説明

溶接ビードの検査装置および検査方法

【課題】溶接ビードの欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能な溶接ビードの検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射しつつラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像し、画像6を線形化して細線化画像7を生成し、欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および細線化画像生成部111bにより生成された細線化画像7を比較することにより両者の一致度を算出し、算出された一致度に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ビードを検査し、ひいては溶接品質の良否を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、溶接による接合の良否、すなわち溶接品質の良否を判定する方法としては、作業者が溶接ビードに照明を当てつつその形状を目視で検査することにより溶接ビードの欠陥の有無を判定する方法が知られている。
しかし、このような方法は作業者の習熟度や作業環境等により検査結果がばらつくこと、作業者の身体的な負担が大きく作業効率の向上に限界があるという問題がある。
他の方法としては、作業者がゲージ等を用いて溶接ビードの表面の欠陥のサイズを実測する方法も行われているが、作業が煩雑であるという問題がある。
また、検査対象の一部を抜き取って切断してその切断面を観察する方法もあるが、このような方法は全数検査には適用不可能であること、検査結果が得られるまでに要する時間が長いことから検査結果を製造工程にフィードバックする際のタイムラグが大きいという問題がある。
【0003】
上記問題を解消する方法として、溶接ビードにスリット光を照射し、当該スリット光の反射光による光切断画像を用いることにより溶接品質の良否を判定する方法が知られている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の方法は、溶接ビードの全長にわたって検査を行うために要する時間が長いという問題がある。
これは、溶接ビードに照射されるスリット光による光切断線が単一であり、一度の撮像により実質的には単一の溶接ビードの断面形状しか取得できないため、前記溶接ビードの全長にわたって断面形状の取得を行うためにはスリット光の照射位置をずらしつつ非常に多くの回数の画像取得(撮像)を行わなければならず、取得した断面形状データの処理に多くの時間がかかってしまうことによる。
【特許文献1】特開平6−94640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑み、溶接ビードの欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能な溶接ビードの検査装置および検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および前記細線化画像生成部により生成された細線化画像を比較することにより両者の一致度を算出する一致度算出部と、
前記一致度算出部により算出された一致度に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、
前記判定部は、
前記一致度算出部により算出された一致度が所定の範囲外である場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定するものである。
【0009】
請求項3においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
前記細線化画像生成部により生成された細線化画像におけるラインの数を算出するライン数算出部と、
前記ライン数算出部により算出されたラインの数に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備するものである。
【0010】
請求項4においては、
前記判定部は、
前記ライン数算出部により算出されたラインの数が所定のライン数より多い場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定するものである。
【0011】
請求項5においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
前記細線化画像生成部により生成された細線化画像におけるラインの支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる前記検査対象たる溶接ビードの断面形状特徴量を算出する断面形状特徴量算出部と、
前記断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備するものである。
【0012】
請求項6においては、
前記判定部は、
欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量または典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量のいずれか一方または両方と前記断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量との間でパターンマッチングを行うことにより、前記検査対象たる溶接ビードの表面の欠陥の有無を判定するものである。
【0013】
請求項7においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像を比較することにより両者の一致度を算出する一致度算出工程と、
前記一致度算出工程において算出された一致度に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定工程と、
を具備するものである。
【0014】
請求項8においては、
前記判定工程は、
前記一致度算出工程において算出された一致度が所定の範囲外である場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定するものである。
【0015】
請求項9においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像におけるラインの数を算出するライン数算出工程と、
前記ライン数算出工程において算出されたラインの数に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定工程と、
を具備するものである。
【0016】
請求項10においては、
前記判定工程は、
前記ライン数算出工程において算出されたラインの数が所定のライン数より多い場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定するものである。
【0017】
請求項11においては、
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像におけるラインの支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる前記検査対象たる溶接ビードの断面形状特徴量を算出する断面形状特徴量算出工程と、
前記断面形状特徴量算出工程において算出された断面形状特徴量に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備するものである。
【0018】
請求項12においては、
前記判定工程は、
欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量または典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量のいずれか一方または両方と前記断面形状特徴量算出工程において算出された断面形状特徴量との間でパターンマッチングを行うことにより、前記検査対象たる溶接ビードの表面の欠陥の有無を判定するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、溶接ビードの欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下では図1乃至図4を用いて本発明に係る溶接ビードの検査装置の第一実施例である検査装置100について説明する。
検査装置100は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査するものであり、主としてラインパターン照射装置10、撮像装置20、制御装置110を具備する。
なお、本実施例の検査装置100は鋼板1・2を突合わせ溶接した溶接ビード3を検査するものであるが、本発明はこれに限定されず、種々の溶接ビードの検査に適用可能である。
【0021】
ラインパターン照射装置10は本発明に係るラインパターン照射部の実施の一形態であり、検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射するものである。
ラインパターン照射装置10は主としてレーザーポインタ11、マルチライン回折格子12を具備する。
【0022】
レーザーポインタ11は赤色のレーザ光を発生し、投光するものである。レーザーポインタ11は専用品でも良いが、市販品を用いてこれを達成することも可能である。
本実施例のレーザーポインタ11は赤色のレーザ光を発生する構成としたが、本発明はこれに限定されず、後述する撮像部により撮像可能であれば他の可視光、赤外線等でも良い。ただし、所定の領域にラインパターンが照射されていることを確認容易とする観点からは、ライン光は可視光であることが好ましい。
マルチライン回折格子12はレーザーポインタ11から投光されるレーザ光を相互に略平行な複数のライン光5・5・・・に分離し、ラインパターン4を生成するための光学素子である。
【0023】
ラインパターン4は、溶接ビード3を挟んで鋼板1および鋼板2を含む「所定の領域」に照射される。また、ラインパターン4を構成するライン光5・5・・・は、それぞれその一端が鋼板1に位置するとともに他端が鋼板2に位置する。従って、ライン光5・5・・・はそれぞれ溶接ビード3を跨ぐ形で照射されることとなる。
【0024】
撮像装置20は本発明に係る撮像部の実施の一形態であり、図2(a)および図3(a)に示す如く、ラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像するものである。
撮像装置20は主として撮像装置本体21、カメラレンズ22、バンドパスフィルタ23、偏光フィルタ24を具備する。
【0025】
撮像装置本体21は、例えばCCDカメラやCMOSカメラ等の撮像素子を有し、画像6を撮像するものである。撮像装置本体21は専用品でも良いが、市販品を用いてこれを達成することも可能である。
【0026】
カメラレンズ22は撮像装置本体21の撮像素子に溶接ビード3の表面を含む所定の領域からの光(反射光)を収束するものである。
【0027】
バンドパスフィルタ23は溶接ビード3の表面を含む所定の領域からの光(反射光)のうち所定の波長帯成分のみ透過し、それ以外の成分は透過しないことにより、ノイズ成分を除去するためのフィルタである。
バンドパスフィルタ23はカメラレンズ22の視野(ひいては、撮像装置20の視野)を覆う位置に設けられる。
【0028】
偏光フィルタ24は溶接ビード3の表面を含む所定の領域からの光(反射光)のうち、ライン光5・5・・・の反射光以外のノイズ成分、例えばラインパターン照射装置10以外の他の光源からの光等を遮断するためのフィルタである。
偏光フィルタ24はカメラレンズ22の視野(ひいては、撮像装置20の視野)を覆う位置に設けられる。
【0029】
本実施例の場合、撮像装置20はラインパターン4は、溶接ビード3を挟んで鋼板1および鋼板2を含む「所定の領域」の上方に配置され、所定の領域における鋼板1・2の板面に略垂直な方向から画像6を撮像する。また、ラインパターン照射装置10は撮像装置20の側方(ラインパターン照射装置10と撮像装置20とが互いに干渉しない位置)に配置され、所定の領域に斜め上方からラインパターン4を照射する。
本実施例の撮像装置20はバンドパスフィルタ23および偏光フィルタ24を具備する構成としたが、本発明はこれに限定されず、撮像環境(周囲の照明の状況、検査対象物の表面の状態等)によってはこれらを省略することも可能である。
【0030】
図2(a)に示す画像6は溶接ビード3において欠陥(ブローホール、溶け落ち、貫通孔、アンダーカット等)が無い部分のみを含む所定の領域を撮像した画像であり、ラインパターン4を構成するライン光5・5・・・は、溶接ビード3に対応する部分が溶接ビード3の形状(鋼板1・2の表面から隆起した形状)に沿って湾曲しているものの、隣り合うライン光5・5の間隔は略同じである。
図3(a)に示す画像6は溶接ビード3において欠陥が有る部分を含む所定の領域を撮像した画像であり、ラインパターン4を構成するライン光5・5・・・のうち、欠陥に対応する部分(図3(a)中の点線で囲まれた部分)を横切っているライン光5と欠陥に対応しない部分を横切っているライン光5とでは湾曲度合いが異なり、このような部分では隣り合うライン光5・5の間隔がそれぞれ異なる。
【0031】
制御装置110は主として制御部111、入力部112、表示部113等を具備する。
【0032】
制御部111は検査装置100の一連の動作を制御するものである。
制御部111は、種々のプログラム等(例えば、後述する検査動作制御プログラム、細線化画像生成プログラム、一致度算出プログラム、判定プログラムおよび各種データ等)を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、演算結果等を保管(記憶)することができる。
【0033】
制御部111は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の制御部111は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
【0034】
制御部111はラインパターン照射装置10のレーザーポインタ11に接続され、ラインパターン照射装置10を動作させる(レーザ光の投光およびその停止を行う)ための信号を送信可能である。
また、制御部111は撮像装置20に接続され、撮像装置20を動作させる(画像6の撮像を行う)ための信号を送信可能であるとともに、撮像装置20により撮像された画像6(ラインパターン5が照射された所定の領域の画像)を取得することが可能である。
【0035】
入力部112は制御部111に接続され、制御部111に検査装置100の動作に係る種々の情報・指示等を入力するものである。
本実施例の入力部112は専用品であるが、市販のキーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、スイッチ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0036】
表示部113は検査装置100の動作状況、入力部112から制御部111への入力内容、検査装置100による検査結果等を表示するものである。
本実施例の表示部113は専用品であるが、市販のモニターや液晶ディスプレイ等を用いても同様の効果を達成することが可能である。
【0037】
また、市販のタッチパネル等を用いて入力部112としての機能と表示部113としての機能を一体化したものを達成することが可能である。
【0038】
以下では、制御部111の詳細構成について説明する。
制御部111は、機能的には検査動作制御部111a、細線化画像生成部111b、一致度算出部111c、判定部111dを具備する。
【0039】
検査動作制御部111aは検査装置100の動作を制御するものである。
実体的には、制御部111が、予め格納された検査動作制御プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、検査動作制御部111aとしての機能を果たす。
【0040】
本実施例では、鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板が溶接ビード3の長手方向に沿って搬送される搬送経路の中途部に検査装置100が配置され、検査動作制御部111aは「溶接ビード3の表面を含む所定の領域」の溶接ビード3の長手方向における長さ分だけ鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板が搬送される毎にラインパターン4が照射された「所定の領域」の画像を取得する。このようにして、溶接ビード3が全長にわたって撮像される。
【0041】
細線化画像生成部111bは撮像装置20により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成するものである。
実体的には、制御部111が、予め格納された細線化画像生成プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、細線化画像生成部111bとしての機能を果たす。
【0042】
図2および図3に示す如く、細線化画像生成部111bは、撮像装置20により撮像された溶接ビード3の表面を含む所定の領域の画像6を線形化して線形化画像7を生成するものである。
「線形化」は画像処理の一種であり、一般的には画像上の線状の図形を一画素分の線幅を有する線に変換することを指す。
画像6を線形化することにより、画像6中のラインパターン4を構成するライン光5・5・・・は、線形化画像7においてそれぞれ対応するライン光5の線幅方向の中心位置を通る一画素分の線幅の線形化ライン8・8・・・に変換される。
本実施例では、細線化画像生成部111bは線形化ライン8・8・・・のそれぞれを関数Y(i)(i=1,2,・・・,N(Nは正の整数))として座標データに変換する。
【0043】
なお、本実施例では画像6をそのまま線形化して線形化画像7を生成する構成としたが、本発明はこれに限定されず、画像に膨張処理や収縮処理等の所定の画像処理を施した後に線形化して線形化画像を生成する構成としても良い。
【0044】
一致度算出部111cは欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である「基準細線化画像」および細線化画像生成部111bにより生成された細線化画像8を比較することにより両者(基準細線化画像と細線化画像8)の一致度を算出するものである。
実体的には、制御部111が、予め格納された一致度算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、一致度算出部111cとしての機能を果たす。
【0045】
制御部111は、予め欠陥が無いことが他の方法(目視、切断面の観察、渦流センサによるスキャニング等)により確認されている溶接ビードについての画像を線形化して生成された細線化画像である「基準細線化画像」をデータとして格納している。また、「基準細線化画像」は関数X(i)(i=1,2,・・・,N(Nは正の整数))として座標データに変換されている。
一致度算出部111cは、「基準細線化画像」の関数X(i)および細線化画像生成部111bにより生成された細線化画像7の関数Y(i)を用いて、以下の数1に示す相互相関値Rxy(k)を算出する。ここで、kは1からNまでの正の整数を表し、Nは画像6に表されるライン光5・5・・・の本数(より厳密には、中途部で切れていない場合の本数)を表す。
【0046】
【数1】

【0047】
図4に示す如く、横軸をkとし、縦軸を算出された相互相関値Rxy(k)としてプロットすると、溶接ビード3において欠陥が無い部分のみを含む所定の領域を撮像した場合(黒丸、図2参照)と溶接ビード3において欠陥が有る部分を含む所定の領域を撮像した場合(白丸、図3参照)とでは、相互相関値Rxy(k)の推移が異なる。
【0048】
本実施例では一致度算出部111cは「一致度」として線形化画像中の線形化ラインの相互相関値を算出したが、本発明はこれに限定されず、「一致度」として統計学等で一般的に知られる他の指標を用いる構成としても良い。
【0049】
判定部111dは一致度算出部111cにより算出された一致度に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定するものである。
実体的には、制御部111が、予め格納された判定プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、判定部111dとしての機能を果たす。
【0050】
制御部111は、「基準細線化画像」および基準細線化画像の元となった画像とは異なる視野であって欠陥が無い(または許容範囲内の欠陥を有する)ことが他の方法(例えば目視、溶接ビードの切断面の観察、渦流センサによるスキャニング等)により確認されている溶接ビードについての複数の画像からそれぞれ作成された複数の線形化画像(所定範囲設定用細線化画像)との間で算出された一致度の値に基づいて設定された「欠陥が無い場合の一致度」の所定の範囲の上限値および下限値(図4中のR1およびR2)を予め格納している。
【0051】
なお、本実施例の場合、所定の範囲の上限値R1は「基準細線化画像」と「所定範囲設定用細線化画像」との間で算出された一致度の最大値に所定の定数を加えた値であり、所定の範囲の下限値R2は「基準細線化画像」と「所定範囲設定用細線化画像」との間で算出された一致度の最小値から所定の定数を引いた値であるが、例えば溶接ビードの寸法公差等に基づく理論計算により所定の範囲の上限値および下限値を設定しても良い。
【0052】
判定部111dは一致度算出部111cにより算出された一致度(本実施例の場合、相互相関値Rxy(k)のうち、k=Nのときの値であるRxy(N))が所定の範囲内である場合(R2≦Rxy(N)≦R1)には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が無いと判定し、所定の範囲外である場合(Rxy(N)<R2またはR1<Rxy(N))には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が有ると判定する。
【0053】
判定部111dによる判定結果は制御部111に記憶される。また必要に応じて表示部113に表示され、あるいは他の機器に送信される。
【0054】
以上の如く、検査装置100は、
検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射するラインパターン照射装置10と、
ラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する撮像装置20と、
撮像装置20により撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する細線化画像生成部111bと、
欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および細線化画像生成部111bにより生成された細線化画像7を比較することにより両者(基準細線化画像および細線化画像7)の一致度を算出する一致度算出部111cと、
一致度算出部111cにより算出された一致度に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する判定部111dと、
を具備するものである。
また、判定部111dは、
一致度算出部111cにより算出された一致度が所定の範囲外である場合には検査対象たる溶接ビード3の表面に欠陥が有ると判定するものである。
このように構成することにより、検査装置100は溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを画像装置20の視野内(所定の領域)について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【0055】
以下では図1および図5を用いて本発明に係る溶接ビードの検査方法の第一実施例について説明する。
本発明に係る溶接ビードの検査方法の第一実施例は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査する方法であり、図5に示す如く、主として撮像工程S1100、線形化画像生成工程S1200、一致度算出工程S1300、判定工程S1400を具備する。
【0056】
撮像工程S1100は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射しつつ、ラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する工程である。
撮像工程S1100において、ラインパターン照射装置10は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射する。また、撮像装置20はラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する。
撮像工程S1100が終了したら線形化画像生成工程S1200に移行する。
【0057】
線形化画像生成工程S1200は撮像工程S1100において撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する工程である。
線形化画像生成工程S1200において、細線化画像生成部111bは、撮像装置20により撮像された溶接ビード3の表面を含む所定の領域の画像6を線形化して線形化画像7を生成するとともに、線形化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・のそれぞれを関数Y(i)(i=1,2,・・・,N(Nは正の整数))として座標データに変換する。
線形化画像生成工程S1200が終了したら一致度算出工程S1300に移行する。
【0058】
一致度算出工程S1300は欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である「基準細線化画像」および線形化画像生成工程S1200において生成された細線化画像8を比較することにより両者(基準細線化画像と細線化画像8)の一致度を算出する工程である。
一致度算出工程S1300において、一致度算出部111cは予め欠陥が無いことが他の方法(目視、切断面の観察、渦流センサによるスキャニング等)により確認されている溶接ビードについての画像を線形化して生成された細線化画像である「基準細線化画像」と細線化画像生成部111bにより生成された細線化画像7との間で相互相関値Rxy(k)を算出し、これを基準細線化画像および細線化画像8の間の一致度とする。
一致度算出工程S1300が終了したら判定工程S1400に移行する。
【0059】
判定工程S1400は一致度算出工程S1300において算出された一致度に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する工程である。
判定工程S1400において、判定部111dは予め設定された相互相関値の所定の範囲と一致度算出工程S1300において算出された相互相関値Rxy(N)とを比較し、相互相関値Rxy(N)が所定の範囲内である場合には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が無いと判定し、所定の範囲外である場合には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が有ると判定する。
【0060】
以上の如く本発明に係る溶接ビードの検査方法の第一実施例を構成することにより、溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを所定の領域について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【0061】
以下では図1、図6および図7を用いて本発明に係る溶接ビードの検査装置の第二実施例である検査装置200について説明する。
検査装置200は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査するものであり、主としてラインパターン照射装置10、撮像装置20、制御装置210を具備する。
なお、本実施例のラインパターン照射装置10および撮像装置20の基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0062】
制御装置210は主として制御部211、入力部212、表示部213等を具備する。
なお、本実施例の入力部212および表示部213の基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0063】
制御部211は検査装置200の一連の動作を制御するものである。
制御部211は、種々のプログラム等(例えば、後述する検査動作制御プログラム、細線化画像生成プログラム、ライン数算出プログラム、判定プログラムおよび各種データ等)を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、演算結果等を保管(記憶)することができる。
【0064】
制御部211は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の制御部211は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
【0065】
制御部211はラインパターン照射装置10のレーザーポインタ11に接続され、ラインパターン照射装置10を動作させる(レーザ光の投光およびその停止を行う)ための信号を送信可能である。
また、制御部211は撮像装置20に接続され、撮像装置20を動作させる(画像6の撮像を行う)ための信号を送信可能であるとともに、撮像装置20により撮像された画像6(ラインパターン5が照射された所定の領域の画像)を取得することが可能である。
【0066】
以下では、制御部211の詳細構成について説明する。
制御部211は、機能的には検査動作制御部211a、細線化画像生成部211b、ライン数算出部211c、判定部211dを具備する。
なお、本実施例の検査動作制御部211aの基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0067】
細線化画像生成部211bは撮像装置20により撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成するものである。
実体的には、制御部211が、予め格納された細線化画像生成プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、細線化画像生成部211bとしての機能を果たす。
【0068】
図6および図7に示す如く、細線化画像生成部211bは、撮像装置20により撮像された溶接ビード3の表面を含む所定の領域の画像6を線形化して線形化画像7を生成するものである。
画像6を線形化することにより、画像6中のラインパターン4を構成するライン光5・5・・・は、線形化画像7においてそれぞれ対応するライン光5の線幅方向の中心位置を通る一画素分の線幅の線形化ライン8・8・・・に変換される。
【0069】
ライン数算出部211cは細線化画像生成部211bにより生成された細線化画像7におけるライン(線形化ライン8・8・・・)の数を算出するものである。
実体的には、制御部211が、予め格納されたライン数算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、ライン数算出部211cとしての機能を果たす。
【0070】
ライン数算出部211cは細線化画像7をラベリングすることにより、細線化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・の本数を算出する。
「ラベリング」は画像処理の一種であり、本実施例の場合は線形化画像に含まれる線形ラインをそれぞれ連結図形(デジタル幾何的に連結している図形)とみなし、各連結図形にそれぞれ異なる番号からなるラベルを割り当てることを指す。
ライン数算出部211cは細線化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・に割り当てられたラベルの最大値を細線化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・の本数とする。
【0071】
図6に示す如く、溶接ビード3において欠陥が無い部分のみを含む所定の領域を撮像した場合には、画像6に含まれるライン光5・5・・・の本数と線形化画像7における線形化ライン8・8・・・の本数は同じであり、N本である。
【0072】
図7に示す如く、溶接ビード3において欠陥が有る部分を含む所定の領域を撮像した場合には、画像6に含まれるライン光5・5・・・の本数と線形化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・の本数は異なる。これは、溶接ビード3において欠陥が有る部分を横切るライン光5については当該欠陥に対応する部分の画像6中の輝度が低下しており、これを線形化すると輝度が低下している部分が繋がっていると認識されず、複数の線形化ラインに変換される(線形化ラインが断線する)ことによる。
図7の場合、画像6に含まれるライン光5・5・・・の本数はN本であるが、線形化画像7に含まれる線形化ライン8・8・・・の本数は(N+5)本である。
【0073】
なお、本実施例では線形化画像7をラベリングすることにより線形化ライン8・8・・・の本数を算出する構成としたが、本発明はこれに限定されず、他の方法を用いて線形化ラインの本数を算出する構成としても良い。
【0074】
判定部211dはライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の数(本数)に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定するものである。
実体的には、制御部211が、予め格納された判定プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、判定部211dとしての機能を果たす。
【0075】
制御部211は、予め欠陥が無いことが他の方法(目視、切断面の観察、渦流センサによるスキャニング等)により確認されている溶接ビードについての画像を線形化して生成された細線化画像である「基準細線化画像」をラベリングすることにより算出された「基準細線化画像に含まれる線形化ラインの本数(本実施例の場合、N本)」を、「所定のライン数」のデータとして格納している。
判定部211dは、ライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の本数が「基準細線化画像に含まれる線形化ラインの本数」と同数である場合(図6参照)には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が無いと判定し、ライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の本数が「基準細線化画像に含まれる線形化ラインの本数」よりも多い場合(図7参照)には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が有ると判定する。
【0076】
判定部211dによる判定結果は制御部211に記憶される。また必要に応じて表示部213に表示され、あるいは他の機器に送信される。
【0077】
以上の如く、検査装置200は、
検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射するラインパターン照射装置10と、
ラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する撮像装置20と、
撮像装置20により撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する細線化画像生成部211bと、
細線化画像生成部211bにより生成された細線化画像7における線形化ライン8・8・・・の数を算出するライン数算出部211cと、
ライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の数に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する判定部211dと、
を具備するものである。
また、判定部211dは、
ライン数算出部211cにより算出されたライン(線形化ライン8・8・・・)の数が所定のライン数より多い場合には検査対象たる溶接ビード3の表面に欠陥が有ると判定するものである。
このように構成することにより、検査装置200は溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを画像装置20の視野内(所定の領域)について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【0078】
以下では図1および図8を用いて本発明に係る溶接ビードの検査方法の第二実施例について説明する。
本発明に係る溶接ビードの検査方法の第二実施例は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査する方法であり、図8に示す如く、主として撮像工程S2100、線形化画像生成工程S2200、ライン数算出工程S2300、判定工程S2400を具備する。
【0079】
撮像工程S2100は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射しつつ、ラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する工程である。
撮像工程S2100において、ラインパターン照射装置10は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射する。また、撮像装置20はラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する。
撮像工程S2100が終了したら線形化画像生成工程S2200に移行する。
【0080】
線形化画像生成工程S2200は撮像工程S2100において撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する工程である。
線形化画像生成工程S2200が終了したらライン数算出工程S2300に移行する。
【0081】
ライン数算出工程S2300は細線化画像生成工程S2200において生成された細線化画像7におけるライン(線形化ライン8・8・・・)の数を算出する工程である。
ライン数算出工程S2300が終了したら判定工程S2400に移行する。
【0082】
判定工程S2400はライン数算出工程S2300において算出された線形化ライン8・8・・・の数(本数)に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する工程である。
判定工程S2400において、判定部211dはライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の本数が「基準細線化画像に含まれる線形化ラインの本数」と同数である場合には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が無いと判定し、ライン数算出部211cにより算出された線形化ライン8・8・・・の本数が「基準細線化画像に含まれる線形化ラインの本数」よりも多い場合には溶接ビード3のうち画像6に撮像されている部分の表面に欠陥が有ると判定する。
【0083】
以上の如く本発明に係る溶接ビードの検査方法の第二実施例を構成することにより、溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを所定の領域について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【0084】
以下では図1、図9、図10、図11および図12を用いて本発明に係る溶接ビードの検査装置の第三実施例である検査装置300について説明する。
検査装置300は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査するものであり、主としてラインパターン照射装置10、撮像装置20、制御装置310を具備する。
なお、本実施例のラインパターン照射装置10および撮像装置20の基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0085】
制御装置310は主として制御部311、入力部312、表示部313等を具備する。
なお、本実施例の入力部312および表示部313の基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0086】
制御部311は検査装置300の一連の動作を制御するものである。
制御部311は、種々のプログラム等(例えば、後述する検査動作制御プログラム、細線化画像生成プログラム、断面形状特徴量算出プログラム、判定プログラムおよび各種データ等)を格納し、これらのプログラム等を展開し、これらのプログラム等に従って所定の演算を行い、演算結果等を保管(記憶)することができる。
【0087】
制御部311は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であっても良く、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。
本実施例の制御部311は専用品であるが、市販のパーソナルコンピュータやワークステーション等に上記プログラム等を格納したもので達成することも可能である。
【0088】
制御部311はラインパターン照射装置10のレーザーポインタ11に接続され、ラインパターン照射装置10を動作させる(レーザ光の投光およびその停止を行う)ための信号を送信可能である。
また、制御部311は撮像装置20に接続され、撮像装置20を動作させる(画像6の撮像を行う)ための信号を送信可能であるとともに、撮像装置20により撮像された画像6(ラインパターン5が照射された所定の領域の画像)を取得することが可能である。
【0089】
以下では、制御部311の詳細構成について説明する。
制御部311は、機能的には検査動作制御部311a、細線化画像生成部311b、断面形状特徴量算出部311c、判定部311dを具備する。
なお、本実施例の検査動作制御部311aの基本的な構成は検査装置100におけるものと略同じであることから、詳細な説明を省略する。
【0090】
細線化画像生成部311bは撮像装置20により撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成するものである。
実体的には、制御部311が、予め格納された細線化画像生成プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、細線化画像生成部311bとしての機能を果たす。
【0091】
図9および図10に示す如く、細線化画像生成部311bは、撮像装置20により撮像された溶接ビード3の表面を含む所定の領域の画像6を線形化して線形化画像7を生成するものである。
画像6を線形化することにより、画像6中のラインパターン4を構成するライン光5・5・・・は、線形化画像7においてそれぞれ対応するライン光5の線幅方向の中心位置を通る一画素分の線幅の線形化ライン8・8・・・に変換される。
【0092】
線形化画像7は上下方向(溶接ビード3の長手方向に対応)の座標をiとし、左右方向(溶接ビード3の幅方向に対応)の座標をjとして、以下の数2に示す関数f(i,j)で表すことができる。
【0093】
【数2】

【0094】
断面形状特徴量算出部311cは細線化画像生成部311bにより生成された細線化画像7におけるライン(線形化ライン8・8・・・)の支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる「検査対象たる溶接ビード3の断面形状特徴量」を算出するものである。
実体的には、制御部311が、予め格納された断面形状特徴量算出プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、断面形状特徴量算出部311cとしての機能を果たす。
【0095】
断面形状特徴量算出部311cは、まず線形化画像7を表す関数f(i,j)に対する各列要素の離散フーリエ変換を行い、離散フーリエ関数F(k,j)を算出する。ここで、kは周波数インデックスであり、k=0,1,・・・,M−1である。
【0096】
次に、断面形状特徴量算出部311cは、以下の数3で表される関数H(k)が最大値をとるときのkであるkmaxを算出する。
【0097】
【数3】

【0098】
算出されたkmaxは、線形化画像7における支配的なラインピッチに対応する周波数インデックスである。ここで、「支配的なラインピッチ」は線形化画像における隣り合う線形化ラインの間隔であり、撮像された画像における隣り合うライン光の間隔に対応するものである。
【0099】
続いて、断面形状特徴量算出部311cは、kmaxを用いて以下の数4で表される各列要素の位相スペクトルP(j)を算出する。
【0100】
【数4】

【0101】
P(j)はk=kmaxのときの各列要素の位相スペクトルであり、対応する画像6、ひいては所定の領域に含まれる溶接ビード3の平均的な断面形状の指標となる数値である断面形状特徴量を表す。なお、∠F(kmax,j)の単位はラジアンであり、位相接続が行われたものである。
【0102】
図11に示す如く、溶接ビード3において欠陥が無い部分のみを含む所定の領域を撮像した場合(図9参照)の断面形状特徴量は、溶接ビード3の断面形状の如くなだらかに隆起した形状となる。これに対して、溶接ビード3において欠陥が有る部分を含む所定の領域を撮像した場合(図10参照)の断面形状特徴量は、欠陥に対応する部分が凹んだ形状となっている。
【0103】
判定部311dは断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定するものである。
実体的には、制御部311が、予め格納された判定プログラムに従って所定の演算等を行うことにより、判定部311dとしての機能を果たす。
【0104】
制御部311は、(A)予め欠陥が無いことが他の方法(目視、切断面の観察、渦流センサによるスキャニング等)により確認されている溶接ビードについての画像を線形化して生成された細線化画像である「基準細線化画像」に基づいて算出された断面形状測定量である「良品断面形状特徴量」、および、(B)典型的な欠陥を有することが他の方法により確認されている複数の溶接ビードについての画像をそれぞれ線形化して生成された複数の細線化画像に基づいて算出された複数の断面形状測定量である「不良品断面形状特徴量」、をデータとして格納している。
なお、「不良品断面形状特徴量」は、欠陥の種類、大きさ、溶接ビードの表面における位置等が異なるものについてそれぞれ算出しておくことが望ましい。
【0105】
判定部311dは、「良品断面形状特徴量」と断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)との間でパターンマッチング(テンプレートマッチング)を行うことにより、断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)に対応する画像6に含まれる溶接ビード3が欠陥を有するか否かを判定する。
判定部311dは、「良品断面形状特徴量」とのパターンマッチングにより欠陥を有すると判定した場合には、「不良品断面形状特徴量」と断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)との間でパターンマッチングを行うことにより、断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)に対応する画像6に含まれる溶接ビード3が有する欠陥の種類、大きさ、溶接ビードの表面における位置等を判定する。
なお、本発明に係るパターンマッチングの手法については、既知のあらゆるパターンマッチングの手法を適用することが可能である。
【0106】
判定部311dによる判定結果は制御部211に記憶される。また必要に応じて表示部313に表示され、あるいは他の機器に送信される。
【0107】
以上の如く、検査装置300は、
検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射するラインパターン照射装置10と、
ラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する撮像装置20と、
撮像装置20により撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する細線化画像生成部311bと、
細線化画像生成部311bにより生成された細線化画像7におけるライン(線形化ライン8・8・・・)の支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる検査対象たる溶接ビード3の断面形状特徴量P(j)を算出する断面形状特徴量算出部311cと、
断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する判定部311dと、
を具備するものである。
また、判定部311dは、
欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量および典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量と断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)との間でパターンマッチングを行うことにより、検査対象たる溶接ビード3の表面の欠陥の有無を判定するものである。
このように構成することにより、検査装置300は溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを画像装置20の視野内(所定の領域)について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【0108】
なお、本実施例では良品断面形状特徴量および不良品断面形状特徴量の両方と断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)との間でパターンマッチングを行う構成としたが、本発明はこれに限定されず、良品断面形状特徴量と断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量との間でのみパターンマッチングを行い欠陥の有無を判定する構成としても良く、不良品断面形状特徴量と断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量との間でのみパターンマッチングを行い欠陥の有無を判定する構成としても良い。
【0109】
また、本実施例ではパターンマッチングを行うことにより欠陥の有無を判定する構成としたが、本発明はこれに限定されず、種々の欠陥を検出するためのアルゴリズムを適用することにより欠陥の有無を判定する構成としても良い。
上記アルゴリズムとしては、例えば図12に示す如く、良品断面形状特徴量に対する上限ラインおよび下限ラインを設定し、これらで挟まれた領域から断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量がはみ出ている場合には欠陥を有すると判定するもの等が挙げられる。
【0110】
以下では図1および図13を用いて本発明に係る溶接ビードの検査方法の第三実施例について説明する。
本発明に係る溶接ビードの検査方法の第三実施例は鋼板1・2を突合わせ溶接した鋼板における溶接ビード3を検査する方法であり、図13に示す如く、主として撮像工程S3100、線形化画像生成工程S3200、断面形状特徴量算出工程S3300、判定工程S3400を具備する。
【0111】
撮像工程S3100は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射しつつ、ラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する工程である。
撮像工程S3100において、ラインパターン照射装置10は検査対象たる溶接ビード3の表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光5・5・・・からなるラインパターン4を照射する。また、撮像装置20はラインパターン照射装置10によりラインパターン4が照射された所定の領域の画像6を撮像する。
撮像工程S3100が終了したら線形化画像生成工程S3200に移行する。
【0112】
線形化画像生成工程S3200は撮像工程S3100において撮像された画像6を線形化して細線化画像7を生成する工程である。
線形化画像生成工程S3200が終了したら断面形状特徴量算出工程S3300に移行する。
【0113】
断面形状特徴量算出工程S3300は細線化画像生成工程S3200において生成された細線化画像7におけるライン(線形化ライン8・8・・・)の支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる「検査対象たる溶接ビード3の断面形状特徴量」を算出する工程である。
断面形状特徴量算出工程S3300が終了したら判定工程S3400に移行する。
【0114】
判定工程S3400は断面形状特徴量算出工程S3300において算出された断面形状特徴量P(j)に基づいて検査対象たる溶接ビード3の表面における欠陥の有無を判定する工程である。
判定工程S3400において、判定部311dは欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量および典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量と断面形状特徴量算出部311cにより算出された断面形状特徴量P(j)との間でパターンマッチングを行うことにより、検査対象たる溶接ビード3の表面の欠陥の有無を判定する。
【0115】
以上の如く本発明に係る溶接ビードの検査方法の第三実施例を構成することにより、溶接ビード3の表面に欠陥が有るか否かを所定の領域について一度に検査することが可能である。
従って、一本のライン光で溶接ビードを長手方向に走査しつつ検査を行う従来の検査装置に比べて溶接ビード3の欠陥の有無についての検査に要する時間を短縮することが可能である。
また、細線化処理を施した画像(細線化画像)に基づいて検査を行うため、検査における検査対象の輝度ムラの影響を低減することが可能であり、検査精度すなわち欠陥の有無の判定精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る溶接ビードの検査装置の実施例を示す図。
【図2】欠陥が無い溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図3】欠陥が有る溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図4】相互相関値の推移を示す図。
【図5】本発明に係る溶接ビードの検査方法の第一実施例を示すフロー図。
【図6】欠陥が無い溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図7】欠陥が有る溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図8】本発明に係る溶接ビードの検査方法の第二実施例を示すフロー図。
【図9】欠陥が無い溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図10】欠陥が有る溶接ビードについての撮像画像および線形化画像を示す図。
【図11】断面形状特徴量を示す図。
【図12】同じく断面形状特徴量を示す図。
【図13】本発明に係る溶接ビードの検査方法の第三実施例を示すフロー図。
【符号の説明】
【0117】
1・2 鋼板
3 溶接ビード
4 ラインパターン
5 ライン光
6 画像
7 線形化画像
8 線形化ライン
10 ラインパターン照射装置(ラインパターン照射部)
20 撮像装置(撮像部)
100 検査装置(第一実施例)
111b 細線化画像生成部
111c 一致度算出部
111d 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および前記細線化画像生成部により生成された細線化画像を比較することにより両者の一致度を算出する一致度算出部と、
前記一致度算出部により算出された一致度に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備する溶接ビードの検査装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記一致度算出部により算出された一致度が所定の範囲外である場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定する請求項1に記載の溶接ビードの検査装置。
【請求項3】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
前記細線化画像生成部により生成された細線化画像におけるラインの数を算出するライン数算出部と、
前記ライン数算出部により算出されたラインの数に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備する溶接ビードの検査装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記ライン数算出部により算出されたラインの数が所定のライン数より多い場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定する請求項3に記載の溶接ビードの検査装置。
【請求項5】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射するラインパターン照射部と、
前記ラインパターン照射部によりラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成部と、
前記細線化画像生成部により生成された細線化画像におけるラインの支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる前記検査対象たる溶接ビードの断面形状特徴量を算出する断面形状特徴量算出部と、
前記断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備する溶接ビードの検査装置。
【請求項6】
前記判定部は、
欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量または典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量のいずれか一方または両方と前記断面形状特徴量算出部により算出された断面形状特徴量との間でパターンマッチングを行うことにより、前記検査対象たる溶接ビードの表面の欠陥の有無を判定する請求項5に記載の溶接ビードの検査装置。
【請求項7】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
欠陥が無い溶接ビードについて予め生成された細線化画像である基準細線化画像および前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像を比較することにより両者の一致度を算出する一致度算出工程と、
前記一致度算出工程において算出された一致度に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定工程と、
を具備する溶接ビードの検査方法。
【請求項8】
前記判定工程は、
前記一致度算出工程において算出された一致度が所定の範囲外である場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定する請求項7に記載の溶接ビードの検査方法。
【請求項9】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像におけるラインの数を算出するライン数算出工程と、
前記ライン数算出工程において算出されたラインの数に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定工程と、
を具備する溶接ビードの検査方法。
【請求項10】
前記判定工程は、
前記ライン数算出工程において算出されたラインの数が所定のライン数より多い場合には前記検査対象たる溶接ビードの表面に欠陥が有ると判定する請求項9に記載の溶接ビードの検査方法。
【請求項11】
検査対象たる溶接ビードの表面を含む所定の領域に相互に略平行な複数のライン光からなるラインパターンを照射しつつ当該ラインパターンが照射された所定の領域の画像を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像を線形化して細線化画像を生成する細線化画像生成工程と、
前記細線化画像生成工程において生成された細線化画像におけるラインの支配的なラインピッチに対応する各列要素の位相スペクトルからなる前記検査対象たる溶接ビードの断面形状特徴量を算出する断面形状特徴量算出工程と、
前記断面形状特徴量算出工程において算出された断面形状特徴量に基づいて前記検査対象たる溶接ビードの表面における欠陥の有無を判定する判定部と、
を具備する溶接ビードの検査方法。
【請求項12】
前記判定工程は、
欠陥が無い溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である良品断面形状特徴量または典型的な欠陥を有する複数の溶接ビードについて予め算出された断面形状特徴量である不良品断面形状特徴量のいずれか一方または両方と前記断面形状特徴量算出工程において算出された断面形状特徴量との間でパターンマッチングを行うことにより、前記検査対象たる溶接ビードの表面の欠陥の有無を判定する請求項11に記載の溶接ビードの検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−216199(P2008−216199A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57565(P2007−57565)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】