説明

携帯電話による遠隔警備システム

【課題】簡易な操作により扉の開錠ができ、かつセキュリティ性の高い携帯電話による遠隔警備システムを提供する。
【解決手段】本遠隔警備システム1は、利用者7が所持する携帯電話8によりメール自動応答手段2及び自動電話応答手段3に対して操作され、メール自動応答手段2の利用者認証部15は、利用者7の携帯電話8から発信された返答メールに含まれるワンタイムIDと回答フレーズとで本人認証を行い、自動電話応答手段3は、ワンタイムIDと開錠される出入口扉6に表示された固有の扉コード16とにより本人認証を行い、その利用者7が出入口扉6の前にいることを確認し、遠隔警備管理サーバ4は、利用者認証部15と自動電話応答手段3とが本人認証をすると、警備制御装置5にその扉コード16に対応する出入口扉6を開錠させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話による遠隔警備システムに係り、特に、建物内の出入口扉を遠隔操作により開錠する携帯電話による遠隔警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オフィス・ビル、工場、研究所、病院などの建物や施設内において、従業員などに個人認証カードを持たせて室の出入の際の個人認証を行う警備システムが採用されている。
【0003】
しかし、この個人認証カードによる警備システムでは、例えば、従業員などが室の出入口で個人認証カードを自宅に置き忘れたことに気が付いた場合、従業員が個人認証カードを通勤途中で紛失した場合、或いは非常事態が発生して個人認証カードなしで室の出入口の開錠をしなければならない場合などが発生する虞がある。これらの場合に、仮の個人認証カードを発行したり、複雑で時間のかかる個人認証カードの再発行をしたりするのが一般的である。また、非常事態が発生した場合には、個人認証カードによる警備システム自体が逆効果になる場合もある。
【0004】
一方、特許文献1には、携帯電話を用いた個人認証方法及びシステムが開示されている。ここでは、ユーザの会員IDとパスワードは、それぞれ認証支援システム及びエントランス管理サーバに個別に秘密に管理され、それぞれの認証が成功するとエントランスドアが開錠することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−128847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の警備システムでは、例えば、従業員などが室の出入口で個人認証カードを自宅に置き忘れたことに気が付いた場合、従業員が個人認証カードを通勤途中で紛失した場合、或いは非常事態が発生して個人認証カードなしで室の出入口の開錠をしなければならない場合などが発生した場合に、仮の個人認証カードを発行したり、複雑で時間のかかる個人認証カードの再発行をしたりするなど複雑な手続が必要であった。
【0007】
また、複数の室を有する建物や施設では、上述した事態が発生した場合には、どの出入口の扉を開錠するかを特定しなければならない。しかし、従来の警備システムでは、この点の対策が採られていない。このため、個人認証カードを忘れた従業員、個人認証カードを紛失した従業員などは、警備センターに電話により説明するか、書類を作成するという手間がかかっていた。
【0008】
また、従来の警備システムでは、個人認証カードを紛失した従業員などが、開錠したい出入口の扉の前にいるかが判定できないため、紛失した個人認証カードを取得した外部の者により悪戯される虞があった。
【0009】
本願の目的は、かかる課題を解決し、簡易な操作により出入口の扉の開錠ができ、かつセキュリティ性の高い携帯電話による遠隔警備システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る携帯電話による遠隔警備システムは、建物内の出入口扉を遠隔操作により開錠する遠隔警備システムであって、登録された利用者が所持する携帯電話のメールアドレスと、設定された質問フレーズに対して利用者が登録した回答フレーズと、を記憶する個人情報記憶部と、利用者の携帯電話から送信された空メールを受信する空メール受信部と、個人情報記憶部に記憶された利用者の登録メールアドレスにより利用者本人の携帯電話であることを確認する携帯電話確認部と、ワンタイムIDと質問フレーズと自動電話応答手段の電話番号とが含まれた返信メールを利用者に送信する返信メール送信部と、利用者の携帯電話から返信され、ワンタイムIDと回答フレーズとが含まれた返答メールを受信する返答メール受信部と、返答された回答フレーズと登録された回答フレーズとの比較から本人認証を行う利用者認証部と、を備えるメール自動応答手段と、利用者が、携帯電話により自動電話応答手段の電話番号に電話をかけると、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードとを質問し、その返事から利用者の本人認証及び位置確認を行う自動電話応答手段と、メール自動応答手段の利用者認証部と自動電話応答手段とが共に本人認証すると、警備制御装置にその扉コードに対応する出入口扉を開錠させる遠隔警備管理サーバと、を備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、携帯電話による遠隔警備システムは、メール自動応答手段の利用者認証部が、利用者の携帯電話から発信された返答メールに含まれるワンタイムIDと回答フレーズとで本人認証を行い、自動電話応答手段が、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードとにより本人認証を行う。このように、携帯電話のメール機能と電話機能を活用し、携帯電話のみの操作で簡易に本人認証を行うことができる。また、遠隔警備管理サーバは、メール自動応答手段の利用者認証部と自動電話応答手段とが本人であることを認証すると、警備制御装置にその扉コードに対応する出入口扉を開錠させる。このように、本システムは、メール自動応答手段及び自動電話応答手段を併用することで簡易な手段により利用者に対して出入口扉を開錠させることができる。さらに、本システムは、複数の出入口扉に固有のIDコードを割り振って出入口扉に表示することで、その利用者が出入口扉の前に居ることが確認でき、より高いセキュリティ性を有することができる。
【0012】
また、携帯電話による遠隔警備システムは、個人情報記憶部が、システムの利用者の携帯電話番号をメールアドレスに関連させて記憶し、自動電話応答手段が、個人情報記憶部に記憶された登録携帯電話番号とかけられた携帯電話番号とを比較することで本人の携帯電話であることを確認することが好ましい。これにより、自動電話応答手段は、利用者の登録された携帯電話番号から自動的に登録された携帯電話であるかどうかが確認ができる。
【0013】
また、携帯電話による遠隔警備システムは、個人情報記憶部が、異なる質問フレーズとそれに対する回答フレーズとのセットを複数記憶し、利用者認証部が、複数の質問フレーズからランダムに質問フレーズを選択し、返信メール送信部に返信させることが好ましい。これにより、特定の質問フレーズに対する回答フレーズが他人に漏洩した場合、或いは特定の質問フレーズに対する回答フレーズが推測し易い場合でもセキュリティ性を確保できる。
【0014】
また、携帯電話による遠隔警備システムは、遠隔警備管理サーバが、入力された警備のレベルにより、利用者認証部に複数の質問フレーズから2つ以上の質問フレーズを選択させ、返信メール送信部に返信させることが好ましい。これにより、警備上の要求によりセキュリティ性を上げなければならない場合でも容易に対応できる。
【0015】
さらに、携帯電話による遠隔警備システムは、遠隔警備管理サーバが、個人情報記憶部に対して選択された質問フレーズに対する登録された回答フレーズを削除させ、利用者に新たな回答フレーズを登録させることが好ましい。これにより、回答フレーズのセキュリティの度合いを上げることができる。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る携帯電話による遠隔警備方法は、建物内の出入口扉を遠隔操作により開錠する遠隔警備方法であって、登録された利用者が所持する携帯電話のメールアドレスと、設定された質問フレーズに対して利用者が登録した回答フレーズと、を記憶するステップと、利用者の携帯電話から送信された空メールを受信するステップと、記憶された利用者の登録メールアドレスにより利用者本人の携帯電話であることを確認するステップと、ワンタイムIDと質問フレーズと自動電話応答システムの電話番号とが含まれた返信メールを利用者に送信するステップと、利用者の携帯電話から返信され、ワンタイムIDと回答フレーズとが含まれた返答メールを受信するステップと、返答された回答フレーズと登録された回答フレーズとの比較から本人認証を行うステップと、利用者が、携帯電話により自動電話応答システムの電話番号に電話をかけると、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードを質問し、その返事から利用者の本人認証及び位置確認を行うステップと、メールと電話とでの本人認証により共に本人であることが確認されると、その扉コードに対応する出入口扉を開錠させるステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記構成により、携帯電話による遠隔警備方法は、メール自動応答手段の利用者認証部が、利用者の携帯電話から発信された返答メールに含まれるワンタイムIDと回答フレーズとで本人認証を行い、自動電話応答手段が、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードとにより本人認証を行う。このように、携帯電話のメール機能と電話機能を活用し、携帯電話のみの操作で簡易に本人認証を行うことができる。また、遠隔警備管理サーバは、メール自動応答手段の利用者認証部と自動電話応答手段とが本人であることを認証すると、警備制御装置にその扉コードに対応する出入口扉を開錠させる。このように、本システムは、メール自動応答手段及び自動電話応答手段を併用することで簡易な手段により利用者に対して出入口扉を開錠させることができる。さらに、本システムは、複数の出入口扉に固有のIDコードを割り振って出入口扉に表示することで、その利用者が出入口扉の前に居ることが確認でき、より高いセキュリティ性を有することができる。
【0018】
また、携帯電話による遠隔警備方法は、利用者の携帯電話番号をメールアドレスに関連させて記憶し、利用者が、携帯電話により自動電話応答システムの電話番号に電話をかけると、記憶された登録携帯電話番号とかけられた携帯電話番号とを比較することで本人の携帯電話であることを確認することが好ましい。これにより、自動電話応答手段は、利用者の登録された携帯電話番号から自動的に登録された携帯電話であるかどうかが確認ができる。
【0019】
また、携帯電話による遠隔警備方法は、異なる質問フレーズとそれに対する回答フレーズとのセットを複数記憶し、複数の質問フレーズからランダムに質問フレーズを選択することが好ましい。これにより、特定の質問フレーズに対する回答フレーズが他人に漏洩した場合、或いは特定の質問フレーズに対する回答フレーズが推測し易い場合でもセキュリティ性を確保できる。
【0020】
また、携帯電話による遠隔警備方法は、入力された警備のレベルにより、複数の質問フレーズから2つ以上の質問フレーズを選択することが好ましい。これにより、警備上の要求によりセキュリティ性を上げなければならない場合でも容易に対応できる。
【0021】
さらに、携帯電話による遠隔警備方法は,選択された質問フレーズに対して登録された回答フレーズを削除させ、利用者に新たな回答フレーズを登録させることが好ましい。これにより、回答フレーズのセキュリティの度合いを上げることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る携帯電話による遠隔警備システムによれば、簡易な操作により出入口扉の開錠ができ、かつセキュリティ性の高い携帯電話による遠隔警備システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る携帯電話による遠隔警備システムの一つの実施形態の概略構成を示すブロック図及び説明図である。
【図2】利用者の携帯電話とメール自動応答手段との応答を示すブロック図及び説明図である。
【図3】利用者の携帯電話と自動電話応答手段との応答を示すブロック図及び説明図である。
【図4】個人情報記憶部に記憶された登録質問フレーズとそれに対する登録回答フレーズとの1つの実施例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る携帯電話による遠隔警備方法の1つの実施形態の概略構成であり、利用者の携帯電話とメール自動応答手段との応答を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る携帯電話による遠隔警備方法の1つの実施形態の概略構成であり、利用者の携帯電話と自動電話応答手段との応答を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る携帯電話による遠隔警備方法の1つの実施形態の概略構成であり、遠隔管理サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を用いて本発明に係る携帯電話による遠隔警備システムの実施形態につき、詳細に説明する。
【0025】
(携帯電話による遠隔警備システム)
図1に、本発明に係る携帯電話による遠隔警備システムの一つの実施形態の概略構成を示す。携帯電話による遠隔警備システム1は、メール自動応答手段2、自動電話応答手段3、遠隔警備管理サーバ4、警備制御装置5、出入口扉6、利用者7、及び利用者7が所持する携帯電話8から構成される。そして、利用者7が所持する携帯電話8と、メール自動応答手段2及び自動電話応答手段3とは、通信回線20を介して接続される。そして、メール自動応答手段2は、個人情報記憶部10、空メール受信部11、携帯電話確認部12、返信メール送信部13、返答メール受信部14、及び利用者認証部15から構成される。この携帯電話による遠隔警備システム1により建物内の出入口扉6を遠隔操作により開錠する。
【0026】
図2に、利用者7の携帯電話8と、携帯電話による遠隔警備システム1のメール自動応答手段2との応答を示す。ここで利用者7は、本携帯電話による遠隔警備システム1を利用する複数の従業員などを代表し、携帯電話8は、本携帯電話による遠隔警備システム1を利用する複数の従業員などが所持する携帯電話を代表する。
【0027】
個人情報記憶部10は、登録された利用者7の所持する携帯電話8の登録メールアドレス18と、携帯電話8の登録電話番号19とを予め記憶しておく。また、個人情報記憶部10は、設定された登録質問フレーズ26と、質問フレーズ26に対して利用者7が登録した登録回答フレーズ17とを予め記憶しておく。
【0028】
空メール受信部11は、図2の矢印Aに示すように利用者7の携帯電話8から送信された空メール21を受信する。空メール受信部11は、この空メール21により携帯電話8のメールアドレス23及び携帯電話番号24を取得する。そして、携帯電話確認部12は、個人情報記憶部10に記憶された利用者7の登録メールアドレス18及び登録携帯電話番号19と、送信された携帯電話8のメールアドレス23及び携帯電話番号24とを比較する。そして、送信されたメールアドレス23と登録メールアドレス18とが同一であり、かつ送信された携帯電話番号24と登録携帯電話番号19とが同一であれば利用者7本人の携帯電話8から送信された空メール21であると認証する。一方、少なくともいずれか一方が同一でない場合には、利用者7本人の携帯電話8から送信された空メール21ではないと判断し、その空メール21を無視する。
【0029】
返信メール送信部13は、携帯電話確認部12が本人の携帯電話8から送信された空メール21であると認証した場合には、図2の矢印Bに示すように、ワンタイムID25と登録質問フレーズ26と自動電話応答手段3の電話番号27とが含まれた返信メール22を利用者7に送信する。そして、返答メール受信部14は、図2の矢印Cに示すように、利用者7の携帯電話8から送信された返答メール28を受信する。この返答メール28には、ワンタイムID29と回答フレーズ30とが含まれる。そして、利用者認証部15は、個人情報記憶部10に記憶された登録回答フレーズ17と返答された回答フレーズ30とが一致した場合には、本人からの返答メール28であると判断し本人認証を行う。一方、個人情報記憶部10に記憶された登録回答フレーズ17と返答された回答フレーズ30が一致しない場合には、本人からの返答メール28ではないと判断して本人認証を行わない。
【0030】
図3に、利用者7の携帯電話8と自動電話応答手段3との応答を示す。利用者7は、返信メール送信部13から自動電話応答手段3の電話番号27を獲得し、携帯電話8からその電話番号27に確認電話32をかける。自動電話応答手段3は、個人情報記憶部10に記憶された登録携帯電話番号19とかけられた携帯電話番号24とを比較し、一致すると利用者7本人の携帯電話8であることを確認する。登録携帯電話番号19とかけられた携帯電話番号24とが一致しない場合には、利用者7本人の携帯電話8ではないと判断する。
【0031】
自動電話応答手段3は、利用者7本人の携帯電話8であることを確認すると、この確認電話31においてワンタイムID31と開錠される出入口扉6に表示された固有の扉コード16とを利用者7に質問する。利用者7は、携帯電話8での通話によりワンタイムID31と開錠される出入口扉6に表示された固有の扉コード16を回答する。自動電話応答手段3は、返信メール送信部13からワンタイムID25を獲得している。そして、利用者7が回答したワンタイムID31と、返信メール送信部13から獲得したワンタイムID25とを比較する。そして、自動電話応答手段3は、それらが一致すると本人認証を行い、それらが異なる場合には本人認証を行わない。
【0032】
また、自動電話応答手段3は、開錠される出入口扉6に表示された固有の扉コード16を確認電話32で問い合わせることで利用者7の位置確認を行う。すなわち、複数の室を有する建物や施設において、各出入口扉6には、固有のIDコードである扉コード16が割り振られる。そして、各出入口扉16にはその扉コード16が表示される。この表示は、例えば、出入口扉6にその扉コード16が印刷されたラベルを貼り付けるなどの方法による。利用者7は開錠して欲しい出入口扉6の前まで行かなければこの扉コード16を取得できない。
【0033】
そして、遠隔警備管理サーバ4は、メール自動応答手段2の利用者認証部15と自動電話応答手段3とが共に本人であることを認証すると、警備制御装置5にその扉コード16に対応する出入口扉6を開錠させる。これにより、紛失した個人認証カードを取得した外部の者により悪戯されることが防止できる。
【0034】
図4に、個人情報記憶部10に記憶された登録質問フレーズ26とそれに対する登録回答フレーズ17との1つの実施例を示す。個人情報記憶部10は、異なる登録質問フレーズ26とそれに対する登録回答フレーズ17とのセットを複数記憶する。例えば、「ペットの名前は?」という登録質問フレーズ26に対して「ミミ―」という登録回答フレーズ17である。また、例えば、「好きな料理は?」という登録質問フレーズ26に対して「イタリアン」という登録回答フレーズ17である。また、例えば、「いってみたい国は?」という登録質問フレーズ26に対して「ギリシャ」という登録回答フレーズ17である。利用者認証部15は、複数の登録質問フレーズ26からランダムに登録質問フレーズ26を選択し、返信メール送信部13に返信させる。これにより、特定の登録質問フレーズ26に対する登録回答フレーズ17が他人に漏洩した場合、或いは特定の登録質問フレーズ26に対する登録回答フレーズ17が推測し易い場合でもセキュリティ性を確保できる。
【0035】
また、遠隔警備管理サーバ4は、入力された警備のレベルにより、利用者認証部15に複数の登録質問フレーズ26から2つ以上の登録質問フレーズ26を選択させ、返信メール送信部13に返信させる。例えば、「好きな料理は?」という登録質問フレーズ26と、「いってみたい国は?」という登録質問フレーズ26とを選択し、双方の質問に対して答えさせ、すべての登録質問フレーズ26に対して要録回答フレーズ17が回答された場合にのみ本人認証を行う。これにより、警備上の要求によりセキュリティ性を上げなければならない場合でも容易に対応できる。
【0036】
遠隔警備管理サーバ4は、個人情報記憶部10に対して選択された登録質問フレーズ26に対して利用者7が回答フレーズ30を返答した場合には、個人情報記憶部10に記憶された登録回答フレーズ17を削除させ、利用者7に新たに登録させる。例えば、「いってみたい国は?」という登録質問フレーズ26に対して「ギリシャ」という回答フレーズ30を返答した場合には、他の回答フレーズ、例えば、「イタリア」を新たに登録回答フレーズ17として個人情報記憶部10に記憶させる。
【0037】
(携帯電話による遠隔警備方法)
図5に、携帯電話8による遠隔警備方法のうち、利用者7の携帯電話8とメール自動応答手段2との応答をフローチャートで示す。まず、利用者7の携帯電話8のメールアドレス23及び携帯電話番号24と、設定された登録質問フレーズ26に対して本人が登録した登録回答フレーズ17とを記憶する(S1)。ここで、利用者7とは、携帯電話8による遠隔警備システム1を利用する従業員などをいう。そして、ある利用者7の携帯電話8から送信された空メール21を受信すると(S2)、記憶された利用者7の登録メールアドレス18及び登録携帯電話番号19により利用者7本人の携帯電話8であるかどうかを確認する(S3)。利用者7本人の携帯電話8でない場合には、その空メール21を無視してS2に戻り、利用者7本人の携帯電話8である場合には、次のステップに進み(S4)、ワンタイムID25と登録質問フレーズ26と自動電話応答システム3の電話番号27とが含まれた返信メール22を利用者7に送信する(S5)。そして、利用者7の携帯電話8から返信され返答メール28を受信する(S6)。この返答メール28には、ワンタイムID29と回答フレーズ30とが含まれる。この回答フレーズ30について、利用者7本人が登録した登録回答フレーズ17と比較し、利用者7本人であることの認証を行う(S7)。そして、本人認証の結果を記憶する(S8)。このあとのフローは、図6のX及び図7のYに進む。
【0038】
図6に、携帯電話8による遠隔警備方法のうち、利用者7の携帯電話8と自動電話応答手段3との応答をフローチャートで示す。利用者7が、携帯電話8により自動電話応答システム3の電話番号27に電話をかける(S9)。登録された登録携帯電話番号19とかけてきた携帯電話番号24とを比較することで利用者7本人の携帯電話8であることを確認する(S10)。利用者7本人の携帯電話8でない場合には、例えば、「お客様がかけられた携帯電話は登録されていません」などのメッセージとともに電話を切り、利用者7本人の携帯電話8である場合には、次のステップに進む(S11)。すなわち、ワンタイムID25と開錠される出入口扉6に表示された扉コード16を質問する(S12)。利用者7は、電話による通話でワンタイムID31と開錠される出入口扉6に表示された扉コード16を回答する(S13)。そして、利用者7が回答したワンタイムID31と利用者に返信メール22で送信したワンタイムID25とを比較して本人認証を行う(S14)。このあとのフローは図7のYに進む。
【0039】
図7に、携帯電話8による遠隔警備方法のうち、遠隔管理サーバ4の動作をフローチャートで示す。返信メール22と確認電話32とでの本人認証が共に本人であることを確認する(S15)。そして、共に利用者7本人であることが確認できれば次のスッテップに進み、少なくともいずれか一方が利用者7本人を確認できない場合にはS2に戻る(S16)。そして、共に利用者7本人であることが確認できれば、その扉コード16に対応する出入口扉6を開錠させる(S17)。
【0040】
上述した携帯電話8による遠隔警備方法ででは、異なる登録質問フレーズ26とそれに対する登録回答フレーズ17とのセットを複数記憶し、複数の登録質問フレーズ26からランダムに登録質問フレーズ26を選択しても良い。また、入力された警備のレベルにより、複数の登録質問フレーズ26から2つ以上の登録質問フレーズ26を選択しても良い。さらに、選択された登録質問フレーズ26に対して回答された登録回答フレーズ17を削除させ、利用者7に新たな登録回答フレーズ17登録させても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 携帯電話による遠隔警備システム、2 メール自動応答手段、3 自動電話応答手段、4 遠隔警備管理サーバ、5 警備制御装置、6 出入口扉、7 利用者、8 携帯電話、10 個人情報記憶部、11 空メール受信部、12 携帯電話確認部、13 返信メール送信部、14 返答メール受信部、15 利用者認証部、16 扉コード、17 登録回答フレーズ、18 登録メールアドレス、19 登録携帯電話番号、20 通信回線、21 空メール、22 返信メール、23 メールアドレス、24 携帯電話番号、25,29,31 ワンタイムID、26 登録質問フレーズ、27 (自動電話応答手段の)電話番号、28 返答メール、30 回答フレーズ、32 確認電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の出入口扉を遠隔操作により開錠する遠隔警備システムであって、
登録された利用者が所持する携帯電話のメールアドレスと、設定された質問フレーズに対して利用者が登録した回答フレーズと、を記憶する個人情報記憶部と、
利用者の携帯電話から送信された空メールを受信する空メール受信部と、
個人情報記憶部に記憶された利用者の登録メールアドレスにより利用者本人の携帯電話であることを確認する携帯電話確認部と、
ワンタイムIDと質問フレーズと自動電話応答手段の電話番号とが含まれた返信メールを利用者に送信する返信メール送信部と、
利用者の携帯電話から返信され、ワンタイムIDと回答フレーズとが含まれた返答メールを受信する返答メール受信部と、
返答された回答フレーズと登録された回答フレーズとの比較から本人認証を行う利用者認証部と、を備えるメール自動応答手段と、
利用者が、携帯電話により自動電話応答手段の電話番号に電話をかけると、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードとを質問し、その返事から利用者の本人認証及び位置確認を行う自動電話応答手段と、
メール自動応答手段の利用者認証部と自動電話応答手段とが共に本人認証すると、警備制御装置にその扉コードに対応する出入口扉を開錠させる遠隔警備管理サーバと、
を備えることを特徴とする携帯電話による遠隔警備システム。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話による遠隔警備システムであって、個人情報記憶部は、システムの利用者の携帯電話番号をメールアドレスに関連させて記憶し、自動電話応答手段は、個人情報記憶部に記憶された登録携帯電話番号とかけられた携帯電話番号とを比較することで本人の携帯電話であることを確認することを特徴とする携帯電話による遠隔警備システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯電話による遠隔警備システムであって、個人情報記憶部は、異なる質問フレーズとそれに対する回答フレーズとのセットを複数記憶し、利用者認証部は、複数の質問フレーズからランダムに質問フレーズを選択し、返信メール送信部に返信させることを特徴とする携帯電話による遠隔警備システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の携帯電話による遠隔警備システムであって、遠隔警備管理サーバは、入力された警備のレベルにより、利用者認証部に複数の質問フレーズから2つ以上の質問フレーズを選択させ、返信メール送信部に返信させることを特徴とする携帯電話による遠隔警備システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1に記載の携帯電話による遠隔警備システムであって、遠隔警備管理サーバは、個人情報記憶部に対して選択された質問フレーズに対する登録された回答フレーズを削除させ、利用者に新たな回答フレーズを登録させることを特徴とする携帯電話による遠隔警備システム。
【請求項6】
建物内の出入口扉を遠隔操作により開錠する遠隔警備方法であって、
登録された利用者が所持する携帯電話のメールアドレスと、設定された質問フレーズに対して利用者が登録した回答フレーズと、を記憶するステップと、
利用者の携帯電話から送信された空メールを受信するステップと、
記憶された利用者の登録メールアドレスにより利用者本人の携帯電話であることを確認するステップと、
ワンタイムIDと質問フレーズと自動電話応答システムの電話番号とが含まれた返信メールを利用者に送信するステップと、
利用者の携帯電話から返信され、ワンタイムIDと回答フレーズとが含まれた返答メールを受信するステップと、
返答された回答フレーズと登録された回答フレーズとの比較から本人認証を行うステップと、
利用者が、携帯電話により自動電話応答システムの電話番号に電話をかけると、ワンタイムIDと開錠される出入口扉に表示された固有の扉コードを質問し、その返事から利用者の本人認証及び位置確認を行うステップと、
メールと電話とでの本人認証により共に本人であることが確認されると、その扉コードに対応する出入口扉を開錠させるステップと、
を備えることを特徴とする遠隔警備方法。
【請求項7】
請求項6に記載の携帯電話による遠隔警備方法であって、利用者の携帯電話番号をメールアドレスに関連させて記憶し、利用者が、携帯電話により自動電話応答システムの電話番号に電話をかけると、記憶された登録携帯電話番号とかけられた携帯電話番号とを比較することで本人の携帯電話であることを確認することを特徴とする携帯電話による遠隔警備方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の携帯電話による遠隔警備方法であって、異なる質問フレーズとそれに対する回答フレーズとのセットを複数記憶し、複数の質問フレーズからランダムに質問フレーズを選択することを特徴とする携帯電話による遠隔警備方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1に記載の携帯電話による遠隔警備方法であって、入力された警備のレベルにより、複数の質問フレーズから2つ以上の質問フレーズを選択することを特徴とする携帯電話による遠隔警備方法。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1に記載の携帯電話による遠隔警備方法であって、選択された質問フレーズに対して登録された回答フレーズを削除させ、利用者に新たな回答フレーズを登録させることを特徴とする携帯電話による遠隔警備方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−285771(P2010−285771A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138790(P2009−138790)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】