説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】MOSプロセスへの導入が容易で、エミッタ−ベース間のリーク電流(電界強度)を低減し、ノイズやサージ電圧の影響を受けにくい高性能な半導体装置とその製造方法の提供。
【解決手段】導電膜をマスクとして、2回のイオン注入を行ってエミッタを形成する。第2エミッタ領域111bは、低濃度の不純物イオン注入によって形成し、第1エミッタ領域111aは、高濃度の不純物イオン注入によって形成する。その結果、エミッタの周縁部に低濃度の第2エミッタ領域が形成され、電界が緩和され、リーク電流が低減する。また、導電膜とエミッタ電極116とが接続され、ノイズの影響を受けにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造法に関し、特にBiMOS回路あるいはBiCMOS回路に用いられる高性能で低コストなバイポーラトランジスタ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の高集積化、高機能化に伴い、アナログ信号処理回路とデジタル信号処理回路を集積化したアナログ・デジタル混載集積回路の高性能化が非常に重要になっている。デジタル回路に対しては、MOSトランジスタを含むCMOS(相補性金属酸化膜半導体)を使用して、大規模化と低消費電力化を図ることが通常の設計方法であるため、アナログ回路に対しても、MOSトランジスタを使用する場合が増加している。
【0003】
しかしながら、MOSトランジスタは、バイポーラトランジスタに対して、相互コンダクタンス(以下、gm)が低いという欠点がある。そのため、バイポーラトランジスタに比べて、アナログ回路のゲイン(信号の増幅率)が低下し、バイポーラトランジスタの回路と同じゲインを得る場合は、回路電流が増加してしまう。また、MOSトランジスタの場合、ソースとドレイン間に流れる電流は、半導体基板表面を流れるため、半導体基板の表面に存在する結晶格子欠陥の影響を受けやすくなり、フリッカノイズ特性(1/fノイズ特性とも表現する)が、バイポーラトランジスタに比べて劣化する。
【0004】
さらに、アナログ回路で重要となるミスマッチ特性(ペアトランジスタの閾値電圧の差)についても、MOSトランジスタはバイポーラトランジスタよりも劣っている。MOSトランジスタの場合、ペアトランジスタの閾値電圧の差(以下、ΔVth)は、ゲート電極の寸法ばらつき、ゲート絶縁膜の膜厚ばらつき、ウエル表面濃度のばらつき、ゲートPoly-Si電極の不純物濃度のばらつきというように多くの因子の影響を受ける。それに対して、バイポーラトランジスタの場合、ペアトランジスタの閾値電圧の差(以下、ΔVbe)は、エミッターベース間の接合面積のばらつき、エミッタ−ベース間の不純物濃度のばらつきの2つによって決まるため、ΔVthよりも、ΔVbeの方が小さくなる。
【0005】
以上のことより、アナログ・デジタル混載集積回路において、アナログ回路の高性能化(低消費電流化、低ノイズ化、低ばらつき化)を図るためには、アナログ回路にバイポーラトランジスタを用いる方が有利となることが分かる。しかし、デジタル回路に用いられているCMOSプロセスにバイポーラトランジスタを搭載する場合、プロセスステップ数の増加によるコストアップ、バイポーラトランジスタ形成のための熱処理、加工プロセスの追加によるMOSトランジスタの特性劣化、及び、チップ面積増加によるコストアップ(バイポーラトランジスタの方が、MOSトランジスタよりも面積が大きいことによる)が問題となってくる。
【0006】
下記特許文献1には、CMOSプロセスにイオン注入と熱処理工程を追加するだけで、エミッタとベースを形成することができる半導体装置の製造方法が提案されている。この製造方法によれば、CMOSプロセスにバイポーラトランジスタの製造プロセスを組み込む際に、ステップ数の増加や加工プロセスの追加を抑制することができる。また、ポリシリコン膜をマスクとして用いることにより、リソグラフィ工程の精度を向上させ、エミッタ面積を縮小させることができる。以下、図20を参照しながら、この製造方法について説明する。
【0007】
図20(a)、(b)、(c)、(d)は、バイポーラトランジスタの製造工程の断面図を示している。(a)において、p型半導体基板1にn型の埋込層3とn型エピタキシャル層2を形成し、B(ホウ素)の熱拡散によってp型の素子分離領域4を形成し、エピタキシャル層2の表面に選択酸化(LOCOS)法による絶縁物層6を形成し、エピタキシャル層2の表面において、絶縁物層6がない部分に酸化物層7を形成した後に、内部ベース8を形成している。
【0008】
次に、(b)において、ポリシリコン層の堆積とエッチングによって環状のポリシリコン層9を形成し、レジスト層11と環状のポリシリコン層9マスクとしてホウ素をイオン注入して、外部ベース領域10を形成する。
次に、(c)において、レジスト層14と環状のポリシリコン層9をマスクとしてAs(砒素)をイオン注入して、エミッタ12、コレクタコンタクト13を形成する。次に、(d)において、レジスト層14を剥離してから、表面にCVD(Chemical Vapor Deposition)によって絶縁膜15を堆積後、エミッタ12、コレクタコンタクト13、外部ベース10に対応する場所にコンタクトホールを形成して、アルミニウム(Al)等の電極材料によって電極16を形成している。
【0009】
このバイポーラトランジスタの製造方法では、エミッタコンタクトは、エミッタ12と環状のポリシリコン層9に跨って形成されている。そのため、エミッタ12の面積をエミッタコンタクトよりも大きくする必要がなくなり、微細なエミッタを形成できるようになる。その結果、セル面積の縮小が可能となり、半導体基板に形成する素子数が増大する。また、エミッタ面積の縮小により、接合容量が減少して、高周波特性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−180023
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述のアナログ・デジタル混載集積回路では、高周波数特性および電流増幅率に優れたバイポーラトランジスタが求められる。
高周波特性に優れるバイポーラトランジスタの構造としては、エミッタ拡散層を多結晶Si膜(以下、ポリシリコン膜、あるいは、Poly-Si膜と表す場合もある)から形成するPoly-Siエミッタ構造や、ベース領域をSiGeエピタキシャル膜によって形成するSiGeヘテロバイポーラトランジスタ構造が提案されている。しかし、これらのバイポーラトランジスタをCMOSプロセスに搭載する場合、プロセスコストの増大や、MOS特性の劣化が大きな問題となる。また、これらのバイポーラトランジスタでは、エミッタとベース間に存在する自然酸化膜のばらつきによる、エミッタ接地増幅率(以下、hFE)ばらつきの増加や、ΔVbeばらつきの増加や、エミッタ部のPoly-Si膜による1/fノイズの増加が発生するため、イオン注入と熱処理のみでエミッタ、ベースを形成したバイポーラトランジスタに比べて、hFE、ΔVbeばらつきや、1/fノイズが増加する。
【0012】
したがって、Poly-Siエミッタ構造や、SiGeヘテロバイポーラトランジスタ構造を使用したバイポーラトランジスタは、現状ではアナログ・デジタル混載集積回路に適さないと考えられる。
以上のことより、アナログ・デジタル混載集積回路の高性能化を図るため、高周波特性に優れ、低ノイズで、低ばらつきで、面積が小さい高性能なバイポーラトランジスタを、CMOSプロセスに少ない工程数の追加で、MOS特性を劣化させることなく実現するためには、Poly-Siエミッタ構造等を使用せずに、CMOSプロセスにイオン注入と熱処理工程の追加のみで、高性能なバイポーラトランジスタを実現することが重要となっている。
【0013】
前記従来の半導体装置の製造方法では、CMOSプロセスにイオン注入と熱処理工程を追加して、ある程度高性能なバイポーラトランジスタを得ることができる。
しかしながら、前記従来の半導体装置の製造方法では、バイポーラトランジスタの高周波特性をさらに向上させるため、エミッタ拡散層を浅くしていくと、エミッタの周縁部において、厚さ方向の断面における曲率半径が小さくなり、pn接合の電界強度が高くなる。電界強度が高くなると降服電圧が低下するためリークが生じやすくなるという問題がある。特に、エミッタ表層とベース表層との境界では電界集中によって電界強度が高くなりやすい。
【0014】
また、前記従来の半導体装置の製造方法では、エミッタ拡散層を浅くしていくと、エミッタ拡散層の横方向への拡がり量も少なくなるため、環状のポリシリコン層の下部にあるエミッタ拡散層が少なくなる。そして、エミッタコンタクトの近傍で電極材料がエミッタ拡散層とベース拡散層の接合に近づくため、エミッタ−ベース間のリーク電流がさらに増加するという問題もある。つまり、エミッタ電極が上記境界に近接して形成された場合には、さらにリークが生じやすくなる。
【0015】
さらに、0.35μm以下の微細ルールのプロセスでは、拡散層の寄生抵抗を低減するため、エミッタ拡散層にシリサイド金属を形成することが一般的である。従来の半導体装置の製造方法においては、エミッタ部分にシリサイドを形成すると、シリサイドがエミッタとベース接合に近づくため、エミッタ−ベース間のリーク電流が増加してしまい、微細プロセスにおいて必須である拡散層へのシリサイド形成ができないという問題点を有する。
【0016】
さらに、エミッタ−ベース間の電界強度が大きいと、その電界によって加速された電子(ホットキャリア)が、ベース上の絶縁膜に衝突して欠陥(トラップ準位等)を生じさせる場合がある。このような欠陥を再結合中心として再結合電流が増加し、コレクタ電流が低い状態(低コレクタ電流状態)において順バイアス時のhFEが低下するという問題もある。また、逆バイアス時には、欠陥を介してキャリアが生成され易くなり、リーク電流が増加するという問題もある。さらに、欠陥にキャリアが捕獲されたり、キャリアが放出されたりすることで、ノイズの原因ともなる。
【0017】
更に、従来例のバイポーラトランジスタでは、エミッタを集積回路の外部端子に接続する回路構成(例えば、エミッタフォロワ回路など)では、エミッタにサージ電圧が印加された場合、微細なエミッタ部分に電界が集中するため、静電破壊(ESD)に弱いという問題点を有する。
以上に述べたように、エミッタ周縁部とベースとの間の電界強度が大きいと、リーク電流の増加や、欠陥の発生等、種々の問題が起こり得るのである。また、バイポーラトランジスタの高周波特性を向上させる妨げにもなる。
【0018】
さらに、環状のポリシリコン層がフローティング状態にされていると、トランジスタの近傍に大振幅の信号電圧が流れる配線がある場合には、環状のポリシリコン層を通じて、外部の信号電圧が回り込みやすくなるため、トランジスタの出力端子にノイズ信号として現れやすくなるという問題もある。
前記に鑑み、本発明は、MOSプロセスへの導入が容易で、エミッタ−ベース間のリーク電流(電界強度)を低減し、ノイズやサージ電圧の影響を受けにくい高性能な半導体装置とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る半導体装置は、
半導体基板内に形成されたコレクタ層と、前記半導体基板内において、前記コレクタ層上に形成されたベースと、そのベースを介して前記コレクタ層上に形成され、前記ベースに上面以外を囲繞されたエミッタと、前記半導体基板上において、前記ベース上および前記エミッタの周縁部上に絶縁膜が介在した状態で積層されるとともに所定の配線と電気的に接続された導電膜とを含み、
前記エミッタが、前記導電膜下の領域と隣接する領域を含む第1エミッタ領域と、前記第1エミッタ領域を除いた残余の領域であって、前記導電膜下に位置して少なくとも上面側表層において前記第1エミッタ領域と前記ベースとに挟まれ、その第1エミッタ領域よりも不純物濃度が低い第2エミッタ領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【0020】
また、本発明の請求項7に係る半導体装置の製造方法は、
半導体基板内のコレクタ層上に形成されたベース導電型領域上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に所定の形状を成す導電膜を形成する工程と、前記ベース導電型領域のうち前記導電膜下の領域と隣接する第1エミッタ用領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1エミッタ用領域に隣接する部分とを除く全ての領域をレジスト膜で覆う被覆工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース導電型領域と導電型の異なる第1不純物イオンを、前記第1エミッタ用領域とその第1エミッタ用領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2エミッタ用領域とに注入する第1イオン注入工程と、前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース導電型領域と導電型の異なる第2不純物イオンを前記第1イオン注入工程の第1不純物イオン濃度よりも高濃度で、前記第1エミッタ用領域に注入する第2イオン注入工程と、
前記第1、第2イオン注入工程の後に、前記レジスト膜および絶縁膜がない状態で、前記エミッタ用領域上、または、前記ベース導電型領域のうちの前記第1、第2エミッタ用領域以外の部分であるベース用領域上に前記導電膜と電気的に接続された電極を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
(1)本発明に係る半導体装置によると、エミッタ領域となる不純物拡散領域は、エミッタ領域の周縁部分において、その表面近傍に低濃度のエミッタ拡散層があるため、エミッタ−ベース間接合に発生する電界が緩和され、エミッタ−ベース間の逆方向電圧印加時のリーク電流を低減できる。
また、エミッタ−ベース間接合に発生する電界を緩和することにより、逆方向電圧印加時にエミッタ−ベース間接合に発生する電界によって加速されたキャリアが表面の絶縁膜に欠陥(トラップ準位等)を生じさせることによって発生するhFE低下を抑制することができるため、エミッタ−ベース間の逆方向電圧範囲を拡大できる。
【0022】
また、エミッタ拡散層の低濃度部分が占める割合は、高濃度のエミッタ拡散層に対して少ないため、エミッタガンメル数(不純物濃度×エミッタ厚さ)の低下によるhFE低下は問題ない。また、エミッタの周縁部に低濃度の第2エミッタ領域があるため、エミッタ−ベース間の接合容量が低減し、バイポーラトランジスタのftが向上する。加えて、エミッタ拡散層の接合深さや、ベース領域の深さ方向の幅(ベース幅)も変化しないため、コレクタ−エミッタ間の耐圧も低下しない。
【0023】
また、バイポーラトランジスタの高周波特性を向上するためエミッタ拡散層を浅くする場合でも、導電膜の下部には低濃度のエミッタ拡散層が存在するため、エミッタ電極がエミッタ−ベース接合に近接配置されることが抑制され、エミッタ−ベース間のリーク電流が低減する。
更に、エミッタ拡散層の寄生抵抗を低減するため、エミッタ拡散層にシリサイド金属を形成した場合でも、シリサイド金属とエミッタ−ベース接合の距離を十分に確保できるため、エミッタ−ベース間のリーク電流を低減できる。
【0024】
更に、エミッタ拡散層の表面付近で、エミッタ−ベース間接合の電界が緩和しているため、エミッタにサージ電圧が印加された場合のESD耐性を向上できる。
導電膜において、その電位が固定されていない場合(フローティング状態の場合)、トランジスタの近傍に、大振幅の信号電圧が流れる配線がある場合には、フローティングの導電膜を通じて、外部の信号電圧が回り込みやすくなるため、トランジスタの出力端子にノイズ信号として現れやすくなるが、導電膜を所定の配線(エミッタ電極、ベース電極等)に固定することにより、他の回路からの信号の回り込みを低減でき、アナログ回路の低ノイズ化を図ることができる。
【0025】
なお、第1エミッタ領域と第2エミッタ領域とは、同じ不純物が含まれていてもよいし、異なる不純物が含まれていてもよい。また、導電膜の平面形状を、第1エミッタ領域を囲繞する環状の形状とすることができる。その他、コの字状、E字状等とすることもできる。
(2)本発明に係る半導体装置の製造方法によると、上記発明に係る半導体装置が得られる。また、本発明に係る製造方法では、エミッタおよびベースをイオン注入によって形成できるため、CMOSプロセスに組み込みやすいというメリットがある。
【0026】
また、導電膜をマスクにして、注入角度や注入エネルギー(加速エネルギー)等のイオン注入の条件を変えて2回イオン注入することで、第1、第2エミッタ領域を精度よく形成することができる。また、2回のイオン注入工程でマスクを共用することでステップ数の増加を抑制できる。なお、意図的に不純物イオンが導電膜を貫通するようにイオン注入する場合がある。
【0027】
(3)さらに、本発明の半導体装置を、前記エミッタの上面に接続されたエミッタ電極を含み、前記導電膜が前記エミッタ電極と電気的に接続されたものとすることができる。
バイポーラトランジスタでは、ベース領域がイオン注入と熱処理によって形成されるため、その表面濃度がベース領域のピーク濃度よりも低下する。特に、NPNトランジスタの場合、ベース領域には、ホウ素(Boron)を使用するため、表面の絶縁膜(SiO2など)にホウ素が吸い出されることにより、更に表面濃度が低下する。そのため、ベース領域の表面に空乏層が拡がりやすく、その空乏層内でベースと絶縁膜との界面準位等を介して再結合電流が生じて表面近傍でのベース電流成分が増加し、hFE−コレクタ電流特性において、低コレクタ電流側でのhFEが低下する。
【0028】
本発明に係る半導体装置によると、導電膜とエミッタ電極とが接続されているため、導電膜はエミッタ領域と同電位になっている。そのため、導電膜の下部にあるベース領域の表面に空乏層が発生することが抑制され、表面近傍でのベース電流成分を低減することにより、hFE−コレクタ電流特性における、低コレクタ電流側でのhFEの低下を抑制できる(hFEのリニアリティを向上できる)。
【0029】
(4)さらに、本発明の半導体装置を、前記ベースの上面に接続されたベース電極を含み、前記導電膜が前記ベース電極と電気的に接続されたものとすることができる。
導電膜をエミッタと同電位にした場合、導電膜とベースとの間に絶縁膜による容量成分が存在し、これはエミッタ−ベース間の寄生容量成分となる。導電膜とベース領域の間にある絶縁膜の膜厚が薄い場合では、この寄生容量成分の影響により、トランジスタの遮断周波数(以下、ftと表す)の低下が生じやすくなる。
【0030】
導電膜をベース電極に接続した場合には、導電膜とベースとの間の絶縁膜による寄生容量成分はトランジスタの高周波特性には影響しなくなるため、ftを向上でき、特に高周波信号を扱うアナログ回路の特性を向上できる。
(5)さらに、本発明の半導体装置を、前記ベースが、少なくとも前記半導体基板表面において前記導電膜と重なるベース本体領域と、そのベース本体領域よりも不純物濃度が高くされるとともに、前記ベース本体領域によって前記エミッタと隔てられたベースコンタクト領域とを有し、
前記ベースコンタクト領域が、ベース電極と接続された第1ベースコンタクト領域と、 少なくとも上面側表層において前記第1ベースコンタクト領域と前記ベース本体領域とに挟まれるとともに前記導電膜と重なる位置に形成され、不純物濃度が第1ベースコンタクト領域よりも低くされた第2ベースコンタクト領域とを有するものとすることができる。
【0031】
上記半導体装置によると、ベースコンタクト領域の周縁部の領域(第2ベースコンタクト領域)は、ベース本体領域の不純物濃度よりは濃度が高いため、ベース本体領域とベースコンタクト領域との抵抗成分の和となるベース抵抗を低減できるため、ベース抵抗に起因する抵抗熱雑音を低減できることとなり、低ノイズのバイポーラトランジスタを実現できる。
【0032】
また、高濃度のベースコンタクト領域では、その周縁部の第2ベースコンタクト領域において、導電膜の下部に位置する側の不純物濃度が低くなっているが、ベース本体領域よりは高い不純物濃度となっている。そのため、ベース本体領域の不純物濃度よりは高い濃度の第2ベースコンタクト領域が存在するため、ベース本体領域の表面濃度の低下を抑止でき、hFE−コレクタ電流特性における、低コレクタ電流側でのhFEの低下を抑制できるため、hFEのリニアリティを向上できる。すなわち、hFE―コレクタ電流特性において、hFE変動が小さいコレクタ電流領域を拡大できる。
【0033】
なお、第2ベースコンタクト領域は、最も高濃度の領域である第1ベースコンタクト領域よりは不純物濃度が低いため、この第2ベースコンタクト領域とエミッタとが近接することによるエミッタ−ベース間耐圧の低下は軽微である。
上記半導体装置において、第2ベースコンタクト領域を、ベースコンタクト領域から第1ベースコンタクト領域を除いた残余の領域とすることができる
(6)さらに、本発明の半導体装置を、前記半導体基板における前記ベースが形成された領域とは別の領域に形成され、前記エミッタと同じ導電型のソースおよびドレイン並びにゲート電極を有するMOSトランジスタを含み、前記ソースおよびドレインの各々は、前記ゲート電極が形成された領域と隣接する本体領域と、その本体領域よりも不純物濃度が低くされ、前記ゲート電極と重なる位置に形成された低濃度領域と、を有しており、前記ソースおよびドレインの前記本体領域の不純物および不純物濃度が前記第1エミッタ領域のものと等しくされ、前記低濃度領域の不純物および不純物濃度が前記第2エミッタ領域のものと等しくされたものとすることができる。
【0034】
上記半導体装置では、バイポーラトランジスタのエミッタの高濃度領域(第1エミッタ領域)と低濃度領域(第2エミッタ領域)と、MOSトランジスタのドレイン・ソースの高濃度領域(本体領域)と低濃度領域とが、それぞれ不純物と不純物濃度が同じにされている。そのため、CMOSトランジスタの製造プロセスに少ない工程の追加をすることで、前記のエミッタ−ベース接合リークを低減した高性能なバイポーラトランジスタを形成し、搭載することができる。
【0035】
更に、バイポーラトランジスタの導電膜および導電膜の下にある絶縁膜の形成工程と、CMOSトランジスタのゲート電極とゲート絶縁膜との形成工程とを共通化することができるため、前記の高性能なバイポーラトランジスタを、CMOSトランジスタの製造プロセスに非常に少ない工程の追加で形成することができ、低コスト化と同時に、CMOSトランジスタ特性の劣化を防ぐことが可能である。
【0036】
(7)さらに、本発明の半導体装置を、前記半導体基板における前記ベースが形成された領域とは別の領域に形成され、前記ベースと同じ導電型のソースおよびドレイン並びにゲート電極を有するMOSトランジスタを含み、前記ソースおよびドレインの各々は、前記ゲート電極下の領域と隣接する本体領域と、その本体領域よりも不純物濃度が低くされ、前記ゲート電極と重なる位置に形成された低濃度領域とを有しており、前記ソースおよびドレインの前記本体領域の不純物および不純物濃度が前記第1ベースコンタクト領域のものと等しくされ、前記低濃度領域の不純物および不純物濃度が前記第2ベースコンタクト領域のものと等しくされたものとすることができる。
【0037】
上記半導体装置では、バイポーラトランジスタのベースコンタクト領域の高濃度領域(第1ベースコンタクト領域)と低濃度領域(第2ベースコンタクト領域)と、MOSトランジスタのドレイン・ソースの高濃度領域(本体領域)と低濃度領域とが、それぞれ不純物と不純物濃度が同じにされている。そのため、前記のhFEリニアリティがよく、ベース抵抗が低い高性能なバイポーラトランジスタを、CMOSトランジスタの製造プロセスに少ない工程の追加で形成できる。
【0038】
更に、バイポーラトランジスタの導電膜および導電膜の下にある絶縁膜の形成工程と、CMOSトランジスタのゲート電極およびゲート絶縁膜の形成工程の一部とを共通化できるため、前記の高性能なバイポーラトランジスタをCMOSトランジスタに非常に少ない工程追加で搭載でき、低コスト化と同時に、CMOSトランジスタ特性の劣化を防ぐことが可能である。
【0039】
(8)さらに、本発明の半導体装置の製造方法を、前記第1イオン注入工程が、第1不純物イオンを、前記半導体基板の主面の法線に対して傾斜した第1注入角度で、前記第1エミッタ用領域と前記第2エミッタ用領域とに注入するものであり、
前記第2イオン注入工程が、第2不純物イオンを、前記第1注入角度よりも小さい第2注入角度で、前記第1エミッタ用領域に注入するものとすることができる。
【0040】
上記製造方法によれば、導電膜をマスクにして、注入角度を変えて2回イオン注入することで、より容易に第1、第2エミッタ領域を精度よく形成することができる。
(9)さらに、本発明の半導体装置の製造方法を、前記レジスト膜を第1レジスト膜とし、その第1レジスト膜が存在しない状態で、前記ベース用領域のうち、前記導電膜によって前記エミッタ領域と隔てられた第1ベースコンタクト領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1ベースコンタクト領域に隣接する部分とを除く全ての領域を第2レジスト膜で覆う工程と、
前記第2レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第3不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域と、その第1ベースコンタクト領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2ベースコンタクト領域とに注入する第3イオン注入工程と、
前記第2レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第4不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域に前記第3イオン注入工程よりも高濃度で注入する第4イオン注入工程とを含むものとすることができる。
【0041】
上記製造方法によれば、前記(5)項の半導体装置が得られる。また、導電膜をマスクにして、注入角度や注入エネルギー等のイオン注入の条件を変えて2回イオン注入することで、第1、第2ベースコンタクト領域を精度よく形成することができる。また、2回のイオン注入工程でマスクを共用することでステップ数の増加を抑制できる。
(10)さらに、本発明の半導体装置の製造方法を、前記第3イオン注入工程が、前記第3不純物イオンを、前記半導体基板の主面の法線に対して傾斜した第3注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域と前記第2ベースコンタクト領域とに注入するものであり、
前記第4イオン注入工程が、前記第4不純物イオンを、前記第3注入角度よりも小さい注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域に注入するものとすることができる。
【0042】
上記製造方法では、注入角度を変えて2回イオン注入することで、より容易に第1、第2ベースコンタクト領域を精度よく形成することができる。
(11)さらに、本発明の半導体装置の製造方法を、前記第1イオン注入工程が、前記第1、第2エミッタ用領域に前記第1不純物イオンを注入するのと同時に、前記半導体基板において、前記ベース用領域と同じ導電型で位置が異なり、ゲート電極が積層されたMOSトランジスタ領域の一部に、前記第1不純物イオンを注入するものであり、
前記MOSトランジスタ領域の一部が、ゲート電極下の領域を挟むソース本体用領域およびドレイン本体用領域と、それらソース本体用領域およびドレイン本体用領域の各々と隣接するとともに前記ゲート電極の周縁部下に位置する低濃度ソース用領域および低濃度ドレイン用領域とからなり、前記第2イオン注入工程が、前記第1エミッタ用領域に前記第2不純物イオンを注入するのと同時に、前記ソース本体用領域およびドレイン本体用領域に前記第2不純物イオンを注入するものとすることができる。
【0043】
上記製造方法によれば、前記(6)項の半導体装置が得られる。また、エミッタの高濃度領域(第1エミッタ領域)とMOSトランジスタのドレイン・ソースの高濃度領域(本体領域)とを同時に形成するとともに、エミッタの低濃度領域(第2エミッタ領域)とドレイン・ソースの低濃度領域とを同時に形成することができ、製造プロセスのステップ数を減少させることができる。
【0044】
(12)さらに、本発明の半導体装置の製造方法を、前記第3イオン注入工程が、前記第1、第2ベースコンタクト領域に前記第3不純物イオンを注入するのと同時に、前記半導体基板において、前記ベース用領域と逆の導電型で位置が異なり、ゲート電極が積層されたMOSトランジスタ領域の一部に、前記第3不純物イオンを注入するものであり、
前記MOSトランジスタ領域の一部が、ゲート電極下の領域を挟むソース本体用領域およびドレイン本体用領域と、それらソース本体用領域およびドレイン本体用領域の各々と隣接するとともに前記ゲート電極の周縁部下に位置する低濃度ソース用領域および低濃度ドレイン用領域とからなり、前記第4イオン注入工程が、前記第1ベースコンタクト領域に前記第4不純物イオンを注入するのと同時に、前記ソース本体用領域およびドレイン本体用領域に前記第4不純物イオンを注入するものとすることができる。
【0045】
上記製造方法によれば、前記(7)項の半導体装置が得られる。
また、ベースコンタクト領域の高濃度領域(第1ベースコンタクト領域)とMOSトランジスタのドレイン・ソースの高濃度領域(本体領域)とを同時に形成するとともに、ベースコンタクト領域の低濃度領域(第2ベースコンタクト領域)とドレイン・ソースの低濃度領域とを同時に形成することができ、製造プロセスのステップ数を減少させることができる。
【0046】
(13)さらに本発明の半導体装置では、半導体基板内に形成されたコレクタ層と、前記半導体基板内において、前記コレクタ層上に形成されたベースと、そのベースを介して前記コレクタ層上に形成され、前記ベースに上面以外を囲繞されたエミッタと、前記半導体基板上において、前記ベース上および前記エミッタの周縁部上に絶縁膜が介在した状態で積層されるとともに所定の配線と電気的に接続された導電膜とを含み、
前記ベースが、少なくとも前記半導体基板表面において前記導電膜と重なるベース本体領域と、そのベース本体領域よりも不純物濃度が高くされるとともに、前記ベース本体領域によって前記エミッタと隔てられたベースコンタクト領域とを有し、
前記ベースコンタクト領域が、ベース電極と接続された第1ベースコンタクト領域と、 少なくとも上面側表層において前記第1ベースコンタクト領域と前記ベース本体領域とに挟まれるとともに前記導電膜と重なる位置に形成され、不純物濃度が第1ベースコンタクト領域よりも低くされた第2ベースコンタクト領域とを有することを特徴とすることができる。
【0047】
上記半導体装置によれば、前記(5)項の半導体装置において説明した第2ベースコンタクト領域による作用効果を奏することができる。なお、前記の第2エミッタ領域の有無、導電膜が配線に接続されているか否かを問わず、第2ベースコンタクト領域による作用効果が得られる。
上記半導体装置を、前記(7)項に記載のMOSトランジスタを含むものとすることができる。上記半導体装置において、第2ベースコンタクト領域を、前記第1ベースコンタクト領域を除いた残余の領域とすることができる。
【0048】
(14)さらに本発明の半導体装置の製造方法では、半導体基板内のコレクタ層上に形成されたベース導電型領域上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に所定の形状を成す導電膜を形成する工程と、前記ベース用領域のうち前記導電膜下の領域と隣接する領域であるエミッタ用領域にエミッタを形成する工程と、前記ベース用領域のうち、前記導電膜によって前記エミッタ用領域と隔てられた第1ベースコンタクト領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1ベースコンタクト領域に隣接する部分とを除く全ての領域をレジスト膜で覆う工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第1不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域と、その第1ベースコンタクト領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2ベースコンタクト領域とに注入する第1イオン注入工程と、前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第2不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域に前記第1イオン注入工程よりも高濃度で注入する第2イオン注入工程とを含むことを特徴とすることができる。
【0049】
上記製造方法によれば、前記(5)項において説明した第2ベースコンタクト領域による作用効果を奏する半導体装置を得ることができる。なお、第2エミッタ領域の有無、導電膜が配線に接続されているか否かを問わず、第2ベースコンタクト領域による作用効果が得られる。また、導電膜をマスクにして、注入角度や注入エネルギー等のイオン注入の条件を変えて2回イオン注入することで、第1、第2ベースコンタクト領域を精度よく形成することができる。また、2回のイオン注入工程でマスクを共用することでステップ数の増加を抑制できる。なお、意図的に不純物イオンが導電膜を貫通するようにイオン注入する場合がある。
【0050】
なお、エミッタ用領域を、前記導電膜の周縁部下の領域(第2エミッタ領域に相当)と、その周縁部下の領域に隣接する領域(第1エミッタ領域に相当)とによって構成することができる。
上記製造方法を、前記第1、第2イオン注入工程の後に、前記レジスト膜および絶縁膜がない状態で、前記エミッタ用領域上、または、前記ベース導電型領域のうちの前記第1、第2エミッタ用領域以外の部分であるベース用領域上に前記導電膜と電気的に接続された電極を形成する工程を含むものとすることができる。また、上記製造方法において、前記第1イオン注入工程が、前記第1不純物イオンを、前記半導体基板の主面の法線に対して傾斜した第1注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域と前記第2ベースコンタクト領域とに注入するものであり、前記第2イオン注入工程が、前記第2不純物イオンを、前記第1注入角度よりも小さい第2注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域に注入するものとすることができる。さらに、上記製造方法を、前記(12)項に記載のMOSトランジスタのソース、ドレインを形成するものとすることができる。
【0051】
なお、上記製造方法における第1不純物イオン、第1イオン注入工程、第1注入角度は、それぞれ、前記(1)〜(12)項および実施形態における第3不純物イオン、第3イオン注入工程、第3注入角度に相当する。また、上記製造方法における第2不純物イオン、第2イオン注入工程、第2注入角度は、それぞれ、前記(1)〜(12)項および実施形態における第4不純物イオン、第4イオン注入工程、第4注入角度に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置のエミッタ111周辺の拡大図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】第1の実施形態の変形例1に係る半導体装置の一部を示す断面図である。
【図9】上記変形例1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】上記変形例1に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】第1の実施形態の変形例2に係る半導体装置を示す断面図である。
【図12】上記変形例2に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】第1の実施形態の変形例3に係る半導体装置を示す断面図である。
【図14】第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図15】第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図18】第4の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図19】第5の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図20】従来の半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図2から図6は、図1の第1の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、第1の実施形態を実施形態1と記載する場合がある。
【0054】
図1から図6では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタ、及びその製造工程の断面図を示す。
図1に示すように、シリコン基板からなるp型半導体基板101内には、バイポーラトランジスタを他の素子から分離するための素子分離領域として、ディープトレンチ(DTI)102と、シャロートレンチ(STI)104が形成されている。ディープトレンチ(DTI)102の下部には、p型半導体基板101がn型に反転することを防止するためのp型チャネルストッパ層103が形成されている。
【0055】
(コレクタ領域、ベース領域)
図1において、ディープトレンチ102と、シャロートレンチ104とによって囲まれた領域内には、n型の不純物がドープされた第1のコレクタ領域105、第2のコレクタ領域106が形成されている。また、コレクタ電極と接続される部分には、高濃度のn型不純物がドープされたコレクタ引出し領域107がシャロートレンチ104を貫通して形成されている。そのコレクタ引出し領域107上には、コレクタコンタクト領域となるコレクタコンタクト層113が形成されている。そして、第2のコレクタ領域106上には、ベース領域となるp型のベース拡散層108が形成されている。そのp型のベース拡散層108の上面の一部は、半導体基板101の表面の一部を構成している。
【0056】
(環状の多結晶Si膜等)
図2に、p型ベース拡散層108の上側を拡大した図を示す。
p型ベース拡散層108の上には、SiO2膜109(絶縁膜)、及びn型多結晶Si膜110(導電膜)が形成されている。ここで、SiO2膜109、及びn型多結晶Si膜110は、p型ベース108の上部において、環状の形状を有している。図1の断面図では、環状の形状をなすSiO2膜109、及びn型多結晶Si膜110の2つの断面を表している。
【0057】
(エミッタ)
p型ベース拡散層108の表層側の中央には、環状のSiO2膜109、及びn型多結晶Si膜110によって囲まれたエミッタ111が形成されている(図2参照)。
詳細には、このエミッタ111は、外周側の周縁部がn型多結晶Si膜110下に位置している。そして、n型多結晶Si膜110と重ならない中央部分には、高濃度のn型不純物が添加された第1エミッタ領域111aが形成されている。なお、第1エミッタ領域111aの外周部は、わずかにn型多結晶Si膜110下に、はみ出している(第1エミッタ領域111aは、n型多結晶Si膜110下の領域と隣接する領域を含んでいる)。エミッタ111の周縁部には、環状のSiO2膜109の下部であって、n型多結晶Si膜110と重なる部分に、低濃度のn型不純物が添加された第2エミッタ領域111bが形成されている。
【0058】
(ベースコンタクト)
p型ベース拡散層108の外周部において、環状のSiO2膜109、及びn型多結晶Si膜110の外側の領域下には、ベースコンタクト領域となる高濃度のp型不純物が添加されたp型外部ベース拡散層114が形成されている。更に、図1で示す半導体装置の表面には、SiO2系の膜からなる表面絶縁膜115が形成される。そして、エミッタ領域、ベースコンタクト領域、コレクタコンタクト領域には、それぞれエミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118が形成されている。
【0059】
さらに、環状の多結晶Si膜110は、エミッタ電極116とコンタクト部116b(コンタクトプラグ)によって接続されている。
<製造方法>
次に、図1、図2によって説明したバイポーラトランジスタの製造方法を、図1から図6の製造工程を示す断面図によって、以下に説明する。
【0060】
(ディープトレンチ)
図3に示すように、p型半導体基板101内には、バイポーラトランジスタを他の素子から分離するための素子分離領域として、ディープトレンチ(DTI)102と、シャロートレンチ(STI)104、及びp型チャネルストッパ層103を形成する。これらの形成方法は、半導体デバイスの素子分離として公知になっている方法と同等の方法である。
【0061】
ディープトレンチ(DTI)102の幅は0.4μmから1.0μmであり、トレンチの深さは、2μmから5μmであり、コレクタとなる第1のn型コレクタ不純物領域105が形成される領域よりも十分に深い部分までエッチングによって形成する。
トレンチエッチングを行った後、トレンチの底部のみに、B(ホウ素)をイオン注入して、p型チャネルストッパ層103を形成する。p型チャネルストッパ層103は、トレンチの底部で、p型半導体基板101がn反転して、隣接するバイポーラトランジスタのコレクタ不純物領域が接続すること防止する。その後、ディープトレンチの表面には、熱酸化により、SiO2膜を100nmから200nmの厚さで形成する。ディープトレンチの内部は、化学的気相成長法(以下、CVD法と表現する。CVDは、Chemical Vapor Depositionの略)によって形成したポリシリコン膜やSiO2膜によって埋め込む。
【0062】
(シャロートレンチ)
ディープトレンチ(DTI)102を形成後、ディープトレンチの周囲とp型ベース領域108とコレクタ引出し領域107を形成する部分以外に、シャロートレンチ(STI)104を形成する。シャロートレンチ(STI)104のトレンチ幅は、ディープトレンチ(DTI)102の周囲において、ディープトレンチの幅より、0.1μmから1.0μm大きいサイズとし、p型ベース領域108とコレクタ引出し領域107を形成する部分の間において、0.4μmから2.0μmである。また、シャロートレンチ(STI)104のトレンチ深さは、0.2μmから0.5μmであり、エッチングによって形成する。
【0063】
シャロートレンチエッチングを行った後、シャロートレンチの表面には、熱酸化により、SiO2膜を5nmから50nm形成し、この後、シャロートレンチ内をCVD法によって形成したSiO2膜で埋め込む。シャロートレンチ内へのSiO2膜の埋込みは、通常に使用される化学的機械的研磨法(以下、CMP法と表現する。CMPは、Chemical Mechanical Polishingの略)を使用する。
【0064】
(コレクタ領域)
その後、イオン注入と熱処理によって、ディープトレンチ(DTI)102と、シャロートレンチ(STI)104とで囲まれた領域に、コレクタ領域の一部となる第1のコレクタ領域105および第2のコレクタ領域106を形成する。また、コレクタ電極と接続される部分に高濃度のコレクタ引出し領域107を形成する。
【0065】
このとき、第1のn型コレクタ不純物領域(以下、第1のコレクタ領域)105は、P(リン)のイオン注入を、加速エネルギーが800keVから1500keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1012個/cm2から1×1014個/cm2の範囲に設定する。また、第2のn型コレクタ不純物領域(以下、第2のコレクタ領域)106は、P(リン)のイオン注入を、加速エネルギーが100keVから800keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1012個/cm2から1×1013個/cm2の範囲に設定している。また、コレクタ引出し領域107は、P(リン)のイオン注入を、加速エネルギー30keVから100keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1014個/cm2から1×1016個/cm2の範囲に設定している。
【0066】
(ベース領域)
第2のコレクタ領域106上には、ベース領域となるp型ベース拡散層108を形成する。このとき、また、p型ベース拡散層108は、B(ホウ素)のイオン注入を、加速エネルギーが20keVから100keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1012個/cm2から1×1014個/cm2の範囲に設定している。
【0067】
本実施形態において、エミッタ111および外部ベース拡散層114が形成されていない当初のベース拡散層108によって、ベース導電型領域が構成されている。その当初のベース拡散層108(ベース導電型領域)は、コレクタ領域106と半導体基板101の表面との間の領域に形成されている。また、当初のベース拡散層108は半導体基板101の表面にまで達している。
【0068】
(多結晶Si膜等)
次に図4に示すように、p型のベース拡散層108の上部に熱酸化によりSiO2膜109を10〜50nmの厚さで形成し、n型多結晶Si膜を100nm〜400nmの膜厚でCVD法によって堆積後、公知の技術であるリソグラフィ法とエッチング法によってパターニングを行い、環状の形状を有するn型多結晶Si膜110を形成する。
【0069】
(低濃度のエミッタ拡散層)
次に図5に示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜119を、環状のn型多結晶Si膜110の内側と、環状のn型多結晶Si膜110の約1/2の領域に開口部を有するように形成する。その後、第1イオン注入角度で低濃度のP(リン)のイオン注入120を行い、環状のn型多結晶Si膜110の内側に位置する領域と、環状のn型多結晶Si膜110の内周側の周縁部下の領域に、低濃度エミッタ拡散層112bを形成する(第1イオン注入工程)。
【0070】
ここで、低濃度のPのイオン注入120は、加速エネルギーが0.1keVから50keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1012個/cm2から9×1014個/cm2の範囲に設定し、第1イオン注入角度(第1注入角度)を7度から45度の間に設定することで、環状のn型多結晶Si膜110の内周側の周縁部下にも、低濃度エミッタ拡散層112bを形成している。
【0071】
(高濃度エミッタ拡散層)
次に図6に示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜121を、環状のn型多結晶Si膜110の内側と、環状のn型多結晶Si膜110の約1/2の領域と、コレクタ引出し領域107の上部に開口部を有するように形成する。その後、第2イオン注入角度(第2注入角度)で高濃度のAs(砒素)のイオン注入122を行い、環状のn型多結晶Si膜110の内側に位置する領域に、高濃度エミッタ拡散層112aを形成する。また、コレクタ引出し領域107の表面に、n型コレクタ拡散層113を形成する(第2イオン注入工程)。
【0072】
ここで、高濃度のAsのイオン注入122は、加速エネルギーが10keVから80keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1015個/cm2から5×1016個/cm2の範囲に設定し、第2イオン注入角度を0度から10度の間に設定している。これらの設定により、レジスト膜119を除去した後の熱処理を経た後でも、環状のn型多結晶Si膜110の下部には、高濃度エミッタ拡散層112aが拡がらないように形成することができる。そして、高濃度エミッタ拡散層112aの周囲に、低濃度エミッタ拡散層112bが残る。なお、本実施形態において、第1イオン注入角度が、第2イオン注入角度よりも大きく設定されている。
【0073】
上記高濃度エミッタ拡散層112aが形成された領域が、「第1エミッタ領域111a」(第1エミッタ用領域)とされ、上記低濃度エミッタ拡散層112bのうち、高濃度エミッタ拡散層112aが形成されていない領域が、「第2エミッタ領域111b」(第2エミッタ用領域)とされる。なお、熱処理によって、第1、第2エミッタ領域111aの外形が、それぞれ高濃度、低濃度エミッタ拡散層112a、112bの外形よりも広がる場合がある。
【0074】
(ベースコンタクト)
次に図7に示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜123を、環状のn型多結晶Si膜110の外側と、環状のn型多結晶Si膜110の外周側の約1/2の領域に開口部を有するように形成した後、高濃度のB(ホウ素)のイオン注入124を行い、環状のn型多結晶Si膜110の外側に位置する領域に、ベースコンタクト領域となるp型外部ベース拡散層114を形成する。ここで、高濃度のBのイオン注入124は、加速エネルギーが10keVから80keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1015個/cm2から5×1016個/cm2の範囲に設定し、イオン注入角度を0度から10度の間に設定する。
【0075】
本実施形態において、エミッタ111が形成された後で、外部ベース拡散層114が形成されていない状態のベース拡散層108によって、ベース用領域が構成されている。また、当初のp型ベース拡散層108からエミッタ111および外部ベース拡散層114を除いた部分によってベース本体領域が構成されている。さらに、ベース本体領域と外部ベース拡散層114とによって「ベース」が形成されている。
【0076】
(熱処理)
上記ホウ素のイオン注入124が行われた後、熱処理が行われる。なお、イオン注入122後の熱処理は、一般的にイオン注入によってエミッタ等を形成する条件と同じにすることができる。この熱処理により、半導体基板101(シリコン基板)の結晶性を回復させるとともに、半導体基板101に打ち込まれた不純物を活性化させる。
【0077】
本実施形態において、イオン注入120〜124に対して1回の熱処理を行うことにより、製造プロセスのステップ数を減少させている。なお、イオン注入120、122に対する熱処理と、イオン注入124に対する熱処理とを別に行ってもよい。
(絶縁膜、電極)
その後、図1に示すように、シャロートレンチ(STI)104、環状のn型多結晶Si膜110、高濃度エミッタ拡散層112a、n型コレクタ拡散層113、p型外部ベース拡散層114を覆うように、CVD法によって表面絶縁膜を堆積し、エミッタ111、ベースコンタクト領域(外部ベース拡散層114)、コレクタコンタクト領域113、環状のn型多結晶Si膜110の上部にコンタクトホールを形成し、多結晶Si膜110と接続されたエミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118を形成する。
【0078】
<作用効果その他>
(1)本実施形態に係る半導体装置及びその製造方法によると、エミッタ領域となる不純物拡散領域は、エミッタ領域の周辺部分において、その表面近傍に低濃度のエミッタ拡散層があるため、エミッタ−ベース間接合に発生する電界が緩和され、エミッタ−ベース間の逆方向電圧印加時のリーク電流を低減できる。また、エミッタ−ベース間の逆方向電圧印加時のhFE低下を抑制することができるため、エミッタ−ベース間の逆方向電圧範囲を拡大できる。
【0079】
(2)エミッタ拡散層の低濃度部分が占める割合は、高濃度のエミッタ拡散層に対して少ないため、エミッタガンメル数(不純物濃度×エミッタ拡散層の厚さ)の低下によるhFE低下は問題ない。さらに、エミッタ拡散層の周辺部分に低接合濃度の領域があるため、エミッタ−ベース間の接合容量も低減し、バイポーラトランジスタのftが向上する。加えて、エミッタ拡散層の接合深さや、ベース領域の深さ方向の幅(ベース幅)も変化しないため、コレクタ−エミッタ間の耐圧も低下しない。
【0080】
(3)導電性の環状のn型多結晶Si膜110において、その電位が固定されていない場合(フローティング状態の場合)、トランジスタの近傍に、大振幅の信号電圧が流れる配線がある場合には、フローティングの環状のn型多結晶Si膜110を通じて、外部の信号電圧が回り込みやすくなるため、トランジスタの出力端子にノイズ信号として現れやすくなるが、導電性の環状のn型多結晶Si膜110をエミッタ電位に固定することにより、他の回路からの信号の回り込みを低減でき、アナログ回路の低ノイズ化を図ることができる。
【0081】
(4)本実施形態に係る半導体装置及びその製造方法によると、導電性の環状のn型多結晶Si膜110とエミッタ電極とコンタクト部116bによって接続されているため、環状のn型多結晶Si膜110はエミッタ領域と同電位になっている。そのため、環状のn型多結晶Si膜110の下部にあるp型ベース拡散層の表面に空乏層が発生することが抑制され、ベース拡散層の表面近傍でのベース電流成分が低減することにより、hFE−コレクタ電流特性における、低コレクタ電流側でのhFEの低下を抑制できる。
【0082】
(5)バイポーラトランジスタの高周波特性を向上するためエミッタを浅くする場合でも、多結晶Si膜110の下部には低濃度の第2エミッタ領域が存在するため、エミッタ電極がエミッタ−ベース接合に近接配置されることが抑制され、エミッタ−ベース間のリーク電流が低減する。
(6)更に、エミッタ111の表面付近で、エミッタ−ベース間接合の電界が緩和しているため、エミッタにサージ電圧が印加された場合のESD耐性を向上できる。
【0083】
(7)なお、第2エミッタ領域111bを形成しない場合でも、第1エミッタ領域111aの周囲には拡散等によって若干の低濃度の部分が存在し得る。しかし、第2エミッタ領域111bを形成した場合は、不純物濃度の変化に段差やピークが生じる等の違いがある。
[変形例1]
次に、上記第1の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の変形例について、図面を参照しながら説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図9、図10は、図8の第2の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、前記図1から図7によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
図8から図10では、本変形例の半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタ、及びその製造工程の断面図を示す。
図8において、環状のSiO2膜109上のn型多結晶Si膜110の側面部分に、絶縁膜からなるサイドウォール125が形成されていることが、図1と異なる。
そのサイドウォール125は、n型多結晶Si膜110の内周側において、第1エミッタ領域111aの周縁部上に位置している。また、n型多結晶Si膜110の外周側において、p型外部ベース拡散層114の内周側の周縁部上に位置している。
【0085】
<製造方法>
図8に示したバイポーラトランジスタの製造方法は、サイドウォール125を形成する前までは、図1から図5によって説明した製造方法と共通である。それゆえ、図5以降の製造方法について、図9、図10の製造工程を示す断面図によって、以下に説明する。
(サイドウォール形成)
図5において、低濃度エミッタ拡散層112bを形成した後、シャロートレンチ(STI)104、SiO2膜109、環状のn型多結晶Si膜110、低濃度エミッタ拡散層112b、コレクタ引出し領域107を覆うように、CVD法によって表面絶縁膜を30nmから200nm堆積し、公知の技術であるエッチバック法を用いることにより、図9で示すように、環状のn型多結晶Si膜110の側壁部分にサイドウォール125を形成する。このとき、SiO2膜109も環状のn型多結晶Si膜110とサイドウォール125の下部以外の部分はエッチングにより除去される。
【0086】
(高濃度エミッタ拡散層等形成)
その後、図8で示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜121を、環状のn型多結晶Si膜110とサイドウォール125の内側と、環状のn型多結晶Si膜110の約1/2の領域と、コレクタ引出し領域107の上部に開口部を有するように形成する。その後、高濃度のAs(砒素)のイオン注入122を行い、環状のn型多結晶Si膜110の内側に位置する領域と、サイドウォール125の下部に、高濃度エミッタ拡散層112aを形成し、コレクタ引出し領域107の表面に、n型コレクタ拡散層113を形成する。
【0087】
ここで、高濃度のAsのイオン注入122は、加速エネルギーが10keVから80keVの範囲に設定し、ドーズ量を、5×1014個/cm2から1×1016個/cm2の範囲に設定し、イオン注入角度を0度から10度の間に設定する。その設定により、レジスト膜119を除去後の熱処理を経た後でも、環状のn型多結晶Si膜110の下部には、高濃度エミッタ拡散層112aが拡がらないように形成でき、高濃度エミッタ拡散層112aの周囲に、低濃度エミッタ拡散層112bが残る。
【0088】
(ベースコンタクト形成)
次に図10に示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜123を、環状のn型多結晶Si膜110とサイドウォール125の外側と、環状のn型多結晶Si膜110の約1/2の領域に開口部を有するように形成した後、高濃度のB(ホウ素)のイオン注入124を行い、環状のn型多結晶Si膜110の外側に位置する領域に、ベースコンタクト領域となるp型外部ベース拡散層114を形成する。ここで、高濃度のBのイオン注入124は、加速エネルギーが10keVから80keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1015個/cm2から5×1016個/cm2の範囲に設定し、イオン注入角度を0度から10度の間に設定する。
【0089】
その後、実施形態1と同様に、表面絶縁膜115、コンタクト部116b、エミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118を形成する。
(作用効果)
本変形例の半導体装置及びその製造方法によると、エミッタ111は、環状のn型多結晶Si膜110の形成後に、低濃度エミッタ拡散層112bを形成し、サイドウォール125を形成した後に、高濃度エミッタ拡散層112aを形成している。そのため、それら2つのエミッタ拡散層112a,bを形成する際のイオン注入工程にばらつきが発生した場合でも、エミッタ111の周縁部において、その表面近傍に第2エミッタ領域11b(低濃度エミッタ拡散層112bのうち高濃度エミッタ拡散層112aが形成されなかった部分)が精度よく形成される。そのため、第1の実施形態で説明した効果が十分に得られ、またトランジスタ特性のばらつきを低減できる。
【0090】
[変形例2]
次に、上記第1の実施形態の変形例について、図面を参照しながら説明する。図11は、本変形例2の半導体装置を示す断面図である。図12は、図11の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、前記図1から図10によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
図11、図12では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタ、及びその製造工程の断面図を示す。
図11において、環状のn型多結晶Si膜110、高濃度エミッタ拡散層112a、p型外部ベース拡散層114、n型コレクタ拡散層113の表面部分には、金属薄膜126(以下、シリサイド金属とも記載する)が形成されていることが、図8と異なる。
【0092】
更に、図11に示す半導体装置の表面には、SiO2系の膜からなる表面絶縁膜115が形成され、エミッタ領域、ベースコンタクト領域、コレクタコンタクト領域には、金属薄膜上に、エミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118が形成されている。さらに、環状の多結晶Si膜110の金属薄膜126上には、エミッタ電極116と接続されたコンタクト部116bが形成されている。
【0093】
<製造方法>
図11によって説明したバイポーラトランジスタの製造方法は、金属薄膜126を形成する前までは、第2の実施形態において、図9、図10によって説明した製造方法と共通である。それゆえ、図10で説明した製造法から後の製造方法について、図12の製造工程を示す断面図によって、以下に説明する。
【0094】
(金属薄膜の形成その他)
次に図9に示すように、ベースコンタクト領域となるp型外部ベース拡散層114を形成した後、レジスト膜123を除去してから、シャロートレンチ(STI)104、環状のn型多結晶Si膜110、サイドウォール125、高濃度エミッタ拡散層112a、n型コレクタ拡散層113、p型外部ベース拡散層114を覆うようにTiやCoからなる高融点金属薄膜を全面に堆積した後、公知の技術である熱処理とウエットエッチを行い、図11に示すように、環状のn型多結晶Si膜110、高濃度エミッタ拡散層112a、n型コレクタ拡散層113、p型外部ベース拡散層114の表面にTiやCoとSiの合金からなる金属薄膜126を形成する。
【0095】
その後、実施形態1と同様に、表面絶縁膜115、コンタクト部116b、エミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118を形成する。
(作用効果)
本変形例の製造方法によると、エミッタ拡散層の寄生抵抗を低減するためにエミッタ拡散層に金属薄膜126(シリサイド金属)を形成した場合でも、シリサイド金属とエミッタ−ベース接合の距離が十分確保でき、エミッタ−ベース間のリーク電流を低減できる半導体装置が得られる。また、エミッタにサージ電圧が印加された場合のESD耐性を向上できる。
【0096】
[変形例3]
次に、本変形例の半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図13は、本変形例の半導体装置を示す断面図である。なお、前記図1から図12によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
図13では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタの断面図を示す。
【0097】
図13では、図1で説明した構造に対して、環状のn型多結晶Si膜110とエミッタ111上とに、エミッタとn型多結晶Si膜との共通コンタクト部135を形成している。この共通コンタクト部135は、n型多結晶Si膜110とエミッタ111上とにまたがる開口幅の大きなコンタクトホールが形成され、そのコンタクトホール内に導電性膜が堆積させられることで形成できる。
【0098】
<作用効果その他>
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、前記実施形態および変形例で説明した効果に加えて、エミッタ111とエミッタ電極116とのコンタクトサイズ(接触面積)が大きくなるため、コンタクト部分に存在する寄生抵抗成分が小さくなる、という効果を有する。
【0099】
エミッタ部分の寄生抵抗成分が大きくなると、アナログ回路のゲインが低下するため、寄生抵抗によるゲインの低下を補うため、回路電流を大きくすることが必要になる。本構成では、130nm以下の超微細ルールのプロセスにおいても、エミッタコンタクト部に存在する寄生抵抗を削減できるため、アナログ回路の低消費電流化に有効である。
なお、n型多結晶Si膜110と外部ベース拡散層114とにまたがる共通コンタクト部を形成することもできる。
【0100】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。図15、図16は、図14の半導体装置の製造工程を示す断面図である。なお、前記図1から図12によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0101】
図14から図16では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタ、及びその製造工程の断面図を示す。
本実施形態において、外部ベース127(ベースコンタクト領域)は、高濃度の第1外部ベース領域127a(第1ベースコンタクト領域)と、低濃度の第2外部ベース領域127b(第2ベースコンタクト領域)とを有している。第1外部ベース領域127aは、ベース拡散層108(ベース本体領域)上の、環状のSiO2膜109及びn型多結晶Si膜110の外周側の領域に形成されている。また、第1外部ベース領域127aの内周側の周縁部はサイドウォール126の直下に位置している。第2外部ベース領域127bは、第1外部ベース領域127aの内周側に形成され、少なくとも第1外部ベース領域127aの表層と、ベース拡散層108の表層とに挟まれている。この第2外部ベース領域127bによって、第1外部ベース領域127aの上面側表層と、ベース拡散層108の上面側表層とが隔てられている。また、第2外部ベース領域127bは、環状のSiO2膜109、及びn型多結晶Si膜110、並びにサイドウォール125の直下の領域に形成されている。
【0102】
本実施形態において、外部ベース127は、第1、第2外部ベース領域127a,bによって構成されている。
<製造方法>
図14によって説明したバイポーラトランジスタの製造方法は、低濃度外部ベース拡散層128bを形成する前までは、図1から図5によって説明した製造方法と共通である。それゆえ、図5以降の製造方法について、図15、図16の製造工程を示す断面図によって、以下に説明する。
【0103】
(低濃度外部ベース拡散層)
図5において、低濃度エミッタ拡散層112bを形成した後、図15で示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜129を、p型ベース拡散層108の領域内で、環状のn型多結晶Si膜110の外側と、環状のn型多結晶Si膜110の約1/2の領域に開口部を有するように形成する。その後、第3イオン注入角度(第3注入角度)で低濃度のB(ホウ素)のイオン注入130を行い、環状のn型多結晶Si膜110の外側に位置する領域に、低濃度のp型外部ベース拡散層128b(以下、低濃度外部ベース拡散層)を形成する(第3イオン注入工程)。
【0104】
ここで、低濃度のBのイオン注入130は、加速エネルギーを0.1keVから50keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1012個/cm2から9×1014個/cm2の範囲に設定し、第3イオン注入角度を7度から45度の間に設定することで、環状のn型多結晶Si膜110の下部にも、低濃度外部ベース拡散層128bを形成している。
(サイドウォール、高濃度エミッタ拡散層の形成)
次に、図15において、レジスト129を除去後、シャロートレンチ(STI)104、SiO2膜109、環状のn型多結晶Si膜110、低濃度エミッタ拡散層112b、コレクタ引出し領域107、低濃度外部ベース拡散層128bを覆うように、CVD法によって表面絶縁膜を30nmから200nm堆積し、公知の技術であるエッチバック法を用いることにより、図15で示すように、環状のn型多結晶Si膜110の側壁部分にサイドウォール125を形成する。このとき、SiO2膜109も環状のn型多結晶Si膜110とサイドウォール125の下部以外の部分はエッチングにより除去される。
【0105】
その後、環状のSiO2膜109、n型多結晶Si膜110、及びサイドウォール125によって囲まれた領域と、サイドウォール125の下部には、高濃度エミッタ拡散層112aを形成(第2イオン注入工程)し、コレクタ引出し領域107の表面に、n型コレクタ拡散層113を形成する。
(高濃度外部ベース拡散層)
図16で示すように、リソグラフィ法によりレジスト膜131を、ベース拡散層108上の領域内で、環状のn型多結晶Si膜110の外側と、環状のn型多結晶Si膜110の外周側の約1/2の領域に開口部を有するように形成する。その後、第4イオン注入角度(第4注入角度)で高濃度のB(ホウ素)のイオン注入132を行い、環状のn型多結晶Si膜110の外側に位置する領域に、高濃度のp型外部ベース拡散層128a(以下、高濃度外部ベース拡散層)を形成する(第4イオン注入工程)。
【0106】
ここで、高濃度のBのイオン注入132は、加速エネルギーが10keVから80keVの範囲に設定し、ドーズ量を、1×1015個/cm2から5×1016個/cm2の範囲に設定し、第4イオン注入角度を0度から10度の間に設定される。その設定により、レジスト膜131を除去後の熱処理を経た後でも、環状のn型多結晶Si膜110の下部には、高濃度外部ベース拡散層128aが拡がらないように形成することができ、高濃度外部ベース拡散層128aの周囲に、低濃度外部ベース拡散層128bが残存する。なお、本実施形態において、第3イオン注入角度が、第4イオン注入角度よりも大きく設定されている。
【0107】
上記高濃度外部ベース拡散層128aが存在する領域が、「第1外部ベース領域127a」とされ、上記低濃度外部ベース拡散層128bのうち、高濃度外部ベース拡散層128aが存在しない領域が、「第2外部ベース領域127b」とされる。
(熱処理)
上記ホウ素のイオン注入132が行われた後、熱処理が行われる。なお、イオン注入122後の熱処理は、一般的にイオン注入によって外部ベース等を形成する条件と同じにすることができる。この熱処理によって、半導体基板101(シリコン基板)の結晶性を回復させるとともに、半導体基板101に打ち込まれた不純物を活性化させる。
【0108】
本実施形態において、イオン注入120〜132に対して1回の熱処理を行うことにより、製造プロセスのステップ数を減少させている。なお、イオン注入120、122に対する熱処理と、イオン注入130、132に対する熱処理とを別に行ってもよい。
(金属薄膜、電極等の形成)
その後、図14に示すように、レジスト膜131を除去してから、環状のn型多結晶Si膜110、第1エミッタ領域111a、第1外部ベース領域127a(高濃度外部ベース拡散層128a)等の表面にTiやCoとSiの合金からなる金属薄膜126を形成する。その後、実施形態1と同様に、表面絶縁膜115、コンタクト部116b、エミッタ電極116、ベース電極117、コレクタ電極118を形成する。
【0109】
<作用効果その他>
(1)本実施形態の半導体装置では、高濃度の第1外部ベース領域127aの内周側に低濃度の第2外部ベース領域127bが形成されている。これにより、第1外部ベース領域127a単体よりも、エミッタ111に接近した位置に第2外部ベース領域127bを形成できる。その第2外部ベース領域127bは、ベース拡散層108よりも不純物濃度が高くされているため、ベース拡散層108(ベース)と外部ベース領域127a,bの抵抗成分の和となるベース抵抗を低減できる。その結果、ベース抵抗に起因する抵抗熱雑音を低減できることとなり、低ノイズのバイポーラトランジスタを実現できる。
【0110】
(2)本実施形態の半導体装置では、第1外部ベース領域127aの内周側に形成された第2外部ベース領域127bは、ベース拡散層108よりも不純物濃度が高くされている。そのため、第2外部ベース領域127bが形成されている部分において、ベースの表面濃度の低下を抑止でき、hFE−コレクタ電流特性における、低コレクタ電流側でのhFEの低下を抑制し、hFEのリニアリティを向上できる。
【0111】
(3)第2外部ベース領域127bは、第1外部ベース領域127aよりも不純物濃度が低いため、第2外部ベース領域127bとエミッタ111の周縁部に形成された第2エミッタ領域111bとが近接することによるエミッタ−ベース間耐圧の低下は軽微である。
(4)本実施形態では、環状のn型多結晶Si膜110の側壁部にサイドウォール125を形成しているが、サイドウォール125がない場合でも、外部ベース領域に高濃度の第1外部ベース領域127aと低濃度の第2外部ベース領域127bとを形成することで、同様の効果が得られることは自明である。
【0112】
(5)本実施形態では、第2エミッタ領域111bの有無、n型多結晶Si膜110がエミッタ電極116と接続されているか否か等にかかわらず、上記作用効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図17は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、前記図1から図16によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付す。
図17では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタの断面図を示す。
【0113】
図17では、図14で説明した構造に対して、環状のn型多結晶Si膜110と第1外部ベース領域127aとに、それぞれコンタクト部134、136を形成し、それらをベース電極117で接続している。
本実施形態の半導体装置及びその製造方法によると、導電性の環状のn型多結晶Si膜110と第1外部ベース領域127aとがコンタクト部134、136で接続されているため、環状のn型多結晶Si膜110はp型ベース領域108と同電位になっている。そのため、環状のn型多結晶Si膜110とp型ベース領域108の間のSiO2膜109による寄生容量成分はトランジスタの高周波特性には影響しなくなる。その結果、トランジスタのftを向上でき、特に高周波信号を扱うアナログ回路の特性を向上できる。
【0114】
また、導電性の環状のn型多結晶Si膜110において、その電位が固定されていない場合(フローティング状態の場合)、トランジスタの近傍に、大振幅の信号電圧が流れる配線がある場合には、フローティングの環状のn型多結晶Si膜110を通じて、外部の信号電圧が回り込みやすくなるため、トランジスタの出力端子にノイズ信号として現れやすくなるが、導電性の環状のn型多結晶Si膜110をベース電位に固定することにより、他の回路からの信号の回り込みを低減でき、アナログ回路の低ノイズ化を図ることができる。
【0115】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図18は、本発明の第4の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、前記図1から図17によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、SiO2膜109、n型多結晶Si膜110、サイドウォール125等については、符号の後に記号を付して、バイポーラトランジスタのものか(SiO2膜109a)、MOSトランジスタのものか(SiO2膜109b)を区別する。
【0116】
図18では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタ(以下、NPNトランジスタ)とNチャネル型MOSトランジスタとの断面図を示す。
図18において、NPNトランジスタは、図14で説明した構造と同じである。NチャネルMOSトランジスタ(以下、MOSトランジスタ)は、p型ウエル不純物領域137上に積層されたゲート絶縁膜となるSiO2膜109bと、ゲート電極となるn型多結晶Si膜110bとを含んでいる。また、ゲート電極となるn型多結晶Si膜110bの側壁には、サイドウォール125b形成されている。
【0117】
また、MOSトランジスタは、サイドウォール125bの形成前にイオン注入によって形成される低濃度の第1のn型ソース、ドレイン拡散層138と、サイドウォール125bの形成後に形成される、高濃度の第2のn型ソース、ドレイン拡散層139とを含む。
さらに、MOSトランジスタは、金属薄膜126b、ゲート電極140、ソース電極141、及びドレイン電極142を含む。
【0118】
<製造方法について>
NPNトランジスタの製造方法は、既に説明済みであるため大部分の説明を省略する。 なお、環状のSiO2膜109aは、MOSトランジスタのゲート絶縁膜(SiO2膜109b)と同じ工程で同時に形成され、環状のn型多結晶Si膜110aは、MOSトランジスタのゲート電極(n型多結晶Si膜110b)と同じ工程で同時に形成される。
【0119】
MOSトランジスタの製造方法について説明する。
(低濃度の第1のn型ソース、ドレイン拡散層)
低濃度の第1のn型ソース、ドレイン拡散層138(ソース、ドレインの「低濃度領域」)は、p型ウエル不純物領域137上に、ゲート絶縁膜(SiO2膜109b)と、ゲート電極(n型多結晶Si膜110b)とが形成された後に、第1イオン注入角度で低濃度のP(リン)のイオン注入120を行うことで形成される。このとき、低濃度の第1のn型ソース、ドレイン拡散層138とともに、低濃度エミッタ拡散層112bが同時に形成される(第1イオン注入工程)。
【0120】
なお、上記イオン注入は、NPNトランジスタが図5の状態のときに行われる。
(高濃度の第2のn型ソース、ドレイン拡散層)
高濃度の第2のn型ソース、ドレイン拡散層139(ソース、ドレインの「本体領域」)は、ゲート電極(n型多結晶Si膜110b)の側壁にサイドウォール125bが形成された後に、第2イオン注入角度で高濃度のAs(砒素)のイオン注入122を行うことで形成される。このとき、第2のn型ソース、ドレイン拡散層139とともに、高濃度エミッタ拡散層112aが同時に形成される(第2イオン注入工程)。
【0121】
なお、上記イオン注入は、NPNトランジスタが図9の状態のときに行われる。
ソース、ドレインの「低濃度領域」は、詳細には、それぞれ、第1のn型ソース、ドレイン拡散層138のうち、第2のn型ソース、ドレイン拡散層139が形成されなかった部分によって構成されている。「低濃度ソース用領域、低濃度ドレイン用領域」についても同様である。「ソース本体用領域、ドレイン本体用領域」は、それぞれ高濃度の第2のn型ソース、ドレイン拡散層139が形成された部分によって構成されている。
【0122】
<作用効果その他>
(1)アナログ・デジタル混載集積回路の高性能化のためには、CMOSトランジスタにバイポーラトランジスタを少ない工程追加で搭載することが必要となる。本実施形態の半導体装置では、不純物濃度が低い低濃度エミッタ拡散層112bと、第1のn型ソース、ドレイン拡散層138が同じ不純物濃度であり、同一の工程にて同時に形成される。また、不純物濃度が高い高濃度エミッタ拡散層112aと、第2のn型ソース、ドレイン拡散層139が同じ不純物濃度であり、同一の工程にて同時に形成される。
【0123】
そのため、前記のエミッタ−ベース接合リークを低減し、hFEリニアリティがよく、ベース抵抗が低い高性能なバイポーラトランジスタを、NチャネルMOSトランジスタに少ない工程追加で搭載できる。
(2)更に、バイポーラトランジスタの環状のSiO2膜109aの形成工程を、MOSトランジスタのゲート絶縁膜の形成工程とを共通化でき、バイポーラトランジスタの環状のn型多結晶Si膜110aの形成工程を、MOSトランジスタのゲート電極の形成工程とを共通化でき、バイポーラトランジスタの環状のn型多結晶Si膜110aの側壁部のサイドウォール125aの形成工程と、MOSトランジスタのゲート電極の側壁部のサイドウォール125bの形成工程とを共通化できる。そのため、前記の高性能なバイポーラトランジスタを、MOSトランジスタの製造プロセスに非常に少ない工程の追加で形成することができ、低コスト化と同時に、MOSトランジスタ特性の劣化も防ぐことが可能である。
【0124】
(3)本実施形態では、第2外部ベース領域127bの有無、n型多結晶Si膜110aがエミッタ電極116と接続されているか否か等にかかわらず、上記作用効果を得ることができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。図19は、本発明の第5の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、前記図1から図18によって説明した構成部分と同様の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。また、SiO2膜109、サイドウォール125等については、符号の後に記号を付して、バイポーラトランジスタのものか(SiO2膜109a)、MOSトランジスタのものか(SiO2膜109b)を区別する。
【0125】
図19では、半導体装置に含まれる縦型NPNバイポーラトランジスタとPチャネル型MOSトランジスタの断面図を示す。
図19において、NPNトランジスタは、図14で説明した構造と同じである。PチャネルMOSトランジスタ(以下、MOSトランジスタ)は、n型ウエル不純物領域143上に積層されたゲート絶縁膜となるSiO2膜109bと、ゲート電極となるp型多結晶Si膜144とを含んでいる。また、ゲート電極となるp型多結晶Si膜144の側壁には、サイドウォール125bが形成されている。
【0126】
また、MOSトランジスタは、サイドウォール125bの形成前にイオン注入によって形成される低濃度の第1のp型ソース、ドレイン拡散層145と、サイドウォール125bの形成後に形成される、高濃度の第2のp型ソース、ドレイン拡散層146とを含む。さらに、MOSトランジスタは、金属薄膜126b、ゲート電極140、ソース電極141、及びドレイン電極142を含む。
【0127】
<製造方法について>
NPNトランジスタの製造方法は、既に説明済みであるため大部分の説明を省略する。 なお、環状のSiO2膜109aは、MOSトランジスタのゲート絶縁膜(SiO2膜109b)と同じ工程で同時に形成される。また、環状のn型多結晶Si膜110aは、不純物ドーピングを除いて、MOSトランジスタのゲート電極(p型多結晶Si膜144)と同じ工程で同時に形成される。
【0128】
MOSトランジスタの製造方法について説明する。
(低濃度の第1のp型ソース、ドレイン拡散層)
低濃度の第1のp型ソース、ドレイン拡散層145(ソース、ドレインの「低濃度領域」)は、n型ウエル不純物領域143上に、ゲート絶縁膜(SiO2膜109b)と、ゲート電極(p型多結晶Si膜144)とが形成された後に、第3イオン注入角度で低濃度のB(ホウ素)のイオン注入130を行うことで形成される。このとき、低濃度の第1のp型ソース、ドレイン拡散層145とともに、低濃度外部ベース拡散層128bが同時に形成される(第3イオン注入工程)。
【0129】
なお、上記イオン注入は、NPNトランジスタが図15の状態のときに行われる。
(高濃度の第2のp型ソース、ドレイン拡散層)
高濃度の第2のp型ソース、ドレイン拡散層146(ソース、ドレインの「本体領域」)は、ゲート電極(p型多結晶Si膜144)の側壁にサイドウォール125bが形成された後に、第4イオン注入角度で高濃度のB(ホウ素)のイオン注入132を行うことで形成される。このとき、第2のp型ソース、ドレイン拡散層146とともに、高濃度外部ベース拡散層128aが同時に形成される(第4イオン注入工程)。
【0130】
なお、上記イオン注入は、NPNトランジスタが図16の状態のときに行われる。
本実施形態において、ソース、ドレインの「低濃度領域」は、詳細には、それぞれ、第1のp型ソース、ドレイン拡散層145のうち、第2のp型ソース、ドレイン拡散層146が形成されなかった部分によって構成されている。「低濃度ソース用領域、低濃度ドレイン用領域」についても同様である。「ソース本体用領域、ドレイン本体用領域」は、それぞれ高濃度の第2のp型ソース、ドレイン拡散層146が形成された部分によって構成されている。
【0131】
<作用効果等>
(1)アナログ・デジタル混載集積回路の高性能化のためには、CMOSトランジスタにバイポーラトランジスタを少ない工程追加で搭載することが必要となる。本実施形態の半導体装置の製造方法では、不純物濃度が低い低濃度外部ベース拡散層128bと、第1のp型ソース、ドレイン拡散層145が同じ不純物濃度であり、同一の工程にて同時に形成される。また、不純物濃度が高い高濃度外部ベース拡散層128aと、第2のp型ソース、ドレイン拡散層146が同じ不純物濃度であり、同一の工程にて同時に形成される。
【0132】
そのため、前記のエミッタ−ベース接合リークを低減し、hFEリニアリティがよく、ベース抵抗が低い高性能なバイポーラトランジスタを、PチャネルMOSトランジスタと同一基板上に少ない工程追加で形成できる。
(2)更に、バイポーラトランジスタの環状のSiO2膜109形成工程を、PチャネルMOSトランジスタのゲート絶縁膜の形成工程と共通化できる。また、バイポーラトランジスタの環状のn型多結晶Si膜110の形成工程を、PチャネルMOSトランジスタのゲート電極となるp型多結晶Si膜144の形成工程と、不純物ドーピング以外の部分を共通化できる。また、バイポーラトランジスタの環状のn型多結晶Si膜110の側壁部のサイドウォール125aの形成工程と、PチャネルMOSトランジスタのゲート電極の側壁部のサイドウォール125bの形成工程とを共通化できる。それらの形成工程の共通化によって、前記の高性能なバイポーラトランジスタをPチャネルMOSトランジスタの製造プロセスに非常に少ない工程の追加で形成することができ、低コスト化と同時に、PチャネルMOSトランジスタ特性の劣化も防ぐことが可能である。
【0133】
(3)本実施形態では、第2エミッタ領域111bの有無、n型多結晶Si膜110aがエミッタ電極116と接続されているか否か等にかかわらず、上記作用効果を得ることができる。
[その他]
(1)以上、本発明に係る第1から第5の実施形態とそれらの変形例を通して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内であるならば、適宜の応用例を含めて全て本発明に含まれる。
【0134】
(2)発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記5つの実施形態およびそれらの変形例における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
(3)本発明の実施形態の説明では、環状のn型多結晶Si膜の場合について説明しているが、環状のn型多結晶Si膜は絶縁膜であってもよく、例えば、45nmルールより微細プロセスで使用される高誘電率の絶縁膜(high−k膜)と金属膜の積層膜であっても良い。
【0135】
(4)バイポーラトランジスタは、ディープトレンチとシャロートレンチによって分離領域を形成した構造について説明しているが、PN分離を使用したバイポーラトランジスタにも適用できる。
(5)コレクタ領域にはイオン注入によってコレクタ不純物領域を形成した構造について説明しているが、コレクタの埋込層とエピタキシャル膜によってコレクタ不純物領域を形成した構造にも適用できる。
【0136】
(6)本発明の実施形態では、NPNトランジスタについて説明しているが、PNPトランジスタにも適用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、BiMOS回路あるいはBiCMOS回路に用いられるバイポーラトランジスタを含む半導体装置およびその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0138】
1 半導体基板
3 埋込領域
8 内部ベース
9 環状ポリシリコン
10 外部ベース
12 エミッタ
13 コレクタコンタクト
16 電極
101 p型半導体基板
105 第1のn型コレクタ不純物領域
106 第2のn型コレクタ不純物領域
108 p型ベース拡散層
109 SiO2
110 n型多結晶Si膜
111a 第1エミッタ領域
111b 第2エミッタ領域
112a 高濃度エミッタ拡散層
112b 低濃度エミッタ拡散層
114 p型外部ベース拡散層
116 エミッタ電極
116b コンタクト部
117 ベース電極
120 低濃度のPのイオン注入
122 高濃度のAsのイオン注入
124 高濃度のBのイオン注入
125 サイドウォール
126 金属薄膜
127a 第1外部ベース領域
127b 第2外部ベース領域
128a 第1外部ベース拡散層
128b 第2外部ベース拡散層
130 低濃度のBのイオン注入
132 高濃度のBのイオン注入
134 n型多結晶Si膜上のコンタクト部
135 エミッタ拡散層とn型多結晶Si膜上の共通コンタクト部
138 第1のn型ソース、ドレイン拡散層
139 第2のn型ソース、ドレイン拡散層
140 ゲート電極
144 p型多結晶Si膜
145 第1のp型ソース、ドレイン拡散層
146 第2のp型ソース、ドレイン拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内に形成されたコレクタ層と、
前記半導体基板内において、前記コレクタ層上に形成されたベースと、
そのベースを介して前記コレクタ層上に形成され、前記ベースに上面以外を囲繞されたエミッタと、
前記半導体基板上において、前記ベース上および前記エミッタの周縁部上に絶縁膜が介在した状態で積層されるとともに所定の配線と電気的に接続された導電膜と
を含み、
前記エミッタが、
前記導電膜下の領域と隣接する領域を含む第1エミッタ領域と、
前記第1エミッタ領域を除いた残余の領域であって、前記導電膜下に位置して少なくとも上面側表層において前記第1エミッタ領域と前記ベースとに挟まれ、その第1エミッタ領域よりも不純物濃度が低い第2エミッタ領域と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
さらに、前記エミッタの上面に接続されたエミッタ電極を含み、
前記導電膜が前記エミッタ電極と電気的に接続された請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
さらに、前記ベースの上面に接続されたベース電極を含み、
前記導電膜が前記ベース電極と電気的に接続された請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ベースが、
少なくとも前記半導体基板表面において前記導電膜と重なるベース本体領域と、
そのベース本体領域よりも不純物濃度が高くされるとともに、前記ベース本体領域によって前記エミッタと隔てられたベースコンタクト領域と
を有し、
前記ベースコンタクト領域が、
ベース電極と接続された第1ベースコンタクト領域と、
少なくとも上面側表層において前記第1ベースコンタクト領域と前記ベース本体領域とに挟まれるとともに前記導電膜と重なる位置に形成され、不純物濃度が第1ベースコンタクト領域よりも低くされた第2ベースコンタクト領域とを有する請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
さらに、前記半導体基板における前記ベースが形成された領域とは別の領域に形成され、前記エミッタと同じ導電型のソースおよびドレイン並びにゲート電極を有するMOSトランジスタを含み、
前記ソースおよびドレインの各々は、前記ゲート電極が形成された領域と隣接する本体領域と、その本体領域よりも不純物濃度が低くされ、前記ゲート電極と重なる位置に形成された低濃度領域と、を有しており、
前記ソースおよびドレインの前記本体領域の不純物および不純物濃度が前記第1エミッタ領域のものと等しくされ、前記低濃度領域の不純物および不純物濃度が前記第2エミッタ領域のものと等しくされた請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
さらに、前記半導体基板における前記ベースが形成された領域とは別の領域に形成され、前記ベースと同じ導電型のソースおよびドレイン並びにゲート電極を有するMOSトランジスタを含み、
前記ソースおよびドレインの各々は、前記ゲート電極下の領域と隣接する本体領域と、その本体領域よりも不純物濃度が低くされ、前記ゲート電極と重なる位置に形成された低濃度領域とを有しており、
前記ソースおよびドレインの前記本体領域の不純物および不純物濃度が前記第1ベースコンタクト領域のものと等しくされ、前記低濃度領域の不純物および不純物濃度が前記第2ベースコンタクト領域のものと等しくされた請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体装置を製造する方法であって、
半導体基板内のコレクタ層上に形成されたベース導電型領域上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に所定の形状を成す導電膜を形成する工程と、
前記ベース導電型領域のうち前記導電膜下の領域と隣接する第1エミッタ用領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1エミッタ用領域に隣接する部分とを除く全ての領域をレジスト膜で覆う被覆工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース導電型領域と導電型の異なる第1不純物イオンを、前記第1エミッタ用領域とその第1エミッタ用領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2エミッタ用領域とに注入する第1イオン注入工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース導電型領域と導電型の異なる第2不純物イオンを、前記第1イオン注入工程の第1不純物イオン濃度よりも高濃度で、前記第1エミッタ用領域に注入する第2イオン注入工程と、
前記第1、第2イオン注入工程の後に、前記レジスト膜および絶縁膜がない状態で、前記第1エミッタ用領域上、または、前記ベース導電型領域のうちの前記第1、第2エミッタ用領域以外の部分であるベース用領域上に前記導電膜と電気的に接続された電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1イオン注入工程が、前記第1不純物イオンを、前記半導体基板の主面の法線に対して傾斜した第1注入角度で、前記第1エミッタ用領域と前記第2エミッタ用領域とに注入するものであり、
前記第2イオン注入工程が、前記第2不純物イオンを、前記第1注入角度よりも小さい第2注入角度で、前記第1エミッタ用領域に注入するものである請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記電極を形成する工程が、
前記第1エミッタ用領域と前記ベース用領域との一方と、前記導電膜とにまたがるコンタクトホールを形成し、そのコンタクトホールに導電性膜を堆積させる工程と、
前記エミッタ用領域上または前記ベース用領域上と、前記導電膜上とに2つのコンタクトホールを形成し、それら2つのコンタクトホールに導電性膜を堆積させ、2つの導電性膜上にそれらを接続する導電性膜を堆積させる工程と
の一方を含む請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記レジスト膜を第1レジスト膜とし、その第1レジスト膜が存在しない状態で、前記ベース用領域のうち、前記導電膜によって前記エミッタ領域と隔てられた第1ベースコンタクト領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1ベースコンタクト領域に隣接する部分とを除く全ての領域を第2レジスト膜で覆う工程と、
前記第2レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第3不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域と、その第1ベースコンタクト領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2ベースコンタクト領域とに注入する第3イオン注入工程と、
前記第2レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第4不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域に前記第3イオン注入工程よりも高濃度で注入する第4イオン注入工程と
を含むことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3イオン注入工程が、前記第3不純物イオンを、前記半導体基板の主面の法線に対して傾斜した第3注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域と前記第2ベースコンタクト領域とに注入するものであり、
前記第4イオン注入工程が、前記第4不純物イオンを、前記第3注入角度よりも小さい第4注入角度で、前記第1ベースコンタクト領域に注入するものである請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1イオン注入工程が、前記第1、第2エミッタ用領域に前記第1不純物イオンを注入するのと同時に、前記半導体基板において、前記ベース用領域と同じ導電型で位置が異なり、ゲート電極が積層されたMOSトランジスタ領域の一部に、前記第1不純物イオンを注入するものであり、
前記MOSトランジスタ領域の一部が、
ゲート電極下の領域を挟むソース本体用領域およびドレイン本体用領域と、
それらソース本体用領域およびドレイン本体用領域の各々と隣接するとともに前記ゲート電極の周縁部下に位置する低濃度ソース用領域および低濃度ドレイン用領域とからなり、
前記第2イオン注入工程が、前記第1エミッタ用領域に前記第2不純物イオンを注入するのと同時に、前記ソース本体用領域およびドレイン本体用領域に前記第2不純物イオンを注入するものである請求項7から11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3イオン注入工程が、前記第1、第2ベースコンタクト領域に前記第3不純物イオンを注入するのと同時に、前記半導体基板において、前記ベース用領域と逆の導電型で位置が異なり、ゲート電極が積層されたMOSトランジスタ領域の一部に、前記第3不純物イオンを注入するものであり、
前記MOSトランジスタ領域の一部が、
ゲート電極下の領域を挟むソース本体用領域およびドレイン本体用領域と、
それらソース本体用領域およびドレイン本体用領域の各々と隣接するとともに前記ゲート電極の周縁部下に位置する低濃度ソース用領域および低濃度ドレイン用領域とからなり、
前記第4イオン注入工程が、前記第1ベースコンタクト領域に前記第4不純物イオンを注入するのと同時に、前記ソース本体用領域およびドレイン本体用領域に前記第4不純物イオンを注入するものである請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体基板内に形成されたコレクタ層と、
前記半導体基板内において、前記コレクタ層上に形成されたベースと、
そのベースを介して前記コレクタ層上に形成され、前記ベースに上面以外を囲繞されたエミッタと、
前記半導体基板上において、前記ベース上および前記エミッタの周縁部上に絶縁膜が介在した状態で積層されるとともに所定の配線と電気的に接続された導電膜と
を含み、
前記ベースが、
少なくとも前記半導体基板表面において前記導電膜と重なるベース本体領域と、
そのベース本体領域よりも不純物濃度が高くされるとともに、前記ベース本体領域によって前記エミッタと隔てられたベースコンタクト領域と
を有し、
前記ベースコンタクト領域が、
ベース電極と接続された第1ベースコンタクト領域と、
少なくとも上面側表層において前記第1ベースコンタクト領域と前記ベース本体領域とに挟まれるとともに前記導電膜と重なる位置に形成され、不純物濃度が第1ベースコンタクト領域よりも低くされた第2ベースコンタクト領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
半導体装置を製造する方法であって、
半導体基板内のコレクタ層上に形成されたベース導電型領域上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に所定の形状を成す導電膜を形成する工程と、
前記ベース用領域のうち前記導電膜下の領域と隣接する領域であるエミッタ用領域にエミッタを形成する工程と、
前記ベース用領域のうち、前記導電膜によって前記エミッタ領域と隔てられた第1ベースコンタクト領域と、前記導電膜の少なくとも前記第1ベースコンタクト領域に隣接する部分とを除く全ての領域をレジスト膜で覆う工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第1不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域と、その第1ベースコンタクト領域に隣接するとともに前記導電膜の周縁部下に位置する第2ベースコンタクト領域とに注入する第1イオン注入工程と、
前記レジスト膜が存在する状態で、前記ベース用領域と同じ導電型の第2不純物イオンを、前記第1ベースコンタクト領域に前記第1イオン注入工程よりも高濃度で注入する第2イオン注入工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−119344(P2011−119344A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273525(P2009−273525)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】