説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】本発明は、SBD、HEMT等のデバイスに逆方向電圧をかけたときの電極端部に生じる電界集中を緩和して電流コラプス、及び長期信頼性の問題を解決した半導体装置を提供する。
【解決手段】窒化物化合物半導体層を有する電子走行層11と、前記電子走行層11に形成された窒化物化合物半導体からなる電子供給層12と、前記電子供給層12上に形成された第1電極13と、前記電子供給層12上に前記第1電極13と離間して形成された第2電極14と、前記電子走行層11および前記電子供給層12を挟んで前記第1電極13に対向して形成された、前記第1電極13と同電位の第1導電体14と、前記電子走行層11および前記電子供給層12を挟んで前記第2電極14に対向して形成された、前記第2電極14と同電位の第2導電体16とを有する半導体装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置およびその製造方法に関し、特に、パワーデバイスに係わる半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AlGaN層とGaN層との界面に生じる2次元状に電子が分布する2次元電子ガス(2 Dimensional Electron Gas :2DEG)を用いたショットキーバリアダイオード(SBD)は高い耐圧と低いオン抵抗を同時に備える。このため、パワーデバイスとして高い可能性を秘めている。従来の構造のAlGaN層とGaN層との界面に生じる2次元電子ガスを用いたショットキーバリアダイオードを図20に示す。
図20に示すように、シリコン基板140上にGaN層111、AlGaN層112が順に積層され、AlGaN層112上にアノード電極113とカソード電極114とが離間して形成されている。このショットキーバリアダイオードに順方向電圧を印加した時には、電流はカソード電極114から2DEGを介してアノード電極113であるショットキー接触に流れる。この時、電流は高移動度かつ高キャリア密度の2DEGを流れるため抵抗が非常に低くなっている。一方、逆方向電圧を印加した時にはアノード電極から広がる空乏層によって2DEGが空乏化するため、高い電圧をアノード電極113とカソード電極114との間にかけることができる。
【0003】
しかし、2DEGを利用したダイオードは、電流コラプスと呼ばれる問題がある。
電流コラプスは、逆方向電圧をかけた後に順方向電圧をかけた場合に、順方向電流が逆方向電圧をかける前より小さくなる現象である。
以下、電流コラプス現象の生じる機構について述べる。逆方向に電圧をかけたときにアノード電極113の端部に高い電界がかかり電界が集中しやすい。これにより、アノード電極113からAlGaN層111とパッシベーション膜115との界面準位に捕捉された電子は、電圧をかけるのを止めた後も長時間固定チャージとして存在し続ける。この固定チャージ分だけ2DEGが減少する。このために順方向電流が減少する。
また、逆方向電圧をかけたときに掛かる高い電界によって、2DEGを構成する電子がエネルギーを得て、周辺のGaN層111中に漏れ出し、GaN層111中に存在する欠陥準位に捕捉され、固定チャージとなり、順方向電流を減少させる原因となる。
電流コラプスを抑制するためには、AlGaN層112とパッシベーション膜115との界面準位とAlGaN層112およびGaN層111中の欠陥準位をできるだけ少なくするとともに、逆方向電圧をかけたときの電界集中を低く抑える必要がある。
【0004】
また、逆方向電圧を掛けたときの電界によりAlGaN層112およびGaN層111の結晶に応力が生じる現象(逆ピエゾ効果)が知られている。この応力が繰り返し結晶にかかることにより結晶中の欠陥準位が増加する。このため、長期的使用を考慮した信頼性の観点から逆方向電圧をかけたときの電界集中を低く抑える必要がある。
この問題はSBDに特有の問題ではなくヘテロ接合を用いた高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)、MOSFETなどのトランジスタにも共通する問題であり、その対応策は同様の手法を適用することができる。
【0005】
従来、電界の集中を緩和する方法として、図21に示すように、フィールドプレート117を備えた構造が知られている。フィールドプレート117を用いることでアノード電極113端部およびカソード電極114端部に生じていた電界の集中をフィールドプレート117と分担させることができるため、同じ電圧をかけたときのアノード電極113およびカソード電極114の端部の電界強度を、フィールドプレート117を用いなかった場合と比べて、低くすることができる。
【0006】
しかし、図22に示すように、従来のフィールドプレート117を用いた構造では、例えばカソード電極114の端部の電界強度は依然として局所的に強くなっている。このようなAlGaN層112およびGaN層111中の電界の局所的な集中は、電流コラプスの原因となり、また逆ピエゾ効果による欠陥準位の増加につながる。
【0007】
電界集中を緩和する方法として特許文献1には、HEMTのソース電極およびゲート電極の下のシリコン基板を裏面フィールドプレートとして利用することで、ゲート電極端部の電界集中を緩和する方法が開示されている。また、特許文献1には、ドレイン電極下のシリコン基板を除去することによって、ドレイン電極端部の電界集中が緩和されることが開示されている。
しかし、このような構造でも、ドレイン電極端部で電界集中を十分に抑制することはできない。ドレイン電極端部の電界強度を十分低い値に抑えるためにゲート電極とドレイン電極との間隔を十分長くしておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−59595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、SBD、HEMTなどのデバイスに逆方向電圧をかけたときの電極端部に生じる電界集中を緩和し、電流コラプスを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、窒化物化合物半導体層からなる電子走行層と、前記電子走行層上に形成された窒化物化合物半導体からなる電子供給層と、前記電子供給層上に形成された第1電極と、前記電子供給層上に前記第1電極と離間して形成された第2電極と、前記電子走行層および前記電子供給層を挟んで前記第1電極に対向して形成された、前記第1電極と同電位の第1導電体と、前記電子走行層および前記電子供給層を挟んで前記第2電極に対向して形成された、前記第2電極と同電位の第2導電体とを有する半導体装置を提供する。
【0011】
本発明の半導体装置では、第1電極と同電位の第1導電体と、第2電極と同電位の第2導電体が形成されていることから、第1電極と第1導電体間、第2電極と第2導電体間には電位差はない。等電位線は第1導電体と第2導電体間から一方の導電体として例えば第2導電体下方を通るので、第2導電体の第1導電体側の下側端部に電界がかかり、そこに電界集中が起きる。したがって、第1電極の下端部および第2電極の下端部には電界は集中しない。さらに、この位置における電界集中では、電子走行層にみられた逆ピエゾ効果は生じないため、長期信頼性を向上させることができる。また第2導電体の周辺は、2次元電子ガスのような高濃度の電子層も無いので、電子がトラップされる量が非常に少なくなる。よって、電流コラプスが抑制される。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、導電性の基板の上に窒化物化合物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、前記電子走行層の上に前記電子走行層よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料からなる電子供給層を形成する工程と、第1電極が形成される位置における前記電子供給層から前記基板に第1電極形成溝を形成し、前記第1電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第1電極を形成する工程と、第2電極が形成される位置における前記電子供給層から前記基板に第2電極形成溝を形成し、前記第2電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第2電極を形成する工程と、前記基板の前記第1電極と前記第2電極と対向する部分を残して前記基板を除去し、前記第1電極に対向する部分の前記基板で第1導電体を形成し、前記第2電極に対向する部分の前記基板で第2導電体を形成する工程と、前記第1導電体と前記第2導電体との間を埋め込むとともに前記第1導電体と前記第2導電体とを被覆する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層に前記第1導電体に電気的に接続する裏面電極を形成する工程とを有する製造方法によって実現できる。
【0013】
また本発明の半導体装置の別の製造方法としては、導電性の基板の上に窒化物化合物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、前記電子走行層の上に前記電子走行層よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料からなる電子供給層を形成する工程と、第1電極および第2電極が形成される位置に前記電子供給層から前記基板に到達する第1電極形成溝および第2電極形成溝を形成する工程と、前記第1電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第1電極を形成し、前記第2電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第2電極を形成する工程と、前記第1電極と前記第2電極との間の前記電子供給層上に第3電極を形成する工程と、前記基板の前記第1電極から前記第3電極までの領域に対向する部分と前記第2電極と対向する部分を残して前記基板を除去し、前記第1電極から前記第3電極までの領域に対向する部分の前記基板で第1導電体を形成し、前記第2電極に対向する部分の前記基板で第2導電体を形成する工程と、前記第1導電体と前記第2導電体との間を埋め込むとともに前記第1導電体と前記第2導電体とを被覆する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層に前記第1導電体に電気的に接続する裏面電極を形成する工程とを有する製造方法を採用できる。
【0014】
本発明の半導体装置の各製造方法では、導電性の基板を電子走行層と電子供給層を形成する基板として用いている。それとともに、その基板を第1導電体と第2導電体とを形成する材料として用いている。したがって第1導電体および第2導電体を形成する際に、新たな材料層を形成する必要がない。また、第1電極を第1導電体が形成される基板と接触させて形成し、第2電極を第2導電体が形成される基板と接触させて形成することで、第1電極と第1導電体との間、および第2電極と第2導電体との間の電位差が無い状態に形成できる。これによって、第1電極の下端部および第2電極の下端部には電界集中が生じず、よって、電流コラプスが抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置は、電子走行層および電子供給層を挟んで第1電極に対向して第1導電体を形成し、第2電極に対向して第2導電体を形成したことにより、第1電極および第2電極の各端部に生じる電界集中が緩和されて電流コラプスを抑制することができる。さらに、電子走行層や電子供給層の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるため、長期信頼性の向上が大きい。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、導電性の基板を用いて、電子走行層や電子供給層を形成することができ、また、第1導電体および第2導電体を容易に形成することができる。したがって、製造コストが安価になる。また、電子走行層および電子供給層を挟んで第1電極に対向して第1導電体を形成し、第2電極に対向して第2導電体を形成することから、第1電極および第2電極の各端部に生じる電界集中を緩和した構造に形成することができる。これによって、電流コラプスが抑制されて、電子走行層や電子供給層の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられることによって、長期信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の半導体装置に係る好ましい一実施形態(第1実施態様)およびその第1実施例の概略構成を示した模式的断面図である。
【図2】(1)は平面視的にみた第1電極端部に対する第1導電体端部の距離Lを示した模式的断面図であり、(2)は距離Lと第1電極端部の電界強度との関係をシミュレーションした結果を示す図面である。
【図3】半導体装置1(1A)に生じる等電位線を示した模式的断面図である。
【図4】半導体装置の第1実施形態の第2実施例を示した模式的断面図である。
【図5】本発明の半導体装置に係る別の好ましい一実施形態(第2実施形態)およびその第1実施例の概略構成を示した模式的断面図である。
【図6】半導体装置の第2実施形態の第2実施例を示した模式的断面図である。
【図7】本発明の半導体装置に係る別の好ましい一実施形態(第3実施形態)の概略構成を示した模式的断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法に係る好ましい一実施形態(第1実施形態)の一実施例を示した製造工程の模式的断面図である。
【図9】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の模式的断面図である。
【図10】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の図9に続く模式的断面図である。
【図11】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の図10に続く模式的断面図である。
【図12】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の図11に続く模式的断面図である。
【図13】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の図12に続く模式的断面図である。
【図14】第1実施形態の一実施例を示した製造工程の図13に続く模式的断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法に係る好ましい一実施形態(第2実施形態)の一実施例を示した製造工程の模式的断面図である。
【図16】第2実施形態の一実施例を示した製造工程の図15に続く模式的断面図である。
【図17】第2実施形態の一実施例を示した製造工程の図16に続く模式的断面図である。
【図18】第2実施形態の一実施例を示した製造工程の図17に続く模式的断面図である。
【図19】第2実施形態の一実施例を示した製造工程の図18に続く模式的断面図である。
【図20】従来の構造のAlGaN層とGaN層との界面に生じる2次元電子ガスを用いたショットキーバリアダイオードの模式的断面図である。
【図21】従来のフィールドプレートを用いたショットキーバリアダイオードを示した模式的断面図である。
【図22】従来のフィールドプレートを用いたショットキーバリアダイオードにおける電界集中を示した模試的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の半導体装置の一実施形態(第1実施形態)を、図1に示した模式的断面図を参照して以下に説明する。
【0019】
図1に示すように、半導体装置1は、窒化物化合物半導体層の電子走行層11上に電子供給層12が形成されている。電子走行層11は、例えばGaN層からなり、電子供給層12は、電子走行層11よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料で形成された例えばAlGaN層からなる。この電子走行層11と電子供給層12との界面はヘテロ接合を構成している。
電子供給層12上には第1電極13が形成されている。この第1電極13は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガスに対してショットキー特性を有する、所謂ショットキー電極である。
また、電子供給層12上には、第1電極13と離間して第2電極14が形成されている。第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガスに対してオーミック特性を有する、所謂オーミック電極である。
第1電極13と第2電極14との間には、絶縁層21が形成されている。
さらに、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第1電極13に対向して第1電極13と同電位の第1導電体15が形成されている。この同電位は、第1電極13と第1導電体15とが電気的に接続されることにより実現されている。これとともに、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第2電極14に対向して第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されている。この同電位は、第2電極14と第2導電体16とが電気的に接続されることにより実現されている。
またさらに、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに、第1導電体15と第2導電体16を被覆する裏面絶縁層17が形成されている。
裏面絶縁層17には、第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18が形成されている。
【0020】
本実施形態の半導体装置1では、第1電極13と同電位の第1導電体15と、第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されていることから、第1電極13と第1導電体15との間、第2電極14と第2導電体16との間には電位差が生じない。よって、第1電極13の下端部(電子供給層12表面上の第2電極14側の端部)および第2電極14の下端部(電子供給層12表面上の第1電極13側の端部)には電界がかからないので、それらの部分に電界は集中しない。そのかわり、第1電極13をアノード電極とし、第2電極14をカソード電極とした場合、図3に示すように等電位線は第1導電体15と第2導電体16との間から第2導電体16下方を通る。このため、第2導電体16の第1導電体15側の下側端部に電界がかかり、そこに電界集中が起きる。しかしこの位置における電界集中は、電子走行層11にみられた逆ピエゾ効果を生じない。また第2導電体16の周辺は、2次元電子ガスのような高濃度の電子層もないので、電子がトラップされる量が非常に少なくなる。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるため、半導体装置1の長期信頼性が向上する。
【0021】
次に、第1実施形態の半導体装置1の実施例について詳細を説明する。まず、第1実施例について前述の図1を参照して説明する。
半導体装置1(1A)は、GaNからなる電子走行層11が形成され、この電子走行層11上に、ヘテロ接合構造を成し、電子走行層11よりも厚さが薄いAlGaN層からなる電子供給層12が形成されている。このように緩衝層41、電子走行層11および電子供給層12は、窒化物化合物半導体から構成され、電子供給層12を構成する窒化物化合物半導体のバンドギャップエネルギーは、電子走行層11を構成する窒化物化合物半導体のバンドギャップエネルギーよりも大きくなっている。
バンドギャップエネルギーが互いに異なる窒化物化合物半導体は、それぞれ格子定数が異なる。そのため、電子走行層11と電子供給層12とのヘテロ接合界面においては、結晶歪みに起因するピエゾ圧電効果でピエゾ電界が発生し、両者の接合界面の近傍に2DEGが形成される。
【0022】
電子供給層12上(表面側)には、アノード電極としての第1電極13が形成されている。一方、電子供給層12の裏面側には、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第1電極13に対向して第1電極13と同電位の第1導電体15が形成されている。
第1電極13は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2DEGに対してショットキー特性を有する、例えばニッケル(Ni)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極からなる。さらに、第1電極13は、電子供給層12および電子走行層11を貫通して第1導電体15に電気的に接続されている。これによって第1電極13と第1導電体15とが同電位になっている。
また、電子供給層12上には、第1電極13と離間してカソード電極としての第2電極14が形成されている。一方、電子供給層12の裏面側には、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第2電極14に対向して第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されている。
第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2DEGに対してオーミック特性を有する、例えばチタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極からなる。さらに、第2電極14は、電子供給層12および電子走行層11を貫通して第2導電体16に電気的に接続されている。これによって第2電極14と第2導電体16とが同電位になっている。
上記第1導電体15および第2導電体16は、導電性のシリコン(Si)で形成されている。これらの第1導電体15および第2導電体16は、導電性を示す比抵抗の低いシリコンが望ましいが、導電性を有する材料で形成されていればよく、シリコンに限定されるものではない。
【0023】
またさらに、電子走行層11の裏面側には、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに、第1導電体15と第2導電体16を被覆する裏面絶縁層17が形成されている。この裏面絶縁層17には、酸化ベリリウム(融点2570℃)、窒化アルミニウム(融点2200℃)、酸化シリコン、ダイヤモンドライクカーボンまたは有機絶縁膜を用いる。有機絶縁膜としては、ポリイミド(耐熱温度450℃)、ポリアリルエーテル(耐熱温度400℃)、ダウ・ケミカル社製SiLK(耐熱温度490℃)、ハネウエルエレクトリックマテリアル社製FLARE(耐熱温度400℃)等がある。また耐熱温度が450℃〜650℃であるメチルシルセスキオキサン(MSQ)を用いることもできる。
【0024】
裏面絶縁層17には、第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18が形成されている。裏面電極18は、裏面絶縁層17を貫通して第1導電体15に接続されている。したがって、アノード電極としての第1電極13と同電位となっている。
したがって、第1実施例の半導体装置1Aは、ショットキーダイオードとして構成される。
【0025】
また、上記半導体装置1において、第1導電体15を貫通して第1電極13を形成し、裏面電極18と直接接続する構成とすることもできる。この構成では、第1電極13と裏面電極18とのコンタクト抵抗を低減することができるので、より好ましい。
【0026】
次に、図2(1)に示すように、第1導電体15の端部が第1電極13(アノード電極)端部に対して平面視的にみて距離L(+Lまたは−L)だけ第2電極14(カソード電極)側に寄ったときの第1電極13下端部の電界強度をシミュレーションにより求めた。その結果を図2(2)に示す。
図2に示すように、印加電圧を50V、100V、200V、300Vとしたときの第1電極13端部の電界強度は、距離Lがマイナス(−L)のときには電界緩和の効果は少ない。一方、距離Lを大きくすると電界は緩和するが、5μmを超えると電界緩和の効果はほぼ飽和する。また、距離Lを大きくし過ぎると電位の異なる第1導電体15と第2導電体16との間隔が狭くなり、半導体装置1の耐圧の低下を招く。よって、このシミュレーション結果から、距離Lとしては、0μm以上10μm以下が好ましく、より好ましくは5.0μm以上10μm以下である。
【0027】
次に、本発明の半導体装置1(1A)に生じる等電位線について図3を参照して説明する。
図3は、2次元電子ガスが空乏化する十分高い逆方向電圧をかけたときの等電位線を示している。半導体装置1Aでは、カソード電極としての第2電極14と第2導電体16との電位が同じであるため、その間の電位差が無く、よって第2電極14の下端部には電界が集中しない。その代わりに第2電極14下の第2導電体16と裏面電極18との間に電界がかかり、等電位線の曲がる第2導電体16の第1導電体15側の端部で電界集中が生じる。電界集中の起きる位置には裏面絶縁層17が配置されており、GaN系材料にみられる逆ピエゾ効果は生じない。またその周辺には2次元電子ガスのような高濃度の電子層もないため、電子がトラップされる量は非常に少ない。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるので、半導体装置1Aの長期信頼性を向上させることができる。
【0028】
次に、第1実施形態の半導体装置1の第2実施例について図4を参照して説明する。
図4に示すように、半導体装置1(1B)は、前記半導体装置1Aにおいて第1導電体15Rおよび第2導電体16Rのそれぞれの下端部の断面形状が丸みを帯びた形状、例えば半円形状に形成されているものである。その他の構成は、前述の半導体装置1Aと同様である。
半導体装置1Bでは、第1導電体15Rおよび第2導電体16Rの下端部にかかる電界を緩和でき、強い電界が長時間かかることによる裏面絶縁層17を介したリーク電流の増加を抑制することができる。また、前述の第1実施例の半導体装置1Aと同様な作用効果が得られる。
【0029】
次に、第1実施形態の半導体装置1の第3実施例について説明する。
図示はしないが、第3実施例の半導体装置1(1C)は、前記半導体装置1Aにおいて電子走行層11がAlGaN層で形成され、電子供給層12がGaN層で形成されているいわゆる逆HEMT構造を成すものである。この構成では、AlGaN層およびGaN層の主面の結晶の配向がN面((000−1)面)である。その他の構成は、前述の半導体装置1Aと同様である。
半導体装置1Cでは、第2電極14のオーミックコンタクトが取りやすくなるという利点があるとともに、前述の第1実施例の半導体装置1Aと同様な作用効果が得られる。
【0030】
次に、図5に示した模式的断面図を参照して本発明の半導体装置の第2実施形態を説明する。
【0031】
図5に示すように、半導体装置2は、窒化物化合物半導体からなり、電子走行層11上に電子供給層12が形成されている。電子走行層11は、例えばGaN層からなり、電子供給層12は、電子走行層11よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料、例えばAlGaN層からなる。この電子走行層11と電子供給層12との界面はヘテロ接合となっている。
電子供給層12上には第1電極13が形成されている。この第1電極13は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガスに対してオーミック特性を有している。
また、電子供給層12上には、第1電極13と離間して第2電極14が形成されている。第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガスに対してオーミック特性を有している。
さらに、電子供給層12上には、第1電極13と第2電極14との間に第3電極19が形成されている。第3電極19は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガスに対してショットキー特性を有している。
またさらに、第1電極13、第2電極14、第3電極19のそれぞれの間には絶縁層22が形成されている。
【0032】
電子走行層11および電子供給層12を挟んで第1電極13から第3電極19にかけての領域と対向して第1電極13と同電位の第1導電体15が形成されている。この同電位は、第1電極13と第1導電体15とが電気的に接続されることにより実現されている。これとともに、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第2電極14に対向して第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されている。この同電位は、第2電極14と第2導電体16とが電気的に接続されることにより実現されている。
また、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに、第1導電体15と第2導電体16を被覆する裏面絶縁層17が形成されている。
裏面絶縁層17には、第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18が形成されている。
【0033】
本第2実施形態の半導体装置2では、第1電極13と同電位の第1導電体15、および第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されていることから、第1電極13と第1導電体15との間、第2電極14と第2導電体16との間には電位差が生じない。よって、第1電極13の下端部および第2電極14の下端部には電界が集中しない。そのかわり、第1電極13をソース電極とし、第2電極14をドレイン電極とし、第3電極19をゲート電極とした場合、等電位線は第1導電体15と第2導電体16との間から第2導電体16下方を通る。このため、第2導電体16の第1導電体15側の下側端部に電界がかかり、そこに電界集中が起きる。しかしこの位置における電界集中は、電子走行層11にみられた逆ピエゾ効果を生じない。また第2導電体16の周辺には、2次元電子ガスのような高濃度の電子層もないので、電子がトラップされる量が非常に少なくなる。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるので、半導体装置2の長期信頼性が向上する。
【0034】
次に、第2実施形態の第1実施例について前述の図5を参照して説明する。
半導体装置2は、GaN層からなる電子走行層11、および、この電子走行層11上に、ヘテロ接合構造を成し、電子走行層11よりも厚さが薄いAlGaN層からなる電子供給層12が形成されている。
このように電子走行層11および電子供給層12は、窒化物化合物半導体により構成され、電子供給層12を構成する窒化物化合物半導体のバンドギャップエネルギーは、電子走行層11を構成する窒化物化合物半導体のバンドギャップエネルギーよりも大きくなっている。
格子定数が異なる窒化物化合物半導体は、電子走行層11と電子供給層12のヘテロ接合界面においては、結晶歪みに起因するピエゾ圧電効果でピエゾ電界が発生し、両者の接合界面の直下に2次元電子ガスが生じる。
なお、電子走行層11の裏面側に、前記第1実施形態で説明したのと同様な単層構造、もしく積層構造の緩衝層41を用いることもできる。
【0035】
電子供給層12上(表面側)には、ソース電極としての第1電極13が形成されている。また、電子供給層12上には、第1電極13と離間してドレイン電極としての第2電極14が形成されている。さらに、電子供給層12上には、第1電極13と第2電極14との間にゲート電極としての第3電極19が形成されている。
さらに、第1電極13、第2電極14、第3電極19のそれぞれの間には絶縁層22が形成されている。この絶縁層22は、例えば窒化シリコン等の耐圧性、耐熱性を有する絶縁材料で形成されている。
また、電子供給層12の裏面側には、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第1電極13から第3電極19にかけての領域に対向する位置に第1電極13と同電位のフィールドプレートとしての第1導電体15が形成されている。さらに、電子供給層12の裏面側には、電子走行層11および電子供給層12を挟んで第2電極14に対向して第2電極14と同電位のフィールドプレートとしての第2導電体16が形成されている。
【0036】
第1電極13は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガス2DEGに対してオーミック特性を有する、例えばチタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極からなる。この第1電極13は、電子供給層12および電子走行層11を貫通して第1導電体15に電気的に接続されていることがより好ましい。これによって第1電極13と第1導電体15とが同電位になる。
また、第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガス2DEGに対してオーミック特性を有する、例えばチタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極からなる。この第2電極14は、電子供給層12および電子走行層11を貫通して第2導電体16に電気的に接続されていることがより好ましい。これによって第2電極14と第2導電体16とが同電位になる。
さらに、第3電極19は、電子走行層11と電子供給層12との界面に生じる2次元電子ガス2DEGに対してショットキー特性を有する、例えばチタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極からなる。
【0037】
第1導電体15および第2導電体16は、導電性のシリコン(Si)で形成されている。これらの第1導電体15および第2導電体16は、導電性を示す比抵抗の低いシリコンが望ましいが、導電性を有する材料で形成されていればよく、シリコンに限定されるものではない。
【0038】
さらに、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに、第1導電体15と第2導電体16を被覆する裏面絶縁層17が形成されている。この裏面絶縁層17には、前述の第1実施形態で説明した材料を用いることができる。
【0039】
裏面絶縁層17の更に裏面側には、第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18が形成されている。裏面電極18は、裏面絶縁層17を貫通して第1導電体15に接続されているため、ソース電極としての第1電極13と同電位となっている。
以上説明したように第1実施例の半導体装置2Aは、HEMTとして構成されている。
【0040】
また、上記半導体装置2Aにおいて、図示はしないが、第1導電体15を貫通して第1電極13を形成し、裏面電極18と直接接続する構成とすることもできる。この構成では、第1電極13と裏面電極18とのコンタクト抵抗を低減することができるので、より好ましい。
【0041】
HEMTとして半導体装置2Aをスイッチング素子として動作させるとき、ゲート電極としての第3電極19に負電圧がかけられ、チャネルがオフされた状態では、ドレイン電極としての第2電極14に電圧がかけられている。この場合、従来の構造では、ゲート電極およびドレイン電極の端部に電界集中が生じていた。しかし上記半導体装置2Aでは、第1導電体15および第2導電体16がフィールドプレートとして機能するので、第1電極13および第2電極14の各電極下端部の電界集中を抑制することができる。
その代わりに第2電極14下の第2導電体16と裏面電極18との間に電界がかかり、等電位線の曲がる第2導電体16の端部で電界集中が生じる。電界集中の起きる位置には裏面絶縁層17が配置されており、GaN系材料にみられる逆ピエゾ効果は生じない。またその周辺には2次元電子ガス2DEGのような高濃度の電子層もないため、電子がトラップされる量は非常に少ない。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるため、半導体装置2Aの長期信頼性を向上させることができる。
また、上記構成の半導体装置2Aにおいては、ゲート電極としての第3電極19は、ゲート絶縁膜上に形成されていてもよい。この構成では、半導体装置2Aは、絶縁ゲート型となる。
【0042】
次に、第2実施形態の第2実施例について図6を参照して説明する。
図6に示すように、半導体装置2(2B)は、前記半導体装置2Aにおいて第1導電体15および第2導電体16のそれぞれの下端部の断面形状が丸みを帯びた形状、例えば半円形状に形成されているものである。その他の構成は、前述の半導体装置2Aと同様である。
半導体装置2Bでは、第1導電体15および第2導電体16の下端部にかかる電界を緩和でき、強い電界が長時間かかることによる裏面絶縁層17を介したリーク電流の増加を抑制することができる。また、前述の第1実施例の半導体装置2Aと同様な作用効果が得られる。
【0043】
上記第1実施形態および第2実施形態では、電子走行層11をGaN層で形成し、電子供給層12をAlGaN層で形成した構成を主に説明したが、電子走行層11と電子供給層12との組み合わせとして、GaN層とAlGaN層の組み合わせの他に、GaN層とInGaN層、AlN層とAlGaN層等の窒化物化合物半導体を組合せた構成であってもよい。
【0044】
次に、図7に示した模式的断面図を参照して本発明の半導体装置に係る好ましい第3実施形態を説明する。
【0045】
図7に示すように、第3実施形態の半導体装置3は、窒化物化合物半導体層の電子走行層11中の表面側に第1不純物層31と、この第1不純物層31と離間して第2不純物層32とが形成されている。電子走行層11は、例えばp型のGaN層からなる。第1不純物層31はn型のGaN層からなる。第2不純物層32は第1不純物層31側よりn型のGaN層33およびn型のGaN層34からなる。
第1不純物層31上には第1電極13が形成されている。
また、n型のGaN層34上には、第1電極13と離間された第2電極14が形成されている。
さらに、電子走行層11上には、第1電極13と第2電極14との間に第3電極19が形成されている。第3電極19は、例えば第1不純物層31と第2不純物層32の間の電子走行層11上にゲート絶縁膜35を介して形成されている。
【0046】
電子走行層11を挟んで第1電極13から第3電極19にかけての領域と対向して第1電極13と同電位の第1導電体15が形成されている。この同電位は、第1電極13と第1導電体15とが電気的に接続されることにより実現されている。これとともに、電子走行層11を挟んで第2電極14に対向して第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されている。この同電位は、第2電極14と第2導電体16とが電気的に接続されることにより実現されている。
また、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに、第1導電体15と第2導電体16を被覆する裏面絶縁層17が形成されている。
裏面絶縁層17には、第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18が形成されている。
【0047】
本実施形態の半導体装置3では、第1電極13と同電位の第1導電体15と、第2電極14と同電位の第2導電体16が形成されていることから、第1電極13と第1導電体15との間、第2電極14と第2導電体16との間には電位差が生じない。よって、第1電極13の下端部および第2電極14の下端部には電界がかからないので、それらの部分に電界は集中しない。そのかわり、第1電極13をソース電極とし、第2電極14をドレイン電極とし、第3電極19をゲート電極とした場合、等電位線は第1導電体15と第2導電体16との間から第2導電体16下方を通る。このため、第2導電体16の第1導電体15側の下側端部に電界がかかり、そこに電界集中が起きる。しかしこの位置における電界集中は、電子走行層11にみられた逆ピエゾ効果は生じない。また第2導電体16の周辺は、2次元電子ガスのような高濃度の電子層もないので、電子がトラップされる量が非常に少なくなる。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11の結晶中の欠陥準位の増加が抑えられるため、半導体装置3の長期信頼性を向上させることができる。
【0048】
次に、本発明の半導体装置の製造方法の第1実施形態の実施例を、図8〜図14の製造工程を示した模式的断面図を参照して以下に説明する。この実施例では、一例として、前述の半導体装置1Aにおいて第1電極13と裏面電極18とを直接に接続させた構成について製造方法を説明する。
【0049】
図8(1)に示すように、シリコン基板40の上に、基板とその上に形成される窒化物化合物半導体層との間のひずみを緩和させる緩衝層41を介してGaN層を堆積して電子走行層11を形成する。さらに電子走行層11上に、ヘテロ接合構造を成し、電子走行層11よりも厚さが薄いAlGaN層を堆積して電子供給層12を形成する。緩衝層41は、例えば、AlGaN層で形成することができる。または、AlN層、AlInGaN層等の単層構造、もしくはAlN層とGaN層との積層構造、AlGaN層とGaN層との積層構造で形成することができる。これらの緩衝層41、GaN層およびAlGaN層は、例えばエピタキシャル成長により連続形成することができる。また、シリコン基板40には、導電性を示す比抵抗の低い基板を用いることが望ましい。
【0050】
次に図8(2)に示すように、第2電極が形成される位置におけるAlGaN層の電子供給層12からシリコン基板40に第2電極形成溝43を形成する。その際、シリコン基板40に形成される溝の深さは、後の工程でシリコン基板40の裏面側を除去してシリコン基板40を所定の厚さに残す際のその厚さと同等に形成することが好ましい。素子の性能の点からはシリコン基板40を薄くした方が裏面からの電気的接続をとる際に余計な抵抗が少なくなるため有利である。しかし、シリコン基板40を薄くするほど製造上の難易度が上がるため、安定的に製造できる薄さで良い。また第2電極形成溝43は、電子供給層12、電子走行層11、緩衝層41、シリコン基板40を同一の工程でエッチングしても良いし、シリコン基板40とそれ以外の層のエッチングを分けても良い。エッチングする方法は、シリコン基板40に対して垂直方向に異方性エッチングできる点から、例えばボッシュ(Bosch)プロセスを採用することが望ましい。
【0051】
次に図9に示すように、第2電極形成溝43を埋め込み、シリコン基板40と電子供給層12に接触するカソード電極としての第2電極14を形成する。例えば、第2電極14は、チタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極で形成する。この金属電極は、例えば蒸着法、スパッタ法等の成膜方法によりチタン層と金層とを順に堆積して形成することができる。第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2次元電子ガス(図示せず)に対してオーミック特性を有する。
次に、電子供給層12上に第2電極14を覆う絶縁層21を形成する。この絶縁層21は、例えば窒化シリコン等の耐圧性、耐熱性を有する絶縁膜で形成されることが好ましい。
【0052】
続いて、第1電極が形成される位置における絶縁層21からAlGaN層の電子供給層12を通りシリコン基板40に至る第1電極形成溝42を形成する。それとともに、第2電極14上の絶縁層21を除去して開口部23を形成する。その際、シリコン基板40に形成される溝の深さは、後の工程でシリコン基板40の裏面側を除去してシリコン基板40を所定の厚さに残す際のその厚さと同等に形成することが好ましい。次の工程では、第1電極を形成する材料でこれらの第1電極形成溝42を埋めるが、ショットキー電極としての第1電極で埋められる第1電極形成溝42は電流の流れる経路となるため十分な太さが必要となる。
【0053】
次に、第1電極形成溝42を埋め込み、シリコン基板40と電子供給層12に接触するアノード電極としての第1電極13を形成する。例えば、第1電極13は、ニッケル(Ni)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極で形成する。この金属電極は、例えばスパッタ法、蒸着法等の成膜方法によりニッケル層と金層とを順に堆積して形成することができる。したがって、第1電極13は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2次元電子ガス(図示せず)に対してショットキー特性を有する。
なお電極材料の成膜方法はスパッタ法や蒸着法に限定されることはなく、化学的気相成長法(例えば、MOCVD法)等の他の成膜方法を採用することもできる。また電極材料のパターニンングは、リフトオフ法、成膜された電極材料をリソグラフィー技術とエッチング技術によりパターニンングする方法等で行うことができる。
【0054】
次に図10に示すように、シリコン基板40の裏面研磨により第1電極13および第2電極14の底部が露出するまでシリコン基板40を除去する。なお、第1電極13および第2電極14の底部にシリコン基板40をわずかに残した状態になるまでシリコン基板40の研削を行い、その後シリコン基板40の裏面研磨を行ってもよい。研磨の終点検出には、第1電極13および第2電極14の底部を用いることができる。この終点検出を用いた場合、第1電極13および第2電極14の底部が露出した時点で研磨を終了することができる。なお、第1電極13および第2電極14の底部を完全に露出させるために、必要に応じてオーバー研磨を行ってもよい。
上記シリコン基板40を研磨で除去する前に、第1電極13および第2電極14が形成されている側に、絶縁膜を介して支持基板(図示せず)を貼り付けて、研磨処理を行うことが望ましい。支持基板を貼り付けることにより、シリコン基板40の割れ、欠けなどを防ぐことができる。
【0055】
次に図11に示すように、リソグラフィー技術とエッチング技術により、第1電極13に対向する位置のシリコン基板40の部分と第2電極14に対向する位置のシリコン基板40の部分を残して、その他の部分のシリコン基板40を除去する。その際、シリコン基板40の裏面に現れた第1電極13および第2電極14同士の位置関係を用いて位置合わせを行い所定の位置のシリコン基板40の部分を除去する。シリコン基板40を除去した部分(溝45)は、電子走行層11が露出される。このシリコン基板40の除去は、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術による。エッチングは、垂直にエッチングできる点から、例えばボッシュ(Bosch)プロセスが望ましい。このときシリコン基板40裏面と溝45の側壁でできる角が鋭角であると電圧を印加した際に電界が集中するので、この角Rが丸みを帯びるように形成することが好ましい。その結果、第1電極13に対向する部分のシリコン基板40で第1導電体15が形成され、第2電極14に対向する部分のシリコン基板40で第2導電体16が形成される。
【0056】
次に図12に示すように、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに第1導電体15と第2導電体16とを被覆する裏面絶縁層17を形成する。この裏面絶縁層17には、絶縁破壊電界が十分高く、熱抵抗の低い材料が望ましい。例えば、酸化ベリリウム(融点2570℃)、窒化アルミニウム(融点2200℃)、酸化シリコン、ダイヤモンドライクカーボン(耐熱温度700℃)、SiOC(耐熱温度700℃)または半導体装置の使用環境温度によって有機絶縁膜を用いることができる。有機絶縁膜としては、例えば、ポリイミド(耐熱温度450℃)、ポリアリルエーテル(耐熱温度400℃〜490℃)、ダウ・ケミカル社製SiLK(耐熱温度490℃)、ハネウエルエレクトリックマテリアル社製FLARE(耐熱温度400℃)等がある。また耐熱温度が450℃〜650℃であるメチルシルセスキオキサン(MSQ)を用いることもできる。また、この裏面絶縁層17の厚さは後の工程で形成される裏面電極と表面の溝に埋め込まれた電極の間で絶縁破壊しないような厚さが必要である。
【0057】
次に図13に示すように、裏面絶縁層17に第1導電体15に達する裏面電極形成溝44を形成する。この裏面電極形成溝44の形成は、例えば、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術により行うことができる。裏面電極形成溝44に充填された裏面電極は電流の流れる経路となるので、この裏面電極形成溝44は十分な太さが必要となる。またこの裏面電極形成溝44をショットキー電極で埋められた第1電極溝42と接触させずにシリコンの第1導電体15と接触させるだけでも電流を流すことができるが、よりコンタクト抵抗を低くすることができるので第1電極13と裏面電極の金属同士を接続させることが好ましい。
【0058】
次に図14に示すように、裏面絶縁層17の裏面側に、裏面電極形成溝44を通して第1導電体15および第1電極13に電気的に接続する裏面電極18を形成する。したがって、裏面電極18は、アノード電極としての第1電極13と同電位になっている。
このようにして、ショットキーダイオードとしての半導体装置1Aが製造できる。
【0059】
製造方法の第1実施形態の実施例では、緩衝層41を介してGaN層とAlGaN層を形成する基板として、高価なサファイア基板や化合物半導体基板を用いず、安価なシリコン基板40を用いている。それとともに、そのシリコン基板40を第1導電体15と第2導電体16とを形成する材料として用いている。したがって第1導電体15および第2導電体16を形成する際に、新たな材料層を必要としないため、製造コストが安価になる。
また、第1電極13および第2電極14の底面を研磨の終点検出に用いることができるので、第1導電体15および第2導電体16の厚さの制御性がよくなる。よって、第1導電体15および第2導電体16の耐圧を確保することができる。
さらに第1電極13と裏面電極18とが直接接触して電気的に接続されるので、コンタクト抵抗が低減できる。
またさらに、第1電極13を第1導電体15と接触させて形成し、第2電極14を第2導電体16と接触させて形成することで、第1電極13と第1導電体15との間、および第2電極14と第2導電体16との間を電位差が無い状態に形成できる。これによって、第1電極13の下端部および第2電極14の下端部には電界集中は生じない。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加を抑えることができるので、長期信頼性に優れた半導体装置1Aを製造することができる。
【0060】
次に、本発明の半導体装置の製造方法の第2実施形態の実施例を、図15〜図19の製造工程を示した模式的断面図を参照して以下に説明する。この実施例では、一例として、前述の半導体装置1Cにおいて第1電極13裏面電極18とを直接に接続させた構成について製造方法を説明する。
【0061】
図15(1)に示すように、シリコン基板40の上に緩衝層41を介してGaN層を堆積して電子走行層11を形成する。さらに電子走行層11上に、ヘテロ接合構造を成し、電子走行層11よりもバンドギャップエネルギーの大きいAlGaN層を堆積して電子供給層12を形成する。緩衝層41は、例えば、製造方法の第1実施形態で説明したのと同様な材料を用いることができ、同様な成膜方法を採用することができる。また、シリコン基板40は導電性を示す比抵抗の低い基板が望ましい。
【0062】
次に図15(2)に示すように、第1電極および第2電極が形成される位置におけるAlGaN層の電子供給層12からシリコン基板40に第1電極形成溝42および第2電極形成溝43を形成する。その際、シリコン基板40に形成される溝の深さは、後の工程でシリコン基板40の裏面側を除去してシリコン基板40を所定の厚さに残す際のその厚さと同等に形成することが好ましい。素子の性能の点からはシリコン基板40を薄くした方が裏面からの電気的接続をとる際に余計な抵抗が少なくなるため有利である。しかし、シリコン基板40を薄くするほど製造上の難易度が上がるため、安定的に製造できる薄さで良い。また第1電極形成溝42および第2電極形成溝43は、電子供給層12、電子走行層11、緩衝層41、シリコン基板40を同一の工程でエッチングしても良いし、シリコン基板40とそれ以外の層のエッチングを分けても良い。エッチングする方法は、垂直方向に異方性エッチングできる点から、例えばボッシュ(Bosch)プロセスを採用することが望ましい。
【0063】
次に図16(1)に示すように、第1電極形成溝42および第2電極形成溝43を埋め込み、シリコン基板40と電子供給層12に接触するソース電極としての第1電極13およびドレイン電極としての第2電極14を形成する。例えば、第1電極13および第2電極14は、チタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属電極で形成する。この金属電極は、例えばスパッタ法によりチタン層と金層とを順に堆積して形成することができる。したがって、第1電極13および第2電極14は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2次元電子ガス(図示せず)に対してオーミック特性を有する。
【0064】
次に図16(2)に示すように、電子供給層12上に第1電極13および第2電極14を覆うリフトオフ法で用いる絶縁層24を形成する。この絶縁層24は、電極材料に対して選択的にエッチング可能な材料、例えばレジストで形成されることが好ましい。
【0065】
次に図17(1)に示すように、第3電極が形成される位置における絶縁層24にゲート開口部25を形成する。ゲート開口部25は、例えば、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術によって形成することができる。
【0066】
次に図17(2)に示すように、絶縁層24側の全面にゲート電極としての第3電極を形成する電極材料層26を堆積する。電極材料層26は、例えばチタン(Ti)層と金(Au)層とを順に積層した金属層で形成される。ゲート開口部25の底部に電極材料層26を残し、その他の電極材料層26を絶縁層24とともに除去する。絶縁層24および電極材料層26の除去は、例えば等方的なエッチングにより行うことができる。このようにして、リフトオフ法によって、ゲート電極としての第3電極19を形成する。したがって、第3電極19は、電子走行層11と電子供給層12との界面に発生する2次元電子ガス(図示せず)に対してショットキー特性を有する。
なお電極材料の成膜方法はスパッタ法に限定されることはなく、化学的気相成長法(例えば、MOCVD法)や蒸着法等の他の成膜方法を採用することもできる。また、ここではリフトオフ法により第3電極19を形成したが、電極材料層26をエッチングによりパターニンングして形成することもできる。この場合、絶縁層24は層間絶縁膜として残されてもよい。
その結果、図18(1)に示すように、電子供給層12からシリコン基板40中に達するソース電極としての第1電極13と、ドレイン電極としての第2電極14、および第1電極13と第2電極14との間の電子供給層12上にゲート電極としての第3電極19が形成される。
【0067】
次に図18(2)に示すように、第1電極13から第3電極19にかけての領域と第2電極14とに対向するシリコン基板40の部分を残してその他のシリコン基板40を部分的に除去する。
シリコン基板40の裏面研磨により第1電極13および第2電極14の底部が露出するまでシリコン基板40を研磨して除去すし、その後、所定の部分を異方性エッチングにより緩衝層41まで除去する。
このシリコン基板40の研磨工程は、前述の製造方法の第1実施形態で説明したのと同様に行える。
上記シリコン基板40を研磨により除去する前に、第1電極13および第2電極14が形成されている側に、絶縁膜を介して支持基板(図示せず)を貼り付けて、上記研磨処理を行うことが望ましい。支持基板を貼り付けることにより、シリコン基板40の割れ、欠けなどを防ぐことができる。
【0068】
シリコン基板40のエッチング工程は、リソグラフィー技術とエッチング技術により、第1電極13から第3電極19にかけての領域に対向する位置のシリコン基板40の部分と第2電極14に対向する位置のシリコン基板40の部分を残して、その他の部分のシリコン基板40を除去する。その際、シリコン基板40の裏面に現れた第1電極13および第2電極14同士の位置関係を用いて位置合わせを行い所定の位置のシリコン基板40の部分を除去する。シリコン基板40を除去した部分は、緩衝層41が露出される。このシリコン基板40の除去は、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術による。エッチングは、垂直方向に異方性エッチングできる点から、例えばボッシュ(Bosch)プロセスを採用することが望ましい。このときシリコン基板40裏面と溝45の側壁でできる角が鋭角であると電圧を印加した際に電界が集中するので、この角が丸みを帯びるように形成することが好ましい。その結果、第1電極13から第3電極19にかけての領域に対向する位置のシリコン基板40で第1導電体15が形成され、第2電極14に対向する位置のシリコン基板40で第2導電体16が形成される。
したがって、第1電極13と第1導電体15とが同電位になり、第2電極14と第2導電体16とが同電位になる。
【0069】
次に図19(1)に示すように、第1導電体15と第2導電体16との間を埋め込むとともに第1導電体15と第2導電体16とを被覆する裏面絶縁層17を形成する。この裏面絶縁層17には、前述の第1実施形態で説明したものと同様な材料を用いることができる。
【0070】
次に図19(2)に示すように、裏面絶縁層17に第1導電体15に達する裏面電極形成溝44を形成する。この裏面電極形成溝44の形成は、例えば、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術により行うことができる。裏面電極形成溝44に充填される裏面電極は電流の流れる経路となるので、この裏面電極形成溝44は十分な太さが必要となる。
続いて、裏面絶縁層17の裏面に、裏面電極形成溝44を通して第1導電体15に電気的に接続する裏面電極18を形成する。したがって、裏面電極18は、ソース電極としての第1電極13と同電位になっている。
このようにして、HEMTとしての半導体装置2Aが製造される。
【0071】
製造方法の第2実施形態の実施例では、緩衝層41を介してGaN層とAlGaN層を形成する基板として、高価なサファイア基板や化合物半導体基板を用いず、安価なシリコン基板40を用いている。それとともに、そのシリコン基板40を第1導電体15と第2導電体16とを形成する材料として用いている。したがって第1導電体15および第2導電体16を形成する際に、新たな材料層を必要としない。よって、製造コストが安価になる。
また、第1電極13および第2電極14の底面を研磨の終点検出に用いることができるので、第1導電体15および第2導電体16の厚さの制御性がよくなる。よって、第1導電体15および第2導電体16の耐圧を確保することができる。
さらに第1電極13と裏面電極18とが直接接触して電気的に接続されるので、コンタクト抵抗が低減できる。
またさらに、第1電極13を第1導電体15が形成されるシリコン基板40と接触させて形成し、第2電極14を第2導電体16が形成されるシリコン基板40と接触させて形成することで、第1電極13と第1導電体15との間、および第2電極14と第2導電体16との間の電位差が無い状態に形成できる。これによって、第1電極13の下端部および第2電極14の下端部には電界集中が生じない。よって、電流コラプスが抑制され、かつ、電子走行層11や電子供給層12の結晶中の欠陥準位の増加を抑えることができるので、長期信頼性に優れた半導体装置2Aを製造することができる。
【符号の説明】
【0072】
1,2,3 半導体装置
11 電子走行層
12 電子供給層
13 第1電極
14 第2電極
15 第1導電体
16 第2導電体
17 裏面絶縁層
18 裏面電極
19 第3電極
2DEG 2次元電子ガス
41 緩衝層
42 第1電極形成溝
43 第2電極形成溝



【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物化合物半導体層からなる電子走行層と、
前記電子走行層上に形成された窒化物化合物半導体からなる電子供給層と、
前記電子供給層上に形成された第1電極と、
前記電子供給層上に前記第1電極と離間して形成した第2電極と、
前記電子走行層および前記電子供給層を挟んで前記第1電極に対向して形成された、前記第1電極と同電位の第1導電体と、
前記電子走行層および前記電子供給層を挟んで前記第2電極に対向して形成された、前記第2電極と同電位の第2導電体と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電子走行層はGaN層で形成され、
前記電子供給層はAlGaN層からなることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電体と前記第2導電体との間に絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電体と前記第2導電体とは前記絶縁層により被覆され、
前記絶縁層に前記第1導電体に電気的に接続する裏面電極が形成されていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置
【請求項5】
前記絶縁層は、酸化ベリリウム、窒化アルミニウム、酸化シリコン、ダイヤモンドライクカーボンまたは有機絶縁膜からなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極はショットキー電極であり、
前記第2電極はオーミック電極であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記電子供給層上の前記第1電極と前記第2電極との間に第3電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極はオーミック電極であり、
前記第3電極はショットキー電極であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電子供給層上の前記第1電極と前記第2電極との間に、絶縁膜を介して形成された第3電極を有し、
前記第1電極および前記第2電極はオーミック電極であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
第1導電型のGaN層からなるチャネル層と、
前記チャネル層の表面側に離間して形成された第2導電型の第1不純物層と第2不純物層と、
前記チャネル層上に形成された第1電極と、
前記チャネル層上に前記第1電極と離間して形成された第2電極と、
前記チャネル層および前記第1不純物層を挟んで前記第1電極に対向して形成された、前記第1電極と同電位の第1導電体と、
前記チャネル層および前記第2不純物層を挟んで前記第2電極に対向して形成された、前記第2電極と同電位の第2導電体と、
前記チャネル層上の前記第1電極と前記第2電極との間に第3電極を有する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
導電性の基板の上に窒化物化合物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層の上に前記電子走行層よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料からなる電子供給層を形成する工程と、
第1電極が形成される位置における前記電子供給層から前記基板に第1電極形成溝を形成し、前記第1電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第1電極を形成する工程と、
第2電極が形成される位置における前記電子供給層から前記基板に第2電極形成溝を形成し、前記第2電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第2電極を形成する工程と、
前記基板の前記第1電極と前記第2電極と対向する部分を残して前記基板を除去し、前記第1電極に対向する部分の前記基板で第1導電体を形成し、前記第2電極に対向する部分の前記基板で第2導電体を形成する工程と、
前記第1導電体と前記第2導電体との間を埋め込むとともに前記第1導電体と前記第2導電体とを被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、前記第1導電体に電気的に接続する裏面電極を形成する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項11】
導電性の基板の上に窒化物化合物半導体からなる電子走行層を形成する工程と、
前記電子走行層の上に前記電子走行層よりもバンドギャップエネルギーの大きい材料からなる電子供給層を形成する工程と、
第1電極および第2電極が形成される位置に前記電子供給層から前記基板に到達する第1電極形成溝および第2電極形成溝を形成する工程と、
前記第1電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第1電極を形成し、前記第2電極形成溝に前記基板と前記電子供給層に接触する第2電極を形成する工程と、
前記第1電極と前記第2電極との間の前記電子供給層上に第3電極を形成する工程と、
前記基板の前記第1電極から前記第3電極までの領域に対向する部分と前記第2電極と対向する部分を残して前記基板を除去し、前記第1電極から前記第3電極までの領域に対向する部分の前記基板で第1導電体を形成し、前記第2電極に対向する部分の前記基板で第2導電体を形成する工程と、
前記第1導電体と前記第2導電体との間を埋め込むとともに前記第1導電体と前記第2導電体とを被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に前記第1導電体に電気的に接続する裏面電極を形成する工程と
を有する半導体装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−84653(P2012−84653A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228624(P2010−228624)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(510035842)次世代パワーデバイス技術研究組合 (46)
【Fターム(参考)】