説明

熱伝導性樹脂組成物

【課題】十分に高い伝熱特性を有しかつより安価な熱伝導性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂中に伝熱性材料が均一に分散され、該熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、該切断面に粒子径が0.3〜250μmの伝熱性粒子が含まれ、そして該伝熱性粒子のうち、0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する各粒子間の距離が7μm以下である。本発明の熱伝導性樹脂組成物は、射出成形という非常に量産性の優れた加工方法において成形することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性樹脂組成物に関する。より詳細には、熱硬化性樹脂に熱伝導性材料が分散された熱伝導性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料用途を中心に絶縁性と高熱伝導性とを兼ね備えた材料のニーズが高まっている。例えば、封止樹脂は、エポキシ樹脂を主成分とし、シリカ充填材などを加えた熱硬化性成形材料であり、主に半導体を光・熱や湿度などの環境から保護することを目的として、パッケージ用材料として使用されている。
【0003】
窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの高価な高伝熱性材料を用いるか、あるいは充填材の充填量を多くすることにより、樹脂の熱伝導性を高くしている。充填材の充填量を多くするために、粒度分布の制御、充填材の形状の制御などが検討されている。例えば、充填材としてのアルミナは、種々の粒子の大きさや形状の製品があり、充填量の設計が行いやすい(非特許文献1参照)。
【0004】
例えば、特許文献1には、平均粒子径5μm以下のアルミナ粒子を重量で10%ないし30%と、残部が単一粒子の平均粒子径10μm以上であり、かつカッティングエッジを有しない形状である球状コランダム粒子とからなるアルミナを充填してなることを特徴とする高熱伝導性ゴム・プラスチック組成物が開示されている。この組成物中で充填材として用いるアルミナは、上記の範囲外では充填性が悪く、ゴム・プラスチックに充填した際に組成物の粘度が高くなり作業性が悪化するため好ましくないことが記載されている。また、このアルミナを配合する対象は、特にエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなどが好ましいこと、アルミナの充填量の範囲は、重量比で75%以上が望ましいこと、75%未満では熱伝導率が充分でなくなることも記載されている。しかし、特許文献1では、粘度が低く十分作業性が良い状態を維持しながら、液状エポキシ樹脂にアルミナを重量で80%以上配合しても2W/m・K程度の熱伝導率しか達成されていない。これは、単にアルミナを高充填するだけでは、充分な熱伝導率を達成できないということを意味している。
【0005】
また、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)の合計100容量%に対し、(A)成分5〜50容量%、(B)95〜50容量%を含有してなる放熱部材用錠剤が開示されている。この錠剤中の熱可塑性ポリエステル系樹脂と熱伝導性充填材との配合量は、用いる熱伝導性充填材の特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)と熱伝導性充填材(B)の合計100容量%に対し、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)5〜50容量%、熱伝導性充填材(B)95〜50容量%であり、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)5〜40容量%、熱伝導性充填材(B)95〜60容量%であることが好ましく、熱可塑性ポリエステル系樹脂(A)7〜25容量%、熱伝導性充填材(B)93〜75容量%であることがより好ましいことが記載されている。さらに、熱伝導性充填材についても、溶融加工性、得られる成形品の表面外観などを考慮した場合、熱伝導性充填材のサイズは1000μmに相当する篩を通過するものであることが好ましく、より好ましくは800μm、特に好ましくは500μmに相当する篩を通過することが記載されている。しかし、特許文献2の製造方法は、必ず原料を一旦粉末化しなければならず、さらにそれを粉末プレス成形のような圧力によって錠剤形状にしなければならないため、特殊で煩雑なプロセスを必要とする。したがって、実用化するには困難である。
【特許文献1】特開昭64−69661号公報
【特許文献2】特開2004−175812号公報
【非特許文献1】高橋行彦,接着の技術,第26巻,第2号,pp.46-51,2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の出願当時には画期的と思われた2W/m・Kという熱伝導率は、現在望ましくは6W/m・K以上という小型電子機器用放熱材料として有効な熱伝導率より低いため、その効果が少ないレベルである。さらに、熱伝導率の向上のためアルミナなどの伝熱材料を多量に配合する必要性があり、作業性や加工性を維持し、熱伝導率を向上させることが求められる。一方、特許文献2の製造方法は、プロセスが煩雑すぎて、実用的ではない。そのため、十分に高い伝熱特性を有しかつより安価な熱伝導性樹脂組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来は、樹脂組成物中により多くの伝熱性材料を含有させることにより高い熱伝導性を付与することのみに着目し、伝熱性材料の分散に着目していなかった。そのため、熱硬化性樹脂組成物を得るための加工性および作業性を維持した状態では、熱伝導率は最大で2W/m・K程度までしか達成できず、十分な伝熱特性が得られなかった(実施例2を参照のこと)。そこで、本発明においては、伝熱性材料の粒子同士をつなぐように、伝熱性材料を樹脂組成物中に均一に分散させることにより、高い熱伝導性を有する樹脂組成物が得られることを見出した。
【0008】
本発明は、熱硬化性樹脂中に伝熱性材料が均一に分散された熱伝導性樹脂組成物を提供し、
該熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、該切断面に粒子径が0.3〜250μmの伝熱性粒子が含まれ、そして
該伝熱性粒子のうち、0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する各粒子間の距離が7μm以下である。
【0009】
1つの実施態様では、上記熱伝導性樹脂組成物中に、上記伝熱性材料は80〜95質量%の割合で含まれる。
【0010】
1つの実施態様では、上記伝熱性材料は、アルミナ、マイカ、シリカ、チタニア、ベリリア、ジルコニア、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、カーボン、ダイヤモンド、および金属からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0011】
1つの実施態様では、上記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0012】
1つの実施態様では、上記成形体は射出成形により加工される。
【0013】
別の実施態様では、上記成形体はトランスファー成形ならびに直圧成形により加工される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、窒化ホウ素、窒化アルミなどの高価でありかつ量産性に乏しい高伝熱性材料を用いることなく、比較的安価に高い熱伝導性を有し、熱硬化性樹脂組成物を得るための加工性および作業性に優れる熱硬化性樹脂組成物を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂中に伝熱性材料が均一に分散され、
該熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、該切断面に粒子径が0.3〜250μmの伝熱性粒子が含まれ、そして
該伝熱性粒子のうち、0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する各粒子間の距離が7μm以下である。
【0016】
本発明の熱伝導性樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂は、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。本発明においては、エポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0017】
エポキシ樹脂は、特に限定されず、代表的には、ビスフェノールAとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂のエポキシ化物が挙げられる。その他のエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0018】
本発明の熱伝導性樹脂組成物に含まれる伝熱性材料は、当該技術分野で熱伝導フィラーとして一般的に用いられる充填材であれば、特に限定されない。例えば、金属酸化物(例えば、アルミナ、チタニア、ベリリア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛)、マイカ、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、カーボン、ダイヤモンド、金属(例えば、銅、アルミニウム、ニッケル)などが挙げられる。伝熱性材料は、単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。本発明においては、絶縁性を維持しながら熱伝導率を向上させ得る点で、アルミナおよびマイカが好適に用いられる。
【0019】
本発明の熱伝導性樹脂組成物に含まれる伝熱性材料は、熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、0.3〜250μmの粒子径を有する伝熱性粒子である。伝熱性材料の形状は、組成物中で伝熱性粒子の粒子同士をつなぐように分散されて存在し得る点で、ほぼ球状であることが好ましい。また、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、伝熱性材料として、異なる範囲の粒子径を有する複数サイズの粒子を含むことが好ましい。より具体的には、伝熱性材料は、0.3〜10μmの粒度範囲の中に平均粒子径を有する粒子と、10〜250μmの粒度範囲の中に平均粒子径を有する粒子との混合物のように、それぞれに平均粒子径を有する数種類のサイズの粒子の混合物であり得る。この場合、例えば、伝熱性材料中の0.3〜10μmの平均粒子径を有する粒子の割合は、好ましくは30〜45質量%、より好ましくは35〜40質量%であり得る。0.3〜10μmの平均粒子径を有する粒子の割合が30質量%を下回ると、7μm以下というこの粒子間の距離を確保することができない。一方、45質量%を上回ると、成形流動性が著しく低下して、製造工程において問題を生じる。
【0020】
ところで、伝熱性材料は、熱伝導性樹脂組成物中でより小さな粒子に破砕される場合もあり、あるいは二次粒子を形成する場合もある。そのため、出発材料として小さな粒子径を有する粒子を用いても、熱伝導性樹脂組成物中で大きな粒子径の粒子としての役割を果たす可能性がある。したがって、本発明においては、熱伝導性樹脂組成物中の伝熱性材料のサイズを「熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合」の切断面上の伝熱性粒子の粒子径により表現する。「切断面を二次元的に解析」とは、成形体の切断面(または表面)に存在している伝熱性粒子のサイズや伝熱性粒子間の距離を測定することをいう。
【0021】
伝熱性材料の分散の程度は、熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、伝熱性粒子のうち、0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する各粒子間の距離が7μm以下である。言い換えると、熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面(または表面)に存在する伝熱性材料のうちの0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する粒子に着目し、この伝熱性粒子同士の距離が7μm以下であることをいう。そのため、この条件を満たす場合、該切断面において、伝熱性粒子を含まない熱硬化性樹脂からなる平面領域の面積が小さく、したがって、広範囲にわたって伝熱性粒子を含まない領域が存在しない。すなわち、伝熱性粒子が熱伝導性樹脂組成物全体にわたって均一に存在することを示す。
【0022】
上記条件を満たすには、伝熱性材料の充填量が多いことが好ましい。伝熱性材料は、本発明の熱伝導性樹脂組成物中に、80〜95質量%の割合で含まれる。80質量%を下回ると、所望の熱伝導性を得ることができない。一方、95質量%を上回ると、成形流動性が著しく低下して、実際の製造に適さない。
【0023】
本発明の熱伝導性樹脂組成物中に伝熱性材料を、二次元的に均一に分散させるための手段は特に限定されない。特許文献1に記載のように、実際に通常行う混練条件では、得られた熱伝導性樹脂組成物は所望の熱伝導率を達成できないと考えられていた。均一分散を得るための最適な混練条件の設定として、多くの要因(原料形状・原料粒度分布・原料配合・添加剤・原料投入タイミング・原料投入量・温度上昇率・反応停止温度・混練時間・混練回転数・冷却時間など)を管理する必要がある。しかし、各要因が相互に干渉し合うため、条件設定は単純なものではない。そこで、以下の実施例では特定の要因を固定した場合の限定された範囲で比較的最適であった例を示す。特に着目した要因は、混練時に平均粒子径の異なる伝熱性材料の投入タイミングを調整することであり、それによって分散性が向上し、所望の熱伝導率を達成する程度の均一分散を行うことができることが実験によりわかった。より詳しくは、0.3〜10μmの範囲の平均粒子径を有する伝熱性材料をA、および10〜250μmの範囲の平均粒子径を有する伝熱性材料をBとした場合、Aに先行してBを投入する。この際、Bの投入量の範囲をAの質量の2倍以上とすることによって、熱伝導率が6W/m・kでかつ作業性が良好な状態を維持した熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
【0024】
熱伝導性樹脂組成物中の伝熱性材料の分散の程度は、例えば、該組成物の成形体の表面または切断面をアッシング処理して電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
【0025】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、当業者に公知の種々の方法によって成形加工され得る。例えば、射出成形により、あるいはトランスファー成形ならびに直圧成形により加工され得る。
【実施例】
【0026】
(調製例1)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂エピクロンN770(DIC株式会社)、フェノール系硬化剤フェノライトTD2106(DIC株式会社)、およびイミダゾール系化合物の硬化促進剤を混合し、エポキシ樹脂を得た。
【0027】
(実施例1)
調製例1で得たエポキシ樹脂を8質量部、伝熱性材料としてアルミナ(住友大阪セメント株式会社)を89質量部、および離型剤としてステアリン酸系金属石鹸を3質量部の割合で混練した。伝熱性材料は、0.3〜10μmの範囲の平均粒子径を有する粒子(粒子A)および10〜250μmの範囲の平均粒子径を有する粒子(粒子B)を、それぞれ14質量部および75質量部とした。混練には、1Lの容量の加圧型ニーダー(株式会社森山製作所)を用い、70〜80℃にて40分間、次いで80〜90℃にて15分間混練した。伝熱性材料は、混練開始より数分後に粒子Bを30質量部投入し、5分程度混練して全体が目視上均一に見える状態にし、その後粒子Aを14質量部投入し、10分程度混練した後、残りの粒子Bを数回に分けて投入した。得られた混練物を射出成形してプレート(直径50mmおよび厚さ3mmの円板)を作成し、このプレートについて、ASTM E1530に準拠して円板熱流計法により熱伝導率を測定した。試験器としては、ユニサーモ2021型(アンター社)を用い、高熱伝導用のスタックで23℃にて試験を行った。その結果、プレートの熱伝導率は、6W/m・Kであった。
【0028】
次に、アッシング装置(最大出力電力:1kW;株式会社ユーテック)を用いて上記プレートの表面をアッシング処理した。アッシング処理条件は、次のとおりであった:
使用ガス:酸素
流量:100cm/分
圧力:60Pa
出力電力:300W
プラズマ処理時間:600秒。
【0029】
得られたアッシング処理したプレート表面を、電子顕微鏡で観察した。電子顕微鏡写真を図1および図2に示す。図1では、10μm以上の大きい伝熱性粒子が適度に分散していることがわかる。この大きい伝熱性粒子の間を、図2のように拡大観察を行った。図1で観察された大きい伝熱性粒子間を図2のように観察すると、10μm以下の粒子径を有する粒子が、7μm以下の間隔で均一分散している状態が観察された。
【0030】
(実施例2)
伝熱性材料を投入する際、粒子Aを全量(14質量部)先行して投入し、10分程度混練し、その後、粒子Bを数回に分けて投入したこと以外は、上記実施例1と同様の操作を行って、プレートを作成した。プレートの熱伝導率は、2W/m・Kであった。また、アッシング処理したプレート表面の電子顕微鏡写真を図3に示す。実施例1と同様に、図3で観察された大きい伝熱性粒子間を図4のように観察すると、実施例1の場合と比較して伝熱性粒子間の距離は長いが、10μm以下の粒子径を有する粒子が、7μm以下の間隔で分散している状態が観察された。
【0031】
上記の実施例1および2の結果から、同じ材料および同じ組成で製造した樹脂組成物の成形体であっても、伝熱性粒子の分散の程度が異なることにより、熱伝導率に大きな違いがあることがわかった。したがって、伝熱性材料を、伝熱性材料の粒子同士をつなぐように、ブリッジ材として作用するように樹脂組成物中で分散させることにより、高い熱伝導性を有する樹脂組成物となることがわかった。また、この熱伝導性樹脂組成物は、射出成形という非常に量産性の優れた加工方法において成形可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、十分に高い伝熱特性を有しかつより安価な熱伝導性樹脂組成物が提供される。本発明の放熱特性に優れた熱伝導性樹脂組成物は、例えば、半導体の封止材料、ヒートシンク、電子機器関連の冷却機構部品、放熱シート、コイル・モータ封止材料などとして好適に用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1で得られたプレートのアッシング処理した表面の電子顕微鏡写真(低倍率)である。
【図2】実施例1で得られたプレートのアッシング処理した表面の電子顕微鏡写真(高倍率)である。
【図3】実施例2で得られたプレートのアッシング処理した表面の電子顕微鏡写真(低倍率)である。
【図4】実施例2で得られたプレートのアッシング処理した表面の電子顕微鏡写真(高倍率)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂中に伝熱性材料が均一に分散された熱伝導性樹脂組成物であって、
該熱伝導性樹脂組成物の成形体の切断面を二次元的に解析した場合に、該切断面に粒子径が0.3〜250μmの伝熱性粒子が含まれ、そして
該伝熱性粒子のうち、0.3〜10μmの範囲の粒子径を有する各粒子間の距離が7μm以下である、熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱伝導性樹脂組成物中に、前記伝熱性材料が80〜95質量%の割合で含まれる、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
前記伝熱性材料が、アルミナ、マイカ、シリカ、チタニア、ベリリア、ジルコニア、マグネシア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、カーボン、ダイヤモンド、および金属からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項4】
前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、およびウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から3のいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項5】
前記成形体が射出成形により加工される、請求項1から4のいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項6】
前記成形体がトランスファー成形ならびに直圧成形により加工される、請求項1から4のいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−138267(P2010−138267A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315262(P2008−315262)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(597067404)クラスターテクノロジー株式会社 (17)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】