半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法
【課題】半導体ウエハのノッチとベベルの研磨を一つの装置内で効率よく行うことのできる半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の装置10は、半導体ウエハWを保持するためのウエハステージ23を有するウエハステージユニット20、ウエハステージユニット20を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段30、32、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチを研磨するノッチ研磨部40、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのベベルを研磨するベベル研磨部50から構成される。ハウジング11内に搬入された半導体ウエハWをウエハステージ23に載置し、またウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをウエハステージ23から取り上げるためのウエハチャック手段80からさらに構成される。
【解決手段】本発明の装置10は、半導体ウエハWを保持するためのウエハステージ23を有するウエハステージユニット20、ウエハステージユニット20を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段30、32、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチを研磨するノッチ研磨部40、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのベベルを研磨するベベル研磨部50から構成される。ハウジング11内に搬入された半導体ウエハWをウエハステージ23に載置し、またウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをウエハステージ23から取り上げるためのウエハチャック手段80からさらに構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハの周縁は、ノッチを研磨する装置(特許文献3を参照)と、ベベルを研磨する装置(特許文献1、2を参照)とを個別に使用して研磨している。半導体ウエハの周縁の研磨は、被研磨部(ノッチ又はベベル)に、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給しながら、織布、不織布、発泡体などからなるテープや、接着剤で研磨材砥粒を固定した研磨層をプラスチックなどの表面に形成したテープをこの被研磨部に押し付けた状態で走行させ、これにより被研磨部を湿式に研磨している。
【特許文献1】特開平7−164301号公報
【特許文献2】特開平8−174399号公報
【特許文献3】特開平9−85599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、半導体ウエハのノッチとベベルとを個別に研磨していたので、これら装置間の半導体ウエハの搬送に時間がかかるだけでなく、設備スペースが大きくなる、という問題がある。また、搬送中に半導体ウエハが乾燥し、デバイスウエハの歩留まりが悪化する、という問題が生じる。
【0004】
各装置内のウエハステージへの半導体ウエハの位置決めは、ウエハ搬送用のロボットの一対のチャックハンドで半導体ウエハの周縁を挟持して行っているが、精度よく位置決めをするため、複数個のシリンダーを使用しているので、設備スペースが大きくなる。また、シリンダーとして空気圧シリンダーを使用しているので、位置決めに0.5mm程度の誤差が生じる。さらに、半導体ウエハの周縁に過度の挟持力がかかり、半導体ウエハの周縁を破損する、という問題が生じる。
【0005】
半導体ウエハは、ウエハステージに真空により吸着されており、この半導体ウエハのウエハステージからの剥離は、ウエハ搬送用のロボットの一対のチャックハンドで半導体ウエハの周縁を挟持し、このチャックハンドを持ち上げた瞬間に、半導体ウエハとウエハステージとの間の真空吸着状態を解除している。このことから、ウエハステージに吸着している半導体ウエハを剥離するとき、大きな剥離力(半導体ウエハをウエハステージから剥離するのに要する力)を半導体ウエハに瞬時にかけなければならず、半導体ウエハを変形させたり、破損させる、という問題が生じる。
【0006】
従来の技術では、テープは、研磨中、テープ供給ローラから送り出され、テープの外径(すなわち、残量)に従って、テープ供給ローラからテープを送り出すためのモータのトルク値を変え、被研磨部に押し付けられるテープの張力を調節しているが、テープの外径が、このテープ供給ロールの側面に複数個(一般に8個)配列した光学センサの受光部に入射する投光部からの光の有無によって決定されているため、モータのトルク値が段階的に切り替わり、テープの張力が一定しない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、したがって、本発明の第一の目的は、半導体ウエハの周縁を加工することを目的とするものであり、半導体ウエハのノッチとベベルの研磨を一つの装置内で効率よく行うことのできる半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、研磨時間を短縮し、装置設備を省スペース化した上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0009】
本発明の第三の目的は、ウエハステージへの半導体ウエハの位置決めをより高精度に行える上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0010】
本発明の第四の目的は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハを容易に剥離できる上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の第五の目的は、研磨ヘッドのテープの外径(残量)に無関係に、テープを一定の張力に維持できる上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するための装置及び方法である。
【0013】
<装置> 上記目的を達成する本発明の装置は、半導体ウエハの周縁を研磨するための装置であって、半導体ウエハを保持するためのウエハステージ、ウエハステージを回転させるためのステージ回転手段、及びウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させるためのステージ旋回往復移動手段から構成されるウエハステージユニット、ウエハステージユニットを、ウエハステージの表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段、ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨するための2以上の研磨部から構成される。
【0014】
これら2以上の研磨部は、ウエハステージに保持した半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及びウエハステージに保持した半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する。
【0015】
本発明の装置は、ウエハステージユニット、研磨部、ステージ移動手段を収容し、側面に開閉可能な開口部を有するハウジングを含む。
【0016】
ハウジングは、仕切板によって二つの空間に区画され、これら二つの空間のうちの一方の空間には、ウエハステージユニットと研磨部が収容され、他方の空間には、ステージ移動手段が収容される。
【0017】
本発明の装置は、ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段を含む。
【0018】
本発明の装置は、ハウジングの内部に搬入された半導体ウエハを受け取ってこの半導体ウエハをウエハステージ上に載置し、ウエハステージ上の半導体ウエハをウエハ搬送手段に受け渡すウエハチャック手段を含む。
【0019】
ウエハチャック手段は、二個又はそれ以上の個数のコマを有する第一のチャックハンド、二個又はそれ以上の個数のコマを有する第二のチャックハンド、第一及び第二のチャックハンドを開閉させるためのチャックハンド開閉手段、及び第一及び第二のチャックハンドをウエハステージの表面と垂直な方向に往復移動させるためのチャック移動手段から構成される。第一及び第二のチャックハンドを閉じると、これら第一及び第二のチャックハンドのそれぞれのコマが半導体ウエハの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハが、第一及び第二のチャックハンドに挟持される。
【0020】
チャックハンド開閉手段は、第一及び第二のチャックハンドのうちの少なくとも一方のチャックハンドを螺合させたボールネジ、及びボールネジを駆動するためのサーボモータから構成される。サーボモータを駆動すると、第一及び第二のチャックハンドが開閉移動する。
【0021】
本発明の装置は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体を含む。
【0022】
ノッチ位置検出手段は、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサから構成される。光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチが投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハを回転させると、光学センサによって、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される。
【0023】
好適に、ノッチ検出手段は、光学センサを三個有する。半導体ウエハを吸着して保持しているウエハステージが、第一の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第一の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、ウエハステージが、第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第二の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する。そして、ウエハステージが、第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第三の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する。
【0024】
センサ組立体は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有する。
【0025】
位置ズレ検出手段は、投光部と、受光部とを有する光学センサから構成される。光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハを回転させることにより、光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出される。
【0026】
好適に、上記の第三の光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチを含む周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。この半導体ウエハを回転させると、第三の光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出され、さらに、ウエハステージが第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される。
【0027】
センサ組立体は、防水手段を含む。
【0028】
本発明の装置において、ノッチ研磨部は、相互に間隔をあけて平行に配列した第一及び第二のローラを有するノッチ研磨ヘッド、及びテープを巻き付けたテープ供給ロールと、テープを、テープ供給ロールから、第一及び第二のローラを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラと、テープを巻き取るために、テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段とを有するテープ供給巻取手段から構成され、第一のローラと第二のローラとの間を通過するテープが、半導体ウエハのノッチに押し付けられ、これにより、ノッチが研磨される。
【0029】
テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される。
【0030】
ノッチ研磨部は、テープをノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨部を半導体ウエハの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段を含み得る。
【0031】
また、ノッチ研磨部は、半導体ウエハのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、テープをノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッドを、ノッチに関して旋回往復移動させるための手段を含み得る。
【0032】
好適に、ノッチ研磨部は、テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径を検出するためのテープ外形検出手段を含む。
【0033】
本発明の装置において、ベベル研磨部は、先端にコンタクトパッドを取り付けたシリンダーを有するベベル研磨ヘッド、及びテープを巻き付けたテープ供給ロールと、テープを、テープ供給ロールから、コンタクトパッドを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラと、テープを巻き取るために、テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段とを有するテープ供給巻取手段から構成される。コンタクトパッド上を通過するテープが、ベベルに押し付けられ、これにより、ベベルが研磨される。
【0034】
テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される。
【0035】
ベベル研磨部は、半導体ウエハのベベルの表面側と裏面側が研磨されるように、テープをベベルに押し付けた状態で、ベベル研磨ヘッドをベベルに関して旋回往復移動させるための手段を含む。
【0036】
ベベル研磨部は、テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径検出手段を含む。
【0037】
ベベル研磨部は、半導体ウエハのベベルの研磨中、この半導体ウエハの位置ズレを検出するための第二の位置ズレ検出手段を含む。この第二の位置ズレ検出手段は、半導体ウエハの研磨中に、半導体ウエハの研磨中に、コンタクトパッドを介してテープを半導体ウエハのベベルに押し付けているシリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサから構成される。
【0038】
本発明の装置の装置は、ハウジングの内部を清浄に維持するための清浄化手段を含む。この清浄化手段は、ハウジングの上面に設けた吸気口、ハウジングの下面に設けた排気口、及び排気口に連通する外部ポンプから構成され、吸気口から流入した空気が、ハウジングの内部の側面に沿って流れるように、吸気口及び排気口がハウジングに設けられる。
【0039】
本発明の装置は、仕切板によって区画されているハウジングの二つの空間のうちの他方の空間を防水するための防水手段からさらに構成される。
【0040】
好適に、本発明の装置では、ハウジングの仕切板が、開口部を有し、ステージの回転手段は、ウエハステージの裏側の中心に取り付けたシャフト、このシャフトを回転可能に取り付けた支持体、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。また、ステージの旋回往復移動手段は、ウエハステージの中心から半導体ウエハの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、ハウジングの仕切板の開口部を通じて、ウエハステージユニットの支持体の下面に固定した第二のシャフト、及び仕切板の下側で、この第二のシャフトを回転させるための第二のモータから構成される。この第二のシャフトは、中空筒状の軸台に回転可能に取り付けられ、この軸台の下面は、ハウジングの仕切板の下方に位置する支持板に固定される。そして、軸台の上面は、支持体の下面に当接して支持体を支持し、第二のモータは、この支持体に固定される。
【0041】
この装置の防水手段は、上部を、軸台の上部に液密に固定し、低部を、仕切板の開口部の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバーから構成され、この防水カバーは、弾力性を有する材料から形成される。
【0042】
好適に、この防水カバーは、二重構造である。このとき、本発明の装置は、この二重構造の防水カバーの外側のカバーと、内側のカバーとの間の空間に圧縮空気を吹き込むための手段からさらに構成される。
【0043】
<研磨方法> 上記目的を達成する本発明の方法は、半導体ウエハの周縁を研磨するための方法であって、ウエハステージに半導体ウエハを吸着して保持させるウエハ保持工程、及びウエハステージに吸着して保持させた半導体ウエハの周縁を2以上の研磨部で研磨する研磨工程から構成される。
【0044】
研磨工程は、半導体ウエハを保持したウエハステージを2以上の研磨部の各々に向けて、順次移動させ、各研磨手段で、ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨する工程から構成される。
【0045】
本発明の方法は、半導体ウエハを保持したウエハステージが2以上の研磨部の間を移動しているとき、ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給する乾燥防止工程を含む。
【0046】
2以上の研磨部は、半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する。
【発明の効果】
【0047】
本発明が以上のように構成されるので以下のような効果を奏する。
【0048】
ノッチ用とベベル用の各研磨ヘッドの間の半導体ウエハの搬送が、ステージ移動手段により、ウエハステージを移動させるだけでできるので、半導体ウエハのノッチとベベルの研磨を一つの装置内で効率よく行うことができるだけでなく、研磨時間の短縮、及び装置設備の省スペース化ができる。
【0049】
ノッチ検出手段と位置ズレ検出手段とを備えたので、ウエハステージへの半導体ウエハの位置決めがより高精度に行える。
【0050】
ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハをチャックハンドで挟持したままの状態で、この半導体ウエハをウエハステージの表面から少し(0.5mm〜1.0mm)浮き上がらせてから真空吸着が解除されるので、半導体ウエハを容易に剥離できる。
【0051】
テープ供給ロールに残留するテープの厚さを光学センサにより連続的に検出するので、テープの張力を一定にできる。
【0052】
駆動系(平行移動手段)の構成成分を可撓性シートからなる防水カバーで覆ったので、装置内の駆動系の防水が十分にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明の装置は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するためのものである。
【0054】
図1Aに示すように、半導体ウエハWは、シリコン単結晶からなる薄い円盤であり、この円盤の外周には、シリコンの結晶方向を示す目印となるノッチNと呼ばれる切欠きが形成されており、このノッチNは、半導体処理装置において、円形の半導体ウエハWの位置決めなどの基準として利用されるものである。
【0055】
半導体ウエハWは、その周縁の断面形状に従って「ストレート型」と「ラウンド型」に大別できる。ストレート型の半導体ウエハは、図1Bに示すように、断面形状が多角形状(台形状)のものをいい、ラウンド型の半導体ウエハは、図1Cに示すように、断面形状が曲線状(半円形状、半楕円形状)のものをいう。
【0056】
なお、本明細書において、用語「ベベル」は、図1Bに示すストレート型の半導体ウエハWにおいては、上側傾斜面P、下側傾斜面Q及び端面Rの部分(符号Bで示す部分)をいい、ラウンド型の半導体ウエハにおいては、図1Cに符号Bで示す曲面の部分をいう。また、用語「エッジ」は、半導体デバイスを形成する部分(符号Dで示す部分)とベベルBとの間の領域(符号Eで示す)をいう。
【0057】
<装置> 図2〜図4に示すように、本発明の装置10は、半導体ウエハWを保持するためのウエハステージ23を有するウエハステージユニット20、ウエハステージユニット20を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段30、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁を研磨するための2以上の研磨部から構成される。ここで、図示の例では、これら2以上の研磨部として、代表的に、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチを研磨するノッチ研磨部40、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのベベルを研磨するベベル研磨部50の2つの研磨部を有する装置10について説明するが、2以上の研磨部として、さらに多数のノッチ研磨部やベベル研磨部を備えていてもよい。すなわち、例えば、ノッチ研磨部とベベル研磨部がそれぞれ三つずつ備えられている場合、これらノッチ及びベベル研磨部のそれぞれの第一の研磨部で粗研磨を行い、第二の研磨部で仕上げ研磨を行い、第三の研磨部でクリーニングを行うことができる。
【0058】
ハウジング11は、仕切板14によって二つの空間に区画され、これら二つの空間のうちの一方の空間(符号15で示す上室)に、ウエハステージユニット20、ノッチ研磨部40及びベベル研磨部50が収容され、これら二つの空間のうちの他方の空間(符号16で示す下室)に、ステージ移動手段30が収容される。
【0059】
ハウジング11は、その上室15の側面に開口部12を有する。この開口部12は、シリンダー(図示せず)により駆動されるシャッター13により開閉される。半導体ウエハWは、この開口部12を通じて、ハウジング11の内外に搬入、搬出される。半導体ウエハWの搬入、搬出は、搬送ロボットハンド(図5A及び図5Bに符号13で示す)のような既知のウエハ搬送手段により行われる。なお、シャッター13によりハウジング11の開口部12を閉じることで、ハウジング11の内部が外部から完全に遮断され、研磨中、ハウジング11内のクリーン度及び気密性が維持され、これにより、ハウジング11の外部からの半導体ウエハの汚染や、研磨中にハウジング11の内部からの研磨液やパーティクル等の飛散によるハウジング11外部の汚染を防止できる。
【0060】
<ウエハチャック手段> 本発明の装置10は、ハウジング11内に搬入された半導体ウエハWをウエハステージ23に載置し、またウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをウエハステージ23から取り上げるためのウエハチャック手段80からさらに構成される。
【0061】
図5Aに示すように、ウエハチャック手段80は、二個又はそれ以上の個数のコマ83を有する第一のチャックハンド81、二個又はそれ以上の個数のコマ83を有する第二のチャックハンド82、これら第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージに保持した半導体ウエハの表面と平行な方向に開閉(矢印T1)させるためのチャックハンド開閉手段84、及び第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハの表面に垂直な方向(矢印T2)に往復移動させるためのチャック移動手段85から構成され、第一及び第二のチャックハンド81、82を閉じると、これら第一及び第二のチャックハンド81、82のそれぞれのコマ83が半導体ウエハWの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハWが、第一及び第二のチャックハンド81、82に挟持される。
【0062】
このチャックハンド開閉手段84は、図5Aに示すように、第一及び第二のチャックハンド81、82に螺合させたボールネジb5、ボールネジb5を駆動するためのサーボモータm5、及び第一及び第二のチャックハンド81、82に貫挿させた矢印T1の方向に伸びるリニアガイド87から構成され、ガイド86及びカップリング89がボールネジb5に連結されており、サーボモータm5を駆動すると、第一及び第二のチャックハンド81、82が矢印T1の方向に開閉移動する。好適に、第一及び第二のチャックハンド81、82で半導体ウエハWを挟持したとき、この半導体ウエハWの中心は、ウエハステージの中心(後述するウエハステージ23の回転軸Cs)上に位置する。
【0063】
チャック移動手段85は、図5Bに示すように、第一及び第二のチャックハンド81、82を取り付けた昇降台88をボールネジ(図示せず)に螺合させ、このボールネジをサーボモータ(図示せず)により駆動して、第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージ23の表面に垂直な方向(矢印T2の方向)に往復移動させるものである。図5Bには、符号L1で示す退避位置、符号L2で示すウエハ受渡位置(搬送ロボットハンド13上の半導体ウエハWを第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持し、又は搬送ロボットハンド13へ半導体ウエハWを載置する位置)、及び符号L3で示すウエハ載置位置(ウエハステージ23上へ半導体ウエハWを載置し、又はウエハステージ23に保持した半導体ウエハWを第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持する位置)を示す。
【0064】
<ウエハステージユニット> 図2〜図4に示すように、ウエハステージユニット20は、ウエハステージ23を回転させるためのステージ回転手段、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチに関してウエハステージ23を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面と同一平面内で旋回往復移動(矢印R5の方向)させるためのステージ旋回往復移動手段をさらに有する。
【0065】
<ウエハステージ> ウエハステージ23は、図2〜図4及び図9に示すように、真空ポンプ(図示せず)に連通した1個又は複数個の吸引孔25(図示の例では1個)を設けた平坦な表面を有する。この表面上には、吸引孔25を塞がないように、一定の高さ(厚さ)の弾力性のあるパッド24が粘着されている。半導体ウエハWは、このパッド24上に載置される。吸引孔25は、中空のシャフト27、このシャフト27の下端に回転可能に取り付けたパイプ28、及び中空のシャフト31を通じて、外部の真空ポンプ(図示せず)に連通している。
【0066】
パッド24の上面には、吸引孔25に連通する溝26、26´が形成されている。好適に、パッド24の上面に、同心円状の複数個の環状の溝26と、これら環状溝26を連結する複数個の放射状の溝26´とが形成され、これら環状の溝26と放射状の溝26´は、上記の真空ポンプに連通している。パッド24上に半導体ウエハWを載置すると、これら溝26、26´は、半導体ウエハWの裏面によって、気密にシールされる。そして、真空ポンプを駆動すると、半導体ウエハWは、その裏面からパッド24によって支持され、変形(湾曲)することなく、ウエハステージ23に吸着されて保持される。
【0067】
上記のようにして第一及び第二のチャックハンド81、82に挟持された半導体ウエハWは、チャック移動手段85により、ウエハステージ23上のパッド24上に載置される。そして、チャックハンド開閉手段84により、これらチャックハンド81、82が開かれ、これと同時に、真空ポンプが駆動して、半導体ウエハWの裏面側の空間(すなわち、パッド24の上面に形成した溝26、26´の内部)が減圧され、パッド24に押し付けられてやや沈み込む。これにより、半導体ウエハWが、ウエハステージ23にしっかりと吸着されて保持される。
【0068】
他方、このようにウエハステージ23に吸着して保持されている半導体ウエハWは、第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持された後、チャック移動手段85により、上方へ持ち上げられる。そして、少し浮き上がったところ(0.5mm〜1.0mm)で、真空ポンプが停止され、真空吸着が解除される。これにより、ウエハステージ23に吸着している半導体ウエハWを剥離するとき、大きな剥離力(半導体ウエハWをウエハステージ23から剥離するのに要する力)が半導体ウエハWに瞬時にかかることがなくなった。すなわち、半導体ウエハWを変形させることもなく、また破損させることもなく、半導体ウエハWをウエハステージ23から剥離できるのである。
【0069】
<ステージ回転手段> 図3及び図4に示すように、ステージ回転手段は、ウエハステージ23の裏側に回転軸Csと同軸に取り付けたシャフト27、及びこのシャフト27にプーリーp1及びベルトb1を介して連結したモータm1から構成される。シャフト27は、ユニット本体21の支持体22に軸受を介して回転可能に取り付けられている。モータm1は、支持体22に固定されている。ウエハステージ23は、モータm1を駆動すると、その中心すなわち回転軸Csに関して回転する。
【0070】
<ステージ旋回往復移動手段> ステージ旋回往復移動手段は、ウエハステージ23の表面と同一平面内で、ウエハステージ23を旋回往復移動させるためのものである。このステージ旋回往復移動手段は、ウエハステージ23の回転軸Csから半導体ウエハWの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、ハウジング11の仕切板14の開口部17を貫通して、ウエハステージユニット20のユニット本体21の支持体22の下面に固定したシャフト31、及び仕切板14の下側で、シャフト31にプーリーp2とベルトb2を介して連結したモータm2から構成される。シャフト31は、中空筒状の軸台29に軸受を介して回転可能に取り付けられる。この軸台29の下面は、ハウジング11の仕切板14の下方に位置する支持板32に固定され、軸台29の上面は、ユニット本体21の下面に当接してユニット本体21を支持している。また、モータm2は、支持板32に固定されている。ウエハステージユニット20は、このモータm2を駆動すると、このオフセットした位置、すなわち旋回軸Ctに関して、ウエハステージ23の表面と同一平面内で旋回往復移動(図2A及び図2Bに矢印R5で示す方向)する。好適に、ステージ旋回往復移動手段は、半導体ウエハWを保持したウエハステージ23を、半導体ウエハWのノッチに関して、ウエハステージ23の表面と同一平面内で旋回往復移動させる。
【0071】
<ステージ移動手段> 図3及び図4に示すように、ステージ移動手段は、ステージ旋回往復移動手段の軸台29を固定した支持板32、及びこの支持板32を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるための平行移動機構30から構成される。
【0072】
この平行移動機構30は、図示のように、ハウジング11の仕切板14と支持板32との間に位置し、第一の方向(図2A及び図4に示す矢印Xの方向)に移動可能にリニアガイド35を介して仕切板14に取り付けた可動板33、この可動板33を矢印Xの方向に移動させるために、可動板33に連結したボールネジb4、及びこのボールネジb4を駆動するためのモータm4を有する。可動板33は、開口部33´を有し、この開口部33´を軸台29が通過する。また、この可動板33の下面に、支持板32が、第一の方向Xと直交する方向(図2及び図3に矢印Yで示す方向)に移動可能にリニアガイド34を介して取り付けられ、支持板32を矢印Yの方向に移動させるために、ボールネジb3が支持板32に連結され、このボールネジb3が、可動板33に固定したモータm3によって駆動される。すなわち、仕切板14の下面に固定したモータm4を駆動すると、可動台33に連結したボールネジb4が回転し、可動台33が矢印Xの方向に移動する。また、可動台33に固定したモータm3を駆動すると、支持板32に連結したボールネジb3が回転し、支持板32が、可動台33に関して、矢印Yの方向に移動する。なお、ウエハステージユニット20の矢印X、Yの方向の移動の範囲は、仕切板14に設けた開口部17の大きさと、可動板33に設けた開口部33´の大きさに依存するので、ウエハステージユニット20の移動範囲を大きくするときは、装置10の設計段階において、これら開口部17、33´の大きさを大きくすればよい。
【0073】
<ノッチ研磨部> ノッチ研磨部40は、図3及び図10に示すように、テープ43に半導体ウエハWのノッチを押し付けるノッチ研磨ヘッド44、及びテープ43をノッチ研磨ヘッド44へ供給し、供給したテープ43を巻き取るテープ供給巻取手段45から構成される。
【0074】
ノッチ研磨ヘッド44は、相互に間隔をあけて平行に配列して取り付けた第一及び第二のローラ41、42を有し、半導体ウエハWのノッチが、第一のローラ41と第二のローラ42との間を通過するテープ43に押し付けられる。
【0075】
テープ供給巻取手段45は、テープ43を巻き付けたテープ供給ロール46、テープ供給ロール46からのテープ43を、第一及び第二のローラ41、42を介して巻き取るためのテープ巻取ローラ47、及びテープ43を巻き取るために、テープ巻取ローラ47を駆動するための巻取ローラ駆動手段(図示せず)から構成される。
【0076】
ノッチ研磨部40は、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を半導体ウエハWの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段からさらに構成され得る。この手段は、図示しないが、ウエハステージ23の表面に垂直な方向に長いリニアガイド、このリニアガイドに沿ってノッチ研磨ヘッド44を、モータ駆動により往復移動させるためのクランク・シャフト機構から構成され得る。
【0077】
また、ノッチ研磨部40は、半導体ウエハWのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を、ノッチに関して旋回往復移動(図10に矢印R3で示す方向)させるための手段を含み得る。この手段は、図示しないが、テープ43の走行方向と垂直な方向に伸びるシャフト、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。シャフトは、テープ43が半導体ウエハWのノッチに押し付けられる位置に配置される。そして、このシャフト(このシャフトが、ノッチ研磨ヘッド44の旋回軸となる)は、ノッチ研磨ヘッド44に連結されている。モータを駆動してこのシャフトを回転させると、テープ43がノッチに押し付けられた状態で、ノッチ研磨ヘッド44が、ノッチに関して矢印R3の方向で旋回往復移動し、これにより、半導体ウエハWのノッチの表面側と裏面側が研磨される。
【0078】
ノッチ研磨部40は、ノッチに、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給するためのノズル48からさらに構成される。
【0079】
テープ43として、織布、不織布、発泡体などからなるテープが使用できる。また、テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用できる。研磨材砥粒として、例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子や平均粒径0.1μm〜5.0μmの間の範囲にあるSiC粒子が使用できる。樹脂バインダーとして、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系のものが使用できる。ベースフィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0080】
ここで、テープ43として研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープを、水に研磨材砥粒を分散させた研磨液や冷却水と併用して使用することが望ましい。これは、水ベースの反応液を使用せずに研磨できるので、半導体ウエハWの汚染、さらにハウジング11の内部の汚染(ハウジング11の内部に配置されている各構成成分の汚染)をより防止できるからである。
【0081】
実用的に、テープ43の幅は、1mm〜10mmの範囲にあり、テープ43は、数十メートルの長さにあり、円筒状の芯材(図8に符号46´で示す)に巻き付けられる。
【0082】
半導体ウエハWのノッチの研磨は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをステージ移動手段により、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動して、半導体ウエハWのノッチをノッチ研磨部40のテープ43に押し付け、ステージ旋回往復移動手段により、ノッチに関してウエハステージ23を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面と同一平面内で旋回往復移動(図2A及び図2Bに矢印R5で示す方向)させることによって行われる。このとき、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を半導体ウエハWの表面に垂直な方向に往復移動させてもよいし、また、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44をノッチに関して旋回往復移動(図10に矢印R3で示す方向)させてもよい。ここで、図示の例では、ノッチの研磨が、テープ43を使用して行われたが、このようなテープ研磨に限定されず、例えば、外周縁の断面形状がノッチの形状と一致する既知のディスク状のパッドを使用して、ノッチを研磨してもよい。
【0083】
<テープ外径検出手段> 図8に示すように、ノッチ用研磨ヘッド40は、テープ供給ロール46の芯材46´に巻き付けられているテープ43の外径(残量)を検出するためのテープ外径検出手段さらに構成される。
【0084】
このテープ外径検出手段は、図示のように、投光部49aと受光部49bとを有する光学センサから構成される。好適に、テープ43を巻き付けているテープ供給ロール46が、これら投光部49aと受光部49bとの間に配置される。テープ供給ロール46に巻き付けられているテープ43の外径は、受光部49bにおける光49cの受光量を検出することによって検出される。この検出されたテープ外径は、テープ43をテープ供給ローラ46から送り出すモータの制御装置(図示せず)に送られ、テープ43をテープ供給ローラ46から送り出すモータのトルク値が連続的に円滑に切り替わり、テープ43の張力が一定する。
【0085】
<ベベル研磨部> ベベル研磨部50は、図4及び図11に示すように、先端にコンタクトパッド51を取り付けたシリンダー52を有するベベル研磨ヘッド54、及びテープ53をベベル研磨ヘッド54へ供給し、供給したテープ53を巻き取るテープ供給巻取手段55(図4)から構成される。
【0086】
テープ供給巻取手段55は、テープ53を巻き付けたテープ供給ロール56、テープ53を、テープ供給ロール56から、コンタクトパッド51を介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ57、及びテープ53を巻き取るために、テープ巻取ローラ57を駆動するための巻取ローラ駆動手段(図示せず)から構成される。コンタクトパッド51上を通過するテープ53が、コンタクトパッド51を介して半導体ウエハWのベベルに押し付けられ、これにより、ベベルが研磨される。
【0087】
ベベル研磨部50は、テープ53をベベルに押し付けた状態で、ベベル研磨ヘッド54を、ベベルに関して、半導体ウエハWの表面と垂直な方向(図11に矢印R4で示す方向)に旋回往復移動させるための手段を含み得る。この手段は、図示しないが、テープ53の走行方向と垂直な方向に伸びるシャフト、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。シャフトは、テープ53が半導体ウエハWのベベルに押し付けられる位置に配置される。そして、このシャフト(このシャフトが、ベベル研磨ヘッド54の旋回軸となる)がベベル研磨ヘッドに連結される。モータを駆動すると、テープ53がベベルに押し付けられた状態で、ベベル研磨ヘッド54が、ベベルに関して矢印R4の方向に旋回往復移動し、半導体ウエハWのベベルの表面側と裏面側が研磨される。
【0088】
ベベル研磨部50は、ベベルに、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給するためのノズル58(図4)からさらに構成される。
【0089】
テープ53として、織布、不織布、発泡体などからなるテープが使用できる。また、テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用できる。研磨材砥粒として、例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子や、平均粒径0.1μm〜5.0μmの間の範囲にあるSiC粒子が使用できる。樹脂バインダーとして、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系のものが使用できる。ベースフィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0090】
ここで、テープ53として研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープを、水に研磨材砥粒を分散させた研磨液や冷却水と併用して使用することが望ましい。これは、水ベースの反応液を使用せずに研磨できるので、半導体ウエハWの汚染、さらにハウジング11の内部の汚染(ハウジング11の内部に配置されている各構成成分の汚染)をより防止できるからである。
【0091】
実用的に、テープ53の幅は、1mm〜10mmの範囲にあり、テープ53は、数十メートルの長さにあり、円筒状の芯材に巻き付けられる。
【0092】
ここで、平均粒径2.0μm未満の研磨材砥粒を固定した研磨層を形成したテープを使用して半導体ウエハWのベベルを研磨すると、半導体ウエハWの直径寸法を所望の寸法に形成できる。また、平均粒径2.0μm以上の研磨材砥粒を固定した研磨層を形成したテープを使用して半導体ウエハWのベベルを研磨すると、半導体ウエハWのベベルの仕上げ研磨を行える。さらに、このように研磨層に固定する研磨材砥粒のサイズ(平均粒径)を選定して、研磨中に、ベベル研磨ヘッド54をベベルに関して矢印R4の方向に旋回往復移動させると、半導体ウエハWの上下傾斜面(図1Bに符号P、Qで示す)を所望の角度や形状に形成でき、また仕上げることができる。
【0093】
半導体ウエハWのベベルの研磨は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWを、ステージ移動手段により、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動して、半導体ウエハWのベベルをテープに押し付け、ステージ回転手段により、ウエハステージ23を回転(図6Aに矢印R1で示す方向)させることにより行われる。ここで、ベベルの研磨が、テープ53を使用して行われたが、このようなテープ研磨に限定されず、例えば、ベベルの研磨に、表面にパッドを貼り付けた既知の回転定盤や、既知の円筒形の回転砥石を使用して、ベベルを研磨してもよい。
【0094】
<テープ外径検出手段> ベベル研磨部50は、ノッチ研磨部40と同様、テープ供給ロール56に巻き付けられているテープ53の外径を検出するためのテープ外径検出手段を含み得る。このテープ外径検出手段は、ノッチ研磨部40のものと同じく、投光部と受光部とを有する光学センサから構成され、テープ53を巻き付けているテープ供給ロールが、投光部と受光部との間に配置される。そして、受光部における受光量が検出され、これにより、テープ供給ロール56に巻き付けられているテープ53の外径が検出される。この検出されたテープ53の外径は、テープ53をテープ供給ローラ56から送り出すモータの制御装置に送られ、テープ53をテープ供給ローラ56から送り出すモータのトルク値が連続的に円滑に切り替わり、テープ53の張力が一定する。
【0095】
<防水手段> 図12A、図12B及び図12Cに示すように、本発明の装置10は、ハウジング11の下室16(特に、下室16に収容されている平行移動機構30)を防水するための防水手段からさらに構成される。
【0096】
図12Aに示すように、防水手段は、上部を、軸台29の上部に液密に固定し、低部を、仕切板14に設けた開口部17の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバー36(図12Bを参照)から構成され、軸台29が矢印X、Yの方向に移動するので、軸台29の移動による防水カバー36の破損を防止するため、防水カバー36は、弾力性を有する材料から成形される。
【0097】
防水カバー36は、図12Aに示すように、一重構造であってもよいし、図12Cに示すように、二重構造であってもよい。防水カバー36が、図12Cに示す二重構造である場合、防水カバー36の外側のカバー37と、内側のカバー38との間の空間に圧縮空気を吹き込むために、外部の空気ポンプ(図示せず)に連通した孔39を、仕切板14の開口部17の周辺の、外側と内側のカバー37、38の間に設けられ得る。これは、内側と外側のカバー37、38の間の空間に圧縮空気を吹き込むことによって、外側のカバー37を膨張させ、これにより、外側のカバー37の表面に溜まった水滴などを弾き飛ばすためである。
【0098】
防水カバー36(37、38)として、プラスチックなどの材料からなる、通液性の無い可撓性シートが使用される。好適に、発泡体からなる可撓性シートが使用される。
【0099】
<センサ組立体> 図6A及び図6Bに示すように、本発明の装置10は、ウエハステージに保持した半導体ウエハWのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体90を含む。
【0100】
ノッチ位置検出手段は、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサ(符号91、92、93で示す)から構成される。
【0101】
光学センサとして、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチNが投光部と受光部との間を通過するように、投光部と受光部とを配置したものが使用でき、半導体ウエハWが回転(矢印R1)すると、投光部の直下をノッチNが通過したときのみ、光が受光部で検出され、これにより、半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0102】
変形的に、光学センサとして、直線光回帰型のものを使用できる。この直線光回帰型センサは、投光部と受光部とを同一の側に配置し、これら投光部及び受光部に対面させるように、投光部からの光線を反射する反射部を配置したレーザーセンサである。この光学センサの場合、投光部の直下を半導体ウエハWのノッチNが通過したときのみ、投光部からのレーザーが反射部で反射し、この反射光が受光部で検出され、これにより、半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0103】
好適に、本発明では、上記のようにして半導体ウエハWのノッチNの位置が検出されると、半導体ウエハWのノッチNがノッチ研磨部のテープに向くように方向付けられて、ウエハステージの回転が停止する。
【0104】
図示の例では、ノッチ検出手段は、上記の光学センサを三個有する(符号91、92、93で示す光学センサ)。そして、半導体ウエハWを吸着して保持しているウエハステージ23が、第一の回転数の範囲(好適に、12rpm以下、4rpm以上の間の範囲)で回転しているときに、第一の光学センサ91が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出し、ウエハステージ23が、上記の第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲(好適に、4rpm未満、1rpm以上の間の範囲)で回転しているときに、第二の光学センサ92が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出する。そして、ウエハステージ23が、上記の第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲(好適に、1rpm未満の範囲)で回転しているときに、第三の光学センサ93が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出する。
【0105】
図14A〜図14Cを参照する。半導体ウエハWが回転(矢印R1)すると、図14Aに示すように、第一の光学センサ91の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第一の光学センサ91によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第一の回転数の範囲で回転している。また、第二の光学センサ92の投光部からの光99bと第三の光学センサの投光部からの光99cの一部は半導体ウエハWの周縁に遮られている。次に、図14Bに示すように、第二の光学センサ92の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第二の光学センサ92によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第二の回転数の範囲で回転している。また、第一の光学センサ91の投光部からの光99aと第三の光学センサ93の投光部からの光99cの一部は半導体ウエハWの周縁に遮られている。次に、図14Cに示すように、第三の光学センサ93の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第三の光学センサ93によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第三の回転数の範囲で回転している。また、第一及び第二の光学センサ92の投光部からの光99a、99bは半導体ウエハWの周縁に遮られている。
【0106】
すなわち、ウエハステージ21が減速し、停止するまでの間に、第一、第二及び第三の光学センサ91、92、93によって、段階的にノッチNの位置が検出される。第三の光学センサ93は、ノッチNの最も深い部分の位置を検出して、ノッチNの位置をより高精度に検出する。これによると、ウエハステージ23の回転軸(図3に符号Csで示す)に関する半導体ウエハWのノッチNの位置(角度)の誤差を、±0.1°内の精度で位置決めできる。また、単に、一方向に回転(矢印R1の方向)させた半導体ウエハWの回転を減速させる間にノッチNの位置を検出するだけなので、ノッチNの位置を精度よく短時間で行える。
【0107】
センサ組立体90は、ウエハステージ23上に保持した半導体ウエハWの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有する。このような位置ズレは、第一及び第二のチャックハンド81、82のコマ83の摩耗により発生し得るものである。
【0108】
図13A及び図13Bを参照する。位置ズレ検出手段は、投光部と、受光部とを有する光学センサ93´から構成される。この光学センサ93´は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハWを回転させると、図13Bのグラフに示すように、光学センサ93´は、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの径方向の位置ズレ(図13Aに符号εで示す)が検出される。位置ズレは、例えば、半導体ウエハWの中心(符号Ch)を原点とし、この中心(符号Ch)から任意の放射方向に伸びる軸線(符号r)を基準とした極座標系において、この軸線(符号r)からの回転角(符号θ)と、原点(符号Ch)からのウエハステージ23の中心(符号Cs)までの距離で表される。また、図13Bのグラフに示すように、位置ズレが検出されるだけでなく、ノッチの位置も検出される。この位置ズレの検出は、半導体ウエハWを一回転させるだけで検出できる。なお、半導体ウエハWの中心(符号Ch)が、ウエハステージ23の回転軸(符号Cs)と一致しているとき(すなわち、位置ズレがないとき)、検出される受光量は、図13Bのグラフに破線で示す直線となる。
【0109】
図6A及び図6Bに示す例では、上記の第三の光学センサ93が、この位置ズレ検出手段の光学センサを兼用する。
【0110】
すなわち、図14A〜図14Cに示すように、半導体ウエハWが矢印R1の方向に回転している間、第三の光学センサ93の投光部からの光99cの一部が受光部に到達するように、第三の光学センサ93は、ウエハステージ21に保持した半導体ウエハWのノッチNを含む周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハWの回転中、この第三の光学センサ93は、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージ21に吸着して保持されている半導体ウエハWの径方向の位置ズレが検出され、さらに、ウエハステージ23が上記の第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0111】
センサ組立体90は、防水手段からさらに構成される。これは、半導体ウエハWのテープ研磨に使用される冷却液又は研磨液によるセンサ組立体90の光学センサ91、92、93などの損傷などを防止するためのものである。防水手段は、図7A及び図7Bに示すように、光学センサの位置を半導体ウエハの位置から退避させるために、センサ組立体90を回転(図6Bに矢印R2で示す方向)させるためのセンサ組立体回転手段、及び退避させた光学センサを覆うためのシャッター94から構成される。センサ組立体回転手段は、図示しないが、センサ組立体90に固定したシャフトを、モータを駆動して回転させるものである。また、図7Bに示すように、シャッター94は、エアピストンなどの手段により、矢印T3の方向に移動され、光学センサを覆う。
【0112】
<第二の位置ズレ検出手段> 図11を参照する。ベベル研磨部50は、半導体ウエハWのベベルの研磨中、この半導体ウエハWの位置ズレを検出するための第二の位置ズレ検出手段からさらに構成され得る。この第二の位置ズレ検出手段は、半導体ウエハWの研磨中に、コンタクトパッド51を介してテープ53を半導体ウエハWのベベルに押し付けているシリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサ(図示せず)から構成される。位置ズレが検出されると、この位置ズレがステージ移動手段にフィードバックされ、半導体ウエハWの径方向の位置ズレが修正される。
【0113】
<清浄化手段> 本発明の装置10は、図示しないが、ハウジング11の内部を清浄に維持するための清浄化手段からさらに構成される。
【0114】
この清浄化手段は、ハウジング11の上室15の天井に設けた吸気口、ハウジング11の上室15の側面の下方に設けた排気口、及びこの排気口に連通する外部ポンプから構成され、吸気口から流入した空気が、ハウジング11の内部の側面に沿って流れるように、吸気口及び排気口がハウジング11に設けられる。このようにハウジング11の内部の側面に沿うように空気の流れを形成することで、浮遊塵(パーティクル)が、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面上に付着せずに、外部に排出される。
【0115】
<ウエハ乾燥防止手段> 本発明の装置10は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段(n1、n2)からさらに構成される。これは、ノッチ研磨部40とベベル研磨部50の各研磨部における半導体ウエハWの研磨が終了した後、次の処理のために、半導体ウエハWを移動させている間に半導体ウエハWの乾燥を防止するためのものである。図2〜図4に示すように、ウエハ乾燥防止手段は、ハウジング11内に配置したノズルn1、n2から構成され、これらノズルn1、n2から半導体ウエハWに向けて純水が吹き付けられる。このように、移動中の半導体ウエハWに純水が供給されるので、半導体ウエハWの乾燥が防止されるだけでなく、半導体ウエハWへの浮遊塵(パーティクル)の付着も防止できる。
【0116】
図示の例では、ウエハ乾燥防止手段は、二個のノズルn1、n2から構成されるが、一個のノズルを使用してもよく、また三個以上のノズルを使用してもよい。また、ノッチ研磨の際に、半導体ウエハWを、ノッチに関して、ウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させても、半導体ウエハWがノズルに衝突しない位置に、ノズルは配置される。
【0117】
<研磨方法> 本発明に従って、半導体ウエハWの周縁(ベベルとノッチ)を研磨する。
【0118】
エアシリンダーを作動してシャッター13を駆動し、ハウジング11の側面の開口部12を開き、搬送ロボットハンド13により、半導体ウエハWをハウジング11の上室15内に搬入し、半導体ウエハWをウエハステージ23の直上へと輸送し、半導体ウエハWの受取位置(符号L2で示す)に位置させた第一及び第二のチャックハンド81、82で、この半導体ウエハWを挟持する。このとき、半導体ウエハWの中心は、その下方に位置するウエハステージ23の中心の直上に位置する。その後、搬送ロボットハンド13をハウジング11外へ退避させ、エアシリンダーを作動してシャッター13を駆動し、ハウジング11の開口部12を閉じる。
【0119】
半導体ウエハWを挟持した第一及び第二のチャックハンド81、82をウエハ載置位置(符号L3で示す)まで下降し、第一及び第二のチャックハンド81、82を開いて半導体ウエハWをウエハステージ23のパッド24上に載置する。第一及び第二のチャックハンド81、82は、退避位置(符号L1で示す)まで上昇する。また、真空ポンプが駆動して半導体ウエハWをウエハステージ23に吸着して保持させる。
【0120】
センサ組立体90を回転させ、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁上に光学センサ91、92、93を位置させ、ウエハステージ23を回転(矢印R1の方向)させて、半導体ウエハWのノッチの位置を検出する。また、ウエハステージ23の回転中に、半導体ウエハWの位置ズレも検出する。
【0121】
半導体ウエハWの位置ズレが検出されると、第一及び第二のチャックハンド81、82がウエハ載置位置(符号L3)まで下降し、半導体ウエハWを挟持し、持ち上げる(半導体ウエハWの真空吸着力は、半導体ウエハWがやや持ち上がったところで、真空ポンプを停止することにより解除される)。そして、検出された位置ズレ量だけウエハステージ23を移動し、上記したように、半導体ウエハWを挟持した第一及び第二のチャックハンド81、82をウエハ載置位置(符号L3)まで下降し、これらチャックハンド81、82を開いて半導体上はWをウエハステージ23上に載置し、真空ポンプを駆動して半導体ウエハWをウエハステージ23に吸着して保持させる。その後、上記したように、ウエハステージ23を回転R1させ、センサ組立体90の光学センサ91、92、93で、半導体ウエハWのノッチの位置を検出するとともに、半導体ウエハWの位置ズレを検出する。この工程は、位置ズレが検出されなくなるまで続けられ得る。
【0122】
次に、ノッチ研磨部40に向けてウエハステージ23を移動し、ノッチ研磨ヘッド44のテープ43に半導体ウエハWのノッチを押し付ける。ノズル48を通じて、半導体ウエハWのノッチに研磨液を供給しながら、半導体ウエハWのノッチをテープ43に押し付けた状態で、テープ43を走行させ、ノッチの位置に関して、ウエハステージ23を半導体ウエハWの表面と同一平面上で旋回往復移動(矢印R5の方向)させて、半導体ウエハWのノッチを研磨する。
【0123】
研磨中、半導体ウエハWに供給されている研磨液により、ノッチが冷却され、またノッチにおける摩擦係数も低下する。さらに、研磨中に、研磨クズが飛散することもなく、たとえ飛散しても、研磨液により洗い流され、半導体ウエハに付着することがない。
【0124】
また、ノッチ研磨ヘッド44を上下方向に真直ぐに往復移動させてもよいし、また、上下方向に旋回往復移動(矢印R3の方向)させて、ノッチのエッジE(図1Bを参照)も研磨してもよい。
【0125】
次に、ベベル研磨部50に向けてウエハステージ23を移動し、コンタクトパッド51を介してテープ43に半導体ウエハWのベベルを押し付ける。
【0126】
ここで、半導体ウエハWの乾燥防止のため、ウエハステージ23の移動中、ノズルn1、n2を通じて半導体ウエハWに純水が供給される。
【0127】
ノズル58を通じて、半導体ウエハWのベベルに研磨液を供給しながら、半導体ウエハWのベベルをテープ53に押し付けた状態で、テープ53を走行させるとともに、ウエハステージ23を回転させて、半導体ウエハWのベベルを研磨する。
【0128】
研磨中、半導体ウエハWに供給されている研磨液により、ベベルが冷却される。さらに、研磨中に、研磨クズが飛散することもなく、たとえ飛散しても、研磨液により洗い流され、半導体ウエハに付着することがない。
【0129】
また、ベベル研磨ヘッド54を上下方向に真直ぐに往復移動させてもよいし、また、上下方向に旋回往復移動(矢印R4の方向)させて、ベベルとエッジEを研磨してもよい。
【0130】
ここで、ノッチの研磨を行ってからベベルの研磨を行ったが、ベベルの研磨を行ってから、ノッチの研磨を行ってもよい。
【0131】
また、ベベルの研磨中に、半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出する。位置ズレが検出されると、この位置ズレがステージ移動手段にフィードバックされ、半導体ウエハWの径方向の位置ズレが修正される。
【0132】
ベベルとノッチの研磨後、ウエハステージ23を元の位置に戻す。第一及び第二のチャックハンド81、82が退避位置(符号L1)からウエハ載置位置(符号L3)へ下降して半導体ウエハWを挟持し、持ち上げる。半導体ウエハWが少しだけ持ち上がったところで、真空ポンプを停止し、真空吸着を解除する。第一及び第二のチャックハンド81、82がウエハ受渡位置(符号L2)に到達する。エアシリンダーによりシャッター13が駆動され、ハウジング11の開口部12が開き、搬送ロボットハンド13がハウジング11内に入り、半導体ウエハWの下側に位置する。第一及び第二のチャックハンド81、82が開いて、半導体ウエハWが搬送ロボットハンド13上に載置され、搬送ロボットハンド13が開口部12を通じて半導体ウエハWをハウジング11外へ搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1Aは、半導体ウエハの平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ、半導体ウエハの周縁付近の断面図である。
【図2】図2Aは、本発明の装置の平面図であり、図2Bは、半導体ウエハを、そのノッチに関して旋回往復移動させているところを示す。
【図3】図3は、図1の3−3線断面図である。
【図4】図4は、図1の4−4線断面図である。
【図5】図5Aは、ウエハチャック手段の平面図であり、図5Bは、ウエハチャック手段の側面図である。
【図6】図6A及び図6Bは、それぞれ、センサ組立体の平面図である。
【図7】図7A及び図7Bは、それぞれ、センサ組立体の側面図である。
【図8】図8は、テープ外径検出手段を示す。
【図9】図9は、ウエハステージの平面図である。
【図10】図10は、ノッチ研磨ヘッドの側面図である。
【図11】図11は、ベベル研磨ヘッドの側面図である。
【図12】図12Aは、一重構造の防水手段の断面図であり、図11Bは、図11Aの防水カバーの斜視図であり、図11Cは、二重構造の防水手段の断面図である。
【図13】図13Aは、半導体ウエハをウエハステージに保持させたところの平面図であり、図13Bは、ウエハの回転角に対する受光量の変化を示すグラフである。
【図14】図14A〜図14Cは、それぞれ、第一、第二及び第三の光学センサの投光部の直下を半導体ウエハのノッチが通過したところを示す。
【符号の説明】
【0134】
10・・・本発明の装置
11・・・ハウジング
20・・・ウエハステージユニット
23・・・ウエハステージ
30・・・ステージ移動手段
40・・・ノッチ研磨部
50・・・ベベル研磨部
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハの周縁は、ノッチを研磨する装置(特許文献3を参照)と、ベベルを研磨する装置(特許文献1、2を参照)とを個別に使用して研磨している。半導体ウエハの周縁の研磨は、被研磨部(ノッチ又はベベル)に、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給しながら、織布、不織布、発泡体などからなるテープや、接着剤で研磨材砥粒を固定した研磨層をプラスチックなどの表面に形成したテープをこの被研磨部に押し付けた状態で走行させ、これにより被研磨部を湿式に研磨している。
【特許文献1】特開平7−164301号公報
【特許文献2】特開平8−174399号公報
【特許文献3】特開平9−85599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、半導体ウエハのノッチとベベルとを個別に研磨していたので、これら装置間の半導体ウエハの搬送に時間がかかるだけでなく、設備スペースが大きくなる、という問題がある。また、搬送中に半導体ウエハが乾燥し、デバイスウエハの歩留まりが悪化する、という問題が生じる。
【0004】
各装置内のウエハステージへの半導体ウエハの位置決めは、ウエハ搬送用のロボットの一対のチャックハンドで半導体ウエハの周縁を挟持して行っているが、精度よく位置決めをするため、複数個のシリンダーを使用しているので、設備スペースが大きくなる。また、シリンダーとして空気圧シリンダーを使用しているので、位置決めに0.5mm程度の誤差が生じる。さらに、半導体ウエハの周縁に過度の挟持力がかかり、半導体ウエハの周縁を破損する、という問題が生じる。
【0005】
半導体ウエハは、ウエハステージに真空により吸着されており、この半導体ウエハのウエハステージからの剥離は、ウエハ搬送用のロボットの一対のチャックハンドで半導体ウエハの周縁を挟持し、このチャックハンドを持ち上げた瞬間に、半導体ウエハとウエハステージとの間の真空吸着状態を解除している。このことから、ウエハステージに吸着している半導体ウエハを剥離するとき、大きな剥離力(半導体ウエハをウエハステージから剥離するのに要する力)を半導体ウエハに瞬時にかけなければならず、半導体ウエハを変形させたり、破損させる、という問題が生じる。
【0006】
従来の技術では、テープは、研磨中、テープ供給ローラから送り出され、テープの外径(すなわち、残量)に従って、テープ供給ローラからテープを送り出すためのモータのトルク値を変え、被研磨部に押し付けられるテープの張力を調節しているが、テープの外径が、このテープ供給ロールの側面に複数個(一般に8個)配列した光学センサの受光部に入射する投光部からの光の有無によって決定されているため、モータのトルク値が段階的に切り替わり、テープの張力が一定しない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、したがって、本発明の第一の目的は、半導体ウエハの周縁を加工することを目的とするものであり、半導体ウエハのノッチとベベルの研磨を一つの装置内で効率よく行うことのできる半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、研磨時間を短縮し、装置設備を省スペース化した上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0009】
本発明の第三の目的は、ウエハステージへの半導体ウエハの位置決めをより高精度に行える上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0010】
本発明の第四の目的は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハを容易に剥離できる上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の第五の目的は、研磨ヘッドのテープの外径(残量)に無関係に、テープを一定の張力に維持できる上記の半導体ウエハ周縁研磨装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するための装置及び方法である。
【0013】
<装置> 上記目的を達成する本発明の装置は、半導体ウエハの周縁を研磨するための装置であって、半導体ウエハを保持するためのウエハステージ、ウエハステージを回転させるためのステージ回転手段、及びウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させるためのステージ旋回往復移動手段から構成されるウエハステージユニット、ウエハステージユニットを、ウエハステージの表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段、ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨するための2以上の研磨部から構成される。
【0014】
これら2以上の研磨部は、ウエハステージに保持した半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及びウエハステージに保持した半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する。
【0015】
本発明の装置は、ウエハステージユニット、研磨部、ステージ移動手段を収容し、側面に開閉可能な開口部を有するハウジングを含む。
【0016】
ハウジングは、仕切板によって二つの空間に区画され、これら二つの空間のうちの一方の空間には、ウエハステージユニットと研磨部が収容され、他方の空間には、ステージ移動手段が収容される。
【0017】
本発明の装置は、ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段を含む。
【0018】
本発明の装置は、ハウジングの内部に搬入された半導体ウエハを受け取ってこの半導体ウエハをウエハステージ上に載置し、ウエハステージ上の半導体ウエハをウエハ搬送手段に受け渡すウエハチャック手段を含む。
【0019】
ウエハチャック手段は、二個又はそれ以上の個数のコマを有する第一のチャックハンド、二個又はそれ以上の個数のコマを有する第二のチャックハンド、第一及び第二のチャックハンドを開閉させるためのチャックハンド開閉手段、及び第一及び第二のチャックハンドをウエハステージの表面と垂直な方向に往復移動させるためのチャック移動手段から構成される。第一及び第二のチャックハンドを閉じると、これら第一及び第二のチャックハンドのそれぞれのコマが半導体ウエハの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハが、第一及び第二のチャックハンドに挟持される。
【0020】
チャックハンド開閉手段は、第一及び第二のチャックハンドのうちの少なくとも一方のチャックハンドを螺合させたボールネジ、及びボールネジを駆動するためのサーボモータから構成される。サーボモータを駆動すると、第一及び第二のチャックハンドが開閉移動する。
【0021】
本発明の装置は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体を含む。
【0022】
ノッチ位置検出手段は、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサから構成される。光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチが投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハを回転させると、光学センサによって、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される。
【0023】
好適に、ノッチ検出手段は、光学センサを三個有する。半導体ウエハを吸着して保持しているウエハステージが、第一の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第一の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、ウエハステージが、第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第二の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する。そして、ウエハステージが、第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第三の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する。
【0024】
センサ組立体は、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有する。
【0025】
位置ズレ検出手段は、投光部と、受光部とを有する光学センサから構成される。光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハを回転させることにより、光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出される。
【0026】
好適に、上記の第三の光学センサは、ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチを含む周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。この半導体ウエハを回転させると、第三の光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出され、さらに、ウエハステージが第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される。
【0027】
センサ組立体は、防水手段を含む。
【0028】
本発明の装置において、ノッチ研磨部は、相互に間隔をあけて平行に配列した第一及び第二のローラを有するノッチ研磨ヘッド、及びテープを巻き付けたテープ供給ロールと、テープを、テープ供給ロールから、第一及び第二のローラを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラと、テープを巻き取るために、テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段とを有するテープ供給巻取手段から構成され、第一のローラと第二のローラとの間を通過するテープが、半導体ウエハのノッチに押し付けられ、これにより、ノッチが研磨される。
【0029】
テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される。
【0030】
ノッチ研磨部は、テープをノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨部を半導体ウエハの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段を含み得る。
【0031】
また、ノッチ研磨部は、半導体ウエハのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、テープをノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッドを、ノッチに関して旋回往復移動させるための手段を含み得る。
【0032】
好適に、ノッチ研磨部は、テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径を検出するためのテープ外形検出手段を含む。
【0033】
本発明の装置において、ベベル研磨部は、先端にコンタクトパッドを取り付けたシリンダーを有するベベル研磨ヘッド、及びテープを巻き付けたテープ供給ロールと、テープを、テープ供給ロールから、コンタクトパッドを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラと、テープを巻き取るために、テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段とを有するテープ供給巻取手段から構成される。コンタクトパッド上を通過するテープが、ベベルに押し付けられ、これにより、ベベルが研磨される。
【0034】
テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される。
【0035】
ベベル研磨部は、半導体ウエハのベベルの表面側と裏面側が研磨されるように、テープをベベルに押し付けた状態で、ベベル研磨ヘッドをベベルに関して旋回往復移動させるための手段を含む。
【0036】
ベベル研磨部は、テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径検出手段を含む。
【0037】
ベベル研磨部は、半導体ウエハのベベルの研磨中、この半導体ウエハの位置ズレを検出するための第二の位置ズレ検出手段を含む。この第二の位置ズレ検出手段は、半導体ウエハの研磨中に、半導体ウエハの研磨中に、コンタクトパッドを介してテープを半導体ウエハのベベルに押し付けているシリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサから構成される。
【0038】
本発明の装置の装置は、ハウジングの内部を清浄に維持するための清浄化手段を含む。この清浄化手段は、ハウジングの上面に設けた吸気口、ハウジングの下面に設けた排気口、及び排気口に連通する外部ポンプから構成され、吸気口から流入した空気が、ハウジングの内部の側面に沿って流れるように、吸気口及び排気口がハウジングに設けられる。
【0039】
本発明の装置は、仕切板によって区画されているハウジングの二つの空間のうちの他方の空間を防水するための防水手段からさらに構成される。
【0040】
好適に、本発明の装置では、ハウジングの仕切板が、開口部を有し、ステージの回転手段は、ウエハステージの裏側の中心に取り付けたシャフト、このシャフトを回転可能に取り付けた支持体、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。また、ステージの旋回往復移動手段は、ウエハステージの中心から半導体ウエハの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、ハウジングの仕切板の開口部を通じて、ウエハステージユニットの支持体の下面に固定した第二のシャフト、及び仕切板の下側で、この第二のシャフトを回転させるための第二のモータから構成される。この第二のシャフトは、中空筒状の軸台に回転可能に取り付けられ、この軸台の下面は、ハウジングの仕切板の下方に位置する支持板に固定される。そして、軸台の上面は、支持体の下面に当接して支持体を支持し、第二のモータは、この支持体に固定される。
【0041】
この装置の防水手段は、上部を、軸台の上部に液密に固定し、低部を、仕切板の開口部の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバーから構成され、この防水カバーは、弾力性を有する材料から形成される。
【0042】
好適に、この防水カバーは、二重構造である。このとき、本発明の装置は、この二重構造の防水カバーの外側のカバーと、内側のカバーとの間の空間に圧縮空気を吹き込むための手段からさらに構成される。
【0043】
<研磨方法> 上記目的を達成する本発明の方法は、半導体ウエハの周縁を研磨するための方法であって、ウエハステージに半導体ウエハを吸着して保持させるウエハ保持工程、及びウエハステージに吸着して保持させた半導体ウエハの周縁を2以上の研磨部で研磨する研磨工程から構成される。
【0044】
研磨工程は、半導体ウエハを保持したウエハステージを2以上の研磨部の各々に向けて、順次移動させ、各研磨手段で、ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨する工程から構成される。
【0045】
本発明の方法は、半導体ウエハを保持したウエハステージが2以上の研磨部の間を移動しているとき、ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給する乾燥防止工程を含む。
【0046】
2以上の研磨部は、半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する。
【発明の効果】
【0047】
本発明が以上のように構成されるので以下のような効果を奏する。
【0048】
ノッチ用とベベル用の各研磨ヘッドの間の半導体ウエハの搬送が、ステージ移動手段により、ウエハステージを移動させるだけでできるので、半導体ウエハのノッチとベベルの研磨を一つの装置内で効率よく行うことができるだけでなく、研磨時間の短縮、及び装置設備の省スペース化ができる。
【0049】
ノッチ検出手段と位置ズレ検出手段とを備えたので、ウエハステージへの半導体ウエハの位置決めがより高精度に行える。
【0050】
ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハをチャックハンドで挟持したままの状態で、この半導体ウエハをウエハステージの表面から少し(0.5mm〜1.0mm)浮き上がらせてから真空吸着が解除されるので、半導体ウエハを容易に剥離できる。
【0051】
テープ供給ロールに残留するテープの厚さを光学センサにより連続的に検出するので、テープの張力を一定にできる。
【0052】
駆動系(平行移動手段)の構成成分を可撓性シートからなる防水カバーで覆ったので、装置内の駆動系の防水が十分にできるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本発明の装置は、半導体ウエハの周縁(ノッチとベベル)を研磨するためのものである。
【0054】
図1Aに示すように、半導体ウエハWは、シリコン単結晶からなる薄い円盤であり、この円盤の外周には、シリコンの結晶方向を示す目印となるノッチNと呼ばれる切欠きが形成されており、このノッチNは、半導体処理装置において、円形の半導体ウエハWの位置決めなどの基準として利用されるものである。
【0055】
半導体ウエハWは、その周縁の断面形状に従って「ストレート型」と「ラウンド型」に大別できる。ストレート型の半導体ウエハは、図1Bに示すように、断面形状が多角形状(台形状)のものをいい、ラウンド型の半導体ウエハは、図1Cに示すように、断面形状が曲線状(半円形状、半楕円形状)のものをいう。
【0056】
なお、本明細書において、用語「ベベル」は、図1Bに示すストレート型の半導体ウエハWにおいては、上側傾斜面P、下側傾斜面Q及び端面Rの部分(符号Bで示す部分)をいい、ラウンド型の半導体ウエハにおいては、図1Cに符号Bで示す曲面の部分をいう。また、用語「エッジ」は、半導体デバイスを形成する部分(符号Dで示す部分)とベベルBとの間の領域(符号Eで示す)をいう。
【0057】
<装置> 図2〜図4に示すように、本発明の装置10は、半導体ウエハWを保持するためのウエハステージ23を有するウエハステージユニット20、ウエハステージユニット20を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段30、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁を研磨するための2以上の研磨部から構成される。ここで、図示の例では、これら2以上の研磨部として、代表的に、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチを研磨するノッチ研磨部40、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのベベルを研磨するベベル研磨部50の2つの研磨部を有する装置10について説明するが、2以上の研磨部として、さらに多数のノッチ研磨部やベベル研磨部を備えていてもよい。すなわち、例えば、ノッチ研磨部とベベル研磨部がそれぞれ三つずつ備えられている場合、これらノッチ及びベベル研磨部のそれぞれの第一の研磨部で粗研磨を行い、第二の研磨部で仕上げ研磨を行い、第三の研磨部でクリーニングを行うことができる。
【0058】
ハウジング11は、仕切板14によって二つの空間に区画され、これら二つの空間のうちの一方の空間(符号15で示す上室)に、ウエハステージユニット20、ノッチ研磨部40及びベベル研磨部50が収容され、これら二つの空間のうちの他方の空間(符号16で示す下室)に、ステージ移動手段30が収容される。
【0059】
ハウジング11は、その上室15の側面に開口部12を有する。この開口部12は、シリンダー(図示せず)により駆動されるシャッター13により開閉される。半導体ウエハWは、この開口部12を通じて、ハウジング11の内外に搬入、搬出される。半導体ウエハWの搬入、搬出は、搬送ロボットハンド(図5A及び図5Bに符号13で示す)のような既知のウエハ搬送手段により行われる。なお、シャッター13によりハウジング11の開口部12を閉じることで、ハウジング11の内部が外部から完全に遮断され、研磨中、ハウジング11内のクリーン度及び気密性が維持され、これにより、ハウジング11の外部からの半導体ウエハの汚染や、研磨中にハウジング11の内部からの研磨液やパーティクル等の飛散によるハウジング11外部の汚染を防止できる。
【0060】
<ウエハチャック手段> 本発明の装置10は、ハウジング11内に搬入された半導体ウエハWをウエハステージ23に載置し、またウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをウエハステージ23から取り上げるためのウエハチャック手段80からさらに構成される。
【0061】
図5Aに示すように、ウエハチャック手段80は、二個又はそれ以上の個数のコマ83を有する第一のチャックハンド81、二個又はそれ以上の個数のコマ83を有する第二のチャックハンド82、これら第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージに保持した半導体ウエハの表面と平行な方向に開閉(矢印T1)させるためのチャックハンド開閉手段84、及び第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハの表面に垂直な方向(矢印T2)に往復移動させるためのチャック移動手段85から構成され、第一及び第二のチャックハンド81、82を閉じると、これら第一及び第二のチャックハンド81、82のそれぞれのコマ83が半導体ウエハWの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハWが、第一及び第二のチャックハンド81、82に挟持される。
【0062】
このチャックハンド開閉手段84は、図5Aに示すように、第一及び第二のチャックハンド81、82に螺合させたボールネジb5、ボールネジb5を駆動するためのサーボモータm5、及び第一及び第二のチャックハンド81、82に貫挿させた矢印T1の方向に伸びるリニアガイド87から構成され、ガイド86及びカップリング89がボールネジb5に連結されており、サーボモータm5を駆動すると、第一及び第二のチャックハンド81、82が矢印T1の方向に開閉移動する。好適に、第一及び第二のチャックハンド81、82で半導体ウエハWを挟持したとき、この半導体ウエハWの中心は、ウエハステージの中心(後述するウエハステージ23の回転軸Cs)上に位置する。
【0063】
チャック移動手段85は、図5Bに示すように、第一及び第二のチャックハンド81、82を取り付けた昇降台88をボールネジ(図示せず)に螺合させ、このボールネジをサーボモータ(図示せず)により駆動して、第一及び第二のチャックハンド81、82を、ウエハステージ23の表面に垂直な方向(矢印T2の方向)に往復移動させるものである。図5Bには、符号L1で示す退避位置、符号L2で示すウエハ受渡位置(搬送ロボットハンド13上の半導体ウエハWを第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持し、又は搬送ロボットハンド13へ半導体ウエハWを載置する位置)、及び符号L3で示すウエハ載置位置(ウエハステージ23上へ半導体ウエハWを載置し、又はウエハステージ23に保持した半導体ウエハWを第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持する位置)を示す。
【0064】
<ウエハステージユニット> 図2〜図4に示すように、ウエハステージユニット20は、ウエハステージ23を回転させるためのステージ回転手段、及びウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチに関してウエハステージ23を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面と同一平面内で旋回往復移動(矢印R5の方向)させるためのステージ旋回往復移動手段をさらに有する。
【0065】
<ウエハステージ> ウエハステージ23は、図2〜図4及び図9に示すように、真空ポンプ(図示せず)に連通した1個又は複数個の吸引孔25(図示の例では1個)を設けた平坦な表面を有する。この表面上には、吸引孔25を塞がないように、一定の高さ(厚さ)の弾力性のあるパッド24が粘着されている。半導体ウエハWは、このパッド24上に載置される。吸引孔25は、中空のシャフト27、このシャフト27の下端に回転可能に取り付けたパイプ28、及び中空のシャフト31を通じて、外部の真空ポンプ(図示せず)に連通している。
【0066】
パッド24の上面には、吸引孔25に連通する溝26、26´が形成されている。好適に、パッド24の上面に、同心円状の複数個の環状の溝26と、これら環状溝26を連結する複数個の放射状の溝26´とが形成され、これら環状の溝26と放射状の溝26´は、上記の真空ポンプに連通している。パッド24上に半導体ウエハWを載置すると、これら溝26、26´は、半導体ウエハWの裏面によって、気密にシールされる。そして、真空ポンプを駆動すると、半導体ウエハWは、その裏面からパッド24によって支持され、変形(湾曲)することなく、ウエハステージ23に吸着されて保持される。
【0067】
上記のようにして第一及び第二のチャックハンド81、82に挟持された半導体ウエハWは、チャック移動手段85により、ウエハステージ23上のパッド24上に載置される。そして、チャックハンド開閉手段84により、これらチャックハンド81、82が開かれ、これと同時に、真空ポンプが駆動して、半導体ウエハWの裏面側の空間(すなわち、パッド24の上面に形成した溝26、26´の内部)が減圧され、パッド24に押し付けられてやや沈み込む。これにより、半導体ウエハWが、ウエハステージ23にしっかりと吸着されて保持される。
【0068】
他方、このようにウエハステージ23に吸着して保持されている半導体ウエハWは、第一及び第二のチャックハンド81、82で挟持された後、チャック移動手段85により、上方へ持ち上げられる。そして、少し浮き上がったところ(0.5mm〜1.0mm)で、真空ポンプが停止され、真空吸着が解除される。これにより、ウエハステージ23に吸着している半導体ウエハWを剥離するとき、大きな剥離力(半導体ウエハWをウエハステージ23から剥離するのに要する力)が半導体ウエハWに瞬時にかかることがなくなった。すなわち、半導体ウエハWを変形させることもなく、また破損させることもなく、半導体ウエハWをウエハステージ23から剥離できるのである。
【0069】
<ステージ回転手段> 図3及び図4に示すように、ステージ回転手段は、ウエハステージ23の裏側に回転軸Csと同軸に取り付けたシャフト27、及びこのシャフト27にプーリーp1及びベルトb1を介して連結したモータm1から構成される。シャフト27は、ユニット本体21の支持体22に軸受を介して回転可能に取り付けられている。モータm1は、支持体22に固定されている。ウエハステージ23は、モータm1を駆動すると、その中心すなわち回転軸Csに関して回転する。
【0070】
<ステージ旋回往復移動手段> ステージ旋回往復移動手段は、ウエハステージ23の表面と同一平面内で、ウエハステージ23を旋回往復移動させるためのものである。このステージ旋回往復移動手段は、ウエハステージ23の回転軸Csから半導体ウエハWの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、ハウジング11の仕切板14の開口部17を貫通して、ウエハステージユニット20のユニット本体21の支持体22の下面に固定したシャフト31、及び仕切板14の下側で、シャフト31にプーリーp2とベルトb2を介して連結したモータm2から構成される。シャフト31は、中空筒状の軸台29に軸受を介して回転可能に取り付けられる。この軸台29の下面は、ハウジング11の仕切板14の下方に位置する支持板32に固定され、軸台29の上面は、ユニット本体21の下面に当接してユニット本体21を支持している。また、モータm2は、支持板32に固定されている。ウエハステージユニット20は、このモータm2を駆動すると、このオフセットした位置、すなわち旋回軸Ctに関して、ウエハステージ23の表面と同一平面内で旋回往復移動(図2A及び図2Bに矢印R5で示す方向)する。好適に、ステージ旋回往復移動手段は、半導体ウエハWを保持したウエハステージ23を、半導体ウエハWのノッチに関して、ウエハステージ23の表面と同一平面内で旋回往復移動させる。
【0071】
<ステージ移動手段> 図3及び図4に示すように、ステージ移動手段は、ステージ旋回往復移動手段の軸台29を固定した支持板32、及びこの支持板32を、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動させるための平行移動機構30から構成される。
【0072】
この平行移動機構30は、図示のように、ハウジング11の仕切板14と支持板32との間に位置し、第一の方向(図2A及び図4に示す矢印Xの方向)に移動可能にリニアガイド35を介して仕切板14に取り付けた可動板33、この可動板33を矢印Xの方向に移動させるために、可動板33に連結したボールネジb4、及びこのボールネジb4を駆動するためのモータm4を有する。可動板33は、開口部33´を有し、この開口部33´を軸台29が通過する。また、この可動板33の下面に、支持板32が、第一の方向Xと直交する方向(図2及び図3に矢印Yで示す方向)に移動可能にリニアガイド34を介して取り付けられ、支持板32を矢印Yの方向に移動させるために、ボールネジb3が支持板32に連結され、このボールネジb3が、可動板33に固定したモータm3によって駆動される。すなわち、仕切板14の下面に固定したモータm4を駆動すると、可動台33に連結したボールネジb4が回転し、可動台33が矢印Xの方向に移動する。また、可動台33に固定したモータm3を駆動すると、支持板32に連結したボールネジb3が回転し、支持板32が、可動台33に関して、矢印Yの方向に移動する。なお、ウエハステージユニット20の矢印X、Yの方向の移動の範囲は、仕切板14に設けた開口部17の大きさと、可動板33に設けた開口部33´の大きさに依存するので、ウエハステージユニット20の移動範囲を大きくするときは、装置10の設計段階において、これら開口部17、33´の大きさを大きくすればよい。
【0073】
<ノッチ研磨部> ノッチ研磨部40は、図3及び図10に示すように、テープ43に半導体ウエハWのノッチを押し付けるノッチ研磨ヘッド44、及びテープ43をノッチ研磨ヘッド44へ供給し、供給したテープ43を巻き取るテープ供給巻取手段45から構成される。
【0074】
ノッチ研磨ヘッド44は、相互に間隔をあけて平行に配列して取り付けた第一及び第二のローラ41、42を有し、半導体ウエハWのノッチが、第一のローラ41と第二のローラ42との間を通過するテープ43に押し付けられる。
【0075】
テープ供給巻取手段45は、テープ43を巻き付けたテープ供給ロール46、テープ供給ロール46からのテープ43を、第一及び第二のローラ41、42を介して巻き取るためのテープ巻取ローラ47、及びテープ43を巻き取るために、テープ巻取ローラ47を駆動するための巻取ローラ駆動手段(図示せず)から構成される。
【0076】
ノッチ研磨部40は、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を半導体ウエハWの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段からさらに構成され得る。この手段は、図示しないが、ウエハステージ23の表面に垂直な方向に長いリニアガイド、このリニアガイドに沿ってノッチ研磨ヘッド44を、モータ駆動により往復移動させるためのクランク・シャフト機構から構成され得る。
【0077】
また、ノッチ研磨部40は、半導体ウエハWのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を、ノッチに関して旋回往復移動(図10に矢印R3で示す方向)させるための手段を含み得る。この手段は、図示しないが、テープ43の走行方向と垂直な方向に伸びるシャフト、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。シャフトは、テープ43が半導体ウエハWのノッチに押し付けられる位置に配置される。そして、このシャフト(このシャフトが、ノッチ研磨ヘッド44の旋回軸となる)は、ノッチ研磨ヘッド44に連結されている。モータを駆動してこのシャフトを回転させると、テープ43がノッチに押し付けられた状態で、ノッチ研磨ヘッド44が、ノッチに関して矢印R3の方向で旋回往復移動し、これにより、半導体ウエハWのノッチの表面側と裏面側が研磨される。
【0078】
ノッチ研磨部40は、ノッチに、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給するためのノズル48からさらに構成される。
【0079】
テープ43として、織布、不織布、発泡体などからなるテープが使用できる。また、テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用できる。研磨材砥粒として、例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子や平均粒径0.1μm〜5.0μmの間の範囲にあるSiC粒子が使用できる。樹脂バインダーとして、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系のものが使用できる。ベースフィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0080】
ここで、テープ43として研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープを、水に研磨材砥粒を分散させた研磨液や冷却水と併用して使用することが望ましい。これは、水ベースの反応液を使用せずに研磨できるので、半導体ウエハWの汚染、さらにハウジング11の内部の汚染(ハウジング11の内部に配置されている各構成成分の汚染)をより防止できるからである。
【0081】
実用的に、テープ43の幅は、1mm〜10mmの範囲にあり、テープ43は、数十メートルの長さにあり、円筒状の芯材(図8に符号46´で示す)に巻き付けられる。
【0082】
半導体ウエハWのノッチの研磨は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWをステージ移動手段により、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動して、半導体ウエハWのノッチをノッチ研磨部40のテープ43に押し付け、ステージ旋回往復移動手段により、ノッチに関してウエハステージ23を、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面と同一平面内で旋回往復移動(図2A及び図2Bに矢印R5で示す方向)させることによって行われる。このとき、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44を半導体ウエハWの表面に垂直な方向に往復移動させてもよいし、また、テープ43をノッチに押し付けた状態で、ノッチ研磨ヘッド44をノッチに関して旋回往復移動(図10に矢印R3で示す方向)させてもよい。ここで、図示の例では、ノッチの研磨が、テープ43を使用して行われたが、このようなテープ研磨に限定されず、例えば、外周縁の断面形状がノッチの形状と一致する既知のディスク状のパッドを使用して、ノッチを研磨してもよい。
【0083】
<テープ外径検出手段> 図8に示すように、ノッチ用研磨ヘッド40は、テープ供給ロール46の芯材46´に巻き付けられているテープ43の外径(残量)を検出するためのテープ外径検出手段さらに構成される。
【0084】
このテープ外径検出手段は、図示のように、投光部49aと受光部49bとを有する光学センサから構成される。好適に、テープ43を巻き付けているテープ供給ロール46が、これら投光部49aと受光部49bとの間に配置される。テープ供給ロール46に巻き付けられているテープ43の外径は、受光部49bにおける光49cの受光量を検出することによって検出される。この検出されたテープ外径は、テープ43をテープ供給ローラ46から送り出すモータの制御装置(図示せず)に送られ、テープ43をテープ供給ローラ46から送り出すモータのトルク値が連続的に円滑に切り替わり、テープ43の張力が一定する。
【0085】
<ベベル研磨部> ベベル研磨部50は、図4及び図11に示すように、先端にコンタクトパッド51を取り付けたシリンダー52を有するベベル研磨ヘッド54、及びテープ53をベベル研磨ヘッド54へ供給し、供給したテープ53を巻き取るテープ供給巻取手段55(図4)から構成される。
【0086】
テープ供給巻取手段55は、テープ53を巻き付けたテープ供給ロール56、テープ53を、テープ供給ロール56から、コンタクトパッド51を介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ57、及びテープ53を巻き取るために、テープ巻取ローラ57を駆動するための巻取ローラ駆動手段(図示せず)から構成される。コンタクトパッド51上を通過するテープ53が、コンタクトパッド51を介して半導体ウエハWのベベルに押し付けられ、これにより、ベベルが研磨される。
【0087】
ベベル研磨部50は、テープ53をベベルに押し付けた状態で、ベベル研磨ヘッド54を、ベベルに関して、半導体ウエハWの表面と垂直な方向(図11に矢印R4で示す方向)に旋回往復移動させるための手段を含み得る。この手段は、図示しないが、テープ53の走行方向と垂直な方向に伸びるシャフト、及びこのシャフトを回転させるモータから構成される。シャフトは、テープ53が半導体ウエハWのベベルに押し付けられる位置に配置される。そして、このシャフト(このシャフトが、ベベル研磨ヘッド54の旋回軸となる)がベベル研磨ヘッドに連結される。モータを駆動すると、テープ53がベベルに押し付けられた状態で、ベベル研磨ヘッド54が、ベベルに関して矢印R4の方向に旋回往復移動し、半導体ウエハWのベベルの表面側と裏面側が研磨される。
【0088】
ベベル研磨部50は、ベベルに、水又は水ベースの反応液に研磨材砥粒を分散させたスラリー状の研磨液や、冷却水を供給するためのノズル58(図4)からさらに構成される。
【0089】
テープ53として、織布、不織布、発泡体などからなるテープが使用できる。また、テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及びこのベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用できる。研磨材砥粒として、例えば、平均粒径0.1μm〜5.0μmの範囲にあるダイヤモンド粒子や、平均粒径0.1μm〜5.0μmの間の範囲にあるSiC粒子が使用できる。樹脂バインダーとして、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系のものが使用できる。ベースフィルムとして、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどの可撓性を有する材料からなるフィルムが使用できる。
【0090】
ここで、テープ53として研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープを、水に研磨材砥粒を分散させた研磨液や冷却水と併用して使用することが望ましい。これは、水ベースの反応液を使用せずに研磨できるので、半導体ウエハWの汚染、さらにハウジング11の内部の汚染(ハウジング11の内部に配置されている各構成成分の汚染)をより防止できるからである。
【0091】
実用的に、テープ53の幅は、1mm〜10mmの範囲にあり、テープ53は、数十メートルの長さにあり、円筒状の芯材に巻き付けられる。
【0092】
ここで、平均粒径2.0μm未満の研磨材砥粒を固定した研磨層を形成したテープを使用して半導体ウエハWのベベルを研磨すると、半導体ウエハWの直径寸法を所望の寸法に形成できる。また、平均粒径2.0μm以上の研磨材砥粒を固定した研磨層を形成したテープを使用して半導体ウエハWのベベルを研磨すると、半導体ウエハWのベベルの仕上げ研磨を行える。さらに、このように研磨層に固定する研磨材砥粒のサイズ(平均粒径)を選定して、研磨中に、ベベル研磨ヘッド54をベベルに関して矢印R4の方向に旋回往復移動させると、半導体ウエハWの上下傾斜面(図1Bに符号P、Qで示す)を所望の角度や形状に形成でき、また仕上げることができる。
【0093】
半導体ウエハWのベベルの研磨は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWを、ステージ移動手段により、ウエハステージ23の表面と平行な方向に移動して、半導体ウエハWのベベルをテープに押し付け、ステージ回転手段により、ウエハステージ23を回転(図6Aに矢印R1で示す方向)させることにより行われる。ここで、ベベルの研磨が、テープ53を使用して行われたが、このようなテープ研磨に限定されず、例えば、ベベルの研磨に、表面にパッドを貼り付けた既知の回転定盤や、既知の円筒形の回転砥石を使用して、ベベルを研磨してもよい。
【0094】
<テープ外径検出手段> ベベル研磨部50は、ノッチ研磨部40と同様、テープ供給ロール56に巻き付けられているテープ53の外径を検出するためのテープ外径検出手段を含み得る。このテープ外径検出手段は、ノッチ研磨部40のものと同じく、投光部と受光部とを有する光学センサから構成され、テープ53を巻き付けているテープ供給ロールが、投光部と受光部との間に配置される。そして、受光部における受光量が検出され、これにより、テープ供給ロール56に巻き付けられているテープ53の外径が検出される。この検出されたテープ53の外径は、テープ53をテープ供給ローラ56から送り出すモータの制御装置に送られ、テープ53をテープ供給ローラ56から送り出すモータのトルク値が連続的に円滑に切り替わり、テープ53の張力が一定する。
【0095】
<防水手段> 図12A、図12B及び図12Cに示すように、本発明の装置10は、ハウジング11の下室16(特に、下室16に収容されている平行移動機構30)を防水するための防水手段からさらに構成される。
【0096】
図12Aに示すように、防水手段は、上部を、軸台29の上部に液密に固定し、低部を、仕切板14に設けた開口部17の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバー36(図12Bを参照)から構成され、軸台29が矢印X、Yの方向に移動するので、軸台29の移動による防水カバー36の破損を防止するため、防水カバー36は、弾力性を有する材料から成形される。
【0097】
防水カバー36は、図12Aに示すように、一重構造であってもよいし、図12Cに示すように、二重構造であってもよい。防水カバー36が、図12Cに示す二重構造である場合、防水カバー36の外側のカバー37と、内側のカバー38との間の空間に圧縮空気を吹き込むために、外部の空気ポンプ(図示せず)に連通した孔39を、仕切板14の開口部17の周辺の、外側と内側のカバー37、38の間に設けられ得る。これは、内側と外側のカバー37、38の間の空間に圧縮空気を吹き込むことによって、外側のカバー37を膨張させ、これにより、外側のカバー37の表面に溜まった水滴などを弾き飛ばすためである。
【0098】
防水カバー36(37、38)として、プラスチックなどの材料からなる、通液性の無い可撓性シートが使用される。好適に、発泡体からなる可撓性シートが使用される。
【0099】
<センサ組立体> 図6A及び図6Bに示すように、本発明の装置10は、ウエハステージに保持した半導体ウエハWのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体90を含む。
【0100】
ノッチ位置検出手段は、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサ(符号91、92、93で示す)から構成される。
【0101】
光学センサとして、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWのノッチNが投光部と受光部との間を通過するように、投光部と受光部とを配置したものが使用でき、半導体ウエハWが回転(矢印R1)すると、投光部の直下をノッチNが通過したときのみ、光が受光部で検出され、これにより、半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0102】
変形的に、光学センサとして、直線光回帰型のものを使用できる。この直線光回帰型センサは、投光部と受光部とを同一の側に配置し、これら投光部及び受光部に対面させるように、投光部からの光線を反射する反射部を配置したレーザーセンサである。この光学センサの場合、投光部の直下を半導体ウエハWのノッチNが通過したときのみ、投光部からのレーザーが反射部で反射し、この反射光が受光部で検出され、これにより、半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0103】
好適に、本発明では、上記のようにして半導体ウエハWのノッチNの位置が検出されると、半導体ウエハWのノッチNがノッチ研磨部のテープに向くように方向付けられて、ウエハステージの回転が停止する。
【0104】
図示の例では、ノッチ検出手段は、上記の光学センサを三個有する(符号91、92、93で示す光学センサ)。そして、半導体ウエハWを吸着して保持しているウエハステージ23が、第一の回転数の範囲(好適に、12rpm以下、4rpm以上の間の範囲)で回転しているときに、第一の光学センサ91が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出し、ウエハステージ23が、上記の第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲(好適に、4rpm未満、1rpm以上の間の範囲)で回転しているときに、第二の光学センサ92が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出する。そして、ウエハステージ23が、上記の第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲(好適に、1rpm未満の範囲)で回転しているときに、第三の光学センサ93が、この半導体ウエハWのノッチNの位置を検出する。
【0105】
図14A〜図14Cを参照する。半導体ウエハWが回転(矢印R1)すると、図14Aに示すように、第一の光学センサ91の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第一の光学センサ91によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第一の回転数の範囲で回転している。また、第二の光学センサ92の投光部からの光99bと第三の光学センサの投光部からの光99cの一部は半導体ウエハWの周縁に遮られている。次に、図14Bに示すように、第二の光学センサ92の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第二の光学センサ92によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第二の回転数の範囲で回転している。また、第一の光学センサ91の投光部からの光99aと第三の光学センサ93の投光部からの光99cの一部は半導体ウエハWの周縁に遮られている。次に、図14Cに示すように、第三の光学センサ93の投光部の直下をノッチNが通過したとき、第三の光学センサ93によりノッチの位置が検出される。このとき、ウエハステージ23は、第三の回転数の範囲で回転している。また、第一及び第二の光学センサ92の投光部からの光99a、99bは半導体ウエハWの周縁に遮られている。
【0106】
すなわち、ウエハステージ21が減速し、停止するまでの間に、第一、第二及び第三の光学センサ91、92、93によって、段階的にノッチNの位置が検出される。第三の光学センサ93は、ノッチNの最も深い部分の位置を検出して、ノッチNの位置をより高精度に検出する。これによると、ウエハステージ23の回転軸(図3に符号Csで示す)に関する半導体ウエハWのノッチNの位置(角度)の誤差を、±0.1°内の精度で位置決めできる。また、単に、一方向に回転(矢印R1の方向)させた半導体ウエハWの回転を減速させる間にノッチNの位置を検出するだけなので、ノッチNの位置を精度よく短時間で行える。
【0107】
センサ組立体90は、ウエハステージ23上に保持した半導体ウエハWの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有する。このような位置ズレは、第一及び第二のチャックハンド81、82のコマ83の摩耗により発生し得るものである。
【0108】
図13A及び図13Bを参照する。位置ズレ検出手段は、投光部と、受光部とを有する光学センサ93´から構成される。この光学センサ93´は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハWを回転させると、図13Bのグラフに示すように、光学センサ93´は、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの径方向の位置ズレ(図13Aに符号εで示す)が検出される。位置ズレは、例えば、半導体ウエハWの中心(符号Ch)を原点とし、この中心(符号Ch)から任意の放射方向に伸びる軸線(符号r)を基準とした極座標系において、この軸線(符号r)からの回転角(符号θ)と、原点(符号Ch)からのウエハステージ23の中心(符号Cs)までの距離で表される。また、図13Bのグラフに示すように、位置ズレが検出されるだけでなく、ノッチの位置も検出される。この位置ズレの検出は、半導体ウエハWを一回転させるだけで検出できる。なお、半導体ウエハWの中心(符号Ch)が、ウエハステージ23の回転軸(符号Cs)と一致しているとき(すなわち、位置ズレがないとき)、検出される受光量は、図13Bのグラフに破線で示す直線となる。
【0109】
図6A及び図6Bに示す例では、上記の第三の光学センサ93が、この位置ズレ検出手段の光学センサを兼用する。
【0110】
すなわち、図14A〜図14Cに示すように、半導体ウエハWが矢印R1の方向に回転している間、第三の光学センサ93の投光部からの光99cの一部が受光部に到達するように、第三の光学センサ93は、ウエハステージ21に保持した半導体ウエハWのノッチNを含む周縁が投光部と受光部との間を通過するように、配置される。半導体ウエハWの回転中、この第三の光学センサ93は、その受光部での受光量の変化を検出する。これにより、ウエハステージ21に吸着して保持されている半導体ウエハWの径方向の位置ズレが検出され、さらに、ウエハステージ23が上記の第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハWのノッチNの位置が検出される。
【0111】
センサ組立体90は、防水手段からさらに構成される。これは、半導体ウエハWのテープ研磨に使用される冷却液又は研磨液によるセンサ組立体90の光学センサ91、92、93などの損傷などを防止するためのものである。防水手段は、図7A及び図7Bに示すように、光学センサの位置を半導体ウエハの位置から退避させるために、センサ組立体90を回転(図6Bに矢印R2で示す方向)させるためのセンサ組立体回転手段、及び退避させた光学センサを覆うためのシャッター94から構成される。センサ組立体回転手段は、図示しないが、センサ組立体90に固定したシャフトを、モータを駆動して回転させるものである。また、図7Bに示すように、シャッター94は、エアピストンなどの手段により、矢印T3の方向に移動され、光学センサを覆う。
【0112】
<第二の位置ズレ検出手段> 図11を参照する。ベベル研磨部50は、半導体ウエハWのベベルの研磨中、この半導体ウエハWの位置ズレを検出するための第二の位置ズレ検出手段からさらに構成され得る。この第二の位置ズレ検出手段は、半導体ウエハWの研磨中に、コンタクトパッド51を介してテープ53を半導体ウエハWのベベルに押し付けているシリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサ(図示せず)から構成される。位置ズレが検出されると、この位置ズレがステージ移動手段にフィードバックされ、半導体ウエハWの径方向の位置ズレが修正される。
【0113】
<清浄化手段> 本発明の装置10は、図示しないが、ハウジング11の内部を清浄に維持するための清浄化手段からさらに構成される。
【0114】
この清浄化手段は、ハウジング11の上室15の天井に設けた吸気口、ハウジング11の上室15の側面の下方に設けた排気口、及びこの排気口に連通する外部ポンプから構成され、吸気口から流入した空気が、ハウジング11の内部の側面に沿って流れるように、吸気口及び排気口がハウジング11に設けられる。このようにハウジング11の内部の側面に沿うように空気の流れを形成することで、浮遊塵(パーティクル)が、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの表面上に付着せずに、外部に排出される。
【0115】
<ウエハ乾燥防止手段> 本発明の装置10は、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段(n1、n2)からさらに構成される。これは、ノッチ研磨部40とベベル研磨部50の各研磨部における半導体ウエハWの研磨が終了した後、次の処理のために、半導体ウエハWを移動させている間に半導体ウエハWの乾燥を防止するためのものである。図2〜図4に示すように、ウエハ乾燥防止手段は、ハウジング11内に配置したノズルn1、n2から構成され、これらノズルn1、n2から半導体ウエハWに向けて純水が吹き付けられる。このように、移動中の半導体ウエハWに純水が供給されるので、半導体ウエハWの乾燥が防止されるだけでなく、半導体ウエハWへの浮遊塵(パーティクル)の付着も防止できる。
【0116】
図示の例では、ウエハ乾燥防止手段は、二個のノズルn1、n2から構成されるが、一個のノズルを使用してもよく、また三個以上のノズルを使用してもよい。また、ノッチ研磨の際に、半導体ウエハWを、ノッチに関して、ウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させても、半導体ウエハWがノズルに衝突しない位置に、ノズルは配置される。
【0117】
<研磨方法> 本発明に従って、半導体ウエハWの周縁(ベベルとノッチ)を研磨する。
【0118】
エアシリンダーを作動してシャッター13を駆動し、ハウジング11の側面の開口部12を開き、搬送ロボットハンド13により、半導体ウエハWをハウジング11の上室15内に搬入し、半導体ウエハWをウエハステージ23の直上へと輸送し、半導体ウエハWの受取位置(符号L2で示す)に位置させた第一及び第二のチャックハンド81、82で、この半導体ウエハWを挟持する。このとき、半導体ウエハWの中心は、その下方に位置するウエハステージ23の中心の直上に位置する。その後、搬送ロボットハンド13をハウジング11外へ退避させ、エアシリンダーを作動してシャッター13を駆動し、ハウジング11の開口部12を閉じる。
【0119】
半導体ウエハWを挟持した第一及び第二のチャックハンド81、82をウエハ載置位置(符号L3で示す)まで下降し、第一及び第二のチャックハンド81、82を開いて半導体ウエハWをウエハステージ23のパッド24上に載置する。第一及び第二のチャックハンド81、82は、退避位置(符号L1で示す)まで上昇する。また、真空ポンプが駆動して半導体ウエハWをウエハステージ23に吸着して保持させる。
【0120】
センサ組立体90を回転させ、ウエハステージ23に保持した半導体ウエハWの周縁上に光学センサ91、92、93を位置させ、ウエハステージ23を回転(矢印R1の方向)させて、半導体ウエハWのノッチの位置を検出する。また、ウエハステージ23の回転中に、半導体ウエハWの位置ズレも検出する。
【0121】
半導体ウエハWの位置ズレが検出されると、第一及び第二のチャックハンド81、82がウエハ載置位置(符号L3)まで下降し、半導体ウエハWを挟持し、持ち上げる(半導体ウエハWの真空吸着力は、半導体ウエハWがやや持ち上がったところで、真空ポンプを停止することにより解除される)。そして、検出された位置ズレ量だけウエハステージ23を移動し、上記したように、半導体ウエハWを挟持した第一及び第二のチャックハンド81、82をウエハ載置位置(符号L3)まで下降し、これらチャックハンド81、82を開いて半導体上はWをウエハステージ23上に載置し、真空ポンプを駆動して半導体ウエハWをウエハステージ23に吸着して保持させる。その後、上記したように、ウエハステージ23を回転R1させ、センサ組立体90の光学センサ91、92、93で、半導体ウエハWのノッチの位置を検出するとともに、半導体ウエハWの位置ズレを検出する。この工程は、位置ズレが検出されなくなるまで続けられ得る。
【0122】
次に、ノッチ研磨部40に向けてウエハステージ23を移動し、ノッチ研磨ヘッド44のテープ43に半導体ウエハWのノッチを押し付ける。ノズル48を通じて、半導体ウエハWのノッチに研磨液を供給しながら、半導体ウエハWのノッチをテープ43に押し付けた状態で、テープ43を走行させ、ノッチの位置に関して、ウエハステージ23を半導体ウエハWの表面と同一平面上で旋回往復移動(矢印R5の方向)させて、半導体ウエハWのノッチを研磨する。
【0123】
研磨中、半導体ウエハWに供給されている研磨液により、ノッチが冷却され、またノッチにおける摩擦係数も低下する。さらに、研磨中に、研磨クズが飛散することもなく、たとえ飛散しても、研磨液により洗い流され、半導体ウエハに付着することがない。
【0124】
また、ノッチ研磨ヘッド44を上下方向に真直ぐに往復移動させてもよいし、また、上下方向に旋回往復移動(矢印R3の方向)させて、ノッチのエッジE(図1Bを参照)も研磨してもよい。
【0125】
次に、ベベル研磨部50に向けてウエハステージ23を移動し、コンタクトパッド51を介してテープ43に半導体ウエハWのベベルを押し付ける。
【0126】
ここで、半導体ウエハWの乾燥防止のため、ウエハステージ23の移動中、ノズルn1、n2を通じて半導体ウエハWに純水が供給される。
【0127】
ノズル58を通じて、半導体ウエハWのベベルに研磨液を供給しながら、半導体ウエハWのベベルをテープ53に押し付けた状態で、テープ53を走行させるとともに、ウエハステージ23を回転させて、半導体ウエハWのベベルを研磨する。
【0128】
研磨中、半導体ウエハWに供給されている研磨液により、ベベルが冷却される。さらに、研磨中に、研磨クズが飛散することもなく、たとえ飛散しても、研磨液により洗い流され、半導体ウエハに付着することがない。
【0129】
また、ベベル研磨ヘッド54を上下方向に真直ぐに往復移動させてもよいし、また、上下方向に旋回往復移動(矢印R4の方向)させて、ベベルとエッジEを研磨してもよい。
【0130】
ここで、ノッチの研磨を行ってからベベルの研磨を行ったが、ベベルの研磨を行ってから、ノッチの研磨を行ってもよい。
【0131】
また、ベベルの研磨中に、半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出する。位置ズレが検出されると、この位置ズレがステージ移動手段にフィードバックされ、半導体ウエハWの径方向の位置ズレが修正される。
【0132】
ベベルとノッチの研磨後、ウエハステージ23を元の位置に戻す。第一及び第二のチャックハンド81、82が退避位置(符号L1)からウエハ載置位置(符号L3)へ下降して半導体ウエハWを挟持し、持ち上げる。半導体ウエハWが少しだけ持ち上がったところで、真空ポンプを停止し、真空吸着を解除する。第一及び第二のチャックハンド81、82がウエハ受渡位置(符号L2)に到達する。エアシリンダーによりシャッター13が駆動され、ハウジング11の開口部12が開き、搬送ロボットハンド13がハウジング11内に入り、半導体ウエハWの下側に位置する。第一及び第二のチャックハンド81、82が開いて、半導体ウエハWが搬送ロボットハンド13上に載置され、搬送ロボットハンド13が開口部12を通じて半導体ウエハWをハウジング11外へ搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1Aは、半導体ウエハの平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ、半導体ウエハの周縁付近の断面図である。
【図2】図2Aは、本発明の装置の平面図であり、図2Bは、半導体ウエハを、そのノッチに関して旋回往復移動させているところを示す。
【図3】図3は、図1の3−3線断面図である。
【図4】図4は、図1の4−4線断面図である。
【図5】図5Aは、ウエハチャック手段の平面図であり、図5Bは、ウエハチャック手段の側面図である。
【図6】図6A及び図6Bは、それぞれ、センサ組立体の平面図である。
【図7】図7A及び図7Bは、それぞれ、センサ組立体の側面図である。
【図8】図8は、テープ外径検出手段を示す。
【図9】図9は、ウエハステージの平面図である。
【図10】図10は、ノッチ研磨ヘッドの側面図である。
【図11】図11は、ベベル研磨ヘッドの側面図である。
【図12】図12Aは、一重構造の防水手段の断面図であり、図11Bは、図11Aの防水カバーの斜視図であり、図11Cは、二重構造の防水手段の断面図である。
【図13】図13Aは、半導体ウエハをウエハステージに保持させたところの平面図であり、図13Bは、ウエハの回転角に対する受光量の変化を示すグラフである。
【図14】図14A〜図14Cは、それぞれ、第一、第二及び第三の光学センサの投光部の直下を半導体ウエハのノッチが通過したところを示す。
【符号の説明】
【0134】
10・・・本発明の装置
11・・・ハウジング
20・・・ウエハステージユニット
23・・・ウエハステージ
30・・・ステージ移動手段
40・・・ノッチ研磨部
50・・・ベベル研磨部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの周縁を研磨するための装置であって、
半導体ウエハを保持するためのウエハステージ、前記ウエハステージを回転させるためのステージ回転手段、及び前記ウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させるためのステージ旋回往復移動手段から成るウエハステージユニット、
前記ウエハステージユニットを、前記ウエハステージの表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段、
前記ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨するための2以上の研磨部、
から成る装置。
【請求項2】
請求項1の装置であって、
前記2以上の研磨部が、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び前記ウエハステージに保持した半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する、
ところの装置。
【請求項3】
請求項1の装置であって、
前記ウエハステージユニット、前記研磨部及び前記ステージ移動手段を収容し、側面に開閉可能な開口部を有するハウジングを含む装置。
【請求項4】
請求項3の装置であって、
前記ハウジングが、仕切板によって区画される二つの空間を有し、
前記二つの空間のうちの一方の空間に、前記ウエハステージユニットと前記研磨部が収容され、
前記二つの空間のうちの他方の空間に、前記ステージ移動手段が収容される、
ところの装置。
【請求項5】
請求項1の装置であって、
前記ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段、
を含む装置。
【請求項6】
請求項1の装置であって、
前記ハウジングの内部に搬入された半導体ウエハを受け取ってこの半導体ウエハを前記ウエハステージ上に載置し、前記ウエハステージ上の半導体ウエハをウエハ搬送手段に受け渡すウエハチャック手段、
を含む装置。
【請求項7】
請求項6の装置であって、
前記ウエハチャック手段が、
二個又はそれ以上の個数のコマを有する第一のチャックハンド、
二個又はそれ以上の個数のコマを有する第二のチャックハンド、
前記第一及び第二のチャックハンドを開閉させるためのチャックハンド開閉手段、及び
前記第一及び第二のチャックハンドを前記ウエハステージの表面と垂直な方向に往復移動させるためのチャック移動手段、
から成り、
前記第一及び第二のチャックハンドを閉じると、これら第一及び第二のチャックハンドのそれぞれのコマが半導体ウエハの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハが、前記第一及び第二のチャックハンドに挟持される、
ところの装置。
【請求項8】
請求項7の装置であって、
前記チャックハンド開閉手段が、
前記第一及び第二のチャックハンドのうちの少なくとも一方のチャックハンドを螺合させたボールネジ、及び
前記ボールネジを駆動するためのサーボモータ、
から成り、
前記サーボモータを駆動すると、前記第一及び第二のチャックハンドが開閉移動する、
ところの装置。
【請求項9】
請求項1の装置であって
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体、
を含む装置。
【請求項10】
請求項9の装置であって、
前記ノッチ位置検出手段が、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサから成り、
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチが前記投光部と前記受光部との間を通過するように、前記光学センサを配置し、この半導体ウエハを回転させることにより、前記光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する、
ところの装置。
【請求項11】
請求項10の装置であって、
前記ノッチ検出手段が、前記光学センサを三個有し、
半導体ウエハを吸着して保持している前記ウエハステージが、第一の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第一の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、
前記ウエハステージが、前記第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第二の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、
前記ウエハステージが、前記第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第三の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する、
ところの装置。
【請求項12】
請求項9の装置であって、
前記センサ組立体が、前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有し、
前記位置ズレ検出手段が、投光部と、受光部とを有する光学センサから成り、
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの周縁が前記投光部と前記受光部との間を通過するように、前記光学センサを配置し、この半導体ウエハを回転させることにより、前記光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、前記ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出される、
ところの装置。
【請求項13】
請求項11の装置であって、
前記第三の光学センサが、前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチを含む周縁が前記投光部と前記受光部との間を通過するように、配置され、この半導体ウエハを回転させることにより、前記第三の光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、前記ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出され、前記ウエハステージが前記第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される、
ところの装置。
【請求項14】
請求項9の装置であって、
前記センサ組立体が、防水手段を含む、ところの装置。
【請求項15】
請求項2の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
相互に間隔をあけて平行に配列した第一及び第二のローラを有するノッチ研磨ヘッド、及び
テープを巻き付けたテープ供給ロール、前記テープを、前記テープ供給ロールから、前記第一及び第二のローラを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ、及び
前記テープを巻き取るために、前記テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段を有するテープ供給巻取手段、
から成り、
前記第一のローラと前記第二のローラとの間を通過するテープが、前記ノッチに押し付けられ、これにより、前記ノッチが研磨される、
ところの装置。
【請求項16】
請求項15の装置であって、
前記テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及び前記ベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される、
ところの装置。
【請求項17】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記テープを前記ノッチに押し付けた状態で、前記ノッチ研磨ヘッドを前記半導体ウエハの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項18】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記半導体ウエハのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、前記テープを前記ノッチに押し付けた状態で、前記ノッチ研磨ヘッドを、前記ノッチに関して旋回往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項19】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径を検出するためのテープ外形検出手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項20】
請求項2の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
先端にコンタクトパッドを取り付けたシリンダーを有するベベル研磨ヘッド、及び
テープを巻き付けたテープ供給ロール、前記テープを、前記テープ供給ロールから、前記コンタクトパッドを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ、及び前記テープを巻き取るために、前記テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段を有するテープ供給巻取手段、
から成り、
前記コンタクトパッド上を通過するテープが、前記ベベルに押し付けられ、これにより、前記ベベルが研磨される、
ところの装置。
【請求項21】
請求項20の装置であって、
前記テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及び前記ベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される、
ところの装置。
【請求項22】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
前記半導体ウエハのベベルの表面側と裏面側が研磨されるように、前記テープを前記ベベルに押し付けた状態で、前記ベベル研磨ヘッドを前記ベベルに関して旋回往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項23】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
前記テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径検出手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項24】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
半導体ウエハのベベルの研磨中、この半導体ウエハの位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段、
を含み、
前記位置ズレ検出手段が、
半導体ウエハの研磨中に、前記コンタクトパッドを介して前記テープを半導体ウエハのベベルに押し付けている前記シリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサ、
から成る、
ところの装置。
【請求項25】
請求項3の装置の装置であって、
前記ハウジングの内部を清浄に維持するための清浄化手段、
を含み、
前記清浄化手段が、
前記ハウジングの上面に設けた吸気口、
前記ハウジングの下面に設けた排気口、及び
前記排気口に連通する外部ポンプ、
から成り、
前記吸気口から流入した空気が、前記ハウジングの内部の側面に沿って流れるように、前記吸気口及び前記排気口が前記ハウジングに設けられる、
ところの装置。
【請求項26】
請求項4の装置であって、
前記ハウジングの前記他方の空間を防水するための防水手段、
を含む装置。
【請求項27】
請求項4の装置であって、
前記ハウジングの前記仕切板が、開口部を有し、
前記ステージの回転手段が、
前記ウエハステージの裏側の中心に取り付けたシャフト、
このシャフトを回転可能に取り付けた支持体、及び
このシャフトを回転させるモータ、
から成り、
前記ステージの旋回往復移動手段が、
前記ウエハステージの中心から半導体ウエハの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、前記ハウジングの仕切板の前記開口部を通じて、前記ウエハステージユニットの支持体の下面に固定した第二のシャフト、及び
前記仕切板の下側で、この第二のシャフトを回転させるための第二のモータ、から成り、
前記第二のシャフトが、中空筒状の軸台に回転可能に取り付けられ、
前記軸台の下面は、前記ハウジングの仕切板の下方に位置する前記支持板に固定され、
前記軸台の上面は、前記支持体の下面に当接して前記支持体を支持し、
前記第二のモータが、前記支持体に固定され、
当該装置が、
上部を、前記軸台の上部に液密に固定し、低部を、前記仕切板の前記開口部の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバー、
から成り、
前記防水カバーが、弾力性を有する材料から形成される、
ところの装置。
【請求項28】
請求項27の装置であって、
前記防水カバーが、二重構造であり、
当該装置が、この二重構造の防水カバーの外側のカバーと、内側のカバーとの間の空間に圧縮空気を吹き込むための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項29】
半導体ウエハの周縁を研磨するための方法であって、
ウエハステージに半導体ウエハを吸着して保持させるウエハ保持工程、
前記ウエハステージに吸着して保持させた半導体ウエハの周縁を2以上の研磨部で研磨する研磨工程、
から成る方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、
前記研磨工程が、
半導体ウエハを保持した、前記ウエハステージを前記2以上の研磨部の各々に向けて、順次移動させ、各研磨手段で、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨する工程、
から成る、
ところの方法。
【請求項31】
請求項30の方法であって、
半導体ウエハを保持した前記ウエハステージが前記2以上の研磨部の間を移動しているとき、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給する乾燥防止工程、
を含む方法。
【請求項32】
請求項31の方法であって、
前記2以上の研磨部が、半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する、
ところの方法。
【請求項1】
半導体ウエハの周縁を研磨するための装置であって、
半導体ウエハを保持するためのウエハステージ、前記ウエハステージを回転させるためのステージ回転手段、及び前記ウエハステージの表面と同一平面内で旋回往復移動させるためのステージ旋回往復移動手段から成るウエハステージユニット、
前記ウエハステージユニットを、前記ウエハステージの表面と平行な方向に移動させるためのステージ移動手段、
前記ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨するための2以上の研磨部、
から成る装置。
【請求項2】
請求項1の装置であって、
前記2以上の研磨部が、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び前記ウエハステージに保持した半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する、
ところの装置。
【請求項3】
請求項1の装置であって、
前記ウエハステージユニット、前記研磨部及び前記ステージ移動手段を収容し、側面に開閉可能な開口部を有するハウジングを含む装置。
【請求項4】
請求項3の装置であって、
前記ハウジングが、仕切板によって区画される二つの空間を有し、
前記二つの空間のうちの一方の空間に、前記ウエハステージユニットと前記研磨部が収容され、
前記二つの空間のうちの他方の空間に、前記ステージ移動手段が収容される、
ところの装置。
【請求項5】
請求項1の装置であって、
前記ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給するためのウエハ乾燥防止手段、
を含む装置。
【請求項6】
請求項1の装置であって、
前記ハウジングの内部に搬入された半導体ウエハを受け取ってこの半導体ウエハを前記ウエハステージ上に載置し、前記ウエハステージ上の半導体ウエハをウエハ搬送手段に受け渡すウエハチャック手段、
を含む装置。
【請求項7】
請求項6の装置であって、
前記ウエハチャック手段が、
二個又はそれ以上の個数のコマを有する第一のチャックハンド、
二個又はそれ以上の個数のコマを有する第二のチャックハンド、
前記第一及び第二のチャックハンドを開閉させるためのチャックハンド開閉手段、及び
前記第一及び第二のチャックハンドを前記ウエハステージの表面と垂直な方向に往復移動させるためのチャック移動手段、
から成り、
前記第一及び第二のチャックハンドを閉じると、これら第一及び第二のチャックハンドのそれぞれのコマが半導体ウエハの周縁に接触し、これにより、半導体ウエハが、前記第一及び第二のチャックハンドに挟持される、
ところの装置。
【請求項8】
請求項7の装置であって、
前記チャックハンド開閉手段が、
前記第一及び第二のチャックハンドのうちの少なくとも一方のチャックハンドを螺合させたボールネジ、及び
前記ボールネジを駆動するためのサーボモータ、
から成り、
前記サーボモータを駆動すると、前記第一及び第二のチャックハンドが開閉移動する、
ところの装置。
【請求項9】
請求項1の装置であって
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチの位置を検出するためのノッチ位置検出手段を有するセンサ組立体、
を含む装置。
【請求項10】
請求項9の装置であって、
前記ノッチ位置検出手段が、投光部と、受光部とを有する少なくとも一個の光学センサから成り、
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチが前記投光部と前記受光部との間を通過するように、前記光学センサを配置し、この半導体ウエハを回転させることにより、前記光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する、
ところの装置。
【請求項11】
請求項10の装置であって、
前記ノッチ検出手段が、前記光学センサを三個有し、
半導体ウエハを吸着して保持している前記ウエハステージが、第一の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第一の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、
前記ウエハステージが、前記第一の回転数の範囲よりも低い第二の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第二の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出し、
前記ウエハステージが、前記第二の回転数の範囲よりも低い第三の回転数の範囲で回転しているときに、これら三個の光学センサのうちの第三の光学センサが、この半導体ウエハのノッチの位置を検出する、
ところの装置。
【請求項12】
請求項9の装置であって、
前記センサ組立体が、前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの径方向の位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段を有し、
前記位置ズレ検出手段が、投光部と、受光部とを有する光学センサから成り、
前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハの周縁が前記投光部と前記受光部との間を通過するように、前記光学センサを配置し、この半導体ウエハを回転させることにより、前記光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、前記ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出される、
ところの装置。
【請求項13】
請求項11の装置であって、
前記第三の光学センサが、前記ウエハステージに吸着して保持した半導体ウエハのノッチを含む周縁が前記投光部と前記受光部との間を通過するように、配置され、この半導体ウエハを回転させることにより、前記第三の光学センサが、その受光部での受光量の変化を検出し、これにより、前記ウエハステージに吸着して保持されている半導体ウエハの径方向の位置ズレが検出され、前記ウエハステージが前記第三の回転数の範囲で回転しているときに、この半導体ウエハのノッチの位置が検出される、
ところの装置。
【請求項14】
請求項9の装置であって、
前記センサ組立体が、防水手段を含む、ところの装置。
【請求項15】
請求項2の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
相互に間隔をあけて平行に配列した第一及び第二のローラを有するノッチ研磨ヘッド、及び
テープを巻き付けたテープ供給ロール、前記テープを、前記テープ供給ロールから、前記第一及び第二のローラを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ、及び
前記テープを巻き取るために、前記テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段を有するテープ供給巻取手段、
から成り、
前記第一のローラと前記第二のローラとの間を通過するテープが、前記ノッチに押し付けられ、これにより、前記ノッチが研磨される、
ところの装置。
【請求項16】
請求項15の装置であって、
前記テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及び前記ベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される、
ところの装置。
【請求項17】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記テープを前記ノッチに押し付けた状態で、前記ノッチ研磨ヘッドを前記半導体ウエハの表面に垂直な方向に往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項18】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記半導体ウエハのノッチの表面側と裏面側が研磨されるように、前記テープを前記ノッチに押し付けた状態で、前記ノッチ研磨ヘッドを、前記ノッチに関して旋回往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項19】
請求項15の装置であって、
前記ノッチ研磨部が、
前記テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径を検出するためのテープ外形検出手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項20】
請求項2の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
先端にコンタクトパッドを取り付けたシリンダーを有するベベル研磨ヘッド、及び
テープを巻き付けたテープ供給ロール、前記テープを、前記テープ供給ロールから、前記コンタクトパッドを介して、巻き取るためのテープ巻取ローラ、及び前記テープを巻き取るために、前記テープ巻取ローラを駆動するための巻取ローラ駆動手段を有するテープ供給巻取手段、
から成り、
前記コンタクトパッド上を通過するテープが、前記ベベルに押し付けられ、これにより、前記ベベルが研磨される、
ところの装置。
【請求項21】
請求項20の装置であって、
前記テープとして、可塑性を有する材料からなるテープ状のベースフィルム、及び前記ベースフィルムの表面に形成した、研磨材砥粒を樹脂バインダーで固定した研磨層からなるテープが使用される、
ところの装置。
【請求項22】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
前記半導体ウエハのベベルの表面側と裏面側が研磨されるように、前記テープを前記ベベルに押し付けた状態で、前記ベベル研磨ヘッドを前記ベベルに関して旋回往復移動させるための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項23】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
前記テープ供給ロールに巻き付けられているテープの外径を検出するためのテープ外径検出手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項24】
請求項20の装置であって、
前記ベベル研磨部が、
半導体ウエハのベベルの研磨中、この半導体ウエハの位置ズレを検出するための位置ズレ検出手段、
を含み、
前記位置ズレ検出手段が、
半導体ウエハの研磨中に、前記コンタクトパッドを介して前記テープを半導体ウエハのベベルに押し付けている前記シリンダーの伸縮の変化を検出する変位センサ、
から成る、
ところの装置。
【請求項25】
請求項3の装置の装置であって、
前記ハウジングの内部を清浄に維持するための清浄化手段、
を含み、
前記清浄化手段が、
前記ハウジングの上面に設けた吸気口、
前記ハウジングの下面に設けた排気口、及び
前記排気口に連通する外部ポンプ、
から成り、
前記吸気口から流入した空気が、前記ハウジングの内部の側面に沿って流れるように、前記吸気口及び前記排気口が前記ハウジングに設けられる、
ところの装置。
【請求項26】
請求項4の装置であって、
前記ハウジングの前記他方の空間を防水するための防水手段、
を含む装置。
【請求項27】
請求項4の装置であって、
前記ハウジングの前記仕切板が、開口部を有し、
前記ステージの回転手段が、
前記ウエハステージの裏側の中心に取り付けたシャフト、
このシャフトを回転可能に取り付けた支持体、及び
このシャフトを回転させるモータ、
から成り、
前記ステージの旋回往復移動手段が、
前記ウエハステージの中心から半導体ウエハの略半径の長さ分だけオフセットした位置で、前記ハウジングの仕切板の前記開口部を通じて、前記ウエハステージユニットの支持体の下面に固定した第二のシャフト、及び
前記仕切板の下側で、この第二のシャフトを回転させるための第二のモータ、から成り、
前記第二のシャフトが、中空筒状の軸台に回転可能に取り付けられ、
前記軸台の下面は、前記ハウジングの仕切板の下方に位置する前記支持板に固定され、
前記軸台の上面は、前記支持体の下面に当接して前記支持体を支持し、
前記第二のモータが、前記支持体に固定され、
当該装置が、
上部を、前記軸台の上部に液密に固定し、低部を、前記仕切板の前記開口部の周辺に液密に固定した中空の半円形状の防水カバー、
から成り、
前記防水カバーが、弾力性を有する材料から形成される、
ところの装置。
【請求項28】
請求項27の装置であって、
前記防水カバーが、二重構造であり、
当該装置が、この二重構造の防水カバーの外側のカバーと、内側のカバーとの間の空間に圧縮空気を吹き込むための手段、
を含む、
ところの装置。
【請求項29】
半導体ウエハの周縁を研磨するための方法であって、
ウエハステージに半導体ウエハを吸着して保持させるウエハ保持工程、
前記ウエハステージに吸着して保持させた半導体ウエハの周縁を2以上の研磨部で研磨する研磨工程、
から成る方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、
前記研磨工程が、
半導体ウエハを保持した、前記ウエハステージを前記2以上の研磨部の各々に向けて、順次移動させ、各研磨手段で、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハの周縁を研磨する工程、
から成る、
ところの方法。
【請求項31】
請求項30の方法であって、
半導体ウエハを保持した前記ウエハステージが前記2以上の研磨部の間を移動しているとき、前記ウエハステージに保持した半導体ウエハに純水を供給する乾燥防止工程、
を含む方法。
【請求項32】
請求項31の方法であって、
前記2以上の研磨部が、半導体ウエハのノッチを研磨するノッチ研磨部、及び半導体ウエハのベベルを研磨するベベル研磨部を有する、
ところの方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−303112(P2006−303112A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121464(P2005−121464)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(390037165)日本ミクロコーティング株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【出願人】(390037165)日本ミクロコーティング株式会社 (79)
【Fターム(参考)】
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