説明

半導体装置の製造方法、クリーニング方法および基板処理装置

【課題】導電膜もしくは絶縁膜を効率的に除去する半導体装置の製造方法、クリーニング方法および基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理室内に基板を搬入する第1の工程と、処理室内に複数の原料ガスを供給して基板上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する第2の工程と、処理室内から処理後の基板を搬出する第3の工程と、処理室内に改質ガスを供給して、処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜を改質する第4の工程と、を1サイクルとして複数サイクル繰り返した後、処理室内にクリーニングガスを供給して、改質された導電膜もしくは絶縁膜を含む処理室内に付着した堆積物を除去する第5の工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法、クリーニング方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に所定の膜を形成する手法の1つとして、CVD(Chemical Vapor Deposition)法がある。CVD法とは、気相中もしくは基板表面における2種以上の原料の反応を利用して、原料分子に含まれる元素を構成要素とする膜を基板上に成膜する方法である。また、基板上に所定の膜を形成する他の手法として、ALD(Atomic Layer Deposition)法がある。ALD法とは、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種以上の原料となる原料を1種類ずつ交互に基板上に供給し、原子層単位で吸着させ、表面反応を利用して原子層レベルで制御される成膜を行う手法である。従来のCVD法と比較して、より低い基板温度(処理温度)にて処理が可能なことや、成膜サイクル回数によって成膜される膜厚の制御が可能である。
また、基板上に形成される導電性膜としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化チタン(TiN)膜が挙げられる。またその他の導電性膜としては、Ta、W、Mnやその窒化物、Ti、Alなどが挙げられる。また、絶縁性膜としては、例えば、HfやZrやAlの酸化物および窒化物などが挙げられる。
【0003】
これらの導電膜もしくは絶縁膜は、基板を搬入した処理室内に処理ガスを供給することにより形成されるが、導電膜もしくは絶縁膜を形成する際に、処理室の内壁や処理室内の基板支持具等の部材にも導電膜もしくは絶縁膜を含む堆積物が付着してしまう。処理室内に膜が厚く堆積してくると応力が大きくなってその膜に割れが生じ、そこから異物(剥離した付着物等)が発生する場合がある。発生した異物が基板上の導電膜もしくは絶縁膜中に混入した場合、製品の歩留まり低下を招く原因となる。そこで、堆積物からなる膜の膜厚が一定の膜厚に到達する毎に膜を除去する必要があるが、クリーニングガスを用いて処理室を解体せずに堆積物をエッチングにより除去することが望まれる。その理由は、クリーニングガスで膜を除去することが出来れば、処理室の解体時の人手もかからず処理室の部品破損の危険もなく運用コスト低減につながり、かつ時間短縮にもなり装置の稼働率向上も期待できるからである。絶縁膜等のエッチングに関しては以下のようにBClを用いた特許文献1のような特許がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−146787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電性膜として被処理基板上に窒化アルミニウム膜を成膜するとき、例えばアルミニウム(Al)含有原料としてトリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH)を用い、窒化ガスとしてアンモニア(NH)を用いる場合がある。窒化アルミニウム膜は、単独で絶縁膜として用いられたり、窒化チタン(TiN)膜との交互積層膜として電極の用途に用いられることがある。
【0006】
ところで、ハロゲン系ガスであるBClをクリーニングガスとして用い、窒化アルミニウム膜をエッチングした場合、十分にエッチングすることが出来ず窒化アルミニウム膜を除去するのが難しいことがわかった。
【0007】
従って、本発明の主な目的は、上記問題を解決し、導電膜もしくは絶縁膜を効率的に除去する半導体装置の製造方法、クリーニング方法および基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
処理室内に基板を搬入する第1の工程と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記処理室内から処理後の前記基板を搬出する第3の工程と、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜を改質する第4の工程と、
を1サイクルとして複数サイクル繰り返した後、前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質された前記導電膜もしくは前記絶縁膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去する第5の工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、
前記処理室内に付着した前記導電性膜もしくは前記絶縁膜は窒化膜であり、
前記改質ガスは酸素含有ガスである
半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記基板上に膜を成膜するごとに、前記処理室内に改質ガスを供給して前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して改質された前記膜を除去することにより、前記処理室内に付着した前記膜を除去するクリーニング工程と、を有する
ことを特徴とするクリーニング方法が提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質後の前記膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去し前記処理室内をクリーニングするクリーニング工程と、を有し、
前記改質ガスは、改質後の前記膜を組成する元素の間の結合エネルギーが、前記クリーニングガスのクリーニング成分と改質後の前記膜を組成する元素との結合エネルギーより小さくなるようなガスであるクリーニング方法が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記原料ガス供給系、前記酸素ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排
気系を制御する制御部と、を有する基板処理装置であって、
前記制御部は、前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に窒化膜を形成し、前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給して前記処理室内に付着した窒化膜を酸化して酸化膜へ改質し、前記処理室内にクリーニングガスを供給して前記酸化膜を除去するように前記原料ガス供給系、前記酸素含有ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排気系を制御する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、処理室の内壁や処理室内の基板支持具等の部材に付着した導電膜もしくは絶縁膜を含む堆積物を効率よく除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るエッチングのメカニズムを示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエッチングのメカニズムを示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にて好適に用いられる基板処理装置の概略的な構成を示す斜透視図である。
【図4】本発明の一実施形態にて好適に用いられる処理炉の一例とそれに付随する部材の概略構成図であって、特に処理炉部分を縦断面で示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にて好適に用いられる図2に示す処理炉のA−A線断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る成膜シーケンスを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るシーケンスを示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るシーケンスを示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る改質工程及びクリーニング工程のシーケンスを示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る改質工程及びクリーニング工程のシーケンスを示す図である。
【図11】改質工程を実施した後の窒化アルミニウム膜の深さ方向の組成分布を示すグラフ図であり、酸化時間を1分間とした場合を示す。
【図12】改質工程を実施した後の窒化アルミニウム膜の深さ方向の組成分布を示すグラフ図であり、酸化時間を5分間とした場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態に係るクリーニング方法について説明する。なお、本実施形態に係るクリーニング方法は、エッチング現象を利用して行われるもので、本発明では、エッチングという語句をクリーニングと略同義の語句として使用している。
【0016】
<エッチング原理>
まず、窒化アルミニウム膜をBClでは十分にエッチングすることが出来ない理由について考えると、Al−N結合を外す際に大きな活性化エネルギーが必要であり、BClが分解して出来るB元素やCl元素によるアタックだけでは結合を切断できないのではないかと予測される。処理室内の処理温度にもよるが、600℃程度ではエッチングすることは出来ず、また処理温度を非常に高くすればBClであってもエッチングすることが出来るかもしれないが、特に、低温処理を要求される縦型装置で適用する場合は困難である。
【0017】
一方、酸化膜(HfO、ZrO、TiO等)のクリーニングではBClを用いることにより酸化膜を除去できることが確認されている。そこで、本発明では、窒化アルミニウム膜を酸化して酸化アルミニウム膜に改質し、その後、改質された酸化アルミニウ
ム膜をクリーニングする。さらに、よりクリーニングを効率よく行なうためには、窒化アルミニウム膜の酸化工程と、改質された酸化アルミニウム膜のクリーニング工程を所定回数繰り返すことも有効である。
【0018】
窒化アルミニウム膜を酸化する酸化剤の一例として、例えば、O、NO、O、HO、H+O等が挙げられる。
【0019】
窒化アルミニウム膜はOでは酸化されにくい性質があり、一般的に800℃以上が必要とされている。これは、おそらくAl−N結合を外す際に大きい活性化エネルギーが必要でありOまたはOによるアタックだけでは結合を切断できないと予測される。水蒸気やH+Oを同時に供給して処理室201内でHOを発生させる方式によるHOによる酸化は、窒化アルミニウム膜に対しては酸化温度の低温化という意味でも有効である。HOを用いることにより低温で酸化が可能となる理由は、HOのOHがAl−N結合を外すための活性化エネルギーを低くする効果があるからではないかと考えられる。
【0020】
このように、膜を酸化する際の処理室内の処理温度は酸化剤の種類によって異なり、例えば、HOの場合は400℃〜800℃の間の温度であって例えば600℃、Oの場合は700〜800℃の間の温度であって例えば800℃、NOの場合は700℃〜800℃の間であって例えば800℃に設定すると良い。尚、H+Oにより窒化アルミニウム膜を酸化する場合は、処理室内でHOが発生されると考えられるため、HOの場合と同様に400℃〜800℃の間の温度であって例えば600℃に設定すると良い。
【0021】
ここで、窒化アルミニウム膜を酸化し、その後、改質された酸化アルミニウム膜をエッチングする際に予測されるメカニズムを、図1及び図2の模式図を参照しながら説明する。図1は膜としてマクロに考える際に予測されるメカニズムの模式図であり、図2は原子単位で予測されるメカニズムを模式化したものである。
【0022】
まず窒化アルミニウム膜に酸化剤を供給する(図1(a)、図2(a))と、窒化アルミニウム膜が改質され、酸化アルミニウム膜となる(図1(b)、図2(b))。次に、酸化アルミニウム膜にクリーニングガスとしてBClを供給することにより、Al−O結合を切断し、BOCl、BO、AlCl等を形成して膜のエッチングが進行すると考えられる(図1(c)、図2(c))。
【0023】
BClを供給することで改質された酸化アルミニウム膜をエッチングできる理由は、BClが分解して出来るB元素がAl−O結合を切断するためであると考えられる。エッチングが進行すると、Al−Cl結合或いはB−O結合を有する化合物(反応生成物)が生成されると考えられる。ここで、Al−Cl結合を有する化合物(例えばAlCl)は蒸気圧が高いため、ガスとして容易に除去することが可能である。
【0024】
これに対し、BClを供給しても窒化アルミニウム膜をエッチングすることが困難な理由は、Al−N結合の活性化エネルギーはAl−O結合の活性化エネルギーより高く、BClが分解して出来るB元素がAl−N結合を切断できないためであると考えられる。なお、Al−N結合の活性化エネルギーは上述の通りだが、Al−N結合の結合エネルギーはAl−O結合の結合エネルギーより低い。
【0025】
<装置全体構成>
次に、上記<エッチング原理>を利用するのに好適な本発明の実施例であって、詳しくは上記<エッチング原理>を利用した基板処理装置とそのクリーニング方法との一例を説明する。本実施例に係る基板処理装置は、半導体装置(IC(Integrated Circuits))の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているもの
である。下記の説明では、基板処理装置の一例として、基板に対し成膜処理等をおこなう縦型のバッチ式装置を使用した場合について述べる。しかし、本発明は、縦型装置やバッチ式装置の使用を前提としたものでなく、例えば、横型装置や枚葉装置等を使用しても良い。
【0026】
図3に示す通り、基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したカセット110が使用されている。ウエハ200はシリコン等の材料から構成されている。基板処理装置101は筐体111を備えている。筐体111の内部にはカセットステージ114が設置されている。カセット110は、カセットステージ114上に工程内搬送装置(図示略)によって搬入されたり、カセットステージ114上から搬出されたりする。
【0027】
カセットステージ114は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢を保持され、かつカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に右回り縦方向90°回転し、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0028】
筐体111内の前後方向の略中央部にはカセット棚105が設置されている。カセット棚105は複数段複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105には、ウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。
【0029】
カセットステージ114の上方には予備カセット棚107が設けられている。予備カセット棚107は、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0030】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構118bとで構成されている。カセット搬送装置118は、カセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114とカセット棚105と予備カセット棚107との間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0031】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるウエハ移載装置エレベータ125bとで構成されている。ウエハ移載装置125aには、ウエハ200をピックアップするツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125は、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連続動作により、ツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ウエハ200をボート217に対して装填(チャージング)したり、ボート217から脱装(ディスチャージング)したりするように構成されている。
【0032】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられており、処理炉202の下端部が炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0033】
処理炉202の下方には処理炉202に対しボート217を昇降させるボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台にはアーム128が連結されている。アーム128にはシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持するとともに、処理炉202の下端部を閉
塞可能なように構成されている。
【0034】
ボート217は複数の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜150枚程度)のウエハ200を、その中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0035】
カセット棚105の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。クリーンユニット134aは、供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0036】
筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。クリーンユニット134bも、供給ファン及び防塵フィルタで構成されており、クリーンエアをウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通させるように構成されている。当該クリーンエアは、ウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通した後に、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0037】
<処理装置の動作>
続いて、基板処理装置101の主な動作について説明する。
【0038】
工程内搬送装置(図示略)によってカセット110がカセットステージ114上に搬入されると、カセット110は、ウエハ200がカセットステージ114の上で垂直姿勢を保持され、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向90°回転させられる。
【0039】
その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へカセット搬送装置118によって自動的に搬送され受け渡され、一時的に保管される。その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107からカセット搬送装置118によって移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0040】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200はカセット110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aは、カセット110に戻り、後続のウエハ110をボート217に装填する。
【0041】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開き、処理炉202の下端部が開放される。その後、ウエハ200群を保持したボート217が、ボートエレベータ115の上昇動作により処理炉202内に搬入(ローディング)され、処理炉202の下部がシールキャップ219により閉塞される。
【0042】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に対し任意の処理が実施される。その処理後は、上述の逆の手順で、ウエハ200およびカセット110が筐体111の外部に搬出される。
【0043】
<処理炉の構成>
次に、図4及び図5を用いて、前述した基板処理装置101に適用される処理炉202について説明する。
【0044】
図4及び図5に示す通り、処理炉202にはウエハ200を加熱する加熱装置(加熱手段)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は、上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と複数本のヒータ素線とを備えており、断熱部材に対しヒータ素線が設けられたユニット構成を有している。ヒータ207の内側には、ウエハ200を処理する石英製の反応管203が設けられている。
【0045】
反応管203の下端には、気密部材であるOリング220を介してステンレス等で構成されたマニホールド209が設けられている。マニホールド209の下端開口は、シール部材としてのOリング220を介して蓋体としてのシールキャップ219により気密に閉塞されるようになっている。すなわち、反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するOリング220が設けられている。処理炉202では、少なくとも、反応管203、マニホールド209及びシールキャップ219により、処理室201が形成されている。
【0046】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通し、ボート217を支持するボート支持台218を介して後述するボート217に接続されている。回転機構267を作動させ、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させることができるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって、垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内外に搬入搬出することが可能となっている。
【0047】
図5に示す通り、ボート217は、ボート支持台218に固定された底板210とその上方に配置された天板211とを有しており、底板210と天板211との間に複数本の支柱212が架設された構成を有している。ボート217には、複数枚のウエハ200が保持されるように構成されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持した状態でボート217の支柱212に支持されるように構成されている。
【0048】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積層された状態において、ボート217がボート支持体218で支持されながら処理室201に挿入され、ヒータ207が処理室201内に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0049】
図4及び図5に示す通り、処理室201には、複数種の原料ガス(反応ガス)、不活性ガス、改質ガス(酸化剤)、クリーニングガスを供給する2本のガス供給管310、320(第1のガス供給管310、第2のガス供給管320)が接続されている。
【0050】
ガス供給管310には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ312、気化ユニット(気化手段)である気化器700及び開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310の先端部(下流端)には、ノズル410(第1のノズル410)の上流端が連結されている。ノズル410は、垂直部と水平部とを有するL字形状に構成されている。ノズル410の垂直部は、処理室201を構成
している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿った上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル410の水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔410aが設けられている。ガス供給孔410aは、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0051】
さらに、ガス供給管310には、気化器700とバルブ314との間に、後述の排気管231に接続されたベントライン610の上流端が連結されている。ベントライン610にはバルブ614が設けられている。原料ガスを処理室201内に供給しない場合は、バルブ314,324を閉めた状態でバルブ614を開け、バルブ614を介して原料ガスをベントライン610へ排出する。
【0052】
また、ガス供給管310のバルブ314の下流端には、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス供給管510の下流端が接続されている。キャリアガス供給管510には、上流側から順にマスフローコントローラ512及びバルブ514が設けられている。
【0053】
さらに、ガス供給管310には、ガス供給管510との接続部より処理室210に近い部位でガス供給管740の下流端が接続されている。ガス供給管740の上流側には、ガス供給管710の下流端、ガス供給管810の下流端、ガス供給管910の下流端がそれぞれ接続されている。ガス供給管710には、上流側から順にマスフローコントローラ712及びバルブ714が設けられている。ガス供給管810には、上流側から順にマスフローコントローラ812及びバルブ814が設けられている。ガス供給管910には、上流側から順にマスフローコントローラ912及びバルブ914を有するガス供給管910が設けられている。
【0054】
ガス供給管320には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御手段)であるマスフローコントローラ322及びバルブ324が設けられている。ガス供給管320の先端部(下流端)にはノズル420(第2のノズル420)の上流端が連結されている。ノズル420は、垂直部と水平部とを有するL字形状に構成されている。ノズル420の垂直部は、ノズル410の垂直部と同様に、処理室201を構成している反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁に沿って上下方向(ウエハ200の積載方向)に延在している。ノズル420の水平部は、マニホールド209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル420の側面には、原料ガスを供給する多数のガス供給孔420aが設けられている。ガス供給孔420aも、ガス供給孔410aと同様に、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。
【0055】
さらに、ガス供給管320のバルブ324の下流端には、キャリアガスとしての不活性ガスを供給するキャリアガス供給管520の下流端が連結されている。キャリアガス供給管520には、上流側から順にマスフローコントローラ522及びバルブ524が設けられている。
【0056】
また、ガス供給管320には、ガス供給管520との接続部より処理室210に近い部位でガス供給管750の下流端が接続されている。ガス供給管750の上流側には、ガス供給管720の下流端、ガス供給管820の下流端、ガス供給管920の下流端がそれぞれ接続されている。ガス供給管720には、上流側から順にマスフローコントローラ722及びバルブ724が設けられている。ガス供給管820には、上流側から順にマスフローコントローラ822及びバルブ824が設けられている。ガス供給管920には、上流
側から順にマスフローコントローラ922及びバルブ924が設けられている。
【0057】
例えばガス供給管310内に供給される原料が液体の場合、ガス供給管310から供給される液体原料は、マスフローコントローラ312により流量調整されつつ、気化器700に供給される。気化器700にて液体原料が気化することで発生した原料ガス(反応ガス)としての気化ガスは、バルブ314を介してガス供給管310の下流側へと流れ、キャリアガス供給管510から供給されたキャリアガスと合流し、更にノズル410を介して処理室201内に供給される。また、バルブ314およびバルブ324の制御により、原料ガス(反応ガス)としての気化ガスは、ガス供給管310のみから処理室201内に供給されるか、ガス供給管320のみから処理室201内に供給されるか、あるいはガス供給管310及びガス供給管320の両方から処理室201内に供給されるようにすることが出来る。また、例えばガス供給管310内に供給される原料が気体の場合、マスフローコントローラ312を気体用のマスフローコントローラに交換し、気化器700は不要となる。
【0058】
上記構成に係る一例として、ガス供給管310には、原料ガスの一例としてAl原料(トリメチルアルミニウム(TMA)、塩化アルミニウム(AlCl))もしくはTi原料(四塩化チタン(TiCl)やテトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT、Ti[N(CH)、テトラキスジエチルアミノチタン(TDEAT、Ti[N(CHCH)等)が導入される。ガス供給管320には、原料ガス(改質原料)の一例として窒化剤であるアンモニア(NH)、窒素(N)、亜酸化窒素(NO)、モノメチルヒドラジン(CH)等が導入される。
【0059】
さらに、ガス供給管710内及びガス供給管720内には、改質ガスである酸素含有ガス(酸化剤)として例えばOが導入される。また、ガス供給管810内及びガス供給管820内には、改質ガス中に添加する還元剤として例えばHが導入される。OとHとは、それぞれガス供給管740内及びガス供給管750内を通ってガス供給管310内及びガス供給管320内で混合し、さらにノズル410及びノズル420をそれぞれ介して処理室201内に供給される。ここで、酸化剤としては、Oの他、例えばO、HO、H+O、CO、SOおよびNO(xは1以上の整数)等を単体で用いるか、あるいはこれらの混合ガスを用いることができる。なお、改質ガス中にHガスを添加しない場合には、ガス供給管810内及びガス供給管820を用いなくても良い。また、ガス供給管710もしくはガス供給管720のどちらか1本のみによる構成であっても良い。
【0060】
改質ガス(酸化剤)としては様々な物質を用いることができるが、中でもHOは、後述するエッチング対象の膜(例えば窒化アルミニウム膜)を酸化させやすく、また、オゾナイザ等の装置も必要なくコストの低減を図ることができるため好ましい。更には、本実施形態のように、OにHを添加した混合ガスを用いるのがより好ましい。このように構成すれば、バブリングによりHOガスを発生させる場合よりも、より大量の水分を処理室201内に供給でき、酸化力を高めることができる。なお、Oも酸化力が強いことから好適に用いることができるが、別途オゾナイザが必要となる。O単体も、HOやOを用いる場合と比較して酸化レートが低下しやすくなるが、利用可能である。
【0061】
ガス供給管910内及びガス供給管920内には、上流側からクリーニングガス(エッチングガス)が導入される。クリーニングガスは、ガス供給管740内及びガス供給管750内を通ってガス供給管310内及びガス供給管320内へ供給され、さらにノズル410及びノズル420をそれぞれ介して処理室201内に供給される。
【0062】
クリーニングガスとしては、後述するエッチング対象の膜(例えば窒化アルミニウム膜
を改質処理して得られる酸化アルミニウム膜等)成分の活性化エネルギー(例えばAl−O結合等の活性化エネルギー)より高いエネルギーを有する化合物を含むガスを用いることが好ましい。そして、エッチング対象の膜と反応することで、蒸気圧が高くガスとして除去が容易な金属化合物を生成するようなガスを用いることが好ましい。例えばB元素を含有するハロゲン系ガスであるBCl、HCl、Cl、SiCl、HBr、BBr、SiBr、およびBr等、あるいはこれらの混合ガスを、クリーニングガスとして好適に用いることができる。なお、F元素を含有するガスは、エッチング対象の膜と反応すると蒸気圧の低い(ガスとして除去することが困難な)金属化合物(例えばAlF等)を生成するため、クリーニングガスとしては好ましくない。
【0063】
表1に、クリーニングガスとして利用可能なハロゲン化合物の一例とその物性値を示す。また、表2に、エッチング反応により生成され得るTiのハロゲン化合物およびAlのハロゲン化合物の一例とその物性値を示す。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
表1に示すように、融点及び沸点を考慮すると、BCl、BBr、BIはいずれもクリーニングガスとして好適に用いることが出来る。但し、BIを気化させるには加熱する必要があるため、BCl、BBrを用いることがより好ましい。なお、BBrは常温で液体だが、蒸気圧が低いため、クリーニングガスとしての利用も容易であると考えられる。
【0067】
また、例えばBClを用いて酸化チタン膜をエッチングした場合、反応生成物として、表2に示すようにTiCl、TiBr、TiI等のハロゲン化合物が生成される。ここで、TiBrもAlClと同程度の蒸気圧を有すると考えられ、ガスとして容易に除去することが可能である。また、例えばBClを用いて酸化アルミニウム膜をエッチングした場合には、反応生成物としてAlCl,AlBr,AlI等のハロゲン化合物が生成される。ここで、AlBrもAlClと同程度の蒸気圧を有すると考えられ、ガスとして容易に除去することが可能である。
【0068】
主に、ガス供給管310、マスフローコントローラ312、気化器700、バルブ314、ノズル410、ガス供給孔410aにより、TMA供給ラインが構成される。また、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ324、ノズル420、ガス供給孔420aにより、NH供給ラインが構成される。また、主に、TMA供給ライン及びNH供給ラインにより、処理室201内に複数の原料ガス(例えばTMAやNH)を供給する原料ガス供給系が構成されている。
【0069】
また、主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ514、ガス供給管310、ノズル410、ガス供給孔410a、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ524、ガス供給管320、ノズル420、ガス供給孔420aにより、処理室201内にキャリアガス或いはパージガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給系が構成されている。
【0070】
また、主に、ガス供給管710、マスフローコントローラ712、バルブ714、ガス供給管810、マスフローコントローラ812、バルブ814、ガス供給管740、ガス供給管310、ノズル420、ガス供給孔420a、ガス供給管720、マスフローコントローラ722、バルブ724、ガス供給管820、マスフローコントローラ822、バルブ824、ガス供給管750、ガス供給管320、ノズル420、ガス供給孔420aにより、処理室201内に改質ガスである酸素含有ガス(酸化剤)を供給する酸素含有ガス供給系が構成されている。
【0071】
また、主に、ガス供給管910、マスフローコントローラ912、バルブ914、ガス供給管740、ガス供給管310、ノズル410、ガス供給孔410a、ガス供給管920、マスフローコントローラ922、バルブ924、ガス供給管750、ガス供給管320、ノズル420、ガス供給孔420aにより、処理室201内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系が構成されている。
【0072】
反応管203には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246を作動させ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度を調整することで、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ243は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に、弁開度を調整して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成されている。
【0073】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布になるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410および420と同様にL字型に構成されており、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0074】
反応管203内の中央部にはボート217が設けられている。上述したように、ボート217は、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を昇降させることで反応管203内外に搬入搬出することができるようになっている。また、上述したように、ボート217を支持するボート支持台218の下端部には、処理の均一性を向上するようボート217を回転させるボート回転機構267の回転軸255が接続されている。ボート
回転機構267を駆動させることにより、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させることができるようになっている。
【0075】
以上のマスフローコントローラ312,322,512,522,712,722,812,822,912,922、バルブ314,324,514,524,614,714,724,814,824,914,924、ヒータ207、真空ポンプ246、APCバルブ243、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、圧力センサ245、温度センサ263等の各部材は、コントローラ280に接続されている。コントローラ280は、基板処理装置101の全体の動作を制御する制御部(制御手段)の一例であって、マスフローコントローラ312,322,512,522,712,722,812,822,912,922の流量調整、バルブ314,324、514,524,614,714,724,814,824,914,924の開閉動作、APCバルブ243の開閉及び圧力センサ245からの圧力情報に基づく圧力調整動作、温度センサ263からの温度情報に基づくヒータ207の温度調整、真空ポンプ246の起動・停止、ボート回転機構267の回転速度調節、ボートエレベータ115の昇降動作等をそれぞれ制御するようになっている。
【0076】
[第1の実施形態]
<膜形成方法、膜改質方法及びクリーニング方法>
次に、上述の基板処理装置101の処理炉202を用いて半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、処理室201内でウエハ200上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する方法、形成した膜を改質する方法、および、処理室201内をクリーニングする方法について説明する。成膜方法としては、成膜原料としてアルミニウム原料であるTMAを用い、窒化剤としてNHを用い、ALD(Atomic Layer Deposition)法により、ウエハ200上に窒化アルミニウム膜(AlN)を成膜する例について説明する。また、クリーニング方法としては、クリーニングガスとしてBClガスを用いて、熱化学反応により処理室201内をクリーニングする例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作は、コントローラ280により制御される。
【0077】
(1)成膜工程
まず、処理室201内でウエハ200上に窒化アルミニウム膜を成膜する方法について図6を用いて説明する。本実施形態では、例えばALD法を用いて基板上に成膜を行う例について説明する。ALD法とは、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる少なくとも2種類の原料となる原料ガスを1種類ずつ交互に基板上に供給し、1原子単位で基板上に吸着させ、表面反応を利用して成膜を行う手法である。このとき、膜厚の制御は、原料ガスを供給するサイクル数で行う(例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合、20サイクル行う)。
【0078】
成膜プロセスでは、コントローラ280が、基板処理装置101を下記の通りに制御する。すなわち、ヒータ207を制御して処理室201内を400℃以下であって、好ましくは350℃に保持する。その後、処理室201内にウエハ200を搬入する第1の工程を実施する。すなわち、複数枚のウエハ200をボート217に装填し(ウエハチャージ)、ボート217を処理室201内に搬入する。その後、ボート217をボート駆動機構267により回転させ、ウエハ200を回転させる。その後、真空ポンプ246を作動させるとともにAPCバルブ243を開いて処理室201内を真空引きし、ウエハ200の温度が350℃に達して温度等が安定したら(圧力・温度調整)、処理室201内の温度を350℃に保持した状態で、後述する4つのステップを順次実行してウエハ200上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する第2の工程を実施する。
【0079】
(ステップ11)
第2の工程におけるステップ11では、処理室201内にTMAを流す。TMAは常温で液体であり、処理室201内に供給するには、加熱して気化させてから供給する方法や、気化器700により気化させてから供給する方法、すなわちキャリアガスと呼ばれるHe(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)、N(窒素)などの不活性ガスを気化器700が備えるTMA容器の中に通し、気化している分をそのキャリアガスと共に処理室201内へと供給する方法などがあるが、例として後者のケースで説明する。
【0080】
処理室201内にTMAを流すには、ガス供給管310内にTMAを、キャリアガス供給管510内にキャリアガス(N)を流す。そして、ガス供給管310のバルブ314、キャリアガス供給管510のバルブ512、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管510内を流れ、マスフローコントローラ512により流量調整される。TMAは、ガス供給管310内を流れ、マスフローコントローラ312により流量調整され、気化器700により気化され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内に供給されつつ排気管231から排気される。この時、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を10Torr(約1333Pa)以下の範囲であって、好適には0.4Torr(約53Pa)とする。TMAにウエハ200を晒す時間は1分以下であって、例えば6秒間とする。
【0081】
このとき、処理室201内に流しているガスは、TMAとN、Ar等の不活性ガスのみであり、NHは存在しない。したがって、TMAは気相反応を起こすことはなく、ウエハ200の表面や下地膜と表面反応(化学吸着)して、原料(TMA)の吸着層またはAl層(以下、Al含有層)を形成する。TMAの吸着層とは、原料分子の連続的な吸着層の他、不連続な吸着層をも含む。Al層とは、Alにより構成される連続的な層の他、これらが重なってできるAl薄膜をも含む。尚、Alにより構成される連続的な層をAl薄膜という場合もある。
【0082】
同時に、バルブ524を開け、ガス供給管320の途中につながっているキャリアガス供給管520から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管320内にTMAが回り込むことを防ぐことができる。
【0083】
(ステップ12)
第2の工程におけるステップ12では、ガス供給管310のバルブ314を閉めて処理室201内へのTMAの供給を停止し、バルブ614を開けてベントライン610へTMAを流す。このように、TMAの気化を停止させずに処理室201内へのTMAの供給を停止することで、TMAの供給再開を迅速かつ安定して行うことができる。このときガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、残留TMAを処理室201内から排除する。このとき、N等の不活性ガスを処理室201内へ供給すると、残留TMAを排除する効果が更に高まる。
【0084】
(ステップ13)
第2の工程におけるステップ13では、処理室201内にNHを流す。すなわち、ガス供給管320内にNHを、キャリアガス供給管520内にキャリアガス(N)を流す。そして、ガス供給管320のバルブ324、キャリアガス供給管520のバルブ522、および排気管231のAPCバルブ243を共に開ける。キャリアガスは、キャリアガス供給管520内を流れ、マスフローコントローラ522により流量調整される。NHは、ガス供給管320内を流れ、マスフローコントローラ322により流量調整され、流量調整されたキャリアガスと混合し、ノズル420のガス供給孔420aから処理室2
01内に供給されつつ排気管231から排気される。NHを流すときは、APCバルブ243を適正に調節して処理室201内の圧力を10Torr(約1333Pa)以下の範囲であって、例えば7Torr(約933Pa)に維持する。また、NHの供給流量は、10slm以下であって好適には7.5slmとする。NHにウエハ200を晒す時間は3分以下であって、例えば45秒間とする。
【0085】
同時に、バルブ514を開け、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510内から不活性ガスを流す。これにより、処理室201内からガス供給管310内にNHが回り込むことを防ぐことができる。
【0086】
NHの供給により、ウエハ200上に化学吸着したAl含有層とNHとが表面反応(化学吸着)して、ウエハ200上に窒化アルミニウム膜が成膜される。
【0087】
(ステップ14)
第2の工程におけるステップ14では、ガス供給管320のバルブ324を閉めて処理室201内へのNHの供給を止める。また、ガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままにし、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下に排気し、残留NHを処理室201内から排除する。また、この時には、N等の不活性ガスを、NH供給ラインを構成するガス供給管320およびTMA供給ラインを構成するガス供給管310からそれぞれ処理室201内に供給してパージすると、残留NHを排除する効果が更に高まる。
【0088】
上記ステップ11〜14を1サイクルとし、少なくとも1回以上行なうことによりウエハ200上にALD法を用いて所定膜厚の窒化アルミニウム膜を成膜する。この場合、各サイクル中で、上記の通りに、ステップ11におけるAl含有原料ガスにより構成される雰囲気と、ステップ13における窒化ガスにより構成される雰囲気の夫々の雰囲気が処理室201内で混合しないように成膜することに留意する。
【0089】
所定膜厚の窒化アルミニウム膜を成膜した後、処理室201内を真空引きし、その後、処理室201内にN等の不活性ガスを供給しつつ排気して、処理室201内をパージする。処理室201内をパージした後、処理室201内がN等の不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0090】
その後、処理室201内から処理後のウエハ200を搬出する第3の工程を実施する。すなわち、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済のウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0091】
(2)改質工程
次に、処理室201内に改質ガス(酸化剤)を供給して処理室201内に付着した導電性膜もしくは絶縁性膜としての窒化アルミニウム膜を改質する第4の工程としての改質工程について説明する。図7に示すように、本実施形態では、上述の成膜工程(第1の工程〜第3の工程の繰り返し)を一度行なうごとに改質工程を実施して、処理室201内に付着した窒化アルミニウム膜を改質する。例えば、成膜工程にて付着した窒化アルミニウム膜をH及びOを用いて酸化する改質工程について、以下に説明する。
【0092】
まず、空のボート217、すなわちウエハ200を装填していないボート217が、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートローディン
グ)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0093】
次いで、処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ243の開度がフィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254によりボート217が回転させられる。なお、ボート217は回転させなくてもよい。処理室201内は、400℃〜800℃の間の温度であって、例えば600℃に保持する。処理室201内の温度が600℃に達して温度等が安定したら、処理室201内の温度を600℃に保持した状態で、次の処理を行なう。また、処理室201内の圧力は0.5〜760Torrとする。
【0094】
ガス供給管710、ガス供給管810、ガス供給管720、ガス供給管820のバルブ714、724、814、824をそれぞれ開き、ガス供給管710内及びガス供給管720内に改質ガスである酸素含有ガス(酸化剤)としてのOを、ガス供給管810内及びガス供給管820内に改質ガス中に添加する還元剤としてのHをそれぞれ流す。Hは、ガス供給管710内及びガス供給管720内を流れ、マスコントローラ712及びマスコントローラ722によりそれぞれ流量調整され、ガス供給管740内及びガス供給管750内に流れる。Oは、ガス供給管810内及びガス供給管820内を流れ、マスコントローラ712及びマスコントローラ722によりそれぞれ流量調整され、ガス供給管740内及びガス供給管750内に流れる。HおよびOは、それぞれ、ガス供給管740内及びガス供給管750内を流れてガス供給管310内及びガス供給管320内を通り、ノズル410のガス供給孔410a及びノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給される。尚、還元剤及び酸化剤であるH及びOは、0.5〜20slmとなるようマスコントローラ712及びマスコントローラ722がコントローラ280により制御される。
【0095】
処理室201内では、H及びOが混合してHOとなり、プロセスチューブ203内壁等に付着した窒化アルミニウム膜を酸化させて、酸化アルミニウム膜へと改質する。なお、酸化剤による酸化力は、処理室201内の温度分布に影響を受け、比較的低温の領域(例えば炉口部)等では低くなる。但し、このような低温の領域では、そもそも付着する窒化アルミニウム膜の膜厚が薄いため、酸化力の低下は問題とならない。酸化力が低下したとしても、窒化アルミニウム膜を充分に酸化させ、酸化アルミニウム膜へ改質することが可能である。
【0096】
窒化アルミニウム膜を酸化アルミニウム膜へと十分に酸化・改質させたら、ガス供給管710、ガス供給管810、ガス供給管720、ガス供給管820のバルブ714、724、814、824をそれぞれ閉めて、H及びOの供給を止める。また、ガス排気管231のAPCバルブ243は開いたままにし、真空ポンプ246により、処理室201内を20Pa以下に排気し、残留NHを処理室201内から排除する。また、この時には、N等の不活性ガスを、NH供給ラインを構成するガス供給管320内およびTMA供給ラインを構成するガス供給管310内からそれぞれ処理室201内に供給してパージすると、残留NHを排除する効果が更に高まる。
【0097】
このように、成膜工程(ステップ11〜14の繰り返し)の終了ごとに処理室201内壁等に付着した窒化膜を酸化しておくことで、後述するクリーニング工程を実施する時に、既に膜が一部酸化された状態になっているため、膜のエッチング時間を短縮することが
出来る。
【0098】
(3)クリーニング工程
次に、処理室201内にクリーニングガスを供給して処理室201内に付着した導電性膜もしくは絶縁性膜である堆積物を除去する第5の工程としてのクリーニング工程について説明する。本実施形態では、改質工程で改質した酸化アルミニウム膜をクリーニングガスであるBClでクリーニングする例について、以下に説明する。
【0099】
ガス供給管910及びガス供給管920のバルブ914及びバルブ924をそれぞれ開き、ガス供給管910内及びガス供給管920内にクリーニングガス、すなわちエッチングガスとしてのハロゲン系ガスであるBClを流す。BClは、マスコントローラ912及び922により流量調整され、ガス供給管910内及びガス供給管920内からガス供給管740内及びガス供給管750内に流れ、ガス供給管310内及びガス供給管320内を通り、ノズル410及びノズル420のガス供給孔410a及びガス供給孔420aから処理室201内に供給される。
【0100】
エッチングガスは、100%から20%程度にN等の不活性ガスで希釈した濃度で用いてもよく、エッチングガスを希釈して使用する場合には、キャリアガス供給管510及びキャリアガス供給管520のバルブ514及びバルブ524をも開とする。Nは、キャリアガス供給管510内及びキャリアガス供給管520内を流れ、マスコントローラ512及びマスコントローラ522により流量調整され、流量調整されたエッチングガスとガス供給管310内及びガス供給管320内において混合されてノズル410及びノズル420のガス供給孔410a及びガス供給孔420aから処理室201内に供給される。
【0101】
このとき、処理室201内へのBClの供給は連続的に行なっても良いが、排気管231からの排気と交互に間欠的(断続的)に行なっても良い。すなわち、サイクルエッチングによるクリーニングを行なっても良い。具体的には、図7に示すように、次のステップ21〜24を1サイクルとして、このサイクルを所定回数繰り返すことでクリーニング工程を行っても良い。
【0102】
(ステップ21)
APCバルブ243を開いた状態で処理室201内を真空排気する。処理室201内の圧力が第1圧力に到達した後、APCバルブ243を閉じる。これにより処理室201内及び排気系を封止する。
【0103】
(ステップ22)
その状態、すなわちAPCバルブ243が閉じられ処理室201内の圧力が第1圧力となった状態で、バルブ914及びバルブ924を開き、処理室201内へBClを一定時間供給する。このとき、バルブ514及びバルブ524を開き、処理室201内へN等の不活性ガスを供給してエッチングガスを希釈するようにしてもよい。処理室201内の圧力が第2圧力となったところでバルブ914及びバルブ924を閉じ、処理室201内へのBClの供給を停止する。このとき、N等の不活性ガスを供給していた場合は、バルブ514及びバルブ524も閉じ、処理室201内への不活性ガスの供給も停止する。これによりガス供給系を封止する。このとき、全てのバルブが閉じられた状態となる。すなわち、ガス供給系および排気系が共に封止された状態となる。これにより、処理室201内が封止され、処理室201内にBClを封じ込めた状態となる。
【0104】
(ステップ23)
その状態、すなわち、ガス供給系および排気系を封止することで処理室201内を封止し、処理室201内にBClを封入した状態を所定時間維持する。
【0105】
(ステップ24)
所定時間経過後、APCバルブ243を開き、排気管231を通して処理室201内の真空排気を行う。その後、バルブ514及びバルブ524を開き、処理室201内にN等の不活性ガスを供給しつつ排気管231より排気し、処理室201内のガスパージを行う。
【0106】
以上のステップ21〜24を1サイクルとして、このサイクルを所定回数繰り返すことでサイクルエッチングによるクリーニングを行う。このように、クリーニングの際、APCバルブ243を一定時間閉じるステップと、APCバルブ243を一定時間開くステップと、を所定回数繰り返すようにする。すなわち、APCバルブ243の開閉を間欠的(断続的)に所定回数繰り返すようにする。サイクルエッチングによるクリーニングによれば、1サイクルあたりのエッチング量を確認しておくことで、サイクル回数によりエッチング量を制御することができる。また、連続的にエッチングガスを流してクリーニングする方式に比べ、ガスの消費量を少なくすることができる。
【0107】
処理室201内に導入されたBClは、処理室201内全体に拡散し、処理室201内、すなわちプロセスチューブ203の内壁やボート217に付着した酸化アルミニウム膜を含む堆積物と接触する。酸化アルミニウム膜をエッチングできる理由は、BClが分解して出来るB元素がAl−O結合を切断するためであると考えられる。このとき、堆積物とBClとの間に熱的な化学反応が生じ、Al−Cl結合或いはB−O結合を有する例えばAlCl等の反応生成物が生成される。Al−Cl結合を有する化合物は蒸気圧が高いため、生成された反応生成物は、排気管231から処理室201の外部へ排気される。このようにして、堆積物が除去(エッチング)され、処理室201内のクリーニングが行われる。
【0108】
予め設定された回数だけ上記サイクルが行われると、処理室201内を真空引きし、その後、処理室201内にN等の不活性ガスを供給しつつ排気し、処理室201内をパージする。処理室201内をパージした後、処理室201内がN等の不活性ガスに置換される。
【0109】
なお、上記サイクルエッチングによるクリーニングの処理条件としては、
処理温度:500〜850℃、
第1圧力:1.33〜13300Pa、
第2圧力:13.3〜66500Pa、好ましくは13300〜26600Pa、
BCl供給流量:0.5〜5slm、
ガス供給時間(遷移時間):0.1〜15min、
ガス封入時間(封入時間):0.1〜15min、
排気時間:0.1〜10min、
サイクル数:1〜100回、
が例示され、それぞれのクリーニング条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでクリーニングがなされる。
【0110】
処理室201内のクリーニングが完了したら、再び上述したウエハ200に対する膜の成膜工程(第1の工程〜第3の工程)を実施する。すなわち、複数枚のウエハ200が装填されたボート217を処理室201内に搬入し、ステップ11〜14を繰り返してウエハ200上に窒化アルミニウム膜を形成し、処理後のウエハ200を装填したボート217を処理室201外へと搬出する。さらに、必要に応じて上述の改質工程(第4の工程)を再び実施した後、上述のクリーニング工程(第5の工程)を再び実施してプロセスチューブ203内のクリーニングを行なう。
【0111】
本実施形態によれば、クリーニング工程を行う前に改質工程を行ない、窒化アルミニウム膜を酸化アルミニウム膜に予め改質する。BClが分解して出来るB元素は、Al−O結合を容易に切断することが可能であるため、窒化アルミニウム膜(改質された酸化アルミニウム膜)を確実にエッチングすることが可能となる。また、エッチングにより、Al−Cl結合或いはB−O結合を有する化合物(反応生成物)が生成されるが、Al−Cl結合を有する化合物(例えばAlCl)は蒸気圧が高いため、ガスとして容易に除去することが可能である。
【0112】
なお、本実施形態によれば、図7に示すように成膜工程(ステップ11〜14の繰り返し)を1回実施する度に改質工程を行う。これにより、改質工程にて酸化させるべき窒化アルミニウム膜の膜厚を薄くすることができ、窒化アルミニウム膜をより確実に酸化させることが可能となる。また、1回の改質工程にて酸化させるべき窒化アルミニウム膜の膜厚を薄くすることにより、酸化に要する時間を短縮することができ、酸化レートを上げることが可能となる(膜が厚いと酸化剤が膜中で拡散しにくく徐々に酸化レートが落ちてしまう)。その結果、クリーニング工程において、窒化アルミニウム膜(改質された酸化アルミニウム膜)をより確実にエッチングすることができる。
【0113】
また、本実施形態によれば、改質工程を実施した後、クリーニング工程を行なう前に処理室201内のパージを行なっており、処理室201内に酸化剤が残留していない。そのため、クリーニングガス中に酸化剤が添加されてしまうことを回避でき、処理室201内やガス供給系内の部材の腐食を確実に防ぐことができる。
【0114】
[第2の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。成膜工程は第1の実施形態と同じである。改質工程とクリーニング工程に関しても行なう内容は同じだが、図8のように各工程を行なうタイミングが異なり、本実施形態ではエッチング対象の窒化アルミニウム膜が所定膜厚まで成膜した後に改質工程とクリーニング工程とを連続して実施する。また、図8,9に示すように、改質工程とクリーニング工程とをそれぞれ1回のみ行なうのではなく、これらをサイクリックに繰り返す。
【0115】
具体的には、成膜工程(ステップ11〜14の繰り返し)を所定回数行なうことで、処理室201内に付着した窒化アルミニウムの膜厚が所定の膜厚に達したら、空のボート217を処理室201内に搬入し、処理室201内の圧力及び温度を調整した後、窒化アルミニウム膜の一部を酸化し(ステップ31)、酸化剤を除去し(ステップ32)、改質された酸化アルミニウム膜をクリーニングガスによりエッチングし(ステップ33)、クリーニングガスを処理室201内から除去する(ステップ34)。そして、ステップ31からステップ34をサイクリックに所定回数繰り返す。
【0116】
本実施形態によれば、改質工程やクリーニング工程を実施する際に必要となるオーバーヘッドタイム(例えばボート217の昇降時間や処理室201内の圧力・温度調整時間)を極力省略することができ、基板処理の生産性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、改質工程とクリーニング工程とをそれぞれ1回のみ行なうのではなく、サイクリックに所定回数繰り返すことにより、除去対象の窒化アルミニウム膜が厚い場合であってもより確実に除去することが出来る。
【0117】
[第3の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。本実施形態に係る成膜工程は第1の実施形態と同じである。改質工程とクリーニング工程に関しても行なう内容は同じだが、各工程を行なうタイミングが異なる。すなわち、第1の実施形態では、改質工
程とクリーニング工程とを定期的に行なうようにしていたが、本実施形態では、改質工程とクリーニング工程とを、不定期に、例えば生産(基板処理)ロットに空き時間が生じた場合等に実施するようにしている。
【0118】
係る場合、コントローラ280は、成膜工程の繰り返し回数に基づいて累積膜厚を算定し、算出した膜厚値に基づいて改質工程とクリーニング工程とを行なうか否か旨を判定する。なお、累積膜厚は、処理室201内に配置する図示しないセンサ等からコントローラ280が取得するようにしてもよい。また、累積膜厚を算定することなく、成膜工程の繰り返し回数に基づいて判定してもよい。改質処理やクリーニング処理の処理条件は、算出した膜厚値に基づいてコントローラ280が決定する。なお、コントローラ280が備える記憶手段に複数のレシピ(例えば成膜工程を10回繰り返したときの改質処理及びクリーニング処理のレシピ、成膜工程を15回繰り返したときの改質処理のレシピ、クリーニング処理のレシピ・・・)を予め登録しておき、改質工程とクリーニング工程を行なう際に、コントローラ280が記憶手段から最適なレシピを選択して読み出すようにしてもよい。
【0119】
本実施形態によれば、生産ロットの空き時間等に改質工程とクリーニング工程とを不定期に実行することで、生産を停止する回数を減らすことができ、生産停止の時間を低減できる。また、成膜工程の繰り返し回数に基づいて最適な処理条件(或いはレシピ)が選択されるため、クリーニングの不足やオーバークリーニングを回避することができる。
【0120】
[第4の実施形態]
本実施形態では、第2の実施形態と異なる箇所のみ説明する。本実施形態では、所定膜厚まで成膜した後に、1度だけ改質工程を行なった後、クリーニング工程を所定回数行なう。
【0121】
具体的には、図10のように、窒化アルミニウムを酸化した後(ステップ41)、酸化剤を除去し(ステップ42)、クリーニングガスを処理室201内に供給し(ステップ43)、クリーニングガスを処理室201内から除去する(ステップ44)。ステップ43及びステップ44を1サイクルとし、所定サイクル数だけクリーニングを行なうことにより、プロセスチューブ203内に付着した膜を除去することが出来る。ここで、クリーニングガスは間欠的に供給するよう述べたが、連続的に流し続けても良い。
【0122】
[第5の実施形態]
本実施形態では、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。本実施形態では、1度の成膜終了時の酸化方法として、酸化剤を用いるのではなく、ボート217を挿入する際に大気雰囲気を処理室201内に巻き込ませることにより、大気中の水分や酸素を、プロセスチューブ203内に堆積した膜と反応させるという方法を採用する。
【0123】
上述の第1〜第5の実施形態により、成膜後、そのままではクリーニングが出来ない膜を除去することが可能となる。
【0124】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0125】
例えば、本発明は、上述の実施形態のように窒化アルミニウム膜に適用されるのみならず、膜Xが直接ガスクリーニングできない場合に、膜Xを成膜後、膜Xを酸化し、酸化した膜Yをクリーニングガスにより除去するという段階を踏んで除去できる膜であれば、どんな膜種であっても適用可能である。すなわち、本発明は、改質後の膜がクリーニングガ
スの成分と結合し、蒸気圧の高いハロゲン化合物(反応生成物)が生成されるような膜であれば、窒化アルミニウム(AlN)膜に限らず、例えば窒化チタン(TiN)膜、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜、窒化チタンシリコン(TiSiN)膜、窒化タンタル(TaN)膜、窒化タンタルシリコン(TaSiN)膜、窒化ホウ素(BN)膜、窒化ハフニウム(HfN)膜、窒化タングステン(WN)膜、窒化シリコン(SiN)膜等のような他の窒化膜をエッチングする場合にも好適に適用可能である。また、例えば、窒化チタン膜と窒化アルミニウム膜との積層膜のように組成の異なるラミネート状の極薄膜積層膜をエッチングする場合にも好適に適用可能である。
【0126】
また例えば、成膜工程で用いる原料ガスは、成膜工程にて形成される膜(エッチング対象の膜)が上述の窒化膜である限り、上述の実施形態で示したガス種に限定されない。
【0127】
また例えば、改質ガスは、改質後の膜を組成する元素の間の結合エネルギーが、クリーニングガスのクリーニング成分と改質後の膜を組成する元素との結合エネルギーより小さくなるようなガスであれば、上述の実施形態にて示したガス以外の他のガスも好適に用いることができる。
【0128】
また例えば、クリーニングガスは、BClに限らず、BCl、HCl、Cl、SiCl、HBr、BBr、SiBr、およびBr等他のクリーニングガスであっても適用可能である。
【0129】
また例えば、上述の実施形態では、処理室201内に改質ガス(酸化剤)を供給した後、クリーニング工程を開始する前に、処理室201内に残留している酸化剤をパージにより除去していたが、本発明は係る形態に限定されない。すなわち、処理室201内に残留している酸化剤ガスを除去することなく、クリーニング工程を開始してもよい。このように構成すると、クリーニング工程を開始する際に、処理室201内に残留している改質ガスが、処理室201内に供給されたクリーニングガス(BCl)中に添加される。そして、酸化剤に含まれるO元素が、BClを構成するB−Cl結合にアタックしてBClの分解を促す。これにより、一定の酸素濃度の範囲では、エッチングレートを向上させる場合がある。但し、酸化剤としてHOを用いる場合には、改質が完了した後にパージしないと、ガス供給系の配管などを腐食させてしまう場合がある。
【実施例】
【0130】
以下に、本発明の実施例を説明する。
【0131】
[実施例1]
以下に、本発明の実施例1を図11,図12を参照しながら説明する。図11,図12は、改質工程を実施した後の窒化アルミニウム膜の深さ方向の組成分布を示すグラフ図である。
【0132】
図11,図12の横軸は、改質工程を実施した後の窒化アルミニウム膜表面からの深さ(nm)を示している。縦軸は、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定した窒化アルミニウム膜の深さ方向の元素濃度(atomic%)を示している。図11,図12に示す評価では、シリコンウエハ上に形成された厚さ23nmの窒化シリコン膜を、改質ガス(酸化剤)としてHOを用いてそれぞれ酸化させた。酸化時間(HO雰囲気に曝した時間)をそれぞれ1分、5分とした。
【0133】
図11,図12から分かるとおり、改質工程を実施することにより、窒化アルミニウム膜の表面が酸化され、含有酸素濃度が増加するとともに含有窒素濃度が低減されている。すなわち、改質工程を実施することにより、窒化アルミニウム膜の表面が酸化アルミニウ
ム膜に改質されることが分かる。また、酸化時間を長くすることで、酸化アルミニウム膜に改質される深さが増加することが分かる。
【0134】
[実施例2]
本実施例では、窒化チタン(TiN)膜、窒化アルミニウム(AlN)膜、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜、酸化アルミニウム(AlO)膜が表面に形成された各評価サンプルに対してクリーニングガスを供給し、各種膜のエッチングを試みた。
【0135】
最初の評価では、評価サンプルに対して改質工程を行なわずに、クリーニング工程のみを行なった。クリーニングガスとしてはBClを単体で用いた。その結果、酸化アルミニウム膜については充分なエッチング効果が得られた。しかしながら、窒化チタン膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタンアルミニウム膜については充分なエッチング効果が得られなかった。
【0136】
続いての評価では、評価サンプルに対して改質工程を行なわずに、クリーニング工程のみを行なった。クリーニングガスとしてはBClにOを2%添加したガスを用いた。その結果、酸化アルミニウム膜及び窒化チタン膜について充分なエッチング効果が得られた。しかしながら、窒化アルミニウム膜、窒化チタンアルミニウム膜については充分なエッチング効果が得られなかった。なお、BClに添加するOの濃度を2%から10%に増加させた場合もが、同様の結果となった。
【0137】
最後の評価では、評価サンプルに対して上述の実施形態と同様の改質工程を行なった後、更にクリーニング工程を行なった。改質工程では、改質ガス(酸化剤)としてHOを用い酸化させた。クリーニング工程では、クリーニングガスとしてBClを単体で用いた。その結果、酸化アルミニウム膜だけでなく、窒化チタン膜、窒化アルミニウム膜、窒化チタンアルミニウム膜のいずれの膜に対しても、充分なエッチング効果が得られた。
【0138】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0139】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
処理室内に基板を搬入する第1の工程と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記処理室内から処理後の前記基板を搬出する第3の工程と、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜を改質する第4の工程と、
を1サイクルとして複数サイクル繰り返した後、前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質された前記導電膜もしくは前記絶縁膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去する第5の工程と、を有する
半導体装置の製造方法が提供される。
(付記2)
好ましくは、前記クリーニングガスはハロゲン系化合物である。
(付記3)
本発明の他の態様によれば、
前記処理室内に付着した前記導電性膜もしくは前記絶縁膜は窒化膜であり、
前記改質ガスは酸素含有ガスである
半導体装置の製造方法が提供される。
(付記4)
好ましくは、前記複数の原料ガスは、1種以上のハロゲン系化合物もしくは有機系化合物と、窒素含有ガスと、を含む。
(付記5)
好ましくは、前記第4の工程を1回行なった後、前記第5の工程を所定回数行う。
(付記6)
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記基板上に膜を成膜するごとに、前記処理室内に改質ガスを供給して前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して改質された前記膜を除去することにより、前記処理室内に付着した前記膜を除去するクリーニング工程と、を有する
クリーニング方法が提供される。
(付記7)
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質後の前記膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去し前記処理室内をクリーニングするクリーニング工程と、を有し、
前記改質ガスは、改質後の前記膜を組成する元素の間の結合エネルギーが、前記クリーニングガスのクリーニング成分と改質後の前記膜を組成する元素との結合エネルギーより小さくなるようなガスである
クリーニング方法が提供される。
(付記8)
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記原料ガス供給系、前記酸素ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排気系を制御する制御部と、を有する基板処理装置であって、
前記制御部は、前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に窒化膜を形成し、前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給して前記処理室内に付着した窒化膜を酸化して酸化膜へ改質し、前記処理室内にクリーニングガスを供給して前記酸化膜を除去するように前記原料ガス供給系、前記酸素含有ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排気系を制御する
基板処理装置が提供される。
(付記9)
好ましくは、前記クリーニングガスはハロゲン系化合物である。
(付記10)
好ましくは、前記複数の原料ガスは、1種以上のハロゲン系化合物もしくは有機系化合物と、窒素含有ガスと、を含む。
【0140】
(付記11)
本発明の他の態様によれば、
成膜装置において反応室に堆積した金属膜または金属窒化膜をクリーニングガスを用いて除去する際に、堆積膜の酸化とクリーニングの組合せを1回以上交互に行なうことで除
去を勧めるクリーニング方法が提供される。
(付記12)
本発明の他の態様によれば、
成膜シーケンスを終了し製品基板を払い出した後、炉内に酸化するガスを流して炉内の膜に酸化層を作成する処理を実施し、これらの成膜と酸化処理を繰り返す運用を行なった上でクリーニングガスを流すクリーニング方法が提供される。
(付記13)
好ましくは、炉内の堆積膜の酸化を大気を炉内に導入することによって行なう。
(付記14)
好ましくは、酸化剤としてO、NO、O、HO、H+Oのいずれかを含む。(付記15)
好ましくは、堆積した膜が窒化アルミニウム(AlN)膜を含む。
(付記16)
好ましくは、堆積した膜が窒化チタンアルミニウム(TiAlN)膜である。
(付記17)
好ましくは、クリーニングガスがBClまたはClを含む。
(付記18)
好ましくは、クリーニングガスを流す時に酸化剤が同時に処理室内に存在する。
(付記19)
本発明の他の態様によれば、
成膜シーケンスを終了し製品基板を払い出した後、処理室内に酸化剤を供給して処理室内の膜に酸化層を作成する処理を実施し、これらの成膜と酸化処理を繰り返す運用を行なった上でクリーニングを行なうクリーニング方法が提供される。
(付記20)
本発明の他の態様によれば、上記の基板処理装置で形成された半導体装置が提供される。
(付記21)
本発明の他の態様によれば、処理室内に基板を搬入する基板搬入工程と、処理室内に複数の原料ガスを供給して基板上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する成膜工程と、処理後の基板を処理室内から搬出する基板搬出工程と、処理室内に改質ガスを供給して、処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜を改質する改質工程と、処理室内にクリーニングガスを供給して、改質された導電膜もしくは絶縁膜を含む処理室に付着した堆積物を除去し処理室内をクリーニングするクリーニング工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
(付記22)
好ましくは、基板搬入工程、成膜工程、基板搬出工程および改質工程を1サイクルとして、所定のサイクル数を行なうごとにクリーニング工程を行なっても良い。
(付記23)
また、処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜が所定の膜厚まで成膜された後、改質工程とクリーニング工程を行なっても良い。
(付記24)
好ましくは、改質工程とクリーニング工程は、交互に所定回数繰り返す。
(付記25)
また、改質工程を1回行なった後、クリーニング工程を所定回数行なっても良い。
(付記26)
好ましくは、クリーニング工程では、クリーニングガスの供給と処理室内の排気を交互に所定回数繰り返す。
(付記27)
好ましくは、成膜工程で形成される導電膜もしくは絶縁膜は窒化膜であり、改質ガスはO含有原料である。
(付記28)
好ましくは、複数の原料ガスは、1種以上のハロゲン系化合物もしくは有機系化合物と、N含有原料を含む。
(付記29)
好ましくは、複数の原料ガスは、Al、Ti、Siのうち少なくとも1種を含む。
(付記30)
好ましくは、N含有原料は、NH、N、NO、CH、からなる群から選択される一種以上のガスである。
(付記31)
好ましくは、窒化膜は、AlN、TiN、TiAlN、TiSiN、TaN、TaSiNおよびSiNからなる群から選択される一種である。
(付記32)
好ましくは、O含有原料は、O、O、HO、H+O、CO、SOおよびNO(xは1以上の整数)からなる群から選択される一種以上の原料である。
(付記33)
好ましくは、クリーニングガスはハロゲン系ガスである。
(付記34)
好ましくは、クリーニングガスはBCl、HCl、Cl、SiCl、HBr、BBr、SiBr、およびBrからなる群から選択される一種以上のガスである。
(付記35)
好ましくは、成膜工程は、前記基板を400℃以下であって、好適には350℃に加熱して行なう。
(付記36)
好ましくは、O含有原料はHOもしくはH+Oであり、改質工程は、処理室内の雰囲気を400℃〜800℃の間の所定の温度に加熱して行なう。
(付記37)
好ましくは、クリーニング工程は、処理室内の雰囲気を500℃〜850℃の間の所定の温度に加熱して行なう。
(付記38)
好ましくは、改質工程では、処理室内に大気を導入することによって処理室内に付着した前記導電膜もしくは絶縁膜を酸化する。
(付記39)
本発明の他の態様によれば、基板を収容する処理室と、
処理室内に複数の原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
処理室内に改質ガスを供給する改質ガス供給手段と、
処理室内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給手段と、
処理室内の雰囲気を排気する排気手段と、
原料ガス供給手段、改質ガス供給手段、クリーニングガス供給手段および排気手段を制御する制御部と、
を有する基板処理装置であって、
制御部は、処理室内に複数の原料ガスを供給して基板に膜を形成し、処理室内に改質ガスを供給して処理室内に付着した膜を改質し、処理室内にクリーニングガスを供給して改質された膜をクリーニングするように原料ガス供給手段、改質ガス供給手段、クリーニングガス供給手段および排気手段を制御する基板処理装置が提供される。
(付記40)
本発明の他の態様によれば、原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
処理室内に改質ガスを供給して処理室内に付着した膜を改質する改質工程と、
処理室内にクリーニングガスを供給して改質された膜を除去することにより、処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法が提供される。
(付記41)
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に窒化膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した窒化膜を除去するクリーニング方法であって、
処理室内にO含有ガスを供給して、窒化膜を酸化して酸化膜に改質する工程と、
処理室内にハロゲン系ガスを供給して、酸化膜を除去する工程と、
を有するクリーニング方法が提供される。
(付記42)
本発明の他の態様によれば、
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
処理室内に改質ガスを供給して、処理室内に付着した膜を改質する改質工程と、
処理室内にクリーニングガスを供給して、改質後の膜を含む処理室に付着した堆積物を除去し処理室内をクリーニングするクリーニング工程と、
を有し、
改質ガスは、改質後の膜を組成する元素の間の結合エネルギーが、クリーニングガスのクリーニング成分と改質後の膜を組成する元素との結合エネルギーより小さくなるようなガスであるクリーニング方法が提供される。
【符号の説明】
【0141】
101 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
203 反応管
207 ヒータ
217 ボート
218 ボート支持台
231 排気管
243 APCバルブ
246 真空ポンプ
267 ボート回転機構
280 コントローラ(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に基板を搬入する第1の工程と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に導電膜もしくは絶縁膜を形成する第2の工程と、
前記処理室内から処理後の前記基板を搬出する第3の工程と、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した導電膜もしくは絶縁膜を改質する第4の工程と、
を1サイクルとして複数サイクル繰り返した後、前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質された前記導電膜もしくは前記絶縁膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去する第5の工程と、を有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記処理室内に付着した前記導電性膜もしくは前記絶縁膜は窒化膜であり、
前記改質ガスは酸素含有ガスである
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記基板上に膜を成膜するごとに、前記処理室内に改質ガスを供給して前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して改質された前記膜を除去することにより、前記処理室内に付着した前記膜を除去するクリーニング工程と、を有する
ことを特徴とするクリーニング方法。
【請求項4】
原料ガスを供給して基板上に膜を成膜する基板処理装置の処理室内に付着した膜を除去するクリーニング方法であって、
前記処理室内に改質ガスを供給して、前記処理室内に付着した前記膜を改質する改質工程と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給して、改質後の前記膜を含む前記処理室内に付着した堆積物を除去し前記処理室内をクリーニングするクリーニング工程と、を有し、
前記改質ガスは、改質後の前記膜を組成する元素の間の結合エネルギーが、前記クリーニングガスのクリーニング成分と改質後の前記膜を組成する元素との結合エネルギーより小さくなるようなガスである
ことを特徴とするクリーニング方法。
【請求項5】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内に複数の原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記処理室内に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給系と、
前記処理室内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系と、
前記処理室内を排気する排気系と、
前記原料ガス供給系、前記酸素ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排気系を制御する制御部と、を有する基板処理装置であって、
前記制御部は、前記処理室内に複数の原料ガスを供給して前記基板上に窒化膜を形成し、前記処理室内に前記酸素含有ガスを供給して前記処理室内に付着した窒化膜を酸化して酸化膜へ改質し、前記処理室内にクリーニングガスを供給して前記酸化膜を除去するように前記原料ガス供給系、前記酸素含有ガス供給系、前記クリーニングガス供給系および前記排気系を制御する
ことを特徴とする基板処理装置。

【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−68984(P2011−68984A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154278(P2010−154278)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】