説明

窒化物電子デバイスを作製する方法

【課題】ゲートリーク電流を低減できる、窒化物電子デバイスを作製する方法を提供する。
【解決手段】時刻t0で基板生産物を成長炉に配置した後に、摂氏950度まで基板温度を上昇する。基板温度が十分に安定した時刻t3でトリメチルガリウム及びアンモニアを成長炉に供給して、i−GaN膜を成長する。時刻t5で基板温度が摂氏1080度に到達する。基板温度が十分に安定した時刻t6でトリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを成長炉に供給して、i−AlGaN膜を成長する。時刻t7でトリメチルガリウム及びトリメチルアルミニウムの供給を停止して成膜を停止した後に、速やかに、成長炉へアンモニア及び水素の供給を停止すると共に窒素の供給を開始して、成長炉のチャンバ中においてアンモニア及び水素の雰囲気を窒素の雰囲気に変更する。窒素の雰囲気が形成された後に、時刻t8で基板温度の降下を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物電子デバイスを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置が記載されている。この半導体装置は、ピンチオフ特性を改善し、またはチャネル層の移動度を向上させ電気的特性の良好な半導体装置を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−286941号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成のトランジスタの作製では、n型GaN層、p型GaN層、及びn型GaN層を導電性基板上に順にエピタキシャル成長してエピタキシャル成長積層を形成した後に、n型GaN層からn型GaN層まで至る開口部をエピタキシャル成長積層の主面にエッチングにより形成する。この開口の側面にi型GaN層及びi型AlGaN層を順に形成する。開口部側面上のi型GaN層及びi型AlGaN層上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成する。エッチングにより形成された開口部の側面の表面状態は、特許文献1の構成のトランジスタの作製法に起因して、エピタキシャル成長積層の主面に比べて良好でない。
【0005】
発明者らの知見によれば、下地となるエピタキシャル成長積層に斜面を形成した後に、ヘテロ構造のためのi型GaN層及びi型AlGaN層を再成長している。この再成長の際に、開口部の側面では、その傾斜及び表面平坦性の影響により、再成長された半導体層に表面欠陥が生じる。このデバイス構造では、斜面上にゲート絶縁膜を形成後にゲート電極を形成する作製法、及び再成長層に直接にゲート電極を形成する作製層のいずれにおいても、この表面欠陥はゲートリーク電流の原因となる。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、ゲートリーク電流を低減できる、窒化物電子デバイスを作製する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る発明は、窒化物電子デバイスを作製する方法である。この方法は、(a)基板を成長炉に配置した後に、アンモニア及びIII族元素原料を含む原料ガスを成長炉に供給することによって前記基板の主面上のチャネル層上にキャリア供給層を成長温度で成長して、基板生産物を形成する工程と、(b)前記キャリア供給層の成長が完了した後に、前記成長温度以下の温度の所定雰囲気に前記基板生産物をさらす工程と、(c)前記基板生産物の温度を前記所定雰囲気中で下げた後に、前記成長炉から前記基板生産物を取り出す工程と、(d)前記基板生産物を取り出した後に、前記キャリア供給層上にゲート電極を形成する工程とを備える。前記チャネル層は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記チャネル層の前記窒化ガリウム系半導体のc軸に直交する面及び前記基板の前記主面に対して傾斜した第1の基準面に沿って延在し、前記第2の部分は、前記第1の部分に対して傾斜した第2の基準面に沿って延在し、前記キャリア供給層は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記チャネル層の前記第1の部分上に成長され、前記第2の部分は、前記チャネル層の前記第2の部分上に成長され、前記ゲート電極は、前記キャリア供給層の前記第1の部分上に形成され、前記第1の基準面に直交する第1の軸と前記窒化ガリウム系半導体のc軸との成す角度は、前記第2の基準面に直交する第2の軸と前記窒化ガリウム系半導体のc軸との成す角度より大きく、前記キャリア供給層の前記III族窒化物半導体のバンドギャップは、前記チャネル層の前記窒化ガリウム系半導体のバンドギャップより大きく、前記所定雰囲気は、窒素を含むと共にアンモニアを含まず、前記チャネル層は窒化ガリウム系半導体を含み、前記キャリア供給層はIII族窒化物半導体を含む。
【0008】
この方法によれば、チャネル層の第1の部分は、その窒化ガリウム系半導体のc軸に直交する面及び基板の主面の両方に対して傾斜した第1の基準面に沿って延在する。また、チャネル層の第2の部分は第1の部分に対して傾斜して延在する。これ故に、チャネル層の第1及び第2の部分は互いに異なる面方位を有する。キャリア供給層の第1及び第2の部分は、それぞれ、チャネル層の第1及び第2の部分上に成長される。また、窒化ガリウム系半導体のc軸と第1の軸との成す角度は、窒化ガリウム系半導体のc軸と第2の軸との成す角度より大きいので、チャネル層及びキャリア供給層の第1の部分上への成長では、成長面における構成元素の表面マイグレーションが不活発である。このため、第1の部分上への成長におけるモードが島状成長になる傾向となる。このモードの成長では最終表面のモフォロジが荒れて、この結果、結晶表面に欠陥が導入されることになる。キャリア供給層の第1の部分上にゲート電極が形成されるとき、上記の表面欠陥は、ゲートリーク電流の原因となる。本件に係る方法では、キャリア供給層の第1の部分上にゲート電極を形成するに先だって、キャリア供給層の成長が完了した後に、所定雰囲気中で基板生産物を成長温度以下の温度にさらすプロセスを行う。このプロセスでは、所定雰囲気は、窒素を含むと共にアンモニアを含まないので、キャリア供給層の第1の部分の表面を改質して、キャリア供給層及びチャネル層の第1の部分の傾斜やその表面平坦性に起因した表面欠陥を減少できる。所定雰囲気は、キャリア供給層の表面における成長後のマイグレーションを促進して、表面平坦性を改善できる。したがって、表面欠陥に起因するゲートリーク電流を低減できる。
【0009】
本発明の一側面に係る作製法は、(e)第1の窒化ガリウム系半導体からなるドリフト層、第2の窒化ガリウム系半導体からなる電流ブロック層、及び第3の窒化ガリウム系半導体からなるコンタクト層を前記基板の前記主面上に成長して、半導体積層を形成する工程と、(f)前記半導体積層の主面に開口をドライエッチングにより形成する工程と、(g)前記半導体積層の前記主面及び前記半導体積層の前記開口上に、前記チャネル層を成長する工程とを更に備えることができる。前記開口は、前記半導体積層の前記主面に対して傾斜した側面を有し、前記開口の前記側面は、前記ドリフト層の側面、前記電流ブロック層の側面、及び前記コンタクト層の側面を含み、前記チャネル層の前記第1の部分は前記開口の前記側面上に成長され、前記チャネル層の前記第2の部分は前記半導体積層の前記主面上に成長され、前記第2の窒化ガリウム系半導体の導電型は、前記第1の窒化ガリウム系半導体の導電型と異なり、前記ゲート電極は前記電流ブロック層の側面上に形成され、前記第2の窒化ガリウム系半導体の導電型は、前記第3の窒化ガリウム系半導体の導電型と異なる。
【0010】
この作製方法によれば、チャネル層及びキャリア供給層のための結晶再成長は、下地となる開口側面の表面平坦性の影響を受ける。チャネル層及びキャリア供給層は開口側面上に成長され、この開口側面はドライエッチングにより形成される。これ故に、開口側面の表面状態のラフネスは大きい。チャネル層及びキャリア供給層の第1の部分における表面は、下地のラフネスの影響を受けている。本件に係る方法における上記のプロセスでは、所定雰囲気は、窒素を含むと共にアンモニアを含まないので、キャリア供給層の第1の部分の表面を改質して、エッチングに起因した表面ラフネスを減少させることができる。したがって、表面欠陥に起因するゲートリーク電流を低減できる。
【0011】
本発明の一側面に係る作製法では、前記チャネル層及び前記キャリア供給層の材料は、InGaN/AlGaN、GaN/AlGaN、及びAlGaN/AlNのいずれかであることができる。この作製方法では、チャネル層及びキャリア供給層の好適な組み合わせが提供される。
【0012】
本発明の一側面に係る作製法は、(h)前記キャリア供給層の成長が完了した後に前記基板生産物の温度を前記成長温度に維持しながら、前記成長炉に前記所定雰囲気を形成する工程を更に備えることができる。前記所定雰囲気が前記成長炉に提供された後に、前記基板生産物の温度を前記成長温度からの低下を開始することができる。
【0013】
この作製方法によれば、成長炉に所定の雰囲気を形成することによって、最表面が長時間にわたってアンモニアにさらされることを避けることができる。成長の終了後の雰囲気がアンモニアを含むとき、成長炉内で分解したアンモニアからの窒素原子は、最表面に吸着してIII族原子の表面マイグレーションを妨げる。一方、成長の終了後の雰囲気が窒素を含みアンモニアを含まないとき、窒素に比べて低い蒸気圧のIII族原子が最表面に残り、最表面には適度な密度でIII族原子が残される。
【0014】
また、温度降下が所定の雰囲気中で行われるので、温度降下中にも表面改質の技術的寄与を得ることができる。アンモニア雰囲気に比べて、窒素雰囲気中では窒化物の分解が生じる。温度を下げることにより、所望の量を超えて最表面からIII族原子が分解することを避けることができる。
【0015】
本発明の一側面に係る作製法では、前記基板は、導電性の自立III族窒化物基板を含むことができる。前記自立III族窒化物基板の主面は、エピ成長後の平坦性の観点から前記基板のIII族窒化物のc軸に対して−20度から+20度の範囲にあることが好ましい。当該方法は、前記基板の裏面にドレイン電極を形成する工程を更に備えることができる。この作製方法もよれば、上記の角度範囲は有用なデバイスに好適である。
【0016】
本発明の一側面に係る作製方法では、前記第1の基準面と前記第2の基準面との成す角度は5度から40度の範囲にあることが好ましい。この作製方法もよれば、上記の角度範囲は有用なデバイスに好適である。
【0017】
本発明の一側面に係る作製法では、前記ドリフト層の前記第1の窒化ガリウム系半導体、前記電流ブロック層の前記第2の窒化ガリウム系半導体、及び前記コンタクト層の第3の窒化ガリウム系半導体は、n型GaN/p型GaN/n型GaN、及びn型GaN/p型AlGaN/n型GaNのいずれかであることができる。この作製方法では、ドリフト層、電流ブロック層及びコンタクト層の好適な組み合わせが提供される。
【0018】
本発明の一側面に係る作製法は、前記基板生産物を取り出した後に、前記半導体積層の前記主面上にソース電極を形成する工程を更に備えることができる。前記ソース電極は、前記電流ブロック層及び前記コンタクト層に電位を供給し、前記チャネル層と前記キャリア供給層とは接合を成し、前記接合には二次元電子ガス層が形成され、前記ソース電極は、前記チャネル層を流れるキャリアを供給できる。この作製方法によれば、ソース電極が電流ブロック層及びコンタクト層に電位を供給するので、電流ブロック層がチャネル層のバックゲートとして働く。
【0019】
本発明の一側面に係る作製法では、前記ゲート電極は前記キャリア供給層の前記第1の部分に接合を成すことができる。この作製方法によれば、半導体にショットキ接合を成すゲート電極を用いてチャネルキャリアを制御するトランジスタを提供できる。
【0020】
本発明の一側面に係る作製法は、前記キャリア供給層の前記第1の部分上に、ゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上に、ゲート電極を形成する工程と更に備えることができる。前記ゲート電極は前記ゲート絶縁膜に接合を成す。この作製方法によれば、絶縁膜を介してチャネルキャリアを制御するゲート電極を有するトランジスタを提供できる。
【0021】
本発明の一側面に係る作製法では、前記ゲート絶縁膜は、原子層堆積(ALD)法で成長されることができる。この作成方法によれば、ゲート絶縁膜の堆積に際して、下地のキャリア供給層へのダメージが少なく、ゲートリークの更なる低減に寄与できる。
【0022】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、ゲートリーク電流を低減できる、窒化物電子デバイスを作製する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る窒化物電子デバイス、エピタキシャル基板、及び基板生産物を作製する方法における主要な工程を示す工程フロー図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る作製方法における工程を模式的に示す図面である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る作製方法における工程を模式的に示す図面である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る作製方法における工程を模式的に示す図面である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る作製方法における工程を模式的に示す図面である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る窒化物電子デバイスを模式的に示す図面である。
【図7】図7は、再成長における温度変更シーケンスを示す図面である。
【図8】図8は、基板生産物のエピタキシャル再成長表面の走査型電子顕微鏡像を示す図面である。
【図9】図9は、実施例において作製されたトランジスタのゲート−ドレイン間の電流リークの測定を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の窒化物電子デバイス、エピタキシャル基板、及び基板生産物を作製する方法に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る窒化物電子デバイス、エピタキシャル基板、及び基板生産物を作製する方法における主要な工程を示す工程フロー図である。
【0027】
工程S101では、窒化物電子デバイスのための基板を準備する。基板は導電性を示し、例えば六方晶系のIII族窒化物からなることができる。自立のIII族窒化物半導体基板(以下、図2の(a)部で示される参照番号「51」として参照する)は、例えばGaN、AlN等からなることができる。基板51は主面51a及び裏面51bを有する。好適な実施例では、このIII族窒化物半導体基板51の主面51aはc面からなることができるが、基板のIII族窒化物のc軸に対して僅かなオフ、例えば−20度から+20度の範囲のオフを有することができる。上記の角度範囲は、デバイスに有用である。図2の(a)部では、c軸方向を示すc軸ベクトルVCが示されている。
【0028】
工程S102では、III族窒化物半導体基板51を成長炉(図2の(a)部では参照番号「10a」として示される)に配置した後に、III族窒化物半導体基板51の熱クリーニングを行う。熱クリーニングは、例えばアンモニア及び水素を含む雰囲気においてIII族窒化物半導体基板51の熱処理によって行われる。熱処理は、例えば10分間程度である。また、熱処理温度は、例えば摂氏1030度程度である。炉内圧力は例えば100Torrである。
【0029】
工程S103では、図2の(a)部に示されるように、基板51の主面51aに半導体積層53を成長して、エピタキシャル基板Eを形成する。半導体積層53の形成では、第1導電型窒化ガリウム系半導体からなるドリフト層55、第2導電型窒化ガリウム系半導体からなる電流ブロック層57、及び第1導電型窒化ガリウム系半導体のためのコンタクト層59を基板51の主面51a上に順に成長する。この成長は、例えば有機金属気相成長法で行われる。ドリフト層55は、例えば厚さ5μmのアンドープGaNからなり、電流ブロック層57は例えば厚さ0.5μmのMgドープp型GaNからなり、及びコンタクト層59は例えば厚さ0.2μmのSiドープn型GaNからなる。半導体積層53における接合61a、61bの各々も、基板51の主面51aの面方位と同じ面方位を示す。このとき、半導体積層53の厚さは5.7μmである。
【0030】
工程S104では、エピタキシャル基板Eを成長炉10aから取り出す。この後に、工程S105では、半導体積層53に開口を形成する。まず、図2の(b)部に示されるように、工程S105−1では、フォトリソグラフィで半導体積層53の表面53aにマスク63を形成する。マスク63は、例えばレジスト又はシリコン酸化膜からなることができる。マスク63は、半導体積層53に形成される開口の形状及び位置を規定する開口63aを有する。フォトリソグラフィ法でマスク63を形成した後に、工程S105−2では、図3の(a)部に示されるエッチング装置10bにエピタキシャル基板Eを配置する。この装置10b及びマスク63を用いて半導体積層53のドライエッチングを行う。このドライエッチングは、例えば反応性イオンエッチング(RIE)であることができる。エッチャントとして塩素ガスを使用できる。マスク63を用いたエッチングにより、半導体積層53に開口65が形成される。開口形成の結果として、開口65を含む半導体積層53bが形成される。
【0031】
開口65は、表面53aのコンタクト層59からドリフト層に到達する。開口65は側面65d及び底面65eによって規定される。開口65の側面65dには、ドリフト層55の側面55a及び上面55b、電流ブロック層57の側面57a、及びコンタクト層59の側面59aが現れている。開口65の底面65eには、ドリフト層55の上面55bが現れている。
【0032】
工程S105−3では、図3の(b)部に示されるように、マスク63が除去される。この結果、基板生産物SP1が形成される。基板生産物SP1では、開口65は、第1〜第3部分65a、65b、65cを有する。第1の部分65aでは、ドリフト層55の上面55b(底面65e)が露出している。第2の部分65b及び第3の部分65cでは、開口65の側面65dが、ドリフト層55の上面55bから半導体積層53bの表面53aまで傾斜して延在する。
【0033】
図3の(b)部では、単一の開口65が描かれているけれども、基板51には多数の開口が配列されている。これ故に、半導体積層53bは、開口63の形状に応じて、メサ形状、或いは凹部(例えば溝)を含む形状を成す。側面65dは、基板51の主面51aに対して傾斜しており、また半導体積層53bの表面53aに対して傾斜している。側面65dの具体的な傾斜角は、エッチングにより制御されることができる。
【0034】
側面65dの一方は、全体としては、基準面R11に沿って延在しており、側面65dの他方は、全体としては、基準面R12に沿って延在している。これらの基準面R11、R12はIII族窒化物基板51のc軸の方向を示す基準軸Cx及び基板51の主面51aに対して傾斜している。基準面R11、R12の法線はc軸に対して傾斜しており、半導体積層53bの主面53aは基準面R13に沿って延在している。基準面R11、R12の法線とc軸との成す角度は、基準面R13の法線とc軸との成す角度より大きい。好適な実施例では、半導体積層53bの主面53aは基板51の主面51aと実質的に平行であることができる。基準面R11、R12(つまり、側面65d)と基準面R13(主面63a、51a)との成す角度は例えば5度から40度の範囲にあることができる。
【0035】
必要な場合には、チャネル層及びキャリア供給層の成長に先立って基板生産物SP1の前処理(例えば、洗浄)を行った後に、工程S106において基板生産物SP1を成長炉10aに配置する。
【0036】
工程S107では、アンモニア及びIII族元素原料を含む原料ガスG1を成長炉10aに供給して、図4の(a)部に示されるように、半導体積層53bの主面53a、開口65の側面65d及び底面65e上に、チャネル層69を成長温度TG1で成長する。チャネル層69は窒化ガリウム系半導体からなる。チャネル層68は、第1の部分69a、第2の部分69b及び第3の部分69cを含む。第1の部分69aは、開口65の側面65d上に成長され、基準面R21に沿って延在する。基準面R21は、チャネル層69の窒化ガリウム系半導体のc軸に直交する面及び基板51の主面51aに対して傾斜する。第2の部分69bは、半導体積層53bの主面53a上に成長され、c軸に直交する基準面R22に沿って延在する。第1の部分69aは、基準面R22に対して傾斜する。第3の部分69cは、開口65の底面65e上に成長され、基準面R23に沿って延在する。第1の部分69aは、基準面R23に対して傾斜する。好適な実施例では、基準面R23は基準面R22と実質的に平行であり、また基準面R23及び基準面R22は基板51の主面51aに平行である。
【0037】
工程S108では、アンモニア及びIII族元素原料を含む原料ガスG2を成長炉10aに供給して、図4の(b)部に示されるように、半導体積層53bの主面53a、開口65の側面65d及び底面65e上に、キャリア供給層71を成長温度TG2で成長する。キャリア供給層71はチャネル層69とヘテロ接合70を形成する。キャリア供給層71はIII族窒化物半導体からなる。キャリア供給層71は、第1の部分71a、第2の部分71b及び第3の部分71cを含む。第1の部分71aは、開口65の側面65d上に成長され、基準面R31に沿って延在する。基準面R31は、キャリア供給層71の窒化ガリウム系半導体のc軸(基板51のc軸と同じ方向を向く)に直交する面及び基板51の主面51aに対して傾斜する。第2の部分71bは、半導体積層53bの主面53a上に成長され、基準面R32に沿って延在する。第1の部分71aは、基準面R32に対して傾斜する。第3の部分71cは、開口65の底面65e上に成長され、基準面R33に沿って延在する。第1の部分71aは、基準面R33に対して傾斜する。本実施例では、基準面R33は基準面R32と実質的に平行であり、また基準面R33及び基準面R32は基板51の主面51aに平行である。キャリア供給層71のIII族窒化物半導体のバンドギャップは、チャネル層69の窒化ガリウム系半導体のバンドギャップより大きい。
【0038】
基準面R31に直交する第1の軸とキャリア供給層71の窒化ガリウム系半導体のc軸との成す第1の角度は、基準面R32に直交する第2の軸とキャリア供給層71の窒化ガリウム系半導体のc軸との成す第2の角度より大きい。基板51の主面51aがc面及びc面から僅かなオフ角を有するとき、第2の角度はゼロ及び微少な角度である。第1の角度は、開口65の側面65dの傾斜に対応しており、第2の角度より大きな角度であり、これ故に、第1の部分69a、71aの傾斜は大きい。
【0039】
工程S109では、キャリア供給層71の成長が完了した後に、図5の(a)部に示されるように、キャリア供給層71の成長温度TG2以下の温度の所定雰囲気G3にキャリア供給層71の表面71aをさらす。所定雰囲気は、窒素(N)を含むと共にアンモニアを含まない。
【0040】
また、キャリア供給層71の成長が完了した後に、基板生産物SP2の温度を成長温度TG2に維持しながら、成長炉10aに所定雰囲気を形成することが好ましい。所定雰囲気が成長炉10aに提供された後に、基板生産物SP2の温度を成長温度TG2からの低下を開始することができる。この作製方法によれば、成長炉10に所定雰囲気を形成することによって、基板生産物SP2の最表面が長時間にわたってアンモニアにさらされることを避けることができる。結晶成長の終了後の雰囲気がアンモニアを含むとき、成長炉10a内で分解したアンモニアからの窒素原子は、基板生産物SP2の最表面に吸着してIII族原子の表面マイグレーションを妨げる。一方、結晶成長の終了後の雰囲気が窒素を含みアンモニアを含まないとき、窒素に比べて低い蒸気圧のIII族原子が最表面に残り、最表面には適度な密度でIII族原子が残される。
【0041】
また、温度降下が所定雰囲気中で行われるので、成長温度TG2の期間だけでなく温度降下中にも表面改質の技術的寄与を得ることができる。アンモニア雰囲気に比べて、窒素雰囲気中では窒化物の分解が活発に生じる。温度が下がることにより、所望の量を超えて最表面からIII族原子が分解することを避けることができる。
【0042】
基板生産物SP2の温度を下げて基板生産物SP1を取り出した後に、工程S110では、図5の(b)部に示されるように、成長炉10aから基板生産物SP2を取り出す。工程S111a又は工程S111bの電極形成工程では、キャリア供給層71上にゲート電極を形成する。より具体的には、電極形成工程では、半導体積層53bの半導体層57、59に接触を成すソース電極73の形成、基板51の裏面51bに接触を成すドレイン電極75の形成、ゲート絶縁膜77の形成、及びゲート絶縁膜77に接触を成すゲート電極79の形成を行う。
【0043】
例えば、ゲート絶縁膜77は、原子層堆積(ALD)法で成長されることができる。この作成方法によれば、ゲート絶縁膜77の堆積に際して、下地のキャリア供給層へのダメージが少なく、ゲートリークの更なる低減に寄与できる。
【0044】
半導体積層53bの主面53a上にソース電極を形成することができる。このソース電極73は、電流ブロック層57及びコンタクト層59に電位を供給する。チャネル層69とキャリア供給層71とは接合70を成し、接合70には二次元キャリアガス層が形成される。ソース電極73は、チャネル層69を流れるキャリアを供給し、キャリアは二次元キャリアガス層を介してドリフト層55に流れる。この作製方法によれば、ソース電極73が電流ブロック層57及びコンタクト層59に電位を供給するので、電流ブロック層57がチャネル層69に対してバックゲートとして働く。
【0045】
この方法によれば、図4の(a)部に示されるように、チャネル層69の第1の部分69aは、その窒化ガリウム系半導体のc軸に直交する面及び基板51の主面51aに対して傾斜した基準面R21に沿って延在する。これ故に、チャネル層69の第1及び第2の部分69a、69bは互いに異なる面方位を有する。キャリア供給層71の第1及び第2の部分71a、71bは、それぞれ、チャネル層69の第1及び第2の部分69a、69b上に成長される。開口69の側面69dが傾斜するので、チャネル層6及びキャリア供給層71の第1の部分69a、71a上への成長では、成長面における構成元素の表面マイグレーションが第2の部分69b、71b上への成長に比べて不活発である。このため、第1の部分69a、71a上への成長におけるモードが島状成長になる傾向となる。このモードの成長では結晶表面に欠陥が形成されて、最終表面のモフォロジが荒れることになる。傾斜した第1の部分71a上にゲート電極79が形成されるとき、上記の表面欠陥はゲートリーク電流の原因となる。この方法では、キャリア供給層71の第1の部分71a上にゲート電極79を形成するに先だって、キャリア供給層71の成長が完了した後に、実質的に窒素からなる所定雰囲気中で基板生産物SP2を成長温度TG2以下の温度にさらすプロセスを行う。このプロセスでは、所定雰囲気は、窒素(N)を含むと共にアンモニアを含まないので、キャリア供給層71の第1の部分71aの表面を改質して、キャリア供給層71及びチャネル層69の第1の部分71a、69aの傾斜やその表面平坦性に起因した表面欠陥を減少させることができる。所定雰囲気は、キャリア供給層71の表面71aにおける成長後のマイグレーションを促進して、表面平坦性を改善できる。したがって、表面欠陥に起因するゲートリーク電流を低減できる。
【0046】
また、この作製方法によれば、チャネル層69及びキャリア供給層71のための結晶再成長は、下地となる開口側面65dの表面平坦性の影響を受ける。チャネル層69及びキャリア供給層71は開口側面65d上に成長され、この開口側面65dはドライエッチングにより形成される。これ故に、開口側面65dの表面状態のラフネスは大きい。チャネル層69及びキャリア供給層71の第1の部分69a、71aにおける表面は、下地のラフネスの影響を受けている。上記のプロセスでは、所定雰囲気は、窒素(N)を含むと共にアンモニアを含まないので、キャリア供給層71の第1の部分71aの表面を改質して、エッチングに起因した表面ラフネスもまた減少させることができる。したがって、表面欠陥に起因するゲートリーク電流を低減できる。チャネル層69からキャリア供給層71までの一連の成長を続けて成長することにより清浄なヘテロ接合を形成すると共に、所定雰囲気におけるキャリア供給層の表面の平坦性を改善できる。加えて、本実施形態によれば、電流コラプスを低減できる。
【0047】
本実施の形態では、キャリア供給層71の第1の部分71a上にゲート絶縁膜77を形成した後に、このゲート絶縁膜77上にゲート電極79を形成することができる。ゲート電極79はゲート絶縁膜77に接合を成す。この作製方法によれば、絶縁膜77を介してチャネルキャリアを制御するゲート電極79を有するトランジスタを提供できる。
【0048】
或いは、ゲート絶縁膜77を形成することなく、キャリア供給層71の第1の部分71aに接合を成すゲート電極を形成することができる。この作製方法によれば、半導体にショットキ接合を成すゲート電極を用いてチャネルキャリアを制御するトランジスタを提供できる。
【0049】
チャネル層69及びキャリア供給層71の材料は、InGaN/AlGaN、GaN/AlGaN、及びAlGaN/AlNのいずれかであることができる。これらは、チャネル層69及びキャリア供給層71の好適な組み合わせを提供できる。
【0050】
ドリフト層55の窒化ガリウム系半導体、電流ブロック層57の窒化ガリウム系半導体、及びコンタクト層59の窒化ガリウム系半導体は、n型GaN/p型GaN/n型GaN、及びn型GaN/p型AlGaN/n型GaNのいずれかであることができる。これらは、ドリフト層55、電流ブロック層57及びコンタクト層59の好適な組み合わせを提供できる。
【0051】
図6は、本実施の形態に係る窒化物電子デバイスの構造を示す図面である。窒化物電子デバイスの一例として、ヘテロ接合トランジスタ11を説明する。ヘテロ接合トランジスタ11は、導電性基板13と、半導体積層15と、ドリフト層17と、チャネル層19と、キャリア供給層21と、ゲート電極23とを備える。導電性基板13は、III族窒化物の主面13aを有すると共に、III族窒化物の裏面13bを有する。III族窒化物主面13aは好ましくはc面であり、良好な結晶成長のために僅かなオフ角を有することができる。半導体積層15は、導電性基板13の主面13aの方向に凹む開口16を有する。開口16は、半導体積層15に形成されたメサ、凹部又は溝により規定される。チャネル層19は、窒化ガリウム系半導体からなり、また半導体積層15の開口16内に設けられる。キャリア供給層21は、III族窒化物半導体からなり、また半導体積層15の開口16内に設けられると共に開口16内のチャネル層19上に延在する。ゲート電極23はキャリア供給層21上に設けられ、開口16内においてキャリア供給層21はチャネル層19とゲート電極23との間に位置する。チャネル層19とキャリア供給層21とはヘテロ接合20を成す。ゲート電極23はヘテロ接合20に沿った二次元電子ガスの生成を制御する。
【0052】
半導体積層15は、第1導電型窒化ガリウム系半導体層25、第2導電型窒化ガリウム系半導体層27、及び窒化ガリウム系半導体層29を含む。第1導電型窒化ガリウム系半導体層25は、例えばn導電性を有し、また基板13の主面13a上に設けられる。第2導電型窒化ガリウム系半導体層27は、例えばp導電性を有し、また導電性基板13の主面13aと第1導電型窒化ガリウム系半導体層25との間に設けられる。窒化ガリウム系半導体層29は、例えばn導電性を有し、また基板13の主面13a上に設けられる。第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の側面とゲート電極23との間をキャリア供給層21及びチャネル層19が延在する。
【0053】
第1導電型窒化ガリウム系半導体層25は、半導体積層15の開口16の側面16aに位置する端面25aを有する。第2導電型窒化ガリウム系半導体層27は、半導体積層15の開口16の側面16aに位置する端面27aを有する。窒化ガリウム系半導体層29は、半導体積層15の開口16の側面16aに位置する端面29aを有する。チャネル層19は、第1導電型窒化ガリウム系半導体層25の端面25a、第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の端面27a及び第1導電型窒化ガリウム系半導体層29の端面29a及び上面29b上に設けられる。ドリフト層17は、絶縁のための窒化ガリウム系半導体層29の端面29a上に設けられ、また主面13a上に設けられる。
【0054】
図6に示されるように、本実施例では開口16の底面16bはほぼc面(c軸に直交する面)に沿って設けられている。図6においては、結晶座標系CRが示され、基準軸Cxはc軸の方向を示している。m面は結晶座標系CRのm軸に直交する面であり、a面は結晶座標系CRのa軸に直交する面である。開口16の側面16aは、III族窒化物半導体のa面に対して傾斜し、II族窒化物半導体のm面に対して傾斜すると共に前記III族窒化物半導体のc面に対して傾斜している。本実施例では、開口16の側面16aは、m軸又はa軸の方向に延在する。
【0055】
ヘテロ接合トランジスタ11は、第1導電型窒化ガリウム系半導体層25に接続されたソース電極31を更に備えることができる。ソース電極31は第2導電型窒化ガリウム系半導体層27に電位を供給することができる。ソース電極31が第1導電型窒化ガリウム系半導体層25だけでなく第2導電型窒化ガリウム系半導体層27にも電位を供給するとき、第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の電位はソース電極31を用いて印加されて、これがバックバイアスとなる。これは、ヘテロ接合トランジスタ11のノーマリオフ動作に好適である。
【0056】
ヘテロ接合トランジスタ11では、導電性基板13の裏面13bに設けられたドレイン電極33を更に備えることができる。ドレイン電極33が導電性基板13の裏面13bに設けられるので、ドレイン電極33をゲート電極23から隔てることができる。これ故に、高耐圧の実現に有効である。ドレイン電極33は例えばNi/Alからなることができ、ソース電極31は例えばTi/Alからなることができる。ゲート電極23は、例えばNi/Au、Pt/Au、Pd?Au、Mo/Au等からなることができる。
【0057】
第1導電型窒化ガリウム系半導体層25の第1の面25bは、チャネル層19と接合を成す。第1導電型窒化ガリウム系半導体層25の第2の面25cは、第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の第1の面27bと接合を成す。窒化ガリウム系半導体層29の第1の面29bは、第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の第2の面27cと接合を成す。窒化ガリウム系半導体層29の第2の面29cは、導電性基板13の主面13aと接合を成す。
【0058】
開口16の側面16aでは、チャネル層19の裏面は、第1導電型窒化ガリウム系半導体層25の端面25aと接合を成す。また、チャネル層19の裏面は、第1導電型窒化ガリウム系半導体層25の端面25a、及び第2導電型窒化ガリウム系半導体層27の端面27aと接合を成す。チャネル層23の裏面は、窒化ガリウム系半導体層29の端面29aと接合を成す。ゲート電極18は、キャリア供給層21にショットキ接合を成す。
【0059】
ヘテロ接合トランジスタ11の一実施例を以下に示す。
導電性基板13:n型GaN(キャリア濃度:1×1019cm−3)。
チャネル層19:アンドープGaN(キャリア濃度:1×1015−3、厚さ:30nm)。
キャリア供給層21:アンドープAlGaN(厚さ:30nm、Al組成比0.25)。
第1導電型窒化ガリウム系半導体層25:n型GaN(キャリア濃度:1×1018−3、厚さ:0.3μm)。
第2導電型窒化ガリウム系半導体層27:p型GaN(キャリア濃度:1×1018−3、厚さ:0.5μm)。
窒化ガリウム系半導体層29:アンドープGaN(キャリア濃度:1×1015−3、厚さ:5μm)。
このヘテロ接合トランジスタによれば、実用的な構造の一例が提供される。所定雰囲気中での熱処理の寄与により、キャリア供給層21の表面の表面粗さRms(或いは、キャリア供給層21と該キャリア供給層21に接合を成す上層との界面)は、ヘテロ接合トランジスタにおける開口16の側面16aに係る界面の粗さより小さい。また、キャリア供給層21の表面の表面粗さRms(或いは、キャリア供給層21と該キャリア供給層21に接合を成す上層との界面)は、ヘテロ接合トランジスタにおける開口16の側面16a上のチャネル層19に係る界面の粗さより小さい。
【0060】
(実施例1)
エピタキシャル基板の作製。
窒化ガリウム膜をMOCVD法により成膜する。ガリウム原料として、トリメチルガリウムを用いる。窒素原料としては、高純度アンモニアを用いる。キャリアガスとしては、純化した水素を用いる。高純度アンモニアの純度は、99.999%以上であり、純化水素の純度は99.999995%以上である。n型ドーパントとして水素ベースのシランを用い、p型ドーパントとしてビスシクロペンタジエニルマグネシウムを用いる。基板として導電性の窒化ガリウム基板を用い、この基板のサイズは2インチである。まず、摂氏1030度の温度及び100Torrの圧力で、アンモニアと水素雰囲気中で基板のクリーニングを行う。その後に、摂氏1050度に昇温した後に、200Torrの圧力、及び1500のV/IIIモル比で窒化ガリウム層を成膜する。
【0061】
窒化ガリウム基板上に、厚さ5μmのn型ドリフト層、厚さ0.5μのp型電流ブロック層、厚さ0.2μmのn型キャップ層(コンタクト層)が順に成長される。ドリフト層のSi濃度は1×1016cm−3であり、バリア層のMg濃度は1×1018cm−3であり、キャップ層のSi濃度は1×1018cm−3である。この成膜により、窒化ガリウム基板上にnpn構造の半導体積層を有するエピタキシャル基板が作製される。
【0062】
デバイス構造の作製。
このエピタキシャル基板に開口部を形成する。このためのマスクは、エピタキシャル膜表面にレジストを塗布した後にフォトリソグラフィによりレジストにパターンを形成して作製される。このマスクを用いて、エピタキシャル基板に反応性イオンエッチングにより開口部を形成して、開口を有する基板生産物をする。
【0063】
レジストマスクの除去と基板洗浄を行った後に、MOCVD装置に基板を再び導入して、図7に示された温度変更シーケンスに従って再成長を行う。図7の(a)部及び(b)部のシーケンスでは、時刻t0で基板生産物を成長炉に配置した後に、水素を流しながら、摂氏400度まで基板温度を上昇する。時刻t1で基板温度が摂氏400度に到達する。さらに水素とアンモニアを流しながら、摂氏950度まで基板温度を上昇する。時刻t2で基板温度が摂氏950度に到達する。基板温度が十分に安定した時刻t3でトリメチルガリウム及びアンモニアを成長炉に供給して、アンドープGaN(i−GaN)膜を成長する。時刻t4でトリメチルガリウムの供給を停止して、この成膜を停止する。次いで、水素とアンモニアを流しながら、摂氏1080度まで基板温度を上昇する。時刻t5で基板温度が摂氏1080度に到達する。基板温度が十分に安定した時刻t6でトリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム及びアンモニアを成長炉に供給して、アンドープAlGaN(i−AlGaN)膜を成長する。時刻t7でトリメチルガリウム及びトリメチルアルミニウムの供給を停止して、この成膜を完了する。
【0064】
図7の(a)部のシーケンスでは、成膜を停止した後も引き続きアンモニア及び水素を流し続ける、時刻t8で基板温度の降下を開始する。十分に基板温度が低下した後に、時刻t9で成長炉から基板生産物を取り出す。
【0065】
この基板生産物のエピタキシャル再成長表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図8の(a)部を参照すると、AlGaN表面を示すSEM像が示されている。図8の(a)部における左上のエリアが開口の底部を示し、右下のエリアが開口外側領域(半導体積層の上面)を示し、これらの間の帯エリアが開口の斜面を示す。このSEM像は、平坦部と比較して斜面部に表面欠陥が集中していることを示している。
【0066】
図7の(b)部のシーケンスでは、成膜を停止した後に、速やかに、成長炉へアンモニア及び水素の供給を停止すると共に窒素(N)の供給を開始して、成長炉のチャンバにおいてアンモニア及び水素の雰囲気を窒素の雰囲気に変更する。実質的に窒素からなる雰囲気が形成された後に、時刻t8で基板温度の降下を開始する。十分に基板温度が低下した後に、時刻t9で成長炉から基板生産物を取り出す。
【0067】
上記のチャネル層のためのi−GaN膜及びキャリア供給層のためのi−AlGaN膜の成膜において、斜面表面への欠陥導入をある程度抑えかつ高純度でキャリア供給層を成長するために、成長時の原料V/IIIモル比を500〜5000の範囲、成長温度を摂氏900度〜1200度の範囲、成長圧力を50Torr〜760Torrの範囲を用いることができる。
【0068】
この基板生産物のエピタキシャル再成長表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。図8の(b)部を参照すると、AlGaN表面を示すSEM像が示されている。図8の(b)部における左上のエリアが開口の底部を示し、右下のエリアが開口外側領域(半導体積層の上面)を示し、これらの間の帯エリアが開口の斜面を示す。図8の(a)部及び(b)部の比較によれば、成膜後に成長炉に窒素雰囲気を形成することは、開口の底部と開口の底部との間の開口の斜面(帯エリア)における表面モフォロジを改善することができ、図8の(b)部に示されるように、斜面部の表面モフォロジは良好である。図8の(b)部を参照すると、開口の底部、開口の底部及び開口の斜面の間で表面モフォロジに大きな差異はない。
【0069】
チャネル層及びキャリア供給層の再成長後に、フォトリソグラフィとイオンビーム蒸着法を用いて、ソース電極及びドレイン電極をそれぞれ基板生産物の表面(エピ面)と裏面(基板裏面)に形成すると共に、ゲート電極を開口部側面に形成する。ゲート絶縁膜は厚さ10nmのアルミナ(Al)を用いた。
【0070】
窒化物系半導体のための絶縁膜としては、多結晶シリコン窒化物(例えばSiN)、シリコン酸化物(例えばSiO)、アルミニウム酸化物(Al)、窒化アルミニウム(AlN)またはハフニウム酸化物(HfO)等を用いることができる。これらの成膜法としては有機金属気相成長(MOCVD)法、プラズマ化学的気相成長(pCVD)法、スパッタ法、原子層堆積(ALD)法を用いることができる。例えば、ALD法でアルミニウム酸化物やシリコン酸化物を成膜する場合に、原子レベルでの良好な平坦性を有する高純度な膜を低温で形成できるので、成膜の際の下地層へのダメージが低減され、これ故に、絶縁膜/半導体の接合における界面準位密度を小さくできる。
【0071】
上記の実施例において作製されたトランジスタのゲート−ドレイン間の電流リークを測定した。図9の(a)部を参照すると、測定のセッティングが示されている。この接続では、ドレイン電極電位を固定すると共に、ゲート電極のバイアスを掃引してゲート−ドレイン間の電流リークを測定できる。図9の(b)部を参照すると、リーク電流特性線P、Cが示されている。キャリア供給層の成長後の雰囲気の違いにより、ゲートリーク電流に差異が現れている。アンモニアを含まない窒素を提供できる雰囲気により開口の斜面におけるAlGaN表面の欠陥が低減された結果、ゲート電極に係る電流リークが低減される。
【0072】
なお、本実施例では、ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成している。ノーマリオフ動作のトランジスタを提供するには斜面のi−AlGaN/i−GaNヘテロ界面の二次元電子ガスを枯渇させることが必要であり、この枯渇は、例えばAlGaNの膜厚を低減することにより実現される。また、ゲートバイアス印加によりキャリアをヘテロ界面に誘起する必要がある。i-AlGaN表面に直接にショットキ電極を形成したトランジスタでは、キャリアを誘起するためにショットキ接合に順方向バイアスを印加することとなり、この印加はゲート電流が発生させる。本実施例では、このゲート電流を避けて表面処理の違いによるゲート電流を正確に測定するために、i-AlGaN表面に直接にショットキ電極を形成したトランジスタではなくAlGaN表面にゲート絶縁膜を形成し、この絶縁膜上にゲート電極を形成している。これ故に、本実施の形態による技術的な寄与は、ショットキゲート電極を有するトランジスタにも適用される。
【0073】
導電性基板を用いた縦型トランジスタ構造のためのnpn半導体積層への斜面には、i−GaNチャネル層及びi−AlGaN電子供給層を順に再成長する。この斜面の形成では、下地の斜面は、RIE中にArイオンにより物理的に削られて形成されているに過ぎず、この物理的な処理に加えて化学的な処理を行って結晶面を表出させてはいない。これ故に、RIEにより形成された表面は原子スケールの凹凸と比べて大変荒れており、例えばRIE表面の表面粗さRms値は2nm(500nm平方)であり、一方、マスクで覆われてRIE処理が行われないエピ表面、例えばc面のエピ表面(As grown面)の表面粗さRms値は0.3nm(500nm平方)である。これ故に、GaNチャネル層の成長の際に開口の傾斜面は荒れており、これ故に、チャネル層の表面も下地の荒れを継承する。このため、AlGaN電子供給層は、GaNチャネル層の荒れた表面に成長される。また、斜面の結晶方位がC面から傾斜しているので、下地表面の単位面積当たりの原子の未結合手の数が多い。これ故に、III族原子(例えば、ガリウム、アルミニウム)のマイグレーションが抑制されるので、結晶成長のモードが島状成長になる傾向にある。したがって、開口の傾斜面の成長では、島状成長に起因した表面欠陥が結晶に導入されることになる。このような表面欠陥を有するIII窒化物層の表面上にゲート電極又はゲート絶縁膜を形成するとき、界面や膜中に欠陥が導入され、該欠陥を介したゲートリークの原因となる。
【0074】
GaN等の窒化物半導体の有機金属気相成長法によるC面(Ga面)成長表面は、アンモニアより発生した窒素原子で表面のテラスが覆われた状態になり、この上にIII族原子(Ga、Al等)が吸着して成長が進む。オフ基板であれば並列したステップにIII族原子が取り込まれ、或いはCジャスト面では島状のステップにIII族原子が取り込まれて、成長が進行する。この成長の際に、V/III比の大きい成長では、表面を被覆するN原子の密度がより大きくなり、この結果、III族原子の吸着中心密度が増大する。吸着中心密度の増大により、マイグレーションは阻害される。この結果、島状成長発生に起因したモフォロジー荒れを発生する。また、GaNに比してAlGaNを成長する場合には、Ga原子と比較してAl原子は窒素原子との結合力が強く、これ故にAl原子のマイグレーション長が短い。このため、Alを含むIII族窒化物の成長では、GaNの成長に比べて表面欠陥が導入されやすい。
【0075】
Alを含むIII族窒化物、例えばAlGaN成長時にV/IIIモル比を下げることにより、Al等のIII族原子のマイグレーションを促進することも可能ではある。V/IIIモル比を下げた成長条件は、有機金属気相成長法においてはIII族有機金属原料からの炭素不純物の混入が著しくなる。この混入はAlGaN中に深いキャリア準位に関連した欠陥を導入し、この欠陥は、チャネル移動度の低下をさせることになる。
【0076】
本実施の形態に係るデバイス構造の形成においては、電子供給層の成長の後における雰囲気からアンモニアを除外すると共に、この雰囲気に、好ましくは窒素のみを導入する。この雰囲気中において、成長温度以下の温度にIII族窒化物の表面をさらすことにより、成長温度付近で熱処理を行い、その後に降温を行う。アンモニアを含ます窒素を含む雰囲気中で降温を行うことで表面のAlGaN層の分解が誘起されて、窒素と比べて蒸気圧の低いIII族原子が表面に残る。窒素雰囲気にさらされたIII族窒化物の表面はIII族原子に適度に覆われた状態になり、III族原子のマイグレーションが促進される。この結果、降温の際の熱処理においてIII族窒化物の表面は平坦化される。しかしながら、窒素のみの雰囲気に替えて水素のみの雰囲気を提供した場合、III族窒化物の表面に分解過剰が引き起こされて、エッチングに起因した表面荒れが、窒素のみ雰囲気と比較して大きくなる。
【0077】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ゲートリーク電流を低減できる、窒化物電子デバイスを作製する方法が提供される。
【符号の説明】
【0079】
10a…成長炉、11…ヘテロ接合トランジスタ、13…導電性基板、15…半導体積層、16…開口、19…チャネル層、20…ヘテロ接合、21…バリア層、23…ゲート電極、25…第1導電型窒化ガリウム系半導体層、27…第2導電型窒化ガリウム系半導体層、29…絶縁用の窒化ガリウム系半導体層、31…ソース電極、33…ドレイン電極、CR…結晶座標系、51…III族窒化物半導体基板、53、53b…半導体積層、55…ドリフト層、57…電流ブロック層、57…コンタクト層、E…エピタキシャル基板、63…マスク、65…開口、65d…側面、65e…底面、R11、R12、R13、R31、R32、R33…基準面、69…チャネル層、71…キャリア供給層、73…ソース電極、77…ゲート絶縁膜、79…ゲート電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物電子デバイスを作製する方法であって、
基板を成長炉に配置した後に、アンモニア及びIII族元素原料を含む原料ガスを成長炉に供給することによって前記基板の主面上のチャネル層上にキャリア供給層を成長温度で成長して、基板生産物を形成する工程と、
前記キャリア供給層の成長が完了した後に、前記成長温度以下の温度の所定雰囲気に前記基板生産物をさらす工程と、
前記基板生産物の温度を前記所定雰囲気中で下げた後に、前記成長炉から前記基板生産物を取り出す工程と、
前記基板生産物を取り出した後に、前記キャリア供給層上にゲート電極を形成する工程と、
を備え、
前記チャネル層は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記チャネル層の前記窒化ガリウム系半導体のc軸に直交する面及び前記基板の前記主面に対して傾斜した第1の基準面に沿って延在し、前記第2の部分は、前記第1の部分に対して傾斜した第2の基準面に沿って延在し、
前記キャリア供給層は、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分は、前記チャネル層の前記第1の部分上に成長され、前記第2の部分は、前記チャネル層の前記第2の部分上に成長され、
前記ゲート電極は、前記キャリア供給層の前記第1の部分上に形成され、
前記第1の基準面に直交する第1の軸と前記窒化ガリウム系半導体のc軸との成す角度は、前記第2の基準面に直交する第2の軸と前記窒化ガリウム系半導体のc軸との成す角度より大きく、
前記キャリア供給層の前記III族窒化物半導体のバンドギャップは、前記チャネル層の前記窒化ガリウム系半導体のバンドギャップより大きく、
前記所定雰囲気は、窒素を含むと共にアンモニアを含まず、
前記チャネル層は窒化ガリウム系半導体を含み、
前記キャリア供給層はIII族窒化物半導体を含むことを特徴とする、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項2】
第1の窒化ガリウム系半導体からなるドリフト層、第2の窒化ガリウム系半導体からなる電流ブロック層、及び第3の窒化ガリウム系半導体からなるコンタクト層を前記基板の前記主面上に成長して、半導体積層を形成する工程と、
前記半導体積層の主面に開口をドライエッチングにより形成する工程と、
前記半導体積層の前記主面及び前記半導体積層の前記開口の表面上に、前記チャネル層を成長する工程と、
を更に備え、
前記開口は、前記半導体積層の前記主面に対して傾斜した側面を有し、
前記開口の前記側面は、前記ドリフト層の側面、前記電流ブロック層の側面、及び前記コンタクト層の側面を含み、
前記チャネル層の前記第1の部分は前記開口の前記側面上に成長され、
前記チャネル層の前記第2の部分は前記半導体積層の前記主面上に成長され、
前記ゲート電極は前記電流ブロック層の前記側面上に形成され、
前記第2の窒化ガリウム系半導体の導電型は、前記第1の窒化ガリウム系半導体の導電型と異なり、
前記第2の窒化ガリウム系半導体の導電型は、前記第3の窒化ガリウム系半導体の導電型と異なることを特徴とする請求項1に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項3】
前記チャネル層及び前記キャリア供給層の材料は、InGaN/AlGaN、GaN/AlGaN、及びAlGaN/AlNのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項4】
前記キャリア供給層の成長が完了した後に前記基板生産物の温度を前記成長温度に維持しながら、前記成長炉に前記所定雰囲気を形成する工程を更に備え、
前記所定雰囲気が前記成長炉に提供された後に、前記基板生産物の温度を前記成長温度からの低下を開始することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項5】
前記基板は導電性の自立III族窒化物基板からなり、
前記自立III族窒化物基板の主面は、前記基板のIII族窒化物のc軸に対して−20度から+20度の範囲にあり、
当該方法は、前記基板の裏面にドレイン電極を形成する工程を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項6】
前記第1の基準面と前記第2の基準面との成す角度は5度から40度の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項7】
前記ドリフト層の前記第1の窒化ガリウム系半導体、前記電流ブロック層の前記第2の窒化ガリウム系半導体、及び前記コンタクト層の第3の窒化ガリウム系半導体は、n型GaN/p型GaN/n型GaN、及びn型GaN/p型AlGaN/n型GaNのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項8】
前記基板生産物を取り出した後に、前記半導体積層の前記主面上にソース電極を形成する工程を更に備え、
前記ソース電極は、前記電流ブロック層及び前記コンタクト層に電位を供給し、
前記チャネル層と前記キャリア供給層とは接合を成し、
前記接合には二次元電子ガス層が形成され、
前記ソース電極は、前記チャネル層を流れるキャリアを供給することを特徴とする請求項2又は請求項7に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項9】
前記ゲート電極は前記キャリア供給層の前記第1の部分に接合を成すことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項10】
前記キャリア供給層の前記第1の部分上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
を更に備え、
前記ゲート電極は前記ゲート絶縁膜に接合を成すことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。
【請求項11】
前記ゲート絶縁膜は、原子層堆積(ALD)法で成長されることを特徴とする請求項10に記載された、窒化物電子デバイスを作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−181745(P2011−181745A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45457(P2010−45457)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】