説明

半導体装置の製造方法

【課題】ゲート電極を形成するときのハードマスクを除去するときにゲート絶縁膜の側面がエッチングされることを抑制し、かつ、サイドウォールの上端がゲート電極の上面より上に位置することを抑制する。
【解決手段】ゲート絶縁膜110上に、ゲート電極126となる導電膜120を形成する。次いで、導電膜120上に、ハードマスクパターン70を形成する。次いで、ハードマスクパターン70をマスクとして導電膜120を選択的に除去することにより、ゲート電極126を形成する。次いで、ゲート電極126の側面に第1のサイドウォール140を形成する。次いで、ハードマスクパターン70をウェットエッチングにより除去する。ハードマスクパターン70を形成した後、第1のサイドウォール140を形成する前に、ハードマスクパターン70の側面52を、上に行くにつれてハードマスクパターン70の幅が狭くなる方向に傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタを有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の微細化が進んでいる。半導体装置の微細化を支える技術のひとつに、ゲート絶縁膜として、酸化シリコン膜より誘電率の高い絶縁膜を使用し、かつゲート電極としてメタルゲート電極を使用する技術がある。メタルゲート電極を選択的に形成するときには、酸化シリコン膜などのハードマスクが用いられる。このハードマスクは、メタルゲート電極を形成したのちに、ウェットエッチングにより除去される。しかし、ウェットエッチングは等方性が高いため、ハードマスクを除去するときに、ゲート絶縁膜の側面もエッチングされてしまう。
【0003】
これに対して特許文献1には、サイドウォールを形成した後に、ゲート電極上のハードマスクを除去することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−186244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、サイドウォールを形成した後に、ゲート電極上のハードマスクを除去している。この技術によれば、ハードマスクを除去するときに、ゲート絶縁膜の側面はサイドウォールによって被覆されているため、エッチングされない、と考えられる。
【0006】
しかし、ハードマスクを除去する前にサイドウォールを形成すると、サイドウォールの上端がゲート電極の上面より上に位置する可能性が出てくる。この場合、ハードマスクを除去した後に、サイドウォールの上端が折れて異物となり、半導体装置の歩留まりが下がる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、ゲート電極となる導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にハードマスクパターンを形成する工程と、
前記ハードマスクパターンをマスクとして前記導電膜を選択的に除去することにより、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程と、
前記ハードマスクパターンをウェットエッチングにより除去する工程と、
を備え、
前記ハードマスクパターンを形成する工程の後、前記サイドウォールを形成する工程の前に、前記ハードマスクパターンの側面を、上に行くにつれて前記ハードマスクパターンの幅が狭くなる方向に傾斜させる工程を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本発明によれば、サイドウォールを形成する工程の前に、ハードマスクパターンの側面を、上に行くにつれて幅が狭くなる方向に傾斜させている。このため、サイドウォールを形成するときに、サイドウォールの上端がゲート電極の上面より上に位置することを抑制できる。また、ハードマスクパターンを除去する前にサイドウォールを形成しているため、ハードマスクパターンを除去するときにゲート絶縁膜の側面がエッチングされることを抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハードマスクパターンを除去するときにゲート絶縁膜の側面がエッチングされることを抑制でき、かつ、サイドウォールの上端がゲート電極の上面より上に位置することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】各図は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】各図は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】各図は第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1〜図3の各図は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための断面図である。この半導体装置の製造方法は、以下の工程を有する。まず、基板100上にゲート絶縁膜110を形成する。次いで、ゲート絶縁膜110上に、ゲート電極126となる導電膜120を形成する。次いで、導電膜120上に、ハードマスクパターン70を形成する。次いで、ハードマスクパターン70をマスクとして導電膜120を選択的に除去することにより、ゲート電極126を形成する。次いで、ゲート電極126の側面に第1のサイドウォール140を形成する。次いで、ハードマスクパターン70をウェットエッチングにより除去する。ハードマスクパターン70を形成した後、第1のサイドウォール140を形成する前に、ハードマスクパターン70の側面52を、上に行くにつれてハードマスクパターン70の幅が狭くなる方向に傾斜させる。以下、詳細に説明する。
【0013】
まず図1(a)に示すように、基板100に素子分離膜102を形成する。基板100は、例えばシリコン基板などの半導体基板である。素子分離膜102は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。次いで、基板100上及び素子分離膜102上に、ゲート絶縁膜110を形成する。ゲート絶縁膜110は、酸化シリコン膜より誘電率が高い材料、例えばHfSiO、HfSION、HfO、HfON、HfAlO、及びHfAlONからなる群から選ばれた少なくとも一つにより形成されている。ゲート絶縁膜110は、例えばCVD法などにより形成される。ゲート絶縁膜110の厚さは、例えば1nm以上10nm以下である。
【0014】
次いで、ゲート絶縁膜110上に導電膜120を形成する。導電膜120は、金属膜122及びシリコン膜124をこの順に積層した膜である。金属膜122は、例えばTiNやTaSiNから形成されており、その厚さは、例えば1nm以上20nm以下である。シリコン膜124は、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜であり、その厚さは、例えば20nm以上100nm以下である。金属膜122は、例えばスパッタリング法により形成され、シリコン膜124は、例えばLP(Low-Pressure)−CVD法(低圧CVD法)により形成される。
【0015】
次いで、ゲート絶縁膜110上に、ハードマスクパターンとなる酸化シリコン膜50及びシリコン膜60をこの順に形成する。酸化シリコン膜50は、例えばプラズマCVD法により形成され、その厚さは、例えば20nm以上60nm以下である。シリコン膜60は、ポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜であり、その厚さは、例えば20nm以上60nm以下である。次いで、シリコン膜60上にレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとして酸化シリコン膜50及びシリコン膜60をエッチングする。これにより、ハードマスクパターン70が形成される。その後、レジストパターンを除去する。
【0016】
次いで図1(b)に示すように、ハードマスクパターン70をマスクとしてドライエッチング、例えばリアクティブイオンエッチングを行うことにより、導電膜120を選択的に除去する。これにより、ゲート電極126が形成される。ゲート電極126はメタルゲート電極であり、金属膜122及びシリコン膜124をこの順に積層した構成を有している。
【0017】
なお、この工程において、ゲート電極126の側面には積層物128が形成される。またハードマスクパターン70のうちシリコン膜60は除去され、ハードマスクパターン70は酸化シリコン膜50のみとなる。
【0018】
次いで図1(c)に示すように、ハードマスクパターン70としての酸化シリコン膜50をウェットエッチングする。これにより、酸化シリコン膜50の側面52はテーパ形状となり、上に行くにつれて酸化シリコン膜50の幅が狭くなる方向に傾斜する。また、積層物128、及びゲート絶縁膜110のうちゲート電極126に覆われていない部分が除去される。この工程において、ウェットエッチング液としては、例えばフッ酸に対する純水の比が200倍以上1000倍以下の希フッ酸液が用いられる。なお、希フッ酸液を用いたウェットエッチングにより酸化シリコン膜50の側面52が傾斜するのは、酸化シリコン膜50が熱酸化膜ではなくCVD法により形成されていること、及び、フッ酸の希釈率を上げるとHFに対するHFの比率が高くなるためである。
【0019】
次いで図2(a)に示すように、ゲート電極126の側面及びゲート絶縁膜110の側面を含む全面に、絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えばSiNであり、その厚さは、例えば2nm以上20nm以下である。次いで、この絶縁膜をエッチバックする。これにより、ゲート電極126の側面、及びゲート絶縁膜110の側面には第1のサイドウォール140が形成される。
【0020】
次いで図2(b)に示すように、ハードマスクパターン70としての酸化シリコン膜50を、ウェットエッチングにより除去する。このウェットエッチングは、例えば希フッ酸を用いて行われる。
【0021】
次いで図3(a)に示すように、素子分離膜102及びゲート電極126をマスクとして、自己整合的にイオン注入を行う。これにより、ソース及びドレインのエクステンション領域150が形成される。
【0022】
次いで図3(b)に示すように、第1のサイドウォール140の側面上を含む全面に、絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、例えばSiOであり、その厚さは、例えば10nm以上50nm以下である。次いで、この絶縁膜をエッチバックする。これにより、第1のサイドウォール140の側面には第2のサイドウォール142が形成される。次いで、素子分離膜102、第2のサイドウォール142、及びゲート電極126をマスクとして、自己整合的にイオン注入を行う。これにより、ソース及びドレインとなる不純物拡散領域160が形成される。
【0023】
その後、熱処理工程、シリサイド形成工程、並びに層間絶縁膜、コンタクト(又はビア)、及び多層配線層の形成工程が行われる。
【0024】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態では、第1のサイドウォール140を形成する工程の前に、ハードマスクパターン70としての酸化シリコン膜50の側面52を、上に行くにつれて幅が狭くなる方向に傾斜させている。このため、第1のサイドウォール140を形成するときに、第1のサイドウォール140の上端がゲート電極126の上面より上に位置することを抑制できる。従って、ハードマスクパターン70を除去した後、第1のサイドウォール140の上端が折れて異物となり、半導体装置の歩留まりが下がることを抑制できる。
【0025】
また、ハードマスクパターン70を除去する前に第1のサイドウォール140を形成しているため、ハードマスクパターン70をウェットエッチングにより除去するときには、ゲート絶縁膜110の側面は第1のサイドウォール140によって覆われている。このため、ゲート絶縁膜110の側面がエッチングされることを抑制できる。
【0026】
図4は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図であり、第1の実施形態における図1(b)に相当する図である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、以下の点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
【0027】
まず、図1(c)に示した、ウェットエッチングにより酸化シリコン膜50の側面52を傾斜させる工程を有していない。その代わり、図4に示すように、ゲート電極126を形成するためのドライエッチングにおいて、酸化シリコン膜50の側面52を、第1の実施形態と同様に傾斜させる。このようにするためには、酸化シリコン膜50の成膜温度を例えば500℃以下にして酸化シリコン膜50の密度を低下させ、かつ、ドライエッチングにおけるエッチングレートを上げればよい。
【0028】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
50 酸化シリコン膜
52 側面
60 シリコン膜
70 ハードマスクパターン
100 基板
102 素子分離膜
110 ゲート絶縁膜
120 導電膜
122 金属膜
124 シリコン膜
126 ゲート電極
128 積層物
140 サイドウォール
142 サイドウォール
150 エクステンション領域
160 不純物拡散領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上に、ゲート電極となる導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にハードマスクパターンを形成する工程と、
前記ハードマスクパターンをマスクとして前記導電膜を選択的に除去することにより、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側面にサイドウォールを形成する工程と、
前記ハードマスクパターンをウェットエッチングにより除去する工程と、
を備え、
前記ハードマスクパターンを形成する工程の後、前記サイドウォールを形成する工程の前に、前記ハードマスクパターンの側面を、上に行くにつれて前記ハードマスクパターンの幅が狭くなる方向に傾斜させる工程を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスクパターンの側面を傾斜させる工程は、前記ハードマスクパターンをウェットエッチングする工程であり、前記ゲート電極を形成する工程と、前記サイドウォールを形成する工程の間に行われる半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスクパターンは酸化シリコン膜であり、
前記ハードマスクパターンをウェットエッチングする工程において、ウェットエッチング液として、フッ酸に対する純水の比が200倍以上1000倍以下の希フッ酸液を用いる半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記ハードマスクパターンの側面を傾斜させる工程は、前記ゲート電極を形成する工程と同一工程であり、前記ゲート電極を形成するときのドライエッチングにより、前記ハードマスクパターンの側面が傾斜する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法において、
前記ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜より誘電率が高い材料により形成されている半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、前記ゲート絶縁膜は、HfSiO、HfSION、HfO、HfON、HfAlO、及びHfAlONからなる群から選ばれた少なくとも一つにより形成されている半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記導電膜は、金属膜とポリシリコン膜又はアモルファスシリコン膜の積層膜である半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−205971(P2010−205971A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50477(P2009−50477)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】