説明

交通情報処理データベース、交通情報処理装置、そのシステム、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置

【課題】 簡単な構成で交通情報の利用が容易な案内誘導システムを提供する。
【解決手段】 ナビ地図データを利用して車両の走行を案内誘導する案内誘導装置300の端末記憶手段に、基準地図データのノードに対応するVICS(登録商標)データのノードIDと、同一地点となるナビ地図データのノードIDとを関連付けた交通情報処理データを複数記憶するテーブル構造の交通情報処理データベースを、サーバ装置200から取得して構築する。VICSデータを案内誘導装置300が受信すると、処理手段により交通情報処理データに基づきVICSデータにナビ地図データのノードIDを紐付けする。簡単なテーブル構造で自動的にVICSデータをナビ地図データに対応して利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報を各種地図情報で利用可能に変換する交通情報処理データベース、交通情報処理装置、そのシステム、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、地図情報に基づいて、自動車などの車両の走行を案内誘導により支援するカーナビゲーションなどのナビゲーション装置が知られている。そして、ナビゲーション装置で利用する地図情報は、一般的に、標準地図情報に基づいて、車両の走行を案内誘導するのに適した構成で作成された地図情報が利用されている。また、ナビゲーション装置では、例えば日本にて開発されて利用されているVICS(登録商標)(Vehicle Information Communication System:道路交通情報通信システム)で利用され、いわゆるビーコン送信機から出力される電波にて渋滞情報や交通規制情報などの交通情報(いわゆるVICSデータ)を利用して案内誘導する構成も知られている。このような交通情報は、標準地図情報を構成する位置情報に基づいたもので、交通情報は、そのままナビゲーション装置で利用する地図情報では利用できない。そこで、標準地図情報とナビゲーション装置で利用する地図情報とを互いに対応付ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、ノードおよびリンクから構成された日本デジタル道路地図協会による地形図を基礎とした標準地図データベースと、ノードおよびリングから構成され都市計画図を基礎として構成された専用地図データベースとを備えている。そして、比較部にて、標準地図データベースと専用地図データベースとを比較し、リンク群の対応付け、対応付けしたリンク群に含まれるノードを対応付け、リンクの対応テーブルを作成して記憶する。ノードの対応付けとして、標準地図データベースのノードから専用地図データベースの一定距離以内にあるノードを対応付け候補とし、そのノードに接続するリンク群と候補のノードに接続する他のリンク群との対応付けを判断し、同じ位置のノードか否かを判断して対応付けを実施している。そして、対応付けテーブルを記憶したメモリを備えることで、異なる方法で作成された地図データベースが互いに対応付けられ、いずれの地図データベースに基づく道路交通情報でも容易に処理できる構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−129740号公報(第2頁左欄−第5頁右欄)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のような従来の構成では、リンク群の対応付けおよび対応付けしたリンク群に含まれるノードの対応付けの対応テーブルであることから、都市部の限られた地域でも膨大なデータ量となり、大きな記憶容量のメモリを必要とする。そして、交通情報を利用する場合、交通情報に含まれる位置を表す情報は標準地図情報に対応していることから、データ量が膨大な対応テーブルに基づいてナビゲーション装置に利用する地図情報で対応付ける処理に大きな負荷が掛かり、迅速な処理が得られないおそれがある。また、特に交差点などの場合、車両の走行方向が限られた路線や右左折禁止などの所定の交通規則を表すためなどにより、複数のノードにて表される場合が多数あるが、このような場合には、ノードとリンクとの関係で同一の位置の交差点を表しているにもかかわらず対応付けできない場合が生じ、渋滞や交通規制が生じやすい交差点に関する交通情報が利用できなくなるおそれがあるなどの問題がある。
【0006】
本発明は、このような実情などに鑑みて、簡単な構成で交通情報の利用が容易な交通情報処理データベース、交通情報処理装置、そのシステム、その方法、そのプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体、および、案内誘導装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理に利用される交通情報処理情報を記憶する交通情報処理データベースであって、前記地点情報および前記線分情報を有し前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する前記交通情報に含まれる位置情報と、前記基準地図情報と同一の地点を表す前記地図情報の地点情報と、を1つのデータ構造に関連付けた処理データを複数記憶するテーブル構造に構築されたことを特徴とした交通情報処理データベースである。
【0008】
請求項6に記載の発明は、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理装置であって、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースと、前記案内誘導装置で利用する前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段と、を具備したことを特徴とした交通情報処理装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理システムであって、前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報を取得する基準地図情報取得手段、前記地図情報および前記基準地図情報を記憶する記憶手段、および、前記基準地図情報および前記地図情報に基づいて請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースの処理データを生成して前記交通情報処理データベースを構築する処理データ生成手段、を備えたサーバ装置と、このサーバ装置にネットワークを介して送受信可能に接続され、前記地図情報を記憶するとともに前記処理データを取得して前記交通情報処理データベースを構築する端末記憶手段、および、前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段、を備えた前記案内誘導装置と、を具備したことを特徴とした交通情報処理システムである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置であって、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースと、前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段と、前記地図情報の地点情報が紐付け処理された前記交通情報を報知手段で報知させる報知制御手段と、を具備したことを特徴とした案内誘導装置である。
【0011】
請求項9に記載の発明は、演算手段により、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理方法であって、前記演算手段は、前記案内誘導装置で利用する前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理することを特徴とする交通情報処理方法である。
【0012】
請求項10に記載の発明は、演算手段を請求項6に記載の交通情報処理装置として機能させることを特徴とした交通情報処理プログラムである。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の交通情報処理方法を演算手段に実行させることを特徴とした交通情報処理プログラムである。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の交通情報処理プログラムが演算手段にて読み取り可能に記録されたことを特徴とした交通情報処理プログラムを記録した記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、地図情報を用いて移動体である例えば車両に搭載された案内誘導装置が、交通情報を利用して車両の走行を案内誘導する案内誘導システムを例示して説明するが、本発明は案内誘導システムに利用される構成に限らず、交通情報を案内誘導に用いる地図情報で利用可能に処理するいずれの構成が適用できる。そして、移動体としては、車両に限らず、航空機、船舶などいずれの移動体が対象となる。また、案内誘導装置として、いわゆるナビゲーション装置として車両に搭載される車載型の構成として例示するが、携帯型、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、携帯型パーソナルコンピュータなど、各種構成が適用できる。なお、携帯型の場合、移動体としては案内誘導装置を携帯する携帯者が対象、すなわち携帯者の移動状況を案内する構成として適用される。
【0016】
〔案内誘導システムの構成〕
図1は、本実施の形態における案内誘導システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、案内誘導システムのサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。図3は、ナビ地図データを構成する表示用データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。図4は、ナビ地図データを構成するマッチングデータのテーブル構造を模式的に示す概念図である。図5は、交通情報処理データベースのテーブル構造を示す概念図である。図6は、基準地図データとナビ地図データとを画面表示で比較した状態を模式的に示す概念図である。図7は、基準地図データおよびナビ地図データにおける同一位置のノードを関連付けて設定する対比条件を示す説明図である。図8は、案内誘導システムの案内誘導装置の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、100は交通情報処理システムとして機能する案内誘導システムで、この案内誘導システム100は、地図情報および交通情報を利用して車両の走行を案内誘導するためのシステムである。この案内誘導システム100は、サーバ装置200と、このサーバ装置200にネットワーク101を介して送受信可能に接続する交通情報処理装置として機能する案内誘導装置300と、を備えている。また、案内誘導システム100は、ネットワーク101を介してデジタル道路地図データベース400と、道路交通情報通信システム500と、情報を受信可能に接続している。
【0018】
ここで、ネットワーク101としては、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)などの汎用のプロトコルに基づくインターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、無線媒体により情報が送受信可能な複数の基地局がネットワークを構成する通信回線網や放送網などのネットワーク、さらには、案内誘導装置300および道路交通情報通信システム500間で信号を直接送受信するための媒体となる無線媒体自体などが例示できる。ここで、無線媒体としては、電波、光、音波、電磁波などのいずれの媒体をも適用できる。
【0019】
デジタル道路地図データベース400は、財団法人日本デジタル道路地図協会で管理されたデータベースで、ネットワーク101を介して配信可能に基準地図データを記憶するテーブル構造に構築されている。基準地図データは、国土地理院の1/25000の地形図を基図として、交差点などの地点を表す複数の地点情報としての図示しないノードと、ノードとノードとにより定義された線形である線分情報すなわちノードを結ぶ図示しないリンクとで構成された道路に関するデータである。そして、基準地図データは、例えば年に1回、所定の送信先に配信される。
【0020】
道路交通情報通信システム500は、財団法人道路交通情報通信システム(Vehicle Information Communication System:VICS(登録商標))センタで管理されたシステムで、交通事故や渋滞などの交通情報(以下、VICSデータと称す。)を、例えばビーコンやFM多重放送などのネットワーク101を介して、渋滞、交通事故、工事、交通規制などの交通情報(以下、VICSデータという。)を配信する。このVICSデータは、基準地図データのノードに対応した地点情報、すなわち基準地図データのノードを特定する識別番号などの固有情報であるノードID(identification)と同じノードIDを有している。
【0021】
そして、案内誘導システム100のサーバ装置200は、ネットワーク101を介して案内誘導装置300と各種情報の送受信が可能となっている。また、サーバ装置200は、デジタル道路地図データベース400や道路交通情報通信システム500の他、気象庁や警視庁などの各種官庁、民間団体、企業などの各種機関に設置された図示しないサーバなどから、ネットワーク101を介して各種情報を取得可能となっている。取得する情報としては、例えば気象情報や、渋滞、交通事故、工事、交通規制などの交通情報、ガソリンスタンドや飲食店などの各種店舗に関する店舗情報など、車両の移動に関する情報、すなわち車両の移動の際に利用される各種の移動関連情報である。そして、サーバ装置200は、図2に示すように、サーバ通信手段210と、サーバ操作手段220と、サーバ表示手段230と、サーバ記憶手段240と、サーバ演算手段250と、などを備えている。
【0022】
サーバ通信手段210は、ネットワーク101を介して入力される信号に対してあらかじめ設定されている入力インターフェース処理を実行し、処理信号としてサーバ演算手段250へ出力する。また、サーバ通信手段210は、サーバ演算手段250から案内誘導装置300などの送信先に対して送信すべき処理信号が入力されると、入力された処理信号に対してあらかじめ設定されている出力インターフェース処理を実行し、サーバ信号としてネットワーク101を介して所定の案内誘導装置300などの送信先へ出力する。なお、サーバ信号は、処理信号に記載された情報に基づいて、適宜所定の送信先のみに出力させることも可能である。
【0023】
サーバ操作手段220は、例えばキーボードやマウスなどで、入力操作される図示しない各種操作ボタンや操作つまみなどを有している。この操作ボタンや操作つまみの入力操作の内容としては、例えばサーバ装置200の動作内容の設定や、サーバ記憶手段240に記憶するデータの設定入力、ネットワーク101を介して他の端末との接続状態の設定などが例示できる。そして、サーバ操作手段220は、設定事項の入力操作により、所定の信号をサーバ演算手段250へ適宜出力して設定させる。なお、このサーバ操作手段220としては、操作ボタンや操作つまみなどの入力操作に限らず、例えばサーバ表示手段230に設けられたタッチパネルによる入力操作や、音声による入力操作、リモートコントローラにより入力操作に対応して送信される無線媒体の受信など、各種設定事項を設定入力可能ないずれの構成が適用できる。
【0024】
サーバ表示手段230は、サーバ演算手段250に制御され、サーバ演算手段250から出力される画像データの信号を画面表示させる。この画像データとしては、例えば地図情報や検索情報などの画像データの他、サーバ操作手段220で入力操作による設定入力を促す入力画面などの各種フォームの画像データ、図示しないTV受信機で受信したTV画像データ、外部装置など光ディスクや磁気ディスク、メモリカードなどの記録媒体に記録されドライブやドライバなどにて読み取った画像データなどである。なお、このサーバ表示手段230としては、例えば液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode-Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、電気泳動ディスプレイパネルなどが例示できる。
【0025】
サーバ記憶手段240は、サーバ演算手段250にて制御され、地図に関する情報をサーバ演算手段250が読出可能に記憶する。このサーバ記憶手段240は、HD(Hard Disk)などの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、メモリカード、半導体メモリなどの各種記録媒体に読出可能に記憶するドライブやドライバなどを備えた構成、さらには複数のドライブやドライバにて構築された構成などが適用できる。そして、サーバ記憶手段240は、基準地図データベース241と、ナビ地図データベース242と、交通情報処理データベース243と、などを備えている。基準地図データベース241は、デジタル道路地図データベース400から配信された基準地図データを記憶するテーブル構造に構築されている。
【0026】
ナビ地図データベース242は、案内誘導装置300で地図情報を利用して車両の走行を案内誘導するためのナビ地図データを記憶するテーブル構造に構築されている。すなわち、ナビ地図データベース242は、例えば図3に示すようないわゆるPOI(Point Of Interest)データである表示用データVMと、例えば図4に示すようなマッチングデータMMと、移動経路探索用地図データと、などを備えている。
【0027】
そして、ナビ地図データの表示用データVMは、例えばそれぞれ固有の番号が付加された複数の表示用メッシュ情報VMxを備えている。すなわち、表示用データVMは、一部の領域に関する表示用メッシュ情報VMxに複数分割され、表示用メッシュ情報VMxが縦横に複数連続して構成されている。なお、表示用メッシュ情報VMxは、適宜一部の領域に関する下層の表示用メッシュ情報VMxにさらに複数分割されていてもよい。各表示用メッシュ情報VMxは、設定された一辺の長さ、すなわち実際の地形上の長さを地図の縮尺に応じて短縮した長さで矩形状に分割され、所定の角部分に地図情報の全体、例えば地球の地図における絶対座標ZPの情報を有している。
【0028】
そして、表示用メッシュ情報VMxは、例えば交差点の名称などの名称情報VMxAと、道路情報VMxBと、背景情報VMxCと、にて構成されている。名称情報VMxAは、その領域における他要素データである例えば交差点の名称や地域の名称などを絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示されるデータのテーブル構造に構成されている。道路情報VMxBは、その領域における道路要素データである道路を絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示させるデータのテーブル構造に構成されている。背景情報VMxCは、他要素データである著名な場所や建造物などを示すマークや、その著名な場所や建造物などを示す他要素データである画像情報などを絶対座標ZPとの位置関係で所定の位置に配置表示されるデータのテーブル構造に構成されている。
【0029】
一方、マッチングデータMMは、表示用データVMと同様に、例えばそれぞれ固有の番号が付加された一部の領域に関するマッチングメッシュ情報MMxに複数分割され、マッチングメッシュ情報MMxが縦横に複数連続して構成されている。なお、マッチングメッシュ情報MMxは、適宜一部の領域に関する下層のマッチングメッシュ情報MMxにさらに複数分割されていてもよい。各マッチングメッシュ情報MMxは、設定された一辺の長さ、すなわち実際の地形上の長さを地図の縮尺に応じて短縮した長さで矩形状に分割され、所定の角部分に地図情報の全体、例えば地球の地図における絶対座標ZPの情報を有している。なお、マッチングメッシュ情報MMxは、表示用メッシュ情報VMxと異なる領域を表すデータ構造、すなわち分割される領域の縮尺が異なっていてもよい。ここで、縮尺が同一であれば固有の番号の情報を用いてデータを関連付けておけばよく、また縮尺が異なる場合であれば例えば絶対座標ZPを用いてデータを関連付けるなどすればよい。そして、マッチングデータMMは、例えば車両の移動状態を地図情報に重畳させて表示させる際に、車両を表す表示が道路上ではなく建物上に位置するなどの誤表示を防止するため、車両を表す表示が道路上に位置するように表示を修正するマップマッチング処理に利用される。このマッチングデータMMは、複数のリンク列ブロック情報を有している。
【0030】
リンク列ブロック情報は、図4に示すように、道路を構成し地点を表す地点情報としてのノードNを結ぶ線分である線分情報としてのリンクLが、所定の規則性で複数関連付けられたデータのテーブル構造である。具体的には、道路の所定の長さ例えば甲州街道や青梅街道などの連続する道路のように、リンクLが折れ線上にそれぞれ連なった連続するリンク列となるもので関連付けられている。そして、リンクLは、各リンクL毎に付加された固有の番号である線分固有情報(以下、リンクIDという。)と、リンクLが結ぶ2つのノードNを表す固有の番号などのノード情報とを有している。また、ノードNは、各道路の交差点や屈曲点、分岐点、合流点などの結節点に相当する。そして、ノードNに関する情報は、リンク列ブロック情報におけるノードN毎に付加された固有の番号である地点固有情報としてのノードID(identification)と、各ノードNが存在する位置の座標情報と、交差点や分岐点などの複数のリンクが交差する分岐位置か否かの分岐情報であるフラグ情報と、などを有している。なお、ノードNには、単に道路の形状を表すためにフラッグ情報を有しない地点固有情報および座標情報のみを有したものや、トンネルや道路の幅員などの道路の構成を表す情報である属性情報をさらに有したものもある。そして、フラッグ情報を有しない単に道路の形状を表すためのノードNについては、後述する交通情報の処理には利用されない。
【0031】
また、移動経路探索用地図情報は、例えばマッチングデータMMと同様のテーブル構造、すなわち道路を表すノードNのように地点を表す地点情報とリンクLのように地点を結ぶ線分情報とを有したテーブル構造で、移動経路を探索するために道路を表すための情報構造となっている。
【0032】
そして、交通情報処理データベース243は、図5に示すように、基準地図データのノードに対応したVICSデータをナビ地図データでも利用可能に対応付けするための処理データとしての交通情報処理データ243Aを、複数記憶するテーブル構造に構築されている。すなわち、交通情報処理データ243Aは、VICSデータの位置情報であるノードIDが対応する基準地図データの地点情報であるノードID243A1と、このノードIDの地点と同一の地点に対応するナビ地図データのノードNの地点情報であるノードID243A2と、VICSデータのノードIDに対応した基準地図データのバージョン情報243A3とが、1つのデータ構造に関連付けられている。
【0033】
また、サーバ記憶手段240には、例えばナビ地図データにおける所定の地点の情報を取得するための検索情報が記憶されている。すなわち、検索情報は、地図情報上で順次細分化される領域となる都道府県名、市町村名、地区名、地点名などの内容やガイダンスなどの各種情報や、地点としての店舗に関する各種情報などで、例えば階層状に項目情報が関連付けられたツリー構造のテーブル構造となっている。さらに、サーバ記憶手段240は、サーバ装置200全体を動作制御するOS(Operating System)上に展開される各種プログラムなどをも記憶している。また、サーバ記憶手段240は、サーバ演算手段250が演算の際に処理する信号などを一時的に記憶可能、すなわちメモリとしても機能する。
【0034】
サーバ演算手段250は、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、図示しない各種入出力ポートである、サーバ通信手段210が接続される入出力ポート、サーバ操作手段220が接続される入力ポート、サーバ表示手段230が接続される表示制御ポート、サーバ記憶手段240が接続される記憶ポートなどを有している。そして、サーバ演算手段250は、各種プログラムとして、基準地図データ取得手段251と、ノード抽出手段252と、同一ノード設定手段253と、処理データ生成手段254と、などを備えている。
【0035】
基準地図データ取得手段251は、サーバ通信手段210を制御し、ネットワーク101を介してデジタル道路地図データベース400から配信される基準地図データを取得する。この取得の際、基準地図データのバージョン情報なども合わせて取得する。そして、基準地図データ取得手段251は、取得した基準地図データをサーバ記憶手段240の基準地図データベース241へ適宜出力して記憶させる。
【0036】
ノード抽出手段252は、基準地図データおよびナビ地図データからノードNを抽出する。この抽出処理の際、基準地図データおよびナビ地図データが異なるフォーマットである場合には、同一のフォーマットに変換してからノードの抽出を実施する。このノードの抽出としては、例えば基準地図データからは3本以上のリンクが接続する条件のノード、すなわち交差点に対応するノードを抽出する。そして、ノードはそれぞれノードIDとして抽出されて、サーバ記憶手段240で適宜記憶される。
【0037】
同一ノード設定手段253は、同一の位置として判断された基準地図データのノードのノードIDと、ナビ地図データのノードNのノードIDとの位置が同一と判断されたものを、同一の位置であるとして関連付ける設定をする。この位置の同一の判断としては、例えば図6に示すように、ノードとリンクとの道路ネットワーク状に表示される画面表示を重ね合わせるように、基準地図データおよびナビ地図データのノードおよびリンクを比較して重なり合う状態のノードが同一の位置のものと判断される。また、重なり合わないノードでも、ノード情報に含まれる付帯情報、例えば交差点など、同一の交差点を示すノードである場合には同一の位置のものか否か判断される。さらに、重なり合わないノードについて、付帯情報のみならず、ノード情報とそのノードに連結するリンクの接続状態に基づいて同一の位置のものか否か判断される。
【0038】
すなわち、図7に示す対比条件における「1対1」のように、重なり合う状態のノード、あるいは重なり合わないがノード情報に含まれる座標が所定の範囲内となる近似する値で付帯情報や接続するリンクの接続状態などに基づいて同一と判断される場合、同一のノードとして設定される。すなわち、対応する基準地図データのノードにおけるノードID243A1と、ナビ地図データのノードNにおけるノードIDとを紐付けする。なお、図7は、説明の都合上、ノードに近接してノードID243A1として「A」を付し、ナビ地図データのノードID243A2に「A」を関連付ける意図でノードNに近接して「A」を付して矢印にて対応関係を示す。
【0039】
また、図7に示す対比条件における「1対多」のように、基準地図データでは道路を示すために単に交差点として1つのノードで表される場合でも、車両の走行を支援するナビゲーションに利用されるナビ地図データでは車両の走行方向を示すために交差点を4つのノードで示すような場合がある。このような重なり合わない場合でも、付帯情報や接続するリンクの接続状態などに基づいて同一と判断される場合には、同一のノードとして設定される。なお、図7は、説明の都合上、基準地図データのノードに対応するナビ地図データの各ノードNに近接して「A」を付してそれぞれ矢印にて対応関係を示す。
【0040】
さらに、ナビ地図データは、車両の走行を支援するナビゲーションに利用されるので、案内誘導として適切でない道路、例えば車両が進入できない極めて細い道や歩行者専用道路などが分岐する位置でも交差点として表さない場合がある。具体的には、図7に示す対比条件における「多対1」のように、基準地図データでは複数のノードにて交差点が構成される場合でもナビ地図データでは1つのノードとして表されたり、図7に示す対比条件における「1対0」のように、基準地図データでは交差点となっているノードでも、ナビ地図データでは交差点として表されず対応するノードがなかったりする。これらのような重なり合わない場合でも、付帯情報や接続するリンクの接続状態などに基づいて同一と判断される場合には、同一のノードとして設定される。すなわち、図7に示す4つの対比条件で、基準地図データとナビ地図データとの同一ノードの設定が実施される。なお、図7における「多対1」は、説明の都合上、基準地図データの4つのノードに対応するナビ地図データの1つのノードNに近接して、各ノードID243A1の「A」、「B」、「C」、「D」を付してそれぞれ矢印にて対応関係を示す。
【0041】
そして、同一ノード設定手段253における同一のノードとして関連付ける設定としては、例えば、基準地図データがデジタル道路地図データベース400から配信され、サーバ通信手段210にて取得したことを認識することにより実施される。なお、例えばサーバ操作手段220による設定入力に基づいて実施するなどしてもよい。そして、設定方法としては、図6に示すように基準地図データおよびナビ地図データの画面表示される形態での重なり合う状態を画像処理により判断したり、ノード情報を構成する各項目やそのノードに接続するリンク情報を構成する各項目の同一性をスコア付けして同一性をスコア値にて判断したり、各種自動演算処理が適用できる。また、サーバ操作手段220における作業者が手動にて同一のノードを関連付ける設定入力を実施してもよい。そして、同一ノード設定手段253は、基準地図データの全てのノードについて、ナビ地図データとの関連付けの設定が終了したことを認識すると、その旨を処理データ生成手段254へ出力する。この設定終了した旨の信号としては、自動演算処理の終了による信号の他、サーバ操作手段220による入力操作にて手動により出力する構成などとしてもよい。
【0042】
処理データ生成手段254は、同一ノード設定手段253で設定した同一位置となる基準地図データのノードとナビ地図データのノードとを1つのデータ構造に関連付けて上述した交通情報処理データ243Aを生成する処理をする。すなわち、同一位置の基準地図データのノードにおけるノードID243A1と、ナビ地図データのノードにおけるノードID243A2と、対比した基準地図データのバージョン情報243A3とを1つの交通情報処理データ243Aとして関連付ける。そして、処理データ生成手段254は、生成した交通情報処理データ243Aをサーバ記憶手段240の交通情報処理データベース243へ適宜出力して記憶させる。さらに、処理データ生成手段254は、処理データの生成処理が終了すると、サーバ記憶手段240の交通情報処理データベース243に記憶された処理データを、案内誘導システム100を利用する案内誘導装置300へサーバ通信手段210によりネットワーク101を介して送信する処理をする。
【0043】
一方、案内誘導システム100の案内誘導装置300は、例えば、車両に搭載され、ナビ地図データおよびVICSデータに基づいて車両の移動状況を案内、すなわち走行を案内誘導したり、最寄りの店舗の検索など、車両の移動を支援する処理をする。この案内誘導装置300は、図8に示すように、センサ部310と、端末通信手段320と、端末操作手段330と、端末表示手段340と、端末発音手段350と、端末記憶手段360と、端末演算手段370と、などを備えている。
【0044】
センサ部310は、移動体である例えば車両の移動の状態、すなわち現在位置や走行状況などを検出して端末演算手段370に所定の検出信号として出力する。このセンサ部310は、例えば図示しないGPS(Global Positioning System)受信部と、図示しない速度センサ、方位角センサおよび加速度センサなどの各種センサ312と、などにて構成されている。
【0045】
GPS受信部は、図示しない人工衛星であるGPS衛星から出力される航法電波をGPSアンテナ311にて受信する。そして、GPS受信部は、受信した航法電波に対応した信号に基づいて現在位置の擬似座標値を演算し、GPSデータとして端末演算手段370へ出力する。
【0046】
センサ312である速度センサは、移動体である例えば車両に配設され、車両の移動速度である走行速度に対応して変動する信号に基づいて、車両の走行速度や実際の加速度を検出する。この速度センサは、例えば車軸や車輪の回転により出力されるパルス信号や電圧値などを読み取る。そして、速度センサは、読み取ったパルス信号や電圧値などの検出信号を出力する。方位角センサは、車両に配設され、図示しないいわゆるジャイロセンサを有し、車両の方位角すなわち車両が前進する走行方向を検出し、走行方向に関する検出信号を出力する。加速度センサは、車両に配設され、車両の走行方向における加速度を検出し、検出した加速度を例えばパルスや電圧などによる検出信号であるセンサ出力値に変換して出力する。なお、センサとしては、これらの構成に限られるものではなく、速度センサ、方位角センサおよび加速度センサのうちのいずれか1つのみ、あるいは適宜の組み合わせ、さらに他のセンサを用いるなど、車両の移動状態を検出可能ないずれの構成が適用できる。なお、これら各種センサは、案内誘導装置300に搭載された構成としてもよい。
【0047】
端末通信手段320は、ネットワーク101を介して入力される信号に対してあらかじめ設定されている入力インターフェース処理を実行し、処理信号として端末演算手段370へ出力する。また、端末通信手段320は、端末演算手段370からサーバ装置200などの送信先に対して送信すべき処理信号が入力されると、入力された処理信号に対してあらかじめ設定されている出力インターフェース処理を実行し、サーバ信号としてネットワーク101を介してサーバ装置200などの送信先へ出力する。また、端末通信手段320は、図示しないVICSアンテナを有し、このVICSアンテナにより交通に関する交通情報を取得する。具体的には、道路交通情報通信システム500から例えばビーコンやFM多重放送などネットワーク101を介して、渋滞、交通事故、工事、交通規制などのVICSデータを取得する。そして、取得したVICSデータは、端末演算手段370へ所定の信号として出力される。また、端末通信手段320は、サーバ装置200から適宜配信される交通情報処理データ243Aを受信し、端末記憶手段360へ適宜出力して記憶させる。なお、送信される交通情報処理データ243Aにおける基準地図データのバージョン情報243A3に基づいて、既に取得している場合には記憶する処理をしなくてもよい。
【0048】
なお、VICSデータは、例えば以下に示す概念的な複数の項目が1つのデータとして構成されたテーブル構造となっている。そして、位置に関する情報については、上述したように、基準地図データのノードIDに対応、すなわち同一位置のノードIDを有している。
・渋滞度:渋滞、混雑、順調など
・渋滞の先頭位置情報
・渋滞の長さ情報
・リンク旅行時間情報:いわゆるVICSリンクである交差点間を車両が走行に要する時間
・区間旅行時間情報:VICSリンクより長い所定区間における車両が走行に要する時間
・規制内容、原因、規制区間などの情報
・駐車場における空車状況などの情報
・サービスエリアやパーキングエリアに関する情報
・その他の情報
【0049】
端末操作手段330は、サーバ操作手段220と同様に、入力操作される図示しない各種操作ボタンや操作つまみなどを有している。これら操作ボタンや操作つまみなどの入力操作としては、案内誘導装置300の動作内容の設定などの設定事項である。具体的には、ネットワーク101を介して各種情報を取得する旨の通信要求情報である通信動作の実行命令、取得する各種情報の内容や取得する条件などの設定、移動の案内誘導のための各種設定項目である目的地や移動条件などの設定、情報の検索、車両の移動状況である走行状態を表示させるなどが例示できる。そして、端末操作手段330は、設定事項の入力操作により、所定の操作信号を端末演算手段370へ適宜出力して設定させる。
【0050】
端末表示手段340は、サーバ表示手段230と同様に各種構成が適用可能で、端末演算手段370にて制御され、端末演算手段370からの画像データの信号を画面表示させる。この画像データとしては、ナビ地図データや検索情報などの画像データや、端末操作手段330で入力操作による設定入力を促す入力画面などの各種フォームの画像データ、外部装置から出力される各種画像データを対象とすることができる。
【0051】
端末発音手段350は、例えば図示しないスピーカなどの発音手段を備えている。この端末発音手段350は、端末演算手段370にて制御され、端末演算手段370からの音声データなどの各種信号を発音手段から音声などにより出力する。この音声により出力する情報としては、例えば車両の走行方向や走行状況、交通状況などで、車両の走行を案内する上で運転者などの搭乗者に報知する。なお、端末発音手段350は、発音手段を備えた構成に限らず、車両に配設されているスピーカなどを利用する構成としてもよい。
【0052】
端末記憶手段360は、サーバ記憶手段240と同様に各種構成が適用可能で、ナビ地図データや検索情報、ネットワーク101を介して取得した各種情報、端末操作手段330で入力操作されて設定入力された設定事項、音楽データや画像データなどを、端末演算手段370にて読取可能に適宜記憶する。また、端末記憶手段360は、案内誘導装置300全体を動作制御するOS上に展開される各種プログラムなどをも記憶している。また、端末記憶手段360は、端末演算手段370が演算の際に処理する信号などを一時的に記憶可能、すなわちメモリとしても機能する。なお、端末記憶手段360に記憶されるナビ地図データは、例えば記録媒体にあらかじめ記録されたもの、端末通信手段320によりネットワーク101を介してサーバ装置200から受信して記憶したものなど、いずれの取得方法が適用できる。
【0053】
端末演算手段370は、例えばCPUを備え、図示しない各種入出力ポートである、センサ部310のGPS受信部が接続されるGPS受信ポート、センサ部310の各種センサがそれぞれ接続されるセンサポート、端末通信手段320が接続される通信ポート、端末操作手段330が接続されるキー入力ポート、端末表示手段340が接続される表示ポート、端末発音手段350が接続される音声制御ポート、端末記憶手段360が接続される記憶ポートなどを有している。そして、端末演算手段370は、各種プログラムとして、現在位置認識手段371と、目的地認識手段372と、処理手段373と、案内情報生成手段374と、報知制御手段375と、経路処理手段376と、計時手段377と、などを備えている。
【0054】
現在位置認識手段371は、車両の現在位置を認識する。具体的には、センサ部310の速度センサおよび方位角センサから出力される車両の速度データおよび方位角データに基づいて、車両の現在の擬似位置を複数算出する。さらに、現在位置認識手段371は、GPS受信部から出力される現在位置に関するGPSデータに基づいて、車両の現在の擬似座標値を認識する。そして、現在位置認識手段371は、算出した現在の擬似位置と、認識した現在の擬似座標値とを比較し、別途取得された地図情報上における車両の現在位置を算出し、現在位置を認識する。
【0055】
また、現在位置認識手段371は、加速度センサから出力される加速度データに基づいて、走行する道路の傾斜や高低差を判断し、車両の現在の擬似位置を算出し、現在位置を認識する。すなわち、立体交差点や高速道路など、平面上で重なる箇所でも、車両の現在位置を正確に認識できる。さらに、山道や坂道を走行する際に、速度データや方位角データのみから得る移動距離と、実際の車両の走行距離との誤差を、検出した道路の傾斜を用いて補正するなどにより正確な現在位置を認識する。
【0056】
なお、現在位置認識手段371は、現在位置として上述した車両の現在位置の他、端末操作手段330にて設定入力された起点となる出発地点などを、擬似現在位置として認識可能である。そして、現在位置認識手段371で得られた各種情報は、端末記憶手段360に適宜記憶される。
【0057】
目的地認識手段372は、例えば端末操作手段330の入力操作により設定入力された目的地に関する目的地情報を取得し、目的地の位置を認識する。設定入力される目的地情報としては、例えば緯度・経度などの座標、住所、電話番号など、場所を特定するための各種情報が利用可能である。そして、この目的地認識手段372で認識した目的地情報は、端末記憶手段360に適宜記憶される。
【0058】
処理手段373は、端末通信手段320で受信したVICSデータを、端末記憶手段360に構築された交通情報処理データベース243の交通情報処理データ243Aにて、ナビ地図データに対応して利用できる紐付け処理を実施する。すなわち、処理手段373は、VICSデータに位置に関し基準地図データのノードIDに対応した情報であるノードIDに、ナビ地図データのノードIDを紐付け付ける処理、例えばVICSデータに同一の位置を表すノードNのノードIDを1つのデータ構造として関連付けする紐付け処理をする。この紐付け処理されたVICSデータは、端末記憶手段360へ適宜出力されて記憶される。
【0059】
案内情報生成手段374は、端末記憶手段360に記憶されたナビ地図データや端末通信手段320にて受信したVICSデータなどに基づいて、端末表示手段340や端末発音手段350で各種案内を報知する案内情報を生成する。この報知する案内としては、例えば車両の移動状況や移動を支援するための誘導、交通情報、施設の内容などの情報などが例示できる。そして、案内情報生成手段374は、生成した案内情報を報知制御手段375へ出力する。
【0060】
報知制御手段375は、案内情報生成手段374から出力される案内情報を、端末表示手段340や端末発音手段350の発音手段から出力して報知させる。具体的には、報知制御手段375は、案内情報における音データを発音手段から例えば「700m先、○○交差点を△△方面右方向です。」、「移動経路から逸脱しました。」、「この先、渋滞です。」などとして音声出力させて報知したり、端末表示手段340を制御して案内情報における画像データを端末表示手段340で画面表示、例えば所定の矢印や記号などを画面表示させて報知させたりする。
【0061】
経路処理手段376は、利用者である搭乗者により設定入力される経路設定のための設定事項情報、および、端末記憶手段360に記憶されたナビ地図データ、に基づいて、車両の移動経路を演算してルート探索する。なお、この経路処理手段376は、設定事項情報に基づいて、交通規制や渋滞、渋滞予測などの交通情報であるVICSデータなどを加味するか否か、最短距離、最短時間などの各種ルート探索のための要求に基づいて移動経路を演算する。この経路設定のための設定事項情報は、例えば移動経路の設定要求に関する入力操作に応じた操作信号に基づいて、各種条件の設定入力を促す表示画面を報知制御手段375により端末表示手段340で画面表示させ、画面表示に従った入力操作により取得する。この設定された移動経路は、端末記憶手段360へ出力されて適宜記憶される。
【0062】
計時手段377は、例えば内部クロックなどの基準パルスに基づいて現在時刻を認識する。そして、この計時手段377は、認識した現在時刻に関する時刻情報を適宜出力する。
【0063】
〔案内誘導システムの動作〕
次に、上記案内誘導システムの動作として、設定した移動経路に基づいて車両の移動を案内誘導する走行支援処理について図面を参照して説明する。図9は、再生システムの走行支援処理の動作を示すフローチャートである。図10は、走行支援処理における案内誘導処理の動作を示すフローチャートである。
【0064】
車両に搭乗した利用者である搭乗者が案内誘導装置300の電源をオンして電力を供給すると、端末演算手段370は、初期設定を実施するとともに、報知制御手段375により端末表示手段340を制御してメインメニューを表示させる。すなわち、利用者に案内誘導装置300に動作させる内容の設定入力を促す表示画面を端末表示手段340に表示させる。なお、例えば初期設定の際、案内誘導装置300は、端末演算手段370により、サーバ装置200で更新された交通情報処理データ243Aを取得する処理をする。例えば、端末通信手段320でサーバ装置200の交通情報処理データベース243に記憶されている交通情報処理データ243Aのバージョン情報243A3を受信し、端末記憶手段360の交通情報処理データ243Aと比較し、新しい交通情報処理データ243Aがサーバ装置200に記憶されている場合には、新しい交通情報処理データ243Aを受信して端末記憶手段360に記憶する処理をする。なお、最新の交通情報処理データ243Aの取得方法としては、この方法に限られない。
【0065】
そして、端末演算手段370は、図9に示すように、メインメニューから移動経路の設定を要求する旨の入力操作に応じた操作信号を認識すると(ステップS101)、報知制御手段375により、移動経路の探索に必要な各種情報、例えば目的地、最短距離か最短時間かなどの設定事項情報などの設定入力を促す表示画面を端末表示手段340に画面表示させる。さらに、端末演算手段370は、端末操作手段330の入力操作に基づく移動経路の探索に必要な各種情報を認識すると、まず現在位置認識手段371にて現在位置を認識する処理をするとともに(ステップS102)、目的地認識手段372にて設定入力された目的地を認識する処理をする(ステップS103)。さらに、端末演算手段370は、報知制御手段375により、端末表示手段340を制御して移動経路の探索のための最短時間や最短距離などの条件である各種設定事項の入力操作を促す表示をさせる。そして、利用者が表示された表示画面の指示に従って、端末操作手段330の入力操作により設定事項を設定入力すると、端末演算手段370は設定入力された設定事項に関する設定事項情報、さらには端末通信手段320で取得したVICSデータなどを取得する(ステップS104)。これら取得した現在位置情報、目的地情報、設定事項情報およびVICSデータは、端末記憶手段360に適宜出力されて記憶される。
【0066】
この後、端末演算手段370は、経路処理手段376にて、端末記憶手段360に記憶された現在位置情報、目的地情報、設定事項情報およびVICSデータに基づいて、車両の現在位置から目的地までの移動経路を、端末記憶手段360に記憶されたナビ地図データを用いて探索するルート探索処理をする(ステップS105)。そして、経路処理手段376は、設定事項情報に適合する複数、例えば5つの移動経路を検出するとともに、各移動経路における目的地までの所要時間を演算し、所要時間情報を生成する。そして、報知制御手段375は、経路処理手段376による移動経路の検出および所要時間情報の生成を認識すると、移動経路に関する移動経路情報および所要時間情報を端末表示手段340に表示させるとともに、利用者による選択を要求する旨の表示をさせる。この後、利用者がいずれかの移動経路情報を選択する入力操作により、移動経路が設定される。
【0067】
この移動経路の設定により、端末演算手段370の報知制御手段375は、端末記憶手段360から所定の縮尺率のナビ地図データを読み出すとともに、設定された移動経路および現在位置のアイコンを地図情報に重畳させて端末表示手段340に表示させる。なお、あらかじめ所定の交通情報や地物情報などを重畳表示させる旨の入力設定がなされている場合には、それらの情報に基づきナビ地図データに重畳させて適宜表示させる。
【0068】
そして、端末演算手段370は、車両の現在位置に基づいて、案内誘導処理を実施する(ステップS106)。この案内誘導処理では、例えば図10に示すように、VICSデータの取得待機状態となっている(ステップS201)。すなわち、端末演算手段370は、端末通信手段320により、VICSデータを受信したか否かを判断する。そして、端末演算手段370は、処理手段373により、VICSデータを受信すると、あらかじめ受信した交通情報処理データ243Aにより、ナビ地図データに関連付ける処理すなわちナビ地図データで利用できるデータ構造に紐付け処理する(ステップS202)。
【0069】
具体的には、処理手段373は、VICSデータの位置に関し基準地図データのノードIDに対応した情報であるノードIDに、ナビ地図データのノードIDを紐付け付ける処理、すなわちVICSデータに同一の位置を表すノードNのノードIDを1つのデータ構造として関連付けする。そして、端末演算手段370は、報知制御手段375により、VICSデータに基づいて渋滞や交通規制などの交通状況に対応した表示や音声を、端末表示手段340でナビ地図情報に重畳して表示あるいは文字表示させたり、端末発音手段350で音声出力したりして、交通状況を搭乗者に報知する。
【0070】
さらに、端末演算手段370は、経路処理手段376により、取得したVICSデータに基づいて移動経路の再探索であるリルート処理が必要か否かを判断する(ステップS203)。例えば、既に設定されている移動経路上に渋滞が発生して移動経路の移動所要時間が長くなるか否かなどを判断したりする。
【0071】
このステップS203において、リルート処理が必要であると判断、例えば渋滞や交通規制の発生、渋滞や交通規制の解消などであると判断した場合、再びステップS105と同様にして移動経路を探索する(ステップS204)。このステップS204のリルート処理の結果、新たな移動経路候補を探索した場合、報知制御手段375にて端末表示手段340に画面表示して搭乗者に報知するとともに、端末操作手段330における変更するか否かの設定入力を促す表示画面を画面表示させる。なお、新たな移動経路候補として、例えば、渋滞などを回避する新しい移動経路や渋滞や交通規制の回避のために設定した移動経路が遠回りとなっていたことにより渋滞や交通規制の解消により移動経路が短くなる新たな移動経路などの移動経路候補などが例示できる。そして、端末演算手段370は、報知された新たな移動経路候補に変更する旨の設定入力を認識すると、新たに探索して選択された移動経路を設定、すなわち端末記憶手段360に記憶されている従前の移動経路に書き替えて記憶させる。なお、端末演算手段370が変更しない旨の設定入力を認識すると、従前の設定されている移動経路をそのまま維持、すなわち記憶された状態を維持する。
【0072】
このステップS204のリルート処理の後、端末演算手段370(ステップS205)は、端末記憶手段360に記憶されている移動経路に基づいて、車両の走行を案内誘導する。すなわち、端末演算手段370は、センサ部310の速度センサ、方位角センサおよび加速度センサから出力される検出信号と、GPS受信部から出力されるGPSデータとに基づいて、車両の移動状況を認識する。さらに、端末演算手段370は、認識した移動状況と移動経路とに基づいて、案内情報生成手段374により車両の移動に関する案内情報を生成し、報知制御手段375により端末表示手段340で画面表示させたり端末発音手段350で音声出力したりして報知させ、車両の移動を案内誘導する。
【0073】
一方、ステップS203の再探索が必要でないと判断、例えば従前に取得したVICSデータの交通状況と変わりがないなどと判断した場合、ステップS205に進み、従前に設定されている移動経路に基づいて車両の移動を案内誘導する。このステップS205の案内誘導では、センサ部310からの検出信号に基づいて、車両が移動して移動状況が変動するたびに現在位置が目的地に到達したか否かを判断する(ステップS206)。そして、ステップS206で、まだ目的地に到達していないと判断した場合、ステップS201に戻り、案内誘導処理を継続する。一方、ステップS206で、車両が目的地に到達したと判断すると、案内誘導処理が終了し、走行支援処理が終了する。
【0074】
〔案内誘導システムの作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、ノードNおよびリンクLを有したナビ地図データを利用して車両の走行を案内誘導する案内誘導装置300の端末記憶手段360に、ノードおよびリンクを有しナビ地図データと異なるフォームの基準地図データのノードに対応するVICSデータの位置情報となるノードIDと、この基準地図データのノードに対して同一地点となるナビ地図データのノードNのノードIDとを1つのデータ構造に関連付けた交通情報処理データ243Aを複数記憶するテーブル構造の交通情報処理データベース243を構築している。このため、案内誘導装置300が車両を案内誘導するため交通情報としてVICSデータを利用する場合、案内誘導のためのナビ地図データと異なる基準地図データに対応したVICSデータでも、簡単なテーブル構造の交通情報処理データベース243にて自動的にナビ地図データに対応して利用でき、より適切な案内誘導を利用者に提供できる。
【0075】
さらに、案内誘導する車両に搭載されVICSデータを受信する案内誘導装置300に交通情報処理データベース243を構築する端末記憶手段360およびこの交通情報処理データベース243を利用してVICSデータをナビ地図データに対応させる端末演算手段370を設けている。このため、処理手段373によりVICSデータをナビ地図データに対応させて交通状況を案内誘導に反映させることが迅速にでき、良好な案内誘導を提供できる。
【0076】
そして、サーバ装置200でサーバ記憶手段240に構築されネットワーク101を介して配信された交通情報処理データ243Aを受信して交通情報処理データベース243を案内誘導装置300に構築している。このため、サーバ装置200で構築した交通情報処理データベース243を案内誘導装置300に配信するのみで、受信した各案内誘導装置300でVICSデータをナビ地図データに対応して利用可能となり、利用の拡大が容易に得られるとともに、交通情報処理データベース243の一元管理ができ、適切な案内誘導を提供できる。
【0077】
さらに、デジタル道路地図データベース400から配信される基準地図データを受信するサーバ装置200で交通情報処理データベース243を構築し、案内誘導装置300へ配信するシステム構成としている。このため、VICSデータをナビ地図データに対応して利用可能とするための交通情報処理データベース243を、ナビ地図データと比較する基準地図データを取得するサーバ装置200で構築するので、道路状況の変動に対応して基準地図データが更新されても容易に交通情報処理データベース243の更新が容易にでき、適切な案内誘導を提供できる。特に、交通情報処理データ243Aとして、基準地図データのバージョン情報243A3を有した構成としているので、基準地図データの更新状況を容易に判断でき、交通情報処理データベース243の更新管理が容易にできる。
【0078】
そして、交通情報処理データ243Aとして、同一の地点を表す基準地図データのノードIDとナビ地図データのIDデータとを関連付けた構成としている。このため、極めて簡単なテーブル構造でVICSデータをナビ地図データに対応して利用可能とすることが容易にでき、特に車両に搭載され構造的に制約が多い案内誘導装置300でも、交通情報処理データベース243を構築できる。さらに、同一位置のノードの関連付けとして、ノードIDにて関連付けして交通情報処理データ243Aを生成している。このため、より交通情報処理データ243Aのテーブル構造の簡略化、すなわちデータ量が小さくてよく、サーバ記憶手段240や端末記憶手段360の構成の簡略化や容量の有効利用、交通情報処理データベース243の容易な構築などが得られる。
【0079】
また、交通情報処理データ243Aとして、基準地図データから抽出したノードとナビ地図データから抽出したノードとを比較し、基準地図データのノードと同一の地点を表すナビ地図データのノードを関連付けて構成している。このため、交通情報処理データ243Aの生成工程が容易で短時間で生成できる。
【0080】
さらに、基準地図データおよびナビ地図データから抽出するノードとして、3本以上のリンクが接続する条件のノード、すなわち案内誘導のための案内情報の基準となる交差点に対応するノードを抽出する。このため、車両の移動を案内誘導するためのVICSデータをナビ地図データに対応付けるために必要十分な交通情報処理データ243Aを生成でき、交通情報処理データベース243の構築が容易で短時間に得られる。
【0081】
また、交通情報処理データ243Aとして、例えば図6に示すようにノードとリンクとの道路ネットワーク状に表示される画面表示を重ね合わせるようにして、基準地図データのノードとナビ地図データのノードとの位置の同一性を判定して同一の位置のノード同士を1つのデータ構造に関連付けて構築している。このため、基準地図データのノードとナビ地図データのノードとの位置の同一性の判定が容易で、交通情報処理データ243Aを容易に生成でき、生成のための演算処理の負荷が低減し、簡単な構成で短時間に生成させることができる。そして、基準地図データとナビ地図データとを比較する際に、例えば上述した図6に示すように画面表示を重ね合わせるようにして比較する場合、それぞれ比較可能なデータフォーム、すなわち画面表示可能なデータ構造に変更する。このことにより、交通情報処理データ243Aの生成が容易にできる。
【0082】
そして、案内誘導装置300の端末演算手段370およびサーバ装置200のサーバ演算手段250の構成をプログラムとして構築しているので、案内誘導装置300で取得するVICSデータを簡単なテーブル構造で容易にナビ地図データに対応付けできる構成が容易に得られ、利用の拡大が容易にできる。さらには、そのプログラムを記録媒体に記録し、適宜演算手段、すなわちコンピュータに読み取らせる構成とすることで、VICSデータをナビ地図データに簡単な構成で容易に対応付けできる構成が得られるとともに、プログラムを容易に取り扱いでき、利用の拡大が容易にできる。なお、演算手段としては、1つのコンピュータに限らず、複数のコンピュータをネットワーク状に組み合わせた構成、CPUやマイクロコンピュータなどの素子、あるいは複数の電子部品が搭載された回路基板などをも含む。
【0083】
〔実施の形態の変形〕
なお、本発明は、上述した実施の一形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0084】
すなわち、本発明の交通情報処理装置として案内誘導装置300に設ける構成、すなわち案内誘導装置300の端末記憶手段360に交通情報処理データベース243を構築するとともに端末演算手段370に処理手段373を設けた構成としているが、例えば案内誘導装置300とは別体構成として案内誘導装置300に接続し、案内誘導装置300で受信するVICSデータを適宜紐付け処理する構成、接続した交通情報処理装置でVICSデータを受信して紐付け処理した後に接続する案内誘導装置300へ出力したり、サーバ装置200に構築してサーバ装置200であらかじめVICSデータを受信して紐付け処理した後にネットワーク101を介して所定の案内誘導装置300へ出力したりするなどしてもよい。なお、サーバ装置200で紐付け処理する構成では、経路探索もサーバ装置200で実施して案内誘導装置300へ送信する構成に適用することが、VICSデータによる交通状況に影響を受ける車両の特定が容易となり、より適切な処理が得られる。
【0085】
また、サーバ装置200で構築した交通情報処理データベース243を案内誘導装置300へネットワーク101を介して送信するシステム構成について説明したが、1つのコンピュータなど一体の装置構成としてもよい。
【0086】
そして、交通情報処理データ243Aにバージョン情報243A3を関連付けて説明したが、このバージョン情報243A3を有しない構成としてもよい。さらには、他のデータを関連付けた構成などとしてもよい。
【0087】
また、交通情報処理データ243Aとしては、上述したように、画像処理による自動処理やノード情報の各項目の同一性をスコア値で判定する自動処理、さらには手動による生成など、いずれの方法が適用できる。
【0088】
そして、案内誘導装置300に端末通信手段320を設けて説明したが、案内誘導装置300と端末通信手段320とを別体とし、端末通信手段320として例えば携帯電話やPHSなどを用いて、この端末通信手段320を案内誘導装置300に接続して情報の送受信を適宜実行させる構成とすることもできる。
【0089】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0090】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、ノードNおよびリンクLを有したナビ地図データを利用して車両の走行を案内誘導する案内誘導装置300の端末記憶手段360に、ノードおよびリンクを有しナビ地図データと異なるフォームの基準地図データのノードに対応するVICSデータの位置情報となるノードIDと、この基準地図データのノードに対して同一地点となるナビ地図データのノードNのノードIDとを1つのデータ構造に関連付けた交通情報処理データ243Aを複数記憶するテーブル構造の交通情報処理データベース243を構築している。このため、案内誘導装置300が車両を案内誘導するため交通情報としてVICSデータを利用する場合、案内誘導のためのナビ地図データと異なる基準地図データに対応したVICSデータでも、簡単なテーブル構造の交通情報処理データベース243にて自動的にナビ地図データに対応して利用でき、より適切な案内誘導を利用者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明における実施の一形態に係る案内誘導システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】前記実施の一形態における案内誘導システムのサーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施の一形態におけるナビ地図データを構成する表示用データのテーブル構造を模式的に示す概念図である。
【図4】前記実施の一形態におけるナビ地図データを構成するマッチングデータのテーブル構造を模式的に示す概念図である。
【図5】前記実施の一形態における交通情報処理データベースのテーブル構造を示す概念図である。
【図6】前記実施の一形態における基準地図データとナビ地図データとを画面表示で比較した状態を模式的に示す概念図である。
【図7】前記実施の一形態における基準地図データおよびナビ地図データにおける同一位置のノードを関連付けて設定する対比条件を示す説明図である。
【図8】前記実施の一形態における案内誘導システムの案内誘導装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】前記実施の一形態における再生システムの走行支援処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】前記実施の一形態における走行支援処理における案内誘導処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
100………交通情報処理システムとして機能する案内誘導装置である演算手段としての案内誘導システム
200………サーバ装置
243………交通情報処理データベース
243A……処理データである交通情報処理データ
243A1…位置情報である基準地図データのノードID
243A2…地点情報であるナビ地図データのノードID
300………交通情報処理装置として機能する演算手段としての案内誘導装置
360………交通情報処理データベースとして機能する端末記憶手段
373………処理手段
375………報知制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理に利用される交通情報処理情報を記憶する交通情報処理データベースであって、
前記地点情報および前記線分情報を有し前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する前記交通情報に含まれる位置情報と、
前記基準地図情報と同一の地点を表す前記地図情報の地点情報と、
を1つのデータ構造に関連付けた処理データを複数記憶するテーブル構造に構築された
ことを特徴とした交通情報処理データベース。
【請求項2】
請求項1に記載の交通情報処理データベースであって、
前記処理データは、前記基準地図情報から抽出した複数の前記地点情報と前記地図情報から抽出した複数の前記地点情報との比較により、前記基準位置情報の地点情報に対して同一の前記地点の位置となる前記地図情報の地点情報が、前記同一の位置となる前記基準位置情報の地点情報に対応する前記交通情報の位置情報に関連付けられて構成された
ことを特徴とした交通情報処理データベース。
【請求項3】
請求項2に記載の交通情報処理データベースであって、
前記処理データは、前記基準地図情報および前記地図情報から、3本以上の線分情報が接続する条件で抽出した複数の前記地点情報との比較により、前記同一の地点の位置か否かが判定されて構成された
ことを特徴とした交通情報処理データベース。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の交通情報処理データベースであって、
前記処理データは、前記基準地図情報および前記地図情報における前記地点情報および前記線分情報で道路ネットワーク状に表される表示の重畳により前記地点情報の位置の同一性が判定されて構成された
ことを特徴とした交通情報処理データベース。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の交通情報処理データベースであって、
前記処理データは、前記基準地図情報から抽出した複数の前記地点情報と前記地図情報から抽出した複数の前記地点情報との比較として、それぞれの前記地点情報を1対1で関連付ける条件と、前記基準地図情報の地点情報に対して前記地図情報の複数の地点情報を1対多で関連付ける条件と、前記基準地図情報の複数の地点情報に対して前記地図情報の1つの地点情報を多対1で関連付ける条件と、の3つの対比条件で対応付けられて構成された
ことを特徴とした交通情報処理データベース。
【請求項6】
所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理装置であって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースと、
前記案内誘導装置で利用する前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段と、
を具備したことを特徴とした交通情報処理装置。
【請求項7】
所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理システムであって、
前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報を取得する基準地図情報取得手段、前記地図情報および前記基準地図情報を記憶する記憶手段、および、前記基準地図情報および前記地図情報に基づいて請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースの処理データを生成して前記交通情報処理データベースを構築する処理データ生成手段、を備えたサーバ装置と、
このサーバ装置にネットワークを介して送受信可能に接続され、前記地図情報を記憶するとともに前記処理データを取得して前記交通情報処理データベースを構築する端末記憶手段、および、前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段、を備えた前記案内誘導装置と、
を具備したことを特徴とした交通情報処理システム。
【請求項8】
所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置であって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースと、
前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、前記交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する処理手段と、
前記地図情報の地点情報が紐付け処理された前記交通情報を報知手段で報知させる報知制御手段と、
を具備したことを特徴とした案内誘導装置。
【請求項9】
演算手段により、所定の地点を表す複数の地点情報およびこれら地点情報を結ぶ複数の線分情報を有した地図情報を利用して移動体の移動を案内誘導する案内誘導装置で取得する交通情報を、前記地図情報に対応付ける処理をする交通情報処理方法であって、
前記演算手段は、
前記案内誘導装置で利用する前記地図情報と異なるフォームの基準地図情報の前記地点情報に対応する位置情報を有し前記案内誘導装置で取得される前記交通情報に、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の交通情報処理データベースの同一の位置情報に関連付けられた前記地図情報の地点情報を紐付け処理する
ことを特徴とする交通情報処理方法。
【請求項10】
演算手段を請求項6に記載の交通情報処理装置として機能させる
ことを特徴とした交通情報処理プログラム。
【請求項11】
請求項9に記載の交通情報処理方法を演算手段に実行させる
ことを特徴とした交通情報処理プログラム。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の交通情報処理プログラムが演算手段にて読み取り可能に記録された
ことを特徴とした交通情報処理プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−350089(P2006−350089A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177693(P2005−177693)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】