熱処理装置
【課題】処理対象である複数の基板が多段に配置される熱処理装置であって、基板間の処理の均一性を改善することができる熱処理装置を提供する。
【解決手段】複数の基板を多段に支持する支持体16と、前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、該反応管の長手方向に配列され前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管10と、前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端17a−dと、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材11bであって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部とを備える熱処理装置。
【解決手段】複数の基板を多段に支持する支持体16と、前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、該反応管の長手方向に配列され前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管10と、前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端17a−dと、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材11bであって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部とを備える熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板を熱処理する熱処理装置、特にバッチタイプの熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、複数の基板を所定の間隔で配置し、一括して処理するバッチタイプの熱処理装置が用いられる。このような熱処理装置は、下部が開口した反応管と、反応管内部に配置可能で、複数枚の基板を所定の間隔で保持するウエハ支持部と、反応管の外側に配置され、反応管内の基板を加熱する外部ヒータとを備える。また、反応管内には下部の開口からウエハ支持部に沿って上へ延びるガス供給ノズルが設けられている。
【0003】
反応管内に、基板が支持されるウエハ支持部を搬入し、外部ヒータにより基板を加熱しつつ、ガス供給ノズルからプロセスガスを流すことにより、基板に対し、プロセスガスに応じた処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−068214号公報
【特許文献2】特開2008−172205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような熱処理装置において、ウエハ支持部の上端より高い位置にまでガス供給ノズルが延びており、その先端からプロセスガスが供給される場合には、ウエハ支持部の下端側でプロセスガスが涸渇してしまい、上端側の基板と下端側の基板との間で処理の均一性が悪化するおそれがある。そこで、長さの異なる複数のガス供給ノズルや、所定の間隔で複数の開口が形成されたガス供給ノズルを用いることにより、ウエハ支持部の長手方向に沿った複数の位置からプロセスガスを基板に供給し、処理の均一性の改善を図っている(例えば特許文献1)。
【0006】
しかし、この場合であっても、プロセスガスは、ガス供給ノズル内を下から上へ流れながら加熱されるため、ガス供給ノズルの上端側の開口からは、下端側の開口からよりも高温のプロセスガスが供給される。このため、処理の均一性を十分に改善することはできない。
【0007】
また、プロセスガスとして2種類の原料ガスを使用する場合において、一方の原料ガスの分解温度が他方の原料ガスの分解温度よりも著しく低いときには、分解温度の低い原料ガスが、ガス供給ノズルの特に上端側で分解し始めてしまうことがある。そうすると、ガス供給ノズルの内部や反応管の内面に膜が堆積してしまい、基板上への膜の堆積速度が低下してしまう。また、原料ガスの利用効率も悪化する。さらに、反応管の内面に堆積した膜が剥がれるとパーティクルの原因となるため、反応管の洗浄頻度を高くせざるを得ず、スループットの低下を招く。
【0008】
そこで、反応管の側部に、内部空間が複数のガス導入区画部に区画されるガス導入管を設けて、基板処理面に対して垂直方向に配置される複数の基板に対して側方から原料ガスを供給することが試みられている(例えば特許文献2)。しかし、ガス導入管を複数のガス導入区画部に区画しても、複数の基板に対して原料ガスを均一に供給することは難しく、より一層の均一化が求められる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされ、処理対象である複数の基板が多段に配置される熱処理装置であって、基板間の処理の均一性を改善することができる熱処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、複数の基板を多段に支持する支持体と、前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、長手方向に配列され、前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管と、前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端と、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材であって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部とを備える熱処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、処理対象である複数の基板が多段に配置される熱処理装置であって、基板間の処理の均一性を改善することができる熱処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による熱処理装置を示す概略図である。
【図2】図1の熱処理装置のインナーチューブを示す概略図である。
【図3】図1の熱処理装置のインナーチューブに設けられるガス分散板を説明する説明図である。
【図4】図1の熱処理装置の加熱部及びアウターチューブを示す概略斜視図である。
【図5】図1の熱処理装置のインナーチューブの取付け治具を説明する説明図である。
【図6】図1の熱処理装置のアウターチューブの下部の構造を説明する説明図である。
【図7A】図1の熱処理装置のインナーチューブをアウターチューブに取り付ける方法を説明する説明図である。
【図7B】図7Aに引き続いて、図1の熱処理装置のインナーチューブをアウターチューブに取り付ける方法を説明する説明図である。
【図8】図1の熱処理装置のガス分散板の効果を説明する、シミュレーション結果を示す図である。
【図9】図1の熱処理装置のガス分散板の変形例を示す図である。
【図10】図1の熱処理装置にガス供給系を接続することにより構成される成膜システムの一例を示す図である。
【図11】図1の熱処理装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきである。
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施形態による熱処理装置1は、下部が開口する有蓋円筒形状を有するアウターチューブ10と、アウターチューブ10の下部開口を通してアウターチューブ10内に出し入れ可能なインナーチューブ11と、複数のウエハWを多段に支持し、インナーチューブ11の下部開口を通してインナーチューブ11に出し入れ可能なウエハ支持体16と、アウターチューブ10を取り囲み、アウターチューブ10及びインナーチューブ11を通してウエハ支持体16に支持されるウエハWを加熱する加熱部20とを備える。
【0015】
インナーチューブ11の外側に配置されるアウターチューブ10は、例えば石英ガラスにより作製されており、その側周面には、アウターチューブ10の長手方向に沿ってほぼ一列に配列される複数の(図示の例では4つの)ガイド管10a、10b、10c、10dが設けられている。具体的には、石英ガラス製の有蓋円筒管の側周面に、長手方向に沿って所定の間隔で孔を開け、この孔に対して石英ガラス製のパイプを溶接することにより、アウターチューブ10を作製することができる。また、ガイド管10a〜10d内には、これらに対応するガス供給管17a〜17dが挿入されている。すなわち、ガイド管10a〜10dは、対応するガス供給管17a〜17dを支持している。ガス供給管17a〜17dには、ガス供給系(後述)からの対応する配管が接続され、ガス供給系からのプロセスガスがガス供給管17a〜17dを通してインナーチューブ11の内部に供給される(後述)。
【0016】
また、アウターチューブ10には、ガイド管10dの下方において排気管14が形成されている。排気管14の先端にフランジが形成されており、所定の継ぎ手により排気系(後述)に接続される。これにより、ガス供給管17a〜17dを通してインナーチューブ11内に供給されたプロセスガスは、ウエハWの表面上を通過した後、インナーチューブ11に設けられる一つ又は複数の開口部又はスリット(図示せず)を通して排気管14から排気される。また、アウターチューブ10の下端にフランジが形成されており、このフランジが、図示しない所定のシール部材を介して固定治具12により保持され、固定治具12がベースプレート13にネジ止めされることにより、アウターチューブ10がベースプレート13に対して固定されている。
【0017】
インナーチューブ11は、図2に示すように、下部に開口を有する有蓋円筒形状を有しており、例えば石英ガラスにより作製される。また、インナーチューブ11の外周面の一部には、長手方向に沿ってほぼ矩形形状の開口が形成され、この開口に対し、ほぼ箱形の形状を有する拡張部11aが取り付けられている。
【0018】
拡張部11aには、インナーチューブ11の長手方向に沿ってほぼ一列に配列される複数のガス供給孔H1〜H4が所定の間隔をあけて形成されている。図示のとおり、ガス供給孔H1〜H4は、上述のガス供給管17a〜17dに対応して形成されている。言い換えると、ガス供給管17a〜17dは、対応するガス供給孔H1〜H4に開口端が近接するようにガイド管10a〜10dにより支持されている(図2では、図示の便宜上、ガス供給管17a〜17dとガス供給孔H1〜H4とは離れている)。このような構成により、ガス供給系からのプロセスガスは、ガス供給管17a〜17d及びガス供給孔H1〜H4を通してインナーチューブ11内に供給される。
【0019】
なお、インナーチューブ11の概略上面図である図3(a)に示すように、ガス供給孔H1の内径はガス供給管17aの外径よりも僅かに大きいことが好ましい。これにより、ガス供給管17aがガス供給孔H1から拡張部11aの内部に挿入され得る。ただし、これに限定されることなく、例えば、ガス供給孔H1の内径とガス供給管H1の内径とは等しくても良い。
【0020】
図3(a)を参照すると、拡張部11aとインナーチューブ11との境界において、拡張部11aの開口10mを塞ぐようにガス分散板11bが設けられている。ガス分散板11bは例えば石英ガラスにより作製され、図3(b)に示すようにスリット11sが形成されている。スリット11sは、ガス分散板11bの長手方向に対して傾斜する第1のスリット1aと、第1のスリット1aの下端と連続し、ガス分散板11bの長手方向に平行に延びる第2のスリット1bと、第2のスリット1bの下端と連続し、ガス分散板11bの長手方向に対し、第1のスリット1aと逆に傾斜する第3のスリット1cとを有している。また、一つのスリット11sに並んで他のスリット11tが形成されている。これらの一組のスリット11sの両側において、第2のスリット1bとほぼ平行に並ぶように2つのスリット11tが形成されている。このような一組のスリット11sとその両側のスリット11tとが組み合わせられて一つのスリット群が構成されている。また、ガス分散板11bには4つのスリット群が形成され、各スリット群が拡張部11aのガス供給孔H1〜H4に対応している。具体的には、ガス供給孔H1〜H4の開口端が、2つのスリット11sの第2のスリット1bにほぼ対向するように配置される(図3(b)においては、ガス供給管H1及びH2の開口端の対応位置を破線で示す)。
【0021】
インナーチューブ11の下部開口から、その内部に挿入されるウエハ支持体16は、少なくとも3本の支柱16aを有している。支柱16aには、所定の間隔で複数の切欠部が設けられており、ウエハWは、その周縁部が切欠部に挿入されることにより支持される。本実施形態においては、ウエハ支持体16は117枚のウエハWを支持することができる。具体的には、上から4枚のダミーウエハと、下から4枚のダミーウエハと、これらの間において、3枚のダミーウエハで離間される4群の25枚の処理対象ウエハWとが支持される。また、ウエハ支持体16は、100枚のウエハWのうち上から25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、アウターチューブ10のガイド管10aに挿入されるガス供給管17aからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17bからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17cからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17dからプロセスガスが供給されるように配置されている。
インナーチューブ11にもフランジ(後述)が形成されており、フランジが固定リング71により支持され、固定リング11がアウターチューブ10に支持されることにより、インナーチューブ11がアウターチューブ10に対して固定される。インナーチューブ11の取付け方法については、後に説明する。
【0022】
また、ウエハ支持体16は支持ロッド19上に固定されており、支持ロッド19は蓋体15に支持されている。蓋体15は、図示しない昇降機構により昇降され、これにより、支持ロッド19ひいてはウエハ支持体16がインナーチューブ11内に対して出し入れされ得る。ウエハ支持体16がインナーチューブ11に入れられると、蓋体15は、図示しないシール部材を介してアウターチューブ10のフランジの下面に接し、これによりアウターチューブ10内の雰囲気が外部雰囲気から隔離される。
なお、支持ロッド19が貫通可能な開口を蓋体15に設け、この開口に支持ロッド19を通し、開口と支持ロッド19との間を磁性流体で密閉するとともに、回転機構により支持ロッド19を回転するようにしても良い。これにより、ウエハ支持体16ひいてはウエハWが回転することとなり、ガス供給管17a〜17dから供給されるガスに対してより均一にウエハWが晒され得る。
【0023】
図1に示すように、アウターチューブ10の外側に配置される加熱部20は、アウターチューブ10の側周部を覆う第1の加熱部21と、第1の加熱部21の上端部を覆う第2の加熱部22を有している。
第1の加熱部21は、金属製の筒状体23と、筒状体23の内面に沿って設けられる絶縁体24と、絶縁体24により支持される発熱体25とを有している。また、第1の加熱部21の上端には、加熱部20とアウターチューブ10との間の内部空間に供給される空気(後述)を排気するための上端排気口22Dが形成され、上端排気口22Dに接続される排気管(図示せず)を通して、加熱部20の内部空間からの空気が外部へ排気される。また、第1の加熱部21の筒状体23の側面には、発熱体25に電力を供給する複数の電流導入端子25aが設けられている。
【0024】
図4を参照すると、第1の加熱部21には、第1の加熱部21の下端から上端まで延び、アウターチューブ10のガイド管10a〜10dが通り抜けるのを許容するスリットが設けられている。具体的には、筒状体23の一部に、筒状体23の長手方向に沿って、筒状体23の下端から上端まで延びるスリット23Cが形成されており、これに対応して絶縁体24においても、絶縁体24の下端から上端まで延びるスリット24Cが形成されている。このため、第1の加熱部21は、ほぼC字状の平面形状を有している。また、第1の加熱部21の内面は、スリット(23C、24C)を除いて、アウターチューブ10の外周面に面している。
【0025】
図1及び図4を参照すると、アウターチューブ10は第1の加熱部21に対し、ガイド管10a〜10d側の外周面が第1の加熱部21の内周面に近接するように偏心している。これにより、第1の加熱部21内部及び内側におけるガイド管10a〜10d及びガス供給管17a〜17dの長さを短くすることができる。第1の加熱部21の内部及び内側は、発熱体25からの輻射熱により高温雰囲気となっているが、ガス供給管17a〜17dは、そのような高温雰囲気を長い距離に亘って通過することがない。このため、ガス供給管17a〜17dプロセスガスは、それほど高温に加熱されずにアウターチューブ10内へ供給され得る。したがって、分解温度が比較的低いガスであっても、分解したり、不要に活性化されたりすることなく、ウエハWに到達することが可能となる。
【0026】
また、図4に示すように、第1の加熱部21のスリット(23C、24C)の両縁とガイド管10a〜10dとにより決まる空間には断熱材26が設けられている。断熱材26は、例えば、熱伝導率のなるべく小さい例えばシリカガラスの繊維(グラスウール)で形成される梱包材としての外皮層と、外皮層内に詰め込まれるシリカガラスの繊維又は粉体とを有することができる。これによれば、断熱材26は柔軟性を有することとなるため、上記の空間に応じて変形し、この空間を隙間なく埋めることが可能となる。断熱材26を用いることにより、この空間を通して、第1の加熱部21内部の熱が外部へ放射されるのを妨げることができ、第1の加熱部21内部の均熱性の悪化を抑制することが可能となる。さらに、均熱性の悪化を更に抑制するため、絶縁体24のスリット24Cの両側又は一方側に、スリット24Cに沿って延びる棒状のヒータを設けても良い。
【0027】
次に、インナーチューブの取付け(固定)に利用される部材について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、インナーチューブ11の取付け治具70と、取付け治具70とともに用いられ、インナーチューブ11を支持する固定リング71とを示す斜視図である。図5(a)に示すように取付け治具70は、基部77、回動部72、及び固定リング71を有している。基部77は、中央に開口を有する円環プレート77aと、円環プレート77aの開口縁に内周が一致するように取り付けられる環状立設部77bとを有している。環状立設部77bの上面には、後述のように、インナーチューブ11が載置される。また、環状立設部77bの上面には内周縁に沿ってリッジ部77rが形成されている。リッジ部77rの外径は、インナーチューブ11の内径よりも僅かに小さく、これにより、インナーチューブ11が位置決めされる。また、環状立設部77bの上面には、リッジ部77rの外側に突起77pが設けられている。突起77pは、インナーチューブ11のフランジの裏面に形成された凹部(図示せず)に嵌り込むように設けられている。突起77pと凹部が嵌り込むことによっても、インナーチューブ11が、環状立設部77bの上面に対して位置決めされる。
【0028】
回動部72は、ベース部72a、円筒部72b、及び回動レバー72Lを有している。ベース部72aは円環状のプレートにより構成され、その外径は、基部77の円環プレート77aの外径よりも小さく、内径は、基部77の環状立設部77bの外径よりも僅かに大きい。また、回動部72には、ベース部72aの内周縁に沿って円筒部72bが取り付けられている。したがって、円筒部72bの内径もまた環状立設部77bの外径よりも僅かに大きい。また、円筒部72bの上面には突起72pが形成されている。
【0029】
図5(a)に示すように、回動部72は、基部77の環状立設部77bを円筒部72bが取り囲むように円環プレート77a上に載置される。また、回動部72のベース部72bの外周縁には2つのレバー72Lが取り付けられている。レバー72Lを回転すると、回動部72は、基部77に対して回転することができる。
【0030】
固定リング71は、図5(a)に示すように、円環形状を有し、その内径は、基部77の環状立設部77bの外径よりも僅かに大きく、外径は、回動部72の円筒部72bの外径とほぼ等しい。また、固定リング71の外周面には、ほぼ等角度間隔で3つの鍔部71pが設けられている。固定リング71は、図5(b)に示すように、回動部72の円筒部72bの上面に載置される。このとき、円筒部72bの上面に形成された突起72pと、固定リング71の下面に形成された凹部(図示せず)とが嵌り込み、これにより、固定リング71が回動部72に対して位置決めされる。また、突起72pと凹部が嵌り込んでいるため、回動部72のレバー72Lを回転すると、回動部72とともに固定リング71も回転することができる。
【0031】
図5(c)を参照すると、インナーチューブ11は、フランジの裏面が基部77の環状立設部77bの上面に接するように支持される。インナーチューブ11のフランジの裏面は、後述するように固定リング71の上面とは離間しており、したがって、回動部72のレバー72Lを回転するときには、固定リング71はインナーチューブ11の裏面に接することなく回転することができる。
【0032】
続いて、アウターチューブ10のフランジの形状について、図6を参照しながら説明する。図6は、アウターチューブ10の下端部を示す一部破断斜視図であり、フランジ10fの説明の便宜上、有蓋形状を有するチューブ部分10Pを破断して示している。図示のとおり、チューブ部分10Pは、フランジ10fの上面に取り付けられている。フランジ10fの内周には、内周壁の一部が内周の全周に亘って外側に窪んで形成された溝部10iが設けられている。溝部10iの下方には3つの切欠部10nがほぼ等角度間隔で形成されている。これらの切欠部10nは、図5を参照しながら説明した固定リング71の鍔部71pに対応して形成されている。すなわち、後述するように、インナーチューブ11をアウターチューブ10内に挿入する際、固定リング71の鍔部71pは、アウターチューブ10のフランジ10fの対応する切欠部10nを通り抜けることができる。
【0033】
また、溝部10iの上面にはほぼ等角度間隔で3つの凹部10hが設けられている。これらの凹部10hもまた、固定リング71の鍔部71pに対応して形成されている。後述するように、鍔部71pが、対応する切欠部10nを通り抜けた後、回動部72のレバー72Lを回転すると、固定リング71が回転し、溝部10i内を水平面内で鍔部71pが移動し、対応する凹部10hの上方へと至る。
【0034】
以上のように構成されるアウターチューブ10に対して、インナーチューブ11がどのように固定されるかについて、図7A及び図7Bを参照しながら説明する。図7A及び図7Bは、インナーチューブ11及びアウターチューブ10の下端部分を模式的に示す断面図である。なお、アウターチューブ10は、上述のとおり、固定治具12を介してベースプレート13に固定されているが(図1参照)、説明の便宜上、図7A及び図7Bに置いては、固定治具12及びベースプレート13は省略している。
【0035】
図7A(a)を参照すると、インナーチューブ11が取付け治具70に支持されている。具体的には、インナーチューブ11のフランジ11fが、取付け治具70の環状立設部77bに載置されている。ここで、環状立設部77bの上面のリッジ部77rが、インナーチューブ11のフランジ11の内周面と噛み合い、これにより、インナーチューブ11が取付け治具70に対して位置決めされている。また、取付け治具70及びこれに支持されるインナーチューブ11は、図示しない昇降機構により上方向に移動しており、インナーチューブ11がアウターチューブ10内へ挿入されつつある。上方向に更に移動していくと、図7A(b)に示すように、アウターチューブ10のフランジ10fの下面に回動部72のベース部72aが接するに至り、上方向の移動が停止される。このとき、回動部72の円筒部72bの上の固定リング71に形成された鍔部71pは、アウターチューブ10のフランジ10fの内周に形成された対応する切欠部10nを通り抜けている(図示省略)。具体的には、鍔部71pの下面は、溝部10iの上面よりも僅かに高い位置にある。
【0036】
ここで図7B(c)に示すように、回動部72のレバー72Lを回転することにより、固定リング71の鍔部71pを、溝部10iの上面の対応する凹部10hの上方に位置させる。このとき、インナーチューブ11のフランジ11fの裏面に段差があるため、固定リング71の上面とフランジ11fの裏面とは接触しない。したがって、固定リング71は、フランジ11fに接触せずに回転する。さらに、インナーチューブ11は、基部77の環状立設部77bの上面により支持され、突起77pにより位置決めされているため、回動部72が回転しても回転することはない。
【0037】
次いで、図7B(d)に示すように、昇降機構(図示せず)により取付け治具70を下方向に移動させると、固定リング71の鍔部71pが凹部10hに収まるため、アウターチューブ10のフランジ11fにより固定リング71が支持される。また、インナーチューブ11が下方向に移動すると、そのフランジ10fが固定リング71の上面に載置される。換言すると、インナーチューブ11は、取付け治具70の環状立設部77bから固定リング71へ受け渡される。これにより、インナーチューブ11は、固定リング71を介してアウターチューブ10のフランジ10fに支持されることとなる。
【0038】
以上の構成によれば、インナーチューブ11を回転することなくアウターチューブ10により支持させることができる。仮に、固定リング71の鍔部71pと同様に3つの鍔部をインナーチューブ11のフランジ11fの外周に設ければ、アウターチューブ10のフランジ10fの溝部10iの上面に形成された凹部10hに対して、これらの鍔部を収めることによっても、インナーチューブ11をアウターチューブ10により支持させることは可能である。
【0039】
しかし、本実施形態におけるインナーチューブ11は拡張部11aを有し、拡張部11aに形成されるガス供給孔H1〜H4に対して、アウターチューブ10のガイド管10a〜10dに支持されるガス供給管17a〜17dが挿入される。このため、仮にインナーチューブ11を回転することによりアウターチューブ10に支持させることとすれば、ガス供給孔H1〜H4と、対応するガス供給管17a〜17dとの位置合わせがかなり難しくなる。
【0040】
本実施形態の構造によれば、固定リング71を回転させ、固定リング71の鍔部71pを対応する凹部10hに収め、インナーチューブ11を固定リング71で支持するようにしているため、インナーチューブ11は上下動するに過ぎず回転することがない。したがって、インナーチューブ11をアウターチューブ10に挿入する際に、ガス供給管17a〜17dが、拡張部11aの対応するガス供給孔H1〜H4に挿入され得るように位置決めしておけば、インナーチューブ11を取り付けるときに位置がずれることがなく、よって、インナーチューブ11をアウターチューブ10に対して容易に取り付けることができる。
【0041】
次に、ガス分散板11bの効果について図8を参照しながら説明する。図8は、ガス供給管17aからガス供給孔H1(図2参照)を通してインナーチューブ11内に供給されるガスのフローパターンについてコンピュータシミュレーションにより得た結果を示す。ここで図8(a)は、図3(b)に示すガス分散板11bを使用した場合の結果であり、図8(b)は、図3(b)のガス分散板11bにおけるスリット11tがないガス分散板を用いた場合の結果である。また、図8において上段の図は、ガス供給管17aの高さにおけるインナーチューブ11の水平面内のフローパターンを示し、下段の図は、ガス供給管17aを含む垂直面内のフローパターンを示している。なお、図8に示す曲線は等速度線である。また、図8中の参照符号11eは、インナーチューブ11における拡張部11aと対向する側周部に形成された排気スリットである。本実施形態においては、インナーチューブ11内のガスは、排気スリット11eから、インナーチューブ11とアウターチューブ10との間の空間に至り、排気管14を通して排気される。
【0042】
図8(a)に示すとおり、ガス供給管17aから拡張部11aへ供給されたガスは、ガス分散板11bに衝突して横方向及び縦方向に広がり、ガス分散板11bに形成されたスリット11s(1a、1b、1c)及び11tを通ってインナーチューブ11内へ至る。ガス分散板11bにより広がるため、インナーチューブ11内ではガスはほぼ均一に流れている。また、コンピュータシミュレーションの結果では、ガス供給管17aから拡張部11aに噴出されるガスの流速は90〜100m/秒であるが、インナーチューブ11内のウエハW上(又はウエハW間)におけるガスの流速は30〜60m/秒であること分かった。すなわち、ウエハW上では比較的遅い速度で均一にガスが流れていることが分かる。したがって、均一性良くウエハWを処理することが可能となる。また、インナーチューブ11内での流速が遅いため、ウエハWの温度がガスにより下がるのが抑制される。
【0043】
また、図8(b)からもほぼ同様の結果が得られることが分かる。強いて言えば、上下方向における上部、中間部、及び下部における流速の差が図8(a)の方が図8(b)に比べて小さい。これは、図3(b)に示すガス分散板11bにおけるスリットtの効果と考えられる。
【0044】
なお、ガス分散板11bに形成されるスリット(開口)は、上述の例に限定されることなく、種々に変形可能である。例えば図9に示す開口が考えられる。具体的には、図9に示すガス分散板111bにおいては、図3(b)のガス分散板11bにおけるスリット1b及び11tに相当する部分がない。この場合、ガス供給管17a(〜17d)からのガスは、1組のスリット1aと1組のスリット1cとの間の領域(以下、中央領域)に衝突してから上下左右に広がって、これらのスリット1a及び1cを通してインナーチューブ11内へ流れることになる。スリット1b及び11tに相当する部分がないため、インナーチューブ11内での流速を更に低減することができる。また、図9(b)に示すスリット1a及び1cは、中央領域から上方向に又は下方向に離れるに従って、ガス分散板11bの長辺に向かって湾曲している。これによれば、中央領域に衝突したガスは、全方向(360°)に広がるため、中央領域から離れた領域において、スリット1a及び1cを通りやすくなることが期待される。また、図9(c)及び(c)に示すスリット1a及び1cにおいては、中央領域から上に又は下に離れる方向に沿って幅が広がっている。これによっても、中央領域から離れた領域において、スリット1a及び1cを通りやすくなると考えられる。使用するガスの性質(分子量、濃度、粘性等)により、スリットの配置及び形状を適宜変更することにより、インナーチューブ11内でのガスの分布及び流速を制御することが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態による熱処理装置1において実施され得る処理の一例として、サファイア基板上への窒化ガリウム(GaN)膜の堆積について、図10を参照しながら、説明する。
【0046】
図10に示すとおり、ガス供給管17a〜17dには、配管La〜Ldを介して、対応するガリウム原料槽31a〜31dが接続されている。ガリウム原料槽31a〜31dは、いわゆるバブラーであり、本実施形態では、内部にトリメチルガリウム(TMGa)が充填されている。また、ガリウム原料槽31a〜31dには、対応する流量調整器(例えばマスフローコントローラ)3Fa〜3Fdが設けられた配管Ia〜Idを介して、所定のキャリアガス供給源と接続されている。キャリアガスとしては、例えば高純度窒素ガスを用いることができる。配管La〜Ld及び配管Ia〜Idには、ガリウム原料槽31a〜31dの近くにおいて、連動して開閉する一組の開閉バルブ33a〜33dが設けられている。また、配管La〜Ld及び配管Ia〜Idを繋ぐバイパス管が設けられ、バイパス管には、対応するバイパス弁Ba〜Bdが設けられている。バイパス弁Ba〜Bdを開き、開閉バルブ33a〜33dを閉じると、キャリアガスはバイパス管を通って、対応するガス供給管17a〜17dに至り、アウターチューブ10内へ供給される。逆に、バイパス弁Ba〜Bdを閉じ、開閉バルブ33a〜33dを開くと、キャリアガスはガリウム原料槽31a〜31dへ供給され、内部に充填されるTMGa液中に吐出されることにより、TMGaの蒸気(又はガス)を含んで流出口から流出する。流出したTMGa蒸気(ガス)を含むキャリアガスは、対応するガス供給管17a〜17dに至り、アウターチューブ10内へ供給される。
また、ガリウム原料槽31a〜31dには恒温槽32が設けられ、図示しない温度制御器によってガリウム原料槽31a〜31dひいては内部のTMGaの温度が所定の温度に維持され、TMGaの蒸気圧が温度に応じた値で一定に維持される。恒温槽32によりTMGa蒸気圧の一定に維持されるとともに、配管La〜Ldに設けられた圧力調整器PCa〜PCdにより配管La〜Ld内の圧力が一定に維持されることとにより、配管La〜Ldを流れるキャリアガス中のTMGa濃度を一定に維持することができる。
【0047】
また、配管La〜Ldには、例えばアンモニア(NH3)供給源からの対応する配管50a〜50dが合流している。配管50a〜50dには、対応する流量調整器(例えばマスフローコントローラ)4Fa〜4Fd及び開閉バルブVa〜Vdが設けられている。開閉バルブVa〜Vdを開くと、NH3供給源からのNH3ガスが、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御され、配管50a〜50dを通って、対応する配管La〜Ldに流れ込む。これにより、TMGaの蒸気(ガス)、NH3、及びキャリアガスの混合ガスがガス供給管17a〜17dを通してアウターチューブ10内へ供給される。
【0048】
また、図示しないパージガス供給源と接続されるパージガス配管PLが設けられている。本実施形態においては、パージガスとして、キャリアガスと同様に高純度窒素ガスが用いられる。パージガス配管PLは、流量調整器4Faと開閉バルブVaとの間の位置において、配管50aに対し、開閉バルブPaを介して接続されている。また、パージガス配管PLは、開閉バルブPaの手前(パージガス供給源側)において分岐し、流量調整器4Fbと開閉バルブVbとの間の位置において、配管50bに対し、開閉バルブPbを介して接続され、流量調整器4Fcと開閉バルブVcとの間の位置において、配管50cに対し、開閉バルブPcを介して接続され、流量調整器4Fdと開閉バルブVdとの間の位置において、配管50dに対し、開閉バルブPdを介して接続されている。
【0049】
また、アウターチューブ10の排気管14には、主弁2A及び圧力調整器2Bを介してポンプ(例えばメカニカルブースタポンプ)4とポンプ(例えばドライポンプ)6とが接続されている。これらにより、アウターチューブ10内が所定の圧力に維持されつつ、アウターチューブ10内のガスが排気される。また、排気されたガスは、ポンプ6から所定の除害設備に導かれ、ここで除害されて大気放出される。
【0050】
以上の構成においては、以下の手順により、GaN膜がサファイア基板上に堆積される。まず、図示しない昇降機構によりウエハ支持体16がアウターチューブ10内から下方に取り出され、図示しないウエハローダにより、例えば直径4インチを有する複数のサファイア基板がウエハ支持体16に搭載される。次に、昇降機構によりウエハ支持体16がアウターチューブ10内にロードされ、支持板12がアウターチューブ10の下端にシール部材(図示せず)を介して密着することにより、アウターチューブ10が気密に密閉される。
【0051】
続いて、ポンプ4及び6によりアウターチューブ10内を所定の成膜圧力に減圧する。これに併せて、バイパス弁Ba〜Bdを開き、開閉バルブ33a〜33dを閉じ、キャリアガス供給源からの窒素ガスを流すと、流量調整器3Fa〜3Fdによって流量制御された窒素ガスが、配管Ia〜Id及びバイパス弁Ba〜Bdを通して配管La〜Ldへ流れ、ガス供給管17a〜17dからアウターチューブ10内へ流れる。また、開閉バルブPa〜Pdを開くことにより、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御された窒素ガスが、配管50a〜50dを通して、対応する配管La〜Ldに流れ込み、ガス供給管17a〜17dからアウターチューブ10へ流れる。
【0052】
上述のようにしてアウターチューブ10内へ窒素ガスを流すことにより、アウターチューブ10内をパージしつつ、加熱部20(第1の加熱部21及び第2の加熱部22)への電力を制御することにより、ウエハ支持体16に支持されるサファイア基板Wを所定の温度(例えば850℃〜1050℃)に加熱する。サファイア基板Wの温度は、アウターチューブ10内にウエハ支持体16の長手方向に沿うように配置される一又は複数の熱電対(図示せず)により測定され、測定温度に基づいて制御され、一定に維持される。
【0053】
アウターチューブ10内のパージが完了し、サファイア基板Wの温度が所定の温度で安定した後、GaN膜の成膜を開始する。具体的には、まず、開閉バルブVa〜Vdを開くとともに、開閉バルブPa〜Pdを閉じることにより、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御されたNH3ガスがアウターチューブ10内へ供給される。これにより、アウターチューブ10内の雰囲気が、窒素雰囲気からNH3雰囲気に変化していく。また、供給されたNH3ガスは、サファイア基板Wの熱により分解する。このとき、サファイア基板Wの表面は、NH3が分解することにより生成されるN原子により窒化される。所定の時間が経過して、アウターチューブ10内のNH3濃度が一定に(NH3ガス供給源における濃度とほぼ等しく)なった後、開閉バルブ33a〜33dを開くとともにバイパス弁Ba〜Bdを閉じることにより、流量調整器3Fa〜3Fdによって流量制御された窒素ガスがガリウム原料槽31a〜31dへ供給され、TMGa蒸気(ガス)を含んだ窒素ガスが配管La〜Ld及びガス供給管17a〜17dを通してアウターチューブ10内へ供給される。アウターチューブ10内に供給されたTMGaはサファイア基板Sの熱により分解し、分解により生成されたGa原子と、NH3の分解により生成されたN原子とがサファイア基板W上で化合してGaN膜が堆積される。
【0054】
以上説明した実施形態によれば、アウターチューブ10の側周面にガス供給管17a〜17dが設けられ、これらからアウターチューブ10内へプロセスガス(例えばTMGa蒸気(ガス)を含むキャリアガスとNH3ガスの混合ガス)が供給される。例えば、アウターチューブ10内において、その長手方向(高さ方向)に下から上へ延び、複数の孔を有するガス供給ノズル内をプロセスガスが流れる場合には、ガス供給ノズルの上端へ向かうほどプロセスガスが加熱されるため、温度が異なるプロセスガスが各ウエハWへ供給されることとなり、プロセスガスによるウエハ処理の均一性が損なわれるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、上述のとおり、プロセスガスは、アウターチューブ10の長手方向に沿ってアウターチューブ10内を流れることがなく、アウターチューブ10の側周面に設けられたガス供給管17a〜17dからウエハWへ供給されるため、プロセスガスは、ほぼ等しい温度で各ウエハWに供給され得る。このため、ウエハ処理の均一性を向上することができる。
【0055】
また、アウターチューブ10内を下から上へプロセスガスが流れる場合と異なり、プロセスガスは、ほとんど熱分解(又は熱反応)することなくウエハWへ供給され、ウエハWの熱により熱分解(又は熱反応)することができるため、プロセスガスの利用効率を図ることができる。
【0056】
特に、TMGaとNH3を用いたGaN膜の堆積の場合、アウターチューブ10内を下から上へ延びるガス供給ノズルを用いてTMGaとNH3を供給すると、分解温度が低いTMGaは、ガス供給ノズル内や反応管の気相中で分解してしまい、ガス供給ノズル内や反応管の内面にGaが析出してしまう。そうすると、サファイア基板W上へ堆積するGaN膜の堆積速度が低下したり、析出したGaが剥離してパーティクルとなったりするという問題が生じる。しかし、本実施形態による熱処理装置(成膜装置)によれば、TMGaとNH3がアウターチューブ10内を長い時間流れることはなく、ガス供給管17a〜17dからサファイア基板Wの表面へ直ちに到達できるため、TMGaの分解を抑制して、成膜速度の低下やGaの析出を抑制することが可能となる。
【0057】
また、図1及び図4に示すように、アウターチューブ10が第1の加熱部21に対して偏心して配置され、第1の加熱部21の内側にあるガス供給管17a〜17dの長さが極力短くなっているため、ガス供給管17a〜17dの加熱が抑制される。したがって、ガス供給管17a〜17dが加熱されることによるTMGaの分解もまた抑制することが可能である。
【0058】
以上、幾つかの実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態及び実施例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更が可能である。
【0059】
例えば、ガス分散板11b(又は111b、以下同じ)は、スリット群(11s、11t)を除いて不透明であっても良い。これによれば、ウエハWの熱が、ガス分散板11bを通して第1の加熱部21のスリット(23C、24C)から放射されるのを低減することができ、したがって、インナーチューブ11内の温度均一性を向上することが可能となる。具体的には、ガス分散板11bは、多数の微小な泡を内包する石英ガラス(いわゆる不透明ガラス)で作製しても良い。また、透明な石英ガラスで作製したガス分散板11bの一方又は両方の面を例えばサンドブラスト等で荒らすことにより不透明にしても良い。また、ガス分散板11bの一方又は両方の面をシリコンカーバイド(SiC)でコーティングすることにより不透明としても同様な効果が得られる。
【0060】
また、ガス分散板11bは平板に限らず、湾曲していても良い。例えば、インナーチューブ11の側周面とほぼ等しい曲率、又はウエハWの外周とほぼ等しい曲率で湾曲して良い。また、ガス分散板11bをインナーチューブ11と一体に構成しても良い。
また、上述の実施形態においては、ガス分散板11bはインナーチューブ11内においてガス供給孔H1〜H4とウエハ支持体16との間に配置されたが、図11に示すように、アウターチューブ10の内周面に取り付けても良い。この場合、インナーチューブ11には拡張部11aを設ける必要はなく、ガス分散板11bに対応した開口11mを設ければよい。また、図11に示す例においては、インナーチューブ11を設けなくても良い。
【0061】
また、上述の実施形態においては一つの拡張部11aに4つのガス供給孔H1〜H4を設けたが、拡張部11aよりも小さい箱形形状の拡張部を4つ設け、それぞれにガス供給管17a〜17dに対応したガス供給孔を形成しても良い。
また、上述の実施形態においてはインナーチューブ11に取り付けられる拡張部11a(小さい4つの拡張部を含む)はほぼ箱形の形状を有しているが、曲面を有していても良い。例えば、拡張部11aは、半円の上面形状を有していても良い。また、拡張部11aは、インナーチューブ11の外側から内側に向かう方向に沿ってホーン形状に広がるような形状を有していても良い。
【0062】
また、熱処理装置1を用いたGaN膜の成膜を説明したが、これに限らず、例えばジシクロロシラン(SiH2Cl2)ガスとNH3を原料ガスとして用いてシリコンウエハ上に窒化シリコン膜を堆積するために熱処理装置1を用いても良く、シラン(SiH4)ガスを原料ガスとして用いてシリコンウエハ上にポリシリコン膜を堆積するために熱処理装置1を用いても良い。さらに、薄膜の堆積だけでなく、例えばシリコンウエハの熱酸化に熱処理装置1を用いても良い。
【0063】
また、GaN膜の堆積に用いるガリウム原料としては、TMGaではなく、トリエチルガリウム(TEGa)などの他の有機ガリウム原料や、塩化ガリウム(GaCl)を使用して良い。また、トリアルキルガリウムだけでなく、例えばトリメチルインジウム(TMIn)などのトリアルキルインジウムが充填された原料槽をガリウム原料槽31a〜31dの各々と並列に設け、トリアルキルガリウムの蒸気(ガス)を含むキャリアガスと、トリアルキルインジウムの蒸気(ガス)を含むキャリアガスを混合して、アウターチューブ10内へ供給しても良い。これにより、窒化インジウムガリウム(InGaN)を堆積することが可能となる。
【0064】
また、トリアルキルガリウム(かつ/又はトリアルキルインジウム)がガス供給管17a〜17dにおいて分解するのを更に抑制するため、ほぼ同心円状に2つの石英管から構成される二重管でガイド管10a〜10dを形成し(言い換えると、ガイド管10a〜10dにジャケットを設け)、内管の内側からアウターチューブ10内へキャリアガスを流すとともに、内管と外管の間に例えば冷却媒体を流すことにより、アウターチューブ10を冷却することが好ましい。
【0065】
また、アウターチューブ10に設けられる排気管14は、本実施形態においてはガイド管10dの下方に形成されているが、アウターチューブ10におけるガイド管10a〜10dの反対側に相当する位置(対向位置)を避けた位置に形成して良い。例えば、対向位置の側方、下方、又は上方に排気管を形成しても良い。また、対向位置の側方に排気管14を設ける場合、対向位置の両側に一つずつの排気管を設けても良い。さらに、対向位置の側方に、ガイド管10a〜10dに対応して複数の排気管を設けても良い。
【0066】
また、第1の加熱部21は、スリット(23C、24C)を有するほぼ円柱状の形状を有しているが、例えば多角形柱形状を有しても良い。この場合、スリット(23C、24C)は、多角形柱の辺に沿って設けられると好ましい。
【0067】
また、インナーチューブ11内において、下方から上方へ向かって延びるガス導入管を設け、ガス供給管17a〜17dと併用しても良い。この場合、分解温度の低いガスをガス供給管17a〜17dから供給し、分解温度の高いガスをガス導入管から供給することが好ましい。このようにすれば、分解温度の低いガスがウエハWに到達する前に分解するのを抑制することができ、分解温度の高いガスを十分に加熱してからウエハWに到達させることができる。すなわち、ガスの分解温度に応じて、ガスを適切に加熱することが可能となる。
【0068】
また、ガス供給管17a〜17dを二重管構造としても良い。この場合、分解温度の低いガスを内側に供給し、分解温度の高いガスを外側に供給するのが好ましい。このようにすれば、分解温度の低いガスを低温に保ったままウエハに到達させることができる。
【0069】
また、ガイド管10a〜10dの外周に、ヒータや水冷ジャケットを設けても良い。プロセス条件に応じて、ガス温度を容易に調整することができ、成膜効率を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・熱処理装置、4,6・・・ポンプ、10・・・アウターチューブ、10a〜10d・・・ガイド管、11・・・インナーチューブ、12・・・固定治具、16・・・ウエハ支持体、17a〜17d・・・ガス供給管、20・・・加熱部、21・・・第1の加熱部、22D・・・上端排気口、22・・・第2の加熱部、23・・・筒状体、23C・・・スリット、13・・・ベースプレート、24・・・絶縁体、24C・・・スリット、25・・・発熱体、26・・・断熱体、70・・・取付け治具、71・・・固定リング、72・・・回動部、72L・・・レバー、77・・・基部、W・・・ウエハ(又はサファイア基板)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハなどの基板を熱処理する熱処理装置、特にバッチタイプの熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程において、複数の基板を所定の間隔で配置し、一括して処理するバッチタイプの熱処理装置が用いられる。このような熱処理装置は、下部が開口した反応管と、反応管内部に配置可能で、複数枚の基板を所定の間隔で保持するウエハ支持部と、反応管の外側に配置され、反応管内の基板を加熱する外部ヒータとを備える。また、反応管内には下部の開口からウエハ支持部に沿って上へ延びるガス供給ノズルが設けられている。
【0003】
反応管内に、基板が支持されるウエハ支持部を搬入し、外部ヒータにより基板を加熱しつつ、ガス供給ノズルからプロセスガスを流すことにより、基板に対し、プロセスガスに応じた処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−068214号公報
【特許文献2】特開2008−172205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような熱処理装置において、ウエハ支持部の上端より高い位置にまでガス供給ノズルが延びており、その先端からプロセスガスが供給される場合には、ウエハ支持部の下端側でプロセスガスが涸渇してしまい、上端側の基板と下端側の基板との間で処理の均一性が悪化するおそれがある。そこで、長さの異なる複数のガス供給ノズルや、所定の間隔で複数の開口が形成されたガス供給ノズルを用いることにより、ウエハ支持部の長手方向に沿った複数の位置からプロセスガスを基板に供給し、処理の均一性の改善を図っている(例えば特許文献1)。
【0006】
しかし、この場合であっても、プロセスガスは、ガス供給ノズル内を下から上へ流れながら加熱されるため、ガス供給ノズルの上端側の開口からは、下端側の開口からよりも高温のプロセスガスが供給される。このため、処理の均一性を十分に改善することはできない。
【0007】
また、プロセスガスとして2種類の原料ガスを使用する場合において、一方の原料ガスの分解温度が他方の原料ガスの分解温度よりも著しく低いときには、分解温度の低い原料ガスが、ガス供給ノズルの特に上端側で分解し始めてしまうことがある。そうすると、ガス供給ノズルの内部や反応管の内面に膜が堆積してしまい、基板上への膜の堆積速度が低下してしまう。また、原料ガスの利用効率も悪化する。さらに、反応管の内面に堆積した膜が剥がれるとパーティクルの原因となるため、反応管の洗浄頻度を高くせざるを得ず、スループットの低下を招く。
【0008】
そこで、反応管の側部に、内部空間が複数のガス導入区画部に区画されるガス導入管を設けて、基板処理面に対して垂直方向に配置される複数の基板に対して側方から原料ガスを供給することが試みられている(例えば特許文献2)。しかし、ガス導入管を複数のガス導入区画部に区画しても、複数の基板に対して原料ガスを均一に供給することは難しく、より一層の均一化が求められる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされ、処理対象である複数の基板が多段に配置される熱処理装置であって、基板間の処理の均一性を改善することができる熱処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、複数の基板を多段に支持する支持体と、前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、長手方向に配列され、前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管と、前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端と、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材であって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部とを備える熱処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、処理対象である複数の基板が多段に配置される熱処理装置であって、基板間の処理の均一性を改善することができる熱処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による熱処理装置を示す概略図である。
【図2】図1の熱処理装置のインナーチューブを示す概略図である。
【図3】図1の熱処理装置のインナーチューブに設けられるガス分散板を説明する説明図である。
【図4】図1の熱処理装置の加熱部及びアウターチューブを示す概略斜視図である。
【図5】図1の熱処理装置のインナーチューブの取付け治具を説明する説明図である。
【図6】図1の熱処理装置のアウターチューブの下部の構造を説明する説明図である。
【図7A】図1の熱処理装置のインナーチューブをアウターチューブに取り付ける方法を説明する説明図である。
【図7B】図7Aに引き続いて、図1の熱処理装置のインナーチューブをアウターチューブに取り付ける方法を説明する説明図である。
【図8】図1の熱処理装置のガス分散板の効果を説明する、シミュレーション結果を示す図である。
【図9】図1の熱処理装置のガス分散板の変形例を示す図である。
【図10】図1の熱処理装置にガス供給系を接続することにより構成される成膜システムの一例を示す図である。
【図11】図1の熱処理装置の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきである。
【0014】
図1を参照すると、本発明の実施形態による熱処理装置1は、下部が開口する有蓋円筒形状を有するアウターチューブ10と、アウターチューブ10の下部開口を通してアウターチューブ10内に出し入れ可能なインナーチューブ11と、複数のウエハWを多段に支持し、インナーチューブ11の下部開口を通してインナーチューブ11に出し入れ可能なウエハ支持体16と、アウターチューブ10を取り囲み、アウターチューブ10及びインナーチューブ11を通してウエハ支持体16に支持されるウエハWを加熱する加熱部20とを備える。
【0015】
インナーチューブ11の外側に配置されるアウターチューブ10は、例えば石英ガラスにより作製されており、その側周面には、アウターチューブ10の長手方向に沿ってほぼ一列に配列される複数の(図示の例では4つの)ガイド管10a、10b、10c、10dが設けられている。具体的には、石英ガラス製の有蓋円筒管の側周面に、長手方向に沿って所定の間隔で孔を開け、この孔に対して石英ガラス製のパイプを溶接することにより、アウターチューブ10を作製することができる。また、ガイド管10a〜10d内には、これらに対応するガス供給管17a〜17dが挿入されている。すなわち、ガイド管10a〜10dは、対応するガス供給管17a〜17dを支持している。ガス供給管17a〜17dには、ガス供給系(後述)からの対応する配管が接続され、ガス供給系からのプロセスガスがガス供給管17a〜17dを通してインナーチューブ11の内部に供給される(後述)。
【0016】
また、アウターチューブ10には、ガイド管10dの下方において排気管14が形成されている。排気管14の先端にフランジが形成されており、所定の継ぎ手により排気系(後述)に接続される。これにより、ガス供給管17a〜17dを通してインナーチューブ11内に供給されたプロセスガスは、ウエハWの表面上を通過した後、インナーチューブ11に設けられる一つ又は複数の開口部又はスリット(図示せず)を通して排気管14から排気される。また、アウターチューブ10の下端にフランジが形成されており、このフランジが、図示しない所定のシール部材を介して固定治具12により保持され、固定治具12がベースプレート13にネジ止めされることにより、アウターチューブ10がベースプレート13に対して固定されている。
【0017】
インナーチューブ11は、図2に示すように、下部に開口を有する有蓋円筒形状を有しており、例えば石英ガラスにより作製される。また、インナーチューブ11の外周面の一部には、長手方向に沿ってほぼ矩形形状の開口が形成され、この開口に対し、ほぼ箱形の形状を有する拡張部11aが取り付けられている。
【0018】
拡張部11aには、インナーチューブ11の長手方向に沿ってほぼ一列に配列される複数のガス供給孔H1〜H4が所定の間隔をあけて形成されている。図示のとおり、ガス供給孔H1〜H4は、上述のガス供給管17a〜17dに対応して形成されている。言い換えると、ガス供給管17a〜17dは、対応するガス供給孔H1〜H4に開口端が近接するようにガイド管10a〜10dにより支持されている(図2では、図示の便宜上、ガス供給管17a〜17dとガス供給孔H1〜H4とは離れている)。このような構成により、ガス供給系からのプロセスガスは、ガス供給管17a〜17d及びガス供給孔H1〜H4を通してインナーチューブ11内に供給される。
【0019】
なお、インナーチューブ11の概略上面図である図3(a)に示すように、ガス供給孔H1の内径はガス供給管17aの外径よりも僅かに大きいことが好ましい。これにより、ガス供給管17aがガス供給孔H1から拡張部11aの内部に挿入され得る。ただし、これに限定されることなく、例えば、ガス供給孔H1の内径とガス供給管H1の内径とは等しくても良い。
【0020】
図3(a)を参照すると、拡張部11aとインナーチューブ11との境界において、拡張部11aの開口10mを塞ぐようにガス分散板11bが設けられている。ガス分散板11bは例えば石英ガラスにより作製され、図3(b)に示すようにスリット11sが形成されている。スリット11sは、ガス分散板11bの長手方向に対して傾斜する第1のスリット1aと、第1のスリット1aの下端と連続し、ガス分散板11bの長手方向に平行に延びる第2のスリット1bと、第2のスリット1bの下端と連続し、ガス分散板11bの長手方向に対し、第1のスリット1aと逆に傾斜する第3のスリット1cとを有している。また、一つのスリット11sに並んで他のスリット11tが形成されている。これらの一組のスリット11sの両側において、第2のスリット1bとほぼ平行に並ぶように2つのスリット11tが形成されている。このような一組のスリット11sとその両側のスリット11tとが組み合わせられて一つのスリット群が構成されている。また、ガス分散板11bには4つのスリット群が形成され、各スリット群が拡張部11aのガス供給孔H1〜H4に対応している。具体的には、ガス供給孔H1〜H4の開口端が、2つのスリット11sの第2のスリット1bにほぼ対向するように配置される(図3(b)においては、ガス供給管H1及びH2の開口端の対応位置を破線で示す)。
【0021】
インナーチューブ11の下部開口から、その内部に挿入されるウエハ支持体16は、少なくとも3本の支柱16aを有している。支柱16aには、所定の間隔で複数の切欠部が設けられており、ウエハWは、その周縁部が切欠部に挿入されることにより支持される。本実施形態においては、ウエハ支持体16は117枚のウエハWを支持することができる。具体的には、上から4枚のダミーウエハと、下から4枚のダミーウエハと、これらの間において、3枚のダミーウエハで離間される4群の25枚の処理対象ウエハWとが支持される。また、ウエハ支持体16は、100枚のウエハWのうち上から25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、アウターチューブ10のガイド管10aに挿入されるガス供給管17aからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17bからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17cからプロセスガスが供給され、その下の25枚の処理対象ウエハWに対して、概ね、ガス供給管17dからプロセスガスが供給されるように配置されている。
インナーチューブ11にもフランジ(後述)が形成されており、フランジが固定リング71により支持され、固定リング11がアウターチューブ10に支持されることにより、インナーチューブ11がアウターチューブ10に対して固定される。インナーチューブ11の取付け方法については、後に説明する。
【0022】
また、ウエハ支持体16は支持ロッド19上に固定されており、支持ロッド19は蓋体15に支持されている。蓋体15は、図示しない昇降機構により昇降され、これにより、支持ロッド19ひいてはウエハ支持体16がインナーチューブ11内に対して出し入れされ得る。ウエハ支持体16がインナーチューブ11に入れられると、蓋体15は、図示しないシール部材を介してアウターチューブ10のフランジの下面に接し、これによりアウターチューブ10内の雰囲気が外部雰囲気から隔離される。
なお、支持ロッド19が貫通可能な開口を蓋体15に設け、この開口に支持ロッド19を通し、開口と支持ロッド19との間を磁性流体で密閉するとともに、回転機構により支持ロッド19を回転するようにしても良い。これにより、ウエハ支持体16ひいてはウエハWが回転することとなり、ガス供給管17a〜17dから供給されるガスに対してより均一にウエハWが晒され得る。
【0023】
図1に示すように、アウターチューブ10の外側に配置される加熱部20は、アウターチューブ10の側周部を覆う第1の加熱部21と、第1の加熱部21の上端部を覆う第2の加熱部22を有している。
第1の加熱部21は、金属製の筒状体23と、筒状体23の内面に沿って設けられる絶縁体24と、絶縁体24により支持される発熱体25とを有している。また、第1の加熱部21の上端には、加熱部20とアウターチューブ10との間の内部空間に供給される空気(後述)を排気するための上端排気口22Dが形成され、上端排気口22Dに接続される排気管(図示せず)を通して、加熱部20の内部空間からの空気が外部へ排気される。また、第1の加熱部21の筒状体23の側面には、発熱体25に電力を供給する複数の電流導入端子25aが設けられている。
【0024】
図4を参照すると、第1の加熱部21には、第1の加熱部21の下端から上端まで延び、アウターチューブ10のガイド管10a〜10dが通り抜けるのを許容するスリットが設けられている。具体的には、筒状体23の一部に、筒状体23の長手方向に沿って、筒状体23の下端から上端まで延びるスリット23Cが形成されており、これに対応して絶縁体24においても、絶縁体24の下端から上端まで延びるスリット24Cが形成されている。このため、第1の加熱部21は、ほぼC字状の平面形状を有している。また、第1の加熱部21の内面は、スリット(23C、24C)を除いて、アウターチューブ10の外周面に面している。
【0025】
図1及び図4を参照すると、アウターチューブ10は第1の加熱部21に対し、ガイド管10a〜10d側の外周面が第1の加熱部21の内周面に近接するように偏心している。これにより、第1の加熱部21内部及び内側におけるガイド管10a〜10d及びガス供給管17a〜17dの長さを短くすることができる。第1の加熱部21の内部及び内側は、発熱体25からの輻射熱により高温雰囲気となっているが、ガス供給管17a〜17dは、そのような高温雰囲気を長い距離に亘って通過することがない。このため、ガス供給管17a〜17dプロセスガスは、それほど高温に加熱されずにアウターチューブ10内へ供給され得る。したがって、分解温度が比較的低いガスであっても、分解したり、不要に活性化されたりすることなく、ウエハWに到達することが可能となる。
【0026】
また、図4に示すように、第1の加熱部21のスリット(23C、24C)の両縁とガイド管10a〜10dとにより決まる空間には断熱材26が設けられている。断熱材26は、例えば、熱伝導率のなるべく小さい例えばシリカガラスの繊維(グラスウール)で形成される梱包材としての外皮層と、外皮層内に詰め込まれるシリカガラスの繊維又は粉体とを有することができる。これによれば、断熱材26は柔軟性を有することとなるため、上記の空間に応じて変形し、この空間を隙間なく埋めることが可能となる。断熱材26を用いることにより、この空間を通して、第1の加熱部21内部の熱が外部へ放射されるのを妨げることができ、第1の加熱部21内部の均熱性の悪化を抑制することが可能となる。さらに、均熱性の悪化を更に抑制するため、絶縁体24のスリット24Cの両側又は一方側に、スリット24Cに沿って延びる棒状のヒータを設けても良い。
【0027】
次に、インナーチューブの取付け(固定)に利用される部材について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5は、インナーチューブ11の取付け治具70と、取付け治具70とともに用いられ、インナーチューブ11を支持する固定リング71とを示す斜視図である。図5(a)に示すように取付け治具70は、基部77、回動部72、及び固定リング71を有している。基部77は、中央に開口を有する円環プレート77aと、円環プレート77aの開口縁に内周が一致するように取り付けられる環状立設部77bとを有している。環状立設部77bの上面には、後述のように、インナーチューブ11が載置される。また、環状立設部77bの上面には内周縁に沿ってリッジ部77rが形成されている。リッジ部77rの外径は、インナーチューブ11の内径よりも僅かに小さく、これにより、インナーチューブ11が位置決めされる。また、環状立設部77bの上面には、リッジ部77rの外側に突起77pが設けられている。突起77pは、インナーチューブ11のフランジの裏面に形成された凹部(図示せず)に嵌り込むように設けられている。突起77pと凹部が嵌り込むことによっても、インナーチューブ11が、環状立設部77bの上面に対して位置決めされる。
【0028】
回動部72は、ベース部72a、円筒部72b、及び回動レバー72Lを有している。ベース部72aは円環状のプレートにより構成され、その外径は、基部77の円環プレート77aの外径よりも小さく、内径は、基部77の環状立設部77bの外径よりも僅かに大きい。また、回動部72には、ベース部72aの内周縁に沿って円筒部72bが取り付けられている。したがって、円筒部72bの内径もまた環状立設部77bの外径よりも僅かに大きい。また、円筒部72bの上面には突起72pが形成されている。
【0029】
図5(a)に示すように、回動部72は、基部77の環状立設部77bを円筒部72bが取り囲むように円環プレート77a上に載置される。また、回動部72のベース部72bの外周縁には2つのレバー72Lが取り付けられている。レバー72Lを回転すると、回動部72は、基部77に対して回転することができる。
【0030】
固定リング71は、図5(a)に示すように、円環形状を有し、その内径は、基部77の環状立設部77bの外径よりも僅かに大きく、外径は、回動部72の円筒部72bの外径とほぼ等しい。また、固定リング71の外周面には、ほぼ等角度間隔で3つの鍔部71pが設けられている。固定リング71は、図5(b)に示すように、回動部72の円筒部72bの上面に載置される。このとき、円筒部72bの上面に形成された突起72pと、固定リング71の下面に形成された凹部(図示せず)とが嵌り込み、これにより、固定リング71が回動部72に対して位置決めされる。また、突起72pと凹部が嵌り込んでいるため、回動部72のレバー72Lを回転すると、回動部72とともに固定リング71も回転することができる。
【0031】
図5(c)を参照すると、インナーチューブ11は、フランジの裏面が基部77の環状立設部77bの上面に接するように支持される。インナーチューブ11のフランジの裏面は、後述するように固定リング71の上面とは離間しており、したがって、回動部72のレバー72Lを回転するときには、固定リング71はインナーチューブ11の裏面に接することなく回転することができる。
【0032】
続いて、アウターチューブ10のフランジの形状について、図6を参照しながら説明する。図6は、アウターチューブ10の下端部を示す一部破断斜視図であり、フランジ10fの説明の便宜上、有蓋形状を有するチューブ部分10Pを破断して示している。図示のとおり、チューブ部分10Pは、フランジ10fの上面に取り付けられている。フランジ10fの内周には、内周壁の一部が内周の全周に亘って外側に窪んで形成された溝部10iが設けられている。溝部10iの下方には3つの切欠部10nがほぼ等角度間隔で形成されている。これらの切欠部10nは、図5を参照しながら説明した固定リング71の鍔部71pに対応して形成されている。すなわち、後述するように、インナーチューブ11をアウターチューブ10内に挿入する際、固定リング71の鍔部71pは、アウターチューブ10のフランジ10fの対応する切欠部10nを通り抜けることができる。
【0033】
また、溝部10iの上面にはほぼ等角度間隔で3つの凹部10hが設けられている。これらの凹部10hもまた、固定リング71の鍔部71pに対応して形成されている。後述するように、鍔部71pが、対応する切欠部10nを通り抜けた後、回動部72のレバー72Lを回転すると、固定リング71が回転し、溝部10i内を水平面内で鍔部71pが移動し、対応する凹部10hの上方へと至る。
【0034】
以上のように構成されるアウターチューブ10に対して、インナーチューブ11がどのように固定されるかについて、図7A及び図7Bを参照しながら説明する。図7A及び図7Bは、インナーチューブ11及びアウターチューブ10の下端部分を模式的に示す断面図である。なお、アウターチューブ10は、上述のとおり、固定治具12を介してベースプレート13に固定されているが(図1参照)、説明の便宜上、図7A及び図7Bに置いては、固定治具12及びベースプレート13は省略している。
【0035】
図7A(a)を参照すると、インナーチューブ11が取付け治具70に支持されている。具体的には、インナーチューブ11のフランジ11fが、取付け治具70の環状立設部77bに載置されている。ここで、環状立設部77bの上面のリッジ部77rが、インナーチューブ11のフランジ11の内周面と噛み合い、これにより、インナーチューブ11が取付け治具70に対して位置決めされている。また、取付け治具70及びこれに支持されるインナーチューブ11は、図示しない昇降機構により上方向に移動しており、インナーチューブ11がアウターチューブ10内へ挿入されつつある。上方向に更に移動していくと、図7A(b)に示すように、アウターチューブ10のフランジ10fの下面に回動部72のベース部72aが接するに至り、上方向の移動が停止される。このとき、回動部72の円筒部72bの上の固定リング71に形成された鍔部71pは、アウターチューブ10のフランジ10fの内周に形成された対応する切欠部10nを通り抜けている(図示省略)。具体的には、鍔部71pの下面は、溝部10iの上面よりも僅かに高い位置にある。
【0036】
ここで図7B(c)に示すように、回動部72のレバー72Lを回転することにより、固定リング71の鍔部71pを、溝部10iの上面の対応する凹部10hの上方に位置させる。このとき、インナーチューブ11のフランジ11fの裏面に段差があるため、固定リング71の上面とフランジ11fの裏面とは接触しない。したがって、固定リング71は、フランジ11fに接触せずに回転する。さらに、インナーチューブ11は、基部77の環状立設部77bの上面により支持され、突起77pにより位置決めされているため、回動部72が回転しても回転することはない。
【0037】
次いで、図7B(d)に示すように、昇降機構(図示せず)により取付け治具70を下方向に移動させると、固定リング71の鍔部71pが凹部10hに収まるため、アウターチューブ10のフランジ11fにより固定リング71が支持される。また、インナーチューブ11が下方向に移動すると、そのフランジ10fが固定リング71の上面に載置される。換言すると、インナーチューブ11は、取付け治具70の環状立設部77bから固定リング71へ受け渡される。これにより、インナーチューブ11は、固定リング71を介してアウターチューブ10のフランジ10fに支持されることとなる。
【0038】
以上の構成によれば、インナーチューブ11を回転することなくアウターチューブ10により支持させることができる。仮に、固定リング71の鍔部71pと同様に3つの鍔部をインナーチューブ11のフランジ11fの外周に設ければ、アウターチューブ10のフランジ10fの溝部10iの上面に形成された凹部10hに対して、これらの鍔部を収めることによっても、インナーチューブ11をアウターチューブ10により支持させることは可能である。
【0039】
しかし、本実施形態におけるインナーチューブ11は拡張部11aを有し、拡張部11aに形成されるガス供給孔H1〜H4に対して、アウターチューブ10のガイド管10a〜10dに支持されるガス供給管17a〜17dが挿入される。このため、仮にインナーチューブ11を回転することによりアウターチューブ10に支持させることとすれば、ガス供給孔H1〜H4と、対応するガス供給管17a〜17dとの位置合わせがかなり難しくなる。
【0040】
本実施形態の構造によれば、固定リング71を回転させ、固定リング71の鍔部71pを対応する凹部10hに収め、インナーチューブ11を固定リング71で支持するようにしているため、インナーチューブ11は上下動するに過ぎず回転することがない。したがって、インナーチューブ11をアウターチューブ10に挿入する際に、ガス供給管17a〜17dが、拡張部11aの対応するガス供給孔H1〜H4に挿入され得るように位置決めしておけば、インナーチューブ11を取り付けるときに位置がずれることがなく、よって、インナーチューブ11をアウターチューブ10に対して容易に取り付けることができる。
【0041】
次に、ガス分散板11bの効果について図8を参照しながら説明する。図8は、ガス供給管17aからガス供給孔H1(図2参照)を通してインナーチューブ11内に供給されるガスのフローパターンについてコンピュータシミュレーションにより得た結果を示す。ここで図8(a)は、図3(b)に示すガス分散板11bを使用した場合の結果であり、図8(b)は、図3(b)のガス分散板11bにおけるスリット11tがないガス分散板を用いた場合の結果である。また、図8において上段の図は、ガス供給管17aの高さにおけるインナーチューブ11の水平面内のフローパターンを示し、下段の図は、ガス供給管17aを含む垂直面内のフローパターンを示している。なお、図8に示す曲線は等速度線である。また、図8中の参照符号11eは、インナーチューブ11における拡張部11aと対向する側周部に形成された排気スリットである。本実施形態においては、インナーチューブ11内のガスは、排気スリット11eから、インナーチューブ11とアウターチューブ10との間の空間に至り、排気管14を通して排気される。
【0042】
図8(a)に示すとおり、ガス供給管17aから拡張部11aへ供給されたガスは、ガス分散板11bに衝突して横方向及び縦方向に広がり、ガス分散板11bに形成されたスリット11s(1a、1b、1c)及び11tを通ってインナーチューブ11内へ至る。ガス分散板11bにより広がるため、インナーチューブ11内ではガスはほぼ均一に流れている。また、コンピュータシミュレーションの結果では、ガス供給管17aから拡張部11aに噴出されるガスの流速は90〜100m/秒であるが、インナーチューブ11内のウエハW上(又はウエハW間)におけるガスの流速は30〜60m/秒であること分かった。すなわち、ウエハW上では比較的遅い速度で均一にガスが流れていることが分かる。したがって、均一性良くウエハWを処理することが可能となる。また、インナーチューブ11内での流速が遅いため、ウエハWの温度がガスにより下がるのが抑制される。
【0043】
また、図8(b)からもほぼ同様の結果が得られることが分かる。強いて言えば、上下方向における上部、中間部、及び下部における流速の差が図8(a)の方が図8(b)に比べて小さい。これは、図3(b)に示すガス分散板11bにおけるスリットtの効果と考えられる。
【0044】
なお、ガス分散板11bに形成されるスリット(開口)は、上述の例に限定されることなく、種々に変形可能である。例えば図9に示す開口が考えられる。具体的には、図9に示すガス分散板111bにおいては、図3(b)のガス分散板11bにおけるスリット1b及び11tに相当する部分がない。この場合、ガス供給管17a(〜17d)からのガスは、1組のスリット1aと1組のスリット1cとの間の領域(以下、中央領域)に衝突してから上下左右に広がって、これらのスリット1a及び1cを通してインナーチューブ11内へ流れることになる。スリット1b及び11tに相当する部分がないため、インナーチューブ11内での流速を更に低減することができる。また、図9(b)に示すスリット1a及び1cは、中央領域から上方向に又は下方向に離れるに従って、ガス分散板11bの長辺に向かって湾曲している。これによれば、中央領域に衝突したガスは、全方向(360°)に広がるため、中央領域から離れた領域において、スリット1a及び1cを通りやすくなることが期待される。また、図9(c)及び(c)に示すスリット1a及び1cにおいては、中央領域から上に又は下に離れる方向に沿って幅が広がっている。これによっても、中央領域から離れた領域において、スリット1a及び1cを通りやすくなると考えられる。使用するガスの性質(分子量、濃度、粘性等)により、スリットの配置及び形状を適宜変更することにより、インナーチューブ11内でのガスの分布及び流速を制御することが可能となる。
【0045】
次に、本実施形態による熱処理装置1において実施され得る処理の一例として、サファイア基板上への窒化ガリウム(GaN)膜の堆積について、図10を参照しながら、説明する。
【0046】
図10に示すとおり、ガス供給管17a〜17dには、配管La〜Ldを介して、対応するガリウム原料槽31a〜31dが接続されている。ガリウム原料槽31a〜31dは、いわゆるバブラーであり、本実施形態では、内部にトリメチルガリウム(TMGa)が充填されている。また、ガリウム原料槽31a〜31dには、対応する流量調整器(例えばマスフローコントローラ)3Fa〜3Fdが設けられた配管Ia〜Idを介して、所定のキャリアガス供給源と接続されている。キャリアガスとしては、例えば高純度窒素ガスを用いることができる。配管La〜Ld及び配管Ia〜Idには、ガリウム原料槽31a〜31dの近くにおいて、連動して開閉する一組の開閉バルブ33a〜33dが設けられている。また、配管La〜Ld及び配管Ia〜Idを繋ぐバイパス管が設けられ、バイパス管には、対応するバイパス弁Ba〜Bdが設けられている。バイパス弁Ba〜Bdを開き、開閉バルブ33a〜33dを閉じると、キャリアガスはバイパス管を通って、対応するガス供給管17a〜17dに至り、アウターチューブ10内へ供給される。逆に、バイパス弁Ba〜Bdを閉じ、開閉バルブ33a〜33dを開くと、キャリアガスはガリウム原料槽31a〜31dへ供給され、内部に充填されるTMGa液中に吐出されることにより、TMGaの蒸気(又はガス)を含んで流出口から流出する。流出したTMGa蒸気(ガス)を含むキャリアガスは、対応するガス供給管17a〜17dに至り、アウターチューブ10内へ供給される。
また、ガリウム原料槽31a〜31dには恒温槽32が設けられ、図示しない温度制御器によってガリウム原料槽31a〜31dひいては内部のTMGaの温度が所定の温度に維持され、TMGaの蒸気圧が温度に応じた値で一定に維持される。恒温槽32によりTMGa蒸気圧の一定に維持されるとともに、配管La〜Ldに設けられた圧力調整器PCa〜PCdにより配管La〜Ld内の圧力が一定に維持されることとにより、配管La〜Ldを流れるキャリアガス中のTMGa濃度を一定に維持することができる。
【0047】
また、配管La〜Ldには、例えばアンモニア(NH3)供給源からの対応する配管50a〜50dが合流している。配管50a〜50dには、対応する流量調整器(例えばマスフローコントローラ)4Fa〜4Fd及び開閉バルブVa〜Vdが設けられている。開閉バルブVa〜Vdを開くと、NH3供給源からのNH3ガスが、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御され、配管50a〜50dを通って、対応する配管La〜Ldに流れ込む。これにより、TMGaの蒸気(ガス)、NH3、及びキャリアガスの混合ガスがガス供給管17a〜17dを通してアウターチューブ10内へ供給される。
【0048】
また、図示しないパージガス供給源と接続されるパージガス配管PLが設けられている。本実施形態においては、パージガスとして、キャリアガスと同様に高純度窒素ガスが用いられる。パージガス配管PLは、流量調整器4Faと開閉バルブVaとの間の位置において、配管50aに対し、開閉バルブPaを介して接続されている。また、パージガス配管PLは、開閉バルブPaの手前(パージガス供給源側)において分岐し、流量調整器4Fbと開閉バルブVbとの間の位置において、配管50bに対し、開閉バルブPbを介して接続され、流量調整器4Fcと開閉バルブVcとの間の位置において、配管50cに対し、開閉バルブPcを介して接続され、流量調整器4Fdと開閉バルブVdとの間の位置において、配管50dに対し、開閉バルブPdを介して接続されている。
【0049】
また、アウターチューブ10の排気管14には、主弁2A及び圧力調整器2Bを介してポンプ(例えばメカニカルブースタポンプ)4とポンプ(例えばドライポンプ)6とが接続されている。これらにより、アウターチューブ10内が所定の圧力に維持されつつ、アウターチューブ10内のガスが排気される。また、排気されたガスは、ポンプ6から所定の除害設備に導かれ、ここで除害されて大気放出される。
【0050】
以上の構成においては、以下の手順により、GaN膜がサファイア基板上に堆積される。まず、図示しない昇降機構によりウエハ支持体16がアウターチューブ10内から下方に取り出され、図示しないウエハローダにより、例えば直径4インチを有する複数のサファイア基板がウエハ支持体16に搭載される。次に、昇降機構によりウエハ支持体16がアウターチューブ10内にロードされ、支持板12がアウターチューブ10の下端にシール部材(図示せず)を介して密着することにより、アウターチューブ10が気密に密閉される。
【0051】
続いて、ポンプ4及び6によりアウターチューブ10内を所定の成膜圧力に減圧する。これに併せて、バイパス弁Ba〜Bdを開き、開閉バルブ33a〜33dを閉じ、キャリアガス供給源からの窒素ガスを流すと、流量調整器3Fa〜3Fdによって流量制御された窒素ガスが、配管Ia〜Id及びバイパス弁Ba〜Bdを通して配管La〜Ldへ流れ、ガス供給管17a〜17dからアウターチューブ10内へ流れる。また、開閉バルブPa〜Pdを開くことにより、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御された窒素ガスが、配管50a〜50dを通して、対応する配管La〜Ldに流れ込み、ガス供給管17a〜17dからアウターチューブ10へ流れる。
【0052】
上述のようにしてアウターチューブ10内へ窒素ガスを流すことにより、アウターチューブ10内をパージしつつ、加熱部20(第1の加熱部21及び第2の加熱部22)への電力を制御することにより、ウエハ支持体16に支持されるサファイア基板Wを所定の温度(例えば850℃〜1050℃)に加熱する。サファイア基板Wの温度は、アウターチューブ10内にウエハ支持体16の長手方向に沿うように配置される一又は複数の熱電対(図示せず)により測定され、測定温度に基づいて制御され、一定に維持される。
【0053】
アウターチューブ10内のパージが完了し、サファイア基板Wの温度が所定の温度で安定した後、GaN膜の成膜を開始する。具体的には、まず、開閉バルブVa〜Vdを開くとともに、開閉バルブPa〜Pdを閉じることにより、流量調整器4Fa〜4Fdによって流量制御されたNH3ガスがアウターチューブ10内へ供給される。これにより、アウターチューブ10内の雰囲気が、窒素雰囲気からNH3雰囲気に変化していく。また、供給されたNH3ガスは、サファイア基板Wの熱により分解する。このとき、サファイア基板Wの表面は、NH3が分解することにより生成されるN原子により窒化される。所定の時間が経過して、アウターチューブ10内のNH3濃度が一定に(NH3ガス供給源における濃度とほぼ等しく)なった後、開閉バルブ33a〜33dを開くとともにバイパス弁Ba〜Bdを閉じることにより、流量調整器3Fa〜3Fdによって流量制御された窒素ガスがガリウム原料槽31a〜31dへ供給され、TMGa蒸気(ガス)を含んだ窒素ガスが配管La〜Ld及びガス供給管17a〜17dを通してアウターチューブ10内へ供給される。アウターチューブ10内に供給されたTMGaはサファイア基板Sの熱により分解し、分解により生成されたGa原子と、NH3の分解により生成されたN原子とがサファイア基板W上で化合してGaN膜が堆積される。
【0054】
以上説明した実施形態によれば、アウターチューブ10の側周面にガス供給管17a〜17dが設けられ、これらからアウターチューブ10内へプロセスガス(例えばTMGa蒸気(ガス)を含むキャリアガスとNH3ガスの混合ガス)が供給される。例えば、アウターチューブ10内において、その長手方向(高さ方向)に下から上へ延び、複数の孔を有するガス供給ノズル内をプロセスガスが流れる場合には、ガス供給ノズルの上端へ向かうほどプロセスガスが加熱されるため、温度が異なるプロセスガスが各ウエハWへ供給されることとなり、プロセスガスによるウエハ処理の均一性が損なわれるおそれがある。しかし、本実施形態によれば、上述のとおり、プロセスガスは、アウターチューブ10の長手方向に沿ってアウターチューブ10内を流れることがなく、アウターチューブ10の側周面に設けられたガス供給管17a〜17dからウエハWへ供給されるため、プロセスガスは、ほぼ等しい温度で各ウエハWに供給され得る。このため、ウエハ処理の均一性を向上することができる。
【0055】
また、アウターチューブ10内を下から上へプロセスガスが流れる場合と異なり、プロセスガスは、ほとんど熱分解(又は熱反応)することなくウエハWへ供給され、ウエハWの熱により熱分解(又は熱反応)することができるため、プロセスガスの利用効率を図ることができる。
【0056】
特に、TMGaとNH3を用いたGaN膜の堆積の場合、アウターチューブ10内を下から上へ延びるガス供給ノズルを用いてTMGaとNH3を供給すると、分解温度が低いTMGaは、ガス供給ノズル内や反応管の気相中で分解してしまい、ガス供給ノズル内や反応管の内面にGaが析出してしまう。そうすると、サファイア基板W上へ堆積するGaN膜の堆積速度が低下したり、析出したGaが剥離してパーティクルとなったりするという問題が生じる。しかし、本実施形態による熱処理装置(成膜装置)によれば、TMGaとNH3がアウターチューブ10内を長い時間流れることはなく、ガス供給管17a〜17dからサファイア基板Wの表面へ直ちに到達できるため、TMGaの分解を抑制して、成膜速度の低下やGaの析出を抑制することが可能となる。
【0057】
また、図1及び図4に示すように、アウターチューブ10が第1の加熱部21に対して偏心して配置され、第1の加熱部21の内側にあるガス供給管17a〜17dの長さが極力短くなっているため、ガス供給管17a〜17dの加熱が抑制される。したがって、ガス供給管17a〜17dが加熱されることによるTMGaの分解もまた抑制することが可能である。
【0058】
以上、幾つかの実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態及び実施例に限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更が可能である。
【0059】
例えば、ガス分散板11b(又は111b、以下同じ)は、スリット群(11s、11t)を除いて不透明であっても良い。これによれば、ウエハWの熱が、ガス分散板11bを通して第1の加熱部21のスリット(23C、24C)から放射されるのを低減することができ、したがって、インナーチューブ11内の温度均一性を向上することが可能となる。具体的には、ガス分散板11bは、多数の微小な泡を内包する石英ガラス(いわゆる不透明ガラス)で作製しても良い。また、透明な石英ガラスで作製したガス分散板11bの一方又は両方の面を例えばサンドブラスト等で荒らすことにより不透明にしても良い。また、ガス分散板11bの一方又は両方の面をシリコンカーバイド(SiC)でコーティングすることにより不透明としても同様な効果が得られる。
【0060】
また、ガス分散板11bは平板に限らず、湾曲していても良い。例えば、インナーチューブ11の側周面とほぼ等しい曲率、又はウエハWの外周とほぼ等しい曲率で湾曲して良い。また、ガス分散板11bをインナーチューブ11と一体に構成しても良い。
また、上述の実施形態においては、ガス分散板11bはインナーチューブ11内においてガス供給孔H1〜H4とウエハ支持体16との間に配置されたが、図11に示すように、アウターチューブ10の内周面に取り付けても良い。この場合、インナーチューブ11には拡張部11aを設ける必要はなく、ガス分散板11bに対応した開口11mを設ければよい。また、図11に示す例においては、インナーチューブ11を設けなくても良い。
【0061】
また、上述の実施形態においては一つの拡張部11aに4つのガス供給孔H1〜H4を設けたが、拡張部11aよりも小さい箱形形状の拡張部を4つ設け、それぞれにガス供給管17a〜17dに対応したガス供給孔を形成しても良い。
また、上述の実施形態においてはインナーチューブ11に取り付けられる拡張部11a(小さい4つの拡張部を含む)はほぼ箱形の形状を有しているが、曲面を有していても良い。例えば、拡張部11aは、半円の上面形状を有していても良い。また、拡張部11aは、インナーチューブ11の外側から内側に向かう方向に沿ってホーン形状に広がるような形状を有していても良い。
【0062】
また、熱処理装置1を用いたGaN膜の成膜を説明したが、これに限らず、例えばジシクロロシラン(SiH2Cl2)ガスとNH3を原料ガスとして用いてシリコンウエハ上に窒化シリコン膜を堆積するために熱処理装置1を用いても良く、シラン(SiH4)ガスを原料ガスとして用いてシリコンウエハ上にポリシリコン膜を堆積するために熱処理装置1を用いても良い。さらに、薄膜の堆積だけでなく、例えばシリコンウエハの熱酸化に熱処理装置1を用いても良い。
【0063】
また、GaN膜の堆積に用いるガリウム原料としては、TMGaではなく、トリエチルガリウム(TEGa)などの他の有機ガリウム原料や、塩化ガリウム(GaCl)を使用して良い。また、トリアルキルガリウムだけでなく、例えばトリメチルインジウム(TMIn)などのトリアルキルインジウムが充填された原料槽をガリウム原料槽31a〜31dの各々と並列に設け、トリアルキルガリウムの蒸気(ガス)を含むキャリアガスと、トリアルキルインジウムの蒸気(ガス)を含むキャリアガスを混合して、アウターチューブ10内へ供給しても良い。これにより、窒化インジウムガリウム(InGaN)を堆積することが可能となる。
【0064】
また、トリアルキルガリウム(かつ/又はトリアルキルインジウム)がガス供給管17a〜17dにおいて分解するのを更に抑制するため、ほぼ同心円状に2つの石英管から構成される二重管でガイド管10a〜10dを形成し(言い換えると、ガイド管10a〜10dにジャケットを設け)、内管の内側からアウターチューブ10内へキャリアガスを流すとともに、内管と外管の間に例えば冷却媒体を流すことにより、アウターチューブ10を冷却することが好ましい。
【0065】
また、アウターチューブ10に設けられる排気管14は、本実施形態においてはガイド管10dの下方に形成されているが、アウターチューブ10におけるガイド管10a〜10dの反対側に相当する位置(対向位置)を避けた位置に形成して良い。例えば、対向位置の側方、下方、又は上方に排気管を形成しても良い。また、対向位置の側方に排気管14を設ける場合、対向位置の両側に一つずつの排気管を設けても良い。さらに、対向位置の側方に、ガイド管10a〜10dに対応して複数の排気管を設けても良い。
【0066】
また、第1の加熱部21は、スリット(23C、24C)を有するほぼ円柱状の形状を有しているが、例えば多角形柱形状を有しても良い。この場合、スリット(23C、24C)は、多角形柱の辺に沿って設けられると好ましい。
【0067】
また、インナーチューブ11内において、下方から上方へ向かって延びるガス導入管を設け、ガス供給管17a〜17dと併用しても良い。この場合、分解温度の低いガスをガス供給管17a〜17dから供給し、分解温度の高いガスをガス導入管から供給することが好ましい。このようにすれば、分解温度の低いガスがウエハWに到達する前に分解するのを抑制することができ、分解温度の高いガスを十分に加熱してからウエハWに到達させることができる。すなわち、ガスの分解温度に応じて、ガスを適切に加熱することが可能となる。
【0068】
また、ガス供給管17a〜17dを二重管構造としても良い。この場合、分解温度の低いガスを内側に供給し、分解温度の高いガスを外側に供給するのが好ましい。このようにすれば、分解温度の低いガスを低温に保ったままウエハに到達させることができる。
【0069】
また、ガイド管10a〜10dの外周に、ヒータや水冷ジャケットを設けても良い。プロセス条件に応じて、ガス温度を容易に調整することができ、成膜効率を向上することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・熱処理装置、4,6・・・ポンプ、10・・・アウターチューブ、10a〜10d・・・ガイド管、11・・・インナーチューブ、12・・・固定治具、16・・・ウエハ支持体、17a〜17d・・・ガス供給管、20・・・加熱部、21・・・第1の加熱部、22D・・・上端排気口、22・・・第2の加熱部、23・・・筒状体、23C・・・スリット、13・・・ベースプレート、24・・・絶縁体、24C・・・スリット、25・・・発熱体、26・・・断熱体、70・・・取付け治具、71・・・固定リング、72・・・回動部、72L・・・レバー、77・・・基部、W・・・ウエハ(又はサファイア基板)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を多段に支持する支持体と、
前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、該反応管の長手方向に配列され前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管と、
前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端と、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材であって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、
前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部と
を備える熱処理装置。
【請求項2】
前記反応管の内側かつ前記支持体の外側に配置され、前記複数のガス供給管に対応する複数のガス供給孔が設けられる内管を更に備え、
前記板状部材が、前記複数のガス供給孔と前記支持体との間に配置される、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記内管が、外側に局所的に拡張する拡張部を有し、該拡張部に前記複数のガス供給孔が形成される、請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記内管の下面を支持することができ、外周面から外方に突出する複数の鍔部を有する環状部材を更に備え、
前記反応管が、下端部において、内周面から窪み内周方向に沿って内周全体に亘る溝部を含み、
前記複数の鍔部が前記溝部に支持されることにより、前記内管が前記反応管に支持される、請求項2又は3に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記反応管が、前記複数の鍔部に対応して設けられ、下端から前記溝部に至る複数の切欠部を更に含む、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記反応管が、前記複数のガス供給管に対応して形成され前記複数のガス供給管を支持する複数の支持管を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記板状部材が、前記反応管の内面に対して取り付けられる、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記板状部材が不透明に形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記板状部材の前記開口部が複数のスリットを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項1】
複数の基板を多段に支持する支持体と、
前記支持体を内部に収容可能な反応管であって、該反応管の長手方向に配列され前記反応管の内部にガスを供給する複数のガス供給管が設けられる当該反応管と、
前記反応管内において、前記複数のガス供給管の開口端と、前記反応管内に収容される前記支持体との間に配置される板状部材であって、前記複数のガス供給管に対応して形成される開口部が設けられる当該板状部材と、
前記反応管の外側に配置され、前記反応管内に収容される前記支持体により支持される前記複数の基板を加熱可能な加熱部と
を備える熱処理装置。
【請求項2】
前記反応管の内側かつ前記支持体の外側に配置され、前記複数のガス供給管に対応する複数のガス供給孔が設けられる内管を更に備え、
前記板状部材が、前記複数のガス供給孔と前記支持体との間に配置される、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項3】
前記内管が、外側に局所的に拡張する拡張部を有し、該拡張部に前記複数のガス供給孔が形成される、請求項2に記載の熱処理装置。
【請求項4】
前記内管の下面を支持することができ、外周面から外方に突出する複数の鍔部を有する環状部材を更に備え、
前記反応管が、下端部において、内周面から窪み内周方向に沿って内周全体に亘る溝部を含み、
前記複数の鍔部が前記溝部に支持されることにより、前記内管が前記反応管に支持される、請求項2又は3に記載の熱処理装置。
【請求項5】
前記反応管が、前記複数の鍔部に対応して設けられ、下端から前記溝部に至る複数の切欠部を更に含む、請求項4に記載の熱処理装置。
【請求項6】
前記反応管が、前記複数のガス供給管に対応して形成され前記複数のガス供給管を支持する複数の支持管を更に備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項7】
前記板状部材が、前記反応管の内面に対して取り付けられる、請求項1に記載の熱処理装置。
【請求項8】
前記板状部材が不透明に形成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【請求項9】
前記板状部材の前記開口部が複数のスリットを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図8】
【公開番号】特開2012−227265(P2012−227265A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92188(P2011−92188)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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