説明

目的地情報提供システム

【課題】目的地までの距離に応じて目的地周辺情報の内容を適宜変化させることにより、目的地から遠く離れた場所から目的地付近に至る各段階でそれぞれユーザにとって有益な目的地周辺情報を提供すること。
【解決手段】ナビゲーション装置10から送られて来る目的地情報に基づいてナビゲーション装置10の目的地を登録する情報サーバ12と、ナビゲーション装置10から送られて来る位置情報に基づいてナビゲーション装置10の現在位置を管理する位置管理サーバ13と、ナビゲーション装置10に対して目的地周辺情報を配信する計算サーバ14とを備える。計算サーバ14は、ナビゲーション装置10の現在位置と目的地とから目的地接近度を求め、この求めた目的地接近度に応じて目的地周辺情報を切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載した端末に対して通信網経由で目的地周辺の情報を提供する目的地情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されたナビゲーション装置に車外の道路交通情報や他のさまざまの情報をリアルタイムで取得できるような技術が開発されてきている。例えば、自車位置周辺又は目的地周辺の情報を検索して表示するナビゲーションシステムが考えられている。
【0003】
また、地域ごとにその地域において取得すべき情報の種別を設定しておき、現在位置もしくは指定地点が、予め記憶させた地域にあることを判定して、自動的に設定種別の情報を取得する通信型ナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、従来のナビゲーション装置は、特許文献1記載のように自車位置の周辺情報は自車位置の変化に応じて変化させることができるが、目的地周辺情報は目的地に到着するまで変化させることはなく同じ情報が提供され続けていた。
【特許文献1】特開2001−99663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、まだ目的地から遠く離れた場所にいる場合と既に目的地付近まで来ている場合とでは、目的地周辺情報であってもユーザにとって有益な知りたい情報は必ずしも一致しないと考えられる。例えば、目的地から遠く離れた場所にいる段階で目的地周辺の詳細情報を提供されてもその時点では当該情報は十分に活用されない場合が多いと予想される。一方、既に目的地付近に到着している段階で、目的地の気象情報を提供してもユーザにとり有益な情報とはなり得ない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、目的地までの接近度に応じて目的地周辺情報の内容を適宜変化させることにより、目的地から遠く離れた場所から目的地付近に至る各段階でそれぞれユーザにとって有益な目的地周辺情報が提供される目的地情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的地情報提供システムは、移動体端末から送られて来る目的地情報に基づいて当該移動体端末の目的地を登録する登録手段と、移動体端末から送られて来る位置情報に基づいて当該移動体端末の現在位置を管理する位置管理手段と、移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地接近度を求め、この求めた目的地接近度に応じて前記移動体端末に提供する目的地周辺情報を切替える情報提供手段と、を具備したことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、目的地登録を行った移動体端末の目的地接近度に応じて移動体端末に提供する目的地周辺情報を切替えることができるので、目的地から遠く離れた場所から目的地付近に至る各段階でそれぞれユーザにとって有益な目的地周辺情報を提供することができる。なお、目的地接近度は、移動体端末の現在位置から目的地までの距離情報であっても良いし、出発位置から目的地までの行程を幾つかの区分に分けた場合の各区分情報であっても良い。
【0009】
また本発明は、上記目的地情報提供システムにおいて、前記情報提供手段は、少なくとも出発地点付近の区間、前記出発地点付近の区間を通過後で目的地から離れている中間付近の区間、及び目的地付近の区間に対応して定めた目的地接近度に基づいて目的地周辺情報を切替えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、出発地点付近と中間付近と目的地付近との各区間において、同一目的地に関する目的地周辺情報であっても、各区間で提供されるのにふさわしい情報が区間毎に提供されるものとなる。
【0011】
なお、出発地点付近の区間では、目的地付近の気象情報、目的地方面の交通情報、目的地付近の直近の状況、目的付近に関する重要関連情報のうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することが望ましい。
【0012】
また、中間付近の区間では、目的地付近の歴史、目的地付近の文化、目的地付近のみどころのうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することが望ましい。
【0013】
また、目的地付近の区間では、目的地付近の文化財施設、目的地付近のレジャー施設、レストラン、駐車場のうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することが望ましい。
【0014】
また本発明は、上記目的地情報提供システムにおいて、前記情報提供手段は、案内ガイドと各区間で提供すべき目的地周辺情報とを定めた案内シナリオを作成するシナリオ作成手段と、前記作成された案内シナリオにしたがって目的地接近度に応じた目的地周辺情報を前記移動体端末へ配信する配信手段と、を具備したことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記目的地情報提供システムにおいて、前記シナリオ作成手段は、移動体端末から送られて来る編集条件に基づいて、案内シナリオを編集することを特徴とする。
【0016】
これにより、移動体端末においてユーザが所望の編集条件を入力することにより、ユーザの要望に即した案内シナリオを作成することができる。
【0017】
なお、編集条件の一つとして乗車目的を用いることができる。乗車目的を用いて案内シナリオを編集することで、乗車目的に応じた目的地周辺情報を適宜提供することが可能になる。
【0018】
また本発明は、上記目的地情報提供システムにおいて、前記移動体端末は、目的地までのルートを地図情報と共に提示すると共に通信インフラ経由でデータ通信を行う通信機能を有するナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、移動体端末から送られて来る目的地情報に基づいて当該移動体端末の目的地を登録する工程と、移動体端末から送られて来る位置情報に基づいて当該移動体端末の現在位置を管理する工程と、移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地接近度を求め、この求めた目的地接近度に応じた目的地周辺情報を前記移動体端末に提供する工程と、を具備したことを特徴とする目的地情報提供方法である。
【0020】
また本発明は、上記目的地情報提供方法において、目的地を登録した移動体端末に関して、少なくとも出発地点付近の区間と前記出発地点付近の区間を通過後で目的地から離れている中間付近の区間と目的地付近の区間とに区分され各区間で提供すべき目的地周辺情報を定めた案内シナリオを作成する行程と、移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地までの距離を計算する行程と、計算した目的地までの距離に基づいて前記案内シナリオから該当区間の目的地周辺情報を求める行程と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、目的地までの目的地接近度に応じて目的地周辺情報を柔軟に変化させることができ、目的地から遠く離れた場所から目的地付近に至る各段階でそれぞれユーザにとって有益な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態は、本発明の目的地情報提供システム及びその方法をナビゲーションシステムに適用した一例であり、移動体端末は自動車に搭載されるナビゲーション装置である。
【0023】
図1は本実施の形態に係る目的地情報提供システムの概略的な構成図である。ナビゲーション装置10は、道路周辺に通信インフラとして整備された通信ネットワーク11との間で無線通信を行う無線通信機能を備えている。目的地情報提供システムとナビゲーション装置10との間で通信ネットワーク11を経由した通信を行うことにより、目的地情報提供システムからナビゲーション装置10に対して目的地接近度に応じた目的地周辺情報の提供を行う。
【0024】
本実施の形態の目的地情報提供システムは、自動車に搭載したナビゲーション装置10から目的地データが登録される情報サーバ12、ナビゲーション装置10の現在位置を管理する位置管理サーバ13、ナビゲーション装置10に対して目的地接近度に応じて適宜適切な目的地周辺情報を提供する計算サーバ14を備える。ナビゲーションシステムの主な構成要素である情報サーバ12、位置管理サーバ13及び計算サーバ14は、高速データ通信用の専用線で接続されているものとする。但し、本発明は目的地情報提供システムとしての機能を3つのサーバに分散する構成に限定されるものではなく、1つのサーバで実現しても良いし、複数の計算サーバ14を分散配置するようにシステム構築しても良い。
【0025】
ここで、上記目的地情報提供システムの詳細なシステム構成を説明する前に、本実施の形態によりナビゲーション装置10に提供される目的地周辺情報に関して、図6を参照して説明する。
【0026】
ナビゲーション装置10から送信された目的地に関する設定情報にしたがって情報サーバ12に目的地が登録されているものとする。図6において、A位置(エリアを含む)は登録目的地から十分に離れた場所となる出発地点付近であり、C位置(エリアを含む)は登録目的地に近い場所となる目的地付近である。またB位置(エリアを含む)はA位置からC位置に至る途中の場所となる中間地点である。本実施の形態は、A位置、B位置、C位置のそれぞれの段階で目的地周辺情報をナビゲーション装置10に対して提供するが、その提供情報の内容を目的地までの接近度(以下、「目的地接近度」という)に応じて適切な情報内容となるように変化させる。具体的には、次のような考え方に基づいて情報を区分けしている。
【0027】
ナビゲーション装置10がA位置にいる段階では、目的地から十分に離れた出発地点付近で提供するのに適した目的地周辺情報(1)を提供する。例えば、目的地付近における現在の気象状況、目的地方面の交通情報、目的地付近のまず知っておきたい直近の状況(被災地である等)、目的地に関する重要関連情報、が目的地周辺情報(1)の一例として挙げられる。
【0028】
ナビゲーション装置10がB位置にいる段階では、目的地から離れていて目的地までの中間付近で提供するのに適した目的地周辺情報(2)を提供する。例えば、目的地に関する歴史・文化情報、みどころ、目的地での行動プランを考えるのに役立つ情報、が目的地周辺情報(2)の一例として挙げられる。なお、目的地周辺情報(2)は、高速道路の走行時などルートガイドを頻繁に使う必要の無い行程で提供することが望ましい。
【0029】
ナビゲーション装置10がC位置にいる段階では、目的地付近で提供するのに適した目的地周辺情報(3)を提供する。例えば、目的地付近の文化財施設(神社・仏閣等)、レジャー施設(テーマパーク、遊園地、公園等)、駐車場、レストラン、ホテル、景勝地、その他のみどころが目的地周辺情報(3)の一例として挙げられる。
【0030】
なお、図6に示す例では目的地周辺情報を3つに分類しているが、さらに細分化して目的地接近度に応じて適時提供するようにしても良い。また、上記情報の区分けは一例であり、施設・景勝地の著名度によっては当該著名施設等の概要情報を目的地周辺情報(1)に含ませても良い。
【0031】
次に、以上のように目的地接近度に応じて選択された目的地周辺情報を提供する目的地情報提供システムのシステム構成について説明する。
【0032】
図2は計算サーバ14の機能ブロック図である。
計算サーバ14は、目的地接近度に応じて適切な目的地周辺情報を提供するためのシナリオを作成するコンパイラー21と、目的地周辺情報となる各種の情報が登録される共に必要な情報を取得するデータ部22と、ナビゲーション装置10の目的地接近度(距離)を計算する目的地距離計算部23と、作成シナリオにしたがって目的地接近度に応じた情報を目的地周辺情報としてナビゲーション装置10に配信するプロセス・フォーカシングデータ配信部24と、を備えている。
【0033】
コンパイラー21は、データ部22に格納された種々の情報の中からどの情報を目的地周辺情報としてどのタイミング(目的地接近度)で提供するかを定めた案内シナリオを作成する。本実施の形態は編集条件に応じてシナリオを編集する機能を持たせている。編集条件はナビゲーション装置10に対してユーザが任意に入力する情報であり、目的地情報と共に情報サーバ12を経由して計算サーバ14へ通知される。編集条件として乗車目的、乗車人数等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0034】
図3及び図4はデータ部22のデータ構成を説明するための説明図である。図3に示すように、原則として本システムで提供される全情報が登録されており、各情報を識別するための登録情報インデックス31と実際に配信される情報コンテンツとなる登録情報32とを対応付けて登録している。気象情報や交通情報等のリアルタイムで変化する情報については定期的に他のサーバ(交通情報提供サーバ、気象情報提供サーバ等)から取り込んで更新するものとするが、シナリオにより提供タイミングは予め判るので、提供時期の直前に他のサーバから取得するようにしても良いし、情報提供時に前回更新日時から所定時間経過している場合だけ他のサーバから取得するようにしても良い。
【0035】
本実施の形態は、登録目的地に応じてその付近の情報を目的地周辺情報としてデータ部22から検索し、かつ検索された目的地周辺情報を上記目的地周辺情報(1)〜(3)のように目的地接近度から見て提供に適した情報であるか否かといった観点から分類してシナリオ作成している。
【0036】
このとき、本実施の形態では、目的地接近度から見て提供に適した情報であるか否か判断するために、個々の登録情報32に任意に設定した属性情報を用いている。図4に示す一例では、目的地接近度32、時間帯33、乗車目的34、エリア番号35、情報種別36を属性情報として設定している。但し、属性情報は、目的地周辺情報の検索方式やシナリオの作成方法により適宜適当な属性情報を設定することが望ましい。
【0037】
目的地接近度32は、上述した通り目的地にどの程度まで接近した段階で提供すべき情報であるかを示す属性情報である。例えば、目的地から遠く離れた出発地付近で提供すべき情報は「A」、出発地付近から目的地に至る途中の高速道路走行時に提供すべき情報は「B1」「B2」とする。また目的地付近において提供すべき情報は「D」とする。「B1」は主として概要説明で構成された情報コンテンツであり、「B2」は概要説明より詳細な内容となる情報コンテンツである。
【0038】
なお、図4には示されていないが、出発地付近から目的地に至る途中で提供すべき情報であって、高速道路から下りた段階又は高速道路を使わないルートにおいて提供すべき情報は「C」とする。例えば、目的地までの最短ルートではなく、途中の景勝地を経由するルート(以下、「地区ルート」という)などの情報が該当する。地区ルートは登録目的地及び現在位置情報に基づいてデータ部22又は他のサーバが作成するものとする。
【0039】
時間帯33は、当該情報を提供する時間帯が制限されることを示す属性情報である。例えば、レストランの場合、昼食時間帯、夕食時間帯以外であれば、メニュー内容、料金、サービスにまで踏み込んだ詳細情報はユーザにとって不要である。例えば、目的地に深夜に到着したのであれば、レストラン情報の提供を制限することは情報の氾濫を抑制する上で効果的である。時間帯33に情報が設定されている場合は当該設定時間以外では情報配信しないようにする。
【0040】
乗車目的34は、編集条件の一つであり、ユーザの乗車目的に応じて優先的に提供すべき情報であることを示す属性情報である。例えば、乗車目的として、観光、スポーツ、レジャー、帰省などが挙げられる。遺跡、景勝地に関する情報であれば、観光が属性情報として設定され、ゴルフ場、スキー場、魚釣り場に関する情報であれば、スポーツが属性情報として設定され、さらにテーマパークに関する情報であれば、レジャーが属性情報として設定される。ユーザの乗車目的がスポーツであった場合に、遺跡、景勝地に関する情報を提供してもユーザにとって有益ではないので、そのような望まない情報はできる限り提供されないようにするのに用いることができる。
【0041】
エリア番号35は、当該情報が属するエリアの識別番号である。全国を大きく複数のブロックに分け、さらにブロック内を複数のエリアに分割して各エリアにエリア番号を付しておく。例えば、登録目的地を中心とした所定範囲を目的地周辺と定義して、当該目的地周辺に含まれたエリア番号に基づいてデータ部22から抽出された情報を目的地周辺情報として扱うようにする。
【0042】
情報種別36は、当該情報のカテゴリーを示す属性情報である。例えば、交通情報、歴史、文化、レジャー施設、レストラン、気象情報等で情報のカテゴリーを現すものとする。後述するシナリオの編集過程において乗車目的34と情報種別36とを用いてフィルタリング編集する。
【0043】
目的地距離計算部23は、情報サーバ12から登録目的地を取り込む一方、位置管理サーバ13から目的地登録したナビゲーション装置10の現在位置を取り込む。そして、登録目的地と現在位置とから現在位置から目的地までの距離を計算する。距離計算結果はプロセス・フォーカシングデータ配信部24へ供給する。また、登録目的地及び現在位置に関する情報はコンパイラー21にも渡される。コンパイラー21は登録目的地及び現在位置に関する情報を用いて地区ルートに関する情報を取得する。
【0044】
プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、コンパイラー21によって生成された案内シナリオにしたがってデータ部22から該当する目的地周辺情報を取り出し、目的地登録したナビゲーション装置10に配信する。本実施の形態では、プロセス・フォーカシングデータ配信部24が案内シナリオにしたがって所定のタイミングで目的地周辺情報を配信する。なお、プロセス・フォーカシングデータ配信部24からナビゲーション装置10へのデータ配信は、ナビゲーション装置10からの目的地情報検索要求を受けて行うようにしても良い。
【0045】
ナビゲーション装置10は、自動車に搭載されるものであり、自動車電話、携帯電話、PHS又は無線LAN等の無線通信機能を有している。本実施の形態では、ナビゲーション装置10が携帯電話の無線通信モジュールを内蔵するものとし、携帯電話網の通信インフラ(11)を使用して各種サーバ12〜14と通信を行うようにする。
【0046】
図5はナビゲーション装置10の機能ブロック図である。
CPU41は、ナビゲーション装置10の全体の動作制御を行う部分である。位置検出手段42は、GPS受信器、方位センサ、車速センサなどにより構成され、現在位置を検出してCPU41に伝送する。大容量記憶手段43は、CD−ROM、DVD−ROMなどにより構成され、地図データなどが記録されている。入力手段44は、ユーザがナビゲーション装置10に指示を与えるインターフェース部分である。通信手段45は、携帯電話の無線通信モジュールで構成されており、無線を用いて通信ネットワーク11と情報通信を行い、取得した情報は読み書き可能な記憶手段46に記憶する。表示手段47は地図データや各種情報を表示する部分である。
【0047】
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
出発地点において、ナビゲーション装置10の入力手段44を操作して目的地を設定する。CPU41は、入力手段44の操作に基づいて設定された目的地情報を通信手段45から通信ネットワーク11経由で情報サーバ12に登録要求する。また、CPU41は、ユーザが乗車目的を入力した場合、乗車目的情報を目的地情報と一緒に情報サーバ12へ送る。一方、CPU41は、位置検出手段42から入力される現在位置情報を通信手段45から通信ネットワーク11経由で位置管理サーバ13に送信する。位置管理サーバ13に対する現在位置情報の送信は案内開始後から所定周期で行われる。
【0048】
情報サーバ12は、ナビゲーション装置10からの登録要求を受けてサーバ上に目的地登録を行う。目的地登録した後、目的地登録を行ったナビゲーション装置10の通信手段45の識別番号及び登録目的地情報を計算サーバ14へ通知する。このとき、乗車目的情報がある場合は乗車目的情報計算サーバ14へ通知する。位置管理サーバ13は通信手段45の識別番号及び受信した現在位置情報を計算サーバ14へ通知する。
【0049】
計算サーバ14は、情報サーバ12で新たに目的地登録が発生すると、コンパイラー21がシナリオ作成を実行する。作成するシナリオは情報配信先となる通信手段45の識別番号に基づいて管理される。
【0050】
図7はコンパイラー21によるシナリオ作成開始からシナリオ出力までの主な工程を示すフロー図である。コンパイラー21には案内シナリオがパターン化されて保存されている。案内シナリオは、出発位置から目的地までの全工程において、どの区間でどの目的地接近度32の情報を提供するかを定めたものである。具体的には、シナリオパターンは、全行程の前半部分である出発位置付近と、全行程の中間部分である例えば高速道路走行区間と、全行程の中間部分であり高速道路を降りて目的地に向かう途中区間と、全行程の後半部分である目的地付近とに区分されている。
【0051】
このようなシナリオパターンの各区分に対して属性情報を利用してデータ部22から該当する目的地周辺情報を取り出して分類し、各目的地周辺情報をそれぞれ対応する区分に書き込むことで編集前のシナリオが作成される。
【0052】
具体的な処理の一例を説明する。登録目的地を中心とした所定範囲を目的地周辺と定義し、当該目的地周辺に含まれたエリア番号35が属性情報に設定された情報をデータ部22から目的地周辺情報として抽出する。
【0053】
データ部22から抽出した目的地周辺情報を、各目的地周辺情報に設定された属性情報である目的地接近度32を利用してシナリオ内のどの区分に入るか分類する。図4に示す例示を参照して説明する。目的地接近度Aが設定された登録情報インデックス1,6は、シナリオパターンにおける「出発位置付近」の区分に書き込み、目的地接近度B1、B2が設定された登録情報インデックス2,4は、シナリオパターンにおける「高速道路走行区間」の区分に書き込む。また目的地接近度Dが設定された登録情報インデックス3,5は、シナリオパターンにおける「目的地付近」の区分に書き込む。この結果、「出発位置付近」でどのような目的地周辺情報を提供し、「高速道路走行区間」ではどのような目的地周辺情報を提供し、高速道路を降りて目的地に向かう「途中区間」ではどのような目的地周辺情報を提供し、「目的地付近」ではどのような目的地周辺情報を提供するかを具体的に定めた案内シナリオ(未編集)が生成されたことになる。
【0054】
次に、案内シナリオ(未編集)をナビゲーション装置10から通知された乗車目的情報を用いて編集する。編集工程では案内シナリオ(未編集)に書き込まれた目的地周辺情報の中からユーザによって必要度が低いと予想される情報を取り除く処理を行う。例えば、乗車目的がスポーツであった場合、遺跡、景勝地に関する情報種別36である「歴史」「観光」が設定された情報を案内シナリオ(未編集)から削除する。
【0055】
なお、同時に複数の乗車目的を設定可能にして、例えば乗車目的としてスポーツと観光の両方を設定することにより、OR条件で該当情報を案内シナリオ(未編集)に残すようにしても良い。
【0056】
また、案内シナリオの編集に用いることのできる情報は乗車目的に限定されない。例えば、乗車人数を用いるようにしても良い。乗車人数が複数人である場合は、テーマパーク等のレジャー施設が優先的に提供されるように編集することができる。
【0057】
次に、案内シナリオの配分計算を行う。シナリオ内の各区分に入れるデータ量を計算する。出発位置情報と目的地情報とルート情報とから、シナリオ内の各区分(「出発位置付近」「高速道路走行区間」「途中区間」「目的地付近」)の時間配分とデータ量の配分を決定する。ルート情報に関しては、計算サーバ14が出発位置情報と目的地情報とを用いて他のサーバから取得することとしてもよいし、ナビゲーション装置10から取得するようにしても良い。正確なルート情報を得るためにはナビゲーション装置10から取得することが望ましい。また、案内シナリオの各区分には目的地周辺情報が書き込まれているので、区分ごとにデータ量を計算する。
【0058】
次に、案内シナリオの各区分に対して実際にデータ配分を行う。上記配分計算の工程で案内シナリオの各区分に対する時間配分とデータ量とが計算されているので、各区分に配分されたデータ量(時間)の範囲内で該当目的地周辺情報を書き込む。該当区分に入りきらない目的地周辺情報はこの時点で削除される。また、走行ルートに「高速道路走行区間」が存在しないような場合は、当該区間で提供される予定であった目的地周辺情報は案内シナリオから削除される。なお、案内シナリオには案内メッセージデータが適宜挿入される。例えば、案内シナリオの先頭には開始メッセージが挿入される。
【0059】
以上のようにして作成された案内シナリオは、プロセス・フォーカシングデータ配信部24から読み込み可能なメモリに保存される。
【0060】
図8は、作成された案内シナリオに基づいてプロセス・フォーカシングデータ配信部24が情報配信を行う様子を示す案内シナリオの概念図である。プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、案内ガイドが開始されるとナビゲーション装置10に対して案内ガイドが開始されたことを告げる開始メッセージを送信する。ナビゲーション装置10では通信ネットワーク11経由で開始メッセージを受信して開始メッセージを音声出力すると共に表示手段47に当該開始メッセージを表示させる。
【0061】
案内ガイドの開始後は案内シナリオに基づいて情報提供を行う。すなわち、ナビゲーション装置10から現在地情報が位置管理サーバ13に上げられ、その現在位置情報を位置管理サーバ13から計算サーバ14に送信する。目的地距離計算部23が目的地までの距離情報をプロセス・フォーカシングデータ配信部24に入力する。
【0062】
プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、目的地距離計算部23から入力される距離情報から現在位置が案内シナリオのどの区分に属しているか判断する。案内ガイド開始直後であれば、案内シナリオの「出発位置付近」の区分に登録されている目的地周辺情報を読み出してナビゲーション装置10へ配信する。具体的には、案内シナリオの「出発位置付近」の区分に登録されている登録情報インデックス31を読み出し、当該登録情報インデックス31を用いてデータ部22から該当する情報コンテンツを取得し、ナビゲーション装置10の通信手段45を最終的な宛先として通信ネットワーク11へ送出する。「出発位置付近」では、図8における最新現況データとして目的地付近の気象情報や交通情報などが配信される。
【0063】
プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、距離情報から現在位置が案内シナリオにおける「高速道路走行区間」の区分に入ったと判断すると、図8に示すように提供情報の内容を「出発位置付近」で提供すべき情報から「高速道路走行区間」で提供すべき情報に切替える。図8に示す案内シナリオの例では、「高速道路走行区間」であって目的地接近度B1の区間では、歴史・文化又はルート等の概略(全体的説明)の情報を提供し、目的地接近度B1の区間では全体的説明よりも詳しい歴史・文化等の情報を提供している。なお、ルートに高速道路走行が含まれない場合は、案内シナリオからこれらの情報提供は削除されていて提供されない。
【0064】
プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、距離情報から現在位置が案内シナリオにおける「高速道路走行区間」から「途中区間」の区分に入ったと判断すると、図8に示すように提供情報の内容を「途中区間」で提供すべき情報に切替える。案内シナリオにおける「途中区間」の区分に登録された登録情報インデックス31を読み出してデータ部22から該当する情報コンテンツを読み出す。例えば、地区ルート情報が配信される。地区ルートは登録目的地及び現在位置情報に基づいてデータ部22又は他のサーバが作成してデータ部22に登録している。
【0065】
プロセス・フォーカシングデータ配信部24は、距離情報から現在位置が案内シナリオにおける「途中区間」から「目的地付近」の区分に入ったと判断すると、図8に示すように提供情報の内容を「目的地付近」で提供すべき情報に切替える。例えば、目的地付近の施設に関する情報が提供される。「目的地付近」で提供される施設情報は商品、サービス、イベント等に階層化しておくことが望ましい。そしてナビゲーション装置10からの要求を受けて提供情報の階層を深くしていくように制御する。このとき、音声による案内メッセージも併せて提供する。ユーザは目的地付近において興味の有る施設に関する情報は詳細に知ることができ、興味の無い情報に関して詳細な情報が強制的に提供されることを規制できる。
【0066】
なお、配信情報の属性情報に時間帯33が設定されている場合は、現在時刻が時間帯33に設定された時間帯に含まれているか否か判断する。現在時刻が時間帯33に設定された時間帯に入っていない場合は当該情報の配信は行わない。
【0067】
このように本実施の形態は、出発位置から目的地に至る行程を「出発位置付近」「高速道路走行区間」「途中区間」「目的地付近」のように目的地接近度に応じて複数の区分に分け、ナビゲーション装置10が各区分まできたら当該区分においてユーザにとって有益な目的地周辺情報を提供するようにした。この結果、ユーザはナビゲーション装置10を使って目的地から遠く離れた場所から目的地付近に至る各段階でそれぞれ適切な目的地周辺情報を受けることができる。
【0068】
なお、本発明は上記一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。例えば、全ての登録情報32(情報コンテンツ)に属性情報として目的地接近度32を設定しているが、エリア単位で目的地接近度に応じて情報が登録されるアドレス空間を定めておき、アドレス空間に応じて目的地接近度がわかるようにしても良い。
【0069】
また、目的地情報提供システムを3つのサーバ12,13,14で構築しているが、同様の機能を実現できるのであれば、サーバ数は特に限定されるものではない。特に、計算サーバ14におけるデータ部22は単一のデータベースに限定されるものではなく、複数のデータベースを連携させるようにしても良い。
【0070】
また、以上の説明ではカーナビゲーション装置と目的地情報提供システムとの連携を前提にして説明したが、カーナビゲーション装置以外の移動体端末と連携させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、自動車に搭載したナビゲーション装置に対して通信網経由で目的地周辺の情報を提供する目的地情報提供システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態に係る目的地情報提供システムのシステム構成図
【図2】上記一実施の形態における計算サーバの機能ブロック図
【図3】計算サーバにおけるデータ部の構成図
【図4】計算サーバにおけるデータ部の属性情報の構成を示すデータ構成図
【図5】上記一実施の形態におけるナビゲーション装置の機能ブロック図
【図6】上記一実施の形態における目的地周辺情報の概念図
【図7】計算サーバにおけるコンパイラーのシナリオ作成工程を示すフロー図
【図8】案内シナリオに基づいた情報提供の状況を示す図
【符号の説明】
【0073】
10 ナビゲーション装置
11 通信ネットワーク
12 情報サーバ
13 位置管理サーバ
14 計算サーバ
21 コンパイラー
22 データ部
23 目的地距離計算部
24 プロセス・フォーカシングデータ配信部
31 登録情報インデックス
32 目的地接近度
33 時間帯
34 乗車目的
35 エリア番号
36 情報種別
41 CPU
42 位置検出手段
43 大容量記憶手段
44 入力手段
45 通信手段
46 情報記憶手段
47 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末から送られて来る目的地情報に基づいて当該移動体端末の目的地を登録する登録手段と、
移動体端末から送られて来る位置情報に基づいて当該移動体端末の現在位置を管理する位置管理手段と、
移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地接近度を求め、この求めた目的地接近度に応じて前記移動体端末に提供する目的地周辺情報を切替える情報提供手段と、
を具備したことを特徴とする目的地情報提供システム。
【請求項2】
前記情報提供手段は、少なくとも出発地点付近の区間、前記出発地点付近の区間を通過後で目的地から離れている中間付近の区間、及び目的地付近の区間に対応して定めた目的地接近度に基づいて目的地周辺情報を切替えることを特徴とする請求項1記載の目的地情報提供システム。
【請求項3】
前記情報提供手段は、前記出発地点付近の区間では、目的地付近の気象情報、目的地方面の交通情報、目的地付近の直近の状況、目的付近に関する重要関連情報のうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することを特徴とする請求項2記載の目的地情報提供システム。
【請求項4】
前記情報提供手段は、前記中間付近の区間では、目的地付近の歴史、目的地付近の文化、目的地付近のみどころのうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の目的地情報提供システム。
【請求項5】
前記情報提供手段は、前記目的地付近の区間では、目的地付近の文化財施設、目的地付近のレジャー施設、レストラン、駐車場のうちの少なくとも一つを目的地周辺情報として提供することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の目的地情報提供システム。
【請求項6】
前記情報提供手段は、案内ガイドと各区間で提供すべき目的地周辺情報とを定めた案内シナリオを作成するシナリオ作成手段と、前記作成された案内シナリオにしたがって目的地接近度に応じた目的地周辺情報を前記移動体端末へ配信する配信手段と、を具備したことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の目的地情報提供システム。
【請求項7】
前記シナリオ作成手段は、移動体端末から送られて来る編集条件に基づいて、案内シナリオを編集することを特徴とする請求項6記載の目的地情報提供システム。
【請求項8】
前記シナリオ作成手段は、編集条件の一つとして乗車目的を用いて案内シナリオを編集することを特徴とする請求項7記載の目的地情報提供システム。
【請求項9】
前記移動体端末は、目的地までのルートを地図情報と共に提示すると共に通信インフラ経由でデータ通信を行う通信機能を有するナビゲーション装置であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の目的地情報提供システム。
【請求項10】
移動体端末から送られて来る目的地情報に基づいて当該移動体端末の目的地を登録する工程と、
移動体端末から送られて来る位置情報に基づいて当該移動体端末の現在位置を管理する工程と、
移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地接近度を求め、この求めた目的地接近度に応じた目的地周辺情報を前記移動体端末に提供する工程と、
を具備したことを特徴とする目的地情報提供方法。
【請求項11】
目的地を登録した移動体端末に関して、少なくとも出発地点付近の区間と前記出発地点付近の区間を通過後で目的地から離れている中間付近の区間と目的地付近の区間とに区分され各区間で提供すべき目的地周辺情報を定めた案内シナリオを作成する行程と、移動体端末の現在位置と当該移動体端末の目的地とから目的地までの距離を計算する行程と、計算した目的地までの距離に基づいて前記案内シナリオから該当区間の目的地周辺情報を求める行程と、を具備したことを特徴とする請求項10記載の目的地情報提供方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−198879(P2007−198879A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17192(P2006−17192)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】