説明

回転電機制御システム

【課題】回転電機制御システムにおいて、電流センサの検出電流値に誤差が重畳している場合でも、過電流及び過電圧の発生を有効に防止することである。
【解決手段】回転電機制御システム10は、回転電機であるモータジェネレータMG2と、リアクトル20を含むDC/DCコンバータ14と、DC/DCコンバータ14に接続された平滑コンデンサC1,C2と、正弦波PWM制御方式または過変調制御方式または矩形波制御方式でインバータを制御する制御部18とを含む。制御部18は、正弦波PWM制御方式の実行時に、LC共振回路の共振周波数領域の周波数とモータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときに、インバータ16の入力電圧VHを低下させ、インバータ16の制御方式を正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替える電圧低下制御部30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機制御システムに係り、回転電機を駆動する駆動回路と、変調率に応じて駆動回路の制御方式を切り換える制御部とを備える回転電機制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータや発電機として使用される回転電機の制御方法として、正弦波PWM(Pulse Width Modulation)制御モードと、過変調制御モードと、矩形波制御モードとを使い分けることが知られている。なお、過変調制御モードは、過変調PWM制御モードと呼ぶこともある。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動機駆動制御装置であって、モータの目標動作点が昇圧コンバータで共振が発生するときのモータの動作点を含む所定の共振域に含まれるときに、インバータ側の電圧がバッテリ側の電圧よりも高くなるように、昇圧コンバータを制御するとともに、正弦波PWM制御方式を用いてインバータを制御することが記載されている。この構成は、昇圧コンバータのリアクトルと昇圧コンバータに接続された平滑コンデンサとにより共振回路が構成され、モータの動作点が所定領域に入った際に、電圧や電流の共振が発生し、昇圧コンバータや平滑コンデンサに過大な電圧や電流が印加されるのを防止することを目的とするとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−225633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のように正弦波PWM制御方式を用いてインバータを制御する場合に、センサの製品ばらつき等により、回転電機であるモータの電流センサの検出電流値にオフセット誤差が重畳する可能性がある。この場合、電流センサの検出値を正として制御が行われるため、実電流であるd軸電流及びq軸電流がそれぞれ電気一次で変動し、モータに電気一次で変動するパワー変動が発生する。さらに、電圧変換部である昇圧コンバータのリアクトルと平滑コンデンサとによりLC共振回路が構成されるので、LC共振が発生する。この場合、LC共振の周波数領域と上記のパワー変動の周波数とが一致すると、昇圧電圧である高圧側電圧VHが大きく変動し、バッテリの出力電流であるバッテリ電流IBも大きく変動する。特に、正弦波PWM制御で回転電機を制御する場合、制御の追従性が高いので、電圧VH及び電流IBの変動が顕著になる。また、平滑コンデンサの容量が小さい場合や、バッテリの内部抵抗が小さい場合には、電圧VH及び電流IBの変動がさらに顕著になる。このように電圧VH及び電流IBがともに大きくなり、過電流及び過電圧が発生すると、予め設定される設計上の部品保護域値を越えないようにするための有効な対策が必要になる。例えば、インバータと平滑コンデンサとを含むパワーコントロールユニット(PCU)の部品保護閾値を越える過電流や過電圧が発生しないようにするための有効な対策が必要になる。このため、昇圧コンバータの出力電圧である高圧側電圧VH及びバッテリ電流IBに関する過電圧及び過電流の発生を有効に防止できる回転電機制御システムの実現が望まれている。
【0006】
本発明の目的は、回転電機制御システムにおいて、電流センサの検出電流値に誤差が重畳している場合でも、過電流及び過電圧の発生を有効に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回転電機制御システムは、回転電機と、直流電源に接続され、リアクトルを含む電圧変換部と、前記回転電機に接続された駆動回路と、前記電圧変換部に接続された平滑コンデンサと、前記駆動回路の入力電圧に対する前記回転電機の必要印加電圧である線間電圧の実効値の比である変調率が予め設定された第1比率以下のときに、正弦波PWM制御方式で前記駆動回路を制御し、前記変調率が前記第1比率を上回るときに、過変調制御方式または矩形波制御方式で前記駆動回路を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記リアクトルと前記平滑コンデンサとを含む共振回路の共振周波数領域の周波数と、前記回転電機の出力変動の周波数とが一致したときに、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替える電圧低下制御部を含むことを特徴とする回転電機制御システムである。
【0008】
また、本発明に係る回転電機制御システムにおいて、好ましくは、前記電圧低下制御部は、前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記回転電機の回転数が、前記共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときに、前記共振周波数領域の周波数と、前記回転電機の出力変動の周波数とが一致したときであるとして、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替える。
【0009】
また、本発明に係る回転電機制御システムにおいて、好ましくは、前記電圧低下制御部は、前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記回転電機の回転数が、前記共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときでも、回転電機の出力の絶対値が予め設定される所定出力よりも大きい場合で、かつ、実際の電流値である実電流値にリップル成分を除去するフィルタをかけたフィルタ処理済み電流値と前記実電流値との差の絶対値が予め設定される所定電流値よりも大きいときのみに、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る回転電機制御システムによれば、正弦波PWM制御方式の実行時において、リアクトルと平滑コンデンサとを含む共振回路の共振周波数領域の周波数と、回転電機の出力変動の周波数とが一致したときに、駆動回路の入力電圧を低下させ、駆動回路の制御方式を正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替えるので、制御の応答性が悪化する。このため、回転電機についての電流を検出する電流センサの検出電流値に誤差が重畳している場合でも、共振周波数領域での電圧変換部に対する入力電流の変動を小さく抑えることができ、過電流及び過電圧の発生を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の回転電機制御システムの1例を示す回路図である。
【図2】図1の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態において、回転電機の制御方式の切替を説明するための回転電機の回転数及びトルクの関係を示す図である。
【図4】図2の正弦波PWM制御部が、正弦波PWM制御方式によりインバータを制御する様子を示す図である。
【図5】比較例の回転電機制御システムにおいて、加速度一定でモータジェネレータの回転を加速する場合の経過時間と、バッテリ電流値との関係を示す図である。
【図6】図2の変調度制御切替部で使用するインバータの入力電圧であるVH上限電圧を決定する方法の1例を説明するフローチャートである。
【図7】図6のS10で電流変動判定フラグのON(=1)またはOFF(=0)を決定するサブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図6のS10でLC共振帯判定フラグのON(=1)またはOFF(=0)を決定するサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、回転電機として、車両に搭載されるモータジェネレータを説明するが、車両搭載用以外の用途に用いられる回転電機であってもよい。また、回転電機は、単にモータとして機能させるものを車両に搭載する電気自動車用や燃料電池車用等として使用するものでもよい。
【0013】
以下では、全ての図面において同様の、または対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の回転電機制御システムの1例を示す回路図である。回転電機制御システム10は、図示しないエンジンと、主に走行用モータとして使用される回転電機であるモータジェネレータMG2との一方または両方を主駆動源として使用するハイブリッド車両に搭載して使用される。このような回転電機制御システム10は、モータジェネレータMG2と、直流電源であり蓄電部であるバッテリ12と、バッテリ12に接続された電圧変換部であるDC/DCコンバータ14と、DC/DCコンバータ14に接続された平滑コンデンサC1及び第2平滑コンデンサC2と、DC/DCコンバータ14の昇圧側とモータジェネレータMG2との間に接続される駆動回路であるインバータ16と、制御部18とを備える。
【0015】
なお、ハイブリッド車両は、主にエンジンにより駆動され、発電機として使用される図示しない別のモータジェネレータMG1と、別のモータジェネレータMG1を駆動する別のインバータとを備え、別のインバータは、DC/DCコンバータ14の昇圧側にインバータ16と並列に接続され、別のインバータに別のモータジェネレータMG1が接続される場合もある。本実施形態の制御部18は、別のインバータ及び別のモータジェネレータMG1も同様に制御できるが、以下の説明では、インバータ16及びモータジェネレータMG2を制御する場合を代表して説明する。
【0016】
モータジェネレータMG2は、U相、V相、W相の3相型回転電機であり、バッテリ12から電力が供給される場合にモータとして機能し、車両の制動時には発電機として機能する。発電された電力は、インバータ16を介してバッテリ12に供給される。
【0017】
DC/DCコンバータ14は、リアクトル20と、互いに直列接続された2つのスイッチング素子Saとを含む。2つのスイッチング素子Saの間にリアクトル20の一端が接続され、リアクトル20の他端がシステムリレーSR及びヒューズFを介してバッテリ12の正極側に接続されている。スイッチング素子Saは、例えばトランジスタ、IGBT等である。なお、図示の例では、システムリレーSRが、第1リレーR1と、第1リレーR1に並列に接続され、抵抗Rwが直列に接続された第2リレーR2とを含む。制御部18は、第1リレーR1及び第2リレーR2の一方をオンし、他方をオンするように制御することで、バッテリ12とDC/DCコンバータ14とを電気的に接続可能とする。
【0018】
DC/DCコンバータ14の各スイッチング素子Saに逆並列にダイオードDaが接続され、2つのスイッチング素子Saの片側(図1の下側)のスイッチング素子Saにバッテリ12の負極側が接続されている。また、リアクトル20の他端とバッテリ12の負極側との間に平滑コンデンサC1が接続されている。また、2つのスイッチング素子Saの両端間とインバータ16との間に第2平滑コンデンサC2が接続されている。
【0019】
このようなDC/DCコンバータ14は、制御部18によりスイッチング素子Saのスイッチングが制御され、バッテリ12の出力側電圧である低圧側電圧VLを昇圧した高圧側電圧VHをインバータ16に供給したり、インバータ16側から供給される高圧側電圧VHを降圧してバッテリ12側に供給する。このようなDC/DCコンバータ14の制御のために、回転電機制御システム10は、DC/DCコンバータ14の低圧側電圧VLを検出する低圧センサ22と、DC/DCコンバータ14の高圧側電圧VHを検出する高圧センサ24とを含む。
【0020】
インバータ16は、互いに並列接続されたU相、V相、W相に対応する3本のアームAu、Av、Awを含み、各相アームAu、Av、Awは、互いに直列接続されたトランジスタ、IGBT等の2つのスイッチング素子Swを含む。各スイッチング素子Swに逆並列にダイオードDiが接続されている。各スイッチング素子Swは、制御部18によりスイッチングが制御されて、DC/DCコンバータ14の高圧側から供給された直流電圧を3相交流電圧に変換し、モータジェネレータMG2に出力する。また、車両の制動時には、モータジェネレータMG2からインバータ16に出力された3相交流電圧をインバータ16で直流電圧に変換して、DC/DCコンバータ14で降圧してからバッテリ12に供給し、バッテリ12を充電する。
【0021】
また、回転電機制御システム10は、モータジェネレータMG2の各相のステータコイル26u、26v、26wとインバータ16とを接続する動力線を流れる電流を検出する電流センサ28を備える。電流センサ28については、後で詳しく説明する。
【0022】
また、制御部18は、例えば車載用コンピュータで構成されることができる。制御部18は、1つのコンピュータで構成することができるが、複数のコンピュータをケーブル等で接続することにより構成することもできる。例えば、制御部18は、モータジェネレータMG2の動作を制御するモータ制御部とすることができる。
【0023】
図2は、制御部18のうち、モータ制御を行う部分を機能に分けて示している。すなわち、制御部18は、正弦波PWM制御部50と、過変調制御部52と、矩形波制御部54と、変調度制御切替部56と、位相制御切替部58と、電圧低下制御部30とを含む。
【0024】
正弦波PWM制御部50は、モータジェネレータMG2を正弦波PWM制御方式により制御する。過変調制御部52は、モータジェネレータMG2を過変調制御方式により制御する。矩形波制御部54は、モータジェネレータMG2を矩形波制御方式により制御する。
【0025】
また、変調度制御切替部56は、正弦波PWM制御モードと過変調制御モードと矩形波制御モードとの間での制御方式、すなわち制御モードの切り替えを、変調率である変調度Eによって行う。「変調度E」とは、システム電圧でありインバータ16の入力電圧であるDC/DCコンバータ14の高圧側電圧VHに対する、トルク指令値等から決定される、モータジェネレータMG2の必要印加電圧である線間電圧の実効値Jの比(J/VH)である。モータジェネレータMG2の線間電圧の実効値Jは、d軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*を用いて、J={(Vd*2+(Vq*21/2で与えられる。したがって、変調度Eは、変調度E=[{(Vd*2+(Vq*21/2]/VHで求められる。そして、変調度Eが予め設定された第1比率である0.61以下では正弦波PWM制御方式でインバータ16を制御し、変調度Eが0.61を上回り予め設定された第2比率である0.78未満のときには過変調制御方式でインバータ16を制御し、変調度Eが0.78以上のときには矩形波制御方式でインバータ16を制御するように、変調度制御切替部56は制御方式の切替を行う。なお、一般的な正弦波PWM制御方式では、変調度Eの最大値を0.61までしか高めることができない。ただし、2相変調方式または3次高調波重畳制御による正弦波PWM制御の場合には、変調度Eの最大値を0.70まで高めることができる。この場合、上記の第1比率は0.70となる。このように第1比率は1つの値に限定するものではない。
【0026】
また、位相制御切替部58は、モータジェネレータMG2の制御を行う制御方式、すなわち制御モードを、矩形波制御モードから過変調制御モードに切り替えるものであり、dq平面上で、モータジェネレータMG2の動作点から制御モードを切り替える。ここで、dq平面とは、モータジェネレータMG2の動作点を互いに直交するd軸及びq軸で規定するためのもので、例えばd軸は、d軸電流軸(Id軸)またはd軸電圧軸(Vd軸)とし、q軸は、Id軸またはVd軸に直交するq軸電流軸(Iq軸)またはq軸電圧軸(Vd軸)とする。また、制御部18は、dq平面上において、モータジェネレータMG2を電流制御するときの最大効率で運転できるd軸電流及びq軸電流の電流組を結んで得られる最大効率特性線として規定している。
【0027】
位相制御切替部58は、dq平面上の原点Oを中心とする円である最大電圧円上で、モータジェネレータMG2の動作点が最大効率特性線よりも、時計方向回りの遅角側に設定された切替ラインを超えるときに、矩形波制御モードから過変調制御モードに切り替える機能を有する。
【0028】
ここで、正弦波PWM制御方式と過変調制御方式とは、電流フィードバック制御であり、電圧指令値と搬送波(キャリア)とを比較することでPWM信号をモータジェネレータMG2に出力する制御である。一方、矩形波制御方式は、電気角に応じて1パルススイッチング波形をモータジェネレータMG2に出力する制御であり、電圧振幅は最大値に固定され、位相を制御することでトルクをフィードバック制御する。
【0029】
図3は、モータジェネレータMG2の動作点に応じて制御モードが選択される様子を説明する図である。この図は、モータジェネレータMG2の回転数を横軸にとり、トルクを縦軸にとり、その最大トルク特性線を示し、その最大トルク特性線の内側で示される作動領域においてどの制御モードが用いられるかを示す図である。図3に示されるように、低速側に正弦波PWM制御モード作動領域が、高速側に矩形波制御モード作動領域が、その中間に過変調制御モード作動領域がそれぞれ設定されている。
【0030】
次に、これら3つの制御モードの切替について説明する。図3で示されたように、回転数とトルクで与えられるモータジェネレータMG2の動作点の状態に応じて、制御モードの切替が行われる。速度とトルクとを次第に上げて行くにつれて、正弦波PWM制御モードから過変調制御モードへ、過変調制御モードから矩形波制御モードへと制御モードを切り替える。例えば、モータジェネレータMG2の動作点が、図3の点αにあれば正弦波PWM制御モードが実行され、図3の点βにあれば過変調制御モードが実行され、図3の点γにあれば矩形波制御モードが実行される。この場合、変調度Eによって、制御モードの切替を行うことができる。すなわち、変調度Eが0.61等の第1比率以下のときに正弦波PWM制御モードを使用し、変調度Eが第1比率を超えて0.78等の第2比率未満までは過変調制御モードを使用し、変調度Eが第2比率以上で矩形波制御モードを使用するように制御モードを切り替える。
【0031】
これと逆方向に制御モードを切り替えるときも変調度Eを用いることができるが、矩形波制御モードから過変調制御モードへの切替は、矩形波制御モードにおいて電圧指令振幅が一定であるので、例えば電流指令に対する実電流の位相によって切替のタイミングを判定することで行うことができる。
【0032】
図4は、図2の正弦波PWM制御部50が、正弦波PWM制御方式によりインバータ16を制御する様子を示す図である。図2で正弦波PWM制御部50は、図示しない別の制御部からトルク指令値T*と回転角速度指令値ω*とを取得する。これらの指令値は、図示しない車両のアクセルペダル操作量やブレーキペダル操作量等からユーザの要求トルクと要求車速とを推定して算出される。正弦波PWM制御部50は、電流指令生成部34、減算器部36、PI制御部32、3相/2相変換部38、及び2相/3相変換部40を有する。
【0033】
電流指令生成部34は、モータジェネレータMG2の実際の回転角速度ωと回転角速度指令値ω*とを比較し、予め作成したテーブル等を用いて、トルク指令値T*をd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*の組として算出する機能を有する。
【0034】
減算器部36は、d軸電流指令値Id*から実際のd軸電流値Idを減算してd軸電流偏差δIdを算出する機能を有するId減算器と、q軸電流指令値Iq*から実際のq軸電流値Iqを減算してq軸電流偏差δIqを算出する機能を有するIq減算器とを含んで構成される。
【0035】
モータジェネレータMG2における実際のd軸電流値Idと実際のq軸電流値Iqとは、3相/2相変換部38の機能によって、モータジェネレータMG2のロータの回転角度θと、モータジェネレータMG2の3相分の電流を検出する電流センサ28の検出値Iu、Iv、Iwとに基づいて算出される。ロータの電気角は、レゾルバ等の回転角度センサMRによって検出される。電流値Iu、Iv、Iwは、インバータ16の対応する相のアームAu、Av、Aw(図1)とモータジェネレータMG2の対応する相のステータコイル26u、26v、26w(図1)とを接続する電力線を流れる電流を検出することで得られる。モータジェネレータMG2の各相のステータコイル26u、26v、26wの一端が中性点で接続されるので、2相分の電流Iv、Iwを検出すること残りの1相分の電流値Iuが算出可能である。図1では、V相電流値IvとW相電流値Iwとの2つを検出することが示されている。残るU相電流値Iuは、Iu=−(Iv+Iw)で求められる。なお、電流センサ28を3相分設けて、直接3相分の電流値Iu、Iv、Iwを検出することもできる。また、電流センサ28は、リアクトル20(図1)と各平滑コンデンサC1,C2(図1)とを含むLC共振回路の共振周波数を検出可能な精度を有する。また、上記の図1に示した高圧側電圧VHを検出する高圧センサ24もLC共振回路の共振周波数を検出可能な精度を有する。
【0036】
PI制御部32は、d軸電流偏差δIdとq軸電流偏差δIqとについて、所定のフィードバックゲインGの下で比例積分制御を行ってこれらに対応する制御偏差を求め、その制御偏差に応じたd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*とを算出する機能を有する。減算器部36と、PI制御部32とによって、PWM制御モードにおける電流フィードバックが行われる。
【0037】
2相/3相変換部40は、PI制御部32から入力されたd軸電圧指令値Vd*とq軸電圧指令値Vq*とに基づいて、ロータの回転角度θから得られた、1.5制御周期後に位置すると予測される予測角から、U相電圧Vu、V相電圧Vv、W相電圧Vwを算出する機能を有する。
【0038】
算出された各相電圧Vu、Vv、Vwは、図示しないPWM信号生成部でPWM信号に変換され、PWM信号は図示しないゲート回路に出力される。ゲート回路は、制御信号を印加するインバータ16のスイッチング素子Sw(図1)を選択することにより、スイッチング素子Swのオンオフを制御する。
【0039】
インバータ16の各相アームとモータジェネレータMG2の各相ステータコイルとを接続する電力線を流れる電流は、上記のように、3相/2相変換部38を介して、減算器部36にフィードバックされる。このようにして、PWM制御モードの電流フィードバックが行われる。
【0040】
上記が電流フィードバック制御の基本構成であるが、図1、図2に示すように、本実施形態では、制御部18はさらに電圧低下制御部30を有する。すなわち、上記の基本構成で電圧低下制御部30を有しない比較例を考えると、比較例でも、上記の本実施形態と同様に、DC/DCコンバータ14のリアクトル20と各平滑コンデンサC1,C2とによりLC共振回路が構成されるので、共振周波数領域のいずれかの周波数と、モータジェネレータMG2の出力変動であるパワー変動の周波数とが一致すると、過電流や過電圧が発生する可能性がある。
【0041】
図5は、比較例の回転電機制御システムにおいて、加速度一定でモータジェネレータMG2の回転を加速する場合の経過時間tと、バッテリ12の出力電流値であるバッテリ電流値IBとの関係を示す図である。図5の横軸は、加速度一定でモータジェネレータMG2の回転を加速する場合の経過時間tであるので、モータジェネレータMG2の回転数Nに置き換えることができる。図5の縦軸は、バッテリ電流値IBであり、回転数Nを上げていったときのIBの変化を示している。モータジェネレータMG2では、電流センサ28のオフセット誤差に起因するパワー変動が発生し、さらに、DC/DCコンバータ14のリアクトル20と各平滑コンデンサC1,C2とによりLC共振回路が構成されるので、LC共振が発生する。
【0042】
この場合、LC共振の周波数領域と上記のパワー変動の周波数とが一致すると、図5の矢印Lで示す範囲である共振回転数帯で、LC共振に基づくバッテリ電流IBの大きな変動が発生する。また、同じ共振回転数帯でLC共振に基づく高圧側電圧VHの大きな変動も発生する。すなわち、パワー変動によるバッテリ電流IBの変動と高圧側電圧VHの変動とが、LC共振現象によって拡大される。このように、共振周波数領域のいずれかの周波数と、モータジェネレータMG2の出力変動であるパワー変動の周波数とが一致すると、電流センサ28の検出値にゼロ点からずれるオフセット誤差が重畳している場合に、LC共振でパワー変動の振れが大きくなる。また、この振れの増大に伴って、バッテリ12の出力電流であるバッテリ電流IBや、システム電圧であるインバータの高圧側電圧VHが大きく変動し、過電流や過電圧が発生する可能性がある。
【0043】
このようにバッテリ電流IBの変動が拡大し、DC/DCコンバータ14の高圧側電圧VHの変動、すなわちインバータ16のシステム電圧の変動が拡大すると、インバータ16による駆動信号が変動し、モータジェネレータMG2の制御が不安定になる。また、バッテリ電流IBの変動が大きくなり、図5に示すPCU保護閾値Xを越えると、インバータ16と各平滑コンデンサC1、C2とを含むパワーコントロールユニット(PCU)の構成部品の性能低下を招く可能性がある。
【0044】
本実施形態では、比較例でのこのような課題を解決するために、図1、図2のように、制御部18は電圧低下制御部30を有する。電圧低下制御部30は、正弦波PWM制御方式の実行時において、上記のように、LC共振回路の共振周波数領域のいずれかの周波数と、モータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときに、インバータの入力電圧VH、すなわちVH上限電圧を、予め設定された所定電圧値まで、または予め設定された所定電圧分だけ低下させる。そして、入力電圧VHに対する、モータジェネレータMG2の線間電圧の実効値Jの比(J/VH)で表される変調度Eを増加させることで、インバータの制御方式を正弦波PWM制御方式から変調度Eに応じて過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替える。
【0045】
より好ましくは、電圧低下制御部30は、モータジェネレータMG2の所定時間当たりの回転数、例えば毎分の回転数Arpm(=min-1)が、共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときであって、電流変動判定フラグがONされ(すなわち1となり)、かつ、モータジェネレータMG2のパワーの絶対値|PM|が所定パワーPa(kw)を超えるとき(|PM|>Pa)に、共振周波数領域の周波数とモータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときであるとする。そして、電圧低下制御部30は、この場合に、インバータ16の入力電圧VHを低下させ、インバータ16の制御方式を正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替える。
【0046】
ここで、「電流変動判定フラグ」とは、実際のバッテリ電流値IBである実電流値IBaにリップル成分を除去するフィルタをかけたフィルタ処理済み電流値IBfと実電流値IBaとの差の絶対値(|IBa−IBf|)が、予め設定した所定電流値Ic(A)よりも大きい場合(|IBa−IBf|>Ic)にONされ(すなわち1となり)、それ以外の場合にOFFされる(すなわち0となる)ことを意味する。このために、制御部18には、バッテリ12(図1)の出力電流であるバッテリ電流IBを検出するバッテリ電流センサ33(図1)の検出値が入力されている。
【0047】
また、電圧低下制御部30は、図4の角速度指令値ω*と、トルク指令値T*とに基づいて、モータジェネレータMG2の回転数Arpm(=min-1)とパワーの絶対値|PM|とを算出することができる。ただし、モータジェネレータMG2の回転角度センサMRの検出値や、回転角度センサMRの代わりに使用して、モータジェネレータMG2の回転数を検出する回転数センサの検出値を、回転数Arpm(=min-1)とパワーの絶対値|PM|との算出のために用いることもできる。
【0048】
また、モータジェネレータMG2のパワーの絶対値|PM|が所定パワーPa(kw)を超えるとき(|PM|>Pa)であって、かつ、モータジェネレータMG2の所定時間当たりの回転数が特定回転数領域内にあるときに、LC共振帯判定フラグがONされ(すなわち1となり)、それ以外の場合にはOFFされる(すなわち0となる)。例えば、モータジェネレータMG2の毎分の回転数Arpm(=min-1)が特定回転数領域であるT1rpm(=min-1)とT2rpm(=min-1)との間にあるとき、すなわちT1<|A|<T2のときには、LC共振帯判定フラグがONされる。
【0049】
そして、電圧低下制御部30は、電流変動判定フラグがONされ、かつ、LC共振帯判定フラグがONされたときに、VH上限電圧を、通常時に使用する通常時電圧よりも低下したLC共振帯用電圧に決定する。変調度制御切替部56は、決定されたVH上限電圧を用いて変調度Eを算出し、その変調度Eに基づいてインバータ16の制御方式を決定する。したがって、VH上限電圧が通常時電圧よりも低いLC共振帯用電圧となる場合には、変調度Eが増加して、インバータの制御方式が正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り換わる。
【0050】
次に、図6〜8のフローチャートを用いて、図2の変調度制御切替部56で使用するインバータ16の入力電圧であるVH上限電圧を決定する方法の1例を説明する。図7は、図6のS10で電流変動判定フラグのON(=1)またはOFF(=0)を決定するサブルーチンを示すフローチャートである。図8は、図6のS10でLC共振帯判定フラグのON(=1)またはOFF(=0)を決定するサブルーチンを示すフローチャートである。
【0051】
VH上限電圧を決定する場合に、まず、図6のステップS10(なお、以下の説明では「ステップS」を単にSという。)において、電流変動判定フラグがONされ、かつ、LC共振帯判定フラグがONされたか否かを判定する。このために図7の電流変動判定フラグ決定用のサブルーチンと、図8のLC共振帯判定フラグ決定用のサブルーチンとを実行する。
【0052】
まず、図7のS20で、実際のバッテリ12電流値IBである実電流値IBaとフィルタ処理済み電流値IBfとの差の絶対値(|IBa−IBf|)が、予め設定した所定電流値Ic(A)よりも大きいか否かを判定する。S20の判定結果が肯定である場合、すなわち(|IBa−IBf|)>Icである場合には、電流変動判定フラグがONされ(すなわち1となり)(S22)、S20の判定結果が否定である場合、すなわち(|IBa−IBf|)≦Icである場合には、電流変動判定フラグがOFFされる(すなわち0となる)(S24)。
【0053】
また、図8のS30で、モータジェネレータMG2のパワーの絶対値|PM|が所定パワーPa(kw)を超えるとき(|PM|>Pa)であって、かつ、モータジェネレータMG2の所定時間である毎分当たりの回転数Arpm(=min-1)が特定回転数領域内(すなわちT1rpm(=min-1)とT2rpm(=min-1)との間)にある、すなわちT1<|A|<T2か否かが判定される。図8のS30の判定結果が肯定である場合には、LC共振帯判定フラグがONされ(すなわち1となり)(S32)、図8のS30の判定結果が否定である場合には、LC共振帯判定フラグがOFFされる(すなわち0となる)(S34)。なお、図7、図8のサブルーチン同士の実行の順序は逆でもよい。
【0054】
次に、図6のS10の判定結果が肯定である場合には、VH上限電圧を通常時電圧VHnよりも低いLC共振帯用電圧VHLに決定する(S12)。これに対して、図6のS10の判定結果が否定である場合には、VH上限電圧を通常時電圧VHnに決定する(S14)。図2に示す変調度制御切替部56は、決定されたVH上限電圧を用いて変調度Eを算出し、その変調度Eに応じてモータジェネレータMG2の制御方式を決定する。したがって、VH上限電圧としてLC共振帯用電圧VHLが決定された場合には、変調度Eが増加することでモータジェネレータMG2の制御方式が、正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替わり、モータジェネレータMG2の制御の応答性が悪化する。
【0055】
なお、上記で述べた制御部18の各機能は、ソフトウェアを実行することで実現することができるが、各機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0056】
このような本実施形態によれば、正弦波PWM制御方式の実行時において、リアクトル20と平滑コンデンサC1,C2とを含むLC共振回路の共振周波数領域のいずれかの周波数と、モータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときに、インバータ16の入力電圧であるVH上限電圧を低下させ、インバータ16の制御方式を正弦波PWM制御方式から過変調制御方式または矩形波制御方式に切り替えるので、制御の応答性が悪化する。このため、モータジェネレータMG2についての電流を検出する電流センサ28の検出電流値にオフセット誤差が重畳している場合でも、共振周波数領域でのインバータ16に対する入力電流の変動を小さく抑えることができ、過電流及び過電圧の発生を有効に防止することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、電圧低下制御部30は、モータジェネレータMG2の回転数が、共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときに、共振周波数領域の周波数と、モータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときであるとして、インバータ入力電圧VHを低下させている。ただし、本発明は、このような構成に限定されるものではない。例えば、モータジェネレータMG2に動力伝達可能に連結された図示しない出力軸や図示しない車輪の単位時間当たりの回転数が、共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される別の特定回転数領域内にあるときに、共振周波数領域の周波数と、モータジェネレータMG2のパワー変動の周波数とが一致したときであるとして、インバータ入力電圧VHを低下させることもできる。
【0058】
また、本実施形態では、電圧低下制御部30は、モータジェネレータMG2の回転数が、共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるとき(T1<|A|<T2)でも、モータジェネレータMG2のパワーの絶対値|PM|が所定パワーPa(kw)よりも大きい(|PM|>Pa)場合で、かつ、実電流値IBaとフィルタ処理済み電流値IBfとの差の絶対値|IBa−IBf|が所定電流値Icよりも大きい(|IBa−IBf|>Ic)ときのみに、インバータ入力電圧VHを低下させている。すなわち、|PM|>Paでない場合にはパワー変動が小さく、|IBa−IBf|>Icでない場合には電流リップルの変動が小さいので、制御方式を過変調制御方式または矩形波制御方式としなくても、過電流及び過電圧の問題は生じにくく、しかも、正弦波PWM制御により制御の応答性を高くできる。このため、制御の応答性が過度に低下するのを有効に防止でき、モータジェネレータMG2を搭載した車両等の機器の性能向上を図れる。
【0059】
なお、本実施形態と異なり、電圧低下制御部30は、図7の電流変動判定を行ったり、図8のモータジェネレータMG2のパワーの絶対値が所定パワーよりも大きいか否かの判定を行ったりすることなく、モータジェネレータMG2の回転数Aが特定回転数領域内にあるか否かの判定を行うのみで、インバータ入力電圧VHを低下させることもできる。なお、図6のS12やS14において、LC共振帯用電圧や通常時電圧は、予め設定された条件の成立の有無等に応じて、それぞれ複数の値が選択されるように設定することもできる。例えば、制御部18が有する記憶部には、それぞれ複数のLC共振帯用電圧及び通常時電圧の値を記憶させておくこともできる。
【0060】
なお、上記では、電圧変換部が、昇降圧の機能を有するDC/DCコンバータ14である場合を説明したが、電圧変換部は、バッテリ12側からインバータ16側へ電圧を昇圧する機能のみを有する昇圧コンバータとしてもよく、また、インバータ16側からバッテリ12側へ電圧を降圧する機能のみを有する降圧コンバータとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る回転電機制御システムは、燃料電池車両、ハイブリッド車両等に搭載される回転電機の制御に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
10 回転電機制御システム、12 バッテリ、14 DC/DCコンバータ、16 インバータ、18 制御部、20 リアクトル、22 低圧センサ、24 高圧センサ、26u、26v、26w ステータコイル、28 電流センサ、30 電圧低下制御部、32 PI制御部、33 バッテリ電流センサ、34 電流指令生成部、36 減算器部、38 3相/2相変換部、40 2相/3相変換部、50 正弦波PWM制御部、52 過変調制御部、54 矩形波制御部、56 変調度制御切替部、58 位相制御切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、
直流電源に接続され、リアクトルを含む電圧変換部と、
前記回転電機に接続された駆動回路と、
前記電圧変換部に接続された平滑コンデンサと、
前記駆動回路の入力電圧に対する前記回転電機の必要印加電圧である線間電圧の実効値の比である変調率が予め設定された第1比率以下のときに、正弦波PWM制御方式で前記駆動回路を制御し、前記変調率が前記第1比率を上回るときに、過変調制御方式または矩形波制御方式で前記駆動回路を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記リアクトルと前記平滑コンデンサとを含む共振回路の共振周波数領域の周波数と、前記回転電機の出力変動の周波数とが一致したときに、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替える電圧低下制御部を含むことを特徴とする回転電機制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機制御システムにおいて、
前記電圧低下制御部は、前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記回転電機の回転数が、前記共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときに、前記共振周波数領域の周波数と、前記回転電機の出力変動の周波数とが一致したときであるとして、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替えることを特徴とする回転電機制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機制御システムにおいて、
前記電圧低下制御部は、前記正弦波PWM制御方式の実行時において、前記回転電機の回転数が、前記共振周波数領域の周波数に基づいて予め設定される特定回転数領域内にあるときでも、回転電機の出力の絶対値が予め設定される所定出力よりも大きい場合で、かつ、実際の電流値である実電流値にリップル成分を除去するフィルタをかけたフィルタ処理済み電流値と前記実電流値との差の絶対値が予め設定される所定電流値よりも大きいときのみに、前記駆動回路の入力電圧を低下させ、前記駆動回路の制御方式を前記正弦波PWM制御方式から前記過変調制御方式または前記矩形波制御方式に切り替えることを特徴とする回転電機制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−90401(P2013−90401A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227428(P2011−227428)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】