説明

不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法

【課題】2つの異なったゲート電極を有するトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置およびその製造方を提供する。
【解決手段】半導体基板11の第1領域11aに第1ゲート絶縁膜14を介して形成された第1ゲート電極15、第2ゲート絶縁膜16、第2ゲート電極17を有するセルトランジスタと、第1ゲート電極15側へ突出した状態に埋め込まれた第1絶縁分離層12とを備えたメモリセルを形成する工程と、第2領域11bに第1ゲート絶縁膜14を介して形成され、高さL2が第1ゲート電極15の高さL3より大きい第1導電膜20と、高さL4が第2ゲート電極17の高さL5と等しい第2導電膜21とを有するゲート電極を備えたトランジスタと、高さL6が第1絶縁分離層12の高さL1より大きく第1導電膜20側へ突出した状態に埋め込まれた第2絶縁分離層13を形成する工程と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置として、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極とを有するセルトランジスタを備え、電気的に書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read only Memory)が知られている。
EEPROMは、メモリセルが形成されるメモリセル領域と、メモリセルへのデータの書き込みおよび読み出しを行う周辺回路が形成される周辺回路領域とを有している。
【0003】
メモリセル領域に形成されるセルトランジスタと、周辺回路領域に形成される周辺回路トランジスタとは、一般に構造や電源電圧などの動作条件が異なるので、同時に形成することが難しいという問題がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1に開示された不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板の第1および第2の素子領域に第1絶縁膜と第1ポリシリコン膜を形成し、第2の素子領域の第1絶縁膜および第1ポリシリコン膜を除去し、この除去された領域に第2絶縁膜を介して第2ポリシリコン膜を形成している。
【0005】
これにより、第1の素子領域では第1ポリシリコン膜によって第1のゲート電極が構成され、第2の素子領域では第2ポリシリコン膜によって第2のゲート電極が構成され、同一半導体基板上に、2種類のゲート絶縁膜やゲート電極が形成されている。
【0006】
然しながら、特許文献1に開示された不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、ゲート電極を形成するための製造工程数が増加するという問題がある。
【特許文献1】特開平11−74369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、2つの異なったゲート電極を有するトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置およびその製造方を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板の第1領域に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極とを有するセルトランジスタと、前記第1領域に、前記第1ゲート電極側へ突出した状態に埋め込まれ、前記セルトランジスタを電気的に分離する第1絶縁分離層とを備えたメモリセルを形成する工程と、前記半導体基板の第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記半導体基板からの高さが前記第1ゲート電極の前記半導体基板からの高さより大きい第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成され、且つ前記半導体基板からの高さが前記第2ゲート電極の前記半導体基板からの高さに等しい第2導電膜とを有するゲート電極を備えたトランジスタと、前記第2領域に、前記半導体基板からの高さが前記第1絶縁分離層の前記半導体基板からの高さより大きく前記第1導電膜側へ突出した状態に埋め込まれ、前記トランジスタを電気的に分離する第2絶縁分離層とを形成する工程と、を具備することを特徴としている。
【0009】
本発明の一態様の不揮発性半導体記憶装置は、半導体基板の第1領域に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極とを有するセルトランジスタと、前記第1領域に、前記第1ゲート電極側へ突出した状態に埋め込まれ、前記セルトランジスタを電気的に分離する第1絶縁分離層とを備えたメモリセルと、前記半導体基板の第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記半導体基板からの高さが前記第1ゲート電極の前記半導体基板からの高さより大きい第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成され、且つ前記半導体基板からの高さが前記第2ゲート電極の前記半導体基板からの高さに等しい第2導電膜とを有するゲート電極を備えたトランジスタと、前記第2領域に、前記半導体基板からの高さが前記第1絶縁分離層の前記半導体基板からの高さより大きく前記第1導電膜側へ突出した状態に埋め込まれ、前記トランジスタを電気的に分離する第2絶縁分離層とを備えた周辺回路と、を具備することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つの異なったゲート電極を有するトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置について図1乃至図11を用いて説明する。図1は不揮発性半導体記憶装置を示す断面図で、図1(a)はメモリセルをビット線方向に沿って切断した断面図、図1(b)はメモリセルをワード線方向に沿って切断した断面図、図1(c)は周辺回路をビット線方向に沿って切断した断面図、図1(d)は周辺回路をワード線方向に沿って切断した断面図、図2は不揮発性半導体記憶装置を示す回路図、図3は不揮発性半導体記憶装置を示す平面図、図4乃至図10は不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図、図11は本実施例の効果を比較例と対比して示す図で、図11(a)〜図11(d)の右側は本実施例を示す図、図11(a)〜図11(d)の左側は比較例を示す図である。
【0013】
本実施例は、不揮発性半導体記憶装置が複数のメモリトランジスタをそれらのソース、ドレイン拡散層を隣接するもの同士で共用する形で直列接続してNANDセルを構成するNAND型EEPROMの場合の例である。
【0014】
始めに、図2および図3を用いて、NAND型EEPROMのメモリセルアレイについて説明する。
図2に示すように、NAND型EEPROMのメモリセルアレイは、浮遊ゲート電極と制御ゲート電極が積層されたNチャネルMOSトランジスタからなる複数個のメモリトランジスタCG1.1、CG2.1、CG3.1…CGn.1が直列に接続され、一端側のドレインが選択用のNMOSトランジスタSG1.1を介してビット線コンタクトによりビット線BL1に接続され、他端側のソースが選択用のNMOSトランジスタSG2.1を介してソース線コンタクトによりソース線Sに、それぞれ接続されて1つのNAND型メモリセルを構成している。
【0015】
同様に、2列目のSG1.2、CG1.2、CG2.2、CG3.2…CGn.2、SG2.2も1つのNAND型メモリセルを構成し、NAND型メモリセル群が複数個アレイ状に配置され、メモリセルアレイを構成している。
【0016】
図3に示すように、メモリセルアレイは、各トランジスタが半導体基板の同一ウェル領域に形成されており、メモリトランジスタCG1.1、CG2.1、CG3.1…、CGn.1(CG1.2、CG2.2、CG3.2…CGn.2)の制御ゲート電極は、ビット線BLに対して略直交する行方向に連続的に配設されてワード線WL1、WL2、…WLnとなっている。
【0017】
また、選択トランジスタSG1.1、SG1.2(SG1.2、SG2.2)の制御ゲート電極も同様に連続的に配設されて選択線SL1、SL2となっている。
各メモリセルの浮遊ゲート電極は、破線のハッチングで示すように、トランジスタ毎に制御ゲート電極下で分離独立している。
【0018】
図1に示すように、本実施例の不揮発性半導体記憶装置10は、半導体基板11、例えばP型シリコン基板(P型ウェル)の主面に設けられたメモリセル領域(第1領域)11aおよび周辺回路領域(第2領域)11bを有し、メモリセル領域11aにはメモリセル10aが形成され、周辺回路領域11bには、メモリセル10aへのデータの書き込みおよび読み出しを行う周辺回路10bが形成されている。
【0019】
メモリセル10aは、第1絶縁分離層(STI:Shallow Trench Isolation)12で電気的に分離されたセルトランジスタを具備している。
周辺回路10bは、第2絶縁分離層(STI)13で電気的に分離された周辺回路トランジスタを具備している。
【0020】
セルトランジスタは、メモリセル領域11aにトンネル酸化膜(第1ゲート絶縁膜)14を介して形成された浮遊ゲート電極(第1ゲート電極)15と、浮遊ゲート電極15上にONO(SiO/SiN/SiO)膜(第2ゲート絶縁膜)16を介して形成され、2つの導電膜17a、17bを有する制御ゲート電極(第2ゲート電極)17と、浮遊ゲート電極15を挟むように形成され、半導体基板11と逆導電型の不純物拡散層18、19とを具備している。
【0021】
第1絶縁分離層12は、メモリセル領域11aに浮遊ゲート電極15側へ半導体基板11からの高さL1まで突出した状態に埋め込まれている。
不純物拡散層18、19は、セルトランジスタのソース、およびドレインとなる不純物拡散層である。
【0022】
周辺回路トランジスタは、周辺回路領域11bにトンネル酸化膜14を介して形成され、半導体基板11からの高さL2が浮遊ゲート電極15の半導体基板11からの高さL3より大きい第1導電膜20と、第1導電膜20上に形成され、且つ半導体基板11からの高さL4が制御ゲート電極17の半導体基板11からの高さL5と等しい第2導電膜21と、第1導電膜20を挟むように形成され、半導体基板11と逆導電型の不純物拡散層22、23とを具備している。
【0023】
第2絶縁分離層13は、周辺回路領域11bに半導体基板11からの高さL6が第1絶縁分離層12の半導体基板11からの高さL1より大きく、第1導電膜20側へ突出した状態に埋め込まれている。
不純物拡散層22、23は、周辺回路トランジスタのソース、およびドレインとなる不純物拡散層である。
【0024】
制御ゲート電極17および第2導電膜21上には、ゲート電極の低抵抗化を目的に、シリサイド膜、例えばタングステンシリサイト膜24が形成されている。
タングステンシリサイド膜24上に、絶縁膜25、例えばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜が形成されている。
【0025】
第1導電膜20は、浮遊ゲート電極15と同じ膜であり、例えばアモルファスシリコンである。
第2導電膜21は、制御ゲート電極17と同じ膜であり、例えばアモルファスシリコンである。
【0026】
浮遊ゲート電極15、制御ゲート電極17、第1導電膜20、第2導電膜21およびタングステンシリサイド膜24のビット線方向の側壁には、加工ダメージを回復させるなどの目的で熱酸化法によるシリコン酸化膜(図示せず)が形成されている。
【0027】
本明細書では、以後、半導体基板11からの高さL1〜L6を、単に高さL1〜L6とも称する。
【0028】
第1導電膜20の高さL2は浮遊ゲート電極15の高さL3より大きい。しかし、制御ゲート電極17が導電膜17aと導電膜17bの2層に構成されているので、導電膜17aと導電膜17bの膜厚を調整することにより、第2導電膜21の高さL4と制御ゲート電極17の高さL5とを等しくできる。
その結果、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bとの高さを等しくし、平坦化することが可能である。
【0029】
更に、第2絶縁分離層13の高さL6は、第1絶縁分離層12の高さL1より大きいので、周辺回路トランジスタの電気的耐圧が高くなり、周辺回路トランジスタをセルトランジスタより高い電源電圧で動作させることが可能である。
【0030】
次に、不揮発性半導体記憶装置10の製造方法について、図4乃至図11を用いて説明する。
【0031】
図4に示すように、周知のプロセスにより、半導体基板11のメモリセル領域11aおよび周辺回路領域11bに、第1ゲート絶縁膜となるトンネル酸化膜14と、浮遊ゲート電極15および第1導電膜20となる膜厚がL2のアモルファスシリコン膜31と、メモリセル領域11aおよび周辺回路領域11bに、アモルファスシリコン膜31の表面近傍の高さL6まで突出した状態に埋め込まれた第1絶縁分離層12および第2絶縁分離層13とを形成する。
【0032】
具体的には、P型シリコン基板(P型ウエル)上に熱酸化法により、例えば厚さ4〜20nm程度のシリコン酸化膜を形成する。
次に、このシリコン酸化膜を、NH3ガスを用いて窒化処理した後、更に、酸化処理することによりオキシナイトライド膜に置換する。
このオキシナイトライド膜が、第1ゲート絶縁膜として働き、一般に、トンネル酸化膜14と称される。
【0033】
次に、トンネル酸化膜14上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、膜厚がL2のアモルファスシリコン膜31、シリコン窒化膜(図示せず)およびシリコン酸化膜(図示せず)を順次形成する。
このアモルファスシリコン膜31が、浮遊ゲート電極13および第1導電膜20となる第1ゲート電極材料膜である。
【0034】
次に、ストライプ状の開口を有するレジスト膜(図示せず)を用いて、フッ素系ガスを用いたRIE法(Reactive Ion Etching)によりシリコン酸化膜をエッチングし、このシリコン酸化膜をマスクとして、フッ素系ガスを用いたRIE法によりシリコン窒化膜をエッチングする。
【0035】
次に、このシリコン窒化膜およびシリコン酸化膜をマスクとして、RIE法により、アモルファスシリコン膜31、トンネル酸化膜14をエッチングする。
アモルファスシリコン膜31のエッチングは、塩素系/フッ素系ガス、例えばHBr/CF/Clガスを用いてRIE法により行う。
【0036】
次に、アモルファスシリコン膜31をマスクとして、塩素系/フッ素系ガスを用いたRIE法により、半導体基板11を異方性エッチングし、素子分離溝(図示せず)を形成する。
【0037】
これにより、ストライプ状のパターンを有する素子領域(図示せず)が形成される。第1ゲート電極材料膜のアモルファスシリコン膜31も、素子領域と同じストライプ状のパターンに加工されるが、この段階では、まだNANDセル内のメモリトランジスタ毎に分離されていない。
【0038】
次に、素子分離溝の内側を熱酸化してシリコン酸化膜形成した後に、素子分離溝を含むアモルファスシリコン膜31上に絶縁膜(図示せず)をCVD法により形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により余分な絶縁膜を除去して、素子分離溝に絶縁膜を埋め込み、第1絶縁分離層12および第2絶縁分離層13を形成する。
【0039】
次に、図5に示すように、周辺回路領域11bの全面にレジスト膜32を形成し、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜31および第2絶縁分離層13を被覆する。
【0040】
次に、図6に示すように、レジスト膜32をマスクとして、メモリセル領域11aのアモルファスシリコン膜31および第1絶縁分離層12を、一部RIE法により異方性エッチングする。
エッチング条件は、アモルファスシリコン膜31のエッチング速度が第1絶縁分離層12のエッチング速度より小さくなるように、例えば選択比で10程度に調整して行う。
【0041】
これにより、アモルファスシリコン膜31の表面近傍の高さL6まで突出した状態に埋め込まれていた第1絶縁分離層12がより深くエッチングされて、高さL1まで突出した状態に埋め込まれた第1絶縁分離層12となる。
同時に、膜厚L2のアモルファスシリコン膜31がより浅くエッチングされて、高さL3の浮遊ゲート電極15になる。
【0042】
一方、レジスト膜32で被覆された、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜31および第2絶縁分離膜13は、そのまま保存される。
これにより、高さL2が浮遊ゲート電極15の高さL3より大きい第1導電膜20が得られる。
高さL6が第1絶縁分離層12の高さL1より大きく第1導電膜20へ突出した状態に埋め込まれた第2絶縁分離層13が得られる。
【0043】
第1絶縁分離層12を高さL6から高さL1まで落とし込むことにより、浮遊ゲート電極15の露出面積が増加するので、トンネル酸化膜14の静電容量CaとONO膜16の静電容量Cbにより定まるカップリング比CR=Cb/(Ca+Cb)が高くなり、メモリセルへのデータの書き込み特性が向上する。
【0044】
但し、第1絶縁分離層12の高さL1は、カップリング比CRと、半導体基板11と制御ゲート電極17との電気的耐圧との関係に応じて適宜定められ、高さL1を小さくしてカップリング比CRを大きくするほど、電気的耐圧が低下する。
【0045】
一方、第2絶縁分離層13の高さL6は変わらず、高さL1より大きいので、半導体基板11と第1および第2導電膜20、21との電気的耐圧を高く維持することができる。
【0046】
次に、図7に示すように、メモリセル領域11aの浮遊ゲート電極15および第1絶縁分離層12上、周辺回路領域11bの第1導電膜20および第2絶縁分離層13上に、CVD法により、例えば厚さ15nm程度のONO膜16を形成する。
【0047】
次に、ONO膜16上に、CVD法により、アモルファスシリコン膜33を形成する。このアモルファスシリコン膜33が、制御ゲート電極17の導電膜17aとなる第2ゲート電極材料膜である。
アモルファスシリコン膜33の膜厚は、半導体基板11からの高さがL2になるように、高さL2から、高さL3およびONO膜16の厚さを差し引いた程度、例えば厚さ25nm程度が適当である。
【0048】
次に、図8に示すように、メモリセル領域11aの全面にレジスト膜34を形成し、メモリセル領域11aのアモルファスシリコン膜33を被覆する。
次に、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜33およびONO膜16を、RIE法によりエッチングし、第1導電膜20を露出させる。
【0049】
これにより、メモリセル領域11aのアモルファスシリコン膜33の半導体基板11からの高さが、周辺回路領域11bの第1導電膜20の高さL2と等しくなり、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bが平坦化される。
【0050】
次に、図9に示すように、CVD法により、メモリセル領域11aおよび周辺回路領域11bにアモルファスシリコン膜35を形成する。
アモルファスシリコン膜35が、制御ゲート電極17の導電膜17bおよび、第2導電膜21になる第2ゲート電極材料膜である。
【0051】
メモリセル領域11aの制御ゲート電極17の高さL5は、周辺回路領域11bの第2導電膜21の高さL4に等しく、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bの平坦化が維持されている。
【0052】
次に、メモリセル領域11aおよび周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜35上に、CVD法によりタングステンシリコン膜24を形成する。
次に、メモリセル領域11aおよび周辺回路領域11bのタングステンシリコン膜24上に、CVD法により絶縁膜25を形成する。
【0053】
次に、図10に示すように、メモリセル領域11aにセルトランジスタのゲート電極パターン、および周辺回路領域11bに周辺回路トランジスタのゲート電極パターン、即ち素子分離領域に対して略直角な方向にストライプ状の開口を有するレジスト膜(図示せず)を形成し、このレジスト膜をマスクとして、RIE法により絶縁膜25をエッチングする。
【0054】
次に、ゲート電極パターンが転写された絶縁膜25をマスクとして、RIE法によりタングステンシリコン膜24、アモルファスシリコン膜35、アモルファスシリコン膜33、ONO膜16、アモルファスシリコン膜31を順次異方性エッチングする。
【0055】
これにより、メモリセル領域11aでは、制御ゲート電極17を分離形成し、浮遊ゲート電極15をNANDセル内のメモリトランジスタ毎に分離する。
同時に、周辺回路領域11bでは、第1導電膜20と第2導電膜21とが積層されたゲート電極が分離形成される。
【0056】
次に、RIEエッチングによるダメージを回復させゲート絶縁膜の耐圧を向上させるなどの目的で、浮遊ゲート電極15、制御ゲート電極17、第1導電膜20および第2導電膜21の側壁に、熱酸化法によりシリコン酸化膜(図示せず)を形成する。このシリコン酸化膜は、後酸化膜とも呼ばれている。
【0057】
次に、メモリセル領域11aにおいて、素子領域11aに、浮遊ゲート電極15および制御ゲート電極17と自己整合的にn型不純物、例えば砒素(As)をイオン注入し、活性化熱処理して、浮遊ゲート電極13および制御ゲート電極17を挟むように、半導体基板11と逆導電型のn型不純物拡散層18、19を形成する。
同時に、周辺回路領域11bにおいて、第1導電膜20および第2導電膜21と自己整合的にn型不純物をイオン注入し、活性化熱処理して、第1導電膜20および第2導電膜21を挟むように、半導体基板11と逆導電型のn型不純物拡散層22、23を形成する。
【0058】
これにより、図1に示す、メモリセル領域11aに浮遊ゲート電極13と制御ゲート電極17とを有するセルトランジスタと第1絶縁分離層12とが形成され、周辺回路領域11bに第1導電膜20と第2導電膜21とを有するゲート電極を備えた周辺回路トランジスタと第2絶縁分離層13とが形成された不揮発性半導体記憶装置10が得られる。
【0059】
図11は、本実施例の効果を比較例と対比して示す図で、図11(a)〜図11(d)の右側は本実施例を示す図、図11(a)〜図11(d)の左側は比較例を示す図である。比較例とは、図5に示すレジスト膜32を用いないで、不揮発性半導体記憶装置を製造した場合を意味している。
【0060】
図11に示すように、比較例では、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜31および第2絶縁分離層13は、メモリセル領域11aのアモルファスシリコン膜31および第1絶縁分離層12と同様に、エッチバックされる。
【0061】
その結果、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜31および第2絶縁分離層13上に形成されたONO膜16およびアモルファスシリコン膜33をエッチングすると、第2導電膜21の高さL4が、制御電極の高さL5より小さくなり、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bの平坦性が維持されなくなる。
【0062】
従って、セルトランジスタのゲート電極の高さL5が、周辺回路トランジスタのゲート電極の高さL4より大きいので、ゲート電極を同時にRIE加工すると、周辺回路トランジスタのゲート電極が先にエッチングされ、セルトランジスタのゲート電極が下部まで完全にエッチングされないままエッチングが終了するので、セルトランジスタのゲート電極がテーパ状になり、裾引き41が生じる。
そのため、隣接する浮遊ゲート電極間が短絡するなどして、不揮発性半導体記憶装置40の信頼性が乏しくなる。
【0063】
一方、本実施例では、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bの平坦性が維持されており、セルトランジスタのゲート電極の高さL5が、周辺回路トランジスタのゲート電極の高さL4と等しいので、ゲート電極を同時にRIE加工しても、セルトランジスタのゲート電極および周辺回路トランジスタのゲート電極のエッチングは、ほぼ同時に終了する。
従って、セルトランジスタのゲート電極の下部に裾引きが生じることがなく、信頼性の高い不揮発性半導体記憶装置10が得られる。
【0064】
以上説明したように、本実施例によれば、周辺回路領域11bのアモルファスシリコン膜31および第2絶縁分離層13をレジスト膜32で被覆し、メモリセル領域11aの第1絶縁分離層12をエッチバックすると同時に、選択比を設けて予め厚く形成したアモルファスシリコン膜31をエッチバックしている。
【0065】
その結果、メモリセル領域11aと周辺回路領域11bの平坦性が維持され、セルトランジスタのゲート電極と周辺回路トランジスタのゲート電極の高さが等しくなり、セルトランジスタのゲート電極および周辺回路トランジスタのゲート電極を同時に形成することができる。
従って、2つの異なったゲート電極を有するトランジスタを備えた不揮発性半導体記憶装置およびその製造方法が得られる。
【0066】
ここでは、第1ゲート電極材料膜31および第2ゲート電極材料膜33、35が、アモルファスシリコンである場合について説明したが、ポリシリコンであっても構わない。
【0067】
シリサイド膜24が、タングステンシリサイド膜である場合について説明したが、Ti、Ni、Co、Ta、Moなどのシリサイド膜であっても構わない。
【0068】
第2ゲート絶縁膜16が、ONO膜である場合について説明したが、酸化アルミニウム(Al)膜または単層のシリコン酸化膜であっても構わない。
【0069】
また、不揮発性半導体記憶装置10がNAND型のEEPROMである場合について説明したが、NOR型のEEPROMであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置を示す図で、図1(a)はメモリセルをビット線方向に沿って切断した断面図、図1(b)はメモリセルをワード線方向に沿って切断した断面図、図1(c)は周辺回路をビット線方向に沿って切断した断面図、図1(d)は周辺回路をワード線方向に沿って切断した断面図。
【図2】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置を示す回路図。
【図3】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置を示す平面図。
【図4】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図5】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図6】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図7】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図8】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図9】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図10】本発明の実施例に係る不揮発性半導体記憶装置の製造工程を順に示す断面図。
【図11】本発明の実施例に係る効果を比較例と対比して示す図で、図11(a)〜図11(d)の右側が本実施例を示す図、図11(a)〜図11(d)の左側が比較例を示す図。
【符号の説明】
【0071】
10 不揮発性半導体装置
10a メモリセル
10b 周辺回路
11 半導体基板
11a メモリセル領域
11b 周辺回路領域
12 第1絶縁分離層(STI)
13 第2絶縁分離層(STI)
14 トンネル酸化膜(第1ゲート絶縁膜)
15 浮遊ゲート電極(第1ゲート電極)
16 ONO膜(第2ゲート絶縁膜)
17 制御ゲート電極(第2ゲート電極)
17a、17b 導電膜
18、19、22、23 不純物拡散層
20 第1導電膜
21 第2導電膜
24 タングステンシリサイド膜
25 絶縁膜
31 アモルファスシリコン膜(第1ゲート電極材料膜)
33、35 アモルファスシリコン膜(第2ゲート電極材料膜)
32、34 レジスト膜
41 裾引き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1領域に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極とを有するセルトランジスタと、前記第1領域に、前記第1ゲート電極側へ突出した状態に埋め込まれ、前記セルトランジスタを電気的に分離する第1絶縁分離層とを備えたメモリセルを形成する工程と、
前記半導体基板の第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記半導体基板からの高さが前記第1ゲート電極の前記半導体基板からの高さより大きい第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成され、前記半導体基板からの高さが前記第2ゲート電極の前記半導体基板からの高さに等しい第2導電膜とを有するゲート電極を備えたトランジスタと、前記第2領域に、前記半導体基板からの高さが前記第1絶縁分離層の前記半導体基板からの高さより大きく前記第1導電膜側へ突出した状態に埋め込まれ、前記トランジスタを電気的に分離する第2絶縁分離層とを形成する工程と、
を具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の第2領域に、前記半導体基板からの高さが前記第1ゲート電極の前記半導体基板からの高さより大きい第1導電膜を形成する工程は、
前記第1領域および前記第2領域に、前記第1ゲート電極より厚い第1ゲート電極材料膜を形成し、前記第2領域の前記第1ゲート電極材料膜をマスクし、前記第1領域の前記第1ゲート電極材料膜を、前記第1ゲート電極の厚さに等しくなるまでエッチングすることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1ゲート電極材料膜のエッチングは、前記第1ゲート電極材料膜のエッチング速度が前記第1絶縁分離層のエッチング速度より小さくなるように選択比を調整して、前記第1絶縁分離層を前記半導体基板からの高さまでエッチバックする工程と同時に行なうことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板の第1領域に、第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極とを有するセルトランジスタと、前記第1領域に、前記第1ゲート電極側へ突出した状態に埋め込まれ、前記セルトランジスタを電気的に分離する第1絶縁分離層とを備えたメモリセルと、
前記半導体基板の第2領域に、前記第1ゲート絶縁膜を介して形成され、前記半導体基板からの高さが前記第1ゲート電極の前記半導体基板からの高さより大きい第1導電膜と、前記第1導電膜上に形成され、且つ前記半導体基板からの高さが前記第2ゲート電極の前記半導体基板からの高さに等しい第2導電膜とを有するゲート電極を備えたトランジスタと、前記第2領域に、前記半導体基板からの高さが前記第1絶縁分離層の前記半導体基板からの高さより大きく前記第1導電膜側へ突出した状態に埋め込まれ、前記トランジスタを電気的に分離する第2絶縁分離層とを備えた周辺回路と、
を具備することを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1導電膜および第2導電膜が、それぞれ前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極と同じ膜であり、且つアモルファスシリコンまたはポリシリコンであることを特徴とする請求項4に記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−246002(P2009−246002A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87995(P2008−87995)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】