説明

半導体装置

【課題】 ボンディングパッドの下面にも電子部品を配置することができる構造を備えた半導体装置を提供する。
【解決手段】 外部接続端子を構成するボンディングパッド24と、ボンディングパッド24の下面に、少なくとも二層の銅膜44,16と、前記隣接する銅膜44,16同士を接続するように設けられる接続ビア18から形成されるボンディングパッド下部領域48と、ボンディングパッド下部領域48を取り囲むように銅膜および隣接する銅膜同士を接続する環状導体より構成されるシールリング42と、シールリング42の外側においてボンディングパッド24に接続される配線26と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、半導体基板上に外部接続端子を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
狭パッドピッチのワイヤーボンディングを行ってもボンディングパッドに加わる応力や衝撃に耐えられる半導体装置としては、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、層間絶縁膜にダミーの配線を設けて、ボンディングパッドをこのダミーの配線によって直接支持されるように構成される半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−267323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製品出荷時にはこのボンディングパッドは各種試験の対象となり、また接続端子となるボンディングパッドにはチップなどを装着する際にチップの位置決めのためにチップを当てることが多い。このとき受ける衝撃により、ボンディングパッド部分またはその下面にクラックが発生することがある。特に、SiOCなどの低誘電率膜を用いたときにクラックが発生しやすい。しかしながら、特許文献1には、このクラックが発生することによる不具合については記載されていない。
【0005】
一方で、近年における半導体装置の小型化の要請に際し、ボンディングパッドの下面にも電子部品を配置することが望まれている。しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置では、前述したクラックが発生する可能性があり、またこのクラックへの対応策も記載されていないため、ボンディング時の衝撃を直接うける場所に電子部品を配置できるほど、信頼性が高いとはいえない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、ボンディングパッドの下面に電子部品を配置するに際して、製品出荷時に行われる各種試験の対象、およびボンディングのための位置決めの際に受ける衝撃により生じるクラックから浸入する水分が配線の腐食を招くことへの対応、およびボンディングパッドに接続する配線が前述したような衝撃の影響を受けないようにすることなどが半導体装置の信頼性の向上に必要であると考え、本発明に到達した。
【0007】
そこで、本発明に係る半導体装置は、半導体基板上に外部接続端子を有する半導体装置において、外部接続端子を構成するボンディングパッドと、ボンディングパッドの下面に、少なくとも二層の銅膜と、隣接する銅膜同士を接続するように設けられる接続ビアから形成されるボンディングパッド下部領域と、前記ボンディングパッド下部領域を取り囲むように前記銅膜および前記隣接する銅膜同士を接続する環状導体より構成されるシールリングと、シールリングの外側において前記ボンディングパッドに接続される引き出し配線と、を含む。
【0008】
このような構成にすることにより、ボンディングパッド下部領域の複数の銅膜および接続ビアからなる特定の構造において、製品出荷時の各種試験やボンディングのための位置決めに対する衝撃が吸収され、このボンディングパッド下部領域で設けられるシールリングによりボンディングパッドに生じるクラック、あるいはボンディングパッドに接する銅膜に至るクラックから進入する水分が外側の引き出し配線に到達することが抑制される。また、引き出し配線をシールリングの外側に配置することにより、引き出し配線が前記衝撃により受ける影響を低減することができるようになる。
【0009】
また、上記の半導体装置において、シールリングが占める領域よりも内側の領域に開口領域を有するパッシベーション膜をさらに含んでいてもよい。
【0010】
このように、パッシベーション膜をシールリングが占める領域よりも内側の領域に開口領域を有するように設けることにより、ボンディングパッド下部領域がうける耐衝撃性を向上させることができるようになる。
【0011】
また、上記の半導体装置において、ボンディングパッド下部領域の前記隣接する銅膜の各々が平面的に設けられていてもよい。
あるいは、ボンディングパッド下部領域の前記隣接する銅膜の各々が平面的に設けられており、銅膜がパッシベーション膜の開口領域よりも大きくなるようにしてもよい。
【0012】
このように、ボンディングパッド下部領域の銅膜が平面的に設けられ、特に上側の銅膜がパッシベーション膜の開口領域よりも大きくなるようにすることにより、ボンディングパッドがうける衝撃は、ボンディングパッドに直接接する銅膜にて効率よく受けることができるようになる。
【0013】
また、上記の半導体装置において、銅膜の最下層がボンディングパッド下部領域とシールリングとを含み、シールリングで囲まれた領域をカバーするように形成されていてもよい。
【0014】
このように、ボンディングパッド下部領域に銅膜が3層以上ある場合であっても、最下層の銅膜にシールリングを含ませて、このシールリングで囲まれた領域をカバーするようにこの最下層の銅膜を形成することで、多層の銅膜で耐衝撃性を実現するとともに、下位の層までクラックが生じた場合に耐湿性を効果的に持たせることが可能になる。
【0015】
また、上記の半導体装置において、引き出し配線が、シールリングの外側においてボンディングパッドのボンディングパッド下部領域に直接接する平坦領域の端部に直接接続されていてもよい。
【0016】
このように、ボンディングパッドとそれを接続する引き出し配線との接続方法によってはボンディングパッドを形成するアルミのEM耐性の低下を引き起こす可能性があるところ、引き出し配線をシールリングの外側に配置しかつボンディングパッド下部領域に面する平坦領域をその引き出し配線まで広げ接続することにより、効果的にEM(エレクトロマイグレーション)耐性の低下を抑制することができる。
【0017】
また、上記の半導体装置において、ボンディングパッド下部領域の銅膜のうち、ボンディングパッドに直接接する銅膜が、接続ビアに接続される部分と、シールリングに接続される部分とで不連続に形成されていてもよい。
【0018】
また、ボンディングパッド下部領域において、ボンディングパッドに面する銅層を、接続ビアに接続される部分と、シールリングに接続される部分とで不連続に形成することにより、衝撃を一番受けるであろう接続ビアに接続される領域、すなわちボンディングパッドのクラック、あるいはボンディングパッドに接する銅膜に至るクラックが生じた場合に、このクラックによる影響をシールリングに接続される銅層に伝播させることがないため、さらに外側に設けられる配線に対してはクラックによる影響を効果的に低減させることができるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、製品出荷時の各種試験やボンディングのための位置決めに対する衝撃を吸収し、ボンディングパッドの下面にも電子部品を配置する空間を提供しつつ、ボンディングパッドなどに生じるクラックから進入する水分による配線腐食を抑制し、さらには外部素子への配線が衝撃により受ける影響を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る半導体装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る半導体装置の要部を示す図であり、図2(a)は本実施形態における層間絶縁膜28の上面図であり、図2(b)は本実施形態における層間絶縁膜32の上面図であり、図2(c)は本実施形態における層間絶縁膜34の上面図である。
【0022】
半導体装置40は、パッシベーション膜30と、絶縁膜29に形成されるボンディングパッド24と、層間絶縁膜28に形成される第1銅膜44,シールリング銅膜46および配線26、層間絶縁膜32に形成される接続ビア18およびシールリング42、層間絶縁膜34に形成される第2銅膜16、絶縁膜12をこの順に含む。
【0023】
ボンディングパッド24は、膜厚が600〜2500nmのアルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする金属とバリアメタル膜とからなり、例えば最表面から順に第1バリアメタル膜(20〜100nm),AlCu膜(500〜2000nm),第2バリアメタル膜(80〜400nm)により構成される。
【0024】
また、ボンディングパッド24は、外部接続端子を構成する。すなわち、LSIの組立て時に、各回路素子とLSIの外部とを電気的に接続するためのワイヤがボンディングされるようになっている。あるいは、ボンディングパッド24は、他の半導体チップと積層して相互に接続するフリップチップボンディングや、配線基板上に半導体チップをフェースダウンボンディングする場合の接続用端子としても用いられるようになっている。
【0025】
また、ボンディングパッド24には、バリアメタル膜62を介して、後述する第1銅膜44と、後述するシールリングを構成するシールリング銅膜46と、外部素子に接続するための引き出し配線である配線26とが接続されている。これにより、ボンディングパッド24に接続された外部素子、例えばチップと、配線26とが電気的に接続される。
【0026】
また、ボンディングパッド24は、バリアメタル膜60を介して、SiO2膜などの膜厚100〜200nm程度の絶縁膜(不図示)に覆われ、さらにポリイミドなどの膜厚300〜8000nm程度のパッシベーション膜30により覆われる。
【0027】
また、このパッシベーション膜30の開口領域の大きさと、ボンディングパッド24の平坦領域の大きさ、およびシールリング42が占める領域の大きさについてであるが、図1に示したように、シールリング42が占める領域の大きさを、ボンディングパッド24の平坦領域tより小さく、パッシベーション膜30の開口領域sよりも大きくしてもよい。具体的には、ボンディングパッド平坦領域tを40〜60μm×90〜130μmとし、パッシベーション膜開口領域sを35〜55μm×85〜125μmとし、シールリング42が占める領域は、平坦領域tと開口領域sとの間で適宜決定することができる。
【0028】
このように、ボンディングパッド24が衝撃をうける開口領域をシールリング42が占める領域よりも内側の領域とすることにより、シールリング42の部分で衝撃を受けることを回避することができるとともに、二つの銅膜44,46と接続ビア18とからなるボンディングパッド下部領域48にて衝撃を効率的に吸収させることができるため、ボンディングパッド24がうける耐衝撃性を向上させることが可能になる。
【0029】
また、ボンディングパッド下部領域には、3層以上の銅膜により耐衝撃性を実現してもよく、この場合、最下層の銅膜にシールリングを含ませて、このシールリングで囲まれた領域をカバーするようにこの最下層の銅膜を形成することで、多層の銅膜で耐衝撃性を実現するとともに、下位の層までクラックが生じた場合に耐湿性を効果的に持たせることが可能になる。
【0030】
なお、接続ビア18は、図1などに示したように、複数あればより効果的に衝撃吸収が可能になるが、一つであっても本発明の効果を奏することは言うまでもない。
【0031】
また、配線26とボンディングパッド24とをコンタクトホールを介して接続することなく、当該ボンディングパッド24の下面のシールリング42の外側における端部の平坦領域に直接接続させることで、ボンディングパッドとそれを接続する引き出し配線との接続方法によってはボンディングパッドを形成するアルミのEM耐性の低下を引き起こす可能性があるところ、引き出し配線をシールリングの外側に配置しかつボンディングパッド下部領域に面する平坦領域をその引き出し配線まで広げ接続することにより、効果的にEM耐性の低下を抑制することができる。
【0032】
また、第1銅膜44,シールリング銅膜46および配線26は、膜厚が300〜2000nmの銅または銅を主成分とする金属からなる金属膜である。また、第1銅膜44と、層間絶縁膜28および32との間には、TaN膜、Ta膜からなるバリアメタル膜68が、同様に、シールリング銅膜46と層間絶縁膜28,32との間にはバリアメタル膜70が、また、配線26と層間絶縁膜28,32との間にはバリアメタル膜66がそれぞれ形成されている。
【0033】
また、図2(a)に示したように、層間絶縁膜28では、第1銅膜44が所定の領域を占めるように平面的に設けられ、この第1銅膜44を取り囲むようにシールリング銅膜46が設けられている。また、配線26は、このシールリング銅膜46の外側に形成されている。なお、図1には断面AA’における層間絶縁膜28の断面が示されている。
【0034】
図1に戻り、第1銅膜44の下面で層間絶縁膜32を挟んで層間絶縁膜34に第2銅膜16が形成されている。この第2銅膜16は、第1銅膜44と同様に、膜厚が300〜2000nmの銅または銅を主成分とする金属からなる金属膜である。また、第2銅膜16と層間絶縁膜34および絶縁膜12との間には、TaN膜、Ta膜からなるバリアメタル膜74が形成されている。
【0035】
また、第1銅膜22と第2銅膜16との間の層間絶縁膜32に、深さ300〜2000nmの銅または銅を主成分とする金属からなり、両銅膜同士を接続する複数の接続ビア18が形成されている。同様に、シールリング銅膜46と第2銅膜16との間の層間絶縁膜32に、同様に両銅膜同士を接続する深さ300〜2000nmの銅または銅を主成分とする環状導体からなるシールリング42が形成されている。
【0036】
また、接続ビア18と、層間絶縁膜32および第2銅膜16との間には、TaN膜、Ta膜からなるバリアメタル膜76が、同様に、シールリング42と層間絶縁膜32,34との間にはバリアメタル膜72が、それぞれ形成されている。
【0037】
また、図2(b)に示したように、層間絶縁膜32では、第1銅膜44の下面にあたる領域に複数の接続ビア18が平面的に設けられ、この領域の周囲にシールリング42が設けられている。なお、図1には断面BB’における層間絶縁膜32の断面が示されている。また、図2(c)には、層間絶縁膜32の下面の層間絶縁膜34に設けられた、前述の第2銅膜16が示されている。この第2銅膜16は、シールリング42により囲まれた領域をカバーするように形成されている。
【0038】
なお、接続ビア18は、例えば図2(b)のドット形状の接続ビアだけでなく、スリット形状の接続ビアであってもよい。
【0039】
このようにして、ボンディングパッド24の下面に直接接するように、第1銅膜44,シールリング銅膜46,複数の接続ビア18および第2銅膜16から構成されるボンディングパッド下部領域48を設けることで、このボンディングパッド下部領域の構造において、製品出荷時の各種試験やボンディングのための位置決めに対する衝撃を吸収させることができるようになる。
【0040】
また、ボンディングパッド下部領域48の銅膜44,46を平面的に設けて、特に上側の第1銅膜44がパッシベーション膜30の開口領域よりも大きくなるようにすることにより、ボンディングパッド24がうける衝撃は、ボンディングパッド24に直接接する第1銅膜44にて効率よく受けることができるようになる。
【0041】
また、シールリング46をボンディングパッド下部領域48の周囲に設けることで、ボンディングパッドにクラックが生じた場合に、このクラックから進入する水分が配線26に到達するのを抑制することができる。
【0042】
さらに、配線26を、シールリング46の外側に配置することにより、配線が製品出荷時の各種試験の際の衝撃や、ボンディングのための位置決めに対する衝撃にさらすようなことがなくなるため、衝撃から受ける影響を低減することができるようになる。
【0043】
また、図1に示したように、ボンディングパッド下部領域48において、ボンディングパッド24に接続する銅膜を、第1銅膜44と、シールリング銅膜46とで不連続に形成することにより、衝撃を一番受けるであろう接続ビアに接続される領域、すなわち第1銅膜44にクラックが生じた場合に、このクラックによる影響をシールリングに接続されるシールリング銅膜46に伝播させることがないため、さらに外側に設けられる配線26に対してはクラックによる影響を効果的に低減させることができるようになる。また、前述したように、パッシベーション膜30の開口領域をシールリング42よりも内側にすることにより衝撃をうける領域を第1銅膜44に限定することができるため、配線に及ぶクラックによる影響をより効果的に低減することができるようになる。
【0044】
また、このような構成により、図1には示さないが、ボンディングパッドの直下に電子部品を配置することが可能になる。
【0045】
次に、本実施形態の製造方法について説明する。
図3および図4は、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
絶縁膜12(図3(a))上に、CVD(chemical vapor deposition)法により全面に膜厚が10〜50nmのシリコン窒化膜、300〜2000nmのSiOCなどの低誘電率膜からなる層間絶縁膜34を形成した後、フォトリソグラフィ技術を使用したプラズマエッチング法により、第2銅膜を形成するための溝を形成する。次に、スパッタ法により全面に膜厚が10〜50nmのタンタル膜とタンタル窒化膜との積層膜からなるバリアメタル膜を形成した後、続けて50〜300nmの銅シード膜を形成し、めっき法により銅膜を形成して、溝内に完全に銅膜を埋め込むようにする。続いて、CMP法により不要なバリアメタル膜および銅膜を除去して、バリアメタル膜74および第2銅膜16が形成される(図3(b))。
【0046】
次に、層間絶縁膜34上に、CVD法により全面に膜厚が10〜50nmのシリコン窒化膜、膜厚が300〜2000nmのSiOCなどの低誘電率膜からなる層間絶縁膜32を形成した後、フォトリソグラフィ技術を使用したプラズマエッチング法によりビアホールおよび環状溝を形成する。次に、スパッタ法により全面に膜厚が10〜50nmのタンタル窒化膜とタンタル膜とを順に積層してバリアメタル膜を形成した後、続けて50〜300nmの銅シード膜を形成し、めっき法により銅膜を形成してビアホール内および環状溝内に完全に銅膜を埋め込むようにする。次に、CMP法により不要なバリアメタル膜および銅膜を除去してビアホール内および環状溝内に残したバリアメタル膜76および銅膜から接続ビア18および環状導体を形成する。ここで、外周に形成された環状溝内のバリアメタル膜72および銅膜と、その上下に位置する第1銅膜および第2銅膜によりシールリング42が構成される(図3(c))。
【0047】
次に、層間絶縁膜32上に、CVD法により全面に膜厚が10〜50nmのシリコン窒化膜、膜厚が300〜2000nmのシリコン酸化膜またはSiOCなどの低誘電率膜からなる層間絶縁膜28を形成した後、フォトリソグラフィ技術を使用したプラズマエッチング法により、第1銅膜44,シールリング銅膜46および配線26のそれぞれを形成するための溝をそれぞれについて形成する。次に、スパッタ法により全面に膜厚が10〜50nmのタンタル窒化膜とタンタル膜とを順に積層してバリアメタル膜を形成した後、続けて50〜300nmの銅シード膜を形成し、めっき法により銅膜を形成してこれらの溝内に完全に銅膜を埋め込むようにする。次に、CMP法により不要なバリアメタル膜および銅膜を除去して、バリアメタル膜68および第1銅膜44,バリアメタル膜70およびシールリング銅膜46、およびバリアメタル膜66および配線26をそれぞれ形成する(図4(a))。
【0048】
次に、層間絶縁膜28上に、CVD法により全面に膜厚が600〜2500nmのシリコン酸化(SiO2)膜からなる絶縁膜29を形成した後、フォトリソグラフィ技術により、ボンディングパッド24となるAlを主成分とする積層膜を設けるためのレジストパターンをシリコン酸化膜上に形成する。次に、エッチングにより露出したシリコン酸化膜を除去して開口部を形成し、レジストパターンを除去した後、スパッタ法により表層側から順に第1バリアメタル膜(20〜100nm),AlCu膜(500〜2000nm),第2バリアメタル膜(80〜400nm)からなる積層膜を形成する(図4(b))。
【0049】
続いて、形成された積層膜の最上層である第1バリアメタル膜上に、フォトリソグラフィ技術によりボンディングパッド24を形成するためのレジストパターンを形成し、エッチングにより露出した部分の積層膜を除去してボンディングパッド24を形成した後、レジストパターンを除去する。
【0050】
次に、ボンディングパッド24の最上層の第1バリアメタル膜を覆うように、膜厚100〜200nmのシリコン酸化(SiO2)膜を形成し、さらにこのシリコン酸化膜の上に、膜厚300〜8000nm程度のポリイミド膜などを積層しパッシベーション膜を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術によりボンディングパッド24上のパッシベーション膜に開口部を形成し、この開口部に露出した前記積層膜の最上層の第1バリアメタル膜をエッチングにより除去して、ボンディングパッド24のAlCu膜を露出させて、前述した大きさの開口部を有するパッシベーション膜30を形成する(図4(c))。
【0051】
また、ここではシングルダマシン法により接続ビアを形成する製造工程について説明したが、以下に説明するデュアルダマシン法により接続ビアを形成してもよい。
【0052】
図3(b)に示した工程を経た後に、層間絶縁膜34上に、CVD法により全面に膜厚が10〜50nmのシリコン窒化膜と、膜厚が300〜2000nmのSiOCなどの低誘電率膜からなる層間絶縁膜を(順に)積層して、層間絶縁膜32を形成した後、続けてCVD法により全面に、膜厚が10〜50nmのシリコン窒化膜、膜厚が300〜2000nmのSiOCなどの低誘電率膜からなる層間絶縁膜を(順に)積層して層間絶縁膜28を形成する。
【0053】
次に、フォトリソグラフィ技術を使用したプラズマエッチング法により最上の層間絶縁膜28に第1銅膜44,シールリング銅膜46および配線26のそれぞれを形成するための溝をそれぞれについて形成するとともに、下側の層間絶縁膜32に接続ビアおよびシールリングを形成するためのビアホールを形成する。
【0054】
次に、スパッタ法により全面に膜厚が10〜50nmのタンタル窒化膜とタンタル膜とを順に積層してバリアメタル膜を形成した後、続いて50〜300nmの銅シード膜を形成し、めっき法により銅膜を形成して上側の層間絶縁膜28に設けた溝および下側の層間絶縁膜32に設けたビアホールの中に完全に銅膜を埋め込むようにする。次に、CMP法により不要なバリアメタル膜および銅膜を除去して、上側の層間絶縁膜28にはバリアメタル膜68および第1銅膜44,バリアメタル膜70およびシールリング銅膜46、およびバリアメタル膜66および配線26をそれぞれ形成するとともに、下側の層間絶縁膜32には、バリアメタル膜76および銅膜から接続ビア18を形成し、最外周にはバリアメタル膜72および銅膜からシールリング42を形成する(図4(a))。以下は、上述したような工程を経て、半導体装置が形成される。
【0055】
なお、層間絶縁膜にSiOCなどの低誘電率膜を用いた例を説明したが、シリコン酸化膜を用いても差し支えない。
【0056】
(第二の実施形態)
図5は、本発明の第二の実施形態に係る半導体装置の要部を示す図である。
本実施形態に係る半導体装置10は、図1の第一の実施形態において層間絶縁膜28に設けた第1銅膜44およびシールリング銅膜46を連続して形成して、一つの第1銅膜22とした以外は、第一の実施形態に係る半導体装置40と同様の構成を有する。
【0057】
また、半導体装置10の製造方法も、第一の実施形態で説明した方法がほぼそのまま利用することができる。
【0058】
このようにして、ボンディングパッド24の下面に直接接するように、第1銅膜22,複数の接続ビア18および第2銅膜16から構成されるボンディングパッド下部領域34を設けることで、このボンディングパッド下部領域の構造において、製品出荷時の各種試験やボンディングのための位置決めに対する衝撃を吸収させることができるようになる。
【0059】
また、シールリング20をボンディングパッド下部領域34の周囲に設けることで、ボンディングパッドにクラックが生じた場合に、このクラックから進入する水分が配線26に到達するを抑制することができる。
【0060】
さらに、配線26を、シールリング20の外側に配置することにより、配線が製品出荷時の各種試験の際の衝撃や、ボンディングのための位置決めに対する衝撃にさらすようなことがなくなるため、衝撃から受ける影響を低減することができるようになる。
【0061】
また、このような構成により、図5には示さないが、ボンディングパッドの直下に電子部品を配置することが可能になる。
【0062】
(第三の実施形態)
図6は、本発明の第三の実施形態に係る半導体装置の要部を示す図である。
本実施形態に係る半導体装置90は、第一の実施形態に係る半導体装置40の下側に積層配線80が設けられ、さらに最下層の層間絶縁膜82に接するように半導体基板としてのシリコン基板86が設けられている。このシリコン基板86においては、外部接続端子となる半導体装置40の開口部の直下に電子素子であるMOS(metal oxide semiconductor)84を配置することができる。
【0063】
本実施形態の半導体装置40では、前述したように、ボンディングパッドの下面にも電子部品を配置することができるほどに半導体装置の信頼性を向上させることができるため、この半導体装置40を外部接続端子とのボンディングパッドを構成する部分として用いることで、ボンディングパッドの直下に品質を損なうことなく電子デバイスを配置することが可能になり、さらにはチップ面積を小さくすることが可能になる。したがって、半導体チップ自体のレイアウトの自由度も上がることになる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る半導体装置の要部を示す図である。
【図2】図2(a)は本実施形態における層間絶縁膜28の上面図であり、図2(b)は本実施形態における層間絶縁膜32の上面図であり、図2(c)は本実施形態における層間絶縁膜34の上面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係る半導体装置の要部を示す図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の適用例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10 半導体装置
16 第2銅膜
18 接続ビア
20 シールリング
22 第1銅膜
24 ボンディングパッド
26 配線
30 パッシベーション膜
34 ボンディングパッド下部領域
40 半導体装置
42 シールリング
44 第1銅膜
46 シールリング銅膜
48 ボンディングパッド下部領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に外部接続端子を有する半導体装置において、
前記外部接続端子を構成するボンディングパッドと、
前記ボンディングパッドの下面に、少なくとも二層の銅膜と、前記隣接する銅膜同士を接続するように設けられる接続ビアから形成されるボンディングパッド下部領域と、
前記ボンディングパッド下部領域を取り囲むように前記銅膜および前記隣接する銅膜同士を接続する環状導体より構成されるシールリングと、
前記シールリングの外側において前記ボンディングパッドに接続される引き出し配線と、
を含む半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記シールリングが占める領域よりも内側の領域に開口領域を有するパッシベーション膜をさらに含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ボンディングパッド下部領域の前記隣接する銅膜の各々が平面的に設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記ボンディングパッド下部領域の前記隣接する銅膜の各々が平面的に設けられており、
前記銅膜が上記パッシベーション膜の開口領域よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記銅膜の最下層が前記ボンディングパッド下部領域と前記シールリングとを含み、当該シールリングで囲まれた領域をカバーするように形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記引き出し配線が、前記シールリングの外側において前記ボンディングパッドの前記ボンディングパッド下部領域に直接接する平坦領域の端部に直接接続されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ボンディングパッド下部領域の銅膜のうち、ボンディングパッドに直接接する銅膜が、前記接続ビアに接続される部分と、前記シールリングに接続される部分とで不連続に形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記ボンディングパッド下部領域における銅膜および接続ビアは、シングルダマシン法またはデュアルダマシン法により形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置と、
半導体基板と、
前記ボンディングパッド下部領域と、前記半導体基板との間に設けられる電子素子と、
を含む半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−5202(P2006−5202A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180628(P2004−180628)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】