基板処理方法および基板処理装置
【課題】処理の均一性を向上させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板Wの上面に遮断板4の下面を対向させた状態で、基板Wと遮断板4との間に処理液を供給して、基板Wと遮断板4との間を処理液によって液密にする。そして、基板Wと遮断板4との間が処理液によって液密にされた状態で、基板Wと遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させる。
【解決手段】基板Wの上面に遮断板4の下面を対向させた状態で、基板Wと遮断板4との間に処理液を供給して、基板Wと遮断板4との間を処理液によって液密にする。そして、基板Wと遮断板4との間が処理液によって液密にされた状態で、基板Wと遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理するための基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックの上方に配置された遮断板とを備えている。スピンチャックは、基板の上方を開放させた状態で当該基板を水平に保持するように構成されている。また、遮断板は、鉛直方向に昇降されるようになっており、その下面がスピンチャックに保持された基板の上面に近接されるようになっている。遮断板の下面中央部には、処理液を吐出する処理液吐出口が形成されている。
【0003】
この基板処理装置で基板を処理する場合は、たとえば、スピンチャックに保持された基板の上面に遮断板の下面を近接させた状態で、遮断板の下面に形成された処理液吐出口から処理液を吐出させる。処理液吐出口から吐出された処理液は、基板の上面中央部に着液し、基板の上面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板の上面周縁部に達した処理液は、基板の周囲に排出される。また、遮断板が基板に近接した状態で処理液吐出口から処理液が吐出されるので、基板と遮断板との間は液密になる。したがって、基板の上面には、基板と遮断板との間が液密にされた状態で処理液が供給される。これにより、基板の上面が処理液によって処理される(液密処理)。
【特許文献1】特開2006−179550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような液密処理では、基板の処理が不均一になるおそれがあった。より具体的には、基板と遮断板との間を処理液によって液密にする場合、これらの間に処理液が供給される過程で気泡が形成されて、基板と遮断板との間に気泡が介在する場合がある。また、供給される処理液自体に気泡が含まれている場合がある。しかしながら、基板と遮断板との間に気泡があると、この気泡が基板に付着した状態で滞留するおそれがある。気泡が基板に付着した状態で滞留すると、基板に対する処理液の供給状態にむらが生じ、基板への処理が不均一になってしまう。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、処理の均一性を向上させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)の一方の主面に第1対向部材(4)を対向させた状態で、当該基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第1対向部材との間を液密にする工程と、基板と前記第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第1対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程とを含む、基板処理方法である。
【0007】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
この発明によれば、基板の一方の主面に第1対向部材を対向させた状態で、当該基板と第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と第1対向部材との間を液密にする。これにより、基板の一方の主面に処理液を供給して、当該一方の主面を処理液によって処理することができる(液密処理)。また、基板と第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と第1対向部材とを基板の一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させることにより、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜に前記相対回転による回転力を作用させて、当該液膜を攪拌することができる。したがって、基板と第1対向部材との間に気泡がある場合でも、基板表面または第1対向部材の表面(基板に対向する面)と気泡との結合を解除することで、気泡が基板に付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、基板と第1対向部材との相対回転による回転力によって液膜内に流れを形成して、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板の一方の主面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、基板の一方の主面への処理液の供給状態を均一にして、基板の一方の主面を均一に処理することができる。
【0008】
基板と第1対向部材との相対回転は、基板および第1対向部材を互いに逆方向に回転させることにより実施してもよいし、基板および第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させることにより実施してもよいし、基板および第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させることにより実施してもよい。また、これらの動作のうち2つ以上の動作を実施することにより、基板と第1対向部材とを相対回転させてもよい。
【0009】
すなわち、前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、請求項2記載の発明のように、前記基板および前記第1対向部材を互いに逆方向に回転させる工程、前記基板および前記第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させる工程、ならびに前記基板および前記第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させる工程のうちの少なくとも一つの工程を含む工程であってもよい。
【0010】
基板および第1対向部材を互いに逆方向に回転させた場合には、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜において、基板側の層には、基板の回転方向と同方向の流れを形成することができ、第1対向部材側の層には、基板の回転方向と逆方向である第1対向部材の回転方向と同方向の流れを形成することができる。したがって、この方向の異なる2つの流れによって処理液の液膜をより確実に攪拌することができる。また、この2つの流れによって処理液中の気泡を確実に潰すことができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、基板の他方の主面に第2対向部材(6)を対向させた状態で、当該基板と前記第2対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第2対向部材との間を液密にする工程をさらに含む、請求項1または2記載の基板処理方法である。
この発明によれば、基板と第2対向部材との間を処理液によって液密にした状態で基板の他方の主面に処理液を供給して、当該他方の主面を処理液によって処理することができる(液密処理)。これにより、基板の両方の主面を処理液によって処理することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、基板と前記第2対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第2対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程をさらに含む、請求項3記載の基板処理方法である。
この発明によれば、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜に、基板と第2対向部材との相対回転による回転力を作用させて、当該液膜を攪拌することができる。したがって、基板と第2対向部材との間に気泡があっても、当該気泡が基板に付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、基板と第2対向部材との相対回転による回転力によって、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜内に流れを形成して、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板の他方の主面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、基板の他方の主面への処理液の供給状態を均一にして、基板の他方の主面を均一に処理することができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記基板と前記第2対向部材とを相対回転させる工程は、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材(37)によって基板を保持した状態で、前記第1対向部材を回転させることにより、基板と前記第1対向部材とを一体回転させる工程を含み、前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材(7)によって基板を保持した状態で、前記第2対向部材を回転させることにより、基板と前記第2対向部材とを一体回転させる工程を含み、前記第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替える工程をさらに含む、請求項4記載の基板処理方法である。
【0014】
この発明によれば、第1保持部材が第1対向部材に一体回転可能に連結されているので、第1保持部材によって基板を保持した状態で第1対向部材を回転させることにより、基板と第1対向部材とを一体回転させることができる。したがって、第1保持部材によって基板を保持した状態で第1対向部材を回転させることにより、基板と第2対向部材とを相対回転させることができる。これにより、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜に回転力を作用させて、基板の他方の主面を均一に処理することができる。
【0015】
同様に、第2保持部材が第2対向部材に一体回転可能に連結されているので、第2保持部材によって基板を保持した状態で第2対向部材を回転させることにより、基板と第2対向部材とを一体回転させることができる。したがって、第2保持部材によって基板を保持した状態で第2対向部材を回転させることにより、基板と第1対向部材とを相対回転させることができる。これにより、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜に回転力を作用させて、基板の一方の主面を均一に処理することができる。
【0016】
またこの発明によれば、第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替えることができるので、たとえば、基板と第1対向部材とを相対回転させた後に基板の持ち替えを行って、基板と第2対向部材とを相対回転させれば、基板と各対向部材との相対回転を一連の工程として連続的に行うことができる。これにより、基板と各対向部材との相対回転を効率的に実施することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、一方の主面を露出させた状態で基板(W)を保持する基板保持手段(3)と、前記基板保持手段に保持された基板の一方の主面に対向するように配置された第1対向部材(4)と、前記基板保持手段に保持された基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、当該基板と前記第1対向部材との間を液密にする処理液供給手段(25)と、前記基板保持手段に保持された基板および前記第1対向部材を前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる相対回転手段(8,36)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0018】
この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項7記載の発明は、前記基板保持手段は、基板の他方の主面に対向するように配置された第2対向部材(6)と、基板を保持するための保持部材であって、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材(7)とを含み、前記基板処理装置は、基板を保持するための保持部材であって、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材(37)をさらに含み、前記第1および第2保持部材は、一方の保持部材に保持された基板を他方の保持部材に持ち替えることができるように設けられている、請求項6記載の基板処理装置である。
【0019】
この発明によれば、請求項5の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項8記載の発明は、前記第1および第2保持部材は、互いに干渉せずに前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられている、請求項7記載の基板処理装置である。
【0020】
この発明によれば、第1および第2保持部材が、互いに干渉せずに基板の一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられているので、これらの保持部材がそれぞれ連結された第1および第2対向部材を近接させた状態で前記交差する軸線まわりに相対回転させることができる。
第1および第2保持部材のいずれか一方の保持部材によって基板を保持した状態で、第1および第2対向部材を近接させれば、基板と各対向部材との間隔が狭くなるので、基板と各対向部材との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができる。したがって、第1および第2対向部材を近接させた状態で前記交差する軸線まわりに相対回転させれば、基板と各対向部材との間に処理液の液膜を容易に形成することができ、この処理液の液膜に回転力を与えることができる。これにより、処理液の消費量を低減しつつ、基板を均一に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。また、図2は、基板処理装置1の一部を拡大した図解図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、図示しない隔壁で区画された処理室2内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持手段)と、スピンチャック3の上方に配置された遮断板4(第1対向部材)とを備えている。
【0022】
スピンチャック3は、鉛直な方向に延びる回転軸5と、回転軸5の上端に水平に取り付けられた円盤状のスピンベース6(第2対向部材)と、このスピンベース6上に配置された複数(3つ以上)の挟持部材7(第2保持部材)と、回転軸5に結合されたチャック回転機構8(相対回転手段)とを備えている。スピンチャック3は、複数の挟持部材7によって基板Wを挟持することにより、スピンベース6の上方で基板Wを水平に保持することができる。スピンチャック3は、スピンベース6に基板Wを近接させた状態(スピンベース6の上面と基板Wの下面との間隔が、たとえば0.3mm程度になる状態)で当該基板Wを水平に保持することができる。複数の挟持部材7によって基板Wを保持した状態で、チャック回転機構8の駆動力を回転軸5に入力することにより、基板Wの中心を通る鉛直な軸線まわりに基板Wを回転させることができる。スピンチャック3は、時計まわりおよび反時計まわりの両方向に保持した基板Wを回転させることができ、所定の範囲内で基板Wの回転速度を自由に変更することができる。また、スピンチャック3は、基板Wの回転を任意の回転位置で停止させることができる。
【0023】
スピンベース6は、基板Wよりも直径が大きい円盤状の部材である。スピンベース6の上面は、水平な平坦面にされている。複数の挟持部材7は、スピンベース6の上面周縁部において基板Wの外周形状に対応する円周上で等間隔で配置されている。複数の挟持部材7は、スピンベース6に一体回転可能に連結されている。スピンベース6には、ヒータ9が内蔵されており、このヒータ9によってスピンベース6が所定の温度で均一に加熱されている。
【0024】
挟持部材7は、図2において拡大して示すように、スピンベース6に取り付けられたベース10と、ベース10上に設けられた挟持部11とを有している。挟持部11は、ベース10の上面周縁部の所定位置から上方に延びており、その側面を基板Wの周端面に当接させることができる。スピンチャック3は、各挟持部材7の挟持部11を基板Wの周端面に当接させることにより、複数の挟持部材7を協働させて基板Wを挟持することができる。
【0025】
各挟持部材7は、ベース10の中心を通る鉛直な中心軸線まわりに回転可能となっており、図示しない挟持部材駆動機構によってそれぞれの中心軸線まわりに一体的に回動させられる。挟持部材7をその中心軸線まわりに回動させることにより、挟持部11が基板Wの周端面に当接する挟持位置(図2において実線で示す位置)と、挟持部11が基板Wの周端面から退避する解放位置(図2において二点鎖線で示す位置)との間で挟持部11を水平移動させることができる。図2に示すように、挟持位置と解放位置とは、異なる円周上(スピンチャック3の回転軸線を中心とする円周上)に設定されており、互いに重なり合わないようになっている。
【0026】
また、図1に示すように、回転軸5は中空軸にされている。回転軸5の内部には、下側処理液供給管12が非接触状態で挿通されている。下側処理液供給管12の上端には、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル13が設けられている。下面ノズル13の吐出口は、スピンベース6よりも上方に位置しており、複数の挟持部材7により保持された基板Wの下面中央部に対向するようになっている。下面ノズル13は、下側処理液供給管12から供給された処理液を上方に向けて吐出することができる。
【0027】
下側処理液供給管12には、下側薬液供給管15および下側リンス液供給管16が接続されている。下側処理液供給管12には、下側薬液供給管15および下側リンス液供給管16をそれぞれ介して薬液およびリンス液が供給される。下側処理液供給管12には、薬液およびリンス液が選択的に供給されるようになっている。下側薬液供給管15には、下側処理液供給管12への薬液の供給および供給停止を制御する下側薬液バルブ17が介装されており、下側リンス液供給管16には、下側処理液供給管12へのリンス液の供給および供給停止を制御する下側リンス液バルブ18が介装されている。
【0028】
下側処理液供給管12に供給される薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。また、下側処理液供給管12に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0029】
また、回転軸5と下側処理液供給管12との間には、下側処理液供給管12を取り囲む筒状の下側ガス供給路19が形成されている。下側ガス供給路19には、下側ガスバルブ20が介装された下側ガス供給管21が接続されている。下側ガス供給路19には、この下側ガス供給管21を介して不活性ガスの一例である窒素ガスが供給される。下側ガス供給路19に供給された窒素ガスは、下側ガス供給路19内を上方に向かって流れ、下側ガス供給路19の上端から吐出される。下側ガス供給路19の上端は、スピンベース6の上面中央部に位置する環状の下側ガス吐出口22となっている。下側ガス吐出口22は、下面ノズル13の周囲に形成されており、下面ノズル13を取り囲んでいる。
【0030】
一方、遮断板4は、基板Wよりも直径が大きい円板状の部材である。遮断板4は、スピンチャック3の回転軸5と共通の軸線上に配置された支軸23の下端に連結されている。遮断板4は、その中心軸線がスピンチャック3の回転軸5と共通の軸線上に位置するように、スピンチャック3の上方で水平に保持されている。遮断板4の下面は水平な平坦面にされており、スピンチャック3に保持された基板Wに対向する基板対向面となっている。遮断板4には、ヒータ24が内蔵されており、このヒータ24によって遮断板4が所定の温度で均一に加熱されている。
【0031】
また、遮断板4の中央部には、当該遮断板4を鉛直方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔の下端は、遮断板4の下面中央部に位置する開口となっている。支軸23は中空軸であり、その内部空間は貫通孔に連通されている。支軸23には、上側処理液供給管25(処理液供給手段)が非接触状態で挿通されており、上側処理液供給管25の下端は貫通孔内に達している。上側処理液供給管25の下端には、処理液を吐出する上側処理液吐出口26が形成されている。また、上側処理液供給管25の周囲には、ガスが流通する筒状の上側ガス供給路27が形成されている。
【0032】
上側処理液供給管25には、上側薬液供給管28および上側リンス液供給管29が接続されている。上側処理液供給管25には、上側薬液供給管28および上側リンス液供給管29をそれぞれ介して薬液およびリンス液が供給される。上側処理液供給管25には、薬液およびリンス液が選択的に供給されるようになっている。上側薬液供給管28には、上側処理液供給管25への薬液の供給および供給停止を制御する上側薬液バルブ30が介装されており、上側リンス液供給管29には、上側処理液供給管25へのリンス液の供給および供給停止を制御する上側リンス液バルブ31が介装されている。上側処理液供給管25には、たとえば、下側処理液供給管12に供給される薬液およびリンス液と同種の薬液およびリンス液が供給されるようになっている。
【0033】
また、支軸23の上端部には、上側ガスバルブ32が介装された上側ガス供給管33が接続されている。上側ガス供給路27には、この上側ガス供給管33を介して不活性ガスの一例である窒素ガスが供給される。上側ガス供給路27に供給された窒素ガスは、上側ガス供給路27内を下方に向かって流れ、遮断板4の内周面(貫通孔を区画する面)と上側処理液供給管25の下端との間から下方に向けて吐出される。遮断板4の内周面と上側処理液供給管25の下端との間が上側ガス吐出口34となっている。
【0034】
また、支軸23には、遮断板昇降機構35および遮断板回転機構36(相対回転手段)が結合されている。遮断板昇降機構35の駆動力を支軸23に入力することにより、支軸23および遮断板4を、遮断板4の下面がスピンチャック3に近接する近接位置(図4に示す位置)と、スピンチャック3の上方に大きく退避した退避位置(図1に示す位置)との間で一体的に昇降させることができる。また、遮断板回転機構36の駆動力を支軸23に入力することにより、スピンチャック3と共通の鉛直な回転軸線まわりに支軸23および遮断板4を一体的に回転させることができる。遮断板回転機構36は、時計まわりおよび反時計まわりの両方向に遮断板4を回転させることができる。また、遮断板回転機構36は、所定の範囲内で遮断板4の回転速度を自由に変更することができる。さらに、遮断板回転機構36は、遮断板4の回転を任意の回転位置で停止させることができる。
【0035】
また、遮断板4の下面には、遮断板4の下方で基板Wを保持するための複数(3つ以上。この実施形態では、挟持部材7と同数)の挟持部材37(第1保持部材)が一体回転可能に連結されている。複数の挟持部材37は、基板Wを挟持することにより、当該基板Wを遮断板4の下方で水平に保持することができる。複数の挟持部材37は、遮断板4に基板Wを近接させた状態(遮断板4の下面と基板Wの上面との間隔が、たとえば0.3mm程度になる状態)で当該基板Wを水平に保持することができる。
【0036】
複数の挟持部材37は、遮断板4の下面周縁部において基板Wの外周形状に対応する円周上で等間隔で配置されている。挟持部材37は、挟持部材7と同種の部材であり、遮断板4に取り付けられたベース38と、ベース38下に設けられた挟持部39とを有している。複数の挟持部材37は、それぞれの挟持部39を基板Wの周端面に当接させることにより協働して基板Wを挟持することができる。
【0037】
各挟持部材37は、ベース38の中心を通る鉛直な中心軸線まわりに回転可能となっている。各挟持部材37には、図示しない挟持部材駆動機構が連結されており、この挟持部材駆動機構によって複数の挟持部材37をそれぞれの中心軸線まわりに一体的に回動させることができる。挟持部材37をその中心軸線まわりに回動させることにより、挟持部39が基板Wの周端面に当接する挟持位置と、挟持部39が基板Wの周端面から退避する解放位置との間で挟持部39を水平移動させることができる。挟持部39の挟持位置と解放位置とは、異なる円周上(スピンチャック3の回転軸線を中心とする円周上)に設定されており、互いに重なり合わないようになっている。挟持部39の挟持位置は、挟持部11の挟持位置と直径が同じ大きさの円周上に設定されており、挟持部39の解放位置は、挟持部11の解放位置と直径が同じ大きさの円周上に設定されている。
【0038】
複数の挟持部材37は、処理室2内に基板Wを搬送する搬送ロボットとの間で基板Wを受け渡しすることができ、スピンチャック3(複数の挟持部材7)との間で基板Wを受け渡しすることができる。
図3は、複数の挟持部材37と搬送ロボットとの間での基板Wの受け渡しについて説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。また、図4は、複数の挟持部材37とスピンチャック3との間での基板Wの受け渡しについて説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。以下では、「挟持部材7」を「チャック側挟持部材7」といい、「挟持部材37」を「遮断板側挟持部材37」という。また、「挟持部11」を「チャック側挟持部11」といい、「挟持部39」を「遮断板側挟持部39」という。
【0039】
搬送ロボットから複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを渡すときは、図3に示すように、搬送ロボットの基板保持ハンドH1によって基板Wを下方から支持した状態で当該基板Wを遮断板4の下方に位置させる。そして、遮断板側挟持部39を解放位置に位置させた状態で、遮断板昇降機構35によって遮断板4を降下させて、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させる。その後、遮断板側挟持部材37を回動させて、遮断板側挟持部39を解放位置から挟持位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが保持され、搬送ロボットから複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが渡される。
【0040】
複数の遮断板側挟持部材37から搬送ロボットに基板Wを渡すときは、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された状態で、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させ、この状態で、遮断板側挟持部39を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37から搬送ロボットに基板Wが渡される。
【0041】
一方、スピンチャック3から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを渡すときは、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わないように、スピンチャック3および遮断板4を相対回転させる。そして、図4に示すように、遮断板側挟持部39を解放位置に位置させた状態で、遮断板昇降機構35によって遮断板4を近接位置まで降下させる。近接位置は、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致するように設定されており、遮断板4を近接位置に移動させることで、2つの基板保持位置を一致させることができる。遮断板4を近接位置に移動させた後は、遮断板側挟持部39を解放位置から挟持位置に移動させ、チャック側挟持部11を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが保持され、スピンチャック3から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが渡される。
【0042】
複数の遮断板側挟持部材37からスピンチャック3に基板Wを渡すときは、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わないように、スピンチャック3および遮断板4を相対回転させる。そして、チャック側挟持部11を解放位置に位置させた状態で遮断板4を降下させて、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させる。その後、チャック側挟持部11を解放位置から挟持位置に移動させ、遮断板側挟持部39を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37からスピンチャック3に基板Wが渡される。
【0043】
図4に示すように、遮断板4が近接位置に配置されると、チャック側挟持部11と遮断板側挟持部39が水平方向に重なり合う。一方、2つの挟持部11,39の挟持位置および解放位置は、それぞれ直径が同じ大きさの円周上に設定されており、挟持位置および解放位置は、異なる円周上に設定されている。したがって、図4に示すように、チャック側挟持部11および遮断板側挟持部39の一方を挟持位置に位置させ、他方を解放位置に位置させることにより、遮断板側挟持部39をチャック側挟持部11に衝突させずに、遮断板4を近接位置に位置させることができる。また、チャック側挟持部11および遮断板側挟持部39の一方を挟持位置に位置させ、他方を解放位置に位置させることにより、遮断板4を近接位置に位置させた状態で、2つの挟持部11,39を衝突させずに、スピンチャック3と遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。
【0044】
図5は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御部40を備えている。制御部40は、チャック回転機構8、遮断板昇降機構35、および遮断板回転機構36などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられたバルブの開閉は、制御部40によって制御される。さらに、ヒータ9,24の加熱温度は、制御部40によって制御される。
【0045】
図6は、基板処理装置1による基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。また、図7〜図11は、それぞれ、基板Wの処理状態を説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。以下では、図1および図6を参照して、薬液の一例であるフッ酸を用いて、デバイス形成面である基板Wの表面、および非デバイス形成面である基板Wの裏面の両面をエッチング処理するときの処理の一例について説明する。また、この処理の一例の各工程において、図3、図7〜図11を適宜参照する。
【0046】
未処理の基板Wは、表面を上にした水平姿勢で搬送ロボットの基板保持ハンドH1(図3参照)によって下方から支持されながら処理室2内に搬入される。搬送ロボットは、支持した基板Wを遮断板4の下方に配置させる。そして、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、遮断板側挟持部39が解放位置にある状態で、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致するまで遮断板4が降下させられる。その後、図3に示すように、遮断板側挟持部39が解放位置から挟持位置に移動させられて、基板保持ハンドH1に支持された基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される(ステップS1)。これにより、基板Wと遮断板4とが近接した状態で、当該基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される。複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された後は、基板保持ハンドH1が処理室2から退避する。
【0047】
次に、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、チャック側挟持部11が解放位置にある状態で、遮断板4が近接位置まで降下させられる(ステップS2)。これにより、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致し、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wがスピンベース6に近接した状態となる。その後、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる(ステップS3)。複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で遮断板4を回転させることにより、保持された基板Wを遮断板4と一体回転させることができる。また、チャック側挟持部11が解放位置に配置され、遮断板側挟持部39が挟持位置に配置されているので、チャック側挟持部材7および遮断板側挟持部材37は、互いに衝突することなく、それぞれスピンベース6および遮断板4とともに一体回転する。
【0048】
次に、制御部40により上側薬液バルブ30および下側薬液バルブ17が開かれて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からフッ酸が吐出される(ステップS4)。上側処理液吐出口26から吐出されたフッ酸は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの上面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板Wの上面周縁部に達した処理液は、基板Wの周囲に排出される。また、遮断板4が基板Wに近接した状態で上側処理液吐出口26からフッ酸が吐出されるので、基板Wと遮断板4との間はフッ酸によって液密になる。したがって、基板Wの上面には、基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態でフッ酸が供給される。これにより、基板Wの上面がフッ酸によってエッチング処理される(液密処理)。上側処理液吐出口26からのフッ酸の吐出流量は、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0049】
同様に、下面ノズル13から吐出されたフッ酸は、基板Wの下面中央部に着液し、基板Wの下面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板Wの下面周縁部に達した処理液は、基板Wの周囲に排出される。また、スピンベース6が基板Wに近接した状態で下面ノズル13からフッ酸が吐出されるので、基板Wとスピンベース6との間はフッ酸によって液密になる。したがって、基板Wの下面には、基板Wとスピンベース6との間が液密にされた状態でフッ酸が供給される。これにより、基板Wの下面がフッ酸によってエッチング処理される(液密処理)。下面ノズル13からのフッ酸の吐出流量は、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0050】
基板Wの上面および下面に対するエッチング処理において、スピンベース6および遮断板4は、それぞれヒータ9,24によって所定の温度で均一に加熱されている。したがって、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜、および基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜は、それぞれ遮断板4およびスピンベース6によって間接的に加熱されて、その全域にわたって均一な温度になっている。そのため、フッ酸のように温度によってエッチング速度が変化する薬液であっても、温度むらに起因する処理の不均一を抑制または防止することができる。これにより、基板Wの上面および下面に対してより均一なエッチング処理を行うことができる。
【0051】
次に、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS5)。
スピンベース6と遮断板4との相対回転は、スピンベース6および遮断板4を互いに逆方向に回転させることにより実施してもよいし、スピンベース6および遮断板4の一方を停止させた状態で他方を回転させることにより実施してもよいし、スピンベース6および遮断板4を互いに異なる回転速度で同方向に回転させることにより実施してもよい。また、これらの動作のうち2つ以上の動作を実施することにより、スピンベース6と遮断板4とを相対回転させてもよい。この処理の一例では、スピンベース6の回転方向が複数回反転され、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持したまま、スピンベース6および遮断板4が同方向に回転する状態(図7に示す状態)と、スピンベース6および遮断板4が互いに逆方向に回転する状態(図8に示す状態)とが交互に繰り返されるようになっている。
【0052】
複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wおよびスピンベース6を鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。したがって、基板Wとスピンベース6との間がフッ酸によって液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜に回転力を作用させて、当該液膜の内部に流れを形成することができる。
【0053】
基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜の内部に流れを形成することにより、当該液膜を攪拌することができる。したがって、フッ酸の液膜に気泡が含まれる場合でも、当該気泡が基板Wの下面に接した状態で滞留して、基板Wの下面に対するエッチング処理が不均一になることを抑制または防止することができる。また、フッ酸の液膜の内部に流れを形成することにより、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板Wの下面に液膜中の気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、液膜中の気泡に起因するエッチング処理の不均一を一層確実に抑制または防止することができる。
【0054】
特にこの処理の一例では、スピンベース6および遮断板4を逆方向に回転させるので、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜の上層に、基板Wの回転方向と同方向の流れを形成することができ、当該液膜の下層に、基板Wの回転方向と逆方向であるスピンベース6と同方向の流れを形成することができる。これにより、液膜中の気泡に大きなせん断応力を作用させて、当該液膜内の2つの流れの界面において気泡を確実に潰すことができる。さらに、この処理の一例では、スピンベース6の回転方向を複数回反転させてスピンベース6および遮断板4の相対回転状態を変化させるので、液膜中の気泡に作用する力の大きさや方向が変化させて、液膜中の気泡を効率的に潰すことができる。
【0055】
基板Wとスピンベース6との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40により下側薬液バルブ17が閉じられて、下面ノズル13からのフッ酸の吐出が停止される(ステップS6)。これにより、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されたまま、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が解除される。そして、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される(ステップS7)。このとき、スピンベース6および遮断板4は、制御部40によりその停止位置が制御されて、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置に配置されている。
【0056】
スピンベース6および遮断板4の回転が停止された後は、遮断板4が近接位置にある状態、すなわち、2つの挟持部材7,37による基板保持位置が一致した状態で、チャック側挟持部11が解除位置から挟持位置に移動させられて、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wが複数のチャック側挟持部材7によって保持される。そして、遮断板側挟持部39が挟持位置から解除位置に移動させられて、複数の遮断板側挟持部材37による基板Wの挟持が解除される。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wが、その場を移動せずに複数のチャック側挟持部材7に持ち替えられる(図9参照。ステップS8)。
【0057】
基板Wが持ち替えられた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる(ステップS9)。そして、制御部40により下側薬液バルブ17が開かれて、下面ノズル13から再びフッ酸が吐出される(ステップS10)。これにより、基板Wとスピンベース6との間がフッ酸によって液密になる。
【0058】
その後、制御部40によりチャック回転機構8が制御されて、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6の回転方向が複数回反転される。これにより、複数のチャック側挟持部材7によって基板Wを保持したまま、スピンベース6および遮断板4が同方向に回転する状態(図9に示す状態)と、スピンベース6および遮断板4が互いに逆方向に回転する状態(図10に示す状態)とが交互に繰り返されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS11)。
【0059】
複数のチャック側挟持部材7によって基板Wを保持した状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wおよび遮断板4を鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。したがって、基板Wと遮断板4との間がフッ酸によって液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜に回転力を作用させることができる。これにより、フッ酸の液膜を攪拌して、当該液膜中の気泡が基板Wの上面に接した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜中の気泡を潰して、基板Wの上面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。
【0060】
基板Wと遮断板4との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる。そして、制御部40により上側薬液バルブ30および下側薬液バルブ17が閉じられて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からのフッ酸の吐出が停止される(ステップS12)。その後、制御部40により上側リンス液バルブ31および下側リンス液バルブ18が開かれて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からリンス液の一例である純水が吐出される(ステップS13)。
【0061】
上側処理液吐出口26から吐出された純水は、基板Wと遮断板4との間の空間に供給され、基板Wの上面周縁部に向かって広がっていく。したがって、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸は、純水によって押し流されて、基板Wと遮断板4との間から排出される。これにより、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜が、純水の液膜に置換される。また、フッ酸の液膜が純水の液膜に置換される過程で、基板Wの上面に付着しているフッ酸が純水によって洗い流されて、基板Wの上面にリンス処理が行われる。上側処理液吐出口26からの純水の吐出流量は、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0062】
同様に、下面ノズル13から吐出された純水は、基板Wとスピンベース6との間の空間に供給され、基板Wの下面周縁部に向かって広がっていく。したがって、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸は、純水によって押し流されて、基板Wとスピンベース6との間から排出される。これにより、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜が、純水の液膜に置換される。また、フッ酸の液膜が純水の液膜に置換される過程で、基板Wの下面に付着しているフッ酸が純水によって洗い流されて、基板Wの下面にリンス処理が行われる。下面ノズル13からの純水の吐出流量は、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0063】
上側処理液吐出口26および下面ノズル13からの純水の吐出が開始されてから所定時間が経過すると、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、前述と同様に、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS14)。これにより、基板Wと遮断板4との間に介在する純水の液膜が攪拌され、気泡の滞留による基板Wの洗い残しが抑制または防止される。また、液膜中の気泡が潰されて、液膜中の気泡に起因する処理の不均一が抑制または防止される。これにより、基板Wの上面の清浄度が向上される。
【0064】
基板Wと遮断板4との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40により下側リンス液バルブ18が閉じられて、下面ノズル13からの純水の吐出が停止される(ステップS15)。これにより、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されたまま、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が解除される。そして、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される(ステップS16)。このとき、スピンベース6および遮断板4は、制御部40によりその停止位置が制御されて、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置に配置されている。
【0065】
スピンベース6および遮断板4の回転が停止された後は、遮断板側挟持部39が解除位置から挟持位置に移動させられて、複数のチャック側挟持部材7に保持された基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される。そして、チャック側挟持部11が挟持位置から解除位置に移動させられて、複数のチャック側挟持部材7による基板Wの挟持が解除される。このようにして、複数のチャック側挟持部材7に保持された基板Wが、その場を移動せずに複数の遮断板側挟持部材37に持ち替えられる(ステップS17)。
【0066】
基板Wが複数のチャック側挟持部材7から複数の遮断板側挟持部材37に持ち替えられた後は、制御部40により上側リンス液バルブ31が閉じられて、上側処理液吐出口26からの純水の吐出が停止される(ステップS18)。その後、制御部40により上側ガスバルブ32および下側ガスバルブ20が開かれて、図11に示すように、上側ガス吐出口34および下側ガス吐出口22から窒素ガスが吐出される(ステップS19)。また、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4がほぼ同じ回転速度(たとえば、数千rpm)で同方向に高速回転させられる(ステップS20)。
【0067】
複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で、遮断板4を高速回転させることにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力を作用させて、当該純水を外方に移動させることができる。これにより、基板Wから純水を排除して、当該基板Wを乾燥させることができる(乾燥処理)。また、基板Wから純水が排除される過程で、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間には窒素ガスが充満するので、基板Wは窒素ガス雰囲気中で乾燥する。したがって、ウォータマークなどの乾燥不良が基板Wに生じることを抑制または防止することができる。
【0068】
さらに、この処理の一例では、スピンベース6および遮断板4をほぼ同じ回転速度で同方向に高速回転させながら基板Wを乾燥させるので、処理室2内の気流が乱れて、パーティクルなどの異物や処理液のミストなどが基板Wに付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの汚染を抑制または防止することができる。また、基板Wおよび当該基板Wに付着している純水は、ヒータ9,24からの熱によって間接的に加熱されて昇温しているので、基板Wを速やかに乾燥させることができる。
【0069】
基板Wの高速回転が所定時間にわたって続けられた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される。そして、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された状態で、遮断板4が上昇させられる(ステップS21)。その後、搬送ロボットの基板保持ハンドH1が処理室2内に進入し、複数の遮断板側挟持部材37から基板保持ハンドH1に基板Wが渡される。そして、処理済みの基板Wが、搬送ロボットによって処理室2から搬出される。
【0070】
以上のように本実施形態では、複数の遮断板側挟持部材37によって、基板Wの下方を開放させた状態で当該基板Wを保持することができる。したがって、搬送ロボットが基板Wの下方を支持する形式のものである場合に、搬送ロボットと複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wの受け渡しを行うことができる。そのため、搬送ロボットとスピンチャック3との間で基板Wの受け渡しを行わなくてもよい。したがって、チャック側挟持部材7による基板保持位置とスピンベース6との間に、基板保持ハンドH1を進入させるため空間を設けなくてもよい。これにより、チャック側挟持部材7による基板保持位置とスピンベース6との間隔を狭くして、基板Wをスピンベース6に近接させた状態で当該基板Wを保持することができる。したがって、基板Wとスピンベース6との間に処理液を供給することにより、基板Wとスピンベース6との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができる。これにより、比較的少量の処理液で基板Wの下面を処理することができる(液密処理)。
【0071】
また、複数の遮断板側挟持部材37は、基板Wの下方を開放させた状態で当該基板Wを保持することができるので、搬送ロボットが基板Wの下方を支持する形式のものである場合に、遮断板側挟持部材37よる基板保持位置と遮断板4との間に基板保持ハンドH1を進入させるための空間を設けなくてもよい。したがって、遮断板4に基板Wを近接させた状態で当該基板Wを遮断板4の下方で保持することができる。これにより、基板Wと遮断板4との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができ、比較的少量の処理液で基板Wの上面を処理することができる(液密処理)。
【0072】
基板Wの上面および下面を液密処理することにより、基板Wの外表面が疎液性(疎水性)である場合や、基板Wが大型である場合でも、基板Wの周縁部まで十分に処理液を行き渡らせて、基板Wの上面および下面に処理液を均一に供給することができる。これにより、基板Wの上面および下面を均一に処理することができる。また、液密処理を行えば、基板Wの周縁部まで処理液を行き渡らせるために、大量の処理液を供給しつつ基板Wを高速回転させなくてもよいので、基板Wの高速回転によって生じる基板Wの帯電(空気と基板Wとの摩擦による帯電)を抑制または防止することができる。さらに、基板Wの高速回転によって基板Wの周縁部の温度が他の部分よりも低下することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの温度むらを抑制または防止することができる。基板Wに温度むらが生じると、基板Wに接する処理液にも温度むらが生じるので、たとえば、フッ酸のようにエッチング速度が温度により変化する処理液によって液密処理をするときに、基板Wへの処理が不均一になってしまう。したがって、基板Wの温度むらを抑制または防止することにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0073】
また、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間を液密にした状態で基板Wの処理を行えば、前記2つの間にその周囲の雰囲気が巻き込まれて、当該雰囲気に含まれるパーティクルなどの異物や処理液のミストなどが基板Wに付着することを抑制または防止することができる。これにより、異物などの付着による基板Wの汚染を抑制または防止することができる。
【0074】
また、本実施形態では、基板Wと遮断板4との間が処理液によって液密にされた状態で、当該基板Wと遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させて、基板Wと遮断板4との間に介在する処理液の液膜を攪拌するので、基板Wと遮断板4との間に気泡があっても、基板W上面または遮断板4下面と気泡との結合を解除することで、当該気泡が基板Wに付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜内に形成された流れによって、処理液中の気泡を潰すことができるので、基板Wの上面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの上面への処理液の供給状態を均一にして、基板Wの上面への処理の均一性を向上させることができる。
【0075】
同様に、基板Wとスピンベース6との間が処理液によって液密にされた状態で、当該基板Wとスピンベース6とを鉛直軸線まわりに相対回転させることにより、基板Wとスピンベース6との間に介在する処理液の液膜を攪拌して、基板W下面またはスピンベース6上面と気泡との結合を解除することで、当該液膜中の気泡が基板Wに付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜中の気泡を潰して、基板Wの下面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの下面への処理液の供給状態を均一にして、基板Wの下面への処理の均一性を向上させることができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、複数のチャック側挟持部材7と複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wを持ち替えることができるので、前述の処理の一例のように、基板Wとスピンベース6との相対回転、および基板Wと遮断板4との相対回転を一連の工程として連続的に行うことができる。これにより、基板Wとスピンベース6との相対回転、および基板Wと遮断板4との相対回転を効率的に実施することができる。
【0077】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、スピンチャック3として、複数のチャック側挟持部材7によって基板Wの周端面を挟持するメカニカルチャックを用いる場合について説明したが、これに限らず、たとえば、基板Wの下面(裏面)を真空吸着することにより基板Wを水平な姿勢で保持して、さらにその状態で鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持した基板Wを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)がスピンチャック3として用いられてもよい。
【0078】
また、前述の実施形態では、ヒータ9,24によってそれぞれスピンベース6および遮断板4を均一に加熱する場合について説明したが、これに限らず、部分ごとに異なる温度でスピンベース6および遮断板4を加熱してもよい。たとえば、スピンベース6および遮断板4の周縁部をその他の部分よりも高い温度で加熱してもよい。前述の基板Wの処理の一例において、スピンベース6および遮断板4の周縁部をその他の部分よりも高い温度で加熱すれば、基板Wの周縁部に接するフッ酸の温度をその他の部分に接するフッ酸の温度よりも高くすることができる。これにより、基板Wの周縁部のエッチング速度を高めて、基板Wの上面および下面におけるエッチング量を面内で制御することができる。すなわち、部分ごとに異なる温度でスピンベース6および遮断板4を加熱することにより、基板Wの処理状態を制御することができる。
【0079】
また、前述の基板Wの処理の一例では、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置でスピンチャック3および遮断板4の回転を停止させて、基板Wの持ち替えを行う場合について説明したが、スピンチャック3および遮断板4を回転させたまま、複数のチャック側挟持部材7と複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wの持ち替えを行ってもよい。
【0080】
また、前述の基板Wの処理の一例では、リンス処理において、基板Wと遮断板4とを相対回転させた後に基板Wとスピンベース6とを相対回転させない場合について説明したが、複数のチャック側挟持部材7から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを持ち替えた後(ステップS17の後)、再び下面ノズル13から純水を吐出させて、基板Wとスピンベース6との間を純水によって液密にし、この状態で、基板Wとスピンベース6とを相対回転させてもよい。
【0081】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】基板処理装置の一部を拡大した図解図である。
【図3】複数の遮断板側挟持部材と搬送ロボットとの間での基板の受け渡しについて説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図4】複数の遮断板側挟持部材とスピンチャックとの間での基板の受け渡しについて説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図5】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図6】基板処理装置による基板の処理の一例を説明するための工程図である。
【図7】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図8】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図9】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図10】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図11】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【符号の説明】
【0083】
3 スピンチャック
4 遮断板
6 スピンベース
7 チャック側挟持部材
8 チャック回転機構
25 上側処理液供給管
36 遮断板回転機構
37 遮断板側挟持部材
W 基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理するための基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、半導体ウエハや液晶表示装置用ガラス基板などの基板を処理するための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、スピンチャックの上方に配置された遮断板とを備えている。スピンチャックは、基板の上方を開放させた状態で当該基板を水平に保持するように構成されている。また、遮断板は、鉛直方向に昇降されるようになっており、その下面がスピンチャックに保持された基板の上面に近接されるようになっている。遮断板の下面中央部には、処理液を吐出する処理液吐出口が形成されている。
【0003】
この基板処理装置で基板を処理する場合は、たとえば、スピンチャックに保持された基板の上面に遮断板の下面を近接させた状態で、遮断板の下面に形成された処理液吐出口から処理液を吐出させる。処理液吐出口から吐出された処理液は、基板の上面中央部に着液し、基板の上面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板の上面周縁部に達した処理液は、基板の周囲に排出される。また、遮断板が基板に近接した状態で処理液吐出口から処理液が吐出されるので、基板と遮断板との間は液密になる。したがって、基板の上面には、基板と遮断板との間が液密にされた状態で処理液が供給される。これにより、基板の上面が処理液によって処理される(液密処理)。
【特許文献1】特開2006−179550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような液密処理では、基板の処理が不均一になるおそれがあった。より具体的には、基板と遮断板との間を処理液によって液密にする場合、これらの間に処理液が供給される過程で気泡が形成されて、基板と遮断板との間に気泡が介在する場合がある。また、供給される処理液自体に気泡が含まれている場合がある。しかしながら、基板と遮断板との間に気泡があると、この気泡が基板に付着した状態で滞留するおそれがある。気泡が基板に付着した状態で滞留すると、基板に対する処理液の供給状態にむらが生じ、基板への処理が不均一になってしまう。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、処理の均一性を向上させることができる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)の一方の主面に第1対向部材(4)を対向させた状態で、当該基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第1対向部材との間を液密にする工程と、基板と前記第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第1対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程とを含む、基板処理方法である。
【0007】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
この発明によれば、基板の一方の主面に第1対向部材を対向させた状態で、当該基板と第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と第1対向部材との間を液密にする。これにより、基板の一方の主面に処理液を供給して、当該一方の主面を処理液によって処理することができる(液密処理)。また、基板と第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と第1対向部材とを基板の一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させることにより、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜に前記相対回転による回転力を作用させて、当該液膜を攪拌することができる。したがって、基板と第1対向部材との間に気泡がある場合でも、基板表面または第1対向部材の表面(基板に対向する面)と気泡との結合を解除することで、気泡が基板に付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、基板と第1対向部材との相対回転による回転力によって液膜内に流れを形成して、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板の一方の主面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、基板の一方の主面への処理液の供給状態を均一にして、基板の一方の主面を均一に処理することができる。
【0008】
基板と第1対向部材との相対回転は、基板および第1対向部材を互いに逆方向に回転させることにより実施してもよいし、基板および第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させることにより実施してもよいし、基板および第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させることにより実施してもよい。また、これらの動作のうち2つ以上の動作を実施することにより、基板と第1対向部材とを相対回転させてもよい。
【0009】
すなわち、前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、請求項2記載の発明のように、前記基板および前記第1対向部材を互いに逆方向に回転させる工程、前記基板および前記第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させる工程、ならびに前記基板および前記第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させる工程のうちの少なくとも一つの工程を含む工程であってもよい。
【0010】
基板および第1対向部材を互いに逆方向に回転させた場合には、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜において、基板側の層には、基板の回転方向と同方向の流れを形成することができ、第1対向部材側の層には、基板の回転方向と逆方向である第1対向部材の回転方向と同方向の流れを形成することができる。したがって、この方向の異なる2つの流れによって処理液の液膜をより確実に攪拌することができる。また、この2つの流れによって処理液中の気泡を確実に潰すことができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、基板の他方の主面に第2対向部材(6)を対向させた状態で、当該基板と前記第2対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第2対向部材との間を液密にする工程をさらに含む、請求項1または2記載の基板処理方法である。
この発明によれば、基板と第2対向部材との間を処理液によって液密にした状態で基板の他方の主面に処理液を供給して、当該他方の主面を処理液によって処理することができる(液密処理)。これにより、基板の両方の主面を処理液によって処理することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、基板と前記第2対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第2対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程をさらに含む、請求項3記載の基板処理方法である。
この発明によれば、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜に、基板と第2対向部材との相対回転による回転力を作用させて、当該液膜を攪拌することができる。したがって、基板と第2対向部材との間に気泡があっても、当該気泡が基板に付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、基板と第2対向部材との相対回転による回転力によって、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜内に流れを形成して、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板の他方の主面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、基板の他方の主面への処理液の供給状態を均一にして、基板の他方の主面を均一に処理することができる。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記基板と前記第2対向部材とを相対回転させる工程は、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材(37)によって基板を保持した状態で、前記第1対向部材を回転させることにより、基板と前記第1対向部材とを一体回転させる工程を含み、前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材(7)によって基板を保持した状態で、前記第2対向部材を回転させることにより、基板と前記第2対向部材とを一体回転させる工程を含み、前記第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替える工程をさらに含む、請求項4記載の基板処理方法である。
【0014】
この発明によれば、第1保持部材が第1対向部材に一体回転可能に連結されているので、第1保持部材によって基板を保持した状態で第1対向部材を回転させることにより、基板と第1対向部材とを一体回転させることができる。したがって、第1保持部材によって基板を保持した状態で第1対向部材を回転させることにより、基板と第2対向部材とを相対回転させることができる。これにより、基板と第2対向部材との間に介在する処理液の液膜に回転力を作用させて、基板の他方の主面を均一に処理することができる。
【0015】
同様に、第2保持部材が第2対向部材に一体回転可能に連結されているので、第2保持部材によって基板を保持した状態で第2対向部材を回転させることにより、基板と第2対向部材とを一体回転させることができる。したがって、第2保持部材によって基板を保持した状態で第2対向部材を回転させることにより、基板と第1対向部材とを相対回転させることができる。これにより、基板と第1対向部材との間に介在する処理液の液膜に回転力を作用させて、基板の一方の主面を均一に処理することができる。
【0016】
またこの発明によれば、第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替えることができるので、たとえば、基板と第1対向部材とを相対回転させた後に基板の持ち替えを行って、基板と第2対向部材とを相対回転させれば、基板と各対向部材との相対回転を一連の工程として連続的に行うことができる。これにより、基板と各対向部材との相対回転を効率的に実施することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、一方の主面を露出させた状態で基板(W)を保持する基板保持手段(3)と、前記基板保持手段に保持された基板の一方の主面に対向するように配置された第1対向部材(4)と、前記基板保持手段に保持された基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、当該基板と前記第1対向部材との間を液密にする処理液供給手段(25)と、前記基板保持手段に保持された基板および前記第1対向部材を前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる相対回転手段(8,36)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0018】
この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項7記載の発明は、前記基板保持手段は、基板の他方の主面に対向するように配置された第2対向部材(6)と、基板を保持するための保持部材であって、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材(7)とを含み、前記基板処理装置は、基板を保持するための保持部材であって、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材(37)をさらに含み、前記第1および第2保持部材は、一方の保持部材に保持された基板を他方の保持部材に持ち替えることができるように設けられている、請求項6記載の基板処理装置である。
【0019】
この発明によれば、請求項5の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
請求項8記載の発明は、前記第1および第2保持部材は、互いに干渉せずに前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられている、請求項7記載の基板処理装置である。
【0020】
この発明によれば、第1および第2保持部材が、互いに干渉せずに基板の一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられているので、これらの保持部材がそれぞれ連結された第1および第2対向部材を近接させた状態で前記交差する軸線まわりに相対回転させることができる。
第1および第2保持部材のいずれか一方の保持部材によって基板を保持した状態で、第1および第2対向部材を近接させれば、基板と各対向部材との間隔が狭くなるので、基板と各対向部材との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができる。したがって、第1および第2対向部材を近接させた状態で前記交差する軸線まわりに相対回転させれば、基板と各対向部材との間に処理液の液膜を容易に形成することができ、この処理液の液膜に回転力を与えることができる。これにより、処理液の消費量を低減しつつ、基板を均一に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。また、図2は、基板処理装置1の一部を拡大した図解図である。
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、図示しない隔壁で区画された処理室2内に、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック3(基板保持手段)と、スピンチャック3の上方に配置された遮断板4(第1対向部材)とを備えている。
【0022】
スピンチャック3は、鉛直な方向に延びる回転軸5と、回転軸5の上端に水平に取り付けられた円盤状のスピンベース6(第2対向部材)と、このスピンベース6上に配置された複数(3つ以上)の挟持部材7(第2保持部材)と、回転軸5に結合されたチャック回転機構8(相対回転手段)とを備えている。スピンチャック3は、複数の挟持部材7によって基板Wを挟持することにより、スピンベース6の上方で基板Wを水平に保持することができる。スピンチャック3は、スピンベース6に基板Wを近接させた状態(スピンベース6の上面と基板Wの下面との間隔が、たとえば0.3mm程度になる状態)で当該基板Wを水平に保持することができる。複数の挟持部材7によって基板Wを保持した状態で、チャック回転機構8の駆動力を回転軸5に入力することにより、基板Wの中心を通る鉛直な軸線まわりに基板Wを回転させることができる。スピンチャック3は、時計まわりおよび反時計まわりの両方向に保持した基板Wを回転させることができ、所定の範囲内で基板Wの回転速度を自由に変更することができる。また、スピンチャック3は、基板Wの回転を任意の回転位置で停止させることができる。
【0023】
スピンベース6は、基板Wよりも直径が大きい円盤状の部材である。スピンベース6の上面は、水平な平坦面にされている。複数の挟持部材7は、スピンベース6の上面周縁部において基板Wの外周形状に対応する円周上で等間隔で配置されている。複数の挟持部材7は、スピンベース6に一体回転可能に連結されている。スピンベース6には、ヒータ9が内蔵されており、このヒータ9によってスピンベース6が所定の温度で均一に加熱されている。
【0024】
挟持部材7は、図2において拡大して示すように、スピンベース6に取り付けられたベース10と、ベース10上に設けられた挟持部11とを有している。挟持部11は、ベース10の上面周縁部の所定位置から上方に延びており、その側面を基板Wの周端面に当接させることができる。スピンチャック3は、各挟持部材7の挟持部11を基板Wの周端面に当接させることにより、複数の挟持部材7を協働させて基板Wを挟持することができる。
【0025】
各挟持部材7は、ベース10の中心を通る鉛直な中心軸線まわりに回転可能となっており、図示しない挟持部材駆動機構によってそれぞれの中心軸線まわりに一体的に回動させられる。挟持部材7をその中心軸線まわりに回動させることにより、挟持部11が基板Wの周端面に当接する挟持位置(図2において実線で示す位置)と、挟持部11が基板Wの周端面から退避する解放位置(図2において二点鎖線で示す位置)との間で挟持部11を水平移動させることができる。図2に示すように、挟持位置と解放位置とは、異なる円周上(スピンチャック3の回転軸線を中心とする円周上)に設定されており、互いに重なり合わないようになっている。
【0026】
また、図1に示すように、回転軸5は中空軸にされている。回転軸5の内部には、下側処理液供給管12が非接触状態で挿通されている。下側処理液供給管12の上端には、基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する下面ノズル13が設けられている。下面ノズル13の吐出口は、スピンベース6よりも上方に位置しており、複数の挟持部材7により保持された基板Wの下面中央部に対向するようになっている。下面ノズル13は、下側処理液供給管12から供給された処理液を上方に向けて吐出することができる。
【0027】
下側処理液供給管12には、下側薬液供給管15および下側リンス液供給管16が接続されている。下側処理液供給管12には、下側薬液供給管15および下側リンス液供給管16をそれぞれ介して薬液およびリンス液が供給される。下側処理液供給管12には、薬液およびリンス液が選択的に供給されるようになっている。下側薬液供給管15には、下側処理液供給管12への薬液の供給および供給停止を制御する下側薬液バルブ17が介装されており、下側リンス液供給管16には、下側処理液供給管12へのリンス液の供給および供給停止を制御する下側リンス液バルブ18が介装されている。
【0028】
下側処理液供給管12に供給される薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。また、下側処理液供給管12に供給されるリンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0029】
また、回転軸5と下側処理液供給管12との間には、下側処理液供給管12を取り囲む筒状の下側ガス供給路19が形成されている。下側ガス供給路19には、下側ガスバルブ20が介装された下側ガス供給管21が接続されている。下側ガス供給路19には、この下側ガス供給管21を介して不活性ガスの一例である窒素ガスが供給される。下側ガス供給路19に供給された窒素ガスは、下側ガス供給路19内を上方に向かって流れ、下側ガス供給路19の上端から吐出される。下側ガス供給路19の上端は、スピンベース6の上面中央部に位置する環状の下側ガス吐出口22となっている。下側ガス吐出口22は、下面ノズル13の周囲に形成されており、下面ノズル13を取り囲んでいる。
【0030】
一方、遮断板4は、基板Wよりも直径が大きい円板状の部材である。遮断板4は、スピンチャック3の回転軸5と共通の軸線上に配置された支軸23の下端に連結されている。遮断板4は、その中心軸線がスピンチャック3の回転軸5と共通の軸線上に位置するように、スピンチャック3の上方で水平に保持されている。遮断板4の下面は水平な平坦面にされており、スピンチャック3に保持された基板Wに対向する基板対向面となっている。遮断板4には、ヒータ24が内蔵されており、このヒータ24によって遮断板4が所定の温度で均一に加熱されている。
【0031】
また、遮断板4の中央部には、当該遮断板4を鉛直方向に貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔の下端は、遮断板4の下面中央部に位置する開口となっている。支軸23は中空軸であり、その内部空間は貫通孔に連通されている。支軸23には、上側処理液供給管25(処理液供給手段)が非接触状態で挿通されており、上側処理液供給管25の下端は貫通孔内に達している。上側処理液供給管25の下端には、処理液を吐出する上側処理液吐出口26が形成されている。また、上側処理液供給管25の周囲には、ガスが流通する筒状の上側ガス供給路27が形成されている。
【0032】
上側処理液供給管25には、上側薬液供給管28および上側リンス液供給管29が接続されている。上側処理液供給管25には、上側薬液供給管28および上側リンス液供給管29をそれぞれ介して薬液およびリンス液が供給される。上側処理液供給管25には、薬液およびリンス液が選択的に供給されるようになっている。上側薬液供給管28には、上側処理液供給管25への薬液の供給および供給停止を制御する上側薬液バルブ30が介装されており、上側リンス液供給管29には、上側処理液供給管25へのリンス液の供給および供給停止を制御する上側リンス液バルブ31が介装されている。上側処理液供給管25には、たとえば、下側処理液供給管12に供給される薬液およびリンス液と同種の薬液およびリンス液が供給されるようになっている。
【0033】
また、支軸23の上端部には、上側ガスバルブ32が介装された上側ガス供給管33が接続されている。上側ガス供給路27には、この上側ガス供給管33を介して不活性ガスの一例である窒素ガスが供給される。上側ガス供給路27に供給された窒素ガスは、上側ガス供給路27内を下方に向かって流れ、遮断板4の内周面(貫通孔を区画する面)と上側処理液供給管25の下端との間から下方に向けて吐出される。遮断板4の内周面と上側処理液供給管25の下端との間が上側ガス吐出口34となっている。
【0034】
また、支軸23には、遮断板昇降機構35および遮断板回転機構36(相対回転手段)が結合されている。遮断板昇降機構35の駆動力を支軸23に入力することにより、支軸23および遮断板4を、遮断板4の下面がスピンチャック3に近接する近接位置(図4に示す位置)と、スピンチャック3の上方に大きく退避した退避位置(図1に示す位置)との間で一体的に昇降させることができる。また、遮断板回転機構36の駆動力を支軸23に入力することにより、スピンチャック3と共通の鉛直な回転軸線まわりに支軸23および遮断板4を一体的に回転させることができる。遮断板回転機構36は、時計まわりおよび反時計まわりの両方向に遮断板4を回転させることができる。また、遮断板回転機構36は、所定の範囲内で遮断板4の回転速度を自由に変更することができる。さらに、遮断板回転機構36は、遮断板4の回転を任意の回転位置で停止させることができる。
【0035】
また、遮断板4の下面には、遮断板4の下方で基板Wを保持するための複数(3つ以上。この実施形態では、挟持部材7と同数)の挟持部材37(第1保持部材)が一体回転可能に連結されている。複数の挟持部材37は、基板Wを挟持することにより、当該基板Wを遮断板4の下方で水平に保持することができる。複数の挟持部材37は、遮断板4に基板Wを近接させた状態(遮断板4の下面と基板Wの上面との間隔が、たとえば0.3mm程度になる状態)で当該基板Wを水平に保持することができる。
【0036】
複数の挟持部材37は、遮断板4の下面周縁部において基板Wの外周形状に対応する円周上で等間隔で配置されている。挟持部材37は、挟持部材7と同種の部材であり、遮断板4に取り付けられたベース38と、ベース38下に設けられた挟持部39とを有している。複数の挟持部材37は、それぞれの挟持部39を基板Wの周端面に当接させることにより協働して基板Wを挟持することができる。
【0037】
各挟持部材37は、ベース38の中心を通る鉛直な中心軸線まわりに回転可能となっている。各挟持部材37には、図示しない挟持部材駆動機構が連結されており、この挟持部材駆動機構によって複数の挟持部材37をそれぞれの中心軸線まわりに一体的に回動させることができる。挟持部材37をその中心軸線まわりに回動させることにより、挟持部39が基板Wの周端面に当接する挟持位置と、挟持部39が基板Wの周端面から退避する解放位置との間で挟持部39を水平移動させることができる。挟持部39の挟持位置と解放位置とは、異なる円周上(スピンチャック3の回転軸線を中心とする円周上)に設定されており、互いに重なり合わないようになっている。挟持部39の挟持位置は、挟持部11の挟持位置と直径が同じ大きさの円周上に設定されており、挟持部39の解放位置は、挟持部11の解放位置と直径が同じ大きさの円周上に設定されている。
【0038】
複数の挟持部材37は、処理室2内に基板Wを搬送する搬送ロボットとの間で基板Wを受け渡しすることができ、スピンチャック3(複数の挟持部材7)との間で基板Wを受け渡しすることができる。
図3は、複数の挟持部材37と搬送ロボットとの間での基板Wの受け渡しについて説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。また、図4は、複数の挟持部材37とスピンチャック3との間での基板Wの受け渡しについて説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。以下では、「挟持部材7」を「チャック側挟持部材7」といい、「挟持部材37」を「遮断板側挟持部材37」という。また、「挟持部11」を「チャック側挟持部11」といい、「挟持部39」を「遮断板側挟持部39」という。
【0039】
搬送ロボットから複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを渡すときは、図3に示すように、搬送ロボットの基板保持ハンドH1によって基板Wを下方から支持した状態で当該基板Wを遮断板4の下方に位置させる。そして、遮断板側挟持部39を解放位置に位置させた状態で、遮断板昇降機構35によって遮断板4を降下させて、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させる。その後、遮断板側挟持部材37を回動させて、遮断板側挟持部39を解放位置から挟持位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが保持され、搬送ロボットから複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが渡される。
【0040】
複数の遮断板側挟持部材37から搬送ロボットに基板Wを渡すときは、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された状態で、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させ、この状態で、遮断板側挟持部39を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37から搬送ロボットに基板Wが渡される。
【0041】
一方、スピンチャック3から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを渡すときは、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わないように、スピンチャック3および遮断板4を相対回転させる。そして、図4に示すように、遮断板側挟持部39を解放位置に位置させた状態で、遮断板昇降機構35によって遮断板4を近接位置まで降下させる。近接位置は、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致するように設定されており、遮断板4を近接位置に移動させることで、2つの基板保持位置を一致させることができる。遮断板4を近接位置に移動させた後は、遮断板側挟持部39を解放位置から挟持位置に移動させ、チャック側挟持部11を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが保持され、スピンチャック3から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wが渡される。
【0042】
複数の遮断板側挟持部材37からスピンチャック3に基板Wを渡すときは、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わないように、スピンチャック3および遮断板4を相対回転させる。そして、チャック側挟持部11を解放位置に位置させた状態で遮断板4を降下させて、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とを一致させる。その後、チャック側挟持部11を解放位置から挟持位置に移動させ、遮断板側挟持部39を挟持位置から解放位置に移動させる。これにより、複数の遮断板側挟持部材37からスピンチャック3に基板Wが渡される。
【0043】
図4に示すように、遮断板4が近接位置に配置されると、チャック側挟持部11と遮断板側挟持部39が水平方向に重なり合う。一方、2つの挟持部11,39の挟持位置および解放位置は、それぞれ直径が同じ大きさの円周上に設定されており、挟持位置および解放位置は、異なる円周上に設定されている。したがって、図4に示すように、チャック側挟持部11および遮断板側挟持部39の一方を挟持位置に位置させ、他方を解放位置に位置させることにより、遮断板側挟持部39をチャック側挟持部11に衝突させずに、遮断板4を近接位置に位置させることができる。また、チャック側挟持部11および遮断板側挟持部39の一方を挟持位置に位置させ、他方を解放位置に位置させることにより、遮断板4を近接位置に位置させた状態で、2つの挟持部11,39を衝突させずに、スピンチャック3と遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。
【0044】
図5は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む構成の制御部40を備えている。制御部40は、チャック回転機構8、遮断板昇降機構35、および遮断板回転機構36などの動作を制御する。また、基板処理装置1に備えられたバルブの開閉は、制御部40によって制御される。さらに、ヒータ9,24の加熱温度は、制御部40によって制御される。
【0045】
図6は、基板処理装置1による基板Wの処理の一例を説明するための工程図である。また、図7〜図11は、それぞれ、基板Wの処理状態を説明するためのスピンチャック3および遮断板4の図解的な側面図である。以下では、図1および図6を参照して、薬液の一例であるフッ酸を用いて、デバイス形成面である基板Wの表面、および非デバイス形成面である基板Wの裏面の両面をエッチング処理するときの処理の一例について説明する。また、この処理の一例の各工程において、図3、図7〜図11を適宜参照する。
【0046】
未処理の基板Wは、表面を上にした水平姿勢で搬送ロボットの基板保持ハンドH1(図3参照)によって下方から支持されながら処理室2内に搬入される。搬送ロボットは、支持した基板Wを遮断板4の下方に配置させる。そして、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、遮断板側挟持部39が解放位置にある状態で、基板保持ハンドH1による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致するまで遮断板4が降下させられる。その後、図3に示すように、遮断板側挟持部39が解放位置から挟持位置に移動させられて、基板保持ハンドH1に支持された基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される(ステップS1)。これにより、基板Wと遮断板4とが近接した状態で、当該基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される。複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された後は、基板保持ハンドH1が処理室2から退避する。
【0047】
次に、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、チャック側挟持部11が解放位置にある状態で、遮断板4が近接位置まで降下させられる(ステップS2)。これにより、チャック側挟持部材7による基板保持位置と遮断板側挟持部材37による基板保持位置とが一致し、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wがスピンベース6に近接した状態となる。その後、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる(ステップS3)。複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で遮断板4を回転させることにより、保持された基板Wを遮断板4と一体回転させることができる。また、チャック側挟持部11が解放位置に配置され、遮断板側挟持部39が挟持位置に配置されているので、チャック側挟持部材7および遮断板側挟持部材37は、互いに衝突することなく、それぞれスピンベース6および遮断板4とともに一体回転する。
【0048】
次に、制御部40により上側薬液バルブ30および下側薬液バルブ17が開かれて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からフッ酸が吐出される(ステップS4)。上側処理液吐出口26から吐出されたフッ酸は、基板Wの上面中央部に着液し、基板Wの上面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板Wの上面周縁部に達した処理液は、基板Wの周囲に排出される。また、遮断板4が基板Wに近接した状態で上側処理液吐出口26からフッ酸が吐出されるので、基板Wと遮断板4との間はフッ酸によって液密になる。したがって、基板Wの上面には、基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態でフッ酸が供給される。これにより、基板Wの上面がフッ酸によってエッチング処理される(液密処理)。上側処理液吐出口26からのフッ酸の吐出流量は、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0049】
同様に、下面ノズル13から吐出されたフッ酸は、基板Wの下面中央部に着液し、基板Wの下面周縁部に向かって広がっていく。そして、基板Wの下面周縁部に達した処理液は、基板Wの周囲に排出される。また、スピンベース6が基板Wに近接した状態で下面ノズル13からフッ酸が吐出されるので、基板Wとスピンベース6との間はフッ酸によって液密になる。したがって、基板Wの下面には、基板Wとスピンベース6との間が液密にされた状態でフッ酸が供給される。これにより、基板Wの下面がフッ酸によってエッチング処理される(液密処理)。下面ノズル13からのフッ酸の吐出流量は、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0050】
基板Wの上面および下面に対するエッチング処理において、スピンベース6および遮断板4は、それぞれヒータ9,24によって所定の温度で均一に加熱されている。したがって、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜、および基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜は、それぞれ遮断板4およびスピンベース6によって間接的に加熱されて、その全域にわたって均一な温度になっている。そのため、フッ酸のように温度によってエッチング速度が変化する薬液であっても、温度むらに起因する処理の不均一を抑制または防止することができる。これにより、基板Wの上面および下面に対してより均一なエッチング処理を行うことができる。
【0051】
次に、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS5)。
スピンベース6と遮断板4との相対回転は、スピンベース6および遮断板4を互いに逆方向に回転させることにより実施してもよいし、スピンベース6および遮断板4の一方を停止させた状態で他方を回転させることにより実施してもよいし、スピンベース6および遮断板4を互いに異なる回転速度で同方向に回転させることにより実施してもよい。また、これらの動作のうち2つ以上の動作を実施することにより、スピンベース6と遮断板4とを相対回転させてもよい。この処理の一例では、スピンベース6の回転方向が複数回反転され、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持したまま、スピンベース6および遮断板4が同方向に回転する状態(図7に示す状態)と、スピンベース6および遮断板4が互いに逆方向に回転する状態(図8に示す状態)とが交互に繰り返されるようになっている。
【0052】
複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wおよびスピンベース6を鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。したがって、基板Wとスピンベース6との間がフッ酸によって液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜に回転力を作用させて、当該液膜の内部に流れを形成することができる。
【0053】
基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜の内部に流れを形成することにより、当該液膜を攪拌することができる。したがって、フッ酸の液膜に気泡が含まれる場合でも、当該気泡が基板Wの下面に接した状態で滞留して、基板Wの下面に対するエッチング処理が不均一になることを抑制または防止することができる。また、フッ酸の液膜の内部に流れを形成することにより、当該液膜中の気泡を潰すことができる。これにより、基板Wの下面に液膜中の気泡が付着することを抑制または防止することができる。したがって、液膜中の気泡に起因するエッチング処理の不均一を一層確実に抑制または防止することができる。
【0054】
特にこの処理の一例では、スピンベース6および遮断板4を逆方向に回転させるので、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜の上層に、基板Wの回転方向と同方向の流れを形成することができ、当該液膜の下層に、基板Wの回転方向と逆方向であるスピンベース6と同方向の流れを形成することができる。これにより、液膜中の気泡に大きなせん断応力を作用させて、当該液膜内の2つの流れの界面において気泡を確実に潰すことができる。さらに、この処理の一例では、スピンベース6の回転方向を複数回反転させてスピンベース6および遮断板4の相対回転状態を変化させるので、液膜中の気泡に作用する力の大きさや方向が変化させて、液膜中の気泡を効率的に潰すことができる。
【0055】
基板Wとスピンベース6との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40により下側薬液バルブ17が閉じられて、下面ノズル13からのフッ酸の吐出が停止される(ステップS6)。これにより、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されたまま、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が解除される。そして、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される(ステップS7)。このとき、スピンベース6および遮断板4は、制御部40によりその停止位置が制御されて、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置に配置されている。
【0056】
スピンベース6および遮断板4の回転が停止された後は、遮断板4が近接位置にある状態、すなわち、2つの挟持部材7,37による基板保持位置が一致した状態で、チャック側挟持部11が解除位置から挟持位置に移動させられて、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wが複数のチャック側挟持部材7によって保持される。そして、遮断板側挟持部39が挟持位置から解除位置に移動させられて、複数の遮断板側挟持部材37による基板Wの挟持が解除される。これにより、複数の遮断板側挟持部材37に保持された基板Wが、その場を移動せずに複数のチャック側挟持部材7に持ち替えられる(図9参照。ステップS8)。
【0057】
基板Wが持ち替えられた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる(ステップS9)。そして、制御部40により下側薬液バルブ17が開かれて、下面ノズル13から再びフッ酸が吐出される(ステップS10)。これにより、基板Wとスピンベース6との間がフッ酸によって液密になる。
【0058】
その後、制御部40によりチャック回転機構8が制御されて、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6の回転方向が複数回反転される。これにより、複数のチャック側挟持部材7によって基板Wを保持したまま、スピンベース6および遮断板4が同方向に回転する状態(図9に示す状態)と、スピンベース6および遮断板4が互いに逆方向に回転する状態(図10に示す状態)とが交互に繰り返されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS11)。
【0059】
複数のチャック側挟持部材7によって基板Wを保持した状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wおよび遮断板4を鉛直軸線まわりに相対回転させることができる。したがって、基板Wと遮断板4との間がフッ酸によって液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4を相対回転させることにより、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜に回転力を作用させることができる。これにより、フッ酸の液膜を攪拌して、当該液膜中の気泡が基板Wの上面に接した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜中の気泡を潰して、基板Wの上面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。
【0060】
基板Wと遮断板4との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりにたとえばほぼ同じ回転速度で同方向に回転させられる。そして、制御部40により上側薬液バルブ30および下側薬液バルブ17が閉じられて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からのフッ酸の吐出が停止される(ステップS12)。その後、制御部40により上側リンス液バルブ31および下側リンス液バルブ18が開かれて、上側処理液吐出口26および下面ノズル13からリンス液の一例である純水が吐出される(ステップS13)。
【0061】
上側処理液吐出口26から吐出された純水は、基板Wと遮断板4との間の空間に供給され、基板Wの上面周縁部に向かって広がっていく。したがって、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸は、純水によって押し流されて、基板Wと遮断板4との間から排出される。これにより、基板Wと遮断板4との間に介在するフッ酸の液膜が、純水の液膜に置換される。また、フッ酸の液膜が純水の液膜に置換される過程で、基板Wの上面に付着しているフッ酸が純水によって洗い流されて、基板Wの上面にリンス処理が行われる。上側処理液吐出口26からの純水の吐出流量は、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0062】
同様に、下面ノズル13から吐出された純水は、基板Wとスピンベース6との間の空間に供給され、基板Wの下面周縁部に向かって広がっていく。したがって、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸は、純水によって押し流されて、基板Wとスピンベース6との間から排出される。これにより、基板Wとスピンベース6との間に介在するフッ酸の液膜が、純水の液膜に置換される。また、フッ酸の液膜が純水の液膜に置換される過程で、基板Wの下面に付着しているフッ酸が純水によって洗い流されて、基板Wの下面にリンス処理が行われる。下面ノズル13からの純水の吐出流量は、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が維持されるように設定されている。
【0063】
上側処理液吐出口26および下面ノズル13からの純水の吐出が開始されてから所定時間が経過すると、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、前述と同様に、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間が液密にされた状態で、スピンベース6および遮断板4が共通の回転軸線まわりに相対回転させられる(ステップS14)。これにより、基板Wと遮断板4との間に介在する純水の液膜が攪拌され、気泡の滞留による基板Wの洗い残しが抑制または防止される。また、液膜中の気泡が潰されて、液膜中の気泡に起因する処理の不均一が抑制または防止される。これにより、基板Wの上面の清浄度が向上される。
【0064】
基板Wと遮断板4との相対回転が所定時間にわたって行われた後は、制御部40により下側リンス液バルブ18が閉じられて、下面ノズル13からの純水の吐出が停止される(ステップS15)。これにより、基板Wと遮断板4との間の液密状態が維持されたまま、基板Wとスピンベース6との間の液密状態が解除される。そして、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される(ステップS16)。このとき、スピンベース6および遮断板4は、制御部40によりその停止位置が制御されて、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置に配置されている。
【0065】
スピンベース6および遮断板4の回転が停止された後は、遮断板側挟持部39が解除位置から挟持位置に移動させられて、複数のチャック側挟持部材7に保持された基板Wが複数の遮断板側挟持部材37によって保持される。そして、チャック側挟持部11が挟持位置から解除位置に移動させられて、複数のチャック側挟持部材7による基板Wの挟持が解除される。このようにして、複数のチャック側挟持部材7に保持された基板Wが、その場を移動せずに複数の遮断板側挟持部材37に持ち替えられる(ステップS17)。
【0066】
基板Wが複数のチャック側挟持部材7から複数の遮断板側挟持部材37に持ち替えられた後は、制御部40により上側リンス液バルブ31が閉じられて、上側処理液吐出口26からの純水の吐出が停止される(ステップS18)。その後、制御部40により上側ガスバルブ32および下側ガスバルブ20が開かれて、図11に示すように、上側ガス吐出口34および下側ガス吐出口22から窒素ガスが吐出される(ステップS19)。また、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4がほぼ同じ回転速度(たとえば、数千rpm)で同方向に高速回転させられる(ステップS20)。
【0067】
複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wを保持した状態で、遮断板4を高速回転させることにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力を作用させて、当該純水を外方に移動させることができる。これにより、基板Wから純水を排除して、当該基板Wを乾燥させることができる(乾燥処理)。また、基板Wから純水が排除される過程で、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間には窒素ガスが充満するので、基板Wは窒素ガス雰囲気中で乾燥する。したがって、ウォータマークなどの乾燥不良が基板Wに生じることを抑制または防止することができる。
【0068】
さらに、この処理の一例では、スピンベース6および遮断板4をほぼ同じ回転速度で同方向に高速回転させながら基板Wを乾燥させるので、処理室2内の気流が乱れて、パーティクルなどの異物や処理液のミストなどが基板Wに付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの汚染を抑制または防止することができる。また、基板Wおよび当該基板Wに付着している純水は、ヒータ9,24からの熱によって間接的に加熱されて昇温しているので、基板Wを速やかに乾燥させることができる。
【0069】
基板Wの高速回転が所定時間にわたって続けられた後は、制御部40によりチャック回転機構8および遮断板回転機構36が制御されて、スピンベース6および遮断板4の回転が停止される。そして、制御部40により遮断板昇降機構35が制御されて、複数の遮断板側挟持部材37によって基板Wが保持された状態で、遮断板4が上昇させられる(ステップS21)。その後、搬送ロボットの基板保持ハンドH1が処理室2内に進入し、複数の遮断板側挟持部材37から基板保持ハンドH1に基板Wが渡される。そして、処理済みの基板Wが、搬送ロボットによって処理室2から搬出される。
【0070】
以上のように本実施形態では、複数の遮断板側挟持部材37によって、基板Wの下方を開放させた状態で当該基板Wを保持することができる。したがって、搬送ロボットが基板Wの下方を支持する形式のものである場合に、搬送ロボットと複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wの受け渡しを行うことができる。そのため、搬送ロボットとスピンチャック3との間で基板Wの受け渡しを行わなくてもよい。したがって、チャック側挟持部材7による基板保持位置とスピンベース6との間に、基板保持ハンドH1を進入させるため空間を設けなくてもよい。これにより、チャック側挟持部材7による基板保持位置とスピンベース6との間隔を狭くして、基板Wをスピンベース6に近接させた状態で当該基板Wを保持することができる。したがって、基板Wとスピンベース6との間に処理液を供給することにより、基板Wとスピンベース6との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができる。これにより、比較的少量の処理液で基板Wの下面を処理することができる(液密処理)。
【0071】
また、複数の遮断板側挟持部材37は、基板Wの下方を開放させた状態で当該基板Wを保持することができるので、搬送ロボットが基板Wの下方を支持する形式のものである場合に、遮断板側挟持部材37よる基板保持位置と遮断板4との間に基板保持ハンドH1を進入させるための空間を設けなくてもよい。したがって、遮断板4に基板Wを近接させた状態で当該基板Wを遮断板4の下方で保持することができる。これにより、基板Wと遮断板4との間を比較的少量の処理液で容易に液密にすることができ、比較的少量の処理液で基板Wの上面を処理することができる(液密処理)。
【0072】
基板Wの上面および下面を液密処理することにより、基板Wの外表面が疎液性(疎水性)である場合や、基板Wが大型である場合でも、基板Wの周縁部まで十分に処理液を行き渡らせて、基板Wの上面および下面に処理液を均一に供給することができる。これにより、基板Wの上面および下面を均一に処理することができる。また、液密処理を行えば、基板Wの周縁部まで処理液を行き渡らせるために、大量の処理液を供給しつつ基板Wを高速回転させなくてもよいので、基板Wの高速回転によって生じる基板Wの帯電(空気と基板Wとの摩擦による帯電)を抑制または防止することができる。さらに、基板Wの高速回転によって基板Wの周縁部の温度が他の部分よりも低下することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの温度むらを抑制または防止することができる。基板Wに温度むらが生じると、基板Wに接する処理液にも温度むらが生じるので、たとえば、フッ酸のようにエッチング速度が温度により変化する処理液によって液密処理をするときに、基板Wへの処理が不均一になってしまう。したがって、基板Wの温度むらを抑制または防止することにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0073】
また、基板Wとスピンベース6との間、および基板Wと遮断板4との間を液密にした状態で基板Wの処理を行えば、前記2つの間にその周囲の雰囲気が巻き込まれて、当該雰囲気に含まれるパーティクルなどの異物や処理液のミストなどが基板Wに付着することを抑制または防止することができる。これにより、異物などの付着による基板Wの汚染を抑制または防止することができる。
【0074】
また、本実施形態では、基板Wと遮断板4との間が処理液によって液密にされた状態で、当該基板Wと遮断板4とを鉛直軸線まわりに相対回転させて、基板Wと遮断板4との間に介在する処理液の液膜を攪拌するので、基板Wと遮断板4との間に気泡があっても、基板W上面または遮断板4下面と気泡との結合を解除することで、当該気泡が基板Wに付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜内に形成された流れによって、処理液中の気泡を潰すことができるので、基板Wの上面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの上面への処理液の供給状態を均一にして、基板Wの上面への処理の均一性を向上させることができる。
【0075】
同様に、基板Wとスピンベース6との間が処理液によって液密にされた状態で、当該基板Wとスピンベース6とを鉛直軸線まわりに相対回転させることにより、基板Wとスピンベース6との間に介在する処理液の液膜を攪拌して、基板W下面またはスピンベース6上面と気泡との結合を解除することで、当該液膜中の気泡が基板Wに付着した状態で滞留することを抑制または防止することができる。また、液膜中の気泡を潰して、基板Wの下面に気泡が付着することを抑制または防止することができる。これにより、基板Wの下面への処理液の供給状態を均一にして、基板Wの下面への処理の均一性を向上させることができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、複数のチャック側挟持部材7と複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wを持ち替えることができるので、前述の処理の一例のように、基板Wとスピンベース6との相対回転、および基板Wと遮断板4との相対回転を一連の工程として連続的に行うことができる。これにより、基板Wとスピンベース6との相対回転、および基板Wと遮断板4との相対回転を効率的に実施することができる。
【0077】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の実施形態では、スピンチャック3として、複数のチャック側挟持部材7によって基板Wの周端面を挟持するメカニカルチャックを用いる場合について説明したが、これに限らず、たとえば、基板Wの下面(裏面)を真空吸着することにより基板Wを水平な姿勢で保持して、さらにその状態で鉛直な軸線まわりに回転することにより、その保持した基板Wを回転させることができる真空吸着式のもの(バキュームチャック)がスピンチャック3として用いられてもよい。
【0078】
また、前述の実施形態では、ヒータ9,24によってそれぞれスピンベース6および遮断板4を均一に加熱する場合について説明したが、これに限らず、部分ごとに異なる温度でスピンベース6および遮断板4を加熱してもよい。たとえば、スピンベース6および遮断板4の周縁部をその他の部分よりも高い温度で加熱してもよい。前述の基板Wの処理の一例において、スピンベース6および遮断板4の周縁部をその他の部分よりも高い温度で加熱すれば、基板Wの周縁部に接するフッ酸の温度をその他の部分に接するフッ酸の温度よりも高くすることができる。これにより、基板Wの周縁部のエッチング速度を高めて、基板Wの上面および下面におけるエッチング量を面内で制御することができる。すなわち、部分ごとに異なる温度でスピンベース6および遮断板4を加熱することにより、基板Wの処理状態を制御することができる。
【0079】
また、前述の基板Wの処理の一例では、チャック側挟持部材7と遮断板側挟持部材37とが平面視において重なり合わない位置でスピンチャック3および遮断板4の回転を停止させて、基板Wの持ち替えを行う場合について説明したが、スピンチャック3および遮断板4を回転させたまま、複数のチャック側挟持部材7と複数の遮断板側挟持部材37との間で基板Wの持ち替えを行ってもよい。
【0080】
また、前述の基板Wの処理の一例では、リンス処理において、基板Wと遮断板4とを相対回転させた後に基板Wとスピンベース6とを相対回転させない場合について説明したが、複数のチャック側挟持部材7から複数の遮断板側挟持部材37に基板Wを持ち替えた後(ステップS17の後)、再び下面ノズル13から純水を吐出させて、基板Wとスピンベース6との間を純水によって液密にし、この状態で、基板Wとスピンベース6とを相対回転させてもよい。
【0081】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】基板処理装置の一部を拡大した図解図である。
【図3】複数の遮断板側挟持部材と搬送ロボットとの間での基板の受け渡しについて説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図4】複数の遮断板側挟持部材とスピンチャックとの間での基板の受け渡しについて説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図5】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図6】基板処理装置による基板の処理の一例を説明するための工程図である。
【図7】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図8】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図9】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図10】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【図11】基板の処理状態を説明するためのスピンチャックおよび遮断板の図解的な側面図である。
【符号の説明】
【0083】
3 スピンチャック
4 遮断板
6 スピンベース
7 チャック側挟持部材
8 チャック回転機構
25 上側処理液供給管
36 遮断板回転機構
37 遮断板側挟持部材
W 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の主面に第1対向部材を対向させた状態で、当該基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第1対向部材との間を液密にする工程と、
基板と前記第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第1対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記基板および前記第1対向部材を互いに逆方向に回転させる工程、前記基板および前記第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させる工程、ならびに前記基板および前記第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させる工程のうちの少なくとも一つの工程を含む、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
基板の他方の主面に第2対向部材を対向させた状態で、当該基板と前記第2対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第2対向部材との間を液密にする工程をさらに含む、請求項1または2記載の基板処理方法。
【請求項4】
基板と前記第2対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第2対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程をさらに含む、請求項3記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板と前記第2対向部材とを相対回転させる工程は、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材によって基板を保持した状態で、前記第1対向部材を回転させることにより、基板と前記第1対向部材とを一体回転させる工程を含み、
前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材によって基板を保持した状態で、前記第2対向部材を回転させることにより、基板と前記第2対向部材とを一体回転させる工程を含み、
前記第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替える工程をさらに含む、請求項4記載の基板処理方法。
【請求項6】
一方の主面を露出させた状態で基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の一方の主面に対向するように配置された第1対向部材と、
前記基板保持手段に保持された基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、当該基板と前記第1対向部材との間を液密にする処理液供給手段と、
前記基板保持手段に保持された基板および前記第1対向部材を前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる相対回転手段とを含む、基板処理装置。
【請求項7】
前記基板保持手段は、基板の他方の主面に対向するように配置された第2対向部材と、基板を保持するための保持部材であって、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材とを含み、
前記基板処理装置は、基板を保持するための保持部材であって、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材をさらに含み、
前記第1および第2保持部材は、一方の保持部材に保持された基板を他方の保持部材に持ち替えることができるように設けられている、請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1および第2保持部材は、互いに干渉せずに前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられている、請求項7記載の基板処理装置。
【請求項1】
基板の一方の主面に第1対向部材を対向させた状態で、当該基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第1対向部材との間を液密にする工程と、
基板と前記第1対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第1対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程とを含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記基板および前記第1対向部材を互いに逆方向に回転させる工程、前記基板および前記第1対向部材の一方を停止させた状態で他方を回転させる工程、ならびに前記基板および前記第1対向部材を互いに異なる回転速度で同方向に回転させる工程のうちの少なくとも一つの工程を含む、請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
基板の他方の主面に第2対向部材を対向させた状態で、当該基板と前記第2対向部材との間に処理液を供給して、基板と前記第2対向部材との間を液密にする工程をさらに含む、請求項1または2記載の基板処理方法。
【請求項4】
基板と前記第2対向部材との間が液密にされた状態で、当該基板と前記第2対向部材とを前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる工程をさらに含む、請求項3記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記基板と前記第2対向部材とを相対回転させる工程は、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材によって基板を保持した状態で、前記第1対向部材を回転させることにより、基板と前記第1対向部材とを一体回転させる工程を含み、
前記基板と前記第1対向部材とを相対回転させる工程は、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材によって基板を保持した状態で、前記第2対向部材を回転させることにより、基板と前記第2対向部材とを一体回転させる工程を含み、
前記第1および第2保持部材のいずれか一方に保持された基板を、他方の保持部材に持ち替える工程をさらに含む、請求項4記載の基板処理方法。
【請求項6】
一方の主面を露出させた状態で基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の一方の主面に対向するように配置された第1対向部材と、
前記基板保持手段に保持された基板と前記第1対向部材との間に処理液を供給して、当該基板と前記第1対向部材との間を液密にする処理液供給手段と、
前記基板保持手段に保持された基板および前記第1対向部材を前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転させる相対回転手段とを含む、基板処理装置。
【請求項7】
前記基板保持手段は、基板の他方の主面に対向するように配置された第2対向部材と、基板を保持するための保持部材であって、前記第2対向部材に一体回転可能に連結された第2保持部材とを含み、
前記基板処理装置は、基板を保持するための保持部材であって、前記第1対向部材に一体回転可能に連結された第1保持部材をさらに含み、
前記第1および第2保持部材は、一方の保持部材に保持された基板を他方の保持部材に持ち替えることができるように設けられている、請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1および第2保持部材は、互いに干渉せずに前記一方の主面に交差する軸線まわりに相対回転できるように設けられている、請求項7記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−123884(P2010−123884A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298467(P2008−298467)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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