説明

多種燃料に対応可能な燃料噴射装置

【課題】多種類の燃料に対応できる内燃機関の燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】ディーゼル機関に、主、副、二つの燃料系を設ける。主燃料系は、機械式燃料噴射ポンプ50により燃料の供給、噴射を行い、副燃料系は、コモンレール60に蓄えられた高圧の燃料の噴射を行う。副燃料系により供給される燃料は、噴射初期から高圧で噴射することができ、燃料の粒子が微細化される。主、副燃料を同種のものとする場合も、粒子の微細化により、着火性に有利となる。また、主燃料に着火性の悪い燃料を用いる場合、副燃料に着火性の良好な燃料を使用し、副燃料を火種として主燃料を燃焼させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置に関し、特に多種の燃料に対応可能な燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石油資源の枯渇、地球温暖化を背景に多種の燃料で運転可能な内燃機関およびこのような内燃機関に用いられる燃料噴射装置が求められている。例えば、より低質の石油系の燃料を用いること、バイオ燃料を用いることなどが提案されている。燃料はその種によって着火性が異なり、多種の燃料で運転可能とするためには、着火性の悪い燃料に対応する必要がある。着火性の悪い燃料を用いる場合に、この燃料よりも着火性の良い燃料を先に噴射し、着火させ、これを火種として着火性の悪い燃料を燃焼させる技術が知られている(下記、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−159182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、多種の燃料に対応可能とするためには、着火性の悪い燃料であっても燃焼可能としなければならない。また、前述の特許文献1においては、火種とするための着火性の良い燃料を、主の燃料とは別に準備する必要がある。また、燃料の種類を変更したときに、これに合わせた噴射制御が実行されることが望まれる。
【0005】
本発明は、上記の問題点または課題の少なくとも一つを解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に対応した燃料噴射装置は、燃料を噴射する主燃料系と、燃料噴射期間の初期において、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、を有する。副燃料系から高い圧力で噴射される燃料は、より微細な粒子として噴射される。
【0007】
請求項2に対応した燃料噴射装置は、燃料を噴射する主燃料系と、主燃料系と同時に噴射する際には、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、を有する。副燃料系から高い圧力で噴射される燃料は、より微細な粒子として噴射される。
【0008】
また、副燃料系の燃料の噴射条件を、燃料の性状により変更する制御手段を有するようにできる。
【0009】
また、気筒内の圧力を検出する圧力検出手段と、この検出された圧力に基づき、副燃料の噴射条件を変更する制御手段とを設けることができる。燃料の性状は、気筒内の圧力に影響を及ぼし、逆にこの圧力をモニタすることで、燃料の性状を推定できる。
【0010】
また、圧力検出手段は、気筒の外部において、間接的に気筒内の圧力を検出する手段とすることができる。機関の本体に大きな改造を加えることなく圧力検出手段の設置が可能となる。このような圧力検出手段としては、シリンダヘッドボルトの伸びを測定する歪みゲージを利用したものを用いることができる。また、シリンダヘッドボルトの伸び、このボルトに掛かる力を測定するロードセルを利用したものを用いることができる。また、シリンダヘッドに取り付けられ一部が燃焼室に露出する機器、例えばインジケータコックや燃料噴射弁をシリンダヘッドに固定しているボルトの伸び、このボルトのワッシャに掛かる力に基づき気筒内の圧力を検出するようにしてもよい。
【0011】
また、内燃機関の負荷条件に応じて副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を設けることができる。特に、負荷条件が低負荷であるときに、副燃料系のみの噴射あるいは主燃料系とともに副燃料系の燃料噴射を行うようにできる。主燃料系は負荷に応じた制御がなされ、これに合わせて副燃料系が制御される。
【0012】
また、内燃機関は移動体に搭載され、移動体の現在位置の地理的条件に応じて副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有するようにできる。例えば、移動体が船舶である場合、陸からの距離、港湾内か否かで副燃料系の制御が変更される。
【0013】
また、内燃機関は多気筒機関とすることができ、気筒ごとにその気筒の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段を有するようにでき、検出された燃焼状態に基づき副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有するようにできる。燃焼状態検出手段は、例えば、最高気筒内圧、着火時期、排気温度、図示平均有効圧のうち、少なくとも一つに基づいて燃焼状態を検出するものとできる。
【0014】
また、主燃料および副燃料の流量と、内燃機関の排気温度との少なくとも一方に基づき、副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有するようにできる。
【0015】
また、副燃料系は加圧された燃料を蓄える蓄圧部を有するようにできる。蓄圧部に燃料を蓄えることにより、高圧の燃料が瞬時に噴射される。蓄圧部は、例えばコモンレールとすることができる。
【0016】
また、内燃機関は、ディーゼル機関とすることができる。
【0017】
また、更に、副燃料系は加圧された燃料の供給を制御する電気制御式弁を有するものとすることができる。電気制御式弁により、噴射時期、噴射量が容易に変更される。
【0018】
また、主燃料系により噴射される主燃料と、副燃料系により噴射される副燃料は、異なる種類の燃料とすることができる。例えば、副燃料を、主燃料よりセタン価の高い燃料とすることができる。また、例えば副燃料を軽油とすることができる。また、例えば主燃料を重油とすることができる。
【0019】
また、主燃料系と副燃料系は一つの燃料噴射弁を共有でき、この燃料噴射弁の上流側で主燃料系と副燃料系が合流するようにできる。
【0020】
また、主燃料系と副燃料系は一つの燃料噴射弁を共有でき、この燃料噴射弁内で主燃料系と副燃料系が合流するようにできる。
【0021】
また、主燃料系と副燃料系は、独立して制御される2種のノズルを有する一つの噴射弁を有するようにでき、一方の種のノズルから主燃料が、他方の種のノズルから副燃料が噴射されるようにできる。
【0022】
また、主燃料系と副燃料系は、一つの気筒に対しそれぞれ配置される独立した燃料噴射弁を有するようにできる。
【0023】
また、副燃料系を複数有するようにでき、副燃料系ごとに異なる燃料を噴射するようにできる。また、副燃料系を複数有することにより、一つの副燃料系では噴射量が不足する場合に、より多くの燃料を噴射することができる。
【0024】
請求項24に対応した船舶のディーゼル機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、燃料を噴射する主燃料系と、燃料噴射期間の初期において、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、主燃料および副燃料の性状、気筒内圧、機関の負荷条件、地理的条件の内の少なくとも一つに基づき前記副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する。
【0025】
請求項25に対応した船舶のディーゼル機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、燃料を噴射する主燃料系と、主燃料系と同時に噴射する際には、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、主燃料および副燃料の性状、気筒内圧、機関の負荷条件、地理的条件の内の少なくとも一つに基づき前記副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の燃料噴射装置によれば、主燃料系より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系を備えたことにより、噴射された燃料粒子がより微細となり、着火性が改善される。燃料噴射期間の初期において副燃料を噴射することにより、初期において主燃料系の圧力が不十分な場合であっても、燃料粒子を微細とすることができる。また、主、副の燃料系で同時に噴射する際には、副燃料系が主燃料系より高い圧力で燃料を噴射することで、微細な燃料粒子をより多く供給することができる。
【0027】
また、燃料の性状により副燃料系の噴射条件を変更することにより、着火性、燃料消費、排気ガスの処理の少なくとも一つが改善される。
【0028】
また、気筒内の圧力を検出し、これに基づき副燃料系の噴射条件を変更することにより、適切な燃焼状態とすることができる。また、圧力を気筒の外部で検出することで、設計変更や大きな改造が不要になり、また圧力検出手段の後付けが容易となる。
【0029】
また、負荷条件に応じて副燃料系の噴射条件を変更することにより、負荷条件に適した燃焼状態とすることができる。また、高圧噴射可能な副燃料系で負荷変動に柔軟に対応することができる。
【0030】
また、低負荷運転時において副燃料系の噴射を行うことにより、低負荷時に主燃料系の燃料圧が低い場合にも、高い圧力で燃料が噴射され、燃料粒子が微細化され、着火性が改善される。主、副燃料双方を噴射することもでき、副燃料のみ噴射することも可能である。
【0031】
また、当該内燃機関が移動体に搭載される場合、移動体の現在位置の地理的条件に対応した噴射条件に変更することで、その地理的条件に合わせた内燃機関の運転ができる。地理的位置によって移動体に要求される運転条件は異なり、現在位置に対応した運転条件で内燃機関を運転することができる。
【0032】
また、気筒ごとに燃焼状態を検出し、これに基づき気筒ごとに副燃料系の噴射条件を変更することで、気筒ごとに適切で、気筒ごとのばらつきが小さい全体的にバランスのとれた最適な燃焼状態とすることが可能となる。気筒ごとの燃焼状態は、最高気筒内圧、着火時期、排気温度、図示平均有効圧のうち、少なくとも一つに基づき検出されることにより、適切に把握することができる。最高気筒内圧、着火時期、排気温度、図示平均有効圧は、いずれも燃焼状態に関連したポイントとなる物理量であることから、適切に燃焼状態を把握することができる。
【0033】
また、主燃料および副燃料の流量と、内燃機関の排気温度の少なくとも一方に基づき、副燃料系の噴射条件を変更することにより、燃料消費量や機関効率、排ガス状態を推定した上で、適切な条件に制御することができる。
【0034】
副燃料系が、加圧された燃料を蓄える蓄圧部を有するようにすることにより、簡易な構成で高い燃料圧での燃料噴射を実現できる。特に、噴射の初期から高い圧力を得ることができる。また、副燃料系が、電気制御式弁により燃料供給を制御するものとすることにより、噴射条件の変更を容易に実現できる。
【0035】
また、内燃機関として圧力による気筒内燃料噴射を基本としたディーゼル機関を採用し、副燃料系の蓄圧部をコモンレールとすることにより、燃料噴射期間の初期、あるいは主燃料系と同時噴射する際に容易に副燃料系の圧力制御が可能となる。
【0036】
また、主燃料と副燃料を、異なる種類の燃料とすることにより、多種の燃料、例えば着火性の悪い燃料の使用も可能となる。また、副燃料を主燃料よりセタン価の高い燃料とすることにより、副燃料を火種として、着火性の悪い主燃料を燃焼させることができる。また、副燃料は軽油とすることにより、軽油を使用する自動車用の副燃料系を転用することができる。また主燃料は重油とすることにより、船舶等の重油を使用する機関に適用することが可能となる。
【0037】
また、主燃料系と副燃料系で一つの燃料噴射弁を共有するようにし、この燃料噴射弁の上流側で主燃料系と副燃料系が合流する構成を採ることにより、例えば、既存の機関に、副燃料系を容易に後付けでき、本発明が容易に実現可能となる。また、燃料噴射弁内で、主燃料系と副燃料系が合流する構成を採ることにより、例えば、シリンダヘッド等機関本体の改造を行わずに、本発明が実現可能となる。
【0038】
また、主燃料系、副燃料系それぞれに専用の噴射ノズルを備えるようにすることで、主、副の燃料系による燃料噴射を独立して制御するようにできる。専用の噴射ノズルを備えるようにするために、一つの燃料噴射弁内に、独立した2種のノズルを備えてもよく、また独立した2種の燃料噴射弁を備えてもよい。
【0039】
副燃料系を複数有することで、複数種の副燃料を選択的に1種の、またはいくつかの種類を組み合わせて噴射を行うことができる。また、同種の燃料を複数の副燃料系から噴射することにより、1系統では噴射量が不足する場合に対応することができる。
【0040】
船舶のディーゼル機関に副燃料系を装備し、主燃料系の噴射圧より高い圧力で副燃料系による燃料噴射を噴射期間の初期において行うことで、主燃料系の噴射圧が不十分な噴射期間初期においても、燃料粒子を微細化することができる。また、主、副の燃料系の双方により、同時に噴射する際には、副燃料系が主燃料系より高い圧力で燃料を噴射することで、微細な燃料粒子をより多く供給することができる。また、主燃料および副燃料の性状、気筒内圧、機関の負荷条件、地理的条件等を考慮して副燃料系の噴射条件を制御することにより、そのときに最適な内燃機関の運転状態を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、図面に従って説明する。図1は、内燃機関、特に船舶用ディーゼル機関10の概略の断面図である。ディーゼル機関10は多気筒機関であり、図1の紙面を貫く方向に複数の気筒が直列に配置されている。ピストン12は、シリンダライナ14の円筒内周面に沿って摺動しつつ往復運動し、この往復運動が連接棒16を介してクランク軸18の回転運動に変換される。シリンダライナ14はエンジンフレーム20に支持され、シリンダライナ14とエンジンフレーム20の間には、冷却水の流れる水ジャケットが形成される。このエンジンフレーム20の、シリンダライナを囲みこれを支持する部分と、シリンダライナ14とでシリンダが構成される。エンジンフレーム20には、クランク軸18を支持する軸受が設けられているが、図1においては省略されている。
【0042】
エンジンフレーム20の上部には、シリンダヘッド22がヘッドボルト24(図11,13参照)により締結されており、これによりシリンダヘッド22がシリンダライナ14の上部の開口に当接し、密着している。ピストン12の頭頂面と、これに対向するシリンダヘッド22の下面と、シリンダライナ14の内周面により燃焼室が形成される。シリンダヘッド22の燃焼室の中央にあたる部分に燃料噴射弁26が設けられている。燃料噴射弁の配置は、噴射される燃料の噴霧の拡がり方など、燃焼状況により適切に定められればよく、中央以外に部分に設けられてもよい。シリンダヘッド22には、燃焼室に通じる吸気ポートおよび排気ポートが形成されており、さらに、これらのポートの燃焼室に対する開口を開閉するための吸気弁28、排気弁30(図11,13参照)が配置される。吸排気弁28,30は、燃料噴射弁26の紙面奥側と手前側に配置されており、図1においては示されていない。吸気ポートは吸気管32に連通しており、排気ポートは排気管34に連通している。
【0043】
シリンダの側方には、ギア、チェーンなどの伝達装置を介してクランク軸18に駆動されるカム軸36が配置される。カム軸36は、気筒の配列方向と平行に配置され、各気筒の吸気弁、排気弁に対応したカム38を備えている。カム38のカム面に接するカムフォロワ40が設けられ、さらに、カムフォロワ40に接続され、シリンダヘッド22に向けてプッシュロッド42が延びて配置される。シリンダヘッド22には、ロッカーアーム44が配置され、ロッカーアーム44の一端にはプッシュロッド42が接続し、他端は吸気弁28と排気弁30のステム端46に接続している。カム軸36の回転により、カム38がカムフォロワ40を揺動させ、この動きがプッシュロッド42を介してロッカーアーム44に伝達される。そして、ロッカーアーム44も揺動して吸気弁28および排気弁30が駆動され、吸気ポート、排気ポートの開閉が実行される。
【0044】
燃料噴射弁26には、燃料供給系48により燃料が供給される。このディーゼル機関10には、二つの燃料供給系が設けられる。一つの燃料供給系は機械式燃料噴射ポンプ50を備え、このポンプは燃料タンク52内の燃料を加圧して、燃料供給管54を介して燃料噴射弁26に供給する。この燃料供給系を主燃料供給系と記し、燃料タンク52を主燃料タンク52、燃料供給管54を主燃料供給管54、さらに主燃料供給系で供給される燃料を主燃料として以下説明する。さらに、この主燃料供給系と、主燃料を供給する燃料噴射弁を含めて主燃料系と記す。
【0045】
もう一つの燃料供給系を副燃料供給系と記す。副燃料供給系は、燃料噴射弁26に供給される副燃料を蓄える副燃料タンク56、副燃料を加圧し送る加圧ポンプ58、加圧ポンプにより送られる加圧された燃料を蓄える蓄圧部としてのコモンレール60を含む。更に、開閉して、コモンレール60内に蓄えられた加圧燃料が副燃料供給管62を介して主燃料供給管54に送出されるのを制御する副燃料制御弁64を含む。主燃料供給管54に送出された燃料は、更に燃料噴射弁26に向かい、ここから燃焼室内に向けて噴射される。この副燃料タンク56から燃料噴射弁26に至る、副燃料を噴射するための系を副燃料系と記す。したがって、この燃料供給系48においては、主、副の燃料供給管54,62の合流点より下流においては、主、副燃料系が構成要素(例えば燃料噴射弁)を共有している。また、機械式燃料噴射ポンプ50が逆流を阻止するための構成を有していない場合には、主燃料供給管54の、主燃料系の合流点より上流側に、逆止弁を設け、副燃料系からの圧力で逆流が生じることを防止する。
【0046】
コモンレールを含む副燃料系は、自動車用のシステムを転用することができる。自動車用の需要は、船舶用のそれよりも多く、量産効果により副燃料系導入のコストを抑制することができる。また、副燃料系に軽油を用いるのであれば、自動車用のシステムを導入するための改造が少なくなり、更に導入コストの抑制が期待できる。また、自動車用のシステムが、船舶用としては容量が不足する場合には、システムを複数備え、1気筒に複数のコモンレールシステムから燃料を噴射するようにできる。また、燃料噴射量を増加するために、コモンレールの容積を増加して対応してもよい。
【0047】
副燃料系を、既存の内燃機関に後付けする構成とした場合、外洋を航行中に、副燃料系の寿命が来たとしても、容易に取り替えることができる。さらに、副燃料系に自動車用のコモンレールシステムを用いることにより、これが船舶用の内燃機関に比べて寿命が短い場合も、経済的な負担を小さくして容易に取り替えることができる。
【0048】
図2は、機械式燃料噴射ポンプ50の概略構成を示す部分断面図である。ポンプハウジング66内には、側面に流入孔68と逃がし孔70を備えたバーレル72が収められている。バーレル72の内周面は円筒となっており、この円筒内周面内に摺動可能にプランジャ74が位置する。プランジャ74は、バーレル72よりも下方に延び、その下端はカム92(図3参照)に接触し、このカムによって、往復運動する。プランジャ74は、下端が常にカムと接触するようにプランジャばね76により付勢されている。カム92は、クランク軸18に、これと同期して駆動される。プランジャ74には更にピニオン78が設けられ、これに対応してポンプハウジング66に摺動可能にラック80が設けられている。バーレル72の先端には貫通孔を有するカラー82が設けられ、貫通孔は、ばねにより付勢された吐出弁によりふさがれている。プランジャ74の先端面、バーレル72の内周面およびプランジャ先端面に対向するカラー82の面により、ポンプ室86が形成される。
【0049】
プランジャ74の側面の、バーレル72内に位置する部分には、縦溝88と異形溝90が刻設されている。縦溝88は、プランジャ74の先端面から軸方向に沿って延び異形溝90に達している。異形溝90は、展開すると略三角形、または円の四分の一の扇形に類似した形状を有する。異形溝90の、プランジャ表面円周方向の幅は、プランジャの先端から離れるに従って広くなっている。
【0050】
プランジャ74がカムにより押され進出すると、ポンプ室86の容積が減少し、流入孔68と逃がし弁70がプランジャ74の側面によりふさがれた後は、ポンプ室86内の燃料が逃げ場を失い、加圧される。ポンプ室86内の圧力が高まり、吐出弁84を付勢するばねの力に打ち勝つと、吐出弁84が開き、燃料が吐出される。プランジャ74が更に進出し、逃がし孔70が異形溝90に係ると、ポンプ室86内の燃料は、縦溝88から異形溝90を通して、逃がし孔70から流出する。これによりポンプ室86内の圧力が低下して、吐出弁84が閉じて燃料の吐出が停止する。つまり、プランジャ74のストロークの内、プランジャ先端が流入孔68と逃がし孔70を塞いでから、異形溝90によって逃がし孔70が開放されるまでが、燃料吐出における有効ストロークとなる。
【0051】
前述のように、異形溝90の円周方向の幅は、プランジャ74先端からの距離によって異なる。したがって、プランジャ74を軸回りに回動させて、逃がし孔72の位置に対する異形溝90の位置を円周方向にずらしてやれば、有効ストロークを変更することができる。プランジャ74を軸回りに回動させるために、前述のラック80およびピニオン78が設けられている。なお、プランジャ74は、異形溝90が逃がし孔70に係らない位置まで回動可能であり、このときには、プランジャ74が最も進出する位置まで燃料が吐出される。要求されるディーゼル機関10の出力に応じて、ラック80が進退方向に制御され、これにより燃料の吐出量が制御される。
【0052】
図3は、燃料供給系48および燃料噴射弁26を示す図である。主燃料系においては、主燃料タンク52に蓄えられている主燃料は、機械式燃料噴射ポンプ50により加圧されて送出され、主燃料供給管54を介して燃料噴射弁26に送られる。燃料噴射弁26には、燃料の圧力により流路を開放する弁を有し、燃料噴射ポンプ50による燃料の圧力が所定の値(噴射開始圧)を超えると燃料が噴射される。噴射された燃料は、細かな粒子(液滴)となってシリンダ内を拡がり、ピストンによる圧縮で気筒内の温度が上昇すると自己着火して燃焼する。主燃料系は、カム92によるプランジャ74のストロークのたびに燃料が加圧される。つまり、燃料噴射の1回ごとに、そのときに必要な燃料が燃料噴射ポンプ50により加圧される。各気筒の燃料噴射タイミング(時期)に合わせて燃料を加圧、送出、噴射しなければならないので、機械式燃料噴射ポンプ50は各気筒ごとに独立して設けられている。
【0053】
副燃料系においては、副燃料タンク56に蓄えられた副燃料は、加圧ポンプ58で加圧、送出され、圧力が高い状態でコモンレール60に蓄えられる。コモンレール60から主燃料供給管54に向かう副燃料供給管62の途中には、副燃料制御弁64が設けられている。この副燃料制御弁64が開放されると、コモンレール60に蓄えられた燃料が、主燃料供給管54を介して燃料噴射弁26に送られ、ここから気筒内に噴射される。加圧ポンプ58およびコモンレール60は全気筒または複数の気筒に共通に設けられ、副燃料制御弁64が各気筒ごとに設けられる。
【0054】
副燃料制御弁64を電気的に制御するものとすることにより、この構成を有する自動車用のコモンレールシステムの導入がより容易となる。また、電気制御式とすることで、燃料噴射タイミングや、燃料噴射期間(噴射量)、燃料噴射パターン等が電気信号で制御可能となり、制御の自由度が拡大する。また、船舶においては、波の影響により、波の周期に関連した負荷変動を生じる場合があるが、制御の自由度が高い電気制御式を採用することで、これに好適に対応できる。
【0055】
上述のように、主燃料系においては、燃料の加圧は、燃料噴射のたびにそれぞれ独立して行われるのに対し、副燃料系においては、燃料は予め加圧されて、加圧された状態で蓄えられており、燃料噴射のタイミングで予め加圧されていた燃料が供給される。主燃料系においては、燃料噴射の初期においては、圧力が低く、噴射される燃料の粒子が比較的大きい。一方、副燃料系においては、燃料は予め加圧されているので、噴射期間の初期から高い圧力で噴射することが可能であり、燃料の粒子はより微細となる。また、コモンレール内の圧力は、変更することができる。具体的には、例えば、加圧ポンプ58に電気式のポンプを採用した場合は、ポンプを駆動するモータの回転速度を変更して、コモンレール内圧力を調整する。また、加圧ポンプ58として機械式のポンプを用いる場合には、コモンレール60から副燃料タンク56に副燃料を戻すリターン経路に調圧弁を設け、この調圧弁が開放する圧力を変更して、コモンレール内圧力を調整する。
【0056】
図4および図5には、燃料噴射圧の変化を示すイメージ図である。図4は主燃料系のみによる場合、図5は主、副燃料系により燃料噴射を行う場合を示している。また、破線は、低負荷時、実線は高負荷時の燃料圧の変化を示している。
【0057】
主燃料系のみ、つまり機械式燃料噴射ポンプ50のみにより燃料の加圧、噴射を行う場合、プランジャ74のストロークに従って徐々に燃料圧Piが上昇し、燃料圧Piが噴射開始圧Poに達すると(クランク角α1 )燃料噴射弁26から燃料が噴射される。高負荷時には、プランジャ74の有効ストロークが長くなるようラック80の進退が制御され、全負荷の場合には、噴射最高圧Pmax に達する(クランク角α2 )。その後、供給系の配管内等に残る圧力によりわずかに燃料が噴射されるが、基本的にはクランク角α1 からα2 が燃料噴射期間となる。一方、低負荷時には、プランジャの有効ストロークが短くなり、クランク角α2 よりも上死点に近いクランク角α3 までが燃料噴射期間となる。クランク角α3 では、燃料圧は、最高圧Pmax より低いP1 にしか達していない。このため、低負荷時には燃料噴射圧が低く、噴射された燃料粒子は大きなものとなる。燃料の粒子径が大きいと着火性が悪化する。このため、機械式燃料噴射ポンプのみにより燃料供給をする場合には、低負荷時において着火性が悪化する傾向がある。
【0058】
主燃料系と副燃料系の双方を用いて燃料噴射する場合、燃料噴射期間の初期に副燃料系による噴射を行う。副燃料系の噴射期間(α4 〜α5 )の間、主燃料系のみによる燃料圧以上の圧力で、副燃料系の燃料噴射が行われる。コモンレール60には、燃料が微細な粒子となる圧力で噴射ができるよう十分な圧力で燃料が蓄えられている。副燃料系の燃料圧は、噴射期間の最初から高く、噴射期間の間、ほぼ一定である。前述のように、機械式燃料噴射ポンプの場合、燃料圧は、次第に上昇するものであり、副燃料系の噴射期間においては、クランク角α5 の時が最も高くなっている(圧力P3 )。副燃料系の燃料圧P2 は、この圧力P3 よりも高く、主燃料系により燃料を噴射する場合よりも、燃料をより微細な粒子とすることができる。図5においては、副燃料系による燃料圧P2 は、主燃料系による最高圧Pmax より低い値で示されているが、これに限らず最高圧Pmax 以上の圧力に設定されてもよい。高負荷時においては、クランク角α4 にて副燃料系による燃料噴射を開始し、クランク角α5 で停止する。その後は、主燃料系による圧力が上昇しているので、主燃料系のみによる噴射を行う。副燃料系による噴射を噴射期間の初期にのみ行うのは、コモンレール60に蓄えられている燃料が多量に噴射されると、コモンレール内の圧力が低下してしまうためである。次の噴射の時点で、必要な燃料圧を確保するためには、コモンレール60の容量を増やす、また加圧ポンプ58の流量を増やす等の対策が考えられる。しかし、いずれの場合も、装置の大型化を招く。また多気筒機関においては、機関全体の噴射間隔は短くなるので、低下したコモンレール内の圧力をより早く回復させる必要性、またはコモンレール内の圧力を低下させないように、その容量を増やす必要性が、より高まる。本実施形態の燃料供給系48においては、副燃料系による噴射を、主燃料系による燃料圧が低い噴射期間の初期に限定し、副燃料系の噴射量を抑制することで、小型のコモンレール、加圧ポンプを用いることを可能としている。
【0059】
また、舶用等の大型の内燃機関では、燃焼室も大きく、1回当たりに噴射される燃料量が、自動車等の小型の機関のそれよりも多くなる。このため、コモンレール等の蓄圧部に蓄えられた燃料で全噴射量を賄おうとすると、蓄圧部の容積を大きくするか、ポンプ流量を増加させる必要がある。この理由からも、主燃料系と副燃料系を備え、副燃料系による噴射量が少ない構成を採ることが望ましい。
【0060】
副燃料系の噴射の開始時点(α4 )、終了時点(α5 )については、調整することができる。例えば、着火性の悪い燃料を用いる場合には、気化する燃料を多くして着火性を改善するために、微細な粒子の割合を多くし、また気化する時間を長くするために、噴射期間を長くするようにする。噴射開始を早めてもよい。また、着火性の比較的良好な燃料を用いる場合は、副燃料系の噴射期間が短くなるようにしてよい。十分な着火性が確保されるのであれば、高負荷時においては、主燃料系のみの噴射としてもよい。これにより、副燃料の消費を抑制することができる。
【0061】
低負荷時においては、図5に示すように、噴射期間(α4 〜α5 )において、副燃料系により噴射を行うようにする。図5の制御においては、高負荷時、低負荷時において、副燃料の噴射期間(α4 〜α5 )は、同じに示されているが、負荷によって噴射の期間(タイミング、長さ)を変更してもよい。
【0062】
本実施形態の燃料供給系48においては、主、副の燃料供給管54,62が、燃料噴射弁26の上流側で合流しており、高圧の副燃料系による燃料供給が行われている時には、主燃料系は燃料を供給していない。しかし、後述するように、主、副の燃料系を独立させた構成としたときには、低負荷時であっても、主燃料系による燃料供給は可能となる。この場合、主、副の燃料系の噴射期間は独立に設定できる。例えば、図5に示す低負荷時の噴射期間(α4 〜α5 )において、主燃料系はこの全期間にわたって噴射を行い、副燃料系はこの期間より短い期間に限定して噴射を行うようにすることができる。また、副燃料系の噴射は、主燃料系の噴射期間の初期に行うことが好ましく、また主燃料系の噴射より前に開始することもできる。
【0063】
主、副燃料は、同種の燃料を用いることも、異種の燃料の組み合わせとすることもできる。同種の燃料を用いる場合であっても、前述のように、副燃料系においては、噴射初期から高い圧力で噴射でき、燃料粒子が微細となって、着火性が改善される。特に、前述の機械式燃料噴射弁による低負荷時の着火性の悪化を改善することができる。
【0064】
同種の燃料を副燃料系により噴射しても、十分な着火性を得られない場合に、主、副燃料に異種の燃料を使用することもできる。この場合、副燃料に着火性の良い燃料を使用し、副燃料を火種として、着火性の悪い燃料を燃焼させるようにすることができる。ディーゼル機関における着火性は、セタン価で評価され、この場合は、セタン価の高い燃料を副燃料として使用し、低い燃料を主燃料として使用する。主燃料に着火性の悪い燃料を使用する場合、副燃料として軽油を使用することが好適である。主燃料としては、重油を使用してもよい。
【0065】
燃料供給系48においては、主、副の燃料系で、燃料供給管54の一部および燃料噴射弁26を共有しており、副燃料を供給しようとする際、この共有部分に前回噴射時の主燃料が残っていないこと、またはその量が少ないことが望ましい。このため、主、副の燃料供給管54,62の合流点は、燃料噴射弁26に近いことが望まれる。また、燃料噴射期間の最後に、副燃料を供給し、供給管54,62の合流点より下流の配管および燃料噴射弁26内に副燃料を満たしておき、次回の燃料噴射時においては、この燃料が噴射されるようにしてもよい。
【0066】
図6は、燃料供給系および燃料噴射弁の他の構成例を示す図である。すでに説明した構成要素と同一の構成要素については、その説明を省略する。この例においては、気筒内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁が2個備えられている。図示される燃料供給系94は、これら2個の燃料噴射弁96,98のそれぞれに独立して主燃料、副燃料を供給する。主燃料噴射弁96には、機械式燃料噴射ポンプ50から主燃料供給管100により燃料が供給される。主燃料噴射弁96の構成は前述の燃料噴射弁26と同様であるが、この例においては主燃料の専用の噴射弁として用いられる。副燃料噴射弁98にはコモンレール60より副燃料供給管102により副燃料が供給される。副燃料噴射弁98は、気筒内に燃料を噴射する噴射弁として機能すると共に、副燃料の供給を制御する副燃料制御弁としても機能する。この例において、副燃料制御弁98の開閉は電磁ソレノイドにより制御されるが、圧電素子による制御、カムなどを用いた機械式の制御としてもよい。燃料供給系94においては、主、副の燃料系をそれぞれ独立して制御でき、よって主、副の燃料を同時に噴射することもできる。また、図5に示す噴射制御の場合、低負荷時に、副燃料のみが噴射されているが、図6のように主、副の燃料系が独立している場合、低負荷時においても、主燃料を噴射し、その噴射期間の初期に副燃料を噴射するようにできる。
【0067】
図7は、燃料供給系および燃料噴射弁の更に他の構成例を示す図である。すでに説明した構成要素と同一の構成要素については、その説明を省略する。この例においては、燃料噴射弁は1個が備わるが、噴射弁内部に、主、副の燃料を独立してノズルまで供給するための流路が形成されている。燃料噴射弁104に燃料を供給する燃料供給系106は、主、副の燃料をそれぞれ独立して供給する。主燃料供給管108は、燃料噴射弁104に主燃料を供給し、主燃料は噴射弁104内に設けられた主燃料流路110を通ってノズル112より噴射される。また、主燃料供給管108には、逆止弁111が備えられ、副燃料が主燃料流路110および主燃料供給管108に逆流することを防止している。ノズルの開閉は、前述の燃料噴射弁26と同様に燃料圧により行われる。つまり、燃料の圧力が機械式燃料噴射ポンプ50により所定の値まで加圧されると、弁体が移動し、ノズルを開放する。
【0068】
副燃料系は、コモンレール60から燃料噴射弁104に副燃料を供給する副燃料供給管114と、副燃料の供給を制御する副燃料制御弁116を有する。この副燃料制御弁116は、燃料供給系48の副燃料制御弁64と同様の機能を果たす。燃料噴射弁104に送られた燃料は、燃料噴射弁104内に、主燃料流路110とは別個に設けられた副燃料流路118を通ってノズル112より噴射される。主、副の燃料が供給されるノズル112は共通である。コモンレール60内の圧力は、燃料噴射弁104の噴射開始圧より十分に高く設定されており、副燃料は、噴射初期から高圧で噴射される。
【0069】
図8は、燃料供給系および燃料噴射弁の更に他の構成例を示す図である。すでに説明した構成要素と同一の構成要素については、その説明を省略する。この例においては、燃料噴射弁は、図6に示す2個の独立した燃料噴射弁96,98を一体にした1個の燃料噴射弁120である。燃料噴射弁120は、主燃料噴射部120Aと、副燃料噴射部120Bを含む。燃料供給系122は、主燃料系として、機械式燃料噴射ポンプ50から主燃料を主燃料噴射部120Aに供給する主燃料供給管124を含み、また副燃料系としてコモレール60から副燃料を副燃料噴射部120Bに供給する副燃料供給管126を含む。主燃料噴射部120Aは、供給される燃料の圧力により、その噴射が制御される。一方、副燃料噴射部120Bは、噴射制御は、電磁ソレノイド等を用いて、供給される燃料の圧力とは別個に行われる。
【0070】
以上の燃料供給系48,94,106,122は、主、副の2系等の供給系を有するが、さらに副燃料供給系を複数とすることも可能である。複数の副燃料供給系は、それぞれ燃料圧が異なるようにしてもよく、またそれぞれ異なる燃料を供給するようにしてもよい。
【0071】
図9は、主燃料系および副燃料系の噴射条件の制御に関する制御ブロック図である。この制御ブロック図は、図1および図6に示される、主、副の燃料系において燃料噴射弁、特にそのノズルが共用される構成例を対象とした制御ブロック図である。既出の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。ディーゼル機関10の運転状態を検出するために、回転センサ128、圧力センサ130および排気温度センサ132が備えられ、また燃料噴射弁26に実際に供給される主燃料および副燃料の量をそれぞれ検出する主燃料流量センサ134、副燃料流量センサ136が備えられる。回転センサ128は、クランク軸18の回転速度を検出するセンサである。圧力センサ130は、燃焼室内の圧力を直接検出するセンサを用いることができるが、より簡易な方法として、後付け、または外付けのセンサにより圧力の検出を行うことができる。例えば、燃焼室内の燃焼圧がシリンダヘッドボルトに作用する力に基づくセンサを用いることができる。圧力センサについては、後で詳述する。圧力センサ130は、各気筒ごとに設けることができ、また代表となる1つまたは複数の気筒に対応して設けることもできる。気筒配置がV型の機関であれば、左右のバンクにそれぞれ1つの圧力センサを設けることができる。気筒ごとに圧力センサを設けた場合、噴射条件の制御も気筒ごとに行うことができる。また、V型のバンクごとなど、いくつかの気筒ごとに圧力センサを設けた場合、バンクごと、その気筒群ごとに噴射制御を行うこともできる。
【0072】
圧力センサ130により検出された気筒内圧に基づき、エンジン状態推定部138において、着火時期、図示平均有効圧、最高気筒内圧、排気温度の少なくとも一つの情報に基づき、燃焼状態について推定を行う。図10は、燃料噴射時期を変化させたときの、気筒内圧、熱発生量、熱発生率を示すグラフである。気筒内圧を検出することで、最高気筒内圧、図示平均有効圧を算出でき、また気筒内圧から求めた熱発生率から、着火時期を推定することができる。熱発生率から着火時期の推定を行うに当たり、あるサイクルの最大値と最低値より定められる閾値を用いて推定を行うことができる。例えば、熱発生率の最大値と最小値の差の10%を最小値に加算した値を閾値とし、あるサイクルにおいて、この値を超えたときを、そのサイクルの着火時期とすることができる。図から理解できるように、気筒内圧、着火時期等は、燃料噴射時期を変更すると変化し、これを利用して、圧力センサの検出値に基づき得られた前記のパラメータが予め定めた値となるように、主、副燃料の少なくとも一方の噴射時期を制御することができる。噴射時期・噴射量の制御は、ポンプ・弁制御部140により、副燃料制御弁64を制御することにより行われる。また、副燃料の燃料圧を制御するために、加圧ポンプ58の制御も行ってよい。機械式燃料噴射ポンプ50により、燃料噴射時期を制御する場合には、カム92のクランク軸に対する位相を変更する機構を設ける。また、主、副の燃料流量センサ134,136により計測された燃料流量が、そのときの負荷に応じた基準燃料より多い場合、より多くの燃料が消費されている、すなわち効率が悪いと判断し、燃料噴射タイミングを変更する。また、燃料噴射タイミングを変更した前後において、燃料流量が増加すれば、効率が悪くなったと判断し、噴射タイミングを元に戻すか、元に戻る方向に変化させる。また、排気温度が、そのときの負荷に応じた基準排気温度より低い場合には、効率が良い運転条件となっていると判断し、噴射タイミングを維持する。また、噴射タイミングを変更した前後において、排気温度が低下した場合も、効率が良いと判断し、噴射タイミングを維持する。
【0073】
エンジン状態推定部138により推定される燃焼状態は、燃料の性状を反映する。例えば、着火性の良い燃料を使用している場合は、噴射時期に対して早期に着火し、逆に着火性の悪い燃料の場合には、着火が遅れる傾向がある。したがって、エンジン状態推定部138は、燃料性状を検出する手段としての機能を有する。また、排気温度、主、副の燃料の流量についても、燃料性状を判定するためのパラメータとして用いることができる。燃料性状の検出または推定は、性状が分かっている燃料と、この燃料を用いて所定の運転条件で運転したときの気筒内圧またはこれに基づき算出されるパラメータとの関係を示すデータを予め記憶しておき、これを参照して、燃料の性状を検出または推定する。つまり、性状の分からない燃料で、所定の運転条件で運転を行い、このときの気筒内圧またはこれに基づくパラメータを得て、前記の予め記憶していたデータを参照することにより、用いられた燃料の性状を推定する。この燃料の性状を推定するための運転条件としては、副燃料と主燃料の一方のみを噴射する運転条件とすることもできる。
【0074】
ディーゼル機関10の運転条件は、運転操作盤142に入力された条件に基づき定められ、これに基づき前述のエンジン状態推定部138および各センサによる検出値をフィードバックしてポンプ・弁制御部140によりディーゼル機関10が制御される。運転操作盤142には、ディーゼル機関10の始動・停止を行う運転スイッチ144、出力レベルを制御するスロットルレバー146が備えられ、また燃料の種類や搭載量、排気ガス等に関する規制値、運転モードを入力する条件設定部148を備える。燃料の種類としては、重油、軽油、菜種油、廃食油、パーム油等が想定されており、それぞれの代表的な性状が予め記憶されている。また、主燃料と副燃料にそれぞれにどの種類の燃料を使用するか、設定することができる。また、排ガス規制値(NOx規制、SOx規制、CO2 排出量)等の設定をすることができる。さらに、環境を重視する設定とするか、燃費を重視する設定とするかの運転モードの選択も行うことができる。操作者によりこれらの操作、入力がなされ、運航条件算出部150にて、これらの条件に適した、運航条件が算出される。具体的には、主、副燃料の比率、燃料の性状(セタン価、発熱量)、排気温度目標値、効率の目標値、負荷条件の算出を行う。
【0075】
また、GPS(全地球測位システム)情報、レーダ情報等に基づき現在の位置を取得し、これも合わせて運航条件を算出しても良い。GPSまたはレーダにより、陸からの距離、目的地からの方位や距離、航行時の目標物との位置関係を取得することができ、これらに応じた運航条件を算出することができる。例えば、現在位置が港湾内、陸地から近い位置であれば、排気ガス浄化を優先した運転モードとし、外洋であれば、燃料消費率を優先した運転モードとするようにできる。航行時の目標物は、例えば灯台や、追従航行をしている場合であれば追従対象の他の船舶である。世界の国、地域、都市等の地理的位置や沿岸からの距離により排ガス規制や環境規制等が異なる場合に、地理的条件に従った運航条件の算出ができる。また、GPS、レーダは、船舶用として一般に搭載されるものを共用することができる。
【0076】
運航条件算出部150により算出された運航条件に基づき、運転条件設定部152におて、主、副燃料系ごとの燃料噴射パターン(噴射時期、噴射量)の設定を行い、また、算出された運航条件に対応して想定される、着火時期、最高気筒内圧、図示平均有効圧、排気温度の目標値が設定される。この設定された条件に基づきポンプ・弁制御部140による制御が実行される。また、運転条件設定部152においては、燃焼状態を示す上記パラメータ(着火時期、図示平均有効圧、最高気筒内圧)および排気温度、燃料流量等のパラメータをいくつか組み合わせて、現在使用されている燃料の性状とにより、一旦設定された運転条件を、現在の状況に合わせて変更するようにもできる。運転条件の変更は、例えば、主燃料と副燃料の噴射量の比を制御して行うものとできる。噴射量の比は、主燃料、副燃料の少なくとも一方の噴射量を変更して制御する。また、主燃料より燃焼性または着火性のよい副燃料を用いる場合、副燃料の噴射時期を、燃焼の改善に対して効果的となるように制御するようにできる。主燃料の着火性が悪い場合は、主燃料系において、着火性の良い異種燃料を混合するようにできる。また、混合比の変更をするようにできる。異種燃料を混合するために、主燃料のタンクを複数備え、異種の燃料を別個のタンクに蓄え、必要に応じて混合して燃料噴射ポンプに供給するようにすることができる。また、更に、混合燃料を蓄えるタンクを備えるようにし、異種の燃料を所定の割合でこのタンクに供給し、ここから燃料噴射ポンプに燃料を供給してもよい。
【0077】
前述したように、燃料としては重油、軽油、菜種油、廃食油、パーム油が想定されるが、さらに異なる種類の燃料を混合した混合燃料を使用することも可能である。また、エンジン状態推定部138で燃焼状態を推定し、監視しているので、主燃料の種類が不明であっても、燃焼状態に対応した主、副燃料系の制御を行うことで、運転可能である。例えば、着火時期が遅れ気味であると判断されたときには、副燃料の噴射量を増量したり、主、副燃料の少なくとも一方の噴射時期を早めたりすることで着火時期を適正値に制御するようにする。
【0078】
図11は、ディーゼル機関10の燃焼室周囲の構成を示す概略図であり、特に圧力センサ130としてのロードワッシャ154の配置を示す図である。シリンダヘッド22は、エンジンフレーム20に対してシリンダヘッドボルト24により締結されている。このボルトのナットとシリンダヘッドの間に、ロードワッシャ154が配置される。ロードワッシャには、シリンダヘッドの締め付け時に加えられる軸力と、気筒内圧を受けて発生する軸力が作用する。図12は、クランク角に対する(a)気筒内圧変化と、(b)ロードワッシャに作用する力(ボルトの軸力)の変化が示されている。二つの図を比較して、ロードワッシャに作用する力が気筒内圧と良好な相関を有していることが理解できる。したがって、気筒内圧を直接測定するのではなく、気筒の外部に設けたロードワッシャにより気筒内圧を測定することが可能である。
【0079】
図13は、ディーゼル機関10の燃焼室周囲の構成を示す概略図であり、特に圧力センサ130としての歪みゲージ156の配置を示す図である。歪みゲージ156は、シリンダヘッドボルト24の軸部に装着される。図の例においては、歪みゲージ156は、エンジンフレーム20と、シリンダヘッド22の間の隙間に対応して装着される。しかし、ボルト24の延びを適切に検出できる位置であれば、どこに装着されても良く、例えばシリンダヘッド22内のボルト軸部に装着されてよい。図14は、クランク角に対する(a)気筒内圧変化と、(b)歪みゲージにより検出されたボルトの伸び(ボルトの軸力)の変化が示されている。二つの図を比較して、ボルトの伸びに作用する力が気筒内圧と良好な相関を有していることが理解できる。したがって、気筒内圧を直接測定するのではなく、気筒の外部に設けた歪みゲージより気筒内圧を測定することが可能である。ロードワッシャ型、歪みゲージ型のいずれも、気筒の外部に装着可能であるため、副燃料系としてコモンレールシステムを後付けする場合や、故障時や寿命時の取り替えがボルトの脱着だけで簡単にできる。また、ボルトの緩みや締め付けトルクが不足した場合に、異常が検出可能となる。
【0080】
上述のように、本発明は、船舶用の内燃機関に適用することができる。本発明に係る燃料噴射装置を用いることにより、低質の石油系燃料や、石油系以外の、カーボンニュートラルな燃料など、着火性、発熱量等の性状の異なる様々な種類の燃料を使用可能な内燃機関を提供することができる。一つの内燃機関において、燃料の種類が変更されても、その燃料の性状に適した運転を行うことができる。燃料の種類としては、主燃料に重油、副燃料に菜種油、廃食油、パーム油等を用いることができる。また、主燃料に菜種油、廃食油、パーム油等を、副燃料に軽油を用いることもできる。船舶は、世界の多くの国、地域に航海し、寄港先で燃料を補給する必要がある。このため、幅広い性状の燃料に対応することが必要であるが、本発明によれば、それが実現できる。
【0081】
副燃料系には、自動車用のコモンレールシステムを転用することができる。コモンレールの容量が不足する場合は、一つの内燃機関に対して複数のコモンレールシステムを備えるように、また1気筒に対して複数のシステムを備えるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上の実施形態においては、船舶用のディーゼル機関に関連して説明したが、他の移動体、例えば鉄道車両、自動車等についても本発明を適用することができる。また、ディーゼル機関以外の間欠燃焼を行う機関(直噴式のオットー機関等)についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施形態のディーゼル機関の概略構成を示す断面図である。
【図2】機械式燃料噴射ポンプの構成を示す部分断面図である。
【図3】燃料供給系と燃料噴射弁の一例を示す図である。
【図4】主燃料系による燃料圧を示す図である。
【図5】主燃料系と、副燃料系による燃料圧を示す図である。
【図6】燃料供給系と燃料噴射弁の他の例を示す図である。
【図7】燃料供給系と燃料噴射弁の更に他の例を示す図である。
【図8】燃料供給系と燃料噴射弁の更に他の例を示す図である。
【図9】本実施形態のディーゼル機関の制御ブロック図である。
【図10】燃料噴射時期と燃焼状態の関係を示す図である。
【図11】圧力センサとしてのロードワッシャの配置を示す図である。
【図12】気筒内圧とボルト軸力の関係を示す図である。
【図13】圧力センサとしての歪みゲージの配置を示す図である。
【図14】気筒内圧とボルトの伸びの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 ディーゼル機関、12 ピストン、14 シリンダライナ、20 エンジンフレーム、22 シリンダヘッド、24 シリンダヘッドボルト、26 燃料噴射弁、48、94,106,122 燃料供給系、50 機械式燃料噴射ポンプ、60 コモンレール、64 副燃料制御弁、96 主燃料噴射弁、98 副燃料噴射弁、104 燃料噴射弁、120 燃料噴射弁、120A 主燃料噴射部、120B 副燃料噴射部、130 圧力センサ、132 排気温度センサ、134 主燃料流量センサ、136 副燃料流量センサ、138 エンジン状態推定部、140 ポンプ・弁制御部(制御部)、152 運転条件設定部(制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、
燃料を噴射する主燃料系と、
燃料噴射期間の初期において、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、
を有する、燃料噴射装置。
【請求項2】
内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、
燃料を噴射する主燃料系と、
主燃料系と同時に噴射する際には、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、
を有する、燃料噴射装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料噴射装置であって、燃料の性状により副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、前記内燃機関の気筒内の圧力を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段により検出された圧力に基づき、副燃料の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料噴射装置であって、圧力検出手段は、気筒の外部において、間接的に気筒内の圧力を検出する手段である、燃料噴射装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、前記内燃機関の負荷条件に応じて副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の燃料噴射装置であって、前記内燃機関の低負荷運転時において副燃料系の噴射を行う、燃料噴射装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、前記内燃機関は移動体に搭載され、前記移動体の現在位置の地理的条件に応じて副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記内燃機関は多気筒機関であり、
気筒ごとに、その気筒の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
検出された燃焼状態に基づき気筒ごとの副燃料系の噴射条件を変更する制御手段と、
を有する、燃料噴射装置。
【請求項10】
請求項9に記載の燃料噴射装置であって、燃焼状態検出手段は、最高気筒内圧、着火時期、排気温度、図示平均有効圧のうち、少なくとも一つに基づいて燃焼状態を検出する、燃料噴射装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料および副燃料の流量と、前記内燃機関の排気温度との少なくとも一方に基づき、副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、副燃料系は加圧された燃料を蓄える蓄圧部を有する、燃料噴射装置。
【請求項13】
請求項12に記載の燃料噴射装置であって、前記副燃料系は加圧された燃料の供給を制御する電気制御式弁を有する、燃料噴射装置。
【請求項14】
請求項12または13に記載の燃料噴射装置であって、前記内燃機関はディーゼル機関であり、前記蓄圧部はコモンレールを含む、燃料噴射装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料系により噴射される主燃料と、副燃料系により噴射される副燃料は、異なる種類の燃料である、燃料噴射装置。
【請求項16】
請求項14に記載の燃料噴射装置であって、副燃料系により噴射される副燃料は、主燃料系により噴射される主燃料に比してセタン価の高い燃料である、燃料噴射装置。
【請求項17】
請求項16に記載の燃料噴射装置であって、副燃料が軽油である、燃料噴射装置。
【請求項18】
請求項16または17に記載の燃料噴射装置であって、主燃料が重油である、燃料噴射装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料系と副燃料系は一つの燃料噴射弁を共有し、この燃料噴射弁の上流側で主燃料系と副燃料系が合流する、燃料噴射装置。
【請求項20】
請求項1から18のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料系と副燃料系は一つの燃料噴射弁を共有し、この燃料噴射弁内で主燃料系と副燃料系が合流する、燃料噴射装置。
【請求項21】
請求項1から18のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料系と副燃料系は、独立して制御される2種のノズルを有する一つの噴射弁を有し、一方の種のノズルから主燃料が、他方の種のノズルから副燃料が噴射される、燃料噴射装置。
【請求項22】
請求項1から18のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、主燃料系と副燃料系は、一つの気筒に対しそれぞれ配置される独立した燃料噴射弁を有する、燃料噴射装置。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、副燃料系を複数有し、副燃料系ごとに異なる燃料を噴射する、燃料噴射装置。
【請求項24】
船舶のディーゼル機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、
燃料を噴射する主燃料系と、
燃料噴射期間の初期において、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、
主燃料および副燃料の性状、気筒内圧、機関の負荷条件、地理的条件の内の少なくとも一つに基づき前記副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。
【請求項25】
船舶のディーゼル機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、
燃料を噴射する主燃料系と、
主燃料系と同時に噴射する際には、主燃料系の噴射圧力より高い圧力で燃料を噴射する副燃料系と、
主燃料および副燃料の性状、気筒内圧、機関の負荷条件、地理的条件の内の少なくとも一つに基づき前記副燃料系の噴射条件を変更する制御手段を有する、燃料噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−133391(P2010−133391A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312617(P2008−312617)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 委託研究:「マルチ燃料対応舶用機関制御に関する研究」 産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)
【Fターム(参考)】