半導体装置及びその製造方法
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、1つのチップ内に、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、基体平面に対して突出した半導体凸部上にゲート電極を有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIS型電界効果トランジスタ(以下「MISFET」という)の一種として、いわゆるFin型MISFETが提案されている。このFin型MISFETは、直方体状半導体凸部を有し、この直方体状半導体凸部の一方の側面から上面を越えて反対側面まで跨ぐようにゲート電極が設けられている。そして、この直方体状半導体凸部とゲート電極との間にはゲート絶縁膜が介在し、主として直方体状半導体凸部の両側面に沿ってチャネルが形成される。このようなFin型MISFETは、チャネル幅を基板平面に対して垂直方向にとれる点から微細化に有利であることに加え、カットオフ特性やキャリア移動度の向上、短チャネル効果やパンチスルーの低減といった種々の特性改善に有利であることが知られている。
【0003】
このようなFin型MISFETとして、特開昭64−8670号公報には、ソース領域、ドレイン領域およびチャネル領域をもつ半導体凸部分がウェハ基板の平面に対してほぼ垂直な側面を有する直方体状であり、この直方体状半導体凸部分の高さがその幅よりも大きく、かつゲート電極が前記ウェハ基板の平面に垂直方向に延在することを特徴とするMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)が開示されている。
【0004】
同公報には、前記直方体状半導体凸部分の一部がシリコンウェハ基板の一部である形態と、前記直方体状半導体凸部分の一部がSOI(Silicon on insulator)基板の単結晶シリコン層の一部である形態が例示されている。前者を図1(a)に、後者を図1(b)に示す。
【0005】
図1(a)に示す形態では、シリコンウェハ基板101の一部を直方体状部分103とし、ゲート電極105がこの直方体状部分103の頂部を越えて両側に延在している。そして、この直方体状部分103において、ゲート電極両側の部分にソース領域およびドレイン領域が形成され、ゲート電極下の絶縁膜104下の部分にチャネルが形成される。チャネル幅は直方体状部分103の高さhの2倍に相当し、ゲート長はゲート電極105の幅Lに対応する。直方体状部分103は、シリコンウェハ基板101を異方性エッチングして溝を形成し、この溝の内側に残した部分で構成されている。また、ゲート電極105は、この溝内に形成した絶縁膜102上に、直方体状部分103を跨ぐように設けている。
【0006】
図1(b)に示す形態では、シリコンウェハ基板111、絶縁層112及びシリコン単結晶層からなるSOI基板を用意し、そのシリコン単結晶層をパターニングして直方体状部分113とし、そして、この直方体状部分113を跨ぐように、露出した絶縁層112上にゲート電極115を設けている。この直方体状部分113において、ゲート電極両側の部分にソース領域およびドレイン領域が形成され、ゲート電極下の絶縁膜114下の部分にチャネルが形成される。チャネル幅は直方体状部分113の高さaの2倍とその幅bとの合計に相当し、ゲート長はゲート電極115の幅Lに対応する。
【0007】
一方、特開2002−118255号公報には、例えば図2(a)〜(c)に示すような、複数の直方体状半導体凸部(凸状半導体層213)を有するFin型MOSFETが開示されている。図2(b)は図2(a)のB−B線断面図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線断面図である。このFin型MOSFETは、シリコン基板210のウェル層211の一部で構成される凸状半導体層213を複数有し、これらが互いに平行に配列され、これらの凸状半導体層の中央部を跨いでゲート電極216が設けられている。このゲート電極216は、絶縁膜214の上面から各凸状半導体層213の側面に沿って形成されている。各凸状半導体層とゲート電極間には絶縁膜218が介在し、ゲート電極下の凸状半導体層にチャネル215が形成される。また、各凸状半導体層にはソース/ドレイン領域217が形成され、ソース/ドレイン領域217下の領域212には高濃度不純物層(パンチスルーストッパー層)が設けられている。そして、層間絶縁膜226を介して上層配線229、230が設けられ、各コンタクトプラグ228により、各上層配線とそれぞれソース/ドレイン領域207及びゲート電極216とが接続されている。このような構造によれば、凸状半導体層の側面をチャネル幅として用いることができるため、プレーナ型の従来のMOSFETに比べて平面的な面積を小さくすることができることが記載されている。
【0008】
また、特開2001−298194号公報には、例えば図3(a)及び(b)に示すような、Fin型MOSFETが開示されている。このFin型MOSFETは、シリコン基板301、絶縁層302及び半導体層(単結晶シリコン層)303からなるSOI基板を用いて形成され、その絶縁層302上にパターニングされた半導体層303が設けられている。この半導体層303には、複数の開口部310が一列に当該半導体層303を横断するように設けられている。これらの開口部310は、半導体層303のパターニングの際に、絶縁層302が露出するように形成されている。ゲート電極305は、これらの開口部310の配列方向に沿って、開口部310間の各半導体層(伝導経路)332を跨ぐように設けられている。このゲート電極305と伝導経路332との間には絶縁膜が介在し、ゲート電極下の伝導経路にチャネルが形成される。伝導経路332の上面の絶縁膜が、側面の絶縁膜と同程度に薄いゲート絶縁膜である場合は、ゲート電極下の半導体層332の両側面および上面にチャネルが形成される。半導体層303において、開口部310の列の両側がソース/ドレイン領域304を構成する。
【0009】
上記の構造によれば次のような効果が得られることが記載されている。開口部310を除けば、従来のプレーナ型MOSFETと同様な配置パターンを持つため、従来の製造プロセスを適用できるという利点がある。また、この構造によれば、チャネル幅の異なるトランジスタが混在する場合でも、配列する伝導経路332(開口部310間の半導体層)の数を変えればよく、素子の凹凸の程度を抑えることができ、素子特性の均一性を確保することができる。さらに、伝導経路332の幅をソース/ドレイン領域と接続する部分で大きくすることにより寄生抵抗を抑えることができる。
【0010】
上述のFin型MISFETが設けられた半導体装置においても、動作特性をより一層向上させるためには、1つのチップ内において、MISFETの動作目的に応じてしきい値電圧や耐電圧等の素子特性を最適化することが求められる。
【0011】
例えば、ロジック回路部分のMISFETのしきい値電圧は入出力回路部分に比べて低いことが望ましく、入出力部分のMISFETの耐電圧はロジック回路部分に比べて高いことが望ましい。このように、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを設ける場合、しきい値電圧の異なるMISFETの形成領域毎にイオン注入条件を変えて、チャネル形成領域の不純物濃度を所定のしきい値電圧に応じた濃度に設定する必要がある。このイオン注入に際しては、当該イオン注入により得られるしきい値電圧とは異なるしきい値電圧をもつMISFETを形成しようとする領域を、フォトレジストでマスクするフォトレジスト工程が必須となる。そのため、しきい値電圧の設定数に応じてこのフォトレジスト工程を繰り返し行う必要が生じ、その結果、プロセスが煩雑になり、製造コストが上昇する。
【0012】
また、Fin型MISFETを備えた半導体装置では、その微細化に伴い、放熱性や静電破壊耐性の向上も求められている。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、Fin型MISFETを備えた半導体装置であって、1つのチップ内に素子特性の異なる複数種のMISFETを有し、動作特性が改善された半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、
1つのチップ内に、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0015】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0016】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0017】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが当該半導体凸部の高さの2倍以下であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0018】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wがゲート長以下であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0019】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有し、これらのしきい値電圧がゲート電極下の半導体凸部の幅Wが広いものほど高い、上記の半導体装置に関する。
【0020】
また本発明は、前記の複数種のFin型トランジスタが、ゲート電極下の半導体凸部における不純物濃度が互いに等しい、上記の半導体装置に関する。
【0021】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、1つの当該トランジスタ内に、複数の半導体凸部と、これらの半導体凸部に跨って設けられ、各半導体凸部の上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と各半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記の各半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0022】
また本発明は、所定のしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第1の回路部と、第1の回路部の前記Fin型トランジスタより低いしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第2の回路部とを備え、第1の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、第2の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0023】
また本発明は、前記Fin型トランジスタを入出力回路部とメモリ回路部またはロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部またはロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0024】
また本発明は、前記Fin型トランジスタをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0025】
また本発明は、pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを有し、そのpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる、上記の半導体装置に関する。
【0026】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、さらに、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0027】
また本発明は、前記Fin型トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型トランジスタを入出力回路部に有する上記の半導体装置に関する。
【0028】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が、絶縁体上の半導体層で形成されている上記の半導体装置に関する。
【0029】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている上記の半導体装置に関する。
【0030】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、1つのチップ内に、半導体凸部が絶縁体上の半導体層で形成されている第1トランジスタと、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている第2トランジスタとを有する上記の半導体装置に関する。この半導体装置において、第2トランジスタの半導体凸部の幅Wが、第1トランジスタの幅Wより大きいことが好ましい。また、第1トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有し、第2トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有することができる。
【0031】
また本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型のMIS型電界効果トランジスタ、及び基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるプレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを1つのチップ内に備えた半導体装置に関する。
【0032】
また本発明は、前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅である上記の半導体装置に関する。
【0033】
また本発明は、前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを入出力回路部に有する上記の半導体装置に関する。
【0034】
また本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造する方法であって、
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法に関する。
【0035】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、しきい値電圧が互いに異なる複数種のトランジスタを形成し、当該トランジスタは半導体凸部の幅Wが広いものほどしきい値電圧が高いことを特徴とする上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0036】
また本発明は、前記の複数種のトランジスタの形成工程において、幅Wが互いに異なる複数種の半導体凸部は同一の加工工程にて同時に形成されることを特徴とする上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0037】
また本発明は、前記の複数種のトランジスタが、ゲート電極下の半導体部における不純物濃度が互いに等しい、上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0038】
また本発明は、1つのチップ内に前記の複数種のトランジスタを形成する、上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0039】
本発明によれば、微細化に有利で且つ素子特性に優れる、いわゆるFin型MISFETを有するとともに、1つのチップ内に素子特性の異なる複数種のMISFETを有するため、動作特性が改善された半導体装置を提供することができる。また、1つのチップ内にしきい値電圧の異なる複数種のMISFETを容易に形成可能な構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図2】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図3】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図4】本発明におけるFin型MISFETの一例の説明図である。
【図5】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図6】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図7】Fin型MISFETの半導体凸部の幅Wとしきい値電圧との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図9】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図10】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図11】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図12】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図13】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図14】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図20】図9に対応するボディコンタクト構造の説明図である。
【図21】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図22】図21に対応するボディコンタクト構造の説明図である。
【図23】本発明の半導体装置の製造に用いることができるSOI基板の断面図である。
【図24】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図25】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図26】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、例えば図4に示すように、半導体凸部403と、この半導体凸部403を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極404と、このゲート電極404と前記半導体凸部403の間に介在する絶縁膜405と、ソース/ドレイン領域406とを有する半導体装置に係るものである。
【0042】
本発明における半導体凸部は、基体平面(ここでは絶縁体平面)に対して突出した構造を有するものであり、例えば図4に示すように半導体基板401上のベース絶縁膜402上に設けられた半導体層で構成することができる。このベース絶縁膜自体を支持基板とすることもできる。なお、本発明において、この「基体平面」とは基板に平行な任意の面を意味する。
【0043】
また半導体凸部は、後述するように、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で形成することができる。この構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。また、半導体凸部が、ベース絶縁膜402上に設けられた半導体層で形成されるものと、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で形成されるものと、が同一半導体基板上に混在していても構わない。半導体凸部の形状は、略直方体とすることが好ましく、加工精度や所望の素子特性が得られる範囲内で直方体から変形した形状であってもよい。
【0044】
本発明における上記MISFETにおいては、その半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上にゲート電極が延在し、このゲート電極と半導体凸部の間には絶縁膜が介在する。半導体凸部のゲート電極下の部分には、通常、所定のしきい値電圧に応じて比較的低濃度に不純物が導入され、あるいは導入されないで、ゲート電極への電圧印加によりチャネルが形成される。半導体凸部の各側面(基板平面に垂直な面)とゲート電極との間に介在する絶縁膜をゲート絶縁膜とすることで、半導体凸部の両側面にチャネルを形成することができる。半導体凸部の上面とゲート電極との間に介在する絶縁膜を側面の絶縁膜と同程度に薄いゲート絶縁膜とすることで、半導体凸部の上面にもチャネルを形成することができる。半導体凸部の上面に厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることで、半導体凸部の上面にチャネルを形成させない構成にすることもできる。半導体凸部の上面のキャップ絶縁膜は、側面の絶縁膜と異なる材料から形成されていてもよいし、側面の絶縁膜と別途に形成されたものであってもよい。
【0045】
本発明における上記MISFETのソース/ドレイン領域は、図4に示すように、半導体凸部403のゲート電極両側部分に高濃度の不純物を導入してソース/ドレイン領域406とすることができる。あるいは、半導体凸部のゲート電極両側部分を不純物導入により伝導経路とし、この半導体凸部の両端にそれぞれ接続する半導体層を設けてこれらをソース/ドレイン領域としてもよい。また、ソース/ドレイン領域を完全に金属化したショットキー・ソース/ドレイン構造としてもよい。
【0046】
また、本発明における上記MISFETは、1つのトランジスタ内に複数の半導体凸部を例えば一列に平行配列して有し、これらの半導体凸部に跨ってゲート電極が設けられた、いわゆるマルチ構造をとってもよい。それぞれの半導体凸部に係る構造は、前述と同様な構造にすることできる。素子特性の均一性や加工の容易さ等の観点から、1つのトランジスタ内の複数の半導体凸部のゲート電極下部分の幅W(基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅)は互いに等しいことが好ましい。
【0047】
このようなマルチ構造において、図4に示すように各半導体凸部のゲート電極両側部分をソース/ドレイン領域とする場合は、例えば図2に示すように、各半導体凸部のゲート電極両側部にそれぞれコンタクトをとり、ゲート電極両側のそれぞれの側の各半導体凸部に共通の上層配線で導通することができる。一方、各半導体凸部のゲート電極両側部分をソース/ドレイン領域へ接続するための伝導経路とする場合は、例えば図3に示すように、半導体凸部のゲート電極両側部にそれぞれ、各半導体凸部に共通する半導体層を当該半導体凸部と一体に又は別体として設け、この一対の半導体層をソース/ドレイン領域とし、これらにコンタクトをとって導通することができる。これらのマルチ構造は、基板平面に垂直方向の側面をチャネル幅として用いる半導体凸部を複数有するため、チャネル幅あたりの必要な平面的面積を小さくすることができ、素子の微細化に有利である。また、このマルチ構造は、チャネル幅の異なる複数種のトランジスタを1チップ内に形成する場合でも、半導体凸部の数を変えることによりチャネル幅を制御することができ、これにより、素子の凹凸の程度を抑えて素子特性の均一性を確保することができる。
【0048】
本発明は、以上に説明したMISFETを備えた半導体装置に係るものであり、以下、さらに実施形態ごとに説明する。
【0049】
〔第1の実施形態〕
本実施形態は、図5に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、ゲート電極504下の半導体凸部503における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0050】
図5(a)は、図5(b)のA−A線断面図であり、図5(b)は平面図である。501は半導体基板、502はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、503は半導体凸部、504はゲート電極、505はゲート絶縁膜を示す。図5に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、図6に示す例のように、半導体凸部が半導体基板601の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。図6(a)は、図6(b)のA−A線断面図であり、図6(b)は平面図である。601は半導体基板、602はベース絶縁膜(素子分離)、603は半導体凸部、604はゲート電極、605はゲート絶縁膜を示す。図5中のベース絶縁膜502はSOI基板の埋め込み絶縁膜で構成することができ、一方、図6中のベース絶縁膜602は、半導体基板601の加工後に設けられる素子分離絶縁膜で構成することができる。
【0051】
本実施形態の発明は、ゲート電極下の半導体凸部の不純物濃度、すなわちチャネル形成領域の不純物濃度が一定であっても、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wを変えることによってしきい値電圧を制御することできる、という新たな知見に基づいて成されたものである。ここで、しきい値電圧は、n型FETについては、プラス側にその絶対値が大きいほどしきい値電圧が高いとし、p型FETについては、マイナス側にその絶対値が大きいほどしきい値電圧が高いとする。
【0052】
前述のとおり、従来、半導体装置の動作特性向上を目的として、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを設ける場合には、しきい値電圧が異なるMISFETの形成領域毎にイオン注入条件を変えて、チャネル形成領域の不純物濃度を所定のしきい値電圧に応じた濃度に設定していた。そのため、しきい値電圧の設定数に応じてフォトレジスト工程が増えてプロセスが煩雑になり、製造コストが上昇するという問題があった。対して、本発明の構造は、半導体凸部の形成工程におけるパターニングの際に、所定のしきい値電圧に応じた幅Wを持つ複数種の半導体凸部を同時に形成することで、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを簡便に形成することができる。すなわち、本発明は、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを有する半導体装置を容易に形成可能な構造を提供することができる。
【0053】
図7に、半導体凸部の幅Wとしきい値電圧との関係を示す。この図から、半導体凸部の幅Wが広いほどしきい値電圧が高くなることがわかる。この図に示す関係は、半導体凸部の両側面のみにチャネルを形成する構造を持つMISFETに対する下記条件によるシミュレーション結果である。なお、ここで示す最大空乏層幅とは、チャネル不純物濃度から計算される最大空乏層幅である。また、半導体凸部の上面にチャネルが形成される場合も、半導体凸部の両側面に主たるチャネルを形成する構造においては同様な関係が得られる。
【0054】
ゲート絶縁膜のシリコン酸化膜換算膜厚:2.8nm、
チャネル領域の不純物濃度(cm−3):
a)2×1018(最大空乏層幅:25nm)、
b)1018(最大空乏層幅:35nm)、
c)5×1017(最大空乏層幅:48nm)、
計算式:
Vth=2Φf+Vfb−Qb/Co、
Vth:しきい値電圧、
Φf:Ei−Ef、
Ei:真性半導体のフェルミ準位、
Ef:フェルミ準位、
Vfb:フラットバンド電圧、
Qb:空乏層中の不純物電荷量、
Co:ゲート絶縁膜容量。
【0055】
上記の関係が良好に得られるものとしては、半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMISFET(以下、適宜「Fin型MISFET」という。)が好ましく、特に、半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるMISFET(以下、適宜「完全空乏型MISFET」という。)が好ましい。この完全空乏型MISFETでは、半導体凸部の両側面に主たるチャネルが形成される。また、この完全空乏型MISFETは、上記関係が良好に得られる他、カットオフ特性やキャリア移動度の向上、基板浮遊効果の低減に有利である。また、上記関係が良好に得られる素子構造としては、半導体凸部の幅Wが、当該半導体凸部の高さHの2倍以下、あるいはゲート長L以下であることが好ましく、前記の完全空乏型の構造において、このような幅Wに設定することがより好ましい。具体的には、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、加工精度や強度等の観点から、5nm以上に設定することが好ましく、10nm以上がより好ましく、一方、当該半導体凸部の側面に形成されるチャネルを支配的なチャネルとし且つ完全空乏型の構造を得る観点から、60nm以下に設定することが好ましく、30nm以下がより好ましい。また、チャネル形成領域の不純物濃度は、所望のしきい値電圧に応じて適宜設定することができるが、製造プロセスの簡略化の点から、チャネル形成領域の不純物濃度は、しきい値電圧が異なるMISFETの形成領域間で等しいことが好ましい。必要に応じて、チャネル形成領域の不純物濃度が互いに異なる複数種のMISFETの形成領域(各MISFET形成領域内ではチャネル形成領域の不純物濃度は等しい。)を設け、各MISFET形成領域内で半導体凸部の幅Wを変えてしきい値電圧の異なるMISFETを形成することもできる。
【0056】
さらに、上記の関係が良好に得られるMISFETとしては、ゲート長Lが比較的長いもの、特にゲート長Lが半導体凸部の幅Wの2倍以上、典型的には20nm以上のものが挙げられる。また、チャネル形成領域は不純物注入が行われているものが好ましく、典型的には1×1016以上の不純物濃度を有することが好ましい。
【0057】
上記の関係が良好に得られるMISFETの具体的寸法等は、例えば次の範囲で適宜設定することができる。
【0058】
半導体凸部の幅W:5〜250nm、
半導体凸部の高さH:20〜200nm、
ゲート長L:10〜500nm、
ゲート絶縁膜の厚さ:2〜10nm(SiO2の場合)、
チャネル形成領域の不純物濃度:1×1016〜1×1019cm−3、
ソース/ドレイン領域の不純物濃度:1×1019〜1×1021cm−3。
【0059】
なお、半導体凸部の高さHは、図5及び図6に示すように、ベース絶縁膜502、602の平面から突出した半導体部分の基板平面に垂直方向の長さを指す。また、チャネル形成領域は、半導体凸部のゲート電極下の部分を指す。
【0060】
入出力回路やメモリ回路、ロジック回路等の種々の回路は、その目的に応じて取り扱われるオン/オフ電流や、求められる耐電圧および動作速度が異なり、それに応じて最適なしきい値電圧も異なっている。一般に、ロジック回路部では高速動作の点からしきい値電圧が低いことが求められ、SRAM等のメモリ回路部はノイズマージンを確保するために、ある程度しきい値電圧を高くすることが望ましく、入出力回路部では高い電圧を扱うので耐電圧とともに、しきい値電圧もこれらの回路部中で最も高く設定することが望ましい。なお、本発明において、しきい値電圧が低く設定されるロジック回路としては、MPU(Micro Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、PLL(Phase Locked Loop)を含むものとする。
【0061】
上述の複数種の回路を1つのチップ内に設ける場合、本発明では、各回路部毎に設定されたしきい値電圧に応じて半導体凸部の幅Wが設定されたFin型MISFETを設けることができる。例えば、本発明の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETを入出力回路部とロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態、
(b)Fin型MISFETを入出力回路部とメモリ回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態。
【0062】
形態(a)及び(b)において、比較的大きな電流が扱われる入出力回路部に、半導体凸部の幅Wが広いFin型MISFETを設けることは、放熱性の観点からも有利である。
【0063】
さらに、本発明においては、各回路部において求められる耐電圧に応じて、回路部毎にゲート長を変えてもよく、高い耐電圧が求められる回路部にはゲート長の長いMISFETを設けるとよい。
【0064】
また、上述のように入出力回路部で放熱性を向上するために半導体凸部の幅Wを広くしたり、所定の部位で耐電圧を向上するためにゲート長を長くしたりする等、所望の特性に応じた構造を形成する場合、上記(a)、(b)、(c)の形態をとりつつ、半導体凸部の幅Wが異なる回路部毎に必要なしきい値電圧に応じて異なる不純物濃度を設定してもよい。この場合、異なる不純物濃度の回路部毎に不純物導入工程が必要になるが、従来構造に比べて、放熱性や耐電圧特性等の所望の特性を向上しつつ、しきい値電圧等の設計自由度を容易に確保でき、素子特性の向上を図ることができる。
【0065】
また、本発明によれば、同一チップ上にp型およびn型のFin型トランジスタが混在するような半導体装置、特にpMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを備えた半導体装置を提供することができる。そして、そのCMOSはpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる構成をとることができる。一般に、pMOSは、nMOSに比べてソース/ドレイン領域の不純物(ボロン)の拡散により短チャネル効果が大きくなる傾向がある。例えば、pMOSのゲート電極下の半導体凸部の幅Wを、nMOSのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより小さくすることにより、短チャネル効果を素子形状(半導体凸部の幅W)により容易に抑制することができる。
【0066】
〔第2の実施形態〕
本実施形態の半導体装置は、図8に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、第1の実施形態のFin型MISFET810と、ゲート電極下の前記半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型MISFET820とを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0067】
図8(a)は、図8(b)のA−A線断面図であり、図8(b)は平面図である。801は半導体基板、802はベース絶縁膜、803は半導体凸部、804はゲート電極、805はゲート絶縁膜を示す。図8に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、半導体凸部がベース絶縁膜下の半導体基板の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。また、図8に示す例では、Fin型MISFET810の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0068】
本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、その半導体凸部803の上面に主たるチャネルを形成するものであり、ソース/ドレイン領域もこの半導体凸部803上面に設けることができる。ゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、半導体凸部の高さHの2倍より大きいことが好ましく、5倍以上がより好ましく、10倍以上がさらに好ましい。このプレーナ型MISFET820は、半導体凸部803を用いて構成される以外は、シリコンウェハ基板表面に形成される通常のMISFETと同様な構成をとることができる。
【0069】
また、本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、その半導体凸部803、ゲート絶縁膜805及びゲート電極804がそれぞれFin型MISFET810の半導体凸部803、ゲート絶縁膜805及びゲート電極804と共通の材料で構成され、両トランジスタのこれらの構成要素は同一プロセスで形成することができる。すなわち、両トランジスタは、構造や素子特性が大きく異なるものでありながら、1つのチップ内に容易に形成可能な構造を有している。
【0070】
本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、高い耐電圧や放熱性が要求される回路部、例えば入出力回路に好適に設けることができる。例えば、本実施形態の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETをロジック回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(b)Fin型MISFETをメモリ回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広く、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態。
【0071】
また、本実施形態の半導体装置は、図9に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、第1の実施形態のFin型MISFET910と、ゲート電極下の前記半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型MISFET920とを1つのチップ内に有し、このプレーナ型MISFETにおいてボディコンタクト構造をとることができる。
【0072】
図9(a)は、図9(b)のA−A線断面図であり、図9(b)は平面図である。901は半導体基板、902はベース絶縁膜、903は半導体凸部、904はゲート電極、905はゲート絶縁膜を示す。図9に示す例は、ゲート電極をT字形状とした例であり、半導体凸部を絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成する場合に特に有効な構造である。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した電荷を逃がすことができるため基板浮遊効果抑制の点で有利であり、また半導体凸部から外部への接触が増加するため放熱性の点でも有利である。なお、図9に示す例では、Fin型MISFET910の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0073】
図20に、図9に示す例におけるボディコンタクト構造の説明図(NMOSの場合)を示す。図20(a)は図9(b)に対応する平面図であり、図20(b)は図20(a)のB−B’線断面図であり、図20(c)は図20(a)のA−A’線断面図である。これらの図面においてゲート電極は省略している。2001は高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)、2002は高濃度N型領域(ソース/ドレイン領域)、2003は低濃度P型領域(チャネル領域)を示す。ボディコンタクト領域を接地するかもしくはソースに接続することにより、素子の駆動により発生した電荷を排出することができる。このように、プレーナ型MISFETにおいては、ボディコンタクト構造を採用することができ、この構造によれば、トランジスタが半導体基板と直接接続されない場合でも、ソース/ドレイン領域に挟まれた半導体領域(チャネル領域)に溜まった電荷(キャリア)を排出することができる。図20に示す例では、ソース/ドレイン領域と独立したボディ端子に電荷を排出することができる。
【0074】
図21及び図22に、ボディコンタクト構造の他の例(NMOSの場合)を示す。図21に示す半導体装置は、ゲート電極を異なる形状とし、半導体凸部に高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)2201を設けた以外は図8に示す例と同様な構造を有する。図22は、図21に示す例におけるボディコンタクト構造の説明図である。図22(a)は図21(b)に対応する平面図であり、図22(b)は図22(a)のA−A’線断面図であり、図22(c)は図22(a)のB−B’線断面図である。これらの図面においてゲート電極は省略している。2201は高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)、2202は高濃度N型領域(ソース/ドレイン領域)、2203は低濃度P型領域(チャネル領域)を示す。高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)2201を隣接した高濃度N型領域(ソース)と短絡することで、チャネル領域に溜まった電荷を排出することができる。
【0075】
なお、図20及び図22に示す例では、いずれもNMOSの場合を示したが、PMOSの場合であってもよく、PMOSの場合はNMOSに対してp型とn型を入れ替えたものとなる。
【0076】
〔第3の実施形態〕
本実施形態の半導体装置は、図10に示すように、第1の実施形態のFin型MISFET1010と、素子分離1006に囲まれた半導体領域に設けられたプレーナ型MISFET1020とを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0077】
図10(a)は、図10(b)のA−A線断面図であり、図10(b)は平面図である。1001は半導体基板、1002はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、1003は半導体凸部、1004はゲート電極、1005はゲート絶縁膜、1006は素子分離を示す。図10に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、図11に示す例のように、半導体凸部が半導体基板1101の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。図11(a)は、図11(b)のA−A線断面図であり、図11(b)は平面図である。1101は半導体基板、1102はベース絶縁膜(素子分離)、1103は半導体凸部、1104はゲート電極、1105はゲート絶縁膜を示す。また、図10及び図11に示す例は、Fin型MISFETの一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0078】
本実施形態におけるプレーナ型MISFETは、基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるものであり、シリコンウェハ基板表面に形成される通常のMISFETと同様な構成をとることができる。
【0079】
本実施形態における上記プレーナ型MISFETは、高い耐電圧や放熱性が要求される回路部、例えば入出力回路に好適に設けることができる。例えば、本実施形態の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETをロジック回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(b)Fin型MISFETをメモリ回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広く、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態。
【0080】
また、本実施形態の半導体装置は、図12に示すように、第1の実施形態のFin型MISFET1210と、プレーナ型MISFET1220とを1つのチップ内に有し、このプレーナ型MISFETにおいてゲート電極1204をT字形状としたボディコンタクト構造をとることができる。
【0081】
図12(a)は、図12(b)のA−A線断面図であり、図12(b)は平面図である。1201は半導体基板、1202はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、1203は半導体凸部、1204はゲート電極、1205はゲート絶縁膜を示す。図12に示す例は、ゲート電極をT字形状とした例であり、半導体凸部を絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成する場合に特に有効な構造である。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した電荷を逃がすことができるため基板浮遊効果抑制の点で有利であり、また半導体凸部から外部への接触が増加するため放熱性の点でも有利である。なお、図12に示す例では、Fin型MISFET1210の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0082】
〔その他の実施形態〕
本発明の半導体装置は、図13に示すように、絶縁膜上の半導体層で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1310と、半導体基板の一部で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1320とを1つのチップ内に有する構成をとることができる。図13(a)は、図13(b)のA−A線断面図であり、図13(b)は平面図である。1301は半導体基板、1302は埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)、1303は半導体凸部、1304はゲート電極、1305はゲート絶縁膜、1306は素子分離(ベース絶縁膜)を示す。
【0083】
このような構成は、例えば、シリコン基板中に埋め込み絶縁膜が基板平面において部分的に設けられた、いわゆる部分SOI基板を用いて形成することができる。図23に、図13(a)の断面図に対応する部分SOI基板の断面図を示す。埋め込み絶縁膜上の半導体層で半導体凸部を形成してFin型MISFET1310を作製し、埋め込み絶縁膜が存在しない部分の半導体基板の一部で半導体凸部を形成してFin型MISFET1320を作製することができる。後者の構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。Fin型MISFET1310のベース絶縁膜はSOI基板の埋め込み絶縁膜1302で構成され、Fin型MISFET1320のベース絶縁膜は半導体基板の加工後に設けられる素子分離1306で構成することができる。このような構成をとる場合は、放熱性の観点から、発熱量の多い回路部に設けられるMISFETの半導体凸部を半導体基板の一部で構成するとよい。
【0084】
また本発明の半導体装置は、図14に示すように、絶縁膜上の半導体層で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1410と、半導体基板を用いて形成されたプレーナ型MISFET1420とを1つのチップ内に有する構成をとることができる。図14(a)は、図14(b)のA−A線断面図であり、図14(b)は平面図である。1401は半導体基板、1402は埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)、1403は半導体凸部、1404はゲート電極、1405はゲート絶縁膜、1406は素子分離(ベース絶縁膜)を示す。このような構成は、例えば、いわゆる部分SOI基板を用いて形成することができる。埋め込み絶縁膜上の半導体層で半導体凸部を形成してFin型MISFET1410を作製し、埋め込み絶縁膜が存在しない部分の半導体基板を用いてプレーナ型MISFET1420を作製することができる。後者の構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。Fin型MISFET1410のベース絶縁膜はSOI基板の埋め込み絶縁膜1402で構成され、プレーナ型MISFET1420のベース絶縁膜は半導体基板の加工後に設けられる素子分離1406で構成することができる。
【0085】
図24に、マルチ構造を有するFin型MISFETの一例を示す。図24(a)はA−A線断面図であり、図24(b)及び(c)は平面図である。この例は、図6に示す構造において各トランジスタの半導体凸部603を複数にした場合の構造に対応し、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されたものである。図24(c)では、複数の半導体凸部が互いに分離・独立して形成され、各半導体凸部のゲート電極両側部(ソース/ドレイン)にそれぞれコンタクトをとることができる。一方、図24(b)では、複数の半導体凸部がゲート電極の両側において一体に接続されている。ソース/ドレインとのコンタクトは、ゲート電極両側の半導体凸部同士の接続部にそれぞれ1つ設けることができる。
【0086】
図25に、マルチ構造を有するFin型MISFETの他の例を示す。図25(a)はA−A線断面図であり、図25(b)及び(c)は平面図である。この例は、図11に示す構造においてFin型MISFETの半導体凸部1103を複数にした場合の構造に対応し、Fin型FETとプレーナ型FETの混載例である。図25(c)では、Fin型FETの複数の半導体凸部が互いに分離・独立して形成され、各半導体凸部のゲート電極両側部(ソース/ドレイン)にそれぞれコンタクトをとることができる。一方、図25(b)では、Fin型FETの複数の半導体凸部がゲート電極の両側において一体に接続されている。ソース/ドレインとのコンタクトは、ゲート電極両側の半導体凸部同士の接続部にそれぞれ1つ設けることができる。
【0087】
図26に、ゲート電極が前述の形態と異なる構造をとるFin型MISFETの例を示す。図26は図5の断面図に対応する。
【0088】
図26(a)は、半導体凸部503の下端よりも下方にゲート電極504の下端が位置する構造を示す。この構造は、ゲート電極がギリシャ文字の「π」に似ていることから「πゲート構造」と呼ばれている。この構造によれば、半導体凸部下端より下方のゲート電極部分によって、半導体凸部下部の電位に対する制御性を高めることができ、オンオフ遷移の急嵯性(サブスレショールド特性)が向上し、オフ電流を抑制することができる。
【0089】
図26(b)は、半導体凸部503の下面側へ一部ゲート電極504が回り込んでいる構造を示す。この構造は、ゲート電極がギリシャ文字の「Ω」に似ていることから「Ωゲー構造」と呼ばれている。この構造によれば、ゲート電極の制御性を高めるとともに、半導体凸部の下面もチャネルとして利用できるため駆動能力を向上することができる。
【0090】
図26(c)は、半導体凸部503の下面側へゲート電極504が完全に回り込んでいる構造を示す。この構造は、ゲート下部分において半導体凸部が基体平面に対して空中に浮いた状態となり、「ゲート・オール・アラウンド(GAA)構造」と呼ばれている。この構造によれば、半導体凸部の下面もチャネルとして利用できるため駆動能力を向上することができ、短チャネル特性も向上することができる。
【0091】
なお、図26では、半導体凸部の上面にゲート絶縁膜が形成された構造が示されているが、このゲート絶縁膜に代えてキャップ絶縁膜を設けてもよい。また、半導体凸部の上部コーナが丸められていてもよく、Ωゲート構造およびGAA構造においては上部および下部コーナーが丸められていてもよい。
【0092】
以上に説明した素子構造において、ベース絶縁膜の材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、例えばSiO2、Si3N4、AlN、アルミナ等の金属酸化物や、有機絶縁材料を挙げることができる。
【0093】
半導体凸部を形成する半導体材料としては単結晶シリコンを好適に用いることができ、その他、シリコン・ゲルマニウム、ゲルマニウムを好適に用いることができる。また必要に応じて前記材料の複層膜を用いることができる。半導体凸部の両側面としては、移動度が高いこと、平坦なゲート絶縁膜の形成が容易であること、から{100}面、{110}面、{111}面を好適に用いることができる。
【0094】
上記の各実施形態においては、ベース絶縁膜下の基板としてシリコン基板を用いた例を示したが、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で半導体凸部を構成する場合を除き、半導体凸部の下に絶縁体があれば本発明を構成することができる。例えば、SOS(シリコン・オン・サファイア、シリコン・オン・スピネル)のように、半導体層下の絶縁体自体が支持基板となる構造を挙げることができる。絶縁性の支持基板としては、上記SOSの他、石英やAlN基板が挙げられる。SOIの製造技術(貼り合わせ工程および薄膜化工程)によってこれらの支持基板上に半導体層を設けることができる。
【0095】
ゲート電極の材料としては、所望の導電率及び仕事関数を持つ導電体を用いることができ、例えば不純物が導入された多結晶シリコン、多結晶SiGe、多結晶Ge、多結晶SiC等の不純物導入半導体、Mo、W、Ta、Ti、Hf、Re、Ru等の金属、TiN、TaN、HfN、WN等の金属窒化物、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、白金シリサイド、エルビウムシリサイド等のシリサイド化合物が挙げられる。また、ゲート電極の構造は、単層膜の他、半導体と金属膜との積層膜、金属膜同士の積層膜、半導体とシリサイド膜との積層膜等の積層構造を用いることができる。
【0096】
ゲート絶縁膜としては、SiO2膜、SiON膜を用いることができる他、いわゆる高誘電体絶縁膜(High−K膜)を用いてもよい。High−K膜としては、例えば、Ta2O5膜、Al2O3膜、La2O3膜、HfO2膜、ZrO2膜等の金属酸化膜、HfSiO、ZrSiO、HfAlO、ZrAlO等の組成式で示される複合金属酸化物を挙げることができる。また、ゲート絶縁膜は積層構造を有していてもよく、例えばシリコン等の半導体層に、SiO2やHfSiO等のシリコン含有酸化膜を形成し、その上にHigh−K膜を設けた積層膜を挙げることができる。
【0097】
また、ゲート絶縁膜は、1チップ内の異なる領域において材料や厚みが異なっていてもよい。例えば、薄いゲート絶縁膜を、オン電流向上、短チャネル効果抑制の点からロジック回路部やメモリ回路部に設け、厚い絶縁膜を、耐圧向上の点から入出力回路部へ設けることができる。薄いゲート絶縁膜の厚みは例えば0.5〜2.5nm、厚いゲート絶縁膜の厚みを2.5nmより厚く設定することができる。あるいは、High−K膜からなるゲート絶縁膜を、オン電流向上、短チャネル効果抑制の点からロジック回路部やメモリ回路部に設け、SiO2膜やSiON膜からなるゲート絶縁膜を、耐圧向上の点から入出力回路部へ設けることができる。
【0098】
以下、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
【0099】
〔製造例1〕
図15を用いて、図5に示す第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。
【0100】
シリコン基板1501上にSiO2からなる埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)1502を有し、その上に単結晶シリコン層からなる半導体層1503を有するSOI基板を用意する。そして、このSOI基板の半導体層1503上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0101】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図15(a)に示すように、半導体層1503上にレジストパターン1511を形成する。このレジストパターンをマスクに用いて異方性エッチングを行い、半導体層1503を所定のパターン形状に加工する。図15(b)に示すように、レジストパターン1511を除去し、パターニングされた半導体層の一部1503が半導体凸部を構成する。
【0102】
なお、ゲート絶縁膜形成の前にベース絶縁膜を異方的(下方向)にエッチングすることでπゲートを、等方的(下方向と横方向)にエッチングすることでΩゲート又はGAAゲートを形成することができる。
【0103】
次に、この半導体層1503からなる半導体凸部上にゲート絶縁膜1505を形成した後、不純物導入多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極1504を形成する。もしくは、多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極形状とし、ソース/ドレイン形成用のイオン注入時に同時に不純物を導入してゲート電極を形成してもよい。また、ゲート電極形成前に、半導体凸部の上面(頂部平面)に、側面に設けたゲート絶縁膜より厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることにより、半導体凸部の上面にチャネルが形成されず、両側面のみにチャネルが形成されるトランジスタを形成することができる。この厚い絶縁膜は、チャネル形成領域のための不純物イオン注入時に用いた犠牲酸化膜を除去せずに残留させることによって形成することができる。この厚い絶縁膜を半導体凸部上面に有する構成によれば、半導体凸部の上部コーナーにおける電界集中の影響を低減でき、しきい値電圧の変動の抑制に有利である。
【0104】
次に、ゲート電極1504をマスクに用いて、不純物をイオン注入し、活性化処理を行って半導体層1503で構成される半導体凸部にソース/ドレイン領域を形成する。この不純物イオン注入後に、ゲート電極に側壁絶縁膜を設けてからさらに不純物イオン注入を行ってもよい。これにより、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造を形成することができる。活性化熱処理を行った後、ソース/ドレイン領域およびゲート電極上に、コンタクト抵抗・シート抵抗等の抵抗低減のためにシリサイド層を設けてもよい。
【0105】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクトプラグ及び配線を設けて、図5に示す第1の実施形態の半導体装置を得ることができる。
【0106】
〔製造例2〕
図16〜17を用いて、図6に示す第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。
【0107】
シリコン基板1601上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0108】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図16(a)に示すように、シリコン基板1601上に、シリコン酸化膜1611及びシリコン窒化膜1612をこの順で形成し、次いで、レジストパターン1613を形成する。
【0109】
このレジストパターン1613をマスクに用いて異方性エッチングを行い、シリコン窒化膜1612を所定のパターン形状に加工する。そして、レジストパターン1613を除去した後、シリコン窒化膜パターン1612をマスクに用いて、図16(b)に示すようにシリコン酸化膜1611及びシリコン基板1601を異方性エッチングする。これにより、シリコン基板1601に溝が形成され、その溝内に所定のパターンを持つ半導体パターンが形成される。図16(b)では半導体パターン1603が半導体凸部を構成する。
【0110】
次に、シリコン基板1601に設けられた溝内を埋め込むようにCVD法等によりSiO2等の絶縁体を堆積し、次いでCMP(化学的機械的研磨)により上面を平坦化する。これにより、図16(c)に示すように素子分離絶縁膜1602を形成する。その際、シリコン窒化膜1612は研磨ストッパとして利用することができる。
【0111】
次に、図17(d)に示すように、半導体パターン1603の上部が露出するように、この素子分離絶縁膜1602をエッチバックして、シリコン基板1601の溝の底に、この素子分離絶縁膜1602からなるベース絶縁膜を形成する。このベース絶縁膜平面から突出し、露出した半導体パターンの一部分で半導体凸部が構成される。その後、図17(e)に示すように、この半導体凸部の頂部に残存するシリコン酸化膜1611及びシリコン窒化膜1612を除去する。
【0112】
次に、図17(f)に示すように、この半導体凸部上にゲート絶縁膜1605を形成した後、不純物導入多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極1604を形成する。もしくは、多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極形状とし、ソース/ドレイン形成用のイオン注入時に同時に不純物を導入してゲート電極を形成してもよい。また、ゲート電極形成前に、半導体凸部の上面(頂部平面)に、側面に設けたゲート絶縁膜より厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることにより、半導体凸部の上面にチャネルが形成されず、両側面のみにチャネルが形成されるトランジスタを形成することができる。
【0113】
次に、ゲート電極1604をマスクに用いて、不純物をイオン注入し、活性化処理を行って半導体パターン1603で構成される半導体凸部にソース/ドレイン領域を形成する。この不純物イオン注入後に、ゲート電極に側壁絶縁膜を設けてからさらに不純物イオン注入を行ってもよい。これにより、いわゆるLDD構造を形成することができる。活性化熱処理を行った後、ソース/ドレイン領域およびゲート電極上に、コンタクト抵抗・シート抵抗等の抵抗低減のためにシリサイド層を設けてもよい。
【0114】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクト及び配線を設けて、図6に示す第1の実施形態の半導体装置を得ることができる。
【0115】
〔製造例3〕
図18〜19を用いて、図10に示す第3の実施形態に相当する半導体装置の製造方法について説明する。
【0116】
シリコン基板1801上にSiO2からなる埋め込み絶縁膜1802を有し、その上に単結晶シリコン層からなる半導体層1803を有するSOI基板を用意する。そして、このSOI基板の半導体層1803上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0117】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図18(a)に示すように、半導体層1803上に、シリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812をこの順で形成し、次いで、レジストパターン1813を形成する。
【0118】
このレジストパターン1813をマスクに用いて異方性エッチングを行い、シリコン窒化膜1812を所定のパターン形状に加工する。そして、レジストパターン1813を除去した後、シリコン窒化膜パターン1812をマスクに用いて、図18(b)に示すようにシリコン酸化膜1811及び半導体層1803を異方性エッチングする。これにより、半導体層1803に溝が設けられ、その溝の底部では埋め込み絶縁膜1802が露出し、その溝の輪郭にて所定の半導体層パターンが形成される。この半導体層パターンの幅の狭い凸状部分でFin型MISFETの半導体凸部が構成され、幅が広く上面の面積が大きい部分でプレーナ型MISFETが構成される。
【0119】
次に、半導体層1803に設けられた溝内を埋め込むようにCVD法等によりSiO2等の絶縁体を堆積し、次いでCMPにより上面を平坦化する。これにより、図18(c)に示すように素子分離絶縁膜1814を形成する。その際、シリコン窒化膜1812は研磨ストッパとして利用することができる。
【0120】
次に、ウェットエッチングにより、図19(d)に示すように、半導体層1803上のシリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812を素子分離絶縁膜1814の表面部分とともに除去する。
【0121】
次に、図19(e)に示すように、プレーナ型MISFETの形成領域上にレジストパターン1815を形成し、これをマスクに用いてFin型MISFETの形成領域の素子分離絶縁膜1814を選択的に除去する。
【0122】
次に、レジストパターン1815を除去した後、半導体層1803上に、ゲート酸化膜1805及びゲート電極1804を設けて、図19(f)に示す構造を得ることができる。
【0123】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクトプラグ及び配線を設けて、図10に示す第3の実施形態に相当する半導体装置を得ることができる。
【0124】
なお、図18(b)に示す工程の後、半導体層1803の側面に酸化膜を形成し、続いて全面にシリコン窒化膜を設けて、その後に絶縁体を溝内を埋め込むように堆積してもよい。このシリコン窒化膜は、Fin型MISFETの形成領域における素子分離絶縁膜を除去する際に(図19(e)に示す工程)、エッチングストッパ膜として利用することができる。形成した酸化膜と窒化膜は、半導体凸部上にゲート酸化膜およびゲート電極を形成する前にウェットエッチングにより除去することができる。
【0125】
また、図18(b)に示す工程にて、シリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812を除去して、ゲート酸化膜およびゲート電極を形成することにより、図8に示す第2の実施形態に相当する半導体装置を得ることができる。
【0126】
〔その他の製造例〕
本発明においてゲート電極の形成は、上述した方法の他、例えば下記のように、いわゆるダマシンゲート法により形成することができる。
【0127】
半導体凸部を形成した後、多結晶シリコン膜を堆積しこれをパターニングしてダミーゲートを形成する。このダミーゲートは後に除去され他のゲート電極材料と置き換えられる。次に、このダミーゲートを埋め込むように層間絶縁膜を形成し、次いでCMPを行って層間絶縁膜の平坦化とともにダミーゲート表面を露出させる。そして、ダミーゲートを選択的に除去して溝を形成する。この溝内にゲート絶縁膜を形成した後、ゲート電極材料を埋め込んで目的とするゲート電極を形成する。次いで、所定の領域の層間絶縁膜を除去した後、ソース/ドレイン領域の形成などの通常のトランジスタ形成プロセスを行う。なお、上記プロセスにおいて、層間絶縁膜の形成前にソース/ドレイン領域等の通常のトランジスタ形成プロセスを行うこともできる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、基体平面に対して突出した半導体凸部上にゲート電極を有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MIS型電界効果トランジスタ(以下「MISFET」という)の一種として、いわゆるFin型MISFETが提案されている。このFin型MISFETは、直方体状半導体凸部を有し、この直方体状半導体凸部の一方の側面から上面を越えて反対側面まで跨ぐようにゲート電極が設けられている。そして、この直方体状半導体凸部とゲート電極との間にはゲート絶縁膜が介在し、主として直方体状半導体凸部の両側面に沿ってチャネルが形成される。このようなFin型MISFETは、チャネル幅を基板平面に対して垂直方向にとれる点から微細化に有利であることに加え、カットオフ特性やキャリア移動度の向上、短チャネル効果やパンチスルーの低減といった種々の特性改善に有利であることが知られている。
【0003】
このようなFin型MISFETとして、特開昭64−8670号公報には、ソース領域、ドレイン領域およびチャネル領域をもつ半導体凸部分がウェハ基板の平面に対してほぼ垂直な側面を有する直方体状であり、この直方体状半導体凸部分の高さがその幅よりも大きく、かつゲート電極が前記ウェハ基板の平面に垂直方向に延在することを特徴とするMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)が開示されている。
【0004】
同公報には、前記直方体状半導体凸部分の一部がシリコンウェハ基板の一部である形態と、前記直方体状半導体凸部分の一部がSOI(Silicon on insulator)基板の単結晶シリコン層の一部である形態が例示されている。前者を図1(a)に、後者を図1(b)に示す。
【0005】
図1(a)に示す形態では、シリコンウェハ基板101の一部を直方体状部分103とし、ゲート電極105がこの直方体状部分103の頂部を越えて両側に延在している。そして、この直方体状部分103において、ゲート電極両側の部分にソース領域およびドレイン領域が形成され、ゲート電極下の絶縁膜104下の部分にチャネルが形成される。チャネル幅は直方体状部分103の高さhの2倍に相当し、ゲート長はゲート電極105の幅Lに対応する。直方体状部分103は、シリコンウェハ基板101を異方性エッチングして溝を形成し、この溝の内側に残した部分で構成されている。また、ゲート電極105は、この溝内に形成した絶縁膜102上に、直方体状部分103を跨ぐように設けている。
【0006】
図1(b)に示す形態では、シリコンウェハ基板111、絶縁層112及びシリコン単結晶層からなるSOI基板を用意し、そのシリコン単結晶層をパターニングして直方体状部分113とし、そして、この直方体状部分113を跨ぐように、露出した絶縁層112上にゲート電極115を設けている。この直方体状部分113において、ゲート電極両側の部分にソース領域およびドレイン領域が形成され、ゲート電極下の絶縁膜114下の部分にチャネルが形成される。チャネル幅は直方体状部分113の高さaの2倍とその幅bとの合計に相当し、ゲート長はゲート電極115の幅Lに対応する。
【0007】
一方、特開2002−118255号公報には、例えば図2(a)〜(c)に示すような、複数の直方体状半導体凸部(凸状半導体層213)を有するFin型MOSFETが開示されている。図2(b)は図2(a)のB−B線断面図であり、図2(c)は図2(a)のC−C線断面図である。このFin型MOSFETは、シリコン基板210のウェル層211の一部で構成される凸状半導体層213を複数有し、これらが互いに平行に配列され、これらの凸状半導体層の中央部を跨いでゲート電極216が設けられている。このゲート電極216は、絶縁膜214の上面から各凸状半導体層213の側面に沿って形成されている。各凸状半導体層とゲート電極間には絶縁膜218が介在し、ゲート電極下の凸状半導体層にチャネル215が形成される。また、各凸状半導体層にはソース/ドレイン領域217が形成され、ソース/ドレイン領域217下の領域212には高濃度不純物層(パンチスルーストッパー層)が設けられている。そして、層間絶縁膜226を介して上層配線229、230が設けられ、各コンタクトプラグ228により、各上層配線とそれぞれソース/ドレイン領域207及びゲート電極216とが接続されている。このような構造によれば、凸状半導体層の側面をチャネル幅として用いることができるため、プレーナ型の従来のMOSFETに比べて平面的な面積を小さくすることができることが記載されている。
【0008】
また、特開2001−298194号公報には、例えば図3(a)及び(b)に示すような、Fin型MOSFETが開示されている。このFin型MOSFETは、シリコン基板301、絶縁層302及び半導体層(単結晶シリコン層)303からなるSOI基板を用いて形成され、その絶縁層302上にパターニングされた半導体層303が設けられている。この半導体層303には、複数の開口部310が一列に当該半導体層303を横断するように設けられている。これらの開口部310は、半導体層303のパターニングの際に、絶縁層302が露出するように形成されている。ゲート電極305は、これらの開口部310の配列方向に沿って、開口部310間の各半導体層(伝導経路)332を跨ぐように設けられている。このゲート電極305と伝導経路332との間には絶縁膜が介在し、ゲート電極下の伝導経路にチャネルが形成される。伝導経路332の上面の絶縁膜が、側面の絶縁膜と同程度に薄いゲート絶縁膜である場合は、ゲート電極下の半導体層332の両側面および上面にチャネルが形成される。半導体層303において、開口部310の列の両側がソース/ドレイン領域304を構成する。
【0009】
上記の構造によれば次のような効果が得られることが記載されている。開口部310を除けば、従来のプレーナ型MOSFETと同様な配置パターンを持つため、従来の製造プロセスを適用できるという利点がある。また、この構造によれば、チャネル幅の異なるトランジスタが混在する場合でも、配列する伝導経路332(開口部310間の半導体層)の数を変えればよく、素子の凹凸の程度を抑えることができ、素子特性の均一性を確保することができる。さらに、伝導経路332の幅をソース/ドレイン領域と接続する部分で大きくすることにより寄生抵抗を抑えることができる。
【0010】
上述のFin型MISFETが設けられた半導体装置においても、動作特性をより一層向上させるためには、1つのチップ内において、MISFETの動作目的に応じてしきい値電圧や耐電圧等の素子特性を最適化することが求められる。
【0011】
例えば、ロジック回路部分のMISFETのしきい値電圧は入出力回路部分に比べて低いことが望ましく、入出力部分のMISFETの耐電圧はロジック回路部分に比べて高いことが望ましい。このように、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを設ける場合、しきい値電圧の異なるMISFETの形成領域毎にイオン注入条件を変えて、チャネル形成領域の不純物濃度を所定のしきい値電圧に応じた濃度に設定する必要がある。このイオン注入に際しては、当該イオン注入により得られるしきい値電圧とは異なるしきい値電圧をもつMISFETを形成しようとする領域を、フォトレジストでマスクするフォトレジスト工程が必須となる。そのため、しきい値電圧の設定数に応じてこのフォトレジスト工程を繰り返し行う必要が生じ、その結果、プロセスが煩雑になり、製造コストが上昇する。
【0012】
また、Fin型MISFETを備えた半導体装置では、その微細化に伴い、放熱性や静電破壊耐性の向上も求められている。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、Fin型MISFETを備えた半導体装置であって、1つのチップ内に素子特性の異なる複数種のMISFETを有し、動作特性が改善された半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、
1つのチップ内に、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する半導体装置に関する。
【0015】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0016】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0017】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが当該半導体凸部の高さの2倍以下であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0018】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wがゲート長以下であるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0019】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有し、これらのしきい値電圧がゲート電極下の半導体凸部の幅Wが広いものほど高い、上記の半導体装置に関する。
【0020】
また本発明は、前記の複数種のFin型トランジスタが、ゲート電極下の半導体凸部における不純物濃度が互いに等しい、上記の半導体装置に関する。
【0021】
また本発明は、前記Fin型トランジスタとして、1つの当該トランジスタ内に、複数の半導体凸部と、これらの半導体凸部に跨って設けられ、各半導体凸部の上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と各半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記の各半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるトランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0022】
また本発明は、所定のしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第1の回路部と、第1の回路部の前記Fin型トランジスタより低いしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第2の回路部とを備え、第1の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、第2の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0023】
また本発明は、前記Fin型トランジスタを入出力回路部とメモリ回路部またはロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部またはロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0024】
また本発明は、前記Fin型トランジスタをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、上記の半導体装置に関する。
【0025】
また本発明は、pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを有し、そのpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる、上記の半導体装置に関する。
【0026】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、さらに、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する上記の半導体装置に関する。
【0027】
また本発明は、前記Fin型トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型トランジスタを入出力回路部に有する上記の半導体装置に関する。
【0028】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が、絶縁体上の半導体層で形成されている上記の半導体装置に関する。
【0029】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている上記の半導体装置に関する。
【0030】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、1つのチップ内に、半導体凸部が絶縁体上の半導体層で形成されている第1トランジスタと、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている第2トランジスタとを有する上記の半導体装置に関する。この半導体装置において、第2トランジスタの半導体凸部の幅Wが、第1トランジスタの幅Wより大きいことが好ましい。また、第1トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有し、第2トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有することができる。
【0031】
また本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型のMIS型電界効果トランジスタ、及び基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるプレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを1つのチップ内に備えた半導体装置に関する。
【0032】
また本発明は、前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅である上記の半導体装置に関する。
【0033】
また本発明は、前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを入出力回路部に有する上記の半導体装置に関する。
【0034】
また本発明は、基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造する方法であって、
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法に関する。
【0035】
また本発明は、前記MIS型電界効果トランジスタとして、しきい値電圧が互いに異なる複数種のトランジスタを形成し、当該トランジスタは半導体凸部の幅Wが広いものほどしきい値電圧が高いことを特徴とする上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0036】
また本発明は、前記の複数種のトランジスタの形成工程において、幅Wが互いに異なる複数種の半導体凸部は同一の加工工程にて同時に形成されることを特徴とする上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0037】
また本発明は、前記の複数種のトランジスタが、ゲート電極下の半導体部における不純物濃度が互いに等しい、上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0038】
また本発明は、1つのチップ内に前記の複数種のトランジスタを形成する、上記の半導体装置の製造方法に関する。
【0039】
本発明によれば、微細化に有利で且つ素子特性に優れる、いわゆるFin型MISFETを有するとともに、1つのチップ内に素子特性の異なる複数種のMISFETを有するため、動作特性が改善された半導体装置を提供することができる。また、1つのチップ内にしきい値電圧の異なる複数種のMISFETを容易に形成可能な構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図2】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図3】従来のFin型MISFETの素子構造の説明図である。
【図4】本発明におけるFin型MISFETの一例の説明図である。
【図5】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図6】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図7】Fin型MISFETの半導体凸部の幅Wとしきい値電圧との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図9】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図10】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図11】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図12】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図13】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図14】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図20】図9に対応するボディコンタクト構造の説明図である。
【図21】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図22】図21に対応するボディコンタクト構造の説明図である。
【図23】本発明の半導体装置の製造に用いることができるSOI基板の断面図である。
【図24】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図25】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【図26】本発明の半導体装置の一例の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、例えば図4に示すように、半導体凸部403と、この半導体凸部403を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極404と、このゲート電極404と前記半導体凸部403の間に介在する絶縁膜405と、ソース/ドレイン領域406とを有する半導体装置に係るものである。
【0042】
本発明における半導体凸部は、基体平面(ここでは絶縁体平面)に対して突出した構造を有するものであり、例えば図4に示すように半導体基板401上のベース絶縁膜402上に設けられた半導体層で構成することができる。このベース絶縁膜自体を支持基板とすることもできる。なお、本発明において、この「基体平面」とは基板に平行な任意の面を意味する。
【0043】
また半導体凸部は、後述するように、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で形成することができる。この構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。また、半導体凸部が、ベース絶縁膜402上に設けられた半導体層で形成されるものと、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で形成されるものと、が同一半導体基板上に混在していても構わない。半導体凸部の形状は、略直方体とすることが好ましく、加工精度や所望の素子特性が得られる範囲内で直方体から変形した形状であってもよい。
【0044】
本発明における上記MISFETにおいては、その半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上にゲート電極が延在し、このゲート電極と半導体凸部の間には絶縁膜が介在する。半導体凸部のゲート電極下の部分には、通常、所定のしきい値電圧に応じて比較的低濃度に不純物が導入され、あるいは導入されないで、ゲート電極への電圧印加によりチャネルが形成される。半導体凸部の各側面(基板平面に垂直な面)とゲート電極との間に介在する絶縁膜をゲート絶縁膜とすることで、半導体凸部の両側面にチャネルを形成することができる。半導体凸部の上面とゲート電極との間に介在する絶縁膜を側面の絶縁膜と同程度に薄いゲート絶縁膜とすることで、半導体凸部の上面にもチャネルを形成することができる。半導体凸部の上面に厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることで、半導体凸部の上面にチャネルを形成させない構成にすることもできる。半導体凸部の上面のキャップ絶縁膜は、側面の絶縁膜と異なる材料から形成されていてもよいし、側面の絶縁膜と別途に形成されたものであってもよい。
【0045】
本発明における上記MISFETのソース/ドレイン領域は、図4に示すように、半導体凸部403のゲート電極両側部分に高濃度の不純物を導入してソース/ドレイン領域406とすることができる。あるいは、半導体凸部のゲート電極両側部分を不純物導入により伝導経路とし、この半導体凸部の両端にそれぞれ接続する半導体層を設けてこれらをソース/ドレイン領域としてもよい。また、ソース/ドレイン領域を完全に金属化したショットキー・ソース/ドレイン構造としてもよい。
【0046】
また、本発明における上記MISFETは、1つのトランジスタ内に複数の半導体凸部を例えば一列に平行配列して有し、これらの半導体凸部に跨ってゲート電極が設けられた、いわゆるマルチ構造をとってもよい。それぞれの半導体凸部に係る構造は、前述と同様な構造にすることできる。素子特性の均一性や加工の容易さ等の観点から、1つのトランジスタ内の複数の半導体凸部のゲート電極下部分の幅W(基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅)は互いに等しいことが好ましい。
【0047】
このようなマルチ構造において、図4に示すように各半導体凸部のゲート電極両側部分をソース/ドレイン領域とする場合は、例えば図2に示すように、各半導体凸部のゲート電極両側部にそれぞれコンタクトをとり、ゲート電極両側のそれぞれの側の各半導体凸部に共通の上層配線で導通することができる。一方、各半導体凸部のゲート電極両側部分をソース/ドレイン領域へ接続するための伝導経路とする場合は、例えば図3に示すように、半導体凸部のゲート電極両側部にそれぞれ、各半導体凸部に共通する半導体層を当該半導体凸部と一体に又は別体として設け、この一対の半導体層をソース/ドレイン領域とし、これらにコンタクトをとって導通することができる。これらのマルチ構造は、基板平面に垂直方向の側面をチャネル幅として用いる半導体凸部を複数有するため、チャネル幅あたりの必要な平面的面積を小さくすることができ、素子の微細化に有利である。また、このマルチ構造は、チャネル幅の異なる複数種のトランジスタを1チップ内に形成する場合でも、半導体凸部の数を変えることによりチャネル幅を制御することができ、これにより、素子の凹凸の程度を抑えて素子特性の均一性を確保することができる。
【0048】
本発明は、以上に説明したMISFETを備えた半導体装置に係るものであり、以下、さらに実施形態ごとに説明する。
【0049】
〔第1の実施形態〕
本実施形態は、図5に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、ゲート電極504下の半導体凸部503における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0050】
図5(a)は、図5(b)のA−A線断面図であり、図5(b)は平面図である。501は半導体基板、502はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、503は半導体凸部、504はゲート電極、505はゲート絶縁膜を示す。図5に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、図6に示す例のように、半導体凸部が半導体基板601の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。図6(a)は、図6(b)のA−A線断面図であり、図6(b)は平面図である。601は半導体基板、602はベース絶縁膜(素子分離)、603は半導体凸部、604はゲート電極、605はゲート絶縁膜を示す。図5中のベース絶縁膜502はSOI基板の埋め込み絶縁膜で構成することができ、一方、図6中のベース絶縁膜602は、半導体基板601の加工後に設けられる素子分離絶縁膜で構成することができる。
【0051】
本実施形態の発明は、ゲート電極下の半導体凸部の不純物濃度、すなわちチャネル形成領域の不純物濃度が一定であっても、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wを変えることによってしきい値電圧を制御することできる、という新たな知見に基づいて成されたものである。ここで、しきい値電圧は、n型FETについては、プラス側にその絶対値が大きいほどしきい値電圧が高いとし、p型FETについては、マイナス側にその絶対値が大きいほどしきい値電圧が高いとする。
【0052】
前述のとおり、従来、半導体装置の動作特性向上を目的として、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを設ける場合には、しきい値電圧が異なるMISFETの形成領域毎にイオン注入条件を変えて、チャネル形成領域の不純物濃度を所定のしきい値電圧に応じた濃度に設定していた。そのため、しきい値電圧の設定数に応じてフォトレジスト工程が増えてプロセスが煩雑になり、製造コストが上昇するという問題があった。対して、本発明の構造は、半導体凸部の形成工程におけるパターニングの際に、所定のしきい値電圧に応じた幅Wを持つ複数種の半導体凸部を同時に形成することで、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを簡便に形成することができる。すなわち、本発明は、1つのチップ内にしきい値電圧が異なる複数種のMISFETを有する半導体装置を容易に形成可能な構造を提供することができる。
【0053】
図7に、半導体凸部の幅Wとしきい値電圧との関係を示す。この図から、半導体凸部の幅Wが広いほどしきい値電圧が高くなることがわかる。この図に示す関係は、半導体凸部の両側面のみにチャネルを形成する構造を持つMISFETに対する下記条件によるシミュレーション結果である。なお、ここで示す最大空乏層幅とは、チャネル不純物濃度から計算される最大空乏層幅である。また、半導体凸部の上面にチャネルが形成される場合も、半導体凸部の両側面に主たるチャネルを形成する構造においては同様な関係が得られる。
【0054】
ゲート絶縁膜のシリコン酸化膜換算膜厚:2.8nm、
チャネル領域の不純物濃度(cm−3):
a)2×1018(最大空乏層幅:25nm)、
b)1018(最大空乏層幅:35nm)、
c)5×1017(最大空乏層幅:48nm)、
計算式:
Vth=2Φf+Vfb−Qb/Co、
Vth:しきい値電圧、
Φf:Ei−Ef、
Ei:真性半導体のフェルミ準位、
Ef:フェルミ準位、
Vfb:フラットバンド電圧、
Qb:空乏層中の不純物電荷量、
Co:ゲート絶縁膜容量。
【0055】
上記の関係が良好に得られるものとしては、半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMISFET(以下、適宜「Fin型MISFET」という。)が好ましく、特に、半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるMISFET(以下、適宜「完全空乏型MISFET」という。)が好ましい。この完全空乏型MISFETでは、半導体凸部の両側面に主たるチャネルが形成される。また、この完全空乏型MISFETは、上記関係が良好に得られる他、カットオフ特性やキャリア移動度の向上、基板浮遊効果の低減に有利である。また、上記関係が良好に得られる素子構造としては、半導体凸部の幅Wが、当該半導体凸部の高さHの2倍以下、あるいはゲート長L以下であることが好ましく、前記の完全空乏型の構造において、このような幅Wに設定することがより好ましい。具体的には、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、加工精度や強度等の観点から、5nm以上に設定することが好ましく、10nm以上がより好ましく、一方、当該半導体凸部の側面に形成されるチャネルを支配的なチャネルとし且つ完全空乏型の構造を得る観点から、60nm以下に設定することが好ましく、30nm以下がより好ましい。また、チャネル形成領域の不純物濃度は、所望のしきい値電圧に応じて適宜設定することができるが、製造プロセスの簡略化の点から、チャネル形成領域の不純物濃度は、しきい値電圧が異なるMISFETの形成領域間で等しいことが好ましい。必要に応じて、チャネル形成領域の不純物濃度が互いに異なる複数種のMISFETの形成領域(各MISFET形成領域内ではチャネル形成領域の不純物濃度は等しい。)を設け、各MISFET形成領域内で半導体凸部の幅Wを変えてしきい値電圧の異なるMISFETを形成することもできる。
【0056】
さらに、上記の関係が良好に得られるMISFETとしては、ゲート長Lが比較的長いもの、特にゲート長Lが半導体凸部の幅Wの2倍以上、典型的には20nm以上のものが挙げられる。また、チャネル形成領域は不純物注入が行われているものが好ましく、典型的には1×1016以上の不純物濃度を有することが好ましい。
【0057】
上記の関係が良好に得られるMISFETの具体的寸法等は、例えば次の範囲で適宜設定することができる。
【0058】
半導体凸部の幅W:5〜250nm、
半導体凸部の高さH:20〜200nm、
ゲート長L:10〜500nm、
ゲート絶縁膜の厚さ:2〜10nm(SiO2の場合)、
チャネル形成領域の不純物濃度:1×1016〜1×1019cm−3、
ソース/ドレイン領域の不純物濃度:1×1019〜1×1021cm−3。
【0059】
なお、半導体凸部の高さHは、図5及び図6に示すように、ベース絶縁膜502、602の平面から突出した半導体部分の基板平面に垂直方向の長さを指す。また、チャネル形成領域は、半導体凸部のゲート電極下の部分を指す。
【0060】
入出力回路やメモリ回路、ロジック回路等の種々の回路は、その目的に応じて取り扱われるオン/オフ電流や、求められる耐電圧および動作速度が異なり、それに応じて最適なしきい値電圧も異なっている。一般に、ロジック回路部では高速動作の点からしきい値電圧が低いことが求められ、SRAM等のメモリ回路部はノイズマージンを確保するために、ある程度しきい値電圧を高くすることが望ましく、入出力回路部では高い電圧を扱うので耐電圧とともに、しきい値電圧もこれらの回路部中で最も高く設定することが望ましい。なお、本発明において、しきい値電圧が低く設定されるロジック回路としては、MPU(Micro Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、PLL(Phase Locked Loop)を含むものとする。
【0061】
上述の複数種の回路を1つのチップ内に設ける場合、本発明では、各回路部毎に設定されたしきい値電圧に応じて半導体凸部の幅Wが設定されたFin型MISFETを設けることができる。例えば、本発明の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETを入出力回路部とロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態、
(b)Fin型MISFETを入出力回路部とメモリ回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い形態。
【0062】
形態(a)及び(b)において、比較的大きな電流が扱われる入出力回路部に、半導体凸部の幅Wが広いFin型MISFETを設けることは、放熱性の観点からも有利である。
【0063】
さらに、本発明においては、各回路部において求められる耐電圧に応じて、回路部毎にゲート長を変えてもよく、高い耐電圧が求められる回路部にはゲート長の長いMISFETを設けるとよい。
【0064】
また、上述のように入出力回路部で放熱性を向上するために半導体凸部の幅Wを広くしたり、所定の部位で耐電圧を向上するためにゲート長を長くしたりする等、所望の特性に応じた構造を形成する場合、上記(a)、(b)、(c)の形態をとりつつ、半導体凸部の幅Wが異なる回路部毎に必要なしきい値電圧に応じて異なる不純物濃度を設定してもよい。この場合、異なる不純物濃度の回路部毎に不純物導入工程が必要になるが、従来構造に比べて、放熱性や耐電圧特性等の所望の特性を向上しつつ、しきい値電圧等の設計自由度を容易に確保でき、素子特性の向上を図ることができる。
【0065】
また、本発明によれば、同一チップ上にp型およびn型のFin型トランジスタが混在するような半導体装置、特にpMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを備えた半導体装置を提供することができる。そして、そのCMOSはpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる構成をとることができる。一般に、pMOSは、nMOSに比べてソース/ドレイン領域の不純物(ボロン)の拡散により短チャネル効果が大きくなる傾向がある。例えば、pMOSのゲート電極下の半導体凸部の幅Wを、nMOSのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより小さくすることにより、短チャネル効果を素子形状(半導体凸部の幅W)により容易に抑制することができる。
【0066】
〔第2の実施形態〕
本実施形態の半導体装置は、図8に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、第1の実施形態のFin型MISFET810と、ゲート電極下の前記半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型MISFET820とを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0067】
図8(a)は、図8(b)のA−A線断面図であり、図8(b)は平面図である。801は半導体基板、802はベース絶縁膜、803は半導体凸部、804はゲート電極、805はゲート絶縁膜を示す。図8に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、半導体凸部がベース絶縁膜下の半導体基板の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。また、図8に示す例では、Fin型MISFET810の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0068】
本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、その半導体凸部803の上面に主たるチャネルを形成するものであり、ソース/ドレイン領域もこの半導体凸部803上面に設けることができる。ゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、半導体凸部の高さHの2倍より大きいことが好ましく、5倍以上がより好ましく、10倍以上がさらに好ましい。このプレーナ型MISFET820は、半導体凸部803を用いて構成される以外は、シリコンウェハ基板表面に形成される通常のMISFETと同様な構成をとることができる。
【0069】
また、本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、その半導体凸部803、ゲート絶縁膜805及びゲート電極804がそれぞれFin型MISFET810の半導体凸部803、ゲート絶縁膜805及びゲート電極804と共通の材料で構成され、両トランジスタのこれらの構成要素は同一プロセスで形成することができる。すなわち、両トランジスタは、構造や素子特性が大きく異なるものでありながら、1つのチップ内に容易に形成可能な構造を有している。
【0070】
本実施形態におけるプレーナ型MISFET820は、高い耐電圧や放熱性が要求される回路部、例えば入出力回路に好適に設けることができる。例えば、本実施形態の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETをロジック回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(b)Fin型MISFETをメモリ回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広く、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態。
【0071】
また、本実施形態の半導体装置は、図9に示すように、半導体凸部を持つ前記MISFETとして、第1の実施形態のFin型MISFET910と、ゲート電極下の前記半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型MISFET920とを1つのチップ内に有し、このプレーナ型MISFETにおいてボディコンタクト構造をとることができる。
【0072】
図9(a)は、図9(b)のA−A線断面図であり、図9(b)は平面図である。901は半導体基板、902はベース絶縁膜、903は半導体凸部、904はゲート電極、905はゲート絶縁膜を示す。図9に示す例は、ゲート電極をT字形状とした例であり、半導体凸部を絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成する場合に特に有効な構造である。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した電荷を逃がすことができるため基板浮遊効果抑制の点で有利であり、また半導体凸部から外部への接触が増加するため放熱性の点でも有利である。なお、図9に示す例では、Fin型MISFET910の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0073】
図20に、図9に示す例におけるボディコンタクト構造の説明図(NMOSの場合)を示す。図20(a)は図9(b)に対応する平面図であり、図20(b)は図20(a)のB−B’線断面図であり、図20(c)は図20(a)のA−A’線断面図である。これらの図面においてゲート電極は省略している。2001は高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)、2002は高濃度N型領域(ソース/ドレイン領域)、2003は低濃度P型領域(チャネル領域)を示す。ボディコンタクト領域を接地するかもしくはソースに接続することにより、素子の駆動により発生した電荷を排出することができる。このように、プレーナ型MISFETにおいては、ボディコンタクト構造を採用することができ、この構造によれば、トランジスタが半導体基板と直接接続されない場合でも、ソース/ドレイン領域に挟まれた半導体領域(チャネル領域)に溜まった電荷(キャリア)を排出することができる。図20に示す例では、ソース/ドレイン領域と独立したボディ端子に電荷を排出することができる。
【0074】
図21及び図22に、ボディコンタクト構造の他の例(NMOSの場合)を示す。図21に示す半導体装置は、ゲート電極を異なる形状とし、半導体凸部に高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)2201を設けた以外は図8に示す例と同様な構造を有する。図22は、図21に示す例におけるボディコンタクト構造の説明図である。図22(a)は図21(b)に対応する平面図であり、図22(b)は図22(a)のA−A’線断面図であり、図22(c)は図22(a)のB−B’線断面図である。これらの図面においてゲート電極は省略している。2201は高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)、2202は高濃度N型領域(ソース/ドレイン領域)、2203は低濃度P型領域(チャネル領域)を示す。高濃度P型領域(ボディコンタクト領域)2201を隣接した高濃度N型領域(ソース)と短絡することで、チャネル領域に溜まった電荷を排出することができる。
【0075】
なお、図20及び図22に示す例では、いずれもNMOSの場合を示したが、PMOSの場合であってもよく、PMOSの場合はNMOSに対してp型とn型を入れ替えたものとなる。
【0076】
〔第3の実施形態〕
本実施形態の半導体装置は、図10に示すように、第1の実施形態のFin型MISFET1010と、素子分離1006に囲まれた半導体領域に設けられたプレーナ型MISFET1020とを1つのチップ内に有することを主な特徴とするものである。
【0077】
図10(a)は、図10(b)のA−A線断面図であり、図10(b)は平面図である。1001は半導体基板、1002はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、1003は半導体凸部、1004はゲート電極、1005はゲート絶縁膜、1006は素子分離を示す。図10に示す例は、半導体凸部が絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成されるものであるが、図11に示す例のように、半導体凸部が半導体基板1101の一部で構成されていてもよい。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。図11(a)は、図11(b)のA−A線断面図であり、図11(b)は平面図である。1101は半導体基板、1102はベース絶縁膜(素子分離)、1103は半導体凸部、1104はゲート電極、1105はゲート絶縁膜を示す。また、図10及び図11に示す例は、Fin型MISFETの一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0078】
本実施形態におけるプレーナ型MISFETは、基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるものであり、シリコンウェハ基板表面に形成される通常のMISFETと同様な構成をとることができる。
【0079】
本実施形態における上記プレーナ型MISFETは、高い耐電圧や放熱性が要求される回路部、例えば入出力回路に好適に設けることができる。例えば、本実施形態の半導体装置は下記の形態をとることができる。
(a)Fin型MISFETをロジック回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(b)Fin型MISFETをメモリ回路部に有し、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態、
(c)Fin型MISFETをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型MISFETのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広く、プレーナ型MISFETを入出力回路部に有する形態。
【0080】
また、本実施形態の半導体装置は、図12に示すように、第1の実施形態のFin型MISFET1210と、プレーナ型MISFET1220とを1つのチップ内に有し、このプレーナ型MISFETにおいてゲート電極1204をT字形状としたボディコンタクト構造をとることができる。
【0081】
図12(a)は、図12(b)のA−A線断面図であり、図12(b)は平面図である。1201は半導体基板、1202はベース絶縁膜(埋め込み絶縁膜)、1203は半導体凸部、1204はゲート電極、1205はゲート絶縁膜を示す。図12に示す例は、ゲート電極をT字形状とした例であり、半導体凸部を絶縁膜上の半導体層(単結晶シリコン層等)で構成する場合に特に有効な構造である。この場合、素子の駆動により半導体凸部で発生した電荷を逃がすことができるため基板浮遊効果抑制の点で有利であり、また半導体凸部から外部への接触が増加するため放熱性の点でも有利である。なお、図12に示す例では、Fin型MISFET1210の一種のみが示されているが、半導体凸部の幅Wが異なるFin型MISFETをさらに有していてもよい。
【0082】
〔その他の実施形態〕
本発明の半導体装置は、図13に示すように、絶縁膜上の半導体層で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1310と、半導体基板の一部で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1320とを1つのチップ内に有する構成をとることができる。図13(a)は、図13(b)のA−A線断面図であり、図13(b)は平面図である。1301は半導体基板、1302は埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)、1303は半導体凸部、1304はゲート電極、1305はゲート絶縁膜、1306は素子分離(ベース絶縁膜)を示す。
【0083】
このような構成は、例えば、シリコン基板中に埋め込み絶縁膜が基板平面において部分的に設けられた、いわゆる部分SOI基板を用いて形成することができる。図23に、図13(a)の断面図に対応する部分SOI基板の断面図を示す。埋め込み絶縁膜上の半導体層で半導体凸部を形成してFin型MISFET1310を作製し、埋め込み絶縁膜が存在しない部分の半導体基板の一部で半導体凸部を形成してFin型MISFET1320を作製することができる。後者の構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。Fin型MISFET1310のベース絶縁膜はSOI基板の埋め込み絶縁膜1302で構成され、Fin型MISFET1320のベース絶縁膜は半導体基板の加工後に設けられる素子分離1306で構成することができる。このような構成をとる場合は、放熱性の観点から、発熱量の多い回路部に設けられるMISFETの半導体凸部を半導体基板の一部で構成するとよい。
【0084】
また本発明の半導体装置は、図14に示すように、絶縁膜上の半導体層で半導体凸部が構成されたFin型MISFET1410と、半導体基板を用いて形成されたプレーナ型MISFET1420とを1つのチップ内に有する構成をとることができる。図14(a)は、図14(b)のA−A線断面図であり、図14(b)は平面図である。1401は半導体基板、1402は埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)、1403は半導体凸部、1404はゲート電極、1405はゲート絶縁膜、1406は素子分離(ベース絶縁膜)を示す。このような構成は、例えば、いわゆる部分SOI基板を用いて形成することができる。埋め込み絶縁膜上の半導体層で半導体凸部を形成してFin型MISFET1410を作製し、埋め込み絶縁膜が存在しない部分の半導体基板を用いてプレーナ型MISFET1420を作製することができる。後者の構造は、素子の駆動により半導体凸部で発生した熱や電荷を半導体基板へ逃がすことができるため、放熱性や基板浮遊効果抑制の点で有利である。Fin型MISFET1410のベース絶縁膜はSOI基板の埋め込み絶縁膜1402で構成され、プレーナ型MISFET1420のベース絶縁膜は半導体基板の加工後に設けられる素子分離1406で構成することができる。
【0085】
図24に、マルチ構造を有するFin型MISFETの一例を示す。図24(a)はA−A線断面図であり、図24(b)及び(c)は平面図である。この例は、図6に示す構造において各トランジスタの半導体凸部603を複数にした場合の構造に対応し、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されたものである。図24(c)では、複数の半導体凸部が互いに分離・独立して形成され、各半導体凸部のゲート電極両側部(ソース/ドレイン)にそれぞれコンタクトをとることができる。一方、図24(b)では、複数の半導体凸部がゲート電極の両側において一体に接続されている。ソース/ドレインとのコンタクトは、ゲート電極両側の半導体凸部同士の接続部にそれぞれ1つ設けることができる。
【0086】
図25に、マルチ構造を有するFin型MISFETの他の例を示す。図25(a)はA−A線断面図であり、図25(b)及び(c)は平面図である。この例は、図11に示す構造においてFin型MISFETの半導体凸部1103を複数にした場合の構造に対応し、Fin型FETとプレーナ型FETの混載例である。図25(c)では、Fin型FETの複数の半導体凸部が互いに分離・独立して形成され、各半導体凸部のゲート電極両側部(ソース/ドレイン)にそれぞれコンタクトをとることができる。一方、図25(b)では、Fin型FETの複数の半導体凸部がゲート電極の両側において一体に接続されている。ソース/ドレインとのコンタクトは、ゲート電極両側の半導体凸部同士の接続部にそれぞれ1つ設けることができる。
【0087】
図26に、ゲート電極が前述の形態と異なる構造をとるFin型MISFETの例を示す。図26は図5の断面図に対応する。
【0088】
図26(a)は、半導体凸部503の下端よりも下方にゲート電極504の下端が位置する構造を示す。この構造は、ゲート電極がギリシャ文字の「π」に似ていることから「πゲート構造」と呼ばれている。この構造によれば、半導体凸部下端より下方のゲート電極部分によって、半導体凸部下部の電位に対する制御性を高めることができ、オンオフ遷移の急嵯性(サブスレショールド特性)が向上し、オフ電流を抑制することができる。
【0089】
図26(b)は、半導体凸部503の下面側へ一部ゲート電極504が回り込んでいる構造を示す。この構造は、ゲート電極がギリシャ文字の「Ω」に似ていることから「Ωゲー構造」と呼ばれている。この構造によれば、ゲート電極の制御性を高めるとともに、半導体凸部の下面もチャネルとして利用できるため駆動能力を向上することができる。
【0090】
図26(c)は、半導体凸部503の下面側へゲート電極504が完全に回り込んでいる構造を示す。この構造は、ゲート下部分において半導体凸部が基体平面に対して空中に浮いた状態となり、「ゲート・オール・アラウンド(GAA)構造」と呼ばれている。この構造によれば、半導体凸部の下面もチャネルとして利用できるため駆動能力を向上することができ、短チャネル特性も向上することができる。
【0091】
なお、図26では、半導体凸部の上面にゲート絶縁膜が形成された構造が示されているが、このゲート絶縁膜に代えてキャップ絶縁膜を設けてもよい。また、半導体凸部の上部コーナが丸められていてもよく、Ωゲート構造およびGAA構造においては上部および下部コーナーが丸められていてもよい。
【0092】
以上に説明した素子構造において、ベース絶縁膜の材料としては、所望の絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、例えばSiO2、Si3N4、AlN、アルミナ等の金属酸化物や、有機絶縁材料を挙げることができる。
【0093】
半導体凸部を形成する半導体材料としては単結晶シリコンを好適に用いることができ、その他、シリコン・ゲルマニウム、ゲルマニウムを好適に用いることができる。また必要に応じて前記材料の複層膜を用いることができる。半導体凸部の両側面としては、移動度が高いこと、平坦なゲート絶縁膜の形成が容易であること、から{100}面、{110}面、{111}面を好適に用いることができる。
【0094】
上記の各実施形態においては、ベース絶縁膜下の基板としてシリコン基板を用いた例を示したが、ベース絶縁膜下の半導体基板の一部で半導体凸部を構成する場合を除き、半導体凸部の下に絶縁体があれば本発明を構成することができる。例えば、SOS(シリコン・オン・サファイア、シリコン・オン・スピネル)のように、半導体層下の絶縁体自体が支持基板となる構造を挙げることができる。絶縁性の支持基板としては、上記SOSの他、石英やAlN基板が挙げられる。SOIの製造技術(貼り合わせ工程および薄膜化工程)によってこれらの支持基板上に半導体層を設けることができる。
【0095】
ゲート電極の材料としては、所望の導電率及び仕事関数を持つ導電体を用いることができ、例えば不純物が導入された多結晶シリコン、多結晶SiGe、多結晶Ge、多結晶SiC等の不純物導入半導体、Mo、W、Ta、Ti、Hf、Re、Ru等の金属、TiN、TaN、HfN、WN等の金属窒化物、コバルトシリサイド、ニッケルシリサイド、白金シリサイド、エルビウムシリサイド等のシリサイド化合物が挙げられる。また、ゲート電極の構造は、単層膜の他、半導体と金属膜との積層膜、金属膜同士の積層膜、半導体とシリサイド膜との積層膜等の積層構造を用いることができる。
【0096】
ゲート絶縁膜としては、SiO2膜、SiON膜を用いることができる他、いわゆる高誘電体絶縁膜(High−K膜)を用いてもよい。High−K膜としては、例えば、Ta2O5膜、Al2O3膜、La2O3膜、HfO2膜、ZrO2膜等の金属酸化膜、HfSiO、ZrSiO、HfAlO、ZrAlO等の組成式で示される複合金属酸化物を挙げることができる。また、ゲート絶縁膜は積層構造を有していてもよく、例えばシリコン等の半導体層に、SiO2やHfSiO等のシリコン含有酸化膜を形成し、その上にHigh−K膜を設けた積層膜を挙げることができる。
【0097】
また、ゲート絶縁膜は、1チップ内の異なる領域において材料や厚みが異なっていてもよい。例えば、薄いゲート絶縁膜を、オン電流向上、短チャネル効果抑制の点からロジック回路部やメモリ回路部に設け、厚い絶縁膜を、耐圧向上の点から入出力回路部へ設けることができる。薄いゲート絶縁膜の厚みは例えば0.5〜2.5nm、厚いゲート絶縁膜の厚みを2.5nmより厚く設定することができる。あるいは、High−K膜からなるゲート絶縁膜を、オン電流向上、短チャネル効果抑制の点からロジック回路部やメモリ回路部に設け、SiO2膜やSiON膜からなるゲート絶縁膜を、耐圧向上の点から入出力回路部へ設けることができる。
【0098】
以下、本発明の半導体装置の製造方法について説明する。
【0099】
〔製造例1〕
図15を用いて、図5に示す第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。
【0100】
シリコン基板1501上にSiO2からなる埋め込み絶縁膜(ベース絶縁膜)1502を有し、その上に単結晶シリコン層からなる半導体層1503を有するSOI基板を用意する。そして、このSOI基板の半導体層1503上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0101】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図15(a)に示すように、半導体層1503上にレジストパターン1511を形成する。このレジストパターンをマスクに用いて異方性エッチングを行い、半導体層1503を所定のパターン形状に加工する。図15(b)に示すように、レジストパターン1511を除去し、パターニングされた半導体層の一部1503が半導体凸部を構成する。
【0102】
なお、ゲート絶縁膜形成の前にベース絶縁膜を異方的(下方向)にエッチングすることでπゲートを、等方的(下方向と横方向)にエッチングすることでΩゲート又はGAAゲートを形成することができる。
【0103】
次に、この半導体層1503からなる半導体凸部上にゲート絶縁膜1505を形成した後、不純物導入多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極1504を形成する。もしくは、多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極形状とし、ソース/ドレイン形成用のイオン注入時に同時に不純物を導入してゲート電極を形成してもよい。また、ゲート電極形成前に、半導体凸部の上面(頂部平面)に、側面に設けたゲート絶縁膜より厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることにより、半導体凸部の上面にチャネルが形成されず、両側面のみにチャネルが形成されるトランジスタを形成することができる。この厚い絶縁膜は、チャネル形成領域のための不純物イオン注入時に用いた犠牲酸化膜を除去せずに残留させることによって形成することができる。この厚い絶縁膜を半導体凸部上面に有する構成によれば、半導体凸部の上部コーナーにおける電界集中の影響を低減でき、しきい値電圧の変動の抑制に有利である。
【0104】
次に、ゲート電極1504をマスクに用いて、不純物をイオン注入し、活性化処理を行って半導体層1503で構成される半導体凸部にソース/ドレイン領域を形成する。この不純物イオン注入後に、ゲート電極に側壁絶縁膜を設けてからさらに不純物イオン注入を行ってもよい。これにより、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造を形成することができる。活性化熱処理を行った後、ソース/ドレイン領域およびゲート電極上に、コンタクト抵抗・シート抵抗等の抵抗低減のためにシリサイド層を設けてもよい。
【0105】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクトプラグ及び配線を設けて、図5に示す第1の実施形態の半導体装置を得ることができる。
【0106】
〔製造例2〕
図16〜17を用いて、図6に示す第1の実施形態の半導体装置の製造方法を説明する。
【0107】
シリコン基板1601上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0108】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図16(a)に示すように、シリコン基板1601上に、シリコン酸化膜1611及びシリコン窒化膜1612をこの順で形成し、次いで、レジストパターン1613を形成する。
【0109】
このレジストパターン1613をマスクに用いて異方性エッチングを行い、シリコン窒化膜1612を所定のパターン形状に加工する。そして、レジストパターン1613を除去した後、シリコン窒化膜パターン1612をマスクに用いて、図16(b)に示すようにシリコン酸化膜1611及びシリコン基板1601を異方性エッチングする。これにより、シリコン基板1601に溝が形成され、その溝内に所定のパターンを持つ半導体パターンが形成される。図16(b)では半導体パターン1603が半導体凸部を構成する。
【0110】
次に、シリコン基板1601に設けられた溝内を埋め込むようにCVD法等によりSiO2等の絶縁体を堆積し、次いでCMP(化学的機械的研磨)により上面を平坦化する。これにより、図16(c)に示すように素子分離絶縁膜1602を形成する。その際、シリコン窒化膜1612は研磨ストッパとして利用することができる。
【0111】
次に、図17(d)に示すように、半導体パターン1603の上部が露出するように、この素子分離絶縁膜1602をエッチバックして、シリコン基板1601の溝の底に、この素子分離絶縁膜1602からなるベース絶縁膜を形成する。このベース絶縁膜平面から突出し、露出した半導体パターンの一部分で半導体凸部が構成される。その後、図17(e)に示すように、この半導体凸部の頂部に残存するシリコン酸化膜1611及びシリコン窒化膜1612を除去する。
【0112】
次に、図17(f)に示すように、この半導体凸部上にゲート絶縁膜1605を形成した後、不純物導入多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極1604を形成する。もしくは、多結晶シリコン膜を形成し、これをパターニングしてゲート電極形状とし、ソース/ドレイン形成用のイオン注入時に同時に不純物を導入してゲート電極を形成してもよい。また、ゲート電極形成前に、半導体凸部の上面(頂部平面)に、側面に設けたゲート絶縁膜より厚い絶縁膜(キャップ絶縁膜)を設けることにより、半導体凸部の上面にチャネルが形成されず、両側面のみにチャネルが形成されるトランジスタを形成することができる。
【0113】
次に、ゲート電極1604をマスクに用いて、不純物をイオン注入し、活性化処理を行って半導体パターン1603で構成される半導体凸部にソース/ドレイン領域を形成する。この不純物イオン注入後に、ゲート電極に側壁絶縁膜を設けてからさらに不純物イオン注入を行ってもよい。これにより、いわゆるLDD構造を形成することができる。活性化熱処理を行った後、ソース/ドレイン領域およびゲート電極上に、コンタクト抵抗・シート抵抗等の抵抗低減のためにシリサイド層を設けてもよい。
【0114】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクト及び配線を設けて、図6に示す第1の実施形態の半導体装置を得ることができる。
【0115】
〔製造例3〕
図18〜19を用いて、図10に示す第3の実施形態に相当する半導体装置の製造方法について説明する。
【0116】
シリコン基板1801上にSiO2からなる埋め込み絶縁膜1802を有し、その上に単結晶シリコン層からなる半導体層1803を有するSOI基板を用意する。そして、このSOI基板の半導体層1803上に犠牲酸化膜を形成し、この犠牲酸化膜を介してチャネル形成領域のための不純物をイオン注入し、活性化処理を行う。もしくは、ここでは活性化処理を行わず、ソース/ドレイン形成のためのイオン注入後の活性化処理で代用してもよい。なお、上記したイオン注入、犠牲酸化膜の形成と除去とは適宜省略することができる。
【0117】
次に、犠牲酸化膜を除去した後、図18(a)に示すように、半導体層1803上に、シリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812をこの順で形成し、次いで、レジストパターン1813を形成する。
【0118】
このレジストパターン1813をマスクに用いて異方性エッチングを行い、シリコン窒化膜1812を所定のパターン形状に加工する。そして、レジストパターン1813を除去した後、シリコン窒化膜パターン1812をマスクに用いて、図18(b)に示すようにシリコン酸化膜1811及び半導体層1803を異方性エッチングする。これにより、半導体層1803に溝が設けられ、その溝の底部では埋め込み絶縁膜1802が露出し、その溝の輪郭にて所定の半導体層パターンが形成される。この半導体層パターンの幅の狭い凸状部分でFin型MISFETの半導体凸部が構成され、幅が広く上面の面積が大きい部分でプレーナ型MISFETが構成される。
【0119】
次に、半導体層1803に設けられた溝内を埋め込むようにCVD法等によりSiO2等の絶縁体を堆積し、次いでCMPにより上面を平坦化する。これにより、図18(c)に示すように素子分離絶縁膜1814を形成する。その際、シリコン窒化膜1812は研磨ストッパとして利用することができる。
【0120】
次に、ウェットエッチングにより、図19(d)に示すように、半導体層1803上のシリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812を素子分離絶縁膜1814の表面部分とともに除去する。
【0121】
次に、図19(e)に示すように、プレーナ型MISFETの形成領域上にレジストパターン1815を形成し、これをマスクに用いてFin型MISFETの形成領域の素子分離絶縁膜1814を選択的に除去する。
【0122】
次に、レジストパターン1815を除去した後、半導体層1803上に、ゲート酸化膜1805及びゲート電極1804を設けて、図19(f)に示す構造を得ることができる。
【0123】
以上のようにして形成した構造上に層間絶縁膜を設け、コンタクトプラグ及び配線を設けて、図10に示す第3の実施形態に相当する半導体装置を得ることができる。
【0124】
なお、図18(b)に示す工程の後、半導体層1803の側面に酸化膜を形成し、続いて全面にシリコン窒化膜を設けて、その後に絶縁体を溝内を埋め込むように堆積してもよい。このシリコン窒化膜は、Fin型MISFETの形成領域における素子分離絶縁膜を除去する際に(図19(e)に示す工程)、エッチングストッパ膜として利用することができる。形成した酸化膜と窒化膜は、半導体凸部上にゲート酸化膜およびゲート電極を形成する前にウェットエッチングにより除去することができる。
【0125】
また、図18(b)に示す工程にて、シリコン酸化膜1811及びシリコン窒化膜1812を除去して、ゲート酸化膜およびゲート電極を形成することにより、図8に示す第2の実施形態に相当する半導体装置を得ることができる。
【0126】
〔その他の製造例〕
本発明においてゲート電極の形成は、上述した方法の他、例えば下記のように、いわゆるダマシンゲート法により形成することができる。
【0127】
半導体凸部を形成した後、多結晶シリコン膜を堆積しこれをパターニングしてダミーゲートを形成する。このダミーゲートは後に除去され他のゲート電極材料と置き換えられる。次に、このダミーゲートを埋め込むように層間絶縁膜を形成し、次いでCMPを行って層間絶縁膜の平坦化とともにダミーゲート表面を露出させる。そして、ダミーゲートを選択的に除去して溝を形成する。この溝内にゲート絶縁膜を形成した後、ゲート電極材料を埋め込んで目的とするゲート電極を形成する。次いで、所定の領域の層間絶縁膜を除去した後、ソース/ドレイン領域の形成などの通常のトランジスタ形成プロセスを行う。なお、上記プロセスにおいて、層間絶縁膜の形成前にソース/ドレイン領域等の通常のトランジスタ形成プロセスを行うこともできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、
1つのチップ内に、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する半導体装置。
【請求項2】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるトランジスタを有する請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが当該半導体凸部の高さの2倍以下であるトランジスタを有する請求項2又は3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wがゲート長以下であるトランジスタを有する請求項2又は3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有し、これらのしきい値電圧がゲート電極下の半導体凸部の幅Wが広いものほど高い、請求項2〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記の複数種のFin型トランジスタは、ゲート電極下の半導体凸部における不純物濃度が互いに等しい、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記Fin型トランジスタとして、1つの当該トランジスタ内に、複数の半導体凸部と、これらの半導体凸部に跨って設けられ、各半導体凸部の上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と各半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記の各半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるトランジスタを有する請求項2〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
所定のしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第1の回路部と、第1の回路部の前記Fin型トランジスタより低いしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第2の回路部とを備え、第1の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、第2の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記Fin型トランジスタを入出力回路部とメモリ回路部またはロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部またはロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記Fin型トランジスタをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを有し、そのpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、さらに、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記Fin型トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型トランジスタを入出力回路部に有する請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が、絶縁体上の半導体層で形成されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、1つのチップ内に、半導体凸部が絶縁体上の半導体層で形成されている第1トランジスタと、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている第2トランジスタとを有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
第2トランジスタの半導体凸部の幅Wが、第1トランジスタの半導体凸部の幅Wより大きい、請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
第1トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有し、第2トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する請求項17記載の半導体装置。
【請求項20】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型のMIS型電界効果トランジスタ、及び基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるプレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを1つのチップ内に備えた半導体装置。
【請求項21】
前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅である請求項20記載の半導体装置。
【請求項22】
前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを入出力回路部に有する請求項20又は21記載の半導体装置。
【請求項23】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造する方法であって、
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、しきい値電圧が互いに異なる複数種のトランジスタを形成し、当該トランジスタは半導体凸部の幅Wが広いものほどしきい値電圧が高いことを特徴とする請求項23記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記の複数種のトランジスタの形成工程において、幅Wが互いに異なる複数種の半導体凸部は同一の加工工程にて同時に形成されることを特徴とする請求項23又は24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
前記の複数種のトランジスタは、ゲート電極下の半導体部における不純物濃度が互いに等しい、請求項23、24又は25記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
1つのチップ内に前記の複数種のトランジスタを形成する、請求項23〜26のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有するMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置であって、
1つのチップ内に、前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを有する半導体装置。
【請求項2】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有する請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅であるトランジスタを有する請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが当該半導体凸部の高さの2倍以下であるトランジスタを有する請求項2又は3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wがゲート長以下であるトランジスタを有する請求項2又は3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記Fin型トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを1つのチップ内に有し、これらのしきい値電圧がゲート電極下の半導体凸部の幅Wが広いものほど高い、請求項2〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記の複数種のFin型トランジスタは、ゲート電極下の半導体凸部における不純物濃度が互いに等しい、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記Fin型トランジスタとして、1つの当該トランジスタ内に、複数の半導体凸部と、これらの半導体凸部に跨って設けられ、各半導体凸部の上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と各半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記の各半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるトランジスタを有する請求項2〜7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
所定のしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第1の回路部と、第1の回路部の前記Fin型トランジスタより低いしきい値電圧を持つ前記Fin型トランジスタを有する第2の回路部とを備え、第1の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wは、第2の回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記Fin型トランジスタを入出力回路部とメモリ回路部またはロジック回路部とに有し、入出力回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、メモリ回路部またはロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記Fin型トランジスタをメモリ回路部とロジック回路部とに有し、メモリ回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが、ロジック回路部に設けられた前記Fin型トランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wより広い、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタが前記Fin型トランジスタで構成されるCMOSを有し、そのpMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅WとnMOSトランジスタのゲート電極下の半導体凸部の幅Wが互いに異なる、請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、さらに、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する請求項2〜8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記Fin型トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型トランジスタを入出力回路部に有する請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が、絶縁体上の半導体層で形成されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記MIS型電界効果トランジスタの前記半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、1つのチップ内に、半導体凸部が絶縁体上の半導体層で形成されている第1トランジスタと、半導体凸部が半導体基板の一部で形成されている第2トランジスタとを有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
第2トランジスタの半導体凸部の幅Wが、第1トランジスタの半導体凸部の幅Wより大きい、請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
第1トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型トランジスタを有し、第2トランジスタとして、ゲート電極下の半導体凸部の上面に主たるチャネルを形成するプレーナ型トランジスタを有する請求項17記載の半導体装置。
【請求項20】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるFin型のMIS型電界効果トランジスタ、及び基板平面に平行な面内方向に主たるチャネルが形成されるプレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを1つのチップ内に備えた半導体装置。
【請求項21】
前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが、動作時に当該半導体凸部の両側面からそれぞれ形成される空乏層により完全に空乏化される幅である請求項20記載の半導体装置。
【請求項22】
前記Fin型のMIS型電界効果トランジスタをメモリ回路部またはロジック回路部に有し、前記プレーナ型のMIS型電界効果トランジスタを入出力回路部に有する請求項20又は21記載の半導体装置。
【請求項23】
基体平面に対して突出した半導体凸部と、この半導体凸部を跨ぐようにその上面から相対する両側面上に延在するゲート電極と、このゲート電極と前記半導体凸部の間に介在する絶縁膜と、ソース/ドレイン領域とを有し、前記半導体凸部の少なくとも両側面にチャネルが形成されるMIS型電界効果トランジスタを備えた半導体装置を製造する方法であって、
前記MIS型電界効果トランジスタとして、ゲート電極下の前記半導体凸部における基板平面に平行かつチャネル長方向に垂直な方向の幅Wが互いに異なる複数種のトランジスタを形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記MIS型電界効果トランジスタとして、しきい値電圧が互いに異なる複数種のトランジスタを形成し、当該トランジスタは半導体凸部の幅Wが広いものほどしきい値電圧が高いことを特徴とする請求項23記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記の複数種のトランジスタの形成工程において、幅Wが互いに異なる複数種の半導体凸部は同一の加工工程にて同時に形成されることを特徴とする請求項23又は24記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
前記の複数種のトランジスタは、ゲート電極下の半導体部における不純物濃度が互いに等しい、請求項23、24又は25記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
1つのチップ内に前記の複数種のトランジスタを形成する、請求項23〜26のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【国際公開番号】WO2005/020325
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513330(P2005−513330)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012092
【国際出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/012092
【国際出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]