説明

半導体デバイス及びその形成方法

【課題】応力ライナによるコンタクト形成の問題が起きない、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板層上の二酸化シリコン層102と、凹んだソース/ドレイン・トレンチを有する相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスを準備し、凹んだソース/ドレイン・トレンチ内に窒化物応力ライナ104を堆積し、その上に酸化物層106を堆積する。CMOSデバイスをハンドリング・ウェハ上に置きシリコン基板層を除去し二酸化シリコン層102をエッチングしてソース/ドレイン領域170の一部に当接する開口部を形成しコンタクト180を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)内に応力を誘起するための解決法に関する。より詳細には、本明細書に開示される主題は、CMOSデバイス内に窒化物応力ライナを形成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの設計者は、半導体デバイスをその性能のレベルを向上させる一方で、さらに小さくしようと絶えず取り組んでいる。性能を向上させるための1つの手法は、これらのデバイスの一部を覆う応力ライナを使用することである。応力ライナは、例えば、デバイスチャネル内での電子/正孔の移動度を高めるのに特に有益であり得る。しかしながら、デバイスチャネルの近くに配置された応力ライナは、コンタクト形成の際に厄介な問題を引き起こすことがあり、かつデバイス性能に悪影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス内に応力を誘起するための解決法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス内に応力を誘起するための解決法が開示される。1つの態様において、半導体デバイスを形成する方法が開示され、この方法は、シリコン基板層と、その上の二酸化シリコン層と、第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するn型電界効果トランジスタ(NFET)ゲート及び第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するp型電界効果トランジスタ(PFET)ゲートであって、二酸化シリコン層の上に配置されるNFETゲート及びPFETゲートとを含むCMOSデバイスを準備するステップと、第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチ内に窒化物応力ライナを堆積するステップと、窒化物応力ライナの上に酸化物層を堆積するステップと、CMOSデバイスをハンドリング・ウェハ上に置くステップであって、酸化物層がハンドリング・ウェハに最も近くなるようにする、ステップと、シリコン基板層を除去するステップと、二酸化シリコン層をエッチングしてソース/ドレイン領域の一部に当接する開口部を形成するステップであって、ソース/ドレイン領域が第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ又は第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチのうちの一方に当接する、ステップと、開口部内にコンタクトを形成するステップとを含む。
【0005】
本発明の第1の態様は、半導体デバイスを形成する方法を提供し、この方法は、シリコン基板層と、その上の二酸化シリコン層と、第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するn型電界効果トランジスタ(NFET)ゲート及び第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するp型電界効果トランジスタ(PFET)ゲートであって、二酸化シリコン層の上に配置されるNFETゲート及びPFETゲートとを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスを準備するステップと、第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチ内に窒化物応力ライナを堆積するステップと、窒化物応力ライナの上に酸化物層を堆積するステップと、CMOSデバイスをハンドリング・ウェハ上に置くステップであって、酸化物層がハンドリング・ウェハに最も近くなるようにする、ステップと、シリコン基板層を除去するステップと、二酸化シリコン層をエッチングしてソース/ドレイン領域の一部に当接する開口部を形成するステップであって、ソース/ドレイン領域が第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ又は第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチのうちの一方に当接する、ステップと、開口部内にコンタクトを形成するステップとを含む。
【0006】
本発明の第2の態様は、半導体デバイスを提供し、この半導体デバイスは、二酸化シリコン層と、少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、二酸化シリコン層の一部の上に配置されたn型電界効果トランジスタ(NFET)と、少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、二酸化シリコン層の一部の上に配置されたp型電界効果トランジスタ(PFET)と、NFET及びPFETの上の窒化物応力ライナであって、NFETの少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチ及びPFETの少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを充填する、窒化物応力ライナと、二酸化シリコン層内に形成された第1のコンタクトであって、NFET又はPFETのうちの一方に当接する、第1のコンタクトとを含む。
【0007】
本発明の第3の態様は、半導体デバイスを提供し、この半導体デバイスは、二酸化シリコン層と、少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、二酸化シリコン層の一部の上に配置されたn型電界効果トランジスタ(NFET)と、少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、二酸化シリコン層の一部の上に配置されたp型電界効果トランジスタ(PFET)と、NFETに当接する第1のスペーサ及びPFETに隣接する第2のスペーサと、NFET及びPFETの上の窒化物応力ライナであって、NFETの少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチ及びPFETの少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを充填する、窒化物応力ライナと、二酸化シリコン層内に形成される第1のコンタクトであって、NFET又はPFETのうちの一方に当接する、第1のコンタクトとを含む。
【0008】
本発明のこれら及び他の特徴は、以下の本発明の種々の態様の詳細な説明を本発明の種々の実施形態を描く添付の図面と併せることで、さらに容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図2】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図3】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図4】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図5】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図6】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図7】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図8】本発明の実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図9】本発明の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図10】本発明の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図11】本発明の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図12】本発明の別の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図13】本発明の別の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図14】本発明の別の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【図15】本発明の別の代替的な実施形態による半導体デバイスを形成するステップの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の図面は縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様のみを示すことが意図されており、従って本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面において、図面間で同様の番号は同様の要素を示す。
【0011】
ここで使用されている「堆積」という用語は、堆積される材料にふさわしい現時点で公知の又は今後開発されるいかなる技術をも含むことができ、例えば、化学気相堆積(CVD)、低圧CVD(LPCVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、準大気圧CVD(SACVD)及び高密度プラズマCVD(HDPCVD)、急熱CVD(RTCVD)、超高真空CVD(UHCVD)、制限反応処理(limited reaction processing)CVD(LRPCVD)、金属・有機CVD(MOCVD)、スパッタリング堆積、イオンビーム堆積、電子ビーム堆積、レーザ支援堆積、熱酸化、熱窒化、スピンオン法、物理気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)、化学酸化、分子線エピタキシ(MBE)、めっき、蒸着などを含むが、それらに限定されない。
【0012】
図面を参照すると、半導体デバイスを形成する方法が図1−図8に示される。特に、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスの上に窒化物応力ライナを形成する方法が示される。図1は、N型電界効果トランジスタ(NFET)デバイス110及びP型電界効果トランジスタ(PFET)デバイス120を含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス10を示す。CMOSデバイス10は、基板100及びその上に配置される二酸化シリコン層102を含むことができる。シリコン基板層100及び二酸化シリコン層102は、本明細書に記載の又は半導体製造の分野で公知のいずれかの従来の方式で堆積することができる。当該分野で公知のように、「MOS」デバイスという用語は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を指す。本明細書で用いる場合、「MOS」デバイスという用語は、種々の形態のMOSFETを指す。図1−図8のCMOSデバイス10は、当該分野で公知の、例えば、堆積、エッチング及び/又は成長技術のようないずれかの従来の方式で形成することができる。CMOSデバイス10は、シリコン基板層100、その上の二酸化シリコン層102、NFETデバイス110、PFETデバイス120、並びにNFETデバイス110及び/又はPFETデバイス120に隣接して配置される少なくとも1つの浅いトレンチ分離(STI)130を含むことができる。当該分野で公知のように、STI130は、NFETデバイス110とPFETデバイス120との間の電流の漏れを防ぐことができる。STI130は、NFETデバイス110及びPFETデバイス120に先立って形成することができ、かつ二酸化シリコンのような誘電体材料を含むことができる。NFETデバイス110は、NFETゲート112を含むことができ、PFETデバイス120はPFETゲート122を含むことができる。NFETゲート112及びPFETゲート122は各々、CMOSデバイス10の上に形成される層(図示せず)のためのコンタクト・ポイントを与えることができる。さらに、1つの実施形態において、CMOSデバイス10は、NFETデバイス110に当接する第1のスペーサ114、及びPFETデバイス120に当接する第2のスペーサ124を含むことができる。
【0013】
図1に示されるように、CMOSデバイス10は、さらに、少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチ150を含む。凹んだソース/ドレイン・トレンチ150は、本明細書に記載の及び/又は当該分野で公知の技術を用いた選択的エッチングのようないずれかの従来の方式で形成することができる。図1に示されるように、凹んだソース/ドレイン・トレンチ150は、ソース/ドレイン領域170に当接することができ、NFETデバイス110及び/又はPFETデバイス120のソース及び/又はゲート領域の近傍に応力ライナ(図2)を形成させることを可能にすることができる。
【0014】
図2は、図1のCMOSデバイス10の上に堆積された窒化物応力ライナ104を示す。窒化物応力ライナ104は、本明細書に記載の又は当該分野で公知のいずれかの従来の方式で堆積することができる。例えば、窒化物応力ライナ104は、物理気相堆積(PVD)によってCMOSデバイス10の上に堆積することができる。堆積の後、窒化物応力ライナ104は、例えば化学的機械的研磨(CMP)を用いて研磨することができる。窒化物応力ライナ104は、引張応力又は圧縮応力を生じさせる窒化物から形成することができる。窒化物応力ライナ104は、例えば、窒化シリコン又は窒化シリコンホウ素のうちの1つ又は複数を含むことができる。窒化物応力ライナ104は、凹んだソース/ドレイン・トレンチ150のうちの少なくとも1つを充填することができる。1つの実施形態において、窒化物応力ライナ104は、NFETデバイス110の凹んだソース・トレンチ150及び/又はPFETデバイス120の凹んだドレイン・トレンチ150の両方を充填する。凹んだソース・トレンチ150を窒化物応力ライナ104で充填することによって、NFETデバイス110及び/又はPFETデバイス120のソース及び/又はゲート領域に対して増大した応力を与えることができ、CMOSデバイス10に対して改善された性能をもたらすことができる。例えば、窒化物応力ライナ104は、110パーセントまで性能を改善することができる。
【0015】
図3は、窒化物応力ライナ104の上に堆積された酸化物層106を含むCMOSデバイス10を示す。酸化物層106は、例えば、二酸化シリコン又はテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含むことができる。酸化物層106は、本明細書に記載の方式のようないずれかの従来の方式で堆積することができる。例えば、1つの実施形態において、酸化物層106はPVDによって堆積され、次にCMPを用いて研磨される。
【0016】
図4を参照すると、シリコン基板層100を除去した後の図3のCMOSデバイス10が示される。1つの実施形態において、除去は、ハンドリング・ウェハ(図示せず)上に、酸化物層106がハンドリング・ウェハに最も近くなるようにCMOSデバイス10を置くことを含むことができる。このプロセスは、「反転(フリッピング)」と称することもあり、CMOSデバイス10は、図3−図4に示されているような位置から180度に配置される。CMOSデバイス10がハンドリング・ウェハ上に配置されると、シリコン基板層100を除去することができる。シリコン基板層100の除去は、例えば、エッチング及びCMPを含むことができる。1つの実施形態において、シリコン基板層100は、フッ化水素酸(HF)を含む反応性イオンエッチング(RIE)を使用して除去することができる。
【0017】
図5は、二酸化シリコン層102をエッチングして開口部160を形成した後の図4のCMOSデバイス10を示す。二酸化シリコン層102のエッチングは、本明細書に記載した技術のようないずれかの従来のエッチング技術を含むことができる。1つの実施形態において、エッチングはRIEを含むことができ、これは、二酸化シリコン層102内に開口部160を選択的に形成することを支援することができる。しかしながら、当該分野で公知の他の選択的エッチング技術も同様に使用することができる。図5に示されるように、開口部160は、ソース/ドレイン領域170の一部に当接することができる。
【0018】
図6は、図5のCMOSデバイス10の別の断面図を示す。図6に示される断面図は、図5と同じCMOSデバイス10から取ったものであるが、断面の切断は図5の描画から90度の角度でなされたものである。図6に示されるように、開口部160は、ソース/ドレイン領域170の一部に直接当接することができる。さらに、図6に示されるように、開口部160は、STI130の全長にわたって延びて、ソース/ドレイン領域170の一部に当接することができる。
【0019】
図7を参照すると、二酸化シリコン層102内の(充填された)開口部160(符号は省略)内に形成されたコンタクト180が示される。コンタクト180は、シリサイド部分190及び金属部分192を含むことができる。1つの実施形態において、シリサイド部分190は、開口部160の中でソース/ドレイン領域170上に選択的に堆積される(ハンドリング・ウェハ上に置かれている間に)。シリサイド部分190は、本明細書に記載の及び/又は当該分野で公知のいずれかの従来の堆積技術を用いて堆積することができる。シリサイド部分190は、例えば白金のような、金属を含むことができる。1つの実施形態において、シリサイド部分190は、ニッケル(Ni)及び/又は窒化チタン(TiN)を含むことができる。シリサイド部分190は、ソース/ドレイン領域170と金属部分192との間のインタフェースとして役割を果たすことができる。この点で、シリサイド部分190は、二酸化シリコン層102とソース/ドレイン170との間の抵抗を低くするという利益をもたらすことができる。コンタクト180は、さらに、金属部分192を含むことができる。1つの実施形態において、金属部分192は、開口部160の中でシリサイド部分190上に選択的に堆積される(ハンドリング・ウェハ上に置かれている間に)。金属部分192は、本明細書に記載の及び/又は当該分野で公知のいずれかの従来の堆積技術を用いて堆積することができる。金属部192は、例えばタングステン、アルミニウム及び/又は銅のような、コンタクト金属を含むことができる。金属部分192は、CMOSデバイス10と外部回路、他の半導体デバイスなど(図示せず)との間のコンタクトを提供することができる。
【0020】
図8を参照すると、図7のCMOSデバイス10の別の断面図が示される。図8に示される断面図は、図7と同じCMOSデバイス10から取ったものであるが、断面の切断は、図7の描画から90度の角度でなされものである。図8は、図6において図示され、かつ参照されているものと同様の断面の視点を示す。図8に示されるように、コンタクト180は、ソース/ドレイン領域170の一部に直接当接することができる。さらに、図8に示されるように、開口部180は、STI130の全長にわたって延びて、ソース/ドレイン領域170の一部に当接することができる。
【0021】
図9は、第2のCMOSデバイス20が従来技術を用いて形成される、代替的な実施形態を示す。CMOSデバイス20は、実質的には、図1のCMOSデバイス10と同様であるが、しかしながら、CMOSデバイス20は、図1に図示されるとともにそれ参照して説明されるような1つ又は複数の凹んだソース/ドレイン・トレンチを含まない。図示されるように、CMOSデバイス20は、シリコン基板層200、その上の二酸化シリコン層202、NFETデバイス210、PFETデバイス220、並びにNFETデバイス210及び/又はPFETデバイス220に隣接して配置される少なくとも1つの浅いトレンチ分離(STI)230を含むことができる。当該分野で公知のように、STI230は、NFETデバイス210とPFETデバイス220との間の電流の漏れを防ぐことができる。STI230は、NFETデバイス210及びPFETデバイス220に先立って形成することができ、かつ二酸化シリコンのような誘電体材料を含むことができる。NFETデバイス210は、NFETゲート212及びソース/ドレイン領域270を含むことができ、PFETデバイス220は、PFETゲート222及びソース/ドレイン領域270を含むことができる。NFETゲート212及びPFETゲート222は各々、CMOSデバイス20の上に形成される層(図示せず)のためのコンタクト・ポイントを与えることができる。さらに、図9に示されるように、CMOSデバイス20は、NFETデバイス210に当接する第1のスペーサ214及びPFETデバイス220に当接する第2のスペーサ224を含むことができる。
【0022】
図10を参照すると、第1のスペーサ214及び第2のスペーサ224の除去後のCMOSデバイス20が示される。図示されるように、付加的なスペーサ(214、224)は除去することもできる。スペーサ214、224は、当該分野で公知の又は本明細書に記載の標準的なエッチング技術を用いて除去することができる。例えば、スペーサ214、224は、高温リン酸浴又はRIEによって除去することができる。いずれにしても、スペーサ214、224を除去することにより、NFETデバイス210及び/又はPFETデバイス220のソース/ドレイン領域270に対してよりアクセスし易くさせることができる(図11を参照して説明される)。
【0023】
図11は、NFETデバイス210及びPFETデバイス220の上に窒化物応力ライナ204を堆積し、窒化物応力ライナ204の上に酸化物層206を堆積し、シリコン基板層200を除去し、二酸化シリコン層202内にコンタクト280を形成した後の図10のCMOSデバイス20を示す。窒化物応力ライナ204及び酸化物層206の堆積は、図2−図8に示されるとともにそれらを参照して説明される同様の堆積ステップと実質的に同様に行うことができる。図11に示されるように、スペーサ214、224を除去することで、ソース/ドレイン領域270に近接して窒化物応力ライナ204を堆積することが可能になる。これは、ソース/ドレイン領域270に対して大きい応力をもたらすことを可能にし、そのことがCMOSデバイス210の性能をさらに高めることになる。
【0024】
図12は、CMOSデバイス30が従来技術に従って形成される、別の代替的な実施形態を示す。図12に示されるCMOSデバイス30は、図9のCMOSデバイス20と実質的に同様である。図示されるように、CMOSデバイス30は、シリコン基板層300、その上の二酸化シリコン層302、NFETデバイス310、PFETデバイス320、並びにNFETデバイス310及び/又はPFETデバイス320に隣接して配置される少なくとも1つの浅いトレンチ分離(STI)330を含むことができる。当該分野で公知のように、STI330は、NFETデバイス310とPFETデバイス320との間の電流の漏れを防ぐことができる。STI330は、NFETデバイス310及びPFETデバイス320に先立って形成することができ、かつ二酸化シリコンのような誘電体材料を含むことができる。NFETデバイス310は、NFETゲート312及びソース/ドレイン領域370を含むことができ、PFETデバイス320は、PFETゲート322及びソース/ドレイン領域370を含むことができる。NFETゲート312及びPFETゲート322は各々、CMOSデバイス30の上に形成される層(図示せず)のためのコンタクト・ポイントを与えることができる。さらに、図9に示されるように、CMOSデバイス30は、NFET310に当接する第1のスペーサ314及びPFETデバイス320に当接する第2のスペーサ324を含むことができる。
【0025】
図13は、図12のCMOSデバイス30の上に堆積された窒化物応力ライナ304を示す。窒化物応力ライナ304は、本明細書において記載され及び/又は当該分野で公知のいずれかの従来の方式で堆積することができる。例えば、窒化物応力ライナ304は、物理気相堆積(PVD)によってCMOSデバイス30の上に堆積することができる。堆積の後、窒化物応力ライナ304は、例えば、化学的機械的研磨(CMP)を用いて研磨することができる。窒化物応力ライナ304は、引張応力又は圧縮応力を生じさせる窒化物から形成することができる。窒化物応力ライナ304は、窒化シリコン及び/又は窒化シリコンホウ素のうちの1つ又は複数を含むことができる。窒化物応力ライナ304は、およそ30オングストロームから600オングストロームの厚さとすることができる。
【0026】
図14は、窒化物応力ライナ304の上に高応力金属ライナ308を堆積した後の図13のCMOSデバイス30を示す。ここで用いられる「高応力」ライナという用語は、下にある材料(又は層)に対して約0.1ギガパスカル(GPa)から4ギガパスカルの大きさの応力を誘起することができる特性を有するいずれかの材料を指すことができる。高応力ライナ308は、例えば、窒化チタン(TiN)を含むことができる。しかしながら、高応力ライナ308は、下にある層に対して「高応力」レベルを誘起することができる1つ又は複数の他の材料を含むことができる。
【0027】
図15は、高応力ライナ308の上に酸化物層306を堆積し、シリコン基板層300を除去し、二酸化シリコン層302内にコンタクト380を形成した後の図14のCMOSデバイス30を示す。酸化物層306の堆積は、図2−図8に示されるとともにそれらを参照して説明される同様の堆積ステップと実質的に同様に行うことができる。図15に示されるように、高応力ライナ308は、ソース/ゲート領域370内での応力の誘起を助け、それによりCMOSデバイス30の性能を改善する。コンタクト380は、図7を参照して説明されるように、外部デバイス(すなわち、回路及び/又は他の半導体デバイス)への同様の接続を提供することができる。
【0028】
上記のような方法及び構造体は、半導体チップの製造において使用される。その結果得られる半導体チップは、未加工のウェハの形態(すなわち、多数のパッケージされていないチップを有する単一のウェハとして)で、裸のダイとして、又はパッケージされた形態で、製造業者が配給することができる。後者の場合、チップは、単一チップ・パッケージ(例えば、マザーボード又は他のより高レベルの担体に固定されたリード線を備えた、プラスチック担体)、又は多チップ・パッケージ(例えば、表面相互接続又は埋め込み相互接続のいずれか又は両方を備えたセラミック担体)内に装着される。いずれにしても、チップはその後、他のチップ、ディスクリート回路素子、及び/又は他の信号処理デバイスと共に、(a)マザーボードのような中間製品、又は(b)最終製品のどちらかの一部として集積される。最終製品は、玩具及びその他の下位アプリケーションから、ディスプレイ、キーボード又は他の入力装置、及び中央処理装置を備えた高度なコンピュータ製品までにわたる、集積回路を含むいずれかの製品であり得る。
【0029】
前記の図面は、本開示のいくつかの実施形態に従う、関連した処理のうちのいくつかを示す。この点で、図面の流れ図の中の各々の図又はブロックは、記載された方法の実施形態に関連付けられたプロセスを表す。いくつかの代替的な実施形態において、図又はブロックで言及された動作は、関与する動作に応じて、図面に示された順序とは異なる順序で行われてもよく、又は、例えば、実際には実質的に同時に又は逆の順序で実行されてもよいことに留意されたい。また、当業者であれば、処理を説明する付加的なブロックを追加することができることを認識するであろう。
【0030】
ここで用いられる用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。ここで用いられる単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されていない限り、複数形も同様に含むことが意図される。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、この明細書において用いられる場合、言明された特徴、整数、ステップ、操作、要素及び/又は成分の存在を規定するものであるが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないことがさらに理解される。
【0031】
以下の特許請求の範囲における全ての「手段又はステップと機能との組合せ(ミーンズ又はステップ・プラス・ファンクション)」要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、その機能を、明確に特許請求されているように他の特許請求された要素と組み合わせて実行するための、いかなる構造、材料又は行為をも含むことが意図される。本発明の説明は、例示及び説明の目的で提示されたものであるが、網羅的であることを意図するものではなく、本開示を開示された形態に限定することを意図するものでもない。多くの変更及び変形が、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく当業者には明らかである。実施形態は、本開示の原理及び実際の用途を最も良く説明するため、及び、当業者が本開示を、企図される特定の使用に好適なものとして種々の変更を有する種々の実施形態について理解することを可能にするために、選択及び記載された。
【符号の説明】
【0032】
10、20、30:相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス
100、200、300:シリコン基板
102、202、302:二酸化シリコン層
104、204、304:窒化物応力ライナ
106、206、306:酸化物層
110、210、310:N型電界効果トランジスタ(NFET)デバイス
112、212、312:NFETゲート
114、214、314:第1のスペーサ
120、220、320:P型電界効果トランジスタ(PFET)デバイス
122、222、322:PFETゲート
124、224、324:第2のスペーサ
130、230、330:浅いトレンチ分離(STI)
150:凹んだソース/ドレイン・トレンチ
160:開口部
170、270、370:ソース/ドレイン領域
180、280、380:コンタクト
190、290:シリサイド部分
192、292、392:金属部分
308:高応力金属ライナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを形成する方法であって、
シリコン基板層と、
その上の二酸化シリコン層と、
第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するn型電界効果トランジスタ(NFET)ゲート及び第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチを有するp型電界効果トランジスタ(PFET)ゲートであって、前記二酸化シリコン層の上に配置される、NFETゲート及びPFETゲートと
を含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスを準備するステップと、
前記第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び前記第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチ内に窒化物応力ライナを堆積するステップと、
前記窒化物応力ライナの上に酸化物層を堆積するステップと、
前記CMOSデバイスをハンドリング・ウェハ上に置くステップであって、前記酸化物層が前記ハンドリング・ウェアに最も近くなるようにする、ステップと、
前記シリコン基板層を除去するステップと、
前記二酸化シリコン層をエッチングしてソース/ドレイン領域の一部に当接する開口部を形成するステップであって、前記ソース/ドレイン領域が、前記第1の凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び前記第2の凹んだソース/ドレイン・トレンチのうちの一方に当接する、ステップと、
前記開口部内にコンタクトを形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記コンタクトを形成する前記ステップが、前記開口部内にシリサイドを堆積することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンタクトを形成する前記ステップが、前記シリサイドの上にコンタクト金属を堆積することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記二酸化シリコン層をエッチングする前記ステップが、反応性イオンエッチングによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸化物層を平坦化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CMOSデバイスが、前記NFETゲートに当接する第1のスペーサ及び前記PFETゲートに当接する第2のスペーサをさらに含み、前記方法が、
前記第1のスペーサを除去して前記第1のソース/ドレイン・トレンチを形成し、かつ前記第2のスペーサを除去して前記第2のソース/ドレイン・トレンチを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化物層を堆積する前に前記窒化物応力ライナの上に金属ライナを堆積するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
二酸化シリコン層と、
少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、前記二酸化シリコン層の一部の上に配置されたn型電界効果トランジスタ(NFET)と、
少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、前記二酸化シリコン層の一部の上に配置されたp型電界効果トランジスタ(PFET)と、
前記NFET及び前記PFETの上の窒化物応力ライナであって、前記NFETの前記少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び前記PFETの前記少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを充填する、窒化物応力ライナと、
前記二酸化シリコン層内に形成された第1のコンタクトであって、前記NFET又は前記PFETのうちの一方に当接する第1のコンタクトと
を含む半導体デバイス。
【請求項9】
前記二酸化シリコン層内に形成された第2のコンタクトであって、前記NFET又は前記PFETのうちのもう一方に当接する前記第2のコンタクトをさらに含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のコンタクトが、前記NFETのソース領域に当接する、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1のコンタクトが、シリサイド部分及び金属部分を含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記窒化物応力ライナの上に金属ライナをさらに含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記窒化物応力ライナが窒化シリコン(SiN)を含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記窒化物応力ライナの上に酸化物層をさらに含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
二酸化シリコン層と、
少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、前記二酸化シリコン層の一部の上に配置されたn型電界効果トランジスタ(NFET)と、
少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを含み、前記二酸化シリコン層の一部の上に配置されたp型電界効果トランジスタ(PFET)と、
前記NFETに当接する第1のスペーサ及び前記PFETに当接する第2のスペーサと、
前記NFET及び前記PFETの上の窒化物応力ライナであって、前記NFETの前記少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチ及び前記PFETの前記少なくとも1つの凹んだソース/ドレイン・トレンチを充填する、窒化物応力ライナと、
前記二酸化シリコン層内に形成された第1のコンタクトであって、前記NFET又は前記PFETのうちの一方に当接する、第1のコンタクトと
を含む、半導体デバイス。
【請求項16】
前記窒化物応力ライナの上に金属ライナをさらに含む、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記窒化物応力ライナの上に酸化物層をさらに含む、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記第1のコンタクトが、シリサイド部分及び金属部分を含む、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記NFET又は前記PFETのうちのもう一方に隣接する第2のコンタクトをさらに含む、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記窒化物応力ライナの上の金属ライナと、
前記窒化物応力ライナの上の酸化物層と
をさらに含む、請求項15に記載の半導体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−18904(P2011−18904A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151970(P2010−151970)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】