反射型光学センサおよび画像形成装置
【課題】トナーパターンのトナー濃度や位置を、より高精度に検出できる反射型光学センサを提供する。
【解決手段】発光部E1〜E9を配列した照明系と、受光部D1〜D9を配列された受光系と、共に平凸形状の照射用マイクロレンズアレイLE1〜LE9および受光用マイクロレンズアレイLD1〜LD9とを有し、照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部E1〜E9の中心を通り発光部に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して受光系側へ所定距離ずれ、各受光用マイクロレンズLD1〜LD9の光軸は、対応する受光部の中心を通り受光部に垂直な受光部軸に対して平行で、受光部軸に対して、照明系に近づく側もしくは遠ざかる側にずれており、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きい。
【解決手段】発光部E1〜E9を配列した照明系と、受光部D1〜D9を配列された受光系と、共に平凸形状の照射用マイクロレンズアレイLE1〜LE9および受光用マイクロレンズアレイLD1〜LD9とを有し、照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部E1〜E9の中心を通り発光部に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して受光系側へ所定距離ずれ、各受光用マイクロレンズLD1〜LD9の光軸は、対応する受光部の中心を通り受光部に垂直な受光部軸に対して平行で、受光部軸に対して、照明系に近づく側もしくは遠ざかる側にずれており、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、反射型光学センサおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーによって画像を形成する画像形成装置としては、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ装置、マルチファンクションプリンタ(MFP)等が広く知られている。
このような画像形成装置では、一般に、潜像担持体である「感光性を有するドラム」の表面に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーにより可視化する現像を行って「トナー画像」を得ている。
【0003】
トナー画像を得るための現像方式には、トナーとキャリアを含む2成分系の現像剤を用いる2成分現像方式や、トナーのみで構成された現像剤を用いるモノトナー現像方式等、種々の方式が知られている。
【0004】
現像方式の如何に拘わらず、良好なトナー画像を得るためには「静電潜像の現像に供されるトナー量」が適正でなければならない。静電潜像に十分な量のトナーが供給されないと、画像形成装置から出力される画像(出力画像)は「濃度の不十分な画像」となってしまう。一方、静電潜像に供給されるトナー量が過剰であると、出力画像における濃度分布が「高濃度側」に偏り、見づらい画像となってしまう。
静電潜像の現像に供されるトナー量の適否を見るために、静電潜像を形成する潜像担持体や「潜像担持体上のトナー画像を転写紙等のシート状記録媒体に転写する転写ベルト」に、トナー濃度検出用のパターン(トナーパターン)を形成し、このトナーパターンに検出用光を照射し、反射光の光量変化により、トナー濃度の適否を判定することが広く行なわれている(特許文献1〜5等)。
【0005】
上記「トナー濃度」は、トナー画像としてのトナーパターンの「画像濃度」である。
トナーパターンは、潜像担持体の帯電電位や、露光量、現像バイアス等の作像条件を基準化した「基準作像条件」で形成され、検出光により照射されたときの反射光の強度はトナー濃度に対応的に変化するので、反射光の光量を検出することにより、基準作像条件下でのトナー濃度の高低を知ることができる。
トナー濃度が高い(低い)ことは、静電潜像に供給されるトナー量が多い(少ない)ことを意味するので、検出されるトナー濃度に応じて「現像部へのトナー補給を制御」したり、作像条件を調整したりして適正なトナー画像を得ることが可能である。
【0006】
出願人は先に、トナーパターンのトナー濃度を検出する新規な「反射型光学センサ」を提案した(特許文献6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、トナーパターンのトナー濃度や位置を「より高精度」に検出できる反射型光学センサの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の「反射型光学センサ」は、所定の副方向へ移動する支持部材の表面に形成されたトナーパターンの「トナー濃度もしくは位置」、またはトナーパターンの「トナー濃度および位置」を検出するために用いられる反射型光学センサである。
「支持部材」は、トナーパターンを形成される部材であり、具体的には潜像担持体、あるいは転写ベルトである。
「潜像担持体」は光導電性の感光体(ドラム状あるいはベルト状である。)であって、その表面の帯電と露光とにより静電潜像を形成される。
「転写ベルト」は、潜像担持体に形成された静電潜像をトナーにより可視像化したトナー画像を、転写紙等の「シート状記録媒体」に転写するベルトであり、シート状記録媒体を搬送しつつ潜像担持体上のトナー画像を直接にシート状記録媒体に転写させる「直接転写ベルト」であることもできるし、潜像担持体上のトナー画像を転写され、転写されたトナー画像をシート状記録媒体に再転写する「中間転写ベルト」であることもできる。
【0009】
潜像担持体の静電潜像形成面の移動する方向、あるいは転写ベルトのベルト面が移動する方向が「副方向」である。潜像担持体に対して光走査を行なう露光方式では、光走査の主走査方向に直交する副走査方向が上記「副方向」に相当する。
【0010】
「トナーパターン」は、支持部材に先ず、静電潜像パターンとして形成され、ついで現像によりトナー画像化されてトナーパターンとなる。反射型光学センサによる検出は、トナーパターンが潜像担持体に形成された状態、もしくは転写ベルト上に転写された状態で行なわれる。
【0011】
請求項1の反射型光学センサは、照明系と、受光系と、照射用マイクロレンズアレイと、受光用マイクロレンズアレイとを有する。
【0012】
「照明系」は、N(≧3)個の発光部を1方向に等間隔に配列一体化してなり、上記各発光部から検出光を放射する。発光部としてはLEDを好適に用いることができ、従って、照明系として「LEDアレイ」を好適に用いることができる。
【0013】
「受光系」は、N個の受光部を、発光部の配列ピッチと同ピッチで、1方向に配列一体化してなる。受光部としては「フォトダイオードもしくはフォトトランジスタ」を好適に用いることができ、従って、受光系として「フォトダイオードアレイやフォトトランジスタアレイ」を好適に用いることができる。
【0014】
「照射用マイクロレンズアレイ」は、同一形状で「同一の正のパワー」を持つN個の照射用マイクロレンズを、N個の発光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる。
「受光用マイクロレンズアレイ」は、同一形状で「同一の正のパワー」を持つN個の受光用マイクロレンズを、N個の受光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる。
【0015】
照明系の発光部の配列方向(上記1方向)、受光系の受光部の配列方向、照射用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向、受光用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向は互いに平行で、上記副方向に対して直交もしくは所定の角をなす。
【0016】
発光部から放射された光束が、照射用マイクロレンズを介して支持部材に検出用光として照射され、支持部材による反射光が受光用マイクロレンズを介して受光部に入射するように、照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が定められている。
【0017】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは同一の光学材料により形成され、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ共に「平凸形状」である。
発光部・受光部、照射用マイクロレンズ・受光用マイクロレンズの配列ピッチは、0.1mm〜1.0mm程度の範囲が好適である。
【0018】
各照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の中心を通り、該発光部(の表面)に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して「受光系側へ所定距離」ずらされている。
各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する受光部の中心を通り、該受光部(の表面)に垂直な受光部軸に対して平行で、上記受光部軸に対して、上記照明系に「近づく側もしくは遠ざかる側」にずらされている。
【0019】
照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも、互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きい。
【0020】
なお「レンズ面曲率半径」は、照射用マイクロレンズ・受光用マイクロレンズにおいて「凸レンズ面のレンズ面曲率半径」である。
【0021】
請求項1記載の反射型光学センサは、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径よりも小さく、受光用マイクロレンズのレンズ肉厚が、照射用マイクロレンズのレンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が受光部軸に対して「照明系に近づく側」へずれていることができる(請求項2)。
【0022】
請求項1記載の反射型光学センサは、受光用マイクロレンズの「レンズ面曲率半径およびレンズ肉厚」が何れも、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して「照明系から遠ざかる側」へずれていることができる(請求項3)。
【0023】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射型光学センサは、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方は、表面側と裏面側の少なくとも一方の所定の領域に、遮光膜が形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0024】
請求項1〜4の任意の1に記載の反射型光学センサでは、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが「一体として形成されている」ことが好ましい(請求項5)。
この場合、照射用マイクロレンズアレイにおける所定の側からi(1≦i≦N)番目の照射用マイクロレンズと、受光用マイクロレンズアレイにおける上記所定の側からi(1≦i≦N)番目の受光用マイクロレンズとが「副方向において相互に接して長円状もしくは長方形形状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向に、「発光部の配列ピッチと同一ピッチ」で接触しあっている構造であることができる(請求項6)。この場合複合レンズ面の「長円状もしくは長方形形状の」の長手方向は、照射用マイクロレンズとこれに対応する受光用マイクロレンズの配列方向、即ち「副方向」である。
【0025】
請求項1〜6の任意の1に記載の反射型光学センサは、「支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量」である第1の基準受光量と、「支持部材上のトナーパターンが検出用光で照射されたときの各受光部の受光量」である第2の基準受光量とを参照し、第2の基準受光量を「拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離」する「処理手段」を備えることができる(請求項7)。
【0026】
この場合、「処理手段」において、拡散反射光による受光量:D(拡)を正反射光による受光量:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を求める演算を行うことが好ましい(請求項8)。
【0027】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサは、N個の発光部が、配列方向にm組に分割され、各組は略等数の発光部を有し、各組の発光部を、配列順に同期して点滅させる「照射制御装置」を有することができる(請求項9)。
【0028】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサは、発光部、受光部、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの個数:Nが、
7≦N≦31
の範囲内の奇数であることが好ましい(請求項10)。
Nの値を「奇数」とするのは、配列数:Nに「中央」があるので、この中央の位置を占める発光部等を、トナーパターンの「主方向の中央」に対応させ得るからである。
【0029】
この発明の画像形成装置は、潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像装置と、転写装置とを有するものであって、静電潜像形成手段が帯電手段と光走査装置を有し、上記請求項1〜10の任意の1に記載の反射型光学センサを有する(請求項11)。
【0030】
「潜像担持体」は、ドラム状もしくはベルト状に形成された光導電性の感光体である。
【0031】
「静電潜像形成手段」は、潜像担持体に帯電と露光とを行なって静電潜像を形成する。
【0032】
「現像装置」は、静電潜像を現像してトナー画像として可視化する。
「転写装置」は、トナー画像を転写ベルトによりシート状記録媒体に転写する。転写ベルトは、前述の直接転写ベルトであることも、中間転写ベルトであることもできる。
【0033】
「静電潜像形成手段」は、潜像担持体の周面を均一帯電させる「帯電手段」と、潜像担持体に帯電と光走査を行なって、画像情報に応じた静電潜像を形成する「光走査装置」とを有する。
「反射型光学センサ」は、潜像担持体または転写ベルトを支持部材として形成されたトナーパターンの「トナー濃度もしくは位置」、または、トナーパターンの「トナー濃度および位置」を検出するために用いられる。
【0034】
請求項11記載の画像形成装置は、複数の潜像担持体に異なる色のトナー画像を形成し、これら複数のトナー画像を重ね合わせて多色画像(「2色画像」や「フルカラー画像」を含む。)を形成するタンデム方式の画像形成装置であることができる(請求項12)。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、この発明によれば、新規な反射型光学センナおよび画像形成装置を実現できる。この発明の反射型光学センサは、照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が上記の如く適正化され、かつ、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとの光学特性が好適化されることにより、受光部の受光する光量を有効に増大させて、トナーパターンのトナー濃度や位置を「より精度良く」検出することができる。
【0036】
従って、この発明の反射型光学センサを用いる画像形成装置は、トナー画像の濃度制御や、カラートナー画像相互の重ね合わせ精度をより高性能に行なうことができ、良好な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】画像形成装置としてのカラープリンタを説明するための図である。
【図2】光走査装置を説明するための図である。
【図3】光走査装置を説明するための図である。
【図4】光走査装置を説明するための図である。
【図5】光走査装置を説明するための図である。
【図6】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図7】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図8】位置検出用のトナーパターンを説明するための図である。
【図9】濃度検出用のトナーパターンを説明するための図である。
【図10】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図11】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図12】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図13】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図14】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(i)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(i)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、画像形成装置の実施の1形態としてカラープリンタの概略構成を示している。
【0040】
カラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のトナー画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する「タンデム方式の多色カラープリンタ」である。
【0041】
カラープリンタ2000は、光走査装置2010、4つの感光体ドラム2030a、2030b、2030c、2030d、4つのクリーニングユニット2031a、2031b、2031c、2031d、4つの帯電装置2032a、2032b、2032c、2032d、4つの現像ローラ2033a、2033b、2033c、2033d、4つのトナーカートリッジ2034a、2034b、2034c、2034d、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245及び、上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0042】
以下において、図1に示すように「XYZの3次元直交座標系」を想定し、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向(図1の図面に直交する方向)、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0043】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0044】
「潜像担持体」である感光体ドラム2030a〜2030dはいずれも、感光層として形成された表面が、光走査装置2010による光走査の「被走査面」となっている。感光体ドラム2030a〜2030dは、図示されない回転機構により、図1の面内で矢印方向(時計回り)に回転する。
【0045】
感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが、感光体ドラム2030aを囲繞するように配置されている。
【0046】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、ブラック画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0047】
感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、感光体ドラム2030bを囲繞するように配置された、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bは、シアン画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0048】
感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、感光体ドラム2030cを囲繞するように配置された、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cは、マゼンタ画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0049】
感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、感光体ドラム2030dを囲繞するように配置された、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dは、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0050】
上記帯電装置2032a等は「帯電手段」を構成し、光走査装置2010とともに「静電潜像形成手段」を構成する。
【0051】
帯電装置2032a〜2032dは、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0052】
光走査装置2010は、前記「上位装置」からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づき、各色画像情報毎に変調された光束により、対応する感光体ドラムの表面を、Y方向に光走査する。
これにより、各感光体ドラム表面の、光照射された部分で電位が減衰し、画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの側に移動する。
光走査装置2010の構成については後述する。
【0053】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納され、ブラックトナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納され、シアントナーは現像ローラ2033bに供給される。
トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納され、マゼンタトナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納され、イエロートナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0054】
前記各現像ローラ2033a〜2033dは回転し、それぞれ対応するトナーカートリッジからの各色トナーが、その表面に薄く均一に塗布される。
各現像ローラの表面の塗布されたトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、表面の「電位減衰した部分」に付着して静電潜像をトナー画像として可視化する。
感光体ドラムごとに形成された「互いに色の異なるトナー画像」は、感光体ドラムの回転に伴って移動する。
【0055】
転写ベルト2040は「中間転写ベルト」であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像は、感光体ドラム2030a〜2030dから所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、互いに重ね合わされてカラー画像を形成する。
この実施の形態においては、中間転写ベルトである転写ベルト2040が「トナーパターンを形成される支持部材」であり、転写ベルト2040上でトナー画像の移動する方向が「副方向」であり、副方向に直交する方向(Y軸方向)を「主方向」と呼ぶ。
【0056】
給紙トレイ2060に格納された「シート状記録媒体」としての記録紙は、給紙コロ2054により給紙トレイ2060から1枚ずつ給紙され、レジストローラ対2056に向けて搬送される。
レジストローラ対2056は、給紙トレイ2060から給紙された記録紙を挟持し、所定のタイミングで「転写ベルト2040と転写ローラ2042の間」に向けて送りこむ。転写ローラ2042は、記録紙表面にカラー画像を転写する。
カラー画像を転写された記録紙は、定着ローラ2050から加えられる熱と圧力によりカラー画像を定着される。カラー画像を定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070上に排紙されて順次スタックされる。
【0057】
感光体ドラム2030a〜2030dの表面の「転写残りの残留トナー」が、各感光体ドラムに対応するクリーニングユニット2031a〜2031dにより除去されると、各感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0058】
反射型光学センサを用いる光学センサ装置2245は、転写ベルト2040の「−X」側(図1で左側)に配置されている。光学センサ装置2245については後述する。
【0059】
次に、光走査装置2010の構成について説明する。
【0060】
光走査装置の実施の1形態としての光走査装置2010は、図2〜図5に示すように、4つの光源2200a、2200b、2200c、2200d、4つのカップリングレンズ2201a、2201b、2201c、2201d、4つの開口板2202a、2202b、2202c、2202d、4つのシリンドリカルレンズ2204a、2204b、2204c、2204d、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ2105a、2105b、2105c、2105d、8つの折返しミラー2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d、4つのトロイダルレンズ2107a、2107b、2107c、2107d、4つの光検知センサ2205a、2205b、2205c、2205d、4つの光検知用ミラー2207a、2207b、2207c、2207d、図示されない走査制御装置などを備えている。
これらは、図5に示すように、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示していない。)の所定位置に組み付けられている。
【0061】
以下、便宜上、光走査の主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と言う。
【0062】
カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの、光軸に沿った方向を「w1方向」、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m1方向」とする。
【0063】
カップリングレンズ2201c及びカップリングレンズ2201dの、光軸に沿った方向を「w2方向」、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m2方向」とする。なお、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同方向である。
【0064】
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置され、光源2200aは光源2200bの「−Z」側に配置されている(図3参照)。また、光源2200dは光源2200cの「−Z」側に配置されている(図4参照)。
【0065】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0066】
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0067】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0068】
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。
【0070】
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。
【0071】
ポリゴンミラー2104は、偏向反射面を4面持つ4面鏡を2段構造として有し、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束をそれぞれ偏向し、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束をそれぞれ偏向するように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0072】
シリンドリカルレンズ2204a、2204bからの光束はポリゴンミラー2104の「−X」側において偏向され、シリンドリカルレンズ2204c、2204dからの光束はポリゴンミラー2104の「+X」側において偏向される。
【0073】
fθレンズ2105a〜2105dはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面(被走査面)上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学特性を有する非円弧面形状を有している。
【0074】
fθレンズ2105a、2105bはポリゴンミラー2104の「−X」側に配置され、fθレンズ2105c、2105dはポリゴンミラー2104の「+X」側に配置されている。
【0075】
図5に示すように、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bとはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡にそれぞれ対向している。fθレンズ2105cとfθレンズ2105dもZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡にそれぞれ対向している。
【0076】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向(Y方向)に移動して感光体ドラム2030a上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0077】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動して感光体ドラム2030b上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0078】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動して感光体ドラム2030c上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0079】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動して感光体ドラム2030d上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0080】
個々の感光体ドラムにおいて画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれているが、この明細書においては「有効画像領域」とも呼ぶ。
【0081】
上記各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致し、感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角が「感光体相互で等しく」なるように、それぞれ配置されている。
【0082】
また「fθレンズとそれに対応するトロイダルレンズ」とにより、ポリゴンミラーの偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを「副走査対応方向に共役関係」とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0083】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は「走査光学系」とも呼ばれる。
説明中の実施の形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とにより「Kステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とにより「Cステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
同様に、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とにより「Mステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とにより「Yステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
【0084】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
【0085】
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
【0086】
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
【0087】
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0088】
光検知センサ2205a〜2205dは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0089】
図示されない「走査制御装置」は、各光検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを決定し、決定されたタイミングで光走査による画像書き込みを開始する。
【0090】
次に、光学センサ装置2245について説明する。
【0091】
光学センサ装置2245は、1例として図6に示されるように、Y方向に配列した4つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dを有している。
【0092】
反射型光学センサ2245aは、転写ベルト2040の「+Y側端部近傍」に対向する位置に、反射型光学センサ2245dは、転写ベルト2040の「−Y側端部近傍」に対向する位置にそれぞれ配置されている。
反射型光学センサ2245bは、反射型光学センサ2245aの「−Y側」に、反射型光学センサ2245cは、反射型光学センサ2245dの「+Y側」に配置されている。
【0093】
4個の反射型光学センサ2245a〜2245dは、Y軸方向に関して「ほぼ等間隔」となるように配置されている。
【0094】
図7に示すように、Y軸方向に関して、反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dの中心位置をそれぞれ、Y1、Y2、Y3、Y4とする。
反射型光学センサ2245aに、X方向において対向するトナーパターンを、トナーパターンPP1、TP1、反射型光学センサ2245bに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP2とTP2とする。
【0095】
同様に、反射型光学センサ2245cに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP3、TP3、反射型光学センサ2245dに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP4、TP4とする。
【0096】
トナーパターンPP1、PP2、PP3及びPP4は「位置検出用パターン」であり、トナーパターンTP1、TP2、TP3及びTP4は「濃度検出用パターン」である。
【0097】
位置検出用パターンPP1、PP2、PP3及びPP4は「同じ構成」であるので、以下において、位置検出用パターン相互を区別する必要がない場合は、位置検出用パターンPP1〜PP4を総称して「位置検出用パターンPP」ともいう。
位置検出用パターンPPは、図8に示されるように、主方向(Y方向)に平行な4本のライン状パターン(LPY1、LPM1、LPC1、LPK1)と、主方向に対して傾斜した4本のライン状パターン(LPY2、LPM2、LPC2、LPK2)とにより構成されている。
【0098】
ライン状パターンLPY1とLPY2はペアをなし、イエロートナーで形成され、ライン状パターンLPM1とLPM2はペアをなし、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1とLPC2はペアをなし、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPK1とLPK2はペアをなし、ブラックトナーで形成される。
【0099】
各「ライン状パターンのペア」は、転写ベルト2040の進行方向(副方向)に関して「ペアを成す2本のライン状パターン」が、所定の間隔をなすように、形成条件を設定されている。
【0100】
図7に示す濃度検出用パターンTP1、TP2、TP3、TP4は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ形成される。
以下では、濃度検出用パターン相互を区別する必要がない場合には、濃度検出用パターンTP1、TP2、TP3、TP4を総称して「濃度検出用パターンTP」ともいう。
【0101】
濃度検出用パターンTPは、1例として図9に示すように、5つの四角形状のパターンp1〜p5(以下「矩形パターン」という)からなり、5個の矩形パターンp1〜p5は、転写ベルト2040の進行方向(副方向)に1列に並び、それぞれ、トナー濃度の階調が異なっている。
図9の例では、矩形パターンp1、p2、p3、p4、p5の順にトナー濃度が高くなって行く。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp5のトナー濃度が最も高い。
【0102】
各矩形パターンのY軸方向の長さをLp、転写ベルト2040の進行方向の長さをWpとする。説明中の例では「Lp=1.0mm」である。
【0103】
トナー濃度の階調は、光走査装置の光源から放射される光束のパワーや、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ比、現像バイアス等を調整することにより「矩形パターンとなる静電潜像へのトナー付着量を制御」することにより、あるいは、矩形パターンを網点で構成する場合には「網点の面積率」を変えることによっても変化させることができる。
【0104】
以下、位置検出用パターンと濃度検出用パターンを区別する必要がない場合には、これらを総称して「トナーパターン」という。
【0105】
反射型光学センサを用いて、トナーパターンの「位置検出処理およびトナー濃度検出処理」が行われる際には、プリンタ制御装置2090から走査制御装置に位置検出用パターン及び濃度検出用パターンの形成が指示される。
【0106】
即ち、走査制御装置は、Yステーション〜Kステーションを制御して、上記各トナーパターンの形成を制御する。
【0107】
Yステーションの制御は、図10に示すように、感光体ドラム2030dにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPY1とLPY2が形成され、位置Y1に濃度検出用パターンTP1が形成されるように行なわれる。
【0108】
Mステーションの制御は、図11に示すように、感光体ドラム2030cにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPM1とLPM2が形成され、位置Y2に濃度検出用パターンTP2が形成されるように行なわれる。
【0109】
Cステーションの制御は、図12に示すように、感光体ドラム2030bにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPC1とLPC2が形成され、位置Y3に濃度検出用パターンTP3が形成されるように行なわれる。
【0110】
Kステーションの制御は、図13に示すように、感光体ドラム2030aにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPK1とLPK2が形成され、位置Y4に濃度検出用パターンTP4が形成されるように行われる。
【0111】
このように各感光体ドラム状に形成されたトナーパターンは、所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。このようにして、転写ベルト2040におけるY方向の位置Y1、Y2、Y3及びY4に、それぞれ位置検出用パターンPPと濃度検出用パターンTPが形成される。この状態を図14に示す。
【0112】
光学センサ装置2245を構成する4つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dは、構成・構造とも同一のものであり、以下では、反射型光学センサ2245aを代表として、構成と構造について説明する。
反射型光学センサ2245aは、1例として図15に示すように、9個の発光部E1〜E9、9個の照射用マイクロレンズLE1〜LE9、9個の受光部D1〜D9、9個の受光用マイクロレンズLD1〜LD9と、図示されない「処理装置」を有している。
【0113】
発光部・受光部の数は、請求項10記載のように「7〜31個程度の奇数」であることが好ましいが、図15以下の図に示す「9個の発光部・受光部の組み合わせ」は、好適なものの1つである。
【0114】
照射用マイクロレンズLE1〜LE9は「照射用マイクロレンズアレイ」を構成し、受光用マイクロレンズLD1〜LD9は「受光用マイクロレンズ」を構成する。
【0115】
図15(a)は反射型光学センサを主方向から見た様子、図15(b)は反射型光学センサを「発光部、受光部の配列方向に直交する方向から見た様子を示す。
図15(c)は、発光部E1〜E9から射出して、照射用マイクロレンズLE1〜LE9を介した検出用光S1〜S9が、転写ベルト2040を照射している様子を示し、同図(d)は、転写ベルト2040によって反射された検出用光S1〜S9が、受光用マイクロレンズLD1〜LD9を介して、受光部D1〜D9により受光される様子を示す。
図15(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9が、トナーパターンを照射している様子を示し、図15(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が、受光部D1〜D9で受光される様子をそれぞれ示す。
【0116】
9個の発光部E1〜E9は、Y方向(主方向)に1列等間隔に配置されている。各発光部としてはLEDを用いることができる。発光部E1〜E9の配列ピッチ(隣接する発光部の間隔)Leは、例えば0.4mmとすることができる。
照射用マイクロレンズLE1〜LE9は、発光部E1〜E9と1対1に対応し、図15(a)に示すように、各照射用レンズは、対応する発光部よりも受光部側へずれて配置され、発光部から射出された光束を転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
以下の説明において、発光部E1〜E9から射出し、照射用マイクロレンズLE1〜LE9で集光された光束は、図15(c)に示すように、各発光部に対応する照射用マイクロレンズのみを通過し、検出用光S1〜S9として転写ベルト2040を照射するものとする。
【0117】
転写ベルト2040の表面は滑らかで、転写ベルト2040表面に照射された光の殆どは正反射する。受光部D1〜D9は、図15(d)に示すように、発光部E1〜E9からの検出用光が「トナーパターン以外の部分」を照射するとき、受光部D1〜D9が、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9の正反射光のみを受光するようになっている。
受光部D1〜D9の個々は、発光部E1〜E9に個別に対応している。
各受光部は、図15(a)に示すように「対応する発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光束」の光路上に配置されている。すなわち、9個の受光部D1〜D9の配列ピッチは、9個の発光部E1〜E9の配列ピッチと等しい。
【0118】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは一体化され、一体化によりこれらマイクロレンズアレイを「反射型光学センサに組み付ける際の作業性」を向上させている。また、一体化により、マイクロレンズアレイ間の配置精度を高めている。
各マイクロレンズのレンズ面は、フォトリソグラフィやナノインプリントなどの公知の加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成できる。
【0119】
上記の如く、発光部の副方向の配列ピッチを0.4mmとすれば、隣接するビームスポットの中心間隔も0.4mmであり、各検出用光が転写ベルト2040の表面に形成する光スポットの大きさも直径で0.4mm程度とされる。
従来の検出用光による光スポットは、通常「直径で2〜3mm程度」であった。
【0120】
各照射用マイクロレンズ及び各受光用マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、主方向と副方向のパワーが異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
【0121】
各受光部には、PD(フォトダイオード)を好適に用いることができ、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
発光部E1〜E9を個別に特定する必要がない場合には、任意の発光部を発光部Eiと表示し、発光部Eiに対応する照射用マイクロレンズを照射用マイクロレンズLEi、発光部Eiから射出して照明用集光レンズLEiを通過した検出用光を検出用光Siと表示する。
【0122】
発光部Eiに対応する受光部を受光部Di、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを受光用マイクロレンズLDiと表示する。
【0123】
図15に示す反射型光学センサに用いられている、照射用マイクロレンズアレイを構成する9個の照射用マイクロレンズLEi(i=1〜9)は、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が「同一値」をとる。
同様に、受光用マイクロレンズアレイを構成する9個の受光用マイクロレンズLDi(i=1〜9)も、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が全て「同一値」をとる。
【0124】
しかし、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiは、互いに光学特性が異なる。
【0125】
図15(a)に示すように、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiは、支持部材である転写ベルト側の面が平面、逆側の面が凸面である「凸平レンズ」である。
【0126】
具体的な1例を示すと、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ径:0.415mm、凸レンズ面曲率半径:0.430mm、レンズ厚:1.229mmである。受光用マイクロレンズLDiは、レンズ径:0.712mm、レンズ面曲率半径:0.380mm、レンズ厚:1.419mmである。
照射用マイクロレンズLEiの配列ピッチ(光軸間の距離)は0.4mm、受光用マイクロレンズLDiの配列ピッチ(光軸間の距離)も0.4mmである。
【0127】
照射用マイクロレンズLEiの光軸は、対応する発光部Eiからの光が転写ベルトに反射された反射光を受光部Diに導くために、対応する発光部Eiの中心を通り発光部Ei(の発光面)に垂直な発光部軸に対して平行に「受光系側に0.035mm」ずれ、受光用マイクロレンズLDiの光軸は、より多くの反射光を受光部Diに受光させるため、対応する受光部Diの中心を通り受光部に垂直な受光部軸に対して平行に「照射系側に0.020mm」ずれている。
【0128】
照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiの「副方向におけるレンズ間ピッチ(光軸間の距離)」は0.445mmである。発光部Eiと、それに対応する受光部Diの「副方向における間隔」は、0.500mmである。
発光部から照射用マイクロレンズまでの距離は0.800mm、照射用マイクロレンズアレイの裏面(平面)から支持部材である転写ベルト表面までの距離は5mmである。これらの距離は以下に示す全ての例(モデル)において当てはまる。
また、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイを構成する材質の屈折率は、以下の全ての例において「1.53」である。
【0129】
このような仕様のマイクロレンズアレイ(照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイとを一体として組み合わせたものを言う。以下においても同様である。)を「モデルI」とする。
【0130】
モデルIにおいて、受光用マイクロレンズのレンズ径を照射用マイクロレンズのレンズ径よりも大きくすることにより、トナーパターンからの拡散反射光を「より多く受光」できるようにしている。
また、受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を「照射用マイクロレンズLEiに比べて小さく」することにより、受光用マイクロレンズ内部における全反射が増えるため、正反射光の受光量の低減が可能である。
【0131】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を小さくすることで、点灯させる発光部(例えば、配列方向中央の発光部E5)に対応する受光部D5に隣接する受光部D4とD6に対応して配置した受光用マイクロレンズLD4、LD6通過後の光線を、大きく屈折させることが可能となり、トナーパターンからの「拡散反射光」を、受光部D5から離れた受光部D1、D2、D8、D9等に到達させることでき、これら受光部D1、D2、D8、D9等での「拡散反射光の受光量」の増加も期待できる。
【0132】
個々の照射用マイクロレンズLEiも受光用マイクロレンズLDiも「凸平の球面レンズ」であり、照射用マイクロレンズLEiは、レンズの入射面(凸球面)が集光パワーを有しているが、射出面(平面)は集光パワーを有していない。受光用マイクロレンズLDiは、レンズの入射面(平面)は集光パワーを有していないが、射出面(凸球面)が集光パワーを有している。
【0133】
以下、光学センサ装置2245を用いて行われる濃度検出処理について説明する。
説明の簡単のため、i=1〜9のうちの任意の発光部Eiが点灯し、点灯した発光部Eiからの検出用光Siが、転写ベルト2040によって正反射されたときの、9個の受光部Di(i=1〜9)の受光量の最大値を1に規格化する。
図16(a)は、発光部E1〜E9を個別に発光させたときの受光部D1〜D9の受光量を上記の如く規格化して示している。
なお、以下の説明における受光量は、図21に即して説明するものを除き、全てこの発明の反射型光学センサを用いた計算シミュレーション結果である。
【0134】
図7に示した例では、位置検出用パターンPPが、濃度検出用パターンTPよりも先に「検出用光の照射位置」に移動し、トナーパターンの位置検出処理がトナー濃度検出処理に先立って行われるが、濃度検出用パターンと位置検出用パターンの副方向における作成位置を逆にして、「位置検出用パターンPPより先」に濃度検出用パターンTPの検知を行なうようにしても良いことは言うまでも無い。
説明中の例では、9個の発光部E1〜E9の「配列中央」にある発光部E5の「主方向の中心位置」とトナーパターンの「主方向の中心位置」とが一致するように、転写ベルト2040上にトナーパターンが転写形成される。図16(b)はこの状態を示している。
【0135】
濃度検出用パターンPPの個々の矩形パターンの主方向の長さ:Lpは1.0mmであるので、矩形パターンは、図15(b)の状態(発光部E5の位置が矩形パターンの主方向の中心に位置する状態)では、図15(e)に示すように、3つの検出用光S4、S5、S6で照射される。
【0136】
なお、発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯させ、そのときの各受光部の受光量に基づいて、トナーパターンの位置を確認することができる。このときの各受光部D1〜D9の受光量を図16(c)に示す。
発光部E4〜E6を個別に点灯させたときの各受光部D1〜D9の受光量が、他の6個の発光部E1〜E3、E7〜E8を個別に点灯させたときに比べて低い(最大受光量:1に達しない。)ことから、検出用光S4〜S6が照射される位置に、トナーパターンが確かに存在していることがわかる。
従って、トナー濃度検出には検出用光S4〜S6を用いればよいが、説明の簡単のために「発光部E5を点灯させたときの受光量分布」をトナー濃度検出に用いることとする。これは、これから示す全ての例に当てはまる。
【0137】
計算シミュレーションの条件として、発光部Eiから射出した光線は、図16(d)の左図に示すように、転写ベルト表面を照射する際には「正反射のみ」であるが、トナーパターンに照射された場合には、図16(d)の右図に示すように「均等拡散するだけでなく、正反射成分」も幾分か含んでいる。
計算シミュレーションの条件として「転写ベルトによる反射率」を100%とした。トナーパターンに照射された検出用光は、50%がトナーパターンを透過し、50%が反射されるものとした。
50%の反射のうち、拡散反射成分はその中の50%とし、残りを正反射成分とした。
【0138】
1例として、図15(e)(f)で、反射型光学センサの前方に矩形パターンが移動してくるとき、プリンタ制御装置2090は発光部E4〜E6を「順次、繰り返して点灯」させる。
【0139】
検出用光S4〜S6は、図15(f)に例示するように、矩形パターンの表面で正反射するとともに拡散反射する。
以下、正反射した光を「正反射光」、拡散反射した光を「拡散反射光」ともいう。
【0140】
各反射型光学センサの「処理装置(図示されず)」は、検出用光S5が矩形パターンを照射したときの受光部D1〜D9の出力信号に基づいて、各受光部Diの受光量を個別に求め、それぞれ検出受光量として「図示されないメモリ」に格納する。
【0141】
図16(c)の中段中央の図は、検出用光S5が矩形パターンp5を照射したときの、各受光部Diの受光量を示している。この状態では、検出用光S5が転写ベルト2040の表面を照射したときに比べ、受光部D4〜D6が受光する正反射光が減少する一方、拡散反射光が受光部D4〜D6以外の受光部で受光されている。
【0142】
一般に「矩形パターンPiにおけるトナー濃度」が増加するにつれて、矩形パターンによる反射光のうち、正反射光は単調に減少し、拡散反射光は単調に増大する。
【0143】
プリンタ制御装置2090(図1)は、図16(b)に示すように、検出用光S5が、矩形パターンTP1を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「イエローのトナー濃度が適切であるか否か」を判断し、矩形パターンTP2を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「マゼンタのトナー濃度の適否」を判断し、矩形パターンTP3を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「シアンのトナー濃度の適否」を判断し、矩形パターンTP4を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「ブラックのトナー濃度の適否」を判断する。
【0144】
プリンタ制御装置2090が「トナー濃度が適切でない」と判断すると、同制御装置2090は、トナー濃度が適切となるように「対応するステーション」の現像処理系を制御する。
【0145】
次に、各受光部Diの受光量を用いるトナー濃度検出について説明する。
図16(a)に示したように、検出用光の照射部分が「検出用光に対して正反射体である転写ベルト」の場合、発光部E5を点灯すると、転写ベルトによる正反射光は発光部E5に対応する受光部D5とそれに隣接する受光部D4、受光部D6でのみ受光される(受光部D3と受光部D7においても正反射光は僅かながら受光されているが、受光部D4〜D6の受光量に比べて無視できる程度であるので、受光部D3とD7における受光量は0とした)。
【0146】
検出用光がトナーパターンに照射されるときは、図16(c)に示すように、反射光は「全受光部D1〜D9」で受光される。
発光部E5が発光しているとき、受光部D1〜D3とD7〜D9における受光量が「拡散反射光によるもの」であることは容易にわかる。正反射光は、受光部D4〜D6でのみ受光されるからである。
受光部D4〜D6における受光量は、トナーパターンからの正反射光と拡散反射光の両方による受光量である。この3つの受光部D4〜D6における受光量を「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに正確に分けることは困難であるので、以下の2つの仮定を用いて、受光部D4〜D6における受光量を取り扱う。
【0147】
「第1の仮定」では、発光部E5を発光させたときの「受光部D4〜D6での受光量」のうち、受光部D5における受光量は、検出用光の照射される部分が転写ベルト表面であれトナーパターンであれ「全て正反射光」による受光量とする。
受光部D4と受光部D6における受光量は、トナーパターンによる、正反射光の受光量と、拡散反射光の受光量の両方が混在している。
第1の仮定による取り扱い(以下「第1の取り扱い」という。)では「2つの受光部D4、D6の受光量」はトナー濃度検出に用いない。即ち、この取り扱いでは、発光部E5からの検出用光がトナーパターンを照射する場合、受光部D1〜D3とD7〜D9における受光量が全て「拡散反射光による受光量」となる。
【0148】
「第2の仮定」では、発光部E5を発光させたときの受光部D5の受光量は、検出用光が、転写ベルト表面を照射する場合も、トナーパターンを照射する場合も「全て正反射光による受光量」と仮定し、検出用光の照射部分が、転写ベルトであるときの受光量分布と、トナーパターンである時の受光量分布とを用い、受光部D4と受光部D6における受光量を「トナーパターンの正反射光による受光量と、トナーパターンの拡散反射光による受光量とに分割」する。
【0149】
この第2の仮定による取り扱い(以下「第2の取り扱い」と言う。)は、第1の取り扱いに比べて「受光量の情報をより有効に利用」できる反面、第1の取り扱いに比べると複雑である。第2の取り扱いについては後述する。
【0150】
上記第1の取り扱いを、前述のマイクロレンズアレイのモデルIに適用して、トナーパターン(以下、トナーパターンp5の濃度のトナーパターンを指す。)を検知した際の各受光部D1〜D9の受光量を図16(e)に示す。
表中の「D_ALL」は、受光部D1〜D9の「受光量の和」を表し、表中の「正」は受光部D5の受光量、表中の「拡散」は、受光部D1〜D3と受光部D6〜D9の計6個の受光部の「受光量の和」を表している。なお、数値に付せられた「E−03」等は、当該数値に「10−3」を掛けることを意味する。以下においても同様である。
【0151】
受光部D1〜D9の受光量は「検出用光による照射部が転写ベルトである場合」の受光部D5での受光量で規格化され、以下に示す他の例における受光量も同様に、検出用光による照射対象が転写ベルトである場合における各受光部の受光量を「モデルIのマイクロレンズアレイを用いた場合の受光部D5の受光量」で規格化した値を表す。
【0152】
マイクロレンズアレイ(照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイを前述の如く組み合わせたもの)のモデルIに対する比較例として、マイクロレンズアレイのモデルの2例、即ち、基準モデルIと基準モデルIIを挙げる。
【0153】
「基準モデルI」は、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て同一であるマイクロレンズアレイのモデルである。即ち、基準モデルIでは、18個の同一のマイクロレンズにより、照射用マイクロレンズアレイおよび受光用マイクロレンズアレイが形成される。
「基準モデルII」は、受光用マイクロレンズのレンズ径とレンズ厚が、照射用マイクロレンズのレンズ径とレンズ厚よりも大きいが、レンズ面曲率半径は照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで同一値をとるマイクロレンズアレイのモデルである。
【0154】
基準モデルIでは、上記の如く、各照射用マイクロレンズと各受光用マイクロレンズは同一形状である。具体的1例を挙げると、マイクロレンズのレンズ径は0.529mm、レンズ面曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.228mmである。
各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部の検出用光を受光部に有効に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に対して平行に、受光系側に0.035mmずれ、各受光用マイクロレンズの光軸は、より多くの反射光を受光できるように、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に照射系側に0.020mmずれている。
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0155】
図17(a)は、基準モデルIを主方向から見た様子、図17(b)は基準モデルIを発光部・受光部の配列面に直交する方向から見た様子を示している。
【0156】
図17(c)は、発光部E1〜E9から射出された検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示し、図17(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
図17(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子を示し、図17(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
【0157】
図17(g)は、上記第1の取り扱いを基準モデルIに適用して、転写ベルトとトナーパターンに検出用光を照射したときの受光部D1〜D9の受光量分布を示す。
図17(h)は、上記第1の取り扱いをモデルIと基準モデルIに適用して、転写ベルトとトナーパターンに検出用光を照射したときの受光量を示す。また、マイクロレンズアレイの裏面から転写ベルト表面までの距離は、両モデルとも5mmである。
【0158】
図17(h)から明らかなように、マイクロレンズアレイのモデルIは、基準モデルIに比べ、トナーパターンからの「拡散反射光の受光量」が約80%増加している。これは、受光用マイクロレンズのレンズ径が大きくなった事と、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を照射用マイクロレンズよりも小さくしたことが要因として考えられる。
モデルIでは「拡散反射光の受光量」は増加するが、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が小さいことにより「受光用マイクロレンズのレンズ厚さ」が増加している。
【0159】
受光用マイクロレンズと照射用マイクロレンズとの「レンズ厚の差分」は約0.190mmとなり、マイクロレンズアレイの加工が若干困難となる。
【0160】
「基準モデルII」では、各受光用マイクロレンズのレンズ径を0.671mm、レンズ面曲率半径を0.430mm、レンズ厚を1.319mmとした。
各照射用マイクロレンズのレンズ径は0.455mm、レンズ面曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.228mmとした。レンズ径は「基準モデルIに比べて一回り」小さい。
各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部からの光を反射により受光部に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に対して平行に、受光系側に0.035mmずれ、各受光用マイクロレンズの光軸は、より多くの反射光を受光するために対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に、照射系側に0.020mmずれている。
【0161】
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0162】
発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmである。
【0163】
図18(a)は基準モデルIIを主方向から見た様子、図18(b)は基準モデルIIを「発光部・受光部の配列面に直交する方向」から見た様子を示し、図18(c)は、発光部E1〜E9から射出された検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示している。
図18(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子、図18(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子、図18(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子をそれぞれ示している。
【0164】
図18(g)は、上記第1の取り扱いを基準モデルIIに適用して、検出用光を転写ベルトとトナーパターンに照射したときの受光部D1〜D9の受光量分布を示す。
図18(h)は、上記第1の取り扱いをモデルIと基準モデルIIとに適用して、検出用光を転写ベルトとトナーパターンに照射したときの受光部D1〜D9の受光量を示す。
【0165】
図18(h)から明らかなように、モデルIは「比較例としての基準モデルII」に比べて拡散反射光の受光量が約5%増加している。これは、転写ベルトからの正反射光の、受光部D5による受光量が減少し、トナーパターンからの拡散反射光の受光部D1〜D3、D7〜D9での受光量が増加していることが要因となっている。
【0166】
次に、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの組み合わせについてのモデルIIを説明する。
【0167】
モデルIIでは、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て異なり、且つ、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚の何れにおいても、受光用マイクロレンズが「照射用マイクロレンズのもの」よりも大きな値をとる。
【0168】
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0169】
モデルIIでも勿論、照射用マイクロレンズアレイを構成する全ての照射用マイクロレンズは、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が同一である。受光用マイクロレンズアレイを構成する全ての受光用マイクロレンズでも、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚は同一である。
【0170】
モデルIIのマイクロレンズアレイでは、モデルIに比して「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの全体としての大きさ(照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ径の和)」をモデルIの場合と略同じとし、レンズ径の配分比率だけを変化させた。
また、拡散反射光の受光量だけでなく、マイクロレンズアレイ取り付け時の公差に相当する「副方向におけるレンズの「副方向シフトずれ(理想位置から±0.020mmのずれを仮定)」についても検証する。
「副方向シフトずれ」は、マイクロレンズアレイ全体が、主方向と副方向で形成される2次元平面内で、副方向にずれる量を指す。
【0171】
モデルIIは、発光部から照射した検出用光を有効的に受光部に導光させるために、モデルIに比べて照射用マイクロレンズのレンズ径を大きくし、受光用マイクロレンズのレンズ径をモデルIに比べて小さくする構成とした。その結果、照射用マイクロレンズのレンズ径は0.455mm、受光用マイクロレンズのレンズ径は0.700mmとなった。
【0172】
転写ベルト上に照射される検出用光のビーム径が0.500mm以下となるように、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を0.470mmとした。また、マイクロレンズアレイの加工性を考慮して、受光用マイクロレンズのレンズ厚が、照射用マイクロレンズのレンズ厚と同程度となるようにし、さらに、受光部をなす受光面内の感度ムラの影響を考慮し、受光部の広範囲を反射光が照射するように、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を、モデルIおよび基準モデルIIに比して大きくする条件のもとで、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を適正化して、この条件下で拡散反射光の受光量が最大となるようにした。
マイクロレンズアレイ取り付け時に「副走査シフトずれ」が生じた場合、理想状態から副方向の「正または負の方向」に絶対値で同じ量だけマイクロレンズがずれたときの「受光部出力の低下分」が等しくなるように、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの副方向における間隔も適正化した。
このようにして、モデルIIにおいて、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径は0.750mm、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの副方向における間隔は0.480mmとなった。また、照射用マイクロレンズのレンズ厚は1.189mm、受光用マイクロレンズのレンズ厚は1.216mmである。
【0173】
なお、発光部とこれに対応する受光部の間の「副方向における間隔」は、0.500mmである。
【0174】
モデルIIのマイクロレンズアレイは、上記の如く設定された理想状態では、各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部からの検出用光の反射光を良好に受光部に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に平行に、受光系側に0.035mmずらされ、各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に「照射系側から遠ざかる方向」に0.015mmずらされている。
【0175】
図19(a)はモデルIIを主方向から見た様子、図19(b)はモデルIIを「発光部・受光部の配列方向に直交する方向」から見た様子、図19(c)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示している。
図19(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子、図19(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子を示している。
図19(f)は、転写ベルトとトナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
【0176】
図19(g)は、モデルIIのマイクロレンズアレイを用いて「転写ベルトとトナーパターン」を検知したときの受光量分布を示す。図19(h)は、モデルIIとモデルIのマイクロレンズアレイを用いて「転写ベルトとトナーパターン」の検知を行なったときの受光量を示す。
モデルIIを用いた場合、拡散反射光の受光量は、モデルIを用いた場合に比べて10%程度少なくなっている。
【0177】
図19(i)には、モデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIを用いて転写ベルトを検知する際に「副方向シフトずれが起こらない場合(理想状態と呼ぶ。)」と、副方向シフトずれ(図19(i)において「Yシフトずれ」と表示している。)が±0.020mm起こった場合の「D_ALLの変化」を示す。
「D_ALL」は、受光部D1〜D9の「受光量の和」を表し、表中の「正」は受光部D5の受光量、表中の「拡散」は、受光部D1〜D3と受光部D6〜D9の計6個の受光部の「受光量の和」を表している。
【0178】
「D_ALL」は、各モデルについて「理想状態での値」を1に規格化している。
この結果から、モデルI、基準モデルI、基準もデルIIでは、照明系・受光系・マイクロレンズアレイの全体が、副方向の負方向に「Y=−0.02mm」ずれた場合と、正方向に「Y=0.02mm」ずれた場合とで、相対受光量は、正方向にずれたときのほうが「より大きく」減少するが、モデルIIの場合においては、減少の程度が「副方向のずれ」の正・負の方向に対して略対称的であり、このことから、モデルIIを用いることにより、副方向シフトの影響を、他のモデルのマイクロレンズアレイを用いる場合よりも有効に軽減できることが分かる。
【0179】
即ち、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て異なり、受光用マイクロレンズにおけるレンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚の全てが「照射用マイクロレンズのものよりも大きな値」を取り、各受光用マイクロレンズの光軸を、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して、照射系から遠ざかる方向にずれるように配置することにより、拡散反射光の受光量が増大し、且つ「副方向シフトずれ」の影響の小さいマイクロレンズアレイを実現できる。
【0180】
以下、前述の「第2の取り扱い」をモデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIに対して適用する場合を説明する。
【0181】
説明上の例として、第2の取り扱いをモデルIに適用する場合を考える。
【0182】
第1の取り扱いでは、検出用光がトナーパターンを照射する場合、受光部D5における受光量は全て正反射光による受光量と見なし、トナーパターンからの「正反射光による受光量」と「拡散反射光による受光量」とが混在した状態となっている受光部D4と受光部D6の受光量は、トナー濃度検出には用いない。
受光部D4と受光部D6における受光量を、正確にトナーパターンによる「正反射光による受光量」と「拡散反射光による受光量」とに分けることは困難であるため、第2の取り扱いの適用の場合は、第1の取り扱いの場合と同様、点灯する発光部E5に対応する受光部D5は、検出用光が転写パターンを照射するかトナーパターンを照射するかに拘わらず「正反射光」であるとする。
【0183】
従って、トナーパターンからの反射光の場合、受光部D1〜D3、D7〜D9における受光量は全て拡散反射光の受光量である。これ以外の3個の受光部D4〜D6における受光量を「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量」とに分離するが、点灯する発光部E5に対応する受光部D5の受光量を「正反射光の受光量」とするのであるから、受光部D4、D6の受光量を「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量に分離」すればよい。
転写ベルトからの反射光の場合、受光部D4の受光量をA0、受光部D5の受光量をB0、受光部D6の受光量をC0とし、トナーパターンからの反射光の場合には、受光部D4の受光量をA1、受光部D5の受光量をB1、受光部D6の受光量をC1とする。
検出用光の照射対象が転写ベルトからトナーパターンに変わっても「正反射光の各受光部における配分比率」は変化しないので、トナーパターンからの反射光の場合、受光部D4の受光量のうち、A0をB0で除した値にB1を乗じた「B1・A0/B0」が正反射光の受光量となり、「A1−(B1・A0/B0)」が拡散反射光の受光量となる。
同様に、受光部D6の受光量:C0をB0で除した値にB1を乗じた「B1・C0/B0」が正反射光の受光量となり「C1−(B1・C0/B0)」が拡散反射光の受光量となる。
【0184】
このように、第2の取り扱いによれば、受光部D4とD6の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とに分離できる。
モデルII、基準モデルI、基準モデルIIについても、上記と同様にして「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量との分離」を行なうことができるが、ここでは、分離の結果とモデルIとの比較を示す。
【0185】
図20(a)に、第2の取り扱いをモデルIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
図20(b)には、第2の取り扱いをモデルIIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0186】
図20(c)には、第2の取り扱いを基準モデルIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0187】
図20(d)には、第2の方法と基準モデルIIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0188】
図20(e)には、上記モデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIに第2の取り扱いを適用したときの各受光部の受光量をまとめた結果を示す。
図20(f)には、これら4モデルを用いる各場合について「副走査シフトずれ」が生じていない理想状態と、副走査シフトずれ(図20(f)において「Yシフトずれ」と表示している。)が、「Y=±0.02mm」生じた場合につき、図19図(i)に倣って示す。
図20から明らかなように、モデルIIでは「トナーパターンによる拡散反射光の受光量」に関してはモデルIと同程度であり、且つ、モデルI、基準モデルI、基準モデルIIに比べて、「副走査シフトずれ」に対して強い構成となっている。
【0189】
ここで、モデルIIを代表例として「トナー濃度の異なるトナーパターン」による各受光部の受光量から、どのようにトナー濃度を定量化するかを説明する。
【0190】
モデルIIを用いた反射型光学センサで、転写ベルトと「異なる濃度のトナーパターンp1〜p5」とを検知するとき、各受光部の受光量が図21(a)のようになるものとする。なお、図21に示す受光量はシミュレーション結果ではなく概算値である。
第2の取り扱いによりトナーパターンp1、p2、p3、p4、p5による反射光の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量に分けた結果を、図21(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に順次示す。
【0191】
これらの図において、正反射光の受光量の合計値をD(正)、拡散反射光の受光量の合計値をD(拡)とする。
図21(g−1)に、トナーパターンp1〜p5を検知したときのD(正)の変化を示す。図示のように、トナー濃度が高くなるにつれてD(正)は減少する。これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度とD(正)は1対1対応している。換言すれば、D(正)の計測により、計測されたD(正)に対応するトナー濃度が求められる。
【0192】
図21(g−2)に、トナーパターンp1〜p5を検知したときのD(拡)の変化を示す。D(拡)は、トナーパターンp1〜p4を検知した際は、トナー濃度が高くなるにつれて増加しているが、トナーパターンp5を検知した際に減少に転じている。
直感的に考えると、D(拡)は「矩形状トナーパターンを構成するトナーの濃度が高くなるに従い、付着トナーが多くなるのであり、拡散反射光の増加により増大する」ように思われるが、図21(g−2)ではそのようになっていない。
これは、検知出力結果を差し引き演算していることに起因している。
【0193】
図21(g−3)に、D(拡)/D(正)を演算により求めた結果を示す。
図21(g−3)に示された縦軸:D(拡)/D(正)の値は、矩形状トナーパターンをなすトナーの濃度が、矩形状トナーパターンp1〜p5の順に高くなるにつれて増加する「単調な関数」になっている。従って、この「D(拡)/D(正)」を計測すれば、各矩形状トナーパターン(図21(g−3)の横軸)に対応したトナー濃度が求められる。
【0194】
図21(g−4)には、図21(g−1)に示した「正反射光の受光量」を基準値(ここでは転写ベルト表面による正反射光の受光量)で規格化した「相対正反射率」を示す。 図21(g−5)には、図21(g−3)に示した「D(拡)/D(正)」を、基準値(ここでは最大濃度での拡散反射寄与分)で規格化した値を示す。
【0195】
このように拡散反射寄与分の分割出力:D(拡)を正反射寄与分の分割出力:D(正)
で除した値:D(拡)/D(正)を用いて新たな値を求め、これからトナー濃度を求めて
も良い。
【0196】
上記各種モデルについて上に説明したマイクロレンズアレイは、図15(a)等に示したように「照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが、一体として形成された」ものであり、請求項6にかかる発明を特徴づけるものである。
【0197】
図15(a)等では、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの配列方向である「主方向」から見た状態が示され、これらマイクロレンズの配列状態については上の説明で特に言及しなかった。
【0198】
上に説明した各モデルとも、照射用マイクロレンズの主方向の配列ピッチは0.4mmであり、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離は0.5mmである。
【0199】
これに対し、例えば「モデルI」においては、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ径:0.415mmであり、受光用マイクロレンズLDiは、レンズ径:0.712mmである。
【0200】
従って、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiを上記の「レンズ径を持つ円形のレンズ面」としたのでは、これらマイクロレンズを「主方向に配列ピッチ:0.4mmでアレイ配列」することはできない。
【0201】
即ち、アレイ配列された照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズは「主方向のレンズ面幅」が0.4mmである。
【0202】
従って、上に説明した各モデルのマイクロレンズアレイは、各マイクロレンズの光軸の方向から見た状態では、図21(h)の上部左図に示す如きものとなる。
即ち、互いに対応する「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズと」は、副方向において相互に接して、副方向に長い「長円状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向(主方向)に、発光部の配列ピッチ(説明中の例で0.4mm)と同一ピッチで接触しあっている(請求項6)。
【0203】
上に説明した各モデルにおいて、マイクロレンズのレンズ径として挙げた数値は、上記長円状の複合レンズ面を構成する照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの「副方向における径」である。このような形状でも、当然にレンズ面積は受光用マイクロレンズの方が照射用マイクロレンズよりも大きい。
【0204】
図21(h)に示す実施の形態では、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイを一体化した「マイクロレンズアレイ」の「裏面」側に、「遮光膜」を設けている(請求項4)。
【0205】
任意の発光部を点灯させたとき、発光部からの光は該発光部に対応する照射用マイクロレンズのみではなく、該照射用マイクロレンズの周囲に配置された複数のマイクロレンズ(照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ)を透過して、転写ベルトあるいはトナーパターンを照射する場合がある。
このような光は、検出用光に対して「フレア光(迷光)」となり、トナーパターンを照射すると、各受光部の受光量に変化を生じさせる。フレア光に起因する受光量の変化が、無視できる程度を超えるとトナーパターンの位置・トナー濃度の誤検知を生じる。
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方の、表面もしくは裏面、または表面と裏面の所定の領域に遮光膜を設けることにより、フレア光の影響を軽減もしくは除去することができる。
【0206】
図21(h)に示すように、遮光膜と「マイクロレンズの副方向の端部」との間隔:sを0.300mm以下にすれば、フレア光がトナーパターンを照射したときの拡散反射光の受光量は、検出用光がトナーパターンを照射したときの、各受光部の中の最大受光量に対して0.1%程度になるため、フレア光によるトナーパターンの「位置・トナー濃度」の検知への影響は無視できるようになる。
図21(h)は、マイクロレンズアレイの「裏面にのみ遮光膜を設けた」場合を示しているが、マイクロレンズアレイの表面側の所定の位置に遮光膜を設けることで、上述したような効果が得られるのであれば、マイクロレンズアレイの表面のみに遮光膜を設けてもよく、マイクロレンズアレイの表面と裏面の両面に遮光膜を設けても良いことは言うまでも無い。
図21(h)に示した例では、互いに対応する「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズと」は、副方向において相互に接して、副方向に長い「長円状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向(主方向)に、発光部の配列ピッチ(説明中の例で0.4mm)と同一ピッチで接触しあっているが、複合レンズ面はこのような「副方向に長い長円状」に限らず、図21(i)に示すように、「副方向を長手方向とする長方形形状(短冊形状)」としてもよい。遮光膜を設けても良いことは、図21(h)の場合と同様であり、遮光膜の設け方も、図21(h)の場合と同様である。
【0207】
図21(i)に示した例における「マイクロレンズのレンズ径」は、長方形形状の複合レンズ面を構成する照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズにおける「副方向における径」である。このような形状でも、当然にレンズ面積は受光用マイクロレンズの方が照射用マイクロレンズよりも大きい。
【0208】
先に、図16に示す例に関連して「発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯させ、そのときの各受光部の受光量に基づいて、トナーパターンの位置を確認できる」ことを述べた。この場合、発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯するのにかかる時間が長いと、この時間の間にトナーパターンは副方向へ移動しているので、反射型光学センサとトナーパターンの位置関係が変化し、検出精度に影響することが考えられる。
このような場合、請求項9記載の発明のように、N個の発光部を「配列方向にm組に分割して、各組が略等数の発光部を有するようにし、各組の発光部を「配列順に同期して点滅」させる照射制御装置を有するようにすることができる。
【0209】
上に説明した各例のように、N=9の場合、これを配列方向に3組に分割し、各組に3個の発光部が配分されるようにできる。
即ち、発光部E1〜E3を第1組、発光部E4〜E6を第2組、発光部E7〜E9を第3組とする。
【0210】
そして、第1〜第3組の各発光部を配列順に同期して点滅させる。
即ち「第1組の発光部E1と第2組の発光部E4と第3組の発光部E7」を同時に点滅させ、次に「第1組の発光部E2と第2組の発光部E5と第3組の発光部E8」を同時に点滅させ、続いて「第1組の発光部E3と第2組の発光部E6と第3組の発光部E9」を同時に点滅させる。
【0211】
このようにすると、発光部E1〜E9を順次に点滅させる場合に比して、9個の発光部全てを点滅させる回数を3回に減らすことができ、この間のトナーパターンの変位量も小さいので、長方形のトナーパターンp1等の副方向の長さ:Wp(図9参照)を小さくでき、あるいはトナーパターンの移動速度が速くなっても検出を対応させ得る。
【0212】
次に、反射型光学センサを用いる「トナーパターンの位置検出処理」を説明する。
反射型光学センサとして前述のモデルIのマイクロレンズアレイを用いるものを例にとる。なお、説明の簡単のため、図22(a)に示すように、発光部Ei(i=1〜9)を点灯させ、検出用光Si(i=1〜9)が転写ベルト2040によって正反射されたときの受光部Di(i=1〜9)の受光量の最大値を1とする。
図22(b)に示すように、位置検出用パターンは、主方向に関して、発光部E5の中心位置とトナーパターンの中心位置とが一致するように転写ベルト2040上に転写されているものとする。
【0213】
図1に示すプリンタ制御装置2090は、位置検出用パターンPPが反射型光学センサに近づくタイミングを計って、発光部E5を連続点灯させる。
発光部E5からの検出用光は、転写ベルト2040の回転につれて、ライン状パターンLPY1〜LPK2を順次照射する(図22(c)(A)参照)。
【0214】
そして、プリンタ制御装置2090は、各受光部の出力信号を時間的に追跡し、検出用光が、ライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPM1を照射するまでの時間:Tym、ライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPC1を照射するまでの時間:Tmc、ライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPK1を照射するまでの時間:Tckを検出する(図22(c)(B)参照)。
【0215】
各受光部の出力信号は、増幅・反転され、所定の基準値と比較する比較回路を介している。
【0216】
プリンタ制御装置2090は、時間:Tym、Tmc、Tckが略同じであれば「各色トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正である」と判断し、時間:Tym、Tmc、Tckが「略同じでない」場合には「各色トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがある」と判断する。
プリンタ制御装置2090は、上記位置関係にずれがあると判断した場合には、時間;Tym、Tmc、Tck相互の時間差から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量を走査制御装置に送る。走査制御装置は、入力された「ずれ量」を0とするように、対応するステーションにおける光走査開始のタイミングを調整する。
【0217】
プリンタ制御装置2090はまた、検出用光が、ライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPY2を照射するまでの時間:Ty、ライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPM2を照射するまでの時間:Tm、ライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPC2を照射するまでの時間:Tc、ライン状パターンLPK1を照射してからライン状パターンLPK2を照射するまでの時間:Tkを検出する(図22(c)の参照)。
【0218】
そして、プリンタ制御装置2090は、時間:Ty、Tm、Tc、Tkを「これらの時間について予め定められている基準時間」と比較する。そして、時間:Ty、Tm、Tc、Tkがいずれも、これらに対する基準時間と同じであれば、プリンタ制御装置2090は「各色トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正である」と判断する。
【0219】
プリンタ制御装置2090は、例えば、時間:Tyがその基準時間と異なっていれば、次の(1)式を用い、イエロートナー画像の「主方向に関する位置ずれ量:ΔS」を求める(図22(d)(A)及び図22(d)(B)参照)。
ΔS=V・ΔT・cotθ ……(1)
式(1)における「V」は転写ベルト2040の副方向への移動速度、「ΔT」は時間:Tyとその基準時間との差、「θ」はライン状パターンLPY2の主方向に対する傾斜角である。算出された位置ずれ量:ΔSは走査制御装置に入力される。
【0220】
走査制御装置は「入力された位置ずれ量:ΔSが0となる」ように、Yステーションを調整する。プリンタ制御装置2090はまた、位置ずれ量:ΔSから「主方向に関するトナーパターンの中心位置」を求める。
【0221】
上には、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置の形態によっては、感光体ドラムや中間転写ベルト上のトナーパターンを検出できることは言うまでも無い。
【0222】
画像形成装置として、複数の感光体ドラムを備えたカラープリンタ2000につき説明したが、これに限らず、例えば1つの感光体ドラムを備え、単色の画像を形成するプリンタにも適用できる。
【0223】
また、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
【0224】
また、説明は省いたが、現像ローラによって前記潜像にトナーが付着後の感光体ドラム上におけるトナーパターンのトナー濃度および位置、あるいはトナー濃度または位置を検出する場合においても、この発明の反射型光学センサは適用可能である。
【0225】
また、上には「表面が滑らかな転写ベルト(表面での反射が正反射のみ)」の場合を挙げたが、「表面が滑らかでない転写ベルト(表面での反射が拡散反射も含む)」についても上記考え方は適用できる。
すなわち、適宜の手段を用いて「正反射体による検知出力分布」を測定できれば、それ
を用いて「正反射寄与分と拡散反射寄与分に分割する」ことが可能である。
例えば、予め正反射体を用いて検知出力分布を測定しておき、測定された分布をメモリ
等に記憶しておくこともできるし、転写ベルトの一部に「表面が滑らかな部分」を形成し、この部分での正反射を検出することもできるし、可動式の正反射体を画像形成装置中に
備えて、必要なときにその正反射体を可動して検出することもできる。
【0226】
上に説明したところから明らかなように、請求項7に記載の「支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第1の基準受光量と、支持部材上のトナーパターンが検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第2の基準受光量とを参照し、第2の基準受光量を、拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する処理手段」や、請求項9の照射制御装置は、上に説明した実施の形態において、プリンタ制御装置2090により実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0227】
【特許文献1】特開平1− 35466号公報
【特許文献2】特開2004− 21164号公報
【特許文献3】特開2002− 72612号公報
【特許文献4】特開2004−309292号公報
【特許文献5】特開2004−309293号公報
【特許文献6】特開2009−258601号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、反射型光学センサおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーによって画像を形成する画像形成装置としては、複写機、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ装置、マルチファンクションプリンタ(MFP)等が広く知られている。
このような画像形成装置では、一般に、潜像担持体である「感光性を有するドラム」の表面に静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーにより可視化する現像を行って「トナー画像」を得ている。
【0003】
トナー画像を得るための現像方式には、トナーとキャリアを含む2成分系の現像剤を用いる2成分現像方式や、トナーのみで構成された現像剤を用いるモノトナー現像方式等、種々の方式が知られている。
【0004】
現像方式の如何に拘わらず、良好なトナー画像を得るためには「静電潜像の現像に供されるトナー量」が適正でなければならない。静電潜像に十分な量のトナーが供給されないと、画像形成装置から出力される画像(出力画像)は「濃度の不十分な画像」となってしまう。一方、静電潜像に供給されるトナー量が過剰であると、出力画像における濃度分布が「高濃度側」に偏り、見づらい画像となってしまう。
静電潜像の現像に供されるトナー量の適否を見るために、静電潜像を形成する潜像担持体や「潜像担持体上のトナー画像を転写紙等のシート状記録媒体に転写する転写ベルト」に、トナー濃度検出用のパターン(トナーパターン)を形成し、このトナーパターンに検出用光を照射し、反射光の光量変化により、トナー濃度の適否を判定することが広く行なわれている(特許文献1〜5等)。
【0005】
上記「トナー濃度」は、トナー画像としてのトナーパターンの「画像濃度」である。
トナーパターンは、潜像担持体の帯電電位や、露光量、現像バイアス等の作像条件を基準化した「基準作像条件」で形成され、検出光により照射されたときの反射光の強度はトナー濃度に対応的に変化するので、反射光の光量を検出することにより、基準作像条件下でのトナー濃度の高低を知ることができる。
トナー濃度が高い(低い)ことは、静電潜像に供給されるトナー量が多い(少ない)ことを意味するので、検出されるトナー濃度に応じて「現像部へのトナー補給を制御」したり、作像条件を調整したりして適正なトナー画像を得ることが可能である。
【0006】
出願人は先に、トナーパターンのトナー濃度を検出する新規な「反射型光学センサ」を提案した(特許文献6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、トナーパターンのトナー濃度や位置を「より高精度」に検出できる反射型光学センサの実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の「反射型光学センサ」は、所定の副方向へ移動する支持部材の表面に形成されたトナーパターンの「トナー濃度もしくは位置」、またはトナーパターンの「トナー濃度および位置」を検出するために用いられる反射型光学センサである。
「支持部材」は、トナーパターンを形成される部材であり、具体的には潜像担持体、あるいは転写ベルトである。
「潜像担持体」は光導電性の感光体(ドラム状あるいはベルト状である。)であって、その表面の帯電と露光とにより静電潜像を形成される。
「転写ベルト」は、潜像担持体に形成された静電潜像をトナーにより可視像化したトナー画像を、転写紙等の「シート状記録媒体」に転写するベルトであり、シート状記録媒体を搬送しつつ潜像担持体上のトナー画像を直接にシート状記録媒体に転写させる「直接転写ベルト」であることもできるし、潜像担持体上のトナー画像を転写され、転写されたトナー画像をシート状記録媒体に再転写する「中間転写ベルト」であることもできる。
【0009】
潜像担持体の静電潜像形成面の移動する方向、あるいは転写ベルトのベルト面が移動する方向が「副方向」である。潜像担持体に対して光走査を行なう露光方式では、光走査の主走査方向に直交する副走査方向が上記「副方向」に相当する。
【0010】
「トナーパターン」は、支持部材に先ず、静電潜像パターンとして形成され、ついで現像によりトナー画像化されてトナーパターンとなる。反射型光学センサによる検出は、トナーパターンが潜像担持体に形成された状態、もしくは転写ベルト上に転写された状態で行なわれる。
【0011】
請求項1の反射型光学センサは、照明系と、受光系と、照射用マイクロレンズアレイと、受光用マイクロレンズアレイとを有する。
【0012】
「照明系」は、N(≧3)個の発光部を1方向に等間隔に配列一体化してなり、上記各発光部から検出光を放射する。発光部としてはLEDを好適に用いることができ、従って、照明系として「LEDアレイ」を好適に用いることができる。
【0013】
「受光系」は、N個の受光部を、発光部の配列ピッチと同ピッチで、1方向に配列一体化してなる。受光部としては「フォトダイオードもしくはフォトトランジスタ」を好適に用いることができ、従って、受光系として「フォトダイオードアレイやフォトトランジスタアレイ」を好適に用いることができる。
【0014】
「照射用マイクロレンズアレイ」は、同一形状で「同一の正のパワー」を持つN個の照射用マイクロレンズを、N個の発光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる。
「受光用マイクロレンズアレイ」は、同一形状で「同一の正のパワー」を持つN個の受光用マイクロレンズを、N個の受光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる。
【0015】
照明系の発光部の配列方向(上記1方向)、受光系の受光部の配列方向、照射用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向、受光用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向は互いに平行で、上記副方向に対して直交もしくは所定の角をなす。
【0016】
発光部から放射された光束が、照射用マイクロレンズを介して支持部材に検出用光として照射され、支持部材による反射光が受光用マイクロレンズを介して受光部に入射するように、照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が定められている。
【0017】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは同一の光学材料により形成され、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ共に「平凸形状」である。
発光部・受光部、照射用マイクロレンズ・受光用マイクロレンズの配列ピッチは、0.1mm〜1.0mm程度の範囲が好適である。
【0018】
各照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の中心を通り、該発光部(の表面)に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して「受光系側へ所定距離」ずらされている。
各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する受光部の中心を通り、該受光部(の表面)に垂直な受光部軸に対して平行で、上記受光部軸に対して、上記照明系に「近づく側もしくは遠ざかる側」にずらされている。
【0019】
照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも、互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きい。
【0020】
なお「レンズ面曲率半径」は、照射用マイクロレンズ・受光用マイクロレンズにおいて「凸レンズ面のレンズ面曲率半径」である。
【0021】
請求項1記載の反射型光学センサは、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径よりも小さく、受光用マイクロレンズのレンズ肉厚が、照射用マイクロレンズのレンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が受光部軸に対して「照明系に近づく側」へずれていることができる(請求項2)。
【0022】
請求項1記載の反射型光学センサは、受光用マイクロレンズの「レンズ面曲率半径およびレンズ肉厚」が何れも、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して「照明系から遠ざかる側」へずれていることができる(請求項3)。
【0023】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射型光学センサは、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方は、表面側と裏面側の少なくとも一方の所定の領域に、遮光膜が形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0024】
請求項1〜4の任意の1に記載の反射型光学センサでは、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが「一体として形成されている」ことが好ましい(請求項5)。
この場合、照射用マイクロレンズアレイにおける所定の側からi(1≦i≦N)番目の照射用マイクロレンズと、受光用マイクロレンズアレイにおける上記所定の側からi(1≦i≦N)番目の受光用マイクロレンズとが「副方向において相互に接して長円状もしくは長方形形状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向に、「発光部の配列ピッチと同一ピッチ」で接触しあっている構造であることができる(請求項6)。この場合複合レンズ面の「長円状もしくは長方形形状の」の長手方向は、照射用マイクロレンズとこれに対応する受光用マイクロレンズの配列方向、即ち「副方向」である。
【0025】
請求項1〜6の任意の1に記載の反射型光学センサは、「支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量」である第1の基準受光量と、「支持部材上のトナーパターンが検出用光で照射されたときの各受光部の受光量」である第2の基準受光量とを参照し、第2の基準受光量を「拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離」する「処理手段」を備えることができる(請求項7)。
【0026】
この場合、「処理手段」において、拡散反射光による受光量:D(拡)を正反射光による受光量:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を求める演算を行うことが好ましい(請求項8)。
【0027】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサは、N個の発光部が、配列方向にm組に分割され、各組は略等数の発光部を有し、各組の発光部を、配列順に同期して点滅させる「照射制御装置」を有することができる(請求項9)。
【0028】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサは、発光部、受光部、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの個数:Nが、
7≦N≦31
の範囲内の奇数であることが好ましい(請求項10)。
Nの値を「奇数」とするのは、配列数:Nに「中央」があるので、この中央の位置を占める発光部等を、トナーパターンの「主方向の中央」に対応させ得るからである。
【0029】
この発明の画像形成装置は、潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像装置と、転写装置とを有するものであって、静電潜像形成手段が帯電手段と光走査装置を有し、上記請求項1〜10の任意の1に記載の反射型光学センサを有する(請求項11)。
【0030】
「潜像担持体」は、ドラム状もしくはベルト状に形成された光導電性の感光体である。
【0031】
「静電潜像形成手段」は、潜像担持体に帯電と露光とを行なって静電潜像を形成する。
【0032】
「現像装置」は、静電潜像を現像してトナー画像として可視化する。
「転写装置」は、トナー画像を転写ベルトによりシート状記録媒体に転写する。転写ベルトは、前述の直接転写ベルトであることも、中間転写ベルトであることもできる。
【0033】
「静電潜像形成手段」は、潜像担持体の周面を均一帯電させる「帯電手段」と、潜像担持体に帯電と光走査を行なって、画像情報に応じた静電潜像を形成する「光走査装置」とを有する。
「反射型光学センサ」は、潜像担持体または転写ベルトを支持部材として形成されたトナーパターンの「トナー濃度もしくは位置」、または、トナーパターンの「トナー濃度および位置」を検出するために用いられる。
【0034】
請求項11記載の画像形成装置は、複数の潜像担持体に異なる色のトナー画像を形成し、これら複数のトナー画像を重ね合わせて多色画像(「2色画像」や「フルカラー画像」を含む。)を形成するタンデム方式の画像形成装置であることができる(請求項12)。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、この発明によれば、新規な反射型光学センナおよび画像形成装置を実現できる。この発明の反射型光学センサは、照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が上記の如く適正化され、かつ、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとの光学特性が好適化されることにより、受光部の受光する光量を有効に増大させて、トナーパターンのトナー濃度や位置を「より精度良く」検出することができる。
【0036】
従って、この発明の反射型光学センサを用いる画像形成装置は、トナー画像の濃度制御や、カラートナー画像相互の重ね合わせ精度をより高性能に行なうことができ、良好な画像形成を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】画像形成装置としてのカラープリンタを説明するための図である。
【図2】光走査装置を説明するための図である。
【図3】光走査装置を説明するための図である。
【図4】光走査装置を説明するための図である。
【図5】光走査装置を説明するための図である。
【図6】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図7】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図8】位置検出用のトナーパターンを説明するための図である。
【図9】濃度検出用のトナーパターンを説明するための図である。
【図10】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図11】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図12】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図13】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図14】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図15(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図16(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図17(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図18(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図19(i)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図20(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(e)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(f)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(g)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(h)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図21(i)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(a)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(b)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(c)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【図22(d)】反射型光学センサによるトナーパターン検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、画像形成装置の実施の1形態としてカラープリンタの概略構成を示している。
【0040】
カラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のトナー画像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する「タンデム方式の多色カラープリンタ」である。
【0041】
カラープリンタ2000は、光走査装置2010、4つの感光体ドラム2030a、2030b、2030c、2030d、4つのクリーニングユニット2031a、2031b、2031c、2031d、4つの帯電装置2032a、2032b、2032c、2032d、4つの現像ローラ2033a、2033b、2033c、2033d、4つのトナーカートリッジ2034a、2034b、2034c、2034d、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、反射型光学センサ2245及び、上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0042】
以下において、図1に示すように「XYZの3次元直交座標系」を想定し、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向(図1の図面に直交する方向)、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0043】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0044】
「潜像担持体」である感光体ドラム2030a〜2030dはいずれも、感光層として形成された表面が、光走査装置2010による光走査の「被走査面」となっている。感光体ドラム2030a〜2030dは、図示されない回転機構により、図1の面内で矢印方向(時計回り)に回転する。
【0045】
感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが、感光体ドラム2030aを囲繞するように配置されている。
【0046】
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、ブラック画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0047】
感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、感光体ドラム2030bを囲繞するように配置された、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bは、シアン画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0048】
感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、感光体ドラム2030cを囲繞するように配置された、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cは、マゼンタ画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0049】
感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、感光体ドラム2030dを囲繞するように配置された、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dは、イエロー画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0050】
上記帯電装置2032a等は「帯電手段」を構成し、光走査装置2010とともに「静電潜像形成手段」を構成する。
【0051】
帯電装置2032a〜2032dは、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0052】
光走査装置2010は、前記「上位装置」からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づき、各色画像情報毎に変調された光束により、対応する感光体ドラムの表面を、Y方向に光走査する。
これにより、各感光体ドラム表面の、光照射された部分で電位が減衰し、画像情報に対応した静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの側に移動する。
光走査装置2010の構成については後述する。
【0053】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納され、ブラックトナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納され、シアントナーは現像ローラ2033bに供給される。
トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納され、マゼンタトナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納され、イエロートナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0054】
前記各現像ローラ2033a〜2033dは回転し、それぞれ対応するトナーカートリッジからの各色トナーが、その表面に薄く均一に塗布される。
各現像ローラの表面の塗布されたトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、表面の「電位減衰した部分」に付着して静電潜像をトナー画像として可視化する。
感光体ドラムごとに形成された「互いに色の異なるトナー画像」は、感光体ドラムの回転に伴って移動する。
【0055】
転写ベルト2040は「中間転写ベルト」であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像は、感光体ドラム2030a〜2030dから所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、互いに重ね合わされてカラー画像を形成する。
この実施の形態においては、中間転写ベルトである転写ベルト2040が「トナーパターンを形成される支持部材」であり、転写ベルト2040上でトナー画像の移動する方向が「副方向」であり、副方向に直交する方向(Y軸方向)を「主方向」と呼ぶ。
【0056】
給紙トレイ2060に格納された「シート状記録媒体」としての記録紙は、給紙コロ2054により給紙トレイ2060から1枚ずつ給紙され、レジストローラ対2056に向けて搬送される。
レジストローラ対2056は、給紙トレイ2060から給紙された記録紙を挟持し、所定のタイミングで「転写ベルト2040と転写ローラ2042の間」に向けて送りこむ。転写ローラ2042は、記録紙表面にカラー画像を転写する。
カラー画像を転写された記録紙は、定着ローラ2050から加えられる熱と圧力によりカラー画像を定着される。カラー画像を定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070上に排紙されて順次スタックされる。
【0057】
感光体ドラム2030a〜2030dの表面の「転写残りの残留トナー」が、各感光体ドラムに対応するクリーニングユニット2031a〜2031dにより除去されると、各感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0058】
反射型光学センサを用いる光学センサ装置2245は、転写ベルト2040の「−X」側(図1で左側)に配置されている。光学センサ装置2245については後述する。
【0059】
次に、光走査装置2010の構成について説明する。
【0060】
光走査装置の実施の1形態としての光走査装置2010は、図2〜図5に示すように、4つの光源2200a、2200b、2200c、2200d、4つのカップリングレンズ2201a、2201b、2201c、2201d、4つの開口板2202a、2202b、2202c、2202d、4つのシリンドリカルレンズ2204a、2204b、2204c、2204d、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ2105a、2105b、2105c、2105d、8つの折返しミラー2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d、4つのトロイダルレンズ2107a、2107b、2107c、2107d、4つの光検知センサ2205a、2205b、2205c、2205d、4つの光検知用ミラー2207a、2207b、2207c、2207d、図示されない走査制御装置などを備えている。
これらは、図5に示すように、光学ハウジング2300(図2〜図4では図示していない。)の所定位置に組み付けられている。
【0061】
以下、便宜上、光走査の主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と言う。
【0062】
カップリングレンズ2201a及びカップリングレンズ2201bの、光軸に沿った方向を「w1方向」、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m1方向」とする。
【0063】
カップリングレンズ2201c及びカップリングレンズ2201dの、光軸に沿った方向を「w2方向」、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での主走査対応方向を「m2方向」とする。なお、光源2200a及び光源2200bからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向、光源2200c及び光源2200dからポリゴンミラー2104に至る光路上での副走査対応方向は、いずれもZ軸方向と同方向である。
【0064】
光源2200bと光源2200cは、X軸方向に関して離れた位置に配置され、光源2200aは光源2200bの「−Z」側に配置されている(図3参照)。また、光源2200dは光源2200cの「−Z」側に配置されている(図4参照)。
【0065】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0066】
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出した光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0067】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0068】
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。
【0070】
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍に「副走査対応方向」に関して結像する。
【0071】
ポリゴンミラー2104は、偏向反射面を4面持つ4面鏡を2段構造として有し、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束をそれぞれ偏向し、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束をそれぞれ偏向するように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0072】
シリンドリカルレンズ2204a、2204bからの光束はポリゴンミラー2104の「−X」側において偏向され、シリンドリカルレンズ2204c、2204dからの光束はポリゴンミラー2104の「+X」側において偏向される。
【0073】
fθレンズ2105a〜2105dはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム2030a〜2030dの表面(被走査面)上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学特性を有する非円弧面形状を有している。
【0074】
fθレンズ2105a、2105bはポリゴンミラー2104の「−X」側に配置され、fθレンズ2105c、2105dはポリゴンミラー2104の「+X」側に配置されている。
【0075】
図5に示すように、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bとはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡にそれぞれ対向している。fθレンズ2105cとfθレンズ2105dもZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡にそれぞれ対向している。
【0076】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向(Y方向)に移動して感光体ドラム2030a上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0077】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動して感光体ドラム2030b上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0078】
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動して感光体ドラム2030c上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0079】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットを形成する。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動して感光体ドラム2030d上を光走査する。
このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0080】
個々の感光体ドラムにおいて画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれているが、この明細書においては「有効画像領域」とも呼ぶ。
【0081】
上記各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致し、感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角が「感光体相互で等しく」なるように、それぞれ配置されている。
【0082】
また「fθレンズとそれに対応するトロイダルレンズ」とにより、ポリゴンミラーの偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを「副走査対応方向に共役関係」とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0083】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は「走査光学系」とも呼ばれる。
説明中の実施の形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とにより「Kステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とにより「Cステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
同様に、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とにより「Mステーションの走査光学系」が、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とにより「Yステーションの走査光学系」がそれぞれ構成されている。
【0084】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
【0085】
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
【0086】
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
【0087】
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち「書き込み開始前の光束の一部」が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0088】
光検知センサ2205a〜2205dは、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0089】
図示されない「走査制御装置」は、各光検知センサの出力信号に基づいて、対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを決定し、決定されたタイミングで光走査による画像書き込みを開始する。
【0090】
次に、光学センサ装置2245について説明する。
【0091】
光学センサ装置2245は、1例として図6に示されるように、Y方向に配列した4つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dを有している。
【0092】
反射型光学センサ2245aは、転写ベルト2040の「+Y側端部近傍」に対向する位置に、反射型光学センサ2245dは、転写ベルト2040の「−Y側端部近傍」に対向する位置にそれぞれ配置されている。
反射型光学センサ2245bは、反射型光学センサ2245aの「−Y側」に、反射型光学センサ2245cは、反射型光学センサ2245dの「+Y側」に配置されている。
【0093】
4個の反射型光学センサ2245a〜2245dは、Y軸方向に関して「ほぼ等間隔」となるように配置されている。
【0094】
図7に示すように、Y軸方向に関して、反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dの中心位置をそれぞれ、Y1、Y2、Y3、Y4とする。
反射型光学センサ2245aに、X方向において対向するトナーパターンを、トナーパターンPP1、TP1、反射型光学センサ2245bに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP2とTP2とする。
【0095】
同様に、反射型光学センサ2245cに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP3、TP3、反射型光学センサ2245dに対向するトナーパターンを、トナーパターンPP4、TP4とする。
【0096】
トナーパターンPP1、PP2、PP3及びPP4は「位置検出用パターン」であり、トナーパターンTP1、TP2、TP3及びTP4は「濃度検出用パターン」である。
【0097】
位置検出用パターンPP1、PP2、PP3及びPP4は「同じ構成」であるので、以下において、位置検出用パターン相互を区別する必要がない場合は、位置検出用パターンPP1〜PP4を総称して「位置検出用パターンPP」ともいう。
位置検出用パターンPPは、図8に示されるように、主方向(Y方向)に平行な4本のライン状パターン(LPY1、LPM1、LPC1、LPK1)と、主方向に対して傾斜した4本のライン状パターン(LPY2、LPM2、LPC2、LPK2)とにより構成されている。
【0098】
ライン状パターンLPY1とLPY2はペアをなし、イエロートナーで形成され、ライン状パターンLPM1とLPM2はペアをなし、マゼンタトナーで形成される。また、ライン状パターンLPC1とLPC2はペアをなし、シアントナーで形成され、ライン状パターンLPK1とLPK2はペアをなし、ブラックトナーで形成される。
【0099】
各「ライン状パターンのペア」は、転写ベルト2040の進行方向(副方向)に関して「ペアを成す2本のライン状パターン」が、所定の間隔をなすように、形成条件を設定されている。
【0100】
図7に示す濃度検出用パターンTP1、TP2、TP3、TP4は、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーでそれぞれ形成される。
以下では、濃度検出用パターン相互を区別する必要がない場合には、濃度検出用パターンTP1、TP2、TP3、TP4を総称して「濃度検出用パターンTP」ともいう。
【0101】
濃度検出用パターンTPは、1例として図9に示すように、5つの四角形状のパターンp1〜p5(以下「矩形パターン」という)からなり、5個の矩形パターンp1〜p5は、転写ベルト2040の進行方向(副方向)に1列に並び、それぞれ、トナー濃度の階調が異なっている。
図9の例では、矩形パターンp1、p2、p3、p4、p5の順にトナー濃度が高くなって行く。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp5のトナー濃度が最も高い。
【0102】
各矩形パターンのY軸方向の長さをLp、転写ベルト2040の進行方向の長さをWpとする。説明中の例では「Lp=1.0mm」である。
【0103】
トナー濃度の階調は、光走査装置の光源から放射される光束のパワーや、光源に供給される駆動パルスにおけるデューティ比、現像バイアス等を調整することにより「矩形パターンとなる静電潜像へのトナー付着量を制御」することにより、あるいは、矩形パターンを網点で構成する場合には「網点の面積率」を変えることによっても変化させることができる。
【0104】
以下、位置検出用パターンと濃度検出用パターンを区別する必要がない場合には、これらを総称して「トナーパターン」という。
【0105】
反射型光学センサを用いて、トナーパターンの「位置検出処理およびトナー濃度検出処理」が行われる際には、プリンタ制御装置2090から走査制御装置に位置検出用パターン及び濃度検出用パターンの形成が指示される。
【0106】
即ち、走査制御装置は、Yステーション〜Kステーションを制御して、上記各トナーパターンの形成を制御する。
【0107】
Yステーションの制御は、図10に示すように、感光体ドラム2030dにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPY1とLPY2が形成され、位置Y1に濃度検出用パターンTP1が形成されるように行なわれる。
【0108】
Mステーションの制御は、図11に示すように、感光体ドラム2030cにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPM1とLPM2が形成され、位置Y2に濃度検出用パターンTP2が形成されるように行なわれる。
【0109】
Cステーションの制御は、図12に示すように、感光体ドラム2030bにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPC1とLPC2が形成され、位置Y3に濃度検出用パターンTP3が形成されるように行なわれる。
【0110】
Kステーションの制御は、図13に示すように、感光体ドラム2030aにおける位置Y1、Y2、Y3及びY4に、ライン状パターンLPK1とLPK2が形成され、位置Y4に濃度検出用パターンTP4が形成されるように行われる。
【0111】
このように各感光体ドラム状に形成されたトナーパターンは、所定のタイミングで転写ベルト2040に転写される。このようにして、転写ベルト2040におけるY方向の位置Y1、Y2、Y3及びY4に、それぞれ位置検出用パターンPPと濃度検出用パターンTPが形成される。この状態を図14に示す。
【0112】
光学センサ装置2245を構成する4つの反射型光学センサ2245a、2245b、2245c、2245dは、構成・構造とも同一のものであり、以下では、反射型光学センサ2245aを代表として、構成と構造について説明する。
反射型光学センサ2245aは、1例として図15に示すように、9個の発光部E1〜E9、9個の照射用マイクロレンズLE1〜LE9、9個の受光部D1〜D9、9個の受光用マイクロレンズLD1〜LD9と、図示されない「処理装置」を有している。
【0113】
発光部・受光部の数は、請求項10記載のように「7〜31個程度の奇数」であることが好ましいが、図15以下の図に示す「9個の発光部・受光部の組み合わせ」は、好適なものの1つである。
【0114】
照射用マイクロレンズLE1〜LE9は「照射用マイクロレンズアレイ」を構成し、受光用マイクロレンズLD1〜LD9は「受光用マイクロレンズ」を構成する。
【0115】
図15(a)は反射型光学センサを主方向から見た様子、図15(b)は反射型光学センサを「発光部、受光部の配列方向に直交する方向から見た様子を示す。
図15(c)は、発光部E1〜E9から射出して、照射用マイクロレンズLE1〜LE9を介した検出用光S1〜S9が、転写ベルト2040を照射している様子を示し、同図(d)は、転写ベルト2040によって反射された検出用光S1〜S9が、受光用マイクロレンズLD1〜LD9を介して、受光部D1〜D9により受光される様子を示す。
図15(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9が、トナーパターンを照射している様子を示し、図15(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が、受光部D1〜D9で受光される様子をそれぞれ示す。
【0116】
9個の発光部E1〜E9は、Y方向(主方向)に1列等間隔に配置されている。各発光部としてはLEDを用いることができる。発光部E1〜E9の配列ピッチ(隣接する発光部の間隔)Leは、例えば0.4mmとすることができる。
照射用マイクロレンズLE1〜LE9は、発光部E1〜E9と1対1に対応し、図15(a)に示すように、各照射用レンズは、対応する発光部よりも受光部側へずれて配置され、発光部から射出された光束を転写ベルト2040の表面に向けて集光的に導く。
以下の説明において、発光部E1〜E9から射出し、照射用マイクロレンズLE1〜LE9で集光された光束は、図15(c)に示すように、各発光部に対応する照射用マイクロレンズのみを通過し、検出用光S1〜S9として転写ベルト2040を照射するものとする。
【0117】
転写ベルト2040の表面は滑らかで、転写ベルト2040表面に照射された光の殆どは正反射する。受光部D1〜D9は、図15(d)に示すように、発光部E1〜E9からの検出用光が「トナーパターン以外の部分」を照射するとき、受光部D1〜D9が、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9の正反射光のみを受光するようになっている。
受光部D1〜D9の個々は、発光部E1〜E9に個別に対応している。
各受光部は、図15(a)に示すように「対応する発光部から射出され、転写ベルト2040の表面で正反射された光束」の光路上に配置されている。すなわち、9個の受光部D1〜D9の配列ピッチは、9個の発光部E1〜E9の配列ピッチと等しい。
【0118】
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは一体化され、一体化によりこれらマイクロレンズアレイを「反射型光学センサに組み付ける際の作業性」を向上させている。また、一体化により、マイクロレンズアレイ間の配置精度を高めている。
各マイクロレンズのレンズ面は、フォトリソグラフィやナノインプリントなどの公知の加工法を用いてガラス基板や樹脂基板上に形成できる。
【0119】
上記の如く、発光部の副方向の配列ピッチを0.4mmとすれば、隣接するビームスポットの中心間隔も0.4mmであり、各検出用光が転写ベルト2040の表面に形成する光スポットの大きさも直径で0.4mm程度とされる。
従来の検出用光による光スポットは、通常「直径で2〜3mm程度」であった。
【0120】
各照射用マイクロレンズ及び各受光用マイクロレンズには、主方向及び副方向に関して集光機能を有する球面レンズや、主方向と副方向のパワーが異なるアナモフィックレンズなどを用いることができる。
【0121】
各受光部には、PD(フォトダイオード)を好適に用いることができ、各受光部は、受光量に応じた信号を出力する。
発光部E1〜E9を個別に特定する必要がない場合には、任意の発光部を発光部Eiと表示し、発光部Eiに対応する照射用マイクロレンズを照射用マイクロレンズLEi、発光部Eiから射出して照明用集光レンズLEiを通過した検出用光を検出用光Siと表示する。
【0122】
発光部Eiに対応する受光部を受光部Di、受光部Diに対応する受光用マイクロレンズを受光用マイクロレンズLDiと表示する。
【0123】
図15に示す反射型光学センサに用いられている、照射用マイクロレンズアレイを構成する9個の照射用マイクロレンズLEi(i=1〜9)は、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が「同一値」をとる。
同様に、受光用マイクロレンズアレイを構成する9個の受光用マイクロレンズLDi(i=1〜9)も、レンズ径、レンズ面曲率半径、レンズ厚が全て「同一値」をとる。
【0124】
しかし、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiは、互いに光学特性が異なる。
【0125】
図15(a)に示すように、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiは、支持部材である転写ベルト側の面が平面、逆側の面が凸面である「凸平レンズ」である。
【0126】
具体的な1例を示すと、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ径:0.415mm、凸レンズ面曲率半径:0.430mm、レンズ厚:1.229mmである。受光用マイクロレンズLDiは、レンズ径:0.712mm、レンズ面曲率半径:0.380mm、レンズ厚:1.419mmである。
照射用マイクロレンズLEiの配列ピッチ(光軸間の距離)は0.4mm、受光用マイクロレンズLDiの配列ピッチ(光軸間の距離)も0.4mmである。
【0127】
照射用マイクロレンズLEiの光軸は、対応する発光部Eiからの光が転写ベルトに反射された反射光を受光部Diに導くために、対応する発光部Eiの中心を通り発光部Ei(の発光面)に垂直な発光部軸に対して平行に「受光系側に0.035mm」ずれ、受光用マイクロレンズLDiの光軸は、より多くの反射光を受光部Diに受光させるため、対応する受光部Diの中心を通り受光部に垂直な受光部軸に対して平行に「照射系側に0.020mm」ずれている。
【0128】
照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiの「副方向におけるレンズ間ピッチ(光軸間の距離)」は0.445mmである。発光部Eiと、それに対応する受光部Diの「副方向における間隔」は、0.500mmである。
発光部から照射用マイクロレンズまでの距離は0.800mm、照射用マイクロレンズアレイの裏面(平面)から支持部材である転写ベルト表面までの距離は5mmである。これらの距離は以下に示す全ての例(モデル)において当てはまる。
また、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイを構成する材質の屈折率は、以下の全ての例において「1.53」である。
【0129】
このような仕様のマイクロレンズアレイ(照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイとを一体として組み合わせたものを言う。以下においても同様である。)を「モデルI」とする。
【0130】
モデルIにおいて、受光用マイクロレンズのレンズ径を照射用マイクロレンズのレンズ径よりも大きくすることにより、トナーパターンからの拡散反射光を「より多く受光」できるようにしている。
また、受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を「照射用マイクロレンズLEiに比べて小さく」することにより、受光用マイクロレンズ内部における全反射が増えるため、正反射光の受光量の低減が可能である。
【0131】
受光用マイクロレンズLDiのレンズ面曲率半径を小さくすることで、点灯させる発光部(例えば、配列方向中央の発光部E5)に対応する受光部D5に隣接する受光部D4とD6に対応して配置した受光用マイクロレンズLD4、LD6通過後の光線を、大きく屈折させることが可能となり、トナーパターンからの「拡散反射光」を、受光部D5から離れた受光部D1、D2、D8、D9等に到達させることでき、これら受光部D1、D2、D8、D9等での「拡散反射光の受光量」の増加も期待できる。
【0132】
個々の照射用マイクロレンズLEiも受光用マイクロレンズLDiも「凸平の球面レンズ」であり、照射用マイクロレンズLEiは、レンズの入射面(凸球面)が集光パワーを有しているが、射出面(平面)は集光パワーを有していない。受光用マイクロレンズLDiは、レンズの入射面(平面)は集光パワーを有していないが、射出面(凸球面)が集光パワーを有している。
【0133】
以下、光学センサ装置2245を用いて行われる濃度検出処理について説明する。
説明の簡単のため、i=1〜9のうちの任意の発光部Eiが点灯し、点灯した発光部Eiからの検出用光Siが、転写ベルト2040によって正反射されたときの、9個の受光部Di(i=1〜9)の受光量の最大値を1に規格化する。
図16(a)は、発光部E1〜E9を個別に発光させたときの受光部D1〜D9の受光量を上記の如く規格化して示している。
なお、以下の説明における受光量は、図21に即して説明するものを除き、全てこの発明の反射型光学センサを用いた計算シミュレーション結果である。
【0134】
図7に示した例では、位置検出用パターンPPが、濃度検出用パターンTPよりも先に「検出用光の照射位置」に移動し、トナーパターンの位置検出処理がトナー濃度検出処理に先立って行われるが、濃度検出用パターンと位置検出用パターンの副方向における作成位置を逆にして、「位置検出用パターンPPより先」に濃度検出用パターンTPの検知を行なうようにしても良いことは言うまでも無い。
説明中の例では、9個の発光部E1〜E9の「配列中央」にある発光部E5の「主方向の中心位置」とトナーパターンの「主方向の中心位置」とが一致するように、転写ベルト2040上にトナーパターンが転写形成される。図16(b)はこの状態を示している。
【0135】
濃度検出用パターンPPの個々の矩形パターンの主方向の長さ:Lpは1.0mmであるので、矩形パターンは、図15(b)の状態(発光部E5の位置が矩形パターンの主方向の中心に位置する状態)では、図15(e)に示すように、3つの検出用光S4、S5、S6で照射される。
【0136】
なお、発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯させ、そのときの各受光部の受光量に基づいて、トナーパターンの位置を確認することができる。このときの各受光部D1〜D9の受光量を図16(c)に示す。
発光部E4〜E6を個別に点灯させたときの各受光部D1〜D9の受光量が、他の6個の発光部E1〜E3、E7〜E8を個別に点灯させたときに比べて低い(最大受光量:1に達しない。)ことから、検出用光S4〜S6が照射される位置に、トナーパターンが確かに存在していることがわかる。
従って、トナー濃度検出には検出用光S4〜S6を用いればよいが、説明の簡単のために「発光部E5を点灯させたときの受光量分布」をトナー濃度検出に用いることとする。これは、これから示す全ての例に当てはまる。
【0137】
計算シミュレーションの条件として、発光部Eiから射出した光線は、図16(d)の左図に示すように、転写ベルト表面を照射する際には「正反射のみ」であるが、トナーパターンに照射された場合には、図16(d)の右図に示すように「均等拡散するだけでなく、正反射成分」も幾分か含んでいる。
計算シミュレーションの条件として「転写ベルトによる反射率」を100%とした。トナーパターンに照射された検出用光は、50%がトナーパターンを透過し、50%が反射されるものとした。
50%の反射のうち、拡散反射成分はその中の50%とし、残りを正反射成分とした。
【0138】
1例として、図15(e)(f)で、反射型光学センサの前方に矩形パターンが移動してくるとき、プリンタ制御装置2090は発光部E4〜E6を「順次、繰り返して点灯」させる。
【0139】
検出用光S4〜S6は、図15(f)に例示するように、矩形パターンの表面で正反射するとともに拡散反射する。
以下、正反射した光を「正反射光」、拡散反射した光を「拡散反射光」ともいう。
【0140】
各反射型光学センサの「処理装置(図示されず)」は、検出用光S5が矩形パターンを照射したときの受光部D1〜D9の出力信号に基づいて、各受光部Diの受光量を個別に求め、それぞれ検出受光量として「図示されないメモリ」に格納する。
【0141】
図16(c)の中段中央の図は、検出用光S5が矩形パターンp5を照射したときの、各受光部Diの受光量を示している。この状態では、検出用光S5が転写ベルト2040の表面を照射したときに比べ、受光部D4〜D6が受光する正反射光が減少する一方、拡散反射光が受光部D4〜D6以外の受光部で受光されている。
【0142】
一般に「矩形パターンPiにおけるトナー濃度」が増加するにつれて、矩形パターンによる反射光のうち、正反射光は単調に減少し、拡散反射光は単調に増大する。
【0143】
プリンタ制御装置2090(図1)は、図16(b)に示すように、検出用光S5が、矩形パターンTP1を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「イエローのトナー濃度が適切であるか否か」を判断し、矩形パターンTP2を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「マゼンタのトナー濃度の適否」を判断し、矩形パターンTP3を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「シアンのトナー濃度の適否」を判断し、矩形パターンTP4を照射したときの各受光部Diの受光量に基づいて「ブラックのトナー濃度の適否」を判断する。
【0144】
プリンタ制御装置2090が「トナー濃度が適切でない」と判断すると、同制御装置2090は、トナー濃度が適切となるように「対応するステーション」の現像処理系を制御する。
【0145】
次に、各受光部Diの受光量を用いるトナー濃度検出について説明する。
図16(a)に示したように、検出用光の照射部分が「検出用光に対して正反射体である転写ベルト」の場合、発光部E5を点灯すると、転写ベルトによる正反射光は発光部E5に対応する受光部D5とそれに隣接する受光部D4、受光部D6でのみ受光される(受光部D3と受光部D7においても正反射光は僅かながら受光されているが、受光部D4〜D6の受光量に比べて無視できる程度であるので、受光部D3とD7における受光量は0とした)。
【0146】
検出用光がトナーパターンに照射されるときは、図16(c)に示すように、反射光は「全受光部D1〜D9」で受光される。
発光部E5が発光しているとき、受光部D1〜D3とD7〜D9における受光量が「拡散反射光によるもの」であることは容易にわかる。正反射光は、受光部D4〜D6でのみ受光されるからである。
受光部D4〜D6における受光量は、トナーパターンからの正反射光と拡散反射光の両方による受光量である。この3つの受光部D4〜D6における受光量を「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに正確に分けることは困難であるので、以下の2つの仮定を用いて、受光部D4〜D6における受光量を取り扱う。
【0147】
「第1の仮定」では、発光部E5を発光させたときの「受光部D4〜D6での受光量」のうち、受光部D5における受光量は、検出用光の照射される部分が転写ベルト表面であれトナーパターンであれ「全て正反射光」による受光量とする。
受光部D4と受光部D6における受光量は、トナーパターンによる、正反射光の受光量と、拡散反射光の受光量の両方が混在している。
第1の仮定による取り扱い(以下「第1の取り扱い」という。)では「2つの受光部D4、D6の受光量」はトナー濃度検出に用いない。即ち、この取り扱いでは、発光部E5からの検出用光がトナーパターンを照射する場合、受光部D1〜D3とD7〜D9における受光量が全て「拡散反射光による受光量」となる。
【0148】
「第2の仮定」では、発光部E5を発光させたときの受光部D5の受光量は、検出用光が、転写ベルト表面を照射する場合も、トナーパターンを照射する場合も「全て正反射光による受光量」と仮定し、検出用光の照射部分が、転写ベルトであるときの受光量分布と、トナーパターンである時の受光量分布とを用い、受光部D4と受光部D6における受光量を「トナーパターンの正反射光による受光量と、トナーパターンの拡散反射光による受光量とに分割」する。
【0149】
この第2の仮定による取り扱い(以下「第2の取り扱い」と言う。)は、第1の取り扱いに比べて「受光量の情報をより有効に利用」できる反面、第1の取り扱いに比べると複雑である。第2の取り扱いについては後述する。
【0150】
上記第1の取り扱いを、前述のマイクロレンズアレイのモデルIに適用して、トナーパターン(以下、トナーパターンp5の濃度のトナーパターンを指す。)を検知した際の各受光部D1〜D9の受光量を図16(e)に示す。
表中の「D_ALL」は、受光部D1〜D9の「受光量の和」を表し、表中の「正」は受光部D5の受光量、表中の「拡散」は、受光部D1〜D3と受光部D6〜D9の計6個の受光部の「受光量の和」を表している。なお、数値に付せられた「E−03」等は、当該数値に「10−3」を掛けることを意味する。以下においても同様である。
【0151】
受光部D1〜D9の受光量は「検出用光による照射部が転写ベルトである場合」の受光部D5での受光量で規格化され、以下に示す他の例における受光量も同様に、検出用光による照射対象が転写ベルトである場合における各受光部の受光量を「モデルIのマイクロレンズアレイを用いた場合の受光部D5の受光量」で規格化した値を表す。
【0152】
マイクロレンズアレイ(照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイを前述の如く組み合わせたもの)のモデルIに対する比較例として、マイクロレンズアレイのモデルの2例、即ち、基準モデルIと基準モデルIIを挙げる。
【0153】
「基準モデルI」は、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て同一であるマイクロレンズアレイのモデルである。即ち、基準モデルIでは、18個の同一のマイクロレンズにより、照射用マイクロレンズアレイおよび受光用マイクロレンズアレイが形成される。
「基準モデルII」は、受光用マイクロレンズのレンズ径とレンズ厚が、照射用マイクロレンズのレンズ径とレンズ厚よりも大きいが、レンズ面曲率半径は照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで同一値をとるマイクロレンズアレイのモデルである。
【0154】
基準モデルIでは、上記の如く、各照射用マイクロレンズと各受光用マイクロレンズは同一形状である。具体的1例を挙げると、マイクロレンズのレンズ径は0.529mm、レンズ面曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.228mmである。
各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部の検出用光を受光部に有効に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に対して平行に、受光系側に0.035mmずれ、各受光用マイクロレンズの光軸は、より多くの反射光を受光できるように、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に照射系側に0.020mmずれている。
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0155】
図17(a)は、基準モデルIを主方向から見た様子、図17(b)は基準モデルIを発光部・受光部の配列面に直交する方向から見た様子を示している。
【0156】
図17(c)は、発光部E1〜E9から射出された検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示し、図17(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
図17(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子を示し、図17(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
【0157】
図17(g)は、上記第1の取り扱いを基準モデルIに適用して、転写ベルトとトナーパターンに検出用光を照射したときの受光部D1〜D9の受光量分布を示す。
図17(h)は、上記第1の取り扱いをモデルIと基準モデルIに適用して、転写ベルトとトナーパターンに検出用光を照射したときの受光量を示す。また、マイクロレンズアレイの裏面から転写ベルト表面までの距離は、両モデルとも5mmである。
【0158】
図17(h)から明らかなように、マイクロレンズアレイのモデルIは、基準モデルIに比べ、トナーパターンからの「拡散反射光の受光量」が約80%増加している。これは、受光用マイクロレンズのレンズ径が大きくなった事と、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を照射用マイクロレンズよりも小さくしたことが要因として考えられる。
モデルIでは「拡散反射光の受光量」は増加するが、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が小さいことにより「受光用マイクロレンズのレンズ厚さ」が増加している。
【0159】
受光用マイクロレンズと照射用マイクロレンズとの「レンズ厚の差分」は約0.190mmとなり、マイクロレンズアレイの加工が若干困難となる。
【0160】
「基準モデルII」では、各受光用マイクロレンズのレンズ径を0.671mm、レンズ面曲率半径を0.430mm、レンズ厚を1.319mmとした。
各照射用マイクロレンズのレンズ径は0.455mm、レンズ面曲率半径は0.430mm、レンズ厚は1.228mmとした。レンズ径は「基準モデルIに比べて一回り」小さい。
各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部からの光を反射により受光部に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に対して平行に、受光系側に0.035mmずれ、各受光用マイクロレンズの光軸は、より多くの反射光を受光するために対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に、照射系側に0.020mmずれている。
【0161】
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0162】
発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmである。
【0163】
図18(a)は基準モデルIIを主方向から見た様子、図18(b)は基準モデルIIを「発光部・受光部の配列面に直交する方向」から見た様子を示し、図18(c)は、発光部E1〜E9から射出された検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示している。
図18(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子、図18(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子、図18(f)は、トナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子をそれぞれ示している。
【0164】
図18(g)は、上記第1の取り扱いを基準モデルIIに適用して、検出用光を転写ベルトとトナーパターンに照射したときの受光部D1〜D9の受光量分布を示す。
図18(h)は、上記第1の取り扱いをモデルIと基準モデルIIとに適用して、検出用光を転写ベルトとトナーパターンに照射したときの受光部D1〜D9の受光量を示す。
【0165】
図18(h)から明らかなように、モデルIは「比較例としての基準モデルII」に比べて拡散反射光の受光量が約5%増加している。これは、転写ベルトからの正反射光の、受光部D5による受光量が減少し、トナーパターンからの拡散反射光の受光部D1〜D3、D7〜D9での受光量が増加していることが要因となっている。
【0166】
次に、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの組み合わせについてのモデルIIを説明する。
【0167】
モデルIIでは、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て異なり、且つ、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚の何れにおいても、受光用マイクロレンズが「照射用マイクロレンズのもの」よりも大きな値をとる。
【0168】
副方向におけるマイクロレンズの配列ピッチ(照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離)は0.445mmである。発光部と、それに対応する受光部の「副方向における間隔」は0.500mmで、モデルIと同じである。
【0169】
モデルIIでも勿論、照射用マイクロレンズアレイを構成する全ての照射用マイクロレンズは、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が同一である。受光用マイクロレンズアレイを構成する全ての受光用マイクロレンズでも、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚は同一である。
【0170】
モデルIIのマイクロレンズアレイでは、モデルIに比して「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの全体としての大きさ(照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ径の和)」をモデルIの場合と略同じとし、レンズ径の配分比率だけを変化させた。
また、拡散反射光の受光量だけでなく、マイクロレンズアレイ取り付け時の公差に相当する「副方向におけるレンズの「副方向シフトずれ(理想位置から±0.020mmのずれを仮定)」についても検証する。
「副方向シフトずれ」は、マイクロレンズアレイ全体が、主方向と副方向で形成される2次元平面内で、副方向にずれる量を指す。
【0171】
モデルIIは、発光部から照射した検出用光を有効的に受光部に導光させるために、モデルIに比べて照射用マイクロレンズのレンズ径を大きくし、受光用マイクロレンズのレンズ径をモデルIに比べて小さくする構成とした。その結果、照射用マイクロレンズのレンズ径は0.455mm、受光用マイクロレンズのレンズ径は0.700mmとなった。
【0172】
転写ベルト上に照射される検出用光のビーム径が0.500mm以下となるように、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を0.470mmとした。また、マイクロレンズアレイの加工性を考慮して、受光用マイクロレンズのレンズ厚が、照射用マイクロレンズのレンズ厚と同程度となるようにし、さらに、受光部をなす受光面内の感度ムラの影響を考慮し、受光部の広範囲を反射光が照射するように、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を、モデルIおよび基準モデルIIに比して大きくする条件のもとで、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径を適正化して、この条件下で拡散反射光の受光量が最大となるようにした。
マイクロレンズアレイ取り付け時に「副走査シフトずれ」が生じた場合、理想状態から副方向の「正または負の方向」に絶対値で同じ量だけマイクロレンズがずれたときの「受光部出力の低下分」が等しくなるように、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの副方向における間隔も適正化した。
このようにして、モデルIIにおいて、受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径は0.750mm、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの副方向における間隔は0.480mmとなった。また、照射用マイクロレンズのレンズ厚は1.189mm、受光用マイクロレンズのレンズ厚は1.216mmである。
【0173】
なお、発光部とこれに対応する受光部の間の「副方向における間隔」は、0.500mmである。
【0174】
モデルIIのマイクロレンズアレイは、上記の如く設定された理想状態では、各照射用マイクロレンズの光軸は、発光部からの検出用光の反射光を良好に受光部に導くために、対応する各発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に平行に、受光系側に0.035mmずらされ、各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行に「照射系側から遠ざかる方向」に0.015mmずらされている。
【0175】
図19(a)はモデルIIを主方向から見た様子、図19(b)はモデルIIを「発光部・受光部の配列方向に直交する方向」から見た様子、図19(c)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9が転写ベルトを照射している様子を示している。
図19(d)は、転写ベルトによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子、図19(e)は、発光部E1〜E9からの検出用光S1〜S9がトナーパターンを照射している様子を示している。
図19(f)は、転写ベルトとトナーパターンによって反射された検出用光S1〜S9が各受光部D1〜D9で受光される様子を示している。
【0176】
図19(g)は、モデルIIのマイクロレンズアレイを用いて「転写ベルトとトナーパターン」を検知したときの受光量分布を示す。図19(h)は、モデルIIとモデルIのマイクロレンズアレイを用いて「転写ベルトとトナーパターン」の検知を行なったときの受光量を示す。
モデルIIを用いた場合、拡散反射光の受光量は、モデルIを用いた場合に比べて10%程度少なくなっている。
【0177】
図19(i)には、モデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIを用いて転写ベルトを検知する際に「副方向シフトずれが起こらない場合(理想状態と呼ぶ。)」と、副方向シフトずれ(図19(i)において「Yシフトずれ」と表示している。)が±0.020mm起こった場合の「D_ALLの変化」を示す。
「D_ALL」は、受光部D1〜D9の「受光量の和」を表し、表中の「正」は受光部D5の受光量、表中の「拡散」は、受光部D1〜D3と受光部D6〜D9の計6個の受光部の「受光量の和」を表している。
【0178】
「D_ALL」は、各モデルについて「理想状態での値」を1に規格化している。
この結果から、モデルI、基準モデルI、基準もデルIIでは、照明系・受光系・マイクロレンズアレイの全体が、副方向の負方向に「Y=−0.02mm」ずれた場合と、正方向に「Y=0.02mm」ずれた場合とで、相対受光量は、正方向にずれたときのほうが「より大きく」減少するが、モデルIIの場合においては、減少の程度が「副方向のずれ」の正・負の方向に対して略対称的であり、このことから、モデルIIを用いることにより、副方向シフトの影響を、他のモデルのマイクロレンズアレイを用いる場合よりも有効に軽減できることが分かる。
【0179】
即ち、照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとで、レンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚が全て異なり、受光用マイクロレンズにおけるレンズ面曲率半径、レンズ径、レンズ厚の全てが「照射用マイクロレンズのものよりも大きな値」を取り、各受光用マイクロレンズの光軸を、対応する各受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して、照射系から遠ざかる方向にずれるように配置することにより、拡散反射光の受光量が増大し、且つ「副方向シフトずれ」の影響の小さいマイクロレンズアレイを実現できる。
【0180】
以下、前述の「第2の取り扱い」をモデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIに対して適用する場合を説明する。
【0181】
説明上の例として、第2の取り扱いをモデルIに適用する場合を考える。
【0182】
第1の取り扱いでは、検出用光がトナーパターンを照射する場合、受光部D5における受光量は全て正反射光による受光量と見なし、トナーパターンからの「正反射光による受光量」と「拡散反射光による受光量」とが混在した状態となっている受光部D4と受光部D6の受光量は、トナー濃度検出には用いない。
受光部D4と受光部D6における受光量を、正確にトナーパターンによる「正反射光による受光量」と「拡散反射光による受光量」とに分けることは困難であるため、第2の取り扱いの適用の場合は、第1の取り扱いの場合と同様、点灯する発光部E5に対応する受光部D5は、検出用光が転写パターンを照射するかトナーパターンを照射するかに拘わらず「正反射光」であるとする。
【0183】
従って、トナーパターンからの反射光の場合、受光部D1〜D3、D7〜D9における受光量は全て拡散反射光の受光量である。これ以外の3個の受光部D4〜D6における受光量を「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量」とに分離するが、点灯する発光部E5に対応する受光部D5の受光量を「正反射光の受光量」とするのであるから、受光部D4、D6の受光量を「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量に分離」すればよい。
転写ベルトからの反射光の場合、受光部D4の受光量をA0、受光部D5の受光量をB0、受光部D6の受光量をC0とし、トナーパターンからの反射光の場合には、受光部D4の受光量をA1、受光部D5の受光量をB1、受光部D6の受光量をC1とする。
検出用光の照射対象が転写ベルトからトナーパターンに変わっても「正反射光の各受光部における配分比率」は変化しないので、トナーパターンからの反射光の場合、受光部D4の受光量のうち、A0をB0で除した値にB1を乗じた「B1・A0/B0」が正反射光の受光量となり、「A1−(B1・A0/B0)」が拡散反射光の受光量となる。
同様に、受光部D6の受光量:C0をB0で除した値にB1を乗じた「B1・C0/B0」が正反射光の受光量となり「C1−(B1・C0/B0)」が拡散反射光の受光量となる。
【0184】
このように、第2の取り扱いによれば、受光部D4とD6の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量とに分離できる。
モデルII、基準モデルI、基準モデルIIについても、上記と同様にして「正反射光の受光量と拡散反射光の受光量との分離」を行なうことができるが、ここでは、分離の結果とモデルIとの比較を示す。
【0185】
図20(a)に、第2の取り扱いをモデルIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
図20(b)には、第2の取り扱いをモデルIIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0186】
図20(c)には、第2の取り扱いを基準モデルIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0187】
図20(d)には、第2の方法と基準モデルIIに適用して「トナー濃度を検知」したときのトナーパターンによる反射光の受光量を、トナーパターンの「正反射光による受光量と拡散反射光による受光量」とに分離した結果を示す。
【0188】
図20(e)には、上記モデルI、モデルII、基準モデルI、基準モデルIIに第2の取り扱いを適用したときの各受光部の受光量をまとめた結果を示す。
図20(f)には、これら4モデルを用いる各場合について「副走査シフトずれ」が生じていない理想状態と、副走査シフトずれ(図20(f)において「Yシフトずれ」と表示している。)が、「Y=±0.02mm」生じた場合につき、図19図(i)に倣って示す。
図20から明らかなように、モデルIIでは「トナーパターンによる拡散反射光の受光量」に関してはモデルIと同程度であり、且つ、モデルI、基準モデルI、基準モデルIIに比べて、「副走査シフトずれ」に対して強い構成となっている。
【0189】
ここで、モデルIIを代表例として「トナー濃度の異なるトナーパターン」による各受光部の受光量から、どのようにトナー濃度を定量化するかを説明する。
【0190】
モデルIIを用いた反射型光学センサで、転写ベルトと「異なる濃度のトナーパターンp1〜p5」とを検知するとき、各受光部の受光量が図21(a)のようになるものとする。なお、図21に示す受光量はシミュレーション結果ではなく概算値である。
第2の取り扱いによりトナーパターンp1、p2、p3、p4、p5による反射光の受光量を、正反射光の受光量と拡散反射光の受光量に分けた結果を、図21(b)、(c)、(d)、(e)、(f)に順次示す。
【0191】
これらの図において、正反射光の受光量の合計値をD(正)、拡散反射光の受光量の合計値をD(拡)とする。
図21(g−1)に、トナーパターンp1〜p5を検知したときのD(正)の変化を示す。図示のように、トナー濃度が高くなるにつれてD(正)は減少する。これは、トナー濃度が高いほどトナーが多く付着しているため、正反射する光が減少するためであり、トナー濃度とD(正)は1対1対応している。換言すれば、D(正)の計測により、計測されたD(正)に対応するトナー濃度が求められる。
【0192】
図21(g−2)に、トナーパターンp1〜p5を検知したときのD(拡)の変化を示す。D(拡)は、トナーパターンp1〜p4を検知した際は、トナー濃度が高くなるにつれて増加しているが、トナーパターンp5を検知した際に減少に転じている。
直感的に考えると、D(拡)は「矩形状トナーパターンを構成するトナーの濃度が高くなるに従い、付着トナーが多くなるのであり、拡散反射光の増加により増大する」ように思われるが、図21(g−2)ではそのようになっていない。
これは、検知出力結果を差し引き演算していることに起因している。
【0193】
図21(g−3)に、D(拡)/D(正)を演算により求めた結果を示す。
図21(g−3)に示された縦軸:D(拡)/D(正)の値は、矩形状トナーパターンをなすトナーの濃度が、矩形状トナーパターンp1〜p5の順に高くなるにつれて増加する「単調な関数」になっている。従って、この「D(拡)/D(正)」を計測すれば、各矩形状トナーパターン(図21(g−3)の横軸)に対応したトナー濃度が求められる。
【0194】
図21(g−4)には、図21(g−1)に示した「正反射光の受光量」を基準値(ここでは転写ベルト表面による正反射光の受光量)で規格化した「相対正反射率」を示す。 図21(g−5)には、図21(g−3)に示した「D(拡)/D(正)」を、基準値(ここでは最大濃度での拡散反射寄与分)で規格化した値を示す。
【0195】
このように拡散反射寄与分の分割出力:D(拡)を正反射寄与分の分割出力:D(正)
で除した値:D(拡)/D(正)を用いて新たな値を求め、これからトナー濃度を求めて
も良い。
【0196】
上記各種モデルについて上に説明したマイクロレンズアレイは、図15(a)等に示したように「照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが、一体として形成された」ものであり、請求項6にかかる発明を特徴づけるものである。
【0197】
図15(a)等では、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの配列方向である「主方向」から見た状態が示され、これらマイクロレンズの配列状態については上の説明で特に言及しなかった。
【0198】
上に説明した各モデルとも、照射用マイクロレンズの主方向の配列ピッチは0.4mmであり、照射用マイクロレンズLEiと受光用マイクロレンズLDiの光軸間の距離は0.5mmである。
【0199】
これに対し、例えば「モデルI」においては、照射用マイクロレンズLEiは、レンズ径:0.415mmであり、受光用マイクロレンズLDiは、レンズ径:0.712mmである。
【0200】
従って、照射用マイクロレンズLEi、受光用マイクロレンズLDiを上記の「レンズ径を持つ円形のレンズ面」としたのでは、これらマイクロレンズを「主方向に配列ピッチ:0.4mmでアレイ配列」することはできない。
【0201】
即ち、アレイ配列された照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズは「主方向のレンズ面幅」が0.4mmである。
【0202】
従って、上に説明した各モデルのマイクロレンズアレイは、各マイクロレンズの光軸の方向から見た状態では、図21(h)の上部左図に示す如きものとなる。
即ち、互いに対応する「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズと」は、副方向において相互に接して、副方向に長い「長円状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向(主方向)に、発光部の配列ピッチ(説明中の例で0.4mm)と同一ピッチで接触しあっている(請求項6)。
【0203】
上に説明した各モデルにおいて、マイクロレンズのレンズ径として挙げた数値は、上記長円状の複合レンズ面を構成する照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズの「副方向における径」である。このような形状でも、当然にレンズ面積は受光用マイクロレンズの方が照射用マイクロレンズよりも大きい。
【0204】
図21(h)に示す実施の形態では、照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイを一体化した「マイクロレンズアレイ」の「裏面」側に、「遮光膜」を設けている(請求項4)。
【0205】
任意の発光部を点灯させたとき、発光部からの光は該発光部に対応する照射用マイクロレンズのみではなく、該照射用マイクロレンズの周囲に配置された複数のマイクロレンズ(照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ)を透過して、転写ベルトあるいはトナーパターンを照射する場合がある。
このような光は、検出用光に対して「フレア光(迷光)」となり、トナーパターンを照射すると、各受光部の受光量に変化を生じさせる。フレア光に起因する受光量の変化が、無視できる程度を超えるとトナーパターンの位置・トナー濃度の誤検知を生じる。
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方の、表面もしくは裏面、または表面と裏面の所定の領域に遮光膜を設けることにより、フレア光の影響を軽減もしくは除去することができる。
【0206】
図21(h)に示すように、遮光膜と「マイクロレンズの副方向の端部」との間隔:sを0.300mm以下にすれば、フレア光がトナーパターンを照射したときの拡散反射光の受光量は、検出用光がトナーパターンを照射したときの、各受光部の中の最大受光量に対して0.1%程度になるため、フレア光によるトナーパターンの「位置・トナー濃度」の検知への影響は無視できるようになる。
図21(h)は、マイクロレンズアレイの「裏面にのみ遮光膜を設けた」場合を示しているが、マイクロレンズアレイの表面側の所定の位置に遮光膜を設けることで、上述したような効果が得られるのであれば、マイクロレンズアレイの表面のみに遮光膜を設けてもよく、マイクロレンズアレイの表面と裏面の両面に遮光膜を設けても良いことは言うまでも無い。
図21(h)に示した例では、互いに対応する「照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズと」は、副方向において相互に接して、副方向に長い「長円状の複合レンズ面」をなし、この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向(主方向)に、発光部の配列ピッチ(説明中の例で0.4mm)と同一ピッチで接触しあっているが、複合レンズ面はこのような「副方向に長い長円状」に限らず、図21(i)に示すように、「副方向を長手方向とする長方形形状(短冊形状)」としてもよい。遮光膜を設けても良いことは、図21(h)の場合と同様であり、遮光膜の設け方も、図21(h)の場合と同様である。
【0207】
図21(i)に示した例における「マイクロレンズのレンズ径」は、長方形形状の複合レンズ面を構成する照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズにおける「副方向における径」である。このような形状でも、当然にレンズ面積は受光用マイクロレンズの方が照射用マイクロレンズよりも大きい。
【0208】
先に、図16に示す例に関連して「発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯させ、そのときの各受光部の受光量に基づいて、トナーパターンの位置を確認できる」ことを述べた。この場合、発光部E1〜E9を順次に点灯・消灯するのにかかる時間が長いと、この時間の間にトナーパターンは副方向へ移動しているので、反射型光学センサとトナーパターンの位置関係が変化し、検出精度に影響することが考えられる。
このような場合、請求項9記載の発明のように、N個の発光部を「配列方向にm組に分割して、各組が略等数の発光部を有するようにし、各組の発光部を「配列順に同期して点滅」させる照射制御装置を有するようにすることができる。
【0209】
上に説明した各例のように、N=9の場合、これを配列方向に3組に分割し、各組に3個の発光部が配分されるようにできる。
即ち、発光部E1〜E3を第1組、発光部E4〜E6を第2組、発光部E7〜E9を第3組とする。
【0210】
そして、第1〜第3組の各発光部を配列順に同期して点滅させる。
即ち「第1組の発光部E1と第2組の発光部E4と第3組の発光部E7」を同時に点滅させ、次に「第1組の発光部E2と第2組の発光部E5と第3組の発光部E8」を同時に点滅させ、続いて「第1組の発光部E3と第2組の発光部E6と第3組の発光部E9」を同時に点滅させる。
【0211】
このようにすると、発光部E1〜E9を順次に点滅させる場合に比して、9個の発光部全てを点滅させる回数を3回に減らすことができ、この間のトナーパターンの変位量も小さいので、長方形のトナーパターンp1等の副方向の長さ:Wp(図9参照)を小さくでき、あるいはトナーパターンの移動速度が速くなっても検出を対応させ得る。
【0212】
次に、反射型光学センサを用いる「トナーパターンの位置検出処理」を説明する。
反射型光学センサとして前述のモデルIのマイクロレンズアレイを用いるものを例にとる。なお、説明の簡単のため、図22(a)に示すように、発光部Ei(i=1〜9)を点灯させ、検出用光Si(i=1〜9)が転写ベルト2040によって正反射されたときの受光部Di(i=1〜9)の受光量の最大値を1とする。
図22(b)に示すように、位置検出用パターンは、主方向に関して、発光部E5の中心位置とトナーパターンの中心位置とが一致するように転写ベルト2040上に転写されているものとする。
【0213】
図1に示すプリンタ制御装置2090は、位置検出用パターンPPが反射型光学センサに近づくタイミングを計って、発光部E5を連続点灯させる。
発光部E5からの検出用光は、転写ベルト2040の回転につれて、ライン状パターンLPY1〜LPK2を順次照射する(図22(c)(A)参照)。
【0214】
そして、プリンタ制御装置2090は、各受光部の出力信号を時間的に追跡し、検出用光が、ライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPM1を照射するまでの時間:Tym、ライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPC1を照射するまでの時間:Tmc、ライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPK1を照射するまでの時間:Tckを検出する(図22(c)(B)参照)。
【0215】
各受光部の出力信号は、増幅・反転され、所定の基準値と比較する比較回路を介している。
【0216】
プリンタ制御装置2090は、時間:Tym、Tmc、Tckが略同じであれば「各色トナー画像相互の副方向に関する位置関係は適正である」と判断し、時間:Tym、Tmc、Tckが「略同じでない」場合には「各色トナー画像相互の副方向に関する位置関係にずれがある」と判断する。
プリンタ制御装置2090は、上記位置関係にずれがあると判断した場合には、時間;Tym、Tmc、Tck相互の時間差から上記位置関係のずれ量を求め、該ずれ量を走査制御装置に送る。走査制御装置は、入力された「ずれ量」を0とするように、対応するステーションにおける光走査開始のタイミングを調整する。
【0217】
プリンタ制御装置2090はまた、検出用光が、ライン状パターンLPY1を照射してからライン状パターンLPY2を照射するまでの時間:Ty、ライン状パターンLPM1を照射してからライン状パターンLPM2を照射するまでの時間:Tm、ライン状パターンLPC1を照射してからライン状パターンLPC2を照射するまでの時間:Tc、ライン状パターンLPK1を照射してからライン状パターンLPK2を照射するまでの時間:Tkを検出する(図22(c)の参照)。
【0218】
そして、プリンタ制御装置2090は、時間:Ty、Tm、Tc、Tkを「これらの時間について予め定められている基準時間」と比較する。そして、時間:Ty、Tm、Tc、Tkがいずれも、これらに対する基準時間と同じであれば、プリンタ制御装置2090は「各色トナー画像相互の主方向に関する位置関係は適正である」と判断する。
【0219】
プリンタ制御装置2090は、例えば、時間:Tyがその基準時間と異なっていれば、次の(1)式を用い、イエロートナー画像の「主方向に関する位置ずれ量:ΔS」を求める(図22(d)(A)及び図22(d)(B)参照)。
ΔS=V・ΔT・cotθ ……(1)
式(1)における「V」は転写ベルト2040の副方向への移動速度、「ΔT」は時間:Tyとその基準時間との差、「θ」はライン状パターンLPY2の主方向に対する傾斜角である。算出された位置ずれ量:ΔSは走査制御装置に入力される。
【0220】
走査制御装置は「入力された位置ずれ量:ΔSが0となる」ように、Yステーションを調整する。プリンタ制御装置2090はまた、位置ずれ量:ΔSから「主方向に関するトナーパターンの中心位置」を求める。
【0221】
上には、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合を説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成装置の形態によっては、感光体ドラムや中間転写ベルト上のトナーパターンを検出できることは言うまでも無い。
【0222】
画像形成装置として、複数の感光体ドラムを備えたカラープリンタ2000につき説明したが、これに限らず、例えば1つの感光体ドラムを備え、単色の画像を形成するプリンタにも適用できる。
【0223】
また、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
【0224】
また、説明は省いたが、現像ローラによって前記潜像にトナーが付着後の感光体ドラム上におけるトナーパターンのトナー濃度および位置、あるいはトナー濃度または位置を検出する場合においても、この発明の反射型光学センサは適用可能である。
【0225】
また、上には「表面が滑らかな転写ベルト(表面での反射が正反射のみ)」の場合を挙げたが、「表面が滑らかでない転写ベルト(表面での反射が拡散反射も含む)」についても上記考え方は適用できる。
すなわち、適宜の手段を用いて「正反射体による検知出力分布」を測定できれば、それ
を用いて「正反射寄与分と拡散反射寄与分に分割する」ことが可能である。
例えば、予め正反射体を用いて検知出力分布を測定しておき、測定された分布をメモリ
等に記憶しておくこともできるし、転写ベルトの一部に「表面が滑らかな部分」を形成し、この部分での正反射を検出することもできるし、可動式の正反射体を画像形成装置中に
備えて、必要なときにその正反射体を可動して検出することもできる。
【0226】
上に説明したところから明らかなように、請求項7に記載の「支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第1の基準受光量と、支持部材上のトナーパターンが検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第2の基準受光量とを参照し、第2の基準受光量を、拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する処理手段」や、請求項9の照射制御装置は、上に説明した実施の形態において、プリンタ制御装置2090により実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0227】
【特許文献1】特開平1− 35466号公報
【特許文献2】特開2004− 21164号公報
【特許文献3】特開2002− 72612号公報
【特許文献4】特開2004−309292号公報
【特許文献5】特開2004−309293号公報
【特許文献6】特開2009−258601号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の副方向へ移動する支持部材の表面に形成されたトナーパターンのトナー濃度もしくは位置、または上記トナーパターンのトナー濃度および位置を検出するために用いられる反射型光学センサであって、
N(≧3)個の発光部を1方向に等間隔に配列一体化してなり、上記各発光部から検出光を放射する照明系と、
N個の受光部を上記発光部の配列ピッチと同ピッチで1方向に配列一体化してなる受光系と、
同一形状で同一の正のパワーを持つN個の照射用マイクロレンズを、上記N個の発光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる照射用マイクロレンズアレイと、
同一形状で同一の正のパワーを持つN個の受光用マイクロレンズを、上記N個の受光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる受光用マイクロレンズアレイと、を有し、
上記照明系の発光部の配列方向、上記受光系の受光部の配列方向、照射用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向、受光用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向が互いに平行で、上記副方向に対して直交もしくは所定の角をなし、
上記発光部から放射された光束が、照射用マイクロレンズを介して支持部材に検出用光として照射され、上記支持部材による反射光が受光用マイクロレンズを介して受光部に入射するように、上記照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が定められ、
上記照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは同一の光学材料により形成され、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ共に平凸形状であり、
上記各照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して上記受光系側へ所定距離ずれ、
上記各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行で、上記受光部軸に対して、上記照明系に近づく側もしくは遠ざかる側にずれており、
上記照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きいことを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項2】
請求項1記載の反射型光学センサにおいて
受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径よりも小さく、受光用マイクロレンズのレンズ肉厚が、照射用マイクロレンズのレンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して、照明系に近づく側へずれていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項3】
請求項1記載の反射型光学センサにおいて、
受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径およびレンズ肉厚が何れも、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ肉厚よりも大きく、
各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して、照明系から遠ざかる側へずれていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項4】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方は、表面側と裏面側の少なくとも一方の所定の領域に、遮光膜が形成されていることを特長とする反射型光学センサ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが、一体として形成されていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項6】
請求項5記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイにおける所定の側からi(1≦i≦N)番目の照射用マイクロレンズと、受光用マイクロレンズアレイにおける上記所定の側からi(1≦i≦N)番目の受光用マイクロレンズとが、副方向において相互に接して長円状もしくは長方形形状の複合レンズ面をなし、
この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向に、発光部の配列ピッチと同一ピッチで接触しあっていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第1の基準受光量と、上記支持部材上のトナーパターンが上記検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第2の基準受光量とを参照し、上記第2の基準受光量を、拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する処理手段を備えることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項8】
請求項7記載の反射型光学センサにおいて、
拡散反射光による受光量:D(拡)を正反射光による受光量:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を求める演算を行うことを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項9】
請求項1〜8の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
N個の発光部が、配列方向にm組に分割され、各組は略等数の発光部を有し、各組の発光部を、配列順に同期して点滅させる照射制御装置を有することを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項10】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
発光部、受光部、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの個数:Nが、
7≦N≦31
の範囲内の奇数であることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項11】
潜像担持体と、
この静電潜像に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
上記静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置と、
上記トナー画像を転写ベルトによりシート状記録媒体に転写する転写装置と、
上記潜像担持体または転写ベルトを支持部材として形成されたトナーパターンのトナー濃度もしくは位置、または上記トナーパターンのトナー濃度および位置を検出するために用いられる反射型光学センサとを有し、
上記静電潜像形成手段は、潜像担持体を均一帯電させる帯電手段と、均一帯電された潜像担持体に光走査を行ない、画像情報に応じた静電潜像を形成する光走査装置とを有し、
上記反射型光学センサとして、請求項1〜10の任意の1に記載の反射型光学センサを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
複数の潜像担持体に異なる色のトナー画像を形成し、これら複数のトナー画像を重ね合わせて多色画像を形成するタンデム方式の画像形成装置。
【請求項1】
所定の副方向へ移動する支持部材の表面に形成されたトナーパターンのトナー濃度もしくは位置、または上記トナーパターンのトナー濃度および位置を検出するために用いられる反射型光学センサであって、
N(≧3)個の発光部を1方向に等間隔に配列一体化してなり、上記各発光部から検出光を放射する照明系と、
N個の受光部を上記発光部の配列ピッチと同ピッチで1方向に配列一体化してなる受光系と、
同一形状で同一の正のパワーを持つN個の照射用マイクロレンズを、上記N個の発光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる照射用マイクロレンズアレイと、
同一形状で同一の正のパワーを持つN個の受光用マイクロレンズを、上記N個の受光部と同一ピッチで1方向にアレイ配列し一体化してなる受光用マイクロレンズアレイと、を有し、
上記照明系の発光部の配列方向、上記受光系の受光部の配列方向、照射用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向、受光用マイクロレンズアレイのマイクロレンズ配列方向が互いに平行で、上記副方向に対して直交もしくは所定の角をなし、
上記発光部から放射された光束が、照射用マイクロレンズを介して支持部材に検出用光として照射され、上記支持部材による反射光が受光用マイクロレンズを介して受光部に入射するように、上記照明系、受光系、照射用マイクロレンズアレイ、受光用マイクロレンズアレイの位置関係が定められ、
上記照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイは同一の光学材料により形成され、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズ共に平凸形状であり、
上記各照射用マイクロレンズの光軸は、対応する発光部の中心を通り該発光部に垂直な発光部軸に平行で、この発光部軸に対して上記受光系側へ所定距離ずれ、
上記各受光用マイクロレンズの光軸は、対応する受光部の中心を通り該受光部に垂直な受光部軸に対して平行で、上記受光部軸に対して、上記照明系に近づく側もしくは遠ざかる側にずれており、
上記照射用マイクロレンズと受光用マイクロレンズとは、レンズ面積、レンズ面曲率半径、レンズ肉厚が、何れも互いに異なり、受光用マイクロレンズのレンズ面積が照射用マイクロレンズのレンズ面積より大きいことを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項2】
請求項1記載の反射型光学センサにおいて
受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径が、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径よりも小さく、受光用マイクロレンズのレンズ肉厚が、照射用マイクロレンズのレンズ肉厚よりも大きく、各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して、照明系に近づく側へずれていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項3】
請求項1記載の反射型光学センサにおいて、
受光用マイクロレンズのレンズ面曲率半径およびレンズ肉厚が何れも、照射用マイクロレンズのレンズ面曲率半径、レンズ肉厚よりも大きく、
各受光用マイクロレンズの光軸が、受光部軸に対して、照明系から遠ざかる側へずれていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項4】
請求項1〜3の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイの少なくとも一方は、表面側と裏面側の少なくとも一方の所定の領域に、遮光膜が形成されていることを特長とする反射型光学センサ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイと受光用マイクロレンズアレイが、一体として形成されていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項6】
請求項5記載の反射型光学センサにおいて、
照射用マイクロレンズアレイにおける所定の側からi(1≦i≦N)番目の照射用マイクロレンズと、受光用マイクロレンズアレイにおける上記所定の側からi(1≦i≦N)番目の受光用マイクロレンズとが、副方向において相互に接して長円状もしくは長方形形状の複合レンズ面をなし、
この複合レンズ面が、複合レンズ面の幅方向に、発光部の配列ピッチと同一ピッチで接触しあっていることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
支持部材表面が検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第1の基準受光量と、上記支持部材上のトナーパターンが上記検出用光で照射されたときの各受光部の受光量である第2の基準受光量とを参照し、上記第2の基準受光量を、拡散反射光による受光量と正反射光による受光量とに分離する処理手段を備えることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項8】
請求項7記載の反射型光学センサにおいて、
拡散反射光による受光量:D(拡)を正反射光による受光量:D(正)で除した値:D(拡)/D(正)を求める演算を行うことを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項9】
請求項1〜8の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
N個の発光部が、配列方向にm組に分割され、各組は略等数の発光部を有し、各組の発光部を、配列順に同期して点滅させる照射制御装置を有することを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項10】
請求項1〜9の任意の1に記載の反射型光学センサにおいて、
発光部、受光部、照射用マイクロレンズ、受光用マイクロレンズの個数:Nが、
7≦N≦31
の範囲内の奇数であることを特徴とする反射型光学センサ。
【請求項11】
潜像担持体と、
この静電潜像に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
上記静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置と、
上記トナー画像を転写ベルトによりシート状記録媒体に転写する転写装置と、
上記潜像担持体または転写ベルトを支持部材として形成されたトナーパターンのトナー濃度もしくは位置、または上記トナーパターンのトナー濃度および位置を検出するために用いられる反射型光学センサとを有し、
上記静電潜像形成手段は、潜像担持体を均一帯電させる帯電手段と、均一帯電された潜像担持体に光走査を行ない、画像情報に応じた静電潜像を形成する光走査装置とを有し、
上記反射型光学センサとして、請求項1〜10の任意の1に記載の反射型光学センサを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11記載の画像形成装置において、
複数の潜像担持体に異なる色のトナー画像を形成し、これら複数のトナー画像を重ね合わせて多色画像を形成するタンデム方式の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図15(e)】
【図15(f)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図16(d)】
【図16(e)】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図17(c)】
【図17(d)】
【図17(e)】
【図17(f)】
【図17(g)】
【図17(h)】
【図18(a)】
【図18(b)】
【図18(c)】
【図18(d)】
【図18(e)】
【図18(f)】
【図18(g)】
【図18(h)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図19(c)】
【図19(d)】
【図19(e)】
【図19(f)】
【図19(g)】
【図19(h)】
【図19(i)】
【図20(a)】
【図20(b)】
【図20(c)】
【図20(d)】
【図20(e)】
【図20(f)】
【図21(a)】
【図21(b)】
【図21(c)】
【図21(d)】
【図21(e)】
【図21(f)】
【図21(g)】
【図21(h)】
【図21(i)】
【図22(a)】
【図22(b)】
【図22(c)】
【図22(d)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15(a)】
【図15(b)】
【図15(c)】
【図15(d)】
【図15(e)】
【図15(f)】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図16(c)】
【図16(d)】
【図16(e)】
【図17(a)】
【図17(b)】
【図17(c)】
【図17(d)】
【図17(e)】
【図17(f)】
【図17(g)】
【図17(h)】
【図18(a)】
【図18(b)】
【図18(c)】
【図18(d)】
【図18(e)】
【図18(f)】
【図18(g)】
【図18(h)】
【図19(a)】
【図19(b)】
【図19(c)】
【図19(d)】
【図19(e)】
【図19(f)】
【図19(g)】
【図19(h)】
【図19(i)】
【図20(a)】
【図20(b)】
【図20(c)】
【図20(d)】
【図20(e)】
【図20(f)】
【図21(a)】
【図21(b)】
【図21(c)】
【図21(d)】
【図21(e)】
【図21(f)】
【図21(g)】
【図21(h)】
【図21(i)】
【図22(a)】
【図22(b)】
【図22(c)】
【図22(d)】
【公開番号】特開2011−180527(P2011−180527A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47008(P2010−47008)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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