により、例えば映像の中に動体を検出して、それがカメラから所定距離以内の動体、もしくは音の検知をトリガーとしたアラーム通報によって自動的にMPEGに切り替えて、音声と画像とを送ることが可能となる。また、所定距離以上先にある動体であれば、JPEGのコーデックに切り替え高解像度にして、音が取れない分、各フレームでMPEGより鮮明な映像を送ることが可能となる。
【0053】
また、JPEG、MPEGのどちらもサーバーに保存されるため、ネットワークの負荷とネットワーク構成とを考慮しつつ、サーバーが取得するJPEG画像取得があるフレームレートよりも下がった場合、MPEGコーデック、もしくはH264コーデックの映像の優先度を上げて、JPEGのフレームレートを落とすことで、連続性の高い映像を優先することもできる。
【0054】
また、ネットワークカメラを複数管理しているシステムで、サーバーの負荷が高い場合にある閾値を超えたら、サーバーはMPEGのみを取得、録画して、クライアントがJPEGで映像取得を開始することもできる。これにより、ユーザはネットワークを介した映像取得システムで、現在よりも様々な状況に応じた品質の高い映像を取得することができるようになる。また、フレームレートの低いJPEG画像を撮影画像の再生時に検索キーとして使用することで、蓄積されたMPEG映像の検索システムを容易に構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムの概略構成図(その1)である。
【図2】本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムの概略構成図(その2)である。
【図3】本実施形態に係るマルチコーデックカメラシステムで必要なモジュール構成図である。
【図4】GUIの例を示す図である。
【図5】各モジュールの関係を示すソフトウェアモジュール相関図である。
【符号の説明】
【0056】
10…マルチコーデックカメラ、20…サーバー、21…クライアント配信モジュール、22…サーバー負荷解析モジュール、23…ネットワーク状況解析モジュール、24…映像保存モジュール、25…映像取得ルール判断モジュール、26…映像取得モジュール、27…映像解析モジュール、28…アラート受信モジュール、29a…映像解析結果DB、29b…映像DB、30…クライアント、31…クライアント受信モジュール、32…映像取得モード切り替えモジュール、33…映像取得モジュール、34…検索画面モジュール、35…再生モジュール、36…クライアント表示モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、
前記判断モジュールは、前記マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知した場合、その対象物を検知した大きさに応じた圧縮率の画像データを選択する
ことを特徴とするマルチコーデックカメラシステム。
【請求項2】
前記判断モジュールは、前記マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知した場合、その対象物が予め決められた大きさより大きい場合は第1の圧縮率から成る画像データ、小さい場合は前記第1の圧縮率より低い第2の圧縮率から成る画像データを選択する
ことを特徴とする請求項1記載のマルチコーデックカメラシステム。
【請求項3】
前記判断モジュールは、前記マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知した場合、その対象物が予め決められた大きさより大きい場合は第1の圧縮率から成る画像データとともに音声データの取得を選択し、小さい場合は前記第1の圧縮率より低い第2の圧縮率から成る画像データを選択する
ことを特徴とする請求項1記載のマルチコーデックカメラシステム。
【請求項4】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、
前記サーバーの前記判断モジュールは、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データから、前記ネットワークの負荷状況に応じた圧縮率の画像データを選択する
ことを特徴とするマルチコーデックカメラシステム。
【請求項5】
前記判断モジュールは、前記ネットワークの負荷状況が所定の基準値より多い場合は第1の圧縮率から成る画像データ、少ない場合は前記第1の圧縮率より低い第2の圧縮率から成る画像データを選択する
ことを特徴とする請求項4記載のマルチコーデックカメラシステム。
【請求項6】
前記ネットワークにクライアントが接続されており、前記サーバーの負荷状況が所定の基準値より多くなった場合、前記サーバーは前記クライアントに対して前記マルチコーデックカメラから前記ネットワークを介して直接画像データを取得する命令を与える
ことを特徴とする請求項4記載のマルチコーデックカメラシステム。
【請求項7】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーと、
前記ネットワークに接続されるクライアントとを備えるマルチコーデックカメラシステムであって、
前記サーバーは、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データを保存し、
前記クライアントは、前記サーバーに保存された画像データのうち、取得したい画像データの検索を行う際には第1の圧縮率から成る画像データを利用し、検索した画像データを前記サーバーから取得する際には前記第1の圧縮率より高い第2の圧縮率から成る画像データを取得する
ことを特徴とするマルチコーデックカメラシステム。
【請求項8】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、
前記判断モジュールにおけるプログラム処理として、前記マルチコーデックカメラによって取得した映像から所定の対象物を検知するステップと、
前記対象物を検知した大きさに応じた圧縮率の画像データを選択するステップとを有する
ことを特徴とする画像取得プログラム。
【請求項9】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、
前記サーバーの前記判断モジュールにおけるプログラム処理として、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データから、前記ネットワークの負荷状況に応じた圧縮率の画像データを選択するステップを有する
ことを特徴とする画像取得プログラム。
【請求項10】
映像を複数種類の圧縮率から成る画像データにして取得するマルチコーデックカメラと、
前記マルチコーデックカメラとネットワークを介して接続され、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率の画像データから所定の基準に従って画像データの選択を行う判断モジュールを有するサーバーと、
前記ネットワークに接続されるクライアントとを備えるマルチコーデックカメラシステムで実行される画像取得プログラムであって、
前記サーバーにおけるプログラム処理として、前記マルチコーデックカメラによって取得した複数種類の圧縮率から成る画像データを保存するステップを有し、
前記クライアントにおけるプログラム処理として、前記サーバーに保存された画像データのうち、取得したい画像データの検索を行う際には第1の圧縮率から成る画像データを利用し、検索した画像データを前記サーバーから取得する際には前記第1の圧縮率より低い第2の圧縮率から成る画像データを取得するステップを有する
ことを特徴とする画像取得プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−158553(P2007−158553A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348641(P2005−348641)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】