説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】基板表面へのダメージを防止しつつ、良好な熱エネルギー効率で基板表面に対して洗浄処理を施すことができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板表面Wfに液膜11を付着させた状態で該液膜11を凍結させて凍結膜13を形成する。続いて、回転駆動されている基板Wの表面Wfに向けて加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスを局部的に吐出させながら、加熱ガス吐出ノズル4を基板Wの回転中心位置P41から基板Wの端縁位置P42に向けて移動軌跡T4に沿って揺動させる。これにより、基板表面Wfの表面領域のうち凍結膜13が融解した領域(融解領域)が基板表面Wfの中央部から周縁部へと広げられ、基板表面Wfに形成された凍結膜13の全体が融解する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板(以下、単に「基板」という)を洗浄処理する基板処理装置および基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に代表されるデバイスの微細化、高機能化、高精度化に伴って基板表面に形成されたパターンを倒壊させずに基板表面に付着しているパーティクル等の微小な汚染物質を除去することが益々困難になっている。そこで、このような課題に対応すべく、次のような洗浄処理方法が提案されている。すなわち、基板表面に液膜を付着させた状態で該液膜を凍結させて凍結膜を形成する。そして、凍結膜を融解するとともに基板表面から該凍結膜を除去することにより基板表面から汚染物質を除去している。
【0003】
このような洗浄処理方法を実行する装置として、例えば特許文献1に記載の装置が提案されている。この装置においては、基板表面に付着させた水膜を凍結させて氷膜(凍結膜)を形成している。その後、基板表面に向けて純水を噴出させている。これにより、氷膜を基板表面から剥離させて汚染物質を基板表面から除去している。
【0004】
また、特許文献2に記載の装置においては、処理チャンバー内に基板を収容し、基板をペデスタル(台座)に保持させている。そして、基板表面に除去流体を供給し、基板表面上に該除去流体による液膜を形成している。続いて、処理チャンバー内に冷却ガスを循環させて液膜を凍結させた後、ペデスタルを加熱して凍結膜を融解させている。そして、このような液膜の凍結と凍結膜の融解とを周期的に実行することにより、基板表面と汚染物質との結合を緩ませて基板表面からの汚染物質の除去を容易にしている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−31673号公報(図6)
【特許文献2】特開平3−145130号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の装置では、基板表面に形成した氷膜に液体(純水)を供給して該氷膜を基板表面から除去している。このため、次のような問題が発生することがあった。すなわち、氷膜に液体を供給して該氷膜を除去する場合には、基板表面に供給され基板表面上を流れる液体(液流)内に融解されていない氷(未融解の氷)の塊が生じてしまうことがある。つまり、氷膜の一部分を残してその周囲の氷膜が先に融解する場合があり、この場合には、氷膜の一部分が塊となって液流内を該液流の流れ方向に移動することとなる。その結果、基板表面に形成されたパターンに氷の塊(固体)が衝突してしまい、パターンにダメージを与えることがあった。
【0007】
また、特許文献2に記載の装置では、基板に対して比較的熱容量が大きなペデスタル等の基板保持手段を介して基板表面に形成した凍結膜を間接的に加熱している。このため、基板だけでなくペデスタルについても昇温させる必要があり、付与すべき熱量が大きくなっていた。また、製造工程においては、複数枚の基板に対して洗浄処理を各基板ごとに連続して実行する必要がある。しかしながら、上記したように凍結膜の融解を行った結果、ペデスタルが昇温されてしまうと、次に液膜の凍結を実行する際にペデスタルに蓄えられている熱の影響により液膜を凍結させるまでに相応の時間を要してしまう。そこで、液膜を所望の時間内で凍結させる場合には、基板のみならずペデスタルについても十分に冷却する必要がある。このため、液膜を凍結させる際にも、付与すべき冷熱の量が大きくなっていた。特に、一枚の基板に対して液膜の凍結と凍結膜の融解とを繰り返し実行する場合には、その実行回数に応じて基板およびペデスタルに付与すべき熱または冷熱の量が増大してしまう。このように、特許文献2に記載の装置では、洗浄処理を実行する際に、ペデスタルに発生する熱履歴に起因して熱エネルギー効率が悪くなっていた。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、基板表面へのダメージを防止しつつ、良好な熱エネルギー効率で基板表面に対して洗浄処理を施すことができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる基板処理装置の第1態様は、基板表面に形成された液膜を凍結して凍結膜を形成した後、該凍結膜を融解し基板表面から除去することにより基板表面に対して洗浄処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、その表面に液膜が形成された基板を保持する基板保持手段と、液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成手段と、液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する加熱ガスを凍結膜に向けて局部的に吐出する加熱ガス吐出手段と、加熱ガス吐出手段を基板表面に沿って基板に対して相対移動させる相対移動機構とを備え、加熱ガス吐出手段から加熱ガスを吐出させながら相対移動機構により加熱ガス吐出手段を基板に対して相対移動させることで基板表面に形成された凍結膜の全体を融解することを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる基板処理方法の第1態様は、上記目的を達成するため、基板表面に液膜を付着させた状態で該液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成工程と、液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する加熱ガスを加熱ガス吐出手段から凍結膜に向けて局部的に吐出させながら加熱ガス吐出手段を基板表面に沿って基板に対して相対移動させて基板表面に形成された凍結膜を融解する融解工程と、融解された後の液膜を基板表面から除去する液膜除去工程とを備えたことを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(基板処理装置および基板処理方法)の第1態様によれば、基板表面に形成された凍結膜に向けて、液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する加熱ガスが加熱ガス吐出手段から局部的に吐出される。これにより、加熱ガスの供給部位に位置する凍結膜が融解される。そして、加熱ガス吐出手段から加熱ガスを吐出させながら該加熱ガス吐出手段が基板表面に沿って基板に対して相対移動される。このため、基板表面の表面領域のうち凍結膜が融解された領域(融解領域)が広げられ、基板表面に形成された凍結膜の全体を融解させることができる。このように、凍結膜に向けて液体を供給することなく凍結膜を融解しているので、基板表面に供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊(固体)が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜を基板表面から除去することにより、基板表面へのダメージを防止しながら基板表面から汚染物質を容易に除去することができる。しかも、凍結膜に加熱ガスを直接に供給して該凍結膜を融解していることから、基板保持手段を昇温させる必要がない。このため、基板保持手段に熱履歴が発生するのを抑制して、良好な熱エネルギー効率で基板表面に対して洗浄処理を施すことができる。
【0012】
ここで、加熱ガス吐出手段を基板に対して相対移動させるための構成の一例としては、以下に示す構成のものを採用することができる。すなわち、基板保持手段に保持された基板を回転させる回転手段をさらに設けて、相対移動機構が、回転手段により回転駆動されている基板の表面に加熱ガス吐出手段を対向させながら駆動して基板の回転中心位置と基板の端縁位置との間で移動させる駆動手段を有するものを採用することができる。このような構成によれば、加熱ガスの供給部位を基板表面上の微小領域に限定しながらも、基板表面に形成された凍結膜の全体に加熱ガスを速やかに供給することができる。したがって、加熱ガスの供給量を抑制しながら、スループットを向上させることができる。
【0013】
また、この発明にかかる基板処理装置の第2態様は、基板表面に形成された液膜を凍結して凍結膜を形成した後、該凍結膜を融解し基板表面から除去することにより基板表面に対して洗浄処理を施す基板処理装置であって、上記目的を達成するため、その表面に液膜が形成された基板を保持する基板保持手段と、液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成手段と、基板保持手段に保持された基板を回転させる回転手段と、液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気中で回転手段により基板を回転させることで基板表面に形成された凍結膜を融解することを特徴としている。
【0014】
また、この発明にかかる基板処理方法の第2態様は、上記目的を達成するため、基板表面に液膜を付着させた状態で該液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成工程と、 液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気中で基板を回転させて基板表面に形成された凍結膜を融解する融解工程と、融解された後の液膜を基板表面から除去する液膜除去工程とを備えたことを特徴としている。
【0015】
このように構成された発明(基板処理装置および基板処理方法)の第2態様によれば、基板表面に凍結膜が形成された状態で、液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気中で基板を回転させている。これにより、基板表面上に基板の回転に伴う気流が発生し、凍結膜から該凍結膜の周囲雰囲気、つまり液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気への冷熱の拡散が促進される。このため、凍結膜を速やかに融解させることができる。このように、凍結膜に向けて液体を供給することなく凍結膜を融解させているので、基板表面に供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜を基板表面から除去することにより、基板表面へのダメージを防止しながら基板表面から汚染物質を容易に除去することができる。しかも、基板の回転により凍結膜と周囲雰囲気との間の熱交換を促進させることで該凍結膜を融解していることから、基板保持手段を昇温させる必要がない。このため、基板保持手段に熱履歴が発生するのを抑制して、良好な熱エネルギー効率で基板表面に対して洗浄処理を施すことができる。さらに、この発明によれば、凍結膜を融解するために加熱手段を新たに設ける必要がないので、装置構成を簡素化するとともに、装置コストの低減を図ることができる。
【0016】
ここで、基板表面に液体を供給する液体供給手段をさらに設けて、回転手段により基板を第1回転速度で回転させることで液体供給手段から基板表面に供給された液体の一部を振り切って基板表面に液膜を形成する一方、第1回転速度よりも低い第2回転速度で基板を回転させることで基板表面に形成された凍結膜を融解するのが好ましい。このように凍結膜を融解することにより、基板の回転に伴う遠心力の作用によって凍結膜が融解された後の液膜が基板表面上で流動するのを抑制することができる。このため、未融解の凍結膜の塊が生ずる場合であっても、基板表面上の液膜の流動を防止して基板表面へのダメージを確実に防止することができる。
【0017】
また、第1および第2態様にかかる基板処理装置において、基板表面にリンス液を供給して凍結膜が融解された後の液膜を基板表面から除去するリンス液供給手段をさらに備えてもよい。これにより、凍結膜が融解された後の液膜(液体)にリンス液が供給され、該液膜がリンス液とともに基板表面から除去される。したがって、基板表面にダメージを与えることなく、液膜とともに該液膜に含まれる汚染物質を基板表面から除去することができる。
【0018】
また、第1および第2態様にかかる基板処理方法において、凍結膜形成工程と融解工程とを所定回数だけ繰り返し実行した後に、液膜除去工程を実行するようにしてもよい。この構成によれば、凍結膜形成工程の実行により液膜が凍結した際に生じる体積膨張と、融解工程の実行により凍結膜が融解した際に生じる体積収縮とが液膜除去工程前に繰り返される。これにより、基板表面と該基板表面に付着する汚染物質との間の付着力を十分に低下させ、さらには基板表面から汚染物質を脱離させることができる。したがって、融解された後の液膜を基板表面から除去(液膜除去工程を実行)することによって、基板表面にダメージを与えることなく基板表面から汚染物質を確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、凍結膜に向けて液体を供給することなく凍結膜が融解される。このため、基板表面に供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜を基板表面から除去することにより、基板表面へのダメージを防止しながら基板表面から汚染物質を除去することができる。また、この発明によれば、基板保持手段を昇温させることなく凍結膜を融解している。このため、基板保持手段に熱履歴が発生するのを抑制して、良好な熱エネルギー効率で基板表面に対して洗浄処理を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。この基板処理装置は半導体ウエハ等の基板Wの表面Wfに付着しているパーティクル等の汚染物質を除去するための洗浄処理に用いられる枚葉式の基板処理装置である。より具体的には、微細パターンが形成された基板表面Wfに対して、(1)液膜を形成し、(2)液膜を凍結させて凍結膜を形成し、(3)凍結膜を融解し、(4)融解された後の液膜を除去することで、基板表面Wfに対して一連の洗浄処理(液膜形成+液膜凍結+凍結膜融解+液膜除去)を施す装置である。
【0021】
この基板処理装置は、基板Wに対して洗浄処理を施す処理空間をその内部に有する処理チャンバー1を備えている。処理チャンバー1内には、本発明の「基板保持手段」として機能するスピンチャック2、冷却ガス吐出ノズル3、加熱ガス吐出ノズル4(本発明の「加熱ガス吐出手段」に相当)および遮断部材9が設けられている。
【0022】
スピンチャック2は、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wを略水平姿勢に保持して回転させる。このスピンチャック2は、回転支軸21がモータを含むチャック回転機構22の回転軸に連結されており、チャック回転機構22の駆動により回転中心A0を中心に回転可能となっている。回転支軸21の上端部には、円盤状のスピンベース23が一体的にネジなどの締結部品によって連結されている。したがって、装置全体を制御する制御ユニット8(図2)からの動作指令に応じてチャック回転機構22を駆動させることによりスピンベース23が回転中心A0を中心に回転する。このように、この実施形態では、チャック回転機構22が本発明の「回転手段」として機能する。
【0023】
スピンベース23の周縁部付近には、基板Wの周縁部を把持するための複数個のチャックピン24が立設されている。チャックピン24は、円形の基板Wを確実に保持するために3個以上設けてあればよく、スピンベース23の周縁部に沿って等角度間隔で配置されている。チャックピン24のそれぞれは、基板Wの周縁部を下方から支持する基板支持部と、基板支持部に支持された基板Wの外周端面を押圧して基板Wを保持する基板保持部とを備えている。各チャックピン24は、基板保持部が基板Wの外周端面を押圧する押圧状態と、基板保持部が基板Wの外周端面から離れる解放状態との間を切り替え可能に構成されている。そして、スピンベース23に対して基板Wが受渡しされる際には、複数個のチャックピン24を解放状態とし、基板Wに対して洗浄処理を行う際には、複数個のチャックピン24を押圧状態とする。押圧状態とすることによって、複数個のチャックピン24は基板Wの周縁部を把持してその基板Wをスピンベース23から所定間隔を隔てて略水平姿勢に保持することができる。これにより、基板Wはその表面(パターン形成面)Wfを上方に向け、裏面Wbを下方に向けた状態で保持される。
【0024】
スピンチャック2の外方には、第1の回動モータ31が設けられている。第1の回動モータ31には、第1の回動軸33が接続されている。また、第1の回動軸33には、第1のアーム35が水平方向に延びるように連結され、第1のアーム35の先端に冷却ガス吐出ノズル3が取り付けられている。そして、制御ユニット8からの動作指令に応じて第1の回動モータ31が駆動されることで、第1のアーム35を第1の回動軸33回りに揺動させることができる。
【0025】
図3は図1の基板処理装置に装備された冷却ガス吐出ノズルの動作を示す図である。ここで、同図(a)は側面図、同図(b)は平面図である。第1の回動モータ31を駆動して第1のアーム35を揺動させると、冷却ガス吐出ノズル3は基板表面Wfに対向しながら同図(b)の移動軌跡T3、つまり基板Wの回転中心位置P31から基板Wの端縁位置P32に向かう軌跡T3に沿って移動する。ここで、基板Wの回転中心位置P31は基板表面Wfの上方で、かつ基板Wの回転中心A0上に設定されている。また、冷却ガス吐出ノズル3は基板Wの側方に退避した待機位置P33に移動可能となっている。
【0026】
冷却ガス吐出ノズル3は冷却ガス供給部63(図2)と接続されており、制御ユニット8からの動作指令に応じて冷却ガス供給部63から液膜を凍結させるための冷却ガスを冷却ガス吐出ノズル3に供給する。そして、制御ユニット8からの動作指令に応じて冷却ガス吐出ノズル3が基板表面Wfに近接して対向配置されるとともに冷却ガス吐出ノズル3から冷却ガスが吐出されると、基板表面Wfに向けて冷却ガスが局部的に供給される。したがって、冷却ガス吐出ノズル3から冷却ガスを吐出させた状態で、制御ユニット8が基板Wを回転させながら該冷却ガス吐出ノズル3を移動軌跡T3に沿って移動させることで、冷却ガスを基板表面Wfの全面にわたって供給することができる。これにより、後述するように基板表面Wfに液膜11が形成されていると、該液膜11の全体を凍結させて基板表面Wfの全面に凍結膜13を形成可能となっている。このように、この実施形態では、冷却ガス吐出ノズル3、第1の回動モータ31、第1の回動軸33、第1のアーム35および冷却ガス供給部63が本発明の「凍結膜形成手段」として機能する。
【0027】
冷却ガスとしては、基板表面Wfに形成された液膜11を構成する液体の凝固点より低い温度に調整されたガス、例えば窒素ガス、酸素ガスおよび清浄なエア等を用いることができる。この実施形態では、後述するように基板表面Wfに形成する液膜11はDIW(deionized Water)で構成されることから、冷却ガスの温度をDIWの凝固点(氷点)よりも低い温度に調整することができる。また、このように冷却ガスを用いた場合には次の作用効果を得ることができる。すなわち、冷媒としてガスを用いる場合、基板表面Wfへのガス供給前にフィルタ等を介挿することで冷却ガスに含まれる汚染物質を容易に、高効率で除去することができる。そして、こうして清浄化された冷却ガスを用いることで液膜11への汚染物質の混入を確実に防止することができる。
【0028】
また、スピンチャック2の外方には、本発明の「駆動手段」として機能する第2の回動モータ41が設けられている。第2の回動モータ41には、第2の回動軸43が接続され、第2の回動軸43には、第2のアーム45が連結されている。また、第2のアーム45の先端に加熱ガス吐出ノズル4が取り付けられている。そして、制御ユニット8からの動作指令に応じて第2の回動モータ41が駆動されることで、加熱ガス吐出ノズル4を第2の回動軸43回りに揺動させることができる。
【0029】
図4は図1の基板処理装置に装備された加熱ガス吐出ノズルの動作を示す図である。ここで、同図(a)は側面図、同図(b)は平面図である。第2の回動モータ41を駆動して第2のアーム45を揺動させると、加熱ガス吐出ノズル4は基板表面Wfに対向しながら同図(b)の移動軌跡T4、つまり基板Wの回転中心位置P41から基板Wの端縁位置P42に向かう軌跡T4に沿って移動する。ここで、基板Wの回転中心位置P41は基板表面Wfの上方で、かつ基板Wの回転中心A0上に設定されている。また、加熱ガス吐出ノズル4は基板Wの側方に退避した待機位置P43に移動可能となっている。このように、この実施形態では、第2の回動モータ41が加熱ガス吐出ノズル4を基板表面Wfに沿って基板Wに対して相対移動させる「相対移動機構」として機能する。
【0030】
加熱ガス吐出ノズル4は加熱ガス供給部64(図2)と接続されており、制御ユニット8からの動作指令に応じて加熱ガス供給部64から凍結膜を融解させるための加熱ガスを加熱ガス吐出ノズル4に供給する。そして、制御ユニット8からの動作指令に応じて加熱ガス吐出ノズル4が基板表面Wfに近接して対向配置されるとともに加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスが吐出されると、基板表面Wfに向けて加熱ガスが局部的に供給される。したがって、加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスを吐出させた状態で、制御ユニット8が基板Wを回転させながら該加熱ガス吐出ノズル4を移動軌跡T4に沿って移動させることで、加熱ガスを基板表面Wfの全面にわたって供給することができる。これにより、後述するように基板表面Wfに形成された凍結膜13の全体を融解させることが可能となっている。
【0031】
加熱ガスとしては、液膜11を構成する液体の凝固点より高い温度に調整されたガス、例えば窒素ガス、酸素ガスおよび清浄なエア等を用いることができる。この実施形態では、後述するように液膜11はDIWで構成されることから、加熱ガスの温度をDIWの凝固点(氷点)よりも高い温度に調整することができる。また、このように加熱ガスを用いた場合には、冷却ガスと同様の作用効果を得ることができる。すなわち、液膜11の凍結により形成された凍結膜を融解させるための熱源としてガスを用いる場合、基板表面Wfへのガス供給前にフィルタ等を介挿することで加熱ガスに含まれる汚染物質を容易に、高効率で除去することができる。そして、こうして清浄化された加熱ガスを用いることで融解処理において基板Wに汚染物質が付着するのを確実に防止することができる。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。スピンチャック2の回転支軸21は中空軸からなる。回転支軸21の内部には、基板Wの裏面Wbに処理液を供給するための処理液供給管25が挿通されている。処理液供給管25は、スピンチャック2に保持された基板Wの下面(裏面Wb)に近接する位置まで延びており、その先端には基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する処理液ノズル27が設けられている。処理液供給管25は処理液供給部61(図2)と接続されており、処理液供給部61から処理液として薬液またはDIW等のリンス液が選択的に供給される。
【0033】
回転支軸21の内壁面と処理液供給管25の外壁面の隙間は、円筒状のガス供給路29を形成している。このガス供給路29は乾燥ガス供給部65(図2)と接続されており、スピンベース23と基板裏面Wbとの間に形成される空間に乾燥ガスとして窒素ガスを供給することができる。なお、この実施形態では、乾燥ガス供給部65から乾燥ガスとして窒素ガスを供給しているが、空気や他の不活性ガスなどを吐出してもよい。
【0034】
また、スピンチャック2の上方には、中心部に開口を有する円盤状の遮断部材9が設けられている。遮断部材9は、その下面(底面)が基板表面Wfと略平行に対向する基板対向面となっており、その平面サイズは基板Wの直径と同等以上の大きさに形成されている。遮断部材9は略円筒形状を有する支持軸91の下端部に略水平に取り付けられ、支持軸91は水平方向に延びるアーム92により基板Wの中心を通る鉛直軸回りに回転可能に保持されている。また、アーム92には、遮断部材回転機構93と遮断部材昇降機構94が接続されている。
【0035】
遮断部材回転機構93は、制御ユニット8からの動作指令に応じて支持軸91を基板Wの中心を通る鉛直軸回りに回転させる。また、遮断部材回転機構93は、スピンチャック2に保持された基板Wの回転に応じて基板Wと同じ回転方向でかつ略同じ回転速度で遮断部材9を回転させるように構成されている。また、遮断部材昇降機構94は、制御ユニット8からの動作指令に応じて、遮断部材9をスピンベース23に近接して対向させたり、逆に離間させることが可能となっている。具体的には、制御ユニット8は遮断部材昇降機構94を作動させることで、基板処理装置に対して基板Wを搬入出させる際には、スピンチャック2の上方の離間位置(図1に示す位置)に遮断部材9を上昇させる。その一方で、基板Wに対して所定の処理を施す際には、スピンチャック2に保持された基板Wの表面Wfのごく近傍に設定された対向位置まで遮断部材9を下降させる。
【0036】
支持軸91は中空に仕上げられ、その内部に遮断部材9の開口に連通したガス供給路95が挿通されている。ガス供給路95は、乾燥ガス供給部65と接続されており、乾燥ガス供給部65から窒素ガスが供給される。この実施形態では、基板Wに対する洗浄処理後の乾燥処理時に、ガス供給路95から遮断部材9と基板表面Wfとの間に形成される空間に窒素ガスを供給する。また、ガス供給路95の内部には、遮断部材9の開口に連通した液供給管96が挿通されており、液供給管96の下端にノズル97が結合されている。液供給管96は処理液供給部61に接続されており、処理液供給部61から処理液(薬液またはリンス液)が供給されることで、ノズル97から処理液を基板表面Wfに向けて吐出可能となっている。
【0037】
次に、上記のように構成された基板処理装置における洗浄処理動作について図5および図6を参照しつつ説明する。図5は図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。また、図6は図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。この装置では、未処理の基板Wが処理チャンバー1内に搬入されると、制御ユニット8が装置各部を制御して基板Wの表面Wfに対して一連の洗浄処理(液膜形成+液膜凍結+凍結膜融解+液膜除去)を実行する。ここで、基板表面Wfに微細パターンが形成されることがある。つまり、基板表面Wfがパターン形成面になっている。そこで、この実施形態では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wが処理チャンバー1内に搬入され、スピンチャック2に保持される(ステップS1)。なお、遮断部材9は離間位置にあり、基板Wとの干渉を防止している。
【0038】
スピンチャック2に未処理の基板Wが保持されると、遮断部材9が対向位置まで降下され、基板表面Wfに近接配置される。これにより、基板表面Wfが遮断部材9の基板対向面に近接した状態で覆われ、基板Wの周辺雰囲気から遮断される。そして、制御ユニット8はチャック回転機構22を駆動させてスピンチャック2を回転させるとともに、ノズル97からDIWを基板表面Wfに供給する。そして、基板Wを所定の回転速度で回転させることで基板表面に供給されたDIWを基板Wの径方向外向きに均一に広げるとともに、その一部を基板外に振り切る。これによって、基板表面Wfの全面にわたって液膜の厚みを均一にコントロールして、基板表面Wfの全体に所定の厚みを有する液膜(水膜)11が形成される(ステップS2)。なお、液膜形成に際して、上記のように基板表面Wfに供給されたDIWの一部を振り切ることは必須の要件ではない。例えば、基板Wの回転を停止させた状態あるいは基板Wを比較的低速で回転させた状態で基板WからDIWを振り切ることなく基板表面Wfに液膜を形成してもよい。
【0039】
液膜形成処理が終了すると、制御ユニット8は遮断部材9を離間位置に配置させるとともに、冷却ガス吐出ノズル3を待機位置P33から冷却ガス供給開始位置、つまり基板Wの回転中心位置P31に移動させる。続いて、回転駆動されている基板Wの表面Wfに向けて冷却ガス吐出ノズル3から冷却ガスを吐出させる。これにより、基板表面Wfに形成された液膜11が局部的に凍結する。そして、冷却ガスを吐出させながら冷却ガス吐出ノズル3を徐々に基板Wの端縁位置P32に向けて移動させていく。これにより、図3に示すように基板表面Wfの表面領域のうち液膜11が凍結した領域(凍結領域)が基板表面Wfの中央部から周縁部へと広げられる。その結果、基板表面Wfの全面に凍結膜(氷膜)13が形成される(ステップS3;凍結膜形成工程)。なお、冷却ガス吐出ノズル3を移動させながら基板Wを回転させることによって、液膜の厚み分布に偏りが生じるのを抑制しつつ、基板表面Wfの全面に凍結膜13を形成することができる。しかしながら、基板Wを高速回転させた場合、基板Wの回転によって生じる気流により、冷却ガス吐出ノズル3から吐出される冷却ガスが拡散してしまい、凍結処理の処理効率が悪くなる。このため、凍結膜形成工程時の基板Wの回転速度は、例えば1〜300rpmに設定される。また、冷却ガス吐出ノズル3の移動速度、吐出ガスの温度および流量、液膜の厚みも考慮して基板Wの回転速度は設定される。
【0040】
液膜の凍結処理(凍結膜形成工程)が終了すると、制御ユニット8は冷却ガス吐出ノズル3を待機位置P33に移動させる。続いて、加熱ガス吐出ノズル4を待機位置P43から加熱ガス供給開始位置、つまり基板Wの回転中心位置P41に移動させる。続いて、回転駆動されている基板Wの表面Wfに向けて加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスを吐出させる。そして、加熱ガスを吐出させながら加熱ガス吐出ノズル4を徐々に基板Wの端縁位置P42に向けて移動させていく。これにより、図4に示すように基板表面Wfの表面領域のうち凍結膜13が融解した領域(融解領域)が基板表面Wfの中央部から周縁部へと広げられ、基板表面Wfに形成された凍結膜13の全体が融解する(ステップS4;融解工程)。なお、融解処理時における基板Wの回転速度は、融解された後の液膜11が基板Wの回転に伴う遠心力によって基板表面Wfから振り切られない程度に設定される。こうして、凍結膜13が融解されると制御ユニット8は加熱ガス吐出ノズル4を待機位置P43に移動させる。このように、この実施形態では、凍結膜13に向けて液体を吐出することなく凍結膜13を融解している。このため、基板表面Wfに向けて吐出された液体による流れ(液流)が基板表面上に発生することがない。したがって、凍結膜13を融解する際に未融解の凍結膜13の塊が生じることがあっても、その塊が液流の流れ方向に移動することがない。その結果、基板表面Wfに形成されたパターンに凍結膜13の塊が衝突することに起因してパターンが損傷するのを防止することができる。
【0041】
上記したように凍結膜形成工程と融解工程とが実行されると、基板表面Wfに付着しているパーティクルが微小距離だけ基板表面Wfから離れる。具体的には、凍結膜形成工程の実行により液膜11が凍結して体積膨張が生じる一方、融解工程の実行により凍結膜13が融解して体積収縮が生じる。その結果、液膜11が凍結する際に生じる体積膨張および凍結膜13が融解する際に生じる体積収縮の各作用によって、基板表面Wfに付着するパーティクルに対して微弱な外力が加えられる。これにより、基板表面Wfとパーティクルとの間の付着力を低下させ、さらにはパーティクルが基板表面Wfから脱離する。
【0042】
続いて、制御ユニット8は所定回数だけ凍結膜形成工程と融解工程とが繰り返し実行されたか否かを判断する(ステップS5)。すなわち、被処理面である基板表面Wfの表面状態あるいは除去対象であるパーティクルの粒径、種類等によっては、一回限りの凍結膜形成工程と融解工程の実行では基板表面Wfとパーティクルとの間の付着力を十分に低下させることができない場合がある。つまり、後述するリンス処理によってパーティクルを基板表面Wfから除去することができない場合がある。そこで、基板表面Wfとパーティクルとの間の付着力を十分に低下させるために、凍結膜形成工程と融解工程とが繰り返し実行される。このような凍結膜形成工程および融解工程の繰り返し実行回数は、洗浄処理対象に応じて基板Wの処理内容を規定する処理レシピ等で予め規定される。このため、制御ユニット8は、処理レシピ等で規定された繰り返し実行回数だけ凍結膜形成工程と融解工程とを実行する。
【0043】
そして、制御ユニット8は凍結膜形成工程および融解工程の実行回数が規定された回数に達していないと判断すると(ステップS5でNO)、規定された回数に達するまで凍結膜形成工程と融解工程とを繰り返し実行する。すなわち、融解工程後には融解された後の液膜11が残留付着している。このため、融解工程後に凍結膜形成工程を実行すると融解された後の液膜11が凍結して凍結膜13が形成される。続いて、融解工程を実行すると凍結膜13が融解する。こうして、液膜11の凍結(凍結膜13の形成)と凍結膜13の融解とが所定回数だけ繰り返し実行される。これにより、液膜11が凍結した際に生じる液膜11の体積膨張と凍結膜13が融解した際に生じる体積収縮とが繰り返され、基板表面Wfに付着するパーティクルに微弱な外力を複数回にわたって加えることができる。その結果、基板表面Wfとパーティクルとの間の付着力を十分に低下させ、さらには基板表面Wfからパーティクルを脱離させることができる。
【0044】
また、この実施形態では、加熱ガスを基板Wの上方位置から基板表面Wfに向けて吐出させていることから、凍結膜13はその表面(露出面)を含む最上層に位置する部位(以下「最上層部位」という)から基板表面Wfに隣接し最下層に位置する部位(以下「最下層部位」という)に向けて融解していく(図6(c))。つまり、最上層部位から融解しはじめて最下層部位が最後に融解することになる。このため、最下層部位は最上層部位を含む他の部位に対して凍結された状態を維持し易くなっており、最下層部位が融解された状態のまま放置されるのを防止できる。その結果、最下層部位が融解された後に、基板表面Wfから脱離し最下層部位に位置するパーティクルが基板表面Wfに再付着するのを抑制することができる。
【0045】
こうして、所定回数だけ凍結膜形成工程と融解工程とが繰り返し実行されると(ステップS5でYES)、続いてリンス処理を実行する(ステップS6)。すなわち、遮断部材9を対向位置に配置させるとともに、ノズル97および処理液ノズル27からリンス液としてDIWをそれぞれ、回転駆動されている基板Wの表裏面Wf,Wbに供給する。これにより、融解された後の液膜11が基板表面Wfに供給されたDIWによって押し流され、パーティクルが基板表面Wfから除去される(液膜除去工程)。つまり、パーティクルは基板表面Wfに対する付着力が低下した状態あるいは基板表面Wfから脱離した状態で、融解された後の液膜11中に含まれている。このため、基板表面に供給されたリンス液の流動によりパーティクルを基板表面Wfから容易に除去することができる(図6(d))。このように、この実施形態では、ノズル97が本発明の「リンス液供給手段」として機能する。なお、この液膜除去工程では、基板Wの回転とともに遮断部材9を回転させるのが好ましい。これにより、遮断部材9に付着する液体成分が振り切られるとともに、遮断部材9と基板表面Wfとの間に形成される空間に基板周辺からミスト状の処理液が侵入するのを防止することができる。
【0046】
基板Wに対する一連の洗浄処理が完了すると、制御ユニット8はチャック回転機構22および遮断部材回転機構93のモータの回転速度を高めて基板Wおよび遮断部材9を高速回転させる。これにより、基板Wの乾燥処理(スピンドライ)が実行される(ステップS7)。さらに、この乾燥処理においては、ガス供給路95,29から窒素ガスを供給することで、遮断部材9と基板表面Wfとの間に挟まれた空間およびスピンベース23と基板裏面Wbとの間に挟まれた空間が窒素ガス雰囲気とされる。これにより、基板Wの乾燥が促進され、乾燥時間を短縮することができる。乾燥処理後は基板Wの回転が停止され、処理チャンバー1から処理済の基板Wが搬出される(ステップS8)。
【0047】
以上のように、この実施形態によれば、液膜11を構成する液体の凝固点よりも高い温度に調整された加熱ガスを加熱ガス吐出ノズル4から基板表面Wfに形成された凍結膜13に向けて局部的に吐出している。そして、加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスを吐出させながら該加熱ガス吐出ノズル4を基板Wに対して基板表面Wfに沿って移動させることで凍結膜13の全体を融解している。このように、凍結膜13に向けて液体を供給することなく凍結膜13を融解しているので、基板表面Wfに供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊(固体)が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜11(液体)を基板表面Wfからリンス液を用いて除去することにより、基板表面Wfに形成されたパターンへのダメージを防止しながらパーティクルを基板表面Wfから容易に除去することができる。しかも、凍結膜13に加熱ガスを直接に供給して該凍結膜13を融解していることから、スピンチャック2などの基板保持手段を昇温させる必要がない。このため、基板保持手段に熱履歴が発生するのを抑制して、良好な熱エネルギー効率で基板表面Wfに対して洗浄処理を施すことができる。
【0048】
また、この実施形態によれば、加熱ガス吐出ノズル4から加熱ガスを吐出させながら回転駆動されている基板Wの表面Wfに加熱ガス吐出ノズル4を対向させながら駆動して基板Wの回転中心位置P41と基板Wの端縁位置P42との間で移動させることで凍結膜13の全体を融解している。このため、加熱ガスの供給部位を基板表面上の微小領域に限定しながらも、基板表面Wfに形成された凍結膜13の全体に加熱ガスを速やかに供給することができる。したがって、加熱ガスの供給量を抑制しながら、スループットを向上させることができる。
【0049】
また、この実施形態によれば、凍結膜形成工程と融解工程とを所定回数だけ繰り返し実行した後に、液膜除去工程を実行している。このため、液膜11が凍結した際に生じる液膜11の体積膨張と凍結膜13が融解した際に生じる体積収縮とが繰り返され、基板表面Wfに付着するパーティクルに対して微弱な外力を繰り返し加えることができる。しかも、基板表面Wfに液体を供給することなく、このような外力をパーティクルに対して繰り返し作用させることが可能となっている。このため、パターンへのダメージを抑制しながら高い除去効率で基板表面Wfからパーティクルを除去することができる。さらに、凍結膜形成工程と融解工程とを所定回数だけ繰り返し実行する際に薬液等の液体を基板Wに供給する必要がないことからランニングコストを低減することができる。
【0050】
<第2実施形態>
図7は、この発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の動作を示す図である。この第2実施形態にかかる基板処理装置が第1実施形態と大きく相違する点は、融解工程において加熱ガスを基板Wに供給することなく基板表面Wfに形成された凍結膜13を融解している点である。したがって、加熱ガスを基板Wに供給するための構成を不要としている点を除いて、装置の構成および図5に示す処理手順は基本的に第1実施形態と同様である。
【0051】
この第2実施形態では、未処理の基板Wが装置内に搬入されると(ステップS1)、第1実施形態と同様にして液膜形成処理および液膜の凍結処理が実行される。すなわち、回転駆動されている基板Wの表面Wfにノズル97からDIWが供給される。そして、図7(a)に示すように、DIWの供給を停止した状態で基板Wを回転速度V1(本発明の「第1回転速度」に相当)で回転させる。これにより、ノズル97から基板表面Wfに供給されたDIWの一部が振り切られ所定の厚みにコントロールされた液膜11が基板表面Wfに形成される(ステップS2)。このように、この実施形態では、ノズル97が本発明の「液体供給手段」として機能する。
【0052】
液膜形成処理が終了すると、基板Wを回転速度V1よりも低速の回転速度V2で回転させる。そして、第1実施形態と同様にして冷却ガス吐出ノズル3から冷却ガスを吐出させながら冷却ガス吐出ノズル3を徐々に基板Wの回転中心位置P31から基板Wの端縁位置P32に向けて移動させていく(図7(b))。これにより、基板表面Wfの表面領域のうち液膜11が凍結した領域(凍結領域)が基板表面Wfの中央部から周縁部へと広げられ、基板表面Wfの全面に凍結膜(氷膜)13が形成される(ステップS3;凍結膜形成工程)。
【0053】
こうして液膜の凍結処理(凍結膜形成工程)が終了すると、基板Wを回転速度V1よりも低速で、かつ回転速度V2よりも高速の回転速度V3(本発明の「第2回転速度」に相当)で回転させる(図7(c))。これにより、基板表面上に基板Wの回転に伴う気流が発生する。ここで、凍結膜13の周囲雰囲気、つまり処理チャンバー1内の雰囲気温度は液膜11を構成する液体(DIW)の凝固点(氷点)より高い温度に保たれている。このため、基板Wの回転に伴う気流の発生により、凍結膜13から該凍結膜13の周囲雰囲気への冷熱の拡散が促進される。その結果、凍結膜13を速やかに融解させることができる(ステップS4;融解工程)。このように、この実施形態では、凍結膜13を融解するために加熱手段を新たに設ける必要がないので、装置構成を簡素化するとともに、装置コストの低減を図ることができる。
【0054】
続いて、第1実施形態と同様にして凍結膜形成工程と融解工程とが所定回数だけ繰り返し実行される。これにより、液膜11が凍結した際に生じる液膜11の体積膨張と凍結膜13が融解した際に生じる体積収縮とが繰り返され、基板表面Wfに付着するパーティクルに微弱な外力を複数回にわたって加えることができる。その結果、基板表面Wfとパーティクルとの間の付着力を十分に低下させ、さらには基板表面Wfからパーティクルを脱離させることができる。また、この実施形態では、凍結膜13と周囲雰囲気との間の熱交換を促進させることで凍結膜13を融解していることから、融解された後の液膜11の温度が過度に上昇するのが防止される。したがって、融解工程後、凍結膜形成工程を実行する際に融解された後の液膜11を速やかに凍結させることができる。
【0055】
こうして、所定回数だけ凍結膜形成工程と融解工程とが繰り返し実行されると(ステップS5でYES)、基板Wを回転速度V4で回転させてリンス処理を実行する(ステップS6)。この回転速度V4は少なくとも回転速度V2よりも高速に設定される。ステップS6では、第1実施形態と同様にしてリンス液としてDIWがそれぞれ、回転駆動されている基板Wの表裏面Wf,Wbに供給される。これにより、融解された後の液膜11がリンス液によって洗い流され、該液膜11に含まれるパーティクルが基板表面Wfから除去される(図7(d))。その後、基板Wの乾燥処理が実行された後(ステップS7)、処理済の基板Wが装置外に搬出される(ステップS8)。
【0056】
以上のように、この実施形態によれば、液膜11を構成する液体の凝固点よりも高い温度を有する雰囲気中で基板Wを回転させている。このため、凍結膜13を速やかに融解させることができる。このように、凍結膜13に向けて液体を供給することなく凍結膜13を融解しているので、基板表面Wfに供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊(固体)が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜11を基板表面Wfから除去することにより、基板表面Wfに形成されたパターンへのダメージを防止しながらパーティクルを基板表面Wfから容易に除去することができる。しかも、基板Wの回転により凍結膜13と周囲雰囲気との間の熱交換を促進させることで該凍結膜13を融解していることから、スピンチャック2などの基板保持手段を昇温させる必要がない。このため、基板保持手段に熱履歴が発生するのを抑制して、良好な熱エネルギー効率で基板表面Wfに対して洗浄処理を施すことができる。
【0057】
また、この実施形態によれば、基板Wに供給された液体(DIW)の一部を振り切って液膜11を形成するときの基板Wの回転速度(回転速度V1)よりも低い回転速度(回転速度V3)で基板Wを回転させながら凍結膜13を融解している。このため、基板Wの回転に伴う遠心力の作用によって凍結膜13が融解された後の液膜11が基板表面上で流動するのを抑制することができる。その結果、融解工程中に未融解の凍結膜13の塊が生ずる場合であっても、基板表面上の液膜11の流動を防止してパターンへのダメージを確実に防止することができる。
【0058】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、処理チャンバー1内で基板表面Wfに液体(DIW)を供給して基板表面Wfに液膜11を形成しているが、予め基板表面Wfに液膜11が形成された基板Wを処理チャンバー1に搬入してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、凍結膜13の融解後にリンス液としてDIWを供給して液膜11とともにパーティクルを基板表面Wfから除去しているが、リンス液はDIWに限定されない。例えば、炭酸水、水素水、希薄濃度(例えば1ppm程度)のアンモニア水、希薄濃度の塩酸などをリンス液として用いてもよい。さらに、融解処理後、リンス処理を実行する前にSC1溶液(アンモニア水と過酸化水素水との混合水溶液)等の薬液を用いて薬液処理を実行してもよい。このような薬液を用いることで基板表面Wfからパーティクルを効果的に除去することができる。すなわち、SC1溶液中の固体表面のゼータ電位(界面動電電位)は比較的大きな値を有することから、基板表面Wfと該基板表面Wf上のパーティクルとの間がSC1溶液で満たされることにより、基板表面Wfとパーティクルとの間に大きな反発力が作用する。したがって、基板表面Wfからのパーティクルの脱離をさらに容易にして基板表面Wfからパーティクルを効果的に除去することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、融解処理を受けた基板Wに向けてノズルからリンス液を柱状に吐出して液膜11とともにパーティクルを基板表面Wfから除去しているが、次のようにして該液膜11およびパーティクルを基板表面Wfから除去してもよい。すなわち、気体(例えば窒素ガス)と処理液(例えばDIW)とを混合させることで生成した処理液の液滴を二流体ノズルから基板Wに供給することで、液膜11およびパーティクルを基板表面Wfから除去してもよい。これにより、処理液の液滴が液膜11中のパーティクルに衝突して該パーティクルが物理的に除去される。したがって、基板表面Wfからのパーティクルの除去効率を高めて基板表面Wfを良好に洗浄することができる。
【0061】
また、上記第1実施形態では、回転駆動される基板Wに対して冷却ガス吐出ノズル3と加熱ガス吐出ノズル4とをそれぞれ別個の駆動手段によって独立に駆動させているが、冷却ガス吐出ノズル3と加熱ガス吐出ノズル4とを連結して単一の駆動手段により一体的に移動させてもよい。これにより、駆動機構を簡素化することができる。この場合、冷却ガス吐出ノズル3から吐出される冷却ガスと加熱ガス吐出ノズル4から吐出される加熱ガスとが相互に干渉しないように、冷却ガス吐出ノズル3と加熱ガス吐出ノズル4とは互いに一定距離だけ離間して配置するのが好ましい。
【0062】
また、上記第1実施形態では、基板Wを回転させながら加熱ガス吐出ノズル4を基板Wの回転中心位置P41と基板Wの端縁位置P42との間で移動させることで、加熱ガス吐出ノズル4を基板Wに対して相対移動させているが、加熱ガス吐出ノズルを基板Wに対して相対移動させるための構成はこれに限定されない。例えば図8に示すように、基板Wを回転させることなく加熱ガス吐出ノズルを基板Wに対して相対移動させてもよい(第3実施形態)。
【0063】
図8はこの発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。ここで、同図(a)は側面図、同図(b)は平面図である。この装置では、基板表面Wfを上方に向けた状態で基板Wがスピンチャック等の基板保持手段により略水平姿勢で保持される。また、加熱ガス吐出ノズル40(本発明の「加熱ガス吐出手段」に相当)が基板表面Wfに近接しながら対向配置される。加熱ガス吐出ノズル40は、その先端(下端)にX方向に延びるスリット状の吐出口40aを有している。加熱ガス吐出ノズル40は加熱ガス供給部(図示せず)に接続されており、加熱ガス供給部からの加熱ガスを吐出口40aから帯状に基板表面Wfに向けて局部的に吐出する。吐出口40aはX方向において基板表面Wfの平面サイズ(基板径)と同等以上の長さを有している。
【0064】
また、加熱ガス吐出ノズル40はX方向と直交し、かつ基板表面Wfに平行に延びるY方向に沿って移動自在に配置され、ノズル駆動機構47の駆動により、加熱ガス吐出ノズル40をY方向に沿って往復移動可能としている。この実施形態では、Y方向のうち同図の左手方向(−Y)(以下「移動方向」と称する)に加熱ガス吐出ノズル40を移動させることで凍結膜13の融解処理を実行する。このように、この実施形態では、ノズル駆動機構47が本発明の「相対移動機構」として機能する。
【0065】
加熱ガス吐出ノズル40に対して移動方向の下流側(−Y)には、基板表面Wfに付着させた液膜11を凍結するために冷却ガス吐出ノズル30が基板表面Wfに対向して配置されている。冷却ガス吐出ノズル30は冷却ガス供給部(図示せず)と接続されており、冷却ガス供給部からの冷却ガスを基板表面Wfに向けて吐出する。冷却ガス吐出ノズル30は、その先端(下端)にX方向に延びるスリット状の吐出口30aを有し、X方向に沿って帯状に冷却ガスを基板表面Wfに吐出する。吐出口30aはX方向において基板表面Wfの平面サイズ(基板径)と同等以上の長さを有している。
【0066】
冷却ガス吐出ノズル30は加熱ガス吐出ノズル40と同期して移動方向に移動可能に構成されている。すなわち、冷却ガス吐出ノズル30と加熱ガス吐出ノズル40とはリンク機構(図示せず)によって所定間隔だけ離れて連結されており、ノズル駆動機構47の作動により冷却ガス吐出ノズル30と加熱ガス吐出ノズル40とが一体的に移動方向に移動する。その結果、後述する凍結膜形成処理と融解処理とが所定の離間距離を保ったまま実行されるため、互いの処理の安定化を図ることができる。
【0067】
このように構成された基板処理装置では、ノズル駆動機構47を作動させることで冷却ガス吐出ノズル30と加熱ガス吐出ノズル40とが一定速度で移動方向に移動されていく。また、冷却ガス吐出ノズル30および加熱ガス吐出ノズル40からそれぞれ、冷却ガスおよび加熱ガスを吐出させる。これにより、冷却ガス吐出ノズル30の移動とともに、移動方向の上流側(+Y)から下流側(−Y)にかけて基板表面Wfに付着する液膜11が凍結されていく。その結果、加熱ガス吐出ノズル40に対して移動方向の下流側(−Y)では基板表面Wfに凍結膜13が形成される(凍結膜形成工程)。また、凍結膜13が形成された基板表面Wfに向けてノズル30,40の移動に伴って加熱ガス吐出ノズル40から加熱ガスが吐出され、凍結膜13が融解する。その結果、基板表面Wfの表面領域のうち凍結膜13が融解された領域(融解領域)が移動方向に徐々に拡大し、凍結膜13が全て融解する(融解工程)。
【0068】
このように、この実施形態においても、凍結膜13に向けて液体を供給することなく凍結膜13を融解しているので、基板表面Wfに供給され該基板表面上で流動する液体とともに未融解の凍結膜の塊(固体)が移動するのを防止することができる。したがって、融解された後の液膜11(液体)を基板表面Wfから除去することにより、基板表面Wfに形成されたパターンへのダメージを防止しながらパーティクル等の汚染物質を基板表面Wfから容易に除去することができる。
【0069】
また、上記第3実施形態では、基板Wを静止させた状態で冷却ガス吐出ノズル30および加熱ガス吐出ノズル40を駆動しているが、冷却ガス吐出ノズル30および加熱ガス吐出ノズル40を固定配置した状態で基板Wを搬送させてもよい。例えば液晶表示用ガラス基板などのように角型基板の基板表面Wfに対して凍結膜形成処理と融解処理とを施す場合には、図9に示すように、本発明の「相対移動機構」に相当する複数の搬送ローラ68を搬送方向(+Y)に配置するとともに、冷却ガス吐出ノズル30および加熱ガス吐出ノズル40を固定配置してもよい。また、冷却ガス吐出ノズル30と基板Wの双方を移動させながら凍結膜13を形成してもよいし、加熱ガス吐出ノズル40と基板Wの双方を移動させながら凍結膜13を融解してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
この発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などを含む基板全般の表面に形成された液膜を凍結して凍結膜を形成した後、該凍結膜を融解し基板表面から除去することにより基板表面に対して洗浄処理を施す基板処理装置および基板処理方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明にかかる基板処理装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の基板処理装置の主要な制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1の基板処理装置に装備された冷却ガス吐出ノズルの動作を示す図である。
【図4】図1の基板処理装置に装備された加熱ガス吐出ノズルの動作を示す図である。
【図5】図1の基板処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の基板処理装置の動作を示す模式図である。
【図7】この発明の第2実施形態にかかる基板処理装置の動作を示す図である。
【図8】この発明にかかる基板処理装置の第3実施形態を示す図である。
【図9】この発明にかかる基板処理装置の変形形態を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
2…スピンチャック(基板保持手段)
3,30…冷却ガス吐出ノズル(凍結膜形成手段)
4,40…加熱ガス吐出ノズル(加熱ガス吐出手段)
11…液膜
13…凍結膜
22…チャック回転機構(回転手段)
27…処理液ノズル(裏面側液膜形成手段、膜除去手段)
31…第1の回動モータ(凍結膜形成手段)
33…第1の回動軸(凍結膜形成手段)
35…第1のアーム(凍結膜形成手段)
41…第2の回動モータ(駆動手段)
47…ノズル駆動機構(相対移動機構)
63…冷却ガス供給部(凍結膜形成手段)
97…ノズル(液体供給手段、リンス液供給手段)
P41…(基板の)回転中心位置
P42…(基板の)端縁位置
W…基板
Wf…基板表面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に形成された液膜を凍結して凍結膜を形成した後、該凍結膜を融解し前記基板表面から除去することにより前記基板表面に対して洗浄処理を施す基板処理装置において、
その表面に液膜が形成された基板を保持する基板保持手段と、
前記液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成手段と、
前記液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する加熱ガスを前記凍結膜に向けて局部的に吐出する加熱ガス吐出手段と、
前記加熱ガス吐出手段を前記基板表面に沿って前記基板に対して相対移動させる相対移動機構と
を備え、
前記加熱ガス吐出手段から前記加熱ガスを吐出させながら前記相対移動機構により前記加熱ガス吐出手段を前記基板に対して相対移動させることで前記基板表面に形成された凍結膜の全体を融解することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持手段に保持された前記基板を回転させる回転手段をさらに備え、
前記相対移動機構は、前記回転手段により回転駆動されている前記基板の表面に前記加熱ガス吐出手段を対向させながら駆動して前記基板の回転中心位置と前記基板の端縁位置との間で移動させる駆動手段を有する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板表面に形成された液膜を凍結して凍結膜を形成した後、該凍結膜を融解し前記基板表面から除去することにより前記基板表面に対して洗浄処理を施す基板処理装置において、
その表面に液膜が形成された基板を保持する基板保持手段と、
前記液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板を回転させる回転手段と、
前記液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気中で前記回転手段により前記基板を回転させることで前記基板表面に形成された前記凍結膜を融解することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
前記基板表面に前記液体を供給する液体供給手段をさらに備え、
前記回転手段により前記基板を第1回転速度で回転させることで前記液体供給手段から前記基板表面に供給された液体の一部を振り切って前記基板表面に前記液膜を形成する一方、
前記第1回転速度よりも低い第2回転速度で前記基板を回転させることで前記基板表面に形成された前記凍結膜を融解する請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板表面にリンス液を供給して前記凍結膜が融解された後の液膜を前記基板表面から除去するリンス液供給手段をさらに備える請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板表面に液膜を付着させた状態で該液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成工程と、
前記液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する加熱ガスを加熱ガス吐出手段から前記凍結膜に向けて局部的に吐出させながら前記加熱ガス吐出手段を前記基板表面に沿って前記基板に対して相対移動させて前記基板表面に形成された凍結膜を融解する融解工程と、
融解された後の液膜を前記基板表面から除去する液膜除去工程と
を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
基板表面に液膜を付着させた状態で該液膜を凍結させて凍結膜を形成する凍結膜形成工程と、
前記液膜を構成する液体の凝固点より高い温度を有する雰囲気中で前記基板を回転させて前記基板表面に形成された前記凍結膜を融解する融解工程と、
融解された後の液膜を前記基板表面から除去する液膜除去工程と
を備えたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
前記凍結膜形成工程と前記融解工程とを所定回数だけ繰り返し実行した後に、前記液膜除去工程を実行する請求項6または7記載の基板処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−130951(P2008−130951A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316540(P2006−316540)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】