半導体装置の製造方法及び成膜装置
【課題】バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することができる半導体装置の製造方法及び成膜装置を提供する。
【解決手段】基板1の上方に導電膜5を形成し、導電膜5を覆う絶縁膜7を形成し、絶縁膜7のエッチングを行って、絶縁膜7に導電膜5の少なくとも一部を露出する開口部51を形成する。また、還元ガス雰囲気中で開口部51に紫外線を照射し、開口部51内に絶縁膜7及び導電膜5に接するバリアメタル膜9を形成し、バリアメタル膜9上に導電膜10を形成する。
【解決手段】基板1の上方に導電膜5を形成し、導電膜5を覆う絶縁膜7を形成し、絶縁膜7のエッチングを行って、絶縁膜7に導電膜5の少なくとも一部を露出する開口部51を形成する。また、還元ガス雰囲気中で開口部51に紫外線を照射し、開口部51内に絶縁膜7及び導電膜5に接するバリアメタル膜9を形成し、バリアメタル膜9上に導電膜10を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の多層配線における信号の伝搬速度は、配線抵抗及び配線間の寄生容量の影響を受ける。近年、半導体装置の高集積化により配線間隔が狭くなり、配線間の寄生容量が増大している。このような状況において、配線遅延を回避して伝搬速度を向上させるために、Alよりも抵抗が小さいCuを配線材料として用いた半導体装置が実用化されている。
【0003】
また、層間絶縁層の材料として、SiO2と比べて誘電率が低い材料(低誘電率材)を用いて低配線容量化した半導体装置の実用化も進められている。SiO2の比誘電率は4.0〜4.5程度であり、SiO2よりも誘電率が小さいものが一般的に低誘電率材と呼ばれている。なお、低誘電率膜を層間絶縁膜として使用する場合、配線間リーク電流を低く抑えること、機械的強度を一定以上に保つこと等も重要である。
【0004】
低誘電率膜としては、スピンオンプロセスにより成膜する有機系のポリアリーレン膜及びポリアリルエーテル膜、並びに無機系の水素シルセスキオキサン(HSQ)膜及びメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜が挙げられる。また、HSQ及びMSQの混合材料からなる膜も挙げられる。更に、オルガノシロキサン系材料を用いて化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法により形成されるシリコンオキシカーバイド(SiOC)膜も挙げられる。更に、絶縁物質中に空孔を形成することにより誘電率を下げた、ポーラスシリカ膜等も挙げられる。
【0005】
また、このような低誘電率膜を層間絶縁膜内への配線の形成方法として、ダマシン法が用いられることがある。
【0006】
ダマシン法では、低誘電率膜に配線溝を形成した後に、配線溝内にバリアメタル膜及びCu膜を形成する。このため、配線溝の形成の際に低誘電率膜にダメージが生じ、低誘電率膜が吸湿し、バリアメタル膜が酸化することがある。バリアメタル膜が酸化すると、Cuが低誘電率膜中へ拡散しやすくなる。そこで、配線溝の形成後に不活性ガス雰囲気中で紫外線を低誘電率膜に照射して、ダメージを回復する技術が提案されている。
【0007】
しかしながら、紫外線を低誘電率膜に照射する技術は所期の目的を達成することはできるものの、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−32708号公報
【特許文献2】特開2000−68274号公報
【特許文献3】特開2000−174019号公報
【特許文献4】特開2004−193453号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Removal of Plasma-Modified Low-k Layer Using Dilute HF: Influence of Concentration (Electrochemical and Solid-State Letters, 8(7)F21-F24(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することができる半導体装置の製造方法及び成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
半導体装置の製造方法の一態様では、基板の上方に第1の導電膜を形成し、前記導電膜を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する。また、還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射し、前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成し、前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する。
【発明の効果】
【0012】
上記の半導体装置の製造方法等によれば、還元ガス雰囲気中で開口部に紫外線を照射しているため、絶縁膜のダメージを回復させることができ、これと並行して、高効率で第1の導電膜の表面の還元処理を行うことができる。従って、絶縁膜の吸湿が低い状態でバリアメタル膜を形成することが可能となり、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】低誘電率膜の誘電率を測定するために作製したサンプルの構造を示す断面図である。
【図2】3つのサンプルの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図3】3つのサンプルのI−V特性を表すグラフである。
【図4】3つのサンプルの低誘電率膜lkの屈折率を示すグラフである。
【図5】3つのサンプルの脱ガス分析の結果を示すグラフである。
【図6】4つの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図7】5つの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図8】成膜装置の構成を示す模式図である。
【図9A】実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9B】図9Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9C】図9Bに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9D】図9Cに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9E】図9Dに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9F】図9Eに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9G】図9Fに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(低誘電率膜に対するエッチングの影響)
本発明者は、低誘電率膜の形成後に行う配線溝又はコンタクトホールを形成するためのエッチングの影響によって低誘電率膜の誘電率がどのように変化するかを調べた。図1は、低誘電率膜の誘電率を測定するために作製したサンプルの構造を示す断面図である。
【0015】
本発明者は、先ず、サンプル(A)を作製した。サンプル(A)の作製では、図1に示すように、不純物をドープした低抵抗シリコン基板ss上に、低誘電率膜lkとして、厚さが200nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜をスピンオンプロセス法により形成した。MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の形成では、低抵抗シリコン基板ssの全面に触媒化成工業社製のNCS(登録商標)を塗布し、その後、250℃で1分間のベーキング処理を行い、更に拡散炉で窒素雰囲気にて400℃、30分間の加熱処理を行った。
【0016】
次に、図1に示すように、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。Au上部電極ueの形成では、円状の開口部を有するメタルマスクを低誘電率膜lkの表面に配置し、蒸着によりAu膜を100nm成膜した。Au上部電極ueの直径は1mmとした。
【0017】
このようにして作製したサンプル(A)について、LCRメータを用いた容量測定により、低誘電率膜lkの比誘電率を算出した。測定の結果、低誘電率膜の比誘電率は約2.3であった。
【0018】
次に、本発明者は、サンプル(B)を作製した。サンプル(B)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、低誘電率膜lkの全面を50nm、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etching)により除去した。このエッチングでは、RFパワーを250W、チャンバ内圧力を20Torrとした。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。
【0019】
このようにして作製したサンプル(B)について、サンプル(A)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は3.0であった。つまり、サンプル(B)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(A)のそれ(約2.3)よりも高い値を示した。このことは、低誘電率膜lkを形成した後にエッチングを行うと誘電率が上昇することを意味している。誘電率の上昇は配線遅延を引き起こし半導体装置の高速動作の阻害に繋がる。
【0020】
本発明者は、このような誘電率の上昇に伴う配線遅延を抑制するために種々の検討を行った。この検討では、例えば、サンプル(C)を作製した。サンプル(C)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、サンプル(B)と同様の条件で、低誘電率膜lkの全面を50nm、エッチングにより除去した。その後、低誘電率膜lkに対して紫外線(UV)照射を行った。このUV照射では、光源として高圧水銀ランプを用い、雰囲気をHeガス雰囲気、チャンバ内圧力を10Torr(減圧条件下)、UV照射強度を350mW/cm2、基板ヒータ温度を230℃、照射時間を10分間とした。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。なお、高圧水銀ランプから照射されるUVは150nm〜400nmのブロードバンドの波長を有する。
【0021】
このようにして作製したサンプル(C)について、サンプル(A)及び(B)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は2.5であった。つまり、サンプル(C)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(B)のそれ(3.0)よりも低い値を示した。このことは、上記のUV照射により誘電率が低下することを意味している。図2は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。図2の縦軸は各サンプルの比誘電率を示す。
【0022】
このように、エッチングによって低誘電率膜の誘電率が上昇しても、その後にUV照射を施すことにより誘電率が低下するという実験結果が得られた。この実験結果は、本発明者によって初めて確認されたものであり、低誘電率膜を層間絶縁膜として用いる半導体装置の製造方法に関して、非常に有用な知見である。
【0023】
更に、本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)のリーク電流特性を測定した。ここでは、サンプル(A)、(B)及び(C)について、低抵抗シリコン基板ssとAu上部電極ueとの間に印加する電界の強さに対して、低誘電率膜lkをリークして流れる電流の電流密度がどのように変化するのか測定した。図3は、サンプル(A)、(B)及び(C)のI−V特性を表すグラフである。図3の横軸は電界の強さ(MV/cm)を示し、縦軸は電流密度(A/cm2)を示す。
【0024】
図3に示すように、サンプル(A)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に、4.10×10-10(mA/cm2)のリーク電流が生じた。一方、サンプル(B)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に1.46×10-9(mA/cm2)ものリーク電流が生じた。つまり、サンプル(B)では、サンプル(A)の3倍以上にまでリーク電流が増加した。このようなリーク電流の増加は、エッチングによって低誘電率膜lkに何らかのダメージが与えられたことに因るものと考えられる。
【0025】
また、サンプル(C)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に、3.85×10-11(mA/cm2)のリーク電流が流れた。つまり、サンプル(C)では、サンプル(A)と同程度までリーク電流が低下した。
【0026】
このように、エッチングによって低誘電率膜の誘電率が上昇しても、その後にUV照射を施すことによりリーク電流が低下するという実験結果が得られた。この実験結果は、本発明者によって初めて確認されたものであり、低誘電率膜を層間絶縁膜として用いる半導体装置の製造方法に関して、非常に有用な知見である。
【0027】
上記の実験についての考察、並びに、本発明者が更に行った実験の内容及び結果を、以下に示す。
【0028】
エッチングによって低誘電率膜に生じるダメージの構造が具体的にどのようなものなのか、詳細は明らかになっていない。一般に低誘電率材は、撥水性を有するものが望ましいとされる。これは、水の比誘電率は88と高く、低誘電率膜が水分を吸収すると低誘電率膜の誘電率が上昇してしまうからである。そこで、吸湿による低誘電率膜の誘電率上昇を抑制するため、例えば上記実験でも用いたMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜は、その表面が疎水性であるSi−H、Si−CH3等で終端するように処理されている。
【0029】
しかし、低誘電率膜のエッチングを行うと、その表面に何らかのダメージが生じてしまうと考えられる。例えば、MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の表面において、エッチングによって本来の化学結合が破壊され、親水性のSi−OH基が形成されている可能性がある。親水性のSi−OH基が形成されると、必然的にこの膜の表面に大気中の水分が吸着する。このような機構で、エッチングに伴って低誘電率膜の誘電率が上昇するものと考えられる。
【0030】
これに対し、エッチングによるダメージが生じた低誘電率膜にUV照射を行うと、エッチングによって生じた表面のSi−OH基が除去され、低誘電率膜の表面の吸水性が抑えられると予測される。この考察を検証するため、本発明者は以下の実験を行った。
【0031】
本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの屈折率を測定した。図4は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの屈折率を示すグラフである。図4の縦軸は低誘電率膜の屈折率を示す。図4に示すように、サンプル(A)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.275であるのに対し、サンプル(B)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.33まで上昇していた。これに対し、サンプル(C)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.26まで減少していた。
【0032】
エッチングによりダメージの層が生じ、この層が吸湿したことが、サンプル(B)の低誘電率膜lkの屈折率の上昇の一因として考えられる。一方、サンプル(C)の低誘電率膜lkの屈折率が1.26まで低下したのは、UV照射によってダメージが回復し、低誘電率膜lkの表面が再度疎水性を示すようになり、吸湿性が抑えられたためであると考えられる。
【0033】
本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)からの脱ガスの分析を行った。図5は、サンプル(A)、(B)及び(C)からの脱ガス分析の結果を示すグラフである。この分析では、昇温脱離ガス分析(TDS:thermal desorption spectroscopy)装置を用いて、サンプル(A)、(B)及び(C)を真空中にて赤外線で加熱し、放出されるガスを四重極型質量分析計で測定した。図5の横軸は低抵抗シリコン基板ssの加熱温度(℃)を示し、縦軸は質量数が18のガスの相対検出量を示す。図5に示すように、サンプル(B)の測定では、約280℃の加熱温度及び約420℃の加熱温度において、質量数が18のガスのピークが確認された。このピークは、水(H2O)の放出に伴うものであると予測される。一方、サンプル(A)及び(C)では、少なくとも約280℃の加熱温度ではピークが確認されなかった。この実験結果から、サンプル(B)はサンプル(A)と比べて、低誘電率膜lkが水分を多く吸収していると言える。また、サンプル(C)では、UV照射の結果、低誘電率膜lkの吸湿性が抑えられ、特性が改善されたと考察される。
【0034】
このように、本発明者は、鋭意検討の結果、エッチングによって低誘電率膜にダメージが生じたとしても、その後にUV照射を行うことによって、ダメージを回復させて低誘電率膜に吸着していた水分を除去できることに想到したのである。
【0035】
次に、UV照射の好ましい条件について説明する。
【0036】
UV照射時の基板温度は、25℃〜300℃とすることが好ましい。UV照射は、例えば、シングルダマシン法では低誘電率膜に配線溝を形成した後に行い、デュアルダマシン法では配線溝及びビアホールを形成した後に行う。このため、配線溝、ビアホールから下層の配線が露出した状態でUV照射を行うことになる。従って、UV照射時の基板温度が高すぎると、この下層の配線の材料、例えばCuが噴き出すことがある。本発明者は、この温度について検討を行ったところ、基板温度が300℃以下であれば、配線の材料の噴き出しを抑制することができる。また、基板温度が25℃未満の場合は、UV照射の効果がやや低くなることがある。従って、UV照射時の基板温度は、25℃〜300℃とすることが好ましい。
【0037】
また、UV照射時の雰囲気ガス中の酸素ガス(O2ガス)の濃度は、50ppm以下とすることが好ましい。これは、酸素ガスの濃度が50ppmを超える雰囲気ガス中でUV照射を行うと、下層の配線の表面が酸化しやすいからである。また、低誘電率膜のダメージを回復させるUV照射時の雰囲気ガスとしては、例えば、Heガス、Arガス及びN2ガス等の不活性ガスを用いることができ、特に、Heガスを用いることが好ましい。これは、Heガスの熱伝導性が高く、基板を冷却しやすいため、上記のような配線の材料の噴き出しをより確実に抑制することができるからである。Heガス雰囲気下でUV照射を行う場合、例えば、基板温度を25℃〜300℃、チャンバ内圧力を500mTorr〜50Torrとすることが好ましい。なお、UV照射時の雰囲気ガスとして、Heガス、Arガス、及びN2ガスの2種以上を含む混合ガスを用いてもよい。
【0038】
UVの照射時間は、特に限定されないが、例えば10分間以上とする。本発明者は、低誘電率膜に生じたダメージの回復度合いが、UVの照射時間によってどのように異なるかを調べるため、サンプル(D)を作製した。サンプル(D)の作製では、UVの照射時間を15分間としたことを除き、サンプル(C)の作製時と同様の処理を行った。
【0039】
このようにして作製したサンプル(D)について、サンプル(A)、(B)及び(C)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は2.3であった。つまり、サンプル(D)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(C)のそれ(2.5)よりも低く、サンプル(A)のそれ(約2.3)と同程度の値を示した。このことから、低誘電率膜lkの誘電率は、UV照射によってエッチングを行う前の状態まで回復させ得ることが確認された。図6は、サンプル(A)〜(D)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【0040】
なお、サンプル(C)の作製時の低誘電率膜lkへのUV照射の条件は、これらの基板温度、雰囲気ガス、及び照射時間等を考慮して決定したものである。
【0041】
本発明者は、ダメージをより確実に回復させるために更に種々の検討を行った。この検討では、例えば、サンプル(E)、(F)及び(G)を作製した。サンプル(E)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、サンプル(B)と同様の条件で、低誘電率膜lkの全面を50nm、エッチングにより除去した。その後、低誘電率膜lkに対して炭素含有化学種の一種であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)を作用させる処理(HMDS処理)を行った。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。つまり、UV照射は行わなかった。なお、HMDS処理はベーパ処理として行い、110℃で30秒間行った。サンプル(F)の作製では、UVの照射時間を3分間としたことを除き、サンプル(C)の作製時と同様の処理を行った。つまり、HMDS処理は行わなかった。サンプル(G)の作製では、HMDS処理とAu上部電極ueの形成との間に、UV照射を3分間行ったことを除き、サンプル(E)の作製時と同様の処理を行った。UV照射の条件は、照射時間を除き、サンプル(A)の作製時と同様とした。
【0042】
このようにして作製したサンプル(E)、(F)及び(G)について、サンプル(A)〜(D)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定した。図7は、サンプル(A)、(B)、(E)、(F)及び(G)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。図7に示すように、サンプル(E)では、UV照射を行っていないにも拘らず、比誘電率が2.8とサンプル(B)のそれよりも低い値を示した。このことは、HMDS処理によってもダメージを回復させることができることを意味している。また、サンプル(F)では、UVの照射時間が短いため、比誘電率が2.75までしか低下しなかったが、サンプル(F)の処理にHMDS処理を加えたサンプル(G)では、サンプル(A)と同等の比誘電率(2.3)が得られた。このことは、UVの照射時間が短い場合でも、HMDS処理を行うと、ダメージを十分に回復させて誘電率を低下させることができることを意味している。
【0043】
更に、本発明者は、ダマシン法における配線溝内へのバリアメタル膜の形成前に、配線溝から露出している配線の表面に存在する自然酸化膜等の酸化物を還元する処理を行い、この処理の際に、上記のようなUV照射を行えば、短時間で還元処理及びUV照射を実行できることを見出した。更に、このような処理を行うと、還元ガスがUVによって励起されるため、還元効率が大幅に向上することも見出した。更に、本発明者は、配線溝の形成後のUV照射から配線溝内へのバリアメタル膜の形成までを一つのチャンバ内で大気開放せずに行うと、バリアメタル膜の機能をより確実に発揮させ、半導体装置の信頼性をより高めることができることも見出した。つまり、UV照射からバリアメタル膜の形成までの一連の処理を例えば真空中で行うことにより、ダメージが回復した低誘電率膜を、水分を含む大気から隔離することができる。そして、低誘電率膜の大気からの隔離によって、低誘電率膜の吸湿を抑制しながらバリアメタル膜を形成することができ、より一層確実にバリアメタル膜の酸化を抑制することができる。
【0044】
ここで、上記のような処理に好適な成膜装置について説明する。図8は、実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。
【0045】
図8に示すように、この成膜装置では、チャンバ101の下部に、バリアメタル膜を形成する対象である基板120が載置されるステージ102が設けられている。ステージ102には、RF源103からRF信号が印加される。また、チャンバ101の上部には、バリアメタル膜の原料であるターゲットを保持するホルダー110が設けられている。ホルダー110には、バイアス電源111からバイアス電圧が印加される。ステージ102の周囲には永久磁石104が設けられている。更に、チャンバ101内にH2ガス等の還元ガスを導入する還元ガス導入ライン105a、チャンバ101内にHMDS等の炭素含有化学種を導入する炭素含有ソース導入ライン105b、チャンバ101内にHeガス等の不活性ガスを導入する不活性ガス導入ライン105cも設けられている。また、チャンバ101内を減圧するポンプ106も設けられている。チャンバ101の壁の一部には石英窓109が取り付けられており、石英窓109の外部にUVバルブ107(紫外線源)が配置されている。UVバルブ107の周囲には、UVバルブ107から発せられたUVを、石英窓109を介してステージ102上の基板120に導く反射板108が設けられている。UVバルブ107から発せられるUVの波長は、例えば150nm〜400nm程度である。
【0046】
このように構成された成膜装置では、基板120に対するHMDS処理、UV照射、及び還元処理を、チャンバ101内で大気開放せずに実行することができる。また、これらの処理の2以上を組み合わせて同時に行うことも可能である。そして、この成膜装置を用いれば、物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)法によりバリアメタル膜を形成することができる。
【0047】
次に、実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図9A乃至図9Gは、実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0048】
先ず、図9A(a)に示すように、半導体基板1の表面に、例えばSTI(shallow trench isolation)法により素子分離絶縁膜2を形成する。次いで、素子分離絶縁膜2により画定された活性領域内にMOSトランジスタ3を形成する。MOSトランジスタ3には、ソース拡散層、ドレイン拡散層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極等が含まれる。例えば、ゲート長は約65nmとし、ゲート絶縁膜の厚さは2nmとする。その後、MOSトランジスタ3を覆う層間絶縁膜4を、例えば化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法により形成する。例えば、層間絶縁膜4の材料としてはリンシリケートガラスPSG(phosphosilicate glass)を用い、層間絶縁膜4の厚さは1.5μmとする。なお、MOSトランジスタ3の高速動作のために、層間絶縁膜4の形成前に、ソース拡散層、ドレイン拡散層、及びゲート電極の表面にCoシリサイド層、Niシリサイド層等の低抵抗金属シリサイド層を形成してもよい。
【0049】
続いて、図9A(b)に示すように、層間絶縁膜4に、ソース拡散層、ドレイン拡散層に到達するコンタクトホール4aをエッチングにより形成する。次いで、コンタクトホール4aの内壁面を覆うようにバリアメタル膜5aを形成し、その上に導電膜5bを形成し、化学的機械的研磨(CMP:chemical mechanical polishing)法により、層間絶縁膜4の表面が露出するまで導電膜5b及びバリアメタル膜5aを除去する。この結果、バリアメタル膜5a及び導電膜5bを含むコンタクトプラグ5がコンタクトホール4a内に形成される。例えば、導電膜5bとしてはW膜を形成し、バリアメタル膜5aとしてはTiN膜を形成する。
【0050】
その後、図9A(c)に示すように、層間絶縁膜4及びコンタクトプラグ5上にエッチングストッパ膜6を形成する。エッチングストッパ膜6としては、例えば厚さが50nmのSiC膜を形成する。SiC膜の形成では、例えば、テトラメチルシランガスを1000sccmの流量でチャンバ内に供給し、CO2ガスを2500sccmの流量でチャンバ内に供給し、HF(high frequency)パワーを500Wとし、LF(low frequency)パワーを400Wとし、チャンバ内の圧力を2.3Torrとする。エッチングストッパ膜6として、SiO2膜、SiOC膜、SiN膜等を形成してもよい。続いて、エッチングストッパ膜6上に低誘電率膜7を層間絶縁膜として、例えばスピンオンプロセスにより形成する。低誘電率膜7の材料としては、例えば低誘電率材であるMSQ/HSQ混合のハイブリッド型ポーラスシリカ(触媒化成工業社製のNCS等)を用いる。また、低誘電率膜7の厚さは250nmとする。次いで、250℃で1分間のベーキング処理を行い、その後、窒素雰囲気中で半導体基板1の温度を400℃として30分間の熱処理を行う。続いて、低誘電率膜7上に犠牲膜8を形成する。犠牲膜8としては、例えば厚さが30nmのSiO2膜を形成する。犠牲膜8として、SiOC膜、SiC膜、SiN膜等を形成してもよい。
【0051】
次いで、図9A(d)に示すように、犠牲膜8上に、配線溝を形成する予定の領域を開口するレジストパターン31を形成する。その後、レジストパターン31をマスクとして用いて犠牲膜8、低誘電率膜7、及びエッチングストッパ膜6のエッチングを行うことにより、配線溝51(開口部)を形成する。このエッチングとしては、例えばエッチングガスとしてCF4ガスを用いたRIEを行い、RFパワーを250Wとし、チャンバ内の圧力を20mTorrとする。
【0052】
続いて、図9B(e)に示すように、レジストパターン31をアッシングにより除去する。次いで、図8に示す成膜装置のチャンバ101内に半導体基板1を搬送し、チャンバ101内でHMDS処理を行う。このHMDS処理では、炭素含有ソース導入ライン105bからHMDSガスをチャンバ101内に導入し、半導体基板1の温度を110℃とし、30秒間、配線溝51をベーパライズされたHMDS雰囲気中に晒す。このHMDS処理により、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージが回復する。
【0053】
次いで、HMDSガスの導入を停止し、不活性ガス導入ライン105cからHeガスをチャンバ101内に導入する。また、ポンプ106を作動させてチャンバ101内の圧力を10Torrとし、チャンバ101内の酸素ガスの濃度を50ppm以下とする。そして、UVバルブ107を発光させ、図9B(f)に示すように、チャンバ101内で、配線溝51にUVを照射する。例えば、このときのUVの強度は350mW/cm2とし、照射時間は10分間とする。このUV照射により、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージが更に回復する。
【0054】
その後、Heガスの導入を停止し、UV照射を継続しながら還元ガス導入ライン105aからH2ガスをチャンバ101内に導入する。この際、チャンバ101内の圧力は2Torr〜50Torrとする。この処理では、図9B(g)に示すように、H2ガスがUVによって励起され、水素ラジカルが発生する。このため、コンタクトプラグ5の表面に存在する自然酸化膜が高効率で還元される。また、UV照射が継続されるため、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージがより一層回復する。
【0055】
続いて、H2ガスの導入及びUV照射を停止し、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したまま、図9B(h)に示すように、スパッタリング法によりバリアメタル膜9を配線溝51の底面上及び側面上、並びに犠牲膜8上に形成する。バリアメタル膜9(Cu拡散防止膜)としては、例えば厚さが30nmのTa膜を形成する。バリアメタル膜9の材料は、HMDS処理の前に予めターゲット121としてホルダー110に取り付けておく。更に、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したままターゲット121を交換して、スパッタリング法によりバリアメタル膜9上にシード膜10を形成する。シード膜10としては、例えば厚さが30nmのCu膜を形成する。
【0056】
次いで、半導体基板1をチャンバ101から取り出し、図9C(i)に示すように、めっき法により導電膜11をシード膜10上に形成する。導電膜11としては、例えば厚さが500nmのCu膜を形成する。
【0057】
その後、CMP法により、犠牲膜8の表面が露出するまで導電膜11、シード膜10及びバリアメタル膜9を除去する。この結果、図9C(j)に示すように、導電膜11、シード膜10及びバリアメタル膜9を含む配線21が配線溝51内に形成される。続いて、犠牲膜8及び配線21上にキャップ膜12(Cu拡散防止キャップ膜)を形成する。キャップ膜12としては、例えば厚さが50nmのSiO2膜を形成する。
【0058】
次いで、図9C(k)に示すように、キャップ膜12上に、層間絶縁膜としての低誘電率膜13、エッチングストッパ膜14、層間絶縁膜としての低誘電率膜15、及び犠牲膜16をこの順で形成する。低誘電率膜13としては、例えば厚さが250nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜を形成する。エッチングストッパ膜14としては、例えば厚さが30nmのSiC膜を形成する。エッチングストッパ膜14として、SiO2膜、SiOC膜、SiN膜等を形成してもよい。低誘電率膜15としては、例えば厚さが170nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜を形成する。犠牲膜16としては、例えば厚さが約50nmのSiO2膜を形成する。犠牲膜16として、SiOC膜、SiC膜、SiN膜等を形成してもよい。
【0059】
その後、犠牲膜16上に配線溝を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを形成し、これをマスクとして用いて犠牲膜16及び低誘電率膜15のエッチングを行うことにより、図9C(l)に示すように、配線溝53(開口部)を形成する。
【0060】
続いて、犠牲膜16上及びエッチングストッパ膜14上にビアホールを形成する予定の領域を開口するレジストパターンを形成し、これをマスクとして用いてエッチングストッパ膜14、低誘電率膜13、及びキャップ膜12のエッチングを行うことにより、図9D(m)に示すように、ビアホール52(開口部)を形成する。
【0061】
次いで、図8に示す成膜装置のチャンバ101内に半導体基板1を搬送し、図9D(n)に示すように、チャンバ101内でHMDS処理を行う。このHMDS処理では、炭素含有ソース導入ライン105bからHMDSガスをチャンバ101内に導入し、半導体基板1の温度を110℃とし、30秒間、配線溝53及びビアホール52をベーパライズされたHMDS雰囲気中に晒す。このHMDS処理により、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージが回復する。
【0062】
その後、HMDSガスの導入を停止し、不活性ガス導入ライン105cからHeガスをチャンバ101内に導入する。また、ポンプ106を作動させてチャンバ101内の圧力を10Torrとし、チャンバ101内の酸素ガスの濃度を50ppm以下とする。そして、UVバルブ107を発光させ、図9E(o)に示すように、チャンバ101内で、配線溝53及びビアホール52にUVを照射する。例えば、このときのUVの強度は350mW/cm2とし、照射時間は10分間とする。このUV照射により、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージが更に回復する。
【0063】
続いて、Heガスの導入を停止し、UV照射を継続しながら還元ガス導入ライン105aからH2ガスをチャンバ101内に導入する。この際、チャンバ101内の圧力は2Torr〜50Torrとする。この処理では、図9E(p)に示すように、H2ガスがUVによって励起され、水素ラジカルが発生する。このため、配線21の表面に存在する自然酸化膜が高効率で還元される。また、UV照射が継続されるため、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージがより一層回復する。
【0064】
次いで、H2ガスの導入及びUV照射を停止し、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したまま、図9F(q)に示すように、スパッタリング法によりバリアメタル膜17を配線溝53及びビアホール52の底面上及び側面上、並びに犠牲膜16上に形成する。バリアメタル膜17(Cu拡散防止膜)としては、例えば厚さが30nmのTa膜を形成する。バリアメタル膜17の材料は、HMDS処理の前に予めターゲット121としてホルダー110に取り付けておく。更に、スパッタリング法によりバリアメタル膜17上にシード膜18を形成する。シード膜18としては、例えば厚さが30nmのCu膜を形成する。
【0065】
その後、半導体基板1をチャンバ101から取り出し、図9F(r)に示すように、めっき法により導電膜19をシード膜18上に形成する。導電膜19としては、例えば厚さが500nmのCu膜を形成する。
【0066】
続いて、CMP法により、犠牲膜16の表面が露出するまで導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を除去する。この結果、図9G(s)に示すように、導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を含む配線23が配線溝53内に形成され、導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を含むビアプラグ22がビアホール52内に形成される。次いで、犠牲膜16及び配線52上にキャップ膜20(Cu拡散防止キャップ膜)を形成する。キャップ膜20としては、例えば厚さが50nmのSiO2膜を形成する。
【0067】
その後、同様の処理を繰り返して多層配線を形成し、更にパッシベーション膜及びパッド等を形成して、半導体装置を完成させる。
【0068】
このような本実施形態によれば、低誘電率膜7、13及び15のエッチングを行っているが、その後にHMDS処理及びUV照射を行っているため、低誘電率膜7、13及び15に生じたダメージを回復することができる。このため、低誘電率膜7、13及び15の誘電率の上昇を抑制して、リーク電流を低減することができる。また、コンタクトプラグ5及び配線21の表面に存在する酸化物の還元の際にも、UV照射を継続して行っているため、還元ガスが励起され、還元処理の効率を向上させることができる。更に、少なくとも配線溝51へのUV照射からバリアメタル膜9の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行い、少なくとも配線溝53及びビアホール52へのUV照射からバリアメタル膜17の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行っているため、低誘電率膜7、13及び15がほとんど吸湿していない状態でバリアメタル膜9及び17を形成することができる。
【0069】
なお、HMDS処理を省略してもよい。また、還元ガス雰囲気中でのUV照射を行うため、不活性ガス雰囲気中でのUV照射を省略してもよい。更に、還元ガス雰囲気中でのUV照射を行う際に、チャンバ内にHMDSを導入してもよい。つまり、還元ガス雰囲気中でのUV照射とHMDS処理とを同時に行ってもよい。また、還元ガス雰囲気中でのUV照射の前に、HMDS処理を行いながらUV照射を行ってもよい。
【0070】
また、低誘電率膜の材料は特に限定されず、低誘電率膜として、MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の他に、例えば、ポリアリーレン膜、ポリアリルエーテル膜、水素シルセスキオキサン膜、メチルシルセスキオキサン膜、又はシリコンオキシカーバイド膜等を形成してもよい。即ち、ALCAP−S(旭化成社製のポーラスシリカ)、Silk(ダウケミカル社製のポリアリエルエーテル)、FLARE(アライドシグナル社製のポリアリエルエーテル)等を用いてもよい。また、これらのうちの2種以上を含む積層体を形成してもよい。更に、SiO2膜等の低誘電率膜以外の絶縁膜に対して、上述のようなUV照射及び還元処理等を行ってもよい。
【0071】
更に、炭素含有化学種も特に限定されず、ヘキサメチルジシラン(HMDS)の他に、メチル基を含有する薬液等を使用してもよい。メチル基を含有する薬液としては、例えばテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、ヘプタメチルジシラザン等が挙げられる。また、炭素含有化学種を用いてダメージを回復させる方法も特に限定されず、上記の実施形態のように、これらの薬液をベーパ処理にて低誘電率膜の表面に付着させてもよく、これらの薬液を溶液状にして、これに低誘電率膜を浸してもよい。
【0072】
また、炭素含有化学種が炭素を含有するガスであってもよい。この場合、低誘電率膜をエチレンガス及び/又はアセチレンガス等のガスに晒してもよい。例えば、エチレンガスの流量を500sccmとし、チャンバ内の圧力を3Torrとして、当該チャンバ内に低誘電率膜を1分間保持し、その後、UV照射を行ってもよい。このような処理を行うと、UV照射によって気体中の炭素が活性化し、活性化した炭素が低誘電率膜のダメージを回復させる。また、エチレンガス等をUV照射時の雰囲気に加えてもよい。このような炭素を含有するガスとしては、エチレンガス及びアセチレンガス等のハイドロカーボンガスが挙げられ、また、テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリシクロテトラシロキサン、ジメチルフェニルシラン(DMPS)、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)等のオルガノシランガスも挙げられる。これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
更に、UV源として、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ等を用いてもよい。エキシマレーザから発光されるUVの波長は172nm等の短波長であるため、より短時間の照射でダメージを回復させることができる。また、複数種類のUV源を組み合わせてもよい。例えば、エキシマレーザを用いてUV照射を行った後、高圧水銀ランプを使用したUV照射を行ってもよい。
【0074】
また、バリアメタル膜の材料も特に限定されず、Taの他に、例えば、TaN、Ti、TiN、W、WN、Zr、又はZrNを用いてもよい。また、これらの膜の2種以上を含む積層体を形成してもよい。更に、配線の主原料も特に限定されず、Cuの他に、Cu合金、W、W合金等を用いてもよい。
【0075】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
基板の上方に第1の導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する工程と、
還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程と、
前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0077】
(付記2)
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを、一つのチャンバ内で大気開放せずに行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0078】
(付記3)
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記4)
前記絶縁膜は、低誘電率膜であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記5)
前記絶縁膜は、炭素を含有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0081】
(付記6)
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、不活性ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記7)
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、前記開口部に炭素含有化学種を供給する工程を有することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記8)
前記不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記9)
前記還元ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0085】
(付記10)
前記炭素含有化学種は、メチル基を有することを特徴とする付記7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
【0086】
(付記11)
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0087】
(付記12)
前記炭素含有化学種は、ハイドロカーボンガス及びオルガノシランガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0088】
(付記13)
前記ハイドロカーボンガスは、エチレンガス及びアセチレンガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記14)
前記オルガノシランガスは、テトラメチルシクロテトラシロキサンガス、トリシクロテトラシロキサンガス、DMPSガス、及びTMSAガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記15)
前記紫外線の波長は、150nm〜400nmであることを特徴とする付記1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記16)
前記還元ガス雰囲気は、水素を含むことを特徴とする付記1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記17)
前記紫外線の照射の際に、前記基板の温度を25℃〜300℃とすることを特徴とする付記1乃至16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記18)
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、ウェハが載置されるステージと、
前記チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記チャンバ内に還元ガスを供給する還元ガス供給手段と、
前記ステージに紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする成膜装置。
【0094】
(付記19)
前記チャンバ内に炭素含有化学種を供給する炭素含有化学種供給手段を有することを特徴とする付記18に記載の成膜装置。
【0095】
(付記20)
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記18又は19に記載の成膜装置。
【符号の説明】
【0096】
1:基板
5:コンタクトプラグ
7、13、15:低誘電率膜
21、23:配線
232:ビアプラグ
51、53:配線溝
52:ビアホール
101:チャンバ
102:ステージ
105a:還元ガス導入ライン
105b:炭素含有ソース導入ライン
106:ポンプ
107:UVバルブ
108:反射板
109:石英窓
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の多層配線における信号の伝搬速度は、配線抵抗及び配線間の寄生容量の影響を受ける。近年、半導体装置の高集積化により配線間隔が狭くなり、配線間の寄生容量が増大している。このような状況において、配線遅延を回避して伝搬速度を向上させるために、Alよりも抵抗が小さいCuを配線材料として用いた半導体装置が実用化されている。
【0003】
また、層間絶縁層の材料として、SiO2と比べて誘電率が低い材料(低誘電率材)を用いて低配線容量化した半導体装置の実用化も進められている。SiO2の比誘電率は4.0〜4.5程度であり、SiO2よりも誘電率が小さいものが一般的に低誘電率材と呼ばれている。なお、低誘電率膜を層間絶縁膜として使用する場合、配線間リーク電流を低く抑えること、機械的強度を一定以上に保つこと等も重要である。
【0004】
低誘電率膜としては、スピンオンプロセスにより成膜する有機系のポリアリーレン膜及びポリアリルエーテル膜、並びに無機系の水素シルセスキオキサン(HSQ)膜及びメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜が挙げられる。また、HSQ及びMSQの混合材料からなる膜も挙げられる。更に、オルガノシロキサン系材料を用いて化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法により形成されるシリコンオキシカーバイド(SiOC)膜も挙げられる。更に、絶縁物質中に空孔を形成することにより誘電率を下げた、ポーラスシリカ膜等も挙げられる。
【0005】
また、このような低誘電率膜を層間絶縁膜内への配線の形成方法として、ダマシン法が用いられることがある。
【0006】
ダマシン法では、低誘電率膜に配線溝を形成した後に、配線溝内にバリアメタル膜及びCu膜を形成する。このため、配線溝の形成の際に低誘電率膜にダメージが生じ、低誘電率膜が吸湿し、バリアメタル膜が酸化することがある。バリアメタル膜が酸化すると、Cuが低誘電率膜中へ拡散しやすくなる。そこで、配線溝の形成後に不活性ガス雰囲気中で紫外線を低誘電率膜に照射して、ダメージを回復する技術が提案されている。
【0007】
しかしながら、紫外線を低誘電率膜に照射する技術は所期の目的を達成することはできるものの、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−32708号公報
【特許文献2】特開2000−68274号公報
【特許文献3】特開2000−174019号公報
【特許文献4】特開2004−193453号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Removal of Plasma-Modified Low-k Layer Using Dilute HF: Influence of Concentration (Electrochemical and Solid-State Letters, 8(7)F21-F24(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することができる半導体装置の製造方法及び成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
半導体装置の製造方法の一態様では、基板の上方に第1の導電膜を形成し、前記導電膜を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する。また、還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射し、前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成し、前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する。
【発明の効果】
【0012】
上記の半導体装置の製造方法等によれば、還元ガス雰囲気中で開口部に紫外線を照射しているため、絶縁膜のダメージを回復させることができ、これと並行して、高効率で第1の導電膜の表面の還元処理を行うことができる。従って、絶縁膜の吸湿が低い状態でバリアメタル膜を形成することが可能となり、バリアメタル膜の酸化を十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】低誘電率膜の誘電率を測定するために作製したサンプルの構造を示す断面図である。
【図2】3つのサンプルの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図3】3つのサンプルのI−V特性を表すグラフである。
【図4】3つのサンプルの低誘電率膜lkの屈折率を示すグラフである。
【図5】3つのサンプルの脱ガス分析の結果を示すグラフである。
【図6】4つの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図7】5つの低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【図8】成膜装置の構成を示す模式図である。
【図9A】実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9B】図9Aに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9C】図9Bに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9D】図9Cに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9E】図9Dに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9F】図9Eに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9G】図9Fに引き続き、半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(低誘電率膜に対するエッチングの影響)
本発明者は、低誘電率膜の形成後に行う配線溝又はコンタクトホールを形成するためのエッチングの影響によって低誘電率膜の誘電率がどのように変化するかを調べた。図1は、低誘電率膜の誘電率を測定するために作製したサンプルの構造を示す断面図である。
【0015】
本発明者は、先ず、サンプル(A)を作製した。サンプル(A)の作製では、図1に示すように、不純物をドープした低抵抗シリコン基板ss上に、低誘電率膜lkとして、厚さが200nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜をスピンオンプロセス法により形成した。MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の形成では、低抵抗シリコン基板ssの全面に触媒化成工業社製のNCS(登録商標)を塗布し、その後、250℃で1分間のベーキング処理を行い、更に拡散炉で窒素雰囲気にて400℃、30分間の加熱処理を行った。
【0016】
次に、図1に示すように、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。Au上部電極ueの形成では、円状の開口部を有するメタルマスクを低誘電率膜lkの表面に配置し、蒸着によりAu膜を100nm成膜した。Au上部電極ueの直径は1mmとした。
【0017】
このようにして作製したサンプル(A)について、LCRメータを用いた容量測定により、低誘電率膜lkの比誘電率を算出した。測定の結果、低誘電率膜の比誘電率は約2.3であった。
【0018】
次に、本発明者は、サンプル(B)を作製した。サンプル(B)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、低誘電率膜lkの全面を50nm、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etching)により除去した。このエッチングでは、RFパワーを250W、チャンバ内圧力を20Torrとした。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。
【0019】
このようにして作製したサンプル(B)について、サンプル(A)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は3.0であった。つまり、サンプル(B)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(A)のそれ(約2.3)よりも高い値を示した。このことは、低誘電率膜lkを形成した後にエッチングを行うと誘電率が上昇することを意味している。誘電率の上昇は配線遅延を引き起こし半導体装置の高速動作の阻害に繋がる。
【0020】
本発明者は、このような誘電率の上昇に伴う配線遅延を抑制するために種々の検討を行った。この検討では、例えば、サンプル(C)を作製した。サンプル(C)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、サンプル(B)と同様の条件で、低誘電率膜lkの全面を50nm、エッチングにより除去した。その後、低誘電率膜lkに対して紫外線(UV)照射を行った。このUV照射では、光源として高圧水銀ランプを用い、雰囲気をHeガス雰囲気、チャンバ内圧力を10Torr(減圧条件下)、UV照射強度を350mW/cm2、基板ヒータ温度を230℃、照射時間を10分間とした。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。なお、高圧水銀ランプから照射されるUVは150nm〜400nmのブロードバンドの波長を有する。
【0021】
このようにして作製したサンプル(C)について、サンプル(A)及び(B)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は2.5であった。つまり、サンプル(C)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(B)のそれ(3.0)よりも低い値を示した。このことは、上記のUV照射により誘電率が低下することを意味している。図2は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。図2の縦軸は各サンプルの比誘電率を示す。
【0022】
このように、エッチングによって低誘電率膜の誘電率が上昇しても、その後にUV照射を施すことにより誘電率が低下するという実験結果が得られた。この実験結果は、本発明者によって初めて確認されたものであり、低誘電率膜を層間絶縁膜として用いる半導体装置の製造方法に関して、非常に有用な知見である。
【0023】
更に、本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)のリーク電流特性を測定した。ここでは、サンプル(A)、(B)及び(C)について、低抵抗シリコン基板ssとAu上部電極ueとの間に印加する電界の強さに対して、低誘電率膜lkをリークして流れる電流の電流密度がどのように変化するのか測定した。図3は、サンプル(A)、(B)及び(C)のI−V特性を表すグラフである。図3の横軸は電界の強さ(MV/cm)を示し、縦軸は電流密度(A/cm2)を示す。
【0024】
図3に示すように、サンプル(A)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に、4.10×10-10(mA/cm2)のリーク電流が生じた。一方、サンプル(B)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に1.46×10-9(mA/cm2)ものリーク電流が生じた。つまり、サンプル(B)では、サンプル(A)の3倍以上にまでリーク電流が増加した。このようなリーク電流の増加は、エッチングによって低誘電率膜lkに何らかのダメージが与えられたことに因るものと考えられる。
【0025】
また、サンプル(C)では、電界の強さが0.4(MV/cm)の時に、3.85×10-11(mA/cm2)のリーク電流が流れた。つまり、サンプル(C)では、サンプル(A)と同程度までリーク電流が低下した。
【0026】
このように、エッチングによって低誘電率膜の誘電率が上昇しても、その後にUV照射を施すことによりリーク電流が低下するという実験結果が得られた。この実験結果は、本発明者によって初めて確認されたものであり、低誘電率膜を層間絶縁膜として用いる半導体装置の製造方法に関して、非常に有用な知見である。
【0027】
上記の実験についての考察、並びに、本発明者が更に行った実験の内容及び結果を、以下に示す。
【0028】
エッチングによって低誘電率膜に生じるダメージの構造が具体的にどのようなものなのか、詳細は明らかになっていない。一般に低誘電率材は、撥水性を有するものが望ましいとされる。これは、水の比誘電率は88と高く、低誘電率膜が水分を吸収すると低誘電率膜の誘電率が上昇してしまうからである。そこで、吸湿による低誘電率膜の誘電率上昇を抑制するため、例えば上記実験でも用いたMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜は、その表面が疎水性であるSi−H、Si−CH3等で終端するように処理されている。
【0029】
しかし、低誘電率膜のエッチングを行うと、その表面に何らかのダメージが生じてしまうと考えられる。例えば、MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の表面において、エッチングによって本来の化学結合が破壊され、親水性のSi−OH基が形成されている可能性がある。親水性のSi−OH基が形成されると、必然的にこの膜の表面に大気中の水分が吸着する。このような機構で、エッチングに伴って低誘電率膜の誘電率が上昇するものと考えられる。
【0030】
これに対し、エッチングによるダメージが生じた低誘電率膜にUV照射を行うと、エッチングによって生じた表面のSi−OH基が除去され、低誘電率膜の表面の吸水性が抑えられると予測される。この考察を検証するため、本発明者は以下の実験を行った。
【0031】
本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの屈折率を測定した。図4は、サンプル(A)、(B)及び(C)の低誘電率膜lkの屈折率を示すグラフである。図4の縦軸は低誘電率膜の屈折率を示す。図4に示すように、サンプル(A)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.275であるのに対し、サンプル(B)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.33まで上昇していた。これに対し、サンプル(C)では、低誘電率膜lkの屈折率が1.26まで減少していた。
【0032】
エッチングによりダメージの層が生じ、この層が吸湿したことが、サンプル(B)の低誘電率膜lkの屈折率の上昇の一因として考えられる。一方、サンプル(C)の低誘電率膜lkの屈折率が1.26まで低下したのは、UV照射によってダメージが回復し、低誘電率膜lkの表面が再度疎水性を示すようになり、吸湿性が抑えられたためであると考えられる。
【0033】
本発明者は、サンプル(A)、(B)及び(C)からの脱ガスの分析を行った。図5は、サンプル(A)、(B)及び(C)からの脱ガス分析の結果を示すグラフである。この分析では、昇温脱離ガス分析(TDS:thermal desorption spectroscopy)装置を用いて、サンプル(A)、(B)及び(C)を真空中にて赤外線で加熱し、放出されるガスを四重極型質量分析計で測定した。図5の横軸は低抵抗シリコン基板ssの加熱温度(℃)を示し、縦軸は質量数が18のガスの相対検出量を示す。図5に示すように、サンプル(B)の測定では、約280℃の加熱温度及び約420℃の加熱温度において、質量数が18のガスのピークが確認された。このピークは、水(H2O)の放出に伴うものであると予測される。一方、サンプル(A)及び(C)では、少なくとも約280℃の加熱温度ではピークが確認されなかった。この実験結果から、サンプル(B)はサンプル(A)と比べて、低誘電率膜lkが水分を多く吸収していると言える。また、サンプル(C)では、UV照射の結果、低誘電率膜lkの吸湿性が抑えられ、特性が改善されたと考察される。
【0034】
このように、本発明者は、鋭意検討の結果、エッチングによって低誘電率膜にダメージが生じたとしても、その後にUV照射を行うことによって、ダメージを回復させて低誘電率膜に吸着していた水分を除去できることに想到したのである。
【0035】
次に、UV照射の好ましい条件について説明する。
【0036】
UV照射時の基板温度は、25℃〜300℃とすることが好ましい。UV照射は、例えば、シングルダマシン法では低誘電率膜に配線溝を形成した後に行い、デュアルダマシン法では配線溝及びビアホールを形成した後に行う。このため、配線溝、ビアホールから下層の配線が露出した状態でUV照射を行うことになる。従って、UV照射時の基板温度が高すぎると、この下層の配線の材料、例えばCuが噴き出すことがある。本発明者は、この温度について検討を行ったところ、基板温度が300℃以下であれば、配線の材料の噴き出しを抑制することができる。また、基板温度が25℃未満の場合は、UV照射の効果がやや低くなることがある。従って、UV照射時の基板温度は、25℃〜300℃とすることが好ましい。
【0037】
また、UV照射時の雰囲気ガス中の酸素ガス(O2ガス)の濃度は、50ppm以下とすることが好ましい。これは、酸素ガスの濃度が50ppmを超える雰囲気ガス中でUV照射を行うと、下層の配線の表面が酸化しやすいからである。また、低誘電率膜のダメージを回復させるUV照射時の雰囲気ガスとしては、例えば、Heガス、Arガス及びN2ガス等の不活性ガスを用いることができ、特に、Heガスを用いることが好ましい。これは、Heガスの熱伝導性が高く、基板を冷却しやすいため、上記のような配線の材料の噴き出しをより確実に抑制することができるからである。Heガス雰囲気下でUV照射を行う場合、例えば、基板温度を25℃〜300℃、チャンバ内圧力を500mTorr〜50Torrとすることが好ましい。なお、UV照射時の雰囲気ガスとして、Heガス、Arガス、及びN2ガスの2種以上を含む混合ガスを用いてもよい。
【0038】
UVの照射時間は、特に限定されないが、例えば10分間以上とする。本発明者は、低誘電率膜に生じたダメージの回復度合いが、UVの照射時間によってどのように異なるかを調べるため、サンプル(D)を作製した。サンプル(D)の作製では、UVの照射時間を15分間としたことを除き、サンプル(C)の作製時と同様の処理を行った。
【0039】
このようにして作製したサンプル(D)について、サンプル(A)、(B)及び(C)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定したところ、比誘電率は2.3であった。つまり、サンプル(D)の低誘電率膜lkの比誘電率は、サンプル(C)のそれ(2.5)よりも低く、サンプル(A)のそれ(約2.3)と同程度の値を示した。このことから、低誘電率膜lkの誘電率は、UV照射によってエッチングを行う前の状態まで回復させ得ることが確認された。図6は、サンプル(A)〜(D)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。
【0040】
なお、サンプル(C)の作製時の低誘電率膜lkへのUV照射の条件は、これらの基板温度、雰囲気ガス、及び照射時間等を考慮して決定したものである。
【0041】
本発明者は、ダメージをより確実に回復させるために更に種々の検討を行った。この検討では、例えば、サンプル(E)、(F)及び(G)を作製した。サンプル(E)の作製では、サンプル(A)と同様の条件で、低抵抗シリコン基板ss上に低誘電率膜lkを形成した。低誘電率膜lkの厚さは100nmとした。次いで、サンプル(B)と同様の条件で、低誘電率膜lkの全面を50nm、エッチングにより除去した。その後、低誘電率膜lkに対して炭素含有化学種の一種であるヘキサメチルジシラザン(HMDS)を作用させる処理(HMDS処理)を行った。その後、サンプル(A)と同様の条件で、低誘電率膜lk上にAu上部電極ueを形成した。つまり、UV照射は行わなかった。なお、HMDS処理はベーパ処理として行い、110℃で30秒間行った。サンプル(F)の作製では、UVの照射時間を3分間としたことを除き、サンプル(C)の作製時と同様の処理を行った。つまり、HMDS処理は行わなかった。サンプル(G)の作製では、HMDS処理とAu上部電極ueの形成との間に、UV照射を3分間行ったことを除き、サンプル(E)の作製時と同様の処理を行った。UV照射の条件は、照射時間を除き、サンプル(A)の作製時と同様とした。
【0042】
このようにして作製したサンプル(E)、(F)及び(G)について、サンプル(A)〜(D)と同様に低誘電率膜lkの比誘電率を測定した。図7は、サンプル(A)、(B)、(E)、(F)及び(G)の低誘電率膜lkの比誘電率を示すグラフである。図7に示すように、サンプル(E)では、UV照射を行っていないにも拘らず、比誘電率が2.8とサンプル(B)のそれよりも低い値を示した。このことは、HMDS処理によってもダメージを回復させることができることを意味している。また、サンプル(F)では、UVの照射時間が短いため、比誘電率が2.75までしか低下しなかったが、サンプル(F)の処理にHMDS処理を加えたサンプル(G)では、サンプル(A)と同等の比誘電率(2.3)が得られた。このことは、UVの照射時間が短い場合でも、HMDS処理を行うと、ダメージを十分に回復させて誘電率を低下させることができることを意味している。
【0043】
更に、本発明者は、ダマシン法における配線溝内へのバリアメタル膜の形成前に、配線溝から露出している配線の表面に存在する自然酸化膜等の酸化物を還元する処理を行い、この処理の際に、上記のようなUV照射を行えば、短時間で還元処理及びUV照射を実行できることを見出した。更に、このような処理を行うと、還元ガスがUVによって励起されるため、還元効率が大幅に向上することも見出した。更に、本発明者は、配線溝の形成後のUV照射から配線溝内へのバリアメタル膜の形成までを一つのチャンバ内で大気開放せずに行うと、バリアメタル膜の機能をより確実に発揮させ、半導体装置の信頼性をより高めることができることも見出した。つまり、UV照射からバリアメタル膜の形成までの一連の処理を例えば真空中で行うことにより、ダメージが回復した低誘電率膜を、水分を含む大気から隔離することができる。そして、低誘電率膜の大気からの隔離によって、低誘電率膜の吸湿を抑制しながらバリアメタル膜を形成することができ、より一層確実にバリアメタル膜の酸化を抑制することができる。
【0044】
ここで、上記のような処理に好適な成膜装置について説明する。図8は、実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。
【0045】
図8に示すように、この成膜装置では、チャンバ101の下部に、バリアメタル膜を形成する対象である基板120が載置されるステージ102が設けられている。ステージ102には、RF源103からRF信号が印加される。また、チャンバ101の上部には、バリアメタル膜の原料であるターゲットを保持するホルダー110が設けられている。ホルダー110には、バイアス電源111からバイアス電圧が印加される。ステージ102の周囲には永久磁石104が設けられている。更に、チャンバ101内にH2ガス等の還元ガスを導入する還元ガス導入ライン105a、チャンバ101内にHMDS等の炭素含有化学種を導入する炭素含有ソース導入ライン105b、チャンバ101内にHeガス等の不活性ガスを導入する不活性ガス導入ライン105cも設けられている。また、チャンバ101内を減圧するポンプ106も設けられている。チャンバ101の壁の一部には石英窓109が取り付けられており、石英窓109の外部にUVバルブ107(紫外線源)が配置されている。UVバルブ107の周囲には、UVバルブ107から発せられたUVを、石英窓109を介してステージ102上の基板120に導く反射板108が設けられている。UVバルブ107から発せられるUVの波長は、例えば150nm〜400nm程度である。
【0046】
このように構成された成膜装置では、基板120に対するHMDS処理、UV照射、及び還元処理を、チャンバ101内で大気開放せずに実行することができる。また、これらの処理の2以上を組み合わせて同時に行うことも可能である。そして、この成膜装置を用いれば、物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)法によりバリアメタル膜を形成することができる。
【0047】
次に、実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図9A乃至図9Gは、実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0048】
先ず、図9A(a)に示すように、半導体基板1の表面に、例えばSTI(shallow trench isolation)法により素子分離絶縁膜2を形成する。次いで、素子分離絶縁膜2により画定された活性領域内にMOSトランジスタ3を形成する。MOSトランジスタ3には、ソース拡散層、ドレイン拡散層、ゲート絶縁膜、及びゲート電極等が含まれる。例えば、ゲート長は約65nmとし、ゲート絶縁膜の厚さは2nmとする。その後、MOSトランジスタ3を覆う層間絶縁膜4を、例えば化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法により形成する。例えば、層間絶縁膜4の材料としてはリンシリケートガラスPSG(phosphosilicate glass)を用い、層間絶縁膜4の厚さは1.5μmとする。なお、MOSトランジスタ3の高速動作のために、層間絶縁膜4の形成前に、ソース拡散層、ドレイン拡散層、及びゲート電極の表面にCoシリサイド層、Niシリサイド層等の低抵抗金属シリサイド層を形成してもよい。
【0049】
続いて、図9A(b)に示すように、層間絶縁膜4に、ソース拡散層、ドレイン拡散層に到達するコンタクトホール4aをエッチングにより形成する。次いで、コンタクトホール4aの内壁面を覆うようにバリアメタル膜5aを形成し、その上に導電膜5bを形成し、化学的機械的研磨(CMP:chemical mechanical polishing)法により、層間絶縁膜4の表面が露出するまで導電膜5b及びバリアメタル膜5aを除去する。この結果、バリアメタル膜5a及び導電膜5bを含むコンタクトプラグ5がコンタクトホール4a内に形成される。例えば、導電膜5bとしてはW膜を形成し、バリアメタル膜5aとしてはTiN膜を形成する。
【0050】
その後、図9A(c)に示すように、層間絶縁膜4及びコンタクトプラグ5上にエッチングストッパ膜6を形成する。エッチングストッパ膜6としては、例えば厚さが50nmのSiC膜を形成する。SiC膜の形成では、例えば、テトラメチルシランガスを1000sccmの流量でチャンバ内に供給し、CO2ガスを2500sccmの流量でチャンバ内に供給し、HF(high frequency)パワーを500Wとし、LF(low frequency)パワーを400Wとし、チャンバ内の圧力を2.3Torrとする。エッチングストッパ膜6として、SiO2膜、SiOC膜、SiN膜等を形成してもよい。続いて、エッチングストッパ膜6上に低誘電率膜7を層間絶縁膜として、例えばスピンオンプロセスにより形成する。低誘電率膜7の材料としては、例えば低誘電率材であるMSQ/HSQ混合のハイブリッド型ポーラスシリカ(触媒化成工業社製のNCS等)を用いる。また、低誘電率膜7の厚さは250nmとする。次いで、250℃で1分間のベーキング処理を行い、その後、窒素雰囲気中で半導体基板1の温度を400℃として30分間の熱処理を行う。続いて、低誘電率膜7上に犠牲膜8を形成する。犠牲膜8としては、例えば厚さが30nmのSiO2膜を形成する。犠牲膜8として、SiOC膜、SiC膜、SiN膜等を形成してもよい。
【0051】
次いで、図9A(d)に示すように、犠牲膜8上に、配線溝を形成する予定の領域を開口するレジストパターン31を形成する。その後、レジストパターン31をマスクとして用いて犠牲膜8、低誘電率膜7、及びエッチングストッパ膜6のエッチングを行うことにより、配線溝51(開口部)を形成する。このエッチングとしては、例えばエッチングガスとしてCF4ガスを用いたRIEを行い、RFパワーを250Wとし、チャンバ内の圧力を20mTorrとする。
【0052】
続いて、図9B(e)に示すように、レジストパターン31をアッシングにより除去する。次いで、図8に示す成膜装置のチャンバ101内に半導体基板1を搬送し、チャンバ101内でHMDS処理を行う。このHMDS処理では、炭素含有ソース導入ライン105bからHMDSガスをチャンバ101内に導入し、半導体基板1の温度を110℃とし、30秒間、配線溝51をベーパライズされたHMDS雰囲気中に晒す。このHMDS処理により、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージが回復する。
【0053】
次いで、HMDSガスの導入を停止し、不活性ガス導入ライン105cからHeガスをチャンバ101内に導入する。また、ポンプ106を作動させてチャンバ101内の圧力を10Torrとし、チャンバ101内の酸素ガスの濃度を50ppm以下とする。そして、UVバルブ107を発光させ、図9B(f)に示すように、チャンバ101内で、配線溝51にUVを照射する。例えば、このときのUVの強度は350mW/cm2とし、照射時間は10分間とする。このUV照射により、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージが更に回復する。
【0054】
その後、Heガスの導入を停止し、UV照射を継続しながら還元ガス導入ライン105aからH2ガスをチャンバ101内に導入する。この際、チャンバ101内の圧力は2Torr〜50Torrとする。この処理では、図9B(g)に示すように、H2ガスがUVによって励起され、水素ラジカルが発生する。このため、コンタクトプラグ5の表面に存在する自然酸化膜が高効率で還元される。また、UV照射が継続されるため、配線溝51の底面及び側面に存在するダメージがより一層回復する。
【0055】
続いて、H2ガスの導入及びUV照射を停止し、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したまま、図9B(h)に示すように、スパッタリング法によりバリアメタル膜9を配線溝51の底面上及び側面上、並びに犠牲膜8上に形成する。バリアメタル膜9(Cu拡散防止膜)としては、例えば厚さが30nmのTa膜を形成する。バリアメタル膜9の材料は、HMDS処理の前に予めターゲット121としてホルダー110に取り付けておく。更に、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したままターゲット121を交換して、スパッタリング法によりバリアメタル膜9上にシード膜10を形成する。シード膜10としては、例えば厚さが30nmのCu膜を形成する。
【0056】
次いで、半導体基板1をチャンバ101から取り出し、図9C(i)に示すように、めっき法により導電膜11をシード膜10上に形成する。導電膜11としては、例えば厚さが500nmのCu膜を形成する。
【0057】
その後、CMP法により、犠牲膜8の表面が露出するまで導電膜11、シード膜10及びバリアメタル膜9を除去する。この結果、図9C(j)に示すように、導電膜11、シード膜10及びバリアメタル膜9を含む配線21が配線溝51内に形成される。続いて、犠牲膜8及び配線21上にキャップ膜12(Cu拡散防止キャップ膜)を形成する。キャップ膜12としては、例えば厚さが50nmのSiO2膜を形成する。
【0058】
次いで、図9C(k)に示すように、キャップ膜12上に、層間絶縁膜としての低誘電率膜13、エッチングストッパ膜14、層間絶縁膜としての低誘電率膜15、及び犠牲膜16をこの順で形成する。低誘電率膜13としては、例えば厚さが250nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜を形成する。エッチングストッパ膜14としては、例えば厚さが30nmのSiC膜を形成する。エッチングストッパ膜14として、SiO2膜、SiOC膜、SiN膜等を形成してもよい。低誘電率膜15としては、例えば厚さが170nmのMSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜を形成する。犠牲膜16としては、例えば厚さが約50nmのSiO2膜を形成する。犠牲膜16として、SiOC膜、SiC膜、SiN膜等を形成してもよい。
【0059】
その後、犠牲膜16上に配線溝を形成する予定の領域を開口するレジストパターンを形成し、これをマスクとして用いて犠牲膜16及び低誘電率膜15のエッチングを行うことにより、図9C(l)に示すように、配線溝53(開口部)を形成する。
【0060】
続いて、犠牲膜16上及びエッチングストッパ膜14上にビアホールを形成する予定の領域を開口するレジストパターンを形成し、これをマスクとして用いてエッチングストッパ膜14、低誘電率膜13、及びキャップ膜12のエッチングを行うことにより、図9D(m)に示すように、ビアホール52(開口部)を形成する。
【0061】
次いで、図8に示す成膜装置のチャンバ101内に半導体基板1を搬送し、図9D(n)に示すように、チャンバ101内でHMDS処理を行う。このHMDS処理では、炭素含有ソース導入ライン105bからHMDSガスをチャンバ101内に導入し、半導体基板1の温度を110℃とし、30秒間、配線溝53及びビアホール52をベーパライズされたHMDS雰囲気中に晒す。このHMDS処理により、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージが回復する。
【0062】
その後、HMDSガスの導入を停止し、不活性ガス導入ライン105cからHeガスをチャンバ101内に導入する。また、ポンプ106を作動させてチャンバ101内の圧力を10Torrとし、チャンバ101内の酸素ガスの濃度を50ppm以下とする。そして、UVバルブ107を発光させ、図9E(o)に示すように、チャンバ101内で、配線溝53及びビアホール52にUVを照射する。例えば、このときのUVの強度は350mW/cm2とし、照射時間は10分間とする。このUV照射により、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージが更に回復する。
【0063】
続いて、Heガスの導入を停止し、UV照射を継続しながら還元ガス導入ライン105aからH2ガスをチャンバ101内に導入する。この際、チャンバ101内の圧力は2Torr〜50Torrとする。この処理では、図9E(p)に示すように、H2ガスがUVによって励起され、水素ラジカルが発生する。このため、配線21の表面に存在する自然酸化膜が高効率で還元される。また、UV照射が継続されるため、配線溝53及びビアホール52の底面及び側面に存在するダメージがより一層回復する。
【0064】
次いで、H2ガスの導入及びUV照射を停止し、チャンバ101内の雰囲気を大気から隔離したまま、図9F(q)に示すように、スパッタリング法によりバリアメタル膜17を配線溝53及びビアホール52の底面上及び側面上、並びに犠牲膜16上に形成する。バリアメタル膜17(Cu拡散防止膜)としては、例えば厚さが30nmのTa膜を形成する。バリアメタル膜17の材料は、HMDS処理の前に予めターゲット121としてホルダー110に取り付けておく。更に、スパッタリング法によりバリアメタル膜17上にシード膜18を形成する。シード膜18としては、例えば厚さが30nmのCu膜を形成する。
【0065】
その後、半導体基板1をチャンバ101から取り出し、図9F(r)に示すように、めっき法により導電膜19をシード膜18上に形成する。導電膜19としては、例えば厚さが500nmのCu膜を形成する。
【0066】
続いて、CMP法により、犠牲膜16の表面が露出するまで導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を除去する。この結果、図9G(s)に示すように、導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を含む配線23が配線溝53内に形成され、導電膜19、シード膜18及びバリアメタル膜17を含むビアプラグ22がビアホール52内に形成される。次いで、犠牲膜16及び配線52上にキャップ膜20(Cu拡散防止キャップ膜)を形成する。キャップ膜20としては、例えば厚さが50nmのSiO2膜を形成する。
【0067】
その後、同様の処理を繰り返して多層配線を形成し、更にパッシベーション膜及びパッド等を形成して、半導体装置を完成させる。
【0068】
このような本実施形態によれば、低誘電率膜7、13及び15のエッチングを行っているが、その後にHMDS処理及びUV照射を行っているため、低誘電率膜7、13及び15に生じたダメージを回復することができる。このため、低誘電率膜7、13及び15の誘電率の上昇を抑制して、リーク電流を低減することができる。また、コンタクトプラグ5及び配線21の表面に存在する酸化物の還元の際にも、UV照射を継続して行っているため、還元ガスが励起され、還元処理の効率を向上させることができる。更に、少なくとも配線溝51へのUV照射からバリアメタル膜9の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行い、少なくとも配線溝53及びビアホール52へのUV照射からバリアメタル膜17の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行っているため、低誘電率膜7、13及び15がほとんど吸湿していない状態でバリアメタル膜9及び17を形成することができる。
【0069】
なお、HMDS処理を省略してもよい。また、還元ガス雰囲気中でのUV照射を行うため、不活性ガス雰囲気中でのUV照射を省略してもよい。更に、還元ガス雰囲気中でのUV照射を行う際に、チャンバ内にHMDSを導入してもよい。つまり、還元ガス雰囲気中でのUV照射とHMDS処理とを同時に行ってもよい。また、還元ガス雰囲気中でのUV照射の前に、HMDS処理を行いながらUV照射を行ってもよい。
【0070】
また、低誘電率膜の材料は特に限定されず、低誘電率膜として、MSQ/HSQ混合ハイブリッド型ポーラスシリカ膜の他に、例えば、ポリアリーレン膜、ポリアリルエーテル膜、水素シルセスキオキサン膜、メチルシルセスキオキサン膜、又はシリコンオキシカーバイド膜等を形成してもよい。即ち、ALCAP−S(旭化成社製のポーラスシリカ)、Silk(ダウケミカル社製のポリアリエルエーテル)、FLARE(アライドシグナル社製のポリアリエルエーテル)等を用いてもよい。また、これらのうちの2種以上を含む積層体を形成してもよい。更に、SiO2膜等の低誘電率膜以外の絶縁膜に対して、上述のようなUV照射及び還元処理等を行ってもよい。
【0071】
更に、炭素含有化学種も特に限定されず、ヘキサメチルジシラン(HMDS)の他に、メチル基を含有する薬液等を使用してもよい。メチル基を含有する薬液としては、例えばテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、ヘプタメチルジシラザン等が挙げられる。また、炭素含有化学種を用いてダメージを回復させる方法も特に限定されず、上記の実施形態のように、これらの薬液をベーパ処理にて低誘電率膜の表面に付着させてもよく、これらの薬液を溶液状にして、これに低誘電率膜を浸してもよい。
【0072】
また、炭素含有化学種が炭素を含有するガスであってもよい。この場合、低誘電率膜をエチレンガス及び/又はアセチレンガス等のガスに晒してもよい。例えば、エチレンガスの流量を500sccmとし、チャンバ内の圧力を3Torrとして、当該チャンバ内に低誘電率膜を1分間保持し、その後、UV照射を行ってもよい。このような処理を行うと、UV照射によって気体中の炭素が活性化し、活性化した炭素が低誘電率膜のダメージを回復させる。また、エチレンガス等をUV照射時の雰囲気に加えてもよい。このような炭素を含有するガスとしては、エチレンガス及びアセチレンガス等のハイドロカーボンガスが挙げられ、また、テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリシクロテトラシロキサン、ジメチルフェニルシラン(DMPS)、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)等のオルガノシランガスも挙げられる。これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
更に、UV源として、低圧水銀ランプ、エキシマレーザ等を用いてもよい。エキシマレーザから発光されるUVの波長は172nm等の短波長であるため、より短時間の照射でダメージを回復させることができる。また、複数種類のUV源を組み合わせてもよい。例えば、エキシマレーザを用いてUV照射を行った後、高圧水銀ランプを使用したUV照射を行ってもよい。
【0074】
また、バリアメタル膜の材料も特に限定されず、Taの他に、例えば、TaN、Ti、TiN、W、WN、Zr、又はZrNを用いてもよい。また、これらの膜の2種以上を含む積層体を形成してもよい。更に、配線の主原料も特に限定されず、Cuの他に、Cu合金、W、W合金等を用いてもよい。
【0075】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0076】
(付記1)
基板の上方に第1の導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する工程と、
還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程と、
前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0077】
(付記2)
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを、一つのチャンバ内で大気開放せずに行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0078】
(付記3)
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを酸素ガスの濃度が50ppm以下の雰囲気下で行うことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0079】
(付記4)
前記絶縁膜は、低誘電率膜であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0080】
(付記5)
前記絶縁膜は、炭素を含有することを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0081】
(付記6)
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、不活性ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程を有することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0082】
(付記7)
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、前記開口部に炭素含有化学種を供給する工程を有することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0083】
(付記8)
前記不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0084】
(付記9)
前記還元ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0085】
(付記10)
前記炭素含有化学種は、メチル基を有することを特徴とする付記7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
【0086】
(付記11)
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0087】
(付記12)
前記炭素含有化学種は、ハイドロカーボンガス及びオルガノシランガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記7乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0088】
(付記13)
前記ハイドロカーボンガスは、エチレンガス及びアセチレンガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記12に記載の半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記14)
前記オルガノシランガスは、テトラメチルシクロテトラシロキサンガス、トリシクロテトラシロキサンガス、DMPSガス、及びTMSAガスからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記15)
前記紫外線の波長は、150nm〜400nmであることを特徴とする付記1乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記16)
前記還元ガス雰囲気は、水素を含むことを特徴とする付記1乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記17)
前記紫外線の照射の際に、前記基板の温度を25℃〜300℃とすることを特徴とする付記1乃至16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記18)
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、ウェハが載置されるステージと、
前記チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記チャンバ内に還元ガスを供給する還元ガス供給手段と、
前記ステージに紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする成膜装置。
【0094】
(付記19)
前記チャンバ内に炭素含有化学種を供給する炭素含有化学種供給手段を有することを特徴とする付記18に記載の成膜装置。
【0095】
(付記20)
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする付記18又は19に記載の成膜装置。
【符号の説明】
【0096】
1:基板
5:コンタクトプラグ
7、13、15:低誘電率膜
21、23:配線
232:ビアプラグ
51、53:配線溝
52:ビアホール
101:チャンバ
102:ステージ
105a:還元ガス導入ライン
105b:炭素含有ソース導入ライン
106:ポンプ
107:UVバルブ
108:反射板
109:石英窓
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に第1の導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する工程と、
還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程と、
前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを、一つのチャンバ内で大気開放せずに行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁膜は、低誘電率膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、不活性ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、前記開口部に炭素含有化学種を供給する工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記還元ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、ウェハが載置されるステージと、
前記チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記チャンバ内に還元ガスを供給する還元ガス供給手段と、
前記ステージに紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
前記チャンバ内に炭素含有化学種を供給する炭素含有化学種供給手段を有することを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
【請求項1】
基板の上方に第1の導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜のエッチングを行って、前記絶縁膜に前記第1の導電膜の少なくとも一部を露出する開口部を形成する工程と、
還元ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程と、
前記開口部内に前記絶縁膜及び前記第1の導電膜に接するバリアメタル膜を形成する工程と、
前記バリアメタル膜上に第2の導電膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記紫外線の照射から前記バリアメタル膜の形成までを、一つのチャンバ内で大気開放せずに行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁膜は、低誘電率膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、不活性ガス雰囲気中で前記開口部に紫外線を照射する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記開口部を形成する工程と前記紫外線を照射する工程との間に、前記開口部に炭素含有化学種を供給する工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記不活性ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記還元ガス雰囲気中で紫外線を照射する工程において、前記開口部に炭素含有化学種を供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記炭素含有化学種は、ヘキサメチルジシラン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、環式ジメチルシラザン、及びヘプタメチルジシラザンからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、ウェハが載置されるステージと、
前記チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記チャンバ内に還元ガスを供給する還元ガス供給手段と、
前記ステージに紫外線を照射する紫外線照射手段と、
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項10】
前記チャンバ内に炭素含有化学種を供給する炭素含有化学種供給手段を有することを特徴とする請求項9に記載の成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【公開番号】特開2011−216597(P2011−216597A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82098(P2010−82098)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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