説明

基板処理装置

【課題】簡易な構造で、ブラシから異物を確実に除去できる基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置1は、ブラシ18およびブラシ洗浄液供給機構53を備えている。ブラシ18は、基板に接触する接触面45,46を外表面に有し、内方から接触面45,46に向けてブラシ洗浄液を供給するためのブラシ洗浄液導入孔47が形成されている。ブラシ18は、所定の基板処理位置で接触面45,46を基板に接触させて当該基板を洗浄する。ブラシ18が前記基板処理位置から退避して待機するときの待機位置には、当該ブラシ18を収容するための待機ポッド21が設けられている。また、ブラシ洗浄液供給機構53は、待機ポッド21の底部51に設けられており、ブラシ洗浄液導入孔47にブラシ洗浄液を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板をブラシで洗浄処理する基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、たとえば、半導体ウエハなどの基板をブラシで洗浄する洗浄処理が行われる。具体的には、水平面内で基板が回転させられた状態で、当該基板の上面に処理液が供給される。さらに、基板の上面にブラシが当接させられ、当該ブラシが基板の上面に沿って移動させられる。これにより、基板の上面全域がブラシによって洗浄される。
【0003】
一方、基板の洗浄に用いられたブラシには、基板上の異物が転写され蓄積されていく。そのため、ブラシを洗浄するためのブラシ洗浄処理がブラシ洗浄液を用いて行われる。具体的には、回転中のブラシの表面に向けて外方からブラシ洗浄液が吐出される。これにより、ブラシ洗浄液がブラシに均一に供給され、当該ブラシの表面に付着している異物が洗い流される(たとえば特許文献1参照)。ブラシは、支持アームの下方で当該支持アームに支持されている。
【特許文献1】特開2003−332287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述のブラシ洗浄処理では、ブラシから異物を確実に除去できない場合がある。すなわち、ブラシの表面に付着している異物は、ブラシ洗浄液によって洗い流して除去できるが、ブラシの内部に染み込んでしまった異物は、ブラシ洗浄液によって除去されずにブラシ内部に残ってしまう。そのため、基板の洗浄中に、ブラシ内部の異物が当該基板に移って、当該基板が汚染されるおそれがある。
【0005】
ブラシ内部の異物を除去するために、ブラシの内方から外表面に向けてブラシ洗浄液を供給することが考えられる。具体的には、たとえば、ブラシを支持する支持アームの内部にブラシ洗浄液供給機構を設ける。さらに、支持アームにブラシを連結するシャフトに、ブラシ洗浄液供給機構からのブラシ洗浄液が流通する流通路と、ブラシ洗浄液を吐出するための吐出口とを形成しておく。ブラシ洗浄液供給機構からのブラシ洗浄液を前記流通路に供給すると、このブラシ洗浄液は前記吐出口からブラシの内部に向けて吐出される。これにより、ブラシの内方から外表面に向けてブラシ洗浄液の流れがブラシ内に形成される。これにより、ブラシ内の異物およびブラシ外表面の異物を除去できる。
【0006】
しかしながら、支持アームの内部は、ブラシ回転用の機構その他の機構が収容されているうえ、大きさの限られた空間である。そのため、支持アームの内部にブラシ洗浄液供給機構を設けると、支持アーム内の構造が複雑となり、コストアップを招くおそれがある。また、支持アームの内部にはブラシ回転用のモータ等の電気部品が収容されているため、ブラシ洗浄液供給機構からブラシ洗浄液の漏液が生じると、前記電気部品が故障してしまうおそれがあるから、相応の対策が必要になる。これにより、構造が一層複雑化するおそれがある。
【0007】
そこで、この発明の目的は、簡易な構造で、ブラシから異物を確実に除去できる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)に接触する接触面(45,46,69)を外表面に有し、内方から前記接触面に向けてブラシ洗浄液を供給するためのブラシ洗浄液導入孔(47,447,547)が形成され、所定の基板処理位置で前記接触面を基板に接触させて基板を洗浄するためのブラシ(18,418,518)と、前記ブラシが前記基板処理位置から退避して待機するときの待機位置に設けられ、前記ブラシ洗浄液導入孔にブラシ洗浄液を供給するブラシ洗浄液供給手段(53)とを含む、基板処理装置(1)である。
【0009】
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すものとする。
この発明によれば、ブラシが待機する待機位置で、ブラシ洗浄液供給手段から当該ブラシに形成されたブラシ洗浄液導入孔にブラシ洗浄液が供給される。そして、ブラシ洗浄液導入孔に供給されたブラシ洗浄液は、ブラシの内方から、基板に接触する接触面を含むブラシの外表面に向けて移動していく。そのため、ブラシの内部に異物が染み込んでいたとしても、当該異物は、ブラシ洗浄液とともに前記外表面からブラシ外に押し出されて排除される。また、ブラシの外表面に付着している異物は、当該外表面から押し出されるブラシ洗浄液によって洗い流される。これにより、ブラシから異物が確実に除去される。
【0010】
前記ブラシ洗浄液供給手段は前記待機位置に設けられている。そのため、簡単な構造で、ブラシの内部にブラシ洗浄液を供給することができる。すなわち、ブラシを支持するためのブラシ支持機構(たとえば前述の支持アーム)内のように、他の機構が存在し、かつ、大きさの著しく制限された空間ではなく、空間的な制限の少ない待機位置にブラシ洗浄液供給手段が配置されている。したがって、基板処理装置の構造が複雑となることを抑制し、簡易な構造で、ブラシの内方からブラシ洗浄液を供給することができる。
【0011】
また、ブラシ洗浄液供給手段を待機位置に設けることで、ブラシ支持機構内などに設けられるモータ等の電気部品と当該ブラシ洗浄液供給手段とを大きく離して配置することができる。これにより、ブラシ洗浄液供給手段からの漏液に起因する電気部品の故障対策を削減または簡素化することができる。これによっても、構造の簡素化を図ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入されており、ブラシ洗浄液を吐出するための吐出口(42)がその周面(34a,234a)に形成された吐出管(34,234)をさらに含み、前記ブラシ洗浄液供給手段は、前記吐出管にブラシ洗浄液を供給するブラシ洗浄液供給ヘッド(54,254)を含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0013】
この発明によれば、前記待機位置で、ブラシ洗浄液導入孔に挿入された吐出管内に、ブラシ洗浄液供給ヘッドからブラシ洗浄液が供給される。そして、吐出管内に供給されたブラシ洗浄液は、当該吐出管の周面に形成された吐出口から吐出される。すなわち、ブラシ洗浄液供給ヘッドからのブラシ洗浄液が、ブラシ洗浄液導入孔に供給される。これにより、ブラシの内方から前記接触面を含むブラシの外表面に向けてブラシ洗浄液が供給され、ブラシから異物が確実に除去される。
【0014】
請求項3記載の発明は、前記ブラシ洗浄液供給ヘッドは、ブラシ洗浄液が吐出される洗浄液供給口(58)と、この洗浄液供給口を取り囲み、前記吐出管の端部(39,234b)に突き合わされる突合せ部(56,62)とを含み、前記吐出管の端部と前記突合せ部との間をシールするためのシール手段(60)をさらに含む、請求項2記載の基板処理装置である。
【0015】
この発明によれば、ブラシ洗浄液供給ヘッドに設けられた突合せ部が、吐出管の端部に突き合わされ、当該突合せ部が当該吐出管の端部に突き合わされた状態で、当該突合せ部に取り囲まれた洗浄液供給口から吐出管内にブラシ洗浄液が供給される。これにより、吐出管の吐出口からブラシ洗浄液が吐出され、ブラシから異物が確実に除去される。また、前記吐出管の端部と前記突合せ部との間がシール手段によってシールされているので、洗浄液供給口から吐出されるブラシ洗浄液は、当該吐出管の端部と当該突合せ部との間から漏れることなく、確実に吐出管内に供給される。したがって、吐出管内のブラシ洗浄液の圧力を高く維持することができるので、吐出口から圧力の高いブラシ洗浄液を吐出させることができる。これにより、ブラシ内部に確実にブラシ洗浄液が送り込まれるから、ブラシ内部の異物およびブラシ外表面の異物を確実に除去することができる。
【0016】
前記シール手段は、前記洗浄液供給口を取り囲むように、ブラシ洗浄液供給ヘッドの突合せ部に設けられていてもよい。また、前記シール手段は、吐出管の端部に設けられた開口(38)を取り囲むように、当該吐出管の端部に設けられていてもよい。
請求項4記載の発明は、前記吐出管の端部(39)が前記ブラシ洗浄液導入孔外に位置しており、前記ブラシ洗浄液供給ヘッドの前記突合わせ部(56)が、前記ブラシ洗浄液導入孔外で前記吐出管の端部に突き合わされるようになっている、請求項3記載の基板処理装置である。
【0017】
この発明によれば、前記ブラシ洗浄液導入孔外(すなわち、ブラシの外部)で、前記ブラシ洗浄液供給ヘッドの突合せ部が前記吐出管の端部に突き合わされ、前記洗浄液供給口から当該吐出管内にブラシ洗浄液が供給される。これにより、吐出管の吐出口からブラシ洗浄液が吐出され、ブラシから異物が確実に除去される。
前記ブラシ洗浄液導入孔外で、前記突合せ部が前記吐出管の端部に突き合わされるので、前記突合せ部を前記吐出管の端部に突き合わせるときに高精度な位置決めを行う必要がない。すなわち、洗浄液供給口の少なくとも一部が、吐出管の端部に形成された開口に対向するように、前記突合せ部が前記吐出管の端部に突き合わされていれば、洗浄液供給口から当該吐出管内にブラシ洗浄液を供給することができる。したがって、前記突合せ部を前記吐出管の端部に突き合わせるときに、前記突合せ部および前記吐出管の端部をそれぞれ精度よく位置決めしなくてもよい。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記吐出管の端部(234b)が前記ブラシ洗浄液導入孔内に位置しており、前記ブラシ洗浄液供給ヘッドの突合せ部が、前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入される突出部(62)を含む、請求項3記載の基板処理装置である。
この発明によれば、前記ブラシ洗浄液供給ヘッドに設けられた突出部が、ブラシ洗浄液導入孔内に挿入され、このブラシ洗浄液導入孔内で、当該ブラシ洗浄液導入孔に位置する吐出管の端部に突き合わされる。そして、前記突出部が前記吐出管の端部に突き合わされた状態で、前記洗浄液供給口から吐出管内にブラシ洗浄液が供給される。これにより、吐出管の吐出口からブラシ洗浄液が吐出され、ブラシから異物が確実に除去される。
【0019】
前記ブラシ洗浄液導入孔内で前記突出部が前記吐出管の端部に突き合わされるので、たとえ前記吐出管の端部と前記突出部との間からブラシ洗浄液が漏れ出したとしても、当該漏れ出したブラシ洗浄液を確実にブラシに供給することができる。また、ブラシ洗浄液導入孔によって前記突出部を案内することができるので、この突出部と前記吐出管の端部との突き合わせ時の位置合わせも容易に行える。
【0020】
請求項6記載の発明は、前記ブラシ洗浄液供給手段は、前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入可能で、その周面(79a)にブラシ洗浄液を吐出するための吐出口(82)が形成された吐出管部(79)を備えている、請求項1記載の基板処理装置である。
この発明によれば、ブラシ洗浄液導入孔に吐出管部が挿入され、当該ブラシ洗浄液導入孔に当該吐出管部が挿入された状態で、当該吐出管部の周面に形成された吐出口からブラシ洗浄液が吐出される。これにより、ブラシ洗浄液導入孔にブラシ洗浄液が供給され、ブラシから異物が確実に除去される。この構成では、ブラシ側に吐出管を設けなくてもよいので、ブラシの構成を簡単にすることができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、前記待機位置で前記ブラシの外表面に外方からブラシ洗浄液を供給するための外側ブラシ洗浄液供給手段(63)と、前記待機位置に設けられ、前記ブラシを収容するとともに、当該ブラシから飛散する処理液を受け止める収容部材(21)とをさらに含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、外側ブラシ洗浄液供給手段によって、前記待機位置で、ブラシの外表面に外方からブラシ洗浄液が供給される。これにより、ブラシの外表面に付着している異物が除去される。すなわち、ブラシに対して、前記ブラシ洗浄液供給手段および前記外側ブラシ洗浄液供給手段の両方からブラシ洗浄液が供給されるので、当該ブラシの外表面に付着している異物がより確実に除去される。とくに、ブラシ内部から外表面に向けて供給されるブラシ洗浄液によってブラシ外表面に押し出された異物を、外側ブラシ洗浄液供給手段からのブラシ洗浄液の供給によって速やかに除去することができる。これにより、効率的にブラシを洗浄することができる。
【0022】
前記外側ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給は、前記ブラシ洗浄液供給手段と同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。
具体的には、前記ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給が行われた後に、前記外側ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給が行われてもよい。また、前記ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給が行われる前に、前記外側ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給が行われてもよい。
【0023】
また、外側ブラシ洗浄液供給手段から供給されるブラシ洗浄液は、前記ブラシ洗浄液供給手段から供給されるブラシ洗浄液と同種のものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。
さらに、前記外側ブラシ洗浄液供給手段からブラシへのブラシ洗浄液の供給は、ブラシが固定された状態で行われてもよいし、ブラシが回転された状態、たとえば、ブラシの中心軸線を通る回転軸線まわりに回転された状態で行われてもよい。すなわち、ブラシを回転させるためのブラシ回転手段(26)をさらに設けてもよい。
【0024】
前記ブラシ回転手段によってブラシを回転させつつ、前記外側ブラシ洗浄液供給手段から当該ブラシにブラシ洗浄液を供給することにより、当該ブラシの外表面にブラシ洗浄液を均一に供給することができる。これにより、ブラシの外表面に付着している異物が均一に除去される。
また、この発明によれば、ブラシから飛散するブラシ洗浄液等の液体が、収容部材によって受け止められる。したがって、前記待機位置の近傍に配置された部材が、ブラシから飛散する液体によって汚染されることが抑制される。さらに、収容部材によってブラシから飛散する液体が確実に回収される。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記基板処理位置と前記待機位置との間で前記ブラシを移動させるためのブラシ移動手段(19,20)をさらに含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、ブラシ移動手段によってブラシを前記基板処理位置に移動させることにより、この基板処理位置で、当該ブラシによる洗浄処理を基板に対して行うことができる。また、ブラシ移動手段によって前記ブラシを前記待機位置に移動させることにより、この待機位置で、前記ブラシ洗浄液供給手段から当該ブラシにブラシ洗浄液を供給させて、当該ブラシを洗浄することができる。
【0026】
請求項9記載の発明は、前記ブラシは、基板の周縁部(13,14,15)を洗浄するための周縁部洗浄ブラシ(18)を含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、ブラシ洗浄液供給手段によるブラシ洗浄処理を受けたブラシは、異物が確実に除去されているので、ブラシから基板の周縁部に異物が転移することを抑制しつつ、当該周縁部に対して良好な洗浄処理を行うことができる。
【0027】
請求項10記載の発明は、前記ブラシは、基板の主面を洗浄するための主面洗浄ブラシ(418,518)を含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の基板処理装置である。
この発明によれば、ブラシ洗浄液供給手段によるブラシ洗浄処理を受けたブラシは、異物が確実に除去されているので、ブラシから基板の主面に異物が転移することを抑制しつつ、当該主面に対して良好な洗浄処理を行うことができる。
【0028】
デバイスが形成される側の面である基板の表面が一つの主面であり、当該表面と反対の面である裏面が他の主面である。
前記基板処理装置は、さらに、基板を保持して回転する基板保持回転機構を有していてもよい。この場合、前記周縁部洗浄ブラシの基板処理位置は、基板保持回転機構に保持されて回転されている基板の周縁部に当接する位置である。また、前記主面洗浄ブラシの基板処理位置は、基板保持回転機構に保持されて回転している基板の主面に当接する位置である。主面洗浄ブラシが基板の主面よりも小さな範囲で基板主面に接するものである場合、主面洗浄ブラシの基板処理位置は、基板保持回転機構によって基板が回転されている期間中、基板の回転半径方向に移動されることが好ましい。基板処理位置を回転半径中心から基板周縁に至る範囲で移動させることにより、基板主面の全域を主面洗浄ブラシで走査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示す基板処理装置1の内部の図解的な側面図である。
この基板処理装置1は、基板の一例としての半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)を1枚ずつ処理する枚葉型の装置である。基板処理装置1は、隔壁で区画された処理室2内に、ウエハWをほぼ水平に保持して回転させるためのスピンチャック3と、ウエハWの表面(デバイスが形成される側の面:本実施形態においては上面)に処理液を供給するための表面ノズル4と、ウエハWの裏面(本実施形態においては下面)に処理液を供給するための裏面ノズル5と、ウエハWを洗浄するためのブラシ機構6とを備えている。
【0030】
スピンチャック3は、この実施形態では、真空吸着式のチャックである。このスピンチャック3は、ほぼ鉛直な方向に延びたスピン軸7と、このスピン軸7の上端に取り付けられて、ウエハWをほぼ水平な姿勢でその裏面(下面)を吸着して保持する吸着ベース8と、スピン軸7と同軸に結合された回転軸を有するスピンモータ9とを備えている。ウエハWの裏面が吸着ベース8に吸着保持された状態で、スピンモータ9が駆動されると、ウエハWがスピン軸7の中心軸線まわりに回転する。
【0031】
表面ノズル4および裏面ノズル5には、それぞれ処理液供給管10および処理液供給管11が接続されている。これらの処理液供給管10,11には、処理液バルブ12を介して、図示しない処理液供給源からの処理液が供給される。表面ノズル4は、処理液供給管10を通して供給される処理液を、スピンチャック3に保持されたウエハWの表面の中央に向けて吐出する。また、裏面ノズル5は、処理液供給管11を通して供給される処理液を、スピンチャック3に保持されたウエハWの裏面の周端縁と吸着ベース8との間に向けて吐出する。
【0032】
ノズル4,5に供給される処理液としては、たとえば純水が用いられている。処理液は、純水に限らず、炭酸水、イオン水、オゾン水、還元水(水素水)または磁気水などの機能水であってもよいし、アンモニア水またはアンモニア水と過酸化水素水との混合液などの薬液であってもよい。
ブラシ機構6は、スピンチャック3によるウエハWの保持位置よりも上方で略水平に延びる揺動アーム16と、ウエハWの回転範囲外に設定されて、揺動アーム16を支持するアーム支持軸17と、揺動アーム16の先端に保持されて、ウエハWの周縁部を洗浄するための周縁部洗浄ブラシとしてのブラシ18とを備えている。
【0033】
ウエハWの周縁部とは、ウエハWの表面の周縁領域13、ウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15を含む部分をいう。また、周縁領域13,14とは、たとえば、ウエハWの周端縁から幅数ミリメートル程度の環状の領域をいう。
アーム支持軸17は、鉛直方向に延びている。アーム支持軸17の上端部は、揺動アーム16の一端部(基端部)の下面に結合されている。アーム支持軸17には、ブラシ移動手段としての昇降駆動機構19が結合されている。アーム支持軸17には、昇降駆動機構19の駆動力が入力される。昇降駆動機構19により、アーム支持軸17を上下動させて、このアーム支持軸17と一体的に揺動アーム16を上下動させることができる。
【0034】
また、アーム支持軸17には、ブラシ移動手段としての揺動駆動機構20が結合されている。アーム支持軸17には、揺動駆動機構20の駆動力が入力される。揺動駆動機構20の駆動力をアーム支持軸17に入力して、アーム支持軸17を往復回転させることにより、揺動アーム16を、アーム支持軸17を支点に揺動させることができる。
具体的には、ブラシ18が、ウエハWに接触して当該ウエハWを洗浄する基板処理位置と、前記基板処理位置から退避して待機するときの待機位置との間で移動するように、揺動アーム16を揺動させることができる。図1に、ブラシ18が基板処理位置にあるときの揺動アーム16の位置を二点鎖線で示し、ブラシ18が待機位置にあるときの揺動アーム16の位置を実線で示す。
【0035】
揺動アーム16の先端部には、鉛直方向に延びるブラシ回転軸25が回転可能に設けられている。ブラシ回転軸25には、揺動アーム16の内部において、ブラシ18を回転させるためのブラシ自転機構26が結合されている。ブラシ自転機構26は、たとえば、ブラシ回転軸25と一体回転可能に連結されたプーリ27と、モータ29により駆動されるプーリ28と、この一対のプーリ27,28間に掛け渡されたベルト30とを含む。ブラシ回転軸25には、ホルダ取付部31を介して、ブラシホルダ32が取り付けられている。ブラシホルダ32の下方に、ブラシ18が取り付けられている。
【0036】
図2に示すように、待機位置には、ブラシ18を収容するための収容部材としての待機ポッド21が配置されている。待機ポッド21は、有底筒状の容器である。ブラシ18は、この待機ポッド21内において、待機させられる。待機ポッド21内には、後述のブラシ洗浄液供給機構53(図9参照)が設けられている。ウエハWに対する洗浄処理を行ったブラシ18には、この待機ポッド21内において、ブラシ洗浄液供給機構53からブラシ洗浄液が供給される。これにより、ブラシ洗浄液によってブラシ18を洗浄するブラシ洗浄処理が行われる。
【0037】
待機ポッド21には、第1洗浄液供給管22と、排液管23とが接続されている。第1洗浄液供給管22には、第1洗浄液バルブ24を介して、図示しないブラシ洗浄液供給源からのブラシ洗浄液が供給される。また、待機ポッド21内に溜まったブラシ洗浄液等の液体は、排液管23を介して、図示しない排液タンクに導かれる。
第1洗浄液供給管22に供給されるブラシ洗浄液としては、たとえば純水が用いられている。ブラシ洗浄液は、純水に限らず、炭酸水、イオン水、オゾン水、還元水(水素水)または磁気水などの機能水であってもよいし、アンモニア水またはアンモニア水と過酸化水素水との混合液などの薬液であってもよい。ブラシ洗浄液は、ノズル4,5から吐出される処理液と同種のものであってもよい。
【0038】
図3は、ブラシ18およびブラシホルダ32の縦断面図である。また、図4は、図3におけるIV−IV線に沿うブラシ18およびブラシホルダ32の横断面図である。
ブラシホルダ32は、略円柱状の樹脂ブロック33と、この樹脂ブロック33に固定された吐出管としての管部材34とを備えている。
樹脂ブロック33の上端部には、周面にねじが切られた雄ねじ部35が一体的に形成されている。雄ねじ部35は、ホルダ取付部31に螺着されている。これにより、ブラシホルダ32が、ホルダ取付部31に固定されている。
【0039】
また、管部材34は、図4に示すように、円管状をなしている。管部材34は、その中心軸線が樹脂ブロック33の中心軸線と一致するように配置されている。管部材34の上端部には、周面にねじが切られた雄ねじ部36が一体的に形成されている。雄ねじ部36は、樹脂ブロック33の下端部に形成された雌ねじ部37に螺着されている。これにより、管部材34が樹脂ブロック33に固定されている。
【0040】
管部材34の下面には、当該管部材34の内部空間に連通する開口38が形成されている。また、管部材34の下端には、当該下端からその外方に延び、開口38を取り囲む円環状のプレート部39が一体的に形成されている。このプレート部39は、吐出管としての管部材34の端部をなしている。
管部材34には、その周壁40を貫通する複数の貫通孔41が形成されている。図3に示すように、各貫通孔41は、管部材34の軸方向に間隔を隔てて形成されている。また、図4に示すように、各貫通孔41は、管部材34の周方向に間隔(たとえば中心角で90度間隔)を隔てて形成されている。各貫通孔41は、管部材34の内周面および外周面で開口している。すなわち、管部材34の外周面34aには、当該管部材34の内部空間に連通する複数の吐出口42が形成されている。後述するように、各吐出口42からは、開口38を通じて管部材34の内部空間に供給されたブラシ洗浄液が吐出されるようになっている。
【0041】
ブラシ18は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)などのスポンジ材によって形成されている。本実施形態では、ブラシ18が、鉛直軸線まわりに回転対称な略鼓状に形成されている。ブラシ18は、ウエハWの表面の周縁領域13および周端面15を洗浄するための第1洗浄部43と、ウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15を洗浄するための第2洗浄部44とを上下に一体的に備えている。
【0042】
第1洗浄部43は、その上部43aが略円筒状をなし、下部43bが下方に向けて狭まる略倒立円錐台状をなしている。第1洗浄部43の下部43bの側面は、上端縁が上部43aの側面の下端縁に連続し、その中心軸線に対して45度の傾斜角度を有して、下方ほど中心軸線に近づくように傾斜している。この第1洗浄部43において、下部43bの側面がウエハWの表面の周縁領域13および周端面15に当接する第1洗浄面45となっている。
【0043】
また、第2洗浄部44は、第1洗浄部43の下端に一体的に結合されて、第1洗浄部43と中心軸線を共有するように配置されている。この第2洗浄部44は、上部44aが下方に向けて拡がる略円錐台状をなし、下部44bが略円筒状をなしている。第2洗浄部44の上部44aの側面は、上端縁が第1洗浄部43の下部43bの側面の下端縁に連続し、その中心軸線に対して45度の傾斜角度を有して、下方ほど中心軸線から離れるように傾斜している。また、上部44aの側面の下端縁は、下部44bの側面の上端縁に連続している。この第2洗浄部44において、上部44aの側面がウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15に当接する第2洗浄面46となっている。
【0044】
ブラシ18には、ブラシ洗浄液が導入されるブラシ洗浄液導入孔47が形成されている。ブラシ洗浄液導入孔47は、ブラシ18の中心軸線に沿って延びており、当該ブラシ18を貫通している。管部材34は、ブラシ18の下方からブラシ洗浄液導入孔47に嵌合されている。管部材34の上端部に設けられた雄ねじ部36は、ブラシ18の上面から突出している。また、管部材34の下端に設けられたプレート部39は、ブラシ18の下面に当接している。ブラシ18は、樹脂ブロック33とプレート部39との間で挟持されている。このようにして、ブラシ18がブラシホルダ32に保持されている。
【0045】
ブラシ18は、その中心軸線がブラシ回転軸25の中心軸線と一致するように、ブラシホルダ32に保持されている。したがって、ブラシ自転機構26がブラシ回転軸25を回転させると、ブラシ18は、その中心軸線を回転軸線として回転する。
図5は、基板処理装置1の電気的構成を説明するためのブロック図である。
基板処理装置1は、マイクロコンピュータを含む制御部48を備えている。この制御部48には、使用者によって処理レシピ(ウエハWの処理のための各種条件)を入力するためのレシピ入力キー49が接続されている。さらに、制御部48には、スピンモータ9、処理液バルブ12、昇降駆動機構19、揺動駆動機構20、第1洗浄液バルブ24およびブラシ自転機構26などが制御対象として接続されている。
【0046】
図6は、基板処理装置1におけるウエハWの処理を説明するための工程図である。また、図7および図8は、ウエハWの処理中におけるブラシ18の状態を示す側面図である。
ウエハWの処理に先立ち、使用者によって、レシピ入力キー49が操作されて、ウエハWの周端面15に対するブラシ18の押し付け量が設定されている(ステップS1)。押し付け量とは、ウエハWの周端面15にブラシ18の洗浄面(第1洗浄面45または第2洗浄面46)を押し付けたときのブラシ18の弾性変形量をいう。
【0047】
その後、処理室2内にウエハWが搬入され(ステップS2)、そのウエハWがスピンチャック3に保持されると、制御部48によりスピンモータ9が制御されて、スピンチャック3によるウエハWの回転が開始される(ステップS3)。
次いで、制御部48により処理液バルブ12が開かれて、表面ノズル4および裏面ノズル5からそれぞれウエハWの表面および裏面への処理液の供給が開始される(ステップS4)。
【0048】
また、制御部48によりブラシ自転機構26が制御されて、ブラシ18が、たとえばウエハWの回転方向と同方向に回転される。その後、制御部48により昇降駆動機構19および揺動駆動機構20が制御されて、ブラシ18の第2洗浄面46がウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15に当接される(ステップS5)。
具体的には、まず、昇降駆動機構19が制御されて、ブラシ18がレシピ入力キー49から設定された押し付け量に応じた高さの位置に移動され、ブラシ18の第2洗浄面46がウエハWの周端面15に対向する。次に、揺動駆動機構20が制御されて、揺動アーム16が旋回し、ブラシ18が水平移動することにより、ブラシ18の第2洗浄面46にウエハWの周縁部が食い込み、図7に示すように、ブラシ18の第2洗浄面46がウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15に押し付けられる。これにより、ウエハWの裏面の周縁領域14および周端面15が洗浄される。
【0049】
ブラシ18の第2洗浄面46がウエハWに当接してから所定時間が経過すると、制御部48により昇降駆動機構19が制御されて、ブラシ18が所定の高さまで下降される。これにより、ブラシ18の第1洗浄面45にウエハWの周縁部が食い込み(ステップS6)、図8に示すように、ブラシ18の第1洗浄面45がウエハWの表面の周縁領域13および周端面15に押し付けられる。これにより、ウエハWの表面の周縁領域13および周端面15が洗浄される。
【0050】
ブラシ18の第1洗浄面45がウエハWに当接してから所定時間が経過すると、制御部48により昇降駆動機構19および揺動駆動機構20が制御されて、ブラシ18が待機位置に退避される(ステップS7)。また、ブラシ18が待機位置に戻される間に、ブラシ自転機構26が停止されて、ブラシ18の回転が停止される。さらに、制御部48により処理液バルブ12が閉じられて、表面ノズル4および裏面ノズル5からの処理液の供給が停止される(ステップS8)。
【0051】
その後は、制御部48によりスピンモータ9が制御されて、ウエハWが高速(たとえば、3000rpm)で回転される(ステップS9)。これにより、ウエハWに付着している処理液を振り切って、ウエハWを乾燥させることができる。
ウエハWの高速回転が所定時間にわたって続けられると、スピンモータ9が停止されて、スピンチャック3によるウエハWの回転が停止される(ステップS10)。そして、ウエハWが静止した後、その処理済みのウエハWが処理室2から搬出されていく(ステップS11)。
【0052】
図9は、待機ポッド21に関連する構成を示す縦断面図である。
待機ポッド21は、有底筒状の容器である。待機ポッド21の上面は開放されていて、ブラシ18を受け入れる入口が形成されている。ブラシ18は、この入口から待機ポッド21内に進入する。待機ポッド21は、円筒状の周壁50と、この周壁50の下端に結合された底部51とを含む。底部51の外側寄りの位置には、前述の排液管23が接続されている。また、底部51の中央部には嵌合孔52が形成されている。底部51の中央部には、ブラシ洗浄液供給機構53の一部をなすブラシ洗浄液供給ヘッド54が配置されている。
【0053】
ブラシ洗浄液供給機構53は、待機ポッド21の底部51に配置されたブラシ洗浄液供給ヘッド54と、このブラシ洗浄液供給ヘッド54に接続された前述の第1洗浄液供給管22と、この第1洗浄液供給管22に介装された第1洗浄液バルブ24とを備えている。
ブラシ洗浄液供給ヘッド54は、略円柱状をなしている。ブラシ洗浄液供給ヘッド54は、当該ブラシ洗浄液供給ヘッド54の下端部を構成する円柱状の小径部55と、当該ブラシ洗浄液供給ヘッド54の上端部を構成する円柱状の大径部56と、小径部55および大径部56の接続部分に形成された環状の段部57とを含む。
【0054】
大径部56は、管部材34のプレート部39とほぼ等しい外径にされている。大径部56の上面は略平坦面であり、その中央部には、ブラシ洗浄液が吐出される洗浄液供給口58が形成されている。また、大径部56の上面には、洗浄液供給口58を取り囲む環状溝59が形成されている。この環状溝59には、シール手段としてのOリング60が配置されている。
【0055】
また、小径部55の外径は、嵌合孔52の内径とほぼ等しくされている。小径部55は、液密的に嵌合孔52に嵌合している。また、段部57は、底部51の上面に液密的に係合している。これにより、ブラシ洗浄液供給ヘッド54と底部51との間に、ブラシ洗浄液等の液体が進入することが抑制または防止されている。
ブラシ洗浄液供給ヘッド54には、小径部55および大径部56を鉛直方向に貫通するブラシ洗浄液流路61が形成されている。このブラシ洗浄液流路61の下端には、第1洗浄液供給管22の一端が接続されている。また、このブラシ洗浄液流路61の上端は、洗浄液供給口58に連通している。第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61に供給されたブラシ洗浄液は、洗浄液供給口58から上方に向けて吐出される。
【0056】
図10は、待機ポッド21内でブラシ18にブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。
ブラシ18が待機位置に配置された状態において、ブラシ洗浄液供給ヘッド54の大径部56は、管部材34のプレート部39に突き合わされる。具体的には、制御部48が、揺動駆動機構20を制御して、ブラシ18を待機ポッド21の上方に移動させる。さらに、制御部48が、昇降駆動機構19を制御して、ブラシ18を降下させて待機ポッド21内に移動させる。これにより、大径部56がプレート部39に突き合わされる。このように、大径部56は、プレート部39に突き合わされる突合せ部として機能する。
【0057】
大径部56がプレート部39に突き合わされた状態で、管部材34の下面に形成された開口38と、大径部56の上面に形成された洗浄液供給口58は、互いに対向している。また、大径部56がプレート部39に突き合わされた状態で、Oリング60はプレート部39に押されて弾性的に撓んでいる。これにより、大径部56とプレート部39との間が、Oリング60によってシールされている。
【0058】
制御部48は、大径部56がプレート部39に突き合わされた状態で、第1洗浄液バルブ24を開いて、第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61にブラシ洗浄液を供給させる。第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61に供給されたブラシ洗浄液は、洗浄液供給口58から、その上方に配置された管部材34の開口38に向けて吐出される。これにより、管部材34の内部空間にブラシ洗浄液が供給される。管部材34内に供給されたブラシ洗浄液は、当該ブラシ洗浄液の供給圧によって、周壁40に形成された複数の貫通孔41を通って複数の吐出口42から吐出される。すなわち、ブラシ洗浄液導入孔47にブラシ洗浄液が供給され、このブラシ洗浄液はブラシ18の内部へと供給されることになる。
【0059】
前述のように、大径部56とプレート部39との間がOリング60によってシールされているので、洗浄液供給口58から吐出されたブラシ洗浄液は、大径部56とプレート部39との間から漏れ出すことなく、管部材34内に確実に供給される。そして、管部材34内のブラシ洗浄液に充分な圧力を与えることができるので、吐出口42から吐出されるブラシ洗浄液をブラシ18の内部へと染みこませ、その外表面にまで至らせることができる。
【0060】
また、大径部56は、ブラシ洗浄液導入孔47外で、プレート部39に突き合わされるので、大径部56をプレート部39に突き合わせるときにブラシ18を高精度で位置決めする必要はない。すなわち、洗浄液供給口58の少なくとも一部が管部材34の開口38に対向するように、大径部56がプレート部39に突き合わされていれば、洗浄液供給口58から管部材34内にブラシ洗浄液を供給することができる。したがって、大径部56をプレート部39に突き合わせるときに、大径部56およびプレート部39を精度よく位置合わせする必要はない。
【0061】
ブラシ洗浄液導入孔47に供給されたブラシ洗浄液は、当該ブラシ洗浄液導入孔47を区画するブラシ18の内表面を通って、当該ブラシ18の内部に移動し、さらに、当該ブラシ18の外表面に向かって移動する。そして、第1洗浄面45および第2洗浄面46等を含むブラシ18の外表面からブラシ洗浄液が押し出される。したがって、ブラシ18の内部にパーティクル等の異物が染み込んでいたとしても、当該異物は、ブラシ洗浄液とともにブラシ18の外表面から押し出される。また、ブラシ18の外表面から押し出されたブラシ洗浄液は、当該外表面を伝って流下していく。したがって、ブラシ18の外表面に異物が付着していたとしても、当該異物は、当該外表面を伝って流下するブラシ洗浄液によって洗い流される。これにより、ブラシ18から異物が確実に除去される。
【0062】
すなわち、ウエハWの洗浄に用いられたブラシ18には、ウエハW上の異物が転写され蓄積されていく。そのため、ウエハWの洗浄に用いられたブラシ18には、その外表面に異物が付着していたり、その内部に異物が染み込んでいたりする場合がある。したがって、ブラシ18の内方からその外表面に向けてブラシ洗浄液を供給することにより、ブラシ18の内部に染み込んでいる異物やブラシ18の外表面に付着している異物を確実に除去することができる。
【0063】
本実施形態では、ブラシ洗浄処理によってブラシ18から異物が確実に除去されるので、ブラシ洗浄処理が行われたブラシ18によってウエハWを洗浄するときに、ブラシ18からウエハWに異物が転移することを抑制しつつ、当該ウエハWの周縁部に対して良好な洗浄処理を行うことができる。
また、本実施形態では、ブラシ洗浄液供給機構53が待機位置に設けられているので、基板処理装置1の構造が複雑化することが抑制されており、簡易な構造で、ブラシ18にブラシ洗浄液を供給できるようになっている。
【0064】
すなわち、たとえば、揺動アーム16内のように(図2参照)、他の機構が存在し、かつ、著しく制限された空間にブラシ洗浄液供給機構53を配置すると、揺動アーム16内の構造が複雑になってしまう。そのため、基板処理装置1のコストアップを招くおそれがある。また、ブラシ洗浄液供給機構53を揺動アーム16内に配置した場合、当該揺動アーム16には、モータ29等の電気部品が存在するので、ブラシ洗浄液の漏液が生じた場合には、当該電気部品が故障するおそれがある。
【0065】
したがって、ブラシ洗浄液供給機構53を待機位置に設けることにより、揺動アーム16内にブラシ洗浄液供給機構53が設けられている場合に比べて、基板処理装置1の構造を単純にすることができる。また、ブラシ洗浄液供給機構53を待機位置に設けることにより、モータ29等の電気部品と当該ブラシ洗浄液供給機構53とを大きく離して配置することができるので、ブラシ洗浄液供給機構53からブラシ洗浄液が漏液したとしても、当該電気部品内にブラシ洗浄液が進入し、当該電気部品が故障することを抑制または防止することができる。
【0066】
図11は、本発明の第2実施形態に係るブラシ18、ブラシホルダ232および待機ポッド21の縦断面図である。また、図12は、待機ポッド21内でブラシ18にブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。この図11および図12において、前述の図1〜図10に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図10と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0067】
この第2実施形態と、前述の第1実施形態との主要な相違点は、吐出管としての管部材234の下端部234bが、ブラシ洗浄液導入孔47内に位置しており、ブラシ洗浄液供給ヘッド254の上端部に設けられた突合せ部としての突出部62が、ブラシ洗浄液導入孔47内で、管部材234の下端部234bに突き合わされることである。
管部材234は、円管状をなしており、ブラシ洗浄液導入孔47に嵌合されている。管部材234の上端部に設けられた雄ねじ部36は、ブラシ18の上面から突出しており、ブラシホルダ232の雌ねじ部37に螺着されている。また、管部材234の下面には、当該管部材234の内部空間に連通する開口38が形成されている。管部材234の下端部234bは、ブラシ洗浄液導入孔47内に位置している。また、管部材234の周壁40には、複数の貫通孔41が形成されており、その外周面234aには、当該管部材234の内部空間に連通する複数の吐出口42が形成されている。
【0068】
一方、ブラシ洗浄液供給ヘッド254の大径部256には、当該大径部256の上面から突出する突出部62が一体的に形成されている。突出部62は、大径部256の上面中央部に位置しており、管部材234とほぼ等しい外径にされている。ブラシ洗浄液が流通するブラシ洗浄液流路61は、突出部62の内部にまで延設されている。また、ブラシ洗浄液を吐出する洗浄液供給口58は、突出部62の上面に形成されている。さらに、Oリング60が収容された環状溝259が、洗浄液供給口58を取り囲むように突出部62の上面に形成されている。
【0069】
制御部48が、昇降駆動機構19および揺動駆動機構20を制御して、ブラシ18が待機位置に配置されると、突出部62は、当該ブラシ18の下方からブラシ洗浄液導入孔47に挿入され、その上面が管部材234の下端部234bに突き合わされる。これにより、管部材234の下面に形成された開口38と洗浄液供給口58とが互いに対向した状態となる。また、Oリング60によって、管部材234の下端部234bと突出部62の上面との間がシールされる。
【0070】
制御部48は、突出部62が管部材234の下端部234bに突き合わされた状態で、第1洗浄液バルブ24を開いて、第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61にブラシ洗浄液を供給させる。これにより、管部材234内にブラシ洗浄液が供給され、当該管部材234の外周面234aに形成された吐出口42からブラシ洗浄液が吐出される。また、吐出口42から吐出されたブラシ洗浄液は、ブラシ18の内部に供給される。これにより、ブラシ18の内方からブラシ18の外表面に向けてブラシ洗浄液が供給され、ブラシ18から異物が確実に除去される。
【0071】
本実施形態では、突合せ部としての突出部62が、ブラシ洗浄液導入孔47内で、管部材234の下端部234bに突き合わされるので、管部材234の下端部234bと突出部62の上面との間からブラシ洗浄液が漏れ出したとしても、当該漏れ出したブラシ洗浄液を確実にブラシ18に供給することができる。また、突出部62は、ブラシ洗浄液導入孔47によって案内されて管部材234の下端部234bに突き合わされるので、突出部62および下端部234bの位置合わせを確実に行うことができる。
【0072】
図13および図14は、本発明の第3実施形態に係るブラシ18、ブラシホルダ32および待機ポッド321の縦断面図であり、待機ポッド321内でブラシ18にブラシ洗浄液が供給されている状態を示している。この図13および図14において、前述の図1〜図10に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図10と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0073】
この第3実施形態と、前述の第1実施形態との主要な相違点は、待機位置でブラシ18の外表面に外方からブラシ洗浄液を供給するための外側ブラシ洗浄液供給手段としての外側ブラシ洗浄液供給機構63が設けられていることにある。
外側ブラシ洗浄液供給機構63は、ブラシ洗浄液を吐出する一対の洗浄ノズル64,64と、各洗浄ノズル64に接続された第2洗浄液供給管65とを備えている。この実施形態では、一対の洗浄ノズル64,64が、待機位置にあるブラシ18を挟んで対向する位置に設けられている。
【0074】
各第2洗浄液供給管65には、第2洗浄液バルブ66を介して、図示しないブラシ洗浄液供給源からのブラシ洗浄液が供給されるようになっている。第2洗浄液バルブ66の開閉は、制御部48によって制御される(図5参照)。
また、各洗浄ノズル64は、待機ポッド321の周壁350に接続されている。各洗浄ノズル64の吐出口64aからは、待機ポッド321の内側に向けてブラシ洗浄液が吐出されるようになっている。より具体的には、各洗浄ノズル64の吐出口64aから吐出されたブラシ洗浄液が、待機ポッド321内に収容されたブラシ18の外表面に供給されるように、当該吐出口64aの位置が設定されている。
【0075】
制御部48が、昇降駆動機構19および揺動駆動機構20を制御して、ブラシ18が待機位置に配置されると、ブラシ洗浄液供給ヘッド54の大径部56が管部材34のプレート部39に突き合わされる。そして、制御部48は、大径部56がプレート部39に突き合わされた状態で、第1洗浄液バルブ24を開いて、ブラシ洗浄液導入孔47にブラシ洗浄液を供給させる。これにより、ブラシ18の内方からブラシ18の外表面に向けてブラシ洗浄液が供給され、ブラシ18から異物が確実に除去される。
【0076】
一方、制御部48は、外側ブラシ洗浄液供給機構63からブラシ18にブラシ洗浄液させる。すなわち、制御部48は、図13に示すように大径部56がプレート部39に突き合わされた状態、または、図14に示すように昇降駆動機構19を制御して大径部56とプレート部39との間に隙間を生じさせた状態で、各第2洗浄液バルブ66を開いて、各洗浄ノズル64の吐出口64aからブラシ洗浄液を吐出させる。これにより、ブラシ18の外表面にその外方からブラシ洗浄液が供給され、当該ブラシ18の外表面に付着している異物が洗い流される。
【0077】
本実施形態では、ブラシ18に対して、ブラシ洗浄液供給機構53および外側ブラシ洗浄液供給機構63の両方からブラシ洗浄液が供給されるので、当該ブラシ18の外表面に付着している異物がより確実に除去されるようになっている。また、ブラシ洗浄液供給機構53からのブラシ洗浄液の供給によってブラシ18内部からその外表面に排出された異物は、外側ブラシ洗浄液供給機構63からのブラシ洗浄液の供給によって速やかに洗い流すことができる。さらに、外側ブラシ洗浄液供給機構63から供給されてブラシ18の外表面から飛散した処理液は、待機ポッド321の内周面によって受け止められる。したがって、待機位置の近傍に配置された部材が、ブラシ18から飛散するブラシ洗浄液等の液体によって汚染されることが抑制される。さらに、待機ポッド321によってブラシ18から飛散する液体が確実に回収される。
【0078】
外側ブラシ洗浄液供給機構63からブラシ18にブラシ洗浄液が供給されるとき、ブラシ18は、図13に示すように回転が停止されていてもよいし、図14に示すように回転させられていてもよい。すなわち、ブラシ自転機構26(図2参照)によってブラシ18をその中心軸線まわりに回転させつつ、外側ブラシ洗浄液供給機構63から当該ブラシ18にブラシ洗浄液を供給してもよい。回転中のブラシ18にその外方からブラシ洗浄液を供給することにより、当該ブラシ18の外表面にブラシ洗浄液を均一に供給することができる。これにより、ブラシ18の外表面に付着している異物が均一に除去される。ただし、ブラシ18を回転させるときには、図14に示すように、管部材34のプレート部39をブラシ洗浄液供給ヘッド54から離間した状態としておく。
【0079】
また、外側ブラシ洗浄液供給機構63からブラシ18へのブラシ洗浄液の供給は、ブラシ洗浄液供給機構53からの供給と同時に行われてもよいし(図13および図14参照)、別々に行われてもよい。すなわち、外側ブラシ洗浄液供給機構63からブラシ18へのブラシ洗浄液の供給は、ブラシ洗浄液供給機構53からブラシ18へのブラシ洗浄液の供給が行われた後に実施されてもよいし、ブラシ洗浄液供給機構53からブラシ18へのブラシ洗浄液の供給が行われる前に実施されてもよい。
【0080】
図15は、本発明の第4実施形態に係るブラシ418およびブラシホルダ432の縦断面図である。また、図16は、ウエハWの処理中におけるブラシ418の状態を示す側面図である。また、図17は、待機ポッド21内でブラシ418にブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。この図15〜図17において、前述の図1〜図12に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図12と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0081】
この第4実施形態と、前述の第2実施形態との主要な相違点は、ウエハWの主面を洗浄するための主面洗浄ブラシが、ブラシ418として用いられていることにある。ウエハWの主面とは、ウエハWの周端面以外の外表面、すなわち、表面が一方の主面であり、裏面が他方の主面である。
ブラシ418は、たとえば、PVA(ポリビニルアルコール)などのスポンジ材によって形成されている。図15に示すように、ブラシ418は、たとえば、略円板状の基部67と、この基部67の一方面上に設けられ、基部67よりも小径の略円柱状の胴部68とを一体的に備えている。基部67および胴部68は、各中心軸線が一致しており、ブラシ418は、その中心軸線まわりに回転対称な形状を有している。胴部68は、下面が下方に凸となる凸湾曲面状にされている。この胴部68の下面がウエハWの主面に押し付けられる第3洗浄面69となっている。
【0082】
ブラシ418には、ブラシ洗浄液が導入されるブラシ洗浄液導入孔447が形成されている。ブラシ洗浄液導入孔447は、ブラシ418の中心軸線に沿って延びており、当該ブラシ418を貫通している。ブラシ洗浄液導入孔447には、管部材234が嵌合されている。管部材234の上端部に設けられた雄ねじ部36は、ブラシ418の上面から突出しており、ブラシホルダ432の雌ねじ部37に螺着されている。管部材234の下端部234bは、ブラシ418のブラシ洗浄液導入孔447内に位置している。
【0083】
ブラシホルダ432は、略円柱状の樹脂ブロック433と、この樹脂ブロック433にブラシ418を固定するための固定部材70とを備えている。
樹脂ブロック433の下端部の周面には、その全周にわたって、断面略矩形状の嵌合溝71が形成されている。また、樹脂ブロック433の下端部には、嵌合溝71に対して径方向内側に微小な間隔を隔てた位置に、断面略U字状の切込溝72が周方向にわたって形成されている。嵌合溝71と切込溝72との間の部分は、樹脂の撓み性による弾性が付与された弾性片73となっている。弾性片73の外周面には、複数の半球状の係合突起74が形成されている。
【0084】
また、樹脂ブロック433の上端部には、扁平な円柱状の雄ねじ部435が一体的に形成されている。この雄ねじ部435の周面には、ホルダ取付部31に螺合可能なねじが切られている。
また、固定部材70は、略円形の外形を有する円板部75と、この円板部75の周縁から上方に延びる略円筒状の円筒部76とを一体的に備えている。円板部75の中央部には、ブラシ418の胴部68を挿通可能な挿通孔77が形成されている。円筒部76の内径は、ブラシ418の基部67の外径にほぼ一致し、また、弾性片73に外力が作用していない状態で、その弾性片73の外径よりも若干小さく形成されている。さらに、円筒部76の内周面には、各係合突起74と係合可能な複数の係合凹部78が形成されている。
【0085】
ブラシ418をホルダ取付部31に取り付けるときには、ブラシ418を、固定部材70に対して、胴部68が挿通孔77に挿通され、基部67が円筒部76内に収容されるように装着する。その後、固定部材70の円筒部76を樹脂ブロック433の嵌合溝71に嵌めて、各係合突起74と各係合凹部78とを係合させる。これにより、ブラシ418がブラシホルダ432に保持される。そして、ブラシホルダ432の雄ねじ部435をホルダ取付部31に螺着させることにより、ブラシ418のホルダ取付部31への取付けが達成される。
【0086】
また、ブラシ418によってウエハWの表面または裏面を洗浄するときには、制御部48が、昇降駆動機構19および揺動駆動機構20を制御して、たとえば、表面を上に向けてスピンチャック3に保持されたウエハWの上方に、ブラシ418を移動させる。そして、制御部48は、スピンチャック3によってウエハWを回転させつつ表面ノズル4からウエハWの表面に処理液を供給させ、昇降駆動機構19を制御して、図16に示すように、ブラシ418の第3洗浄面69をウエハWの表面に押し付けさせる。さらに、制御部48は、第3洗浄面69をウエハWの表面に押し付けさせた状態で、揺動駆動機構20を制御して、ブラシ418を水平方向に沿って移動させる。より具体的には、ブラシ418の第3洗浄面69をウエハWの回転中心から周端部までの範囲で移動させる。これにより、ウエハWの表面全域が走査されてスクラブ洗浄される。
【0087】
また、待機ポッド21内で、ブラシ洗浄液供給機構53からブラシ418にブラシ洗浄液を供給するときには、制御部48が、昇降駆動機構19および揺動駆動機構20を制御して、ブラシ418を待機ポッド21内に配置させ、ブラシ洗浄液供給ヘッド254に設けられた突出部62をブラシ418の下方からブラシ洗浄液導入孔447に挿入させる。さらに、制御部48は、図17に示すように、ブラシ洗浄液導入孔447内で、管部材234の下端部234bに突出部62を突き合わす。そして、制御部48は、突出部62が管部材234の下端部234bに突き合わされた状態で、第1洗浄液バルブ24を開いて、第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61にブラシ洗浄液を供給させる。これにより、ブラシ洗浄液導入孔447にブラシ洗浄液が供給される。
【0088】
ブラシ洗浄液導入孔447に供給されたブラシ洗浄液は、図17に示すように、ブラシ418の内表面から当該ブラシ418の内部に移動し、胴部68の周面および下面から押し出されていく。したがって、ブラシ418の内部に異物が染み込んでいたとしても、当該異物は、ブラシ洗浄液とともに胴部68の周面および下面から押し出される。また、胴部68の周面および下面に異物が付着していたとしても、当該異物は、当該周面および下面から押し出されるブラシ洗浄液とともに流下していく。これにより、ブラシ418から異物が確実に除去されるようになっている。
【0089】
本実施形態では、突合せ部としての突出部62が、ブラシ洗浄液導入孔447内で、管部材234の下端部234bに突き合わされるので、管部材234の下端部234bと突出部62の上面との間からブラシ洗浄液が漏れ出したとしても、当該漏れ出したブラシ洗浄液を確実にブラシ418に供給することができる。また、ブラシ洗浄液導入孔447によって突出部62を案内できるので、この突出部62と管部材234の下端部234bとを確実に位置合わせして突き合わせることができる。ブラシ洗浄処理が行われたブラシ418は異物が確実に除去されているので、ウエハWの主面を洗浄するときに、ブラシ418からウエハWの主面に異物が転移することを抑制しつつ、当該主面に対して良好な洗浄処理を行うことができる。
【0090】
図18は、本発明の第5実施形態に係るブラシ518、ブラシホルダ432および待機ポッド21の縦断面図である。また、図19は、ブラシ洗浄液供給ヘッド554の一部の拡大断面図である。また、図20は、待機ポッド21内でブラシ518にブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。この図18〜図20において、前述の図1〜図17に示された各部と同等の構成部分については、図1〜図17と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0091】
この第5実施形態と、前述の第4実施形態との主要な相違点は、主面洗浄ブラシとしてのブラシ518のブラシ洗浄液導入孔547内に挿入可能な吐出管部79が、ブラシ洗浄液供給ヘッド554に設けられていることにある。
吐出管部79は、ブラシ洗浄液供給ヘッド554の大径部556から鉛直方向に沿って延びている。吐出管部79は、大径部556の上面中央部に位置している。吐出管部79は、たとえば、その先端(上端)に向かうにつれて先細りとなっている。吐出管部79の内部空間とブラシ洗浄液流路61とは、連通されている。
【0092】
図19に示すように、吐出管部79の周壁80には、複数の貫通孔81が形成されている。また、吐出管部79の外周面79aには、当該吐出管部79の内部空間に連通する複数の吐出口82が形成されている。ブラシ洗浄液流路61を介して、吐出管部79の内部空間に供給されたブラシ洗浄液は、この複数の吐出口82から吐出される。また、ブラシ518に形成されたブラシ洗浄液導入孔547は、鉛直方向にブラシ518を貫通しており、吐出管部79が進入可能な大きさにされている。すなわち、ブラシ洗浄液導入孔547は、たとえば、少なくとも吐出管部79の先端が進入可能な大きさにされている。
【0093】
制御部48が、昇降駆動機構19および揺動駆動機構20を制御して、ブラシ518が待機位置に配置されると、吐出管部79は、当該ブラシ518の下方からブラシ洗浄液導入孔547に挿入される。このとき、ブラシ洗浄液導入孔547の内径が吐出管部79の外径よりも小さければ、ブラシ518が吐出管部79によって押されて弾性変形し、ブラシ洗浄液導入孔547の内径が押し広げられる。これにより、吐出管部79がブラシ洗浄液導入孔547内に挿入される。
【0094】
そして、吐出管部79がブラシ洗浄液導入孔547内に挿入されると、制御部48は、第1洗浄液バルブ24を開いて、第1洗浄液供給管22からブラシ洗浄液流路61にブラシ洗浄液を供給させる。これにより、ブラシ洗浄液導入孔547にブラシ洗浄液が供給される。ブラシ洗浄液導入孔547に供給されたブラシ洗浄液は、図20に示すように、ブラシ518の内表面から当該ブラシ518の内部に移動し、胴部68の周面および下面から押し出されていく。これにより、ブラシ518から異物が確実に除去される。
【0095】
本実施形態では、前述の第4実施形態と比べて、ブラシ洗浄液導入孔547の大きさを小さくすることができる。したがって、ウエハWの主面に押し付けられる第3洗浄面69の面積を増加させることができる。これにより、ウエハWの主面に対して良好な洗浄を行うことができる。また、ブラシ洗浄液導入孔547内に吐出管を設ける必要がないので、ブラシ518の構成を簡単にすることができる。
【0096】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第5実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の第1実施形態では、シール手段としてのOリング60が、大径部56の上面に形成された環状溝59内に配置されている例について説明したが、これに限らない。すなわち、たとえば、図21に示すように、プレート部39の下面に、開口38を取り囲む環状溝159を設け、この環状溝159内に、たとえば圧入や接着等によりOリング60を保持させてもよい。
【0097】
また、前述の第1〜第5実施形態では、処理対象となる基板としてウエハWを取り上げたが、ウエハWに限らず、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などの他の種類の基板が処理対象とされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の内部の図解的な側面図である。
【図3】ブラシおよびブラシホルダの縦断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿うブラシおよびブラシホルダの横断面図である。
【図5】基板処理装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【図6】基板処理装置におけるウエハの処理を説明するための工程図である。
【図7】ウエハの処理中におけるブラシの状態を示す側面図である。
【図8】ウエハの処理中におけるブラシの状態を示す側面図である。
【図9】待機ポッドに関連する構成を示す縦断面図である。
【図10】待機ポッド内でブラシにブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るブラシ、ブラシホルダおよび待機ポッドの縦断面図である。
【図12】待機ポッド内でブラシにブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るブラシ、ブラシホルダおよび待機ポッドの縦断面図である。
【図14】前記第3実施形態の別の動作状態を示す、ブラシ、ブラシホルダおよび待機ポッドの縦断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るブラシおよびブラシホルダの縦断面図である。
【図16】ウエハの処理中におけるブラシの状態を示す側面図である。
【図17】待機ポッド内でブラシにブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係るブラシ、ブラシホルダおよび待機ポッドの縦断面図である。
【図19】ブラシ洗浄液供給ヘッドの一部の拡大断面図である。
【図20】待機ポッド内でブラシにブラシ洗浄液が供給されている状態を示す縦断面図である。
【図21】本発明の第1実施形態の変形例に係る管部材およびブラシ洗浄液供給ヘッドの縦断面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 基板処理装置
13 周縁領域(基板の周縁部)
14 周縁領域(基板の周縁部)
15 周端面(基板の周縁部)
18 ブラシ(周縁部洗浄ブラシ)
19 昇降駆動機構(ブラシ移動手段)
20 揺動駆動機構(ブラシ移動手段)
21 待機ポッド(収容部材)
26 ブラシ自転機構(ブラシ回転手段)
34 管部材(吐出管)
34a 周面
38 開口
39 プレート部(吐出管の端部)
42 吐出口
45 第1洗浄面(接触面)
46 第2洗浄面(接触面)
47 ブラシ洗浄液導入孔
53 ブラシ洗浄液供給機構(ブラシ洗浄液供給手段)
54 ブラシ洗浄液供給ヘッド
56 大径部(突合せ部)
58 洗浄液供給口
60 Oリング(シール手段)
62 突出部(突合せ部)
63 外側ブラシ洗浄液供給機構(外側ブラシ洗浄液供給手段)
69 第3洗浄面(接触面)
79 吐出管部
82 吐出口
234 管部材(吐出管)
234a 周面
234b 下端部(吐出管の端部)
254 ブラシ洗浄液供給ヘッド
418 ブラシ(主面洗浄ブラシ)
447 ブラシ洗浄液導入孔
518 ブラシ(主面洗浄ブラシ)
547 ブラシ洗浄液導入孔
W ウエハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に接触する接触面を外表面に有し、内方から前記接触面に向けてブラシ洗浄液を供給するためのブラシ洗浄液導入孔が形成され、所定の基板処理位置で前記接触面を基板に接触させて基板を洗浄するためのブラシと、
前記ブラシが前記基板処理位置から退避して待機するときの待機位置に設けられ、前記ブラシ洗浄液導入孔にブラシ洗浄液を供給するブラシ洗浄液供給手段とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入されており、ブラシ洗浄液を吐出するための吐出口がその周面に形成された吐出管をさらに含み、
前記ブラシ洗浄液供給手段は、前記吐出管にブラシ洗浄液を供給するブラシ洗浄液供給ヘッドを含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ブラシ洗浄液供給ヘッドは、ブラシ洗浄液が吐出される洗浄液供給口と、この洗浄液供給口を取り囲み、前記吐出管の端部に突き合わされる突合せ部とを含み、
前記吐出管の端部と前記突合せ部との間をシールするためのシール手段をさらに含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記吐出管の端部が前記ブラシ洗浄液導入孔外に位置しており、
前記ブラシ洗浄液供給ヘッドの前記突合わせ部が、前記ブラシ洗浄液導入孔外で前記吐出管の端部に突き合わされるようになっている、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記吐出管の端部が前記ブラシ洗浄液導入孔内に位置しており、
前記ブラシ洗浄液供給ヘッドの突合わせ部が、前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入される突出部を含む、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記ブラシ洗浄液供給手段は、前記ブラシ洗浄液導入孔に挿入可能で、その周面にブラシ洗浄液を吐出するための吐出口が形成された吐出管部を備えている、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記待機位置で前記ブラシの外表面に外方からブラシ洗浄液を供給するための外側ブラシ洗浄液供給手段と、
前記待機位置に設けられ、前記ブラシを収容するとともに、当該ブラシから飛散する処理液を受け止める収容部材とをさらに含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板処理位置と前記待機位置との間で前記ブラシを移動させるためのブラシ移動手段をさらに含む、請求項1〜7の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記ブラシは、基板の周縁部を洗浄するための周縁部洗浄ブラシを含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記ブラシは、基板の主面を洗浄するための主面洗浄ブラシを含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−206358(P2009−206358A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48425(P2008−48425)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】