説明

基板処理装置および基板処理装置の清掃装置

【課題】 回転機構を持たない基板処理装置であっても、基板と接触する部位を清掃することができる基板処理装置の清掃装置を提供する。
【解決手段】 清掃装置2は、処理されるウエハWと同じ外形のベース400と、ベース400の下面の周縁部に下向きに植設された清掃具であるブラシ402と、ブラシ402を動かす駆動源の振動発生装置404とからなり、ハンド11上で清掃装置2の振動発生装置404が振動してブラシ402が振動し、ハンド11のウエハ支持部材81の支持面86aを清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板に対して、薬液の塗布、現像、洗浄等の各種処理を施す基板処理装置と、それら基板処理装置を清掃する清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウエハに対してフォトレジストの塗布や現像、洗浄、エッチング、剥離、加熱、冷却、露光、アライメント等のさまざまな処理を施す種々の基板処理装置が用いられる。
【0003】
このような基板処理装置において、基板に対して塵埃を付着させないことがきわめて大切であり、そのためには基板処理装置そのものを清浄に保つことが要求される。なかでも、それら基板処理装置の内部において基板を搬送する基板搬送装置のハンドのように基板に直接接触する部分は特に清浄にしておく必要がある。
例えば特許文献1においては、基板の外周端部にスポンジやゴムからなる洗浄用部材を取り付けた洗浄用基板の中央部を真空吸着式のチャックで吸着固定して回転させ、その回転している洗浄用基板の洗浄用部材に基板搬送装置のハンドを押し当ててそのハンドを清掃する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、基板を回転させる回転機構を備えた装置にしか適用できず、またその回転機構も基板の中央部を吸着固定するものでなければ使用することができなかった。
【0006】
この発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、回転機構を持たない基板処理装置あるいは中央部を吸着する方式以外の回転機構を持つ基板処理装置であっても、基板と接触する部位を清掃することができる基板処理装置および基板処理装置の清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、基板処理装置の被処理基板と同じ外形に形成した清掃具基板と、前記清掃具基板に設けられて前記基板処理装置と接触して清掃する清掃具と、前記清掃具基板に取り付けられてその清掃具基板を動かす駆動源と、を備えたことを特徴とする基板処理装置の清掃装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の基板処理装置の清掃装置において、前記駆動源は、前記清掃具基板に対して振動および/または回転運動を付与するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の基板処理装置の清掃装置において、前記駆動源は、前記清掃具基板に対して少なくとも回転運動を付与するものであり、前記駆動源には、当該駆動源を前記基板処理装置に対して非回転状態に固定する固定機構を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置において、前記清掃具は、ブラシ、スポンジ、布のいずれかを含むことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置において、前記清掃具に洗浄用の液体を供給する洗浄液供給手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置において、前記駆動源を駆動制御する駆動制御部をさらに備え、前記駆動制御部には遠隔操作のための無線受信機を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、被処理基板を内部に保持して収容する収容機構と、前記被処理基板を保持して所定の処理を施す処理手段と、前記収容機構から前記被処理基板を搬出して保持し、前記処理手段へ搬送する搬送機構と、請求項1乃至6のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置と、を備え、前記清掃装置により前記収容機構、前記処理手段、前記搬送機構のすくなくとも一つを清掃することを特徴とする基板処理装置である。
【0014】
請求項8に係る発明は、被処理基板を内部に保持して収容する収容機構と、前記被処理基板を保持して所定の処理を施す処理手段と、前記収容機構から前記被処理基板を搬出して保持し、前記処理手段へ搬送する搬送機構と、請求項6に記載の基板処理装置の清掃装置と、前記無線受信機に遠隔操作のための無線信号を送信する無線送信機と、を備え、前記清掃装置により前記収容機構、前記処理手段、前記搬送機構のすくなくとも一つを清掃することを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7または8に記載の基板処理装置であって、前記清掃装置は、前記収容機構に収容されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至6に係る発明によれば、回転機構を持たない基板処理装置あるいは中央部を吸着する方式以外の回転機構を持つ基板処理装置であっても、基板と接触する部位を清掃することができる基板処理装置の清掃装置が提供できる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、清掃具基板に付与される振動および/または回転運動により基板処理装置を清掃できる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、駆動源を基板処理装置に非回転状態で固定して、清掃具基板に付与される回転運動を有効に被清掃部位に作用させて清掃できる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、清掃用の液体を用いて基板処理装置を清掃できる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、清掃装置を遠隔操作して必要な部分を適切に清掃するよう動作させることができる。
【0021】
請求項7または9に係る発明によれば、収容機構、処理手段、搬送機構における基板と接触する部位を清掃することができる基板処理装置を提供できる。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、清掃装置を遠隔操作して必要な部分を適切に清掃するよう動作させることができる。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、収容機構に収容されている清掃装置を用いて適時、容易に基板処理装置を清掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態が適用された基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。
【図2】清掃時の基板処理装置1を示す模式的な側断面図である。
【図3】インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRとの間でのウエハWの受け渡しの様子を示す拡大平面図である。
【図4】受け渡し部300の位置決めピン71の近傍の構成を示す断面図である。
【図5】図4の矢印R1方向に見た側面図である。
【図6】インデクサロボットIRのハンド11および主搬送ロボットCRのハンド21の構成をそれぞれ示す拡大平面図である。
【図7】ウエハ支持部材の構成を示す斜視図である。
【図8】スピンチャック105の構成を説明するための平面図である。
【図9】支持部材120および挟持部材130の構成を説明するための側面図である。
【図10】スピンチャック105にウエハWが保持される際の様子を図解的に示す図である。
【図11】図11は、基板処理装置1に適用される清掃装置2を模式的に示す図である。
【図12】本発明の他の実施形態である清掃装置2aの斜視図および矢印B方向に見た側面図である。
【図13】他の実施形態の動作を説明する平面図である。
【図14】ブラシの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実施形態が適用された基板処理装置1のレイアウトを示す模式的な平面図、図2は清掃時の基板処理装置1を示す側断面図である。
【0026】
<<基板処理装置1の全体構成>>
【0027】
この基板処理装置1は、被処理基板の一例としての直径300mmの半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wに対して、洗浄処理やエッチング処理等の各種の処理を施すための装置である。この基板処理装置1は、基板処理ユニット100と、この基板処理ユニット100に結合されたインデクサユニット200とを備えている。基板処理ユニット100は、複数個(この実施形態では4個)の処理部101,102,103,104と、これらの処理部101〜104に取り囲まれるように中央に配置された主搬送ロボットCRとを備えている。処理部101,102,103,104のそれぞれは、上下に積層配置された3つの処理室PCを備えており、各々全ての処理室PCはスピンチャック(後述する)やノズル(図示せず)等を備え、ウエハWを水平姿勢で回転可能に保持した状態で所定の処理液を供給して洗浄処理やエッチング処理を施すことが可能になっている。主搬送ロボットCRには昇降駆動機構Eが付設され、インデクサユニット200との間でウエハWの受け渡しを行うことができるとともに、処理部101〜104の各処理室PCに対してウエハWの搬入/搬出を行うことができる。
<<基板処理装置1のインデクサユニット200の構成>>
【0028】
インデクサユニット200は、直方体形状の有蓋容器であるポッドPに収容された状態でウエハWが置かれる3台のロードポートを有するウエハステーション201と、ウエハステーション201に置かれたポッドPに対してウエハWを搬入/搬出することができ、かつ、主搬送ロボットCRとの間でウエハWの受け渡しを行うことができるインデクサロボットIRとを備えている。ウエハステーション201には、複数個(この実施形態では3個)のポッドPをX方向に沿って載置することができるようになっている。それぞれのポッドP内には、カセットCが収容されている。カセットCには、複数枚のウエハWを上下方向に互いに隙間を保って積層して収容保持するための棚Tが上下方向に複数形成されている。ポッドPにおいて、インデクサロボットIRに対向することになる前面には、着脱自在な蓋が設けられており、図示しない脱着機構によって、当該蓋の自動着脱が行われるようになっている。
【0029】
インデクサロボットIRは、ウエハステーション201に置かれたポッドPの配置方向、すなわちX方向に沿って、走行することができる。これによって、インデクサロボットIRは、任意のポッドPの前方に移動することができるとともに、主搬送ロボットCRとの間でウエハWを受け渡すための受け渡し部300の前へと移動することができる。
【0030】
<<インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRの構成と動作>>
【0031】
図3は、インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRとの間でのウエハWの受け渡しの様子を示す拡大平面図である。主搬送ロボットCRは、ウエハWを保持するための一対のハンド21,22と、これらの一対のハンド21,22を、基台部40に対して互いに独立に進退させるための進退駆動機構31,32と、基台部40を鉛直軸線(図3の紙面に垂直な軸線)回りに回転駆動するための回転駆動機構(図示せず)と、基台部40を鉛直方向に昇降させるための昇降駆動機構Eとを備えている。進退駆動機構31,32は、多関節アーム型のものであり、ハンド21,22の姿勢を保持しつつ、それらを水平方向に進退させる。一方のハンド21は、他方のハンド22よりも上方において進退するようになっており、ハンド21,22の両方が基台部40の上方に退避させられた初期状態では、これらのハンド21,22は上下に重なり合う。
一方、インデクサロボットIRは、ウエハWを保持するための一対のハンド11,12と、これらの一対のハンド11,12を基台部60に対して互いに独立に進退させるための進退駆動機構51,52と、基台部60を鉛直軸線回りに回転させるための回転駆動機構(図示せず)と、基台部60を昇降させるための昇降駆動機構(図示せず)と、インデクサロボットIR全体をX方向(図1参照)に沿って水平移動させるための水平駆動機構(図示せず)とを備えている。進退駆動機構51,52は、多関節アーム型の駆動機構であって、ハンド11,12を、それらの姿勢を保持した状態で、水平方向に沿って進退させる。一方のハンド11は、他方のハンド12の上方に位置していて、ハンド11,12が基台部60の上方に退避した初期状態では、ハンド11,12は上下に重なり合っている。
インデクサロボットIRのハンド11,12および主搬送ロボットCRのハンド21,22は、いずれもフォーク形状に形成されている。インデクサロボットのハンド11,12はほぼ同形状であり、また、主搬送ロボットCRのハンド21,22はほぼ同形状である。インデクサロボットIRのハンド11,12と主搬送ロボットCRのハンド21,22とは、それらが受け渡し部300上に伸長されたとき、図3に示すように平面視において重ならない形状を有していて、ハンド11,21間またはハンド12,22間で、ウエハWを直接受け渡すことができる。すなわち、受け渡し部300において、インデクサロボットIRのハンド11は、主搬送ロボットCRのハンド21からウエハWを直接受け取ることができる。同様に、インデクサロボットIRのハンド12は、受け渡し部300において、主搬送ロボットCRのハンド22に、ウエハWを直接受け渡すことができる。
【0032】
主搬送ロボットCRのハンド21からインデクサロボットIRのハンド11へのウエハWの受け渡しは、ハンド21に保持されたウエハWを、インデクサロボットIRのハンド11によって下からすくい上げることによって達成される。このとき、基台部60の上昇により、ハンド11がハンド21のやや下方からその上方へと移動する。このとき、ハンド11,21間で干渉が生じることはない。一方、インデクサロボットIRのハンド12から、主搬送ロボットCRのハンド22へとウエハWを受け渡すときには、ハンド12が受け渡し部300へと前進して基板を保持した状態で待機し、主搬送ロボットCRのハンド22が受け渡し部300に前進して、ハンド12上のウエハWをすくい取ることになる。このとき、基台部40の上昇によって、ハンド22は、ハンド12のやや下方からその上方へと上昇して、その過程で、ハンド12からウエハWを受け取る。この際、ハンド12,22の干渉が生じることはない。
インデクサロボットおよび主搬送ロボットCRにおいて、上方側に位置するハンド11,21は、処理部101〜104での処理済のウエハWを保持するために用いられる。これに対して、インデクサロボットIRおよび主搬送ロボットCRにおいて下方側に位置することになるハンド12,22は、ポッドPから取り出された未処理のウエハWを保持するために用いられる。このように、処理済のウエハWと、未処理のウエハWとでハンドを使い分けることにより、未処理のウエハWに付着していたパーティクルが処理済のウエハWへと転移することを防止できる。また、処理済のウエハWを上方側のハンド11,21で保持するようにしているから、未処理のウエハWから落下したパーティクルが処理済のウエハWへと再付着することがない。
【0033】
受け渡し部300には、インデクサロボットIRのハンド11,12と主搬送ロボットCRのハンド21,22との間でウエハWを受け渡す前に、ハンド12,21上の所定位置にウエハWを位置決めするための一対の位置決めピン71,72が鉛直方向に沿って立設されている。位置決めピン71,72は、ウエハWの受け渡し位置WTに対して、主搬送ロボットCR側に配置されている。インデクサロボットIRは、ハンド12から、主搬送ロボットCRのハンド22へと未処理のウエハWを受け渡す時には、その受け渡しに先立ち、ハンド12を受け渡し位置WTから位置決めピン71,72に向かう方向へと前進させ、ハンド12に保持されているウエハWを位置決めピン71,72に当接させる。ハンド12は、位置決めピン71,72に対して予め定められた相対位置まで前進させられる。これにより、ハンド12上の不正な位置にウエハWが位置していれば、このウエハWは位置決めピン71,72に当接し、さらに、ハンド12の移動に伴って、ハンド12上を相対移動して所定位置へと導かれる。その後、インデクサロボットIRは、ハンド12を微小距離だけ後退させる。これによって、ハンド12に保持されたウエハWが、受け渡し位置WTに導かれることになる。その後に、主搬送ロボットCRは、ハンド22を受け渡し部300へと前進させて、ハンド12上の未処理のウエハWをすくい取る。
一方、主搬送ロボットCRは、ハンド21からインデクサロボットIRのハンド11へと処理済のウエハWを受け渡す時には、その受け渡しに先立ち、ハンド21を、ウエハWの周端面が位置決めピン71,72よりもインデクサロボットIR側に位置するのに十分な位置までハンド21を進出させる。ただし、このとき、基台部40の高さは、ハンド21またはウエハWが位置決めピン71,72と干渉することのない高さとされている。その後、基台部40が下降させられ、さらに、ハンド21が基台部40に向かって後退させられる。
もしも、ハンド21上のウエハWが、不正な位置にあれば、ハンド21が後退する過程で、ウエハWは位置決めピン71,72に当接し、ハンド21上を相対移動することになる。その結果、ハンド21上の所定位置にウエハWが導かれる。その後に、主搬送ロボットCRは、ハンド21を微小距離だけ前進させる。これによって、ハンド21に保持されたウエハWが、受け渡し位置WTへと導かれる。その後、インデクサロボットIRは、ハンド11を前進させて、ハンド21上のウエハWをすくい取る。
インデクサロボットIRは、処理済のウエハWをハンド11で保持すると、ハンド11を基台部60の上方の位置に退避させ、さらに、当該ウエハWを収容すべきポッドPの前まで移動する。そして、基台部60が鉛直軸線回りに回転させられて、ハンド11,12が目的のポッドPの前面に対向させられる。その状態で、ハンド11がポッドPに対して進退することにより、ハンド11からポッドP内のカセットCの所定の棚T上にウエハWが収容される。これと相前後して、ハンド12がポッドPに対して進退し、未処理のウエハWを搬出することになる。
未処理のウエハWをハンド12に保持したインデクサロボットIRは、受け渡し部300の前に移動する。そして、基台部60の回転により、ハンド11,12を受け渡し位置WTに対向させる。この状態で、ハンド12から主搬送ロボットCRのハンド22へのウエハWの受け渡しと、ハンド21からハンド11へのウエハWの受け渡しとが相前後して行われる。主搬送ロボットCRは、未処理のウエハWをハンド22に受け取ると、処理部101〜104のうち、処理の終了した処理室PCへとハンド21,22を向けるべく、基台部40を回転させる。そして、処理済のウエハWを当該処理室PCからハンド21によって搬出し、その後に、当該処理室PCにハンド22によって未処理のウエハWを搬入し、スピンチャック(後述する)に載置する。その後は、主搬送ロボットCRは、ハンド21,22を受け渡し部300に対向させて、インデクサロボットIRとの間でのウエハWの受け渡し時期を待機する。
図4は、受け渡し部300の位置決めピン71の近傍の構成を示す断面図であり、図5は図4の矢印R1方向に見た側面図である。受け渡し部300の内部空間と、主搬送ロボットCRが置かれた空間とを区画するために、隔壁45が設けられている。この隔壁45には、ウエハWを出し入れするためのスロット状の開口46が所定位置に形成されている。この開口46に関して、エアシリンダ47によって上下動されるシャッタ板48が設けられている。シャッタ板48は、インデクサロボットIRと主搬送ロボットCRとの間でウエハWの受け渡しを行うときにのみ開口46を開放し、残余の期間には、この開口46を閉塞している。主搬送ロボットCRのハンド21,22は、開口46を介して受け渡し部300の内部空間へと進入する。
隔壁45の受け渡し部300側の表面には、ブラケット55が取り付けられている。このブラケット55には、図5に示すように、一対の支持ピン56,57が立設されている。支持ピン56,57の上端付近には、小径部56a,57aが形成されている。この小径部56a,57aに、取付具58,59が取り付けられていて、この取付具58,59に位置決めピン71,72がそれぞれ立設されている。取付具58,59の支持ピン56,57に対する取り付け角度および取り付け高さを調整することによって、位置決めピン71,72の平面位置および高さを微調整することができる。これらの位置決めピン71,72は、円柱状の棒状体であって、その円筒状側面が、ウエハWの周端面に当接する位置決め当接部をなしている。
図6(A)(B)は、インデクサロボットIRのハンド11および主搬送ロボットCRのハンド21の構成をそれぞれ示す拡大平面図である。インデクサロボットIRのハンド11,12には、その上面の4箇所に、ウエハWの下面の周縁部を支持するとともに、ウエハWの周端面に対向することによって、ハンド11,12上におけるウエハWの相対水平移動を規制するウエハ支持部材81,82,83,84が設けられている。同様に、主搬送ロボットCRのハンド21,22の上面には、ウエハWの下面の周縁部を支持するとともに、ウエハWの周端面に対向することによって、ハンド21,22上におけるウエハWの相対水平移動を規制するウエハ支持部材91,92,93,94が固定されている。
ウエハ支持部材81〜84,91〜94は、たとえば、図7に示される構成を有している。すなわち、ウエハ支持部材81〜84,91〜94は、ハンド11,12,21,22への固定のための円柱状の固定部85と、この固定部85上に連結された本体部86とを有している。本体部86は、ハンド11,12,21,22に固定された状態でほぼ水平面をなす支持面86aと、この支持面86aから斜め上方に立ち上がるテーパ面86bとを有している。支持面86aにより、ウエハWの周縁部の下面が支持され、テーパ面86bによって、ウエハWの水平移動が規制される。
インデクサロボットIRが、ハンド12を前進させて、ウエハWを位置決めピン71,72の側面に当接させてウエハWの位置決めを行うとき、ウエハWの相対移動は、ハンド12の基端部側に配置されたウエハ支持部材82,84のテーパ面86bによって規制される。これにより、ウエハWを、ハンド12上の所定位置に確実に位置決めすることができる。同様に、主搬送ロボットCRがハンド21を位置決めピン71,72に向かって後退させるときに、位置決めピン71,72の側面に当接したウエハWは、ハンド21の先端側に設けられたウエハ支持部材91,93のテーパ面86bにより、その相対水平移動が規制される。これにより、ハンド21上のウエハWを、確実に所定位置に位置決めすることができる。
<<スピンチャック105の構成と主搬送ロボットCRとの搬送>>
【0034】
図8および図9は、処理室PCの内部においてウエハWを回転可能に保持するスピンチャック105を示す。このスピンチャックは特開2004−235234号公報に開示された公知のものである。以下、説明する。図8は、スピンチャック105の構成を説明するための平面図である。スピンチャック105は、円盤状のスピンベース110を備え、このスピンベース110の上面の周縁部には、たとえば、周方向にほぼ等間隔で(スピンチャック105の回転軸線を中心としてほぼ等角度間隔で)、それぞれ3個の支持部材120および挟持部材130が交互に配置されている。
【0035】
支持部材120は、スピンチャック105に対するウエハWの受け渡し時に、ウエハWが載置されて、そのウエハWを下方から支持するものであり、スピンベース110の上面に固定されている。
【0036】
挟持部材130は、ウエハWの処理時に、他の挟持部材130と協働してウエハWを挟持して、支持部材120によるウエハWの支持位置よりも上方の位置でウエハWを保持するものであり、スピンベース110の上面にほぼ直交する軸線まわりに回動自在に取り付けられている。
【0037】
3個の挟持部材130のうちの1個の挟持部材130Aには、レバー140が一体的に設けられている。また、スピンベース110の内部は、中空になっていて、その内部空間には、3個の挟持部材130を連動させるためのリンク機構150が収容されている。リンク機構150には、図示しない付勢手段(たとえば、コイルばね)から付勢力が付与されており、この付勢力によって、挟持部材130は、ウエハWを挟持する方向に弾性的に付勢されている。これにより、レバー140に外力が加えられていない状態において、3個の挟持部材130は、ウエハWの端面に当接して、そのウエハWを挟持することができる。そして、レバー140をスピンチャック1の外方から押して、レバー140をリンク機構150に付与されている付勢力に抗して回転させると、リンク機構150の働きにより、3個の挟持部材130が連動し、それぞれがウエハWの端面から離間して、3個の挟持部材130によるウエハWの挟持状態が解除される。
【0038】
なお、この実施形態では、それぞれ3個の支持部材120および挟持部材130をスピンベース110上に交互に設けた構成を取り上げているが、支持部材120はウエハWを支持することができ、挟持部材130はウエハWを挟持することができれば、支持部材120および挟持部材130の個数は、それぞれ2個であってもよいし、4個以上であってもよい。さらに、支持部材120の個数と挟持部材130の個数とが同数である必要はないし、スピンベース110上で支持部材120と挟持部材130とが交互に配置されている必要もない。
【0039】
図9(A)は、支持部材120の構成を説明するための側面図である。支持部材120は、スピンベース110の上面に固定された固定ベース部121と、この固定ベース部121上に突出して設けられた載置部122とを備えている。載置部122は、スピンチャック105の回転軸線に近づくほど下方に傾斜した第1傾斜面122Aと、この第1傾斜面122Aの上端縁に連続しており、第1傾斜面122Aよりも急勾配でスピンチャック1の回転軸線に近づくほど下方に傾斜した第2傾斜面122Bとを有している。第1傾斜面122Aは、ウエハWの端面の下面側端縁(端面下端縁)が載置されて、他の支持部材120の第1傾斜面122AとともにウエハWの端面下端縁を下方からを支持する支持面である。また、第2傾斜面122Bは、図示しない搬送ロボットハンドによって搬入されるウエハWの端面下端縁を支持面(第1傾斜面)122A上に案内するための案内面であり、この案内面122Bが設けられていることによって、ウエハWが載置部122上の上端に引っかかって斜めに載置(支持)されたり、ウエハWが支持面122A上に上手く載置されずに脱落したりすることを防止できる。
【0040】
なおこの実施形態では、上記第1傾斜面122Aは平面となっているが、曲面であってもよい。あるいは、傾斜した面ではなく、傾斜した稜線でウエハWを支持するようになっていてもよい。
【0041】
図9(B)は、挟持部材130の構成を説明するための側面図である。挟持部材130は、スピンベース110の上面を貫通して、スピンベース110に回転自在に支持された軸部131と、この軸部131の上端に連結されたベース部132と、ベース部132の上面において軸部131の中心軸線(挟持部材130の回転軸線)からずれた位置に設けられた挟持部133とを備えている。
【0042】
ベース部132は、平面視において、軸部131の中心軸線を中心とする円形状に形成された円形部分134と、円形部分134の周縁の一部から突出して形成された突出部分135とを含み、この突出部分135上に、挟持部133が設けられている。挟持部133は、大略的に四角柱状に形成されており、その側面133Aの一部に、ウエハWの端面の上面側端縁および下面側端縁に当接する断面V字状のV溝136を有している。V溝136は、挟持部133の上端縁から下方ほど挟持部材13の内側へと入り込むように傾斜した上傾斜面136Aと、この上傾斜面136Aの下端縁と挟持部133の側面133Aとを接続し、その側面133Aに近づくほど下方に傾斜した下傾斜面136Bとで構成されている。このようなV溝136を有する挟持部133は、上傾斜面136AがウエハWの端面の上面側端縁(端面上端縁)に当接し、下傾斜面136BがウエハWの端面下端縁に当接して、ウエハWの端面を上傾斜面136Aおよび下傾斜面136Bで上下から挟んだ状態で、他の挟持部材130の挟持部133と協働してウエハWを挟持することができる。
【0043】
図10は、スピンチャック105にウエハWが保持される際の様子を図解的に示す図であり、これを参照してウエハWの搬送時の動作を説明する。主搬送ロボットCRは、処理対象(未処理)のウエハWをハンド22によって保持して処理室PCに搬入し、スピンチャック105の上方から下降することによってそのウエハWをスピンチャック105に載置し、その後ハンド22は後退して退避する。ウエハWがこのようにハンド22からスピンチャック105に受け渡されるとき、たとえば、図示しないレバー操作部材でレバー140が押されて、3個の挟持部材130の挟持部133は、ウエハWの受け渡しの妨げにならないように、ウエハWを挟持するときの位置よりもスピンチャック105の回転軸線から離れる方向に退避している。この状態で、ハンド22によって、ウエハWが3個の支持部材120の支持面122A上に載置される。
【0044】
ウエハWが支持部材120の支持面122A上に載置された状態では、図10(A)に示すように、ウエハWの端面は挟持部材130の挟持部133に接触しておらず、また、ウエハWの端面は挟持部133の下傾斜面136Bの中腹部分に対向している。
【0045】
その後、レバー操作部材がレバー140から退避されると、リンク機構150に付与されている付勢力によって、挟持部材130が軸部131を中心に回転し、挟持部材130によってウエハWが挟持される。挟持部材130が回転して挟持状態に変位する過程において、挟持部133の下傾斜面136BがウエハWの端面下端縁に当接し、この後、挟持部材130がさらに回転すると、ウエハWの端面下端縁が下傾斜面136B上を滑り上がる。そして、ウエハWの端面上端縁が挟持部133の上傾斜面136Aに当接し、ウエハWの端面が上傾斜面136Aおよび下傾斜面136Bによって上下から挟まれた状態になると、挟持部材130はそれ以上には回転せず、リンク機構150に付与されている付勢力は、3個の挟持部材130がウエハWを挟持する力として利用される。これにより、図10(B)に二点鎖線で示すように、支持部材120上に載置されたウエハWは、3個の挟持部材130に挟持されて持ち上げられ、支持部材120によるウエハWの支持位置よりも上方の位置でほぼ水平に保持される。
【0046】
こうしてウエハWが挟持部材13に挟持されると、スピンチャック105が回転駆動され、スピンチャック105とともに回転しているウエハWに対して、図示しない処理液ノズルによってウエハWの上面および/または下面に処理液が供給されて洗浄処理やエッチング処理が施される。このとき、支持部材120は、図10(C)に示すように、ウエハWの下面に接触しておらず、また、挟持部材130は、ウエハWの端面上端縁および端面下面縁でウエハWに接触しているから、ウエハWの表面全域に処理液が隈無く行き渡り、ウエハWの表面全域に処理液による処理を良好に施すことができる。ウエハWの表面に対して処理液による十分な処理が行われると、必要に応じて、処理液の供給を停止した後に、スピンチャック105を高速回転させて、ウエハWの表面に付着している処理液を遠心力で振り切って乾燥させる処理が行われる。
【0047】
ウエハWに対する処理が完了すると、レバー操作部材によってレバー140が押されて、挟持部材130によるウエハWの挟持状態が解除される。この過程において、ウエハWの端面下端縁が下傾斜面136B上を滑り降り、処理済みのウエハWは、3個の支持部材120の支持面122A上に再び載置される。このとき、支持部材120の支持面122Aは、ウエハWの端面下端縁に当接し、ウエハWの下面には接触しないので、処理済みのウエハWの下面を汚染するおそれがない。その後、処理済みのウエハWは、主搬送ロボットCRのハンド21によってスピンチャック105から受け取られて、この処理室PCから搬出されていく。
【0048】
<<清掃装置の構成>>
【0049】
図11は、上述した基板処理装置1に適用される清掃装置2の模式的に示す図であり、図11(A)は斜視図、図11(B)は側断面図、図11(C)はカセットC内における模式図である。この清掃装置2は、基板処理装置1で処理されるウエハWと同じ外形である直径300mmの大きさのベース400と、ベース400の下面の周縁部に下向きに植設された清掃具であるブラシ402と、ベース400の上面中央部に取り付けられてブラシ402を動かす駆動源となる振動発生装置404と、その振動発生装置404の駆動装置406とからなっている。
【0050】
ベース400は、被処理基板であるウエハWと同じ外形となるように形成したもので、清掃具を取り付けるための清掃具基板となる。すなわちベース400は直径300mm、厚み約0.8mmの円板型であって、素材としては例えばアルミやステンレススチールを用いることもできるが、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)等の樹脂を利用するほうが処理室PCの汚染のおそれがない。ブラシ402は、PP(ポリプロピレン)やナイロンなどの樹脂製であって、その長さは数mm程度であり、ベース400に埋め込みまたは貼り付けられている。振動発生装置404は、回転軸に偏心錘を取り付けた薄型のモータ(いずれも図示せず)を複数組内蔵し、駆動装置406からの駆動により上下方向、水平方向の振動を発生してベース400に与える。駆動装置406は図示しない二次電池やスイッチ等を内蔵しており、図示しない配線によって振動発生装置404と接続され、その振動発生装置404を駆動制御する。ブラシ402はベース400や振動発生装置404の重みが加わると若干撓むので、その撓んだ状態で、清掃装置2は例えばカセットCの棚Tに収納可能な厚みとなるよう作られている。なお、図11ではブラシ402の長さやベース400の厚みは誇張して描いてある。
【0051】
<<清掃装置による基板処理装置の清掃>>
【0052】
基板処理装置1の清掃を行う場合、オペレータが清掃装置2のスイッチを入れて、図11(C)に示すようにポッドP内のカセットCの棚Tに収納し、このポッドPを図2に示すようにインデクサユニット200のウエハステーション201に設置する。このとき、ベース400の下面に設けられたブラシ402が、図11(C)に示すように棚Tの上に乗って接触しており、清掃装置2のスイッチが入れられると振動発生装置404が振動を発生してベース400を振動させ、その振動はブラシ402にも伝えられて、ブラシ402が振動してカセットCの棚Tを擦り、これによって棚Tが清掃される。
【0053】
次に、基板処理装置1による基板搬送動作を開始する。まずインデクサロボットIRのハンド12がポッドP内に挿入され、清掃装置2をあたかも通常のウエハWであるかのように保持してポッドPの外に取り出す。このとき清掃装置2はハンド12のウエハ支持部材81〜84によって支持されている。さらに詳しくは、清掃装置2の周縁部すなわちブラシ402が設けられた部分が、ウエハ支持部材81〜84の支持面86a(図7)の上に支持される。そして、清掃装置2のベース400は振動を続けており、その振動はブラシ402にも伝えられて、ブラシ402が振動して支持面86aを擦り、これによって支持面86aが清掃される。
【0054】
次に清掃装置2は、受け渡し部300においてインデクサロボットIRのハンド12から主搬送ロボットCRのハンド22へ受け渡される。すると清掃装置2はハンド22のウエハ支持部材91〜94によって支持され、上記と同様にウエハ支持部材91〜94の支持面86aが清掃される。
【0055】
次に清掃装置2は主搬送ロボットCRのハンド22によっていずれかの処理室PCに搬入され、そのスピンチャック105に受け渡される。このとき清掃装置2はスピンチャック105の3個の支持部材120の支持面122A上に載置される。そしてこの支持面122Aが清掃装置2のブラシ402の振動により清掃される。またこのとき、清掃装置2のベース400の端部は挟持部材130の挟持部133には接触していないが、その下面に植設されたブラシ402は挟持部133の下傾斜面136Bに届き、その下傾斜面136Bをも清掃できる。
【0056】
通常のウエハWの処理であれば、この後に挟持部材130によるウエハWの挟持操作がされるのであるが、清掃装置2を使う清掃動作時においてはこの挟持操作は必要なく、かえって清掃装置2のベース400を挟持すると、挟持部133とベース400と接触部の振動によって塵埃が発生するおそれがある。従って、清掃装置2使用時には、挟持部133による挟持操作は行わず、ウエハWが支持部材120の支持面122A上に載置されて所定時間の清掃が行われると、ウエハWの処理後の搬出と同様に、主搬送ロボットCRがハンド21によって清掃装置2を保持して当該処理室PCから搬出する。このとき、清掃装置2はハンド21のウエハ支持部材91〜94によって支持され、上記と同様にウエハ支持部材91〜94の支持面86aが清掃される。
【0057】
次に清掃装置2は、受け渡し部300において、主搬送ロボットCRのハンド21からインデクサロボットIRのハンド11へ受け渡される。すると清掃装置2はハンド11のウエハ支持部材81〜84の支持面86a(図7)の上に支持され、上記と同様にウエハ支持部材81〜84の支持面86aが清掃される。
【0058】
そして、清掃装置2はインデクサロボットIRのハンド11で保持され、ハンド11,12が所定のポッドPの前面に対向させられた状態で、ハンド11がポッドPに対して進退して、ポッドP内のカセットCの、最初と同じ棚T上に収容される。
【0059】
以上によって、基板処理装置1における一周期の清掃動作が終了したことになるが、処理室PCは複数あるので、今回清掃した処理室PCのスピンチャック105以外の処理室PCについては未清掃である。またポッドP内のカセットCについても、今回の清掃装置2が置かれた所定の棚T以外の棚Tも未清掃である。これら未清掃である他の処理室PCのスピンチャックや他の棚Tも清掃したい場合には、それらへ清掃装置2を順次搬送する動作を行えばよい。また清掃装置2を複数(例えば処理室PCの数と同じ数、あるいは棚Tと同じ数)だけ用いて、それらを全てのカセットCの全ての棚Tに収納し、そこから次々と処理室PCへ搬送すれば、全ての棚Tの清掃を順次行うことができる。
【0060】
<<清掃装置の他の実施形態の構成と動作>>
【0061】
図12は本発明の他の実施形態である清掃装置2aを模式的に示す図であり、図12(A)は斜視図、図12(B)は図12(A)中の矢印B方向に見た側面図である。この清掃装置2aにおいては、基板処理装置1で処理されるウエハWと同じ直径300mmの大きさのベース400に対して、そのベース400の下面の周縁部に下向きにブラシ402が植設されている点は、先の実施形態と同一である。この実施形態では、ベース400に対して回転力を与えるモータ404aが取付板408に取り付け固定されている。すなわち、モータ404aが取付板408に取り付け固定されて、モータ404aの回転軸(図示せず)は取付板408を回転自在な状態で貫通して、ベース400の中心点に結合固定されている。ベース400と取付板408は図12では接触しているように描かれているが、微小な隙間を保っており、互いに接触せずにベース400が取付板408に対して回転可能になっている。取付板408にはモータ404aの駆動装置406aも取り付けられている。また駆動装置406aと基板処理装置1本体の制御装置とには、互いに無線通信する送受信装置が内蔵されており、駆動装置406aは基板処理装置1本体の制御装置により遠隔操作され、図示しない配線により接続されたモータ404aを駆動制御する。
【0062】
取付板408には一方向にベース400の端縁の外側まで延びた腕部408aが形成されており、その腕部408aの先端には下方向に少なくともベース400の厚み分よりも下方に至る突起部408bが形成されている。突起部408bはその円周方向の片側(図12(a)では左側)が傾斜面408cとされている。この突起部408bは後述のとおり清掃時において洗浄対象となるハンド11等のウエハ支持部材81等に対して取付板408とそれに取り付けられているモータ404aを非回転状態に一時的に固定する作用を果たす。
【0063】
図13はこの実施形態の動作を説明する平面図である。この実施形態の清掃装置2aは、インデクサロボットIRのハンド11、12、主搬送ロボットCRのハンド21、22、スピンチャック105の清掃に使用される。まずオペレータはこの清掃装置2aをインデクサロボットIRのハンド12上に載置する。例えばウエハ支持部材83とウエハ支持部材84の間に位置するよう置かれたとする。このとき、ハンド12のウエハ支持部材81〜84の支持面86aの上にブラシ402が載って支持される。次にオペレータが基板処理装置1の制御装置を操作して、駆動装置406aにモータ404aを回転駆動させる。このとき上述の通りウエハ支持部材81〜84の支持面86aの上にブラシ402が載っているため、ウエハ支持部材81〜84に対してベース400は回転せず、ベース400に対して取付板408が図13中の矢印Xの方向に回転する。ベース400の回転に伴って腕部408aも回転し、図13に示すように腕部408aの先端の突起部408bがウエハ支持部材83の側面に当接する。これによって腕部408aのそれ以上の矢印X方向への回転は阻止され、以後は、取付板408はハンド12に対して非回転状態となるように一時的に固定され、取付板408やモータ404aに対してベース400が図13中の矢印Y方向に回転することになる。そしてかかるベース400の回転に伴い、そのベース400の下面に形成されているブラシ402によってウエハ支持部材81〜84の支持面86aが清掃されることになる。
【0064】
ハンド12の所定時間の清掃が終了すると、基板処理装置1の制御装置は駆動装置406aを介してモータ404aの回転を停止させる。そして次に清掃装置2aは、受け渡し部300においてインデクサロボットIRのハンド12から主搬送ロボットCRのハンド22へ受け渡される。そして清掃装置2aはハンド22のウエハ支持部材91〜94によって支持され、再度、駆動装置406aがモータ404aを回転させて上記と同様にウエハ支持部材91〜94の支持面86aが清掃される。
【0065】
なお、本実施形態では、清掃装置2aをインデクサロボットIRのハンド12から主搬送ロボットCRのハンド22へ受け渡す際に、渡される側のハンド22のウエハ支持部材91〜94の上部に腕部408aの先端の突起部408bが乗せてしまわないように留意する必要がある。本実施形態では突起部408bの下部には円周方向の片側が傾斜面408cとされているので、比較的、突起部408bがウエハ支持部材91〜94に乗りにくい構造になっているが、より好ましくは、例えば、ハンド22側の4つのウエハ支持部材91〜94の上部にも傾斜面を形成して、仮にウエハ支持部材91〜94のいずれかの上に突起部408bが乗せられても、両方の傾斜面が滑ることにより突起部408bがウエハ支持部材91〜94に乗り上げないようにすればよい。
【0066】
<<清掃装置、基板処理装置の変形例>>
【0067】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。図14は清掃具であるブラシの変形例を示す図である。たとえば、ベース400に対してモータ404aと振動発生装置404の両方を取り付けて、ベース400が回転しつつ振動するものとしてもよい。またブラシ402は、図14の(A)に示すように山形(波形)にしてもよく、(B)に示すように歯飛び型にしてもよい。また図14(C)に示すようにベース400の側面にもブラシ402aを設ければ、ウエハ支持部材81〜84,91〜94の支持面86aから斜め上方に立ち上がるテーパ面86b(図7)まで清掃することができる。また、個々のブラシの毛一本一本の形状は、図14(D)に示すように、先端が平らになった先端フラット型、先端が丸くなった先端まる型、全体が細い細型、全体が太く平らな全周フラット型などにすることもできる。また清掃具としてはブラシに限らず、例えばスポンジや不織布などの布を採用することもできる。またブラシ402をベース400に対して着脱自在にして、簡単に交換できるようにすることもできる。またその清掃具に対して洗浄液を供給する洗浄液供給機構を清掃装置2、2a自体に搭載し、清掃具をウエットな状態にして清掃するようにしてもよい。あるいは、基板処理装置1内の適宜の場所に、使用中の清掃装置2、2aの清掃具に対して洗浄液を供給する洗浄液供給機構を設けて清掃具をウエットな状態にして清掃するようにしてもよい。このようにした場合、例えば清掃装置2、2aを2台使用してこれらを連続的に搬送し、先に搬送する清掃装置2、2aはウエットな状態で清掃して、後に搬送する清掃装置2、2aは乾燥した状態で拭き取るように清掃する、といった方法をとることもできる。また清掃装置2aでは基板処理装置1の制御装置からの無線通信により遠隔操作されたが、オペレータが直接操作する送受信装置によって遠隔操作されるようにしてもよい。また、ポッドP内のカセットCには駆動装置406が内蔵する二次電池のための充電機構を設け、ポッドP内で充電できるようにすることが望ましい。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である
【0068】
<<効果>>
【0069】
以上のように上記の実施形態によれば、カセットCの棚T、インデクサロボットIRのハンド11、12、主搬送ロボットCRのハンド21、22、スピンチャック105などのウエハWと接触する部位を、適時、容易に清掃することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 基板処理装置
2、2a 清掃装置
11,12,21,22 ハンド
81〜84,91〜94 ウエハ支持部材
86a 支持面
86b テーパ面
100 基板処理ユニット
101,102,103,104 処理部
105 スピンチャック
200 インデクサユニット
400 ベース
402 ブラシ
404 振動発生装置
404a モータ
406、406a 駆動装置
408 取付板
408b突起部
CR 主搬送ロボット
IR インデクサロボット
P ポッド
C カセット
W ウエハ
T 棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置の被処理基板と同じ外形に形成した清掃具基板と、
前記清掃具基板に設けられて前記基板処理装置と接触して清掃する清掃具と、
前記清掃具基板に取り付けられてその清掃具基板を動かす駆動源と、
を備えたことを特徴とする基板処理装置の清掃装置。
【請求項2】
前記駆動源は、前記清掃具基板に対して振動および/または回転運動を付与するものであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置の清掃装置。
【請求項3】
前記駆動源は、前記清掃具基板に対して少なくとも回転運動を付与するものであり、
前記駆動源には、当該駆動源を前記基板処理装置に対して非回転状態に固定する固定機構を設けたことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置の清掃装置。
【請求項4】
前記清掃具は、ブラシ、スポンジ、布のいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置。
【請求項5】
前記清掃具に洗浄用の液体を供給する洗浄液供給手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置。
【請求項6】
前記駆動源を駆動制御する駆動制御部をさらに備え、
前記駆動制御部には遠隔操作のための無線受信機を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置。
【請求項7】
被処理基板を内部に保持して収容する収容機構と、
前記被処理基板を保持して所定の処理を施す処理手段と、
前記収容機構から前記被処理基板を搬出して保持し、前記処理手段へ搬送する搬送機構と、
請求項1乃至6のいずれかに記載の基板処理装置の清掃装置と、
を備え、
前記清掃装置により前記収容機構、前記処理手段、前記搬送機構のすくなくとも一つを清掃することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
被処理基板を内部に保持して収容する収容機構と、
前記被処理基板を保持して所定の処理を施す処理手段と、
前記収容機構から前記被処理基板を搬出して保持し、前記処理手段へ搬送する搬送機構と、
請求項6に記載の基板処理装置の清掃装置と、
前記無線受信機に遠隔操作のための無線信号を送信する無線送信機と、
を備え、
前記清掃装置により前記収容機構、前記処理手段、前記搬送機構のすくなくとも一つを清掃することを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
前記清掃装置は、前記収容機構に収容されていることを特徴とする請求項7または8に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−212751(P2012−212751A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77079(P2011−77079)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】