描画装置およびアライメント方法
【課題】アライメントカメラに高性能な駆動機構を使用することなく、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、基板上の正確な位置に描画を行うことができるパターン描画装置およびアライメント方法を提供する。
【解決手段】パターン描画装置1は、光学ヘッド32から照射されるパルス光に対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量を検出し、そのずれ量に基づいて基板9のアライメント量および基板9の描画開始位置を補正する。このため、光学ヘッド32から照射されるパルス光と各アライメントカメラ41〜44との位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、パターン描画装置1は、基板9上の正確な位置に描画を行うことができる。
【解決手段】パターン描画装置1は、光学ヘッド32から照射されるパルス光に対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量を検出し、そのずれ量に基づいて基板9のアライメント量および基板9の描画開始位置を補正する。このため、光学ヘッド32から照射されるパルス光と各アライメントカメラ41〜44との位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、パターン描画装置1は、基板9上の正確な位置に描画を行うことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に具備されるカラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板、半導体基板、プリント基板等の基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置、および当該描画装置における基板のアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程においては、基板の表面に形成された感光材料に光を照射することにより、基板の表面に所定のパターンを描画するパターン描画装置が使用されている。従来のパターン描画装置は、基板を水平姿勢で保持しつつ移動させるステージと、基板の上面に所定パターンの光を照射する光学ヘッドとを備えており、基板を移動させつつ光学ヘッドから光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する構成となっている。
【0003】
従来のパターン描画装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−329523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなパターン描画装置は、ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有している。そして、アライメントカメラから取得された基板の位置および姿勢に基づいてステージを動作させ、基板のアライメントを行う。しかしながら、パターン描画装置に入力される描画データが変わると、光学ヘッドの照射光の位置や、ステージの上方におけるアライメントカメラの位置を動かす必要があり、これらの位置関係が変化する。また、経時変化によってこれらの位置関係が変化する場合もある。このように光学ヘッドとアライメントカメラとの位置関係がずれてしまうと、アライメントカメラを使用して基板のアライメントを行っても、基板上の正確な位置に描画を行うことができない。
【0006】
上記の特許文献1には、基準マスクを使用してアライメントスコープ(アライメントカメラ)の位置を調整する装置が開示されている。しかしながら、特許文献1の構成では、アライメントスコープ自体の位置を調整するため、アライメントスコープの位置を精密に変位させるために高性能な駆動機構を使用する必要がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、アライメントカメラに高性能な駆動機構を使用することなく、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、基板上の正確な位置に描画を行うことができるパターン描画装置およびアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置であって、基板を保持するステージと、前記ステージ上に保持された基板の上面に所定パターンの光を照射する光照射部と、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させるステージ駆動部と、前記ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有し、前記光照射部に対して前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント手段と、前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の描画装置であって、前記ずれ量検出手段は、前記光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段および前記第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の描画装置であって、前記キャリブレーションマークは前記ステージ上に形成され、前記ステージ駆動部は、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させることにより、前記光照射部の下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態と、前記アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の描画装置であって、前記ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、前記ステージ駆動部は、前記姿勢検出手段により検出された情報に基づいて前記ステージの姿勢を補正しつつ、前記ステージを移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4までのいずれかに記載の描画装置であって、前記キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、前記第1検出手段は、前記キャリブレーションカメラにより前記光照射部の照射光および前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記光照射部と前記キャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、前記第2検出手段は、前記アライメントカメラにより前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の描画装置であって、前記光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の描画装置であって、前記位置決め手段は、前記光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、前記光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて前記光照射部を調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の描画装置であって、処理対象となる基板の描画データに応じて前記アライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、ステージ上に保持された基板の上面に光照射部から光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する描画装置において、前記ステージ上の基板をアライメントカメラにより撮像し、取得された画像に基づいて前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント方法であって、前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、前記第1の工程において検出されたずれ量と前記画像とに基づいて、前記ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜8に記載の発明によれば、描画装置は、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、を備える。このため、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、本発明の描画装置は、基板上の正確な位置に描画を行うことができる。また、アライメントカメラ自体の位置を補正するのではなく、基板上の描画位置を補正する構成であるため、アライメントカメラに精密な駆動機構を使用する必要はない。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、ずれ量検出手段は、光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、キャリブレーションマークとアライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、第1検出手段および第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、を有する。このため、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を、キャリブレーションマークを介して容易に検出することができる。
【0019】
特に、請求項3に記載の発明によれば、キャリブレーションマークはステージ上に形成され、ステージ駆動部は、ステージと光照射部とを相対移動させることにより、光照射部の下方にキャリブレーションマークが配置される状態と、アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替える。このため、第1検出手段および第2検出手段において、各位置ずれ量を適切に検出することができる。
【0020】
特に、請求項4に記載の発明によれば、ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、ステージ駆動部は、姿勢検出手段により検出された情報に基づいてステージの姿勢を補正しつつ、ステージを移動させる。このため、ステージ上のキャリブレーションマークは、光照射部の下方とアライメントカメラの下方との間で正確に移動する。
【0021】
特に、請求項5に記載の発明によれば、キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、第1検出手段は、キャリブレーションカメラにより光照射部の照射光およびキャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて光照射部とキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、第2検出手段は、アライメントカメラによりキャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいてキャリブレーションマークとアライメントカメラとの位置ずれ量を検出する。このため、キャリブレーションカメラとアライメントカメラとを使用して、各位置ずれ量を適切に検出することができる。
【0022】
特に、請求項6に記載の発明によれば、光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備える。このため、基板上のより正確な位置に描画を行うことができる。
【0023】
特に、請求項7に記載の発明によれば、位置決め手段は、光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて光照射部を調整する調整手段と、を有する。このため、照射光の実測データに基づいて、照射光の位置を正確に位置決めすることができる。
【0024】
特に、請求項8に記載の発明によれば、処理対象となる基板の描画データに応じてアライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備える。このため、描画データごとに異なるアライメント位置にアライメントカメラを移動させることができる。また、移動後のアライメントカメラの位置ずれは、ずれ量検出手段により検出されるとともに補正手段により補正されるため、アライメントカメラ駆動部に精密な駆動機構を適用する必要はない。
【0025】
また、請求項9に記載の発明によれば、アライメント方法は、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、第1の工程において検出されたずれ量とアライメントカメラにより取得された画像とに基づいて、ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、を備える。このため、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ基板のアライメントを行うことができる。したがって、基板上の正確な位置に描画を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照される各図には、各部材の位置関係や動作方向を明確化するために、共通のXYZ直交座標系が付されている。
【0027】
<1.パターン描画装置の構成>
図1および図2は、本発明の一実施形態に係るパターン描画装置1の構成を示した側面図および上面図である。パターン描画装置1は、液晶表示装置のカラーフィルタを製造する工程において、カラーフィルタ用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)9の上面に所定のパターンを描画するための装置である。図1および図2に示したように、パターン描画装置1は、基板9を保持するためのステージ10と、ステージ10に連結された駆動部20と、複数の光学ヘッド32を有するヘッド部30と、複数のアライメントカメラ41〜44とを備えている。
【0028】
ステージ10は、平板状の外形を有し、その上面に基板9を水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板9を載置したときには、吸引孔の吸引圧により基板9はステージ10の上面に固定保持される。
【0029】
ステージ10の−Y側の2つの角部付近(基板保持エリアの外側)には、それぞれステージ10を上下に貫通する貫通孔11,12が形成されている。図3は、ステージ10の角部付近に形成された貫通孔11,12の拡大上面図である。また、図4は、図3のステージ10をIV−IV線で切断した縦断面図である。図3および図4に示したように、貫通孔11,12の上部には、それぞれ透光板11a,12aが取り付けられている。透光板11a,12aには、それぞれ後述するキャリブレーション処理において位置計測の基準とされるキャリブレーションマークCM1,CM2が付されている。キャリブレーションマークCM1,CM2は、遮光材料により透光板11a,12aの表面に形成されている。
【0030】
また、貫通孔11,12内部には、それぞれキャリブレーションカメラ11b,12bが設置されている。キャリブレーションカメラ11b,12bは、貫通孔11,12内に上方を向けて設置されており、それぞれの視野中心に(あるいは、少なくとも視野内に)キャリブレーションマークCM1,CM2の中心が位置するように調整されている。ステージ10が移動したときにも、キャリブレーションカメラ11b,12bとキャリブレーションマークCM1,CM2との位置関係は一定となっており、変化することはない。
【0031】
図1および図2に戻り、駆動部20は、ステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向)に移動させるための機構である。駆動部20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0032】
回転機構21は、ステージ10の−Y側の端部に取り付けられた移動子と、支持プレート22の上面に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ21aを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸21bが設けられている。このため、リニアモータ21aを動作させると、固定子に沿って移動子がX軸方向に移動し、支持プレート22上の回転軸21bを中心としてステージ10が所定角度の範囲内で回転する。
【0033】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ23aを有している。また、支持プレート22とベースプレート24との間には、副走査方向にのびる一対のガイド部23bが設けられている。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイド部23bに沿って支持プレート22が副走査方向に移動する。
【0034】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子と本装置1の基台60上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ25aを有している。また、ベースプレート24と基台60との間には、主走査方向にのびる一対のガイド部25bが設けられている。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台60上のガイド部25bに沿ってベースプレート24が主走査方向に移動する。
【0035】
図2に示したように、ステージ10の−Y側には、ステージ10の姿勢を検出するための姿勢検出部26が設けられている。姿勢検出部26はレーザ測長器26aを備えており、レーザ測長器26aから出射されたレーザ光を分岐させた複数の測長用レーザ光Lにより、ステージ10の−Y側の側面との距離を測定する。そして、取得された距離に基づいてステージ10の姿勢(傾き)を検出する。後述する制御部50(図7参照)は、姿勢検出部26から取得された情報に基づいて上記の回転機構21、副走査機構23、および主走査機構25を動作させ、ステージ10の姿勢を補正しつつステージ10を移動させる。
【0036】
図5は、このようなステージ10の姿勢制御の例を示した図である。ステージ10を主走査方向に移動させたい場合、仮に補正を行わずに主走査機構25のみを動作させると、主走査機構25の機械的誤差によってステージ10は厳密な主走査方向からずれて移動してしまう(図5の鎖線の状態)。本実施形態の駆動部20は、上記の姿勢検出部26によってこのようなステージ10のずれを検出し、検出された情報に基づいて回転機構21および副走査機構23を動作させ、ステージ10の姿勢を補正しつつステージ10を正確に主走査方向に移動させる(図5の実線の状態)。
【0037】
図1および図2に戻り、ヘッド部30は、ステージ10上に保持された基板9の上面に所定パターンのパルス光を照射するための機構である。ヘッド部30は、ステージ10および駆動部20を跨ぐようにして基台60上に架設されたフレーム31と、フレーム31上に副走査方向に沿って等間隔に取り付けられた複数の光学ヘッド32とを有している。各光学ヘッド32には、照明光学系33を介して1つのレーザ発振器34が接続されている。また、レーザ発振器34にはレーザ駆動部35が接続されている。このため、レーザ駆動部35を動作させると、レーザ発振器34からパルス光が発振され、発振されたパルス光は照明光学系33を介して各光学ヘッド32内に導入される。
【0038】
各光学ヘッド32の内部には、照明光学系33から導入されたパルス光を下方へ向けて出射するための出射部36と、パルス光を部分的に遮光して所定パターンの光束を形成するためのアパーチャユニット37と、当該光束を基板9の上面に照射するための投影光学系38とが設けられている。出射部36から出射されたパルス光は、アパーチャユニット37を通過する際に部分的に遮光され、所定パターンの光束として投影光学系38へ入射する。そして、投影光学系38を通過したパルス光が基板9の上面に照射されることにより、基板9の上面に塗布された感光材料(カラーレジスト)に所定のパターンが描画される。
【0039】
複数の光学ヘッド32は、副走査方向に沿って等間隔に(例えば200mm間隔で)配列されている。ステージ10を主走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32からパルス光を照射すると、基板9の上面には、所定の露光幅(例えば50mm幅)で複数本のパターンが主走査方向に描画される。パターン描画装置1は、1回の主走査方向への描画が終了すると、ステージ10を副走査方向に露光幅だけ移動させ、ステージ10を再び主走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32からパルス光を照射する。このように、パターン描画装置1は、光学ヘッド32の露光幅ずつ基板9を副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数(例えば4回)繰り返すことにより、基板9上の全面にカラーフィルタ用のパターンを形成する。
【0040】
このパターン描画装置1は、各光学ヘッド32から照射されるパルス光を撮像するための光学ヘッド用カメラ27を有している。光学ヘッド用カメラ27は、ベースプレート24の+Y側の端部にブラケット29を介して取り付けられたガイドレール28に沿って副走査方向に移動可能となっている。光学ヘッド用カメラ27を使用するときには、光学ヘッド用カメラ27がヘッド部30の下方に位置するようにベースプレート24を位置決めする(図1および図2の状態)。そして、ガイドレール28に沿って光学ヘッド用カメラ27を副走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光を撮像する。なお、ガイドレール28上で光学ヘッド用カメラ27を移動させるための駆動機構としては、例えばリニアモータが使用される。
【0041】
図6は、複数の光学ヘッド32を下方から(光学ヘッド用カメラ27側から)見た図である。光学ヘッド用カメラ27は、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLを撮像し、光学ヘッド32内におけるパルス光PLのライン幅、各光学ヘッド32のピッチ、隣り合う光学ヘッド32間の距離、各光学ヘッド32の主走査方向の位置、各パルス光PLの光量等の情報を取得する。そして、取得された情報を後述する制御部50(図7参照)へ送信する。光学ヘッド用カメラ27は、例えば、CCDカメラにより構成することができるが、CCDカメラと光量センサとを併用した構成であってもよい。
【0042】
図6に概念的に示したように、各光学ヘッド32には、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置を個別に調整するアクチュエータ39が接続されている。アクチュエータ39は、例えば、光学ヘッド32内のアパーチャユニット37の位置をリニアモータを用いて調整する機構として実現することができる。また、アクチュエータ39は、アパーチャユニット37内に上下にセットされた2枚のアパーチャ板を互いにスライド移動させて透光領域の幅を調節することにより、パルス光PLのライン幅を調節することができる。後述する制御部50(図7参照)は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて各アクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やライン幅を補正する。また、制御部50は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて投影光学系38および照明光学系33を調整し、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLのピッチおよび光量をそれぞれ補正する。
【0043】
図1および図2に戻り、アライメントカメラ41〜44は、基板9の上面に形成されたアライメントマークAM1〜AM4(図20参照)を撮像するための撮像機構である。図2に概念的に示したように、アライメントカメラ41〜44には、それぞれ駆動機構41a〜44aが接続されている。アライメントカメラ41〜44を使用するときには、基板9の四隅に形成されたアライメントマークAM1〜AM4が各アライメントカメラ41〜44の下方に位置するように、駆動部20を動作させてステージ10を位置決めするとともに、駆動機構41a〜44aを動作させてアライメントカメラ41〜44を位置決めする。アライメントカメラ41〜44は、それぞれ基板9上のアライメントマークAM1〜AM4を撮像し、各アライメントマークAM1〜AM4の座標を取得する。
【0044】
また、このパターン描画装置1は、上記の構成に加えて制御部50を備えている。図7は、パターン描画装置1の上記各部と制御部50との間の接続構成を示したブロック図である。図7に示したように、制御部50は、上記のキャリブレーションカメラ11b,12b、リニアモータ21a,23a,25a、姿勢検出部26、光学ヘッド用カメラ27、レーザ駆動部35、アクチュエータ39、アライメントカメラ41〜44、および駆動機構41a〜44aと電気的に接続されており、これらの動作を制御する。制御部50は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータによって構成され、コンピュータにインストールされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、上記各部の制御を行う。
【0045】
<2.キャリブレーション処理>
続いて、上記構成を有するパターン描画装置1において、光学ヘッド32とアライメントカメラ41〜44との間の位置関係のずれを計測する処理(キャリブレーション処理)について説明する。キャリブレーション処理は、描画データの変更や経時変化によって、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やアライメントカメラ41〜44の位置が変化したときに、描画処理に先立って実行される。
【0046】
図8〜図10は、パターン描画装置1におけるキャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。また、図11〜図17は、キャリブレーション処理の各段階におけるパターン描画装置1の状態を示した図である。パターン描画装置1においてキャリブレーション処理を行うときには、まず、次回の描画処理に使用される描画データに基づいて各光学ヘッド32のアクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32のパルス光PLの照射位置を、ほぼ所定の位置に位置決めする(ステップS11)。
【0047】
次に、パターン描画装置1は、主走査機構25を動作させ、光学ヘッド用カメラ27がヘッド部30の下方に配置されるように、ベースプレート24を移動させる。そして、ガイドレールに沿って光学ヘッド用カメラ27を副走査方向に移動させながら、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLを撮像し、光学ヘッド32内におけるパルス光PLのライン幅、各光学ヘッド32のピッチ、隣り合う光学ヘッド32間の距離、各光学ヘッド32の主走査方向の位置、各パルス光PLの光量等の情報を取得する(ステップS12,図11の状態)。
【0048】
パターン描画装置1は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて各アクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やライン幅を補正する。また、パターン描画装置1は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて投影光学系38および投影光学系33を調整し、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLのピッチおよび光量をそれぞれ補正する(ステップS13)。以上のステップS11〜S13により、ヘッド部30の各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置、ライン幅、および光量は適正な状態となり、ヘッド部30自体の調整が完了する。
【0049】
続いて、パターン描画装置1は、次回の描画処理に使用される描画データに基づいて駆動機構41a〜44aを動作させ、各アライメントカメラ41〜44をほぼ所定位置に位置決めする(ステップS14)。そして、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ42のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS15,図12の状態)。この状態において、アライメントカメラ42は、下方に位置する透光板11aのキャリブレーションマークCM1を撮影し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量を計測する(ステップS16)。
【0050】
図18は、ステップS16におけるアライメントカメラ42の撮影画像の例を示した図である。アライメントカメラ42は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のキャリブレーションマークCM1に対して視野中心Oがどれだけ離れているかを計測し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)を取得する。取得された情報は、アライメントカメラ42から制御部50へ送信され、後述するアライメント処理において補正値として使用される。
【0051】
次に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ41のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS17,図13の状態)。そして、アライメントカメラ41は、下方に位置する透光板11aのキャリブレーションマークCM1を撮影し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量を計測する(ステップS18)。ステップS18では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ41から制御部50へ送信される。
【0052】
その後、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、最も+X側に配置された光学ヘッド32のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS19,図14の状態)。そして、光学ヘッド32からパルス光PLを照射するとともに、透光板11aの下方に配置されたキャリブレーションカメラ11bからキャリブレーションマークCM1およびパルス光PLの投影像を撮影する(ステップS20)。
【0053】
図19は、ステップS20におけるキャリブレーションカメラ11bの撮影画像の例を示した図である。キャリブレーションカメラ11bは、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のパルス光PLに対してキャリブレーションマークCM1の中心がどれだけ離れているかを計測し、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)を取得する。取得された情報は、キャリブレーションカメラ11bから制御部50へ送信され、後述するアライメント処理において補正値として使用される。
【0054】
続いて、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、最も−X側に配置された光学ヘッド32のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS21,図15の状態)。そして、光学ヘッド32からパルス光PLを照射するとともに、透光板12aの下方に配置されたキャリブレーションカメラ12bから透光板12aおよびパルス光PLの投影像を撮影する(ステップS22)。ステップS22では、図19の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてパルス光PLに対するキャリブレーションマークCMの位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)が取得され、取得された情報がキャリブレーションカメラ12bから制御部50へ送信される。
【0055】
その後、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ43のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS23,図16の状態)。そして、アライメントカメラ43は、下方に位置する透光板12aのキャリブレーションマークCM2を撮影し、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量を計測する(ステップS24)。ステップS24では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ43から制御部50へ送信される。
【0056】
更に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ44のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS25,図17の状態)。そして、アライメントカメラ44は、下方に位置する透光板12aのキャリブレーションマークCM2を撮影し、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量を計測する(ステップS26)。ステップS26では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ44から制御部50へ送信される。
【0057】
すなわち、上記のキャリブレーション処理では、パターン描画装置1は以下の情報(1)〜(6)を取得し、これらの情報を制御部50に保持する。
【0058】
(1)キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)
(2)キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)
(3)光学ヘッド32のパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)
(4)光学ヘッド32のパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)
(5)キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)
(6)キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)
なお、上記の情報(2),(3)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ41の相対位置のずれ量は(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2a,ΔY2a)として一意に決まる。また、上記の情報(1),(3)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ42の相対位置のずれ量は(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2b,ΔY2b)として一意に決まる。また、上記の情報(4),(5)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ43の相対位置のずれ量は(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2c,ΔY2c)として一意に決まる。また、上記の情報(4),(6)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ44の相対位置のずれ量は(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2d,ΔY2d)として一意に決まる。すなわち、上記のキャリブレーション処理では、光学ヘッド32のパルス光PLに対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量が検出されたこととなる。
【0059】
上記のキャリブレーション処理においてステージ10を移動させるときには、姿勢検出部26によりステージ10の姿勢(Z軸周りの傾き)を検出し、姿勢を補正しつつステージ10を移動させる。このため、ステージ10は主走査方向および副走査方向に正確に移動し、ステージ10上のキャリブレーションマークCM1,CM2も、各アライメントカメラ41〜44の下方と光学ヘッド32の下方との間で正確に移動する。
【0060】
<3.描画処理>
続いて、上記のパターン描画装置1において基板9の上面にパターンを描画するときの手順について説明する。なお、図20に例示したように、このパターン描画装置1において処理対象となる基板9の上面の四隅には、基板9をアライメントするときの基準とされるアライメントマークAM1〜AM4が予め形成されている。
【0061】
図21は、パターン描画装置1における描画処理の流れを示したフローチャートである。このパターン描画装置1において描画処理を行うときには、まず、ステージ10の上面に基板9を載置する(ステップS31)。基板9は、ステージ10の上面に形成された複数の吸引孔に吸着され、ステージ10の上面に固定的に保持される。
【0062】
次に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、基板9上のアライメントマークAM1〜AM4がアライメントカメラ41〜44のほぼ下方に配置されるように、ステージ10を移動させる。そして、パターン描画装置1は、アライメントカメラ41〜44により基板9の四隅に形成されたアライメントマークAM1〜AM4を撮影し、アライメントカメラ41〜44に対する各アライメントマークAM1〜AM4の位置ずれ量を計測する(ステップS32)。
【0063】
図22は、ステップS32におけるアライメントカメラ41の撮影画像の例を示した図である。アライメントカメラ41は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のアライメントマークAM1が視野中心Oからどれだけ離れているかを計測し、アライメントカメラ41に対するアライメントマークAM1の位置ずれ量(ΔX3a,ΔY3a)を取得する。なお、他のアライメントカメラ42〜44も、図22と同じように、撮影画像中のアライメントマークAM2〜AM4が視野中心Oからどれだけ離れているかを計測し、アライメントカメラ42〜44に対するアライメントマークAM2〜AM4の位置ずれ量(ΔX3b,ΔY3b),(ΔX3c,ΔY3c),(ΔX3d,ΔY3d)を取得する。
【0064】
アライメントカメラ41〜44に対する各アライメントマークAM1〜AM4の位置ずれ量が取得されると、制御部50は、これらの位置ずれ量と上記のキャリブレーション処理において取得された(1)〜(6)の位置ずれ量とに基づいて、基板9上に形成された各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量を算出する(ステップS33)。
【0065】
例えば、アライメントマークAM1の最終的な位置ずれ量(ΔXa,ΔYa)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)と、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)と、アライメントカメラ41に対するアライメントマークAM1の位置ずれ量(ΔX3a,ΔY3a)とを使用して、下記(数1)のように算出する。
【0066】
(ΔXa,ΔYa)=(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2a,ΔY2a)+(ΔX3a,ΔY3a) ・・・ (数1)
【0067】
また、アライメントマークAM2の最終的な位置ずれ量(ΔXb,ΔYb)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)と、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)と、アライメントカメラ42に対するアライメントマークAM2の位置ずれ量(ΔX3b,ΔY3b)とを使用して、下記数2のように算出する。
【0068】
(ΔXb,ΔYb)=(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2b,ΔY2b)+(ΔX3b,ΔY3b) ・・・ (数2)
【0069】
また、アライメントマークAM3の最終的な位置ずれ量(ΔXc,ΔYc)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)と、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)と、アライメントカメラ43に対するアライメントマークAM3の位置ずれ量(ΔX3c,ΔY3c)とを使用して、下記数3のように算出する。
【0070】
(ΔXc,ΔYc)=(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2c,ΔY2c)+(ΔX3c,ΔY3c) ・・・ (数3)
【0071】
また、アライメントマークAM4の最終的な位置ずれ量(ΔXd,ΔYd)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)と、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)と、アライメントカメラ44に対するアライメントマークAM4の位置ずれ量(ΔX3d,ΔY3d)とを使用して、下記数4のように算出する。
【0072】
(ΔXd,ΔYd)=(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2d,ΔY2d)+(ΔX3d,ΔY3d) ・・・ (数4)
【0073】
そして、パターン描画装置1は、算出された各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量に基づいて回転機構21を動作させ、ステージ10上に保持された基板9の傾きを補正する、すなわちアライメントを行う(ステップS34)。そして、各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量に基づいて基板9の描画開始位置を補正し、補正後の描画開始位置に基板9を移動させる。
【0074】
基板9が描画開始位置に配置されると、パターン描画装置1は、ステージ10を主走査方向および副走査方向に移動させながら、基板9の上面に所定のパターンを描画する(ステップS35)。すなわち、パターン描画装置1は、光学ヘッド32の露光幅ずつ基板9を副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返し、基板9上の全面に所定のパターンを形成する。その後、ステージ10の上面から基板9が搬出され(ステップS36)、1枚の基板9に対する描画処理が終了する。
【0075】
上記のように、本実施形態のパターン描画装置1は、キャリブレーション処理において、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1,CM2の位置ずれ量と、キャリブレーションマークCM1,CM2に対する各アライメントカメラ41〜44の位置ずれ量とを検出する。また、検出された各情報に基づいて、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLに対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量を取得する。そして、パターン描画装置1は、これらの情報を使用して基板9のアライメント量を補正するとともに基板9の描画開始位置を補正し、それにより基板9上の描画位置を補正する。
【0076】
このため、本実施形態のパターン描画装置1は、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLと各アライメントカメラ41〜44との位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、本実施形態のパターン描画装置1は、基板9上の正確な位置に描画を行うことができる。また、アライメントカメラ41〜44自体の位置を補正するのではなく、基板9のアライメント量や描画開始位置を補正する構成であるため、アライメントカメラ41〜44の駆動機構41a〜44aに精密な駆動機構を適用する必要はない。
【0077】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記のキャリブレーション処理では、最も+X側に配置された光学ヘッド32のパルス光PLをキャリブレーションカメラ11bにより撮影し(ステップS20)、その後、最も−X側に配置された光学ヘッド32のパルス光PLをキャリブレーションカメラ12bにより撮影したが(ステップS22)、これらの撮影動作は必ずしも別個に行われなくてもよい。例えば、最も+X側に配置された光学ヘッド32と最も−X側に配置された光学ヘッド32と間の距離と、キャリブレーションカメラ11b,12b間の距離とが等しい構成とし、ステップS20の撮影動作とステップS22の撮影動作とを同時に実行するようにしてもよい。
【0078】
また、上記のパターン描画装置1では、静止状態の光学ヘッド32に対してステージ10を移動させる構成であったが、静止状態のステージ10上において光学ヘッド32を移動させる構成であってもよい。すなわち、光学ヘッド32とステージ10とが、相対的に移動できる構成であればよい。
【0079】
また、上記のパターン描画装置1は、カラーフィルタ用のガラス基板9を処理対象としていたが、本発明のパターン描画装置およびパターン描画方法は、半導体基板、プリント基板、プラズマ表示装置用ガラス基板等の他の基板を処理対象とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の上面図である。
【図3】ステージの角部付近に形成された貫通孔の拡大上面図である。
【図4】図3のステージをIV−IV線で切断した縦断面図である。
【図5】ステージの姿勢制御の例を示した図である。
【図6】複数の光学ヘッドを下方から見た図である。
【図7】制御部と各部との間の接続構成を示したブロック図である。
【図8】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図12】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図13】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図14】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図15】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図16】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図17】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図18】アライメントカメラの撮影画像の例を示した図である。
【図19】キャリブレーションカメラの撮影画像の例を示した図である。
【図20】処理対象となる基板の例を示した図である。
【図21】描画処理の流れを示したフローチャートである。
【図22】アライメントカメラの撮影画像の例を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 パターン描画装置
9 基板
10 ステージ
11a,12a 透光板
11b,12b キャリブレーションカメラ
20 駆動部
26 姿勢検出部
27 光学ヘッド用カメラ
30 ヘッド部
32 光学ヘッド
39 アクチュエータ
41〜44 アライメントカメラ
50 制御部
9 基板
AM1〜AM4 アライメントマーク
CM1,CM2 キャリブレーションマーク
PL パルス光
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に具備されるカラーフィルタ用基板、液晶表示装置やプラズマ表示装置などのフラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス基板、半導体基板、プリント基板等の基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置、および当該描画装置における基板のアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の製造工程においては、基板の表面に形成された感光材料に光を照射することにより、基板の表面に所定のパターンを描画するパターン描画装置が使用されている。従来のパターン描画装置は、基板を水平姿勢で保持しつつ移動させるステージと、基板の上面に所定パターンの光を照射する光学ヘッドとを備えており、基板を移動させつつ光学ヘッドから光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する構成となっている。
【0003】
従来のパターン描画装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−329523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなパターン描画装置は、ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有している。そして、アライメントカメラから取得された基板の位置および姿勢に基づいてステージを動作させ、基板のアライメントを行う。しかしながら、パターン描画装置に入力される描画データが変わると、光学ヘッドの照射光の位置や、ステージの上方におけるアライメントカメラの位置を動かす必要があり、これらの位置関係が変化する。また、経時変化によってこれらの位置関係が変化する場合もある。このように光学ヘッドとアライメントカメラとの位置関係がずれてしまうと、アライメントカメラを使用して基板のアライメントを行っても、基板上の正確な位置に描画を行うことができない。
【0006】
上記の特許文献1には、基準マスクを使用してアライメントスコープ(アライメントカメラ)の位置を調整する装置が開示されている。しかしながら、特許文献1の構成では、アライメントスコープ自体の位置を調整するため、アライメントスコープの位置を精密に変位させるために高性能な駆動機構を使用する必要がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、アライメントカメラに高性能な駆動機構を使用することなく、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、基板上の正確な位置に描画を行うことができるパターン描画装置およびアライメント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置であって、基板を保持するステージと、前記ステージ上に保持された基板の上面に所定パターンの光を照射する光照射部と、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させるステージ駆動部と、前記ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有し、前記光照射部に対して前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント手段と、前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の描画装置であって、前記ずれ量検出手段は、前記光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、前記第1検出手段および前記第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の描画装置であって、前記キャリブレーションマークは前記ステージ上に形成され、前記ステージ駆動部は、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させることにより、前記光照射部の下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態と、前記アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の描画装置であって、前記ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、前記ステージ駆動部は、前記姿勢検出手段により検出された情報に基づいて前記ステージの姿勢を補正しつつ、前記ステージを移動させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4までのいずれかに記載の描画装置であって、前記キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、前記第1検出手段は、前記キャリブレーションカメラにより前記光照射部の照射光および前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記光照射部と前記キャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、前記第2検出手段は、前記アライメントカメラにより前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の描画装置であって、前記光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の描画装置であって、前記位置決め手段は、前記光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、前記光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて前記光照射部を調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の描画装置であって、処理対象となる基板の描画データに応じて前記アライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、ステージ上に保持された基板の上面に光照射部から光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する描画装置において、前記ステージ上の基板をアライメントカメラにより撮像し、取得された画像に基づいて前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント方法であって、前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、前記第1の工程において検出されたずれ量と前記画像とに基づいて、前記ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜8に記載の発明によれば、描画装置は、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、を備える。このため、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、本発明の描画装置は、基板上の正確な位置に描画を行うことができる。また、アライメントカメラ自体の位置を補正するのではなく、基板上の描画位置を補正する構成であるため、アライメントカメラに精密な駆動機構を使用する必要はない。
【0018】
特に、請求項2に記載の発明によれば、ずれ量検出手段は、光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、キャリブレーションマークとアライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、第1検出手段および第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、を有する。このため、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を、キャリブレーションマークを介して容易に検出することができる。
【0019】
特に、請求項3に記載の発明によれば、キャリブレーションマークはステージ上に形成され、ステージ駆動部は、ステージと光照射部とを相対移動させることにより、光照射部の下方にキャリブレーションマークが配置される状態と、アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替える。このため、第1検出手段および第2検出手段において、各位置ずれ量を適切に検出することができる。
【0020】
特に、請求項4に記載の発明によれば、ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、ステージ駆動部は、姿勢検出手段により検出された情報に基づいてステージの姿勢を補正しつつ、ステージを移動させる。このため、ステージ上のキャリブレーションマークは、光照射部の下方とアライメントカメラの下方との間で正確に移動する。
【0021】
特に、請求項5に記載の発明によれば、キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、第1検出手段は、キャリブレーションカメラにより光照射部の照射光およびキャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて光照射部とキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、第2検出手段は、アライメントカメラによりキャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいてキャリブレーションマークとアライメントカメラとの位置ずれ量を検出する。このため、キャリブレーションカメラとアライメントカメラとを使用して、各位置ずれ量を適切に検出することができる。
【0022】
特に、請求項6に記載の発明によれば、光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備える。このため、基板上のより正確な位置に描画を行うことができる。
【0023】
特に、請求項7に記載の発明によれば、位置決め手段は、光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて光照射部を調整する調整手段と、を有する。このため、照射光の実測データに基づいて、照射光の位置を正確に位置決めすることができる。
【0024】
特に、請求項8に記載の発明によれば、処理対象となる基板の描画データに応じてアライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備える。このため、描画データごとに異なるアライメント位置にアライメントカメラを移動させることができる。また、移動後のアライメントカメラの位置ずれは、ずれ量検出手段により検出されるとともに補正手段により補正されるため、アライメントカメラ駆動部に精密な駆動機構を適用する必要はない。
【0025】
また、請求項9に記載の発明によれば、アライメント方法は、光照射部に対するアライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、第1の工程において検出されたずれ量とアライメントカメラにより取得された画像とに基づいて、ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、を備える。このため、光照射部とアライメントカメラとの位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ基板のアライメントを行うことができる。したがって、基板上の正確な位置に描画を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照される各図には、各部材の位置関係や動作方向を明確化するために、共通のXYZ直交座標系が付されている。
【0027】
<1.パターン描画装置の構成>
図1および図2は、本発明の一実施形態に係るパターン描画装置1の構成を示した側面図および上面図である。パターン描画装置1は、液晶表示装置のカラーフィルタを製造する工程において、カラーフィルタ用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)9の上面に所定のパターンを描画するための装置である。図1および図2に示したように、パターン描画装置1は、基板9を保持するためのステージ10と、ステージ10に連結された駆動部20と、複数の光学ヘッド32を有するヘッド部30と、複数のアライメントカメラ41〜44とを備えている。
【0028】
ステージ10は、平板状の外形を有し、その上面に基板9を水平姿勢に載置して保持するための保持部である。ステージ10の上面には複数の吸引孔(図示省略)が形成されている。このため、ステージ10上に基板9を載置したときには、吸引孔の吸引圧により基板9はステージ10の上面に固定保持される。
【0029】
ステージ10の−Y側の2つの角部付近(基板保持エリアの外側)には、それぞれステージ10を上下に貫通する貫通孔11,12が形成されている。図3は、ステージ10の角部付近に形成された貫通孔11,12の拡大上面図である。また、図4は、図3のステージ10をIV−IV線で切断した縦断面図である。図3および図4に示したように、貫通孔11,12の上部には、それぞれ透光板11a,12aが取り付けられている。透光板11a,12aには、それぞれ後述するキャリブレーション処理において位置計測の基準とされるキャリブレーションマークCM1,CM2が付されている。キャリブレーションマークCM1,CM2は、遮光材料により透光板11a,12aの表面に形成されている。
【0030】
また、貫通孔11,12内部には、それぞれキャリブレーションカメラ11b,12bが設置されている。キャリブレーションカメラ11b,12bは、貫通孔11,12内に上方を向けて設置されており、それぞれの視野中心に(あるいは、少なくとも視野内に)キャリブレーションマークCM1,CM2の中心が位置するように調整されている。ステージ10が移動したときにも、キャリブレーションカメラ11b,12bとキャリブレーションマークCM1,CM2との位置関係は一定となっており、変化することはない。
【0031】
図1および図2に戻り、駆動部20は、ステージ10を主走査方向(Y軸方向)、副走査方向(X軸方向)、および回転方向(Z軸周りの回転方向)に移動させるための機構である。駆動部20は、ステージ10を回転させる回転機構21と、ステージ10を回転可能に支持する支持プレート22と、支持プレート22を副走査方向に移動させる副走査機構23と、副走査機構23を介して支持プレート22を支持するベースプレート24と、ベースプレート24を主走査方向に移動させる主走査機構25と、を有している。
【0032】
回転機構21は、ステージ10の−Y側の端部に取り付けられた移動子と、支持プレート22の上面に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ21aを有している。また、ステージ10の中央部下面側と支持プレート22との間には回転軸21bが設けられている。このため、リニアモータ21aを動作させると、固定子に沿って移動子がX軸方向に移動し、支持プレート22上の回転軸21bを中心としてステージ10が所定角度の範囲内で回転する。
【0033】
副走査機構23は、支持プレート22の下面に取り付けられた移動子とベースプレート24の上面に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ23aを有している。また、支持プレート22とベースプレート24との間には、副走査方向にのびる一対のガイド部23bが設けられている。このため、リニアモータ23aを動作させると、ベースプレート24上のガイド部23bに沿って支持プレート22が副走査方向に移動する。
【0034】
主走査機構25は、ベースプレート24の下面に取り付けられた移動子と本装置1の基台60上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ25aを有している。また、ベースプレート24と基台60との間には、主走査方向にのびる一対のガイド部25bが設けられている。このため、リニアモータ25aを動作させると、基台60上のガイド部25bに沿ってベースプレート24が主走査方向に移動する。
【0035】
図2に示したように、ステージ10の−Y側には、ステージ10の姿勢を検出するための姿勢検出部26が設けられている。姿勢検出部26はレーザ測長器26aを備えており、レーザ測長器26aから出射されたレーザ光を分岐させた複数の測長用レーザ光Lにより、ステージ10の−Y側の側面との距離を測定する。そして、取得された距離に基づいてステージ10の姿勢(傾き)を検出する。後述する制御部50(図7参照)は、姿勢検出部26から取得された情報に基づいて上記の回転機構21、副走査機構23、および主走査機構25を動作させ、ステージ10の姿勢を補正しつつステージ10を移動させる。
【0036】
図5は、このようなステージ10の姿勢制御の例を示した図である。ステージ10を主走査方向に移動させたい場合、仮に補正を行わずに主走査機構25のみを動作させると、主走査機構25の機械的誤差によってステージ10は厳密な主走査方向からずれて移動してしまう(図5の鎖線の状態)。本実施形態の駆動部20は、上記の姿勢検出部26によってこのようなステージ10のずれを検出し、検出された情報に基づいて回転機構21および副走査機構23を動作させ、ステージ10の姿勢を補正しつつステージ10を正確に主走査方向に移動させる(図5の実線の状態)。
【0037】
図1および図2に戻り、ヘッド部30は、ステージ10上に保持された基板9の上面に所定パターンのパルス光を照射するための機構である。ヘッド部30は、ステージ10および駆動部20を跨ぐようにして基台60上に架設されたフレーム31と、フレーム31上に副走査方向に沿って等間隔に取り付けられた複数の光学ヘッド32とを有している。各光学ヘッド32には、照明光学系33を介して1つのレーザ発振器34が接続されている。また、レーザ発振器34にはレーザ駆動部35が接続されている。このため、レーザ駆動部35を動作させると、レーザ発振器34からパルス光が発振され、発振されたパルス光は照明光学系33を介して各光学ヘッド32内に導入される。
【0038】
各光学ヘッド32の内部には、照明光学系33から導入されたパルス光を下方へ向けて出射するための出射部36と、パルス光を部分的に遮光して所定パターンの光束を形成するためのアパーチャユニット37と、当該光束を基板9の上面に照射するための投影光学系38とが設けられている。出射部36から出射されたパルス光は、アパーチャユニット37を通過する際に部分的に遮光され、所定パターンの光束として投影光学系38へ入射する。そして、投影光学系38を通過したパルス光が基板9の上面に照射されることにより、基板9の上面に塗布された感光材料(カラーレジスト)に所定のパターンが描画される。
【0039】
複数の光学ヘッド32は、副走査方向に沿って等間隔に(例えば200mm間隔で)配列されている。ステージ10を主走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32からパルス光を照射すると、基板9の上面には、所定の露光幅(例えば50mm幅)で複数本のパターンが主走査方向に描画される。パターン描画装置1は、1回の主走査方向への描画が終了すると、ステージ10を副走査方向に露光幅だけ移動させ、ステージ10を再び主走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32からパルス光を照射する。このように、パターン描画装置1は、光学ヘッド32の露光幅ずつ基板9を副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数(例えば4回)繰り返すことにより、基板9上の全面にカラーフィルタ用のパターンを形成する。
【0040】
このパターン描画装置1は、各光学ヘッド32から照射されるパルス光を撮像するための光学ヘッド用カメラ27を有している。光学ヘッド用カメラ27は、ベースプレート24の+Y側の端部にブラケット29を介して取り付けられたガイドレール28に沿って副走査方向に移動可能となっている。光学ヘッド用カメラ27を使用するときには、光学ヘッド用カメラ27がヘッド部30の下方に位置するようにベースプレート24を位置決めする(図1および図2の状態)。そして、ガイドレール28に沿って光学ヘッド用カメラ27を副走査方向に移動させつつ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光を撮像する。なお、ガイドレール28上で光学ヘッド用カメラ27を移動させるための駆動機構としては、例えばリニアモータが使用される。
【0041】
図6は、複数の光学ヘッド32を下方から(光学ヘッド用カメラ27側から)見た図である。光学ヘッド用カメラ27は、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLを撮像し、光学ヘッド32内におけるパルス光PLのライン幅、各光学ヘッド32のピッチ、隣り合う光学ヘッド32間の距離、各光学ヘッド32の主走査方向の位置、各パルス光PLの光量等の情報を取得する。そして、取得された情報を後述する制御部50(図7参照)へ送信する。光学ヘッド用カメラ27は、例えば、CCDカメラにより構成することができるが、CCDカメラと光量センサとを併用した構成であってもよい。
【0042】
図6に概念的に示したように、各光学ヘッド32には、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置を個別に調整するアクチュエータ39が接続されている。アクチュエータ39は、例えば、光学ヘッド32内のアパーチャユニット37の位置をリニアモータを用いて調整する機構として実現することができる。また、アクチュエータ39は、アパーチャユニット37内に上下にセットされた2枚のアパーチャ板を互いにスライド移動させて透光領域の幅を調節することにより、パルス光PLのライン幅を調節することができる。後述する制御部50(図7参照)は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて各アクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やライン幅を補正する。また、制御部50は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて投影光学系38および照明光学系33を調整し、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLのピッチおよび光量をそれぞれ補正する。
【0043】
図1および図2に戻り、アライメントカメラ41〜44は、基板9の上面に形成されたアライメントマークAM1〜AM4(図20参照)を撮像するための撮像機構である。図2に概念的に示したように、アライメントカメラ41〜44には、それぞれ駆動機構41a〜44aが接続されている。アライメントカメラ41〜44を使用するときには、基板9の四隅に形成されたアライメントマークAM1〜AM4が各アライメントカメラ41〜44の下方に位置するように、駆動部20を動作させてステージ10を位置決めするとともに、駆動機構41a〜44aを動作させてアライメントカメラ41〜44を位置決めする。アライメントカメラ41〜44は、それぞれ基板9上のアライメントマークAM1〜AM4を撮像し、各アライメントマークAM1〜AM4の座標を取得する。
【0044】
また、このパターン描画装置1は、上記の構成に加えて制御部50を備えている。図7は、パターン描画装置1の上記各部と制御部50との間の接続構成を示したブロック図である。図7に示したように、制御部50は、上記のキャリブレーションカメラ11b,12b、リニアモータ21a,23a,25a、姿勢検出部26、光学ヘッド用カメラ27、レーザ駆動部35、アクチュエータ39、アライメントカメラ41〜44、および駆動機構41a〜44aと電気的に接続されており、これらの動作を制御する。制御部50は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータによって構成され、コンピュータにインストールされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、上記各部の制御を行う。
【0045】
<2.キャリブレーション処理>
続いて、上記構成を有するパターン描画装置1において、光学ヘッド32とアライメントカメラ41〜44との間の位置関係のずれを計測する処理(キャリブレーション処理)について説明する。キャリブレーション処理は、描画データの変更や経時変化によって、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やアライメントカメラ41〜44の位置が変化したときに、描画処理に先立って実行される。
【0046】
図8〜図10は、パターン描画装置1におけるキャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。また、図11〜図17は、キャリブレーション処理の各段階におけるパターン描画装置1の状態を示した図である。パターン描画装置1においてキャリブレーション処理を行うときには、まず、次回の描画処理に使用される描画データに基づいて各光学ヘッド32のアクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32のパルス光PLの照射位置を、ほぼ所定の位置に位置決めする(ステップS11)。
【0047】
次に、パターン描画装置1は、主走査機構25を動作させ、光学ヘッド用カメラ27がヘッド部30の下方に配置されるように、ベースプレート24を移動させる。そして、ガイドレールに沿って光学ヘッド用カメラ27を副走査方向に移動させながら、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLを撮像し、光学ヘッド32内におけるパルス光PLのライン幅、各光学ヘッド32のピッチ、隣り合う光学ヘッド32間の距離、各光学ヘッド32の主走査方向の位置、各パルス光PLの光量等の情報を取得する(ステップS12,図11の状態)。
【0048】
パターン描画装置1は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて各アクチュエータ39を動作させ、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置やライン幅を補正する。また、パターン描画装置1は、光学ヘッド用カメラ27から取得された情報に基づいて投影光学系38および投影光学系33を調整し、各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLのピッチおよび光量をそれぞれ補正する(ステップS13)。以上のステップS11〜S13により、ヘッド部30の各光学ヘッド32から照射されるパルス光PLの位置、ライン幅、および光量は適正な状態となり、ヘッド部30自体の調整が完了する。
【0049】
続いて、パターン描画装置1は、次回の描画処理に使用される描画データに基づいて駆動機構41a〜44aを動作させ、各アライメントカメラ41〜44をほぼ所定位置に位置決めする(ステップS14)。そして、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ42のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS15,図12の状態)。この状態において、アライメントカメラ42は、下方に位置する透光板11aのキャリブレーションマークCM1を撮影し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量を計測する(ステップS16)。
【0050】
図18は、ステップS16におけるアライメントカメラ42の撮影画像の例を示した図である。アライメントカメラ42は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のキャリブレーションマークCM1に対して視野中心Oがどれだけ離れているかを計測し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)を取得する。取得された情報は、アライメントカメラ42から制御部50へ送信され、後述するアライメント処理において補正値として使用される。
【0051】
次に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ41のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS17,図13の状態)。そして、アライメントカメラ41は、下方に位置する透光板11aのキャリブレーションマークCM1を撮影し、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量を計測する(ステップS18)。ステップS18では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ41から制御部50へ送信される。
【0052】
その後、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、最も+X側に配置された光学ヘッド32のほぼ直下に透光板11aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS19,図14の状態)。そして、光学ヘッド32からパルス光PLを照射するとともに、透光板11aの下方に配置されたキャリブレーションカメラ11bからキャリブレーションマークCM1およびパルス光PLの投影像を撮影する(ステップS20)。
【0053】
図19は、ステップS20におけるキャリブレーションカメラ11bの撮影画像の例を示した図である。キャリブレーションカメラ11bは、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のパルス光PLに対してキャリブレーションマークCM1の中心がどれだけ離れているかを計測し、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)を取得する。取得された情報は、キャリブレーションカメラ11bから制御部50へ送信され、後述するアライメント処理において補正値として使用される。
【0054】
続いて、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、最も−X側に配置された光学ヘッド32のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS21,図15の状態)。そして、光学ヘッド32からパルス光PLを照射するとともに、透光板12aの下方に配置されたキャリブレーションカメラ12bから透光板12aおよびパルス光PLの投影像を撮影する(ステップS22)。ステップS22では、図19の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてパルス光PLに対するキャリブレーションマークCMの位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)が取得され、取得された情報がキャリブレーションカメラ12bから制御部50へ送信される。
【0055】
その後、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ43のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS23,図16の状態)。そして、アライメントカメラ43は、下方に位置する透光板12aのキャリブレーションマークCM2を撮影し、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量を計測する(ステップS24)。ステップS24では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ43から制御部50へ送信される。
【0056】
更に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、アライメントカメラ44のほぼ直下に透光板12aが配置されるように、ステージ10を移動させる(ステップS25,図17の状態)。そして、アライメントカメラ44は、下方に位置する透光板12aのキャリブレーションマークCM2を撮影し、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量を計測する(ステップS26)。ステップS26では、図18の例と同じように、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについてキャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)が取得され、取得された情報がアライメントカメラ44から制御部50へ送信される。
【0057】
すなわち、上記のキャリブレーション処理では、パターン描画装置1は以下の情報(1)〜(6)を取得し、これらの情報を制御部50に保持する。
【0058】
(1)キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)
(2)キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)
(3)光学ヘッド32のパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)
(4)光学ヘッド32のパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)
(5)キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)
(6)キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)
なお、上記の情報(2),(3)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ41の相対位置のずれ量は(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2a,ΔY2a)として一意に決まる。また、上記の情報(1),(3)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ42の相対位置のずれ量は(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2b,ΔY2b)として一意に決まる。また、上記の情報(4),(5)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ43の相対位置のずれ量は(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2c,ΔY2c)として一意に決まる。また、上記の情報(4),(6)から、光学ヘッド32のパルス光PLに対するアライメントカメラ44の相対位置のずれ量は(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2d,ΔY2d)として一意に決まる。すなわち、上記のキャリブレーション処理では、光学ヘッド32のパルス光PLに対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量が検出されたこととなる。
【0059】
上記のキャリブレーション処理においてステージ10を移動させるときには、姿勢検出部26によりステージ10の姿勢(Z軸周りの傾き)を検出し、姿勢を補正しつつステージ10を移動させる。このため、ステージ10は主走査方向および副走査方向に正確に移動し、ステージ10上のキャリブレーションマークCM1,CM2も、各アライメントカメラ41〜44の下方と光学ヘッド32の下方との間で正確に移動する。
【0060】
<3.描画処理>
続いて、上記のパターン描画装置1において基板9の上面にパターンを描画するときの手順について説明する。なお、図20に例示したように、このパターン描画装置1において処理対象となる基板9の上面の四隅には、基板9をアライメントするときの基準とされるアライメントマークAM1〜AM4が予め形成されている。
【0061】
図21は、パターン描画装置1における描画処理の流れを示したフローチャートである。このパターン描画装置1において描画処理を行うときには、まず、ステージ10の上面に基板9を載置する(ステップS31)。基板9は、ステージ10の上面に形成された複数の吸引孔に吸着され、ステージ10の上面に固定的に保持される。
【0062】
次に、パターン描画装置1は、駆動部20を動作させ、基板9上のアライメントマークAM1〜AM4がアライメントカメラ41〜44のほぼ下方に配置されるように、ステージ10を移動させる。そして、パターン描画装置1は、アライメントカメラ41〜44により基板9の四隅に形成されたアライメントマークAM1〜AM4を撮影し、アライメントカメラ41〜44に対する各アライメントマークAM1〜AM4の位置ずれ量を計測する(ステップS32)。
【0063】
図22は、ステップS32におけるアライメントカメラ41の撮影画像の例を示した図である。アライメントカメラ41は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれについて、撮影画像中のアライメントマークAM1が視野中心Oからどれだけ離れているかを計測し、アライメントカメラ41に対するアライメントマークAM1の位置ずれ量(ΔX3a,ΔY3a)を取得する。なお、他のアライメントカメラ42〜44も、図22と同じように、撮影画像中のアライメントマークAM2〜AM4が視野中心Oからどれだけ離れているかを計測し、アライメントカメラ42〜44に対するアライメントマークAM2〜AM4の位置ずれ量(ΔX3b,ΔY3b),(ΔX3c,ΔY3c),(ΔX3d,ΔY3d)を取得する。
【0064】
アライメントカメラ41〜44に対する各アライメントマークAM1〜AM4の位置ずれ量が取得されると、制御部50は、これらの位置ずれ量と上記のキャリブレーション処理において取得された(1)〜(6)の位置ずれ量とに基づいて、基板9上に形成された各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量を算出する(ステップS33)。
【0065】
例えば、アライメントマークAM1の最終的な位置ずれ量(ΔXa,ΔYa)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)と、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ41の位置ずれ量(ΔX2a,ΔY2a)と、アライメントカメラ41に対するアライメントマークAM1の位置ずれ量(ΔX3a,ΔY3a)とを使用して、下記(数1)のように算出する。
【0066】
(ΔXa,ΔYa)=(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2a,ΔY2a)+(ΔX3a,ΔY3a) ・・・ (数1)
【0067】
また、アライメントマークAM2の最終的な位置ずれ量(ΔXb,ΔYb)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1の位置ずれ量(ΔX1a,ΔY1a)と、キャリブレーションマークCM1に対するアライメントカメラ42の位置ずれ量(ΔX2b,ΔY2b)と、アライメントカメラ42に対するアライメントマークAM2の位置ずれ量(ΔX3b,ΔY3b)とを使用して、下記数2のように算出する。
【0068】
(ΔXb,ΔYb)=(ΔX1a,ΔY1a)+(ΔX2b,ΔY2b)+(ΔX3b,ΔY3b) ・・・ (数2)
【0069】
また、アライメントマークAM3の最終的な位置ずれ量(ΔXc,ΔYc)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)と、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ43の位置ずれ量(ΔX2c,ΔY2c)と、アライメントカメラ43に対するアライメントマークAM3の位置ずれ量(ΔX3c,ΔY3c)とを使用して、下記数3のように算出する。
【0070】
(ΔXc,ΔYc)=(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2c,ΔY2c)+(ΔX3c,ΔY3c) ・・・ (数3)
【0071】
また、アライメントマークAM4の最終的な位置ずれ量(ΔXd,ΔYd)は、パルス光PLに対するキャリブレーションマークCM2の位置ずれ量(ΔX1b,ΔY1b)と、キャリブレーションマークCM2に対するアライメントカメラ44の位置ずれ量(ΔX2d,ΔY2d)と、アライメントカメラ44に対するアライメントマークAM4の位置ずれ量(ΔX3d,ΔY3d)とを使用して、下記数4のように算出する。
【0072】
(ΔXd,ΔYd)=(ΔX1b,ΔY1b)+(ΔX2d,ΔY2d)+(ΔX3d,ΔY3d) ・・・ (数4)
【0073】
そして、パターン描画装置1は、算出された各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量に基づいて回転機構21を動作させ、ステージ10上に保持された基板9の傾きを補正する、すなわちアライメントを行う(ステップS34)。そして、各アライメントマークAM1〜AM4の最終的な位置ずれ量に基づいて基板9の描画開始位置を補正し、補正後の描画開始位置に基板9を移動させる。
【0074】
基板9が描画開始位置に配置されると、パターン描画装置1は、ステージ10を主走査方向および副走査方向に移動させながら、基板9の上面に所定のパターンを描画する(ステップS35)。すなわち、パターン描画装置1は、光学ヘッド32の露光幅ずつ基板9を副走査方向にずらしながら、主走査方向へのパターンの描画を所定回数繰り返し、基板9上の全面に所定のパターンを形成する。その後、ステージ10の上面から基板9が搬出され(ステップS36)、1枚の基板9に対する描画処理が終了する。
【0075】
上記のように、本実施形態のパターン描画装置1は、キャリブレーション処理において、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLに対するキャリブレーションマークCM1,CM2の位置ずれ量と、キャリブレーションマークCM1,CM2に対する各アライメントカメラ41〜44の位置ずれ量とを検出する。また、検出された各情報に基づいて、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLに対する各アライメントカメラ41〜44の相対位置のずれ量を取得する。そして、パターン描画装置1は、これらの情報を使用して基板9のアライメント量を補正するとともに基板9の描画開始位置を補正し、それにより基板9上の描画位置を補正する。
【0076】
このため、本実施形態のパターン描画装置1は、光学ヘッド32から照射されるパルス光PLと各アライメントカメラ41〜44との位置関係が変化した場合であっても、その変化分を補正しつつ描画処理を行うことができる。したがって、本実施形態のパターン描画装置1は、基板9上の正確な位置に描画を行うことができる。また、アライメントカメラ41〜44自体の位置を補正するのではなく、基板9のアライメント量や描画開始位置を補正する構成であるため、アライメントカメラ41〜44の駆動機構41a〜44aに精密な駆動機構を適用する必要はない。
【0077】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記のキャリブレーション処理では、最も+X側に配置された光学ヘッド32のパルス光PLをキャリブレーションカメラ11bにより撮影し(ステップS20)、その後、最も−X側に配置された光学ヘッド32のパルス光PLをキャリブレーションカメラ12bにより撮影したが(ステップS22)、これらの撮影動作は必ずしも別個に行われなくてもよい。例えば、最も+X側に配置された光学ヘッド32と最も−X側に配置された光学ヘッド32と間の距離と、キャリブレーションカメラ11b,12b間の距離とが等しい構成とし、ステップS20の撮影動作とステップS22の撮影動作とを同時に実行するようにしてもよい。
【0078】
また、上記のパターン描画装置1では、静止状態の光学ヘッド32に対してステージ10を移動させる構成であったが、静止状態のステージ10上において光学ヘッド32を移動させる構成であってもよい。すなわち、光学ヘッド32とステージ10とが、相対的に移動できる構成であればよい。
【0079】
また、上記のパターン描画装置1は、カラーフィルタ用のガラス基板9を処理対象としていたが、本発明のパターン描画装置およびパターン描画方法は、半導体基板、プリント基板、プラズマ表示装置用ガラス基板等の他の基板を処理対象とするものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るパターン描画装置の上面図である。
【図3】ステージの角部付近に形成された貫通孔の拡大上面図である。
【図4】図3のステージをIV−IV線で切断した縦断面図である。
【図5】ステージの姿勢制御の例を示した図である。
【図6】複数の光学ヘッドを下方から見た図である。
【図7】制御部と各部との間の接続構成を示したブロック図である。
【図8】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】キャリブレーション処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図12】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図13】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図14】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図15】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図16】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図17】キャリブレーション処理中のパターン描画装置の状態を示した図である。
【図18】アライメントカメラの撮影画像の例を示した図である。
【図19】キャリブレーションカメラの撮影画像の例を示した図である。
【図20】処理対象となる基板の例を示した図である。
【図21】描画処理の流れを示したフローチャートである。
【図22】アライメントカメラの撮影画像の例を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 パターン描画装置
9 基板
10 ステージ
11a,12a 透光板
11b,12b キャリブレーションカメラ
20 駆動部
26 姿勢検出部
27 光学ヘッド用カメラ
30 ヘッド部
32 光学ヘッド
39 アクチュエータ
41〜44 アライメントカメラ
50 制御部
9 基板
AM1〜AM4 アライメントマーク
CM1,CM2 キャリブレーションマーク
PL パルス光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置であって、
基板を保持するステージと、
前記ステージ上に保持された基板の上面に所定パターンの光を照射する光照射部と、
前記ステージと前記光照射部とを相対移動させるステージ駆動部と、
前記ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有し、前記光照射部に対して前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント手段と、
前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の描画装置であって、
前記ずれ量検出手段は、
前記光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、
前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、
を有することを特徴とする描画装置。
【請求項3】
請求項2に記載の描画装置であって、
前記キャリブレーションマークは前記ステージ上に形成され、
前記ステージ駆動部は、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させることにより、前記光照射部の下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態と、前記アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替えることを特徴とする描画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の描画装置であって、
前記ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、
前記ステージ駆動部は、前記姿勢検出手段により検出された情報に基づいて前記ステージの姿勢を補正しつつ、前記ステージを移動させることを特徴とする描画装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれかに記載の描画装置であって、
前記キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、
前記第1検出手段は、前記キャリブレーションカメラにより前記光照射部の照射光および前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記光照射部と前記キャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、
前記第2検出手段は、前記アライメントカメラにより前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出することを特徴とする描画装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の描画装置であって、
前記光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備えることを特徴とする描画装置。
【請求項7】
請求項6に記載の描画装置であって、
前記位置決め手段は、
前記光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、
前記光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて前記光照射部を調整する調整手段と、
を有することを特徴とする描画装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の描画装置であって、
処理対象となる基板の描画データに応じて前記アライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備えることを特徴とする描画装置。
【請求項9】
ステージ上に保持された基板の上面に光照射部から光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する描画装置において、前記ステージ上の基板をアライメントカメラにより撮像し、取得された画像に基づいて前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント方法であって、
前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、
前記第1の工程において検出されたずれ量と前記画像とに基づいて、前記ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、
を備えることを特徴とするアライメント方法。
【請求項1】
基板上に形成された感光材料に所定のパターンを描画する描画装置であって、
基板を保持するステージと、
前記ステージ上に保持された基板の上面に所定パターンの光を照射する光照射部と、
前記ステージと前記光照射部とを相対移動させるステージ駆動部と、
前記ステージ上に保持された基板の位置および姿勢を検出するためのアライメントカメラを有し、前記光照射部に対して前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント手段と、
前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記ずれ量検出手段により検出されたずれ量に基づいて、基板上の描画位置を補正する補正手段と、
を備えることを特徴とする描画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の描画装置であって、
前記ずれ量検出手段は、
前記光照射部と所定のキャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出する第1検出手段と、
前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出する第2検出手段と、
前記第1検出手段および前記第2検出手段により検出された位置ずれ量に基づいて前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を算出する演算手段と、
を有することを特徴とする描画装置。
【請求項3】
請求項2に記載の描画装置であって、
前記キャリブレーションマークは前記ステージ上に形成され、
前記ステージ駆動部は、前記ステージと前記光照射部とを相対移動させることにより、前記光照射部の下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態と、前記アライメントカメラの下方に前記キャリブレーションマークが配置される状態とを切り替えることを特徴とする描画装置。
【請求項4】
請求項3に記載の描画装置であって、
前記ステージの姿勢を検出する姿勢検出手段を更に備え、
前記ステージ駆動部は、前記姿勢検出手段により検出された情報に基づいて前記ステージの姿勢を補正しつつ、前記ステージを移動させることを特徴とする描画装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれかに記載の描画装置であって、
前記キャリブレーションマークの下方に設置されたキャリブレーションカメラを更に備え、
前記第1検出手段は、前記キャリブレーションカメラにより前記光照射部の照射光および前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記光照射部と前記キャリブレーションマークとの位置ずれ量を検出し、
前記第2検出手段は、前記アライメントカメラにより前記キャリブレーションマークを撮像し、取得された画像に基づいて前記キャリブレーションマークと前記アライメントカメラとの位置ずれ量を検出することを特徴とする描画装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の描画装置であって、
前記光照射部の照射光の位置を所定位置に位置決めする位置決め手段を更に備えることを特徴とする描画装置。
【請求項7】
請求項6に記載の描画装置であって、
前記位置決め手段は、
前記光照射部の照射光を下方から撮像する光照射部用カメラと、
前記光照射部用カメラにより取得された画像に基づいて前記光照射部を調整する調整手段と、
を有することを特徴とする描画装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の描画装置であって、
処理対象となる基板の描画データに応じて前記アライメントカメラを移動させるアライメントカメラ駆動部を更に備えることを特徴とする描画装置。
【請求項9】
ステージ上に保持された基板の上面に光照射部から光を照射することにより、基板の上面に所定のパターンを描画する描画装置において、前記ステージ上の基板をアライメントカメラにより撮像し、取得された画像に基づいて前記ステージ上の基板をアライメントするアライメント方法であって、
前記光照射部に対する前記アライメントカメラの相対位置のずれ量を検出する第1の工程と、
前記第1の工程において検出されたずれ量と前記画像とに基づいて、前記ステージ上の基板をアライメントする第2の工程と、
を備えることを特徴とするアライメント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2008−65034(P2008−65034A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242599(P2006−242599)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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