説明

基板処理装置

【課題】被処理基板のベベル部に付着した不要な堆積膜を、パターンが存在する被処理基板の内側部分にダメージを与えず、重金属汚染を引き起こさず、低コストで高効率に除去する。
【解決手段】被処理基板2の直径よりも小さい直径を有し、被処理基板を載置する回転ステージ1と、被処理基板2の上方に配置され、被処理基板上面に形成されたパターンを保護するためのガス流を形成するためのガス供給構造部3と、ガス供給構造部3に非反応性ガスを供給する第一のガス供給系11と、不要な堆積物を除去するためのラジカルを被処理基板外周部に供給するノズルを備えた大気圧マイクロプラズマ源4と、大気圧マイクロプラズマ源4にガスを供給する第二のガス供給系14と、大気圧マイクロプラズマ源4に電力を投入する高周波電源13と、被処理基板2の外周部から反応生成物を吸引除去するための排気手段5を備えた基板処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス等の製造工程において、被処理基板エッジ部の裏面やテーパー部に付着した不要な堆積物を除去するための基板処理装置および基板処理方法に係る。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造工程において、成膜工程やエッチング工程の際に、被処理基板エッジの裏面部やテーパー部(以下、ベベル部と称する)に付着する不要な堆積物が問題となっている。ベベル部に付着した堆積物は、成膜やエッチング処理を行う基板処理装置内での搬送時や、処理済み基板をフープに収納する際、または、フープを搬送している際にベベル部から剥離することがある。剥離した堆積物は異物や汚染の原因となり、これらが歩留まりを下げる大きな要因となっている。
【0003】
これに対し、基板処理装置の処理室自体を工夫することでベベル部に不要な堆積物をつきにくくする試みがなされている。以下、絶縁膜用のプラズマエッチング装置を例にとって説明する。絶縁膜エッチングでは、C,C,CHF等のCF系のガスを用いることが多いが、これらのガスがプラズマにより解離されることにより発生した堆積性の強いCFxラジカルがベベル部にまわりこみ、CF系の堆積膜を形成する。
【0004】
このようなベベル部へのフロロカーボンなどの有機物からなる堆積物を除去する方法として、エッチング処理室内にて被処理基板の端部裏面を加熱しながらOガスやHガスやNHガスなどのCF系の堆積物を除去しうるガスを、被処理基板の端部裏面側に供給することにより、該堆積膜を除去する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ベベル部に付着した不要な堆積物を除去するための専用処理装置も提案されている。例えば、基材の外周部を加熱する一方、外周部より内側の部分を前記ステージに設けた吸熱手段にて吸熱しながら、前記加熱された外周部に不要物除去のための反応性ガスを供給することにより、ベベル部に付着した不要な堆積物のみを除去する技術が提案されている(例えば、特許文献2の段落0016参照)。
【特許文献1】特開2004−200353号公報
【特許文献2】特開2006−287169号公報
【非特許文献1】ドライプロセスシンポジウム2004,3-01,”New ash challenges for porous low-k integration: trade-off between sidewall film modification and increase in k value”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した不要な堆積物除去技術には、以下に述べる技術的課題が存在している。すなわち、特許文献1については、導入するガスの堆積物除去効果が高ければ高いほど、被処理基板外周部のエッチング特性に及ぼす影響が大きくなるという問題がある。例えば、カーボン系やCF系の堆積膜除去に最も効果が高いOガスを用いた場合、被処理基板外周部にOガスを数ml/min供給しただけで被処理基板外周部のレジスト選択比の低下等が発生する。プラズマエッチングは、サブPaから数十Pa程度の圧力領域で行われるが、このような低圧力領域ではガスの拡散速度が非常に大きいため、被処理基板外周部から供給したOガスは、被処理基板のベベル部だけでなく、被処理基板外周部から数cm程度内側まで拡散してくる。該Oガスがプラズマにより解離され発生した反応性の高いOラジカルが外周部のレジストと反応することにより、外周部のレジスト選択比の低下が発生してしまう。これを抑えるために被処理基板外周部に供給するO流量を下げると、ベベル部に付着した堆積物を十分な効率で除去できなくなってしまう。したがって、被処理基板面内でのエッチング特性の均一性を維持したまま、ベベル部に付着する堆積物を完全に除去することは困難である。
【0007】
特許文献2に記載の技術では、堆積物を除去するために供給する反応性ガスが被処理基板の外周部から内側部分へ流れ込んでくることが問題である。特許文献2には、被処理基板の外周部を局所加熱するとともに、内側部分をステージに設けた吸熱手段にて吸熱しながら処理をすることにより、「反応性ガスが基材の外周から内側へ流れ込んで来たとしても、反応を抑えることができる」と記載されている(第0008段落)。しかるに、膜の種類や反応性ガスの種類によっては、被処理基板内側部分の温度を抑えたとしても、反応を抑えることが現実的に不可能になる場合が存在する。
【0008】
例えば、層間絶縁膜の材料として用いられる低誘電率(low―k)膜やポーラス(多孔質)low―k膜等への膜ダメージが問題になってくる。非特許文献1、Figure 1 には、被処理基板温度を15℃に温調したとしても、O系ガスで処理を行った場合にはポーラスlow―k膜が若干変質してしまう例が示されている。この例から分かるように、被処理基板中央部の温度を抑えたとしても、O系の反応性ガスが被処理基板の内側へ流れ込んで来た場合、low―k膜やポーラスlow−k膜へのダメージは避けられない。微細化がさらに進展する次世代以降のデバイスではlow−k膜へのダメージに対する要求はさらに厳しくなるため、反応性ガスが被処理基板の内側部分に流れ込んでくることは致命的である。
【0009】
さらに、特許文献2の第0044段落から第0045段落に記載されている内容からは、反応性ガスの発生手段として容量結合型プラズマ源を用いていることが分かるが、これは、金属汚染やプラズマ源の寿命の観点から好ましくない。容量結合型プラズマ源では、放電に用いる電極にプラズマ中のイオンが入射し電極材料が削れてしまう。これが重大な金属汚染を引き起こす原因となる可能性は非常に大きい。電極削れに起因した金属汚染を抑制するために、電極表面に汚染源とならないような固体誘電体を被膜したとしても、容量結合型プラズマ源では、該固体誘電体にもイオンが入射するため、該誘電体の消耗は避けられず、プラズマ源自体の寿命はかなり短くなってしまう。したがって、部品交換に伴うランニングコストの上昇や、装置稼動率の低下は避けられない。
【0010】
本発明は、基板処理装置における上記問題を解決することを目的とする。具体的には、本発明は、パターンが存在する被処理基板内側部分に反応性の強いラジカルが拡散することを抑止でき、被処理基板内側部分への膜ダメージを完全に抑えることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、ラジカルが被処理基板内側部分へ拡散することを抑止できるような、被処理基板内側から外側への径方向のガス流れを形成することができ、パターンが存在する被処理基板内側部分に反応性の強いラジカルが拡散することを抑止でき、被処理基板内側部分への膜ダメージを完全に抑えることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、排気系に関する大幅なコストダウンが可能となる基板処理装置、被処理基板中央部へのラジカルの拡散を抑えることのできる基板処理装置、大掛かりな被処理基板の冷却設備が不要な、コストダウンを図ることができる基板処理装置、電極材料がプラズマにより削れることで発生する重金属汚染を回避することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、被処理基板の外周部に付着した不要物を除去する基板処理装置において、前記被処理基盤を処理する処理室と、前記被処理基板の直径よりも小さい直径を有した前記被処理基板を載置するための回転ステージと、前記被処理基板の上方に配置され、前記被処理基板上面に形成されたパターンをラジカルから保護するためのガス流を形成するためのガス供給構造部と、前記ガス供給構造部に非反応性ガスを供給するための第一のガス供給系と、前記不要物を除去するためのラジカルを前記被処理基板外周部に供給するためのノズルを備えた大気圧マイクロプラズマ源と、前記大気圧マイクロプラズマ源に反応性ガスを供給するための第二のガス供給系と、前記大気圧マイクロプラズマ源に電力を投入するための高周波電源と、前記被処理基板の外周部から反応生成物を吸引除去するための排気ヘッドと、を備えた。
【0014】
ここで、基板処理装置においては、前記ガス供給構造部には、アルゴン、窒素、酸素、ドライエア、もしくはこれらの混合ガス等の反応性に乏しく、かつ低コストのガスを、0.1L/min以上400L/min以下の流量で供給し、前記大気圧マイクロプラズマ源には、プラズマを安定に生成維持するための、アルゴン、ヘリウム等のキャリアガスと、酸素、CF、SFまたは、これらの混合ガス等、被処理基板のベベル部に付着した堆積物と反応しやすい反応性ガスを供給する。
【0015】
さらには、基板処理装置においては、前記大気圧マイクロプラズマ源は、高周波誘導結合型プラズマやマイクロ波プラズマ等の、無電極放電が可能なプラズマ源を用いていることを特徴としている。ここで、「大気圧マイクロプラズマ源」とは、0.5気圧から2気圧程度の、おおむね大気圧で動作する、プラズマ体積が100cm未満の微小なプラズマ源のことを指しており、一方、「マイクロ波プラズマ」とは、プラズマの励起源周波数に1GHzから10GHz、典型的には2.45GHzの周波数を用いているプラズマを指していることに注意されたい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、被処理基板ベベル部の堆積物を除去するためのラジカルを大気圧マイクロプラズマ源により発生させ、該ラジカルを被処理基板のベベル部に、ベベル部側方から供給すると同時に、被処理基板上方のガス供給構造部から非反応性ガスを供給し、ベベル部下方に備えられた排気ヘッドから反応生成物及び供給ガスを排気する構成となっている。この際、供給する非反応性ガスと反応性ガスの流量を適宜調節することにより、ラジカルが被処理基板内側部分へ拡散することを抑止できるようなガス流れを被処理基板上部に形成することができ、パターンが存在する被処理基板内側部分に反応性の強いラジカルが拡散することを抑止でき、被処理基板上部の内側部分への膜ダメージを完全に抑えることができる。
【0017】
もしくは、前記ラジカルをベベル部下方から供給し、排気ヘッドをベベル部側方に備える構成としても構わない。この場合においても、供給する非反応性ガスと反応性ガスの流量を適宜調節することにより、ラジカルが被処理基板内側部分へ拡散することを抑止できるような、被処理基板内側から外側への径方向のガス流れを形成することができ、パターンが存在する被処理基板内側部分に反応性の強いラジカルが拡散することを抑止でき、被処理基板内側部分への膜ダメージを完全に抑えることができる。
【0018】
また、通常エッチングに用いられるプラズマリアクタでは、数Pa程度の減圧下にてプラズマ処理を行うために、おおがかりな真空排気設備が必要となる。これに対し本発明では、大気圧マイクロプラズマ源を用いている。該大気圧マイクロプラズマ源は、動作圧力範囲が概ね0.5気圧から2気圧程度であるため、排気系に関する大幅なコストダウンが可能となる。さらには、大気圧付近の圧力領域では、前記した圧力数Paの減圧下と比較し、ラジカルの拡散速度が3桁から4桁程度遅いため、本発明における基板処理装置は、被処理基板中央部へのラジカルの拡散を抑える観点からも非常に好ましい。
【0019】
また、本発明では、ラジカルの発生源として用いる大気圧マイクロプラズマ源に、無電極放電が可能な誘導結合型プラズマ方式や、マイクロ波プラズマ方式等を用いている。これらの方式によって形成される大気圧マイクロプラズマは熱的に非平衡なプラズマであり、電子温度が8000°K〜14000°Kと高温であるのに対し、ガス温度は340°K〜1300°K程度と、ガス温度が著しく低いという特徴を有している。一方で、電子密度は1e14〜1e15 cm―3 程度の高密度プラズマでもある。このため、堆積膜の除去反応に寄与するラジカルを、室温より若干高い程度のガス温度で高効率に生成でき、ベベル部に付着した堆積物を高速に除去することができる。さらには、ガス温度が比較的低温であるために、大掛かりな被処理基板の冷却設備が不要になり、コストダウンを図ることができる。さらには、容量結合型プラズマ方式と異なり、プラズマを維持するための電極が不要であるため、電極材料がプラズマにより削れることで発生する重金属汚染を回避することができる。
【0020】
上記した夫々の効果により、本発明による基板処理装置では、被処理基板のベベル部に付着した不要な堆積膜を、パターンが存在する被処理基板の内側部分に膜ダメージを与えることなく、また、重金属汚染を引き起こすことなく、低コストで、高効率に、除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1から図4、及び図9、図10を用いて本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、本発明による基板処理装置の構成の概略を示す断面図である。図1は、基板処理装置の断面の右半分を示している。本発明による基板処理装置は、処理室6と、被処理基板2を載置するための回転ステージ1と、被処理基板の上方に配置され、被処理基板上面に形成されたパターンを保護するためのガス流を形成するためのガス供給構造部3と、ガス供給構造部3に非反応性ガスを供給するための第一のガス供給系11と、大気圧プラズマを生成するためのプラズマヘッド4と、プラズマヘッド4に電力を供給するための電力供給系13と、プラズマヘッド4にガスを供給するための第二のガス供給系14と、供給されたガスや被処理基板の外周部から反応生成物を吸引除去するための排気ヘッド5と、排気ヘッド5を排気するための排気系12と、プラズマヘッド4で生成したプラズマのラジカルを被処理基板2の外周部に供給するノズル16と、から構成されている。プラズマヘッド4とノズル16とで大気圧マイクロプラズマ源を構成している。
【0022】
回転ステージ1は、被処理基板よりも1mmから60mm程度、好ましくは、2mmから20mm程度小さい直径を有しており、温調機構15と、被処理基板のチャッキング機構(図示せず)と、搬送時に被処理基板を昇降するための基板昇降機構(図示せず)を備えている。前記チャッキング機構は、基板の裏面を処理室6よりも負圧にすることにより基板を保持する真空チャックや、双極式の静電チャック等、いかなる機構でも構わない。また、前記温調機構は、温調された冷媒を循環させる方式や、ペルチェ素子を用いた方式等、いかなる方式でも構わない。さらに、該回転ステージは、モーター等の駆動機構により1分間に0.5回転〜240回転、好ましくは、1回転〜60回転程度の任意の回転数で回転できる構成となっている。
【0023】
回転ステージ1の上部には、ガス供給構造部3が配置されている。該ガス供給構造部は、第一のガス供給系11から供給されるガスを被処理基板面に供給する役割を担っている。ガス供給構造部3から供給されたガスは、被処理基板表面とガス供給構造部間で径方向外向きのガス流れを形成する。このガス流れによって、被処理基板のベベル部に供給したラジカルが、パターンが存在する被処理基板の内側に拡散することを阻止し、膜ダメージが発生することを阻止することができる。
【0024】
次に、ガス供給構造部の構成を図9にて説明する。ガス供給構造部3は、アルミニウム製、もしくは表面にアルマイト処理を施したアルミニウム製であり、略円板状の形状をしている。また、その下面には、直径0.2mmから3.0mm、好ましくは、0.4mmから2.0mm程度のガス孔31が数十個から数百個程度開けられている。該ガス供給構造部の内部には、ガス孔31から均一にガスを噴出すためのバッファ室32が備えられており、該バッファ室はガス供給口33を介して、第一のガス供給系11に接続されている。前記ガス孔31は、2mmから50mm程度、好ましくは、5mmから20mm程度の概ね均一なピッチで、ガス供給構造部の外周部に配置されている。前記ガス孔は、ガス供給構造部全面に均一に配置しても構わないが、ガス供給構造部の外周部のみに集中的に配置することにより、被処理基板の内側へのラジカル拡散を阻止する効果がより高くなる。
【0025】
該ガス供給構造部3から供給するガスは、被処理基板上に作成されたパターンや膜と反応し難く、かつ、コストの安いガス、即ち、アルゴン、窒素、酸素、ドライエア等や、これらの混合ガス等の反応性に乏しく、かつ低コストのガスを用いることが望ましい。ドライエアを用いる場合は、露点温度0℃以下、好ましくは、−30℃以下のものを用いることにより、被処理基板2に水分が付着することに起因した腐食や異物の発生を防止することができる。また、酸素ガスは、プラズマに接しない限りラジカル化しないため、パターンが存在する被処理基板中央部の膜にダメージを与えることはない。
【0026】
さらに、ガス供給構造部3から供給するガス流量が大きいほど、ラジカルの拡散を阻止する効果が高いが、ガス流量を上げすぎるとランニングコストが上昇してしまう。したがって、ガス供給構造部3より供給するガスの流量は、概ね、0.1L/minから400L/min、好ましくは、0.5L/minから200L/min程度である。
【0027】
また、ガス供給構造部3の下面と被処理基板2の上面は略平行となっており、両者の距離(図2中、Z3で示した)は、2mmから100mm程度、好ましくは、5mmから50mm程度の距離、即ち、被処理基板2を搬送できる範囲内で極力狭くなるように設定されている。これは、ガス供給構造部3と被処理基板2との距離を小さくすることにより、ガス供給構造部3から供給されたガスが被処理基板2上を流れる流速が大きくなり、前記ラジカルの被処理基板中央部への拡散を阻止する効果がより高くなるためである。
【0028】
ガス供給構造部3の母材は、本実施形態では、加工性と汚染、コストの観点からアルミニウムとしたが、被処理基板に汚染を引き起こさず、加工が容易で、かつコストが低い材質であれば、石英、快切削製セラミックス、合成樹脂等、いかなるものでも構わない。
【0029】
次にガス供給構造部の別の構成を図10にて説明する。図9と説明が重複する部分は、説明を省略する。図9に示したガス供給構造部では、下面にガス孔31を開けていたが、図10にて示したガス供給構造部では、下面に複数のスリット状ガス供給口34を具備している点が異なっている。図10に示したように、該スリット状ガス供給口34は、ガス供給構造部の最外周に8個、その内側に8個、たがいちがいになるように配置されている。このような構成にすることにより、被処理基板外周部にエアーカーテン状のガス流れを形成することができる。これにより、被処理基板のベベル部に供給したラジカルが、パターンが存在する被処理基板の内側に拡散することを阻止し、膜ダメージが発生することを阻止することができる。図10では、スリット状ガス供給口34は8個×2列で配置されているが、本発明はスリット状ガス供給口の個数および列数に何ら制限されることはない。また、図10では、スリット状ガス供給口34は略円弧状の形状をしているが、これは直線状にしても構わない。
【0030】
次に、図1にもどり、ベベル部に付着した堆積膜を除去するための反応性の高いラジカルを、ベベル部に供給するための構成を説明する。図1に示したように、回転ステージ1の外側には、プラズマヘッド4が設置されている。該プラズマヘッドには、反応性ガスを供給するための第二のガス供給系14と、高周波電力を印加するための電力供給系13とが接続されている。また、プラズマヘッド4には、ノズル16が備えられている。第二のガス供給系14から供給された反応性ガスに高周波電力を印加し、該反応性ガスがプラズマ化することにより発生したラジカルを、前記ノズル16から被処理基板2のベベル部へ噴射することにより、ベベル部に付着した堆積物を除去する構造となっている。
【0031】
また、図2に示したように、ノズル16にはラジカルを被処理基板2のベベル部のみに効率的に供給できるように、φ0.1mmからφ10mm程度、好ましくは、φ0.3mmからφ3mm程度のごく小さい開口部17が設けられている。さらに、該ノズル開口部17の上端を被処理基板上面Z1よりも低く、かつ、被処理基板下面Z2よりも高い位置に配置することにより、ベベル部に、より効率的にラジカルを供給できる。また、ノズル16の先端から被処理基板2の最外周部までの距離X1は、0.2mm以上50mm以下であることが好ましい。被処理基板までの距離が0.2mm未満であると、ノズル先端と被処理基板が接触する危険性が高くなり、また、50mmより大きいと、ラジカルの供給効率が悪化するからである。
【0032】
ノズル16の下部には、上部に開口部を有した排気ヘッド5が設置されている。ここで、前記開口部の幅X2は5mm乃至100mm程度であり、排気系12により排気されている。ガス供給構造部3より供給したガスと、ノズル16よりベベル部に向けて噴出したラジカルと、該ラジカルとベベル部への堆積物とが反応して発生する反応生成物とは、前記排気ヘッド5より排気系12を介して処理室外に排出される。これにより、大量の枚数の基板を処理した際に、反応生成物が処理室内に再付着し、剥離することにより発生する異物を防止できる。
【0033】
本発明による基板処理装置では、大気圧マイクロプラズマ源を用いているため、0.5気圧から2気圧程度の圧力で使用可能である。このため、排気系12には、通常のプラズマ処理装置で用いるような真空ポンプを用いても構わないが、プロペラファン、ターボファン、シロッコファン等を用いる方がコストの点で有利である。また、ラジカルは大気圧中での拡散速度が遅いので、大気圧マイクロプラズマ源を用いた場合には、被処理基板2のベベル部に供給されても、被処理基板2表面の中央部に向けての拡散を抑えることができる。
【0034】
図3は、本発明による基板処理装置の構成の概略を示す平面図である。図中の破線で描かれた円は、被処理基板2の最外周を示しており、また、図中の矢印Sはステージ1の回転方向を、矢印Tは搬送アーム8の移動方向を示している。略円筒形の処理室6の側壁には、被処理基板2と搬送アーム8とが通過できるのに十分な幅と高さを有した開口部が設けられており、該開口部には搬送ポート7とゲートバルブ18が設けられている。搬送ポートの反対側には、排気ヘッド5と、複数のプラズマヘッド4a〜4cが配置されている。
【0035】
各プラズマヘッド4a〜4cには、夫々に独立して反応性ガス供給系(図示せず)と、電力供給系(図示せず)が接続されている。プラズマヘッド4を複数配置することにより、処理速度が向上することは言うまでもないが、さらに、異なるプラズマヘッド4に、異なる反応性ガスを供給することにより、被処理基板2に付着した堆積膜が、異なる膜の積層構造になっている場合にも対応可能となる。また、各プラズマヘッド4a〜4cに接続するガス供給系と電力供給系を共通化することにより、コストダウンを図りつつも処理速度の向上を望めることは言うまでもない。また、図3ではプラズマヘッドの個数を3個としたが、これはあくまで1例を示したものにすぎない。本発明は最低限、一つのプラズマヘッドを備えていれば機能し、また、3個以上のプラズマヘッドを備えることにより、さらなる処理速度の向上が期待できることは言うまでもない。
【0036】
前記したプラズマヘッド4の下部には、排気ヘッド5が配置されている。該排気ヘッド5の開口部は、図3に示したように、被処理基板2のベベル部に向けて、半円の円弧状の形状をしている。また、前記したように、排気ヘッド5の開口部の幅は5mm乃至100mm程度である。また、本排気ヘッド5は、図3に示したように、プラズマヘッド4よりも、被処理基板2の回転方向下流側に、角度α度程度、若干オフセットして設けることができる。これにより、被処理基板を矢印S方向に回転した際も、被処理基板2からの反応生成物や、反応に用いられなかったラジカルを効率よく排気することができる。図3においては、排気ヘッド5は、プラズマヘッド4cより下流に延長されており、被処理基板2の上面からの被反応ガスを効率よく排気することができる。
オフセット角度αは、プラズマヘッド4の取り付け個数に応じて、0度から45度の間で適宜選択される。
【0037】
また、図3中の一個乃至複数個のプラズマヘッド4a〜4cの全ては、被処理基板2の中心軸を通り、ゲートバルブ18と略平行な面、即ち図中の一点鎖線βで示した面に対し、搬送ポート7やゲートバルブ18と反対側に配置されている。このような構成にすることにより、被処理基板を搬送する際に、被処理基板や搬送アームと、プラズマヘッドとが干渉することを防止できる。上記のような構成とすることにより、ガス供給構造部3と被処理基板2との距離(図2中のZ3)を、より小さくすることができ、被処理基板上へのラジカルの拡散を防止する効果をより高めることができる。
【0038】
逆に、プラズマヘッド4を搬送ポート側に設置すると、被処理基板を搬送する際、プラズマヘッドと被処理基板の接触を避けるため、搬送面の高さをプラズマヘッド4より高い位置に設定せざるを得ない。これは、ガス供給構造部3と被処理基板2との距離(図2中のZ3)が大きくなることを意味するため、ラジカル拡散の観点から好ましくない。さらに、回転ステージ1に具備する被処理基板の昇降機構のストロークが大きくなってしまうため、昇降機構のコストアップに繋がってしまう。
【0039】
次に、図4に、プラズマヘッド4とノズル16とからなる大気圧マイクロプラズマ源の構造の概略を説明する断面図を示す。プラズマヘッド4は、第二のガス供給系14から供給された反応性ガスを0.5気圧から2気圧程度の大気圧のもとでプラズマ化する役割を担っている。ここでは、誘導結合型プラズマ源を例にとって説明する。
【0040】
まず、内径φ0.5mm乃至φ4mm程度の第一の絶縁体パイプ120の外側には、1ターン乃至10ターン程度のコイル状誘導アンテナ121が巻きつけられている。該アンテナ121の片側は、整合器122を介し、高周波電源123が接続されており、また、反対側はアースに接続されている。整合器122と高周波電源123が、前記した電力供給系13に相当する。また、前記誘導アンテナ部分をとり囲むように、接地された金属製の高周波シールド126が備えられている。前記した第一の絶縁体パイプ120は、前記高周波シールドから被処理基板に向けて、10mm乃至50mm程度突出している。
【0041】
前記突出部の外周部には、第二の絶縁体パイプ124が、第一の絶縁体パイプ120と軸を同一とするように配置されている。また、第二の絶縁体パイプ124には、絶縁体ノズル16が設置されている。該ノズルには、φ0.3mmからφ3mm程度のごく小さい開口部が被処理基板に向けて設けられている。これら絶縁体パイプ、絶縁体ノズルの材質としては、プラズマやラジカル耐性があり、汚染を引き起こしにくいもの、即ち、石英やアルミナセラミクス、耐熱ガラス等が好適である。
【0042】
第一の絶縁体パイプ120には、第二のガス供給系14からガスAが供給され、また、第二の絶縁体パイプ124にはガスBが供給される。ガスAは、誘導アンテナ121が生成する誘導電界によりプラズマ化される。ガスAは、大気圧マイクロプラズマを生成、維持しやすいアルゴンやヘリウム、若しくは両者の混合ガス等からなるキャリアガス、ガスBは、ベベル部に付着した堆積物を除去しうる酸素、CF、SF及びこれらの混合ガス等の反応性ガスである。反応性ガスBは、プラズマ化されたガスAとノズル部16にて混合されることにより、反応性の強いラジカルを生成する。
【0043】
このように、プラズマ発生部にはキャリアガスのみを流し、その下流で反応性ガスを混合する構成とすることにより、幅広い条件にて安定して大気圧マイクロプラズマを生成、維持することが可能になる。さらには、第一の絶縁体パイプ120の誘導アンテナ付近の内壁は、高密度のプラズマが直接接触するために消耗しやすいが、反応性ガスを流さないことにより、第一の絶縁体パイプ120の寿命、ひいては、大気圧マイクロプラズマ源自体の寿命を延ばすことも可能となる。
【0044】
上記したガス供給方法と異なり、キャリアガスと反応性ガスを混合して供給することも可能である。この場合、図5に示したように、プラズマヘッド自体の構造を単純化することができるため、コスト的に有利となる。
【0045】
すなわち、この実施例では、プラズマヘッド4の第一の絶縁体パイプ120の外側には、1ターン乃至10ターン程度のコイル状誘導アンテナ121が巻きつけられている。該アンテナ121の片側は、整合器122を介し、高周波電源123が接続されており、また、反対側はアースに接続されている。整合器122と高周波電源123が、前記した電力供給系13に相当する。また、前記誘導アンテナ部分をとり囲むように、接地された金属製の高周波シールド126が備えられている。前記した第一の絶縁体パイプ120は、前記高周波シールドから被処理基板に向けて、10mm乃至50mm程度突出している。第1の絶縁体パイプ120には、大気圧マイクロプラズマを生成、維持しやすいアルゴンやヘリウム等に代表されるキャリアガスとベベル部に付着した堆積物を除去しうる反応性ガスの混合ガスAが供給され、ここで、プラズマ化されて反応性の強いラジカルを生成する。
【0046】
ガスAをプラズマ化するための周波数、即ち、高周波電源123の周波数は、30MHz〜3GHz程度のVHF帯、UHF帯であることが好ましい。誘導結合型プラズマは、一般的には商用周波数である13.56MHzで励起されることが多いが、大気圧マイクロプラズマ源では、アンテナサイズ等が小型になるため、より波長の短い電磁波を用いた方がプラズマの生成効率を上げることができるからである。
【0047】
ここまで図4、図5を用いて、誘導結合型プラズマ源を例にプラズマヘッド4の実施形態を説明してきたが、本発明はこれに何ら制限されるものではない。無電極放電が可能な、大気圧マイクロプラズマ源、即ち、誘導結合型プラズマ源、各種マイクロ波プラズマ源、誘電体バリア放電を用いたプラズマ源など、いかなる方式を用いても構わない。
【0048】
これらの方式によって形成される大気圧マイクロプラズマは、熱的に非平衡なプラズマであり、電子温度が8000°K〜14000°Kと高温であるのに対し、ガス温度は340°K〜1300°K程度と、ガス温度が著しく低いという特徴を有している。一方で、電子密度は1e14〜1e15 cm−3 程度の高密度プラズマでもある。このため、被処理基板2のベベル部の堆積膜の除去反応に寄与するラジカルを、室温より若干高い程度のガス温度で高効率に生成でき、ベベル部に付着した堆積物を高速に除去することができることは言うまでもない。
【0049】
さらには、ガス温度が比較的低温であるために、大掛かりな被処理基板の冷却設備が不要になり、コストダウンを図ることができる。本実施形態においては、回転ステージ1には、温調機構15を備えているが、被処理基板の種類によっては、該温調機構を備えなくても構わない。この場合、大幅なコストダウンが望めることは言うまでもない。
【0050】
次に、本発明による基板処理装置の動作を説明する。まず、最初に、ゲートバルブ18を開き、搬送アーム8により被処理基板2を回転ステージ1の真上に搬送する。次に、ステージ1に具備された基板昇降機構(図示せず)が被処理基板2を押し上げる。次に、搬送アーム8を処理室外に戻し、ゲートバルブ18を閉じるとともに、基板昇降機構を下降させることにより被処理基板2を回転ステージ1上に載置する。
【0051】
次に、チャッキング機構(図示せず)により被処理基板を回転ステージ1に固定した後、所定の速度で回転ステージの回転を開始する。次に、ガス供給構造部3から非反応性ガスを処理室内に供給する。次に、プラズマヘッド4に反応性ガスを供給した後、該プラズマヘッドに電力供給系から高周波電力を供給する。これにより、反応性ガスはラジカル化され、被処理基板2の被処理基板2のベベル部に向けて噴射され、ベベル部に付着した不要な堆積膜の除去が開始される。
【0052】
被処理基板2のベベル部全周部にわたって、不要な堆積膜を除去するのに十分な時間が経過したのち、まず、プラズマヘッド4に供給している電力を停止し、次に反応性ガスを停止する。次に回転ステージ1の回転を止めるとともに、ガス供給構造部3からの非反応性ガスの供給を停止する。
【0053】
次に、チャッキング機構をオフした後、被処理基板昇降機構により被処理基板2を押し上げるとともにゲートバルブ18を開く。最後に、搬送アーム8を回転ステージ1の上まで移動させた後、被処理基板昇降機構を下降させ、搬送アーム8及び被処理基板2を処理室外に移動させ、ゲートバルブ18を閉じることで、処理が完了する。
【0054】
ここまでに説明してきた本発明による基板処理装置の動作中、排気系12を常に動作させておく点も本発明の特徴である。排気系12を、被処理基板2を搬送している間、即ち、ゲートバルブ18が開いている間も動作させ続けることにより、処理室6内の圧力を、大気搬送室側よりも若干負圧に保つことが可能となる。これにより、大気搬送室から処理室6へのガス流れを形成することができ、搬送中に被処理基板2に異物が付着することを防止できる。これに加え、被処理基板2を搬送している間、ガス供給構造部3からも0.01L/min〜1L/min程度の非反応性ガスを流し、かつ、排気系12を動作させ処理室6内の圧力を大気搬送室側よりも若干負圧に保つことで、搬送中の被処理基板2への異物を防止する効果はさらに高くなる。
【0055】
以上、図1から図5を用いて説明した、本発明による基板処理装置を用いることにより、被処理基板2のベベル部に付着した不要な堆積膜を、パターンが存在する被処理基板2の内側部分に膜ダメージを与えることなく、また、重金属汚染を引き起こすことなく、低コストで、高効率に、除去することが可能となる。
【0056】
本発明による基板処理装置は、スタンドアローンの処理装置として用いることもできるが、インラインのベベル堆積物除去モジュールとして、エッチング装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置に搭載することも可能である。以下、図6を用いて、インラインでベベル部に付着した不要な堆積物を処理する方法を説明する。本発明による基板処理装置は、図6の大気搬送室111に、ベベル堆積物除去モジュール110として設置されている。
【0057】
まず、被処理基板2を複数枚収容したフープ102を、図6に示したような半導体処理用のエッチング装置の大気搬送室111に設置する。ここで示した処理装置は、半導体エッチング装置とは、あくまでも一例であり、どのような形態のものでもよく、CVD装置であってもなんら構わない。
【0058】
フープ102に収納された被処理基板2は、大気搬送アーム104によりフープから取り出された後、アライナ105に載置される。アライナは被処理基板の水平面内での位置の微調整と、周方向の位置決めの役割を担っている。
【0059】
アライナにより位置と方向を調整された被処理基板2は、ロック室106に搬入される。次に、ロック室が図示しないポンプにより真空排気された後、被処理基板2は、真空搬送アーム108によりバッファ室107に搬入される。
【0060】
その後、被処理基板2はプラズマ処理室109に搬入され、所定のエッチング処理を施される。この際、被処理基板2のベベル部に、不要な堆積膜が付着する。
【0061】
次に、被処理基板2は、真空搬送アーム108により処理室109から搬出され、ロック室106に搬入される。次に、ロック室を窒素ガスまたはドライエアでパージする。ロック室の圧力が大気圧まで上がった後、被処理基板2は大気搬送アーム104によりロック室から搬出され、大気搬送室111を経て、ベベル堆積物除去モジュール110に搬入される。次に、先に説明した手順によりベベル部に堆積した不要な膜を除去した後、被処理基板はフープ102に回収される。
【0062】
ここまで説明してきた手順で、全ての被処理基板基の処理が終了し、全ての被処理基板2がフープ102に回収された後、該フープ102は、エッチング装置から回収される。
【0063】
ベベル部に堆積した不要な膜をインラインで処理することは、スタンドアローンのベベルデポ除去装置を使うことと比較し、スループット、コスト共に優れている。さらには、前記したフープ内に、ベベルデポが付着した被処理基板を持ち込まないため、フープ内でベベルデポが剥離することで発生する異物のリスクや、クロスコンタミのリスクを抑えることができる。
【0064】
次に、図7及び図8を用いて、本発明の第二の実施形態について説明する。第一の実施形態と説明が重複する部分に関しては、説明を省略する。
【0065】
図7に示した本発明の第二の実施形態では、ラジカルを発生させるためのプラズマヘッド4を被処理基板2のベベル部下方に位置するように備えており、上方に向けてラジカルを噴射する構成となっている。また、被処理基板2の上部には、ガス供給構造部3が配置されており、第一のガス供給系11から、非反応性ガスを被処理基板2上に供給する構成となっている。また、排気ヘッド5は、開口部を被処理基板2のベベル部に向けるように、被処理基板2のベベル部の側方外側に位置するように配置してある。さらに、図8に示したように、該排気ヘッド5は、回転ステージ1上に載置した被処理基板2の外周部に沿うような円弧状の形状をしている。
【0066】
上記のような構成にしても、被処理基板2の上方から非反応性ガスを供給し、排気ヘッド5から反応性生物、ラジカル及び、非反応性ガスを排気することにより、ラジカルが被処理基板2の内側部分へ拡散することを抑止できるような、被処理基板内側から外側への径方向のガス流れを形成することができる。したがって、パターンが存在する被処理基板2の内側部分に反応性の強いラジカルが拡散することを抑止でき、被処理基板内側部分への膜ダメージを完全に抑えることができる。
【0067】
以上の説明では、絶縁膜のエッチング処理毎に形成されるベベル部への堆積物の除去処理に関して説明したが、本発明は、半導体処理装置における各種の処理における被処理基板のベベル部への堆積物の除去に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による基板処理装置の第一の実施形態を示す断面図。
【図2】図1の被処理基板のエッジ部を拡大した断面図。
【図3】本発明による基板処理装置の第一の実施形態を示す平面図。
【図4】本発明による基板処理装置に用いられる大気圧マイクロプラズマ源の一例を示す断面図。
【図5】本発明による基板処理装置に用いられる大気圧マイクロプラズマ源の別の一例を示す断面図。
【図6】本発明による基板処理装置をインラインのベベル堆積物除去モジュールとして備えたエッチング装置を示す平面図。
【図7】本発明による基板処理装置の第二の実施形態を示す断面図。
【図8】本発明による基板処理装置の第二の実施形態を示す平面図。
【図9】ガス供給構造部の詳細の一例を示す断面図及び平面図。
【図10】ガス供給構造部の詳細の別の例を示す断面図及び平面図。
【符号の説明】
【0069】
1:回転ステージ、2:被処理基板、3:ガス供給構造部、4:プラズマヘッド、5:排気ヘッド、6:処理室、7:搬送ポート、8:搬送アーム、11:第一のガス供給系、12:排気系、13:電力供給系、14:第二のガス供給系、15:温調機構、16:ノズル、17:ノズル開口部、18:ゲートバルブ、120:第一の絶縁体パイプ、121:コイル状誘導アンテナ、122:整合器、123:高周波電源、124:第二の絶縁体パイプ、102:フープ、104:大気搬送アーム、105:アライナ、106:ロック室、107:バッファ室、108:真空搬送アーム、109:プラズマ処理室、110:ベベル堆積物除去モジュール、111:大気搬送室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の外周部に付着した不要物を除去する基板処理装置であって、
前記被処理基板を処理する処理室と、
前記被処理基板の直径よりも小さい直径を有した前記被処理基板を載置するための回転ステージと、
前記被処理基板の上方に配置され、前記被処理基板上面に形成されたパターンをラジカルから保護するためのガス流を形成するガス供給構造部と、
前記ガス供給構造部に非反応性ガスを供給するための第一のガス供給系と、
前記不要物を除去するためのラジカルを前記被処理基板外周部に供給するための大気圧マイクロプラズマ源と、
前記大気圧マイクロプラズマ源に反応性ガスを供給するための第二のガス供給系と、
前記大気圧マイクロプラズマ源に電力を投入するための高周波電源と、
前記被処理基板の外周部から反応生成物を吸引除去するための排気ヘッドと、
を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処置装置であって、
前記大気圧マイクロプラズマ源と前記排気ヘッドを、前記処理室内の、前記被処理基板の搬送口と反対側に備えた
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記ガス供給構造部下面と、前記被処理基板上面との距離が、2mm以上100mm以下である
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記ガス供給構造部に、アルゴン、窒素、酸素、ドライエア、もしくは、これらの混合ガスを、0.1L/min以上400L/min以下の流量で供給する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置であって、
前記大気圧マイクロプラズマ源のプラズマ生成部に、アルゴン、ヘリウム、もしくは両者の混合ガスからなるキャリアガスを供給し、酸素、CF、SF、または、これらの混合ガスを、前記プラズマ生成部より下流部に供給する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記大気圧マイクロプラズマ源は、ラジカルを前記被処理基板外周部に供給するノズルを有し、
前記ノズル開口の上端が前記被処理基板の上面より下方であって裏面より上方に位置し、
前記排気ヘッドが前記被処理基板の端部の下方に位置する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
前記大気圧マイクロプラズマ源のノズルが前記被処理基板の端部の下方に位置し、
前記排気ヘッドが前記被処理基板の外周部の側方に位置する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記排気ヘッドが、前記大気圧マイクロプラズマ源のノズル開口部の下方であって、
前記回転ステージに載置された前記被処理基板の外周部に沿って前記回転ステージの回転方向の上流側から下流側に向けて円弧状に配置されている
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
被処理基板の外周部に付着した不要物を除去する基板処理装置であって、
前記被処理基板を処理する処理室と、
前記被処理基板の直径よりも小さい直径を有した前記被処理基板を載置するための回転ステージと、
前記被処理基板上面に対向するように備えられたガス供給構造部と、
前記ガス供給構造部にガスを供給するための第一のガス供給系と、
前記不要物を除去するためのラジカルを前記被処理基板外周部に供給するための大気圧マイクロプラズマ源と、
前記大気圧マイクロプラズマ源にガスを供給するための第二のガス供給系と、
前記大気圧マイクロプラズマ源に電力を投入するための高周波電源と、
前記被処理基板の外周部から反応生成物を吸引除去するための排気ヘッドと、
を備え、
前記ガス供給構造部下面と、前記被処理基板上面との距離が、2mm以上100mm以下である
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−311385(P2008−311385A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157019(P2007−157019)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】