説明

基板処理装置

【課題】排気システムのコストを低減することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板に処理を施す処理室と、前記基板を前記処理室へ搬送する搬送装置を備えた搬送室12と、前記搬送室に連結された減圧可能な複数の予備室14a,14bと、前記複数の予備室に接続された排気装置50と、前記複数の予備室の排気をそれぞれ制御する複数の排気弁61−63と、前記複数の排気弁を制御する第二の制御手段89と、前記複数の排気弁のうちの一が開状態で、他の前記排気弁を開待ちとさせるように制御する第一の制御手段86と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという)を作り込む半導体ウエハ(以下、ウエハという)に絶縁膜や金属膜および半導体膜を形成する基板処理装置としては、ウエハに処理を施す複数の処理室と、ウエハを各処理室へ搬送する第一搬送装置を備えた第一搬送室と、大気圧状態でウエハを搬送する第二搬送装置を備えた第二搬送室と、第一搬送室と第二搬送室とを連結した減圧可能な予備室と、予備室を開閉するバルブと、第一搬送室と第二搬送室と予備室とに設けられた排気装置と、第一搬送装置および第二搬送装置を制御する制御手段と、を備えている半導体製造装置がある。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−7030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体製造装置においては、複数の処理室および第一搬送室に排気装置がそれぞれ接続されているとともに、各排気ラインがそれぞれ独立しているために、例えば、複数の処理室が同時に排気しても、処理室相互の内圧に影響を及ぼすことがなかった。
しかしながら、複数の処理室および第一搬送室に排気装置がそれぞれ接続された半導体製造装置においては、複数の処理室および第一搬送室毎にポンプやそれに付随する排気構成部品を用意する必要があるので、部品点数の増加、取付位置の確保、イニシャルコストの増加およびランニングコストの増加が問題となっていた。
【0005】
本発明の目的は、排気システムのコストを低減することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
基板に処理を施す処理室と、
前記基板を前記処理室へ搬送する搬送装置を備えた搬送室と、
前記搬送室に連結された減圧可能な複数の予備室と、
前記複数の予備室に接続された排気装置と、
前記複数の予備室の排気をそれぞれ制御する複数の排気弁と、
前記複数の排気弁を制御する第二の制御手段と、
前記複数の排気弁のうちの一が開状態で、他の前記排気弁を開待ちとさせるように制御する第一の制御手段と、
を備えている基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
前記した手段によれば、排気システムのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である半導体製造装置を示す平面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である半導体製造装置を示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施形態である半導体製造装置における処理室を示す斜視図である。
【図4】ウエハ処理時の内側移載装置周辺を示す平面図である。
【図5】ウエハ移載フローを示す各模式的平面図および各縦断面図である。
【図6】ウエハ移載フローの続きを示す各模式的平面図および各縦断面図である。
【図7】共用排気システムを示す図である。
【図8】排他制御を示すプロセスフローである。
【図9】信号条件待ち制御を示す図である。
【図10】排気弁開待ち画面を示すレシピ編集画面図である。
【図11】第二ロードロック室を使用して搬送室を排気する制御フローを示すフローチャートである。
【図12】排気の流れを示す図である。
【図13】排気レシピ登録画面を示すシステムコンフィグ画面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0010】
本実施形態において、本発明に係る基板処理装置は、半導体製造装置10として構成されている。
図1に示されているように、半導体製造装置10は第一搬送室としての搬送室12を中心として、2つのロードロック室(予備室)14a、14bおよび2つの処理室16a、16bが配置されている。2つのロードロック室14a、14bの上流側には第二搬送室であるEFEM(Equipment Front End Module)18が配置されている。
【0011】
図示しないが、EFEM18は3台のキャリアを搭載することができる構造になっている。キャリアには25段のスロットが形成されており、各段のスロットはウエハを1枚ずつ保持するように構成されている。したがって、キャリアは最小1枚から最大25枚のウエハを収容可能である。
図示しないが、EFEM18内には第二搬送装置としてのウエハ移載装置(wafer transfer equipment)が設置されており、ウエハ移載装置は大気中にて同時に複数枚(通例、5枚)を移載することができる。ウエハ移載装置は2つのロードロック室14a、14bとの間のウエハ移載を可能にしている。
【0012】
図2に示されているように、ロードロック室14a、14bには支持台20が設けられており、支持台20は25枚のウエハを縦方向に一定間隔を隔てて収容する。支持台20は、例えば炭化珪素やアルミで構成しており、上部板22と下部板24とを接続する例えば3つの支柱26を有する。支柱26の長手方向内側には例えば25個の載置部28が平行に形成されている。
また、支持台20は、ロードロック室14a、14b内において、鉛直方向に移動(上下方向に移動)するように構成されているとともに、鉛直方向に延びる回転軸を軸として回転するように構成されている。
【0013】
搬送室12には第一搬送装置としてのウエハ移載装置30が設置されている。ウエハ移載装置30はロードロック室14a、14bと処理室16a、16bとの間でウエハ1を搬送する。ウエハ移載装置30はフィンガーアッシー32が設けられたアーム34を備えている。フィンガーアッシー32は上フィンガー32aと下フィンガー32bとを有する。上フィンガー32aと下フィンガー32bとは同一の形状をしており、上下方向に所定の間隔で離間され、アーム34からそれぞれ略水平に同じ方向に延びて、ウエハ1をそれぞれ支持する。アーム34は鉛直方向に延びる回転軸を中心として回転するように、かつ、水平方向に移動するように構成されている。
搬送室12と処理室16a、搬送室12と処理室16bは、ゲートバルブ35(図3参照)を介してそれぞれ連通している。
【0014】
したがって、搬送室12に設置されたウエハ移載装置30は、ロードロック室14a、14bにストックされた未処理ウエハを同時に2枚ずつゲートバルブ35を介して処理室16a、16bへ移載することができるとともに、処理済ウエハを一度に2枚ずつ処理室16a、16bからロードロック室14a、14bに移載することができる。
【0015】
図3に示されているように、処理室16には2つの保持台37、37が載置されている。搬送室12側の保持台37を第一処理部36、他方の保持台37を第二処理部38とする。第一処理部36と第二処理部38はおのおの独立した構造となっており、装置全体からみると、ウエハ処理流れ方向と同方向一列になっている。すなわち、第二処理部38は、搬送室12から第一処理部36を挟んで遠方に配置されている。
第一処理部36と第二処理部38とは連通し、処理室16内は300℃までの昇温が可能である。第一処理部36と第二処理部38は、例えばアルミニウムで形成され、内挿したヒータ(不図示)により加熱される。
省スペース、低コスト化の目的を達成するため、ロードロック室14a、14b、搬送室12および処理室16a、16bを例えばアルミニウム一部品にて形成してもよい。
【0016】
処理室16内の第一処理部36と第二処理部38の間の内側寄りには、処理室内ウエハ移載装置(以下、内側移載装置という)40が設けられている。内側移載装置40はウエハ移載装置(以下、外側移載装置という)30によって搬送された2枚の未処理ウエハのうちの1枚を第二処理部38に移載し、さらに、第二処理部38の処理済ウエハを外側移載装置30のフィンガーアッシー32上へ移載する。
【0017】
図4は、処理部16内の内側移載装置40が第二処理部38側に待機している時(ウエハ処理時)の状態を示す。
内側移載装置40は、ウエハの外径より大きな円弧部43aと、円弧部43aから切欠かれた切欠き部43bと、円弧部43aから円弧部の中心にむかって略水平に設けられたウエハを載置する爪部43cと、円弧部43aを支えるフレーム部43dが設けられたアーム47と、を有する。
円弧部43aとフレーム部43dとは連続して形成され、アーム47から略水平に装着され、爪部43cを介してウエハ1を支持する。
アーム47は、鉛直方向に延びる軸部43eを回転軸として回転するように、かつ、鉛直方向に昇降するように構成されている。
切欠き部43bは、軸部43eが回転し、第一処理部36側に位置するときに、搬送室12と処理室16との間に設けられたゲートバルブ35と向かい合う位置に配置する。
したがって、内側移載装置40は、回転軸である軸部43eの回転、昇降動作に伴い、回転動作や昇降動作を行うので、外側移載装置30によって処理室16内に搬送された2枚のウエハのうち、1枚のウエハを第一処理部36上方から搬送室12の遠方にある第二処理部38に搬送して載置することができる。
内側移載装置40は、第一処理部36および第二処理部38からの熱輻射により高温(200℃くらい)になるため、耐プラズマ性、耐高熱性である例えばアルミナセラミックス、石英、SiC(炭化珪素)、AlN(窒化アルミニウム)等から形成するのが好ましい。金属部品に比べ熱膨張係数の小さい例えばアルミナセラミックスで形成することで、熱変形によるたわみ等による搬送信頼性劣化を防止することができる。ただし、内側移載装置40の基部には位置・レベル調整のため、金属部品を使用する。
【0018】
第一処理部36および第二処理部38は、処理室16内において固定部材(不図示)により装置本体11に固定されている。第一処理部36外周には3つの第一保持ピン39aが鉛直方向に貫通しており、第一保持ピン39aが上下に昇降することで、ウエハ1を略水平に昇降させる。第二処理部38外周には3つの第二保持ピン39bが鉛直方向に貫通しており、第二保持ピン39bが上下に昇降することで、ウエハ1を略水平に昇降させる。したがって、ゲートバルブ35を介して外側移載装置30により搬送されたウエハ1は、保持ピン39a、39bを介して保持台37に載置されるようになっている。つまり、モータが回転および逆回転することにより、第一保持ピン39a、第二保持ピン39bが上下方向に移動する。
【0019】
図5および図6に処理室16内におけるウエハ移載のフローの概要を示す。
図5(a)〜(d)および図6(e) 〜(h)において、上図は処理室16の上面図であり、下図は上図の断面をイメージした図で、説明用図面である。
下図では、保持ピン39aの一つが第一処理部36内のゲートバルブ35に近い箇所に設けられている。これは説明の便宜上のものである。実際には上図のように、第一処理部36内のゲートバルブ35に近い箇所、すなわち、外側移載装置30が図5(c)上図のように待機する箇所には、保持ピン39aは設けられていない。
なお、以下の説明において、半導体製造装置10を構成する各部の動作はコントローラ84により制御する。
まず、処理室16内は搬送室12と同圧に減圧化される。
【0020】
(ステップ1 図5(a))
ゲートバルブ35が開き、第一処理部36の第一保持ピン39aと第二処理部38の第二保持ピン39bが上昇する。内側移載装置40は第二処理部38側に待機し、第一保持ピン39a、第二保持ピン39bと共に上昇する。
【0021】
(ステップ2 図5(b))
内側移載装置40は、軸部43eが回転することで、略水平に第一処理部36側へ移動する。この際、内側移載装置40の切欠き部43bは、ゲートバルブ35と向かい合っている。
【0022】
(ステップ3 図5(c))
外側移載装置30が上フィンガー32aと下フィンガー32bに載置された2枚のウエハ1、1を同時に搬送しながら、搬送室12からゲートバルブ35を介して処理室16に移動し、第一処理部36の上方にて停止する。その際、内側移載装置40はフィンガーアッシー32の上フィンガー32aと下フィンガー32bの間に収まる高さ位置にて待機している。
【0023】
(ステップ4 図5(d))
外側移載装置30はそのまま動作しない状態にて、第一処理部36の第一保持ピン39aが上昇し、下フィンガー32bに載置されたウエハを第一保持ピン39a上に載置する。さらに、内側移載装置40が上昇することで、上フィンガー32aに載置されたウエハを内側移載装置40の爪部43c上に載置する。
【0024】
(ステップ5 図6(e))
外側移載装置30は、搬送室12内に戻る。
【0025】
(ステップ6 図6(f))
内側移載装置40は、ウエハ1を載置した状態で、軸部43eが回転することで略水平に第二処理部38側へ移動する。
ゲートバルブ35が閉まる。
【0026】
(ステップ7 図6(g))
軸部43eが下降して、内側移載装置40は、第二処理部38の外周下方に移動する。
内側移載装置40はウエハ処理中も処理室16内に待機することになるため、第二処理部38上方から供給される処理ガス(例えばO2 ラジカル等)のガスの流れを阻害し、ウエハ面内の均一性を悪化させる危惧がある。そのため、第二処理部38の外周のガス流れを阻害しない高さへと移動する。
【0027】
(ステップ8 図6(h))
第一処理部36の第一保持ピン39aおよび第二処理部38の第二保持ピン39bがウエハ1を略水平に保持した状態で略同時に下降し、ウエハ1を保持台37に載置する。すなわち、それぞれのウエハと、それらのウエハに対応した保持台との距離が互いに等しくなるよう、ウエハを下降させる。第一処理部36および第二処理部38それぞれのウエハへの熱影響を同じにするためである。
熱影響を同じにすることにより、例えばそれぞれのウエハのアッシングレートを均一にすることができる。まったく同じ熱影響とする必要は無く、アッシングレートが均一にさえなれば、誤差があってもよい。誤差は、例えば2秒程度である。
第一保持ピン39aと第二保持ピン39bを略同時に下降して、熱影響を同じとする代わりに、ヒータを個別に制御してもよい。
また、本実施形態では、保持ピン39が下がるが、保持台37が上下するように構成にしてもよい。
【0028】
その後、処理室16内にガスを供給し、プラズマ生成(アッシング処理)がなされ、基板処理後は、逆のシーケンスを実行し、処理済ウエハ1、1を搬出する。
【0029】
図7は本発明の基板処理装置に係る共用排気システムを示している。
本実施形態においては、図7に示されているように、搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとが排気装置としてのポンプ50を共用している。
すなわち、ポンプ50には搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとが、スロー排気ラインである第一排気ライン51と、メイン排気ラインである第二排気ライン52と、メイン排気ラインである第三排気ライン53と、によってそれぞれ接続されている。第一排気ライン51と第二排気ライン52と第三排気ライン53とには、第一排気弁61と第二排気弁62と第三排気弁63とがそれぞれ介設されている。第二排気ライン52にはスロー排気ライン54が第二排気弁62を迂回するように接続されており、スロー排気ライン54にはスロー排気弁64が介設されている。第三排気ライン53にはスロー排気ライン55が第三排気弁63を迂回するように接続されており、スロー排気ライン55にはスロー排気弁65が介設されている。
第一排気弁61〜第三排気弁63およびスロー排気弁64、65は、コントローラ84によって制御されるようになっている。コントローラ84はポンプ50を使用しているかどうかを、第一排気弁61〜第三排気弁63およびスロー排気弁64、65が開いているかどうかで判断する。
なお、第一排気弁が介設されている実質的にスロー排気ラインである第一排気ラインは、真空状態を保つために(真空状態の圧力を一定に保持するために)使用され、搬送室12を真空排気する場合には用いられない。
【0030】
図7に示されているように、コントローラ84は操作部85および制御部86を備えている。操作部85はオペレータとのインタフェース手段を持つ。第一の制御手段としての制御部86は機構部や下位コントローラ、オペレータから指示された作業を実現する。
また、第三の制御手段としてのGEMコントローラ88がハブ87を介してLANにて接続される。GEMコントローラ88はユーザのホストコンピュータ(図示せず)に接続され、工場内の自動化システムを実現する。
さらに、第二の制御手段としてのPLC(Programmable Logic Controller)89を備えており、PLC89は処理室16aや16b、ロードロック室14a、14bおよびウエハ移載装置30、40等々に接続された機器を制御する。制御部86とPLC89とはI/O機器専用のデバイスネットによって接続されている。
【0031】
ところで、従来のこの種の半導体製造装置においては、例えば、ポンプは搬送室12や第一ロードロック室14aおよび第二ロードロック室14b毎にそれぞれ接続されている。そのため、搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとが各ポンプによって同時にそれぞれ排気されても、搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとの内圧相互に影響を及ぼすことはない。
【0032】
しかし、本実施形態においては、図7に示されているように、搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとが一つのポンプ50を共用しているので、搬送室12と第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとの内圧相互に影響を及ぼすことになる。
そのため、搬送室12や第一ロードロック室14aおよび第二ロードロック室14bのいずれかでポンプ50を使用している場合に、その他の室に影響を及ぼさない仕組みが必要である。例えば、第一ロードロック室14aがポンプ50を使用している時には、第二ロードロック室14bおよび搬送室12はポンプ50を使用不可能とする排他制御を実施する必要がある。
ポンプ50を使用しているかどうかは、コントローラ84はその関連バルブが開いているかどうかで判断する。例えば、図7において、スロー排気弁64が開いている場合には、第一ロードロック室14aがポンプ50を使用していると、判断する。したがって、コントローラ84は搬送室12および第二ロードロック室14bのポンプ50の使用を制限する。
【0033】
図8は排他制御のプロセスフローを示している。
操作部85より受け取った第一ロードロック室14aのレシピ実効命令で制御部86は、レシピ内容の解析を実施する。
レシピの内容で「スロー排気弁64開」を認識すると、「スロー排気弁64開命令」をデバイスネットを介してPLC89へ発行する。
PLC89はスロー排気弁64を開き、モニタ情報を制御部86へ送信する。
制御部86は開状態を認識して、レシピを続行する。
【0034】
その後、第一ロードロック室14aのスロー排気弁64開の間に、操作部85からの第二ロードロック室14bの排気レシピ実行命令により、制御部86はスロー排気弁65開命令をデバイスネットを介してPLC89へ発行する。
PLC89では、制御部86より受信した第二ロードロック室14bのスロー排気弁65開命令が第一ロードロック室14aにおいて現在使用中であるので、スロー排気弁64が閉じるのを待って、その後、PLC89内において保持していたスロー排気弁65開命令を実行することにより、排気の排他制御を実現する。
予め、PLC89では、排気弁61〜65のいずれが、搬送室12、第一ロードロック室14aおよび第二ロードロック室14bと関連するかの情報を、登録している。
PLC89は、搬送室12と第一排気弁61とを第一グループとし、第一ロードロック室14aと第二排気弁62とスロー排気弁64とを第二グループとし、第二ロードロック室14bと第三排気弁63とスロー排気弁65とを第三グループとして、登録している。
PLC89は第二グループの第二排気弁62またはスロー排気弁64が開いている場合は、第二グループの開要求のみを受け付け、第一グループおよび第三グループの開要求を第二グループの第二排気弁62およびスロー排気弁64が閉じるまで保留する。
【0035】
以上の排他制御は、半導体製造装置10内のレシピ制御にて実施される。レシピは、半導体製造装置でのウエハ処理手順が記述された情報である。通常のレシピの制御では、複数のステップがシーケンシャルに実行される。
レシピがシーケンシャルに実行されるに際しては、第一ロードロック室14aの排気要求と第二ロードロック室14bの排気要求とが競合するタイミングが起き、いずれかの排気要求は排気弁開待ち状態になってしまう。その状態で、レシピがそのまま続行されると、ウエハ処理に重大な問題が発生してしまうため、レシピの制御では、排気弁が確実に開した後に、次の処理を実施しなければならない。
【0036】
図9(a)に示されているように、第一ロードロック室14aのスロー排気弁64の開状態時に、第二ロードロック室14bのスロー排気弁65に排気要求66が発行されると、スロー排気弁65は開待ち状態になってしまう。この開待ち状態で、第二ロードロック室14bにおいてレシピがそのまま続行されると、ウエハ処理に重大な問題が発生してしまう。したがって、レシピの制御においては、図9(b)に示されているように、第二ロードロック室14bのスロー排気弁65が開いた後に、第二ロードロック室14bにおいて、レシピの次のステップを開始させる必要がある。
そこで、本実施形態に係るレシピの制御においては、第二ロードロック室14bのスロー排気弁65が開くのを待って、レシピにおける次のステップを開始させる制御を追加した。この制御を信号条件待ちと呼ぶ。
図10に示されたレシピ編集画面の排気弁開待ち画面において、例えば、「信号条件待ち」釦を押下して、「信号条件待ち」を設定する画面(ダイアログボックス)を表示して、「スロー排気バルブOpen待ち」を選択して、「スロー排気弁65開待ち」を有効にして実行した場合には、制御部86でのレシピ制御はこの「スロー排気弁65開待ち」があると、シーケンサの情報におけるスロー排気弁65開情報が来るまで、レシピを次のステップへ進ませないようにする。
【0037】
次に、本実施の形態のように、ポンプが搬送室12に直接接続されていない場合の排気制御を説明する。
搬送室12に排気制御の構成がない場合には、排気制御は隣接している第一ロードロック室14aの第二排気ライン52または第二ロードロック室14bの第三排気ライン53を使用して排気を実現する。
なお、ポンプ50に接続された第一排気ライン51があるが、第一排気ライン51は真空状態であった場合の真空を保つための補助ラインでのみ使用することができる。
【0038】
図11は第二ロードロック室14bを使用して搬送室12を排気する制御フローを示している。図12は排気の流れを示す図である。図13はシステムコンフィグ画面での排気レシピ登録画面を示している。
図11に示されているように、操作部85は制御部86に対して搬送室12の排気を要求する。
最初に、制御部86は搬送室12と第二ロードロック室14bとの間のゲートバルブをオープンするために、搬送室12と第二ロードロック室14bとの間の圧力を同一の圧力にする圧力制御を実施する。この圧力制御(同圧化)はレシピにて実行する。
本制御のためにどのレシピを使用するかは、図13に示されたシステムコンフィグ画面の排気用レシピ登録画面において、システムコンフィグパラメータとして搬送室12を排気するための排気用レシピを登録しておく。レシピ登録については後述する。
この圧力制御(同圧化)レシピ選択の際に、対象ロードロック室の圧力と搬送室の圧力とによって実施するレシピの種類が違ってくる。
対象ロードロック室と搬送室との圧力差が、「ロードロック室>搬送室」の場合には、ロードロック室の圧力を低下させる第四レシピを実行する。
対象ロードロック室と搬送室との圧力差が、「ロードロック室<搬送室」の場合には、ロードロック室の圧力を上昇させる第五レシピを実行する。
【0039】
以上のレシピが終了したら、搬送室12と第二ロードロック室12bとの間のゲートバルブを開く。これにより、図12に示されているように、搬送室12は隣接した第二ロードロック室12bと一続きになる。
その後、パラメータとして予め登録されている搬送室12を排気するための排気用レシピを実行して、目的圧力に調整する。排気用レシピとしては、真空排気処理(減圧処理)するためのレシピと、ガスを供給して大気圧に戻す処理(大気圧復帰処理)をするためのレシピと、前述の同圧化レシピと、が少なくとも含まれる。
操作部85からの要求が、EVAC(真空排気処理)であれば第一レシピを、VENT(大気圧復帰処理)であれば第二レシピを、リークチェックであれば第三レシピ(リークチェックレシピ)を、それぞれ実行する。ここで、リークチェックレシピも排気用レシピに含めてもよい。
第一レシピ(EVACレシピ)が実行されると、ロードロック室の排気弁を開するロードロック室の排気が実行され、その際には、ゲートバルブが開いているので、そのまま、搬送室12側も一緒に排気することになる。逆に、第二レシピ(VENTレシピ)が実行されると、ロードロック室の窒素(N2 )弁が開かれ、搬送室12も一緒に給気されることになる。
以上のレシピが終了になったら、ゲートバルブを閉じる。
なお、搬送室12の処理種別が搬送室12のリークチェックであれば、第三レシピ(リークチェックレシピ)が実行され、ゲートバルブ閉じ後に、搬送室12内のリークチェックが実行される。
【0040】
前述したレシピ登録は、図13に示されたシステムコンフィグ画面での排気用レシピ登録画面にて登録する。また、登録画面には、搬送室12を排気するためのレシピ指定が第一ロードロック室14aと第二ロードロック室14bとにそれぞれ存在する。これは、それぞれの状態によっては搬送室12を排気するのは、第一ロードロック室14aがよい場合と、第二ロードロック室14bがよい場合とが発生する可能性があるため、第一ロードロック室14aまたは第二ロードロック室14bのどちらからでも排気することができるようにするためである。
これらの処理をプログラム固定で実施するのではなく、レシピで実行すること、および当該実行レシピも作成済みのレシピの中から選択可能であることにより、処理内容をオペレータが簡単に変更することができるので、排気仕様変更に対しては柔軟に対応することができる。
【0041】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0042】
(1)排気に必要なポンプ、排気配管、バルブ、A/D変換機等の部品削減により、コストを低減することができる。
【0043】
(2)オペレータは搬送室や他のロードロック室の使用状態を気にする必要がなく、従来の排気システムと同様に、搬送室やロードロック室で個別にレシピを実行することができる。また、搬送室とロードロック室とを同圧化した後に、搬送室およびロードロック室の真空排気処理または大気圧復帰処理を行うので、実質的に搬送室とロードロック室を1つの室として扱うことが可能となるため、排気制御が効率良く行える。
【0044】
(3)排気仕様ないしは排気条件の変更に対しては、プログラム変更なく、レシピの内容を変更することにより、オペレータ自身が簡単に変更することができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0046】
例えば、本発明は、ウエハに絶縁膜や金属膜および半導体膜を形成する成膜処理に限らず、酸化処理や拡散処理、イオン打ち込み後のキャリア活性化や平坦化のためのリフローやアニール等々の基板処理全般に適用することができる。
【0047】
また、ICを作り込むウエハに処理を施す基板処理装置に限らず、LCD装置のガラス基板に処理を施す基板処理装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0048】
次に、本発明の好ましい他の実施態様を付与する。
[実施態様1]
基板を処理する少なくとも一つの処理室と、
前記基板を前記処理室へ搬送する搬送装置を備えた搬送室と、
前記搬送室に連結された減圧可能な複数の予備室と、
前記複数の予備室に接続された排気装置と、
前記予備室を排気するための複数の排気弁と、
前記複数の排気弁を制御する第二の制御手段と、
前記予備室を排気するために複数のステップで構成されている排気レシピを実行する第一の制御手段とを設けた基板処理装置であって、
前記第一の制御手段は、前記複数の排気弁のうちの一つが開状態のとき、他の予備室を排気するための排気弁を開待ちにする基板処理装置。
[実施態様2]
実施態様1において、前記第一の制御手段は、他の予備室を排気するための排気弁を開にするステップを実行させずに待機する基板処理装置。
【符号の説明】
【0049】
1 ウエハ(基板)
1A 処理済ウエハ
12 搬送室
14a 第一ロードロック室
14b 第二ロードロック室
50 ポンプ(排気装置)
51 第一排気ライン(スロー排気ライン)
52 第二排気ライン(メイン排気ライン)
53 第三排気ライン(メイン排気ライン)
54 スロー排気ライン
55 スロー排気ライン
61 第一排気弁
62 第二排気弁
63 第三排気弁
64 スロー排気弁
65 スロー排気弁
84 コントローラ
85 操作部
86 制御部(第一の制御手段)
89 PLC(第二の制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を施す処理室と、
前記基板を前記処理室へ搬送する搬送装置を備えた搬送室と、
前記搬送室に連結された減圧可能な複数の予備室と、
前記複数の予備室に接続された排気装置と、
前記複数の予備室の排気をそれぞれ制御する複数の排気弁と、
前記複数の排気弁を制御する第二の制御手段と、
前記複数の排気弁のうちの一が開状態で、他の前記排気弁を開待ちとさせるように制御する第一の制御手段と、
を備えている基板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−60910(P2011−60910A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207412(P2009−207412)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】