説明

研削方法

【課題】ウエーハに面焼け等の品質低下や破損を生じさせる恐れを低減可能な研削方法を提供する。
【解決手段】回転可能なチャックテーブル54と、該チャックテーブルで保持された被加工物11を研削する研削砥石32を含む研削ホイール30を回転可能に支持する研削手段と、該研削手段を研削送りする研削送り手段と、該研削砥石32に超音波振動を付与する超音波生成手段と、を備えた研削装置で、被加工物11を保持ステップと、該チャックテーブル54を回転させつつ該超音波生成手段を作動させて該研削砥石32に超音波振動を付与するとともに、該研削送り手段により該研削手段を研削送りして回転する該研削砥石32を被加工物11に削り込ませるステップと、該削り込みステップを実施した後、該超音波生成手段を停止させるとともに該研削送り手段により該研削手段を研削送りして被加工物11を研削する研削ステップと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を研削する研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の数多くのデバイスが表面に形成され、且つ個々のデバイスが分割予定ライン(ストリート)によって区画された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚みに加工された後、切削装置(ダイシング装置)によって分割予定ラインを切削して個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の各種電気機器に広く利用されている。
【0003】
ウエーハの裏面を研削する研削装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを研削する研削砥石を有する研削ホイールを回転可能に支持する研削手段とを備えていて、ウエーハを高精度に所望の厚みに研削できる。
【0004】
一般にウエーハを研削する際、加工時間を短縮するとともに高精度にウエーハを平坦化するために、粗い砥粒の粗研削砥石でウエーハを研削した後、細かい砥粒の仕上げ研削砥石でウエーハを研削し、所望の厚みへと薄化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般にシリコンウエーハやサファイアウエーハ等は表裏両面が鏡面仕上げされた後、その表面に半導体層が成膜される。よって、表面に半導体層を有するウエーハの裏面を研削する際には、裏面が鏡面仕上げされているため、ウエーハに対して研削砥石が削り込まない、所謂食いつき不良が生じることがある。
【0007】
食いつき不良が発生するとウエーハに面焼けが生じたり、研削送りに伴い押圧力が増大してウエーハを破損させたり、ウエーハの品質を低下させるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ウエーハ等の被加工物に面焼け等の品質低下や破損を生じさせる恐れを低減可能な研削方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、被加工物を保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルで保持された被加工物を研削する研削砥石を含む研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、該研削手段を研削送りする研削送り手段と、該研削砥石に超音波振動を付与する超音波生成手段と、を備えた研削装置で被加工物を研削する研削方法であって、被加工物を該チャックテーブルで保持する保持ステップと、被加工物を保持した該チャックテーブルを回転させつつ該超音波生成手段を作動させて該研削砥石に超音波振動を付与するとともに、該研削送り手段により該研削手段を研削送りして回転する該研削砥石を被加工物に削り込ませる削り込みステップと、該削り込みステップを実施した後、該超音波生成手段を停止させるとともに該研削送り手段により該研削手段を研削送りして被加工物を研削する研削ステップと、を具備したことを特徴とする研削方法が提供される。
【0010】
好ましくは、前記削り込みステップでは、前記研削砥石が被加工物に削り込み、該研削砥石で正常な削り込みが遂行されていることを検出し、該削り込みステップで正常な削りこみが遂行されていることを検出した後、前記研削ステップを実施する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の研削方法によると、被加工物に対して研削砥石が削り込む際に超音波振動が研削砥石に付与されるため、研削砥石が確実に被加工物に対して削り込むことができ、被加工物に面焼け等の品質低下を生じさせる恐れを低減できる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、研削砥石が被加工物に削り込む際には超音波振動を付与し、以降は超音波振動を付与することなく研削が遂行されるため、被加工物を薄く研削しても超音波振動によって被加工物が破損する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の研削方法を実施するのに適した研削装置の斜視図である。
【図2】粗研削ユニットの縦断面図である。
【図3】図3(A)はホイールベースの斜視図、図3(B)はホイールベースの断面図である。
【図4】光デバイスウエーハの表面に保護テープを貼着する様子を示す斜視図である。
【図5】削り込みステップ及び研削ステップを説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の研削方法を実施するのに適した研削装置2の斜視図が示されている。4は研削装置2のハウジング(ベース)であり、ハウジング4の後方には二つのコラム6a,6bが立設されている。
【0015】
コラム6aには、上下方向に伸びる一対のガイドレール(一本のみ図示)8が固定されている。この一対のガイドレール8に沿って粗研削ユニット10が上下方向に移動可能に装着されている。粗研削ユニット10は、そのスピンドルハウジング20が一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動する移動基台12に取り付けられている。
【0016】
粗研削ユニット10は、スピンドルハウジング20と、スピンドルハウジング20中に回転可能に収容されたスピンドル24(図2及び図5参照)と、スピンドル24を回転駆動するサーボモータ26と、スピンドル24の先端に固定されたホイールマウント28(図2及び図5参照)と、ホイールマウント28に複数のねじ29により着脱可能に固定された先端に複数の粗研削用の研削砥石32を有する研削ホイール30とを含んでいる。粗研削用の研削砥石32は、平均粒径60μm前後のダイアモンド砥粒を金属で固めて構成されている。
【0017】
粗研削ユニット10は、粗研削ユニット10を一対の案内レール8に沿って上下方向に移動するボールねじ14とパルスモータ16とから構成される粗研削ユニット送り機構18を備えている。パルスモータ16をパルス駆動すると、ボールねじ14が回転し、移動基台12が上下方向に移動される。
【0018】
他方のコラム6bにも、上下方向に伸びる一対のガイドレール(一本のみ図示)34が固定されている。この一対のガイドレール34に沿って仕上げ研削ユニット36が上下方向に移動可能に装着されている。
【0019】
仕上げ研削ユニット36は、そのスピンドルハウジング38が一対のガイドレール34に沿って上下方向に移動する図示しない移動基台に取り付けられている。仕上げ研削ユニット36は、スピンドルハウジング38と、スピンドルハウジング38中に回転可能に収容された図示しないスピンドルと、スピンドルを回転駆動するサーボモータ40と、スピンドルの先端に固定された図示しないホイールマウントと、ホイールマウントに着脱可能に固定された仕上げ研削用の研削砥石44を有する研削ホイール42を含んでいる。仕上げ研削用の研削砥石44は、平均粒径10μm前後のダイアモンド砥粒を樹脂で固めて構成されている。
【0020】
仕上げ研削ユニット36は、仕上げ研削ユニット36を一対の案内レール34に沿って上下方向に移動するボールねじ46とパルスモータ48とから構成される仕上げ研削ユニット送り機構50を備えている。パルスモータ48をパルス駆動すると、ボールねじ46が回転し、仕上げ研削ユニット36が上下方向に移動される。
【0021】
研削装置2は、コラム6a,6bの前側においてハウジング4の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル52を具備している。ターンテーブル52は比較的大径の円板状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印53で示す方向に回転される。
【0022】
ターンテーブル52には、互いに円周方向に120度離間して3個のチャックテーブル54が水平面内で回転可能に配置されている。チャックテーブル54は、ポーラスセラミックス材によって円板状に形成された吸着チャックを有しており、吸着チャックの保持面上に載置されたウエーハを真空吸引手段を作動することにより吸引保持する。
【0023】
ターンテーブル52に配設された3個のチャックテーブル54は、ターンテーブル522が適宜回転することにより、ウエーハ搬入・搬出領域A、粗研削加工領域B、仕上げ研削加工領域C、及びウエーハ搬入・搬出領域Aに順次移動される。
【0024】
ハウジング4の前側部分には、ウエーハカセット56と、ウエーハ搬送ロボット58と、複数の位置決めピン62を有する位置決めテーブル60と、ウエーハ搬入機構(ローディングアーム)64と、ウエーハ搬出機構(アンローディングアーム)66と、スピンナテーブル68を有し研削されたウエーハを洗浄及びスピン乾燥するスピンナ洗浄装置70と、スピンナ洗浄装置70で洗浄及びスピン乾燥された研削後のウエーハを収容する収容カセット72が配設されている。
【0025】
次に、図2を参照して、粗研削ユニット10の詳細構造について説明する。スピンドル24の先端は小径先端部24aに形成されており、この小径先端部24aにホイールマウント28が固定されている。ホイールマウント28には複数のねじ29により研削ホイール30が着脱可能に固定されている。
【0026】
研削ホイール30は、ホイールベース74と、振動吸収リング76と、マウント装着リング78とから構成されている。図3を参照して、ホイールベース74の詳細構造について説明する。
【0027】
ホイールベース74の第2面即ち下面74bの外周には、粗研削用の複数の研削砥石32が環状に固着されている。ホイールベース74の第1面即ち上面74aには環状溝79が形成されており、この環状溝79中に環状の超音波振動子80が挿入されて接着剤等により固着されている。ホイールベース74は中心穴83を有している。超音波振動子80は複数の円弧状超音波振動子を環状溝79中に挿入固定するようにしてもよい。
【0028】
超音波振動子80としては、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zi、Ti)O)、リチウムナイオベート(LiNbO)、リチウムタンタレート(LiTaO)等を用いることができる。
【0029】
図2を再び参照すると、スピンドル24はスピンドルハウジング20のボア22中に回転可能に挿入されている。スピンドル24は一体的に形成されたスラフトプレート24bを有している。
【0030】
粗研削ユニット10は、スピンドル24を回転駆動する電動モータ82を備えている。電動モータ82は例えば永久磁石式モータから構成される。電動モータ82は、スピンドル24の中間部に形成されたモータ装着部84に装着された永久磁石からなるロータ86と、ロータ86の外周側においてスピンドルハウジング20に配設されたステータコイル88とから構成される。
【0031】
このように構成された電動モータ82は、ステータコイル88に後述する電力供給手段によって交流電流が印加されることによりロータ86が回転し、ロータ86が装着されたスピンドル24が回転される。
【0032】
粗研削ユニット10は更に、超音波振動子80に交流電力を印加するとともに電動モータ82に交流電力を印加する電力供給手段90を具備している。電力供給手段90は、スピンドル24の上端に配設されたロータリートランス92を含んでいる。
【0033】
ロータリートランス92は、スピンドル24の上端に配設された受電手段94と、受電手段94と対向して配設された給電手段96を具備している。受電手段94は、スピンドル24に装着されたロータコア98と、ロータコア98に巻回された受電コイル100とから構成される。
【0034】
このように構成された受電手段94の受電コイル100には導電線102が接続されている。この導電線102は、スピンドル24の中心に軸方向に形成された貫通穴25中に配設され、その先端がコネクタを介して超音波振動子80に接続された一対の導電線81に接続されている。
【0035】
給電手段96は、受電手段94の外周側に配設されたステータコア104と、ステータコア104に配設された給電コイル106とから構成される。このように構成された給電手段96の給電コイル106には、電気配線108を介して交流電力が供給される。
【0036】
電力供給手段90は、交流電源110と、交流電源110とロータリートランス92の給電コイル106との間に挿入された電圧調整手段112と、給電手段96に供給する交流電力の周波数を調整する周波数調整手段114と、電圧調整手段112及び周波数調整手段114を制御する制御手段116と、制御手段116に研削砥石32に付与する超音波振動の振幅等を入力する入力手段118を具備している。
【0037】
交流電源110は、制御回路122及び電気配線120を介して電動モータ82のステータコイル88に交流電力を供給する。周波数調整手段114としては、株式会社エヌエフ回路設計ブロックが提供するデジタルファンクションジェラレータ(商品名「DF−1905」)を使用することができる。DF−1905によると、周波数を10Hz〜500kHzの範囲内で適宜調整することができる。
【0038】
図4を参照すると、本発明の研削方法の加工対象となる光デバイスウエーハ11の表面側斜視図が示されている。光デバイスウエーハ11は、サファイア基板13上に窒化ガリウム(GaN)等のエピタキシャル層(半導体層)15が積層されて構成されている。光デバイスウエーハ11は、エピタキシャル層15が積層された表面11aと、サファイアウエーハ13が露出した裏面11bとを有している。
【0039】
サファイア基板13は例えば1.3mmの厚みを有しており、エピタキシャル層15は例えば5μmの厚みを有している。エピタキシャル層15にLED等の複数の光デバイス19が、格子状に形成された分割予定ライン(ストリート)17によって区画されて形成されている。
【0040】
本発明の研削方法を実施するのにあたり、光デバイスウエーハ11の表面11aには光デバイス19を保護するために保護テープ21が貼着される。以下、研削装置2により光デバイスウエーハ11の裏面11bを研削する本発明実施形態の研削方法について説明する。
【0041】
このように表面に保護テープ21の貼着された光デバイスウエーハ11は、ウエーハカセット56中に複数枚収容されて、ウエーハカセット56がベース4上に載置される。ウエーハカセット56中に収容された光デバイスウエーハ11は、ウエーハ搬送ロボット58の上下動作及び進退動作によって搬送され、ウエーハ位置決めテーブル60上に載置される。
【0042】
ウエーハ位置決めテーブル60上に載置された光デバイスウエーハ11は、複数の位置決めピン62によって中心あわせが行われた後、ローディングアーム64の旋回動作によって、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置せしめられているチャックテーブル54上に載置され、チャックテーブル54によって吸引保持される。
【0043】
次いで、ターンテーブル52が反時計回り方向に120度回転されて、光デバイスウエーハ11を保持したチャックテーブル54が粗研削加工領域Bに位置付けられる。このように位置付けられた光デバイスウエーハ11に対して図5に示すように、チャックテーブル54を矢印a方向に例えば300rpmで回転しつつ、研削ホイール30をチャックテーブル54と同一方向に、即ち矢印b方向に例えば1000rpmで回転駆動させるとともに、研削ユニット送り機構18を作動して研削砥石32を光デバイスウエーハ11の裏面11bに接触させる。
【0044】
この時、電力供給手段90によってロータリートランス92を構成する給電手段96の給電コイル106に所定周波数の交流電力を供給する。その結果、回転する受電手段94の受電コイル100、導電線102、導電線81を介して超音波振動子80に所定周波数の交流電力が印加され、超音波振動子80は主にラジアル方向(半径方向)に超音波振動する。この超音波振動は、ホイールベース74を介して複数の研削砥石32に伝達され、研削砥石32がラジアル方向に超音波振動する。
【0045】
このように超音波振動子80で研削砥石32を主にラジアル方向に振動させながら、研削ホイール30を所定の研削送り速度(例えば0.025mm/分)で下方に所定量研削送りする。
【0046】
その結果、研削砥石32が超音波振動しながら光デバイスウエーハ11の裏面11bに圧接されるため、研削砥石32が光デバイスウエーハ11の裏面11bですべることなく確実に裏面11bのサファイア基板13に削り込む(食い込む)ことができる。
【0047】
研削砥石32がサファイア基板13に削り込むと、スピンドル24を駆動するサーボモータ26の負荷電流値が上昇するため、サーボモータ26の負荷電流値の上昇を検出することにより正常な削り込みが遂行されたかの検出することができる。
【0048】
サーボモータ26の負荷電流値の上昇により研削砥石32の削り込みを検出したならば、直ちに或いは所定時間経過後に超音波振動子80への電力供給を停止し、超音波振動なしで削り込みステップと同一条件で光デバイスウエーハ11の研削を続行する。接触式又は非接触式の厚み測定ゲージによって光デバイスウエーハ11の厚みを測定しながら、光デバイスウエーハ11を所望の厚み、例えば150μmの厚みまで研削する。
【0049】
粗研削が終了した光デバイスウエーハ11を保持したチャックテーブル54は、ターンテーブル52を反時計回りに120度回転することにより仕上げ研削加工領域Cに位置付けられ、仕上げ研削砥石44を有する仕上げ研削ユニット36による仕上げ研削が実施される。
【0050】
この仕上げ研削ステップでは、粗研削砥石32による粗研削により光デバイスウエーハ11の裏面11bにソーマークが形成されているので、仕上げ研削砥石44の食いつき不良は発生しない。よって、本実施形態では、仕上げ研削ユニット36には超音波振動付与機構は装備されていない。
【0051】
仕上げ研削ステップでは、図5に示した粗研削ステップと同様に、チャックテーブル54を矢印a方向に例えば300rpmで回転しつつ、仕上げホイール42をチャックテーブル54と同一方向に例えば1000rpmで回転させるとともに、仕上げ研削ユニット送り機構50を作動して仕上げ研削用の研削砥石44を光デバイスウエーハ11の裏面11bに接触させる。
【0052】
そして、仕上げ研削ホイール42を所定の研削送り速度(例えば0.009mm/分)で下方に所定量研削送りして、光デバイスウエーハ11の裏面11bの仕上げ研削を実施する。接触式又は非接触式の厚み測定ゲージによって光デバイスウエーハ11の厚みを測定しながら、光デバイスウエーハ11を所望の厚み、例えば100μmの厚みまで研削する。
【0053】
仕上げ研削を終了した光デバイスウエーハ11を保持したチャックテーブル54は、ターンテーブル52を反時計回りに120度回転することにより、ウエーハ搬入・搬出領域Aに位置付けられる。
【0054】
チャックテーブル54に保持されている光デバイスウエーハ11の吸引保持が解除されてから、ウエーハ搬出機構(アンローディングアーム)66で光デバイスウエーハ11が吸着されて、アンローディングアーム66が旋回することによりスピンナ洗浄装置70に搬送される。
【0055】
スピンナ洗浄装置70に搬送された光デバイスウエーハ11は、ここでスピン洗浄されるとともにスピン乾燥される。次いで、ウエーハ搬送ロボット58により収容カセット72の所定位置に光デバイスウエーハ11が収容される。
【0056】
上述した実施形態では、粗研削ユニット10で削り込みステップ及び研削ステップを実施したが、粗研削ユニット10では研削砥石32に常に超音波振動を付与しながら研削する削り込みステップを実施し、仕上げ研削ユニット36で超音波振動を付与せずに研削する研削ステップを実施するようにしてもよい。粗研削ユニット10で研削砥石32に常に超音波振動を付与しながら粗研削を実施することにより、加工時間の短縮化が期待できる。
【0057】
また、上述した実施形態の研削装置2では、仕上げ研削ユニット36には超音波振動付与機構が装備されていないが、仕上げ研削ユニット36に超音波振動付与機構を装備し、仕上げ研削砥石44で削り込みステップ及び研削ステップを実施するようにしてもよい。
【0058】
上述した実施形態では本発明の研削方法をサファイア基板に適用した例について説明したが、本発明の研削方法はサファイア基板に限定されるものではなく、SiC、シリコンナイトライド、リチウムタンタレート、アルチック等の硬質脆性材料、更にはシリコンウエーハの研削にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
2 研削装置
10 粗研削ユニット
11 光デバイスウエーハ
13 サファイア基板
15 エピタキシャル層
18 粗研削ユニット送り機構
19 光デバイス
21 保護テープ
30 粗研削ホイール
32 粗研削砥石
36 仕上げ研削ユニット
42 仕上げ研削ホイール
44 仕上げ研削砥石
50 仕上げ研削ユニット送り機構
52 ターンテーブル
54 チャックテーブル
74 ホイールベース
80 超音波振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する回転可能なチャックテーブルと、該チャックテーブルで保持された被加工物を研削する研削砥石を含む研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、該研削手段を研削送りする研削送り手段と、該研削砥石に超音波振動を付与する超音波生成手段と、を備えた研削装置で被加工物を研削する研削方法であって、
被加工物を該チャックテーブルで保持する保持ステップと、
被加工物を保持した該チャックテーブルを回転させつつ該超音波生成手段を作動させて該研削砥石に超音波振動を付与するとともに、該研削送り手段により該研削手段を研削送りして回転する該研削砥石を被加工物に削り込ませる削り込みステップと、
該削り込みステップを実施した後、該超音波生成手段を停止させるとともに該研削送り手段により該研削手段を研削送りして被加工物を研削する研削ステップと、
を具備したことを特徴とする研削方法。
【請求項2】
前記削り込みステップでは、前記研削砥石が被加工物に削り込み、該研削砥石で正常な削り込みが遂行されていることを検出し、
該削り込みステップで正常な削りこみが遂行されていることを検出した後、前記研削ステップを実施する請求項1記載の研削方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−240186(P2012−240186A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115732(P2011−115732)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】