説明

半導体集積回路装置の試験方法及び半導体集積回路装置

【課題】 半導体集積回路装置の試験方法及び半導体集積回路装置に関し、所定の回路動作を行った状態のまま半導体集積回路装置側の操作で所望の温度に制御する。
【解決手段】 スクリーニング試験前の工程にて測定された半導体集積回路装置の回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかにより、前記半導体集積回路装置全体毎または個別の回路動作毎に、適切な周波数に周波数設定し、所望の発熱量になるよう発熱量の制御を行い、スクリーニング試験時に、所定の回路動作を行った状態のまま所望の温度に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置の試験方法及び半導体集積回路装置に関するもので、例えば、均一な温度制御を行ってスクリーニングを行う半導体集積回路装置の試験方法及び半導体集積回路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置は、ある確率で初期不良が発生する可能性を持っているため、これを製品出荷後に発生させないように、予め初期不良を取り除くためのスクリーニングが必要となる。現状では、スクリーニング方法としての代表的なものとして、電圧加速と温度加速の組み合わせによる試験であるバーンイン試験がある。
【0003】
半導体集積回路装置の使用時間と不良発生率との関係は、風呂桶(バスタブ)の形となり、バスタブ曲線と言われている。このバスタブ曲線から判るように、一般的に、半導体集積回路装置は、比較的短い使用時間において初期不良発生が発生する領域を持ち、その後偶発故障領域となり最も品質の安定する時間帯となる。
【0004】
また、ある時間を経過すると寿命となり磨耗故障領域となることが知られている。したがって、出荷前の段階において、初期不良を予めスクリーニングすることにより安定した品質を確保することが重要となる。
【0005】
そこで、上述のように、スクリーニング手段の一つとして、バーンイン試験が有効となる。バーンイン試験は、電圧加速と温度加速を組み合わせて初期不良を取り除く試験となるが、回路全体の初期不良を取り除くためには、回路全体を万遍無く動作させる必要がある。
【0006】
近年の半導体装置の微細化及び高速化が進展し、試験時回路動作率が高い場合には、消費電力が大きくなるとともに、発熱量が増加し所望の温度上限を超過する場合があり、半導体集積回路装置、ソケットやボードを破壊或いは焼損に至らせる危険性がある。また、試験中の回路動作率が低い場合には消費電力が小さくなり発熱量が低下することで、設定した所望の温度下限を満たせ無い場合がある。
【0007】
図12は、従来の半導体集積回路装置のバーンイン試験によるスクリーニング工程の説明図であり、例えば、SCAN試験で発熱量が増加し所望の温度上限を超過すると半導体集積回路装置を破壊するので、試験を中止し、次のSRAM試験を行うことができない。一方、SCAN試験中で回路動作率が低くて消費電力が小さくなり発熱量が低下した場合にも次のSRAM試験を中止することになる。
【0008】
このように、従来の半導体集積回路装置のスクリーニングにおいては、所定の回路動作内容によっては半導体集積回路装置に発熱量の差が発生し、半導体集積回路装置のチップ温度、即ち、ジャンクション温度Tjを所望の温度に制御できない状態であった。
【0009】
さらに、半導体集積回路装置の消費電力、したがって、発熱量は、トランジスタの動作電流に比例して増減し、動作周波数や製造ばらつきにも左右されて半導体集積回路装置毎に異なるため、バーンイン試験時の温度制御が困難な状況となっている。これまでの半導体集積回路装置の温度制御は、主に恒温槽内温度加熱、ヒーター過熱、ファン冷却、ガス冷却、ペルチェ冷却などが一般的に使用されている。
【0010】
図13は、従来の試験装置の概略的構成図であり、図13(a)はBI(Burn−In)ボードの概念的平面図であり、図13(b)はBIボードに当接させる温度制御ユニットの概念的平面図である。図13(a)に示すように、BIボード60は、試験基板61にICソケット62がマトリクス状に取り付けられており、一つの辺側には半導体集積回路装置64に電力や信号を供給する金端子群63が設けられている。なお、この場合の半導体集積回路装置64はパッケージ化されたものである。
【0011】
図13(b)に示すように、温度制御ユニット70は、ボード71に温度制御ブロック72がICソケット62に対応する位置にマトリクス状に設けられており、それらの間を冷却パイプ73で蛇行状に直列接続し、この冷却パイプ73に冷却水を流して冷却する。
【0012】
図14は、BIボードと温度制御ユニットの当接状態の説明図であり、14(a)はアイドル時の当接状態の説明図であり、図14(b)は試験時の当接状態の説明図である。図14(a)に示すように、アイドル状態では、ICソケット62と温度制御ブロック72は離れており、図14(b)に示すように、試験時に初めて密着する。
【0013】
この場合、冷却水の初段から最終段に向かい冷却水の温度が上昇し初段に近い半導体集積回路装置64の発熱量が大きい場合、その後の半導体集積回路装置64の温度上昇に繋がり実際の発熱量よりも大きくなる場合があり、均一な温度制御が困難になる。
【0014】
また、試験測定時等における半導体集積回路装置の温度制御に関しては、各種の提案がなされている。例えば、ジャンクション温度が所定の温度に到達するまでは基準周波数を高くして、所定の温度に達したときは元の基準周波数に戻すことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
また、被測定デバイス(DUT)をエージングして初期不良を排出させるテストバーンインをする際に、被測定デバイス毎に表面温度を測定し、冷却/加熱を行って個別に温度制御することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0016】
また、自己発熱量が異なる多数の電子部品の温度を個別に同時に所定温度に確実に調整することが可能なバーンイン装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、エージング試験中に、温度センサで半導体素子の温度を測定し、半導体素子への通電量を制御することも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0017】
また、温度特性を有する素子の電気特性を測定し、その電気特性からチップ温度を推定して温度制御することも提案されている(例えば、特許文献5参照)。また、半導体集積回路装置の表面温度を非接触にて測定を行い制御パターンにて発熱の制御を行うことも提案されている(例えば、特許文献6参照)。
【0018】
また、被測定ICのジャンクション温度と入力パルス周波数との関係を繰り返し測定し、測定結果に基づいて、被測定ICの周波数制御を行い所定の温度に制御することも提案されている(例えば、特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2000−206201号公報
【特許文献2】特開2005−156172号公報
【特許文献3】特開2005−265665号公報
【特許文献4】特開昭60−119481号公報
【特許文献5】特開昭61−096479号公報
【特許文献6】特開2001−091570号公報
【特許文献7】特開平07−198777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかし、上述の特許文献7で提案されている方法の場合には、バーイン試験のたびに、被測定ICのジャンクション温度と入力パルス周波数との関係を繰り返し測定によって取得する必要があるため、周波数制御や温度制御が複雑になるという問題がある。
【0021】
そこで、半導体集積回路装置に複数の周波数制御端子(例えば、FCI)を設け、このFCIへの入力設定を変更することで、所定の回路動作を行ったまま内部の発振回路の周波数設定を変えることが考えられる。
【0022】
図15は、FCI端子による周波数制御方法の説明図である。ここでは、4本のFCI端子で説明するが、FCI端子の本数は任意である。半導体集積回路装置64にFCI端子65を設け、このFCI端子65にプログラム上で固定した入力を入力することにより、分周比の切り替えを行うことができ、周波数制御の操作が簡便になる。
【0023】
通常、半導体集積回路装置64は、周波数が高いほど、内部が高速で動作するため、電流が大きくなり、消費電力(発熱量)も大きくなる。ここで、Iを電流、fを周波数、Cを容量、Vを電圧とすると、電流Iは、
I=fCV
となり、消費電力Pは、
P=IV
となる。
【0024】
図16は、半導体集積回路装置内の動作周波数と、FCI端子に入力するコードの対応表の一例であり、ここでは、発振回路の基本周波数を128MHzとし、FCI端子を4本に設定して、9つのランクに分けた例を示している。なお、必要に応じて、2=16のランクに分けることも可能である。
【0025】
しかし、この制御方法の場合には、周波数をプログラム上で固定するため、一旦、周波数設定が決まってしまうと、試験装置のほうで冷却を行い、接合温度Tjの制御を行う必要がある。
【0026】
したがって、本発明は、所定の回路動作を行った状態のまま半導体集積回路装置側の操作で所望の温度に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
開示する一観点からは、スクリーニング試験前の工程にて測定された半導体集積回路装置の回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかにより、前記半導体集積回路装置全体毎または個別の回路動作毎に、適切な周波数に周波数設定し、所望の発熱量になるよう発熱量の制御を行い、スクリーニング試験時に、所定の回路動作を行った状態のまま所望の温度に制御することを特徴とする半導体集積回路装置の試験方法が提供される。
【0028】
また、開示する別の観点からは、サーミスタと、前記サーミスタの抵抗変化により温度換算を行う温度換算回路と、前記温度換算結果に基づいて、前記半導体集積回路装置の回路動作を行う周波数設定を変更する周波数設定変更手段とを有することを特徴とする半導体集積回路装置が提供される。
【発明の効果】
【0029】
開示の半導体集積回路装置の試験方法及び半導体集積回路装置によれば、所定の回路動作を行った状態のまま半導体集積回路装置側の操作で所望の温度に制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態の半導体集積回路装置の試験工程のフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態のバーンイン試験によるスクリーニング工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1の半導体集積回路チップの説明図である。
【図4】周波数設定を試験装置により設定する場合の構成説明図である。
【図5】周波数設定をチップ内で行う場合の構成説明図である。
【図6】本発明の実施例2の半導体集積回路チップの試験工程の概略的構成図である。
【図7】本発明の実施例3の半導体集積回路チップの試験方法の説明図である。
【図8】本発明の実施例4の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図である。
【図9】本発明の実施例5の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図である。
【図10】本発明の実施例6の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図である。
【図11】本発明の実施例7の半導体集積回路チップの試験方法に用いるBIボードの説明図である。
【図12】従来の半導体集積回路装置のバーンイン試験によるスクリーニング工程の説明図である。
【図13】従来の試験装置の概略的構成図である。
【図14】BIボードと温度制御ユニットの当接状態の説明図である。
【図15】FCI端子による周波数制御方法の説明図である。
【図16】半導体集積回路装置内の動作周波数と、FCI端子に入力するコードの対応表の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態の半導体集積回路装置の試験方法を説明する。図1は、本発明の実施の形態の半導体集積回路装置の試験工程のフロー図である。まず、
a.バーンイン試験(所定の回路動作試験)を開始する。
b.スクリーニング試験前の工程にて測定された半導体集積回路装置の回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかを書き込んだチップコードを読み込む。
c.読み込んだチップコードから半導体集積回路装置全体或いは動作させる回路毎に予め設定した分周率を選択して、選択した分周率に応じた信号をFCI端子に入力して周波数設定を行う。
d.温度センサ或いはサーミスタを用いてジャンクション温度Tjを監視する。
e.測定した温度或いは換算した温度が、予め設定した温度範囲にあるか否かを判定する。
f.予め設定した温度範囲であれば、予め設定した時間だけバーンイン試験を継続して、予め設定した時間が経過した場合には、再びジャンクション温度Tjを監視する。
g.予め設定した温度範囲外の場合には、FCI端子に設定変更信号を入力して高温側にずれている場合には周波数を低減し、低温側にずれている場合には、周波数を増大するように、周波数を変更する。変更した周波数が予め定めた最小周波数以上で且つ予め定めた最大周波数以下の範囲であるか否かを判定する。
h.変更した周波数が予め定めた最小周波数以上で且つ予め定めた最大周波数以下の範囲内の場合には、周波数の変更を実行し、再び、ジャンクション温度Tjを監視する。
i.変更した周波数が予め定めた最小周波数以上で且つ予め定めた最大周波数以下の範囲外の場合には、電源及び信号を遮断する。
j.最後に、バーンイン試験が完了して良品と判定した製品を出荷する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態のバーンイン試験によるスクリーニング工程の説明図であり、例えば、SCAN試験で発熱量が増加し所望の温度上限を超えようとした場合に、周波数を低周波数側に変更して温度上限を超えないようにする。次いで、SCAN試験中で回路動作率が低くて消費電力が小さくなり発熱量が低下した場合には、周波数を高周波数側に変更して温度下限を下回らないようにして試験を継続する。
【0033】
本発明では、予めバーンイン前の試験において、回路毎の動作電流を測定した電流値もしくは、電流レンジをチップコード内に書き込んだ情報により、半導体集積回路装置の周波数を可変することで発熱量を制御し所望の温度に制御することが可能になる。
【実施例1】
【0034】
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施例1の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図3は、本発明の実施例1の半導体集積回路チップの説明図であり、図3(a)はチップ構成の説明図であり、図3(b)は電流ランク例の説明図である。
【0035】
図3(a)に示すように、ウェーハ段階で半導体集積回路チップ12を形成した半導体ウェーハ11に対して1次試験或いは初期FT試験を行って電源電流を測定し、電源電流値或いはそれに基づく電流ランクをチップID13にコード化して書き込む。この場合の書き込みは、半導体集積回路チップ12の内部に設けたIDヒューズや不揮発性メモリを用いて書き込む。なお、電源電流としては、ダイナミック電流が望ましいが、スタティック電流でも良い。
【0036】
図3(b)は、電流ランクの一例を示す図であり、ここでは、100μA〜20A以上の範囲を、上記の図14に示した周波数ランクに合わせて9ランクとして示している。
【0037】
図4は、周波数設定を試験装置により設定する場合の構成説明図であり、BIボード30の試験基板31に設けたICソケット32にパッケージ化された半導体集積回路チップ12を接続してバーンイン試験を行う。この時、半導体集積回路チップ12に設けたFCI端子14に金端子群33を介してチップID13に書き込んだ電流ランク或いは電源電流値に対応するランクコードを入力して、周波数切換回路15により周波数設定を行う。なお、図における符号16,17はそれぞれ電源である。
【0038】
試験中に温度が設定温度範囲を超えそうになった場合には、再び、FCI端子14に金端子群33を介して新たなランクコードを入力して周波数を変更する。なお、この場合のジャンクション温度Tjの測定は、半導体集積回路チップ12の表面に密着させた温度センサ(図示は省略)を用いて行う。
【0039】
図5は、周波数設定をチップ内で行う場合の構成説明図であり、チップID13に書き込んだランクコードを周波数切換回路15に直接入力して周波数を自動設定する。なお、試験中に温度が設定温度範囲を超えそうになった場合には、図4の場合と同様に、FCI端子14に金端子群33を介して新たなランクコードを入力して周波数を変更する。
【0040】
このように、本発明の実施例1においては、バーンイン試験の前に予め測定した電源電流値もしくはランクにより、適切な周波数設定を選択しているので、回路試験を行った状態で、半導体集積回路装置を所望の温度範囲となるように制御することが可能になる。
【実施例2】
【0041】
次に、図6を参照して、本発明の実施例2の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図6は、本発明の実施例2の半導体集積回路チップの試験工程の概略的構成図であり、図6(a)はBIボードの概念的平面図であり、図6(b)はBIボードに当接させる温度制御ユニットの下側から見た概念的平面図である。
【0042】
図6(a)に示すように、半導体集積回路チップ12は、図6(b)に示した温度制御ユニット40の冷却水の巡回経路の上流側から順に発熱量の小さな半導体集積回路チップ12を配置したものである。なお、図における符号41,42,43はそれぞれボード,温度制御ブロック及び冷却パイプである。
【0043】
このように、本発明の実施例2においては周波数制御による温度制御の他に、冷却系の冷却水の循環経路を考慮して半導体集積回路チップ12の配置を決定しているので、より効果的な温度制御が可能になる。
【実施例3】
【0044】
次に、図7を参照して、本発明の実施例3の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図7は、本発明の実施例3の半導体集積回路チップの試験方法の説明図であり、図7(a)は概観図であり、図7(b)は詳細図である。図7(a)に示すように、ここでは、発熱量が異なる2種類の半導体集積回路チップ12,12のバーンイン試験を行う。
【0045】
この時、図7(b)に示すように、2種類の半導体中関回路チップ12,12に対しては個別に周波数制御を行う。即ち、発熱量の大きな半導体集積回路チップ12においては、ランクコードを(0111)として試験を行い、ジャンクション温度Tjが設定温度範囲内であるのでそのまま試験2を行う。
【0046】
一方、発熱量の小さい半導体集積回路チップ12においては、ランクコードを(0111)として試験を行い、ジャンクション温度Tjが設定温度範囲外になってので、ランクコードを(0101)に変更して、周波数を1MHzから4MHzに変更して試験2を行う。
【0047】
このように、本発明の実施例3においては、半導体集積回路チップの試験内容による発熱量の差、半導体集積回路装置のバラツキによる発熱量の差を小さくするため、FCI信号の設定変更により、内部の発振回路の周波数を制御しているので、よりきめの細かい温度制御が可能になる。
【実施例4】
【0048】
次に、図8を参照して、本発明の実施例4の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図8は、本発明の実施例4の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図であり、上記の図4に示した半導体集積回路チップ12にサーミスタ18を設け、サーミスタ18に定電流源19を接続する。
【0049】
サーミスタ18の抵抗変化をBIボード側で温度変化に変換して、変換した温度に対するランクコードをFCI端子14から周波数設定回路15に入力して周波数を変更し、それによって、温度を適正範囲に制御する。
【0050】
この本発明の実施例4においては、温度により抵抗値が変化するサーミスタ18を半導体集積回路チップ12内に設けているので、より正確なチップ温度の測定が可能になる。
【実施例5】
【0051】
次に、図9を参照して、本発明の実施例5の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図9は、本発明の実施例5の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図であり、上記の図4に示した半導体集積回路チップ12にサーミスタ18と、Tj温度換算回路20を設けたものである。
【0052】
ここでは、サーミスタ18に定電流源19を接続するとともに、サーミスタ18の出力をTj温度換算回路20に入力し、その換算温度に応じたランクコードを周波数切換回路15に直接入力して周波数設定を行う。
【0053】
この本発明の実施例5においては、サーミスタの抵抗変化の値を温度に換算するTj温度換算回路20を設けているので、周波数設定を半導体集積回路チップ12内において自動的に行うことが可能になり、BIボード側の負担を軽減することができる。
【実施例6】
【0054】
次に、図10を参照して、本発明の実施例6の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図10は、本発明の実施例6の半導体集積回路チップの試験方法に用いるチップ構成図であり、上記の図9に示した半導体集積回路チップ12に状態設定信号端子21、モニター状態設定信号端子22及び切換スイッチ23を設けたものである。
【0055】
ここでは、半導体集積回路チップ12の表面の温度で温度制御を行うか、サーミスタの抵抗の変化によって温度制御を行うかをBIボードからの外部信号、即ち、状態設定信号によって、任意の切り替えを可能とするものである。
【0056】
状態設定信号端子21からの状態設定信号を切換スイッチ23で判定して、状態設定信号が1であればサーミスタ18の制御を有効にし、状態設定信号が0であれば表面の温度制御が有効となるように切り替える。この場合、BIボード側にはサーミスタ制御になった場合は、外部からのFCI入力を止める必要があるため、それをBIボードが認識するためにモニター状態設定信号をモニター状態設定信号端子22から出力する。これは試験中にも変更できる構成であり、状態設定信号の切り替えで、温度制御の検出方法を容易に変更できる。
【0057】
このように、本発明の実施例6においては、状態設定信号端子21を設けているので、DUTとなる半導体集積回路チップの特性或いは試験を行う特定の回路特性に応じて温度モニター手段を適宜切り替えることが可能になり、汎用性が高まる。なお、状態設定信号が0の場合は、BIボードからの周波数設定の変更の他に、電圧の可変により電圧依存(電圧上昇で、発熱量も上昇する)を用いて発熱量を制御するようにしても良い。
【0058】
なお、半導体集積回路チップの素子設計上の汎用性を高めるためにサーミスタを設けない半導体集積回路チップの場合にも、状態設定信号端子21及びモニター状態設定信号端子22を設けても良い。その場合には、状態設定信号は常に0で制御する。
【実施例7】
【0059】
次に、図11を参照して、本発明の実施例7の半導体集積回路チップの試験方法を説明する。図11は、本発明の実施例7の半導体集積回路チップの試験方法に用いるBIボードの説明図であり、ICソケット32の周囲にリレー34とリレー34に接続するLED35を設けたものである。
【0060】
バーンイン試験中に、周波数変更しようとする周波数が、予め設定した最大周波数を上回る場合或いは予め設定した最小周波数を下回る場合には、電源や信号を遮断し、その状態をリレー34を介してLED35で表示する。
【0061】
本発明の実施例7においては、電源及び信号遮断の状態を示すLEDを設けているので、各半導体集積回路チップの試験状況を目視により迅速に把握することが可能になる。
【0062】
ここで、実施例1乃至実施例7を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)スクリーニング試験前の工程にて測定された半導体集積回路装置の回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかにより、前記半導体集積回路装置全体毎または個別の回路動作毎に、適切な周波数に周波数設定し、所望の発熱量になるよう発熱量の制御を行い、スクリーニング試験時に、所定の回路動作を行った状態のまま所望の温度に制御することを特徴とする半導体集積回路装置の試験方法。
(付記2)前記スクリーニング試験時に、前記半導体集積回路装置の発熱量を監視し、所望の発熱量になるように前記半導体集積回路装置に設けた専用の端子および専用の外部信号により所定の回路動作を行った状態のまま周波数設定し、前記発熱量を所定範囲とすることで前記半導体集積回路装置を所望の温度に制御することを特徴とする付記1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記3)前記半導体集積回路装置の発熱量制御を回路動作周波数の変更により行うことで、前記所定範囲内における発熱量まで上昇及び下降の制御を行うことを特徴とする付記1または付記2に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記4)前記周波数設定を、1/2分周倍にて複数種類の専用設定条件を有し、前記周波数設定にて発熱量の制御を行うことを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記5)前記半導体集積回路装置に外部の定電流源から電流を与えて、前記半導体集積回路装置に設けたサーミスタの抵抗変化より温度変化を監視し、前記発熱量の制御を行うことを特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記6)前記半導体集積回路装置に外部の定電流源から電流を与えて、前記半導体集積回路装置に設けたサーミスタの抵抗変化を温度に換算し、換算した温度に基づいて前記周波数設定変更を自動的に行うこと特徴とする付記1乃至付記4のいずれか1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記7)前記周波数設定における最低周波数においても所望の温度範囲を超過する場合には、電源及び信号を遮断するとともに、前記周波数設定における最大周波数においても所望の温度範囲を満たせない場合には、電源及び信号を遮断することを特徴とする付記1乃至付記6のいずれか1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記8)前記スクリーニング試験前の工程にて測定された回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかにより、前記半導体集積回路装置をスクリーニング試験ボードに実装する位置を決定することを特徴とする付記1乃至付記7のいずれか1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
(付記9)サーミスタと、前記サーミスタの抵抗変化により温度換算を行う温度換算回路と、前記温度換算結果に基づいて、前記半導体集積回路装置の回路動作を行う周波数設定を変更する周波数設定変更手段とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
(付記10)半導体集積回路装置の表面の発熱量を測定する温度測定手段と、サーミスタと、サーミスタの抵抗変化により温度変化を監視する手段と、前記温度測定手段と前記サーミスタのいずれかを選択する選択手段とを有することを特徴とする半導体集積回路装置。
【符号の説明】
【0063】
11 半導体ウェーハ
12,12,12 半導体集積回路チップ
13 チップID
14 FCI端子
15 周波数切換回路
16,17 電源
18 サーミスタ
19 定電流源
20 Tj温度換算回路
21 状態設定信号端子
22 モニター状態設定信号端子
23 切換スイッチ
30 ,60 BIボード
31,61 試験基板
32,62 ICソケット
33,63 金端子群
34 リレー
35 LED
40,70 温度制御ユニット
41,71 ボード
42,72 温度制御ブロック
43,73 冷却パイプ
64 半導体集積回路装置
65 FCI端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーニング試験前の工程にて測定された半導体集積回路装置の回路毎の電源電流値或いは電流ランクのいずれかにより、前記半導体集積回路装置全体毎または個別の回路動作毎に、適切な周波数に周波数設定し、所望の発熱量になるよう発熱量の制御を行い、スクリーニング試験時に、所定の回路動作を行った状態のまま所望の温度に制御することを特徴とする半導体集積回路装置の試験方法。
【請求項2】
前記スクリーニング試験時に、前記半導体集積回路装置の発熱量を監視し、所望の発熱量になるように前記半導体集積回路装置に設けた専用の端子および専用の外部信号により所定の回路動作を行った状態のまま周波数設定し、前記発熱量を所定範囲とすることで前記半導体集積回路装置を所望の温度に制御することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
【請求項3】
前記周波数設定を、1/2分周倍にて複数種類の専用設定条件を有し、前記周波数設定にて発熱量の制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
【請求項4】
前記周波数設定における最低周波数においても所望の温度範囲を超過する場合には、電源及び信号を遮断するとともに、前記周波数設定における最大周波数においても所望の温度範囲を満たせない場合には、電源及び信号を遮断することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置の試験方法。
【請求項5】
サーミスタと、
前記サーミスタの抵抗変化により温度換算を行う温度換算回路と、
前記温度換算結果に基づいて、前記半導体集積回路装置の回路動作を行う周波数設定を変更する周波数設定変更手段と
を有することを特徴とする半導体集積回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−29439(P2013−29439A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166233(P2011−166233)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】