説明

半導体装置及びその製造方法、画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板

【課題】絶縁層上の有機半導体層をレーザ光を用いてパターニングしたときであっても、有機半導体層に損傷が生じ難い半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、(A)基体10上にゲート電極12を形成した後、(B)基体10及びゲート電極12上にゲート絶縁層13を形成し、次いで、(C)基体10に到達する分離溝16をゲート絶縁層13に形成した後、(D)ゲート絶縁層13上及び分離溝16の底部に露出した基体10上に有機半導体層14を形成し、次に、(E)少なくとも分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14の部分にレーザ光を照射して分離溝16の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層14の上に一対のソース/ドレイン電極15を形成する各工程から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びその製造方法、画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの電子機器に用いられている薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)を含む電界効果トランジスタ(FET)は、例えば、支持体上に形成されたゲート電極、ゲート電極上を含む支持体上に形成されたSiO2から成るゲート絶縁層、並びに、ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びソース/ドレイン電極から構成されている。そして、このような構造を有する電界効果トランジスタの作製には、通常、非常に高価な半導体製造装置が使用されており、製造コストの低減が強く要望されている。
【0003】
そうした中、最近、有機半導体材料から成る薄膜を用いた電子デバイスの開発が精力的に行われており、その中でも、有機トランジスタといった有機エレクトロニクスデバイス(以下、単に、有機デバイスと略称する場合がある)が注目を浴びている。この有機デバイスの最終的な目標として、低コスト、軽量、可撓性、高性能を挙げることができる。有機半導体材料は、シリコンを中心とする無機材料と比較して、
(1)低温で、簡易なプロセスにて、大面積の有機デバイスを低コストで製造することができる。
(2)可撓性を有する有機デバイスを製造することが可能である。
(3)有機材料を構成する分子を所望の形態に修飾することで、有機デバイスの性能や物性を制御することができる。
といった種々の利点を有している。
【0004】
そして、特に、低温で、簡易なプロセスとして、印刷法等の塗布成膜法の検討が進められている(例えば、WO2003/016599参照)。然るに、塗布成膜法にて有機半導体層から成るチャネル形成領域を形成した場合、あるいは又、成膜方法に依っては、有機半導体層をパターニングしないと漏れ電流が増加するといった問題が生じ得る。
【0005】
有機半導体層をパターニングするためにレーザアブレーション技術を用いることが、例えば、特開2006−140433から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2003/016599
【特許文献2】特開2006−140433
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この特許公開公報に開示された技術にあっては、ソース/ドレイン電極上に形成された有機半導体層に対してレーザ光を照射する。一方、有機トランジスタの製造にあっては、屡々、絶縁層の上に直接形成された有機半導体層をパターニングしなければならない。然るに、絶縁層上の有機半導体層をレーザ光を用いてパターニングすると、レーザ光が絶縁層に吸収され、絶縁層が発熱し、この熱によって有機半導体層に損傷が生じ得る。
【0008】
従って、本開示の目的は、絶縁層上の有機半導体層をレーザ光を用いてパターニングしたときであっても、有機半導体層に損傷が生じ難い半導体装置の製造方法、係る半導体装置の製造方法によって得られる半導体装置、係る半導体装置を備えた画像表示装置及び画像表示装置を構成する基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る半導体装置の製造方法は、所謂ボトムゲート・トップコンタクト型の半導体装置の製造方法であって、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層の上に一対のソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る。尚、工程(E)においては、少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させた後、有機半導体層の上に一対のソース/ドレイン電極を形成してもよいし、有機半導体層の上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させてもよい。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る半導体装置の製造方法は、所謂ボトムゲート・ボトムコンタクト型の半導体装置の製造方法であって、
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる、
各工程から成る。尚、工程(C)において、ゲート絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成してもよいし、基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、ゲート絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成してもよい。
【0011】
上記の目的を達成するための本開示の第3の態様に係る半導体装置の製造方法は、所謂トップゲート・ボトムコンタクト型の半導体装置の製造方法であって、
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させた後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る。尚、工程(B)においては、絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、基材に到達する分離溝を絶縁層に形成してもよいし、基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成してもよい。
【0012】
上記の目的を達成するための本開示の第4の態様に係る半導体装置の製造方法は、所謂トップゲート・トップコンタクト型の半導体装置の製造方法であって、
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る。尚、工程(D)においては、少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させた後、有機半導体層上に一対のソース/ドレイン電極を形成してもよいし、有機半導体層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させてもよい。
【0013】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る半導体装置は、所謂ボトムゲート・トップコンタクト型あるいはボトムゲート・ボトムコンタクト型の半導体装置であって、
基体上に形成されたゲート電極、
基体及びゲート電極上に形成されゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
を備えた半導体装置であって、
ゲート絶縁層には、基体に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基体の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない。
【0014】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る半導体装置は、所謂トップゲート・ボトムコンタクト型あるいはトップゲート・トップコンタクト型の半導体装置であって、
基材上に設けられた絶縁層の上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
少なくともチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えた半導体装置であって、
絶縁層には、基材に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基材の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない。
【0015】
上記の目的を達成するための本開示の画像表示装置を構成する基板(所謂バックプレーン)は、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置の複数が、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。
【0016】
また、上記の目的を達成するための本開示の画像表示装置は、上記の本開示の画像表示装置を構成する基板(バックプレーン)を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本開示の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置の製造方法にあっては、チャネル形成領域を構成する有機半導体層をパターニングするので、半導体装置における漏れ電流の増加といった問題が生じることが無い。そして、有機半導体層のパターニングをレーザ光を用いて行うのでパターニング工程の簡素化を図ることができ、しかも、パターニングの際、有機半導体層の直下にはゲート絶縁層あるいは絶縁層が存在しないが故に、レーザ光がゲート絶縁層あるいは絶縁層によって吸収され、ゲート絶縁層あるいは絶縁層が発熱し、この熱によって有機半導体層に損傷が生じるといった問題の発生を確実に防止することができる。また、チャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分とパターニングされる有機半導体層の部分との間の距離は、チャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分とゲート絶縁層あるいは絶縁層との間の距離よりも長いが故に、熱によってチャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分に損傷が生じるといった問題の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1の(A)〜(E)は、実施例1の半導体装置の製造方法を説明するための基体等の模式的な一部端面図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、実施例1の半導体装置の製造方法の変形例を説明するための基体等の模式的な一部端面図であり、図2の(C)は、実施例1の半導体装置の製造方法の別の変形例を説明するための基体等の模式的な一部端面図である。
【図3】図3の(A)〜(E)は、実施例2の半導体装置の製造方法を説明するための基体等の模式的な一部端面図である。
【図4】図4の(A)〜(C)は、実施例2の半導体装置の製造方法の変形例を説明するための基体等の模式的な一部端面図であり、図4の(D)は、実施例2の半導体装置の製造方法の別の変形例を説明するための基体等の模式的な一部端面図である。
【図5】図5の(A)〜(E)は、実施例3の半導体装置の製造方法を説明するための基材等の模式的な一部端面図である。
【図6】図6の(A)及び(B)は、実施例3の半導体装置の製造方法の変形例を説明するための基材等の模式的な一部端面図であり、図6の(C)は、実施例3の半導体装置の製造方法の別の変形例を説明するための基材等の模式的な一部端面図である。
【図7】図7の(A)〜(E)は、実施例4の半導体装置の製造方法を説明するための基材等の模式的な一部端面図である。
【図8】図8の(A)及び(B)は、実施例4の半導体装置の製造方法の変形例を説明するための基材等の模式的な一部端面図であり、図8の(C)は、実施例4の半導体装置の製造方法の別の変形例を説明するための基材等の模式的な一部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る半導体装置、本開示の画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様に係る半導体装置、本開示の画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板)
3.実施例2(本開示の第2の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様に係る半導体装置、本開示の画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板)
4.実施例3(本開示の第3の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第2の態様に係る半導体装置、本開示の画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板)
5.実施例4(本開示の第4の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第2の態様に係る半導体装置、本開示の画像表示装置、並びに、画像表示装置を構成する基板)、その他
【0020】
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置の製造方法、あるいは又、本示の第1の態様に係る半導体装置において、ゲート絶縁層はレーザ光を吸収する材料か構成されている形態とすることができる。ここで、『レーザ光を吸収する材料』とは、加工に用いるレーザの波長を吸収する材料を示す。以下の説明においても同様である。例えば、加工に波長248nmのKrFエキシマレーザを用いた場合、例えばポリビニルフェノール、ポリイミド、PMMA等に代表される有機絶縁膜やポリマー材料がこれに該当する。
【0021】
また、本開示の第3の態様あるいは第4の態様に係る半導体装置の製造方法、あるいは又、本開示の第2の態様に係る半導体装置において、絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている形態とすることができる。
【0022】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板あるいは本開示の画像表示装置を総称して、以下、単に、『本開示』と呼ぶ場合がある。
【0023】
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板(バックプレーン)にあっては、
第1の方向に沿って配列された複数の半導体装置におけるゲート電極は、第1の方向に沿って延びるゲート配線に接続されており、
第2の方向に沿って配列された複数の半導体装置における一方のソース/ドレイン電極は、第2の方向に沿って延びる信号配線に接続されている。
【0024】
本開示において、ゲート電極やソース/ドレイン電極(以下、これらを総称して、『ゲート電極等』と呼ぶ場合がある)を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ルテニウム(Rh)、ルビジウム(Rb)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、ITO、不純物を含有したポリシリコン等の導電性物質を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造(例えば、MoOx/Au、CuO/Au)とすることもできる。更には、ゲート電極等を構成する材料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]やTTF−TCNQ、ポリアニリンといった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。ゲート電極、ソース/ドレイン電極を構成する材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0025】
ゲート電極等の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、後述する各種の塗布法、物理的気相成長法(PVD法)、パルスレーザ堆積法(PLD)、アーク放電法、MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法)、リフト・オフ法、シャドウマスク法、及び、電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。尚、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着、ルツボを加熱する方法等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。レジストパターンを形成する場合、例えば、レジスト材料を塗布してレジスト層を形成した後、フォトリソグラフィ技術、レーザ描画技術、電子線描画技術あるいはX線描画技術等を用いてレジスト層をパターニングする。レジスト転写法等を用いてレジストパターンを形成してもよい。ゲート電極等をエッチング方法に基づき形成する場合、ドライエッチング法やウェットエッチング法を採用すればよく、ドライエッチング法として、例えば、イオンミリングや反応性イオンエッチング(RIE)を挙げることができる。また、ゲート電極等を、レーザアブレーション法、マスク蒸着法、レーザ転写法等に基づき形成することもできる。
【0026】
本開示において、ゲート絶縁層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。ゲート絶縁層を構成する材料として、酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、酸化アルミニウム(Al23)やHfO2等の金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等のシラノール誘導体(シランカップリング剤)、オクタデカンチオール、ドデシルイソシアネイト等の一端にゲート電極と結合可能な官能基を有する直鎖炭化水素類にて例示される有機系絶縁材料(有機ポリマー)にて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。ここで、酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率SiO2系材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。また、ゲート絶縁層の形成方法として、以下に述べる塗布法以外にも、上述した各種のPVD法やCVD法、ゾル−ゲル法、及び、電着法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができるし、レーザアブレーション法に基づきパターニングを行ってもよいし、感光性材料を用いて、露光・現像を行うことでパターニングを行ってもよい。
【0027】
ここで、塗布法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、反転オフセット印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、凸版印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクト法といった各種印刷法;スピンコート法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットコーター法、スリットオリフィスコーター法、キャップコート法、カレンダーコーター法、キャスティング法、キャピラリーコーター法、バーコーター法、浸漬法といった各種コーティング法;スプレー法;ディスペンサーを用いる方法:スタンプ法といった、液状材料を塗布する方法を挙げることができる。
【0028】
本開示において、有機半導体層あるいはチャネル形成領域を構成する有機半導体材料として、ポリチオフェン、ポリチオフェンにヘキシル基を導入したポリ−3−ヘキシルチオフェン[P3HT]、ペンタセン[2,3,6,7−ジベンゾアントラセン]、ペンタセンの誘導体[TIPS(triisopropylsilylethynyl)−ペンタセン等]、ペリキサンテノキサンテン等を含むジオキサアンタントレン系化合物、ポリアントラセン、ナフタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセン、ベンゾピレン、ジベンゾピレン、トリフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリフェニレン、ポリフラン、ポリインドール、ポリビニルカルバゾール、ポリセレノフェン、ポリテルロフェン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィド、ポリチエニレンビニレン、ポリナフタレン、ポリピレン、ポリアズレン、銅フタロシアニンで代表されるフタロシアニン、メロシアニン、ヘミシアニン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ピリダジン、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]、キナクリドンを例示することができる。あるいは又、有機半導体材料として、縮合多環芳香族化合物、ポルフィリン系誘導体、フェニルビニリデン系の共役系オリゴマー、及び、チオフェン系の共役系オリゴマーから成る群から選択された化合物を挙げることができる。具体的には、例えば、アセン系分子(ペンタセン、テトラセン等)といった縮合多環芳香族化合物、ポルフィリン系分子、共役系オリゴマー(フェニルビニリデン系やチオフェン系)を挙げることができる。
【0029】
あるいは又、有機半導体材料として、例えば、ポルフィリン、4,4’−ビフェニルジチオール(BPDT)、4,4’−ジイソシアノビフェニル、4,4’−ジイソシアノ−p−テルフェニル、2,5−ビス(5’−チオアセチル−2’−チオフェニル)チオフェン、2,5−ビス(5’−チオアセトキシル−2’−チオフェニル)チオフェン、4,4’−ジイソシアノフェニル、ベンジジン(ビフェニル−4,4’−ジアミン)、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、テトラチアフルバレン(TTF)−TCNQ錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体に代表される電荷移動錯体、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−ジ(4−チオフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、1,4−ジ(4−イソシアノフェニルアセチリニル)−2−エチルベンゼン、デンドリマー、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン、1,4−ジ(4−チオフェニルエチニル)−2−エチルベンゼン、2,2”−ジヒドロキシ−1,1’:4’,1”−テルフェニル、4,4’−ビフェニルジエタナール、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−ビフェニルジイソシアネート、1,4−ジアセチニルベンゼン、ジエチルビフェニル−4,4’−ジカルボキシレート、ベンゾ[1,2−c;3,4−c’;5,6−c”]トリス[1,2]ジチオール−1,4,7−トリチオン、アルファ−セキシチオフェン、テトラチオテトラセン、テトラセレノテトラセン、テトラテルルテトラセン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリ(N−アルキルピロール)ポリ(3−アルキルピロール)、ポリ(3,4−ジアルキルピロール)、ポリ(2,2’−チエニルピロール)、ポリ(ジベンゾチオフェンスルフィド)を例示することができる。
【0030】
有機半導体層あるいはチャネル形成領域には、必要に応じてポリマーが含まれていてもよい。ポリマーは有機溶剤に溶解すればよい。具体的には、ポリマー(有機結合剤、バインダー)として、ポリスチレン、ポリアルファメチルスチレン、ポリオレフィンを例示することができる。更には、場合によっては、添加物(例えば、n型不純物やp型不純物といった、所謂ドーピング材料)を加えることもできる。
【0031】
有機半導体材料溶液を調製するための溶媒として、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等の芳香族類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、デカリン等の炭化水素類等を例示することができる。なかでも、メシチレン、テトラリン、デカリン等の沸点が比較的高い溶媒を用いることが、トランジスタ特性の観点から、また、有機半導体層あるいはチャネル形成領域の形成時に有機半導体材料が急激に乾燥することを防止するといった観点から、好ましい。
【0032】
有機半導体層あるいはチャネル形成領域の形成方法として、塗布法を挙げることができる。ここで、塗布法は、一般的な塗布法をいずれも問題なく使用することができ、具体的には、例えば、上述した各種の塗布法を挙げることができる。場合によっては、上述した各種のPVD法やCVD法等を用いることもできる。
【0033】
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様に係る半導体装置における基体として、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に例示される有機ポリマーから構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板を挙げることができ、あるいは又、雲母を挙げることができる。このような可撓性を有する有機ポリマー、高分子材料から構成された基体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への電子デバイスや半導体装置の組込みあるいは一体化が可能となる。あるいは又、基体として、各種ガラス基板や、石英基板、シリコン基板、サファイヤ基板を挙げることができる。これらの基体の中には加工に用いるレーザ光を吸収するものもあり、レーザ光の吸収による発熱が問題となる場合、基体上にレーザ光を吸収しない層(レーザ光非吸収層)あるいは吸収し難い層(レーザ光難吸収層)を設けることで、このような問題の発生を回避することができる。尚、レーザ光非吸収層やレーザ光難吸収層を構成する材料として、例えば、シリコンの酸化物SiOx、窒化物SiNY、酸窒化物SiOXY、酸化アルミニウムAlOx、ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMAやフッ素系樹脂等を挙げることができる。
【0034】
一方、本開示の第3の態様あるいは第4の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第2の態様に係る半導体装置における基材として、上記の基体を挙げることができるし、導電性基板(金やアルミニウム等の金属から成る基板、高配向性グラファイトから成る基板、ステンレス鋼基板等といった各種合金や各種金属から成る基板)を挙げることができる。また、基材上に設けられた絶縁層を構成する材料として、ゲート絶縁層を構成する材料を挙げることもできるし、公知の絶縁膜を広く用いることができる。
【0035】
本開示の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置の製造方法にあっては、分離溝の形成方法として、フォトリソグラフィ技術とドライエッチング法やウェットエッチング法との組合せを採用すればよい。あるいは又、上述したゲート絶縁層の形成方法を、適宜、採用することで、分離溝を形成することもできる。どのような平面形状の分離溝を設けるかは、半導体装置のデザイン、半導体装置に要求される特性等を鑑みて決定すればよい。有機半導体層に照射するレーザ光として、例えば、KrFエキシマレーザから出射された波長248nmのレーザ光や、YAGレーザから出射された波長1064nmのレーザ光の第4高調波(266nm)、XeClエキシマレーザから出射された波長308nmのレーザ光を挙げることができる。レーザ光を有機半導体層に照射すると、有機半導体層は昇華する。即ち、有機半導体層はレーザアブレーション法によってパターニングされる。尚、場合によっては、レーザ光を有機半導体層に照射すると、有機半導体層が分解する場合もあるし、蒸発する場合もある。有機半導体層に照射すべきレーザ光の照射エネルギーや照射時間は、各種の試験を行い、適宜、決定すればよい。
【0036】
レーザ光の照射方法として、有機半導体層の上方に配設されたレーザ光遮蔽マスクを介してレーザ光を一括して有機半導体層に照射する方法、あるいは又、例えば分離溝のパターンに合わせてレーザ光を、順次、有機半導体層に照射する方法を例示することができる。これらの方法を採用することで、レーザ光に照射される有機半導体層の領域を、適切に選択することができる。尚、前者の方法におけるレーザ光遮蔽マスクとして、例えば、ガラス板や石英板、プラスチック・フィルム、プラスチック板、金属板等にレーザ光を透過する領域とレーザ光を遮蔽する領域が形成されたマスクを用いればよい。レーザ光を遮蔽する領域には、例えばクロム(Cr)等の金属膜を形成すればよい。また、後者の方法として、具体的には、レーザ光ビームを、順次、ステップ移動させながら有機半導体層に照射する方法(より具体的には、基体や基材を載置したステージが所定の距離の移動と停止を繰り返し、所謂ラスタ走査方式あるいは所謂ベクタ走査方式と組み合わせて2次元的走査によってレーザ光ビームを有機半導体層に照射する方法)を挙げることができる。
【0037】
本開示の第1の態様〜第4の態様に係る半導体装置の製造方法にあっては、少なくとも分離溝の底部に露出した基体あるいは基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して、分離溝の底部の少なくとも一部を露出させるが、ここで、
[A]分離溝の底部に露出した基体あるいは基体上に形成された有機半導体層の一部分にレーザ光を照射して、分離溝の底部の一部を露出させてもよいし、
[B]分離溝の底部に露出した基体あるいは基体上に形成された有機半導体層にレーザ光を照射して、分離溝の底部を露出させてもよいし、
[C]分離溝の底部に露出した基体あるいは基体上に形成された有機半導体層だけでなく、分離溝の側壁上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して、分離溝の底部を露出させてもよいし、これらの[A]〜[C]が、適宜、組み合わされた状態を得てもよい。
【0038】
本開示の画像表示装置として、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた画像表示装置、電気泳動ディスプレイ素子を備えた画像表示装置、プラズマ表示装置を例示することができる。また、画像表示装置は、例えば、所謂デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノートブック型のパーソナルコンピュータ、モバイル型のパーソナルコンピュータ、PDA(パーソナル・デジタル・アシスト)、携帯電話、ゲーム機、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POP等の各種画像表示装置に適用することができる。
【0039】
本開示の半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、場合によっては、多数の半導体装置を集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各半導体装置を切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、半導体装置を樹脂にて封止してもよい。
【実施例1】
【0040】
実施例1は、本開示の第1の態様に係る半導体装置、本開示の第1の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板あるいは本開示の画像表示装置に関する。実施例1の半導体装置の模式的な一部端面図を図1の(E)に示す。
【0041】
実施例1あるいは後述する実施例2の半導体装置は、
基体10,20上に形成されたゲート電極12,22、
基体10,20及びゲート電極12,22上に形成されゲート絶縁層13,23、並びに、
ゲート絶縁層13,23上に形成された、有機半導体層14,24から成るチャネル形成領域14A,24A及び一対のソース/ドレイン電極15、
を備えている。そして、
ゲート絶縁層13,23には、基体10,20に到達する分離溝16,26が形成されており、
分離溝16,26の底部に位置した基体10,20の少なくとも一部には有機半導体層14,24が形成されていない。
【0042】
より具体的には、実施例1の半導体装置は、所謂ボトムゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタ(TFT)であり、
(a)基体10上に形成されたゲート電極12、
(b)基体10及びゲート電極12上に形成されたゲート絶縁層13、
(c)ゲート絶縁層13上に形成された、有機半導体層14から成るチャネル形成領域14A、及び、有機半導体層14から成り、チャネル形成領域14Aから延在したチャネル形成領域延在部14B、並びに、
(d)チャネル形成領域延在部14B上に形成された一対のソース/ドレイン電極15、
を備えている。
【0043】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2において、基体10,20はPET、PEN、PES、ポリイミド等のプラスチック・フィルムや金属箔、ガラス等から成り、ゲート電極12,22はアルミニウム(Al)や、AlとTiの積層構造から成り、ゲート絶縁層13,23は、レーザ光を吸収する材料から構成されており、具体的には、波長248nmにおいて80%以上のレーザ光吸収率を生じるポリビニルフェノール(PVP)から成り、有機半導体層14,24はペンタセンやTIPS−ペンタセン、ペリキサンテノキサンテンから成り、一対のソース/ドレイン電極15,25は金(Au)や銅(Cu)から成る。
【0044】
また、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4の画像表示装置を構成する基板(バックプレーン)は、実施例1〜実施例4の半導体装置の複数が、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されており、
第1の方向に沿って配列された複数の半導体装置におけるゲート電極12,22,32,42は、第1の方向に沿って延びるゲート配線に接続されており、
第2の方向に沿って配列された複数の半導体装置における一方のソース/ドレイン電極15,25,35,45は、第2の方向に沿って延びる信号配線に接続されている。
【0045】
更には、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4の画像表示装置は、実施例1〜実施例4の画像表示装置を構成する基板(バックプレーン)を備えている。
【0046】
以下、基体等の模式的な一部端面図である図1の(A)〜(E)を参照して、実施例1の半導体装置の製造方法の説明を行う。
【0047】
[工程−100]
先ず、基体10上にゲート電極12を形成する。具体的には、基体10の一部をハードマスクで覆った状態で、ゲート電極12を真空蒸着法によって形成する。こうして、ゲート電極12をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。但し、ゲート電極12の形成方法はこれに限定するものではなく、ゲート電極12を構成する導電材料層の成膜技術及びエッチング技術の組合せに基づき形成してもよいし、所謂リフト・オフ法に基づき形成してもよい。
【0048】
[工程−110]
次に、基体10及びゲート電極12上にゲート絶縁層13を形成する(図1の(A)参照)。具体的には、スピンコート法に基づき、全面にゲート絶縁層13を形成する。
【0049】
[工程−120]
その後、基体10に到達する分離溝16をゲート絶縁層13に形成する(図1の(B)参照)。具体的には、周知のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づき、ゲート絶縁層13に、基体10に到達する分離溝16を形成すればよい。
【0050】
[工程−130]
次に、ゲート絶縁層13上及び分離溝16の底部に露出した基体10上に有機半導体層14を、例えば、スピンコート法に基づき形成する(図1の(C)参照)。スピンコート法においては、溶剤に有機半導体材料を溶解した有機半導体材料溶液、具体的には、例えば、ペンタセンやTIPS−ペンタセン、ペリキサンテノキサンテンをトルエンに溶かした有機半導体材料溶液を使用する。
【0051】
その後、少なくとも分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14の部分にレーザ光を照射して分離溝16の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層14の上に一対のソース/ドレイン電極15を形成する。
【0052】
[工程−140]
具体的には、先ず、分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14の部分に、KrFエキシマレーザから出射された波長248nmのレーザ光を照射して分離溝16の底部の一部を露出させる。こうして、図1の(D)に示す構造を得ることができる。
【0053】
[工程−150]
次いで、有機半導体層14の上に、より具体的には、チャネル形成領域延在部14Bの上に、一対のソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、ソース/ドレイン電極15を構成する導電材料層の成膜技術及びエッチング技術の組合せに基づき、ソース/ドレイン電極15を形成することができる。但し、ソース/ドレイン電極15の形成方法はこれに限定するものではなく、ソース/ドレイン電極15を形成すべき領域以外の領域をハードマスクで覆った状態で、ソース/ドレイン電極15を真空蒸着法によって形成してもよいし、所謂リフト・オフ法に基づき形成してもよい。こうして、図1の(E)に示す構造を得ることができる。あるいは又、実施例1の半導体装置を備えた、画像表示装置を構成する基板、画像表示装置を得ることができる。
【0054】
尚、画像表示装置を構成する基板の製造、画像表示装置の製造にあっては、以上の工程に引き続き、半導体装置の上あるいは上方に、画像表示部(具体的には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子あるいは電気泳動ディスプレイ素子、半導体発光素子から成る画像表示部)を、周知の方法に基づき形成すればよい。以下の実施例2〜実施例4においても同様である。
【0055】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4の半導体装置の製造方法にあっては、チャネル形成領域を構成する有機半導体層をパターニングするので、半導体装置における漏れ電流の増加といった問題が生じることが無い。しかも、有機半導体層のパターニングをレーザ光を用いて行うが、この際、有機半導体層の直下にはゲート絶縁層あるいは絶縁層が存在しないが故に、レーザ光がゲート絶縁層あるいは絶縁層によって吸収され、ゲート絶縁層あるいは絶縁層が発熱し、この熱によって有機半導体層に損傷が生じるといった問題の発生を確実に防止することができる。しかも、チャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分とパターニングされる有機半導体層の部分との間の距離が、チャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分とゲート絶縁層あるいは絶縁層との間の距離よりも長い。それ故、熱によってチャネル形成領域を構成する有機半導体層の部分に損傷が生じるといった問題の発生を確実に防止することができる。また、有機半導体層のパターニングをレーザ光を用いて行うので、即ち、有機半導体層をレーザアブレーション法によってパターニングするので、パターニング工程の簡素化を図ることができる。
【0056】
尚、上述した[工程−140]と[工程−150]の順序を逆にしてもよい。即ち、図2の(A)に示すように、有機半導体層14の上に一対のソース/ドレイン電極15を形成した後、図2の(B)に示すように、少なくとも分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14の部分にレーザ光を照射して分離溝16の底部の少なくとも一部を露出させてもよい。
【0057】
また、以上に説明したように、
[A]分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14の一部分にレーザ光を照射して、分離溝16の底部の一部を露出させてもよいし、あるいは又、
[B]分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14にレーザ光を照射して、分離溝16の底部を露出させてもよいし、あるいは又、
[C]図2の(C)に示すように、分離溝16の底部に露出した基体10上に形成された有機半導体層14だけでなく、分離溝16の側壁(この側壁は、所謂順テーパー状となっている)上に形成された有機半導体層14の部分にレーザ光を照射して、分離溝16の底部を露出させてもよく、この場合には、有機半導体層14の下地である分離溝16の側壁におけるゲート絶縁層13の厚さが他の領域における厚さよりも薄いので、ゲート絶縁層13が発熱しても、この熱によって有機半導体層14に損傷が生じることが無い。
【実施例2】
【0058】
実施例2は、本開示の第1の態様に係る半導体装置、本開示の第2の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第1の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板あるいは本開示の画像表示装置に関する。実施例2の半導体装置の模式的な一部端面図を図3の(E)に示す。
【0059】
実施例2の半導体装置は、所謂ボトムゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ(TFT)であり、
(a)基体20上に形成されたゲート電極22、
(b)基体20及びゲート電極22上に形成されたゲート絶縁層23、
(c)ゲート絶縁層23上に形成された一対のソース/ドレイン電極25、
(d)有機半導体層24から成り、一対のソース/ドレイン電極25の間に位置するゲート絶縁層23の部分の上に形成されたチャネル形成領域24A、
を備えている。
【0060】
以下、基体等の模式的な一部端面図である図3の(A)〜(E)を参照して、実施例2の半導体装置の製造方法の説明を行う。
【0061】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、基体20上にゲート電極22を形成する。
【0062】
[工程−210]
次に、実施例1の[工程−110]と同様にして、基体20及びゲート電極22上にゲート絶縁層23を形成する(図3の(A)参照)。
【0063】
その後、ゲート絶縁層23上に一対のソース/ドレイン電極25を形成する一方、基体20に到達する分離溝26をゲート絶縁層23に形成する。
【0064】
[工程−220]
具体的には、実施例1の[工程−120]と同様にして、先ず、基体20に到達する分離溝26をゲート絶縁層23に形成する(図3の(B)参照)。
【0065】
[工程−230]
次いで、ゲート絶縁層23の上に、実施例1の[工程−150]と同様にして、一対のソース/ドレイン電極25を形成する(図3の(C)参照)。
【0066】
[工程−240]
その後、ゲート絶縁層23上、ソース/ドレイン電極25上及び分離溝26の底部に露出した基体20上に有機半導体層24を形成する(図3の(D)参照)。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様にして、有機半導体層24を、例えば、スピンコート法に基づき形成する。
【0067】
[工程−250]
次いで、少なくとも分離溝26の底部に露出した基体20上に形成された有機半導体層24の部分にレーザ光を照射して分離溝26の底部の少なくとも一部を露出させる。具体的には、実施例1の[工程−140]と同様にして、分離溝26の底部に露出した基体20上に形成された有機半導体層24の部分にレーザ光を照射して分離溝26の底部の一部を露出させる。こうして、図3の(E)に示す構造を得ることができる。あるいは又、実施例2の半導体装置を備えた、画像表示装置を構成する基板、画像表示装置を得ることができる。
【0068】
尚、上述した[工程−220]と[工程−230]の順序を逆にしてもよい。即ち、図4の(A)に示すように、ゲート絶縁層23の上に一対のソース/ドレイン電極25を形成した後、図4の(B)に示すように、基体20に到達する分離溝26をゲート絶縁層23に形成してもよい。尚、このような工程を経て得られた半導体装置の模式的な一部端面図を図4の(C)に示す。
【0069】
また、以上に説明したように、
[A]分離溝26の底部に露出した基体20上に形成された有機半導体層24の一部分にレーザ光を照射して、分離溝26の底部の一部を露出させてもよいし、あるいは又、
[B]分離溝26の底部に露出した基体20上に形成された有機半導体層24にレーザ光を照射して、分離溝26の底部を露出させてもよいし、あるいは又、
[C]図4の(D)に示すように、分離溝26の底部に露出した基体20上に形成された有機半導体層24だけでなく、分離溝26の側壁(この側壁は、所謂順テーパー状となっている)上に形成された有機半導体層24の部分にレーザ光を照射して、分離溝26の底部を露出させてもよく、この場合には、有機半導体層24の下地である分離溝26の側壁におけるゲート絶縁層23の厚さが他の領域における厚さよりも薄いので、ゲート絶縁層23が発熱しても、この熱によって有機半導体層24に損傷が生じることが無い。
【実施例3】
【0070】
実施例3は、本開示の第2の態様に係る半導体装置、本開示の第3の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第2の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板あるいは本開示の画像表示装置に関する。実施例3の半導体装置の模式的な一部端面図を図5の(E)に示す。
【0071】
実施例3あるいは後述する実施例4の半導体装置は、
基材30,40上に設けられた絶縁層31,41の上に形成された、有機半導体層34,44から成るチャネル形成領域34A,44A及び一対のソース/ドレイン電極35,45、
少なくともチャネル形成領域34A,44A上に形成されたゲート絶縁層33,43、並びに、
ゲート絶縁層33,43上に形成されたゲート電極32,42、
を備えている。そして、
絶縁層31,41には、基材30,40に到達する分離溝36,46が形成されており、
分離溝36,46の底部に位置した基材30,40の少なくとも一部には有機半導体層34,44が形成されていない。
【0072】
より具体的には、実施例3の半導体装置は、所謂トップゲート・ボトムコンタクト型の薄膜トランジスタ(TFT)であり、
(a)基材30上に設けられた絶縁層31の上に形成された一対のソース/ドレイン電極35、
(b)一対のソース/ドレイン電極35の間に位置する絶縁層31の部分の上に形成された、有機半導体層34から成るチャネル形成領域34A、及び、有機半導体層34から成り、ソース/ドレイン電極35上に形成され、チャネル形成領域34Aから延在したチャネル形成領域延在部34B、
(c)基材30及び有機半導体層34上に形成されたゲート絶縁層33、並びに、
(d)チャネル形成領域34Aと対向してゲート絶縁層33上に形成されたゲート電極32、
を備えている。
【0073】
ここで、実施例3あるいは後述する実施例4において、基材30,40はPET、PEN、PES、ポリイミド等のプラスチック・フィルムや金属箔、ガラス等から成り、絶縁層31,41は、レーザ光を吸収する材料から構成されており、具体的には、ポリビニルフェノール(PVP)から成り、ゲート電極32,42はアルミニウム(Al)や、AlとTiの積層構造から成り、ゲート絶縁層33,43はPVPやアクリル等のポリマー絶縁膜や、フッ素樹脂、及び、これらを積層したものから成り、有機半導体層34,44はペンタセンやTIPS−ペンタセン、ペリキサンテノキサンテンから成り、一対のソース/ドレイン電極35,45は金(Au)や銅(Cu)から成る。
【0074】
以下、基材等の模式的な一部端面図である図5の(A)〜(E)を参照して、実施例3の半導体装置の製造方法の説明を行う。
【0075】
先ず、絶縁層31が表面に形成された基材30を準備する。そして、絶縁層31上に一対のソース/ドレイン電極35を形成する一方、基材30に到達する分離溝36を絶縁層31に形成する。
【0076】
[工程−300]
具体的には、実施例1の[工程−150]と同様にして、絶縁層31上に一対のソース/ドレイン電極35を形成する(図5の(A)参照)。
【0077】
[工程−310]
次いで、実施例1の[工程−120]と同様にして、基材30に到達する分離溝36を絶縁層31に形成する(図5の(B)参照)。
【0078】
[工程−320]
その後、絶縁層31上、ソース/ドレイン電極35上及び分離溝36の底部に露出した基材30上に、実施例1の[工程−130]と同様にして、例えば、スピンコート法に基づき、有機半導体層34を形成する(図5の(C)参照)。
【0079】
[工程−330]
次に、実施例1の[工程−140]と同様にして、少なくとも分離溝36の底部に露出した基材30上に形成された有機半導体層34の部分にレーザ光を照射して分離溝36の底部の少なくとも一部を露出させる(図5の(D)参照)。
【0080】
[工程−340]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、全面にゲート絶縁層33を形成し、更に、実施例1の[工程−100]と同様にして、ゲート電極32を形成する。こうして、図5の(E)に示す構造を得ることができる。あるいは又、実施例3の半導体装置を備えた、画像表示装置を構成する基板、画像表示装置を得ることができる。
【0081】
尚、上述した[工程−300]と[工程−310]の順序を逆にしてもよい。即ち、図6の(A)に示すように、基材30に到達する分離溝36を絶縁層31に形成した後、図6の(B)に示すように、絶縁層31上に一対のソース/ドレイン電極35を形成してもよい。
【0082】
また、以上に説明したように、
[A]分離溝36の底部に露出した基材30上に形成された有機半導体層34の一部分にレーザ光を照射して、分離溝36の底部の一部を露出させてもよいし、あるいは又、
[B]分離溝36の底部に露出した基材30上に形成された有機半導体層34にレーザ光を照射して、分離溝36の底部を露出させてもよいし、あるいは又、
[C]図6の(C)に示すように、分離溝36の底部に露出した基材30上に形成された有機半導体層34だけでなく、分離溝36の側壁(この側壁は、所謂順テーパー状となっている)上に形成された有機半導体層34の部分にレーザ光を照射して、分離溝36の底部を露出させてもよく、この場合には、有機半導体層34の下地である分離溝36の側壁における絶縁層31の厚さが他の領域における厚さよりも薄いので、絶縁層31が発熱しても、この熱によって有機半導体層34に損傷が生じることが無い。
【実施例4】
【0083】
実施例4は、本開示の第2の態様に係る半導体装置、本開示の第4の態様に係る半導体装置の製造方法、本開示の第2の態様に係る半導体装置を備えた本開示の画像表示装置を構成する基板あるいは本開示の画像表示装置に関する。実施例4の半導体装置の模式的な一部端面図を図7の(E)に示す。
【0084】
実施例4の半導体装置は、所謂トップゲート・トップコンタクト型の薄膜トランジスタ(TFT)であり、
(a)基材40上に設けられた絶縁層41の上に形成された有機半導体層44から成るチャネル形成領域44A、及び、有機半導体層44から成り、チャネル形成領域44Aから延在したチャネル形成領域延在部44B、
(b)チャネル形成領域延在部44B上に形成された一対のソース/ドレイン電極45、
(c)基材40、有機半導体層44及びソース/ドレイン電極45上に形成されたゲート絶縁層43、並びに、
(d)チャネル形成領域44Aと対向してゲート絶縁層43上に形成されたゲート電極42、
を備えている。
【0085】
以下、基材等の模式的な一部端面図である図7の(A)〜(E)を参照して、実施例4の半導体装置の製造方法の説明を行う。
【0086】
[工程−400]
先ず、絶縁層41が表面に形成された基材40を準備する。そして、実施例1の[工程−120]と同様にして、基材40に到達する分離溝46を絶縁層41に形成する(図7の(A)参照)。
【0087】
[工程−410]
その後、絶縁層41上及び分離溝46の底部に露出した基材40上に、実施例1の[工程−130]と同様にして、例えば、スピンコート法に基づき、有機半導体層44を形成する(図7の(B)参照)。
【0088】
次に、少なくとも分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44の部分にレーザ光を照射して分離溝46の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層44上に一対のソース/ドレイン電極45を形成する。
【0089】
[工程−420]
具体的には、実施例1の[工程−150]と同様にして、絶縁層41上に一対のソース/ドレイン電極45を形成する(図7の(C)参照)。
【0090】
[工程−430]
次いで、実施例1の[工程−140]と同様にして、少なくとも分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44の部分にレーザ光を照射して分離溝46の底部の少なくとも一部を露出させる(図7の(D)参照)。
【0091】
[工程−440]
その後、実施例1の[工程−110]と同様にして、全面にゲート絶縁層43を形成し、更に、実施例1の[工程−100]と同様にして、ゲート電極42を形成する。こうして、図7の(E)に示す構造を得ることができる。あるいは又、実施例4の半導体装置を備えた、画像表示装置を構成する基板、画像表示装置を得ることができる。
【0092】
尚、上述した[工程−420]と[工程−430]の順序を逆にしてもよい。即ち、図8の(A)に示すように、少なくとも分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44の部分にレーザ光を照射して分離溝46の底部の少なくとも一部を露出させた後、図8の(B)に示すように、有機半導体層44上に一対のソース/ドレイン電極45を形成してもよい。
【0093】
また、以上に説明したように、
[A]分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44の一部分にレーザ光を照射して、分離溝46の底部の一部を露出させてもよいし、あるいは又、
[B]分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44にレーザ光を照射して、分離溝46の底部を露出させてもよいし、あるいは又、
[C]図8の(C)に示すように、分離溝46の底部に露出した基材40上に形成された有機半導体層44だけでなく、分離溝46の側壁(この側壁は、所謂順テーパー状となっている)上に形成された有機半導体層44の部分にレーザ光を照射して、分離溝46の底部を露出させてもよく、この場合には、有機半導体層44の下地である分離溝46の側壁における絶縁層41の厚さが他の領域における厚さよりも薄いので、絶縁層41が発熱しても、この熱によって有機半導体層44に損傷が生じることが無い。
【0094】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。半導体装置の構造や構成、形成条件、製造条件は例示であり、適宜変更することができる。本開示の半導体装置を、例えば、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、基材や基体、支持体、支持部材に多数の半導体装置を集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各半導体装置を切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。場合によっては、レーザ光以外にも、広く、エネルギー線、具体的には、レーザを含む紫外線、レーザを含む可視光線、電子線、X線といった電磁波を挙げることができ、これらのエネルギー線を用いて有機半導体層をパターニングしたとき、エネルギー線がゲート絶縁層あるいは絶縁層に吸収され、ゲート絶縁層あるいは絶縁層が発熱し、この熱によって有機半導体層に損傷が生じ得る場合、本開示を適用することができる。
【0095】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]《半導体装置の製造方法:第1の態様/ボトムゲート・トップコンタクト》
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層の上に一対のソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
[2]《半導体装置の製造方法:第2の態様/ボトムゲート・ボトムコンタクト》
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
[3]ゲート絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている[1]又は[2]に記載の半導体装置の製造方法。
[4]《半導体装置の製造方法:第3の態様/トップゲート・ボトムコンタクト》
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させた後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
[5]《半導体装置の製造方法:第4の態様/トップゲート・トップコンタクト》
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
[6]絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている[4]又は[5]に記載の半導体装置の製造方法。
[7]《半導体装置:第1の態様》
基体上に形成されたゲート電極、
基体及びゲート電極上に形成されゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
を備えた半導体装置であって、
ゲート絶縁層には、基体に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基体の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない半導体装置。
[8]ゲート絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている[7]に記載の半導体装置。
[9]《半導体装置:第2の態様》
基材上に設けられた絶縁層の上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
少なくともチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えた半導体装置であって、
絶縁層には、基材に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基材の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない半導体装置。
[10]絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている[9]に記載の半導体装置。
[11]《画像表示装置を構成する基板》
[7]乃至[10]のいずれか1項に記載の半導体装置の複数が、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された、画像表示装置を構成する基板。
[12]《画像表示装置》
[11]に記載の画像表示装置を構成する基板を備えた画像表示装置。
【符号の説明】
【0096】
10,20・・・基体、30,40・・・基材、31,41・・・絶縁層、12,22,32,42・・・ゲート電極、13,23,33,43・・・ゲート絶縁層、14,24,34,44・・・有機半導体層、14A,24A,34A,44A・・・チャネル形成領域、14B,34B,44B・・・チャネル形成領域延在部、15,25,35,45・・・ソース/ドレイン電極、16,26,36,46・・・分離溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層の上に一対のソース/ドレイン電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(A)基体上にゲート電極を形成した後、
(B)基体及びゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、次いで、
(C)ゲート絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基体に到達する分離溝をゲート絶縁層に形成した後、
(D)ゲート絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基体上に有機半導体層を形成し、次に、
(E)少なくとも分離溝の底部に露出した基体上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
【請求項3】
ゲート絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)絶縁層上に一対のソース/ドレイン電極を形成する一方、基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上、ソース/ドレイン電極上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させた後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(A)絶縁層が表面に形成された基材を準備し、
(B)基材に到達する分離溝を絶縁層に形成した後、
(C)絶縁層上及び分離溝の底部に露出した基材上に有機半導体層を形成し、次いで、
(D)少なくとも分離溝の底部に露出した基材上に形成された有機半導体層の部分にレーザ光を照射して分離溝の底部の少なくとも一部を露出させる一方、有機半導体層上に一対のソース/ドレイン電極を形成した後、
(E)全面にゲート絶縁層を形成し、更に、ゲート電極を形成する、
各工程から成る半導体装置の製造方法。
【請求項6】
絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている請求項4又は請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
基体上に形成されたゲート電極、
基体及びゲート電極上に形成されゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
を備えた半導体装置であって、
ゲート絶縁層には、基体に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基体の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない半導体装置。
【請求項8】
ゲート絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
基材上に設けられた絶縁層の上に形成された、有機半導体層から成るチャネル形成領域及び一対のソース/ドレイン電極、
少なくともチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えた半導体装置であって、
絶縁層には、基材に到達する分離溝が形成されており、
分離溝の底部に位置した基材の少なくとも一部には有機半導体層が形成されていない半導体装置。
【請求項10】
絶縁層はレーザ光を吸収する材料から構成されている請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の半導体装置の複数が、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された、画像表示装置を構成する基板。
【請求項12】
請求項11に記載の画像表示装置を構成する基板を備えた画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−45836(P2013−45836A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181526(P2011−181526)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】