説明

レーザー光利用接近検知システム

【課題】 クレーン等の重機が送電線に対して接近したことを検知する新規なレーザー光利用接近検知システムを提供すること
【解決手段】 クレーンの移動するブームの先端部に配置され、送電線の相対的な動きに追従するCCDカメラと、前記CCDカメラに連動して照射方向を変更するレーザー距離計と、前記レーザー距離計に適当なインターフェイスによって接続されたコンピュータとを備え、前記レーザー距離計は、前記送電線までの距離を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン等の重機の高圧電線(送電線)への接近を検知するレーザー光利用接近検知システムに関し、更に具体的には、レーザー測定機器を利用したクレーン等の高圧電線への接近を検知するレーザー光利用接近検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給者(電力会社)が、電力需用者(工場、家庭等)に対して電力を供給する場合、比較的高圧の電力を電力供給者が運営する発電所から送電線を介して電力需用者の近傍にある変電所、変圧器等に送電し、これら変電所等にて所定電圧に降圧し、電力需用者に供給している。発電所から変電所等までの長距離の送電路を確保するために、一般に鉄塔に架けられた送電線が張り巡らされている。このため、送電線には、例えば、各種高圧階級と称される22kV,66kV,110kV,220kVのような高圧電流が流れている。
【0003】
発電所から変電所等までの距離が長いため、各地の送電線付近にて、種々の土木工事、建造物の建設・修理・撤去、比較的大きな物品の運搬等の作業を行わなければならない事態が発生する。これら作業の内、送電線と接触する可能性がある作業は、典型的にはクレーン等の重機を用いて行う作業である。
【0004】
送電線付近でクレーン等の重機による作業が行われ、クレーンのブームがその送電線に接近する可能性がある場合、これを絶対的に回避するために、細心の注意を払わなければならない。
【0005】
従来、クレーンのブームが送電線に接近する可能性がある場合、電力供給者から派遣された立会者のもと、視覚的な安全対策を施し、安全管理を行っていた。具体的には、図1に示すように、送電線2から目安ロープ(図示せず。)を吊り下げ、クレーン4のブーム15の先端部5が接近したことを立会者12が目視で確認したとき、携帯子機10からクレーン内の親機9を所持するクレーンオペレータ8に対して、無線通信の双方向通話により注意を喚起する方法が採用されていた。送電線接触事故の発生を確実に防止するため、立会者12として経験豊富な人間が選定されていた。
【0006】
なお、本発明者は、本発明に係る無線式接近警報装置に関連する公開された技術文献として、次の特許文献を承知している。しかし、これらの特許文献には、レーザーを利用した技術に関する記載は存在しない。
【特許文献1】特開2000-113349(平成12年4月21日公開)、発明の名称「高圧活線センサー」、出願人株式会社谷沢製作所
【特許文献2】特開2002-260120(平成14年9月13日公開)発明の名称「活線警報機」、出願人株式会社谷沢製作所、同株式会社中電工
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような人間の視覚に依存する安全対策では、不注意、誤認、判断ミス等により、クレーンのブームと送電線との接触事故の発生する確率をゼロにすることは困難である。
【0008】
本発明者等は、このような接近センサとして、例えば、送電線からの電磁界を電磁センサ、GPSを利用して送電線の位置とクレーンの位置を求める位置センサ等の種々のセンサを利用したシステムの検討・開発をしている。本発明は、これらセンサのうちで、レーザー光を利用したセンサを組み込んだレーザー光利用接近検知システムを対象としている。
【0009】
本発明者等は、このような状況に鑑みて、クレーン等のブーム(重機)と送電線の接触事故が発生する確率を限りなく減少させることできるレーザー光利用接近検知システムを開発することに着手した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明は、クレーン等の重機が送電線に対して接近したことを検知する新規なレーザー光利用接近検知システムを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、重機に取り付けられ、送電線を自動追従するカメラと、前記カメラの動きに連動して向きを変えるレーザー距離計とを備え、該レーザー距離計によって前記送電線までの距離が測定される。
【0012】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計は、レーザー光を線状走査している。
【0013】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計は、レーザー光を前記送電線に対してほぼ垂直方向に線状走査している。
【0014】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計は、赤色可視光線を発するレーザーダイオードを光源としている。
【0015】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記カメラは、移動する前記重機の先端に撮影方向を変更可能な状態で設置され、画像認識技術を利用して前記送電線を自動追従している。
【0016】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計は、前記送電線に向かってレーザー光を照射し、その反射光を捕捉して、該送電線までの距離を算出している。
【0017】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計による距離測定は、少なくとも前記重機が移動するときに実行される。
【0018】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、クレーンの移動するブームの先端部に配置され、送電線の相対的な動きに追従するCCDカメラと、前記CCDカメラに連動して照射方向を変更するレーザー距離計と、前記レーザー距離計に適当なインターフェイスによって接続されたコンピュータとを備え、前記レーザー距離計は、前記送電線までの距離を測定している。
【0019】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記CCDカメラは、画像処理技術を利用して前記送電線の相対的な動きに自動追従している。
【0020】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記CCDカメラは、少なくともクレーン移動時には前記送電線を自動追従している。
【0021】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、レーザー距離計は、前記送電線に向けてレーザー光を線状走査する。
【0022】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記レーザー距離計は、前記送電線に対して垂直方向にレーザー光を線状走査する。
【0023】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記コンピュータは、クレーンオペレータの近傍に設置されている。
【0024】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記コンピュータは、前記レーザー距離計と適当なインターフェイスによって接続され、該レーザー距離計から距離データを受信している。
【0025】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記コンピュータは、距離情報を音声出力するためのスピーカ、表示出力するためのモニタ及び振動出力するためのバイブレータのいずれか1個以上を有している。
【0026】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記送電線には目安ロープがぶら下げられ、該目安ロープの下端にマークが取り付けられ、前記CCDカメラは、前記マークを自動追従するようになっている。
【0027】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記CCDカメラは、傾斜自在な設置盤に取り付けられて、前記送電線の相対的な動きに自動追従し、前記レーザー距離計は、同じ設置盤の上に設置されて、前記CCDカメラが前記送電線を自動追従するのに連動して該レーザー距離計も該送電線を自動追従している。
【0028】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記送電線には、前記レーザー距離計からのレーザー光を反射する反射板が取り付けられている。
【0029】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記送電線には目安ロープがぶら下げられ、該目安ロープの下端にレーザー光反射板が取り付けられている。
【0030】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記CCDカメラと前記レーザー距離計とは、同じ設置盤に取り付けられ、前記設置盤は、垂直軸及び該垂直軸に連結する第1のモータと、水平軸及び該水平軸に直結する第2のモータとを有し、前記第1及び第2のモータが駆動して前記設置盤の傾斜が制御される。
【0031】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、カメラ関係では、前記CCDカメラと、前記CCDカメラから現在の画像を取り込むフレームメモリと、前記CCDカメラから基準の画像を取り込む基準フレームメモリと、前記フレームメモリに記録された画像データと、前記基準フレームメモリに記録された画像データとを比較して、変位量を検出して変位量データとして出力する動き検出回路と、前記変位量データに基づき、x方向データ及びy方向データを第1及び第2のモータ駆動回路40に夫々送出する動き補償回路と、前記x方向データに基づき前記第1のモータに駆動電流を供給する第1のモータ駆動回路と、前記y方向データに基づき前記第2のモータに駆動電流を供給する第2のモータ駆動回路とを備えている。
【0032】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記基準フレームメモリに取り込まれる基準の画像は、撮像面の中央部分にマークを位置させた状態で撮像されている。
【0033】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記動き検出回路は、前記フレームメモリに格納された現在の画像データと前記基準フレームメモリに記録されている基準の画像データとを比較してその変位量を検出して変位量データとして出力し、前記変位量は、CCDカメラの撮像面をxy平面とし、該撮像面の法線の方向をz方向としたとき、x方向とy方向の各変位量を示している。
【0034】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記フレームメモリにマークの画像データが存在せず、変位量が検出されなかった場合には、前記フレームメモリは、エラー信号を出力する。
【0035】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記フレームメモリからエラー信号が出力された時、前記動き補償回路は、(i)警報機からアラームの出力、(ii)クレーンの動きを停止するための停止信号の出力、(iii)予め設定されたCCDカメラのスキャニング動作、及び(iv)オペレータの操作によるマーク映像の追従、の群から成る動作の少なくとも一つを実行する。
【0036】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記動き補償回路は、前記動き検出回路からの変位量データであるx方向データ及びy方向データを第1及び第2のモータ駆動回路40に夫々送出し、これによって、CCDカメラにて撮像されるマークの位置が撮像面の中央位置になるように、該CCDカメラが自動追従される。
【0037】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、レーザー距離計関係では、少なくとも、前記走査線に対してレーザ−光を走査するレーザー走査回路、前記送電線で反射されたレーザー光を受信する反射光受信回路及びレーザー光の発信から受信までの期間に対応して該送電線までの距離を算出する距離算出回路を有するレーザー距離計と、前記レーザー距離計にインターフェイスを介して接続されたコンピュータと、前記コンピュータに接続された表示装置とを備えている。
【0038】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記コンピュータにより、距離データは整理され、モニタに表示される。
【0039】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記送電線の電圧に対応した安全離隔距離を規定し、この安全離隔距離と距離データを比較して、該距離データが安全離隔距離を超えた時に警報を発するようにしている。
【0040】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記送電線の電圧に対応した安全離隔距離を二段階に規定して、第1の安全離隔距離を超えた時に注意警報を発し、第2の安全離隔距離を超えた時に最終警報を発する。
【0041】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、上述のレーザー光利用接近検知システムであって、前記連動する手段は、水平軸とその駆動モータ及び垂直軸とその駆動モータを備えた設置盤を2個用意し、前記カメラと前記レーザー距離計を別々に設置し、該カメラの動き検出回路からの水平方向及び垂直方向の変位量データを該レーザー距離計の水平方向及び垂直方向モータ駆動回路に夫々入力することで、該レーザー距離計が該カメラの動きに追従する用にしている。
【0042】
更に本発明に係るレーザー光利用接近検知システムは、クレーン先端部に取り付けられ、送電線を自動追従するカメラ及び該送電線までの距離を測定するレーザー距離計と、前記カメラの動きに連動して前記レーザー距離計の向きを変える連動手段とを備え、前記レーザー距離計は、前記送電線までの距離を連続的に測定している。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、クレーン等の重機が送電線に対して接近したことを検知する新規なレーザー光利用接近検知システムを提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明に係るレーザー光利用接近検知システムの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら、その詳細を説明する。なお、図面中、同じ要素に対しては同じ符号を付して重複した説明を省略する。
[レーザー光利用の検討]
図2は、レーザー利用の測定機器20の走査範囲を説明する図である。図中、符号2は送電線であり、レーザーセンサ20からのレーザー光21は線状に走査され、その反射光(図示せず。)が捕捉される。このレーザー光利用接近検知システムに利用されるレーザーセンサ20は、センサという点源から送電線という直線状対象物を検出することを目的としている。この観点から、レーザーが一点のみ照射するもの(スポット状走査)では検知確率が劣り、また3次元空間を全方位で走査するものでは効率が下がり且つ価格が高くなる。結局、送電線2に対してほぼ垂直方向に空間内の平面を走査するもの(線状走査)が適している。
【0045】
次に、図3乃至図5は、接近検知に際してレーザーセンサをどのように使用するかを説明する図である。図3及び図4では、レーザーセンサ20により禁止領域を確定し、この領域に侵入してきたクレーン4のブーム15を検出している。具体的には、図3では、送電線2の直下から安全距離(距離xの位置)にレーザーセンサ20を設置し、レーザー光21を真上に線状に走査している。この場合、送電線2から水平方向距離x以内にクレーン4のブーム15が侵入すると、レーザーセンサ20によって検知される。
【0046】
図4では、送電線2の直下から遠く離れた位置にレーザーセンサ20を設置し、レーザー光21を送電線2の下方向安全距離(距離y)の箇所に向けて線状に走査している。この場合、送電線2から垂直方向距離y以内にクレーン4のブーム15が侵入すると、レーザーセンサ20によって検知される。
【0047】
更に、図3のレーザーセンサ20と図4のそれとを両方採用すると、2台のレーザーセンサによって、送電線2から水平方向距離x及び垂直方向距離yの両方に禁止領域を確定することが出来、この領域にクレーン4のブーム15が侵入すると、レーザーセンサによって検知される。
【0048】
しかし、このようなレーザーセンサ20により禁止領域を確定し、この領域に侵入したクレーン4を検出する方式は、クレーンが移動する毎に、新たにレーザーセンサを設置す必要がある。クレーンの移動毎に、レーザーセンサを、例えば5mといった安全距離に精確に設置することは煩わしく、作業性も悪い。
【0049】
図5は、クレーン4のブーム15の先端5にレーザーセンサ20を取り付け、ブーム15と共に移動するレーザーセンサにより、相対的に接近する送電線2を検知する方式である。この方式によれば、図3及び4のレーザーセンサ20のように、クレーン4の移動毎に、レーザーセンサを設置する必要が無くなる。
【0050】
ブーム15の先端5にレーザーセンサ20を取り付ける方式で重要なことは、レーザー光21が送電線2を見失わず、常時送電線2に向かって照射されその反射光を捕捉して接近状態を把握することにある。レーザー光21が線状に走査するとはいうものの、レーザー光21が送電線2の方向とは反対向きに走査しては、送電線2を見失ってしまう。従って、常時レーザーセンサ20の向きをほぼ(即ち、線状走査で捕捉できる程度に)送電線2に向けるように制御する必要がある。
【0051】
次に、本発明者等は、市場で入手し得るレーザーセンサの性能等に関して調査を行った。この結果、レーザー距離計として種々のセンサが提供されていることが判明した。例えば、線状に走査する典型的なレーザー距離計として、レーザーダイオード635nm赤色可視光線クラス2(IEC規格)の光源を使用し、測定範囲0.3〜50m(反射板無し)20〜100m(反射板使用時)、測定精度±3mm(40mにおいて)、応答時間約0.6〜5秒、インターフェイスRS−232Cのようなセンサが多数提供されている。このような性能のセンサは、本発明に係るレーザー光利用接近検知システムに利用可能と判断される。
【0052】
次に、本発明者等は、レーザーセンサ20の向きを自動制御する方式について検討した。検討の結果、レーザー距離計を、近傍に位置する送電線2に方向付けする手段として、被写体(送電線2)を自動追従するカメラ20を利用することとした。その原理は、図6(A)に示すように、カメラ20をクレーンのブーム先端5に撮影方向を変更可能な状態で設置する。画像認識技術を利用して、移動するクレーン上で常時カメラ20を被写体である送電線2の方向に向かせることにする。
【0053】
図6(B)に示すように、クレーンに設置されたカメラ20の直ぐ近くにはレーザー距離計22が設置されている。このレーザー距離計22の向き(レーザー照射方向)21を、常時送電線2に向けられたカメラ20に連動させる。このような原理の構成を採択することにより、レーザー距離計22も常時送電線2に向かってレーザー光21を照射し、その反射光を捕捉して、クレーン先端5から送電線2までの距離を検出することが出来る。なお、このレーザー照射による距離測定は、常時継続的に実施する必要は無く、クレーン4が移動するときに(即ち、クレーンと送電線間の距離が変化するときに)実行すればよいことを承知されたい。
[レーザー光利用接近検知システム]
図7乃至図10を用いて、本実施形態に係るレーザー光利用接近検知システム24について説明する。図7は、本実施形態に係るレーザー光利用接近検知システム24のシステム構成の全体的な概要を説明する図である。図7に示す状況は、送電線2(電磁界発生体)2が鉄塔3の間に架けられている。この送電線2の付近で、クレーン等の重機4を用いた作業が行われる状況である。勿論、本システムに対して、図1に関連して説明した従来の無線通信の双方向通話を利用した視覚的な(親機9と携帯子機10による)安全対策システムを追加して併用してもよい。
【0054】
図7に示すレーザー光利用接近検知システム24では、クレーン4のブーム15の先端部5に配置され、送電線2の相対的な動きに追従するCCDカメラ20と、このCCDカメラ20に連動して照射方向が決められるレーザー距離計22と、このレーザー距離計22に適当なインターフェイス27によって接続されたPC(パーソナルコンピュータ)26とを備えている。
【0055】
CCDカメラ20は、送電線2を自動追従している。この自動追従は、常時又は少なくともクレーン移動時には行われる。
【0056】
レーザー距離計22は、このCCDカメラ20に連動してその本体の向きが変化する。そのため、CCDカメラ20も、ほぼ送電線2を自動追従している。この結果、レーザー光21の線状走査により、確実に送電線2を捕捉することができ、クレーン4と送電線2間の距離を測定できる。
【0057】
PC26は、オペレータ8の近傍に、例えば、オペレータルーム内に設置されている。PC26は、適当なインターフェイス27によってレーザー距離計22から距離データを受信する。所望により、PC26には、距離データを音声出力するためのスピーカ、表示出力するためのモニタ、振動出力するための起振動装置(バイブレータ)等を接続してもよい
図8は、図7のシステムのCCDカメラ20とレーザー距離計22との組み合わせによる距離測定方法を説明する図である。好ましくは、送電線2には目安ロープ28がぶら下げられ、該目安ロープの先端(下端)に例えば球状のマーク29が取り付けられている。CCDカメラ20の画像情報により、CCDカメラ設置盤30の傾きが自動制御され、CCDカメラ20がこのマーク29を自動追従するようになっている。
【0058】
同じ設置盤30の上には、近傍にレーザー距離計22が取り付けられている。従って、CCDカメラ20が目安ロープ28を自動追従するのに連動して、レーザー距離計22も目安ロープ28を自動追従している。好ましくは、レーザー距離計22は線状走査をしている。地面に対してほぼ水平に架線された送電線2に対して確実にレーザー照射するためには、レーザー照射は地面(及び送電線)に対してほぼ垂直方向に線状走査することが好ましい。尚、送電線自体にマーク又は反射板29を取り付けてもよい。
【0059】
上述したレーザー距離計22では、反射板を用いた方が、反射板無しの場合に比較して、測定範囲は広がり、また測定精度も向上する。従って、好ましくは、目安ロープ28の先端マークとして、又はこれに追加してレーザー反射板29を取り付けて、距離測定を更に安定なものにすることもできる。
【0060】
図9は、図7のシステムのCCDカメラ20とレーザー距離計22との組み合わせが、その対向方向が自動制御される設置盤30に取り付けられた様子を説明する図である。この設置盤30は、上面から見てほぼ長方形状を有し、ブーム15の先端部5に傾斜自在に取り付けられている。設置盤30は、該設置盤の下面に板面に対し直交して設けられた垂直軸31を有する。この垂直軸31は、第1のモータ32の回転軸(図示せず)と連結、あるいは第1のモータに直結されている。従って、設置盤30は、第1のモータ32による回転駆動によって垂直軸31を中心に回転することとなる。
【0061】
更に、設置盤30は、該設置盤の下面に板面に対し水平に設けられた水平軸33を有する。この水平軸33は、第2のモータ34の回転軸(図示せず)と連結、あるいは第2のモータに直結されている。
【0062】
図10は、図7のレーザー光利用接近検知システム24の詳細を説明するブロック図である。このシステムは、カメラ関係では、CCDカメラ20と、フレームメモリ34と、基準フレームメモリ36と、動き検出回路37と、動き補償回路38と、第1のモータに駆動電流を供給する第1のモータ駆動回路39と、第2のモータに駆動電流を供給する第2のモータ駆動回路40とを備えている。レーザー距離計関係では、レーザー走査回路41、反射光受信回路42及び距離算出回路43を有するレーザー距離計22と、この距離計にRS−232Cのような適当なインターフェイス27を介して接続されたPC26と、このPCに接続されたモニタ(表示装置)45とを備えている。
【0063】
フレームメモリ35は、CCDカメラ20から現在の画像データが取り込まれるようになっている。例えば市販のCCDカメラを用いる場合は、1フレーム(1/60秒)単位に画像データが、このフレームメモリ35に取り込まれる。
【0064】
基準フレームメモリ36は、クレーン4を適当な基準位置に設置し、CCDカメラ20によってマーク29(図8参照)を撮像することによって、この撮像した画像データが取り込まれるようになっている。このとき、CCDカメラ20における撮像面の中央部分にマーク29を位置させた状態で撮像されることから、マーク29の画像データ(基準画像データ)は基準フレームメモリ36の中央部分に記録される。
【0065】
動き検出回路37は、フレームメモリ34に格納されたマーク29の画像データと基準フレームメモリ36に記録されているマーク29の基準画像データとを比較してその変位量を検出し、変位量データとして出力する。この変位量は、CCDカメラ20の撮像面をxy平面とし、該撮像面の法線の方向をz方向としたとき、x方向とy方向の各変位量を示す。フレームメモリ35にマーク29の画像データが存在せず、変位量が検出されなかった場合にはエラー信号を出力する。
【0066】
動き補償回路38は、動き検出回路37からエラー信号が出力されなかった場合に、動き検出回路37からの変位量データ(x方向データD1及びy方向データD2)をそれぞれ第1及び第2のモータ駆動回路39,40に夫々送出し、第1及び第2のモータ32,34はこれら変位データに対応して変位量を補償する方向に駆動される。これによって、CCDカメラ20にて撮像されるマーク29の位置が撮像面の中央位置になるように、該CCDカメラ20が自動追従されることになる。
【0067】
前記エラー信号を受け取った場合は、例えば、警報機46からアラームを出力するためのアラーム信号を出力する。このとき、クレーン4を駆動制御する装置に対してクレーン4の動きを停止するための信号Scを出力するようにしてもよい。
【0068】
また、予め設定されたCCDカメラ20のスキャニング動作を行うようにしてもよい。スキャニング動作は、図示しないコンピュータから第1及び第2のモータ駆動回路39,40に対してそれぞれスキャニングデータを供給する。これによって、設置盤30が駆動されCCDカメラ20が走査を開始して、例えば60秒で一回の線状走査を実行する。このスキャニング動作中にCCDカメラ20がマーク29を撮像した時点で通常動作に戻るようにする。
【0069】
また、CCDカメラ20からの撮像データをオペレータ8がモニタしている場合であって、かつ、設置盤30の傾斜を任意に操作することができるジョイスティックが設置されていれば、オペレータがそのジョイスティックを操作してモニタ(図示せず。)上にマーク29の映像が映し出された時点で、通常動作に戻るようにしてもよい。
【0070】
このように、CCDカメラ20は、常時送電線2の方向を向くように、自動制御されている。このCCDカメラ20が設置されている設置盤30にレーザー距離計22も設置されているので、レーザー距離計22はCCDカメラ20の向きに連動して、常時送電線2の方向を向くように自動制御される。
【0071】
レーザー距離計22は、好ましくは、レーザー光21を照射しながら地面に対して垂直方向に線状走査する。反射板29で反射したレーザー光21は反射光受信回路42で検出され、距離算出回路43でレーザー飛行時間(レーザー発信から受信までの時間)に基づき、クレーンと送電線間の距離が算出される。この距離データは、レーザー距離計22から、例えばRS−232Cのような適当なインターフェイス27を介してPC26に送られる。
【0072】
PC26により、距離データは整理され、モニタ45に表示される。例えば、送電電圧に対応した安全離隔距離Dsを規定し、この距離Dsと距離データを比較して、距離データが距離Dsを超えた時に警報を発するようにすることも出来る。また、安全離隔距離Dsを二段階に規定して、最初の広い距離Ds1を超えた時に注意警報を発し、最低限確保すべき距離Ds2を超えた時に最終警報を発して、オペレータのクレーン人為的な操作の時間的遅れ(タイムラグ)に対処するようにしてもよい。
【0073】
PC26からの警報出力方式は、種々の方式が採用できる。距離データ又は警報を音声出力するためのスピーカ、振動出力するための起振動装置(バイブレータ)等を接続してもよい。
[本実施形態の利点及び代替手段]
(利点)
本実施形態に係るレーザー光利用接近検知システムでは、次のような特徴がある。
【0074】
(i)従来の立会者による目視確認と口頭による無線伝達のシステムに比較して、本実施形態によれば接近を自動的に感知してリアルタイムでクレーンオペレータに対して距離表示又は警報音を発報するシステムを採用することで、信頼性の向上が図れる。
【0075】
(ii)送電線と重機の接近検知にレーザーを利用したシステムは、従来技術には存在しなかった技術と判断している。
【0076】
(iii)カメラの自動追従技術を応用することで、レーザー距離計を送電線に向かって方向付けする点も、従来技術には存在しなかった技術と判断している。
【0077】
(iv)警報音2段階方式の採用により、人為的な理由によるクレーン操作停止までのタイムラグに対処することが出来る。
【0078】
(代替手段)
上述した実施形態は、本発明に係る接近警報装置の一例であり、これに限定されない。当業者のなし得る種々の変更、改変、改良は、いずれも本発明に係る接近警報装置に含まれる。
【0079】
例えば、本実施形態では、カメラ20とレーザー距離計22の連動手段は、その構成を簡易にするため、カメラとレーザー距離計を同じ設置盤30に設置することで解決している。しかし、カメラとレーザー距離計の連動手段はこれに限定されない。図9に示すような水平軸と駆動モータ33,34と垂直軸と駆動モータ31,32を備えた設置盤を2個用意し、カメラ20とレーザー距離計22を別々に設置する。カメラの動き補償回路38からの変位量データ(x方向データD1及びy方向データD2)をレーザー距離計22の水平方向及び垂直方向モータ駆動回路に夫々入力することで、レーザー距離計22もカメラ20の動きに追従するので、本実施形態に採択可能な連動手段が得られる。
【0080】
このように、本発明の技術的範囲は、上述の実施形態の記載に限定されないことを承知されたい。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、従来の接近警報システムを説明する図である。
【図2】図2は、レーザー測定機器走査範囲を説明する図である。
【図3】図3は、レーザー測定機器を使って、クレーンの水平方向からの接近を検知する方法を説明する図である。
【図4】図4は、レーザー測定機器を使って、クレーンの垂直方向からの接近を検知する方法を説明する図である。
【図5】図5は、レーザー測定機器をクレーンブーム先端に設置して、送電線の接近を検知する方法を説明する図である。
【図6】図6(A)は、クレーンブーム先端に設置されたカメラが常時送電線を補足するように自動制御される様子を説明する図であり、図6(B)は、図6(A)のカメラの自動制御に関連させてレーザー測定機器が送電線までの距離を測定する様子を説明する図である。
【図7】図7は、本発明に係るレーザー光利用接近検知システムの外観を説明する図である。
【図8】図8は、図7のレーザー光利用接近検知システムに用いられる、クレーンブーム先端に設置されたCCDカメラとレーザー距離計を説明する図である。
【図9】図9は、図8のCCDカメラとレーザー距離計を更に詳しく説明する図である。
【図10】図10は、レーザー光利用接近検知システムの回路系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
2:送電線、 3:鉄塔、4:クレーン、 5:先端部、 8:オペレータ、 9:無縁親機、 10:携帯子機、 12:立会者、 15:ブーム、20:レーザー利用の測定機器、レーザーセンサ、レーザー距離計、 21:レーザー光線、 22:カメラ,CCDカメラ、 23:カメラの向き、 24:レーザー光利用接近検知システム、 26: PC(パーソナルコンピュータ)、 27:インターフェイス,RS−232C、 28:目安ロープ、 29:マーク(レーザー反射板)、 30:設置盤、 31:垂直軸、 32:第1のモータ、 33:垂直軸、 34:第2のモータ、 35:フレームメモリ、 36:基準フレームメモリ、 37: 動き検出回路、 38:動き補償回路、 39:第1のモータ駆動回路、 40:第2のモータ駆動回路、 41:レーザー走査回路、 42:反射光受信回路、 43:距離算出回路、 45:表示装置(モニタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重機に取り付けられ、送電線を自動追従するカメラと、
前記カメラの動きに連動して向きを変えるレーザー距離計とを備え、該レーザー距離計によって前記送電線までの距離が測定される、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計は、レーザー光を線状走査している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項3】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計は、レーザー光を前記送電線に対してほぼ垂直方向に線状走査している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計は、赤色可視光線を発するレーザーダイオードを光源としている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項5】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記カメラは、移動する前記重機の先端に撮影方向を変更可能な状態で設置され、画像認識技術を利用して前記送電線を自動追従している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計は、前記送電線に向かってレーザー光を照射し、その反射光を捕捉して、該送電線までの距離を算出している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項7】
請求項1に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計による距離測定は、少なくとも前記重機が移動するときに実行される、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項8】
クレーンの移動するブームの先端部に配置され、送電線の相対的な動きに追従するCCDカメラと、
前記CCDカメラに連動して照射方向を変更するレーザー距離計と、
前記レーザー距離計に適当なインターフェイスによって接続されたコンピュータとを備え、
前記レーザー距離計は、前記送電線までの距離を測定している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項9】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記CCDカメラは、画像処理技術を利用して前記送電線の相対的な動きに自動追従している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項10】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記CCDカメラは、少なくともクレーン移動時には前記送電線を自動追従している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項11】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
レーザー距離計は、前記送電線に向けてレーザー光を線状走査する、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項12】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記レーザー距離計は、前記送電線に対して垂直方向にレーザー光を線状走査する、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項13】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記コンピュータは、クレーンオペレータの近傍に設置されている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項14】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記コンピュータは、前記レーザー距離計と適当なインターフェイスによって接続され、該レーザー距離計から距離データを受信している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項15】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記コンピュータは、距離情報を音声出力するためのスピーカ、表示出力するためのモニタ及び振動出力するためのバイブレータのいずれか1個以上を有している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項16】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記送電線には目安ロープがぶら下げられ、該目安ロープの下端にマークが取り付けられ、
前記CCDカメラは、前記マークを自動追従するようになっている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項17】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記CCDカメラは、傾斜自在な設置盤に取り付けられて、前記送電線の相対的な動きに自動追従し、
前記レーザー距離計は、同じ設置盤の上に設置されて、前記CCDカメラが前記送電線を自動追従するのに連動して該レーザー距離計も該送電線を自動追従している、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項18】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記送電線には、前記レーザー距離計からのレーザー光を反射する反射板が取り付けられている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項19】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記送電線には目安ロープがぶら下げられ、該目安ロープの下端にレーザー光反射板が取り付けられている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項20】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記CCDカメラと前記レーザー距離計とは、同じ設置盤に取り付けられ、
前記設置盤は、
垂直軸及び該垂直軸に連結する第1のモータと、水平軸及び該水平軸に直結する第2のモータとを有し、
前記第1及び第2のモータが駆動して前記設置盤の傾斜が制御される、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項21】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、カメラ関係では、
前記CCDカメラと、
前記CCDカメラから現在の画像を取り込むフレームメモリと、
前記CCDカメラから基準の画像を取り込む基準フレームメモリと、
前記フレームメモリに記録された画像データと、前記基準フレームメモリに記録された画像データとを比較して、変位量を検出して変位量データとして出力する動き検出回路と、
前記変位量データに基づき、x方向データ及びy方向データを第1及び第2のモータ駆動回路40に夫々送出する動き補償回路と、
前記x方向データに基づき前記第1のモータに駆動電流を供給する第1のモータ駆動回路と、
前記y方向データに基づき前記第2のモータに駆動電流を供給する第2のモータ駆動回路とを備えている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項22】
請求項20に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記基準フレームメモリに取り込まれる基準の画像は、撮像面の中央部分にマークを位置させた状態で撮像されている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項23】
請求項21に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記動き検出回路は、前記フレームメモリに格納された現在の画像データと前記基準フレームメモリに記録されている基準の画像データとを比較してその変位量を検出し、変位量データとして出力し、
前記変位量は、CCDカメラの撮像面をxy平面とし、該撮像面の法線の方向をz方向としたとき、x方向とy方向の各変位量を示す、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項24】
請求項21に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記フレームメモリにマークの画像データが存在せず、変位量が検出されなかった場合には、前記フレームメモリは、エラー信号を出力する、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項25】
請求項24に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記フレームメモリからエラー信号が出力された時、前記動き補償回路は、
(i)警報機からアラームの出力、
(ii)クレーンの動きを停止するための停止信号の出力、
(iii)予め設定されたCCDカメラのスキャニング動作、及び
(iv)オペレータの操作によるマーク映像の追従、
の群から成る動作の少なくとも一つを実行する、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項26】
請求項21に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記動き補償回路は、前記動き検出回路からの変位量データであるx方向データ及びy方向データを第1及び第2のモータ駆動回路40に夫々送出し、これによって、CCDカメラにて撮像されるマークの位置が撮像面の中央位置になるように、該CCDカメラが自動追従される、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項27】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、レーザー距離計関係では、
少なくとも、前記走査線に対してレーザ−光を走査するレーザー走査回路、前記送電線で反射されたレーザー光を受信する反射光受信回路及びレーザー光の発信から受信までの期間に対応して該送電線までの距離を算出する距離算出回路を有するレーザー距離計と、
前記レーザー距離計にインターフェイスを介して接続されたコンピュータと、
前記コンピュータに接続された表示装置とを備えている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項28】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記コンピュータにより、距離データは整理され、モニタに表示される、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項29】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記送電線の電圧に対応した安全離隔距離を規定し、この安全離隔距離と距離データを比較して、該距離データが安全離隔距離を超えた時に警報を発するようにしている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項30】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記送電線の電圧に対応した安全離隔距離を二段階に規定して、第1の安全離隔距離を超えた時に注意警報を発し、第2の安全離隔距離を超えた時に最終警報を発する、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項31】
請求項8に記載のレーザー光利用接近検知システムにおいて、
前記連動する手段は、水平軸とその駆動モータ及び垂直軸とその駆動モータを備えた設置盤を2個用意し、前記カメラと前記レーザー距離計を別々に設置し、該カメラの動き検出回路からの水平方向及び垂直方向モータの変位量データを該レーザー距離計の水平方向及び垂直方向モータ駆動回路に夫々入力することで、該レーザー距離計が該カメラの動きに追従するようにしている、レーザー光利用接近検知システム。
【請求項32】
クレーン先端部に取り付けられ、送電線を自動追従するカメラ及び該送電線までの距離を測定するレーザー距離計と、
前記カメラの動きに連動して前記レーザー距離計の向きを変える連動手段とを備え、
前記レーザー距離計は、前記送電線までの距離を連続的に測定している、レーザー光利用接近検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−201030(P2006−201030A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12967(P2005−12967)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】