説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】絶縁信頼性の劣化を低減し、銅配線の信頼性を改善する。
【解決手段】本発明の半導体装置は、半導体基板10と、シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含み、半導体基板10に形成された第一の多孔質絶縁膜11a及び第二の多孔質絶縁膜11bと、第一の多孔質絶縁膜11a中に埋め込まれた第一の銅配線12aと、第二の多孔質絶縁膜11b中に、それぞれ、埋め込まれた第二の銅配線12b及び銅ビア22と、第二の銅配線12a上に形成された第一のメタルキャップ膜13aと、第二の銅配線12b上に形成された第二のメタルキャップ膜13bと、を有する。第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bは、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上であり、かつ、第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bの少なくとも上層に含有される空孔の最大径が1.3nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高性能化に向けて、配線遅延の低減や低電力化を実現するために、ダマシン構造が一般的に用いられる。ダマシン構造とは、絶縁膜中に形成された溝または孔に銅配線が埋め込まれた構造をいう。
【0003】
特許文献1には、絶縁膜として利用可能な多孔質絶縁膜の製造方法が記載されている。この製造方法によれば、比誘電率の低い絶縁膜を安定して得ることができることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、Al薄膜配線表面をポリイミド樹脂膜で被覆することが記載されている。
【特許文献1】国際公開第2005/053009号パンフレット
【特許文献2】特開2002−43316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダマシン構造では、銅配線中に流れる電流密度の増大や熱伝導率の低下、機械的強度の減少による応力の増大により、配線表面付近の銅原子がエレクトロマイグレーションやストレスマイグレーションを発生しやすくなる。その結果、銅配線の信頼性劣化が問題となってくる。
【0006】
この信頼性劣化を改善するため、銅配線表面にメタル材料を被覆するプロセスが提案されている。たとえば、無電解メッキ法により、メタルキャップ膜を銅配線の表面に形成することで、銅のマイグレーションを抑制することができる。
【0007】
しかしながら、メタルキャップ膜を形成するプロセスにおいて、絶縁膜の表面は露出している。そのため、多孔質膜を絶縁膜として用いると、無電解メッキ法によりメタルキャップ膜を形成する場合は、露出した多孔質絶縁膜上にも無電解メッキ液が滴下される。これにより、多孔質絶縁膜中に金属イオンが拡散し、絶縁膜中に金属イオンが残存した状態で上層に銅配線が形成される。多孔質絶縁膜に金属成分が不純物として含まれている場合、配線間での絶縁破壊が発生しやすくなり、絶縁信頼性の劣化が発生しやすくなる。
【0008】
上記のような問題は、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりメタルキャップ膜を形成する場合においても同様に生じていた。また、ダマシンプロセス中CMP(化学機械研磨、Chemical Mechanical Polishing)後にモノシラン(SiH)を銅配線表面に照射して表面をシリサイド化するプロセスについても同様の問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、基板と、
シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含み、前記基板上に形成された多孔質絶縁膜と、
前記多孔質絶縁膜中に埋め込まれた銅配線と、
前記銅配線上に形成されたメタルキャップ膜と、
を有し、
前記多孔質絶縁膜は、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上であり、かつ、前記多孔質絶縁膜の少なくとも上層に含有される空孔の最大径が1.3nm以下の半導体装置
が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含む多孔質絶縁膜を基板に形成する工程と、
前記多孔質絶縁膜に銅配線を埋め込む工程と、
前記銅配線上にメタルキャップ膜を形成する工程と、
を含み、
前記多孔質絶縁膜を形成する前記工程において、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上の前記多孔質絶縁膜を形成し、かつ、前記多孔質絶縁膜の少なくとも上層に最大径が1.3nm以下の空孔を含有させる半導体装置の製造方法
が提供される。
【0011】
この発明によれば、多孔質絶縁膜のC/Si比が1.5以上であり、かつ、多孔質絶縁膜中に存在する空孔の最大径を1.3nm以下とする。こうすることで、多孔質絶縁膜に疎水性を具備させ、かつ、空孔を微小とすることができる。したがって、メタルキャップ膜を形成する際、表面が露出した多孔質絶縁膜に無電解メッキ液等の親水性の液が含浸しないため、金属イオンの拡散を抑制することができる。よって、絶縁信頼性の劣化を低減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁信頼性の劣化を低減し、銅配線の信頼性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の半導体装置を模式的に示す断面図である。この半導体装置は、半導体基板10と、シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含み、半導体基板10に形成された第一の多孔質絶縁膜11a及び第二の多孔質絶縁膜11bと、第一の多孔質絶縁膜11a中に埋め込まれた第一の銅配線12aと、第二の多孔質絶縁膜11b中に、それぞれ、埋め込まれた第二の銅配線12b及び銅ビア22と、第一の銅配線12a上に形成された第一のメタルキャップ膜13aと、第二の銅配線12b上に形成された第二のメタルキャップ膜13bと、を有する。第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bは、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上であり、かつ、第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bの少なくとも上層に含有される空孔の最大径が1.3nm以下である。第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bに含有される複数の空孔は互いに独立している。第一の多孔質絶縁膜11aは第一のメタルキャップ膜13aを介して銅配線12aと銅配線12b間に存在している。
【0015】
本実施形態の半導体装置をさらに具体的に説明する。半導体基板10上には、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)101が形成されている。半導体基板10およびMOSFET101上には、コンタクト絶縁膜102が形成されている。コンタクト絶縁膜102上には第一の多孔質絶縁膜11aが形成されている。第一の多孔質絶縁膜11aには、第一の銅配線12aが埋め込まれている。第一の銅配線12a上には、第一のメタルキャップ膜13aが形成されている。そして、それらの全面を均一に覆う第一のキャップ絶縁膜14aが形成されている。
【0016】
また、第一のキャップ絶縁膜14a上には、第二の多孔質絶縁膜11bが形成されている。第二の多孔質絶縁膜11bには、第二の銅配線12bが埋め込まれている。第二の銅配線12b上には、第二のメタルキャップ膜13bが形成されている。さらに、それらの全面を均一に覆う第二のキャップ絶縁膜14bが形成されている。なお、第二の銅配線12bは銅ビア22により第一の銅配線12aと電気的に接続されている。
【0017】
第一および第二の多孔質絶縁膜11a、11bのC/Si比は、たとえば、2.5とする。比誘電率は、2.7以下とし、たとえば2.55とする。
【0018】
第一および第二の多孔質絶縁膜11a、11bの空孔径は、たとえば、小角散乱X線により空孔径分布を測定することで調べることができる。図2は、本実施形態で用いる多孔質絶縁膜の空孔径分布を小角散乱X線により測定した結果の一例を示す図である。この例における多孔質絶縁膜は、図2の実線Aで示すように、平均空孔径が0.35nm、最大空孔径が1.25nmである。なお、図2の破線B及び図19は、従来の多孔質絶縁膜の空孔径分布を小角散乱X線測定により測定した結果の一例を示す。図2の破線B及び図19にそれぞれ示すように、従来の多孔質絶縁膜の一例は、平均空孔径が0.75nm、最大空孔径が2nmである。
【0019】
本実施形態において、第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bの「上層」とは、層幅(厚)が5nm以上であり、好ましくは第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11b膜全体となっているものとする。
【0020】
本実施形態において、「空孔が独立している」ことは、CVD(SiO)酸化膜で被膜した多孔質絶縁膜とCVD酸化膜で被膜されていない多孔質絶縁膜とを用いて陽電子を注入したときのγ崩壊の325keVの信号量をそれぞれ測定することで調べることができる。この方法を陽電子消滅法という。以下、この陽電子消滅法について説明する。
【0021】
多孔質絶縁膜中に陽電子を注入すると、陽電子が空孔内壁に衝突することによって511keVの2γ崩壊をする。また、多孔質絶縁膜に連続空孔がある場合は、連続空孔の内から外へとはき出されて空気中で3γ崩壊をする。陽電子が3γ崩壊をした場合は、325keVのγ線が放出される。したがって、連続空孔を有する多孔質絶縁膜では、図3(a)の線Aに示すように、511keVおよび325keVのγ線が検出される。一方、多孔質絶縁膜の表面をCVD酸化膜で覆うとすべての空孔は独立空孔となる。そのため、CVD酸化膜で被膜された多孔質絶縁膜の測定結果は、図3(a)の線Bに示すように511keVのγ線は検出されるが、325keVのγ線はほとんど検出されない。したがって、多孔質絶縁膜の空孔が独立空孔のみからなる場合、図3(b)で示すように、CVD酸化膜に被膜されていなくても(A)被膜されていても(B)、325keVのγ線は検出されない。
【0022】
そこで、CVD膜で被膜された多孔質絶縁膜とCVD膜で被膜されていない多孔質絶縁膜とで325keVのγ線の検出値を比較することにより、多孔質絶縁膜中の連続空孔の量を調べることができる。
【0023】
ここで、本実施形態においては、「空孔が独立している」とは、CVD膜で被膜された多孔質絶縁膜とCVD膜で被膜されていない多孔質絶縁膜とで325keVのγ線の検出値を比較した結果、検出値の差が0.0以下であることをいう。空孔径と連続空孔の量とは、一定の相関関係がある。図4のグラフでは、ポーラスSiOCH膜を用いて、空孔径と陽電子消滅法によって得られた連続空孔量との相関関係を示す。図4の横軸は、ポーラスSiOCH膜の平均空孔径(pore diameter)を示す。また、図4の縦軸は、CVD膜で被膜された多孔質絶縁膜とCVD膜で被膜されていない多孔質絶縁膜とで325keVのγ線の検出値を比較した結果を空孔の連結性(pore conenectivity)を示す指標として示す。図示するように、平均空孔径が0.8nm以下では、空孔が独立している状態となる。
【0024】
第1および第2の多孔質絶縁膜11a、11bは、たとえば環状シロキサンを原料として用いたプラズマ重合法によって形成される。こうすることで、多孔質絶縁膜11a、11bが環状シロキサンを含む構成とすることができる。
【0025】
第一および第二の多孔質絶縁膜11a、11bの原料となる環状シロキサンとしては、式(1)で表されるシクロシロキサン(式(1)中、各R1及びR2はそれぞれ水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基及びフェノール基からなる群から選択されるいずれか一つであり、各R1及びR2は同一でも異なっていても良い。ただし、側鎖基の少なくとも一つは不飽和炭化水素基である。また、nは2以上の整数である。)を用いることができる。環員数nに関しては、n=3〜4が望ましく、n=3がより望ましい。ここで、側鎖基の少なくとも一つである不飽和炭化水素基としては、ビニル基(−C=CH)やプロペニル基(−CH=CHCH)、エチニル基(−C≡CH)である。また、側鎖基の少なくとも一つである飽和炭化水素基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、立体障害の大きいイソプロピル基(−CH(CH)やtert-ブチル基(−C(CH)などとすることができる。
【0026】
【化1】

【0027】
具体的には、一般式(2)で示されるテトラビニルシクロテトラシロキサン誘導体(式(2)中、R1、R2、R3、R4は同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。
【0028】
【化2】

【0029】
また、一般式(3)で示されるトリビニルシクロテトラシロキサン誘導体(式(3)中、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。
【0030】
【化3】

【0031】
また、一般式(4)、(5)で示されるジビニルシクロテトラシロキサン誘導体( 式(4)、(5)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。
【0032】
【化4】

【0033】
【化5】

【0034】
また、一般式(6)で示されるビニルシクロテトラシロキサン誘導体(式(6)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7は同一でも異なっていても良く、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。
【0035】
【化6】

【0036】
また、ペンタビニルシクロテトラシロキサン誘導体、ヘキサビニルシクロテトラシロキサン誘導体、ヘプタビニルシクロテトラシロキサン誘導体、オクタビニルシクロテトラシロキサン誘導体を用いてもよい。
【0037】
より具体的には、n=4で表される環状シロキサンとして、一般式(7)で示されるテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンを例示することができる。
【0038】
【化7】

【0039】
また、環状シロキサンは、n=4の8員環に限らず、4員環(n=2)、6員環(n=3)、10員環(n=5)、あるいはそれ以上のnであっても構わなく、また、それらは少なくとも一つの不飽和炭化水素結合を有していればよい。
【0040】
具体的には、n=3で表せる環状シロキサンとして、一般式(8)で示されるトリビニルトリイソプロピルシクロトリシロキサンを例示することができる。
【0041】
【化8】

【0042】
また、一般式(9)で示されるトリビニルシクロトリシロキサン誘導体(一般式(9)中のR1,R2,R3は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。ただし、側鎖基の少なくとも一つは不飽和炭化水素基である。側鎖基の少なくとも一つである不飽和炭化水素基としては、ビニル基(−C=CH)やプロペニル基(−CH=CHCH)、エチニル基(−C≡CH)である。また、側鎖基の少なくとも一つである飽和炭化水素基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(−CHCHCH)、立体障害の大きいイソプロピル基(−CH(CH)やtert-ブチル基(−C(CH)などである。
【0043】
【化9】

【0044】
また、一般式(10)で示されるジビニルシクロトリシロキサン誘導体(一般式(10)中R1,R2,R3,R4は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す) を用いることもできる。ただし、側鎖基の少なくとも一つは不飽和炭化水素基である。側鎖基の少なくとも一つである不飽和炭化水素基としては、ビニル基(−C=CH)やプロペニル基(−CH=CHCH)、エチニル基(−C≡CH)である。また、側鎖基の少なくとも一つである飽和炭化水素基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(―CHCHCH)、立体障害の大きいイソプロピル基(−CH(CH)やtert-ブチル基(−C(CH)などである。
【0045】
【化10】

【0046】
さらに、一般式(11)で示されるビニルシクロトリシロキサン誘導体(一般式(11)、中のR1,R2,R3,R4,R5は同一でも異なっていてもよく、水素、アルキル基、アルコキシド基、アミノ基、アルケン、アルキン、フェニル基、フェノール基などを示す)を用いることもできる。ただし、側鎖基の少なくとも一つは不飽和炭化水素基である。側鎖基の少なくとも一つである不飽和炭化水素基としては、ビニル基(−C=CH)やプロペニル基(−CH=CHCH)、エチニル基(−C≡CH)である。また、側鎖基の少なくとも一つである飽和炭化水素基としては、メチル基(−CH)、エチル基(−CHCH)、プロピル基(―CHCHCH)、立体障害の大きいイソプロピル基(−CH(CH)やtert-ブチル基(−C(CH)などである。
【0047】
【化11】

【0048】
上記の環状シロキサンの骨格内空孔が多孔質絶縁膜11a、11bの空孔となる。したがって、所望の骨格内空孔径を有する環状シロキサンを選択することで、所望の空孔径を有する多孔質絶縁膜11a、11bを得ることができる。
【0049】
また、嵩高い有機側鎖を有する環状シロキサンを用いることで、炭素の存在比を高めることができる。たとえば、イソプロピル基(−CH(CH)やtert-ブチル基(−C(CH)などを側鎖に有する環状シロキサンを用いるとよい。具体的には、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリビニルトリイソプロピルシクロトリシロキサン等を用いることができる。
【0050】
上記の環状シロキサンは、複数組み合わせて用いてもよい。さらに、不飽和炭化水素を含む環状シロキサンと、側鎖に水素、炭化水素基及び酸化炭化水素基からなる群から選択されるいずれかが結合された直鎖状有機シリカ化合物とを組み合わせて用いることもできる。直鎖状有機シリカ化合物は、一般式(12)で表される構造であることが好ましい。
【0051】
【化12】

【0052】
環状シロキサンを含む多孔質絶縁膜の成膜装置の一例を図5に示す。反応室201は、排気配管207、排気バルブ222及び冷却トラップ208を介して接続された真空ポンプ209により減圧されている。反応室201の内部には基板保持台を兼ねた基板加熱部203が設けられ、基板加熱部203上に半導体基板10が敷置される。
【0053】
原料である環状シロキサンは気化システム216a内において気化され、キャリアガスとともにバルブ221aを介して配管215を通じ、反応室201へ供給される。二種の環状シロキサンを原料として用いる場合は、これに加えて、気化システム216bを用いて気化した環状シロキサンガスを、キャリアガスとともにバルブ221bを介して配管215へ送り、配管215内で二種の環状シロキサンガスを混合し、反応室201に供給すれば良い。また、三種類以上の環状シロキサンを用いる場合には、同様にして、複数の原料タンク(図示しない)、環状シロキサン供給配管(図示しない)、気化供給システム(図示しない)、気化環状シロキサン供給配管(図示しない)などを同様にして設置すれば良い。
【0054】
また、配管215にはバルブ220及び流量コントローラ218を介して酸化剤ガス、水素化シリコンガス、希釈ガス、パージガス及びクリーニングガスが導入可能となっている。気化された環状シロキサンガスに酸化剤ガスを添加してもよいし、不活性ガスにより希釈してもよい。
【0055】
クリーニングガスは、反応室201の付着生成物を除去するために用いられ、たとえば、酸素(O)とフルオロカーボンとの混合気体が用いられる。また、クリーニングガスの代わりに、NFなどを用いたリモートプラズマシステムを利用してもよい。
【0056】
酸化剤ガスとしては、O、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)などを用いることができる。酸化剤ガスの添加により、環状シロキサンの酸化や有機基の脱離が促進され、結果としてよりSi−O結合の多い多孔質絶縁膜が形成される。したがって、環状シロキサンと酸化剤ガスとの供給比を制御することで、炭素の存在比を制御することができる。
【0057】
不活性ガスとしては、He、Ar、Ne、Xeなどを用いることができる。水素化シリコンガスとしては、少なくともシリコンに直接結合した水素を1個以上含み、かつ酸素を含まない化合物であり、具体的にはシランガス(SiH)、トリメチルシランガス(SiH(CH))、ジメチルシランガス(SiH(CH))、モノメチルシランガス(SiHCH)、ジシラン(Si)などである。
【0058】
配管215は、分子蒸気の分圧が配管温度における平衡蒸気圧よりも低くなるようにヒータ219によって加熱・保温され、分子蒸気の再液化を防止している。また、配管215は反応室201のパージ不活性ガスの経路としても用いられる。
【0059】
反応室201に導入された分子蒸気、キャリアガス、酸化剤ガス及び希釈ガスは、複数の貫通孔を具有し反応室201内に設置されたシャワーヘッド204で混合及び分散されたのち、半導体基板10上に吹き付けられる。シャワーヘッド上部には図示しないガス分散板が設けられることもある。
【0060】
シャワーヘッド204には、給電線211とマッチングコントローラ212とを介してRF電源213が接続され、接地線206を介して接地された基板加熱部203との間にRF電力が供給される。半導体基板10上に吹き付けられた環状シロキサンは、シャワーヘッド204と基板加熱部203との間にかかる印加電力によって誘起されたプラズマにより励起・活性化され、基板加熱部203上に置かれた半導体基板10上のコンタクト絶縁膜102の表面に吸着する。コンタクト絶縁膜102上に吸着した環状シロキサンは、プラズマエネルギーと基板加熱部203より与えられる熱エネルギーとによって重合反応を起こし、コンタクト絶縁膜102上に多孔質絶縁膜11aを形成する。
【0061】
図6は、図5中で示した気化システム216a、216bに関する模式的な説明図である。ここでは、原料である環状シロキサンが液体である場合を示している。なお、以下の説明では単量体(モノマー)の環状シロキサンについて説明するが、ダイマー、オリゴマーについてもその原理は同様である。また、気体の環状シロキサンの場合は、流量コントローラ等により流量を制御し、反応室201へ供給すれば良い。
【0062】
原料タンク225に充填された環状シロキサン224は、供給配管227、バルブ242、流量指示器232及びバルブ246を介して、気化制御器235へ導入される。一方、キャリアガス226は流量コントローラ234、バルブ247及び配管253を経て気化制御器235内に導入される。気化制御器235に導入された環状シロキサン224は、気化制御器235内に設けられ、流量指示器232からフィードバック制御されるバルブ248を介し、気化制御器235内の内部配管236においてキャリアガス226と混合され、バルブ250を介して気化室237に導入される。
【0063】
気化室237は減圧されており、さらにヒータ238により加熱されているため、気化室237内へ導入された環状シロキサン224はこの熱エネルギーによって連続的に気化する。
【0064】
気化した環状シロキサン224は、ヒータ238によって加熱され、ガス温度を保ったまま、キャリアガス226とともに、ヒータ240で保温された配管230、バルブ251及び配管239を通じて反応室201へ供給される。なお、流量コントローラ234、バルブ247及び配管230は、気化制御器235、内部配管236、バルブ250、気化室237及び気化室出口配管239、バルブ251、バルブ252、ベント配管241のパージ用にも用いる。
【0065】
図7は、環状シロキサンが固体の場合、環状シロキサンの分子蒸気を発生させ、供給する気化供給システムの構成を模式的に示す図である。キャリアガス253は、流量コントローラ254、バルブ255、配管256を介して原料タンク258に供給される。原料タンク258は、固体の環状シロキサン259を内蔵しており、またヒータ257によって、固体の環状シロキサン259が溶融状態から気化して、あるいは固相状態から昇華して、十分な飽和蒸気圧が得られる温度に加熱されている。
【0066】
気化した環状シロキサンは、キャリアガス253とともに、配管260、バルブ261、流量コントローラ262及びバルブ263を介して気化原料供給配管264に供給され、バルブ266及び配管267を介して反応室201に供給される。
【0067】
また、気化する環状シロキサンは、モノマー、ダイマー、オリゴマーいずれの原料についても同様の原理で気化が可能である。さらに、キャリアガスにはヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス等、気化させる環状シロキサンに対して不活性なガスを適宜使用することができる。
【0068】
キャリアガスの流量は、気化システム内における環状シロキサンの分圧が環状シロキサンの飽和蒸気圧よりも小さくなるよう設定すれば良い。
【0069】
図1に戻り、第一の銅配線12a、第二の銅配線12b及び銅ビア22は、それぞれ、バリアメタル膜16および銅膜17により構成することができる。バリアメタル膜16には、タンタル系バリアメタル膜、チタン系バリアメタル膜、ルテニウム系バリアメタル膜等を例示できる。
【0070】
第一のメタルキャップ膜13a、および、第二のメタルキャップ膜13bの構成材料としては、Co、CoW、CoWP、CoWB等のコバルト含有メタル、Ni、NiMoP等のNi含有メタル、Ti、Al、Ag、Ru等が挙げられる。
【0071】
第一のキャップ絶縁膜14aおよび第二のキャップ絶縁膜14bはSiC、SiCN、SiCO、アモルファスカーボンと不飽和炭化水素とを含むSiOCH等の膜から構成される。
【0072】
第一のメタルキャップ膜13aの上面は、第一の多孔質絶縁膜11aの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第一のメタルキャップ膜13aの上面は、第一の多孔質絶縁膜11aの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。また、第二のメタルキャップ膜13bの上面は、第二の多孔質絶縁膜11bの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第二のメタルキャップ膜13bの上面は、第二の多孔質絶縁膜11bの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。第一、第二のメタルキャップ膜13a、13bの膜厚は、たとえば1〜20nmである。
【0073】
つづいて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の半導体装置によれば、多孔質絶縁膜11a、11bのC/Si比が1.5以上であり、かつ、多孔質絶縁膜11a、11b中に存在する空孔の最大径を1.3nm以下とする。こうすることで、多孔質絶縁膜11a、11bに疎水性を具備させ、かつ、空孔を微小とすることができる。したがって、メタルキャップ膜を形成するプロセスにおいて、露出した多孔質絶縁膜11a、11bの表面から、それぞれ、多孔質絶縁膜11a、11bの内部に無電解メッキ液等の親水性の液が含浸しない。そのため、第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bにおける金属イオンの拡散を抑制することができる。よって、絶縁信頼性の劣化を低減することができる。
【0074】
従来の多孔質絶縁膜を配線層間絶縁膜として用いる場合、メタルキャップ膜の形成前に、多孔質絶縁膜が表面に露出した状態となる。そのため、銅配線上に無電解メッキ法によりメタルキャップ膜を形成する場合は、露出した多孔質絶縁膜上にも無電解メッキ液が滴下される。多孔質絶縁膜の親水性が高い場合や、空孔径が大きい場合は、無電解メッキ液中の金属イオンが拡散しやすい。その結果、多孔質絶縁膜中に金属イオンが残存した状態で上層に銅配線が形成されることになる。特に、金属イオンの膜内部への拡散は、空孔が膜表面から膜内部へとチャネル状に連なった連続空孔であると顕著となる。多孔質絶縁膜に金属成分が不純物として含まれている場合、配線間での絶縁破壊が発生しやすくなり、配線間絶縁信頼性の劣化が発生しやすくなるといった弊害を生じる。
【0075】
そこで、本実施形態では、この課題を解決する手段として、(1)多孔質絶縁膜11a、11bの組成を炭素に富むようにして十分な疎水性を具備させ、(2)多孔質絶縁膜11a、11bの空孔を微小かつそれぞれ独立した構造を採用する。こうすることで、無電解メッキ液など水溶液が多孔質絶縁膜11a、11bに含浸するのを抑制できる。また、無電解メッキ法以外の手法、たとえばCoの選択気相成長法を用いてメタルキャップ膜を形成する場合などにおいても、多孔質絶縁膜11a、11b中への金属イオンの拡散を抑制することができる。
【0076】
(第二の実施形態)
図8は、本実施形態における半導体装置の模式的な断面図である。本実施形態の半導体装置は、半導体基板30と、半導体基板30上に形成されたMOSFET301と、半導体基板30およびMOSFET301上に形成されたコンタクト絶縁膜302と、コンタクト絶縁膜302上に形成された第一の多孔質絶縁膜31aと、第一の多孔質絶縁膜31a中に埋め込まれた第一の銅配線32aと、第一の銅配線32a上に形成された第一のメタルキャップ膜33aと、それらの全面を均一に覆う第一のキャップ絶縁膜34aと、を有する。
【0077】
また、本実施形態の半導体装置において、第一のキャップ絶縁膜34a上にビア絶縁膜35が存在している。ビア絶縁膜35の上には、第二の多孔質絶縁膜31bが存在している。第二の多孔質絶縁膜31b中には、第二の銅配線32bが存在している。第二の銅配線32bの側壁はすべて第二の多孔質絶縁膜31bと接しており、第二の銅配線32b上に第二のメタルキャップ膜33bが存在している。さらに、それらの全面を均一に覆う第二のキャップ絶縁膜34bが形成されている。なお、第一の銅配線32aと第二の銅配線32bは銅ビア42を介して電気的に接続している。
【0078】
ここにおいて、第一および第二の多孔質絶縁膜31a、31bのC/Si比は、1.5以上であり、たとえば、2.5とする。その最大空孔径は1.3nm以下でそれぞれの空孔が独立している。第一および第二の多孔質絶縁膜31a、31bの比誘電率は、2.7以下とし、たとえば2.55とする。第一および第二の多孔質絶縁膜31a、31bは、第一の実施形態において説明した第一および第二の多孔質絶縁膜11a、11bの成膜方法と同様な方法で成膜することができる。
【0079】
第一の銅配線32a、第二の銅配線32b及び銅ビア42は、それぞれ、バリアメタル膜36および銅膜37により構成することができる。バリアメタル膜36には、タンタル系バリアメタル膜、チタン系バリアメタル膜、ルテニウム系バリアメタル膜等を例示できる。
【0080】
第一のメタルキャップ膜33a、第二のメタルキャップ膜33bの構成材料としては、Co、CoW、CoWP、CoWB等のコバルト含有メタル、Ni、NiMoP等のNi含有メタル、Ti、Al、Ag、Ru等が挙げられる。
【0081】
第一のキャップ絶縁膜34aおよび第二のキャップ絶縁膜34bはSiC、SiCN、SiCO、アモルファスカーボンと不飽和炭化水素とを含むSiOCH等の膜から構成される。
【0082】
第一のメタルキャップ膜33aの上面は、第一の多孔質絶縁膜31aの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第一のメタルキャップ膜33aの上面は、第一の多孔質絶縁膜31aの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。また、第二のメタルキャップ膜33bの上面は、第二の多孔質絶縁膜31bの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第二のメタルキャップ膜33bの上面は、第二の多孔質絶縁膜31bの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。また、第一、第二のメタルキャップ膜33a、33bの膜厚は、たとえば1〜20nmである。
【0083】
本実施形態の半導体装置においても、多孔質絶縁膜31a、31bのC/Si比が1.5以上であり、かつ、多孔質絶縁膜31a、31b中に存在する空孔の最大径が1.3nm以下とすることで、多孔質絶縁膜31a、31bに疎水性を具備させ、かつ、空孔を微小とすることができる。したがって、メタルキャップ膜を形成する際、露出した多孔質絶縁膜31a、31bの表面から、それぞれ、多孔質絶縁膜31a、31bの内部に無電解メッキ液等の親水性の液が含浸しない。そのため、第一、第二の多孔質絶縁膜31a、31bにおける金属イオンの拡散を抑制することができる。よって、絶縁信頼性の劣化を低減することができる。
【0084】
(第三の実施形態)
図9は、本実施形態における半導体装置の模式的な断面図である。本実施形態の半導体装置は、半導体基板50と、半導体基板50上に形成されたMOSFET501と、半導体基板50およびMOSFET501上に形成されたコンタクト絶縁膜502と、コンタクト絶縁膜502上に形成された第一の多孔質絶縁膜51aと、第一の多孔質絶縁膜51a中に埋め込まれた第一の銅配線52aと、第一の銅配線52a上に形成された第一のメタルキャップ膜53aと、それらの全面を均一に覆う第一のキャップ絶縁膜54aを有する。
【0085】
また、本実施形態の半導体装置において、第一のキャップ絶縁膜54a上に第二の多孔質絶縁膜51bが存在している。第2の多孔質絶縁膜51b中に第二の銅配線52bが存在している。第二の銅配線52b上に第二のメタルキャップ膜53bが存在している。さらに、それらの全面を均一に覆う第二のキャップ絶縁膜54bが形成されている。なお、第一の銅配線52aと第二の銅配線52bは銅ビア63を介して電気的に接続している。
【0086】
第一の多孔質絶縁膜51aの最上面には、第一の薄膜層55aが存在している。また、第二の多孔質絶縁膜51bの最上面には、第二の薄膜層55bが存在している。第一、第二の薄膜層55a、55bもまた、複数の空孔を含有する多孔質絶縁膜であり、最大空孔径は、それぞれ、1.3nm以下である。また、第一、第二の薄膜層55a、55bにおいて、それぞれ、空孔が独立しており、かつ、C/Si比が1.5以上である。
【0087】
ここにおいて、第一、第二の薄膜層55a、55bの比誘電率は、2.7以下とし、たとえば2.55とする。第一、第二の薄膜層55a、55bは、第一の実施形態において説明した第一、第二の多孔質絶縁膜11a、11bの成膜方法と同様な方法で成膜することができる。第一、第二の薄膜層55a、55bの層幅(厚)は、5nm〜50nmとすることができる。
【0088】
第一の銅配線52a、第二の銅配線52b及び銅ビア63は、それぞれ、バリアメタル膜56および銅膜57により構成することができる。バリアメタル膜56には、タンタル系バリアメタル膜、チタン系バリアメタル膜、ルテニウム系バリアメタル膜等を例示できる。
【0089】
第一、第二のメタルキャップ膜53a、53bの構成材料としては、Co、CoW、CoWP、CoWB等のコバルト含有メタル、Ni、NiMoP等のNi含有メタル、Ti、Al、Ag、Ru等が挙げられる。
【0090】
第一、第二のキャップ絶縁膜54a、54bはSiC、SiCN、SiCO、アモルファスカーボンと不飽和炭化水素とを含むSiOCH等の膜から構成される。
【0091】
第一のメタルキャップ膜53aの上面は、第一の薄膜層55aの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第一のメタルキャップ膜53aの上面は、第一の薄膜層55aの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。また、第二のメタルキャップ膜53bの上面は、第二の薄膜層55bの上面と同一高さとなるように設けられている。また、第二のメタルキャップ膜53bの上面は、第二の薄膜層55bの上面よりも、高い位置となるように設けられていてもよい。第一、第二のメタルキャップ膜53a、53bの膜厚は、たとえば1〜20nmとする。
【0092】
本実施形態の半導体装置においては、第一、第二の多孔質絶縁膜51a、51bの上面に設けられた第一、第二の薄膜層55a、55bのC/Si比が1.5以上であり、かつ、第一、第二の薄膜層55a、55b中に存在する空孔の最大径が1.3nm以下とすることで、第一、第二の薄膜層55a、55bに疎水性を具備させ、かつ、空孔を微小とすることができる。したがって、メタルキャップ膜を形成する際、露出した第一、第二の薄膜層55a、55bの表面から、それぞれ、第一、第二の多孔質絶縁膜51a、51bの内部に無電解メッキ液等の親水性の液が含浸しない。そのため、第一、第二の多孔質絶縁膜51a、51bにおける金属イオンの拡散を抑制することができる。よって、絶縁信頼性の劣化を低減することができる。
【0093】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0094】
たとえば、本実施形態において、第一および第二の多孔質絶縁膜、および、これらの上面に設けられた薄膜層は、環状シロキサンを原料として用いたプラズマ重合法によって形成される例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の半導体装置の製造方法はこの方法に限定されるものではない。
【0095】
また、本発明は、CMOSロジックに用いられる層間絶縁膜のみでなく、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、FRAM(Ferro Electric Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、抵抗変化型メモリ等のようなメモリ回路を有する半導体製品、マイクロプロセッサなどの論理回路を有する半導体製品、又はそれらを同時に搭載した混載型の半導体製品に用いられる層間絶縁膜を多孔質絶縁膜とする場合に適用可能であり、それらの半導体製品の銅配線の信頼性を向上させることができる。
【0096】
また、本発明は、少なくとも一部に多孔質絶縁膜を層間絶縁膜として有する半導体装置、電子回路装置、光回路装置、量子回路装置、マイクロマシン等に対しても銅配線の信頼性を向上させることが可能である。
【0097】
さらに、本発明は、以下の態様にも適用可能である。
(1)半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたシリコン(Si)、炭素(C)、酸素(O)を含む多孔質絶縁膜と、前記多孔質絶縁膜中に埋め込まれた銅配線及び銅ビアと、前記銅配線上に形成されたメタルキャップ膜を備えるような構造において、前記銅配線間に存在する前記多孔質絶縁膜のC/Si比が1.5以上であり、かつ、多孔質絶縁膜中に存在する空孔の最大径が1.3nm以下でそれぞれの空孔が独立していることを特徴とする半導体装置。
(2)前記銅配線間に存在する前記多孔質絶縁膜の少なくとも上面層のC/Si比が1.5以上であり、かつ膜中に存在する空孔の最大径が1.3nm以下でそれぞれの空孔が独立していることを特徴とする(1)に記載の半導体装置。
(3)前記多孔質絶縁膜が環状シロキサンを含むことを特徴とする(1)および(2)に記載の半導体装置。
(4)半導体基板上に、シリコン、炭素、酸素を含むような最大空孔径が1.3nmφ以下でそれぞれの空孔が独立している、且つC/Si組成比が1.5以上を有するような多孔質絶縁膜を形成する工程と、前記多孔質絶縁膜中に銅配線及び銅ビアを形成する工程と、前記銅配線上にメタルキャップ膜を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(5)半導体基板上にシリコン、炭素、酸素を含むような多孔質絶縁膜を形成する工程と、前記多孔質絶縁膜中に銅配線を形成する工程と、前記多孔質絶縁膜の最大空孔径が1.3nmφ以下でそれぞれの空孔が独立しており、且つそのC/Si組成比を1.5以上に形成する上面改質工程と、前記銅配線上にメタルキャップ膜を形成する工程とを含むようことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
図1で示す構成は、たとえば、図10で示す方法により製造することができる。半導体基板70上に有機シリコン系原料ガスを用いたプラズマCVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法や塗布法、その後のEB(電子ビーム)、UV、熱キュア法等により第一の多孔質絶縁膜71を形成する。第一の多孔質絶縁膜71は、たとえば、比誘電率2.6未満のSiOCH等である。ついで、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンを原料とし、プラズマ重合法により、第一の多孔質絶縁膜71の上に分子細孔シリカ(MPS、Molecular Pore Stacking)膜(第二の多孔質絶縁膜72)を形成する。ここで、第二の多孔質絶縁膜72のC/Si比は2.5である。また、第二の多孔質絶縁膜72の最大空孔径は1.3nm以下であり、かつ、それぞれの空孔が独立している。第二の多孔質絶縁膜72の比誘電率は2.55である。第一の多孔質絶縁膜71の層厚は100nmであり、第二の多孔質絶縁膜72の層厚は50nmである。ついで、プラズマCVD法等を用いて第二の多孔質絶縁膜72の上にシリコン酸化(SiO)膜等のハードマスク73を形成する(図10(a))。
【0099】
その後、レジストのパターニング、さらにドライエッチングを行い、第一の多孔質絶縁膜71、第二の多孔質絶縁膜72及びハードマスク73内に配線溝74を形成する(図10(b))。
【0100】
その後、配線溝74中にタンタル(Ta)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)等からなるバリアメタル膜76をスパッタ法またはCVD法等により形成する。ついで、銅(Cu)膜75をスパッタ法、CVD法またはメッキ法等で形成する。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いてバリアメタル76及びCu膜75を除去して銅配線を形成し、さらに、ハードマスク73も除去してCu配線表面77及び第二の多孔質絶縁膜72の表面78を露出する(図10(c))。
【0101】
ついで、Cu配線表面77及び第二の多孔質絶縁膜72の表面78に対し、無電解メッキ法を用いて、CoWBのメタルキャップ膜79を1〜20nmの厚さで形成する(図10(d))。具体的には、コバルト(Co)イオンおよびタングステン(W)イオンを含む溶液に有機系のDMAB(ジメチルアミンボラン)を還元剤として導入し、得られたメッキ液を約60〜80℃程度の温度下で、Cu配線表面77及び第二の多孔質絶縁膜72の表面78に滴下する。この結果、Cu配線表面77でDMABが酸化反応により電子を放出し、CoイオンおよびWイオンがその電子を獲得して共析反応が行われる。これにより、CoWBのメタルキャップ膜79が形成される。
【0102】
ついで、CVD法を用いてSiC、SiCN、SiCO等からなるキャップ絶縁膜80を形成する(図10(e))。
【0103】
さらに、図10に示した一連の製造方法を繰り返すことにより、図1に示す多層配線構造の半導体装置を作製することができる。
【0104】
なお、図10においては、C/Si比は2.5であり、その最大空孔径は1.3nm以下であり、比誘電率は2.55の第二の多孔質絶縁膜72をSiOCH等の第一の多孔質絶縁膜71の上に形成している構造としているが、第一の多孔質絶縁膜71の膜厚と第二の多孔質絶縁膜72の膜厚との割合は、特に限定されない。そのため、Cu配線の側壁が接する膜全体が第二の多孔質絶縁膜72の場合や、多層配線構造において、ビア及びCu配線の側壁のそれぞれが接する膜全体が第二の多孔質絶縁膜72の場合においても、本実施例と同様な方法を適用することができる。
【0105】
(実施例2)
図1で示す構成は、たとえば、図11で示す方法によっても製造することができる。半導体基板800上に有機シリコン系原料ガスを用いたプラズマCVD法や塗布法、その後のEB、UV、熱キュア法等により多孔質絶縁膜81を形成する。多孔質絶縁膜81は、たとえば、比誘電率2.6未満のSiOCH等である。その上にシリコン酸化膜(SiO)等のハードマスク82を形成する(図11(a))。
【0106】
その後、レジストのパターニング、さらにドライエッチングを行い、多孔質絶縁膜81およびハードマスク82中に配線溝83を形成する(図11(b))。
【0107】
その後、配線溝83中にTa、Ti、Ru等からなるバリアメタル膜84をスパッタ法またはCVD法等により形成する。ついで、Cu膜85をスパッタ法、CVD法、メッキ法で形成する。次に、CMP法を用いてバリアメタル膜84及びCu膜85を除去し、さらに、ハードマスク82も除去してCu配線表面86及び多孔質絶縁膜81の表面87を露出する(図11(c))。
【0108】
ついで、Cu配線表面86及び多孔質絶縁膜81の表面87に対し、プラズマ処理、アニール処理、液塗布処理等のプロセスを施すことで、多孔質絶縁膜81の表面87のみ薄膜層88に改質する。たとえば、有機シリコン系原料をアルゴンガスと同時にチャンバ内に導入することで多孔質絶縁膜81の表面87にプラズマ処理を施すことができる。多孔質絶縁膜81の表面87において、C/Si比が1.5であり、その最大空孔径が1.3nm以下で、かつ、それぞれの空孔が独立になっていることを確認した(図11(d))。なお、多孔質絶縁膜81の層厚は100nmであり、薄膜層88の層厚は10nmであった。
【0109】
その後、Cu配線表面86及び薄膜層88上に、無電解メッキ法を用いて、CoWBのメタルキャップ膜89を形成する。具体的には、CoイオンおよびWイオンを含む溶液に有機系のDMABを還元剤として導入し、得られたメッキ液を約60〜80℃程度の温度で、Cu配線表面86及び薄膜層88上に滴下する。この結果、Cu配線表面86でDMABが酸化反応により電子を放出し、CoイオンおよびWイオンがその電子を獲得して共析反応を行い,CoWBのメタルキャップ膜89を形成する。
【0110】
ついで、SiC、SiCN、SiCO、アモルファスカーボンと不飽和炭化水素とを含むSiOCH等からなるキャップ絶縁膜90を形成する(図11(e))。
【0111】
さらに、図11に示した一連の製造方法を繰り返すことにより、図1に示す多層配線構造の半導体装置を作製することもできる。
【0112】
(実施例3)
図1で示す構成は、たとえば、図12で示す方法によっても製造することができる。半導体基板900上に有機シリコン系原料ガスを用いたプラズマCVD法や塗布法、その後のEB、UV、熱キュア法等により第一の多孔質絶縁膜91を形成する。第一の多孔質絶縁膜91は、たとえば、比誘電率2.6未満のSiOCH等である。ついで、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンを原料とし、プラズマ重合法により、第一の多孔質絶縁膜91の上に分子細孔シリカ膜(第二の多孔質絶縁膜92)を形成する。ここで、第二の多孔質絶縁膜92のC/Si比は2.5である。また、第二の多孔質絶縁膜92の最大空孔径は1.3nmであり、平均空孔径が0.35nmである。図13は、陽電子消滅法を用いて第二の多孔質絶縁膜92の連結性を調べた結果を示すが、図13の矢印に示すように、第二の多孔質絶縁膜92の空孔の連結性が0.0である。また、第二の多孔質絶縁膜92の比誘電率は2.55である。なお、第一の多孔質絶縁膜91の層厚は100nmであり、第二の多孔質絶縁膜92の層厚は150nmである。ついで、プラズマCVD法等を用いて第二の多孔質絶縁膜92の上にシリコン酸化膜(SiO)等のハードマスク93を形成する(図12(a))。
【0113】
その後、レジストのパターニング、さらにドライエッチングを行い、第一の多孔質絶縁膜91、第二の多孔質絶縁膜92及びハードマスク93中に配線溝94を形成する(図12(b))。
【0114】
その後、配線溝94中にTa、Ti、Ru等からなるバリアメタル膜96をスパッタ法またはCVD法等により形成する。ついで、Cu膜95をスパッタ法、CVD法、メッキ法で形成する。次に、CMP法を用いてバリアメタル膜96及びCu膜95を除去し、さらに、ハードマスク93も除去してCu配線表面97及び第二の多孔質絶縁膜92の表面98を露出する(図12(c))。
【0115】
ついで、Cu配線表面97及び第二の多孔質絶縁膜92の表面98に対し、CVD法を用いて、Coメタルキャップ膜99を1〜20nmの厚さで形成する(図12(d))。
【0116】
たとえば、CVD法により、Coメタルキャップ膜99を形成する方法としては、以下の方法がある。まず、水素ガス(H)をキャリアガスとしてdicobalt hexacarbonyl t−butylacetylene(CCTBA)を真空チャンバ中に導入する。ついで、半導体基板900を50〜400℃程度に加熱してCu配線表面97のみに選択的にCoを形成する。
【0117】
この後、CVD法を用いてSiC、SiCN、SiCO、アモルファスカーボンと不飽和炭化水素とを含むSiOCH等からなるキャップ絶縁膜90を形成する(図12(e))。
【0118】
さらに、図12に示した一連の製造方法を繰り返すことにより、本発明に対する多層配線構造の製造方法を提供することも可能である。
【0119】
図12においては、C/Si比は2.5であり、その最大空孔径は1.3nm以下であり、比誘電率は2.55の第二の多孔質絶縁膜92をSiOCH等の第一の多孔質絶縁膜91の上に形成している構造としているが、第一の多孔質絶縁膜91の膜厚と第二の多孔質絶縁膜92の膜厚との割合は特に限定されない。そのため、Cu配線の側壁が接する膜全体が第二の多孔質絶縁膜92の場合や、多層配線構造において、ビア及びCu配線の側壁のそれぞれが接する膜全体が第二の多孔質絶縁膜92の場合においても、本実施例と同様な方法を適用することができる。
【0120】
また、本実施例で示す方法により成膜するメタルキャップ膜はCoのみでなく、W、Al、Ruとしてもよい。また、本実施例で示す方法は、CMP後にSiHを配線表面に照射してCu表面をシリサイド化するプロセスについても適用可能である。本実施例の第二の多孔質絶縁膜92は、C/Si比は2.5であり、最大空孔径が1.3nm以下であり、かつ、空孔の連結性は0.0である。そのため、拡散速度が高い気相成長においても第二の多孔質絶縁膜92の表面98からの金属の侵入を抑制することが可能となる。
【0121】
(実施例4)
C/Si比が2.5で、平均空孔径が0.35nm、最大空孔径が1.25nmで空孔が独立している(陽電子消滅法により空孔の連結性が0.0である)多孔質絶縁膜(ポーラスSiOC(H)膜)を用意した。また、本実施例で用いる多孔質絶縁膜の比誘電率は2.55であった。この多孔質絶縁膜に対して、CoWB無電解メッキ液を滴下し、SIMS(二次イオン質量分析計)により膜中のCoイオンの濃度分布を調べた。図14は、無電解メッキ液の滴下前後のSIMSの結果を示す。図14に示すがごとく、無電解メッキ液を滴下前後で多孔質絶縁膜におけるCoイオンの濃度は変化がないことを確認した。すなわち、無電解メッキ法によるメタルキャップ膜の形成工程において、多孔質絶縁膜中へのCoイオンの拡散が発生しないことが確認された。
【0122】
(比較例1)
C/Si比が0.5で、平均空孔径が0.75、最大空孔径が2nmで空孔が連結している従来の多孔質絶縁膜(ポーラスSiOC(H)膜)を用意した。なお、この多孔質絶縁膜の比誘電率は2.55である。この従来の多孔質絶縁膜に対して、CoWB無電解メッキ液を滴下し、SIMSにより膜中のCoイオンの濃度分布を調べた。図20は、無電解メッキ液の滴下前後のSIMSの結果を示す。図20に示すがごとく多孔質絶縁膜中に無電解メッキ液の主成分たるCoイオンの濃度が増加している様子が確認された。すなわち、従来の多孔質絶縁膜では、無電解メッキ法によるメタルキャップの形成工程において、表面からCoイオンが膜中に拡散することが示された。
【0123】
(実施例5)
C/Si比および最大空孔径が異なる複数のポーラスSiOC(H)膜を用意し、CoWB無電解メッキ液を滴下して無電解メッキ液の滴下前後のSIMS測定を行った。ポーラスSiOC(H)膜のC/Si比と最大空孔径と無電解メッキ液を滴下(メタルキャップ膜の形成工程)後のメタルイオンの増加率との関係を図15に示す。図15に示すように、C/Si比が1.5以上であり、小角散乱X線測定による最大空孔径が1.3nm以下の場合に、多孔質絶縁膜中への金属イオンの拡散が検出されないことがわかった。
【0124】
(実施例6)
図16で示す配線構造を以下のように作製した。半導体基板10としてシリコン基板に多孔質絶縁膜100を形成した。ここで、多孔質絶縁膜100は、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンを原料とし、プラズマ重合法により、形成した。多孔質絶縁膜100は、上層(層厚10nm)において、平均空孔径が0.35nm、最大空孔径が1.25nmであることを小角散乱X線で確認した。また、陽電子消滅法によりすべての空孔が独立していることを確認した。多孔質絶縁膜100の誘電率2.55であった。なお、多孔質絶縁膜100のC/Si=1.5である。ついで、多孔質絶縁膜100の上にCoWB無電解メッキ液を滴下し、メタルキャップ膜を形成した。その後、SiOやSiON、SiNからなるカバー膜やAlからなるパッドを形成した後、隣接配線間のショート測定を実施した。具体的には、幅60、70、80、90、100、120nmの配線間に0.5MV/cmの電界をかけた場合のリーク電流を調べた。図17に、配線間リーク電流値の累積確率を示す。この累積結果とは(1/全試料数×100)の累積値を縦軸に、各試料の測定値を横軸にプロットしている。図17で示す結果から、最大空孔径が1.25nmφ、誘電率2.55、C/Si=1.5の独立空孔分布多孔質絶縁膜では配線間のショートは確認されなかった。
【0125】
(比較例2)
図16中の多孔質絶縁膜100として、最大空孔径が2nmで空孔が連結しており、誘電率2.55、C/Si=0.5の従来の多孔質絶縁膜を用いた配線構造を作製し、その上にCoWB無電解メッキ液を滴下し、メタルキャップ膜を形成した。その後、隣接配線間のショート測定を実施した。具体的には、幅60、70、80、90、100、120nmの配線間に0.5MV/cmの電界をかけた場合のリーク電流を調べた。図21に、配線間リーク電流値の累積確率を示す。図21で示す結果から、配線間でショートするチップが発生している様子が確認された。
【0126】
なお、同様の実験を最大空孔径が1.5nmの連続空孔の多孔質絶縁膜に対して実施したところ、隣接配線間のショートが観測された。
【0127】
(実施例7)
実施例6で作製した配線構造を用い、エレクトロマイグレーション(EM)寿命を測定した結果について、図18に示す。図18は、CoWPのメタルキャップ膜が形成されたもの(A)、CoWPに換えてCoWBのメタルキャップ膜が形成されたもの(B)およびメタルキャップが形成されていないもの(C)のそれぞれの結果を示す。この結果から、メタルキャップを用いることにより、EM寿命が1桁改善されることが確認された。つまり、配線層間膜として、最大空孔径が1.25nmφで独立空孔構造となっており、誘電率2.55、C/Si=1.5の多孔質絶縁膜を用いることで、メタルキャップ膜の形成の際、配線間絶縁信頼性の劣化を発生させることなく、銅のマイグレーションの抑制が可能となることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第一の実施形態の半導体装置を模式的に示す断面図である。
【図2】多孔質絶縁膜の空孔径分布を小角散乱X線により測定した結果の一例を示す図である。
【図3】陽電子消滅法を用いて空孔の連結性について調べた結果を示す図である。
【図4】多孔質絶縁膜の空孔の連結性と平均空孔径との相関を示す図である。
【図5】環状シロキサンを含む多孔質絶縁膜の成膜装置の一例を示す図である。
【図6】環状シロキサンを含む多孔質絶縁膜の成膜装置の一例を示す図である。
【図7】環状シロキサンを含む多孔質絶縁膜の成膜装置の一例を示す図である。
【図8】第二の実施形態における半導体装置の模式的な断面図である。
【図9】第三の実施形態における半導体装置の模式的な断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明する図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明する図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法の一例を説明する図である。
【図13】実施例で示す多孔質絶縁膜の空孔の連結性と空孔径との相関を示す図である。
【図14】実施例で示す多孔質絶縁膜の無電解メッキ液の滴下前後のSIMSの結果を示す図である。
【図15】多孔質絶縁膜のC/Si比と最大空孔径と無電解メッキ液を滴下後のメタルイオンの増加率との関係を示す図である。
【図16】配線構造を示す図である。
【図17】実施例の配線構造の配線間リーク電流値の累積確率を示す図である。
【図18】実施例の配線構造を用いてエレクトロマイグレーション(EM)寿命を測定した結果示す図である。
【図19】従来の多孔質絶縁膜の空孔径分布を小角散乱X線測定により測定した結果の一例を示す図である。
【図20】従来の多孔質絶縁膜の無電解メッキ液の滴下前後のSIMSの結果を示す図である。
【図21】従来の配線構造の配線間リーク電流値の累積確率を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
10 半導体基板
11a 第一の多孔質絶縁膜
11b 第二の多孔質絶縁膜
12a 第一の銅配線
12b 第二の銅配線
13a 第一のメタルキャップ膜
13b 第二のメタルキャップ膜
14a 第一のキャップ絶縁膜
14b 第二のキャップ絶縁膜
16 バリアメタル膜
17 銅膜
22 銅ビア
30 半導体基板
31a 第一の多孔質絶縁膜
31b 第二の多孔質絶縁膜
32a 第一の銅配線
32b 第二の銅配線
33a 第一のメタルキャップ膜
33b 第二のメタルキャップ膜
34a 第一のキャップ絶縁膜
34b 第二のキャップ絶縁膜
35 ビア絶縁膜
36 バリアメタル膜
37 銅膜
42 銅ビア
50 半導体基板
51a 第一の多孔質絶縁膜
51b 第二の多孔質絶縁膜
52a 第一の銅配線
52b 第二の銅配線
53a 第一のメタルキャップ膜
53b 第二のメタルキャップ膜
54a 第一のキャップ絶縁膜
54b 第二のキャップ絶縁膜
55a 第一の薄膜層
55b 第二の薄膜層
56 バリアメタル膜
57 銅膜
63 銅ビア
70 半導体基板
71 第一の多孔質絶縁膜
72 第二の多孔質絶縁膜
73 ハードマスク
74 配線溝
75 銅膜
76 バリアメタル膜
77 銅配線表面
78 多孔質絶縁膜表面
79 メタルキャップ膜
80 キャップ絶縁膜
800 半導体基板
81 多孔質絶縁膜
82 ハードマスク
83 配線溝
84 バリアメタル膜
85 銅膜
86 配配線表面
87 多孔質絶縁膜表面
88 薄膜層
89 メタルキャップ膜
90 キャップ絶縁膜
900 半導体基板
91 第一の多孔質絶縁膜
92 第二の多孔質絶縁膜
93 ハードマスク
94 配線溝
95 銅膜
96 バリアメタル膜
97 銅配線表面
98 多孔質絶縁膜表面
99 メタルキャップ膜
100 多孔質絶縁膜
101 MOSFET
102 コンタクト絶縁膜
201 反応室
203 基板加熱部
204 シャワーヘッド
206 接地線
207 排気配管
208 冷却トラップ
209 真空ポンプ
211 給電線
212 マッチングコントローラ
213 RF電源
215 配管
216a 気化システム
216b 気化システム
218 流量コントローラ
219 ヒータ
220 バルブ
221a バルブ
221b バルブ
222 排気バルブ
224 環状シロキサン
225 原料タンク
226 キャリアガス
227 供給配管
230 配管
232 流量指示器
234 流量コントローラ
235 気化制御器
236 内部配管
237 気化室
238 ヒータ
239 配管
239 気化室出口配管
240 ヒータ
241 ベント配管
242 バルブ
246 バルブ
247 バルブ
248 バルブ
250 バルブ
251 バルブ
252 バルブ
253 配管
253 キャリアガス
254 流量コントローラ
255 バルブ
256 配管
257 ヒータ
258 原料タンク
259 環状シロキサン
260 配管
261 バルブ
262 流量コントローラ
263 バルブ
264 気化原料供給配管
266 バルブ
267 配管
271 多孔質絶縁膜
272 多孔質絶縁膜
301 MOSFET
302 コンタクト絶縁膜
501 MOSFET
502 コンタクト絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含み、前記基板上に形成された多孔質絶縁膜と、
前記多孔質絶縁膜中に埋め込まれた銅配線と、
前記銅配線上に形成されたメタルキャップ膜と、
を有し、
前記多孔質絶縁膜は、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上であり、かつ、前記多孔質絶縁膜の少なくとも上層に含有される空孔の最大径が1.3nm以下の半導体装置。
【請求項2】
複数の前記空孔が互いに独立している請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記多孔質絶縁膜は、第一の多孔質膜と前記第一の多孔質膜上に形成された第二の多孔質膜とからなり、前記第二の多孔質膜のC/Si比が1.5以上であり、かつ、前記第二の多孔質膜に含有される複数の前記空孔の最大径が1.3nm以下で互いに独立している請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記多孔質絶縁膜が環状シロキサンを含む請求項1乃至3いずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記多孔質絶縁膜が前記メタルキャップ膜を介して複数の前記銅配線間に存在している請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
シリコン(Si)と炭素(C)と酸素(O)とを含む多孔質絶縁膜を基板に形成する工程と、
前記多孔質絶縁膜に銅配線を埋め込む工程と、
前記銅配線上にメタルキャップ膜を形成する工程と、
を含み、
前記多孔質絶縁膜を形成する前記工程において、少なくとも上層のC/Si比が1.5以上の前記多孔質絶縁膜を形成し、かつ、前記多孔質絶縁膜の少なくとも上層に最大径が1.3nm以下の空孔を含有させる半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記多孔質絶縁膜を形成する前記工程において、互いに独立した複数の前記空孔を前記多孔質絶縁膜に含有させる請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質絶縁膜を形成する工程において、
第一の多孔質層を形成する工程と、
前記第一の多孔質層上に第二の多孔質膜を形成する工程と、
を含み、
前記第二の多孔質膜を形成する工程において、C/Si比が1.5以上の前記第二の多孔質膜を形成し、かつ、最大径が1.3nm以下で互いに独立した複数の前記空孔を前記第二の多孔質膜に含有させる請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−129921(P2010−129921A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305557(P2008−305557)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】