説明

薄膜トランジスタを備えた半導体装置及びその製造方法

【課題】 従来よりも総工程数を減少でき、且つ動作特性及び信頼性を改善することができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 基板10に直接または下地膜12を介してアイランド状に形成された、活性層として機能する半導体膜45と、この半導体膜45内に形成された一対のソース・ドレイン領域20a及び20bとを備える。一対のソース・ドレイン領域20a及び20bは、半導体膜45のソース・ドレイン領域20a及び20b以外の部分よりも薄くされており、その厚さの差が10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ(Thin-Film Transistor,以下、TFTという)を備えた半導体装置と、その製造方法に関する。ここに、TFTとしては、活性層として多結晶シリコン(ポリシリコン)の薄膜を用いたものが好適である。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、マトリックス状に配置された複数のTFTを持つ基板(以下、TFT基板という)と、所定間隔をあけて当該TFT基板に対向せしめられた対向基板と、前記TFT基板と前記対向基板の間に配置された液晶層とから構成される。TFT基板の製造プロセスにおいては、製造歩留りやトランジスタ特性の安定性を確保するという目的から、各工程毎にパターン同士のアライメントを正確に制御することが重要である。
【0003】
従来の一般的なTFT基板の製造方法は次のとおりである。すなわち、まず最初に、ガラス基板上にSiO2、SiN、あるいはSiON等からなる下地絶縁膜を形成し、その上にCVD法等により非晶質シリコン膜を形成する。その後、その非晶質シリコン膜の上に第1感光性レジスト膜を形成してからその感光性レジスト膜に対して選択的露光及び現像を行い、アライメントマーク形成用パターンを持つ第1マスクを得る。そして、この第1マスクを用いて前記非晶質シリコン膜を選択的にエッチングし、第1アライメントマークを形成する。その後、前記第1マスクを剥離する。
【0004】
次に、固相成長、エキシマレーザー・アニール等の方法により、前記非晶質シリコン膜(前記第1アライメントマークが形成されている)の結晶化を行なって多結晶シリコン膜(以下、ポリシリコン膜ともいう)とする。続いて、前記ポリシリコン膜の上に第2感光性レジスト膜を形成してからその感光性レジスト膜に対して選択的露光及び現像を行い、半導体アイランド(島)形成用パターンと第2アライメントマーク形成用パターンを持つ第2マスクを得る。前記第2感光性レジスト膜を選択的露光する際のアライメントには、前記第1アライメントマークを使用する。
【0005】
次に、前記第2マスクを用いて前記ポリシリコン膜を選択的にエッチングする。これにより、前記ポリシリコン膜がアイランド状にパターン化されて半導体アイランド(ポリシリコン・アイランド)が形成されるが、それと同時に、前記ポリシリコン膜によって前記第2アライメントマークが形成される。その後、前記第2マスクを剥離する。
【0006】
続いて、第3感光性レジスト膜を形成してから選択的露光及び現像を行い、不純物注入用パターンを持つ第3マスクを形成する。そして、この第3マスクを用いて、アイランド状にパターン化された前記ポリシリコン膜(ポリシリコン・アイランド)のソース・ドレイン形成領域(ソース・ドレイン領域が形成されるべき領域、以下、S/D形成領域ともいう)に選択的に不純物を注入する。これによりポリシリコン・アイランド中に一対のソース・ドレイン領域(以下、S/D領域ともいう)が形成される。さらに、前記第3マスクを剥離してから、エキシマレーザー・アニールや熱アニール等の方法により、前記ポリシリコン膜中に注入された前記不純物の活性化を行う。
【0007】
その後、ゲート絶縁膜の形成、ゲート電極・配線の形成、層間絶縁膜の形成、コンタクト・ホールの形成、ソース・ドレイン配線の形成を順に行ってTFTを完成する。
【0008】
上述したように、上記従来のTFT基板の製造方法では、前記第1アライメントマークだけを形成するために、前記第1感光性レジスト膜の形成・露光・現像、前記非晶質シリコン膜のエッチング、そして前記第1感光性レジスト膜の剥離という五つの工程を実行する必要がある。したがって、総工程数が増加して製造コストが高くなる、という問題がある。そこで、総工程数を低減するために、従来より、例えば特開2003−332349号公報に開示されているような対策が提案されている。
【0009】
特開2003−332349号公報に開示された方法は、次のようなものである。すなわち、基板に形成された下地膜の上に非晶質シリコン膜を形成する際に、当該基板の外周部に非晶質シリコン膜が形成されない領域(非晶質シリコン膜不在領域)を設けると共に、その内側に非晶質シリコン膜が形成される領域(非晶質シリコン膜形成領域)を設けておく。前記非晶質シリコン膜不在領域は、非晶質シリコン膜の形成時に前記基板の外周部を覆い隠すことによって形成する。そして、前記非晶質シリコン膜不在領域と前記非晶質シリコン膜形成領域の双方の上に感光性レジスト膜を形成してから、当該レジスト膜の選択的露光及び現像を行うことにより、当該レジスト膜に不純物注入用パターン及びアライメントマーク形成用パターンを形成し、マスクとする。前記不純物注入用パターンは前記非晶質シリコン膜形成領域の上に配置され、前記アライメントマーク形成用パターンは前記非晶質シリコン膜不在領域の上に配置される。
【0010】
その後、前記マスクを用いて、前記非晶質シリコン膜中に所定の不純物を注入してから、同じマスクを用いて、前記下地膜を選択的にエッチングする。これにより、前記非晶質シリコン膜形成領域にある前記非晶質シリコン膜にS/D形成領域が形成されると同時に、前記非晶質シリコン膜不在領域にある前記下地膜にアライメントマークが形成される。エッチング完了後、前記マスクを剥離する。
【0011】
特開2003−332349号公報に開示された方法では、このようにして、上記従来のTFT基板の製造方法における前記第1アライメントマーク形成用の五つの工程を省略している。このため、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0012】
また、製造工程の短縮化のために、シリコン膜中に注入された不純物の活性化工程を省略する場合、以下に示す特許第3211340号公報に開示されているような方法が提案されている。この方法は、絶縁基板上に非晶質シリコン膜を堆積し、この非晶質シリコン膜のS/D形成領域に不純物を注入して不純物注入領域を形成した後、前記不純物注入領域に直接的にエキシマレーザを照射することにより、前記非晶質シリコン膜を多結晶化すると同時に前記不純物注入領域を活性化するものである。この方法(エキシマレーザ・アニール法と呼ばれる)によれば、エキシマレーザ照射により、非晶質シリコン膜の多結晶化とその非晶質シリコン膜中に注入された不純物の活性化の双方を同時に実行できるため、製造工程が短縮される。その結果、製造コストの上昇を防止することができる。
【特許文献1】特開2003−332349号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特許第3211340号公報(請求項1、図1〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した特開2003−332349号公報に記載された方法からも明らかなように、TFT基板の製造プロセスを短縮する(総工程数を減少する)ためには、不純物注入用パターンとアライメントマーク形成用パターンを1回の露光・現像で形成したり、非晶質シリコン膜の結晶化とその非晶質シリコン膜中に注入された不純物の活性化とを同時に行ったりすることが有効である。しかし、上記特開2003−332349号公報に開示された方法を用いて、不純物注入用パターンとアライメントマーク形成用パターンを1回の露光・現像工程で形成する場合、アライメントマークを基板の外周部にしか形成できないため、前記基板の中央部でのアライメント精度が低下する、という難点がある。
【0014】
また、アライメントマーク形成用領域を前記基板の外周部に設ける必要があるため、それだけTFTの形成に使用される領域が減少し、その結果、製造コストが上昇する、という難点もある。
【0015】
さらに、上述した特許第3211340号公報に記載された方法のように、非晶質シリコン膜のソース・ドレイン形成領域に所望の不純物を注入した後、エキシマレーザ照射によって、当該非晶質シリコン膜の結晶化と注入不純物の活性化とを同時に行う場合、前記所望の不純物と共に当該非晶質シリコン膜の表面近傍に注入される重金属不純物が、当該非晶質シリコン膜の内部に拡散する。そして、この重金属不純物に起因して、当該非晶質シリコン膜を用いて形成されるTFTの特性及び信頼性が低下する、という難点がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、従来よりも総工程数を減少することができ、しかも動作特性及び信頼性を改善することができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、従来よりも高いアライメント精度を確保することができる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、従来のこの種半導体装置よりも製造コストをいっそう削減できる半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【0019】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(1) 本発明の第1の観点では、TFTを備えた半導体装置が提供される。この半導体装置は、
基板と、
前記基板上に直接または下地膜を介してアイランド状に形成された、活性層として機能する半導体膜と、
前記半導体膜内に形成された一対のS/D領域とを備え、
前記一対のS/D領域が、前記半導体膜の前記一対のS/D領域以外の部分よりも薄くされており、その厚さの差が10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されていることを特徴とするものである。
【0021】
ここで、前記厚さの差が、10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されているのは、次のような理由による。すなわち、最小値が10オングストロームであるのは、露光装置によるアライメントマークの読み取りが可能な最小深さ(最小の厚さの差)が10オングストロームだからである。最大値が100オングストロームであるのは、エキシマレーザ・アニール法で非晶質の前記半導体膜を結晶化する場合に、露光装置による読み取りが可能なレベルにアライメントマークの形状を維持できる最大深さが100オングストロームだからである。
【0022】
(2) 本発明の第1の観点の半導体装置では、前記一対のS/D領域の厚さが、前記半導体膜の前記一対のS/D領域以外の部分の厚さよりも10オングストローム〜100オングストロームの範囲内の任意の値だけ小さくされている。これは、前記半導体膜の前記一対のS/D領域の表面部分が選択的に除去されていることを意味する。このため、前記半導体膜の前記一対のS/D領域となるべき箇所(ソース・ドレイン形成領域)に所望の不純物を注入する際に、当該所望の不純物と一緒に注入される重金属不純物は、前記一対のS/D形成領域の表面部分の選択的除去に伴って除去される。したがって、エキシマレーザ・アニール法で前記半導体膜の結晶化と当該半導体膜中に導入された不純物の活性化を同時に行う際に、前記重金属不純物が前記一対のS/D領域中に拡散する恐れがない。よって、当該半導体装置(TFT)の特性及び信頼性を改善することができる。
【0023】
さらに、不純物注入用パターンとアライメントマーク形成用パターンを1回の露光・現像で形成すると共に、前記半導体膜の結晶化と当該半導体膜中に注入された不純物の活性化とを同時に行うことにより、総工程数を減少することができる。その結果、製造コストをいっそう削減することができる。
【0024】
(3) 本発明の第1の観点の半導体装置の好ましい例では、前記半導体膜の外部近傍に当該半導体膜と同一の材料で形成されたアライメントマークをさらに備える。この例では、上述した特開2003−332349号公報に記載されたようなアライメントマークが基板の外周部に形成される場合とは異なり、前記アライメントマークが前記半導体膜の外部近傍に設けられているため、前記半導体膜に対してそれより上位のパターンの位置決めする際に、前記アライメントマークを用いることができる。よって、従来よりも高いアライメント精度を得ることができるという利点がある。
【0025】
本発明の第1の観点の半導体装置の他の好ましい例では、前記アライメントマークの厚さが、前記半導体膜の前記一対のS/D領域以外の部分の厚さと同一とされる。この例では、いっそう高いアライメント精度を得ることができる、という利点がある。
【0026】
(4) 本発明の第2の観点では、TFTを備えた半導体装置の製造方法が提供される。この製造方法は、基板上にTFTを配置してなる半導体装置の製造方法であって、
基板上に直接または下地膜を介して非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、S/D領域用パターン及び第1アライメントマーク用パターンを持つ第1マスクを形成する工程と、
前記第1マスクを用いて前記非晶質半導体膜に不純物を選択的に注入し、もって前記S/D領域用パターンによって第1不純物注入領域を形成すると共に、前記第1アライメントマーク用パターンによって一対の第2不純物注入領域を形成する工程と、
前記第1マスクを用いて、前記第1不純物注入領域の表面部分と、一対の前記第2不純物注入領域の表面部分とを選択的にエッチングする工程と、
エッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域を含む前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を結晶化して多結晶半導体膜を形成すると共に、前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域の内部の前記不純物を活性化する工程と、
前記多結晶半導体膜の上に、アイランド用パターンを持つ第2マスクを形成する工程と、
前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングし、もって前記アイランド用パターンによって半導体アイランドを形成する工程とを備え、
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前記工程において、前記多結晶半導体膜の内部には、前記第1不純物注入領域によって一対のS/D領域が形成されると共に、前記第2不純物注入領域によって第1アライメントマークが形成され、
前記多結晶半導体膜をエッチングする前記工程において、一対の前記S/D領域が前記半導体アイランドの内部に包含されるように形成されることを特徴とするものである。
【0027】
(5) 本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法では、前記第1マスク用のレジスト膜形成、露光、現像及びエッチングという一連の作業を1回行うだけで、表面部分がエッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域が得られる。また、エッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域を含む前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を結晶化して多結晶半導体膜を形成すると共に、前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域の内部の前記不純物を活性化するので、当該不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。よって、本発明の半導体装置の製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる。
【0028】
また、前記第1マスクを用いて、前記非晶質半導体膜中の前記第1不純物注入領域の表面部分と一対の前記第2不純物注入領域の表面部分とが選択的にエッチング除去されるので、前記非晶質半導体膜への前記不純物の注入の際に当該不純物と共に注入される重金属不純物を確実に除去することができる。このため、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて、一対の前記S/D領域を用いて形成されるTFT(当該半導体装置)の初期の特性ばらつきが改善され、信頼性も向上する。
【0029】
(6) 本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法の好ましい例では、前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングする際に、前記第1アライメントマークを利用してアライメントが実行される。この例では、前記半導体アイランドを従来よりも高いアライメント精度で形成することができるという利点がある。
【0030】
本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法の他の好ましい例では、前記第2マスクが、前記アイランド用パターンに加えて第2アライメントマーク用パターンを持っており、前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングして前記半導体アイランドを形成する際に、前記第2アライメントマーク用パターンによって第2アライメントマークが前記半導体アイランドの近傍に形成される。この例では、上述した特開2003−332349号公報に記載されたようなアライメントマークが基板の外周部に形成される場合とは異なり、一対の前記S/D領域に近接して前記第1アライメントマークが前記多結晶半導体膜中に設けられると共に、前記半導体アイランドの外部近傍に前記第2アライメントマークが設けられるから、前記半導体アイランドより上位のパターンのアライメントをする際に、前記第2アライメントマークを用いることができる。よって、従来よりも高いアライメント精度で前記半導体アイランドより上位のパターンのアライメントをすることができるという利点がある。
【0031】
本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分に閾値制御のための不純物を注入する工程を含む。この不純物注入工程は、前記第1マスクを剥離してから行うのが好ましいが、マスクを用いて前記不純物がTFTのチャネル領域のみに選択的に注入されるようにしてもよい。この例では、形成されるTFTの閾値を制御できるという利点がある。
【0032】
本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分にLDD構造形成のための不純物を注入する工程を含む。この例では、LDD構造を持つTFTを形成できるという利点がある。
【0033】
(7) 本発明の第3の観点では、TFTを備えた半導体装置の他の製造方法が提供される。この製造方法は、基板上に第1導電型のTFTと第2導電型のTFTを配置してなる半導体装置の製造方法であって、
基板上に直接または下地膜を介して非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、前記第1導電型のTFTのS/D領域用パターン及び前記第1導電型のTFTの第1アライメントマーク用パターンを持つ第1マスクを形成する工程と、
前記第1マスクを用いて前記非晶質半導体膜に前記第1導電型の不純物を選択的に注入し、もって前記第1導電型のTFTの前記S/D領域用パターンによって第1不純物注入領域を形成すると共に、前記第1導電型のTFTの前記第1アライメントマーク用パターンによって一対の第2不純物注入領域を形成する工程と、
前記第1マスクを用いて、前記第1不純物注入領域の表面部分と、一対の前記第2不純物注入領域の表面部分とを選択的にエッチングする工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、前記第2導電型のTFTのS/D領域用パターンを持つ第2マスクを形成する工程と、
前記第2マスクを用いて前記非晶質半導体膜に前記第2導電型の不純物を選択的に注入し、もって前記第2導電型のTFTの前記S/D領域用パターンによって第3不純物注入領域を形成する工程と、
エッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域と前記第3不純物注入領域及び前記第4不純物注入領域とを含む前記非晶質半導体膜に、レーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を結晶化して多結晶半導体膜を形成すると共に、前記第1不純物注入領域、前記第2不純物注入領域、前記第3不純物注入領域及び前記第4不純物注入領域の内部の前記不純物を活性化する工程と、
前記多結晶半導体膜の上に、アイランド用パターンを持つ第3マスクを形成する工程と、
前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングし、もって前記アイランド用パターンによって前記第1導電型のTFT用の半導体アイランド及び前記第2導電型のTFT用の半導体アイランドを形成する工程とを備え、
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前記工程において、前記多結晶半導体膜の内部には、前記第1不純物注入領域によって前記第2導電型のTFTの一対のS/D領域が形成されると共に、前記第2不純物注入領域によって第1アライメントマークが形成され、さらに、前記第3不純物注入領域によって前記第2導電型のTFTの一対のS/D領域が形成され、
前記多結晶半導体膜をエッチングする前記工程において、前記第1導電型のTFTの一対の前記S/D領域が前記第1導電型のTFT用の半導体アイランドの内部に包含されるように形成されると共に、前記第2導電型のTFTの一対の前記S/D領域が前記第2導電型のTFT用の半導体アイランドの内部に包含されるように形成されることを特徴とするものである。
【0034】
(8) 本発明の第3の観点の半導体装置の製造方法は、異なる導電型のTFTを同一基板上に形成する点を除いて、本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法と同じである。よって、本発明の第2の観点の半導体装置の製造方法と同じ理由により、それと同じ効果が得られることが明らかである。
【0035】
なお、前記第1アライメントマークは、前記第1導電型のTFTと前記第2導電型のTFTとで共用できるので、前記第2マスクには前記第1アライメントマークに対応するパターンは設けられていない。しかし、前記第2マスクに前記第1アライメントマークに対応するパターンを設けてもよいことは言うまでもない。これは、前記第2アライメントマークについても同様である。
【0036】
(9) 本発明の第3の観点の半導体装置の製造方法の好ましい例では、前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングする際に、前記第1アライメントマークを利用してアライメントが実行される。この例では、前記半導体アイランドを従来よりも高いアライメント精度で形成することができるという利点がある。
【0037】
本発明の第3の観点の半導体装置の製造方法の他の好ましい例では、前記第3マスクが、前記アイランド用パターンに加えて第2アライメントマーク用パターンを持っており、前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングして前記半導体アイランドを形成する際に、前記第2アライメントマーク用パターンによって第2アライメントマークが前記半導体アイランドの近傍に形成される。この例では、上述した特開2003−332349号公報に記載されたようなアライメントマークが基板の外周部に形成される場合とは異なり、二対の前記S/D領域に近接して前記第1アライメントマークが前記多結晶半導体膜中に設けられると共に、前記半導体アイランドの外部近傍に前記第2アライメントマークが設けられるから、前記半導体アイランドより上位のパターンのアライメントをする際に前記第2アライメントマークを用いることができる。よって、従来よりも高いアライメント精度で前記半導体アイランドより上位のパターンのアライメントをすることができるという利点がある。
【0038】
本発明の第3の観点の半導体装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分に閾値制御のための不純物を注入する工程を含む。この不純物注入工程は、マスクを用いて前記不純物が前記第1導電型のTFTと前記第2導電型のTFTのチャネル領域のみに選択的に注入されるようにしてもよいし、前記非晶質半導体膜の全体に注入されるようにしてもよい。この例では、形成される両TFTの閾値を制御できるという利点がある。
【発明の効果】
【0039】
本発明の半導体装置及びその製造方法によれば、(a)従来よりも総工程数を減少することができ、しかも動作特性及び信頼性を改善することができる、(b)従来よりも高いアライメント精度を確保することができる、(c)従来のこの種半導体装置よりも製造コストをいっそう削減できる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
(第1実施形態の半導体装置の構成)
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。図1(b)は、当該半導体装置のアイランド(島)状にパターン化されたポリシリコン膜(ポリシリコン・アイランド)と第2アライメントマークの概略レイアウトを示す平面図である。
【0042】
本実施形態に係る半導体装置1は、図1(a)及び(b)に示すように、矩形のガラス基板10の上に下地膜12が形成されており、その下地膜12の上に島状にパターン化されたポリシリコン膜(ポリシリコン・アイランド)45と、一対の第2アライメントマーク47a及び47bが形成されている。ポリシリコン・アイランド45の中央には、チャネル領域20cが形成されており、その両側には一対のS/D領域20a及び20bが形成されている。つまり、チャネル領域20cは、一対のS/D領域20a及び20bによって挟まれている。S/D領域20aの左側には、S/D領域20aから少し離れて第2アライメントマーク47aが形成されている。S/D領域20bの右側には、S/D領域20bから少し離れて第2アライメントマーク47bが形成されている。
【0043】
S/D領域20a及び20bの厚さTa及びTbは、いずれも、ポリシリコン・アイランド45の厚さTcより薄くなっている。すなわち、Ta=Tb>Tcである。第2アライメントマーク47a及び47bの厚さは、ポリシリコン・アイランド45の厚さTcと同一である。
【0044】
ポリシリコン・アイランド45の厚さTcと、S/D領域20a及び20bの厚さTa及びTbとの差ΔTa(=Tc−Ta)及びΔTb(=Tc−Tb)は、いずれも、10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されている。すなわち、
10オングストローム≦ΔTa≦100オングストローム
10オングストローム≦ΔTb≦100オングストローム
ΔTa=ΔTb
である。
【0045】
ΔTa及びΔTbが10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されているのは、次のような理由による。すなわち、ΔTa及びΔTbの最小値が10オングストロームであるのは、現行の露光装置による第2アライメントマーク47a及び47bの読み取りが可能な、第2アライメントマーク47a及び47bの厚さTc(これはポリシリコン・アイランド45の厚さに等しい)を基準とする最小深さ(最小の厚さの差)が、10オングストロームだからである。また、ΔTa及びΔTbの最大値が100オングストロームであるのは、エキシマレーザ・アニール法で非晶質シリコン膜を結晶化してポリシリコン膜を形成する場合(後にこれをパターン化してポリシリコン・アイランド45とする)に、現行の露光装置による読み取りが可能なレベルに第2アライメントマーク47a及び47bの形状を維持できる最大深さが100オングストロームだからである。
【0046】
なお、これらの読み取り可能条件を満たしていれば、第2アライメントマーク47a及び47bの厚さは、ポリシリコン・アイランド45の厚さTcと同一でなくてもよいし、ΔTa≠ΔTbであってもよい。
【0047】
ポリシリコン・アイランド45と一対の第2アライメントマーク47a及び47bは、下地膜12の上に形成されたゲート絶縁膜50で覆われている。このゲート絶縁膜50は、基板10の全面を覆っている。ゲート絶縁膜50の上には、ゲート電極・配線55が形成されている。ゲート電極・配線55は、アイランド45のチャネル領域20cの全面と重なり合うように形成されており、チャネル領域20cと重なっている部分がTFTのゲート電極として機能し、他の部分がゲート配線として機能する。ゲート電極・配線55は、ゲート絶縁膜50上に形成された厚い層間絶縁膜60で覆われている。層間絶縁膜60は、基板10の全面を覆っており、その表面は平坦化されている。
【0048】
一対のS/D領域20a及び20bとゲート絶縁膜50ゲート電極・配線55は、TFTを構成している。
【0049】
層間絶縁膜60の上には、パターン化された金属膜からなる一対のソース・ドレイン配線(S/D配線)70a及び70bが形成されている。S/D配線70aは、ゲート絶縁膜50と層間絶縁膜60の双方を貫通するコンタクトホール65a内の導電性プラグを介して、S/D領域20aに機械的・電気的に接続されている。同様に、S/D配線70bは、ゲート絶縁膜50と層間絶縁膜60の双方を貫通するコンタクトホール65b内の導電性プラグを介して、S/D領域20bに機械的・電気的に接続されている。
【0050】
以上述べたように、図1(a)及び(b)に示した本発明の第1実施形態の半導体装置では、一対のS/D領域20a及び20bの厚さTa及びTbが、アイランド状にパターン化されたポリシリコン膜(ポリシリコン・アイランド)45のS/D領域20a及び20b以外の部分(すなわちチャネル領域20c)の厚さTcよりも10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定された任意の値だけ小さくされている。これは、ポリシリコン・アイランド45のS/D領域20a及び20bの表面部分のみが選択的に除去されていることを意味する。
【0051】
このため、ポリシリコン・アイランド45のS/D領域20a及び20bとなるべき箇所(つまりS/D形成領域)に所望の不純物を導入する際に、当該所望の不純物と一緒に導入される重金属不純物が、S/D形成領域の表面部分の選択的除去に伴って除去される。したがって、エキシマレーザ・アニール法で非晶質シリコン膜の結晶化とその中に導入された不純物の活性化を同時に行う際に、前記重金属不純物がS/D領域20a及び20b中に拡散する恐れがない。よって、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて、S/D領域20a及び20bを用いて形成されるTFT(つまり当該半導体装置1)の初期の特性ばらつきが改善され、信頼性も向上する。つまり、当該TFT(半導体装置1)の動作特性及び信頼性を改善することができる。
【0052】
また、上述した特開2003−332349号公報に記載されたような、アライメントマークが基板10の外周部に選択的に形成される場合とは異なり、一対の第2アライメントマーク47a及び47bがポリシリコン・アイランド45の一対のS/D領域20a及び20bのそれぞれに近接して設けられている。(換言すれば、TFTの各々に対して一対の第2アライメントマーク47a及び47bが設けられている。)このため、ゲート電極・配線55を形成する際のアライメントに、上記特開2003−332349号公報に記載の方法における「非晶質シリコン膜形成領域」に対応する箇所に配置された第2アライメントマーク47a及び47bを用いることができるから、従来よりも高いアライメント精度でゲート電極・配線55等の上位パターンを形成することができる。
【0053】
さらに、不純物注入用パターンとアライメントマーク形成用パターンを1回の露光・現像で形成すると共に、非晶質シリコン膜の結晶化によるポリシリコン膜45の形成とその中に注入された不純物の活性化とを同時に行うことにより、露光・現像工程数の削減を通じて総工程数の減少ができる。よって、製造コストをいっそう削減することができる。
【0054】
なお、上記構成の半導体装置1では、ゲート電極・配線55等の上位パターンを形成する際に従来よりも高いアライメント精度が得られないことになるが、一対の第2アライメントマーク47a及び47bを省略することもできる。
【0055】
(第1実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図2(a)〜図5(m)を参照しながら、上記構成を持つ本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0056】
最初に、図2(a)に示すように、所望の大きさのガラス基板10の上に下地膜12を形成する。この下地膜12は、ガラス基板10中の不純物に起因する汚染を防止する目的で形成されるものであり、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸窒化膜(SiNO)、あるいはシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層体で構成される。下地膜12の膜厚は、1000〜5000オングストロームの範囲で任意に設定されるが、ここでは5000オングストロームのSiO2膜とする。
【0057】
次に、図2(b)に示すように、下地膜12の上に、LPCVD法(Low-Pressure Chemical Vapor Deposition、低圧CVD法)またはPECVD法(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズマCVD法)によって非晶質シリコン膜14を形成する。この非晶質シリコン膜14は、TFTの活性層として使用されるため、リーク電流値を低く抑えるという観点からすると、膜厚は薄いほうがよいが、後で行なう結晶化工程のプロセスマージンを考慮すると、膜厚は300〜3000オングストロームの範囲内で設定するのが好ましい。ここでは600オングストロームとする。
【0058】
次に、図2(c)に示すように、塗布法により非晶質シリコン膜14の上に所望厚さの感光性レジスト膜を形成し、これを露光・現像することによりパターン化して、一対の第1アライメントマーク18a及び18bと一対のS/D領域20a及び20bを形成するためのマスク16を形成する。マスク16は、一対の第1アライメントマーク18a及び18bに対応する透孔16c及び16dと、一対のS/D領域20a及び20bに対応する透孔16a及び16bとを有している。
【0059】
次に、このマスク16を用いて、図2(d)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に選択的に所望の不純物(例えば硼素)を注入する。この時のドース量は、1×1015cm-2とする。これにより、マスク16の透孔16a、16b、16c及び16dを介して不純物が注入され、非晶質シリコン膜14の内部に一対の不純物注入領域20a’及び20b’が形成されるが、同時に一対の不純物注入領域18a’及び18b’も形成される。一対の不純物注入領域18a’及び18b’が一対の不純物注入領域20a’及び20b’毎に形成される点で、上述した特開2003−332349号公報に記載された場合(つまり、アライメントマークが基板の外周部のみに選択的に形成される)とは異なる。その結果、不純物注入領域18a’及び18b’(すなわち第1アライメントマーク18a及び18b)を利用して行う次の露光工程(ポリシリコン・アイランド形成用)のアライメント精度を高めることができる利点がある。
【0060】
図2(d)の工程における不純物の注入深さは、非晶質シリコン膜14の膜厚のほぼ全体に及ぶように設定されており、後工程で行われる当該不純物に対する活性化によって、当該注入不純物は非晶質シリコン膜14の膜厚の全体に及ぶ。また、図2(d)の工程で、不純物注入領域20a’及び20b’の近傍に不純物注入領域18a’及び18b’がそれぞれ形成されるが、これら不純物注入領域18a’及び18b’はTFTの特性には影響を与えない。不純物注入領域18a’及び18b’は、後の工程で除去されるからである。
【0061】
次に、図3(e)に示すように、同じマスク16を用いて、非晶質シリコン膜14の不純物注入領域18a’及び18b’の表面部分と不純物注入領域20a’及び20b’の表面部分を選択的にエッチングする。エッチング完了後、マスク16を剥離する。ここでは、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域18a’及び18b’を、それぞれ不純物注入領域18a”及び18b”と表示する。また、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域20a’及び20b’を、それぞれ不純物注入領域20a”及び20b”と表示する。
【0062】
この工程でエッチング除去する深さは、10〜100オングストロームの範囲内で任意に設定する。これは、現行の露光装置による第1アライメントマーク18a及び18bの読み取りが可能な最小深さが10オングストロームであること、そして、後述する非晶質シリコン膜14の結晶化をエキシマレーザー・アニール(Excimer Laser Annealing)法(以下、ELA法という)で行う場合に、現行の露光装置による読み取りが可能なレベルに第1アライメントマーク18a及び18bの形状を維持できる最大深さが100オングストロームだからである。ここでは、エッチングする深さは50オングストロームとする。
【0063】
以上のようにして、レジスト膜形成、露光、現像及びエッチングという一連の作業を一回行うだけで、表面部分がエッチングされた不純物注入領域18a”及び18b”と表面部分がエッチングされた不純物注入領域20a”及び20b”が得られる。
【0064】
図3(e)に示されているように、後にS/D領域となる不純物注入領域20a”及び20b”の表面部分が選択的にエッチング除去されていることから、前記所望の不純物注入の際に当該不純物と共に注入される重金属不純物が除去される。このため、当該S/D領域を用いて形成されるTFT(当該半導体装置)の初期の特性ばらつきが、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて10%以上改善することが分かった。また信頼性についても、当該重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて2倍以上に向上することが分かった。
【0065】
次に、図3(f)に示すように、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14(不純物注入領域18a”及び18b”と不純物注入領域20a”及び20b”を含む)の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35を得る。この時、エキシマレーザ光Bによって、不純物注入領域20a”及び20b”に注入された不純物(硼素)が活性化されるから、当該不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、不純物注入領域18a”及び18b”はそれぞれ第1アライメントマーク18a及び18bとなり、不純物注入領域20a”及び20b”はそれぞれS/D領域20a及び20bとなる。
【0066】
次に、図3(g)に示すように、ポリシリコン膜35上に感光性レジストを塗布し、これに露光・現像を行なうことによって、ポリシリコン・アイランド45と第2アライメントマーク47a及び47bを形成するためのマスク39を形成する。このマスク39は、ポリシリコン・アイランド45形成用の部分40と、第2アライメントマーク47a及び47b形成用の部分42a及び42bが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク18a及び18bを用いて行なうが、第1アライメントマーク18a及び18bはS/D領域20a及び20bの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0067】
ここでは、説明を簡単にするために、基板10上に一つのTFT(一対のS/D領域20a及び20bと1個のゲート電極・配線55)が形成される場合について説明しているが、実際は基板10上に多数のTFTがマトリックス状に形成・配置される。本実施形態では、第1アライメントマーク18a及び18bが対応するS/D領域20a及び20bの近傍に形成されるので、TFTすなわちS/D領域20a及び20bのレイアウトに伴って、第1アライメントマーク18a及び18bのレイアウトも基板10の全面に及ぶ。このため、基板10の全面にわたって±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。これに対し、特開2003−332349号公報に記載された方法では、アライメントマークが基板の外周部のみに配置されるため、当該基板の内側におけるアライメント精度は±0.3μm以上となり、本実施形態に比べてかなり劣化する。
【0068】
次に、図3(h)に示すように、マスク39を用いて、ポリシリコン膜35を選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35すなわちポリシリコン・アイランド45を得る。この時、ポリシリコン・アイランド45の左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45は、一対のS/D領域20a及び20bを含んでおり、S/D領域20a及び20bの間の部分がチャネル領域20cとなる。
【0069】
次に、図4(i)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜50を形成し、ポリシリコン・アイランド45と第2アライメントマーク47a及び47bを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでおり、その膜厚は1000オングストロームである。ゲート絶縁膜50は、シリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiNx)やシリコン酸窒化膜(SiON)やシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜のいずれかで形成すればよいが、ここではSiO2膜で形成する。
【0070】
次に、図4(j)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線55を形成する。ゲート電極・配線55は、Si、Al、Cr、Mo、W、WSiなどの導電性材料で形成できるが、ここでは膜厚2000オングストロームのCr膜を用いて形成する。ゲート電極・配線55を形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45と第2アライメントマーク47a及び47bを用いて行う。
【0071】
次に、図4(k)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでおり、膜厚4000オングストロームのSiO2膜で形成されている。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0072】
次に、図4(l)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a及び65bを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45の一対のS/D領域20a及び20bにまで到達している。
【0073】
次に、図5(m)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に一対のS/D配線70a及び70bを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、S/D領域20a及び20bに機械的・電気的に接続されている。図5(m)の構成は、図1のそれと同じである。
【0074】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35を活性層に用いたTFT(ポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第1実施形態の半導体装置1が得られる。
【0075】
上述した本発明の第1実施形態の半導体装置1の製造方法では、マスク16用のレジスト膜形成、露光、現像、不純物注入及びエッチング(図2(c)〜図3(e)の工程を参照)という一連の作業を1回行うだけで、表面部分がエッチングされた不純物注入領域18a”及び18b”と表面部分がエッチングされた不純物注入領域20a”及び20b”が得られる。また、不純物が注入された非晶質シリコン膜14の全面にエキシマレーザ光Bを照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35を形成する(図3(f)の工程を参照)ので、非晶質シリコン膜14の結晶化と同時に、不純物注入領域20a”及び20b”(これらは後にS/D領域20a及び20bとなる)に注入された不純物が活性化される。このため、当該不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。よって、本発明の第1実施形態の半導体装置1の製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる。
【0076】
また、後にS/D領域20a及び20bとなる不純物注入領域20a”及び20b”の表面部分が選択的にエッチング除去される(図3(e)の工程を参照)ことから、前記所望の不純物注入の際に当該不純物と共に注入される重金属不純物を確実に除去することができる。このため、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて、S/D領域20a及び20bを用いて形成されるTFT(半導体装置1)の初期の特性ばらつきが改善され、信頼性も向上する。つまり、当該TFT(半導体装置1)の動作特性及び信頼性を改善することができる。
【0077】
さらに、上述した特開2003−332349号公報に記載されたようなアライメントマークが基板の外周部に形成される場合とは異なり、一対のS/D領域20a及び20bとに近接して一対の第1アライメントマーク18a及び18bがポリシリコン膜35中に設けられていると共に、ポリシリコン・アイランド45の外部近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが設けられるから、ポリシリコン膜35中のS/D領域20a及び20bあるいはポリシリコン・アイランド45に対してそれより上位のパターンのアライメントをする際に、第1アライメントマーク18a及び18bと第2アライメントマーク47a及び47bを用いることができる。よって、従来よりも高いアライメント精度を得ることができる。
【0078】
(第2実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図6(a)〜図7(i)を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第2実施形態の製造方法は、TFTの閾値制御のための不純物注入をチャネル領域に対して行う工程を、第1実施形態の製造方法に追加したものに相当する。したがって、この製造方法で得られる半導体装置1aは、第1実施形態の半導体装置1において、TFTのチャネル領域に閾値制御用の不純物注入部分を追加したものに相当する。
【0079】
最初に、第1実施形態の製造方法における図2(a)〜図3(e)の工程を実施する。これにより、図3(e)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域18a”及び18b”と、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域20a”及び20b”が形成される。この工程でエッチング除去する深さは、第1実施形態と同様に、10〜100オングストロームの範囲内で任意に設定されるが、ここでは50オングストロームとする。以上のようにして、レジスト膜形成、露光、現像及びエッチングという一連の作業を一回行うだけで、表面部分がエッチングされた不純物注入領域18a”及び18b”と表面部分がエッチングされた不純物注入領域20a”及び20b”が得られる。
【0080】
次に、マスク16を剥離してから、TFTの閾値を制御するための不純物(例えば硼素)を、1×1012cm-2のドース量で非晶質シリコン膜14の内部に注入する。この不純物注入は、基板10の全面にわたって行うので、不純物注入領域18aa”及び18bb”と不純物注入領域20aa”及び20bb”に閾値制御用不純物(硼素)が注入されると共に、これら領域以外の部分にも当該閾値制御用不純物が注入される。ここでは、当該閾値制御用不純物が注入された不純物注入領域18a”及び18b”を、それぞれ18aa”及び18bb”と表す。また、当該閾値制御用不純物が注入された不純物注入領域20a”及び20b”を、それぞれ20aa”及び20bb”と表す。不純物注入領域18aa”、18bb”、20aa”及び20bb”以外の非晶質シリコン膜14の当該閾値制御用不純物が注入された部分を、14aで表す。この時の状態は図6(a)のようになる。
【0081】
ここで注入される閾値制御用の不純物(硼素)の濃度は、不純物注入領域18aa”及び18bb”と不純物注入領域20aa”及び20bb”に注入される不純物のそれよりも一桁以上低いので、当該閾値制御用不純物はTFTの動作には影響を与えない。
【0082】
次に、第1実施形態における図3(f)と同様に、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14(不純物注入領域18aa”及び18bb”と不純物注入領域20aa”及び20bb”と不純物注入領域14aを含む)の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35aを得る(図6(b)を参照)。この時、エキシマレーザ光Bによって、不純物注入領域20aa”及び20bb”に注入された不純物(硼素)が活性化されるから、当該不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、不純物注入領域18aa”及び18bb”はそれぞれ第1アライメントマーク18aa及び18bbとなり、不純物注入領域20aa”及び20bb”はそれぞれS/D領域20aa及び20bbとなる。不純物注入領域14aは、不純物注入領域35aaとなる。
【0083】
それ以後の工程は、第1実施形態での工程と同じである。すなわち、図6(c)(図3(g)を参照)に示すように、ポリシリコン膜35上に感光性レジストを塗布し、これに露光・現像を行なうことによって、ポリシリコン・アイランド45aと第2アライメントマーク47aa及び47bbを形成するためのマスク39aを形成する。このマスク39aは、ポリシリコン・アイランド45a形成用の部分40aと、第2アライメントマーク47aa及び47bb形成用の部分42aa及び42bbが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク18aa及び18bbを用いて行なうが、第1アライメントマーク18aa及び18bbはS/D領域20aa及び20bbの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0084】
ここでは、説明を簡単にするために、基板10上に一つのTFT(一対のS/D領域20aa及び20bbと1個のゲート電極・配線55)が形成される場合について説明しているが、実際は基板10上に多数のTFTがマトリックス状に形成・配置される。本実施形態では、第1アライメントマーク18aa及び18bbが対応するS/D領域20aa及び20bbの近傍に形成されるので、TFTすなわちS/D領域20aa及び20bbのレイアウトに伴って、第1アライメントマーク18aa及び18bbのレイアウトも基板10の全面に及ぶ。このため、基板10の全面にわたって±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。これに対し、特開2003−332349号公報に記載された方法では、アライメントマークが基板の外周部のみに配置されるため、当該基板の内側におけるアライメント精度は±0.3μm以上となり、本実施形態に比べてかなり劣化する。
【0085】
次に、図6(d)(図3(h)を参照)に示すように、マスク39aを用いて、ポリシリコン膜35aを選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35aすなわちポリシリコン・アイランド45aを得る。この時、ポリシリコン・アイランド45aの左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47aa及び47bbが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45aは、一対のS/D領域20aa及び20bbを含んでおり、S/D領域20aa及び20bbの間の部分がチャネル領域20ccとなる。
【0086】
次に、図7(e)(図4(i)を参照)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜50(膜厚1000オングストロームのSiO2膜)を形成し、ポリシリコン・アイランド45aと第2アライメントマーク47aa及び47bbを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでいる。ゲート絶縁膜50は、第1実施形態と同じ材料・膜厚で形成すればよい。
【0087】
次に、図7(f)(図4(j)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線55を形成する。ゲート電極・配線55は、第1実施形態と同様に、膜厚2000オングストロームのCr膜で形成すればよい。ゲート電極・配線55を形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45aと第2アライメントマーク47aa及び47bbを用いて行う。
【0088】
次に、図7(g)(図4(k)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜(膜厚4000オングストロームのSiO2膜)60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでいる。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0089】
次に、図7(h)(図4(l)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a及び65bを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45aの一対のS/D領域20aa及び20bbにまで到達している。
【0090】
次に、図7(i)(図5(m)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に一対のS/D配線70a及び70bを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、S/D領域20aa及び20bbに機械的・電気的に接続されている。
【0091】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35aを活性層に用いたTFT(ポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第1実施形態の半導体装置1aが得られる。この半導体装置1aは、TFTのチャネル領域20ccの表面部分と、第2アライメントマーク47aa及び47bbの表面部分に、それぞれ不純物注入領域35aaが形成されている点を除き、第1実施形態の半導体装置1と同じ構成である。
【0092】
上述した本発明の第2実施形態の半導体装置1aの製造方法では、本発明の第1実施形態の半導体装置1の場合と同様の理由により、(a)半導体装置1aの製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる、(b)TFT(半導体装置1a)の動作特性及び信頼性を改善することができる、(c)従来よりも高いアライメント精度を得ることができる、といった効果が得られる。また、それらの効果に加えて、(d)TFTの閾値を良好に制御できる、という効果もある。
【0093】
(第3実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図8(a)〜図11(m)を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第3実施形態の製造方法は、一方の導電型(nチャネルまたはpチャネル)のTFTのみを形成する第1実施形態の製造方法において、双方の導電型(nチャネル及びpチャネル)のTFTを形成するようにしたものに相当する。したがって、この製造方法で得られる半導体装置1bは、第1実施形態の半導体装置1を相補型に構成したものに相当する。
【0094】
最初に、図8(a)に示すように、所望の大きさのガラス基板10の上に下地膜12(膜厚5000オングストロームのSiO2膜)を形成し、その上に非晶質シリコン膜14(膜厚600オングストローム)を形成する。その後、塗布法により非晶質シリコン膜14の上に所望厚さの感光性レジスト膜を形成し、これを露光・現像することによりパターン化して、一対の第1アライメントマーク19Aa及び19Abと、nチャネルTFT用の一対のS/D領域20a及び20bを形成するためのマスク17Aを形成する。これらは第1実施形態の製造方法と同じ方法で製造される。マスク17Aは、一対の第1アライメントマーク19Aa及び19Abに対応する透孔17Ac及び17Adと、一対のS/D領域21Aa及び21Abに対応する透孔17Aa及び17Abとを有している。
【0095】
次に、このマスク17Aを用いて、図8(b)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に選択的に所望のn型不純物(例えば燐)を注入する。ドース量は、1×1015cm-2とする。これにより、非晶質シリコン膜14の内部に一対のn型不純物注入領域21Aa’及び21Ab’が形成されるが、同時に一対のn型不純物注入領域19Aa’及び19Ab’も形成される。一対のn型不純物注入領域19Aa’及び19Ab’が一対の不純物注入領域21Aa’及び21Ab’毎に形成される点で、上述した特開2003−332349号公報に記載された場合(つまり、アライメントマークが基板の外周部に選択的に形成される)とは異なる。その結果、不純物注入領域19Aa’及び19Ab’(すなわち第1アライメントマーク19Aa及び19Ab)を利用して行う次の露光工程(ポリシリコン・アイランド形成用)のアライメント精度を高めることができる利点がある。
【0096】
図8(b)の工程におけるn型不純物(燐)の注入深さは、非晶質シリコン膜14の膜厚のほぼ全体に及ぶように設定されており、後工程で行われる当該不純物に対する活性化によって、当該注入不純物は非晶質シリコン膜14の膜厚の全体に及ぶ。また、図8(b)の工程で、不純物注入領域21Aa’及び21Ab’の近傍に不純物注入領域19Aa’及び19Ab’がそれぞれ形成されるが、これら不純物注入領域19Aa’及び19Ab’はTFTの特性には影響を与えない。不純物注入領域19Aa’及び19Ab’は、後の工程で除去されるからである。
【0097】
次に、図8(c)に示すように、同じマスク17Aを用いて、非晶質シリコン膜14の不純物注入領域19Aa’及び19Ab’の表面部分と不純物注入領域21Aa’及び21Ab’の表面部分を選択的にエッチングする。エッチング完了後、マスク17Aを剥離する。ここでは、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域19Aa’及び19Ab’を、それぞれ不純物注入領域19Aa”及び19Ab”と表示する。また、表面部分がエッチング除去された不純物注入領域21Aa’及び21Ab’を、それぞれ不純物注入領域21Aa”及び21Ab”と表示する。
【0098】
この工程でエッチング除去する深さは、第1実施形態の場合と同様に、50オングストロームとする。
【0099】
以上のようにして、レジスト膜形成、露光、現像及びエッチングという一連の作業を一回行うだけで、表面部分がエッチングされたn型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”と表面部分がエッチングされたn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”が、非晶質シリコン膜14の内部に得られる。その後、マスク17Aを剥離する。
【0100】
図8(c)に示されているように、後にn型S/D領域となるn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”の表面部分が選択的にエッチング除去されていることから、前記所望のn型不純物注入の際に当該不純物と共に注入される重金属不純物が除去される。このため、当該S/D領域を用いて形成されるTFTの初期の特性ばらつきが、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて10%以上改善する。また信頼性についても、当該重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて2倍以上に向上する。
【0101】
次に、図9(d)に示すように、非晶質シリコン膜14の上に所望厚さの感光性レジスト膜を形成し、これを露光・現像することによりパターン化して、一対のpチャネルTFT用の一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbを形成するためのマスク17Bを形成する。マスク17Bは、マスク17Aと同じ方法で製造される。マスク17Bは、一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbに対応する透孔17Ba及び17Bbとを有している。
【0102】
次に、このマスク17Bを用いて、図9(e)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に選択的に所望のp型不純物(例えば硼素)を注入する。この時のドース量は、1×1015cm-2とする。これにより、非晶質シリコン膜14の内部に一対のp型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’が形成される。p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’の表面部分は、エッチングされない。
【0103】
図9(e)の工程におけるp型不純物(硼素)の注入深さは、S/D領域21Ba及び21Bbを形成するのに必要な深さに設定され、図8(b)の工程におけるn型不純物の注入深さよりも小さくなっている。これは、p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’の表面部分はエッチングされないからである。
【0104】
以上のようにして、レジスト膜形成、露光、現像及びエッチングという一連の作業を一回行うだけで、p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’(これらの表面部分はエッチングされていない)が、非晶質シリコン膜14の内部に得られる。その後、マスク17Bを剥離する。
【0105】
次に、図9(f)に示すように、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14(n型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”とn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”とp型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’を含む)の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35bを得る。この時、エキシマレーザ光Bによって、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”に注入されたn型不純物(燐)とp型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’に注入されたp型不純物(硼素)が活性化されるから、これらの不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、n型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”はそれぞれ第1アライメントマーク19Aa及び19Abとなり、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”はそれぞれn型S/D領域21Aa及び21Abとなり、p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’はそれぞれp型S/D領域21Ba及び21Bbとなる。
【0106】
次に、図9(g)に示すように、ポリシリコン膜35b上に感光性レジストを塗布し、これに露光・現像を行なうことによって、ポリシリコン・アイランド45a及び45bと第2アライメントマーク47a及び47bを形成するためのマスク39aを形成する。このマスク39aは、ポリシリコン・アイランド45a形成用の部分40a(nチャネルTFT用)と、ポリシリコン・アイランド45b形成用の部分40b(pチャネルTFT用)と、第2アライメントマーク47a及び47b形成用の部分42a及び42bが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク19Aa及び19Abを用いて行なうが、第1アライメントマーク19Aa及び19Abは、それぞれ、n型S/D領域21Aa及び21Abの近傍と、p型S/D領域21Ba及び21Bbの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0107】
ここでは、説明を簡単にするために、基板10上に一対のnチャネルTFTとpチャネルTFTが形成される場合について説明しているが、実際は基板10上に多数のTFTがマトリックス状に形成・配置される。本実施形態では、第1アライメントマーク19Aa及び19Abが対応する一対のn型S/D領域21Aa及び21Abとp型S/D領域21Ba及び21Bbの近傍に形成されるので、これらTFTすなわちS/D領域21Aa、21Ab、21Ba及び21Bbのレイアウトに伴って、第1アライメントマーク19Aa及び19Abのレイアウトも基板10の全面に及ぶ。このため、基板10の全面にわたって±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。これに対し、特開2003−332349号公報に記載された方法では、アライメントマークが基板の外周部のみに配置されるため、当該基板の内側におけるアライメント精度は±0.3μm以上となり、本実施形態に比べてかなり劣化する。
【0108】
次に、図10(h)に示すように、マスク39aを用いて、ポリシリコン膜35bを選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35bすなわち二つのポリシリコン・アイランド45A及び45Bを得る。この時、ポリシリコン・アイランド45A及び45Bの左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45Aは、一対のn型S/D領域21Aa及び21Abを含んでおり、S/D領域21Aa及び21Abの間の部分がチャネル領域21Acとなる。同様に、ポリシリコン・アイランド45Bは、一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbを含んでおり、S/D領域21Ba及び21Bbの間の部分がチャネル領域21Bcとなる。
【0109】
次に、図10(i)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜(膜厚1000オングストロームのSiO2膜)50を形成し、ポリシリコン・アイランド45A及び45Bと第2アライメントマーク47a及び47bを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでいる。ゲート絶縁膜50は、第1実施形態と同じ方法で形成すればよい。
【0110】
次に、図10(j)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線(膜厚2000オングストロームのCr膜)55を形成する。ゲート電極・配線55は、第1実施形態と同じ方法で形成すればよい。ゲート電極・配線55を形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45A及び45Bと第2アライメントマーク47a及び47bを用いて行う。
【0111】
次に、図10(k)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜(膜厚4000オングストロームのSiO2膜)60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでいる。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0112】
次に、図11(l)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a及び65bと一対のコンタクトホール65c及び65dを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45Aの一対のn型S/D領域21Aa及び21Abにまで到達している。コンタクトホール65c及び65dは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45Bの一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbにまで到達している。
【0113】
次に、図11(m)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に一対のS/D配線70a及び70bと一対のS/D配線70c及び70dを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、n型S/D領域21Aa及び21Abに機械的・電気的に接続されている。S/D配線70c及び70dは、それぞれ、コンタクトホール65c及び65dを介して、p型S/D領域21Ba及び21Bbに機械的・電気的に接続されている。
【0114】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35bを活性層に用いた一対のnチャネル及びpチャネルTFT(いずれもポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第3実施形態の半導体装置1bが得られる。
【0115】
上述した本発明の第3実施形態の半導体装置1bの製造方法では、マスク17A用のレジスト膜形成、露光、現像、不純物注入及びエッチング(図8(a)〜(c)の工程を参照)という一連の作業を1回行うだけで、表面部分がエッチングされたn型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”と表面部分がエッチングされたn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”が得られる。同様に、マスク17B用のレジスト膜形成、露光、現像及び不純物注入(図9(d)〜(e)の工程を参照)という一連の作業を1回行うだけで、p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’が得られる。また、n型及びp型の不純物(燐及び硼素)が注入された非晶質シリコン膜14の全面にエキシマレーザ光Bを照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35bを形成する(図9(f)の工程を参照)ので、非晶質シリコン膜14の結晶化と同時に、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”(これらは後にn型S/D領域21Aa及び21Abとなる)と、p型不純物注入領域21Ba’及び21Bb’(これらは後にp型S/D領域21Ba及び21Bbとなる)に注入された不純物(燐及び硼素)が活性化される。このため、これらの不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。よって、本発明の第3実施形態の半導体装置1の製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる。
【0116】
また、後にn型S/D領域21Aa及び21Abとなるn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”の表面部分が選択的にエッチング除去される(図8(c)の工程を参照)ことから、前記所望のn型不純物(燐)の注入の際に当該不純物と共に注入される重金属不純物を確実に除去することができる。このため、重金属不純物が除去されない従来の場合に比べて、n型S/D領域21Aa及び21Abを用いて形成されるnチャネルTFT(ひいては半導体装置1b)の初期の特性ばらつきが改善され、信頼性も向上する。つまり、当該TFT(半導体装置1b)の動作特性及び信頼性を改善することができる。
【0117】
さらに、上述した特開2003−332349号公報に記載されたようなアライメントマークが基板の外周部に形成される場合とは異なり、一対のn型S/D領域21Aa及び21Abと一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbに近接して、それぞれ、一対の第1アライメントマーク19Aa及び19Abがポリシリコン膜35b中に設けられると共に、ポリシリコン・アイランド45A及び45Bの外部近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが設けられるから、ポリシリコン膜35b中のS/D領域21Aa及び21Abあるいはポリシリコン・アイランド45AとS/D領域21Ba及び21Bbあるいはポリシリコン・アイランド45Bに対して、それらより上位のパターンのアライメントをする際に、第1アライメントマーク19Aa及び19Abと第2アライメントマーク47a及び47bを用いることができる。よって、従来よりも高いアライメント精度を得ることができる。
【0118】
(第4実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図12(a)〜図14(l)を参照しながら、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第4実施形態の製造方法は、nチャネルTFT及びpチャネルTFTの閾値制御のための不純物注入をチャネル領域に対して行う工程を、第3実施形態の製造方法に追加したものに相当する。したがって、この製造方法で得られる半導体装置1cは、第3実施形態の半導体装置1bにおいて、nチャネルTFT及びpチャネルTFTのチャネル領域にそれぞれ閾値制御用の不純物注入部分を追加したものに相当する。
【0119】
最初に、第3実施形態の製造方法における図8(a)〜図9(e)の工程を実施する。これにより、図9(e)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に、表面部分がエッチング除去されたn型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”と、表面部分がエッチング除去されたn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”と、表面部分がエッチング除去されていないp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”とが形成される。これらの工程でエッチング除去する深さは、第1実施形態と同様に、50オングストロームとする。不純物注入が完了すると、マスク17Bを剥離する。
【0120】
次に、図12(a)に示すように、非晶質シリコン膜14の上に、透孔26aを持つマスク26を形成する。透孔26aは、nチャネルTFTのチャネル領域21Acに対応する箇所に形成されている。その後、図12(b)に示すように、マスク26を用いて、非晶質シリコン膜14の内部にTFTの閾値を制御するためのp型不純物(例えば硼素)を選択的に注入する。この時のドース量は、1×1012cm-2とする。これにより、非晶質シリコン膜14の内部にp型不純物注入領域14b1が形成される。不純物注入の完了後、マスク26を剥離する。
【0121】
次に、図12(c)に示すように、非晶質シリコン膜14の上に、透孔28aを持つマスク28を形成する。透孔28aは、pチャネルTFTのチャネル領域21Bcに対応する箇所に形成されている。その後、図13(d)に示すように、マスク28を用いて、非晶質シリコン膜14の内部にTFTの閾値を制御するためのn型不純物(例えば燐)を選択的に注入する。この時のドース量は、1×1012cm-2とする。これにより、非晶質シリコン膜14の内部にn型不純物注入領域14b2が形成される。不純物注入の完了後、マスク28を剥離する。
【0122】
それ以後の工程は、第3実施形態での工程と同じである。すなわち、図13(e)(図9(f)を参照)に示すように、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35cを得る。この時、エキシマレーザ光Bによって、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”に注入されたn型不純物(燐)とp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”に注入されたp型不純物(硼素)が活性化されるから、これらの不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、n型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”はそれぞれ第1アライメントマーク19Aa及び19Abとなり、n型不純物注入領域21Aaa”及び21Ab”はそれぞれn型S/D領域21Aa及び21Abとなる。p型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”はそれぞれp型S/D領域21Ba及び21Bbとなる。p型不純物注入領域14b1は、p型不純物注入領域35c1となる。n型不純物注入領域14b2は、n型不純物注入領域35c2となる。
【0123】
次に、図13(f)(図9(g)を参照)に示すように、ポリシリコン膜35c上にマスク39aを形成する。マスク39aは、ポリシリコン・アイランド45a形成用の部分40aと、ポリシリコン・アイランド45b形成用の部分40bと、第2アライメントマーク47a及び47b形成用の部分42a及び42bが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク19Aa及び19Abを用いて行なうが、第1アライメントマーク19Aa及び19Abbは、n型S/D領域21Aa及び21Abとp型S/D領域21Ba及び21Bbの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0124】
次に、図13(g)(図10(h)を参照)に示すように、マスク39aを用いて、ポリシリコン膜35cを選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35cすなわち二つのポリシリコン・アイランド45A’及び45B’を得る。この時、ポリシリコン・アイランド45A’及び45B’の左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45A’は、一対のn型S/D領域21Aa及び21Abを含んでおり、S/D領域21Aa及び21Abの間の部分がチャネル領域21Acとなる。ポリシリコン・アイランド45B’は、一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbを含んでおり、S/D領域21Ba及び21Bbの間の部分がチャネル領域21Bcとなる。
【0125】
次に、図14(h)(図10(i)を参照)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜50を形成し、ポリシリコン・アイランド45A’及び45B’と第2アライメントマーク47a及び47bを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでいる。ゲート絶縁膜50は、第3実施形態と同様にして形成すればよい。
【0126】
次に、図14(i)(図10(j)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線55a及び55bを形成する。ゲート電極・配線55a及び55bは、第3実施形態と同様にして形成すればよい。ゲート電極・配線55a及び55bを形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45A’及び45B’と第2アライメントマーク47a及び47bを用いて行う。
【0127】
次に、図14(j)(図10(k)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでいる。層間絶縁膜60は、第3実施形態と同様にして形成すればよい。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0128】
次に、図14(k)(図11(l)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a、65b、65c及び65dを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45A’の一対のn型S/D領域21Aa及び21Abにまで到達している。コンタクトホール65c及び65dは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45B’の一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbにまで到達している。
【0129】
次に、図14(l)(図11(m)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に二対のS/D配線70a及び70bとS/D配線70c及び70dを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、n型S/D領域21Aa及び21Abに機械的・電気的に接続されている。S/D配線70c及び70dは、それぞれ、コンタクトホール65c及び65dを介して、p型S/D領域21Ba及び21Bbに機械的・電気的に接続されている。
【0130】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35cを活性層に用いた一対のnチャネル及びpチャネルTFT(ポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第4実施形態の半導体装置1cが得られる。
【0131】
上述した本発明の第4実施形態の半導体装置1cの製造方法は、第3実施形態の製造方法に、nチャネルTFT及びpチャネルTFTの閾値制御のための不純物注入をチャネル領域に対して行う工程を追加したものに相当するから、この製造方法で得られる半導体装置1cは、第3実施形態の半導体装置1bにおいて、nチャネルTFT及びpチャネルTFTのチャネル領域にそれぞれ閾値制御用のp型不純物注入領域35c1及びn型不純物注入領域35c2を追加したものに相当する。
【0132】
本発明の第4実施形態の半導体装置1c及びその製造方法では、本発明の第1実施形態の半導体装置1の場合と同様の理由により、(a)半導体装置1cの製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる、(b)TFT(半導体装置1c)の動作特性及び信頼性を改善することができる、(c)従来よりも高いアライメント精度を得ることができる、といった効果が得られることが明らかである。また、それらの効果に加えて、(d)両TFTの閾値を良好に制御できる、という効果もある。
【0133】
(第5実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図15(a)〜図16(i)を参照しながら、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第5実施形態の製造方法は、第4実施形態と同様に、nチャネルTFT及びpチャネルTFTの閾値制御のための不純物注入をチャネル領域に対して行う工程を、第3実施形態の製造方法に追加したものに相当するが、閾値制御のための不純物注入が基板全面にわたって行われる点で、第4実施形態とは異なる。
【0134】
最初に、第3実施形態の製造方法における図8(a)〜図9(e)の工程を実施する。これにより、図9(e)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に、表面部分がエッチング除去されたn型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”と、表面部分がエッチング除去されたn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”と、表面部分がエッチング除去されていないp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”とが形成される。これらの工程でエッチング除去する深さは、第1実施形態と同様に、50オングストロームとする。不純物注入が完了すると、マスク17Bを剥離する。
【0135】
次に、図15(a)に示すように、マスクを使用せずに、非晶質シリコン膜14の全面にわたってその内部にTFTの閾値を制御するためのn型またはp型の不純物(例えば硼素)を注入する。この時のドース量は、1×1012cm-2とする。これにより、n型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”とn型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”とp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”以外の箇所において、非晶質シリコン膜14の表面にp型不純物注入領域14bが形成される。
【0136】
ここで注入される閾値制御用の不純物(硼素)の濃度は、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”とp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”に注入される不純物のそれよりも一桁以上低いので、当該閾値制御用不純物はTFTの動作には影響を与えない。
【0137】
それ以後の工程は、第3実施形態での工程と同じである。すなわち、図15(b)(図9(f)を参照)に示すように、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35dを得る。この時、エキシマレーザ光Bによって、n型不純物注入領域21Aa”及び21Ab”に注入されたn型不純物(燐)とp型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”に注入されたp型不純物(硼素)が活性化されるから、これらの不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、n型不純物注入領域19Aa”及び19Ab”はそれぞれ第1アライメントマーク19Aa及び19Abとなり、n型不純物注入領域21Aaa”及び21Ab”はそれぞれn型S/D領域21Aa及び21Abとなる。p型不純物注入領域21Ba”及び21Bb”はそれぞれp型S/D領域21Ba及び21Bbとなる。不純物注入領域14bは、p型不純物注入領域35ddとなる。
【0138】
次に、図15(c)(図9(g)を参照)に示すように、ポリシリコン膜35d上にマスク39aを形成する。マスク39aは、ポリシリコン・アイランド45A”形成用の部分40aと、ポリシリコン・アイランド45B”形成用の部分40bと、第2アライメントマーク47a及び47b形成用の部分42a及び42bが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク19Aa及び19Abを用いて行なうが、第1アライメントマーク19Aa及び19Abbは、n型S/D領域21Aa及び21Abとp型S/D領域21Ba及び21Bbの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0139】
次に、図15(d)(図10(h)を参照)に示すように、マスク39aを用いて、ポリシリコン膜35dを選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35dすなわち二つのポリシリコン・アイランド45A”及び45B”を得る。この時、ポリシリコン・アイランド45A”及び45B”の左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45A”は、一対のn型S/D領域21Aa及び21Abを含んでおり、S/D領域21Aa及び21Abの間の部分がチャネル領域21Acとなる。ポリシリコン・アイランド45B”は、一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbを含んでおり、S/D領域21Ba及び21Bbの間の部分がチャネル領域21Bcとなる。
【0140】
次に、図15(e)(図10(i)を参照)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜50を形成し、ポリシリコン・アイランド45A”及び45B”と第2アライメントマーク47a及び47bを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでいる。ゲート絶縁膜50は、第1実施形態と同様にして形成すればよい。
【0141】
次に、図16(f)(図10(j)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線55a及び55bを形成する。ゲート電極・配線55a及び55bは、第1実施形態と同様にして形成すればよい。ゲート電極・配線55a及び55bを形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45A”及び45B”と第2アライメントマーク47a及び47bを用いて行う。
【0142】
次に、図16(g)(図10(k)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでいる。層間絶縁膜60は、第1実施形態と同様にして形成すればよい。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0143】
次に、図16(h)(図11(l)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a、65b、65c及び65dを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45A”の一対のn型S/D領域21Aa及び21Abにまで到達している。コンタクトホール65c及び65dは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45B”の一対のp型S/D領域21Ba及び21Bbにまで到達している。
【0144】
次に、図16(i)(図11(m)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に二対のS/D配線70a及び70bとS/D配線70c及び70dを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、n型S/D領域21Aa及び21Abに機械的・電気的に接続されている。S/D配線70c及び70dは、それぞれ、コンタクトホール65c及び65dを介して、p型S/D領域21Ba及び21Bbに機械的・電気的に接続されている。
【0145】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35dを活性層に用いた一対のnチャネル及びpチャネルTFT(ポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第5実施形態の半導体装置1dが得られる。
【0146】
上述した本発明の第5実施形態の半導体装置1dの製造方法は、第3実施形態の製造方法に、nチャネルTFT及びpチャネルTFTの閾値制御のための不純物注入をチャネル領域に対して行う工程を追加したものに相当するから、この製造方法で得られる半導体装置1cは、第3実施形態の半導体装置1bにおいて、nチャネルTFT及びpチャネルTFTのチャネル領域にそれぞれ閾値制御用のp型不純物注入領域35ddを追加したものに相当する。
【0147】
本発明の第5実施形態の半導体装置1d及びその製造方法では、本発明の第1実施形態の半導体装置1の場合と同様の理由により、(a)半導体装置1dの製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる、(b)TFT(半導体装置1c)の動作特性及び信頼性を改善することができる、(c)従来よりも高いアライメント精度を得ることができる、といった効果が得られることが明らかである。また、それらの効果に加えて、(d)両TFTの閾値を良好に制御できる、という効果もある。
【0148】
(第6実施形態の半導体装置の製造方法)
次に、図17(a)〜図19(j)を参照しながら、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。第6実施形態の製造方法は、第1実施形態の製造方法において、TFTのLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する工程を追加したものに相当する。したがって、この製造方法で得られる半導体装置1eは、第1実施形態の半導体装置1においてTFTをLDD構造を持つように構成したものに相当する。
【0149】
最初に、第1実施形態の製造方法における図2(a)〜図3(e)の工程を実施する。これにより、図3(e)に示すように、非晶質シリコン膜14の内部に、表面部分がエッチング除去されたp型不純物注入領域18a”及び18b”と、表面部分がエッチング除去されたp型不純物注入領域20a”及び20b”が形成される。この工程でエッチング除去する深さは、第1実施形態と同様に、50オングストロームとする。
【0150】
次に、マスク16を剥離してから、図17(a)に示すように、LDD領域を形成するためのマスク30を非晶質シリコン膜14の上に形成する。このマスク30は、感光性レジストを塗布し、これに露光・現像を行なうことにより得られる。その後、マスク30を用いて、LDD領域を形成するための不純物(例えば硼素)を非晶質シリコン膜14の内部に選択的に注入する。この時のドース量は、1×1013cm-2とする。これにより、p型不純物注入領域20aa”と20bb”の間に、間隔をあけてp型不純物注入領域22a”及び22b”が形成される。p型不純物注入領域22a”及び22b”は、それぞれ、p型不純物注入領域20aa”と20bb”に接触せしめられている。不純物注入が完了すると、マスク30を剥離する。
【0151】
それ以後の工程は、第1実施形態での工程と同じである。すなわち、図17(c)(図3(f)を参照)に示すように、ELA法により、エキシマレーザ光Bを非晶質シリコン膜14の全面に照射してこれを結晶化し、ポリシリコン膜35eを得る。この時、エキシマレーザ光Bによって、不純物注入領域20aa”及び20bb”と不純物注入領域22a”及び22b”に注入された不純物(硼素)が活性化されるから、当該不純物を活性化するための工程を別に設ける必要がない。また、非晶質シリコン膜14の結晶化により、不純物注入領域18a”及び18b”はそれぞれ第1アライメントマーク18a及び18bとなり、不純物注入領域20a”及び20b”はそれぞれS/D領域20a及び20bとなる。不純物注入領域22a”及び22b”は、それぞれLDD領域22a及び22bとなる。
【0152】
次に、図17(d)(図3(g)を参照)に示すように、ポリシリコン膜35e上に感光性レジストを塗布し、これに露光・現像を行なうことによって、ポリシリコン・アイランド45bと第2アライメントマーク47a及び47bを形成するためのマスク39を形成する。このマスク39は、ポリシリコン・アイランド45b形成用の部分40と、第2アライメントマーク47a及び47b形成用の部分42a及び42bが残存し、他の部分が削除されたパターンを有している。この時のアライメントは、先ほど形成した第1アライメントマーク18a及び18bを用いて行なうが、第1アライメントマーク18a及び18bはS/D領域20a及び20bの近傍に形成されているので、±0.1μm以内の精度でアライメントが可能である。
【0153】
次に、図18(d)(図3(h)を参照)に示すように、マスク39を用いて、ポリシリコン膜35eを選択的にエッチングし、島状にパターン化されたポリシリコン膜35eすなわちポリシリコン・アイランド45bを得る。この時、ポリシリコン・アイランド45bの左右の近傍に一対の第2アライメントマーク47a及び47bが同時に形成される。ポリシリコン・アイランド45bは、一対のp型S/D領域20a及び20bと一対のp型LDD領域22a及び22bを含んでおり、LDD領域22a及び22bの間の部分がチャネル領域20cとなる。
【0154】
次に、図18(f)(図4(i)を参照)に示すように、下地膜12の上にゲート絶縁膜50を形成し、ポリシリコン・アイランド45bと第2アライメントマーク47a及び47bを覆う。ゲート絶縁膜50は、基板10の全面に及んでいる。ゲート絶縁膜50は、第1実施形態と同様にして形成すればよい。
【0155】
次に、図18(g)(図4(j)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上にゲート電極・配線55を形成する。ゲート電極・配線55は、第1実施形態と同様にして形成すればよい。ゲート電極・配線55を形成する際のアライメントは、ポリシリコン・アイランド45bと第2アライメントマーク47a及び47bを用いて行う。
【0156】
次に、図18(h)(図4(k)を参照)に示すように、ゲート絶縁膜50の上に層間絶縁膜60を形成し、ゲート電極・配線55を覆う。層間絶縁膜60は、基板10の全面に及んでいる。層間絶縁膜60は、第1実施形態と同様にして形成すればよい。層間絶縁膜60の表面は公知の方法で平坦化される。
【0157】
次に、図19(i)(図4(l)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60とゲート絶縁膜50を貫通する一対のコンタクトホール65a及び65bを形成する。コンタクトホール65a及び65bは、それぞれ、ポリシリコン・アイランド45bの一対のS/D領域20a及び20bにまで到達している。
【0158】
次に、図19(j)(図5(m)を参照)に示すように、公知の方法で、層間絶縁膜60の上に金属膜を形成してパターン化することにより、層間絶縁膜60の上に一対のS/D配線70a及び70bを形成する。S/D配線70a及び70bは、それぞれ、コンタクトホール65a及び65bを介して、S/D領域20a及び20bに機械的・電気的に接続されている。
【0159】
以上の工程を経て、ポリシリコン膜35eを活性層に用いたLDD構造のTFT(ポリシリコンTFT)が、基板10上に完成する。その結果、本発明の第6実施形態の半導体装置1eが得られる。
【0160】
上述した本発明の第6実施形態の半導体装置1eの製造方法では、本発明の第1実施形態の半導体装置1の場合と同様の理由により、(a)半導体装置1eの製造に要する総工程数を減少することができ、製造コストをいっそう削減することができる、(b)TFT(半導体装置1e)の動作特性及び信頼性を改善することができる、(c)従来よりも高いアライメント精度を得ることができる、といった効果が得られる。また、それらの効果に加えて、(d)LDD構造によりドレイン耐圧を改善できる、という効果もある。
【0161】
(変形例)
上述した第1〜第6実施形態は本発明を具体化した例を示すものである。したがって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0162】
例えば、上記第3実施形態では、先にnチャネルTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行してからpチャネルTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行しているが、順序を逆にして、先にpチャネルTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行してからnチャネルTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行してもよい。
【0163】
また、上記第4実施形態では、先にnチャネルTFTの閾値制御用の不純物注入を実行してからpチャネルTFTの閾値制御用の不純物注入を実行しているが、順序を逆にして、先にpチャネルTFTの閾値制御用の不純物注入を実行してからnチャネルTFTの閾値制御用の不純物注入を実行してもよい。
【0164】
また、上記第5実施形態では、先にTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行してからLDD領域形成用の不純物注入を実行しているが、順序を逆にして、先にLDD形成用の不純物注入を実行してからTFTのS/D領域形成用の不純物注入を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明に係る半導体装置は、液晶表示装置において、画素スイッチング素子や駆動回路用素子として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す断面図、(b)は、当該半導体装置のアイランド状にパターン化されたポリシリコン膜と第2アライメントマークの概略レイアウトを示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図2の続きである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図3の続きである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図4の続きである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図6の続きである。
【図8】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図8の続きである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図9の続きである。
【図11】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図10の続きである。
【図12】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図12の続きである。
【図14】本発明の第4実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図13の続きである。
【図15】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図15の続きである。
【図17】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図である。
【図18】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図17の続きである。
【図19】本発明の第6実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す要部概略断面図で、図18の続きである。
【符号の説明】
【0167】
1、1a、1b、1c、1d、1e 半導体装置
10 ガラス基板
12 下地膜
14 非晶質シリコン膜
14a、14b1、14b2 非晶質シリコン膜の不純物注入領域
16 マスク
16a、16b、16c、16d マスクの透孔
17A マスク
17Aa、17Ab、17Ac、17Ad マスクの透孔
17B マスク
17Ba、17Bb マスクの透孔
18a、18b 第1アライメントマーク
18a’、18b’ 不純物注入領域
18a”、18b”、18aa”、18bb” 表面部分がエッチング除去された不純物注入領域
19Aa、19Ab 第1アライメントマーク
19Aa’、19Ab’ 不純物注入領域
19Aa”、19Ab” 表面部分がエッチング除去された不純物注入領域
20a’、20b 不純物注入領域
20a”、20b”、20aa”、20bb” 表面部分がエッチング除去された不純物注入領域
20a、20aa、20b、20bb ソース・ドレイン(S/D)領域
20c、20cc チャネル領域
21Aa、21Ab ソース・ドレイン(S/D)領域
21Aa’、21Ab’ 不純物注入領域
21Aa”、21Ab” 表面部分がエッチング除去された不純物注入領域
21Ac チャネル領域
21Ba、21Bb ソース・ドレイン(S/D)領域
21Ba’、21Bb’ 不純物注入領域
21Bc チャネル領域
26 マスク
26a マスクの透孔
28 マスク
28a マスクの透孔
35、35a、35b、35c1、35c2 ポリシリコン膜
35aa ポリシリコン膜の不純物注入領域
39、39a マスク
40、40a マスクのポリシリコン・アイランド形成用部分
42a、42aa、42b、42bb マスクの第2アライメントマーク形成用部分
45、45a、45b、45A、45B、45A’、45B’、45A“、45B” ポリシリコン・アイランド(島状のポリシリコン膜)
47a、47aa、47b、47bb 第2アライメントマーク
50 ゲート絶縁膜50
55、55a、55b ゲート電極・配線
60 層間絶縁膜
65a、65b、65c、65d コンタクトホール
70a、70b、70c、70d ソース・ドレイン(S/D)配線
B レーザ光


【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFTを備えた半導体装置であって、
基板と、
前記基板上に直接または下地膜を介してアイランド状に形成された、活性層として機能する半導体膜と、
前記半導体膜内に形成された一対のソース・ドレイン領域とを備え、
前記一対のソース・ドレイン領域が、前記半導体膜の前記一対のソース・ドレイン領域以外の部分よりも薄くされており、その厚さの差が10オングストローム〜100オングストロームの範囲内に設定されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体膜の外部近傍に当該半導体膜と同一の材料で形成されたアライメントマークをさらに備えている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記アライメントマークの厚さが、前記半導体膜の前記一対のソース・ドレイン領域以外の部分の厚さと同一とされている請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板上にTFTを配置してなる半導体装置の製造方法であって、
基板上に直接または下地膜を介して非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、ソース・ドレイン領域用パターン及び第1アライメントマーク用パターンを持つ第1マスクを形成する工程と、
前記第1マスクを用いて前記非晶質半導体膜に不純物を選択的に注入し、もって前記ソース・ドレイン領域用パターンによって第1不純物注入領域を形成すると共に、前記第1アライメントマーク用パターンによって一対の第2不純物注入領域を形成する工程と、
前記第1マスクを用いて、前記第1不純物注入領域の表面部分と、一対の前記第2不純物注入領域の表面部分とを選択的にエッチングする工程と、
エッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域を含む前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を結晶化して多結晶半導体膜を形成すると共に、前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域の内部の前記不純物を活性化する工程と、
前記多結晶半導体膜の上に、アイランド用パターンを持つ第2マスクを形成する工程と、
前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングし、もって前記アイランド用パターンによって半導体アイランドを形成する工程とを備え、
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前記工程において、前記多結晶半導体膜の内部には、前記第1不純物注入領域によって一対のソース・ドレイン領域が形成されると共に、前記第2不純物注入領域によって第1アライメントマークが形成され、
前記多結晶半導体膜をエッチングする前記工程において、一対の前記ソース・ドレイン領域が前記半導体アイランドの内部に包含されるように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングする際に、前記第1アライメントマークを利用してアライメントが実行される請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2マスクが、前記アイランド用パターンに加えて第2アライメントマーク用パターンを持っており、前記第2マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングして前記半導体アイランドを形成する際に、前記第2アライメントマーク用パターンによって第2アライメントマークが前記半導体アイランドの近傍に形成される請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分に閾値制御のための不純物を注入する工程を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分にLDD構造形成のための不純物を注入する工程を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板上に第1導電型のTFTと第2導電型のTFTを配置してなる半導体装置の製造方法であって、
基板上に直接または下地膜を介して非晶質半導体膜を形成する工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、前記第1導電型のTFTのソース・ドレイン領域用パターン及び前記第1導電型のTFTの第1アライメントマーク用パターンを持つ第1マスクを形成する工程と、
前記第1マスクを用いて前記非晶質半導体膜に前記第1導電型の不純物を選択的に注入し、もって前記第1導電型のTFTの前記ソース・ドレイン領域用パターンによって第1不純物注入領域を形成すると共に、前記第1導電型のTFTの前記第1アライメントマーク用パターンによって一対の第2不純物注入領域を形成する工程と、
前記第1マスクを用いて、前記第1不純物注入領域の表面部分と、一対の前記第2不純物注入領域の表面部分とを選択的にエッチングする工程と、
前記非晶質半導体膜の上に、前記第2導電型のTFTのソース・ドレイン領域用パターンを持つ第2マスクを形成する工程と、
前記第2マスクを用いて前記非晶質半導体膜に前記第2導電型の不純物を選択的に注入し、もって前記第2導電型のTFTの前記ソース・ドレイン領域用パターンによって第3不純物注入領域を形成する工程と、
エッチングされた前記第1不純物注入領域及び前記第2不純物注入領域と前記第3不純物注入領域及び前記第4不純物注入領域とを含む前記非晶質半導体膜に、レーザ光を照射することにより、前記非晶質半導体膜を結晶化して多結晶半導体膜を形成すると共に、前記第1不純物注入領域、前記第2不純物注入領域、前記第3不純物注入領域及び前記第4不純物注入領域の内部の前記不純物を活性化する工程と、
前記多結晶半導体膜の上に、アイランド用パターンを持つ第3マスクを形成する工程と、
前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングし、もって前記アイランド用パターンによって前記第1導電型のTFT用の半導体アイランド及び前記第2導電型のTFT用の半導体アイランドを形成する工程とを備え、
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する前記工程において、前記多結晶半導体膜の内部には、前記第1不純物注入領域によって前記第2導電型のTFTの一対のソース・ドレイン領域が形成されると共に、前記第2不純物注入領域によって第1アライメントマークが形成され、さらに、前記第3不純物注入領域によって前記第2導電型のTFTの一対のソース・ドレイン領域が形成され、
前記多結晶半導体膜をエッチングする前記工程において、前記第1導電型のTFTの一対の前記ソース・ドレイン領域が前記第1導電型のTFT用の半導体アイランドの内部に包含されるように形成されると共に、前記第2導電型のTFTの一対の前記ソース・ドレイン領域が前記第2導電型のTFT用の半導体アイランドの内部に包含されるように形成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングする際に、前記第1アライメントマークを利用してアライメントが実行される請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第3マスクが、前記アイランド用パターンに加えて第2アライメントマーク用パターンを持っており、前記第3マスクを用いて前記多結晶半導体膜を選択的にエッチングして前記半導体アイランドを形成する際に、前記第2アライメントマーク用パターンによって第2アライメントマークが前記半導体アイランドの近傍に形成される請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記非晶質半導体膜にレーザ光を照射する工程の前に実行される、前記非晶質半導体膜の表面部分に閾値制御のための不純物を注入する工程を含む請求項9〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−48777(P2007−48777A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228586(P2005−228586)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】