説明

成膜方法及び半導体装置の製造方法

【課題】 2.7より低い比誘電率を有する低誘電率絶縁膜及び4より低い比誘電率を有するバリア絶縁膜を化学気相成長法により成膜する方法を提供するものである。
【解決手段】 シリコン原子による5員環以上の環状構造を有し、かつ該シリコン原子によるシロキサン結合を有する第1のシリコン含有有機化合物と、シリコン原子による4員環以下の環状構造又は4以下のシリコン原子の鎖状構造を有し、かつ該シリコン原子によるシロキサン結合を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板31上に絶縁膜32を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜方法及び半導体装置の製造方法、より詳しくは、化学気相成長法を用いて低誘電率絶縁膜及びバリア絶縁膜を成膜する方法、及び銅配線を被覆してそのバリア絶縁膜及び低誘電率絶縁膜のうち少なくとも何れか一で構成される層間絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の高集積度化、高密度化とともに、データ転送速度の高速化が要求されている。このため、RCディレイタイムの小さい低誘電率を有する絶縁膜(以下、低誘電率絶縁膜或いはlow-k膜と称する。)が用いられている。
【0003】
また、これらの低誘電率絶縁膜の成膜方法では、従来、シリコン含有有機化合物としてメチルシラン、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用い、酸化剤としてN2O、O2、H2Oガスを用いたプラズマCVD法により、low-k膜やCu拡散を防止するバリア絶縁膜を形成している。
【0004】
或いは、ジメトキシシラン単独を用いたプラズマCVD法により、low-k膜やCu拡散を防止するバリア絶縁膜を形成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの成膜方法では、low-k膜において比誘電率(k)を2.7よりも低くすること、バリア絶縁膜において比誘電率(k)を4よりも低くすることが難しくなってきている。
【0006】
近年、ロジックデバイスの駆動周波数がGHzオーダになり、配線パターンの寸法が45nm以下になると、層間絶縁膜として2.3以下の比誘電率(k)が必要で、従来の比誘電率(k)の大きさではデバイスの高速化及び高集積化を実現することは難しい。
【0007】
本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、2.7より低い比誘電率を有する低誘電率絶縁膜及び4より低い比誘電率を有するバリア絶縁膜を化学気相成長法により成膜する方法、及び銅配線を被覆してそのバリア絶縁膜及び低誘電率絶縁膜のうち少なくとも何れか一で構成される層間絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は成膜方法に係り、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するRは同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とし、
第2の発明は、成膜方法に係り、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とし、
第3の発明は、第1の発明の成膜方法に係り、前記成膜ガスは、前記第1のシリコン含有有機化合物、及び前記第2のシリコン含有有機化合物のほかに、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物を含むことを特徴とし、
第4の発明は、第1乃至3の発明の何れか一の成膜方法にかかり、前記第1のシリコン含有有機化合物及び前記第2のシリコン含有有機化合物のうち少なくとも何れか一は、フッ素を含むことを特徴とし、
第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜ガスは、メチルシランを含むことを特徴とし、
第6の発明は、第1乃至第4の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜ガスは、H2O、N2O、CO2又はO2のうち少なくとも何れか一を含むことを特徴とし、
第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜ガスに、希釈ガスとしてHe又はArのうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とし、
第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜ガスに、CxHyを添加することを特徴とし、
第9の発明は、第1乃至第8の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜中において、周波数100kHz乃至1MHzの周波数範囲にある電力を印加することを特徴とし、
第10の発明は、第9の発明の成膜方法に係り、前記成膜ガスに、NH3又はN2のうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とし、
第11の発明は、第1乃至第10の発明の何れか一の成膜方法に係り、前記成膜後において、前記成膜された絶縁膜に、酸素を含まない雰囲気又は減圧中で、波長245nm以下の波長を有する紫外線を照射することを特徴とし、
第12の発明は、半導体装置の製造方法に係り、銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記バリア絶縁膜を形成する工程は、第9乃至第11の発明の何れか一の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であることを特徴とし、
第13の発明は、半導体装置の製造方法に係り、銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、第1乃至第8の発明の何れか一に記載の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴とし、
第14の発明は、半導体装置の製造方法に係り、銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、前記バリア絶縁膜を形成する工程は、第9乃至第11の発明の何れか一の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であり、前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、第1乃至第8の発明の何れか一の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴としている。
【0009】
以下に、上記本発明の構成に基づく作用について説明する。
【0010】
本発明によれば、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスを用いている。
【0011】
これにより、比較的大きな空孔を持つ低誘電率絶縁膜を安定して形成することができる。この場合、両者の流量比を変えることにより、平均空孔径を制御することができる。
【0012】
また、第1のシリコン含有有機化合物及び第2のシリコン含有有機化合物がフッ素を含むことで、その形成膜は、フッ素を含まない場合と比べ、更に比誘電率を低くすることができる。
【0013】
また、上記第1及び第2のシリコン含有有機化合物の組み合わせにおいて第2のシリコン含有有機化合物の代わりに、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物を用いてもよい。第3のシリコン含有有機化合物に含まれるメトキシ基或いはエトキシ基は各シロキサンを繋げる機能を有すると考えられ、このため上記第1及び第2のシリコン含有有機化合物の組み合わせに比べて、膜質その他の制御性が一層良くなることが期待される。
【0014】
また、成膜ガスがメチルシランを含む場合、メチルシランは多員環構造を持つソースに比べて気相反応しにくいため、絶縁膜を安定して形成することができる。
【0015】
また、成膜ガスが酸化剤としてH2O、N2O、CO2又はO2のうち少なくとも何れか一を含む場合、これらは多員環を相互に繋げるつなぎ剤として機能し、絶縁膜を形成しやすくし得る。
【0016】
また、成膜ガスに希釈ガスとしてHe又はArのうち少なくともいずれか一を添加することで、成膜反応が急激に起こるのを抑制して、膜厚分布を向上させ、かつ形成膜の白濁を防止して膜質を向上させることができる。
【0017】
また、成膜ガスにCxHyを添加することで、CxHyを形成膜中に取り込み、さらにアニールアウトすることで、空孔径が大きく、かつ比誘電率が小さい絶縁膜を形成することができる。また、CxHyは希釈ガスとして機能し、成膜反応が急激に起こるのを抑制して、膜厚分布を向上させ、かつ形成膜の白濁を防止して膜質を向上させることができる。
【0018】
また、成膜中において、周波数100kHz乃至1MHzの周波数範囲にある電力を印加することで、基板にバイアスをかけるようにして成膜する。これにより、特に、銅に対する緻密なバリ絶縁膜を得ることができる。
【0019】
また、成膜ガスに、NH3又はN2のうち少なくとも何れか一を添加することで、形成膜中にNを取り込む。形成膜中にNを取り込むことで、より空孔径が小さく、密度の大きい絶縁膜を形成することができる。特に、銅に対する緻密なバリ絶縁膜の成膜に有用である。
【0020】
また、成膜後において、成膜された絶縁膜に、酸素を含まない雰囲気又は減圧中で、波長245nm以下の波長を有する紫外線を照射する。波長245nm以下の波長を有する紫外線は膜中の不安定なCH3ボンドを切断して、形成膜のネットワーク構造を安定化させ、形成膜の機械的強度を高めることができる。なお、切断されたCH3は加熱処理により、膜中より排除される。
【0021】
上記のように、本発明の成膜方法で作製された絶縁膜は、低誘電率絶縁膜として用いてもよいし、銅に対するバリア絶縁膜として用いてもよい。従って、本発明の成膜方法を、銅を主とする配線上にバリア絶縁膜と低誘電率絶縁膜を形成する半導体装置の製造方法、例えば、ダマシン法に適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスを用いることにより、比較的大きな空孔を持つ低誘電率絶縁膜を安定して形成することができる。この場合、両者の流量比を変えることにより、平均空孔径を制御することができる。
【0023】
また、第1のシリコン含有有機化合物及び第2のシリコン含有有機化合物がフッ素を含むことで、その形成膜は、フッ素を含まない場合と比べ、更に比誘電率を低くすることができる。
【0024】
また、上記第1及び第2のシリコン含有有機化合物の組み合わせにおいて第2のシリコン含有有機化合物の代わりに、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物を用いてもよい。第3のシリコン含有有機化合物に含まれるメトキシ基或いはエトキシ基は各シロキサンを繋げる機能を有すると考えられ、このため上記第1及び第2のシリコン含有有機化合物の組み合わせに比べて、膜質その他の制御性が一層良くなることが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(本発明の実施の形態である成膜方法に用いるプラズマCVD装置の説明)
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法に用いられる平行平板型のプラズマCVD装置101の構成を示す側面図である。
【0027】
このプラズマCVD装置101は、プラズマガスにより基板21上にバリア絶縁膜や低誘電率絶縁膜を形成する場所であり、形成膜をプラズマ処理する場所でもある成膜部101Aと、成膜ガスを構成する複数のガスの供給源を有する成膜ガス供給部101Bとから構成されている。
【0028】
成膜部101Aは、図1に示すように、減圧可能なチャンバ1を備え、チャンバ1は排気配管4を通して排気装置6と接続されている。排気配管4の途中にはチャンバ1と排気装置6の間の導通/非導通を制御する開閉バルブ5が設けられている。チャンバ1にはチャンバ1内の圧力を監視する不図示の真空計などの圧力計測手段が設けられている。
【0029】
チャンバ1内には対向する一対の上部電極2と下部電極3とが備えられ、上部電極2に周波数13.56MHzの高い周波数の電力を供給する第1の高周波電力供給電源(RF電源)7が接続され、下部電極3に周波数380kHzの低い周波数の電力を供給する第2の高周波電力供給電源8が接続されている。これらの高周波電力供給電源7、8のうち少なくとも第1の高周波電力供給電源7から上部電極2に高い周波数の電力(PHF)を供給し、又は、第2の高周波電力供給電源8から下部電極3に低い周波数の電力(PLF)を供給し、又は両方を供給して成膜ガスをプラズマ化する。上部電極2、下部電極3及び電源7、8が成膜ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段を構成する。
【0030】
なお、下部電極3には、周波数380kHzのみならず、周波数100kHz以上、1MHz未満の低い周波数の電力を印加することができるし、また、下部電極3に対向する上部電極2には、周波数13.56MHzのみならず、周波数1MHz以上の高い周波数の電力を印加してもよい。さらに、図1では上部電極2に第1の高周波電力供給電源が接続され、下部電極3に第2の高周波電力供給電源が接続されているが、第1の高周波電力供給電源7は上部電極2に限らず、上部電極2又は下部電極3の何れか一に接続され、かつ第2の高周波電力供給電源8は下部電極3に限らず、他の電極に接続されていれば、この発明の目的を達成することができる。
【0031】
上部電極2は成膜ガスの分散具を兼ねている。上部電極2には複数の貫通孔が形成され、下部電極3との対向面における貫通孔の開口部が成膜ガスの放出口(導入口)となる。この成膜ガス等の放出口は成膜ガス供給部101Bと配管9aで接続されている。また、場合により、上部電極2には図示しないヒータが備えられることもある。成膜中に上部電極2を温度凡そ100℃程度に加熱しておくことにより、成膜ガスの反応生成物からなるパーティクルが上部電極2に付着するのを防止するためである。
【0032】
下部電極3は基板21の保持台を兼ね、また、保持台上の基板21を加熱するヒータ12を備えている。
【0033】
成膜ガス供給部101Bには、成膜ガスの供給源として、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基(C2H3)又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物の供給源と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物の供給源と、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物の供給源と、メチルシランの供給源と、ハイドロカーボン(CxHy)の供給源と、H2O、N2O、CO2、O2の何れか一で構成される酸化性ガスの供給源と、希釈ガスとしてのHe、又はArの供給源と、アンモニア(NH3)又は窒素(N2)の供給源とを備えている。なお、窒素(N2)はパージガスとしても用いられる。
【0034】
これらのガスは適宜分岐配管9b乃至9i及びこれらすべての分岐配管9b乃至9iが接続された配管9aを通して成膜部101Aのチャンバ1内に供給される。分岐配管9b乃至9iの途中に流量調整手段11a乃至11hや、分岐配管9b乃至9iの導通/非導通を制御する開閉手段10b乃至10qが設置され、配管9aの途中に配管9aの閉鎖/導通を行う開閉手段10aが設置されている。
【0035】
以上のような成膜装置101によれば、成膜ガスの供給源として、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物の供給源と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物の供給源と、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物の供給源と、メチルシランの供給源と、ハイドロカーボン(CxHy)の供給源と、H2O、N2O、CO2、O2の何れか一で構成される酸化性ガスの供給源と、希釈ガスとしてのHe、又はArの供給源と、アンモニア(NH3)又は窒素(N2)の供給源とを備えている。さらに成膜ガスをプラズマ化するプラズマ生成手段2、3、7、8を備えている。
【0036】
これにより、低誘電率を有するシリコン酸化からなる低誘電率絶縁膜(Low-k膜)の成膜と、Cuの拡散を防止するバリア機能を有するシリコン酸化膜又はシリコン酸化窒化膜からなるCuバリア絶縁膜の成膜とを、同一のチャンバ内で連続して行うことができる。
【0037】
(本発明の実施の形態である半導体装置の製造方法の説明)
次に、この発明の実施の形態である半導体装置の製造方法に用いられる低誘電率絶縁膜、及びCuバリア絶縁膜の成膜方法について説明する。
【0038】
耐湿性に優れ、かつ低誘電率を有する低誘電率絶縁膜と、銅の拡散防止機能に優れたCuバリア絶縁膜とでは、成膜条件が異なる。
【0039】
まず、成膜条件のうち、低誘電率絶縁膜、及びCuバリア絶縁膜の成膜ガスを構成する、特に有効なガスの組み合わせについて以下に説明する。
【0040】
(i)低誘電率絶縁膜を形成する成膜ガスの構成ガス
(1)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物
ここで、第1のシリコン含有有機化合物は、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有し、フッ素(F)を含むものと、含まないものがある。第2のシリコン含有有機化合物は、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2は水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有し、フッ素(F)を含むものと、含まないものがある。以下、同じ。
【0041】
(2)第1のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物
ここで、第3のシリコン含有有機化合物は、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する。以下、同じ。
【0042】
(3)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物
(4)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物/酸化性ガス
(5)第1のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物/酸化性ガス
(6)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物/酸化性ガス
(7)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物/メチルシラン
(8)第1のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物/メチルシラン
(9)第1のシリコン含有有機化合物/第2のシリコン含有有機化合物/第3のシリコン含有有機化合物/メチルシラン
(10)(1)乃至(9)の組み合わせの成膜ガスの何れか一/希釈ガス
(11)(1)乃至(10)の組み合わせの成膜ガスの何れか一/Cxy
(ii)Cuバリア絶縁膜を形成する成膜ガスの構成ガス
(12)(1)乃至(11)の組み合わせの成膜ガスの何れか一/NH3又はN2
次に、上記の第1のシリコン含有有機化合物、第2のシリコン含有有機化合物、第3のシリコン含有有機化合物、メチルシラン、酸化性ガス、希釈ガス、及びCxyについて説明する。
【0043】
代表例として以下に示すものを用いることができる。
【0044】
(i)第1のシリコン含有有機化合物
(A)第1のシリコン含有有機化合物(without F)
デカメチルシクロペンタシロキサン(DMCPSO)
【0045】
【化1】

【0046】
デカエチルシクロペンタシロキサン(DECPSO)
【0047】
【化2】

【0048】
デカメトキシシクロペンタシロキサン(DMOCPSO)
【0049】
【化3】

【0050】
デカエトキシシクロペンタシロキサン(DEOCPSO)
【0051】
【化4】

【0052】
ペンタメチルシクロペンタシロキサン(PMCPSO)
【0053】
【化5】

【0054】
ペンタメトキシシクロペンタシロキサン(PMOCPSO)
【0055】
【化6】

【0056】
ペンタメチルペンタメトキシシクロペンタシロキサン(PMPMOCPSO)
【0057】
【化7】

【0058】
ペンタメチルペンタエトキシシクロペンタシロキサン(PMPEOCPSO)
【0059】
【化8】

【0060】
ペンタエチルシクロペンタシロキサン(PECPSO)
【0061】
【化9】

【0062】
ペンタエトキシシクロペンタシロキサン(PEOCPSO)
【0063】
【化10】

【0064】
ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(DDMCHSO)
【0065】
【化11】

【0066】
ドデカエチルシクロヘキサシロキサン(DDECHSO)
【0067】
【化12】

【0068】
ジビニルデカメチルシクロヘキサシロキサン(DBDMCHSO)
【0069】
【化13】

【0070】
ドデカメトキシシクロヘキサシロキサン(DDMOCHSO)
【0071】
【化14】

【0072】
ドデカエトキシシクロヘキサシロキサン(DDEOCHSO)
【0073】
【化15】

【0074】
ヘキサメチルヘキサメトキシシクロヘキサシロキサン(HMHMOCHSO)
【0075】
【化16】

【0076】
ヘキサメチルヘキサエトキシシクロヘキサシロキサン(HMHEOCHSO)
【0077】
【化17】

【0078】
ヘキサエチルヘキサエトキシシクロヘキサシロキサン(HEHEOCHSO)
【0079】
【化18】

【0080】
ヘキサメトキシシクロヘキサシロキサン(HMOCHSO)
【0081】
【化19】

【0082】
ヘキサエトキシシクロヘキサシロキサン(HEOCHSO)
【0083】
【化20】

【0084】
ヘキサメチルシクロヘキサシロキサン(HMCHSO)
【0085】
【化21】

【0086】
ヘキサエチルシクロヘキサシロキサン(HECHSO)
【0087】
【化22】

【0088】
(B)第1のシリコン含有有機化合物(with F)
(A)項の第1のシリコン含有有機化合物のSiの結合手に結合したメチル基、メトキシ基、エトキシ基の何れか一がフッ素(F)と置き換わった化合物がある。
【0089】
又は、それらメチル基、メトキシ基、或いはエトキシ基自体を構成するSiの結合手に結合した水素のうち少なくとも一つがフッ素(F)と置き換わった化合物がある。
【0090】
(ii)第2のシリコン含有有機化合物
(A)第2のシリコン含有有機化合物(without F)
テトラメチルジメトキシジシロキサン
(CH3)2(OCH3)SiOSi(CH3)2(OCH3)
ペンタメチルモノメトキシジシロキサン
(CH3)3SiOSi(CH3)2(OCH3)
トリメチルトリメトキシジシロキサン
(CH3)2(OCH3)SiOSi(CH3)(OCH3)2
ジメチルテトラメトキシシジシロキサン
(CH3)(OCH3)2SiOSi(CH3)(OCH3)2
ヘキサメチルジシロキサン
(CH3)3SiOSi(CH3)3
オクタメチルトリシロキサン
(CH3)3SiOSi(CH3)2OSi(CH3)3
オクタメチルシクロテトラシロキサン
((CH3)2SiO)4
オクタメトキシシクロテトラシロキサン
((OCH3)2SiO)4
オクタエトキシシクロテトラシロキサン
((OC2H5)2SiO)4
(B)第2のシリコン含有有機化合物(with F)
テトラメチルジフロロジシロキサン
(CH3)2FSiOSi(CH3)2F
ペンタメチルモノフロロジシロキサン
(CH3)3SiOSi(CH3)2F
トリメチルトリメトキシジシロキサン
(CH3)2FSiOSi(CH3)F2
ジメチルテトラフロロジシロキサン
(CH3)F2SiOSi(CH3)F2
(iii)第3のシリコン含有有機化合物
4個以下のSi原子を有するアルキルシラン、アルコキシシランなどがある。
【0091】
メチルトリメトキシシラン(Si(CH3)(OCH3)3
ジメチルジメトキシシラン(Si(CH3)2(OCH3)2
トリメチルモノメトキシシラン(Si(CH3)3(OCH3))
(iv)メチルシラン
モノメチルシラン(SiH3(CH3))
ジメチルシラン(SiH2(CH3)2
トリメチルシラン(SiH(CH3)3
テトラメチルシラン(Si(CH3)4
(v)酸化性ガス
2O、N2O、CO2、O2
(vi)希釈ガス
He,Ar
(vii)Cxy
メタン(C2H6
プロパン(C3H8
ブタン(C4H10
次に、上記以外の成膜条件、及び膜形成の全体の工程を説明するとともに、上記を含む成膜条件及び膜形成の全体の工程を採用した理由又は効果とを説明する。
【0092】
低誘電率絶縁膜の形成においては、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有化合物を用いる。これにより、大きな空孔径を持つ絶縁膜を形成することができるため、比誘電率(k)を2.4以下に下げることができる。
【0093】
構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有化合物を用いた場合、第3のシリコン含有有機化合物に含まれるメトキシ基或いはエトキシ基は各シロキサンを繋げる機能を有すると考えられ、このため上記第1及び第2のシリコン含有有機化合物の組み合わせに比べて、膜質その他の制御性が一層良くなることが期待される。
【0094】
また、形成膜中に窒素が多量に含まれないようにするため、成膜ガス中にNH3やN2を含ませない。
【0095】
さらに、成膜ガスに希釈ガス、例えば、He又はArのうち少なくとも何れか一を加える。調査によれば、He又はArのうち少なくとも何れか一を含む成膜ガスに電力を印加して生成したプラズマを用いることで、成膜反応が急激に起こるのを抑制し、これにより、形成膜の膜厚分布を調整することができる。また、成膜反応が急激に起こるのを抑制できるため、形成膜の白濁を防止して膜質を向上させることにおいても有効である。そして、好ましくは周波数1MHz以上の電力を印加して生成したプラズマを用いることで、空孔径の大きな形成膜を得ることができ、形成膜の比誘電率をより低減させることができる。
【0096】
以上のように、低誘電率絶縁膜において、2.7以下、例えば2.3と低い比誘電率を付与することができ、かつ耐湿性に優れた特性を付与することができる。
【0097】
さらに、成膜ガスの構成ガスとして、シロキサン結合を有するシリコン含有有機化合物を用いている。その理由は、化合物中に既にSi−O−Siを含んでいるので、形成膜中にSi−O結合がそのまま取り込まれるため、酸素の余分な反応を抑えることができるからであり、また、形成膜を安定させることができるからである。
【0098】
また、低誘電率絶縁膜の成膜ガスに、Cxy(x,yは正の整数)を添加してもよい。これにより、CxHyを形成膜中に取り込み、さらにアニールアウトすることで、空孔径が大きく、かつ比誘電率が小さい絶縁膜を形成することができる。また、CxHyは希釈ガスとして機能し、成膜反応が急激に起こるのを抑制して膜厚分布を向上させ、かつ形成膜の白濁を防止して膜質を向上させることができる。
【0099】
さらに、低誘電率絶縁膜の成膜後に、例えばXeランプ(波長172nm)、低圧水銀ランプ(波長185nm)等波長245nm以下の紫外線を用い、パワー8〜13mW/cm2で、時間60秒程度、紫外線照射処理(UV処理)を行う。紫外線照射処理中或いはその後に、例えば、N2中、圧力10Torr以下、300〜350℃程度で加熱処理を行う。紫外線照射処理によって、形成膜中のSi-CH3結合から、CH3を切り離し、加熱処理によりさらにCH3を膜中から排除して、より一層低誘電率化するとともに、これにより未結合となったSiの未結合手同士を結合させて、膜強度の向上を図る。また、水分などの付着を抑制する。
【0100】
また、低誘電率絶縁膜とともに用いるCuバリア絶縁膜の成膜においては、低誘電率絶縁膜の第1の成膜ガスにさらにNH3、又はN2のうち少なくとも何れか一を添加する。また、成膜ガスに印加する高周波電力に関しては、印加する電力のプラズマ化周波数を1MHz未満と低くする。以上の成膜条件により、比誘電率は多少高くなるが、Cuの拡散を阻止する機能を高めた、さらに膜質の良い膜を形成することができる。しかも、Cuバリア絶縁膜中に窒素を含まないようにすることが可能である。
【0101】
また、Cuバリア絶縁膜の成膜ガスに、Cxy(x,yは正の整数)を添加してもよい。これにより、Cuバリア絶縁膜と低誘電率絶縁膜とを積層した構造において低誘電率絶縁膜を選択的にエッチングする際に、低誘電率絶縁膜のエッチャントに対してCuバリア絶縁膜のエッチング耐性を確保することができる。
【0102】
さらに、Cuバリア絶縁膜の成膜後に、低誘電率絶縁膜のときと同じ理由で紫外線照射処理(UV処理)を行う。
【0103】
なお、低誘電率絶縁膜を形成した後に、引き続き、その上にCuバリア絶縁膜を形成する場合、大気に曝さないで引き続き、Cuバリア絶縁膜の成膜を行うことが好ましい。低誘電率絶縁膜が大気中の水分を吸収して比誘電率が高くなるのを防止するためである。
【0104】
次に、成膜条件の実施例について以下に説明する。
【0105】
(1)第1実施例
第1実施例の絶縁膜は低誘電率絶縁膜の一例である。但し、UV処理後の加熱処理の条件は省略している。
【0106】
(成膜条件I)
(i)成膜ガス条件
DDMCHSOガス流量:75sccm
HMDSOガス流量:50sccm
H2O流量:500sccm
Ar流量:100sccm
ガス圧力:1.6Torr
(ii)プラズマ化条件
高周波電力(13.56MHz)PHF:562W
低周波電力(380KHz)PLF:0W
(電極の大きさは345mmφ、以下同じ。)
(iii)基板加熱温度:350℃
(iv)成膜されたシリコン酸化膜
膜厚:700nm
比誘電率:2.3〜2.4
(UV処理条件)
(i)UV照射条件
UV波長:172nm
照射エネルギ:13mW/cm2
(ii)UV処理後のシリコン酸化膜
比誘電率:2.1〜2.2
ヤング率:7GPa
(2)第2実施例
第2実施例の絶縁膜は低誘電率絶縁膜の他の一例である。成膜条件Iに対してH2Oを加えている。
【0107】
(成膜条件II)
(i)成膜ガス条件
DDMCHSOガス流量:75sccm
DMDEOCTSOガス流量:50sccm
He流量:100sccm
ガス圧力:1.6Torr
(ii)プラズマ化条件
高周波電力(13.56MHz)PHF:562W
低周波電力(380KHz)PLF:0W
(iii)基板加熱温度:350℃
(iv)成膜されたシリコン酸化膜
膜厚:700nm
比誘電率:2.2〜2.3
(UV処理条件)
(i)UV照射条件
UV波長:172nm
照射エネルギ:13mW/cm2
(ii)UV処理後のシリコン酸化膜
比誘電率:2.1〜2.2
ヤング率:7GPa
(3)第3実施例
第3実施例の絶縁膜はバリア絶縁膜の一例である。
【0108】
(成膜条件III)
(i)成膜ガス条件
HMDSOガス流量:75sccm
ガス圧力:1Torr
(ii)プラズマ化条件
高周波電力(13.56MHz)PHF:0W
低周波電力(380KHz)PLF:225W又は180W
(iii)基板加熱温度:350℃
(iv)成膜されたシリコン酸化膜
膜厚:600nm
比誘電率:4.2
(UV処理条件)
(i)UV照射条件
UV波長:172nm
照射エネルギ:13mW/cm2
(ii)UV処理後のシリコン酸化膜
比誘電率:4.1
ヤング率:80GPa以上
以上のように、形成膜の比誘電率及び屈折率の調査結果によれば、第1乃至第3の実施例のうち、第1及び第2の実施例で作製された低誘電率絶縁膜に関し、比誘電率は2.4前後が得られ、屈折率は1.4弱であった。また、第3の実施例で作製されたバリア絶縁膜に関し、比誘電率はおよそ4.2が得られた。
【0109】
(第2の実施の形態)
次に、図2(a)〜(c)、図3(a)、(b)、及び図4(a)、(b)を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置及びその製造方法を説明する。
【0110】
図4(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す断面図である。この半導体装置は、同図に示すように、基板31上に下部配線埋込絶縁膜34が形成されている。下部配線埋込絶縁膜34は、膜厚約500nmのシリコン酸化膜からなる低誘電率を有する主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)32と、膜厚約50nmのシリコン酸化膜からなる第1の上部バリア絶縁膜33とが積層されてなる。下部配線埋込絶縁膜34を貫通する下部配線溝34a、34bに銅拡散阻止膜であるTaN膜36a、36bと銅膜37a、37bとからなる下部配線38a、38bが埋め込まれている。基板31は半導体基板や他の導電層でもよいし、絶縁性基板でもよい。
【0111】
これらの上にビアホール51a、51bが形成された配線層間絶縁膜42と上部配線溝49a、49bが形成された上部配線埋込絶縁膜45が形成されている。
【0112】
配線層間絶縁膜42は膜厚約50nmのシリコン酸化膜からなる第2の下部バリア絶縁膜39と、膜厚約500nmのシリコン酸化膜からなる低誘電率を有する主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)40と、膜厚約50nmのシリコン酸化膜からなる第2の上部バリア絶縁膜41とから構成されている。
【0113】
上部配線埋込絶縁膜45は、膜厚約500nmのシリコン酸化膜からなる低誘電率を有する主たる絶縁膜(低誘電率絶縁膜)43と、膜厚約50nmのシリコン酸化膜からなる第3の上部バリア絶縁膜44とから構成されている。
【0114】
上部配線溝49a、49bはビアホール51a、51bよりも大きい開口面積を有し、ビアホール51a、51bと接続するように形成されている。ビアホール51a、51bと上部配線溝49a、49b内には、よく知られたデュアルダマシン法により銅拡散阻止膜であるTaN膜52a、52bと銅膜53a、53bとからなる接続導体54a、54bと、同じく銅拡散阻止膜であるTaN膜52a、52bと銅膜53a、53bとからなる上部配線55a、55bが一体的に埋め込まれている。そして、最上部全面はこの発明に係るシリコン酸化膜からなる最上部バリア絶縁膜56によって被覆されている。
【0115】
以上の低誘電率絶縁膜及びバリア絶縁膜はすべて本発明に係る絶縁膜である。
【0116】
次に、図2(a)〜(c)、図3(a)、(b)、及び図4(a)、(b)を参照して本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図1の成膜装置を用いるものとする。
【0117】
まず、図2(a)に示すように、成膜装置のチャンバ1内に基板31を搬入し、基板31上に、低誘電率を有する膜厚約500nmのシリコン酸化膜32を形成する。シリコン酸化膜32は下部配線埋込絶縁膜の主絶縁膜となる。成膜ガス条件は、シリコン原子による5員環以上の環状構造を有し、かつそれらのシリコン原子によるシロキサン結合を有し、フッ素(F)を含まない第1のシリコン含有有機化合物、例えばドデカメチルシクロヘキサシロキサン(DDMCHSO)ガス流量を75sccm、シリコン原子による4員環以下の環状構造又は4以下のシリコン原子の鎖状構造を有し、かつそれらのシリコン原子によるシロキサン結合を有し、フッ素(F)を含まない第2のシリコン含有有機化合物、例えばヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)ガス流量を50sccm、H2O流量を500sccmとし、希釈ガスとしてのAr流量を100sccmとし、そのガス圧力を1.6Torrとする。成膜ガスのプラズマ化条件は、周波数380kHzの低周波電力(PLF)を印加せず、周波数13.56MHzの高周波電力(PHF)を562W印加する。また、基板温度を375℃とする。この成膜条件は、膜厚を除き、第1の実施の形態の第1実施例の成膜条件Iに相当する。これにより、比誘電率が2.3〜2.4を有するシリコン酸化膜32が形成される。
【0118】
さらに、成膜後、シリコン酸化膜32を大気に曝さないで引き続き、シリコン酸化膜32に対するUV処理を行う。UV処理条件は、UV波長を172nmとし、照射エネルギを13mW/cm2とする。これにより、UV照射後のシリコン酸化膜32は、比誘電率が2.1〜2.2となり、ヤング率が7GPaとなる。
【0119】
引き続き、大気に曝さないで、同じチャンバ1内で、プラズマCVD法により、膜厚約50nmのシリコン酸化膜(第1の上部バリア絶縁膜)33を形成する。成膜条件は、膜厚を除き、第1の実施の形態の第3実施例の成膜条件IIIに相当する。成膜後、シリコン酸化膜33を大気に曝さないで引き続き、シリコン酸化膜33に対するUV処理及び加熱処理を行う。UV処理条件及び加熱処理条件は、上記と同じとする。
【0120】
このようにして成膜されたシリコン酸化膜33は、周波数1MHzで測定した比誘電率が凡そ4.0であり、電界強度4MV/cmのときリーク電流が10-6A/cm2であった。
【0121】
次いで、チャンバ1内から基板31を外部に取り出し、シリコン酸化膜33上に化学増幅レジストなどからなるレジスト膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法により配線溝を形成すべき領域にレジスト膜の開口部を形成し、図3(b)に示すように、マスク35を形成する。次いで、図2(b)に示すように、マスク35に基づいてシリコン酸化膜33及び32をエッチングして配線溝34a、34bを形成する。シリコン酸化膜33は第1の上部バリア絶縁膜となる。
【0122】
次に、図2(c)に示すように、配線溝34a、34bの内面に銅拡散阻止膜としてTaN膜36a、36bを形成する。続いて、図示しない銅シード層を形成した後、銅膜37a、37bを埋め込んで、TaN膜36a、36bと、銅膜37a、37bとからなる下部配線38a、38bを形成する。
【0123】
次いで、成膜前に、銅膜37a、37b表面の前処理を行い、表面酸化膜を除去した。
【0124】
その処理方法は、平行平板型プラズマ励起CVD装置を用い、NH3を流量500sccmで導入してガス圧力を1Torrに調整し、周波数13.56MHzの電力を印加してNH3をプラズマ化し、基板31を375℃に加熱した状態で銅膜37a、37bをそのプラズマに接触させる。
【0125】
次に、成膜装置のチャンバ1内に基板31を搬入し、図3(a)に示すように、下部配線38a、38bを被覆するシリコン酸化膜からなる第2の下部バリア絶縁膜39を形成する。第2の下部バリア絶縁膜39に関し、その成膜条件は、膜厚を除き、第1の実施の形態の第3実施例の成膜条件IIIに相当する。
【0126】
その後、この第2の下部バリア絶縁膜39上に、配線層間絶縁膜42の主絶縁膜となる、膜厚約500nmのシリコン酸化膜からなる絶縁膜(低誘電率絶縁膜)40、及び膜厚約50nmのシリコン酸化膜からなる第2の上部バリア絶縁膜41を、同じチャンバ1内で連続形成し、接続導体を埋め込むための配線層間絶縁膜42を形成する。
【0127】
主絶縁膜40に関し、下部配線埋込絶縁膜32の成膜条件、及び成膜後の膜の処理条件と同じとする。また、第2の下部バリア絶縁膜39に関し、第1の上部バリア絶縁膜33の成膜条件と同じとする。
【0128】
続いて、同じようにして第2の上部バリア絶縁膜41上に配線埋込絶縁膜の主絶縁膜となる、シリコン酸化膜からなる絶縁膜(低誘電率絶縁膜)43、及びシリコン酸化膜からなる第3の上部バリア絶縁膜44を同じチャンバ1内で連続形成し、上部配線を埋め込む配線埋込絶縁膜45を形成する。主絶縁膜43に関し、下部配線埋込絶縁膜32の成膜条件、及び成膜後の膜の処理条件と同じとする。第3の上部バリア絶縁膜44に関し、第1の上部バリア絶縁膜33の成膜条件と同じとする。
【0129】
次に、成膜装置のチャンバ1内から基板31を外部に取り出し、図3(b)乃至図4(b)に示すように、良く知られたデュアルダマシン法により、接続導体54a、54bと上部配線55a、55bを形成する。以下に、デュアルダマシン法を詳細に説明する。
【0130】
即ち、第3の上部バリア絶縁膜44上にレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィー法によりビアホールを形成すべき領域にレジスト膜の開口部を形成し、図3(b)に示すように、マスク46を形成する。
【0131】
次いで、マスク46の開口部を通して第3の上部バリア絶縁膜44及び主絶縁膜43、第2の上部バリア絶縁膜41及び主絶縁膜40をエッチングし、貫通させる。これにより、配線層間絶縁膜42のうち第2の上部バリア絶縁膜41及び主絶縁膜40に開口部47a、47bが形成される。
【0132】
次に、第3の上部バリア絶縁膜44上に別のレジスト膜を形成し、配線溝を形成すべき領域に開口部を形成し、図4(a)に示すように、マスク48を形成する。
【0133】
次いで、このマスク48の開口部は最初の開口部の開口面積よりも大きく、かつ最初の開口部を含むように形成される。次いで、マスク48の開口部を通して第3の上部バリア絶縁膜44及び主絶縁膜43をエッチングし、貫通させる。このとき、下地の第2の上部バリア絶縁膜41は、膜密度が2.3g/cm3以上と、低誘電率絶縁膜の1.1〜1.2g/cm3と比べてより大きく、また、炭素を多く含むので、主絶縁膜43のエッチングガスに対してエッチング耐性を有し、このため、第2の上部バリア絶縁膜41でエッチングが停止される。これにより、配線埋込絶縁膜45に配線溝49a、49bが形成される。その後、第2の下部バリア絶縁膜39をエッチングして、配線層間絶縁膜42を貫通するビアホール51a、51bを形成する。これにより、ビアホール51a、51b底部に下部配線38a、38bが露出し、ビアホール51a、51bを通して下部配線38a、38bと配線溝49a、49bとが繋がる。
【0134】
次に、図4(b)に示すように、TaN膜52a、52bをビアホール51a、51bと配線溝49a、49bの内面に形成した後、図示しない銅シード層を形成し、更にその上に銅膜53a、53bを埋め込んで、接続導体54a、54bと上部配線55a、55bを形成する。以上が所謂デュアルダマシン法である。
【0135】
次に、成膜前に、銅膜38a、38b表面の前処理条件と同じ条件で、銅膜55a、55b表面の前処理を行い、表面酸化膜を除去した。次いで、第1の上部バリア絶縁33と同じ成膜方法により、全面にシリコン酸化膜からなる最上部バリア絶縁膜56を形成する。以上により、銅膜を主とする多層配線を有する半導体装置が完成する。
【0136】
以上のように、この第2の実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、主たる絶縁膜32、40、43は、第1の実施の形態の第1実施例の成膜条件Iで成膜し、成膜後にプラズマ処理を行っている。従って、主絶縁膜32、40、43は2.7以下の低誘電率を有し、かつ耐湿性が高くなっている。
【0137】
また、バリア絶縁膜33、39、41、44、56は膜の空孔径がシリコン窒化膜と同じ、およそ0.33nm程度で緻密なため、Cuに対して高い拡散阻止能力を有する。また、バリア絶縁膜33、39、41、44、56は、バイアスパワーを小さくすることにより大きな空孔径(0.6nm以下であればバリア性も維持できる)を導入でき、これによって、より一層、低誘電率化を図ることができる。
【0138】
さらに、配線層間絶縁膜42及び配線埋込絶縁膜45を下から順に開口面積が大きくなるように貫通させて、ビアホール51a、51bとビアホール51a、51bと繋がった配線溝49a、49bとを交互に形成している。即ち、バリア絶縁膜41、39は主絶縁膜43、40を選択的にエッチングする際にエッチングされる主絶縁膜43、40の下地となる。
【0139】
この発明が適用されるバリア絶縁膜39、41は成膜条件IIIにより形成されているため、主絶縁膜40、43のエッチャントに対してエッチングストッパとして有効に機能するとともに、下層の絶縁膜の過剰エッチングに対するマスクとして有効に機能する。
【0140】
以上、実施の形態によりこの発明を詳細に説明したが、この発明の範囲は上記実施の形態に具体的に示した例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の上記実施の形態の変更はこの発明の範囲に含まれる。
【0141】
例えば、バリア絶縁膜33、39、41、44、56及び主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)32、40、43の両方に、本願発明の成膜条件III、及び成膜条件I又はIIを用いた成膜方法を適用しているが、何れか一方に適用してもよい。例えば、バリア絶縁膜33、39、41、44、56に本願発明の成膜方法を適用し、主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)32、40、43として他の成膜方法により作成された絶縁膜、例えば塗布絶縁膜を適用してもよい。また、主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)32、40、43に本願発明の成膜方法を適用し、バリア絶縁膜33、39、41、44、56として他の成膜方法により作成された絶縁膜を適用してもよい。
【0142】
また、主絶縁膜(低誘電率絶縁膜)32、40、43の成膜条件を、第1の実施の形態における成膜条件I又はIIとしているが、適宜変更して適用することができる。
【0143】
また、バリア絶縁膜33、39、41、44、56の成膜条件を、第1の実施の形態における成膜条件IIIとしているが、適宜変更して適用することができる。
【0144】
さらに、本願発明の成膜方法をダマシン構造に適用しているが、ダマシン構造以外の他の構造に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1の実施の形態である成膜方法に用いられるプラズマ成膜装置の構成を示す側面図である。
【図2】(a)乃至(c)は、本発明の第2の実施の形態である半導体装置及びその製造方法について示す断面図(その1)である。
【図3】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態である半導体装置及びその製造方法について示す断面図(その2)である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態である半導体装置及びその製造方法について示す断面図(その3)である。
【符号の説明】
【0146】
1 チャンバ
2 上部電極
3 下部電極
4 排気配管
5 バルブ
6 排気装置
7 第1の高周波電力供給電源
8 第2の高周波電力供給電源
9a 配管
9b〜9i 分岐配管
10a〜10x 開閉手段
11a〜11h 流量調整手段
12 ヒータ
31 基板
32、40、43 主絶縁膜
33 第1の上部バリア絶縁膜
34 下部配線埋込絶縁膜
34a、34b 下部配線溝
35、46、48 マスク
36a、36b、52a、52b TaN膜
37a、37b、53a、53b 銅膜
38a、38b 下部配線
39 第2の下部バリア絶縁膜
41 第2の上部バリア絶縁膜
42 配線層間絶縁膜
44 第3の上部バリア絶縁膜
45 上部配線埋込絶縁膜
49a、49b 上部配線溝
51a、51b ビアホール
54a、54b 接続導体
55a、55b 上部配線
56 最上部バリア絶縁膜
101 成膜装置
101A 成膜部
101B 成膜ガス供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とする成膜方法。
【請求項3】
前記成膜ガスは、前記第1のシリコン含有有機化合物、及び前記第2のシリコン含有有機化合物のほかに、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項4】
前記第1のシリコン含有有機化合物及び前記第2のシリコン含有有機化合物のうち少なくとも何れか一は、フッ素を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記成膜ガスは、メチルシランを含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記成膜ガスは、H2O、N2O、CO2又はO2のうち少なくとも何れか一を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記成膜ガスに、希釈ガスとしてHe又はArのうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記成膜ガスに、CxHyを添加することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記成膜中において、周波数100kHz乃至1MHzの周波数範囲にある電力を印加することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記成膜ガスに、NH3又はN2のうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とする請求項9記載の成膜方法。
【請求項11】
前記成膜後において、前記成膜された絶縁膜に、酸素を含まない雰囲気又は減圧中で、波長245nm以下の波長を有する紫外線を照射することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項12】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、
前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記バリア絶縁膜を形成する工程は、請求項9乃至11の何れか一に記載の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、
前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、
前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記バリア絶縁膜を形成する工程は、請求項9乃至11の何れか一に記載の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であり、前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは3〜4を表す。)或いはR(R1R2SiO)nSiR3R4R5(R、R1、R2、R3、R4、R5はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR、R1、R2、R3、R4、R5は同一でも異なっていてもよい。nは1〜3を表す。)を有する第2のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
構造式(R1R2SiO)n(R1、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR1、R2は同一でも異なっていてもよい。nは5〜6を表す。)を有する第1のシリコン含有有機化合物と、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物とを含む成膜ガスのプラズマを生成し、反応させて基板上に絶縁膜を形成することを特徴とする成膜方法。
【請求項3】
前記成膜ガスは、前記第1のシリコン含有有機化合物、及び前記第2のシリコン含有有機化合物のほかに、構造式SiR1R2R3R4(R1、R2、R3、R4はそれぞれ水素、炭素数1〜2のアルキル基又は炭素数1〜2のアルコキシ基の何れか一を表し、分子内に複数存在するR1、R2、R3、R4は同一でも異なっていてもよい。)を有する第3のシリコン含有有機化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
【請求項4】
前記第1のシリコン含有有機化合物及び前記第2のシリコン含有有機化合物のうち少なくとも何れか一は、フッ素を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記成膜ガスは、メチルシランを含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記成膜ガスは、H2O、N2O、CO2又はO2のうち少なくとも何れか一を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記成膜ガスに、希釈ガスとしてHe又はArのうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項8】
前記成膜ガスに、CxHyを添加することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項9】
前記成膜中において、周波数100kHz乃至1MHzの周波数範囲にある電力を印加することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項10】
前記成膜ガスに、NH3又はN2のうち少なくとも何れか一を添加することを特徴とする請求項9記載の成膜方法。
【請求項11】
前記成膜後において、前記成膜された絶縁膜に、酸素を含まない雰囲気又は減圧中で、波長245nm以下の波長を有する紫外線を照射することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一に記載の成膜方法。
【請求項12】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記バリア絶縁膜を形成する工程は、請求項9乃至11の何れか一に記載の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
銅を主とする配線上にバリア絶縁膜を形成する工程と、前記バリア絶縁膜上に低誘電率絶縁膜を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記バリア絶縁膜を形成する工程は、請求項9乃至11の何れか一に記載の成膜方法によりバリア絶縁膜を形成する工程であり、前記低誘電率絶縁膜を形成する工程は、請求項1乃至8の何れか一に記載の成膜方法により低誘電率絶縁膜を形成する工程であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−339506(P2006−339506A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164143(P2005−164143)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(391007873)株式会社半導体プロセス研究所 (5)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】