説明

半導体装置の製造方法

【課題】FEOLにおいても半導体装置のチャージングを効果的に抑制できるようにする。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体基板101の上に、被保護素子のゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜122を形成する工程(a)と、保護素子部302において第1の絶縁膜122の少なくとも一部を除去する工程(b)と、工程(b)よりも後に、被保護素子部301において第1の絶縁膜122の表面を窒化する工程(c)と、工程(c)よりも後に、被保護素子部301及び保護素子部302の上に跨るように導電膜を選択的に形成することにより、互いに接続された被保護素子のゲート電極141及び保護素子の電極142を形成する工程(d)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に半導体基板上にメモリ素子とチャージングを低減する保護素子とを備えた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に形成された種々の半導体装置において、製造工程において生じるチャージングは素子特性に影響を及ぼすため、チャージングを極力低減することが重要な課題になっている。特に、半導体基板上に、ONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)を用いる局所電荷蓄積型メモリと周辺MOSFET(金属−酸化膜−半導体電界効果トランジスタ)とを混載した半導体記憶装置は、製造工程におけるチャージングの影響を受けやすい。チャージングによってONO膜に電荷がトラップされると、しきい値電圧の変化及びばらつきが顕著になり、電荷保持特性に影響を及ぼす。このため、保護素子を設けることによりチャージングを低減することが検討されている。保護素子は、チャージングを効果的に低減できるだけでなく、メモリ及び周辺MOSFETの性能及び品質を低下させることなく形成できることが極めて重要である。
【0003】
図20は従来のチャージング保護素子(例えば、特許文献1を参照。)を示している。被保護素501のゲート(G)端子は、金属配線層502を介して保護素子503のドレイン(D)端子と接続されている。保護素子503のゲート(G)端子は、配線504を介して金属アンテナ505と接続されている。保護素子503は、NMOSFETである。配線層形成工程において被保護素子501のゲート(G)端子に正のチャージが印加された場合には、金属アンテナ505を介して保護素子503のゲート端子(G)にも正電圧が印加される。これにより、保護素子503のドレイン(D)端子とソース(S)端子とが導通し、チャージは被保護素子501に帯電することなく基板(接地)に抜ける。一方、被保護素子501のゲート(G)端子に負のチャージが印加された場合には、保護素子503のドレイン(D)端子及びソース(S)端子とウエル拡散層とが順バイアスとなり、チャージは被保護素子501に帯電することなく基板(接地)に抜ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許6337502B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の半導体装置は、チャージングを抑制できるのは配線形成工程よりも後であり、配線形成工程よりも前のFEOL(Front End Of Line)と呼ばれるウェハープロセスの前半部においてはチャージングを抑制できない。
【0006】
FEOLでは、ドライエッチング、レジスト除去及びイオン注入工程等においてプラズマプロセスが多用され、正負の電荷が絶縁膜の上に形成された部材に帯電しやすい。これらの部材に電荷が帯電すると、絶縁膜の上下に高電界が発生して電流が流れ、絶縁膜の劣化を引き起こす。特に、ONO膜を用いる局所電荷蓄積型メモリの場合には、電荷蓄積層に電荷がトラップされ、トラップされた電荷はメモリの初期しきい値を変動させる。トラップされた電荷は、熱処理により除去できる場合もある。しかし、微細化が進むにつれて熱処理温度を低く抑える必要があり、熱処理による除去は困難となってきている。このため、チャージングの抑制そのものが要求されている。
【0007】
本発明は、前記の問題を解決し、FEOLにおいても半導体装置のチャージングを効果的に抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は半導体装置の製造方法を、被保護素子のゲート絶縁膜と保護素子の界面絶縁膜の上に跨るように電極となる導電膜を形成する工程を備えている構成とする。
【0009】
具体的に、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の被保護素子部に形成された被保護素子と保護素子部に形成された保護素子とを備えた半導体装置の製造方法を対象とし、半導体基板の上に、被保護素子のゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜を形成する工程(a)と、保護素子部において第1の絶縁膜の少なくとも一部を除去する工程(b)と、工程(b)よりも後に、被保護素子部において第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化する工程(c)と、工程(c)よりも後に、被保護素子部及び保護素子部の上に跨るように導電膜を形成することにより、互いに接続された被保護素子のゲート電極及び保護素子の電極を形成する工程(d)とを備えている。
【0010】
第1の半導体装置の製造方法は、ゲート絶縁膜上及び界面絶縁膜上に跨るように導電膜を選択的に形成することにより、互いに接続された被保護素子のゲート電極及び保護素子の保護素子電極を形成する工程を備えている。このため、被保護素子のゲート電極及び保護素子の保護素子電極を形成した段階から、被保護素子が保護される。従って、FEOLにおいても被保護素子へのチャージングを効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(c)よりも後で且つ工程(d)よりも前に、保護素子部において第1の絶縁膜の残存する部分を除去して、半導体基板を露出させ、露出した半導体基板の上に保護素子の界面絶縁膜を形成する工程(e)をさらに備え、工程(b)では、第1の絶縁膜の一部を残存させ、工程(d)では、保護素子部において界面絶縁膜の上に導電膜を形成してもよい。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(b)では、第1の絶縁膜の一部を残存させ、工程(c)では、被保護素子部において第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、保護素子部において第1の絶縁膜の残存する部分の表面を窒化又はフッ化し、工程(d)では、保護素子部において第1の絶縁膜の残存する部分の上に導電膜を形成してもよい。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(b)では、保護素子部において第1の絶縁膜を除去して半導体基板を露出させ、露出した半導体基板の上に保護素子の界面絶縁膜を形成し、工程(c)では、被保護素子部において第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、保護素子部において界面絶縁膜の表面を窒化又はフッ化し、工程(d)では、保護素子部において界面絶縁膜の上に導電膜を形成してもよい。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法は、工程(a)よりも後で且つ工程(b)よりも前に、半導体基板の周辺回路部に、周辺素子のゲート絶縁膜を形成する工程(f)をさらに備え、工程(c)では、被保護素子部において第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、周辺回路部において周辺素子のゲート絶縁膜の表面を窒化又はフッ化してもよい。
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(c)では、第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化した後、熱処理を行ってもよい。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法において、被保護素子はメモリ素子であり、ゲート電極は、メモリ素子の制御ゲート電極とすればよい。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法において、メモリ素子は、金属−酸化膜−窒化膜−酸化膜−シリコン(MONOS)型のメモリ素子としてもよい。
【0018】
本発明の半導体装置の製造方法において、工程(c)では、プラズマ処理を行えばよい。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方において、工程(d)では、窒化層を形成した後、熱処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る半導体装置の製造方法によれば、FEOLにおいても半導体装置のチャージングを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図2】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図3】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図4】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図5】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図6】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図7】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図8】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図9】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図10】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図11】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図12】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図13】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図14】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図15】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
【図16】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一工程を示す断面図である。
【図17】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一工程を示す断面図である。
【図18】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一工程を示す断面図である。
【図19】一実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例の一工程を示す断面図である。
【図20】従来の半導体装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜15は一実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示している。各図において、被保護素子であるメモリ素子を形成する被保護素子部301、保護素子である保護ダイオードを形成する保護素子部302、周辺回路用の低耐圧トランジスタを形成する第1の周辺素子部303及び周辺回路用の高耐圧トランジスタを形成する第2の周辺素子部304を示している。
【0023】
(1)メモリ素子の形成
まず、図1に示すように、半導体基板101上の全面に被保護素子のゲート絶縁膜となるONO膜122を形成する。ONO膜122は例えば、半導体基板101の上に熱酸化法により膜厚が約5nmの第1の酸化シリコン膜122Aを形成した後、第1の酸化シリコン膜122Aの上に化学気相堆積(CVD)法により膜厚が約15nmの第1の窒化シリコン膜122Bを形成する。続いて、第1の窒化シリコン膜122Bの上に熱酸化法により膜厚が約20nmの第2の酸化シリコン膜122Cを形成すればよい。なお、第2の酸化シリコン膜122Cは、熱酸化法による酸化シリコン膜とCVD法による酸化シリコン膜との積層構造としてもよい。
【0024】
次に、図2に示すように、被保護素子部301にビット線拡散層124を形成する。具体的には、フォトリソグラフィー法により、ビット線拡散層124を形成する領域に開口部を有する第1のマスクパターン151を形成する。第1のマスクパターン151を用いてONO膜122をドライエッチングにより選択的に除去する。この後、加速電圧が30keVであり、ドーズ量が2.0×1015/cm2である注入条件で半導体基板101に対して砒素(As)イオンを注入して、ビット線拡散層124を形成する。
【0025】
次に、図3に示すように、第1のマスクパターン151を除去した後、熱酸化法によりビット線拡散層124の上面を酸化することにより、膜厚が約50nmのビット線絶縁膜125を形成する。
【0026】
(2)PN接合の形成
図4に示すように、被保護素子部301を被覆する第2のマスクパターン152をフォトリソグラフィー法により形成した後、保護素子部302、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304において第2の酸化シリコン膜122Cを除去する。保護素子部302、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304には、第1の酸化シリコン膜122A及び第1の窒化シリコン膜122BからなるON膜が残存する。
【0027】
次に、図5に示すように、第2のマスクパターン152を除去した後、半導体基板101上の全面に、膜厚が15nm程度の第2の窒化シリコン膜128をCVD法により堆積した後、フォトリソグラフィー法により保護素子部302を露出する開口部を有する第3のマスクパターン153を形成する。続いて、保護素子部に保護ダイオードとなるPN接合を形成する。例えば、加速電圧が70keVであり、ドーズ量が2.0×1015/cm2である注入条件により、砒素(As)イオンを保護素子部302に注入し、N型不純物拡散層130Aを形成する。続いて、加速電圧が40keVであり、ドーズ量が1.0×1013/cm2である注入条件によりホウ素(B)イオンを保護素子部302に注入し、N型不純物拡散層130Aの下にP型不純物拡散層130Bを形成すればよい。
【0028】
(3)高耐圧MOSFETゲート絶縁膜の形成
図6に示すように、第3のマスクパターン153を除去した後、被保護素子部301及び保護素子部302に第3の酸化シリコン膜131を堆積する。例えばまず、半導体基板101上の全面にCVD法により膜厚が約30nmの酸化シリコン膜を堆積する。この後、フォトリソグラフィー法により第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304を露出する開口部を有する第4のマスクパターン154を形成する。第4のマスクパターン154を用いて第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304において酸化シリコン膜をウェットエッチングにより除去すればよい。
【0029】
次に、図7に示すように、第4のマスクパターン154を除去した後、第3の酸化シリコン膜131をマスクとして、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304において第2の窒化シリコン膜128及び第1の窒化シリコン膜122Bを熱リン酸により除去する。続いて、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304において第1の酸化シリコン膜122Aをウェットエッチングにより除去する。第3の酸化シリコン膜131は第1の酸化シリコン膜122Aよりも厚いため、被保護素子部301及び保護素子部302において第3の酸化シリコン膜131が残存する。
【0030】
次に、図8に示すように、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304に膜厚が約5nm〜20nmの高耐圧MOSFET用のゲート絶縁膜134を熱酸化法により形成する。なお、ゲート絶縁膜134は、CVD法により酸化シリコン膜形を成した後、熱酸化法により酸化シリコン膜の下側の半導体基板101上に熱酸化膜を形成した積層構造としてもよい。また、熱酸化膜を形成した後、熱酸化膜の上にCVD法による酸化シリコン膜を形成した積層構造としてもよい。
【0031】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィー法により被保護素子部301及び保護素子部302を露出する開口部を有する第6のマスクパターン156を形成し、ウェットエッチングにより第3の酸化シリコン膜131を除去する。
【0032】
次に、図10に示すように、第6のマスクパターン156を除去した後、高耐圧MOSFET用のゲート絶縁膜134をマスクとして、被保護素子部301及び保護素子部302において第2の窒化シリコン膜128及び第1の窒化シリコン膜122Bを熱リン酸により除去する。これにより、保護素子部302において第1の酸化シリコン膜122Aが露出する。
【0033】
(4)低耐圧MOSFETゲート絶縁膜の形成
図11に示すように、フォトリソグラフィー法により第1の周辺素子部303を露出する開口部を有する第7のマスクパターン157を形成し、ウェットエッチングにより第1の周辺素子部303においてゲート絶縁膜134を除去する。
【0034】
次に、図12に示すように、第7のマスクパターン157を除去した後、熱酸化法により膜厚が2nm〜5nmの低耐圧MOSFET用のゲート絶縁膜137を形成する。なお、熱酸化法は外部燃焼方式によるファーネス又は急速熱酸化(RTO)法としてもよいまた、内燃式のISSG(In Situ Steam Generation)酸化法としてもよい。
【0035】
次に、図13に示すように、界面層となる窒化層138を形成する。具体的には、被保護素子部301に形成された第2の酸化シリコン膜122C、保護素子部302に形成された第1の酸化シリコン膜122A、第1の周辺素子部303に形成されたゲート絶縁膜137及び第2の周辺素子部304に形成されたゲート絶縁膜134の上部をプラズマ窒化処理する。窒化処理後、高速熱処理(RTP)によるアニール処理を実施する。窒化処理により低耐圧MOSFETのゲート絶縁膜137の膜質を向上させることができる。また、ゲート電極にホウ素(B)イオンを注入する場合、ホウ素が半導体基板101へ拡散することを抑制できる。なお、窒化層138の形成は、ファーネスにより実施してもよい。また、窒素に代えてフッ素を用いてフッ化処理を行い、窒化層に代えてフッ化層を形成してもよい。
【0036】
(5)電極の形成
図14に示すように、フォトリソグラフィー法により保護素子部302を露出する開口部を有する第8のマスクパターン158を形成し、保護素子部302において窒化層138及び第1の酸化シリコン膜122Aをウェットエッチングにより除去する。ウェットエッチングの最後にオゾン洗浄処理を行い、半導体基板101上に膜厚が1nm程度の界面酸化膜140を形成する。界面酸化膜140を形成することにより、後の工程において多結晶シリコン膜を成長させる際に、一部がエピタキシャル成長してしまうことを抑え、デバイス特性を安定にすることができる。
【0037】
次に、図15に示すように、第8のマスクパターン158を除去した後、被保護素子部301、保護素子部302、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304に多結晶シリコン膜をCVD法により堆積する。堆積した多結晶シリコン膜を選択的にエッチング除去することにより、メモリ素子のコントロールゲート電極141、保護素子の電極142、低耐圧MOSFETのゲート電極143及び高耐圧MOSFETのゲート電極144を形成する。なお、コントロールゲート電極141は、保護素子の電極142と接続されるように、保護素子部302まで連続して形成する。
【0038】
この後、詳細な説明は省略するが、第1の周辺素子部303及び第2の周辺素子部304においてソース/ドレインを形成し、必要に応じてシリサイド層、金属配線、保護膜及びボンディングパッド等を形成する。
【0039】
本実施形態の半導体装置及びその製造方法によれば、被保護素子部301におけるコントロールゲート電極141と保護素子部302におけるダイオードの電極142とを同一の多結晶シリコン膜を用いて同時に形成している。また、コントロールゲート電極141とダイオードの電極142とは接続されている。このため、多結晶シリコン膜の形成よりも後の工程において保護ダイオードが機能し、FEOLにおけるチャージングをほぼ確実に防止することができる。従って、メモリ素子の高性能化を図ることができる。また、保護素子はメモリ素子及び周辺回路のMOSFETと整合性良く形成できるため、メモリ素子及び周辺MOSFETの性能及び品質が低下するおそれがない。
【0040】
本実施形態においては、窒化層138を除去した後に多結晶シリコン膜を形成し各電極を形成した。しかし、保護素子の電極142と界面酸化膜140との間に窒化層138が存在していてもよい。この場合には、図16に示すように低耐圧MOSFETのゲート絶縁膜137を形成した後、保護素子部302において第1の酸化シリコン膜122Aをウェットエッチングにより除去し、膜厚が1nm程度の界面酸化膜140を形成する。次に、図17に示すように、第8のマスクパターン158を除去した後、半導体基板101上の全面に窒化層138を形成すればよい。この後、図18に示すように、コントロールゲート電極141、保護素子の電極142、低耐圧MOSFETのゲート電極143及び高耐圧MOSFETのゲート電極144を形成すればよい。
【0041】
レジストパターンを除去する際の除去液には、アンモニア過酸化水素水(APM:NH4OH:H22:H2O)が通常使用される。ゲート絶縁膜の露出面に対してAPM洗浄を実施すると、H22の影響によりゲート絶縁膜に局所的なピンホールが発生するおそれがある。また、ピンホールの影響は、窒化したゲート酸化膜の方が大きい。このため、窒化層138を第8のマスクパターン158を除去した後に形成することにより、第8のマスクパターン158を除去する洗浄工程により、低耐圧MOSFETのゲート絶縁膜137の膜質を向上させることができる。従って、周辺MOSFETの性能化及び信頼性をさらに向上させることができる。
【0042】
また、保護素子の電極142と半導体基板101との間に、窒化層138と第1の酸化シリコン膜122Aとが存在していてもよい。この場合には、図13に示す工程において窒化層138を形成した後、窒化層138及び第1の酸化シリコン膜122Aを除去せずに、図19に示すように、コントロールゲート電極141、保護素子の電極142、低耐圧MOSFETのゲート電極143及び高耐圧MOSFETのゲート電極144を形成すればよい。
【0043】
このようにすれば、低耐圧MOSFETのゲート絶縁膜137を形成し、窒化処理を行った後に、洗浄工程を行う必要がない。従って、洗浄工程による低耐圧MOSFETのゲート絶縁膜137の膜質の劣化を防止することができる。このため、周辺MOSFETの性能化及び信頼性化をさらに向上させることができる。
【0044】
本実施形態では、周辺素子部に低耐圧MOSFETと高耐圧MOSFETの2種類の周辺素子を備えている例を示した。しかし、周辺素子部に形成する周辺素子は3種類以上であってもよく、1種類であってもよい。
【0045】
本実施形態は、特にチャージングの影響を受けやすいメモリ装置について説明したが、メモリ装置以外の半導体装置においても、同様にチャージングを低減する効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、FEOLにおいても半導体装置のチャージングを効果的に抑制でき、特に、ゲート絶縁膜としてONO膜を有するメモリ部と、周辺MOSFETとを備えた半導体装置の製造方法等として有用である。
【符号の説明】
【0047】
101 半導体基板
122 ONO膜
122A 第1の酸化シリコン膜
122B 第1の窒化シリコン膜
122C 第2の酸化シリコン膜
124 ビット線拡散層
125 ビット線絶縁膜
128 第2の窒化シリコン膜
130A N型不純物拡散層
130B P型不純物拡散層
131 第3の酸化シリコン膜
134 ゲート絶縁膜
137 ゲート絶縁膜
138 窒化層
140 界面酸化膜
141 コントロールゲート電極
142 電極
143 ゲート電極
144 ゲート電極
151 第1のマスクパターン
152 第2のマスクパターン
153 第3のマスクパターン
154 第4のマスクパターン
156 第6のマスクパターン
157 第7のマスクパターン
158 第8のマスクパターン
301 被保護素子部
302 保護素子部
303 第1の周辺素子部
304 第2の周辺素子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の被保護素子部に形成された被保護素子と保護素子部に形成された保護素子とを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板の上に、前記被保護素子のゲート絶縁膜となる第1の絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記保護素子部において前記第1の絶縁膜の少なくとも一部を除去する工程(b)と、
前記工程(b)よりも後に、前記被保護素子部において前記第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化する工程(c)と、
前記工程(c)よりも後に、前記被保護素子部及び保護素子部の上に跨るように導電膜を形成することにより、互いに接続された前記被保護素子のゲート電極及び前記保護素子の電極を形成する工程(d)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(c)よりも後で且つ前記工程(d)よりも前に、前記保護素子部において前記第1の絶縁膜の残存する部分を除去して、前記半導体基板を露出させ、露出した前記半導体基板の上に前記保護素子の界面絶縁膜を形成する工程(e)をさらに備え、
前記工程(b)では、前記第1の絶縁膜の一部を残存させ、
前記工程(d)では、前記保護素子部において前記界面絶縁膜の上に前記導電膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(b)では、前記第1の絶縁膜の一部を残存させ、
前記工程(c)では、前記被保護素子部において前記第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、前記保護素子部において前記第1の絶縁膜の残存する部分の表面を窒化又はフッ化し、
前記工程(d)では、前記保護素子部において前記第1の絶縁膜の残存する部分の上に前記導電膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(b)では、前記保護素子部において前記第1の絶縁膜を除去して前記半導体基板を露出させ、露出した前記半導体基板の上に前記保護素子の界面絶縁膜を形成し、
前記工程(c)では、前記被保護素子部において前記第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、前記保護素子部において前記界面絶縁膜の表面を窒化又はフッ化し、
前記工程(d)では、前記保護素子部において前記界面絶縁膜の上に前記導電膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(a)よりも後で且つ前記工程(b)よりも前に、前記半導体基板の周辺回路部に、周辺素子のゲート絶縁膜を形成する工程(f)をさらに備え、
前記工程(c)では、前記被保護素子部において前記第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化すると共に、前記周辺回路部において前記周辺素子のゲート絶縁膜の表面を窒化又はフッ化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(c)では、前記前記第1の絶縁膜の表面を窒化又はフッ化した後、熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記被保護素子はメモリ素子であり、
前記ゲート電極は、前記メモリ素子の制御ゲート電極であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記メモリ素子は、金属−酸化膜−窒化膜−酸化膜−シリコン(MONOS)型のメモリ素子であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)では、プラズマ処理を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−238732(P2011−238732A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108086(P2010−108086)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】