説明

表示制御方法、及び車載装置

【課題】車両が走行中であっても表示画面の視認性を確保することが可能な表示制御方法等を提供する。
【解決手段】表示切替処理では、車両に設けられた操作ノブの動きを表す変位ベクトルを取得し(S110)、この変位ベクトルの大きさ(可動部変位量)と振動閾値とを比較して、可動部変位量が振動閾値以下である状態が一定期間連続したか否かを判定する(S140〜S160)。ここで肯定判定した場合(S160;YES)、画面上にカーソルが表示されていれば(S165;YES)、カーソルを非表示状態に切り替える(S170)。逆に、可動部変位量が振動閾値を超える場合(S140;NO)、画面上にカーソルが表示されていなければ(S175;NO)、カーソルを表示状態に復帰させる(S180)。さらに、判定精度を上げるために、振動閾値を車両の加速度を表す車両情報に応じて可変設定する(S130)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた可動部材の移動操作に応じて、画面上におけるポインタ等のカーソル位置を移動表示させる表示制御方法、及びその方法を適用した車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のダッシュボードに嵌め込まれた液晶モニタやフロントガラス越しに映し出されるヘッドアップディスプレイといった表示装置の画面上にポインタ等のカーソルを表示し、車両の運転者や同乗者(つまり、操作者)によるカーソル操作に従ってナビゲーションやオーディオ等に関する各種機能を実現する車載装置が知られている。そして、カーソル操作は、一般的にジョイスティックやトラックボール等の可動部材とメカニカルなスイッチとからなる入力デバイスを介して行われることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
つまり、この入力デバイスを備えた車載装置(以下、車載操作装置という)は、可動部材の移動操作やスイッチの押下を表す変換信号に基づいて、画面上のカーソル位置を移動させるための変位ベクトルを算出する変位算出処理や、その算出結果に基づいて、画面上でカーソル位置を移動表示させる移動表示処理を行う。そして、画面上のカーソルが示すアイコン等に対応するアプリケーションの起動またはプログラムの実行等の各種処理を行うことによって、操作者の意図する操作指示が入力可能に構成されている。
【0004】
また、この種の車載操作装置では、操作性を向上させるために、画面上のアイコン位置とカーソルの移動方向とに基づいてカーソルの移動先を予測し、この移動先にカーソルが引き込まれるような駆動力(反力)を可動部材に発生させる反力発生機構を備えたり(例えば、特許文献2参照)、視認性を向上させるために、画面上のカーソルの表示/非表示を切り替える表示切替処理を行ったりしている。なお、ここでの表示切替処理とは、カーソル操作が一定期間なされていない場合に画面上のカーソルを非表示にし、カーソル操作がなされた場合に画面上のカーソルを表示状態に復帰させることによって、必要なとき以外は画面上からカーソルを消去する処理をいう。
【特許文献1】特開2001−296134号公報
【特許文献2】特開2007−302213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述した表示切替処理を行う車載操作装置では、車両の振動によって可動部材の動きを感知した場合に変換信号の入力が生じ、その結果、カーソル操作がなされていないにも関らずに、カーソルが非表示にならなかったり、カーソルが表示状態に復帰してしまったりする可能性があった。このため、不要時のカーソル表示によってナビゲーション等の必要な情報表示が見づらくなってしまうという問題があった。
【0006】
また、前述した反力発生機構を備えた車載装置では、ナビゲーション機能のなかにポップアップ機能が含まれている場合、車両の振動によってカーソルがアイコン位置に引き込まれるように移動し、その結果、カーソルがアイコン位置に合わさることでポップアップ機能が働いてしまう可能性があった。このため、不要なポップアップ表示によって必要なナビゲーション表示が余計に見づらくなってしまうという問題があった。なお、ここでのポップアップ機能とは、図6に示すように、ナビゲーションの画面上で施設を表すアイコン(例えば「GS」等)の位置にカーソルが合わさると、施設の正式な名称(例えば「○○ガソリンスタンド」等)や、施設を利用するための有益な判断材料(例えば「ガソリン価格」等)といった施設情報が重畳表示される機能をいう。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、車両が走行中であっても表示画面の視認性を確保することが可能な表示制御方法、及びこの方法を適用した車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた第一発明である請求項1に記載の表示制御方法は、車両に設けられた表示装置を制御する方法であって、その車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得する変位情報取得手段と、この変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、表示装置の画像上でカーソル位置を可動部材の動きに応じて移動表示する移動表示手段とを備えた車載装置に適用される。
【0009】
具体的に、この表示制御方法は、変位情報取得手段により取得した変位情報に基づく変位量が予め設定された振動閾値を超える場合に限り、その変位量を移動表示手段によるカーソル位置の移動表示に反映させることを発明の要部とする。
【0010】
つまり、この表示制御方法では、車両の振動によるものと推定される可動部材の小さな動きをノイズとみなし、そのノイズ以上の可動部材の動きを操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作と判定し、カーソル操作と判定したとき以外は、可動部材の動きによってカーソル位置を移動表示させないようにしている。
【0011】
したがって、本発明の表示制御方法によれば、車両の振動のせいでカーソル位置が移動し、その移動先でのカーソル表示が他の必要な情報表示の邪魔になることを未然に防止することができ、ひいては車両が走行中であっても表示画面の視認性を確保することができる。
【0012】
次に、第二発明である請求項2に記載の車載装置は、変位情報取得手段が、車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得し、移動表示手段が、変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、車両に設けられた表示装置の画像上でカーソル位置を、可動部材の動きに応じて移動表示する。
【0013】
ここで、表示制御手段が、変位情報取得手段により取得した変位情報に基づく変位量(以下、可動部変位量という)が予め設定された振動閾値を超える場合に限り、可動部変位量を移動表示手段によるカーソルの移動表示に反映させるように構成されている。
【0014】
つまり、本発明の車載装置は、第一発明の表示制御方法を実現する装置であり、従って、この方法を実施した場合に得られる効果と同様の効果を得ることができる。
また、表示制御手段は、請求項3に記載のように、可動部変位量が振動閾値以下である状態が一定期間連続した場合、その可動部変位量が振動閾値を超えるまでの間、表示装置の画像上でカーソルを非表示にすることが望ましい。
【0015】
この場合、可動部材の動きを操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作と判定したとき以外は、表示画面からカーソルが消去されるため、表示画面の視認性をさらに向上させることができる。
【0016】
さらに、本発明の車載装置は、請求項4に記載のように、変位情報取得手段が、車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得し、カーソル表示手段が、変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、車両に設けられた表示装置の画像上でカーソルを表示する。そして、表示禁止手段により、可動部変位量が振動閾値以下である状態が一定期間連続した場合、可動部変位量が振動閾値を超えるまでの間、カーソル表示手段によるカーソルの表示を禁止するように構成されていてもよい。
【0017】
このように構成された車載装置によれば、可動部材の動きを操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作と判定したとき以外は画面上からカーソルを消去するため、車両の振動のせいでカーソルが表示されて他の必要な情報表示の邪魔になることを未然に防止することができ、ひいては車両が走行中であっても表示画面の視認性を確保することができる。
【0018】
また、本発明の車載装置は、請求項5に記載のように、車両情報取得手段が、車両の振動に影響を与える車両情報を取得し、閾値設定手段が、車両情報取得手段により取得した車両情報に基づいて、振動閾値を可変設定することが望ましい。
【0019】
このように構成された車載装置によれば、車両の振動に応じてノイズとみなす可動部材の変位量を調整するため、操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作がなされたか否かを判定する際の判定精度を向上させることができる。
【0020】
なお、請求項6に記載のように、車両情報が車両の加速度であれば、車載ネットワーク上の既存の電子制御装置から簡易に取得することができることに加えて、車両の振動を精度よく推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の車載装置としての機能が付加された実施形態のナビゲーション装置、及びナビゲーション装置が接続される車内LANの構成を示すブロック図、図2は、車室内における表示装置および入力デバイスの配置を示す概略図である。
【0022】
<車内LANの構成>
図1に示すように、車内LAN(Local Area Network)1には、車両の振動時や旋回時の走行安定性を確保する車両安定性制御(以下、ESCという;Electronic Stability Control)を実行するESC電子制御装置(以下、電子制御装置のことをECUという;Electronic Control Unit)2等の各種走行系ECUやボデー系ECU等と共に、ナビゲーション装置3が接続されている。
【0023】
ESCECU2は、車両の進行方向(前後方向),車幅方向(左右方向),これら進行方向及び車幅方向のいずれとも直交する方向(上下方向)に沿った3軸方向の加速度を検出する3軸Gセンサ4と、車両の旋回軸周りの加速度を検出するヨーレートセンサ5と、ブレーキ操作状態を検出するブレーキスイッチ6とを備え、これらセンサ4,5及びスイッチ6からの検出データを、車内LAN1を介してナビゲーション装置3に送信する。
【0024】
そして、ESCECU2は、凹凸やうねりのある路面を走行するときなどに発生する振動を減衰するために、サスペンションのエアスプリング力を自動的に制御(振動減衰制御)したり、滑りやすい路面のカーブに侵入したときなどに発生する横滑りを抑制するために、エンジン出力と各車輪のブレーキ力を自動的に制御(横滑り制御)したりするように構成されている。
【0025】
<ナビゲーション装置の構成>
次に、本実施形態のナビゲーション装置3は、車両用のオーディオヴィジュアル(AV)機能とナビゲーション(NAVI)機能とを一体化した装置であり、図3(a)及び図3(b)に示すように、ポインタやハイライトボックスの移動やアイコンの選択といった操作者によるカーソル操作によって、AV機能やNAVI機能を実現するように構成されている。
【0026】
具体的に、ナビゲーション装置3は、図1に戻って示すように、車両外部との無線通信を行う無線通信部11と、車両の現在位置を検出する位置検出部12と、地図データを入力する地図データ入力部13と、各種の入力操作を行うための入力デバイス14と、NAVI,TV,DVD等の画像を液晶モニタに表示する表示装置15と、さらにCD,MD,AM,FM等の音声を出力する音声出力装置16と、各部11〜13及びデバイス14からの入力に応じて各種処理を実行し、無線通信部11,入力デバイス14,表示装置15,音声出力装置16を制御するNAVI制御部20とを備えている。
【0027】
このうち、位置検出部12は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機12aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ12bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ12cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ12dとを備えている。そして、これら各センサ12a〜12dは、車両の位置,方位,移動距離等を算出するための各検出信号を出力する。
【0028】
そして、地図データ入力部13は、図示は省略するが、ハードディスクやDVD−RAM等の書き込み可能な地図記憶媒体に記憶されている地図データや案内用の音声データ等の各種データを入力するための装置である。
【0029】
また、図2に示すように、表示装置15は、運転者が液晶モニタ(以下、表示面という)15aを見る際の視点移動を軽減するために、車室内において運転者の前方にあるダッシュボード21に嵌め込まれるようにして運転席と助手席との中間となる位置に配置されている。一方、入力デバイス14は、運転者が遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易に操作できるように、運転席のすぐ横にあるセンターコンソール22の上面に配置されている。
【0030】
具体的に、入力デバイス14は、図4に示すように、可動式の操作軸31aを有する操作ノブ31と、操作ノブ31の先端に設けられたメカニカルな操作スイッチ32とからなり、操作ノブ31の位置座標を検出するための位置センサ33と、操作スイッチ32の押下を検出するための押下センサ34と、操作ノブ31を移動させるための駆動力(反力)を操作軸31aに加える反力発生ユニット35と、デバイス14全体の制御を行うデバイス制御部40とを備えている。
【0031】
このうち、操作ノブ31は、操作軸31aの軸方向と垂直な平面に沿って二次元方向に360°可動するように構成され、表示装置15に映し出されるポインタ等のカーソル位置を表示領域内(つまり、表示面15a上)で移動させる。なお、以下では、操作ノブ31の可動領域における表示面15aの水平方向(横方向)に対応する操作方向をX軸、表示面15aの垂直方向(縦方向)に対応する操作方向をY軸とする。
【0032】
また、デバイス制御部40は、位置センサ33を介して操作ノブ31の移動方向や、押下センサ34を介して操作スイッチ32の押下を検出すると、その検出結果を表す変換信号をNAVI制御部20に出力すると共に、NAVI制御部20から後述する予測信号を入力すると、その予測信号により指定される方向に駆動力を操作軸31aに発生させる指令信号を反力発生ユニット35に出力するように構成されている。
【0033】
一方、NAVI制御部20は、図1に戻って示すように、CPU10a,ROM10b,RAM10c,不揮発性のメモリ(例えば、EEPROM)10d,図示しないI/O及びバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、CPU10aが、RAM10cを作業エリアとして、ROM10bに記憶されたプログラムに基づき、各種処理を実行するように構成されている。
【0034】
具体的に、NAVI制御部20は、デバイス制御部40から入力される変換信号(操作ノブ31の移動方向)に基づいて、表示装置15が映し出す画像(以下、単に画面という)上のカーソル位置を移動させるための変位ベクトル(X,Y;変位方向および変位量)を算出する変位算出処理や、その算出結果に基づいて、画面上でカーソル位置を移動表示させる移動表示処理を実行する。さらに、画面上のアイコン位置とカーソルの移動方向とに基づいてカーソルの移動先を予測する移動予測処理を行い、その処理結果(予測方向)を表す信号(予測信号)をデバイス制御部40に出力すると共に、後述する表示切替処理を実行する。
【0035】
また、NAVI制御部20は、画面上のカーソルが示すアイコン等に対応するAVやNAVI機能に関するアプリケーションやプログラムの起動処理を行う。例えば、NAVIのプログラムが起動されると、位置検出部12から入力される各検出信号に基づき、座標および進行方向の組として車両の現在位置を算出する位置算出処理や、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行い、この経路計算に基づいた経路案内を表示装置15及び音声出力装置16を介して行う経路案内処理を実行するように構成されている。
【0036】
<表示切替処理>
ここで、図5は、NAVI制御部20が実行する表示切替処理の詳細を示すフローチャートである。なお、本処理は、ナビゲーション装置3の本体に電源が投入されると起動され、電源が遮断されるまで予め設定された周期で繰り返し実行される。また、本処理では、カーソル操作の放置時間に対応してカウント値CNT1が更新されるカウンタ(以下、操作カウンタという)が用いられる。
【0037】
図5に示すように、本処理が起動されると、まず、変位算出処理を介してデバイス制御部40から入力される変換信号に基づいて算出された変位ベクトル(X,Y)を取得すると共に(S110)、車内LAN1を介してESCECU2から3軸Gセンサ4の検出データ等を表す車両情報を取得する(S120)。
【0038】
そして、S120で取得した車両情報(車両の前後,左右,上下方向の加速度)に基づいて、S110で取得した変位ベクトル(X,Y)が示す方向(以下、可動部変位方向という)に相当する加速度成分を抽出し、その抽出した加速度成分に予め設定された係数を乗じることにより、操作ノブ31の動きが車両の振動によるものであるか否かを判定するための振動閾値を算出する(S130)。
【0039】
次に、S110で取得した変位ベクトル(X,Y)の大きさを示すベクトル量(以下、可動部変位量という)と、S130で算出した振動閾値とを比較して、可動部変位量が振動閾値以下であるか否かを判断する(S140)。ここで肯定判断した場合(S140;YES)、操作ノブ31の動きが車両の振動によるものとして、操作カウンタのカウント値CNT1を+1にインクリメントし(S145)、逆に否定判断した場合(S140;NO)、操作ノブ31の動きが操作者のカーソル操作によるものとして、カウント値CNT1を0にリセットする(S150)。
【0040】
そして、S145で操作カウンタのカウント値CNT1を+1にインクリメントした後には、そのカウント値CNT1が予め設定されたカウンタ閾値N以上であるか否かを判断する(S160)。但し、カウンタ閾値Nとは、可動部変位量が振動閾値以下である状態が一定期間連続したか否かを判定するために予め設定された値をいう。
【0041】
さらに、S160で操作カウンタのカウント値CNT1がカウンタ閾値N以上であれば(S160;YES)、表示装置15の画面上にカーソルが表示されているか否かを判断し(S165)、カーソルが表示されていれば(S165;YES)、画面上のカーソルを非表示状態に切り替えて(S170)、本処理を終了する。なお、S160で操作カウンタのカウント値CNT1がカウンタ閾値N未満である場合(S160;NO)、及び、S165でカーソルが表示されていない場合(S165;NO)にも本処理を終了する。
【0042】
一方、S150で操作カウンタのカウント値CNT1を0にリセットした後にも、表示装置15の画面上にカーソルが表示されているか否かを判断し(S175)、カーソルが表示されていなければ(S175;NO)、画面上のカーソルを表示状態に切り替えて(S180)、本処理を終了する。ちなみに、S175でカーソルが表示されている場合(S175;YES)にも本処理を終了する。
【0043】
なお、上記実施形態において、S110が変位情報取得手段、S120が車両情報取得手段、S130が閾値設定手段、S140〜S170が表示禁止手段、移動表示処理が移動表示手段およびカーソル表示手段、表示切替処理が表示制御手段に相当する。
【0044】
<本実施形態の効果>
以上、説明したように、本実施形態のナビゲーション装置3では、表示切替処理において、入力デバイス14における操作ノブ31の動きを操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作と判定したとき以外は、表示装置15の画面上のカーソルを表示状態に切り替えることを禁止するようにしている。
【0045】
したがって、本実施形態のナビゲーション装置3によれば、車両の振動のせいでカーソルが表示状態に復帰して他の必要な情報表示の邪魔になることを未然に防止することができ、ひいては車両が走行中であっても表示画面の視認性を確保することができる。
【0046】
また、表示切替処理では、車内LAN1を介してESCECU2から取得した車両情報(車両の前後,左右,上下方向の加速度)に基づいて振動閾値を可変設定するため、車両の振動に応じて判定レベルが変更され、操作者(車両の運転者や同乗者)によるカーソル操作がなされたか否かを判定する際の判定精度を向上させることができる。
【0047】
なお、ナビゲーション装置3では、入力デバイス14が、運転席のすぐ横にあるセンターコンソール22の上面に配置されているため、運転者だけでなく助手席の乗員にも遠方へ手を伸ばしたり姿勢を変えたりすることなく容易にカーソル操作を行わせることができる。
【0048】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態のナビゲーション装置3では、入力デバイス14が、センターコンソール22の上面に配置されているが、これに限定されずに、ステアリングホイールの運転者側面(前面)や運転者用のアームレスト上などに配置されていてもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態の入力デバイス14においてカーソル位置を移動させるための部材(可動部材)としては、操作ノブ31が用いられているが、これに限らずに、例えばトラックボールが用いられてもよい。この場合、入力デバイス14は、トラックボールの回転方向や回転量を表す変換信号を出力すればよい。
【0051】
また、上記実施形態のナビゲーション装置3では、変位算出処理,移動表示処理,表示切替処理を、NAVI制御部20で行うように構成されているが、これに限定されるものではなく、デバイス制御部40で全て行うようにしてもよいし、NAVI制御部20とデバイス制御部40とで協調して実行するように構成されていてもよい。
【0052】
ところで、上記実施形態の表示切替処理では、ESCECU2からの車両情報(車両の前後,左右,上下方向の加速度)に基づいて振動閾値を算出(即ち、可変設定)しているが、これに限定されるものではない。例えば、車両情報として、車両の加速度の代わりに、他の走行系ECUから取得した各種情報(車両の変位や速度(角速度を含む)等)を用いて振動閾値を算出してもよいし、或いは、振動閾値を算出する代わりに、振動閾値を予め固定値として設定しておいてもよい。
【0053】
さらに言えば、表示切替処理では、可動部変位量が振動閾値を超えると判断した場合(S140;NO)、変位算出処理で算出した変位ベクトル(X,Y)を、移動表示処理によるカーソル位置の移動表示に反映させることを付加してもよい。或いは、移動表示処理で可動部変位量の閾値判定(振動閾値との比較)を行って、その判定結果により可動部変位量が振動閾値を超える場合に限り、変位算出処理で算出した変位ベクトル(X,Y)を、移動表示処理によるカーソル位置の移動表示に反映させるようにしてもよい。
【0054】
ちなみに、表示切替処理では、カーソル操作がなされていない期間(放置時間)を、処理周期と操作カウンタのカウント値CNT1とに基づいて計測しているが、これに限らず、可動部変位量が振動閾値以下であると判定したとき(S140;YES)に開始し、振動閾値を超えると判断したとき(S140;NO)に停止するタイマーを用いて計測してもよい。
【0055】
なお、NAVI制御部20は、図6に示すように、ナビゲーションの画面上で施設を表すアイコンの位置にカーソルが合わさると、施設の正式な名称や、施設を利用するための有益な判断材料といった施設情報を重畳表示するポップアップ機能を実現するための処理を付加して行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の車載装置としての機能が付加された実施形態のナビゲーション装置3、及びナビゲーション装置3が接続される車内LAN1の構成を示すブロック図。
【図2】車室内における表示装置15および入力デバイス14の配置を示す概略図。
【図3】表示装置15に映し出される画像を例示した表示画面。
【図4】入力デバイス14の構成を示す説明図。
【図5】NAVI制御部20が実行する表示切替処理の詳細を示すフローチャート。
【図6】ナビゲーション機能に含まれているポップアップ機能を説明するための表示画面。
【符号の説明】
【0057】
1…車内LAN、2…ESCECU、3…ナビゲーション装置、4…3軸Gセンサ、5…ヨーレートセンサ、6…ブレーキスイッチ、11…無線通信部、12…位置検出部、13…地図データ入力部、14…入力デバイス、15…表示装置、16…音声出力装置、20…NAVI制御部、31…操作ノブ、32…操作スイッチ、33…位置センサ、34…押下センサ、35…反力発生ユニット、40…デバイス制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得する変位情報取得手段と、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、前記車両に設けられた表示装置の画像上でカーソル位置を、前記可動部材の動きに応じて移動表示する移動表示手段と、
を備えた車載装置において、前記表示装置を制御する表示制御方法であって、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づく変位量が予め設定された振動閾値を超える場合に限り、該変位量を前記移動表示手段によるカーソル位置の移動表示に反映させることを特徴とする表示制御方法。
【請求項2】
車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得する変位情報取得手段と、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、前記車両に設けられた表示装置の画像上でカーソル位置を、前記可動部材の動きに応じて移動表示する移動表示手段と、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づく変位量を可動部変位量として、該可動部変位量が予め設定された振動閾値を超える場合に限り、該可動部変位量を前記移動表示手段による前記カーソルの移動表示に反映させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記可動部変位量が前記振動閾値以下である状態が一定期間連続した場合、該可動部変位量が前記振動閾値を超えるまでの間、前記表示装置の画像上で前記カーソルを非表示にすることを特徴とする請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
車両に設けられた可動部材の動きを表す変位情報を取得する変位情報取得手段と、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づいて、前記車両に設けられた表示装置の画像上でカーソルを表示するカーソル表示手段と、
前記変位情報取得手段により取得した変位情報に基づく変位量を可動部変位量として、該可動部変位量が予め設定された振動閾値以下である状態が一定期間連続した場合、該可動部変位量が前記振動閾値を超えるまでの間、前記カーソル表示手段によるカーソルの表示を禁止する表示禁止手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項5】
前記車両の振動に影響を与える車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両情報取得手段により取得した車両情報に基づいて、前記振動閾値を可変設定する閾値設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の車載装置。
【請求項6】
前記車両情報は、前記車両の加速度であることを特徴とする請求項5に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−20696(P2010−20696A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182789(P2008−182789)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】