説明

溶解装置および溶解方法

【課題】医療廃棄物20を安全に滅菌する。
【解決手段】医療廃棄物20を収容する溶解炉100と、燃料を燃焼することにより、溶解炉100の内部を、医療廃棄物20の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物20の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する加熱部140と、溶解炉100および外部に対して連結および遮断することができ、溶解炉100の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された医療廃棄物20を収容し、溶解炉と連結した場合に収容した医療廃棄物20を溶解炉100に投入する投入室170と、加熱中の溶解炉100の内部の気体42を吸気して、加熱部140に導入する気体導入部180とを備え、気体導入部180は、さらに、加熱中の投入室の内部の気体44を吸気して、加熱部140に導入し、加熱部140は、気体導入部180により導入された溶解炉100および投入室170の気体を燃料と共に燃焼する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療廃棄物の溶解装置および溶解方法に関する。本発明は、特に、合成樹脂を含む医療廃棄物を滅菌と同時に溶解・減容する処理装置および処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃プラスチックを再生油として再利用する廃プラスチック油化装置が知られている。特許文献1には、廃プラスチックをガスバーナの熱により、加熱・溶融およびガス化する熱分解炉と、熱分解炉で発生した熱分解ガスを冷却水と気液接触させて冷却・凝縮した後、油水分離して再生油を得る油化槽とを備えた油化装置が開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、病院、診療所等の医療機関から発生する注射器、カテーテル、手術着、ビニル手袋等の医療廃棄物のような感染性廃棄物には、感染性病原菌が付着している可能性がある。そこで、環境省により、高温高圧下で一定時間処理を施した後、廃棄処理するか、又は、焼却処理するように指導されている(非特許文献1)。特許文献2には、加熱炉に圧力容器を用いることで、炉内を高温高圧の状態で密閉して、感染性廃棄物の熱分解温度より低い温度で、所定時間、感染性廃棄物を滅菌処理した後、熱分解温度まで加熱する油化装置が開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−247874号公報
【特許文献2】特開2003−19428号公報
【非特許文献1】「排出物処理法に基づく感染性排出物処理マニュアル(公布日:平成16年3月16日、環廃産発040316001号)」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された油化装置を用いて、医療廃棄物を処理した場合、処理の初期段階において医療廃棄物に含まれていた感染性病原菌が十分に死滅しない状態で、熱分解炉内の気体と共に熱分解炉から漏れ出す可能性がある。このとき、当該気体が冷却水と気液接触することで、凝縮水又は生成油に感染性病原菌が混入する。
【0005】
一方、特許文献2に記載された油化装置を用いた場合には、高温高圧の状態で一定時間処理を施すので、上記の問題は生じない。しかしながら、医療廃棄物には、例えば、プラスチック容器中に水分若しくは血液、又は、過酸化水素水が密封されたものも多く含まれる。このような廃棄物を加熱すると、プラスチック容器が溶解して、水分等が高温条件下にさらされ、瞬間的に気化する。特許文献2に記載された油化装置は、炉内を高温高圧の状態で密封しているので、水分等が瞬間的に気化して急激に内部の圧力が上昇した場合には、圧力容器が破損する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、医療廃棄物を溶解する溶解装置であって、医療廃棄物を収容する溶解炉と、燃料を燃焼することにより、溶解炉の内部を、医療廃棄物の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する加熱部と、溶解炉および外部に対して連結および遮断することができ、溶解炉の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された医療廃棄物を収容し、溶解炉と連結した場合に収容した医療廃棄物を溶解炉に投入する投入室と、加熱中の溶解炉の内部の気体を吸気して、加熱部に導入する気体導入部とを備え、気体導入部は、さらに、加熱中の投入室の内部の気体を吸気して、加熱部に導入し、加熱部は、気体導入部により導入された溶解炉および投入室の気体を燃料と共に燃焼する溶解装置が提供される。
【0007】
上記溶解装置において、溶解炉は、医療廃棄物と共に油を収容した状態で加熱されてもよい。また、溶解炉に収容される油は廃油であってもよい。さらに、気体導入部は、溶解炉に連結された溶解炉排気管、投入室に連結されて溶解炉排気管に合流する投入室排気管、および、投入室排気管において合流地点よりも投入室側に配された逆止弁を有してもよい。
【0008】
本発明の第2の形態においては、医療廃棄物を溶解する溶解方法であって、加熱部において燃料を燃焼することにより、医療廃棄物を収容した溶解炉の内部を、医療廃棄物の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する加熱ステップと、溶解炉および外部に対して連結および遮断する投入室により、溶解炉の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された医療廃棄物を収容し、溶解炉と連結した場合に収容した医療廃棄物を溶解炉に投入する投入ステップと、加熱中の溶解炉の内部の気体および投入室の内部の気体を吸気して、加熱部に導入して燃焼させる気体燃焼ステップとを備える溶解方法が提供される。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、一実施形態に係る溶解装置12を備える熱分解システム10の概要を示すブロック図である。熱分解システム10は、医療廃棄物20を熱分解する熱分解システムであって、同図に示す通り、熱分解システム10は、溶解装置12と、複数の油化装置14、16を備える。
【0012】
溶解装置12は、燃料を燃焼することにより、投入された医療廃棄物20を、医療廃棄物20の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱して、医療廃棄物20を溶解する。医療廃棄物20が溶解すると医療廃棄物20内の空気が除去されるので、医療廃棄物20の容積が減少して減溶廃棄物40が得られる。
【0013】
ここで、医療廃棄物20は、注射器、カテーテル、手術着、スポイト、不織布等を含み、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等、多種のプラスチックを含む。プラスチックの種類により融点が異なり、溶解装置12において、油と共に収容した状態で加熱すると、例えば、PEの場合には、約120℃で溶解が始まるが、PVC、PETの場合には、180℃〜200℃で加熱しても、長時間加熱しなければ、完全には溶解しない。一方、これらのプラスチックは、無酸素又は低酸素状態で約300〜400℃に加熱すると、熱分解を開始する。また、医療廃棄物20には、感染性病原菌が含まれる可能性があるので、上記の通り、高温で一定時間加熱して滅菌処理を施すことが求められる。
【0014】
そこで、本実施形態においては、滅菌温度を、医療廃棄物20の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物の熱分解の温度より低い温度に設定する。そして、当該滅菌温度における感染性病原菌の滅菌率及び当該温度における医療廃棄物20の溶解速度を考慮して、滅菌時間又は溶解時間を決定する。例えば、医療廃棄物20が上記物質を含んでいる場合には、これらの上記溶解温度、上記熱分解温度に基づいて、例えば、180℃〜220℃の温度で、30〜60分間、加熱する。
【0015】
なお、本明細書において、「溶解する」とは、医療廃棄物20が油に溶解する場合に限定されるものでなく、加熱により融解して半固形状態になる場合をも含む。また、上記温度であれば、医療廃棄物20にPVCが含まれている場合であっても、塩素ガスはほとんど発生しない。
【0016】
油化装置14は、溶解装置12で溶解された医療廃棄物20を油化する。つまり、溶解装置12で得られた減溶廃棄物40を、油化装置14に投入して、無酸素又は低酸素状態で、例えば、約400〜450℃に加熱すると、減溶廃棄物40に含まれるプラスチック等が熱分解して乾留ガスが発生する。当該乾留ガスを冷却すると乾留ガスが液化して生成油60が得られる。本実施形態においては、油化装置14には、医療廃棄物20を溶解装置12で減容して得られた減溶廃棄物40が投入されるので、油化装置14は、一度の処理で、より大量の医療廃棄物20を処理できる。また、減溶廃棄物40は溶解装置で十分滅菌されているので、生成油等が感染性病原菌に汚染されることを防止できる。
【0017】
ここで、乾留ガスには、冷却水で冷却しても液化しない成分も含まれる。当該成分は可燃性であり、このような可燃ガスは熱分解システム10の熱源として利用することが好ましい。ここで、油化装置14、16では、一度、急激に温度が上昇してしまうと、熱分解が加速度的に促進され、温度制御が困難になる場合がある。上記可燃ガスの組成は、医療廃棄物20に含まれるプラスチックの組成、熱分解時の温度などにより変動するので、燃焼したときの熱量も変動しやすい。
【0018】
また、医療廃棄物20及びその減溶廃棄物40は、様々な種類のプラスチックが混在しているので、油化装置14に減溶廃棄物40を逐次投入して連続的に油化処理をすると、上記と同様の理由で、温度制御が困難になる場合がある。そこで、本実施形態においては、油化装置14及び油化装置16は、減溶廃棄物40が一括で投入されて油化されるバッチ処理で、減溶廃棄物40を処理する。バッチ処理においては、油化装置14の加熱を停止して室温まで冷却しているときには、油化装置14、16で上記可燃ガスを燃焼させない。
【0019】
一方、溶解装置12においては、厳密に温度を制御しなくても、処理への影響が油化装置14、16と比較して少ない。また、溶解装置12においては、高温の状態を長時間維持して、医療廃棄物20に含まれる感染性病原菌を滅菌する。そこで、医療廃棄物20の溶解中に、医療廃棄物20が、少なくとも一度はさらに投入される連続処理で、医療廃棄物20を処理する。
【0020】
すなわち、本実施形態においては、溶解装置12は連続処理を用いる一方、油化装置14、16はバッチ処理を用いる。また、上記可燃ガスを可燃ガス移送配管22及び可燃ガス移送配管32により、溶解装置12に移送して、溶解装置12の熱源として利用する。つまり、溶解装置12は、油化装置14又は油化装置16で発生した可燃ガスを燃焼することにより医療廃棄物20の溶解に用いる。これにより、熱分解システム10を安定に運転しつつ、熱分解システム10全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0021】
本実施形態においては、溶解装置12は医療廃棄物20を連続処理することで得られた減溶廃棄物40を、油化装置14と、油化装置16とで交互にバッチ処理する。これにより、溶解装置12は、複数の油化装置14及び油化装置16で発生した可燃ガスを燃焼させることができ、一方の油化装置が停止している場合であっても、もう一方の油化装置から可燃ガスを供給される。その結果、溶解装置12への可燃ガスの供給が安定して、熱分解システム10全体のエネルギー効率をより向上させることができる。特に、医療廃棄物20には、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルが多く含まれ、上記可燃ガスが多く発生するので、上記構成を採用することが好ましい。
【0022】
また、本実施形態においては、油化装置14及び油化装置16で得られた生成油60の一部を、可燃ガス移送配管22及び可燃ガス移送配管32により、溶解装置12に移送して、溶解装置12の熱源として利用する。なお、本明細書において、「連続処理」とは、加熱中に医療廃棄物20を少なくとも一度、溶解装置12に投入することをいう。よって、連続処理においては、排出の方法を問わず、加熱中に溶解装置12に逐次投入して、減溶廃棄物40を逐次排出する方法、および、加熱中に医療廃棄物20を溶解装置12に逐次投入して、一定量の医療廃棄物20を処理した後、若しくは、加熱を停止した後に減溶廃棄物40を排出する方法のいずれも含む。また、「加熱中」とは、燃料を燃焼させている間に限定されるものではなく、燃料の燃焼を停止している場合であって、溶解炉の内部の温度が滅菌温度と同程度かそれ以上である場合も含む。
【0023】
図2は、溶解装置12の概要を示すフロー図である。また、図3は、溶解装置12の溶解炉100の周りの構造を示す概略図である。
【0024】
溶解装置12は、医療廃棄物20を加熱・溶解することで、医療廃棄物20を滅菌すると共に、医療廃棄物20を減容する。同図に示す通り、溶解装置12は、略寸胴形状の溶解炉100と、溶解炉100の外面の一部又は全部を覆うように配された加熱部140と、溶解炉100の外面のうち、少なくとも加熱部140で覆われていない部分を覆うように配された保温材160とを備える。また、溶解装置12は、溶解炉100の上部に設けられた投入室170と、溶解炉100及び投入室170の内部の気体を吸気する気体導入部180とを備える。
【0025】
溶解炉100は、医療廃棄物20を収容する。また、本実施形態においては、溶解炉100は医療廃棄物20と共に廃油70を収容する。廃油70は、油の一例であり、例えば、大豆油、エンジンオイルであってもよい。また、大気圧若しくは溶解装置12の運転圧力における沸点、又は、引火点が上記滅菌温度より高い有機化合物、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールであってもよい。
【0026】
溶解炉100は、医療廃棄物20を収容する略寸胴形状の溶解炉本体110と、投入室170を溶解炉100に対して連結及び遮断することができる内部開閉部120と、溶解した医療廃棄物20及び処理後に溶解炉本体110内に残った残渣を溶解炉本体110から排出する排出部130とを有する。溶解炉本体110は寸胴形状の底部を下にして配される。
【0027】
溶解炉本体110は、開口を有する円板状の天板部111と、溶解炉本体110の底部に配された下部排出口113と、溶解炉本体110の胴部に配されたフランジ114及びフランジ115とを含む。また、溶解炉本体110は、天板部111上に上記開口を覆い、垂直方向に延伸する筒状の開閉ガイド部116と、溶解炉本体110の側面に配された排気口119とを含む。また、溶解炉本体110の内部の温度を測定する温度計52が配される。温度計52は、廃油70の温度を測定できるように配されていることが好ましい。
【0028】
溶解炉本体110の上部には、天板部111が溶接等により結合されている。これにより、天板部111の開口が内部投入口112を形成する。溶解炉本体110は、寸胴形状の胴部の適切な位置で2分割されており、フランジ114及びフランジ115により結合されている。これにより、溶解炉本体110は、フランジ114及びフランジ115の部分で上下に2分割することができる。溶解炉本体110は、天板部111に近い位置で分割されることが好ましい。
【0029】
また、溶解炉本体110の側面には、溶解炉100の内部の気体42を排出する排気口119が設けられ、気体導入部180が結合されている。排気口119は、フランジ114及びフランジ115より上部に設けられてもよく、溶解炉本体110の側面ではなく天板部111に設けられてもよいが、フランジ114及びフランジ115よりも下で、加熱部140に覆われた部分よりも上の位置に設けられることが好ましい。これにより、溶解炉本体110を分割するときに、気体導入部180が邪魔にならない。さらに、溶解炉本体110の底部には、下部排出口113が設けられ、排出部130が結合されている。
【0030】
開閉ガイド部116は、上下に延伸する筒状の形状を有しており、内部投入口112より大きな四角形の断面形状を有する。開閉ガイド部116の下部は、内部投入口112を覆うように天板部111に溶接等により結合されており、開閉ガイド部116の上部は、投入室170と結合されている。開閉ガイド部116は、内部に、内部開閉部120の動作を補助するガイドレール117および開閉蓋支持部118を含む。また、開閉ガイド部116は、側面に水平方向に延伸する略長方形の開口を有する。なお、開閉ガイド部116の断面の形状は、四角形に限定されるものではなく、円形であってもよい。
【0031】
内部開閉部120は、内部投入口112よりも大きな板状の開閉蓋123と、棒状のロッド124と、ロッド124を介して開閉蓋123を往復運動させるシリンダ125と、開閉蓋123及びロッド124を内部に密閉する袋状の密閉ガイド126とを含む。内部開閉部120は、開閉ガイド部116の側面に設けられた上記開口の外側に配され、開閉蓋123は上記開口部分から開閉ガイド部116の内部に挿入されている。また、開閉蓋123は、ガイドレール117に支持されており、ロッド124を介してシリンダ125により駆動され、水平方向に往復運動する。これにより、内部開閉部120は、投入室170を溶解炉100に対して連結及び遮断することができる。
【0032】
密閉ガイド126は、開閉ガイド部116の外部に溶接等により結合されており、密閉構造を有する。これにより、開閉蓋123が往復運動した場合であっても、溶解炉100の内部の気体が内部開閉部120から外部に漏れることを防止できる。
【0033】
排出部130は、溶解炉100の外部に配された排出弁132及びスクリューコンベア134と、溶解炉100の内部に配された残渣移送容器136及びワイヤー138とを含む。排出弁132及びスクリューコンベア134は、廃油70、溶解した医療廃棄物20、及び、医療廃棄物20が融解して溶解炉本体110の底部に溜まっている半固形状の融解物30を排出する。なお、融解物30には、医療廃棄物20に含まれる注射針等の金属片、又は、脱脂綿のように溶解しない廃棄物の残渣が含まれる。また、融解物30と共に大部分の廃油70を排出してもよく、大部分の廃油70は排出せずに、再度、医療廃棄物20の溶解に用いてもよい。
【0034】
排出弁132を開くと下部排出口113より上記医療廃棄物20、上記融解物30、上記廃油70が排出され、スクリューコンベア134を介して、油貯留タンク220に移送される。その後、油貯留タンク220から減溶廃棄物貯留タンク236に貯留される。なお、上記医療廃棄物20、上記融解物30、上記廃油70は、フィルタによりろ過されてもよい。
【0035】
残渣移送容器136は、例えば、メッシュ状の底板を有する箱型形状を有して、ワイヤー138により溶解炉100内部に支持されており、内部に未溶解物50を保持する。未溶解物50は、完全には溶解若しくは融解しなかった医療廃棄物20、及び、医療廃棄物20に含まれる金属片、若しくは、脱脂綿のように溶解しない廃棄物の残渣を含む。ワイヤー138は、例えば、天板部111と結合されている。なお、残渣移送容器136は、溶解炉本体110の底部から完全に持ち上げられていなくてもよく、溶解炉本体110の底部と接していてもよい。また、溶解炉100は、残渣移送容器136の上部に、医療廃棄物20を押圧、攪拌するプッシャーを備えてもよい。
【0036】
未溶解物50は、溶解炉100の滅菌が終了して、溶解炉100の冷却が終了した後、粗破砕機230のホッパー232に搬送される。未溶解物50の搬送は、例えば、フランジ115より上部の溶解炉本体110及び投入室170を、フランジ114より下部の溶解炉本体110からはずして、クレーン216により残渣移送容器136ごと溶解炉本体110内部から引き上げ、クレーン216によりホッパー232に移送することでなされる。なお、投入した医療廃棄物20に対して発生する未溶解物50が少ない場合等には、残渣移送容器136及びワイヤー138を用いずに、排出弁132とスクリューコンベア134とを含む下部排出部を介して、未溶解物50を溶解炉100の加熱中に排出してもよい。これにより、溶解装置12の停止時間を減少させることができる。
【0037】
加熱部140は、燃料を燃焼することにより、溶解炉100の内部を、医療廃棄物20の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ医療廃棄物20の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する。また、気体導入部180により導入された溶解炉100および投入室170の気体を燃料と共に燃焼する。
【0038】
加熱部140は、加熱部140の下部に配される脚部142と、燃料を燃焼するバーナ144と、バーナ144に供給する燃料の量を調整する燃料調整弁146と、溶解炉本体110の少なくとも一部を覆うように配されたジャケット150とを有する。ジャケット150は、少なくとも、溶解炉本体110内の油面よりも下部を覆うように配されることが好ましい。また、ジャケット150には、加熱部140内部の温度を測定する温度計54が配される。
【0039】
燃料としては、例えば、A重油が用いられるが、油化装置14又は油化装置16で得られた生成油60を用いてもよい。バーナ144としては、例えば、重油バーナ、急速混合型バーナ等が用いられる。燃料調整弁146は、温度計52又は温度計54で測定した温度に基づき、燃料の供給量を調整する。
【0040】
ジャケット150は、バーナ144で燃焼した燃焼ガスを循環させて、又は、バーナの炎により、溶解炉100を加熱する。ジャケット150は、燃料を燃焼する燃焼部152と、溶解炉100の下部排出口113がジャケット150の外部に配されるように設けられた排出部導入口157と、燃焼ガスを外部に排出する排気管158と、排気管158を結合する排気口159とを含む。温度計54は、排気口159の近傍に配されることが好ましい。
【0041】
燃焼部152は、バーナ144の炎を導入する燃焼口153と、気体導入部180で吸気した溶解炉100及び投入室170の気体を燃焼部152に導入する吸気ガス導入口154と、油化装置14又は油化装置16からで発生した可燃ガスを燃焼部152に導入する可燃ガス導入口155とを有する。なお、上記溶解炉100及び投入室170の気体、又は、上記可燃ガスは、バーナ144の空気ノズルに直接供給してもよい。溶解炉100の下部排出口113がジャケット150の外部に配されるので、溶解炉100の排出弁132及びスクリューコンベア134と、下部排出口113とをジャケット150の外部で結合させることができる。
【0042】
投入室170は、開閉ガイド部116の上部に配され、内部開閉部120により溶解炉100に対して連結及び遮断される。投入室170は、側面に設けられ、外部から医療廃棄物20を投入する外部投入口171と、投入室170を外部に対して連結および遮断する外部開閉部172と、外部開閉部172の動作を補助するガイドレール177と、投入室170の内部の気体44を排気する排気口179とを有する。なお、内部投入口112及び投入室170の配される位置は、溶解炉100の上部に限定されず、溶解炉100の側面に配されてもよい。
【0043】
投入室170の上部には、外部投入口171に対応する箇所に略長方形の開口を有しており、外部開閉部172は、当該開口の外側に配されている。外部開閉部172は、外部投入口171よりも大きな板状の開閉蓋173と、棒状のロッド174と、ロッド174を介して開閉蓋173を往復運動させるシリンダ175と、開閉蓋173及びロッド174を内部に密閉する袋状の密閉ガイド176とを含む。
【0044】
開閉蓋173は、投入室170の上部に設けられた上記開口から内部に挿入され、外部投入口171を塞ぐように配される。また、開閉蓋173は、ガイドレール177に支持されており、ロッド174を介してシリンダ175により駆動され、垂直方向に往復運動する。これにより、外部開閉部172は、投入室170を外部に対して連結及び遮断することができる。
【0045】
密閉ガイド176は、投入室170の外部に溶接等により結合されており、密閉構造を有する。これにより、開閉蓋173が往復運動した場合であっても、投入室170の内部の気体44が外部開閉部172から外部に漏れることを防止できる。
【0046】
気体導入部180は、溶解炉100に連結された溶解炉排気管182と、投入室170に連結されて溶解炉排気管182に合流する投入室排気管183と、溶解炉排気管182及び投入室排気管183が合流する合流地点184とを有する。また、気体導入部180は、投入室排気管183において合流地点184よりも投入室170側に配された逆止弁186と、加熱中の溶解炉100の内部の気体42を吸気して、加熱部140に導入する吸気ファン187及び吸気ガス導入管188とを有する。気体導入部180は、さらに、加熱中の投入室170の内部の気体44を吸気して、吸気ファン187及び吸気ガス導入管188を介して、加熱部140に導入する。
【0047】
これにより、溶解装置12に医療廃棄物20を投入するときに、投入室170から滅菌が十分でない気体が溶解装置12の外部に漏れることをさらに防止できる。また、投入室排気管183に逆止弁186が配されることにより、溶解炉100内で突沸が起こった場合でも、溶解炉100内の気体が投入室排気管183を逆流して、投入室170に流入することを防止できるので、投入室170から滅菌が十分でない気体が溶解装置12の外部に漏れることを防止できる。
【0048】
なお、溶解炉排気管182と投入室排気管183とを合流させずに、それぞれ、吸気ファンと加熱部140への導入配管とを有してもよい。また、溶解炉排気管182は吸気ファンに連結せずに、安全弁を設けてもよい。その場合であっても、投入室170から滅菌が十分でない気体が溶解装置の外部に漏れることを防止できる。また、投入室170は溶解炉および外部に対して連結および遮断することができるので、溶解炉100全体を吸気する場合と比較して、吸気ファン187の動力を省力化することができる。
【0049】
上記構成において、下記の通り溶解の処理がされる。まず、トラック210等により移送されてきた医療廃棄物20は、一旦、保管庫212に保管され、その後、リフター214等に載せられて溶解装置12の投入室170の前まで運ばれる。
【0050】
作業者90は、溶解装置12の開閉蓋173をあけて、投入室170に医療廃棄物20を投入する。このとき、開閉蓋123は閉じられており、投入室170の内部の気体は吸気ファン187に吸引されているので、作業者90が溶解炉100内部の気体と接触することが防止される。作業者90が開閉蓋173を閉じた後、開閉蓋123が開き、投入室170内部の医療廃棄物20が、内部投入口112より溶解炉本体110に投入される。
【0051】
溶解炉100は、医療廃棄物20と共に廃油70を収容した状態で加熱される。加熱部140はバーナ144で燃料を燃焼することにより、溶解炉100を加熱する。医療廃棄物20は、溶解炉100において廃油70と共に一定時間加熱されて滅菌されるとともに、溶解して減容される。
【0052】
本実施形態において、投入室170は、溶解炉100の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された医療廃棄物20を収容して、溶解炉100と連結した場合に収容した医療廃棄物20を溶解炉100に投入する。即ち、溶解炉100が加熱中であって、投入室170が外部と連結するときには、開閉蓋123は閉じた状態で、開閉蓋173が開く。また、開閉蓋173が閉じて、投入室170が外部に対して遮断されてから、開閉蓋123が開けられる。これにより、溶解装置12に医療廃棄物20を投入するときに、投入室170から滅菌が十分でない気体が溶解装置12の外部に漏れることを防止できる。
【0053】
溶解した医療廃棄物20は、廃油70と共に、排出部130により溶解炉本体110から排出され、油貯留タンク220に移送された後、減溶廃棄物40として減溶廃棄物貯留タンク236に貯留される。一方、上記操作では溶解せずに残った残渣は、クレーン216により残渣移送容器136を溶解炉100の上部から取り出すことで、溶解炉100から排出され、クレーン216により、粗破砕機230のホッパー232に搬送される。上記残渣は、破砕ローラ234で粗く破砕された後、減溶廃棄物40として減溶廃棄物貯留タンク236に貯留される。これにより、医療廃棄物20は、1/3〜1/5程度まで減容される。
【0054】
医療廃棄物20を、廃油70などの油と共に加熱することで、医療廃棄物20への伝熱効率が向上するので、効率的に医療廃棄物20を溶解させることができる。また、医療廃棄物20を廃油70と共に処理することで医療廃棄物20のハンドリング性が向上するとともに、廃油70も、油化装置14、16で油化されて生成油60になるので、生産性が向上する。
【0055】
本実施形態において、気体導入部180が、加熱中の溶解炉100の内部の気体および投入室170の内部の気体を吸気して、加熱部140に導入する。よって、溶解炉100の内部の圧力が所定の圧力より高くなりすぎるのを防止できる。特に、医療廃棄物20には、プラスチック容器中に水分が入ったものも含まれるので、油と共に加熱した場合、プラスチック容器が溶けると共に、容器内の水分が高温の油と接触して、上記水分が突沸して溶解炉100内が高圧になりやすい。しかしながら、上記構成を採用することで、突沸が起こった場合であっても、溶解炉100内が高圧になることを抑制できる。
【0056】
加熱部140は、気体導入部180により導入された溶解炉100および投入室170の気体を燃料と共に燃焼した後、排気ガスとして排気口159か外部に放出する。これにより、滅菌が十分でない気体が溶解装置12の外部に漏れることを防止でき、安全かつ確実に滅菌処理できる。また、医療廃棄物20を廃油70等の油と共に加熱する場合には、当該油から臭気が発生するが、溶解炉100内の気体を加熱部140で燃焼させた後、外部に排気するので臭気が外部に漏れるのを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態においては、油化装置14又は油化装置16で発生した可燃ガスが、可燃ガス移送配管22又は可燃ガス移送配管32を介して加熱部140に供給されており、加熱部140は、燃料貯留タンク240から供給される燃料の供給量を燃料調整弁146により調整する。これにより、組成が不安定な上記可燃ガスを燃料の一部として利用した場合であっても、溶解炉100の内部の温度を制御できる。
【0058】
図4は、油化装置14の概要を示すフロー図である。同図に示す通り、油化装置14は、溶解装置12で溶解された医療廃棄物20を廃油70と共に熱分解させる油化炉300と、油化炉300で発生した乾留ガスを脱塩する脱塩装置330と、脱塩装置330で脱塩された乾留ガスを冷却・凝縮する一次冷却塔340及び二次冷却塔342とを有する。また、油化装置14は、余剰の乾留ガスを燃焼する過剰炉360と、二次冷却塔342及び過剰炉360の間に配される安全器350とを有する。
【0059】
油化炉300は、溶解装置12で得られた減溶廃棄物40を、無酸素又は低酸素状態で減溶廃棄物40の熱分解温度まで加熱して、乾留ガスを発生させる。油化炉300は、溶解装置12で得られた減溶廃棄物40を収容する略寸胴形状の油化炉本体310と、油化炉本体310の上部に配される上蓋部312と、油化炉本体310及び上蓋部312を結合するフランジ316と、油化炉本体310を覆うように配され油化炉本体310を加熱する加熱部320とを含む。加熱部320は、燃料を燃焼するバーナ322と、燃焼ガスを循環させて油化炉本体310を加熱するジャケット324と、燃焼ガスを排ガスとして外部に排出する排気口326とを有する。
【0060】
油化炉300は、油化炉本体310に減溶廃棄物40を投入した後、油化炉本体310と上蓋部312を結合して、加熱部320により油化炉本体310の加熱を開始して、油化炉本体310の内部の温度を約400〜450℃に維持する。油化炉本体310の内部の温度が約400℃になると、減溶廃棄物40の熱分解が始まり、乾留ガスが発生して、ガス取り出し部314を介して脱塩装置330に移送される。
【0061】
脱塩装置330は、油化炉本体310で発生した乾留ガスが通過する処理ガス流路332と、加熱部320の排ガスが通過する加熱媒体流路334と、加熱部320の排ガスを吸引する吸引ファン336とを含む。処理ガス流路332には、CaOを含む中和剤333が設けられており、乾留ガス中のHCLを吸着・中和して除去する。また、加熱媒体流路334に加熱部320の排ガスを通過させて処理ガス流路332の内部を200℃程度まで加熱することで、乾留ガスに含まれるHCLによる処理ガス流路332内部の腐蝕を防止することができる。また、処理ガス流路332を通過中に乾留ガス又は水蒸気が冷却・凝縮した場合には、ドレイン配管337を介して、一次貯留タンク370に貯留される。なお、処理ガス流路332と加熱媒体流路334における熱交換は、並流式であっても、向流式であってもよい。
【0062】
一次冷却塔340及び二次冷却塔342は、上記乾留ガスを冷却して、上記乾留ガス中の油成分を凝縮・液化させる。凝縮した液体は一次貯留タンク370に貯留される。一次冷却塔340及び二次冷却塔342としては、例えば、多管式、プレート式、コイル式等の各種熱交換器が利用でき、隔壁を通じて、上記乾留ガスと冷却水との間で熱交換する。なお、二次冷却塔342の冷却に使用した冷却水345を、一次冷却塔340の冷却に再利用してもよい。このとき、冷却水の温度は、冷却水344、冷却水345、冷却水346の順に高くなる。
【0063】
ここで、油化炉本体310において分子量の小さな成分が発生した場合には、二次冷却塔342においても液化せずに、なお、乾留ガス中に残存する。上記液化しなかった乾留ガスは、安全器350を通過した後、可燃ガス移送配管22を介して、溶解装置12の燃焼部152に供給される。安全器350は、上記乾留ガスを、一旦、水中を通過させることで逆火防止を図っている。なお、溶解装置12の加熱部140が停止している場合等、上記乾留ガスを溶解装置12で消費しきれない場合には、安全器350を通過した後、過剰炉360においてバーナ362により燃料とともに燃焼される。また、過剰炉360も停止している場合には、油化装置16の過剰炉に移送される。
【0064】
一方、二次冷却塔342等で液化して得られた生成油60は、一旦、一次貯留タンク370に貯留した後、再生油として利用される。また、一次貯留タンク370に貯留された生成油60の一部は、二次貯留タンク372に移送され、油化装置14のバーナ322もしくはバーナ362、油化装置16の各バーナ、又は、溶解装置12のバーナ144の燃料として利用される。なお、油化装置16も油化装置14と同様の構成及び効果を有する。
【0065】
図5は、医療廃棄物20の組成が生成物の組成に及ぼす影響を示す図である。同図に示す通り、医療廃棄物20の組成により、生成油60の生成量は大きく変動する。同図において、試料Aは、PEと、PPと、PSを含む模擬試料であり、それぞれ、重量%で、50%、20%、30%含まれる。この模擬試料を約400℃で、十分、熱分解した後、乾留ガスを室温で冷却・液化して得られた生成油の重量と、液化しなかった乾留ガスの重量と、熱分解後の残渣の重量を測定した結果を同図に示す。なお、液化しなかった乾留ガスの重量は、投入した試料の重量から、生成油及び熱分解後の残渣の重量を引くことで算出した。
【0066】
試料Bは、重量%で10%のPVCと、3%のPETと、87%の試料Aとを含む。試料Cは、重量%で8%のPVCと、10%のPETと、82%の試料Aとを含む。試料Dは、重量%で6%のPVCと、13%のPETと、金属片等とを含む。試料Eは、重量%で7%のPVCと、12%のPETと、金属片等とを含む。これらの試料について、試料Aと同様の条件で実験した結果を同図に示す。
【0067】
図5に示す通り、医療廃棄物20にPVC又はPETが含まれる場合には、塩素、又は、可塑剤若しくは原料の一部として含まれるフタル酸若しくはフタル酸エステルの作用などにより、熱分解時に低分子量の分子が発生しやすく、液化しない乾留ガスの発生比率が大きくなるので、生成油60の収率が低下する。医療廃棄物は、他のプラスチック廃棄物と比較して、PVC及びPETを多く含み、重量%で30〜50%のPVC及びPETを含むので、液化しない乾留ガスが多く発生する。そこで、本実施形態のように液化しない乾留ガスを溶解装置12の燃料として利用することで、熱分解システム10全体のエネルギー効率を、特に大きく向上させることができる。
【0068】
以上、本実施形態によれば、気体導入部180が、加熱中の溶解炉100の内部の気体および投入室170の内部の気体を吸気して、加熱部140に導入する。よって、溶解炉100の内部の圧力が所定の圧力より高くなりすぎるのを防止できる。さらに、加熱部140は、気体導入部180により導入された溶解炉100および投入室170の気体を燃料と共に燃焼した後、排気ガスとして排気口159か外部に放出する。これにより、滅菌が十分でない気体が溶解装置12の外部に漏れることを防止でき、安全かつ確実に滅菌処理できる。また、医療廃棄物20を廃油70等の油と共に加熱する場合には、当該油から臭気が発生するが、溶解炉100内の気体を加熱部140で燃焼させた後、外部に排気するので臭気が外部に漏れるのを防止できる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】一実施形態に係る溶解装置12を備える熱分解システム10の概要を示すブロック図である。
【図2】溶解装置12の概要を示すフロー図である。
【図3】溶解装置12の構造を示す断面図である。
【図4】油化装置14の概要を示すフロー図である。
【図5】医療廃棄物20の組成が生成物の組成に及ぼす影響を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
10 熱分解システム、12 溶解装置、14 油化装置、16 油化装置、20 医療廃棄物、22 可燃ガス移送配管、24 生成油移送手段、30 融解物、32 可燃ガス移送配管、34 生成油移送手段、40 減溶廃棄物、42 気体、44 気体、50 未溶解物、52 温度計、54 温度計、60 生成油、70 廃油、90 作業者、100 溶解炉、110 溶解炉本体、111 天板部、112 内部投入口、113 下部排出口、114 フランジ、115 フランジ、116 開閉ガイド部、117 ガイドレール、118 開閉蓋支持部、119 排気口、120 内部開閉部、123 開閉蓋、124 ロッド、125 シリンダ、126 密閉ガイド、130 排出部、132 排出弁、134 スクリューコンベア、136 残渣移送容器、138 ワイヤー、140 加熱部、142 脚部、144 バーナ、146 燃料調整弁、150 ジャケット、152 燃焼部、153 燃焼口、154 吸気ガス導入口、155 可燃ガス導入口、157 排出部導入口、158 排気管、159 排気口、160 保温材、170 投入室、171 外部投入口、172 外部開閉部、173 開閉蓋、174 ロッド、175 シリンダ、176 密閉ガイド、177 ガイドレール、179 排気口、180 気体導入部、182 溶解炉排気管、183 投入室排気管、184 合流地点、186 逆止弁、187 吸気ファン、188 吸気ガス導入管、210 トラック、212 保管庫、214 リフター、216 クレーン、220 油貯留タンク、230 粗破砕機、232 ホッパー、234 破砕ローラ、236 減溶廃棄物貯留タンク、240 燃料貯留タンク、300 油化炉、310 油化炉本体、312 上蓋部、314 ガス取り出し部、316 フランジ、320 加熱部、322 バーナ、324 ジャケット、326 排気口、330 脱塩装置、332 処理ガス流路、333 中和剤、334 加熱媒体流路、336 吸引ファン、337 ドレイン配管、340 一次冷却塔、342 二次冷却塔、344 冷却水、345 冷却水、346 冷却水、350 安全器、360 過剰炉、362 バーナ、370 一次貯留タンク、372 二次貯留タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療廃棄物を溶解する溶解装置であって、
前記医療廃棄物を収容する溶解炉と、
燃料を燃焼することにより、前記溶解炉の内部を、前記医療廃棄物の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ前記医療廃棄物の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する加熱部と、
前記溶解炉および外部に対して連結および遮断することができ、前記溶解炉の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された前記医療廃棄物を収容し、前記溶解炉と連結した場合に前記収容した医療廃棄物を前記溶解炉に投入する投入室と、
加熱中の前記溶解炉の内部の気体を吸気して、前記加熱部に導入する気体導入部と
を備え、
前記気体導入部は、さらに、加熱中の前記投入室の内部の気体を吸気して、前記加熱部に導入し、
前記加熱部は、前記気体導入部により導入された前記溶解炉および前記投入室の気体を燃料と共に燃焼する溶解装置。
【請求項2】
前記溶解炉は、前記医療廃棄物と共に油を収容した状態で加熱される請求項1に記載の溶解装置。
【請求項3】
前記溶解炉に収容される油は廃油である請求項2に記載の溶解装置。
【請求項4】
前記気体導入部は、
前記溶解炉に連結された溶解炉排気管、
前記投入室に連結されて前記溶解炉排気管に合流する投入室排気管、および、
前記投入室排気管において合流地点よりも前記投入室側に配された逆止弁
を有する請求項1に記載の溶解装置。
【請求項5】
医療廃棄物を溶解する溶解方法であって、
加熱部において燃料を燃焼することにより、前記医療廃棄物を収容した溶解炉の内部を、前記医療廃棄物の少なくとも一部が溶解する温度よりも高くかつ前記医療廃棄物の熱分解の温度よりも低い滅菌温度に加熱する加熱ステップと、
前記溶解炉および外部に対して連結および遮断する投入室により、前記溶解炉の加熱中において、外部と連結した場合に外部から投入された前記医療廃棄物を収容し、前記溶解炉と連結した場合に前記収容した医療廃棄物を前記溶解炉に投入する投入ステップと、
加熱中の前記溶解炉の内部の気体および前記投入室の内部の気体を吸気して、前記加熱部に導入して燃焼させる気体燃焼ステップと
を備える溶解方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−127990(P2009−127990A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306661(P2007−306661)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(506007208)株式会社アルティス (5)
【Fターム(参考)】