説明

半導体装置、電気光学装置、電子機器、半導体装置の製造方法、電気光学装置の製造方法、および電子機器の製造方法

【課題】 フォトリソグラフィ法を用いることなく、半導体層をパターニングすることで形成された、半導体装置、電気光学装置、電子機器、半導体装置の製造方法、電気光学装置の製造方法、および電子機器の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の半導体装置は、基板上方に、第1の導電膜と、第2の導電膜と、上記第1および第2の導電膜上に形成された半導体層と、上記半導体層上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された塗布膜と、を有し、上記半導体層と上記塗布膜の幅は等しいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、電気光学装置、電子機器、半導体装置の製造方法、電気光学装置の製造方法、および電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薄膜トランジスタ(TFT)に代表されるアクティブ素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示装置は、CRTと同等の高画質、CRTよりも低消費電力で省スペースといった点からパソコンやワークステーションなどのモニタとしても使用されつつある。しかし、アクティブマトリクス液晶装置は、CRTに比べて値段が高く、より普及していくためには、一層の低価格化が求められている。低価格化の手法の一つとして、簡便な作製法の有機トランジスタ(有機TFT)をアクティブ素子に適用することが考えられている。現行のアモルファスシリコンTFTの絶縁層及び半導体層を作製するプラズマ化学気相成長(CVD)装置、及び電極を作製するスパッタ装置は高額である。また、CVD法では成膜温度が230〜350度と高く、また、クリーニング等の保守を頻繁に行う必要があり、スループットが低い。一方、有機TFTを作製する塗布装置、真空蒸着装置はCVD装置、スパッタ装置と比べて安価であり、それらの装置では、成膜温度が低く、メンテナンスが簡単である。そのため、液晶表示装置に有機TFTを適用した際は、コストの大幅な削減が期待できる。
【0003】
一般的な有機TFTは、ガラス基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体層の構成からなる。ゲート電極に印加する電圧を変えることで、ゲート絶縁層と有機半導体層の界面の電荷量を過剰、或いは不足にし、ソース電極/有機半導体/ドレイン電極間を流れるドレイン電流値を変化させ、スイッチングを行う。
【0004】
例えば、特許文献1では、前記有機半導体層に6量体チオフェンオリゴマ蒸着膜を用いて有機TFTを作製することを開示する。また、特許文献2では、半導体層、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極に有機材料を用い、かつ、ゲート絶縁層にシアノ基を有する絶縁性ポリマーを用いる有機TFTを作製したことを開示する。
【特許文献1】特開平8−228035号公報
【特許文献2】特開平8−191162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、半導体層のパターン化に関する記載はない。そこで、既存のフォトリソグラフィ法を用いた場合、レジスト材料に用いる極性溶媒、或いは溶媒を脱離するためのアニールによる半導体層へのキャリア注入等の劣化が懸念される。また、光を照射したとき有機材料であるレジストを透過した光が半導体層に入射する懸念がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述のパターン化を解決できる半導体装置、電気光学装置、電子機器、半導体装置の製造方法、電気光学装置の製造方法、および電子機器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の半導体装置は、基板上方に、第1の導電膜と、第2の導電膜と、上記第1および第2の導電膜上に形成された半導体層と、上記半導体層上に形成された絶縁層と、上記絶縁層上に形成された塗布膜と、を有し、上記半導体層と上記塗布膜の幅は等しい。
【0008】
本発明の半導体装置における上記第1の導電膜と上記第2の導電膜とは櫛歯状に形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の半導体装置における上記塗布膜はゲート電極であってもよい。
【0010】
本発明の半導体装置における上記塗布膜は絶縁性物質を含む保護膜であり、上記基板とゲート電極とゲート絶縁層と上記半導体層とがこの順に重なるものであってもよい。
【0011】
これにより、画素電極と隣り合う画素電極とに半導体層が重なり、画素電極間での電荷の移動が起こることを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、基板上方に第1の導電膜と第2の導電膜とを形成する工程と、上記第1の導電膜と上記第2の導電膜上に半導体層を形成する工程と、上記半導体層上に絶縁層を形成する工程と、上記絶縁層上に塗布膜を形成する工程と、上記塗布膜をマスクとして上記半導体層をパターニングする工程と、を有する。これにより、フォトリソグラフィを使わずに半導体層をパターニングすることができる。半導体層が複数の画素電極と重ならないよう形成することで、画素電極間の電流のリークを抑えることができる。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記半導体層を形成する工程は、第1の有機材料を第1の溶媒に溶解させた第1の溶液を前記第1の導電膜と上記第2の導電膜上に塗布する工程を含むことが好ましい。また、上記第1の溶液はスピンコート法で塗布されることが好ましい。これにより、各TFTにおける半導体層の膜厚を均一にすることができる。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記絶縁層を形成する工程は、第2の有機材料を第2の溶媒に溶解させた第2の溶液を上記半導体層上に塗布する工程を含むことが好ましい。これにより、上記塗布膜をマスクとした上記半導体層のパターニングをより簡易に行うことができる。とくに、上記半導体層が有機材料からなる場合、同一の工程で除去することが可能となる。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記塗布膜の形成工程は、無機材料を分散媒に分散させた分散液を上記絶縁層に吐出する工程を含むことが好ましい。これによれば、上記塗布膜を、上記半導体層のパターニングに用いるマスクとなるよう、基板に対し選択的に形成することが可能となる。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記無機材料は導電性物質を含むことが好ましい。これによれば、上記塗布膜はゲート電極として機能することができる。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記第1の導電膜と上記第2の導電膜とを形成する工程に先立ち、上記基板上方にゲート電極と、上記ゲート電極上にゲート絶縁層と、を形成する工程を有し、上記無機材料は絶縁性物質を含むことが好ましい。これによれば、上記塗布膜は保護封止膜として機能することができる。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法において、上記分散液は液滴吐出装置を用いて吐出することが好ましい。これによれば、液滴吐出装置を用いることで、上記塗布膜の成膜の精度を向上させ、上記半導体層のパターニングのマスクとしての精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は上述した半導体の製造法を使用している。
【0020】
また、本発明の電子機器の製造方法は上記電気光学装置の製造方法を使用している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
(半導体装置)
図1、図2、図3及び図4を参照し、本発明の半導体装置の構成を説明する。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0023】
図1及び図3は半導体装置の要部を示す平面図、図2及び図4は半導体装置の断面構成を示す断面模式図である。
【0024】
<実施形態1>
図1に示すように、半導体装置10は、データ線3と、ゲート線6と、半導体装置の主体をなすスイッチング素子(アクティブマトリクス素子)としてのTFT(薄膜トランジスタ)9と、画素電極2とを主体として構成されている。データ線3及びゲート線6は、TFT9に電気的に接続され、該TFT9に対して電気的信号を供給する配線である。
【0025】
TFT9は画素電極2をスイッチング駆動させる機能を有しており、第1の導電膜3aと、画素電極2を兼ねる第2の導電膜2と、半導体層4と、絶縁層5と、塗布膜(本実施形態においてはゲート線6)とを主体として構成されている。なお、図1において、半導体層4および絶縁層5はゲート線6と同一の幅に形成されているため、当該ゲート線6の下に隠れてしまい、平面的には見ることができない。
【0026】
ここで、第1の導電膜3a及び第2の導電膜2は、TFT9を構成するソース電極とドレイン電極のいずれかの機能をする電極であり、TFT9との接続付近において櫛歯状に形成されている。第2の導電膜2は画素電極2としても機能する。データ線3と第1の導電膜3aは同一部材で形成されている。また、本実施形態においては、ゲート線6と塗布膜とは同一のものである。これにより当該TFT9を形成する際のアライメントを容易化している。また、半導体層4は有機材料からなり、具体的には高分子半導体材料を用いて構成されている。
【0027】
一方、図2に示すように、本実施形態の半導体装置10に形成されているTFT9は、基板1上に、第2の導電膜2と、第1の導電膜3aとが形成され、その上に、半導体層4と、絶縁層5と、塗布膜とが順に形成されている。ここでは、例えば第1の導電膜3aはTFT9のソース電極として、第2の導電膜2はドレイン電極として機能する。塗布膜はTFT9に対する走査信号を供給するゲート電極として機能している。また、半導体層4と絶縁層5とは塗布膜と同一の幅にパターニングされている。
【0028】
このように構成された半導体装置10において、データ線3がTFT9に電気的に接続されており、画像信号(データ信号)がデータ線3に対して順次に供給されるか、あるいは互いに隣接する複数のデータ線3に対してグループ毎に供給されるようになっている。
【0029】
また、ゲート線6がTFT9に電気的に接続されており、複数のゲート線6に対して走査信号が所定のタイミングでパルス的に線順次で供給されるようになっている。
【0030】
さらに、画素電極2はTFT9のドレイン電極として機能し、ゲート電極6aにパルス電圧を印加してTFT9を一定期間だけオンすることで、データ線3から供給される画像信号が該画素電極2に対し所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0031】
ここで、本実施の形態の半導体装置10は、基板1が可撓性のある樹脂基板にて構成されており、当該半導体装置10全体がフレキシビリティを有して構成されている。したがって、特に電子ペーパー等を構成する電気泳動装置等に好適に用いられるものである。
【0032】
<実施形態2>
本実施形態2の半導体装置では、図3に示すように、TFT9のゲート電極として機能するゲート線6上に塗布膜が選択的に形成されている。本実施形態での塗布膜は無機封止膜7であり、下層に有機封止膜8を備えていてもよい。半導体層4と絶縁層5とは向き封止膜7およびゲート線6の形状に合わせてパターニングされているため、無機封止膜7およびゲート線6の下に隠れてしまい、平面的には見ることができない。
【0033】
その他の構成は実施形態1と同じであってもよい。また、ゲート線6は、基板と半導体層4との間に形成されてもよく、TFT9がボトムゲート型となってもよい。その場合、半導体層4と絶縁層5とは無機封止膜7の形状に合わせて島状にパターニングされる。
【0034】
図4は、半導体層4、絶縁層5、ゲート線6、有機封止膜8、無機封止膜7の順に形成されたTFT9の断面図である。先の実施形態1では半導体層4と絶縁層5とがゲート線6の幅に合わせてパターニングされていたが、本実施形態では、無機封止膜7の幅に合わせてパターニングされている。
【0035】
(半導体装置の製造方法)
次に、図1、図2、図3及び図4を参照しつつ、半導体装置10の製造方法を説明する。
【0036】
以下の実施形態で用いる膜形成技術として、一般に気相プロセスと液相プロセスとがあるが、気相プロセスとは、例えば、CVD(MOCVD、低圧CVD、ECR−CVDを含む)、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング、イオンプレーティング等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
一方、液相プロセスとは、液体材料を基材に供給して、脱溶媒(脱分散媒)の後、必要に応じて熱処理を施すことにより膜(各層)を形成するものである。なお、この液体材料の供給には、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、液滴吐出法(例えばインクジェット法)、マイクロコンタクトプリンティング法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
<実施形態3>
半導体装置10の製造方法を図1及び図2を用いて説明する。
【0039】
まず、基板1上に、画素電極2、及びデータ線3、第1の導電膜3aを形成する。
【0040】
基板1の材料は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)等で構成されるプラスティック基板(樹脂基板)の他、可撓性のあるものであれば、ガラス基板、シリコン基板、金属基板、ガリウム砒素基板等を採用することができる。
【0041】
また、画素電極2を構成する材料は、公知の電極材料であれば、種類は特に限定されるものではない。具体的には、Cr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等を採用することができる。また、本実施の形態で用いた有機半導体層4との組み合わせでは、該有機半導体層がp型半導体であるため、電極材料の仕事関数が大きいものが、正孔(キャリア)を有機半導体に注入するためには適している。
【0042】
また、データ線3及び第1の導電膜3aを構成する金属導電層としては、画素電極2と同様に公知の導電性金属材料を用いることができ、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等を採用することができる。データ線3及び第1の導電膜3aの具体的な形成方法としては、公知のスパッタ法、メッキ法を用いて成膜し、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることができる。また、形成材料をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法のような印刷法等の液相プロセスにて形成することもできる。メッキ法或いは印刷法を用いることで、真空装置を用いずに安価に製造することが可能である。
【0043】
次に、第1の導電膜3aを覆う形にて半導体層4を形成する。
【0044】
半導体材料としては、低分子系有機半導体材料、ポリマー有機半導体材料のいずれも使用することができる。
【0045】
ポリマー有機半導体材料としては、ポリ(3−アルキルチオフェン)(ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)(PTV)、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ビス−N,N'−(4−メトキシフェニル)−ビス−N,N'−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(PFMO)、ポリ(9,9ジオクチルフルオレン−コ−ベンゾチアジアゾール)(BT)、フルオレン−トリアリルアミン共重合体、トリアリルアミン系ポリマー、フルオレンビチオフェン共重合体等が挙げられる。
【0046】
低分子系有機半導体としては、例えば、C60、或いは、金属フタロシアニン、或いは、それらの置換誘導体、或いは、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ルブレン等のアセン分子材料、或いは、α−オリゴチオフェン類、具体的にはクォーターチオフェン(4T)、セキシチオフェン(6T)、オクチチオフェン(8T)、ジヘキシルクォーターチオフェン(DH4T)、ジヘキルセキシチオフェン(DH6T)、等が挙げられる。
【0047】
半導体層4は、蒸着法、あるいはスピンコート法、スプレー方式、ディップ法に代表される液相プロセスを用いて形成することが可能である。本実施形態においては、半導体装置10における半導体層4の膜厚を均一化するために、具体的には、スピンコート法を用いて形成することが好ましい。半導体材料を各種溶剤に分散又は溶解するとともに、得られた液体材料をスピンコート法にて塗布することで、半導体層4を形成することができる。
【0048】
次に、半導体層4を覆うように絶縁層5を形成する。
【0049】
絶縁層5としては、公知の絶縁体材料であれば、種類は特に限定されるものではない。ここでは、有機材料を用いるのが良く、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、あるいはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー、あるいはこれらの共重合体等が挙げられる。形成方法としては、半導体層4と同様に、例えば、スピンコート法等の液相プロセスを用いて形成することができる。
【0050】
次に、絶縁層5上に、ゲート線6及びゲート電極6aを形成する。
【0051】
ゲート線6及びゲート電極6aは、データ線3及びソース電極3aと同様の材料を用いることができるが、有機材料上に形成することから、インクジェット法に代表される印刷法等の液相プロセスにて形成することが好ましい。
【0052】
この場合には、金属微粒子と有機金属化合物の少なくとも一方を含有する溶液を用いた液相プロセスにてゲート線6及びゲート電極6aを形成することが可能である。ここでは、溶液として、金属微粒子を分散媒に分散させた分散液、液体の有機金属化合物、有機金属化合物の溶液、又はそれらの混合物を用いることができる。
【0053】
ここで、金属微粒子を用いる場合には、分散性を向上させるために、その表面に有機物など吸着させて表面を有機物で修飾して使うこともできる。
【0054】
また、有機金属化合物としては、例えば金、銀、導、パラジウムなどを含有する化合物や錯体で、熱分解により金属が析出する化合物を用いることができる。具体的には、クロロトリエチルホスフィン金(I)、クロロトリメチルホスフィン金(I)、クロロトリフ
ェニルホスフィン金(I)、銀(I)2,4−ペンタンジオナト錯体、トリメチルホスフ
ィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀(I)錯体、銅(I)ヘキサフルオロペ
ンタンジオナトシクロオクタジエン錯体などを例示することができる。
【0055】
使用する分散媒としては、前記の金属微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。また、溶媒としては、前記の有機金属化合物を溶解するものであれば特に限定されない。このような分散媒または溶媒として、具体的には、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示することができる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、有機金属化合物の溶解性の点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、さらに好ましい分散媒または溶媒としては、水、炭化水素系化合物を例示することができる。これらの分散媒または溶媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用することができる。
【0056】
これらの金属微粒子及び有機金属化合物の少なくとも一方を有する溶液を、印刷法を用いて塗布する。溶液塗布後、溶媒を除去し、金属微粒子を用いる場合には、金属微粒子間の電気的接触を向上させる目的で、熱処理を行うこともできる。該熱処理の上限温度は、溶媒の沸点と各材料と金属導電層の熱膨張係数差から生ずるクラックの発生温度により制限される。特に、金属導電層のクラックの発生を抑制するために室温(25℃)以上200℃以下程度で行うことが好ましい。次に、熱処理は、通常のホットプレート、電気炉などによる処理のほか、ランプアニールによって行うこともできる。
【0057】
次に、前記ゲート線6及びゲート電極6aをマスクとして、前記半導体層4、あるいは絶縁層5のパターニングを行う。パターニング方法としては、エッチング液を用いたウェットエッチング法あるいはエッチングガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
【0058】
ウェットエッチング法としては、エチレンジアミン、ピロカテコール等の有機アルカリ性の混液、あるいは硫酸等の酸化性の酸が用いられる。ドライエッチング装置としては、プラズマエッチング、あるいは、UVエッチング、あるいは、オゾンエッチング装置、あるいは反応性イオンエッチング、あるいは、スパッタイオンエッチング、あるいは、イオンミリング装置を用いることができる。有機材料である半導体層4、およびゲート絶縁層5を除去する必要があることから、ドライエッチング法がより好ましい。
【0059】
<実施形態4>
半導体装置10の製造方法の他の実施形態を、図3及び図4を用いて説明する。
【0060】
本実施形態では、ゲート線6を形成するまでの工程は実施形態3と同様である。ただし、ゲート線6をマスクとして用いた半導体層4、およびゲート絶縁層5のパターニングは行わない。
【0061】
ゲート線6形成後、TFT9のゲート絶縁層5及びゲート電極6上に無機封止層7を形成する。
【0062】
無機封止層7としては、酸化ケイ素、あるいは窒化ケイ素、あるいはこれらの共重合体が挙げられる。原料としてはポリシラザンを用いることができる。本実施例で用いられるポリシラザンは、下図表されるような、公知のポリシラザンの一般式(I)
【0063】
【数1】

で表される。(R1 ,R2 ,R3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基もしくは金属原子を表わす。ただし、R1,R2,R3のうち少なくとも1つは水素原子である。)で表わされる単位からなる主骨格を有する。
【0064】
用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するポリシラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。
【0065】
用いるポリシラザンには、鎖状、環状、あるいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でもあるいは混合物でも利用できる。
【0066】
このようなポリシラザンの代表例としては、例えば上記一般式(1)でR1,R2及びR3に水素原子を有する公知のペルヒドロポリシラザンを挙げることができる。このペルヒドロポリシラザンは、繰り返し単位が
−(SiH2NCH3)−
の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造をもたない。
または、本実施例においては、より低温で酸化ケイ素となるようにポリシラザンにパラジウムを含有させたポリシラザンも使用することが可能である。この場合のパラジウムを含有量としては、10ppmから10重量%が好ましい。
【0067】
このペルヒドロポリシラザンの溶媒としては、公知の溶媒、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化メタン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類を使用することができる(例えば特許文献2参照)。
【0068】
好ましい溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホルム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の炭化水素等を挙げることができる。
【0069】
ポリシラザンの溶質量としては、後述する印刷法により適宜選択され、好ましくは1〜80重量%であり、インクジェット法として特に好ましくは1〜50重量%である。
【0070】
このペルヒドロポリシラザン溶液をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法のような印刷法を用いてTFT9の上部のみに選択的に直接形成する。
【0071】
インクジェット法で形成する場合には、溶剤としてキシレン、あるいはジブチルエーテルを用いることができる。
【0072】
塗布後、アニール処理を行う。アニール温度は400℃以上が望ましいが、基板1の材質がプラスティックである場合、あるいは、TFT9を有機材料が構成する場合の耐熱性の制限から、200℃以下が望ましい。パラジウムを含有するペルヒドロポリシラザン溶液では200℃以下でもセラミックス化が可能である。大気中でアニールすることで大気中の水蒸気による加水分解が進行し、Si−O結合あるいはSi−N結合を主体とするネットワークが形成される。
【0073】
さらに、水蒸気雰囲気中でより長時間アニールすることでより緻密な膜が低温で成膜可能である。相対湿度は50〜100%RHが好ましい。アニール温度は常温〜180℃が好ましい。処理時間は30分〜1ヶ月がプロセス工程上好ましい。あるいは、トリエチルアミンに代表される触媒雰囲気に暴露後、水蒸気雰囲気中でアニールすることで、常温〜100℃以下でセラミックス化が可能である。
【0074】
このような処理を行うことで酸化ケイ素、窒化ケイ素から構成される膜厚10nmから1μmの無機封止層7が成膜可能である。
【0075】
また、図3で示すように、封止層成膜工程中にさらにTFT9に対する損傷を防ぐ目的で無機封止層7の下地層として有機封止層8を形成した後、無機封止層7を形成してもよい。
【0076】
有機封止層8に用いられる材料としては、前述したゲート絶縁層5と同様な材料が用いることが可能であり、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、あるいはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー、あるいはこれらの共重合体等が挙げられる。形成方法としては、スピンコート法、あるいはスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法のような液相プロセスを用いて形成することができる。
【0077】
次に、無機封止層7をマスクとして、半導体層4、絶縁層5、または有機封止層8のパターニングを行う。エッチング液方法としては、ウェットエッチング法あるいはエッチングガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
【0078】
ウェットエッチング法としては、エチレンジアミン、ピロカテコール等の有機アルカリ性の混液、あるいは硫酸等の酸化性の酸を用いることができる。ドライエッチング装置としては、プラズマエッチング、あるいは、UVエッチング、あるいは、オゾンエッチング装置、あるいは反応性イオンエッチング、あるいは、スパッタイオンエッチング、あるいは、イオンミリング装置を用いることができる。有機材料である前記半導体層4、絶縁層5、または有機封止層8を除去する必要があることから、ドライエッチング法がより好ましい。
【0079】
上記の方法を行うことでTFT9部以外の無機封止層7に覆われていない不必要な前記半導体層4、あるいはゲート絶縁層5、あるいは有機封止層8を除去することができる。
【0080】
以上の工程により、選択的に形成された無機封止層7を含むTFT9を含む半導体装置10が製造される。
【0081】
なお、本実施の形態では、一連の工程において液相プロセスを採用しているため、真空装置を用いずに大気圧雰囲気において成膜することができ、製造コストの削減を実現することができる。特に、画素電極2を除くTFT9の形成工程では、無機封止層7も含めて液相プロセスによる製造が好適で、その製造工程が非常に簡便なものとなっている。
【0082】
(電気光学装置)
次に、図5から図7を参照し、本発明の一実施形態に相当する電気光学装置を説明する。ここでは、電気光学装置として、上述した半導体装置10を用いて構成した電気泳動表示装置について説明する。
【0083】
図5から図7の各々は、電気泳動表示装置の各実施形態の構成を示す断面図、部分平面図ある。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0084】
図5に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置EPD1は、上述した半導体装置10と、対向基板20と、電気泳動層(電気光学層)15を備えて構成されている。対向基板20は、例えば樹脂フィルム基板等の可撓性を有した透明性材料からなり、対向基板20の電気泳動層15が配置される側には共通電極30が形成されている。また、電気泳動層15は、半導体装置10と対向基板20の間に挟持されている。また、半導体装置10と対向基板20とは、表示領域の周囲を囲むように枠状に形成された封止部材(図示略)によって貼り合わされ、スペーサ(図示略)により一定に離間された状態で保持されている。そして、本実施形態の電気泳動表示装置EPD1では、基板10、20と封止部材とにより形成された閉空間に、分散媒41、電気泳動粒子42等を有する電気泳動分散液40が封入され、電気泳動層15が形成されている。
【0085】
次に、分散媒41、電気泳動粒子42を有する電気泳動分散液40について説明する。電気泳動分散液40は、染料によって染色された分散媒41中に電気泳動粒子42を分散させた構成となっている。電気泳動粒子42は、無機酸化物又は無機水酸化物からなる直径0.01μm〜10μm程度の略球状の微粒子であり、上記分散媒41と異なる色相(白色及び黒色を含む)を有している。このように酸化物又は水酸化物からなる電気泳動粒子42には固有の表面等電点が存在し、分散媒41の水素イオン指数pHによってその表面電荷密度(帯電量)が変化する。
【0086】
ここで、表面等電点とは、水溶液中における両性電解質の電荷の代数和がゼロとなる状態を水素イオン指数pHによって示したものである。例えば、分散媒41のpHが電気泳動粒子42の表面等電点に等しい場合には、粒子の実効電荷はゼロとなり、粒子は外部電界に対して無反応な状態となる。また、分散媒41のpHが粒子の表面等電点よりも低い場合には、粒子の表面は下式(1)によりプラスの電荷を帯びる。逆に、分散媒41のpHが粒子の表面等電点よりも高い場合には、粒子の表面は下式(2)によりマイナスの電荷を帯びる。
【0087】
pH低:M−OH+H+(過剰)+OH-→M−OH2++OH- ・・・(1)
pH高:M−OH+H++OH-(過剰)→M−OH-+H+ ・・・(2)
なお、分散媒41のpHと粒子の表面等電点との差を大きくしていった場合、反応式(1)又は(2)にしたがって粒子の帯電量は増加していくが、この差が所定値以上となると略飽和し、pHをそれ以上変化させても帯電量は変化しない。この差の値は、粒子の種類、大きさ、形状等によって異なるものの、概ね1以上であればどのような粒子においても帯電量は略飽和すると考えられる。
【0088】
上述の電気泳動粒子42としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベンガラ、酸化アルミニウム、黒色低次酸化チタン、酸化クロム、ベーマイト、FeOOH、二酸化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化ニッケル、酸化ジルコニウム、酸化銅等が用いられている。
【0089】
また、このような電気泳動粒子42は、単独の微粒子としてだけでなく、各種表面改質を施した状態でも用いることが可能である。このような表面改質の方法としては、例えば、粒子表面をアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のポリマーでコーティング処理する方法や、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、弗素系等のカップリング剤でカップリング処理する方法や、アクリル系モノマー、スチレンモノマー、エポキシ系モノマー、イソシアネート系モノマー等とグラフト重合処理する方法等があり、これらの処理を単独又は二種類以上組み合わせて行うことができる。
【0090】
分散媒41には、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル等の非水系有機溶媒が用いられており、スピリトブラック、オイルイエロー、オイルブルー、オイルグリーン、バリファーストブルー、マクロレックスブルー、オイルブラウン、スーダンブラック、ファーストオレンジ等の染料によって染色されて、電気泳動粒子42と異なる色相を呈している。
【0091】
例えば、上述の炭化水素としては、ヘキサン等のアルカン、石油エーテル、石油ベンジン、石油ナフサ、リグロイン、ドデシルベンゼン等のアルキルベンゼン類、工業ガソリン、灯油、ソルベントナフサ、1−オクテン等の不飽和炭化水素類、ビフェニル誘導体、ビシクロヘキシル誘導体、デカリン誘導体、シクロヘキシルベンゼン誘導体、テトラリン誘導体等の各種誘導体等が用いられている。
【0092】
また、ハロゲン化炭化水素としては、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン、トリクロロプロパン、モノクロロアルカン類、クロロフルオロアルカン類、パーフルオロアルカン類、パーフルオロデカリン誘導体、パーフルオロアルキルベンゼン類等が用いられている。
【0093】
エーテルとしては、ジヘキシルエーテル等のジアルキルエーテル類、フェネトール等のアルコキシベンゼン類、ジオキサン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、グリセリンエーテル類、アセタール類等が用いられている。
【0094】
さらに、上述の炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテルの他にも、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類、カルボン酸類、アルキルアミン類、ドデカメチルペンタシロキサン等のシロキサン類、DMF、DMA、NMP、DMSO、シリコーンオイル、液晶化合物、液晶混合物等を用いることができる。
【0095】
そして、分散媒41には、上述の有機化合物を単独又は二種類以上混合したものが用いられている。
【0096】
また、分散媒41にはpHを調整するためのpH調整剤が配合されており、分散媒41のpHが電気泳動粒子42の表面等電点と異なる値となるように調整されている。この際、分散媒41のpHを7以上(即ち、分散媒41がアルカリ性を示す状態)とすると、水酸化物の水酸基の持つ凝集作用により、粒子同士が凝集し易くなるため、分散媒41のpHは7以下(即ち、分散媒41が酸性を示す状態)とすることが望ましい。また、分散媒41のpHは粒子の帯電量が飽和するように調整することが好ましく、例えば分散媒41のpHと粒子の表面等電点との差が1以上となるようにすることで粒子の帯電量を飽和させることができる。
【0097】
具体的には、電気泳動粒子42として、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の表面等電点が6以上の材料を用いる場合には、分散媒41のpHが粒子の表面等電点よりも1以上低いことが好ましい条件となる。この場合、粒子は分散媒41中でプラスに帯電した状態となる。一方、電気泳動粒子42として、二酸化珪素等の表面等電点が6以下の材料を用いた場合には、分散媒41のpHが粒子の表面等電点よりも1以上低いこと、或いは、pHが粒子の表面等電点よりも1以上高く且つ7以下であることが好ましい条件となる。
【0098】
上述のpH調整剤としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の有機モノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸等の有機ジカルボン酸、塩酸、硫酸等の無機酸等及びアンモニア水、メチルアミン等のアルキルアミン、アニリン、ジエチルアニリン、ヒドロキシルアミン類、水酸化ナトリウム等の無機塩基が用いられている。
【0099】
また、この分散媒41には高分子界面活性剤が添加されている。高分子界面活性剤は、電気泳動粒子42に吸着して粒子表面に吸着層を形成し、浸透圧効果とエントロピー効果により、界面活性剤に低分子のものを用いた場合に比べて、粒子の分散安定化に大きく寄与すると考えられる。
【0100】
このような高分子界面活性剤としては、以下に示すようなアニオン系、カチオン系、非イオン系の高分子界面活性剤を例として挙げることができる。
【0101】
例えば、アニオン系高分子界面活性剤としては、スチレン無水マレイン酸共重合体等の含カルボン酸共重合体類、ポリアクリル酸等のポリカルボン酸類等が用いられている。また、カチオン系高分子界面活性剤としては、ポリエチレンイミン類、ポリビニルイミダゾリン類、ポリビニルピリジン類等が用いられている。さらに、非イオン系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ヒドロキシ脂肪酸のオリゴマー、ポリエチレングリコールジステアラート、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリスチレン、ポリ(1−ビニルピロリドン−co−ビニルアセタート)等が用いられている。
【0102】
そして、高分子界面活性剤には、上述の高分子材料を単独又は二種類以上混合したものが用いられている。
【0103】
また、上述の高分子界面活性剤に、以下に示すようなアニオン系、カチオン系、非イオン系、弗素系の低分子界面活性剤を併用して用いてもよい。
【0104】
例えば、アニオン系低分子界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ラウリル酸ナトリウム等のカルボン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム等の燐酸塩類等が用いられている。また、カチオン系低分子界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩類、ドデシルピリジニウムブロミド等のピリジニウム塩類、ラウリルアミン塩酸塩等のアミン塩類等が用いられている。非イオン系低分子界面活性剤としては、ソルビタントリオリエート等の多価アルコールの脂肪酸エステル類等が用いられている。さらに、弗素系低分子界面活性剤としては、パーフルオロデカン酸ナトリウム等のパーフルオロカルボン酸塩、パーフルオロノニルアルコール等のパーフルオロアルコール類等が用いられている。
【0105】
なお、重力による粒子の沈降を避けるために、分散媒41の比重と粒子の比重とはほぼ等しく設定されることが好ましい。
【0106】
上述したように、電気泳動表示装置EPD1においては、上述の半導体装置10を備えているので、当該電気泳動表示装置EPD1をフレキシブルな表示装置として用いる場合にも、TFT9を構成する電極ないし該TFTに電気的に接続される配線において断線等が生じ難いものとなる。
【0107】
一方、図6に示すように、第2実施形態の電気泳動表示装置EPD2は、上記の電気泳動表示装置EPD1の構成において、対向する半導体装置10と対向基板20との間に一定の厚みを有する平面視格子状の隔壁43が設けられた構成となっている。また、隔壁43、43の間には、上述の電気泳動分散液40が封入されている。そして、これ以外の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。このような電気泳動表示装置EPD2でも、上記電気泳動表示装置EPD1と同様の効果が得られる。
【0108】
さらに、図7に示すように、第3実施形態の電気泳動表示装置EPD3は、電気泳動分散液40をカプセル状の樹脂皮膜で覆ってマイクロカプセル化し、マイクロカプセル60を半導体装置10と対向基板20との間に配置した構成となっている。なお、実際には隣接するマイクロカプセル60同士が密着するため、表示領域はマイクロカプセル60によって隙間がなく覆われる。これ以外の構成については、上記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。このような電気泳動表示装置EPD3でも、上記電気泳動表示装置EPD1、EPD2と同様の効果が得られる。
【0109】
なお、上記の電気泳動表示装置は図5乃至図7に示されるような、半導体装置10に設けられた画素電極2と、対向基板20に設けられた共通電極30との間を、電気泳動粒子42が上下に移動することによって表示が変化する電気泳動表示装置に限られるものではなく、半導体装置10上に画素電極2と共通電極30とが設けられ、その間を電気泳動粒子42が半導体装置10に対して水平方向に移動することで表示が変化する電気泳動表示装置であってもよい(図示せず)。
【0110】
さらに、本発明に係る電気光学装置は上記の電気泳動表示装置に限られるものではなく、本発明の半導体装置を用いるものであれば、液晶表示装置、有機EL装置など、様々な用途に適用することができる。
【0111】
(電子機器)
上述した本発明に係る電気光学装置は、表示部を備えた様々な電子機器に適用することができる。以下、その電子機器の例について説明する。
【0112】
まず、本発明の電気光学装置をフレキシブルな電子ペーパーに適用した例について説明する。図8はこの電子ペーパーの構成を示す斜視図であり、電子ペーパー1400は、本発明の電気光学装置を表示部1401として備える。電子ペーパー1400は、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0113】
また、図9は、電子ノートの構成を示す斜視図であり、電子ノート1500は、図7で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する不図示の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容を変更したり更新したりできる。
【0114】
また、上述した例に加えて、他の例として、パソコン用モニタ、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型やモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。本発明に係るの電気光学装置は、こうした電子機器の表示部として用いることができる。
【0115】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る半導体装置について要部を示す平面模式図。
【図2】図1の半導体装置の要部を示すゲート線と平行方向の断面模式図。
【図3】本発明に係る半導体装置について一変形例を示す平面模式図。
【図4】図3の半導体装置の要部を示すゲート線と平行方向の断面模式図。
【図5】本発明に係る電気光学装置について一実施形態を示す断面模式図。
【図6】本発明に係る電気光学装置について一変形例を示す断面模式図。
【図7】本発明に係る電気光学装置について一変形例を示す断面模式図。
【図8】本発明の電子機器の一例を模式的に示す斜視図。
【図9】本発明の電子機器の一例を模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0117】
1…基板、2…第2の導電膜(画素電極)、3…データ線、3a…第1の導電膜(ソース電極)、4…半導体層(有機半導体層)、6…ゲート線、6a…ゲート電極(配線)、9…TFT、7…無機封止層、8…有機封止層、10…半導体装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上方に、
第1の導電膜と、
第2の導電膜と、
前記第1および第2の導電膜上に形成された半導体層と、
前記半導体層上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成された塗布膜と、を有し、
前記半導体層と前記塗布膜の幅は等しいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜とは櫛歯状に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記塗布膜はゲート電極であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記基板とゲート電極とゲート絶縁層と前記半導体層とがこの順に重なり、
前記塗布膜は絶縁性物質を含む保護膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
基板上方に第1の導電膜と第2の導電膜とを形成する工程と、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜上に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層上に塗布膜を形成する工程と、
前記塗布膜をマスクとして前記半導体層をパターニングする工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体層を形成する工程は、
第1の有機材料を第1の溶媒に溶解させた第1の溶液を前記第1の導電膜と前記第2の導電膜上に塗布する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の溶液はスピンコート法で塗布されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記絶縁層を形成する工程は、
第2の有機材料を第2の溶媒に溶解させた第2の溶液を前記半導体層上に塗布する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記塗布膜の形成工程は、
無機材料を分散媒に分散させた分散液を前記絶縁層に吐出する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記無機材料は導電性物質を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の導電膜と前記第2の導電膜とを形成する工程に先立ち、前記基板上方にゲート電極と、前記ゲート電極上にゲート絶縁層と、を形成する工程を有し、
前記無機材料は絶縁性物質を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記分散液は液滴吐出装置を用いて吐出することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項7乃至14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電気光学装置の製造方法を用いることを特徴とする電子機器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−287072(P2006−287072A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106893(P2005−106893)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】