説明

天候情報センタ、経路情報提供装置

【課題】 車両が遭遇する天候を予測して天候情報を提供する天候情報センタ、走行中に遭遇すると予測された天候情報を運転者に報知する経路情報提供装置、を提供すること。
【解決手段】 天候情報を提供する天候情報センタにおいて、車両から目的地までの走行ルートを受信する走行ルート受信手段と、走行ルート受信手段により受信した走行ルートの天候情報を予測するルート天候予測手段と、ルート天候予測手段により予測された予測天候情報を車両に送信するルート天候情報送信手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に天候情報を提供する天候情報センタ、及び、天候情報を運転者に報知すると共に設定された目的地に至る経路に沿って自車両を誘導する車両用経路誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムでは、車両の位置情報に基づき車両に搭載された地図情報を参照して、自車両周辺の地図における地図上の自車両位置を表示し運転者に報知する。また、目的地を入力すれば現在位置から目的地までのルートを検索して、到達までの時間が最短と予測されるルートを運転者に案内する。
【0003】
また、基地局や道路側方に設置されたビーコンから渋滞情報、規制情報、事故情報などの情報を受信し、これを車両に搭載された表示装置に表示するシステムが開発されており、渋滞や規制により通行止めとなっている経路を避けてルートを設定するナビゲーションシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。かかるナビゲーションシステムでは、渋滞や通行止めを避けて目的地までのルートを設定するので、通行止め等が生じた道路を迂回する迂回ルートの再設定が可能となる。
【特許文献1】特開平07−129893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明は通行止めが実際に発生した場合に、その情報を利用して迂回するためのルート探索を行うものであるため、通行止めが生じるまでルート探索に反映されないという不都合がある。通行止めなどは天候の変化に影響されて発生するため、ルート探索時には通行止めが発生していなくても走行中に通行止めが発生することがある。したがって、通行止め等がすでに生じた場合など過去の情報に基づいてルートを探索するだけでは充分でない。
【0005】
ルートと関わりなく雨又は晴れの別、雨量を予測して提供するいわゆる天気予報は利用可能であるのもの、従来の天気予報は目的地の天候を予測できる程度のものであり、天候が走行ルートに与える影響の程度を予測することは困難であった。これに対し、近年、気象観測の予測の精度が向上し、雨量や強風が走行に与える影響の予測が可能となってきた。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、車両が遭遇する天候を予測して天候情報を提供する天候情報センタ、走行中に遭遇すると予測された天候情報を運転者に報知する経路情報提供装置、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、天候情報を提供する天候情報センタにおいて、車両から目的地までの走行ルートを受信する走行ルート受信手段と、走行ルート受信手段により受信した走行ルートの天候情報を予測するルート天候予測手段と、ルート天候予測手段により予測された予測天候情報を車両に送信するルート天候情報送信手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、車両が遭遇する天候を予測して天候情報を提供する天候情報センタを提供できる。車両の運転者は、遭遇する天候に備えて運転できる。
また、本発明の一形態において、ルート天候予測手段により予測された予測天候情報に基づき、走行ルートの走行安全度を判定する走行安全度判定手段と、走行安全度判定手段により判定された走行安全度を車両に送信する走行安全度送信手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、天候の影響による走行ルートの安全度を判定でき、判定された走行安全度を車両に送信できる。車両の運転手は、安全度が所定よりも低い場合には、迂回する等の対処が可能となる。
【0010】
安全度が所定より低い場合とは、例えば、走行ルートにおける通行止めの発生が予測される場合である。
【0011】
また、本発明は、目的地までの経路情報を提供する車両の経路情報提供装置であって、目的地までの走行ルートを探索する走行ルート探索手段と、天候情報を提供する天候情報センタにより予測された走行ルートの予測天候情報を受信する予測天候情報受信手段と、予測天候情報受信手段により受信した予測天候情報を報知する予測天候情報報知手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、予測された走行ルートの天候を運転者に報知することができる。
【0013】
また、本発明の一形態において、予測天候情報に基づき天候情報センタにより判定された走行ルートの走行安全度を受信する走行安全度受信手段と、走行安全度受信手段により受信した走行安全度を報知する走行安全度報知手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、走行ルートに安全度が低下する箇所が予測された場合、運転者に予め報知することができる。
【発明の効果】
【0015】
車両が遭遇する天候を予測して天候情報を提供する天候情報センタ、走行中に遭遇すると予測された天候情報を運転者に報知する経路情報提供装置、を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【0017】
図1は、天候情報センタ1から走行ルートに予測される天候情報を車両に送信し、車両が運転者に報知する経路情報提供システムの全体構成図を示す。車両3は、ナビゲーションシステムを構成する経路情報提供装置6を有し、無線の中継基地局4及びネットワーク5を介して天候情報センタ1と接続可能となっている。また、車両3は、放送局2からのFM放送等や道路に設置された道路施設から、交通情報や天候情報を受信することができる。
【0018】
天候情報センタ1は放送局2や車両3に天候情報や今後に予測される予測天候情報を提供する。天候情報は、雨量計、風速計、気圧計、気温、日射・日照計、紫外線計など地上の観測装置や、気象レーダ、気象衛星等により観測される気象データに基づき生成される。気象データが収集されると、天候を予測したい領域(例えば、日本)の領域モデルとして、日本周辺の地域を細かい格子網で覆い、その格子点上の数値を計算する。所望の領域に予測される天候は、対応する格子点又はその周辺の数値に基づき予測される。
【0019】
図2(a)は、天候情報センタ1の機能ブロックを示す。天候情報センタ1は、走行ルート受信手段11,ルート天候予測手段12、ルート天候情報送信手段13、走行安全度判定手段121,及び、走行安全度送信手段131を有するように構成される。
【0020】
走行ルート受信手段11は、車両3から車両3の目的地までの走行ルートを受信する。ルート天候予測手段12は、受信した走行ルートの天候を予測する。走行ルートの探索については後述するが、走行ルートが探索されると目的地までのおよその走行時間も予測可能であるので、ルート天候予測手段12は走行ルートの走行時刻における天候を予測することができる。
【0021】
また、ルート天候予測手段12は走行安全度判定手段121を有し、走行安全度判定手段121は予測天候情報に基づき、走行ルートの走行安全度を判定する。走行安全度とは、天候が走行ルートに影響を与え、車両が安全に走行することができるかを否か又はどの程度安全かを示す度合いであり、例えば、通行止め、河川の氾濫、凍結、冠水などが生じるか否かを示す。天候の影響を受け通行止め等の状況が予測される箇所(後述するノード又はリンク)を安全低下箇所と称す。ルート天候送信手段13は、走行安全度送信手段131を有し、予測天候情報及び走行安全度を車両3に送信する。
【0022】
なお、天候情報センタ1は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、通信装置等からなるコンピュータを備え、ネットワーク5を介して車両3と通信する。例えば、ROMには該コンピュータを走行ルート受信手段11,ルート天候予測手段12、ルート天候予測手段13、走行安全度判定手段121,及び、走行安全度送信手段131として機能させるプログラムを格納しており、CPUがかかるプログラムを実行することで天候情報センタ1は車両3に予測天候情報等を提供する。
【0023】
経路情報提供装置6について説明する。図2(b)は経路情報提供装置6が適用されたナビゲーションシステム等の車載装置の機能ブロック図を示す。ナビゲーションシステム16は、GPS受信機11、車速センサ12及びジャイロセンサ13を有し、車両の走行位置を高精度に推定する。また、ナビゲーションシステム16は道路地図DB20を有し、推定された走行位置に基づき走行位置周辺及び進行方向前方の道路地図を道路地図DB20から抽出する。抽出された道路地図は自車両の位置と共に表示装置18に表示される。
【0024】
また、ナビゲーションシステム16は経路情報提供装置17を有し、入力装置15と接続されている。経路情報提供装置17は、走行ルート探索手段21、予測天候受信手段22、予測天候報知手段23、走行安全度受信手段24及び走行安全度報知手段25を有する。
【0025】
入力装置15から目的地が入力されると、走行ルート探索手段21は推定された走行位置から目的地まで最短となるルートを探索する。探索された走行ルートは天候情報センタ1に送信されるので、天候情報センタ1は上記のとおり、走行ルートの天候を予測しまた走行安全度を判定しその結果を車両3に送信する。予測天候報知手段23は天候情報センタ1から受信した予測天候情報を運転者に報知するよう、表示装置18に表示すると共にスピーカ19から運転者に報知する。走行安全度報知手段25は走行安全度受信手段24により受信した走行安全度を運転者に報知する。なお、予測天候受信手段22は天候情報センタ1から走行ルートに予測される予測天候情報を受信し、走行安全度受信手段24は予測天候情報に基づき判定された走行ルートの走行安全度を受信する。
【0026】
経路情報提供装置17は、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータであり、例えば、ROMには該コンピュータを走行ルート探索手段21、予測天候受信手段22、予測天候報知手段23、走行安全度受信手段24及び走行安全度報知手段25として機能させるプログラムを格納しており、CPUがかかるプログラムを実行することで経路情報提供装置17は機能を提供する。
【0027】
ナビゲーションシステム16は、GPS(Grobal Positioning System)航法及び自律航法による位置推定に、マップマッチング法による補正を加えながら現在位置を推定するようになっている。複数(3個以上)のGPS衛星から発信される電波をGPS受信機11により受信し、電波の到達時間及びGPS衛星の位置情報に基づきGPS航法により車両の現在位置を推定する。
【0028】
また、ナビゲーションシステム16は、車速センサ12、ジャイロセンサ13からの情報に基づいて車両の走行経路を累積しながら自律航法により車両の現在位置を推定する。そして、これらのGPS航法及び自律航法による位置推定に対して、道路地図DB20から抽出した道路地図情報の道路と車両の位置とを対応づけるマップマッチング法により最終的に現在位置を精度よく推定する。
【0029】
なお、車速センサ12は、各車輪に設けられた例えばパルスセンサであり、所定時間間隔に検出されるパルス数に基づき車速を検出する。ジャイロセンサ13は、車両に働く横Gやその変化速度に基づき車両の進行方向を検出するものである。
【0030】
道路地図情報を格納する道路地図DB20は、CDやDVD−ROM、ハードディスクで構成され、道路網や交差点などの道路地図情報が、緯度経度に対応づけて格納されている。道路地図情報は、実際の道路網に対応して、ノード(道路と道路が交差する点、すなわち交差点)に関係する情報と、リンク(ノードとノードを接続する道路)に関係する情報とからなるテーブル状のデータベースに格納される。
【0031】
ノードテーブルは、ノードの番号、座標、そのノードから流出するリンク数及びそれらのリンク番号を有する。また、リンクテーブルは、リンクの番号、リンクを構成する始点ノードと終点ノード、リンク長を有する。ノード番号及びリンク番号は、互いに重複しないように定められている。したがって、ノード番号とリンク番号をそれぞれ辿ることで道路網が形成される。
【0032】
道路地図情報には、道路の幅長、車線数等の道路情報が格納されている。また、高速道路,一般国道,地方道というような道路種別情報や、制限速度や一方通行、Uターン禁止などの交通規則が記憶されている。
【0033】
入力装置15は、押下式のキーボード、ボタン、リモコン、十字キー、タッチパネル等で運転者からの操作を入力する。マイクを備え運転者の発する音声を音声認識回路で認識して操作を入力してもよい。運転者は、目的地を住所、地名、ランドマーク名、郵便番号等で入力することができる。
【0034】
表示装置18は、液晶や有機EL、HUD(Head Up Display)等であり、道路地図や交通情報、目的地までの走行ルートを表示する。なお、入力装置が例えばタッチパネルである場合、表示装置18と兼用してもよい。また、スピーカ19は、ナビゲーションシステム16の音声出力装置と接続されており、ナビゲーションシステム16が案内する交差点などの進行方向を音声により出力する。
【0035】
通信装置14は、天候情報センタ1から予測天候情報及び走行安全度を受信し、また、上記のようにFM多重放送やビーコンにより交通情報を受信する。受信手段14はどのようなものであってもよいが、予測天候情報を受信する場合、携帯電話網(GSM(Global System for Mobile Communications)、 TDMA(Time Division Multiple Access)、CDMA(Code Division Multiple Access)、PDC(Personal Digital Cellular))、PHS網、又は、無線LAN等、に接続し電波を受信する受信装置である。また、放送局2から予測天候情報を受信する場合、衛星通信放送、デジタル若しくはアナログAM/FM放送・テレビ放送等の電波を受信する受信装置である。
【0036】
また、交通情報6を受信する場合、FM多重放送をFMアンテナにより受信したり、道路側方に設けられたビーコンより電波または光を媒体に受信する。FM多重放送の場合、FMアンテナによりFM波を受信する。FM多重波では、近県までの広域エリアの道路の渋滞状況や規制情報などが送信される。
【0037】
ビーコンの場合、道路に沿って設置されたビーコン発信源からの電波などをビーコン用アンテナにより受信する。ビーコンは比較的に短い距離において情報を送信する。ビーコンは、渋滞・リンク旅行時間・規制・駐車場情報・区間旅行時間・障害情報等の情報を送信する。リンク旅行時間や区間旅行時間は、該当する交差点から所定のリンク又はリンクされた区間のまでの所要時間(旅行時間)である。したがって、ビーコンにより交通情報を受信することで、目的地までの到達時間や目的地までの所定の各地点を走行する走行時刻を予測できる。
【0038】
経路の探索について説明する。経路探索 の方法としては、リンクとノードに分類されている地図データを、リンクコストの積算が最も小さくなるような経路を選択する方法(例えば、ダイクストラ法、ボイヤー・ムーア法)が知られている。リンクコストは、リンク長や右左折コストや通行規制コスト等、これらの組み合わせにより算出される。例えば、Aをリンク長、Bを右左折コスト、Cを通行規制コスト、Dを道路種別係数、Eを道路幅員コスト係数とし、リンクコスト=(A+B+C)・D・Eとした場合、この式により算出される値が最も小さくなるように経路が探索される。なお、Dの道路種別係数は道路種別が大きいほど値が小さくなり、Eの道路幅員コスト係数は道路幅員が大きいほど値が小さくなるように設定される。
【0039】
図3は、ダイキストラ法による経路探索を説明するための図である。図3では道路網を格子で示し格子の交点をノード(交差点)、交点を結ぶ線をリンク(道路)とする。車両の現在地はノードP0であると推定され、目的地はノードPeである。図3のリンクのいずれにも通行規制がなく道路種別が一様であれば、リンクコストが最小になるのはノードP0とPeを直線で結ぶルートAであるので、経路情報提供装置17はルートAを表示装置18に表示し、また、スピーカ19からルートAを報知し運転者を目的地Peに誘導する。
【0040】
さらに、経路情報提供装置17は上記のようにビーコンからリンクや区間の旅行時間を受信した場合、目的地までのリンクの旅行時間の合計が最小となるような経路を探索し、リンクコストが最小となるように探索された経路を修正することができる(ダイナミックルートガイダンス)。すなわち、交通の状況に応じた経路誘導を行え、目的地まで距離的には遠回りでも、より短い時間で到着することのできる経路を提供できる。
【0041】
ダイキストラ法にダイナミックルートガイダンスのよる修正を加えて経路情報提供装置17が目的地までの経路を探索すると、目的地までの例えば各ノード毎にノードを通過する通過時刻又はリンクを走行する走行時刻(以下、単に走行時刻という)を予測することができる。走行時刻は、走行距離と法定速度により算出できるし、ビーコンから旅行時間を受信した場合は精度よく走行時刻を予測できる。図3では現在時刻をt0、ノードN1の走行時刻をt1、ノードN2の走行時刻をt2、ノードN3の走行時刻t3及びノードN4の走行時刻t4と予測した。走行時刻が予測できれば、その時刻における走行ルートの天候を予測できることとなる。
【実施例1】
【0042】
本実施例では、予測天候情報を走行ルートと共に運転者に報知する場合について説明する。図4は、走行ルートの天候を予測して運転者に報知するフローチャート図の一例を示す。図4のフローチャート図は、例えば、運転者がナビゲーションシステムを立ち上げるとスタートする。
【0043】
経路情報提供装置6の入力装置15から目的地が設定されると、経路情報提供装置17が走行ルートを探索する(S11)。探索された走行ルートは道路地図と共に表示装置18に表示される。また、経路情報提供装置6は走行ルートを構成する一部又は全てのノードの座標及び走行時刻を天候情報センタ1へ送信する。
【0044】
天候情報センタ1は走行ルート及び走行時刻を受信すると、走行ルートにおける走行時刻の天候を予測する(S12)。図5は天候情報センタ1が提供する天候情報の一例を示す。時刻t0で天候情報を提供する場合、現在地であるノードP0の天候情報「雨量ゼロ、風速 微風、気温T度」等を車両3に送信する。また、天候情報が現在地を含む広域の天候情報を含む場合、走行ルートに合わせノードN1〜N3及びPeの天候情報を送信することができる。
【0045】
さらに、天候情報7は今後に予測される予測天候情報を含んでいるので、現在地では現在時刻t0から例えば時刻t4までに予測された予測天候情報7aを送信する。しかしながら、車両は目的地Peに向けて移動しているため、時刻t1以降はノードP0に存在せず、時刻t1にはノードN1に、時刻t2にはノードN2に、時刻t3にはノードN3、時刻t4にはノードPeを走行又は到着していることが予測されている。
【0046】
このため、予測天候情報7aとしては、車両の走行ルートとその走行時刻に合致した天候情報であることが好適であり、かかる予測天候情報7aを車両3に提供することでより運転者は走行ルートの天候を早期に認識して、天候の変化等があっても余裕を持った対応が可能となる。天候情報センタ1は図5のような天候情報7から、提供されたルートと予測された走行時刻に基づき予測天候情報7aを抽出し、車両3に送信する。図5では抽出する予測天候情報7aを太枠で囲んだ。予測天候情報は車両3へ送信される。
【0047】
車両3が予測天候情報7aを受信すると、経路情報提供装置6は走行ルートと共に予測天候情報を表示し運転者に報知する(S13)。したがって、運転者は目的地までの走行中に遭遇する天候を、好ましくは出発地点において又は遭遇する前に認識することができる。
【0048】
予測天候情報の報知の方法はどのようなものであってもよいが天候が走行に与える影響を運転者に認識させるように報知することが好適である。図6は、表示装置18に走行ルートと共に表示された予測天候情報を示す図である。図6では県や市など所定の領域に区分された道路地図に、探索された走行ルートBが表示されると共に領域毎に予測される天気が天候マークにより表示されている。
【0049】
探索された走行ルートBはAREA1〜AREA5を走行するものであるので、車両が主発地点P0にいる状態から走行ルートBを走行してAREA1〜AREA5の各領域を走行する時刻の天気が表示されている。例えば、AREA1と2は雨のち曇り、AREA3は曇りのち晴れ、AREA4と5は晴れ、と予想されている。なお、同じ天候マークの領域は同じ色で表示することで、運転者の視認性を向上させている。
【0050】
運転者は図6のような走行ルートと予測天候情報を参照することで当該領域を走行する時刻に予想される天候を認識でき、天候の急激な悪化などに備えることができる。
【0051】
また、例えば、走行に影響を与えることが多い雨量の情報を中心に運転者に報知してもよい。図7(a)及び(b)は、道路地図に表示される予想雨量の時間的推移を示す図である。図7(a)は比較的広域の予想雨量を、図7(b)では車両周辺の所定範囲をメッシュ状に区切り比較的狭い範囲毎に雨量を予測したものである。図7では、走行時刻となる10時、11時及び12時に予想される一時間当たりの雨量と予測される車両の走行ルート及び予測される車両の位置が表示されている。
【0052】
雨量は、雨量の程度に応じて色を変えて表示することとし、運転者に容易に雨量を認識させる。また、雨量と表示される色の関係を示す雨量表が表示装置18の一部に表示される。図7では、雨による走行支障はないと予想される雨量(Xmm以下)、スリップが生じるおそれがある雨量(Xmm以上)、他の走行車両が減速する傾向がある雨量(Ymm以上)、及び、視界が不良になり走行が困難となる雨量(Zmm以上)毎に色を変えて雨量が表示されている。
【0053】
例えば、運転者は図7を参照することで、10時の道路地図では雨量の多い領域は車両と離れているが、11時頃になると雨量の多い領域に車両がさしかかることが予想できる。10時における雨量分布が表示される。すなわち、運転者は図7のような表示を参照することで、走行ルートにおける安全度を容易に認識でき、走行不良となるような雨量が予想される場合は、休憩を取ったり出発を遅らせること等が可能となる。
【0054】
本実施例によれば、走行ルートを走行する時刻に予想される天候を運転者に提供することができる。また、時間の経過と共に推移する予測天候情報を走行位置と共に容易に視認できる形態で表示するので、運転者は天候が走行に与える影響を容易に認識できる。なお、本実施例では雨量に基づき説明したが、強風や積雪等においても同様に表示できる。
【実施例2】
【0055】
本実施例では、天候の影響により走行ルートの走行が困難になると予測される場合について説明する。走行ルートの天候が予測されれば、天候によっては走行ルートの一部が通行止め等になり走行が困難になることが予想できる。天候情報センタ1は、天候不良により通行止めとなるような安全低下箇所が検出される場合、運転者に予め報知することで、運転者が大きく迂回したり通行止めが解除されるまで待機するといった不具合を防止できる。
【0056】
図8は、天候の影響受けて通行止め等が生じることが予測される場合に予め運転者に報知する処理のフローチャート図を示す。なお、図8において図4と同一ステップには同一の符号を付しの説明は簡単に行う。
【0057】
経路情報提供装置6の入力装置15から目的地が設定されると、経路情報提供装置17が走行ルートを探索する(S11)。経路情報提供装置6は走行ルートを構成する一部又は全てのノードの座標及び走行時刻を天候情報センタ1へ送信する。
【0058】
天候情報センタ1は走行ルート及び走行時刻を受信すると、走行ルートにおける走行時刻の天候を予測する(S12)。
【0059】
また、天候情報センタ1は、走行ルートにおいて通行止め等が生じる可能性がある安全低下箇所を検出する(S21)。例えば、図7のように予測天候情報の予測雨量として一時間当たりの雨量が分かれば走行時刻までに予想される総雨量が分かるので、総雨量が所定の基準値より多い走行箇所があれば安全低下箇所として検出する。図7では雨量を表示したが、リンクやノードに橋がある場合に川の水位が所定の基準値より高い場合や、リンクやノードに橋や崖がある場合に風速が所定の基準値より高い場合、積雪が所定の基準値より多い場合などは、当該リンク又はノードを安全低下箇所として検出する。
【0060】
また、安全低下箇所は、過去に生じた河川の氾濫、強風、土砂災害、冠水、積雪、等により実際に通行止めとなった災害記録を保持・利用することで、精度よく検出できる。天候情報センタ1が受信した走行ルートに過去に通行止めが生じたリンクやノードがあるか否かを災害記録から検索し、通行止めが生じた場合の天候を参照する。天候情報センタ1は通行止めが生じた場合の天候と予測天候情報との相関に基づき安全低下箇所を検出できる。例えば、通行止めが生じた場合の雨量に対し80〜90%の雨量が予測天候情報7aから予測される場合、過去に通行止めとなったリンク又はノードが通行止めになると予測できる。
【0061】
天候情報センタ1が予測天候情報及び安全低下箇所を車両3に送信すると、車両3は走行ルートと共に安全低下箇所を表示する。なお、安全低下箇所は、走行ルートに生じるものだけでなく、車両の進行方向に生じるものを含めて表示してもよい。これにより運転者が走行ルートから外れても安全低下箇所を回避して走行することができる。
【0062】
図9(a)は、走行ルートに通行止めが生じるおそれがある場合に運転者に報知される報知内容の一例を示す。図9(a)では運転者は地点P0に存在し、目的地Pe(エアポート)に向け走行する予定でいる。目的地Peは周囲を海で囲まれているため目的地Peに到達するためには橋30を走行しなければならない。本実施例では天候情報センタ1は、橋30が強風のため通行止めになる可能性があると判定し、車両3は表示装置18に道路地図と共に「強風のため通行止めになる可能性があります」と表示し、橋30に安全低下箇所があることを報知している。
【0063】
運転者は、少なくとも通行止めになる前に、走行ルート又はその周辺の道路が通行止めになる可能性があることを認識できるので、目的地Peに向かうか否かの判断材料とすることができる。なお、図9(a)では簡単のため目的地まで経路が一つしかない例を示したが、安全低下箇所を迂回すれば目的地に到達できる場合でもあっても安全低下箇所が表示される。例えば、河川に囲まれた中州を通過する走行ルートの場合に、河川が氾濫するおそれがあると予測された場合、「河川の氾濫のため通行止めになるおそれがあります」と表示する。
【0064】
図9(a)では目的地Peへの走行ルートに安全低下箇所があることとしたが、目的地Pe又はその付近に安全低下箇所がある場合も車両により目的地Peに到達することが困難である。例えば、目的地Peの付近に河川があり、河川が氾濫する可能性がある場合である。
【0065】
図9(b)は、表示装置18に表示された目的地Peの付近に安全低下箇所がある場合の報知内容の一例を示す。図9(b)では、運転者は地点P0に存在し目的地Peに向け走行する予定でいる。目的地Peの付近には河川31が流れている。
【0066】
天候情報センタ1が河川31が氾濫する可能性があることを予測した場合、目的地Peの付近までは走行できても目的地Peには到達できないので、運転者が足止めに遭遇することとなり好ましくない。
【0067】
そこで、目的地Peの付近に安全低下箇所がある場合、天候情報センタ1は、「目的地付近は河川が氾濫する可能性があり、目的地まで到達できない場合があります。」と表示装置18に表示し、運転者に安全低下箇所があることを報知する。
【0068】
運転者は図9(b)のような表示を参照することで、目的地Peまで到達できない可能性があることを認識でき、目的地Peに向かうか否かの判断材料とすることができる。
【0069】
本実施例によれば、走行ルート又はその周辺の通行止め等を予測して運転者に報知するので、運転者は自分の走行に影響するか否かを早期に認識して、別の交通手段の選択や出発の取りやめ、延期等の判断を行うことができる。なお、天候情報センタ1が走行ルートを受信した時すでに、走行ルートや目的地等に安全低下箇所が検出されている場合、同様に、運転者に報知される。
【0070】
以上のように本実施の形態の天候情報センタ1又は経路情報提供装置17は、走行ルートの天候を予測して運転者に報知することができるので、運転者は容易に天候の影響を認識できる。また、天候から走行安全度を予測し、通行止め等が生じるおそれがある場合、運転者に報知するので、運転者は出発の取りやめ、延期等の判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】天候情報センタから走行ルートの予測天候情報を送信し車両が運転者に報知する経路情報提供システムの全体構成図である。
【図2】天候情報センタ1の機能ブロックを示す図である。
【図3】ダイキストラ法による経路探索を説明するための図である。
【図4】予測天候情報を走行ルートと共に運転者に報知する処理のフローチャート図である。
【図5】天候情報センタが提供する天候情報の一例である。
【図6】表示装置に走行ルートと共に表示された予測天候情報を示す図である。
【図7】道路地図に表示される予想雨量の時間的推移を示す図である。
【図8】天候の影響受けて通行止め等が生じることが予測される場合に予め運転者に報知する処理のフローチャート図である。
【図9】走行ルートに通行止めが生じるおそれがある場合に表示される報知内容の一例である。
【符号の説明】
【0072】
1 天候情報センタ
3 車両
5 ネットワーク
7 天候情報
7a 予測天候情報
16 ナビゲーションシステム
17 経路情報提供装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天候情報を提供する天候情報センタにおいて、
車両から目的地までの走行ルートを受信する走行ルート受信手段と、
前記走行ルート受信手段により受信した前記走行ルートの天候情報を予測するルート天候予測手段と、
前記ルート天候予測手段により予測された予測天候情報を前記車両に送信するルート天候情報送信手段と、
を有することを特徴とする天候情報センタ。
【請求項2】
前記ルート天候予測手段により予測された前記予測天候情報に基づき、前記走行ルートの走行安全度を判定する走行安全度判定手段と、
前記走行安全度判定手段により判定された前記走行安全度を車両に送信する走行安全度送信手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の天候情報センタ。
【請求項3】
前記走行安全度判定手段は、前記走行ルートにおける通行止めの発生を予測する、
ことを特徴とする請求項2記載の天候情報センタ。
【請求項4】
目的地までの経路情報を提供する車両の経路情報提供装置であって、
前記目的地までの走行ルートを探索する走行ルート探索手段と、
天候情報を提供する天候情報センタにより予測された前記走行ルートの予測天候情報を受信する予測天候情報受信手段と、
前記予測天候情報受信手段により受信した前記予測天候情報を報知する予測天候情報報知手段と、
を有することを特徴とする車両の経路情報提供装置。
【請求項5】
前記予測天候情報に基づき前記天候情報センタにより判定された前記走行ルートの走行安全度を受信する走行安全度受信手段と、
前記走行安全度受信手段により受信した前記走行安全度を報知する走行安全度報知手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の車両の経路情報提供装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−51974(P2007−51974A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238695(P2005−238695)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(595168749)株式会社ウェザーニューズ (2)
【Fターム(参考)】